JP2014141369A - セラミックス製の放電容器の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本焼成の前に成形体に酸処理を行っても放電容器の強度が低下することがない放電容器の製造技術を提供する。
【解決手段】発光部と該発光部の両側の細管部を有するセラミック製の放電容器の製造方法において、アルミナ粉末、酸化マグネシウムを含む助剤、及び、水を混合してスラリーを生成するスラリー生成ステップと、石膏型に前記スラリーを供給するスラリー供給ステップと、排泥ステップと、離型ステップと、仮焼ステップと、前記仮焼された成形体を酸処理する酸処理ステップと、前記酸処理された成形体をマグネシウム水溶液に浸漬するマグネシウム水溶液浸漬ステップと、前記マグネシウム水溶液に浸漬した成形体をアンモニア水に浸漬するアンモニア水浸漬ステップと、前記アンモニア水に浸漬した成形体を本焼成する本焼成ステップと、を有する。
【選択図】図2B

Description

本発明は、高圧放電ランプ用のセラミック製の放電容器の製造方法に関し、特に、排泥鋳込みによって生成された成形体の処理技術に関する。
高圧放電ランプではセラミック製の放電容器が用いられる。セラミック製の放電容器の製造には、排泥鋳込み法(泥漿鋳込み方法)が用いられる。排泥鋳込み法では、石膏製の型にアルミナを含むスラリーを充填し、所定の時間保持する。石膏にスラリーの水分が吸収され、型の内面にスラリーの固形分が着肉する。次に、排泥(スラリーの除去)を行うと、型の内面に着肉した薄膜が残る。これを乾燥し、離型し、得られた成形体を仮焼成する。この成形体を本焼成することによりセラミック製の放電容器が得られる。特許文献1には成形体を水素雰囲気又は真空雰囲気にて焼結することによって、不純物や欠陥を有しない高品位且つ安価な発光管を製造することができることが記載されている。
特開2004-315313 特開平8-301666 特開平7-237974
排泥鋳込み法によって形成された成形体には、石膏の成分である硫酸カルシウムに起因したカルシウム等が残存する。これらの元素が残存すると、本焼成によりアルミナ粒子が異常成長を起こし、透過率が低下することがある。特許文献2及び3には、成形体に酸処理を施すことによって不要なカルシウム等を除去する方法が記載されている。
本願の発明者は、酸処理した成形体を洗浄し本焼成を行ったところ、放電容器の強度が低下することを見出した。
本発明の目的は、本焼成の前に成形体に酸処理を行っても放電容器の強度が低下することがない放電容器の製造技術を提供することにある。
本願の発明者は本焼成の前に成形体に酸処理を行った場合に、放電容器の強度が低下する原因を究明した。そこで、本願の発明者は以下の知見を得た。
放電容器の原料であるスラリーは、アルミナと助剤を含む。助剤には結晶の粗大化を抑制する作用を有する酸化マグネシウムが含まれる。そのため、成形体には酸化マグネシウムが含まれる。成形体を酸処理すると、酸化マグネシウムが溶出する。そのため、本焼成において、結晶が粗大化し、放電容器の強度が低下する。そこで本願の発明者は、酸処理を行った後に再度焼結助剤成分を補給する方法を見出した。
本発明によると、発光部と該発光部の両側の細管部を有するセラミック製の放電容器の製造方法において、
アルミナ粉末、酸化マグネシウムを含む助剤、及び、水を混合してスラリーを生成するスラリー生成ステップと、
放電容器の外形に対応する成形室を備えた石膏型に前記スラリーを供給するスラリー供給ステップと、
前記石膏型の成形室よりスラリーを排出する排泥ステップと、
前記石膏型の成形室の内面に形成された成形体を離型する離型ステップと、
前記成形体を仮焼する仮焼ステップと、
前記仮焼された成形体を酸処理する酸処理ステップと、
前記酸処理された成形体をマグネシウム水溶液に浸漬するマグネシウム水溶液浸漬ステップと、
