JP2014140854A - 摩擦撹拌プロセスツール並びにこれを用いた鉄系材料の表面改質方法及び鉄系材料を一方とする接合方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた耐久性を有し、ホルダーとの焼付が起こらない新規な高融点材料用の摩擦撹拌プロセスツール及びこれを用いる鉄系材料の表面改質方法を提供すること。
【解決手段】 炭素の原子割合/(炭素の原子割合+窒素の原子割合)が0.5〜1の範囲にあるTiCN系サーメットで構成され、TiCN構造を有するセラミックス相と鉄族元素を主成分とする金属相からなり、少なくともMoを2〜45質量%、Niを4〜40質量%の範囲で含有し、セラミックス相の体積比が58〜98体積%であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、安価で耐久性に優れた高融点材料用の摩擦撹拌プロセスツール並びにこれを用いた鉄系材料の表面改質方法及び鉄系材料を一方とする接合方法に関するものである。
近年、軽量金属等の金属加工に関連する技術として、摩擦撹拌プロセス(FSP:Friction Stir Processing、FSW:Friction Stir Welding)について多くの研究開発がなされ実用化されている。
この摩擦撹拌プロセスは、ツールと呼ばれる主に円柱状の回転部材の底面を高速で回転させながら、接合材又は表面改質材に接触させながら回転させて摩擦熱を発生させ、ツールを所定の位置まで材料に圧入させた状態で、接合材又は改質材料の流動を伴いつつ、ツールを接合方向又は改質領域で移動させながら接合又は改質を行う方法である。
摩擦撹拌プロセスは、軽量金属では多くの研究開発がなされている。その場合に使用されているツールの材質としては、通常工具鋼が用いられている。しかしながら、鉄、チタン、ニッケル等の高融点材料に対して行う摩擦撹拌プロセスに工具鋼を適用した場合、硬度不足のため摩耗が激しく、適応できない場合がある。
そこで、高融点材料に対するツール材料には、超硬合金からなる超硬ツールの使用が試みられている。しかし、超硬合金は600℃程度以上からの酸化が激しく、表面劣化が顕著に起こり、直ちに寿命に至る。また特に鉄系材料とは反応があり、凝着が起こるという問題もある。
なお、現状の超硬ツールは耐久性に劣るため、頻繁にツールの交換が必要となり、結局摩擦撹拌プロセスの長所であるコストを抑えることができないことが問題となっている。従って、超硬ツールに替わる、より長寿命なツールが開発できれば、作業効率化と特性向上の実現、すなわち低コスト化と付加価値化が可能となりグローバルな産業競争力を持つことができる。
一方、一般的に、アルミニウム等に対して摩擦撹拌プロセスを適用する場合、ツールは工具鋼製で装置チャックに直接つなぐ一体型となっているが、超硬ツールを用いる際は、先端のみ超硬ツールを用い、超硬ツールのホルダーとして工具鋼からなるホルダーを用いて、ホルダーを装置チャックに接続する。そうすることで、先端の超硬ツールのみの付け替えが可能となる。しかしながら、超硬ツールはホルダーとの焼付が起こる場合があり、その場合には結局ホルダーとともに交換が必要となるためコスト高になる。
以上のことから、安価で耐久性のある、ホルダーとの付け替え可能な摩擦撹拌プロセスツールの開発が望まれていた。
そこで、これらの問題を解決する好適なツールの材料として、サーメット(CERMET)が注目され、中でも炭化チタン(TiC)、炭窒化チタン(TiCN)等のチタン化合物を含むものが種々提案されている。
例えば、引用文献1には、炭化チタン成分を含む金属結合相を含んで成るTiCサーメットをツールのピン部に粉末焼結又は溶射して、硬質薄膜を形成する方法が記載されている。
この提案では、ツールの超硬材料として炭化チタン成分を含むTiCサーメットを用いてはいるものの、その組成、組織等に関する記述はない。
