JP6308146B2 - 樹脂フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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本発明は優れた耐衝撃性と層間靭性と層間剪断強度とを兼ね備えた炭素繊維強化複合材料を提供可能な、品位、工程通過性、成形加工性に優れた、プリプレグの製造に好適な樹脂フィルムおよびその製造方法に関するものである。また本発明は、当該樹脂フィルムを用いて製造したプリプレグ、および該プリプレグを複数枚積層し、加熱硬化して得られる炭素繊維強化複合材料に関するものである。
炭素繊維強化複合材料は、高い比強度・比剛性を有するため、スポーツ用途、自動車、船舶、土木・建築材料といった様々な一般産業用途に利用されている他、特に軽量化を必要とする航空機の構造材料として注目されている。
炭素繊維強化複合材料は、その製造方法の一つに、強化繊維である炭素繊維とマトリックス樹脂を必須の構成要素とするプリプレグを用いる方法が一般的に知られている。プリプレグを用いる場合、それを成形してなる炭素繊維強化複合材料は、強化繊維の配列方向の物性とそれ以外の方向の物性に大きな差が存在する。例えば、落錘衝撃に対する抵抗性で示される耐衝撃性は、強化繊維とマトリックス樹脂との界面やマトリックス樹脂の特性等によって支配されるため、強化繊維の強度を向上させるのみでは、抜本的な改良に結びつかないことが知られている。特に、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とする炭素繊維強化複合材料は、マトリックス樹脂の低い靭性を反映し、強化繊維の配列方向以外からの応力に対し、破壊され易い性質を持っている。加えて、外部からの衝撃力などの外力がかかると、隣接する炭素繊維束同士の層間(以降単に「層間」と記すこともある)に応力が集中し、破壊され易い性質を持っている。従って、耐衝撃性の向上に加え、層間の剪断靭性、剪断強度の向上も重要な課題となっている。
以上の背景から、外部の多方向からの力に対応することができる複合材料物性を改良することを目的として、種々の技術が提案されている。
例えば、特許文献1には樹脂を素材とする微粒子をプリプレグの表面領域に分散させた樹脂層を設けたプリプレグを用いて、耐衝撃性に優れた複合材料を与える技術が提案されている。また、特許文献2にはエポキシ樹脂と所定の硬化剤とを含む樹脂組成物に、所定の平均粒径を有する無機微粒子を含む樹脂組成物をマトリックス樹脂として用いることにより、耐衝撃性を向上し、熱可塑性樹脂を用いることで層間破壊靭性をも向上した複合材料を与える技術が提案されている。
ここで、特許文献1、2では、シリコーン離型紙などの上に均一に塗工した樹脂フィルム付きの離型紙シート(以降、単に「樹脂フィルム」と記すこともある)を得る、樹脂フィルミング方法が記載されている。
プリプレグの製造方法については、特許文献3では、シート状に引き揃えた炭素繊維の両面に樹脂フィルムを当て圧力を加えることにより、熱硬化性樹脂組成物を含浸させてベースプリプレグ(以降、「一次プリプレグ」と記すこともある)を作製し、微粒子等を熱硬化性樹脂組成物に含んだ別の熱硬化性樹脂組成物を、樹脂フィルムを用いてその両側に貼着する方法が開示されている。この方法で得られたプリプレグ(以降、「二次プリプレグ」と記すこともある)は、プリプレグの表面のみに粒子等を配置するため、炭素繊維強化複合材料の層間の樹脂層に、粒子等を存在させるために適した方法であり、特許文献3の実施例で示されるように、二次プリプレグを用いない場合に比べ優れた耐衝撃性が得られることが明らかにされている。
特公平4−5055号公報 特開2009−242459号公報 特公平4−5056号公報
本発明者らは、鋭意検討した結果、炭素繊維強化複合材料において、優れた耐衝撃性を得るために、炭素繊維強化複合材料の層間の樹脂層に熱可塑性粒子を加えると共に、当該樹脂層の厚みを十分に確保し、その厚みの均一性を保持することで優れた層間靭性、強度を得ることが出来ることを明らかにした。さらに、層間の樹脂層の厚みを保持するためには、適した大きさの粒子を層間の樹脂層に配合することが有効であることも明らかにした。以上から、優れた耐衝撃性を得るための熱可塑性粒子からなる第1の粒子と、層間の樹脂層の厚みを十分に確保し、優れた層間靭性、強度を得るための第2の粒子を同時に用いることで、優れた耐衝撃性と層間靭性と層間剪断強度とを兼ね備えることが出来ることを明らかにした。
ここで、二次プリプレグは、特許文献3で開示されるとおり、一次プリプレグより優れた耐衝撃性が得られることから好適に用いることが出来る。二次プリプレグの取り扱い性の観点から、二次プリプレグの両面の特性を同等にするために、一次プリプレグの両面に樹脂フィルムの熱硬化性樹脂組成物を貼着することが好ましい。そのため、このように得られた二次プリプレグを積層して積層体を得る場合、二次プリプレレグ表面に貼着した樹脂フィルムの熱硬化性樹脂組成物がおのおの重なって、層間は樹脂フィルムの樹脂厚みのおよそ2倍となる。
当該積層体を、例えばオートクレーブ等を用いて加熱・加圧して炭素繊維複合材料を成形すると、成形の際の加圧や樹脂フロー等で層間が圧縮されるため、成形方法により若干の大小は有るものの、層間の樹脂層の厚みは、樹脂フィルムの樹脂厚みの2倍ではなく、1.2〜1.8倍となることが判明した。
従って、本発明者らは、層間の樹脂層の厚みを保持するためには、層間の樹脂層の厚みを保持するために適した粒径に制御した粒子等を、あらかじめ当該熱硬化性樹脂組成物に配合しておく必要があることを明らかにした。層間の樹脂層が樹脂フィルムの樹脂厚みのおよそ1.2〜1.8倍であるため、樹脂フィルムを用いて熱硬化性樹脂組成物を両側に貼着して得られる二次プリプレグを得るためには、層間の厚みを保持するための粒子等は樹脂フィルムの厚みより粒径が大きいものが大多数を占めることが必要となる。
ところが、一般に樹脂フィルミング方法は、ラッカー樹脂やホットメルト樹脂をナイフエッジコーター方式やリバースロールコーター方式で塗工する、いわゆるクリアランス制御による塗工方式を採用しており、樹脂フィルムの樹脂厚みより大きい粒径の粒子等を使用すると、粒子等のフィルミング工程通過性や樹脂フィルムの品位が極端に悪化する一方で、フィルミング工程通過性を確保しようと粒子等の粒径を小さくすると、層間靭性や層間剪断強度が低下する問題が確認されている。従って、粒子等を層間の樹脂層に均一に分散させることは、必ずしも容易ではない。特許文献2には、平均粒径の異なる2種の熱可塑性樹脂粒子を用いることが開示されているが、配合部数に対する増粘を最小限に抑えることを想定しており、良好な層間靭性および層間剪断強度を得るために、層間の樹脂層の厚みを保持することの有効性は想定しておらず、粒子等を層間の樹脂層に分散させる方法について、具体的な開示がなされていない。特許文献3では、上記の課題に鑑み、あらかじめ作っておいた樹脂フィルムに微粒子を散布する方法が開示されているが、単にリバースロールコーター方式で塗工する場合と比較して生産性が悪化する上、均一に微粒子を散布させる方法については、具体的に開示がなされていない。
すなわち、先行技術文献には、粒子等を層間の樹脂層に均一に分散させる方法について、具体的な開示がなされておらず、品位が良好な樹脂フィルムを得て、層間靭性および層間剪断強度が安定して良好となるプリプレグ原料および炭素繊維強化複合材料を得ることは困難であった。
すなわち、本発明の解決しようとする課題は、かかる事情に鑑み、優れた耐衝撃性と層間靭性と層間剪断強度とを兼ね備えた炭素繊維強化複合材料を提供可能な、品位、工程通過性、成形加工性に優れた、プリプレグの製造に好適な樹脂フィルムおよびその製造方法を提供することにある。
かかる課題を解決するための本発明は、以下の構成からなる。すなわち、リバースロールコーター方式を用いて離型紙上に塗工して樹脂フィルムを製造する方法において、以下の(1)、(2)を必須成分とする熱硬化性樹脂組成物を、B/C比が0.5〜0.9となるように離型紙上に塗工して、樹脂厚みがAμmである樹脂フィルムを製造する樹脂フィルムの製造方法である。
(1)樹脂フィルムの樹脂厚みAμmに対して、体積平均粒径が0.8Aμm以下である熱可塑性樹脂からなる第1の粒子を20〜50質量%含む。