前記マグネシウム水溶液に浸漬した成形体をアンモニア水に浸漬するアンモニア水浸漬ステップと、
前記アンモニア水に浸漬した成形体を本焼成する本焼成ステップと、
を有する。
本実施形態によると前記放電容器の製造方法において、前記アンモニア水浸漬ステップでは、前記アンモニア水のpHは11〜12が望ましい。
本実施形態によると前記放電容器の製造方法において、前記本焼成ステップにて得られた成形体の酸化マグネシウム濃度は400〜1200ppmであってよい。
本実施形態によると前記放電容器の製造方法において、前記マグネシウム水溶液浸漬ステップでは、前記マグネシウム水溶液として、硝酸マグネシウム溶液に用いてよい。
本実施形態によると前記放電容器の製造方法において、前記マグネシウム水溶液浸漬ステップでは、真空雰囲気内にて成形体のマグネシウム水溶液浸漬を行ってよい。
本実施形態によると前記放電容器の製造方法において、前記アンモニア水浸漬ステップでは、真空雰囲気内にて成形体のアンモニア水浸漬を行ってよい。
本発明によると、セラミック製の発光部と、該発光部の両端のセラミック製の細管部と、を有し、内部に、発光物質と、水銀および不活性ガスが封入された放電容器において、前記発光部と前記細管部の内面と外面のマグネシウム濃度は200〜600ppmである。
本実施形態の放電容器は前記放電容器の製造方法によって製造されてよい。本実施形態の高圧放電ランプは前記放電容器を含んでよい。
本実施形態によると、発光部と該発光部の両側の細管部を有するセラミック製の放電容器の製造装置において、放電容器の外形に対応する成形室が形成された石膏型と、前記石膏型か取り出された成形体に対して浸漬処理を行うための浸漬装置と、を有し、前記浸漬装置は、耐圧容器と、該耐圧容器の内部に設けられた成形体保持部材と、前記耐圧容器の内部を真空排気するための真空排気系と、前記耐圧容器に浸漬液を供給するための浸漬液供給系と、前記耐圧容器の内部に収納された浸漬液のpHを測定するためのPH計と、を有し、前記成形体保持部材には成形体が挿入されるための複数の孔が設けられている。
本実施形態によると、前記放電容器の製造装置において、前記浸漬液供給系は、マグネシウム水溶液を供給するためのマグネシウム水溶液供給系とアンモニア水を供給するためのアンモニア水供給系とを有し、前記マグネシウム水溶液供給系は、前記耐圧容器の底壁に接続されたマグネシウム水溶液供給管と、該マグネシウム水溶液供給管に接続されたマグネシウム水溶液供給バルブと、該マグネシウム水溶液供給バルブに接続されたマグネシウム水溶液タンクと、を有し、
前記アンモニア水供給系は、前記耐圧容器の底壁に接続されたアンモニア水供給管と、該アンモニア水供給管に接続されたアンモニア水供給バルブと、該アンモニア水供給バルブに接続されたアンモニア水タンクと、を有してよい。
本発明によれば、本焼成の前に成形体に酸処理を行っても放電容器の強度が低下することがない放電容器の製造技術を提供することができる。
図1Aは、本実施形態に係るセラミックメタルハライドランプの構成を説明する図である。 図1Bは、本実施形態に係るセラミックメタルハライドランプの放電容器の構成を説明する図である。 図2Aは、本実施形態に係る放電容器の製造方法の排泥鋳込み工程までの工程を説明する図である。 図2Bは、本実施形態に係る放電容器の製造方法の排泥鋳込み工程後の工程を説明する図である。 図3Aは、本実施形態に係る放電容器の製造装置の浸漬装置に成形体を装填した状態を示す図である。 図3Bは、本実施形態に係る放電容器の製造装置の浸漬装置に浸漬液を充填した状態を示す図である。 図4Aは、本実施形態に係る放電容器の製造方法のアンモニア水浸漬工程においてアンモニア水のpHと成形体の内面の酸化マグネシウム濃度の関係を示す図である。 図4Bは、本実施形態に係る放電容器の製造方法のアンモニア水浸漬工程においてアンモニア水のpHと成形体の外面の酸化マグネシウム濃度の関係を示す図である。 