サーメットにおいては、主成分がTiC系であったとしても、他成分によりその性能が大きく変わる。すなわち、例えば、セラミックス相と金属相の比率によってもその特性に影響を及ぼす。しかしながら、特許文献1にはこのような記述はなく、さらに、溶射した場合には形成した硬質薄膜が剥がれ落ちる可能性がある。
また、特許文献2には、実施例にサーメットが挙げられている。しかし、このサーメットの主相はMoCとしたものである。MoCは鉄族元素との濡れ性を高める為に好適な材料であるが、硬度に劣る。また、特許文献2においても、組成・組織的な観点についての記載はない。
特許文献3では、基材を厚い被覆層で保護することにより優れた耐熱性を有するとともに、摩擦攪拌接合時において被覆層が酸化して摩耗されたり、欠損したりすることを低減した摩擦攪拌接合用ツールを提供することが記載されている。そして、サーメット(TiC、TiN、TiCN等を主成分とするもの)にセラミックス被覆層を形成したものを提案しており、セラミック被覆層は10μm以上を好適としている。
しかしながら、セラミック被覆層を10μm以上とすることは、工程数の増加と厚い膜である故の技術的困難を伴う。また、この10μmは膜としては厚いが、摩擦撹拌プロセスにおける保護膜としては薄いものであり、摩擦撹拌プロセス中に直ちに消失する。その場合、基材の主成分がTiC、TiN、TiCN等を主成分とするものであればよいわけではなく、他の成分によりその性能が変わる。従って、例えば、被覆層がなくなると、途端に劣化が始まる可能性が高い。さらに剥離した被覆成分が接合材に混入し、接合材の脆化を引き起こす可能性がある。
以上のように、従来提案されている技術では、いずれもTiC、TiCN系サーメットの取り扱いを示唆しているが、TiC、TiCN系サーメットの特性は他の組成と組織にも強く依存するにも関わらず、組成と組織の最適化を行うことについての提案は一切なされていないのが現状である。
特開2004−174508号公報 特表2009−543696号公報 特開2011−011235号公報
本発明は、上記従来技術の実情に鑑みなされたものであって、優れた耐久性を有し、ホルダーとの焼付が起こらない新規な高融点材料用の摩擦撹拌プロセスツール並びにこれを用いた鉄系材料の表面改質方法及び鉄系材料を一方とする接合方法を提供することを課題としている。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
すなわち、本発明は以下の構成の摩擦撹拌プロセスツールを提供するものである。
第1に、炭素の原子割合/(炭素の原子割合+窒素の原子割合)が0.5〜1の範囲にあるTiCN系サーメットで構成されている摩擦撹拌プロセスツール。
第2に、上記第1に記載のTiCN系サーメットにおいて、TiCN構造を有するセラミックス相と鉄族元素を主成分とする金属相からなり、少なくともMoを2〜45質量%、Niを4〜40質量%の範囲で含有し、セラミックス相の体積比が58〜98体積%である摩擦撹拌プロセスツール。
第3に、上記第1又は第2に記載のTiCN系サーメットにおいて、更に、20質量%以下の、W及び/又はNbを含有する摩擦撹拌プロセスツール。
第4に、上記第1に記載のTiCN系サーメットにおいて、TiCN構造を有するセラミックス相、NbC構造を有するセラミックス相と鉄族元素を主成分とする金属相からなり、少なくともMoを2〜45質量%、Nbを20〜35質量%、Niを4〜40質量%の範囲で含有し、セラミックス相の体積比が58〜98体積%である摩擦撹拌プロセスツール。
第5に、上記第1又は第4に記載のTiCN系サーメットにおいて、更に、10質量%以下の、Wを含有する摩擦撹拌プロセスツール。
第6に、上記第1から第5のいずれかに記載の摩擦撹拌プロセスツールにおいて、0.4〜20質量%の鉄族元素をCuで置換している摩擦撹拌プロセスツール。
