JP2012144708A - プリプレグおよび炭素繊維強化複合材料 - Google Patents

プリプレグおよび炭素繊維強化複合材料 Download PDF

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啓之 阪井
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Abstract

【課題】優れた耐衝撃性、層間靭性と導電性とを兼ね備えた炭素繊維強化複合材料、およびそれを得るために用いられるプリプレグを提供すること。
【解決手段】少なくとも[A]連続した炭素繊維、[B]熱硬化性樹脂、[C]熱可塑性樹脂の粒子、および[D]カーボン粒子を含み、[D]カーボン粒子をX線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.1以上0.3以下であるプリプレグ、または、このプリプレグを硬化してなる炭素繊維強化複合材料、ないし、少なくとも[A]、[B]の硬化物、[C]、および[D]を含む炭素繊維強化複合材料であって、前記原子数比[O/C]が0.1以上0.3以下であり、かつ、30%以上の個数の[D]カーボン粒子が炭素繊維強化複合材料に形成されている[A]連続した炭素繊維の層間でそれぞれの[A]と接触していることを特徴とする炭素繊維強化複合材料である。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた力学特性と導電性を兼ね備えた炭素繊維強化複合材料、およびそれを得るために用いられるプリプレグに関するものである。
炭素繊維強化複合材料は、強度、剛性および導電性等に優れていることから有用であり、航空機構造部材、風車の羽根、自動車外板およびICトレイやノートパソコンの筐体(ハウジング)などのコンピュータ用途等に広く展開され、その需要は年々増加しつつある。
炭素繊維強化複合材料は、強化繊維である炭素繊維とマトリックス樹脂を必須の構成要素とするプリプレグを成形してなる不均一材料をその一態様としており、その場合、強化繊維の配列方向の物性とそれ以外の方向の物性に大きな差が存在することになる。例えば、落錘衝撃に対する抵抗性で示される耐衝撃性は、炭素繊維強化複合材料の層間の板端剥離強度等で定量される層間剥離強度によって支配されるため、強化繊維の強度を向上させるのみでは、抜本的な改良に結びつかないことが知られている。特に、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とする炭素繊維強化複合材料は、マトリックス樹脂の低い靭性を反映し、強化繊維の配列方向以外からの応力に対し、破壊され易い性質を持っている。そのため、強化繊維の配列方向以外からの応力に対応することができる炭素繊維強化複合材料物性の改良を目的に、種々の技術が提案されている。
その中の一つに、表面部分に樹脂微粒子を分散させたプリプレグが提案されている。例えば、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる樹脂微粒子を部分表面に分散させたプリプレグを用いて、耐熱性の良好な高靭性複合材料を与える技術が提案されている(特許文献1参照)。また別に、ポリスルホンオリゴマー添加により靭性が改良されたマトリックス樹脂と熱硬化性樹脂からなる樹脂微粒子との組み合わせによって、炭素繊維強化複合材料に高度の靭性を発現させる技術が提案されている(特許文献2参照)。
ところが、これらの技術は、高度な耐衝撃性を与える一方で層間に絶縁層となる樹脂層を生じることになる。そのため、炭素繊維強化複合材料の特徴の一つである導電性のうち、厚み方向の導電性が著しく劣るという欠点があり、炭素繊維強化複合材料において優れた耐衝撃性と導電性とを両立することは困難であった。
そこで、層間の導電性を向上させる方法として、予めマトリックス樹脂に金属粒子やカーボン粒子(特許文献3,4参照)などの導電性粒子を配合させる方法や、予めマトリックス樹脂に導電性フィルム(特許文献5参照)を配合させる方法が考えられるが、成形技術、および得られる成形品の要求レベルの高度化に伴い、さらに高度な導電性と耐衝撃性、層間靭性を満足する成形材料(プリプレグ)設計が求められるようになってきた。
また、マトリックス樹脂と導電性粒子の接着性を改良する方法として、シランカップリング剤を用いる方法(特許文献6参照)があるが、この方法も高度な導電性と耐衝撃性、層間靭性を十分満足できるものではなかった。
米国特許第5,028,478号明細書 特開平3−26750号公報 特開2008−231395号公報 特表2010−508416号公報 特開2009−062473号公報 特開2009−074075号公報
そこで本発明の目的は、耐衝撃性、層間靭性と導電性に優れた炭素繊維強化複合材料、およびそれを得るために用いられるプリプレグを提供することである。
本発明は、上記目的を達成するために次のいずれかの構成を有するものである。すなわち、少なくとも[A]連続した炭素繊維、[B]熱硬化性樹脂、[C]熱可塑性樹脂の粒子、および[D]カーボン粒子を含み、[D]カーボン粒子をX線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.1以上0.3以下であるプリプレグである。
本発明のプリプレグの好ましい態様によれば、[D]カーボン粒子の平均粒径が[C]熱可塑性樹脂の粒子の平均粒径と同じかもしくはそれより大きいプリプレグである。
本発明のプリプレグの好ましい態様によれば、[D]カーボン粒子はいずれもその90〜100質量%が、片側表面から厚さ方向の20%の深さの範囲内に局在しているプリプレグである。
本発明のプリプレグの好ましい態様によれば、[D]カーボン粒子はいずれもその90〜100質量%が、両表面から厚さ方向の20%の深さの範囲内に局在しているプリプレグである。
本発明のプリプレグの好ましい態様によれば、[[C]の配合量(質量部)]/[[D]の配合量(質量部)]で表される質量比が1〜1000であるプリプレグである。
本発明のプリプレグの好ましい態様によれば、[D]カーボン粒子が、[B]熱硬化性樹脂と[C]熱可塑性樹脂の粒子と[D]カーボン粒子の総和に対して0.01〜50質量%であるプリプレグである。
本発明のプリプレグの好ましい態様によれば、[D]カーボン粒子の平均粒径が大きくとも100μmより小さいプリプレグである。
また、本発明の炭素繊維強化複合材料は、前記少なくとも[A]連続した炭素繊維、[B]熱硬化性樹脂、[C]熱可塑性樹脂の粒子、および[D]カーボン粒子を含み、[D]カーボン粒子をX線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.1以上0.3以下であるプリプレグを2枚以上積層し、硬化して得られる炭素繊維強化複合材料である。
本発明の炭素繊維強化複合材料の好ましい態様によれば、30%以上の個数の[D]カーボン粒子が、炭素繊維強化複合材料に形成されている[A]連続した炭素繊維の層間でそれぞれの[A]連続した炭素繊維と接触している炭素繊維強化複合材料である。
また、本発明の炭素繊維強化複合材料は、少なくとも[A]連続した炭素繊維、[B]熱硬化性樹脂の硬化物、[C]熱可塑性樹脂の粒子、および[D]カーボン粒子を含む炭素繊維強化複合材料であって、[D]カーボン粒子をX線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.1以上0.3以下であり、かつ、30%以上の個数の[D]カーボン粒子が炭素繊維強化複合材料に形成されている[A]連続した炭素繊維の層間でそれぞれの[A]連続した炭素繊維と接触していることを特徴とする炭素繊維強化複合材料である。
かかる炭素繊維強化複合材料により、2.0kJ/m以上の層間靭性を維持しつつも、1.0×10Ωcm以下の体積固有抵抗が実現される。
本発明に係るプリプレグは、X線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.1以上0.3以下であるカーボン粒子を含むことで、そのプリプレグを硬化して得られる炭素繊維強化複合材料に優れた耐衝撃性、層間靭性と導電性を兼ね備えさせることができる。
また、本発明に係る炭素繊維強化複合材料は、X線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.1以上0.3以下であるカーボン粒子を含むことで、その炭素繊維強化複合材料に優れた耐衝撃性、層間靭性と導電性を兼ね備えさせることができる。
さらに、本発明は、用いられるプリプレグないし炭素繊維強化複合材料に含まれるカーボン粒子の30%以上の個数のカーボン粒子が、炭素繊維強化複合材料の炭素繊維の層間でそれぞれの炭素繊維と接触するように構成されることにより、耐衝撃性、層間靭性を損なわせることなく、炭素繊維強化複合材料に導電性を付与することができるので、優れた耐衝撃性、層間靭性と導電性を兼ね備えた炭素繊維強化複合材料が得られる。
また、本発明に係る炭素繊維強化複合材料は、優れた耐衝撃性、層間靭性と導電性を兼ね備えているので、航空機の部材の他、テニスラケットやゴルフシャフトなどのスポーツ用品、自動車のバンパーやドアなどの外板部材、およびシャシーやフロントサイドメンバなど自動車の構造部材などに好適に用いることができる。
本発明者らは、炭素繊維、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の粒子、カーボン粒子からなる炭素繊維強化複合材料の導電性メカニズムを追及した結果、X線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.1以上0.3以下であるカーボン粒子を添加したプリプレグを2枚以上積層し、硬化してなる炭素繊維強化複合材料が、優れた耐衝撃性、層間靭性と導電性を高いレベルで備えることを明らかにし、本発明に到達したものである。以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るプリプレグは、少なくとも[A]連続した炭素繊維、[B]熱硬化性樹脂、[C]熱可塑性樹脂の粒子、および[D]カーボン粒子を含んでおり、また、本発明に係る炭素繊維強化複合材料は、少なくとも前記[A]、前記[B]の硬化物、前記[C]、および前記[D]を含んでいる。