図4Cは、本実施形態に係る放電容器の製造方法のアンモニア水浸漬工程においてアンモニア水のpHと成形体の内部の酸化マグネシウム濃度の関係を示す図である。 図5は、アンモニア水のpHと成形体の酸化マグネシウム濃度の関係を示すグラフであり、図4A、図4B及び図4Cの結果を1つのグラフに纏めたものである。 図6Aは、アンモニア水浸漬工程を行った場合の成形体の表面の電子顕微鏡写真の例を説明する図である。 図6Bは、アンモニア水浸漬工程を行わない場合の成形体の表面の電子顕微鏡写真の例を説明する図である。
以下、本発明に係る実施形態に関して、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中、同じ要素に対しては同じ参照符号を付して、重複した説明を省略する。
図1Aを参照して本実施形態に係るセラミックメタルハライドランプの一例を説明する。セラミックメタルハライドランプ100は、透光性外管111と、端部の口金112と、透光性外管111の内部のほぼ中央に配置された放電容器130を有する。透光性外管111の内部は圧力10Pa以下の高真空に保持される。セラミックメタルハライドランプ100は、図示のように口金112を上にして垂直に装着される。
放電容器130の周囲に透光性スリーブ108が設けられ、その外側に、金属製のフレーム109が設けられている。放電容器130の上側には、始動器110が設けられている。フレーム109の上端には、ゲッタ113が装着されている。
フレーム109は、下端のマウント支持板114と上端のステム115の導入線と接続しており、それによって、位置固定される。フレーム109は位置固定用の部材であると同時に電気的接続用の部材を兼ねており、図示しない外部給電システムからの電力をステム115の導入線を介して放電容器130に供給する。
図1Bを参照して放電容器130の構造を説明する。放電容器130は中央の発光部130Cとその両端の細管部130A、130Bを有する。細管部130A、130Bには、電流導入体120a、120bがそれぞれ装着されている。電流導入体120a、120bは、タングステン電極123、電流供給体122、及び、リード線121を有する。タングステン電極123は放電容器130の発光部130Cに配置されている。電流供給体122は、耐ハロゲン性中間材122aと導電性サーメット棒122bからなる。
リード線121は導電性サーメット棒122bの先端に接続されている。リード線121と導電性サーメット棒122bの接続部は補強材131によって囲まれている。リード線121は細管部130A、130Bの両端より突出している。
放電容器130の内部には、発光物質と、水銀および不活性ガスが封入されている。不活性ガスは例えば希ガスであるが本実施例ではアルゴンである。セラミックメタルハライドランプを点灯させると、放電容器130内における放電により、発光物質が加熱され、その一部が蒸発して放電により励起され、発光する。発光物質の残りの部分は、放電容器130の底部の最冷部に液相状態でプールされる。液相の発光物質の一部は蒸発し、放電容器130の内部を対流により循環し、底部の最冷部に戻る。ランプの点灯中はこのようなサイクルが繰り返される。
図2Aを参照して、本発明に係る高圧放電ランプ用のセラミック製の放電容器の製造方法の例を説明する。図2Aは、排泥鋳込み成形によって成形体を形成する工程を示す。先ず、ステップS101にて、原材料を秤量する。本実施形態では、原材料として、アルミナ粉末(粒子径0.1〜2.0μm)と助剤(酸化マグネシウム)を用いる。これらの助剤、特に、酸化マグネシウムは、セラミックにおける結晶粒の粗大化を抑制する機能を有する。ステップS102にて、スラリーを生成する。アルミナ粉末、助剤、及び、水を混合した原材料を容器に入れ、ボールミルにて10時間混合を行い、スラリーを生成する。ステップS103にて、バインダー添加を行う。スラリーを別の容器に移し、バインダーを加え、更に混合する。ステップS104にて、篩処理を行う。スラリーをナイロン製の篩にかけ、一定以上の大きさの粒子径のアルミナを除去する。本実施形態では、目開き32μmの篩を用いた。ステップS105にて、スラリーの脱泡を行う。脱泡装置によりスラリーの気泡を除去する。