(2)樹脂フィルムの樹脂厚みAμmに対して、体積平均粒径がA〜1.8Aμmであり、かつ2Aμmを超える粗大粒子の含有量が2質量%以下である第2の粒子を1〜5質量%含む。
ここでB/C比とは図1に示す、リバースロールコーター装置のBロール速度とCロール速度の比である。
樹脂フィルムの樹脂厚みAμmは、50μm以下であることが好ましい。
また本発明は、10〜100g/mの目付で以下の(1)、(2)の樹脂成分を含み、樹脂フィルムの幅が30cm以上であって、該樹脂フィルムの樹脂被覆率が85%以上でありかつ、スジ状の欠点が該樹脂フィルムの幅方向1m、および長手方向100mあたり5本以下である熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂フィルムである。
(1)樹脂フィルムの樹脂厚みAμmに対して、体積平均粒径が0.8Aμm以下である熱可塑性樹脂からなる第1の粒子を20〜50質量%含む。
(2)樹脂フィルムの樹脂厚みAμmに対して、体積平均粒径がA〜1.8Aμmであり、かつ2Aμmを超える粗大粒子の含有量が2質量%以下である第2の粒子を1〜5質量%含む。
本発明の樹脂フィルムまたは、本発明の製造方法を用いて製造される樹脂フィルムには、80℃における貯蔵弾性率G’が10〜200Paである熱硬化性樹脂組成物が好適に用いられる。
また、シート状に引き揃えた炭素繊維に熱硬化性樹脂を含浸して得られる一次プリプレグの両面に、上記樹脂フィルムの熱硬化性樹脂組成物をさらに貼着して得られる、二次プリプレグが提供される。
また、上記二次プリプレグを複数枚積層した後、加熱硬化して得られる炭素繊維強化複合材料が提供される。
本発明によれば、優れた耐衝撃性と層間靭性と層間剪断強度とを兼ね備えた炭素繊維強化複合材料を提供するために必要な、品位、工程通過性、成形加工性に優れた、プリプレグの製造に好適な樹脂フィルムの製造方法を提供でき、欠点の少ない樹脂フィルムが得られる。
リバースロールコーター装置を模式的に示した図である。
本発明の樹脂フィルムとは、熱硬化性樹脂組成物を加熱して低粘度とした後、リバースロールコーター方式でシリコーン離型紙などの離型紙上に均一に塗工した、いわゆるクリアランス制御による塗工方式を用いて得たものを言う。リバースロールコーター方式によらない、例えばナイフエッジコーター方式の場合は、クリアランスの大きさがフィルムの厚みに対して近接しているため、得られるフィルム厚みと同等かそれを超える粒径の粒子を含む熱硬化性樹脂組成物を品位よく塗工することは出来ない。
リバースロールコーター方式による樹脂の塗工方法について、さらに図1を用いて詳細に説明する。図1に示すように、リバースロールコーター方式では、加熱して低粘度とした熱硬化性樹脂組成物5を樹脂貯蔵槽に溜め、それぞれが逆方向に回転するAロール1とBロール2の間のクリアランス(以降、単に「クリアランス」と記すこともある)を介して、樹脂がAロール1とBロール2に配分され、Bロール2上に一定の厚みの樹脂を塗布する。この際、樹脂を低粘度に保つため、Aロール1とBロール2は一定温度に加熱されていることが好ましい。次にBロール2と、離型紙4の進行方向に回転するCロール3を、離型紙4を介して接触させることで、Bロール上に一定厚みに塗布された熱硬化性樹脂組成物6を離型紙4上に転写して樹脂フィルム7を得ることが出来る。
また、Bロール2と、Cロール3の回転速度を調整することで、熱硬化性樹脂組成物を延伸して離型紙上に塗工することが出来る。尚、Bロール2とCロール3の速度比(以降、単に「B/C比」と記すこともある)が小さいほど、熱硬化性樹脂組成物を延伸して離型紙上に塗工することとなる。すなわち、樹脂フィルムの樹脂厚みは、クリアランスと、B/C比で決定することが出来る。またこのような機構から、樹脂フィルム厚みに対してクリアランスを大きく設定できるので、リバースロールコーター方式が本発明の目的に適した方式であるといえる。
本発明で用いる熱硬化性樹脂組成物は第1の粒子と第2の粒子を必須成分として含む。第1の粒子は樹脂フィルム厚みAμmに対して、0.8Aμm以下の体積平均粒径を有するため、大多数の第1の粒子が樹脂フィルム厚みAμmに比べて小さな粒径を持つのに対し、第2の粒子は樹脂フィルム厚みAμmに対して、A〜1.8Aμmの体積平均粒径を有するため、大多数の第2の粒子が、樹脂フィルム厚みAμmに比べて大きな粒径をもつ。そのため、第2の粒子をクリアランスに通過させるには、クリアランスを拡げることが好ましい。その理由は、クリアランスが小さすぎると、第2の粒子がクリアランスに引っかかり、フィルミング工程での第2の粒子の通過率(以降、単に「第2の粒子通過率」と記すこともある)が悪化する上、フィルムの長手方向にスジ状の欠点(以降、単に「スジ欠点」と記すこともある)が発生するからである。しかしながら、クリアランスを拡げると、Bロール上の樹脂厚みが厚くなるため、所定の厚みの樹脂を塗布するためには、B/C比を下げ、樹脂を延伸する必要がある。ところが、B/C比を一定値以上に下げ、延伸しすぎると、第2の粒子が起点となり発生する斑点状の樹脂欠損部により、樹脂フィルムの熱硬化性樹脂組成物の被覆率(以降、単に「樹脂被覆率」と記すこともある)が低下し、品位が悪化することになる。
そのため、品位、工程通過性に優れた樹脂フィルムを得るためには、まず樹脂フィルムの樹脂厚みを繊維目付、得られるプリプレグを硬化したときの特性から、適切に設定し、それを用いて製造される炭素繊維強化複合材料の層間の樹脂厚みを保持するために最適であり、かつクリアランスを通過するために最適である、第2の粒子の粒径を決定する必要がある。第2の粒子の粒径を決定することにより、第2の粒子が通過するために必要なクリアランスが決定するため、所定の厚みの樹脂フィルムを得るためのB/C比が決定する。
本発明は、以上を踏まえて鋭意検討した結果、優れた耐衝撃性と層間靭性と層間剪断強度とを兼ね備えた炭素繊維強化複合材料を提供するために必要な、品位、工程通過性、成形加工性に優れた、プリプレグの製造に好適な樹脂フィルムの製造方法および欠点の少ない樹脂フィルムを想到したものである。
なお、第2の粒子通過率とは、樹脂フィルム上の熱硬化性樹脂組成物を10g採取し、第1の粒子および第2の粒子以外の熱硬化性樹脂組成物の成分が可溶な溶剤を用いて、第1の粒子および第2の粒子のみを採取し、乾燥して得られた質量をW1とし、熱硬化性樹脂組成物10g中に含まれる第1の粒子の理論質量をW2、第2の粒子の理論質量をW3とした際に、(W1−W2)/W3×100(%)からなる計算式により求めることが出来る。
また、スジ欠点とは、熱硬化性樹脂組成物が幅30cm以上の離型紙の長手方向に連続的にコーティングされていない塗工ムラを指し、その長さが10m以上で、かつ幅が1.0mm以上のものを指す。スジ欠点数は、当該スジ欠点の個数を長手方向100mに亘って数え、当該個数を、樹脂フィルムの幅方向1m当りの本数に換算して求めることが出来る。
また、樹脂被覆率とは、樹脂フィルムを倍率50倍に拡大して検鏡し、10mm×10mmを単位面積とする樹脂フィルムの検鏡範囲において、熱硬化性樹脂組成物が離型紙を被覆していない面積を測定し、これと単位面積との比をとって求めることが出来る。
本発明の製造方法で得られる樹脂フィルムの樹脂厚みAμmは、50μm以下であることが好ましい。樹脂フィルムの樹脂厚みAμmを50μm以下とすることで、炭素繊維強化複合材料とした際の繊維含有率の低下を防ぐことが出来るため、引張強度や圧縮強度の低下を防ぐことが出来る。
なお、ここでいう樹脂フィルムの樹脂厚みAμmは、樹脂を離型紙上に塗工した樹脂フィルムの状態にて、当該樹脂のガラス転移点以下に温度を低下させ、ガラス状態とし、マイクロメーターにより測定した樹脂フィルムの厚みの平均値(N=10)と、予め測定した離型紙の厚みの平均値(N=10)の差により求める値である。
優れた耐衝撃性を得るために、本発明の製造方法で得られる樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂からなる第1の粒子を含有することを必須とし、その配合量は、該熱硬化性樹脂組成物中に20〜50質量%である。第1の粒子を20質量%以上とすることで、十分な耐衝撃性が得られる。また50質量%以下とすることで、第1の粒子が炭素繊維に接触する面積が実質的に大きくなることによる界面の接着性の低下を抑制し、耐衝撃性や層間剪断強度の低下を防ぐことが出来る。