本発明で用いられる[A]連続した炭素繊維は、用途に応じてあらゆる種類の炭素繊維を用いることが可能であるが、より高い導電性を発現することから、少なくとも280GPaの引張弾性率を有する炭素繊維であることが好ましい。また、耐衝撃性との両立の点から高くとも440GPaの引張弾性率を有する炭素繊維であることが好ましい。また、耐衝撃性の観点からは耐衝撃性に優れ、高い剛性および機械強度を有する炭素繊維強化複合材料が得られることから、引張強度が好ましくは4.4〜6.5GPaであり、一方、引張伸度も重要な要素であり1.7〜2.3%の高強度高伸度炭素繊維であることが好ましい。従って、高い導電性および耐衝撃性、層間靭性を両立する点から、引張弾性率が少なくとも280GPaであり、引張強度が少なくとも4.4GPaであり 、引張伸度が少なくとも1.7%であるという特性を兼ね備えた炭素繊維が最も適している。引張弾性率、引張強度および引張伸度は、JIS R7601−1986年に記載されるストランド引張試験により測定することができる。
本発明で用いられる[A]連続した炭素繊維は、次のようにして製造することができる。まず、アクリル系の炭素繊維の場合、炭素繊維の前駆体として、アクリロニトリルが90質量%以上でアクリロニトリルと共重合可能なモノマーが10質量%未満の構成であるポリアクリロニトリル系共重合体からなる前駆体繊維束を使用することが好ましい。上記の共重合可能なモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸またはこれらのメチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸およびこれらのアルカリ金属塩からなるグループから選ばれた少なくとも1種を用いることが可能である。
このポリアクリロニトリル系前駆体繊維束は、単繊維繊度は1.0〜2.0dtexであることが好ましく、より好ましくは1.1〜1.7dtexであり、さらに好ましくは1.2〜1.5dtexである。単繊維繊度が1.0dtexに満たないと、得られる炭素繊維束の弾性率および強度が高くなりすぎ、また生産性も劣る傾向がある。また、単繊維繊度が2.0dtexを超えると、炭化工程にて斑を生じやすくなり、全体の強度を低下させてしまう可能性がある。このポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を、空気などの酸化性雰囲気中にて好適には200℃〜300℃の温度範囲で加熱耐炎化することにより耐炎化繊維を製造する。
次に、次工程の炭化処理前に、耐炎化繊維を窒素などの不活性雰囲気中で好適には300℃〜1000℃の範囲温度内で予備炭化処理を行うと良い。このように、耐炎化繊維を予備炭化処理を施した後で、窒素などの不活性雰囲気中で最高温度が好ましくは1000〜1400℃、より好ましくは1000〜1300℃、さらに好ましくは1100〜1250℃の温度範囲で炭化することにより、炭素繊維束を製造することができる。炭化温度の最高温度が1400℃を超えると炭素繊維束の弾性率が高くなり過ぎ、1000℃未満であると炭素繊維の結晶サイズが小さくなり、炭素結晶の成長が不十分なため、得られる炭素繊維束の水分率が高くなって、繊維強化複合材料を成形する際に、マトリックス樹脂の硬化が不十分となり、繊維強化複合材料の引張強度が十分発現しない場合がある。
炭素繊維の市販品としては、“トレカ(登録商標)”T800SC−24K−10Eおよび“トレカ(登録商標)”T700SC−24K−50C(以上いずれも東レ(株)製)などが挙げられる。
本発明に用いられる炭素繊維の形態や配列については、軽量で耐久性がより高い水準にある炭素繊維強化複合材料を得るためには、炭素繊維が、一方向に引き揃えた長繊維、織物、トウおよびロービング等、連続繊維の形態であることを特徴とする。
本発明において好ましく用いられる炭素繊維束は、単繊維繊度は0.2〜2.0dtexであると良く、好ましくは0.4〜1.8dtexである。0.2dtex未満であると、撚糸時においてガイドローラーとの接触による炭素繊維束の損傷が起こりやすくなることがあり、また樹脂組成物の含浸処理工程においても同様の損傷が起こることがある。2.0dtexを越えると炭素繊維束に樹脂組成物が十分に含浸されないことがあり、結果として耐疲労性が低下することがある。
本発明において用いられる炭素繊維束は、一つの繊維束中のフィラメント数が2500〜50000本の範囲であることが好ましい。フィラメント数が2500本を下回ると繊維配列が蛇行しやすく強度低下の原因となりやすい。また、フィラメント数が50000本を上回るとプリプレグ作製時あるいは成形時に樹脂含浸をし難い。フィラメント数は、より好ましくは2800〜25000本の範囲である。
なお、本発明において用いられる[A]連続した炭素繊維とは、少なくとも繊維長が3mm以上の炭素繊維を意味するものとする。
本発明で用いられる[B]熱硬化性樹脂は、熱により架橋反応が進行して、少なくとも部分的に三次元架橋構造を形成する樹脂であれば特に限定されない。かかる熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂およびポリイミド樹脂等が挙げられ、これらの変性体および2種類以上ブレンドした樹脂なども用いることができる。また、これらの熱硬化性樹脂は、加熱により自己硬化するものであっても良いし、硬化剤や硬化促進剤などを配合するものであっても良い。
これらの熱硬化性樹脂の中でも、耐熱性、力学特性および炭素繊維との接着性のバランスに優れているエポキシ樹脂が好ましく用いられる。特に、アミン類、フェノール類、炭素−炭素二重結合を有する化合物を前駆体とするエポキシ樹脂が好ましく用いられる。具体的には、アミン類を前駆体とするグリシジルアミン型エポキシ樹脂として、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノールおよびトリグリシジルアミノクレゾールの各種異性体が挙げられる。テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンは、耐熱性に優れているため航空機構造材としての複合材料用樹脂として好ましい。
また、熱硬化性樹脂として、フェノールを前駆体とするグリシジルエーテル型エポキシ樹脂も好ましく用いられる。このようなエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂およびレゾルシノール型エポキシ樹脂が挙げられる。
液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂およびレゾルシノール型エポキシ樹脂は、低粘度であるために、他のエポキシ樹脂と組み合わせて使うことが好ましい。
また、室温(25℃程度)で固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂は、室温(25℃程度)で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂に比較し、硬化樹脂において、架橋密度の低い構造を与えるため、その硬化樹脂は耐熱性については、より低いものとなるが、靭性については、より高いものとなるため、グリシジルアミン型エポキシ樹脂や液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂と組み合わせて好ましく用いられる。
ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂は、低吸水率かつ高耐熱性の硬化樹脂を与える。また、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂およびジフェニルフルオレン型エポキシ樹脂も、低吸水率の硬化樹脂を与えるため好適に用いられる。
ウレタン変性エポキシ樹脂およびイソシアネート変性エポキシ樹脂は、破壊靱性と伸度の高い硬化樹脂を与えるため好適に用いられる。
これらエポキシ樹脂は、単独で用いてもよいし適宜配合して用いてもよい。少なくとも2官能のエポキシ樹脂および3官能以上のエポキシ樹脂を配合して用いると、樹脂の流動性と硬化後の耐熱性を兼ね備えるものとすることができるので好ましい。特に、グリシジルアミン型エポキシとグリシジルエーテル型エポキシの組み合わせは、耐熱性および耐水性とプロセス性の両立を可能にする。また、少なくとも室温で液状のエポキシ樹脂と室温で固形状のエポキシ樹脂とを配合することは、プリプレグのタック性とドレープ性を適切なものとするために有効である。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂は、耐熱性が高く吸水率が小さいため、耐熱耐水性の高い硬化樹脂を与える。これらのフェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を用いることによって、耐熱耐水性を高めつつプリプレグのタック性とドレープ性を調節することができる。
エポキシ樹脂の硬化剤としては、エポキシ基と反応し得る活性基を有する化合物であればこれを用いることができる。硬化剤としては、アミノ基、酸無水物基およびアジド基を有する化合物が適している。硬化剤としては、より具体的には、例えば、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタンやジアミノジフェニルスルホンの各種異性体、アミノ安息香酸エステル類、各種酸無水物、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリフェノール化合物、イミダゾール誘導体、脂肪族アミン、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物のようなカルボン酸無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポリメルカプタンおよび三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなルイス酸錯体などが挙げられる。これらの硬化剤は、単独で使用しても併用してもよい。