ステップS106〜ステップS110は排泥鋳込み成形の工程である。ステップS106にて、石膏型にスラリーを供給し、石膏型の成形室をスラリーで充填する。ステップS107にて、所定の時間保持する。石膏にスラリーの水分が吸収される。石膏型の内面にスラリーの固形分が着肉する。鋳込みは、大気圧下で行ってもよいが、真空雰囲気又は加圧雰囲気にて行ってもよい。
ステップS108にて、排泥を行う。石膏型の内面に着肉したスラリーの固形分によって成形体が形成される。ステップS109にて、石膏型内に形成された成形体をそのまま乾燥させる。ステップS110にて、離型を行う。石膏型から成形体を取り外す。
図2Bを参照して、本発明に係る高圧放電ランプ用のセラミック製の放電容器の製造方法の例を説明する。図2Bは、排泥鋳込み成形によって形成された形成体を焼成してセラミック製の放電容器を形成する工程を示す。ステップS201にて、成形体の仮焼を行う。即ち、10時間をかけて950℃まで昇温し、その温度で30分間保持する。ステップS202にて、成形体の研磨を行う。成形体の表面には、石膏型の合わせ目に沿って小さな突起状のパーティングラインが形成されている。仮焼後の成形体はある程度の硬さを有する。そこで、パーティングラインを研磨除去する。両側の細管部を把持し、成形体を回転させ、表面に1000〜2000番の耐水研磨紙をあてる。
ステップS203にて、酸処理を行う。成形体には、石膏の成分に起因した硫黄、カルシウム、ケイ素等が残存する。これらの元素が残存すると、本焼成後に白濁して、透過率が低下する。そこで、酸処理によってカルシウム等の不要な成分を除去する。酸処理では、例えば、硝酸、又は、塩酸液中に成形体を浸漬することによって石膏に起因した成分を除去してよい。
こうして、酸処理では、石膏に起因したカルシウム等の望ましくない成分を除去することができるが、同時に、結晶粒の粗大化を抑制する作用を有するマグネシウムイオンが流出する。即ち、助剤として付加した酸化マグネシウムが減少する。そこで、本実施形態では、酸処理後の成形体にマグネシウムイオンを付加する。
ステップS204にて、成形体をマグネシウム水溶液に浸漬する。即ち、成形体を、マグネシウムイオンを含む水溶液に浸漬する。マグネシウムイオンを含む水溶液として、本実施形態では、硝酸マグネシウム溶液を用いてよい。こうして本実施形態では、成形体を硝酸マグネシウム溶液に浸漬することによって、成形体にマグネシウムが添加される。
本願の発明者が行った実験では、硝酸マグネシウム溶液に浸漬することによって成形体にマグネシウムが添加されるが、乾燥工程において、マグネシウムイオンが成形体の内面から外面に移動し、内面のマグネシウムイオンが減少することが判った。そこで本願の発明者は、マグネシウムイオンを固定化するための処理を鋭意検討した。本願の発明者は、アンモニア水浸漬を行ったところ、良好な結果を得た。アンモニア水浸漬の実験については後に詳細に説明する。
ステップS205にて、成形体をアンモニア水に浸漬する。アンモニア水に浸漬することによって、マグネシウムが固定される。アンモニア水浸漬処理におけるマグネシウムイオンの固定化の化学反応は次の式によって表される。
尚、マグネシウムイオンの固定化の効果は、アンモニア水以外のアルカリ水溶液を用いても得られる。しかしながら、アンモニアは、窒素と水素からなり、これらの元素はランプに影響を与えることがない利点がある。即ち、発光色に影響を与えることもなく、また、高温の放電容器の周囲の材料と反応して劣化させることもない。