また、当該第1の粒子は、樹脂フィルムの樹脂厚みAμmに対して、体積平均粒径が0.8Aμm以下であることを必須とする。第1の粒子は、熱硬化性樹脂組成物に対する配合量が20〜50質量%と多いため、体積平均粒径を0.8Aμm以下と樹脂フィルムの厚みより小さくすることで、クリアランス間に引っかかる第1の粒子を抑制し、スジ欠点を抑えることができるため、加工性や品位の悪化を防ぐことが出来る。
本発明で用いる第2の粒子は、樹脂フィルムの樹脂厚みAμmに対して、A〜1.8Aμmの体積平均粒径であることを必須とする。
用いられる第2の粒子の体積平均粒径を1.8Aμm以下とすることで、第2の粒子がクリアランス間に引っかかり発生する、第2の粒子通過率の悪化やスジ欠点の発生を抑制し、加工性や品位の悪化を防ぐことが出来る。一方で、第2の粒子の体積平均粒径をAμm以上とすることで、当該樹脂フィルムを用いて製造される炭素繊維強化複合材料の層間の樹脂層の厚みを十分に確保出来るため、良好な層間靭性と層間剪断強度を得ることが出来る。層間靭性と層間剪断強度とフィルミング工程での工程通過性・品位をいずれも良好に維持するためには、第2の粒子の体積平均粒径が1.2A〜1.6Aμmであることが好ましい。
さらに、上記の第2の粒子は、樹脂フィルムの樹脂厚みAμmに対して、2Aμmを超える粗大粒子の含有量が2質量%以下であることを必須とする。2Aμmを超える粒子含有量が2質量%以下とすることで、同様に、第2の粒子がクリアランス間に引っかかり発生する、第2の粒子通過率の悪化やスジ欠点の発生を抑制し、加工性や品位の悪化を防ぐことが出来る。
なお、ここでいう第1の粒子および第2の粒子の体積平均粒径は、市販の界面活性剤を添加した水溶液等に第1の粒子または第2の粒子を分散させ、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(例えばLA−920:HORIBA製など)を用いて測定を行うことで得られた粒度の積算頻度が50%となるときの粒径を読み取って求めることが出来る。第2の粒子の粗大粒子(>2Aμm)の含有率は、同様に測定して得られた粒度の、2Aμm以上の粒径の粒度の積算頻度を読み取って求めることが出来る。
また、良好な第2の粒子通過率を得るためには、第2の粒子の粒径だけでなく、B/C比を適切に制御する必要がある。
すなわち、本発明の製造方法で得られる樹脂フィルムは熱硬化性樹脂組成物をB/C比が0.5〜0.9となるように離型紙上に塗工して製造される。
通常、所定の厚みの樹脂フィルムを得るためには、B/C比がより小さい方が、クリアランスが拡がるため、クリアランス間に第2の粒子を通過させるには有利である。一方でB/C比を一定値以上に下げ、延伸しすぎると、第2の粒子が起点となり発生する斑点状の樹脂欠損部により、樹脂被覆率が低下し、品位が低下する上、層間靭性や層間剪断強度、耐衝撃性が低下するため好ましくないが、B/C比を0.5以上とすることで、第2の粒子が起点となり発生する斑点状の樹脂欠損部の発生を防ぐことが出来る。また、B/C比を0.9以下とすることで、第2の粒子がクリアランス間に引っかかり発生する、第2の粒子通過率の悪化やスジ欠点の発生を抑制し、加工性や品位の悪化を防ぐことが出来る。フィルミング工程での工程通過性・品位を両方得るためには、B/C比が0.6〜0.8であることが好ましい。
また、本発明で用いる第2の粒子は、該熱硬化性樹脂組成物中に1〜5質量%であることを必須とする。1質量%以上とすることで、炭素繊維複合材料とした際に、層間の樹脂層の厚みを十分に確保出来るため、良好な層間靭性と層間剪断強度を得ることが出来る。一方で、5質量%以下とすることで、第2の粒子がクリアランス間に引っかかる確率を減少させ、第2の粒子通過率の悪化やスジ欠点の発生を抑制し、加工性や品位の悪化を防ぐことが出来る。また、第2の粒子を熱硬化性樹脂組成物に配合しすぎると、第2の粒子が炭素繊維と熱硬化性樹脂組成物との界面に入り込んで炭素繊維の配列を乱すことにより、界面の接着性が低下し、耐衝撃性や層間剪断強度が悪化する懸念があるが、5質量%以下であれば、それらが悪化することを防ぐことが出来る。
本発明の樹脂フィルムは、10〜100g/mの目付で、樹脂フィルムの幅が30cm以上であり、該樹脂フィルムの樹脂被覆率が85%以上であり、かつ、スジ欠点がフィルムの幅方向1m、および長手方向100mあたり5本以下である熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂フィルムである。かかる樹脂フィルムは、上述の樹脂フィルムの製造方法を用いることにより好適に製造される。
樹脂フィルムの幅を30cm以上とすることで、生産性よく樹脂フィルム、プリプレグや複合材料性成形体を得ることが出来る。好ましい樹脂フィルムの幅は、50cm以上であり2m以下である。
積層時のハンドリング性を得るために、本発明の樹脂フィルムに用いられる熱硬化性樹脂組成物は、80℃における、貯蔵弾性率G’が10〜200Paであることが好ましく、より好ましくは40〜170Paである。80℃における、貯蔵弾性率が10Pa以上とすることで、樹脂フィルムのタックが過剰となることによる積層時の取り扱い性の悪化することを防ぐことができる。一方、80℃における、貯蔵弾性率が200Pa以下とすることで、タックが低く、樹脂フィルムを積層し難くなることを防ぐことができる。
なお、ここでいう80℃における貯蔵弾性率G’は、動的粘弾性測定装置(例えば、レオメーターRDA2:レオメトリックス社製など)を用い、パラレルプレートを用い、50℃より昇温速度2℃/minで単純昇温し、歪み100%、周波数0.5Hz、プレート間隔1mmで測定を行うことで得られる粘弾性曲線より、80℃での貯蔵弾性率G’を読みとったものをいう。
本発明の樹脂フィルムに用いる熱硬化性樹脂組成物としては、耐熱性、力学特性および炭素繊維との接着性のバランスに優れているエポキシ樹脂が好ましく用いられ、特に、アミン類、フェノール類、炭素・炭素二重結合を有する化合物を前駆体とするエポキシ樹脂を用いることが好ましい。また、これらの熱硬化性エポキシ樹脂は、加熱により自己硬化するものであっても良いし、硬化剤や硬化促進剤などを配合するものであっても良い。
アミン類を前駆体とするエポキシ樹脂として、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン類、アミノフェノールのグリシジル化合物類、グリシジルアニリン類、キシレンジアミンのグリシジル化合物などが挙げられる。テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン類は航空機構造材としての複合材料用樹脂として耐熱性に優れるため好ましい。
フェノール類を前駆体とするエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂が挙げられる。特に、2官能ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、高温側の粘度の低下率が比較的高いため、本発明でより好ましく用いることが出来る。
炭素・炭素二重結合を有する化合物を前駆体とするエポキシ樹脂としては、多環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂は、単独で用いても良いし、適宜配合して用いてもよい。グリシジルアミン型エポキシ樹脂と2官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の組み合わせは、耐熱性、耐水性および作業性を併せ持つために特に好ましい。
本発明の樹脂フィルムに用いる熱硬化性樹脂組成物の硬化剤としては、エポキシ樹脂の硬化剤としては、エポキシ基と反応し得る活性基を有する化合物であればこれを用いることができる。硬化剤としては、芳香族アミン類、ジシアンジアミド、二塩基酸ジヒドラジドの単体または、混合系を挙げることができる。芳香族アミン類としては、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、メタキシレンジアミンなどが挙げられる。
