JP2014140866A - 長尺ワークの加工装置及び加工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】長尺ワークWを軸線方向Dzに移動させつつ加工する長尺ワークWの加工装置10であって、曲がり癖を有する加工前状態の長尺ワークWを不変の一方向Dxに挟んで加圧することで、不変の一方向Dxに沿った曲がり形状を有する加圧部40を備えている。
【選択図】図1
Description
特許文献2では、回転台にコイル状の線材を載置し、回転台を回転させて線材を繰り出しつつ、複数個の矯正ローラで交互に付勢して直線性を向上する矯正装置が提案されている。
例えば上記特許文献1のような装置では、多数の縦段矯正ローラと多数の横段矯正ローラとを用いて長尺ワークを互いに直交する二軸方向に加圧して矯正加工していた。
このような装置では、多数のピンチローラ、多数の縦段矯正ローラ、多数の横段矯正ローラなどを、軸方向に順次配列して加圧するため、ローラ等の装置の構成要素が多く、長い距離が必要であった。
このような装置では、構造が複雑であり、矯正加工に手間を要していた。
以下、本発明の第1実施形態について図を用いて詳細に説明する。
[長尺ワーク]
加工対象の長尺ワークWは、軸線L1と直交する断面形状が略全長で略一定に連続する長尺の部材である。断面形状は円形、楕円形、多角形、環形、異形等、特に限定されないが、この実施形態では長尺ワークWとして断面円形の長尺の鋼材を加工する。
この実施形態の長尺ワークWの加工装置10は、長尺ワークWを軸線方向Dzに移動させつつ加工する装置である。加工内容は限定されないが、ここでは長尺ワークWの直線性を向上させて熱処理する装置となっている。長尺ワークWの直線性を向上するとは、長尺ワークWの軸線L1を直線に沿わせることである。
ペイオフ部20は、加圧部40に対して固定された位置に配設されており、回転軸L2周りに回転自在な載置部21を備えている。ペイオフ部20では、巻回された長尺ワークWが載置部21に略水平方向に載置され、載置部21が回転することで外周側の繰り出し位置から加工前状態の長尺ワークWを順次解して繰り出す。
ペイオフ部20の載置部21は駆動機構により回転駆動してもよいが、ここでは長尺ワークWの自己の弾性により回転させている。
導入部30は、ペイオフ部20から繰り出された加工前状態の長尺ワークWを、移動させて加工ラインの加圧部40に導入する部位である。導入部30は長尺ワークWを機械的に支持して移動させてもよいが、この実施形態では機械的な支持手段を設けることなくペイオフ部20と加圧部40との間の空間により構成されている。
加圧部40は、図2に示すように、加工前状態の長尺ワークWを軸線L1に対して交差した不変の第1固定方向Dxに挟んで加圧することで長尺ワークWの曲がり形状を調整し、第1固定方向Dxに沿った形状を有する前処理状態にするものである。
不変の第1固定方向Dxは、長尺ワークWの軸線L1の方向Dzと交差するように予め設定された一方向であり、長尺ワークWを加工する間に変動しない一軸方向となっている。好ましくは軸線L1と直交する方向で、ここでは略水平方向としている。
また挟んで加圧するとは、長尺ワークWを第1固定方向Dxに沿う方向に挟込むことで、第1固定方向Dxの成分及び第2固定方向Dyの成分の一方又は双方が含まれる方向に長尺ワークWを加圧できればよい。
複数の加圧ローラ41間には長尺ワークWを通過させるための加圧通路45が形成されている。進退機構43により各加圧ローラ41の位置を適宜調整することで、加圧通路45の形状や幅が加工前状態の長尺ワークWに応じて調整可能である。
ここでは、図3に示すように、位置規制手段47が各加圧ローラ41に設けられた溝により構成されている。この溝は全加圧ローラ41に第2固定方向Dyに沿う位置が同じになるように設けられており、長尺ワークWの断面形状に対応した形状を有して長尺ワークWの一部を収容可能に形成されている。
なお、加圧通路45の曲率半径を1倍以上とする場合、加圧通路45の中間位置に位置規制手段47を設けることが望ましく、本実施形態のように全加圧ローラ41に溝を設けることで実現してもよい。
なお、この前処理状態の曲がり形状は、加圧ローラ41で支持された状態で得られる長尺ワークWが弾性変形した形状であってもよく、塑性変形した形状であってもよい。
加工部50は、この実施形態では前処理状態の長尺ワークWの直線性を向上するために加圧部40の下流に設けられた矯正加工部51と、矯正加工部51の下流側に設けられて長尺ワークWを加熱及び冷却する熱処理加工部53と、を備えている。
これらの複数の矯正ローラ57間に形成された矯正通路55は、進退機構43により各矯正ローラ57の位置を適宜調整することで、形状や幅を前処理状態の長尺ワークWに応じて調整できる。
この矯正通路45には、加圧通路45の位置規制手段47と同様に位置規制手段を設けることが望ましい。ここでは第2固定方向Dyにおける位置が加圧ローラ41の溝と同じになるように各矯正ローラ57に溝を設けているが、詳細な図示は省略している。
次に、このような構成を有する加工装置10を用いて長尺ワークWを加工する方法について説明する。
この加工装置10では、図1に示すように、ペイオフ部20から三次元の曲がり癖を有する長尺ワークWを順次繰り出し、この加工前状態の長尺ワークWを導入部30において軸線L1と交差する方向に変位可能な湾曲形状で移動させて加圧部40に導入する。