ステップS206にて、成形体を乾燥する。ステップS207にて、1次本焼成を行う。1次本焼成は、ドライ水素雰囲気で行う。ステップS208にて、2次本焼成を行う。2次本焼成は空気中で行う。2次本焼成は酸素を含んだウェット水素雰囲気で行なってもよい。焼成によってマグネシウム濃度は半減する。
本実施の形態では、一次本焼成と二次本焼成の2回の本焼成を行う。その理由は、ドライ水素雰囲気での焼成だけではアルミナに低次酸化物が生成され易い。低次酸化物が生成されると、成形体は黒っぽく着色し透過率が低下する。しかしドライ水素雰囲気での焼成の後に酸素を含んだ空気中での焼成を行うことにより、低次酸化物を低減させることができる。そのため、成形体の着色がなくなり透過率を向上させることができる。本焼成での雰囲気、温度、時間等は、成形体の着色具合等から判断して変更し、着色が少なく、透過率の高くなる条件での焼成が望ましい。
図3A及び図3Bを参照して、本実施形態に係るセラミック製の放電容器の製造装置の浸漬装置の例を説明する。本実施形態の浸漬装置は、耐圧容器10と、その内部に設けられた成形体保持部材12と、耐圧容器10の内部を真空排気するための真空排気系と、耐圧容器10の内部に浸漬液を供給する浸漬液供給系を有する。成形体保持部材12には複数の孔13が設けられており、これらの孔13に成形体15が挿入されている。真空排気系は、耐圧容器10の天井壁に接続された排気管21と、排気管21に設けられた排気バルブ22と、排気バルブ22に接続された真空排気ポンプ(図示なし)を有する。耐圧容器10には、内部の浸漬液16のpHを測定するためのPH計が設けられている。
浸漬液供給系は、マグネシウム水溶液を供給するためのマグネシウム水溶液供給系とアンモニア水を供給するためのアンモニア水供給系とを有する。マグネシウム水溶液供給系とアンモニア水供給系は、1つの供給系によって構成してもよいが、別個の供給系として構成してもよい。ここでは、別個の供給系として構成する場合を説明する。
マグネシウム水溶液供給系は、耐圧容器10の底壁に接続されたマグネシウム水溶液供給管25と、マグネシウム水溶液供給管25に設けられたマグネシウム水溶液供給バルブ26と、マグネシウム水溶液供給バルブ26に接続されたマグネシウム水溶液タンク(図示なし)を有する。アンモニア水供給系は、耐圧容器10の底壁に接続されたアンモニア水供給管27と、アンモニア水供給管27に設けられたアンモニア水供給バルブ28と、アンモニア水供給バルブ28に接続されたアンモニア水タンク(図示なし)を有する。
本実施形態の浸漬装置を用いてステップS204のマグネシウム水溶液浸漬を行う場合を説明する。図3Aに示すように、成形体保持部材12の孔13に成形体15を挿入する。放電容器の形状を有する成形体15はその中心軸線が垂直になるように縦に保持される。真空ポンプを作動し、排気バルブ22を開ける。それによって、耐圧容器10内は真空排気される。
次に、図3Bに示すように、マグネシウム水溶液供給バルブ26を開け、耐圧容器10内に浸漬液16を供給する。浸漬液16として、マグネシウム水溶液、特に、硝酸マグネシウム溶液を用いる。浸漬液16の液面が成形体の上側に到達すると、マグネシウム水溶液供給バルブ26を閉じる。本実施形態では、マグネシウム水溶液タンク内と耐圧容器10内の圧力差を利用して浸漬液16を供給してもよいが、浸漬液ポンプを用いてもよい。
本実施形態の浸漬装置を用いてステップS205のアンモニア水浸漬を行う場合はマグネシウム水溶液浸漬の場合と同様な操作を行えばよい。アンモニア水浸漬に用いるアンモニア水のpHは11〜12が望ましい。アンモニア水の最適なpHについては後に説明する。本実施形態の浸漬装置を用いてステップS203の酸処理を行うことができる。この場合、耐圧容器内に供給する浸漬液は、硝酸水溶液であってよい。