これらの硬化剤は、単独で用いても良いし、適宜配合して用いてもよい。芳香族アミン類は、樹脂硬化物に耐熱性を付与することが出来るために特に好ましい。添加量は、エポキシ樹脂のエポキシ基と芳香族アミン類の活性水素の化学量論において対エポキシ0.7〜1.2等量となるように添加することが耐熱性付与の面から好ましい。
本発明の樹脂フィルムに用いる熱硬化性樹脂組成物には、エポキシ樹脂以外の液状熱硬化性樹脂、硬化促進剤、難燃剤、シランカップリング剤、可溶性熱可塑性樹脂、ゴム粒子を1種または2種以上含有させることが出来る。熱硬化性樹脂組成物の粘度制御の面からは可溶性熱可塑性樹脂をより好ましく用いることが出来る。
エポキシ樹脂以外の液状熱硬化性樹脂としては、シアネートエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂などが使用できる。
可溶性熱可塑性樹脂とは、当該樹脂以外の樹脂を配合するときに、通常温度を常温より高く設定して混練処理した際に、当該樹脂以外の樹脂に対してマクロ的に均一に混合される熱可塑性樹脂を指し、常温に戻したときに微細な相に分離するもの、均一相を保つものを含み、具体的には、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルスルホン、ボリビニルホルマール、ポリメタクリル酸メチルなどが好ましく用いられる。
ゴム粒子としては、架橋ゴム粒子、及び架橋ゴム粒子の表面に異種ポリマーをグラフト重合したコアシェルゴム粒子が挙げられる。
本発明の樹脂フィルムに用いる熱硬化性樹脂組成物の必須成分である、熱可塑性樹脂からなる第1の粒子としては、粒子が少なくとも部分的に熱硬化性樹脂組成物に対して不溶であることが必要で、実質的に不溶であることが好ましい。これらの粒子の例としては、アクリル系粒子やポリアミド系粒子、ポリイミド系粒子、ポリエーテルイミド系粒子が好ましく用いられる。なかでも、優れた靭性のため耐衝撃性を大きく向上できる、ポリアミドは最も好ましい。ポリアミドの中でも、ナイロン12、ナイロン11、ナイロン6やナイロン6/12共重合体や特開平01−104624号公報の実施例1記載のエポキシ化合物にてセミIPN(高分子相互侵入網目構造)化されたナイロン(セミIPNナイロン)は、熱硬化性エポキシ樹脂との接着強度が特に良好であることから、落錘衝撃時の炭素繊維強化複合材料の層間剥離強度が高く、耐衝撃性の向上効果が高いため好ましい。
本発明の樹脂フィルムに用いる熱硬化性樹脂組成物の必須成分である、第2の粒子は、粒子が少なくとも部分的に熱硬化性樹脂組成物に対して不溶であることが必要で、実質的に不溶であることが好ましい。これらの粒子の例としては、ゴム粒子、熱可塑性粒子、無機粒子、金属粒子など、任意の粒子を用いることが出来るが、前記の熱可塑性樹脂からなる第1の粒子と同じ材質のものを用いることで、耐衝撃性を高次元で維持出来るため、好ましく用いられる。また、フィルミング工程の通過性の悪化や樹脂フィルムの品位の悪化を防ぐことが出来るため、球状の粒子が好ましく用いられる。
第2の粒子の材料としては、アクリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアラミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリエチレンジオキシチオフェン、カーボン、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、三酸化タングステン、五酸化バナジウム、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、各種金属微粒子などが例示される。また、これらの粒子は、任意の材料を組み合わせてもよい。例えば、無機材料や有機材料の核が金属材料で被覆されてなる粒子などが例示される。
所定の粒径の第1の粒子または第2の粒子を得るために、必要に応じて乾式分級装置(例えば、TPPSセパレーター(ホソカワミクロン(株)製))等を用いて分級を行っても良い。
また、本発明に用いる第1の粒子および第2の粒子は、通常の混合操作によって熱硬化性樹脂組成物に分散させることが出来る。
さらに、シート状に引き揃えた炭素繊維に熱硬化性樹脂組成物を含浸して得られる一次プリプレグの両面に、上述の樹脂フィルムの熱硬化性樹脂組成物をさらに貼着して、二次プリプレグを得ることができる。
一次プリプレグに含浸する熱硬化性樹脂組成物は、熱可塑樹脂からなる第1の粒子や第2の粒子が含まれていないことが好ましい。なぜならば、熱硬化性樹脂組成物に熱可塑樹脂からなる第1の粒子や第2の粒子を含有させると粘度が上昇し、含浸が困難になるからである。また、含浸させようと含浸温度や含浸圧力を上げると、プリプレグのライフの悪化や、粒子が炭素繊維と熱硬化性樹脂組成物との界面に入り込み炭素繊維の配列を乱すことにより界面の接着性が低下し、耐衝撃性や層間剪断強度の低下が起こるため好ましくない。また、一次プリプレグと樹脂フィルムの接着性を向上させる観点から、一次プリプレグに含浸する熱硬化性樹脂組成物は、樹脂フィルムの熱硬化性樹脂組成物と同一の樹脂、硬化剤、硬化促進剤、難燃剤、シランカップリング剤および可溶性熱可塑性樹脂を用いることが更に好ましい。
また、樹脂フィルムの熱硬化性樹脂組成物は、プリプレグの両面から含浸することが好ましい。なぜならば、プリプレグの片面のみに含浸した場合、一次プリプレグの面と二次プリプレグの面が出来るが、それぞれの面の熱硬化性樹脂組成物の樹脂組成が異なることにより、タックが異なるため、取り扱いが困難となるが、その現象を防ぐことが出来るからである。
本発明の二次プリプレグは、それらを複数枚積層した後、加熱成形することで、炭素繊維複合材料を得ることが出来る。この際必要に応じて成形体外部を加圧して、内部を脱気、真空化しても良い。具体的に加圧・加熱を付与する方法としては、プレス成形法、オートクレーブ成形法、真空成形法、ラッピングテープ法および内圧成形法等が採用され、特にオートクレーブ成形法が好ましく用いられる。本発明の二次プリプレグは、含浸性が特に優れており、ボイドの少ない炭素繊維強化複合材料を得ることができる。当該炭素繊維複合材料のボイド率は1.0%以下であることが好ましい。
なお、ボイド率は、炭素繊維複合材料の研磨された横断面を倍率100倍に拡大して検鏡し、3mm×3mmを単位面積とする検鏡範囲において、炭素繊維層内のボイドの面積を測定し、これと単位面積との比をとって求められるものである。
本発明で用いられる炭素繊維は、より高い剛性を得るために、少なくとも260GPaの引張弾性率を有する炭素繊維であることが好ましいが、良好な耐衝撃性を得るためには、高くとも440GPa以下の引張弾性率を有する炭素繊維であることが好ましい。かかる観点から、引張弾性率が280〜400GPaの範囲が剛性と耐衝撃性とを高い次元で両立可能なことから特に好ましい。
また耐衝撃性に優れ、高い剛性および機械強度を有する複合材料が得られることから、引張強度が4.4〜7.0GPaであり、引張伸度が1.7〜2.4%の高強度高伸度炭素繊維であることが好ましい。
なお、引張弾性率、引張強度および引張伸度は、JIS R7601−1986に記載されるストランド引張試験により測定することができる。
本発明で得られる炭素繊維強化複合材料は、0°引張強度が2900MPa以上、0°圧縮強度が1400MPa以上、衝撃後圧縮強度が270MPa以上、層間靭性(GIIc)が2700J/m以上、層間剪断強度が90MPa以上であることが好ましい。
なお、本明細書に示す0°引張強度は、SACMA SRM 4R−94に記載される引張試験により測定する。また、本明細書に示す0°圧縮強度は、SACMA SRM 1R−94に記載される圧縮試験により測定する。また、本明細書に示す耐衝撃性は、SACMA SRM 2R−94に従い、サンプルの中心部に6.7J/mmの落錘衝撃を与えた後の、衝撃後圧縮試験により測定する。また、本明細書に示す層間靭性(GIIc)は、JIS K 7086−1993に記載される3点曲げ試験により測定する。また、本明細書に示す層間剪断強度は、SACMA SRM 8R−94に記載される3点曲げ試験により測定する。