芳香族ジアミンを硬化剤として用いることにより、耐熱性の良好な硬化樹脂が得られる。特に、ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体は、耐熱性の良好な硬化樹脂を得るため最も適している。芳香族ジアミンを硬化剤の添加量は、化学量論的に当量となるように添加することが好ましいが、場合によって、例えば、当量比0.7〜0.8付近を用いることにより高弾性率の硬化樹脂が得られる。
また、ジシアンジアミドと、尿素化合物、例えば、3,4−ジクロロフェニル−1,1−ジメチルウレアとの組合せ、あるいはイミダゾール類を硬化剤として用いることにより、比較的低温で硬化しながら高い耐熱耐水性が得られる。酸無水物を用いて硬化することは、アミン化合物硬化に比べ吸水率の低い硬化樹脂を与える。その他、これらの硬化剤を潜在化したもの、例えば、マイクロカプセル化したものを用いることにより、プリプレグの保存安定性が良くなり、特にタック性やドレープ性が室温放置しても変化しにくい。
また、これらエポキシ樹脂と硬化剤、あるいはそれらの一部を予備反応させた物を組成物中に配合することもできる。この方法は、粘度調節や保存安定性向上に有効である場合がある。
上記熱硬化性樹脂に、熱可塑性樹脂を混合、溶解して用いることも好適である。このような熱可塑性樹脂としては、一般に、主鎖に、炭素−炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、チオエーテル結合、スルホン結合およびカルボニル結合から選ばれた結合を有する熱可塑性樹脂であることが好ましいが、部分的に架橋構造を有していても差し支えない。また、結晶性を有していても非晶性であってもよい。特に、ポリアミド、ポリカーボナート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フェニルトリメチルインダン構造を有するポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアラミド、ポリエーテルニトリルおよびポリベンズイミダゾールからなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂が、熱硬化性樹脂に、混合、溶解していることが好適である。
本発明は、[C]熱可塑性樹脂の粒子が必須成分として用いられるため、得られる炭素繊維強化複合材料に優れた耐衝撃性、層間靭性を実現させることができる。本発明で用いられる[C]熱可塑性樹脂の粒子の素材としては、熱可塑性樹脂として先に例示した各種の熱可塑性樹脂と同様のものを用いることができる。なかでも、優れた靭性のため耐衝撃性を大きく向上できるポリアミドは最も好ましい。ポリアミドの中でも、ナイロン12、ナイロン11やナイロン6/12共重合体は、[B]熱硬化性樹脂との接着強度が特に良好であることから、落錘衝撃時の炭素繊維強化複合材料の層間剥離強度が高く、耐衝撃性の向上効果が高いため好ましい。[C]熱可塑性樹脂の粒子として、さらにエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を混合し作製した粒子を用いた場合、マトリックス樹脂との接着性が向上し炭素繊維強化複合材料の耐衝撃性が向上することからさらに好ましい。
熱可塑性樹脂の粒子の形状としては、球状でも非球状でも多孔質でも針状でもウイスカー状でも、またはフレーク状でもよいが、球状の方が、熱硬化性樹脂の流動特性を低下させないため炭素繊維への含浸性が優れることや、炭素繊維強化複合材料への落錘衝撃(または局所的な衝撃)時、局所的な衝撃により生じる層間剥離がより低減されるため、かかる衝撃後の炭素繊維強化複合材料に応力がかかった場合において、応力集中による破壊の起点となる前記局所的な衝撃に起因して生じ層間剥離部分がより少なく、高い耐衝撃性、層間靭性を発現する炭素繊維強化複合材料が得られることから好ましい。
本発明で用いられる[D]カーボン粒子は、X線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.1以上0.3以下であるカーボン粒子であることが必須である。そのため、得られる炭素繊維強化複合材料に優れた耐衝撃性、層間靭性と導電性を兼ね備えさせることができる。X線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.1より小さい場合、得られる炭素繊維強化複合材料の層間靭性が十分に発揮できず、また0.3より大きい場合、得られる炭素繊維強化複合材料の導電性が低減される。
X線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.1以上0.3以下であるカーボン粒子は、カーボン粒子に表面処理を施したものを用いれば、熱硬化性樹脂との強い接着を実現することができ、耐衝撃性のさらなる向上が可能となる。かかる観点から、熱硬化性樹脂と化学結合、水素結合を形成しうる酸化処理による表面処理を施したカーボン粒子が、熱硬化性樹脂との強い接着が実現できることから好ましく用いられる
酸化処理としては、被処理物の表面を酸化することができれば特に制限はないが、薬液酸化処理および電解酸化処理を用いることができる。なかでも、薬液酸化処理が好ましく用いられる。
薬液酸化処理とは、酸性水溶液中で酸化処理する方法である。酸性水溶液としては、例えば、硫酸、発煙硫酸、硝酸、発煙硝酸、塩酸、燐酸、炭酸、ホウ酸、シュウ酸、フッ酸、蟻酸、酪酸、酢酸、ホウ硫酸、クロロ硫酸、クロロ酢酸、スルホサリチル酸、スルホ酢酸、マレイン酸、無水クロム酸、次亜塩素酸、アクリル酸、スルホン酸、フルオロ硫酸、トリフルオロメタン硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸アンモニウム、蟻酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム等
を含む水溶液を単独で使用しても併用してもよい。酸化処理することで、水酸基やカルボキシル基等の官能基を被処理物上に化学生成させ、かかる官能基がマトリックス樹脂と化学結合および/あるいは水素結合することで強い接着が実現できる。なかでも、強酸性を示す硝酸、硫酸、あるいはそれらの混酸が好ましく用いられる。
酸性水溶液の濃度としては、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%以上がよい。濃度が高いほど処理時間が短時間となったり、被処理物の凝集をほぐす効果がある。酸性水溶液中に、オゾン、過酸化水素、二酸化鉛等の酸化剤を加えれば、より酸化力が増し好ましい。
カーボン粒子は、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを800℃から2000℃で焼成し得ることができる。熱硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂として先に例示した各種の熱硬化性樹脂と同様のものを用いることができる。なかでも、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、尿素樹脂、ポリイミド樹脂などが好ましく用いられる。また、熱可塑性樹脂として先に例示した各種の熱可塑性樹脂と同様のものを用いることができる。なかでも、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアラミドなどが好ましく用いられる。
カーボン粒子の体積固有抵抗は、10〜10−9Ωcmであり、より好ましくは1〜10−9Ωcmであり、さらに好ましくは10−1〜10−9Ωcmである粒子である。体積固有抵抗が高すぎると、炭素繊維強化複合材料において十分な導電性が得られない場合がある。
ここでいう、体積固有抵抗とは、サンプルを、4探針電極を有する円筒型セルにセットし、試料に60MPaの圧力を加えた状態で試料の厚さと抵抗値を測定し、その値から算出した体積固有抵抗とする。
本発明で用いられる[D]カーボン粒子の比重は大きくとも3.2であることが好ましい。カーボン粒子の比重が3.2を超えると得られる炭素繊維強化複合材料の重量が増加するだけでなく、樹脂調合中に均一に分散できない場合がある。かかる観点から、カーボン粒子の比重は、好ましくは、0.8〜2.2である。カーボン粒子の比重が0.8に満たないと、樹脂調合中に均一に分散できない場合がある。
[D]カーボン粒子の形状は、球状でも非球状でも多孔質でも針状でもウイスカー状でも、またはフレーク状でもよいが、球状の方が、熱硬化性樹脂の流動特性を低下させないため炭素繊維への含浸性が優れる。また、炭素繊維強化複合材料への落錘衝撃(または局所的な衝撃)時、局所的な衝撃により生じる層間剥離がより低減されるため、かかる衝撃後の炭素繊維強化複合材料に応力がかかった場合において応力集中による破壊の起点となる前記局所的な衝撃に起因して生じた層間剥離部分がより少なくなることや、積層層内の炭素繊維との接触確率が高く、導電パスを形成し易いことから、高い耐衝撃性、層間靭性と導電性とを発現する炭素繊維強化複合材料が得られる点で好ましい。
カーボン粒子としては、例えば、“ベルパール(登録商標)”C−600、C−800、C−2000(エア・ウォーター(株)製)、“NICABEADS(登録商標)”ICB、PC、MC(日本カーボン(株)製)、グラッシーカーボン(東海カーボン(株)製)、高純度人造黒鉛SGシリーズ、SGBシリーズ、SNシリーズ(SECカーボン(株)製)などが具体的に挙げられる。