図4A〜図4C及び図5を参照して、本願の発明者が行ったステップS205のアンモニア水浸漬の実験の結果を説明する。本願の発明者は、アンモニア水浸漬におけるアンモニア水のpHを変化させて、図2Bを参照して説明した方法によって、成形体を生成した。成形体は図1Bに示した放電容器と同様な形状である。成形体の内面、中間、外面における酸化マグネシウム濃度を測定した。
図4A、図4B及び図4Cは、アンモニア水のpHと成形体の酸化マグネシウム濃度の関係を示すグラフである。図5は、図4A、図4B及び図4Cの結果を1つのグラフに纏めたものである。これらの図において、横軸はアンモニア水のpH、縦軸は成形体における酸化マグネシウム濃度(ppm)である。図4Aの縦軸は成形体の内面における酸化マグネシウム濃度(ppm)、図4Bの縦軸は成形体の外面における酸化マグネシウム濃度(ppm)、図4Cの縦軸は成形体の内部における酸化マグネシウム濃度(ppm)である。
本願の発明者は、先ず、結晶の粗大化を防止し、放電容器の強度の低下を防止するために必要な酸化マグネシウムの濃度を検討した。その結果、成形体の酸化マグネシウムの濃度は少なくとも400ppm以上、好ましくは、500ppm以上は必要であると判定した。
そこで、これらの結果より、成形体の酸化マグネシウムの濃度が500ppm以上となるために必要なアンモニア水のpHを検討した。これらのグラフから、アンモニア水のpHは11〜12であることが好ましいことが判った。この場合、成形体の酸化マグネシウムの濃度は1200ppm以下、好ましくは、1000ppm以下であってよい。本実施形態では、成形体の内面と外面のマグネシウム濃度は400〜1200ppmとなる。上述のように焼成によってマグネシウム濃度は半減する。従って、本実施形態では、放電管のマグネシウム濃度は200〜600ppmとなる。
表1は、本願の発明者が行ったアンモニア水浸漬の実験の結果を示す。この実験では、アンモニア水のpHを11とした。本願の発明者は、排泥鋳込み成形によって放電容器の形状を有する成形体を生成し、それを硝酸マグネシウム溶液に浸漬した。硝酸マグネシウム溶液浸漬の後に、アンモニア水浸漬処理を実施したものと実施しなかったものについてマグネシウム濃度を測定した。アンモニア水浸漬処理を行うと、成形体の内面と外面の両者において、酸化マグネシウムの濃度が400ppm以上となった。一方、アンモニア水浸漬処理を行わないと、成形体の内面では酸化マグネシウムの濃度が280ppm、成形体の外面では酸化マグネシウムの濃度が600ppmであった。アンモニア水浸漬処理を行わないと、マグネシウムイオンが成形体の内面から外面に移動し、酸化マグネシウムの濃度の勾配ができるからである。以上より、アンモニア水浸漬処理を実施すると、マグネシウムイオンが固定され、マグネシウムイオンの移動又は流出が防止される。本実施形態では、成形体の内面と外面のマグネシウム濃度は400〜1200ppmとなる。
図6Aはアンモニア水浸漬処理を実施した成形体の内面の走査型電子顕微鏡写真(750倍)の例を示す。図6Bはアンモニア水浸漬処理を実施した成形体の内面の走査型電子顕微鏡写真(750倍)の例を示す。図6Aの電子顕微鏡写真では結晶粒の粒子径が比較的小さいが、図6Bの電子顕微鏡写真では結晶粒の粒子径が比較的大きい。結晶粒の粒子径が大きいと、放電容器の強度が低下する。本実施形態では、アンモニア水浸漬処理を実施するから、結晶粒の粗大化を回避することができる。そのため、放電容器の強度が低下することが防止される。
以上、本実施形態に係るセラミック製の放電容器の製造方法及び装置について説明したが、これらは例示であって、本発明の範囲を制限するものではない。当業者が、本実施形態に対して容易になしえる追加・削除・変更・改良等は、本発明の範囲内である。本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の記載によって定められる。