本発明の炭素繊維強化複合材料は、強度、剛性、耐衝撃性等に優れていることから航空宇宙用途、一般産業用途等に広く用いられる。より具体的には、航空宇宙用途では、主翼、尾翼、胴体材およびフロアビーム等の航空機一次構造部材用途、フラップ、エルロン、カウル、フェアリングおよび内装材等の航空機二次構造部材用途、ロケットモーターケースおよび人工衛星構造材用途等に好ましく用いられる。このような航空宇宙用途の中でも、特に耐衝撃性、層間靭性および層間剪段強度が必要な航空機一次構造材用途、特に胴体スキン、主翼スキン、および尾翼スキンにおいて、本発明による炭素繊維強化複合材料が特に好ましく用いられる。また、一般産業用途では、自動車、船舶および鉄道車両等の移動体の構造材、ドライブシャフト、板バネ、風車の羽根、圧力容器、フライホイール、製紙用ローラ、屋根材、ケーブル、補強筋、ICトレイやノートパソコンの筐体(ハウジング)などのコンピュータ用途および補修補強材料等の土木・建築材料用途等に好ましく用いられる。これらの中でも、自動車外板、船舶外板、鉄道外板、風車の羽根、およびノートパソコンの筐体(ハウジング)において、本発明による炭素繊維強化複合材料が特に好ましく用いられる。
以下、実施例により、本発明について、さらに具体的に説明する。各実施例の樹脂フィルムおよび二次プリプレグを得るために、下記の原料を用いた。
<熱硬化性樹脂>
・テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、“スミエポキシ(登録商標)”ELM434(住友化学(株)製)
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂、“jER(登録商標)”828(三菱化学(株)製)
・ポリエーテルスルホン、“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P(住友化学(株)製)
・4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(三井化学ファイン(株)製)。
<第1の粒子:熱可塑性樹脂粒子>
・下記の製造方法で得られたエポキシ変性ナイロン粒子
透明ポリアミド(商品名“グリルアミド(登録商標)”−TR55、エムザベルケ社製)90質量部、エポキシ樹脂(商品名“エピコート(登録商標)”828、油化シェル(株)社製)7.5質量部および硬化剤(商品名“トーマイド(登録商標)”#296、富士化成工業(株)社製)2.5質量部を、クロロホルム300質量部とメタノール100質量部の混合溶媒中に添加して均一溶液を得た。次に、得られた均一溶液を塗装用のスプレーガンを用いて霧状にして、良く撹拌して3000質量部のn−ヘキサンの液面に向かって吹き付けて溶質を析出させた。析出した固体を濾別し、n−ヘキサンで良く洗浄した後に、100℃の温度で24時間の真空乾燥を行い、真球状のエポキシ変性ナイロン粒子を得た。特記したもの以外は、体積平均粒径が13μmのエポキシ変性ナイロン粒子を用いた。
<第2の粒子>
・第1の粒子と同一のエポキシ変性ナイロン粒子
所定の粒度の粒子を得るために、TTPSセパレーター(ホソカワミクロン(株)製)を用いて乾式分級を行った。また分級後、所定の目開きのメッシュを設置した振動篩機(KF−1000−3D:興和工業所製)を用いて、さらに分級を行うことで、所定の粒度の上限値制御を行った。
<炭素繊維>
特記したもの以外は、“トレカ(登録商標)”T800SC−24K(繊維数24,000本、引張強度5.9GPa、引張弾性率290GPa、引張伸度2.0%、東レ(株)製)を使用した。
次に、各実施例の樹脂フィルムおよび二次プリプレグは下記のように製造した。
<樹脂フィルム1>
熱硬化性樹脂組成物の原料として、ELM434を63質量%、“jER828(登録商標)”を7質量%、4,4’−DDSを25質量%、PES5003Pを5質量%用いた。これらの原料をニーダーで混練後、得られた熱硬化性樹脂組成物を、リバースコーター方式の樹脂コーティング装置を用いて、シリコーンを塗布した離型紙上に均一に塗工して、樹脂目付36.5g/m、幅1mの樹脂フィルム1とした。本発明の実施例および比較例では、共通の熱硬化性樹脂組成物を用いて製造した樹脂フィルム1を用いた。
<樹脂フィルム2>
表1、表2に記載した熱硬化性樹脂組成物の原料をニーダーで混練後、混練して得られた熱硬化性樹脂組成物を、リバースロールコーター方式の樹脂コーティング装置を用いて、シリコーンを塗布した離型紙上に均一に塗工して、樹脂目付29.0g/m、幅1mの樹脂フィルム2とした。本発明の実施例および比較例では、樹脂フィルム2を単に「樹脂フィルム」と記す。
<二次プリプレグ>
樹脂フィルム1の間に均一に引き揃えた炭素繊維(特記したもの以外は、“トレカ(登録商標)”T800SC−24K)を挟み込み、プレスロールを用いて加熱、加圧して、炭素繊維に樹脂フィルム1の熱硬化性樹脂組成物が含浸した一次プリプレグを得た(炭素繊維目付268g/m、樹脂含有率21質量%)。当該プリプレグは熱硬化性樹脂組成物を含浸した後、両方の離型紙を剥離した。次に、当該プリプレグの両面に、樹脂フィルム2を挟み込み、樹脂フィルム2の熱硬化性樹脂組成物をさらに加熱、加圧して貼着し、両方の離型紙を剥離して、二次プリプレグを得た(炭素繊維目付268g/m、樹脂含有率33質量%)。
樹脂フィルム2のハンドリングタックは、フラットなアルミ板に離型紙面を両面テープで貼り付けた樹脂フィルムの表面に、18mm×18mmのガラスを0.98Nの荷重で3秒間押しつけた後、30mm/分の速度で引き上げるときの力を測定した。測定環境は24℃、50RH%であった。
(実施例1)
樹脂フィルムを作製するため、熱硬化性樹脂組成物として、ELM434を40質量%、“jER(登録商標)”828を5質量%、4,4’−DDSを15質量%、PES5003Pを5質量%、第1の粒子としてエポキシ変性ナイロン粒子を33質量%、第2の粒子としてエポキシ変性ナイロン粒子を2.2質量%用いた。第2の粒子は体積平均粒径が36μm(1.44Aμm)で、粗大粒子(>2Aμm)の含有率が0.2質量%のものを用いた。当該熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂フィルム厚みAμmが25μmである樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムを作製する際のB/C比は、0.70とした。
得られた樹脂フィルムの品位は、スジ欠点数が0本、樹脂被覆率が100%、第2の粒子通過率が100%といずれも良好であった。
また、当該樹脂フィルムに用いた熱硬化性樹脂組成物の80℃における貯蔵弾性率G’は52Paであり、ハンドリングタックは3.4Nと良好であり、二次プリプレグの積層性は良好であった。
また、前述の方法で作製した炭素繊維強化複合材料の耐衝撃性は335MPa、層間靭性は3200J/m、層間剪断強度は108MPaといずれも良好であった。なお、本実施例における炭素繊維強化複合材料の0°引張強度は3200MPa、0°引張弾性率は157GPa、0°圧縮強度は1700MPaであった。
(実施例2)
実施例1と同様の原料を同様の配合比で熱硬化性樹脂組成物に用いた。第2の粒子は体積平均粒径が56μm(1.22Aμm)で、粗大粒子(>2Aμm)の含有率が0.0質量%のものを用いた。当該熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂フィルム厚みAμmが46μmである樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムを作製する際のB/C比は、0.70とした。
得られた樹脂フィルムの品位は、スジ欠点数が0本、樹脂被覆率が100%、第2の粒子通過率が100%といずれも良好であった。
また、当該樹脂フィルムに用いた熱硬化性樹脂組成物の80℃における貯蔵弾性率G’は51Paであり、ハンドリングタックは3.4Nと良好であり、二次プリプレグの積層性は良好であった。
また、前述の方法で作製した炭素繊維強化複合材料の耐衝撃性は284MPaと、樹脂フィルムの厚みが厚く、繊維含有率が低下したため、若干悪化したものの、良好であった。層間靭性は3370J/m、層間剪断強度は114MPaといずれも良好であった。
(実施例3)