このとき長尺ワークWはペイオフ部20により上流側で支持され、加工部50の矯正ローラ57により下流側で支持されている。この状態で複数の加圧ローラ41により長尺ワークWが不変の第1固定方向Dxに挟まれると、三次元の曲がり癖を有する長尺ワークWが湾曲形状の加圧通路45に沿う方向に加圧される。これにより長尺ワークWを、第1固定方向Dxに沿った曲がり形状を有する前処理状態にする。
その後、直線性が向上した長尺ワークWを熱処理加工部53で熱処理することで加工を終了する。
以上のような加工装置10により長尺ワークWを加工すれば、加圧部40では三次元の曲がり癖を有する長尺ワークWを不変の第1固定方向Dxに挟んで加圧することで、第1固定方向Dxに沿った曲がり形状を有する前処理状態にするため、加圧部40を三次元の曲がり癖に対応させるように動作させたり挟み込む方向を調整したりする必要がない。そのため簡素な構造の加圧部40で容易に曲がり形状を調整して加工前状態の長尺ワークWを前処理状態にすることができる。
その際、加圧通路45が加工前状態の三次元の曲がり癖における湾曲形状よりも小さい曲率半径を有していると、長尺ワークWが加圧通路45を通過することで第1固定方向Dxに確実に加圧でき、長尺ワークWを前処理状態にし易い。
そのため加工前状態の長尺ワークWの直線性を向上する装置が、長尺ワークWに対して第1固定方向Dxに接する多数のローラ45,55により構成でき、長尺ワークWを複数の方向から加圧する機構や複雑な動作機構などを設ける必要がない。これにより直線性を向上する装置を簡素な構造にできる。
図4及び図5は、第2実施形態における長尺ワークWの加工装置10に使用した加圧部40及び矯正加工部51を示す。
この加圧部40及び矯正加工部51では、位置規制手段47が加圧ローラ近傍に配置された当接部材により構成されている。この当接部材は、加工前状態の長尺ワークWを摺動させて、加圧ローラ41の回転軸L4に沿う方向における所定位置に常時案内するものである。当接部材は長尺ワークWが摺動したり当接しても変位や変形が生じない部材であればよく、ここでは長尺ワークWを第2固定方向Dy方向の両側から挟むように配置された棒材或いは板材により形成されている。
その他の点は第1実施形態と同様である。
例えば上記では加圧部40として3個の加圧ローラ41を備え、加圧通路45を矯正通路55と連続する湾曲形状に形成した例について説明したが、加圧通路45において加工前状態の長尺ワークWを第1固定方向Dxに挟んで加圧できる形状であればよい。例えば4個以上の加圧ローラ41を用い、曲線状又は直線状の加圧通路45全体が矯正通路55よりも第1固定方向Dxの一方側に配置されるようにすることもできる。
上記では長尺ワークWを軸線方向Dzに移動させるために、加圧ローラ41や矯正ローラ57を駆動したが、これらのローラ45,55とは別に、ピンチローラを設けて駆動させることで長尺ワークWを移動させるようにしてもよい。
上記では加工前状態で三次元の曲がり癖を有する長尺ワークWを加工する例を用いて説明したが、加工前状態で二次元の曲がり癖を有す長尺ワークWであっても、本発明の加工装置及び加工方法により加工することは当然に可能である。
B: ペイオフ部20の回転軸L2と加圧部40とのライン軸心線LL方向の距離を0mmとし、ライン軸心線LLと直交方向の距離を1500mmとした。
C: ペイオフ部20の回転軸L2と加圧部40とのライン軸心線LL方向の距離を4500mmとし、ライン軸心線LLと直交方向の距離を1500mmとした。
L1 軸線
L2 ペイオフ部の回転軸
L3 加圧ローラの回転軸
L4 矯正ローラの回転軸
LL ライン軸心線
Dx 第1固定方向
Dy 第2固定方向
Dz 軸線方向
10 加工装置
20 ペイオフ部
21 載置部
30 導入部
40 加圧部
41 加圧ローラ
43 進退機構
45 加圧通路
47 位置規制手段
50 加工部
51 矯正加工部
53 熱処理加工部
55 矯正通路
57 矯正ローラ
Claims (6)
- 長尺ワークを軸線方向に移動させつつ加工する長尺ワークの加工装置であって、
曲がり癖を有する上記長尺ワークを不変の一方向に挟んで加圧することで、該不変の一方向に沿った形状にする加圧部を備えている、長尺ワークの加工装置。 - 巻回された前記長尺ワークを順次解して繰り出すペイオフ部が前記加圧部に対して固定位置に設けられ、該ペイオフ部と上記加圧部との間に上記長尺ワークを加圧部へ導入する導入部が設けられ、該ワークが該導入部で前記軸線と交差する方向に変位可能である、請求項1に記載の長尺ワークの加工装置。
- 前記加圧部は、前記長尺ワークに対して前記不変の一方向に接して加圧通路を形成する複数の加圧ローラを有する、請求項1又は2に記載の長尺ワークの加工装置。
- 前記加圧ローラの回転軸に沿う方向の所定位置に、前記加圧通路を区画する位置規制手段を備えている、請求項3に記載の長尺ワークの加工装置。
- 前記加圧部の下流に前記長尺ワークの直線性を向上するための矯正加工部を備え、
該矯正加工部は上記長尺ワークを前記不変の一方向に挟んで加圧する複数の矯正ローラを有し、
該複数の矯正ローラにより形成される矯正通路と前記加圧通路とが連続すると共に、上記加圧通路が上記矯正通路よりも上記不変の一方向に大きく湾曲している、請求項3又は4に記載の長尺ワークの加工装置。 - 曲がり癖を有する長尺ワークを、軸線方向に移動させつつ不変の一方向に挟んで加圧することで、上記不変の一方向に沿った形状にし、その後長尺ワークを加工する、長尺ワークの加工方法。
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