10…耐圧容器、12…成形体保持部材、13…孔、15…成形体、16…浸漬液、21…排気管、22…排気バルブ、25…マグネシウム水溶液供給管、26…マグネシウム水溶液供給バルブ、27…アンモニア水供給管、28…アンモニア水供給バルブ、30…PH計、100…セラミックメタルハライドランプ、108…透光性スリーブ、109…フレーム、110…始動器、111…透光性外管、112…口金、113…ゲッタ、114…マウント支持板、115…ステム、130…放電容器、130C…発光部、130A、130B…細管部、120a、120b…電流導入体、121…リード線、122…電力供給導体、122a…耐ハロゲン性中間材、122b…導電性サーメット、123…タングステン電極、131…補強材

Claims (9)

  1. 発光部と該発光部の両側の細管部を有するセラミック製の放電容器の製造方法において、
    アルミナ粉末、酸化マグネシウムを含む助剤、及び、水を混合してスラリーを生成するスラリー生成ステップと、
    放電容器の外形に対応する成形室を備えた石膏型に前記スラリーを供給するスラリー供給ステップと、
    前記石膏型の成形室よりスラリーを排出する排泥ステップと、
    前記石膏型の成形室の内面に形成された成形体を離型する離型ステップと、
    前記成形体を仮焼する仮焼ステップと、
    前記仮焼された成形体を酸処理する酸処理ステップと、
    前記酸処理された成形体をマグネシウム水溶液に浸漬するマグネシウム水溶液浸漬ステップと、
    前記マグネシウム水溶液に浸漬した成形体をアンモニア水に浸漬するアンモニア水浸漬ステップと、
    前記アンモニア水に浸漬した成形体を本焼成する本焼成ステップと、
    を有する放電容器の製造方法。
  2. 請求項1記載の放電容器の製造方法において、
    前記アンモニア水浸漬ステップでは、前記アンモニア水のpHは11〜12であることを特徴とする放電容器の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の放電容器の製造方法において、
    前記アンモニア水浸漬ステップにて得られた成形体の酸化マグネシウム濃度は400〜1200ppmであることを特徴とする放電容器の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の放電容器の製造方法において、
    前記マグネシウム水溶液浸漬ステップでは、前記マグネシウム水溶液として、硝酸マグネシウム溶液に用いることを特徴とする放電容器の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の放電容器の製造方法において、
    前記マグネシウム水溶液浸漬ステップでは、真空雰囲気内にて成形体のマグネシウム水溶液浸漬を行うことを特徴とする放電容器の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の放電容器の製造方法において、
    前記アンモニア水浸漬ステップでは、真空雰囲気内にて成形体のアンモニア水浸漬を行うことを特徴とする放電容器の製造方法。
  7. セラミック製の発光部と、該発光部の両端のセラミック製の細管部と、を有し、内部に、発光物質と、水銀および不活性ガスが封入された放電容器において、
    前記発光部と前記細管部の内面と外面のマグネシウム濃度は200〜600ppmであることを特徴とする放電容器。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項記載の放電容器の製造方法によって製造された放電容器。
  9. 請求項7又8記載の放電容器を備えた高圧放電ランプ。
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