実施例1と同様の原料を同様の配合比で熱硬化性樹脂組成物に用いた。第2の粒子は体積平均粒径が26μm(1.04Aμm)で、粗大粒子(>2Aμm)の含有率が0.8質量%のものを用いた。当該熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂フィルム厚みAμmが25μmである樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムを作製する際のB/C比は、0.70とした。
得られた樹脂フィルムの品位は、スジ欠点数が0本、樹脂被覆率が100%、第2の粒子通過率が100%といずれも良好であった。
また、当該樹脂フィルムに用いた熱硬化性樹脂組成物の80℃における貯蔵弾性率G’は48Paであり、ハンドリングタックは3.5Nと良好であり、二次プリプレグの積層性は良好であった。
また、前述の方法で作製した炭素繊維強化複合材料の耐衝撃性は331MPaと良好であった。層間靭性は2850J/m、層間剪断強度は94MPaと、第2の粒子の体積平均粒径が小さく層間の樹脂層の厚みが若干薄くなったため、若干悪化したものの、いずれも良好であった。
(実施例4)
実施例1と同様の原料を同様の配合比で熱硬化性樹脂組成物に用いた。第2の粒子は体積平均粒径が44μm(1.76Aμm)で、粗大粒子(>2Aμm)の含有率が1.8質量%のものを用いた。当該熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂フィルム厚みAμmが25μmである樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムを作製する際のB/C比は、0.70とした。
得られた樹脂フィルムの品位は、樹脂被覆率が100%と良好であり、スジ欠点数が3本、第2の粒子通過率は92%と若干悪化したものの、良好といえるレベルであった。
また、当該樹脂フィルムに用いた熱硬化性樹脂組成物の80℃における貯蔵弾性率G’は55Paであり、ハンドリングタックは3.5Nと良好であり、二次プリプレグの積層性は良好であった。
また、前述の方法で作製した炭素繊維強化複合材料の耐衝撃性は315MPa、層間靭性は3180J/m、層間剪断強度は108MPaといずれも良好であった。
(実施例5)
実施例1と同様の原料を同様の配合比で熱硬化性樹脂組成物に用いた。第2の粒子は体積平均粒径が36μm(1.44Aμm)で、粗大粒子(>2Aμm)の含有率が0.2質量%のものを用いた。当該熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂フィルム厚みAμmが25μmである樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムを作製する際のB/C比は、0.52とした。
得られた樹脂フィルムの品位は、スジ欠点数が0本、第2の粒子通過率は100%と良好であり、樹脂被覆率が90%と若干悪化したものの、良好といえるレベルであった。
また、当該樹脂フィルムに用いた熱硬化性樹脂組成物の80℃における貯蔵弾性率G’は52Paであり、ハンドリングタックは3.4Nと良好であり、二次プリプレグの積層性は良好であった。
また、前述の方法で作製した炭素繊維強化複合材料の耐衝撃性は310MPa、層間靭性は3050J/m、層間剪断強度は100MPaといずれも良好であった。
(実施例6)
実施例1と同様の原料を同様の配合比で熱硬化性樹脂組成物に用いた。第2の粒子は体積平均粒径が36μm(1.44Aμm)で、粗大粒子(>2Aμm)の含有率が0.2質量%のものを用いた。当該熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂フィルム厚みAμmが25μmである樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムを作製する際のB/C比は、0.85とした。
得られた樹脂フィルムの品位は、樹脂被覆率が100%と良好であり、スジ欠点数が4本、第2の粒子通過率は89%と若干悪化したものの、良好といえるレベルであった。
また、当該樹脂フィルムに用いた熱硬化性樹脂組成物の80℃における貯蔵弾性率G’は52Paであり、ハンドリングタックは3.4Nと良好であり、二次プリプレグの積層性は良好であった。
また、前述の方法で作製した炭素繊維強化複合材料の耐衝撃性は311MPa、層間靭性は3120J/m、層間剪断強度は103MPaといずれも良好であった。
(実施例7)
樹脂フィルムを作製するため、熱硬化性樹脂組成物として、ELM434を41質量%、“jER(登録商標)”828を4質量%、4,4’−DDSを14質量%、PES5003Pを5質量%、第1の粒子としてエポキシ変性ナイロン粒子を32質量%、第2の粒子としてエポキシ変性ナイロン粒子を4.4質量%用いた。第2の粒子は体積平均粒径が36μm(1.44Aμm)で、粗大粒子(>2Aμm)の含有率が0.2質量%のものを用いた。当該熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂フィルム厚みAμmが25μmである樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムを作製する際のB/C比は、0.70とした。
得られた樹脂フィルムの品位は、スジ欠点数が2本、樹脂被覆率が100%と良好であり、第2の粒子通過率は97%と若干悪化したものの、良好といえるレベルであった。
また、当該樹脂フィルムに用いた熱硬化性樹脂組成物の80℃における貯蔵弾性率G’は115Paであり、ハンドリングタックは2.7Nと良好であり、二次プリプレグの積層性は良好であった。
また、前述の方法で作製した炭素繊維強化複合材料の耐衝撃性は299MPa、層間靭性は3220J/mと良好であった。第2の粒子の配合量が多く、第2の粒子が炭素繊維と熱硬化性樹脂組成物との界面に入り込んで炭素繊維の配列を乱すことにより、界面の接着性が若干低下し、層間剪断強度は99MPaと若干悪化したものの、良好といえるレベルであった。
(実施例8)
樹脂フィルムを作製するため、熱硬化性樹脂組成物として、ELM434を41質量%、“jER(登録商標)”828を6質量%、4,4’−DDSを15質量%、PES5003Pを5質量%、第1の粒子としてエポキシ変性ナイロン粒子を32質量%、第2の粒子としてエポキシ変性ナイロン粒子を1.0質量%用いた。第2の粒子は体積平均粒径が36μm(1.44Aμm)で、粗大粒子(>2Aμm)の含有率が0.2質量%のものを用いた。当該熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂フィルム厚みAμmが25μmである樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムを作製する際のB/C比は、0.70とした。
得られた樹脂フィルムの品位は、スジ欠点数が0本、樹脂被覆率が100%、第2の粒子通過率が100%といずれも良好であった。
また、当該樹脂フィルムに用いた熱硬化性樹脂組成物の80℃における貯蔵弾性率G’は21Paであり、ハンドリングタックは3.9Nと若干べた付いて、二次プリプレグの積層の際に貼り直し作業性が若干悪化したが、積層性は良好といえるレベルであった。
また、前述の方法で作製した炭素繊維強化複合材料の耐衝撃性は329MPaと良好であった。第2の粒子の含有量が少なく、層間の樹脂層の厚みが薄くなったため、層間靭性は2800J/m、層間剪断強度は93MPaと若干悪化したものの、良好といえるレベルであった。
(実施例9)
樹脂フィルムを作製するため、熱硬化性樹脂組成物として、ELM434を38質量%、“jER(登録商標)”828を4質量%、4,4’−DDSを14質量%、PES5003Pを13質量%、第1の粒子としてエポキシ変性ナイロン粒子を29質量%、第2の粒子としてエポキシ変性ナイロン粒子を2.1質量%用いた。第2の粒子は体積平均粒径が36μm(1.44Aμm)で、粗大粒子(>2Aμm)の含有率が0.2質量%のものを用いた。当該熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂フィルム厚みAμmが25μmである樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムを作製する際のB/C比は、0.70とした。