本発明においては、[D]カーボン粒子の平均粒径が[C]熱可塑性樹脂の粒子の平均粒径と同じかもしくはそれより大きいことが好ましい。[D]カーボン粒子の平均粒径が[C]熱可塑性樹脂の粒子の平均粒径より小さい場合は、炭素繊維強化複合材料を得た際に、絶縁性である[C]熱可塑性樹脂の粒子が[A]連続した炭素繊維の層間のサイズを支配することにより[D]カーボン粒子がその層間に埋もれてしまい、層内の[A]連続した炭素繊維と[D]カーボン粒子との導電パスが形成されにくく、十分な導電性向上効果をもたらさないことがある。
本発明のプリプレグは、[D]カーボン粒子の90〜100質量%が、片側表面から厚さ方向の20%の深さ、より好ましくは10%の深さの範囲内に局在していることが好ましい。2枚以上のプリプレグを積層するに際し、プリプレグの粒子層を片面のみに存在させるため、粒子層が存在する面が同じ方向に向くようにプリプレグを積層すると良い。この場合、プリプレグに表裏ができるため、積層に際して注意が必要となる。すなわち、粒子のある層間とない層間が存在するようにプリプレグを配置すると、衝撃に対して弱い炭素繊維強化複合材料となる可能性がある。このように、粒子が表面側に偏在している構造をとることにより、プリプレグを積層し、熱硬化性樹脂を硬化させて炭素繊維強化複合材料とした場合、プリプレグ層、すなわち炭素繊維強化複合材料層の間で樹脂層が形成され易く、それにより、炭素繊維強化複合材料層相互の接着性や密着性が高められ、得られる炭素繊維強化複合材料に高度の耐衝撃性、層間靭性が発現されるようになる。
また、本発明のプリプレグは、[D]カーボン粒子の90〜100質量%が、両表面から厚さ方向の20% の深さ、より好ましくは10%の深さの範囲内に局在していることもより好ましい。この場合、表裏の区別をする必要がなく、プリプレグを2枚以上積層し、硬化し炭素繊維強化複合材料を得ることができる。このように、粒子が表面側に偏在している構造をとることにより、プリプレグを積層し、熱硬化性樹脂を硬化させて炭素繊維強化複合材料とした場合、プリプレグ層、すなわち炭素繊維強化複合材料層の間で樹脂層が形成され易く、それにより、炭素繊維強化複合材料層相互の接着性や密着性が高められ、得られる炭素繊維強化複合材料に高度の耐衝撃性、層間靭性が発現されるようになる。
本発明においては、[[C]熱可塑性樹脂の粒子の配合量(質量部)]/[D]カーボン粒子の配合量(質量部)]で表される質量比を1〜1000、好ましくは10〜500、より好ましくは10〜100とすると良い。かかる質量比が1よりも小さくなると、得られる炭素繊維強化複合材料において十分な耐衝撃性を得られないことがあり、かかる質量比が1000よりも大きくなると、得られる炭素繊維強化複合材料において十分な導電性が得られないことがある。
[D]カーボン粒子が[B]熱硬化性樹脂と[C]熱可塑性樹脂の粒子と[D]カーボン粒子の総和に対して、0.01〜50質量%であることが、得られる炭素繊維強化複合材料において優れた導電性を示すため好ましい。より好ましくは、0.05〜30質量%であり、さらに好ましくは0.1〜20質量%である。[D]カーボン粒子が[B]熱硬化性樹脂と[C]熱可塑性樹脂の粒子と[D]カーボン粒子の総和に対して、0.01質量%よりも少ない場合、得られる炭素繊維強化複合材料において導電パスが形成されにくく十分な導電性向上効果をもたらさないことがあり、50質量%を越える場合、得られる炭素繊維強化複合材料において十分な耐衝撃性を得られないことがある。
[D]カーボン粒子の平均粒径は、大きくとも100μm、好ましくは80μmより小さいこと、より好ましくは60μmより小さいことが好ましい。かかる平均粒径が100μmよりも大きくなると、得られる炭素繊維強化複合材料において十分な耐衝撃性と層間靭性が得られなくなるためである。
ここで、平均粒径の測定法について説明する。
粒子の平均粒径については、例えば、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡やレーザー顕微鏡などの顕微鏡にて粒子を1000倍以上に拡大し写真撮影し、無作為に粒子を選び、その粒子の外接する円の直径を粒径とし、その粒径の平均値(n=50)として求めることができる。また、レーザー粒度分布計により光散乱の手法やコールターカウンターを用い求めることもできる。
本発明において、用いられるプリプレグないし炭素繊維強化複合材料に含まれる、[D]カーボン粒子の粒径の変動係数を30%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下とする。カーボン粒子の粒径の変動係数が30%を越える場合は、炭素繊維強化複合材料の炭素繊維の層間においてカーボン粒子がそれぞれの炭素繊維と接触する確率が低下するため得られる炭素繊維強化複合材料の導電性が十分向上しない可能性がある。
カーボン粒子の粒径の変動係数は、上記で挙げた平均粒径の測定から標準偏差を算出し、そこから変動係数を(標準偏差/平均粒径)×100(%)で算出することができる。標準偏差は、例えば「新版 品質管理のための統計的方法入門 日科技連出版社」の44ページ等を参考に算出することができる。なお、本発明に用いられるプリプレグからカーボン粒子の粒径の平均粒径を求める手段として、プリプレグからカーボン粒子を抽出した後、コールターカウンターを用いる手段を採用することができ、また、炭素繊維強化複合材料からカーボン粒子の粒径の平均粒径を求める手段として、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡やレーザー顕微鏡を採用することができる。
本発明に係るプリプレグを得るに際し、[B]熱硬化性樹脂、[C]熱可塑性樹脂の粒子、および[D]カーボン粒子からなるマスターバッチを使用することも好ましい。すなわち、混合方法によっては、カーボン粒子の凝集物が存在することにより本来の力学特性、導電性が発揮されない場合があるのに対し、マスターバッチとすることで樹脂組成物中への粗大な凝集物の混入を抑制し樹脂組成物中への分散性が向上する。分散性が向上することで、本発明の炭素繊維強化複合材料の導電性、力学特性が安定しばらつきが減少される。また、熱硬化性樹脂量の質量比が少なすぎると、カーボン粒子の分散性が悪くなる場合があり、逆に、この範囲よりも熱硬化性樹脂の質量比が大きくなるとマスターバッチ法を用いる有用性が低くなる場合がある。
マスターバッチの適用法としては、例えば次のような手順が、例として挙げられる。まず、攪拌機により熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の粒子、カーボン粒子を混練し、カーボン粒子を分散させてマスターバッチを作製し、設計したマトリックス樹脂組成物の質量比となるように、残りの熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の粒子、硬化剤などの配合物に、作製したマスターバッチを添加することで、目的の炭素繊維複合材料用エポキシ樹脂組成物が得られる。
本発明に用いられる[B]熱硬化性樹脂を含むマトリックス樹脂組成物を得るには、[C]熱可塑性樹脂の粒子、[D]カーボン粒子と硬化剤以外の構成要素を150℃程度で均一に加熱混練し、硬化反応が進みにくい温度まで冷却した後に熱可塑性樹脂の粒子、カーボン粒子および硬化剤を加えて混練することが好ましいが、各成分の配合方法は特にこの方法に限定されるものではない。
本発明に係るプリプレグは、粒子に富む層、すなわち、その断面を観察したときに、前記した粒子(熱可塑性樹脂の粒子、カーボン粒子)が局在して存在している状態が明瞭に確認しうる層(以下、粒子層と略記することがある。)が、プリプレグの表面付近部分に形成されている構造であることが好ましい。
さらに、[D]カーボン粒子の90〜100質量%が、片側表面または両表面から厚さ方向の20%の深さに局在していることに代えて、またはそれに加えて、[C]熱可塑性樹脂の粒子と[D]カーボン粒子の片側表面または両表面から厚さ方向の20%の深さに局在している割合が、[C]熱可塑性樹脂の粒子と[D]カーボン粒子の全量100質量%に対して、好ましくは90〜100質量%であり、より好ましくは95〜100質量%であると良い。
この粒子の存在率は、例えば、下記の方法で評価することができる。すなわち、プリプレグを2枚の表面の平滑なポリ四フッ化エチレン樹脂板の間に挟持して密着させ、7日間かけて徐々に硬化温度まで温度を上昇させてゲル化、硬化させて板状のプリプレグ硬化物を作製する。このプリプレグ硬化物の両面に、プリプレグ硬化物の表面から、厚さの20%深さ位置にプリプレグの表面と平行な線を2本引く。次に、プリプレグの表面と上記線との間に存在する粒子の合計面積と、プリプレグの厚みに渡って存在する粒子の合計面積を求め、プリプレグの厚さ100%に対して、プリプレグの表面から20%の深さの範囲に存在する粒子の存在率を計算する。ここで、粒子の合計面積は、断面写真から粒子部分を刳り抜き、その質量から換算して求める。樹脂中に分散する粒子の写真撮影後の判別が困難な場合は、粒子を染色する手段も採用できる。
また、本発明においてカーボン粒子の量は、プリプレグに対して20質量%以下の範囲であることが好ましい。プリプレグに対して20質量%を超えると、粒子と樹脂との混合が困難になる上、プリプレグのタックとドレープ性が低下することがある。すなわち、ベース樹脂である熱硬化性樹脂の特性を維持しつつ、粒子による耐衝撃性を付与するには、カーボン粒子の量は、プリプレグに対して20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以下である。プリプレグのハンドリングを一層優れたものにするためには、カーボン粒子の量は、10質量%以下であることが好ましい。その粒子量は、高い耐衝撃と導電性を得るために、プリプレグに対し1質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは2質量%以上である。