得られた樹脂フィルムの品位は、スジ欠点数が0本、樹脂被覆率が100%、第2の粒子通過率が100%といずれも良好であった。
また、当該樹脂フィルムに用いた熱硬化性樹脂組成物の80℃における貯蔵弾性率G’は192Paであり、ハンドリングタックは2.0Nと若干べた付きが少なく、二次プリプレグの積層の際に貼り付き難く、作業性が若干悪化したが、積層性は良好といえるレベルであった。
また、前述の方法で作製した炭素繊維強化複合材料の耐衝撃性は331MPa、層間靭性は3190J/m、層間剪断強度は107MPaといずれも良好であった。
(実施例10)
一次プリプレグに用いる炭素繊維として“トレカ(登録商標)”T300−12K(繊維数12,000本、引張強度3.5GPa、引張弾性率230GPa、引張伸度1.5%、東レ(株)製)を使用した。
実施例1と同様の原料を同様の配合比で熱硬化性樹脂組成物に用いた。第2の粒子は体積平均粒径が36μm(1.44Aμm)で、粗大粒子(>2Aμm)の含有率が0.2質量%のものを用いた。当該熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂フィルム厚みAμmが25μmである樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムを作製する際のB/C比は、0.70とした。
得られた樹脂フィルムの品位は、スジ欠点数が0本、樹脂被覆率が100%、第2の粒子通過率が100%といずれも良好であった。
また、当該樹脂フィルムに用いた熱硬化性樹脂組成物の80℃における貯蔵弾性率G’は52Paであり、ハンドリングタックは3.4Nと良好であり、二次プリプレグの積層性は良好であった。
また、前述の方法で作製した炭素繊維強化複合材料の層間靭性は3140J/m、層間剪断強度は104MPaといずれも良好であったものの、耐衝撃性は275MPaと若干悪化した。本実施例における炭素繊維強化複合材料の0°引張強度は1700MPa、0°引張弾性率は135GPa、0°圧縮強度は1600MPaであった。
(比較例1)
実施例1と同様の原料を同様の配合比で熱硬化性樹脂組成物に用いた。第1の粒子は体積平均粒径が24μm(0.96Aμm)のものを用いた。第2の粒子は体積平均粒径が36μm(1.44Aμm)で、粗大粒子(>2Aμm)の含有率が0.2質量%のものを用いた。当該熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂フィルム厚みAμmが25μmである樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムを作製する際のB/C比は、0.70とした。
第1の粒子の粒径が大きく、第1の粒子がリバースロールコーター装置のロール間に引っかかる確率が上がったため、得られた樹脂フィルムのスジ欠点数は7本とスジ欠点が多発し、品位が極端に悪化したため、良好な樹脂フィルムが得られなかった。
(比較例2)
実施例1と同様の原料を同様の配合比で熱硬化性樹脂組成物に用いた。第2の粒子は体積平均粒径が23μm(0.92Aμm)で、粗大粒子(>2Aμm)の含有率が0.0質量%のものを用いた。当該熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂フィルム厚みAμmが25μmである樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムを作製する際のB/C比は、0.70とした。
得られた樹脂フィルムの品位は、スジ欠点数が0本、樹脂被覆率が100%、第2の粒子通過率は100%といずれも良好であった。
また、当該樹脂フィルムに用いた熱硬化性樹脂組成物の80℃における貯蔵弾性率G’は50Paであり、ハンドリングタックは3.3Nと良好であり、二次プリプレグの積層性は良好であった。
また、前述の方法で作製した炭素繊維強化複合材料の耐衝撃性は310MPaと良好であった。層間靭性は2680J/m、層間剪断強度は89MPaと樹脂フィルムの厚みが薄く、層間の樹脂層の厚みを維持できなくなったため、極端に悪化した。
(比較例3)
実施例1と同様の原料を同様の配合比で熱硬化性樹脂組成物に用いた。第2の粒子は体積平均粒径が48μm(1.92Aμm)で、粗大粒子(>2Aμm)の含有率が0.6質量%のものを用いた。当該熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂フィルム厚みAμmが25μmである樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムを作製する際のB/C比は、0.70とした。
第2の粒子の粒径が樹脂フィルム厚みに対して大きいため、第2の粒子がリバースロールコーター装置のロール間を通過できずに、得られた樹脂フィルムのスジ欠点数は9本とスジ欠点が多発し、品位が極端に悪化した。また、第2の粒子通過率も80%と極端に悪化し、良好な樹脂フィルムが得られなかった。
(比較例4)
実施例1と同様の原料を同様の配合比で熱硬化性樹脂組成物に用いた。第2の粒子は体積平均粒径が35μm(1.40Aμm)で、粗大粒子(>2Aμm)の含有率が2.5質量%のものを用いた。当該熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂フィルム厚みAμmが25μmである樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムを作製する際のB/C比は、0.70とした。
第2の粒子の粗大粒子の量が多いため、第2の粒子がリバースロールコーター装置のロール間を通過できずに、得られた樹脂フィルムのスジ欠点数は7本とスジ欠点が多発し、品位が極端に悪化した。また、第2の粒子通過率も95%と悪化し、良好な樹脂フィルムが得られなかった。
(比較例5)
実施例1と同様の原料を同様の配合比で熱硬化性樹脂組成物に用いた。第2の粒子は体積平均粒径が36μm(1.44Aμm)で、粗大粒子(>2Aμm)の含有率が0.2質量%のものを用いた。当該熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂フィルム厚みAμmが25μmである樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムを作製する際のB/C比は、0.45とした。
得られた樹脂フィルムの品位は、スジ欠点数が0本、第2の粒子通過率は100%といずれも良好であったものの、B/C比が小さく、第2の粒子が起点となり発生する斑点状の樹脂ハゲにより、樹脂フィルムの樹脂被覆率が81%と大幅に低下し、品位が極端に悪化したため、良好な樹脂フィルムが得られなかった。
(比較例6)
実施例1と同様の原料を同様の配合比で熱硬化性樹脂組成物に用いた。第2の粒子は体積平均径が36μm(1.44Aμm)で、粗大粒子(>2Aμm)の含有率が0.2質量%のものを用いた。当該熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂フィルム厚みAμmが25μmである樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムを作製する際のB/C比は、0.95とした。
B/C比が大きく、第2の粒子の粒径に対してクリアランスが狭いため、第2の粒子がリバースロールコーター装置のロール間を通過できずに、得られた樹脂フィルムのスジ欠点数は9本とスジ欠点が多発し、品位が極端に悪化した。また、第2の粒子通過率も83%と悪化し、良好な樹脂フィルムが得られなかった。
(比較例7)
樹脂フィルムを作製するため、熱硬化性樹脂組成物として、ELM434を42質量%、“jER(登録商標)”828を5質量%、4,4’−DDSを15質量%、PES5003Pを3質量%、第1の粒子としてエポキシ変性ナイロン粒子を34質量%、第2の粒子としてエポキシ変性ナイロン粒子を0.8質量%用いた。第2の粒子は体積平均粒径が36μm(1.44Aμm)で、粗大粒子(>2Aμm)の含有率が0.2質量%のものを用いた。当該熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂フィルム厚みAμmが25μmである樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムを作製する際のB/C比は、0.70とした。
得られた樹脂フィルムの品位は、スジ欠点数が0本、樹脂被覆率が100%、第2の粒子通過率が100%といずれも良好であった。
また、当該樹脂フィルムに用いた熱硬化性樹脂組成物の80℃における貯蔵弾性率G’は41Paであり、ハンドリングタックは3.6Nと良好であり、二次プリプレグの積層性は良好であった。
また、前述の方法で作製した炭素繊維強化複合材料の耐衝撃性は308MPaと良好であったものの、第2の粒子の配合量が少なく、層間の樹脂層の厚みが薄くなったため、層間靭性は2690J/m、層間剪断強度は89MPaと極端に悪化した。
(比較例8)
樹脂フィルムを作製するため、熱硬化性樹脂組成物として、ELM434を41質量%、“jER(登録商標)”828を4質量%、4,4’−DDSを14質量%、PES5003Pを3質量%、第1の粒子としてエポキシ変性ナイロン粒子を32質量%、第2の粒子としてエポキシ変性ナイロン粒子を6.2質量%用いた。第2の粒子は体積平均粒径が36μm(1.44Aμm)で、粗大粒子(>2Aμm)の含有率が0.2質量%のものを用いた。当該熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂フィルム厚みAμmが25μmである樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムを作製する際のB/C比は、0.70とした。
第2の粒子の配合量が多く、第2の粒子がリバースロールコーター装置のロール間を通過できない個数が増えたため、得られた樹脂フィルムのスジ欠点数は7本とスジ欠点が多発し、品位が極端に悪化した。また、第2の粒子通過率も94%と悪化し、良好な樹脂フィルムが得られなかった。
(比較例9)
樹脂フィルムを作製するため、熱硬化性樹脂組成物として、ELM434を50質量%、“jER(登録商標)”828を6質量%、4,4’−DDSを18質量%、PES5003Pを8質量%、第1の粒子としてエポキシ変性ナイロン粒子を16質量%、第2の粒子としてエポキシ変性ナイロン粒子を2.2質量%用いた。第2の粒子は体積平均粒径が36μm(1.44Aμm)で、粗大粒子(>2Aμm)の含有率が0.2質量%のものを用いた。当該熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂フィルム厚みAμmが25μmである樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムを作製する際のB/C比は、0.70とした。
得られた樹脂フィルムの品位は、スジ欠点数が0本、樹脂被覆率が100%、第2の粒子通過率は100%といずれも良好であった。
また、当該樹脂フィルムに用いた熱硬化性樹脂組成物の80℃における貯蔵弾性率G’は31Paであり、ハンドリングタックは3.7Nと良好であり、二次プリプレグの積層性は良好であった。
前述の方法で作製した炭素繊維強化複合材料の層間靭性は2780J/m、層間剪断強度は93MPaと第1の粒子の配合量が少なく、層間の樹脂層の厚みが薄くなったため、若干悪化したものの、良好といえるレベルであった。耐衝撃性はエポキシ変性ナイロン粒子の配合量が少なく、251MPaと極端に悪化した。
(比較例10)
樹脂フィルムを作製するため、熱硬化性樹脂組成物として、ELM434を29質量%、“jER(登録商標)”828を3質量%、4,4’−DDSを11質量%、PES5003Pを1質量%、第1の粒子としてエポキシ変性ナイロン粒子を55質量%、第2の粒子としてエポキシ変性ナイロン粒子を1.9質量%用いた。第2の粒子は体積平均粒径が36μm(1.44Aμm)で、粗大粒子(>2Aμm)の含有率が0.2質量%のものを用いた。当該熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂フィルム厚みAμmが25μmである樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムを作製する際のB/C比は、0.70とした。
得られた樹脂フィルムの品位は、スジ欠点数が0本、樹脂被覆率が100%、第2の粒子通過率は100%といずれも良好であった。
また、当該樹脂フィルムに用いた熱硬化性樹脂組成物の80℃における貯蔵弾性率G’は188Paであり、ハンドリングタックは2.1Nとべた付きが少なく、二次プリプレグの積層の際に貼り付き難く、作業性が若干悪化したが、積層性は良好といえるレベルであった。
前述の方法で作製した炭素繊維強化複合材料の層間靭性は3160J/mと良好であったものの、エポキシ変性ナイロン粒子の配合量が多く、第1の粒子が炭素繊維に接触する面積が実質的に大きくなったことで界面の接着性が低下したため、層間剪断強度は89MPaと極端に悪化し、耐衝撃性は275MPaと若干悪化した。
本発明の樹脂フィルムおよびそれを用いた炭素繊維強化積層体は、優れた耐衝撃性と層間靭性と層間剪断強度とを兼ね備えた炭素繊維強化複合材料を得るために有用であり、航空機構造部材、風車の羽根、自動車外板およびノートパソコンの筐体(ハウジング)などのコンピュータ用途等に広く展開でき、有用である。
1:Aロール
2:Bロール
3:Cロール
4:離型紙
5:樹脂貯蔵槽に溜めた熱硬化性樹脂組成物
6:Bロールに上に一定の厚みで塗布した熱硬化性樹脂組成物
7:樹脂フィルム

Claims (7)

  1. リバースロールコーター方式を用いて離型紙上に塗工して樹脂フィルムを製造する方法において、以下の(1)、(2)を必須成分とする熱硬化性樹脂組成物を、明細書中で定義するB/C比が0.5〜0.9となるように離型紙上に塗工して、樹脂厚みがAμmである樹脂フィルムを製造する樹脂フィルムの製造方法。
    (1)樹脂フィルムの樹脂厚みAμmに対して、体積平均粒径が0.8Aμm以下である熱可塑性樹脂からなる第1の粒子を20〜50質量%含む。
    (2)樹脂フィルムの樹脂厚みAμmに対して、体積平均粒径がA〜1.8Aμmであり、かつ2Aμmを超える粗大粒子の含有量が2質量%以下である第2の粒子を1〜5質量%含む。
  2. 樹脂フィルムの樹脂厚みAμmが50μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  3. 樹脂フィルムに用いられる熱硬化性樹脂組成物の80℃における貯蔵弾性率G’が、10〜200Paであることを特徴とする、請求項1または2に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  4. 10〜100g/mの目付で以下の(1)、(2)の樹脂成分を含み、樹脂フィルムの幅が30cm以上であって、該樹脂フィルムの樹脂被覆率が85%以上であり、かつ、スジ状の欠点が該樹脂フィルムの幅方向1m、および長手方向100mあたり5本以下である熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂フィルム。
    (1)樹脂フィルムの樹脂厚みAμmに対して、体積平均粒径が0.8Aμm以下である熱可塑性樹脂からなる第1の粒子を20〜50質量%含む。
    (2)樹脂フィルムの樹脂厚みAμmに対して、体積平均粒径がA〜1.8Aμmであり、かつ2Aμmを超える粗大粒子の含有量が2質量%以下である第2の粒子を1〜5質量%含む。
  5. 樹脂フィルムに用いられる熱硬化性樹脂組成物の80℃における貯蔵弾性率G’が、10〜200Paであることを特徴とする、請求項4に記載の樹脂フィルム。
  6. シート状に引き揃えた炭素繊維に熱硬化性樹脂組成物を含浸して得られる一次プリプレグの両面に、請求項4または5に記載の樹脂フィルムの熱硬化性樹脂組成物がさらに貼着されてなる二次プリプレグ。
  7. 請求項6に記載の二次プリプレグが複数枚積層され、加熱硬化されてなる炭素繊維強化複合材料。
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