本発明のプリプレグは、特開平1−26651号公報、特開昭63−170427号公報または特開昭63−170428号公報に開示されているような方法を応用して製造することができる。具体的には、本発明のプリプレグは、炭素繊維とマトリックス樹脂であるエポキシ樹脂からなる一次プリプレグの表面に、熱可塑性樹脂の粒子とカーボン粒子をそのまま塗布する方法、マトリックス樹脂である熱硬化性樹脂中にこれらの熱可塑性樹脂の粒子とカーボン粒子を均一に混合した混合物を調整し、この混合物を炭素繊維に含浸させる過程において強化繊維で熱可塑性樹脂の粒子とカーボン粒子の侵入を遮断せしめてプリプレグの表面部分に粒子を局在化させる方法、または予めエポキシ樹脂を炭素繊維に含浸させて一次プリプレグを作製しておき、一次プリプレグ表面に、これらの粒子を高濃度で含有する熱硬化性樹脂のフィルムを貼付する方法等で製造することができる。熱可塑性樹脂の粒子とカーボン粒子が、プリプレグの厚み20%の深さの範囲に均一に存在することで、耐衝撃性、層間靭性と導電性とを兼ね備えた炭素繊維複合材料用のプリプレグが得られる。
本発明の炭素繊維強化複合材料は、上述した本発明のプリプレグを所定の形態で積層し、加圧・加熱して樹脂を硬化させる方法を一例として、製造することができる。熱可塑性樹脂の粒子とカーボン粒子とを組み合わせて用いることにより、炭素繊維強化複合材料への落錘衝撃(または局所的な衝撃)時、局所的な衝撃により生じる層間剥離が低減されるため、かかる衝撃後の炭素繊維強化複合材料に応力がかかった場合において応力集中による破壊の起点となる前記局所的な衝撃に起因して生じた層間剥離部分が少ないことや、カーボン粒子をX線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.1以上0.3以下であることから積層層内でカーボン粒子が熱硬化性樹脂と良好な接着性が得られ、高い耐衝撃性、層間靭性と導電性とを発現する炭素繊維強化複合材料が得られる。
本発明の炭素繊維強化複合材料は、炭素繊維強化複合材料の両面の表面樹脂層を除去し、表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料の両面に導電性ペーストを塗布し、導電性ペーストを乾燥させた後に、表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料の厚さ方向の導電性を評価し、その評価結果を用いることにより、表面樹脂層を除去する前の、つまり本発明の炭素繊維強化複合材料の厚さ方向の導電性を評価することができる。
炭素繊維強化複合材料の両面の表面樹脂層を除去する手段としては、表面の樹脂層を効率良く除去できることから研磨であることが好ましい。研磨としては、サンドペーパー、金属板ヤスリ、スポンジ研磨剤、研磨フィルム、電動サンダー、ハンドサンダーによる研磨、サンドブラスターによる研磨、研磨機による研磨などが挙げられる。
サンドペーパーの粗さとしては、#40から#2000が好ましく用いられる。金属板ヤスリの粗さとしては、#40から#200が好ましく用いられる。スポンジ研磨剤の粗さとしては、#120から#1500が好ましく用いられる。研磨フィルムの粗さとしては、#320から#15,000が好ましく用いられる。
サンドブラスターとしては、マニュアル型、ロボット搭載型、ベルトコンベア型など装置が挙げられ、例えば(株)不二製作所製のニューマ・ブラスターが好ましく用いられる。研磨機としては、ビューラー製のエコメット300プロ、オートメット300やストルアス製のLaboForceシリーズなどが好ましく用いられる。
炭素繊維強化複合材料の両面の表面樹脂層の除去は、樹脂層の除去により炭素繊維の表面が見えるまで除去することが好ましい。除去する表面樹脂層の厚さとしては、好ましくは30〜350μm、より好ましくは40〜200μm、さらに好ましくは60〜100μmである。この除去する表面樹脂層の厚さが30μmより小さくなると、表面樹脂層が完全に除去されていないことが多く、表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料の導電性評価において、導電性を正確に評価することが難しくなる。また除去する表面樹脂層の厚さが350μmより大きくなると、除去する工程時間が長くなる。
また、炭素繊維強化複合材料の両面の表面樹脂層の除去は、その両面において実施されることを必要とされる。片面の表面樹脂層のみを除去すると、表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料の導電性の評価結果を用いて行われる、炭素繊維強化複合材料の導電性を正確に評価できないことになる。
なお、炭素繊維強化複合材料の両面の表面樹脂層の除去した厚さは、マイクロメーターや断面観察により測定することができる。マイクロメーターでは、表面樹脂層を除去前後における任意の5点をそれぞれ測定し、5点の平均値の差から算出することができる。断面観察では、レーザー顕微鏡やデジタル顕微鏡、実体顕微鏡を採用することができる。
導電性ペーストは、電気的に良好な導体として振る舞う導電性物質を含むペーストであれば良く、導体のみからなるものに限定されない。好ましくは体積固有抵抗が10〜10−9Ωcmであり、より好ましくは1〜10−9Ωcmであり、さらに好ましくは10−1〜10−9Ωcmである導電性物質である。体積固有抵抗が高すぎると、導電性の評価が行われる表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料に十分な導電性を与えられない場合がある。
導電性ペーストに含まれる導電性物質は、例えばカーボン、金属、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリエチレンジオキシチオフェン等の導電性ポリマーの他、無機材料の核または芯が導電性の物質で被覆されてなる物質(すなわち、無機物を含む導電性物質)、有機材料の核または芯が導電性の物質で被覆されてなる物質(すなわち、有機物を含む導電性物質)を使用することができる。これらの中でも、高い導電性および安定性を示すことから、導電性物質として、無機物(無機物を含む導電性物質を含む)やカーボンが好ましく用いられる。特にこの中でも、無機物が長期安定性において優れていることから、無機物が導電性ペーストに含まれる導電性物質として特に好ましく用いられる。
上記好ましい導電性ペーストに含まれる無機物としては、白金、金、銀、銅、錫、ニッケル、チタン、コバルト、亜鉛、鉄、クロム、アルミニウム等が用いられ、これらの中でも、体積固有抵抗が10〜10−9Ωcmという高い導電性および安定性を示すことから、白金、金、銀、銅、錫、ニッケル、またはチタンが好ましく、銀が特に好ましく用いられる。なお、これら金属は単独で用いられても良いし、これら金属を主成分とする合金として用いられても良い。さらに、導電性ペーストには、複数種の導電性物質が含まれていても良く、銀とニッケルを含むペーストは、高い導電性を示すため好ましく用いられる。
上記導電性ペーストは、樹脂を含んでいることが表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料とペーストの接着性が向上する点で好ましい。
導電性ペーストに好ましく用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられ、表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料とペーストの接着性が高いことから熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の併用系が好ましく用いられる。
熱可塑性樹脂としては、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル樹脂、酢酸ビニル−塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−アクリル樹脂、ポリアミド、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリウレタン、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、水性ビニルウレタン、α−オレフィン、シアノアクリレート、変成アクリル樹脂、ブチラール系樹脂、ニトリル−フェノール、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、ポリフェニレンスルファイド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポエリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、液晶ポリマー、非晶ポリアリレートなどが好ましく、中でもブチラール系樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル樹脂、酢酸ビニル−塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−アクリル樹脂がより好ましく用いられる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリイミド樹脂、ユリア樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ケイ素樹脂、アルキド樹脂、尿素樹脂などが好ましく、中でもフェノール樹脂、エポキシ樹脂がより好ましく用いられる。
上記導電性ペーストは、溶剤を含んでいることが表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料へ導電性ペーストを塗布する点で好ましい。
溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、エチレングリコールモノブチルエーテル、シクロヘキサノン、エステル系溶剤、イソホロン、エチレングリコールジアセテート、シクロヘキサノール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、メタノール、エタノール、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテートなどが好ましく、中でもエチレングリコールジアセテート、シクロヘキサノール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、メタノールがより好ましく用いられる。
導電性ペーストとしては、例えば“ドータイト”(登録商標)D−550、FN−101、D−500、D−362、XA−9015、FE−107、XC−12、XC−32、SH−3A、XA−436、FA−545、XA−824、FC−403R、XC−223、FA−501、FA−333、FA−353N、XA−602N、XA−472、FC−415、XB−101G、SN−8800G、XB−114、XB−107、XB−110、FH−889、FEL−190、FEL−615、FEC−198、FEA−685、XB−101G(藤倉化成(株)製)、N−2057、N−2057A(昭栄化学工業(株)製)、CA−6178、CA−6178B、CA−6178T、CA−2500E、CA−BE04(大研化学工業(株)製)、SP、SD、ST、SF、SL、SI、NPS−J、NPS、NPS−J−HTB、NPS−HTB、NPG−J(ハリマ化成(株)製)、“MDot”(登録商標)MDot−SLP、“CUX”(登録商標)−Rシリーズ(三ツ星ベルト(株)製)などが具体的に挙げられる。
表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料の両面への導電性ペーストの塗布は、はけ、スパチュラ、ブラシによる塗布や自動塗工装置、スクリーン印刷装置などが用いられる。中でも自動塗工装置による導電性ペーストの塗布が好ましい。
自動塗工装置としては、テスター産業(株)製のPI−1210や(株)井本製作所の70F0−Bが挙げられる。
また、表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料への導電性ペーストの塗布は、片面ずつ実施し、導電性ペーストを塗布した片面の導電性ペーストを乾燥した後、塗布してない方の片面に導電性ペーストを塗布し、乾燥させることが好ましい。表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料の片面のみ導電性ペーストを塗布し、もう片面には導電性ペーストを塗布しないと、表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料の導電性を正確に評価できない。
導電性ペーストの乾燥温度は、好ましくは25〜200℃、より好ましくは100〜200℃、さらに好ましくは150〜180℃である。乾燥温度が25℃よりも低いと溶剤が完全に除去されていないことがあり、また200℃よりも高いと導電性ペーストに含まれる樹脂が分解することがある。
導電性ペーストの乾燥時間は、好ましくは5〜300分、より好ましくは5〜60分、さらに好ましくは10〜30分である。乾燥時間が5分よりも短いと溶剤が完全に除去されていないことがあり、また300分よりも長いと導電性ペーストに含まれる樹脂が劣化することがある。
また、導電性ペーストは、上記乾燥温度、乾燥時間において、減圧状態での乾燥も好ましく用いられる。
導電性ペーストの乾燥後の厚さは、マイクロメーターや断面観察により測定することができる。マイクロメーターでは、表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料の厚さと、導電性ペーストを塗布し乾燥後の表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料と導電性ペーストを塗布し乾燥した後の導電性ペーストの合計の厚さにおいて、任意の5点をそれぞれ測定し、5点の平均値の差から算出することができる。断面観察では、レーザー顕微鏡やデジタル顕微鏡、実体顕微鏡を採用することができる。
上記導電性ペーストの乾燥後の厚さは、好ましくは、10〜200μmであり、より好ましくは30〜150μm、さらに好ましくは50〜100μmである。10μmよりも薄いと電極の抵抗が大きくなり表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料の導電性を正確に評価できず、200μmよりも厚いとペーストの塗布工程やコスト面で好ましくない。
また、導電性ペーストは、乾燥後、炭素繊維強化複合材料の厚さ方向の導電性の評価をするために行われる、表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料の導電性を評価するのに用いられる電極となる。電極の表面抵抗は、四探針法により測定することができる。例えばLoresta−AX MCP−T370((株)三菱化学アナリテック製)を用いて測定できる。
上記電極の表面抵抗は、好ましくは50mΩ以下、より好ましくは25mΩ以下、さらに好ましくは8mΩ以下である。50mΩよりも大きい表面抵抗値であると、表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料の導電性評価において、電極の抵抗により導電性を正確に評価することが難しくなる。
表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料の厚さ方向の導電性評価は、四端子法で測定することが接触抵抗の影響をとり除き、高精度な測定が可能となることから好ましく用いられる。
表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料の厚さ方向の導電性の評価装置としては、例えばR6581デジタルマルチメーター(アドバンテスト(株)製)、Resistomat 23XXシリーズ(Burster製)、Keithley 20XXシリーズ(ケースレーインスツルメンツ(株)製)などが具体的に挙げられる。
表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料の厚さ方向の導電性を評価することにより、カーボン粒子を含む、連続した炭素繊維の層間を1つまたは複数有する炭素繊維強化複合材料の内部(表面樹脂層以外の部分)の厚さ方向の導電性が評価されることになるため、その評価結果を、表面樹脂層を除去する前の、つまり本発明の炭素繊維強化複合材料の厚さ方向の導電性を評価された結果と捉えることができるのである。
本発明において、30%以上の個数の[D]カーボン粒子が、炭素繊維強化複合材料に形成されている[A]連続した炭素繊維の層間でそれぞれの[A]連続した炭素繊維と接触していることが好ましい。炭素繊維強化複合材料の炭素繊維の層間でカーボン粒子がそれぞれの炭素繊維と接触していない場合、あるいは、炭素繊維強化複合材料の炭素繊維の層間で30%よりも低い個数のカーボン粒子がそれぞれの炭素繊維と接触している場合は、導電性のパスを形成するのが難しいため、炭素繊維強化複合材料の導電性が十分向上しない可能性がある。かかる観点から、炭素繊維強化複合材料の[A]連続した炭素繊維の層間のサイズ(長さの単位:μm)と[D]カーボン粒子のサイズ(長さの単位:μm)において、[カーボン粒子のサイズ]/[炭素繊維強化複合材料の炭素繊維の層間のサイズ]の値が0.5〜2、好ましくは0.7〜1.6、より好ましくは0.8〜1.2である。また、[A]連続した炭素繊維の層間で、それぞれの[A]連続した炭素繊維と接触している[D]カーボン粒子の個数の割合は、導電性のパスを形成の点で30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上である。
さらに、プリプレグを用いずに、本発明に用いられる[B]熱硬化性樹脂を含むマトリックス樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させた後、加熱硬化する方法、例えばハンド・レイアップ法、フィラメント・ワインディング法、プルトルージョン法、レジン・インジェクション・モールディング法、レジン・トランスファー・モールディング法などの成形法によっても炭素繊維強化複合材料を作製することができる。そして本発明では、これらの成形法を用いて成形された炭素繊維強化複合材料の層間とは、[A]連続した炭素繊維の層と[A]連続した炭素繊維の層の間に形成される層のことを意味するものとする。この場合、[A]連続した炭素繊維の層間に存在する[D]カーボン粒子は、X線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.1以上0.3以下であり、かつ、30%以上の個数の[D]カーボン粒子が炭素繊維強化複合材料に形成されている[A]連続した炭素繊維の層間でそれぞれの[A]連続した炭素繊維と接触していることを必須とする。
このようにして得られた炭素繊維強化複合材料は、導電パスに優れることから、2.0kJ/m以上の層間靭性を維持しつつも、1.0×10Ωcm以下の体積固有抵抗が実現される。かかる炭素繊維強化複合材料は、[A]連続した炭素繊維と[B]熱硬化性樹脂の配合割合や、[C]熱可塑性樹脂の粒子および[D]カーボン粒子の平均粒径や、[D]カーボン粒子のX線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]などを適宜調整することにより、[D]カーボン粒子と接触する[A]連続した炭素繊維の層間における[D]カーボン粒子の構成、配置を制御することができ、衝撃後圧縮強度、層間靭性、体積固有抵抗を、それぞれ、280MPa以上、2.0kJ/m以上、1.0×10Ωcm以下に設計することができる。なお、炭素繊維の層間に靱性の高い熱可塑性樹脂の粒子を使用した場合、炭素繊維強化複合材料の層間靱性、ならびに耐衝撃性と導電性のバランスを考慮し、これらの特性の最適化(例えば、衝撃後圧縮強度、層間靭性、体積固有抵抗を、415MPa以下、4.0kJ/m以下、1.7×10―3Ωcm以上とする設計をする等)を図っても良い。
かかる本発明の炭素繊維強化複合材料は、上述の特徴を備えることから、航空機構造部材、風車の羽根、自動車外板およびICトレイやノートパソコンの筐体(ハウジング)などのコンピュータ用途に好ましく用いられる。
以下、実施例によって、本発明に用いられるプリプレグと本発明の炭素繊維強化複合材料について、より具体的に説明する。実施例で用いたプリプレグおよび炭素繊維強化複合材料の作製方法、衝撃後圧縮強度の評価方法、層間靭性の評価方法、体積固有抵抗の評価方法を、次に示す。実施例のプリプレグの作製環境および評価は、特に断りのない限り、温度25℃±2℃、相対湿度50%の雰囲気で行ったものである。また、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
<炭素繊維>
・“トレカ(登録商標)”T800S−24K−10E(繊維数24,000本、引張強度5.9GPa、引張弾性率290GPa、引張伸度2.0%の炭素繊維、総繊度1.03g/m、東レ(株)製)。
<エポキシ樹脂>
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂、“jER(登録商標)”825(ジャパンエポキシレジン(株)製)
・テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ELM434(住友化学(株)製)。
<硬化剤>
・4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(三井化学ファイン(株)製)。
<熱可塑性樹脂>
・末端に水酸基を有するポリエーテルスルホン“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P(住友化学(株)製)。
<熱可塑性樹脂の粒子>
・ナイロン12粒子SP−10(東レ(株)製、形状:真球)。
・下記の製造方法で得られたエポキシ変性ナイロン粒子A。
透明ポリアミド(商品名“グリルアミド(登録商標)”−TR55、エムザベルケ社製)90質量部、エポキシ樹脂(商品名“jER(登録商標)”828、ジャパンエポキシレジン(株)製)7.5質量部および硬化剤(商品名“トーマイド(登録商標)”#296、富士化成工業(株)社製)2.5質量部を、クロロホルム300質量部とメタノール100質量部の混合溶媒中に添加して、均一溶液を得た。次に、得られた均一溶液を塗装用のスプレーガンを用いて霧状にして、良く撹拌して3000質量部のn−ヘキサンの液面に向かって吹き付けて溶質を析出させた。析出した固体を濾別し、n−ヘキサンで良く洗浄した後に、100℃の温度で24時間の真空乾燥を行い、エポキシ変性ナイロン粒子Aを得た。(平均粒径:12.5μm)。
<カーボン粒子>
・“NICABEADS(登録商標)”ICB(日本カーボン(株)製)(平均粒径:33.21μm、変動係数:4.87%)。
・グラッシーカーボン(東海カーボン(株)製)(平均粒径:35.57m、変動係数:3.83%)。
・“ベルパール(登録商標)”C−2000(エア・ウォーター(株)製)(平均粒径:15.12μm、変動係数:4.38%)。
上記の粒子は分級を実施し粒径の変動係数を5%以下にしてから使用した。
<金属被覆粒子>
・“ミクロパール(登録商標)”AU215・・・(平均粒径)15.5μm。
・“ミクロパール(登録商標)”CU215・・・(平均粒径)15.5μm。
<カップリング剤>
・Z−6011(東レ・ダウコーニング(株)製):3−アミノプロピルトリエトキシシラン。
<導電性のフィルム>
・導電性フィルムB(厚さ:13.7μm、体積固有抵抗値:3.8×10−5Ωcm)(特許文献4(特開2009−062473号公報)の実施例10に記載の導電性フィルムと同一の導電性フィルム)。
(1)カーボン粒子のX線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]
カーボン粒子の全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]は、X線光電子分光法により次の手順に従って求めた。まず、カーボン粒子を銅製の試料支持台に粉体を並べた後、励起X線として、X線径が100μmのmonochromatic AlKα1、2線(1486.6eV)を用い、光電子脱出角度(試料表面に対する検出器の傾き)を45°に調整し、試料チャンバー中を1×10Torrに保ち測定した。データ処理は、C1Sメインピークを284.6eVにし、横軸補正を行った。X線光電子分光法装置として、PHI社製のQuantera SXMを用いた。
(2)プリプレグの厚み20%の深さの範囲に存在する粒子の存在率
プリプレグを、2枚の表面の平滑なポリ四フッ化エチレン樹脂板間に挟持して密着させ、7日間かけて徐々に150℃迄温度を上昇させてゲル化、硬化させて板状の樹脂硬化物を作製した。硬化後、密着面と垂直な方向から切断し、その断面を研磨後、光学顕微鏡で200倍以上に拡大しプリプレグの上下面が視野内に納まるようにして写真撮影した。同様な操作により、断面写真の横方向の5ヵ所でポリ四フッ化エチレン樹脂板間の間隔を測定し、その平均値(n=5)をプリプレグの厚さとした。
プリプレグの両面について、プリプレグの表面から、厚さの20%深さ位置にプリプレグの表面と平行な線を2本引いた。次に、プリプレグの表面と上記線との間に存在する粒子の合計面積と、プリプレグの厚みに渡って存在する粒子の合計面積を求め、プリプレグの厚さ100%に対して、プリプレグの表面から20%の深さの範囲に存在する粒子の存在率を計算した。微粒子の合計面積は、断面写真から粒子部分を刳り抜き、その質量から換算して求めた。マトリックス樹脂中に分散する粒子の写真撮影後の判別が困難な場合は、粒子を染色する手段を用いた。
(3)炭素繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度測定
一方向プリプレグを、[+45°/0°/−45°/90°]2S構成で、擬似等方的に16プライ積層し、オートクレーブにて、180℃の温度で2時間、0.59MPaの圧力下、昇温速度1.5℃/分で成形して25個の積層体を作製した。これらの各積層体から、縦150mm×横100mm(厚さ4.3mm)のサンプルを切り出し、SACMA SRM 2R−94に従い、サンプルの中心部に6.7J/mmの落錘衝撃を与え、衝撃後圧縮強度を求めた。
(4)炭素繊維強化複合材料の層間靭性測定
一方向プリプレグを、[0°]20構成で、20プライ積層し、オートクレーブにて、180℃の温度で2時間、0.59MPaの圧力下、昇温速度1.5℃/分で成形して25個の積層体を作製した。これらの各積層体から、縦330mm×横12mm(厚さ5.4mm)のサンプルを切り出し、エンドノッチドフレクシャ法によってモードIIの層間靭性を測定した。
(5)炭素繊維強化複合材料の導電性測定
一方向プリプレグを、それぞれ[+45°/0°/−45°/90°]2S構成で、擬似等方的に16プライ積層し、オートクレーブにて、180℃の温度で2時間、0.59MPaの圧力下、昇温速度1.5℃/分で成形して25個の積層体を作製した。これらの各積層体から、縦40mm×横40mm(厚さ4.3mm)のサンプルを切り出し、炭素繊維強化複合材料を片面ずつエコメット300プロ、オートメット300(ビューラー製)、研磨紙としてMD Piano 600(ストルアス製)を使用し、炭素繊維強化複合材料40mm×40mm×4.3mmに押し付け圧力10lbをかけ70μmを研磨した。表面樹脂層の除去厚さの測定は、研磨前後の炭素繊維強化複合材料をマイクロメーターで任意の5点をそれぞれ測定し、5点の平均値の差から計算した。この方法を炭素繊維強化複合材料の両面に実施した。その後、PI−1210(テスター産業(株)製)にバーコーター(番手:No.80)を取り付け、20mm/秒の速度でバーコーターを動かし、作製した表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料に導電性ペースト(N−2057A(昭栄化学工業(株)製)、銀ペースト)を片面ずつ塗布した。片面に塗布した表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料をオーブンで乾燥(180℃で30分間)させた。導電性ペースト厚さは、導電性ペースト塗布前の表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料と、導電性ペーストを塗布し乾燥後の表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料をマイクロメーターにより任意の5点をそれぞれ測定し、5点の平均値の差から算出し60μmであった。その後、導電性ペーストを塗布していない方の片面についても同様の方法で導電性ペーストを塗布し、同様の方法で導電性ペーストを乾燥後、導電性ペースト厚さをマイクロメーターにより測定した。表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料の厚さ方向の導電性評価は、作製した表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料をResistomat 2316(Burster製)を用いて四端子法で表面樹脂層を除去した炭素繊維強化複合材料の厚さ方向の抵抗値を測定し、体積固有抵抗を求め、以下の実施例では、それを本発明の炭素繊維強化複合材料の厚さ方向の体積固有抵抗とした。
(6)炭素繊維の層間のカーボン粒子と、それぞれの炭素繊維との接触の判定
(5)で作製した炭素繊維強化複合材料を炭素繊維の層と炭素繊維の層が観察できるよう積層方向とは垂直に切断し、その断面を研磨後、レーザー顕微鏡(KEYENCE VK−9510)で200倍以上に拡大し炭素繊維の層と炭素繊維の層が2層以上視野内に納まるようにして写真撮影した。同様の操作からカーボン粒子が存在する100箇所を任意に選択した。カーボン粒子は、平均粒径よりも小さい粒径の断面で切断される確率が高いため、カーボン粒子を平均粒径のサイズとみなし、そのサイズのカーボン粒子がそれぞれの炭素繊維と接する、あるいは、交差するとき、それらは接触しているとして接触の有無を判定した。判定基準として、カーボン粒子100個の内、カーボン粒子が層間の上面の炭素繊維と下面の炭素繊維の両方で接している数が、70個以上の場合は○○○、69個〜50個の場合は○○、49個〜30個の場合は○、3個〜29個の場合は△、2個以下の場合は×とした。
(実施例1)
25gの“NICABEADS”ICBを600mlの60質量%硝酸溶液に添加し、1時間、130℃で還流し、フィルターで分離した後、水で充分洗浄し、表面処理した“NICABEADS”ICBを得た。得られた表面処理した“NICABEADS”ICBを用い、上記の(1)カーボン粒子のX線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]を測定した。
混練装置で、50質量部の“jER”825と50質量部のELM434に、10質量部のPES5003Pを配合して、熱可塑性樹脂をエポキシ樹脂中に溶解した。その後、20質量部のエポキシ変性ナイロン粒子Aと上記で表面処理した1質量部の“NICABEADS”ICBを混練し、さらに硬化剤である4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを40質量部混練して、マトリックス樹脂組成物を作製した。
調製した熱硬化性樹脂組成物を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して68.5g/mの樹脂フィルムを、2枚作製した。次に、シート状に一方向に配列させた炭素繊維(T800S−24K−10E)に、上記で作製した樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね、加熱加圧により樹脂を含浸させ、炭素繊維の目付が270g/mで、マトリックス樹脂の質量分率が34.3%の一方向プリプレグを作製した。
得られたプリプレグを用い、上記の(2)プリプレグの厚み20%の深さの範囲に存在する粒子の存在率を測定した。炭素繊維強化複合材料を得て、(3)炭素繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度測定、(4)炭素繊維強化複合材料の層間靭性測定、(5)炭素繊維強化複合材料の導電性測定と(6)炭素繊維の層間のカーボン粒子と、それぞれの炭素繊維との接触の判定に記載のとおりに実施した。結果を表1に示す。
(実施例2〜14)
エポキシ樹脂、硬化剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の粒子、カーボン粒子の種類や配合量を表1に示すように変更、また、カーボン粒子の濃硝酸での処理時間を変更したこと以外は、実施例1と同様にしてプリプレグを作製した。得られたカーボン粒子を用いて、X線光電子分光法により全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]を測定した。作製した一方向プリプレグを用いて、プリプレグの厚み20%の深さの範囲に存在する粒子の存在率、炭素繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度、層間靭性および導電性、炭素繊維の層間のカーボン粒子と、それぞれの炭素繊維との接触の判定を行った。得られた結果を表1にまとめて示す。
(比較例1〜13)
エポキシ樹脂、硬化剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の粒子、金属被覆粒子、カップリング剤、導電性のフィルム、またカーボン粒子の種類や配合量を表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてプリプレグを作製した。カーボン粒子は、未処理品を使用し、X線光電子分光法により全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]を測定した。作製した一方向プリプレグを用いて、プリプレグの厚み20%の深さの範囲に存在する粒子の存在率、炭素繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度、層間靭性および導電性、炭素繊維の層間の金属被覆粒子、導電性のフィルム、カーボン粒子と、それぞれの炭素繊維との接触の判定を行った。得られた結果を表2にまとめて示す。
(比較例14)
エポキシ樹脂、硬化剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の粒子、金属被覆粒子、カップリング剤、導電性のフィルム、またカーボン粒子の種類や配合量を表2に示すように変更し、実施例1と同様にしてプリプレグを作製した。カーボン粒子は、150mlの98質量%硫酸溶液および50mlの60質量%硝酸溶液に“ベルパール(登録商標)”C−2000 100g添加し、次いで120℃で20分間攪拌し、フィルターで分離した後、水で充分洗浄し、“ベルパール(登録商標)”C−2000の表面処理品を使用した(特許文献3(特開2008−231395号公報)の実施例21に記載のカーボン粒子と同一のカーボン粒子)。得られたカーボン粒子を用いて、X線光電子分光法により全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]を測定した。作製した一方向プリプレグを用いて、プリプレグの厚み20%の深さの範囲に存在する粒子の存在率、炭素繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度、層間靭性および導電性、炭素繊維の層間のカーボン粒子と、それぞれの炭素繊維との接触の判定を行った。得られた結果を表2に示す。
Figure 2012144708
Figure 2012144708
実施例1〜14と比較例1〜14との対比により、用いられるプリプレグ、ないし得られる炭素繊維強化複合材料が、カーボン粒子のX線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.1以上0.3以下であるとき、さらには、30%以上の個数のカーボン粒子が炭素繊維強化複合材料に形成されている炭素繊維の層間でそれぞれの炭素繊維と接触しているときに、炭素繊維強化複合材料の厚み方向の導電性に優れ、高い衝撃後圧縮強度、層間靭性と低い体積固有抵抗を実現し、高度な力学特性と導電性を両立していることが明らかにされた。
本発明よれば、優れた力学特性と導電性を兼ね備えた炭素繊維強化複合材料が得られるため、航空機構造部材、風車の羽根、自動車外板およびICトレイやノートパソコンの筐体(ハウジング)などのコンピュータ用途等に広く展開でき、有用である。

Claims (11)

  1. 少なくとも[A]連続した炭素繊維、[B]熱硬化性樹脂、[C]熱可塑性樹脂の粒子、および[D]カーボン粒子を含み、[D]カーボン粒子をX線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.1以上0.3以下であるプリプレグ。
  2. [D]カーボン粒子の平均粒径が[C]熱可塑性樹脂の粒子の平均粒径と同じかもしくはそれより大きい、請求項1に記載のプリプレグ。
  3. [D]カーボン粒子の90〜100質量%が、片側表面から厚さ方向の20%の深さの範囲内に局在している、請求項1または2に記載のプリプレグ。
  4. [D]カーボン粒子の90〜100質量%が、両表面から厚さ方向の20%の深さの範囲内に局在している、請求項1または2に記載のプリプレグ。
  5. [[C]の配合量(質量部)]/[[D]の配合量(質量部)]で表される質量比が1〜1000である、請求項1から4のいずれかに記載のプリプレグ。
  6. [D]カーボン粒子が、[B]熱硬化性樹脂と[C]熱可塑性樹脂の粒子と[D]カーボン粒子の総和に対して0.01〜50質量%である、請求項1から5のいずれかに記載のプリプレグ。
  7. [D]カーボン粒子の平均粒径が大きくとも100μmより小さい、請求項1から6のいずれかに記載のプリプレグ。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のプリプレグを2枚以上積層し、硬化して得られる炭素繊維強化複合材料。
  9. 30%以上の個数の[D]カーボン粒子が、炭素繊維強化複合材料に形成されている[A]連続した炭素繊維の層間でそれぞれの[A]連続した炭素繊維と接触している、請求項8に記載の炭素繊維強化複合材料。
  10. 少なくとも[A]連続した炭素繊維、[B]熱硬化性樹脂の硬化物、[C]熱可塑性樹脂の粒子、および[D]カーボン粒子を含む炭素繊維強化複合材料であって、[D]カーボン粒子をX線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.1以上0.3以下であり、かつ、30%以上の個数の[D]カーボン粒子が炭素繊維強化複合材料に形成されている[A]連続した炭素繊維の層間でそれぞれの[A]連続した炭素繊維と接触していることを特徴とする炭素繊維強化複合材料。
  11. 層間靭性が2.0kJ/m以上であり、かつ、体積固有抵抗が1.0×10Ωcm以下である、請求項8〜10のいずれかに記載の炭素繊維強化複合材料。
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