第7に、上記第1から第6のいずれかに記載の摩擦撹拌プロセスツールにおいて、ショルダー部角度が−0.5〜15°であり、ツールヘッドから突出するピン長/ピン直径が0〜5の範囲である摩擦撹拌プロセスツール。
第8に、上記第1から第7のいずれかに記載の摩擦撹拌プロセスツールを用いる鉄系材料の表面改質方法。
第9に、上記第1から第7のいずれかに記載の摩擦撹拌プロセスツールを用いる鉄系材料を一方とする接合方法。
本発明の摩擦撹拌プロセスツールは、TiCN系サーメットにより構成することにより、超硬ツールに比しその耐酸化性に優れたものとなる。したがってその高耐酸化性を利用することで、本発明のツールは、極めて耐食性の高いものとなる。また、NbC添加と金属相に銅が存在することにより、高靱性を有しより高負荷、高摩擦条件における摩擦撹拌に耐え得ることができるようになる。さらに、熱伝導率が低い材料であるが故、ホルダーとの焼付が解消される。
本発明の摩擦攪拌プロセス用ツールの概略断面図である。 本発明の摩擦攪拌プロセス用ツールの概略断面図である。 摩擦攪拌プロセス用ツールのショルダー角を説明するための概略図である。
本発明は、超硬ツールが使用後に表面に変色と形状変化が生じ、それが超硬の成分であるタングステン、及びコバルトの酸化によるものであることがわかった結果、超硬合金よりも耐酸化性に優れる材料を選択することで、耐久性に優れたツールを提供できると考え、その有力な材料として、TiCN系サーメットが適していることを見出した。
また、上記サーメットの中でも、WC相を残存させたサーメットを用いるとツール耐久性が著しく劣化することを見出した。
さらにNbC添加と金属相の金属である鉄族元素の一部を銅に置換したサーメットを使用すると、破壊に対する耐久性に長けたツールとなり、結果としてピン部のより長いツールを使用でき、結果その改質量と接合量の多くすることが可能となることを見出した。
本発明はこのような新規な知見に基づいてなされたものである。
図1、図2は、本発明の摩擦攪拌プロセス用ツールの概略断面図である。本発明の摩擦攪拌接合用ツールヘッド1は、ショルダー部2と、ピン部3を備えるものである。これが所定の摩擦攪拌接合用ツールホルダー4に収まることで、装置に取り付けられる。
サーメットは組成と組織の最適化が非常に重要である。
本発明の摩擦撹拌プロセスツールは、炭素の原子割合/(炭素の原子割合+窒素の原子割合)が特定の範囲にあるTiCN系サーメットで構成されていることを特徴とする。
前記、炭素の原子割合/(炭素の原子割合+窒素の原子割合)の範囲としては、0.5〜1の範囲であり、好ましくは0.55〜0.95、さらに好ましくは0.6〜0.95の範囲である。
炭素の原子割合/(炭素の原子割合+窒素の原子割合)が0.5よりも小さい場合、焼結体自身の特性が悪くなり、ツールとしての使用に耐えられない場合がある。また、上記セラミックス相は炭化物、窒化物、炭窒化物が主であるが、若干の酸素を含有していても構わない。
本発明の具体的な第一のTiCN系サーメットは、TiCN構造を有するセラミックス相と鉄族元素を主成分とする金属相からなり、少なくともMoを2〜45質量%、Niを4〜40質量%の範囲で含有し、セラミックス相の体積比が58〜98体積%であることを特徴とする。
この第一のTiCN系サーメットは、さらに、高負荷、高摩擦条件における摩擦撹拌に耐え得ることができるような工具とするために、20質量%以下のW及び/又はNbを含有することが好ましい。
本発明の具体的な第二のTiCN系サーメットは、TiCN構造を有するセラミックス相、NbC構造を有するセラミックス相と鉄族元素を主成分とする金属相からなり、少なくともMoを2〜45質量%、Nbを20〜35質量%、Niを4〜40質量%の範囲で含有し、セラミックス相の体積比が58〜98体積%であることを特徴とする。
この第二のTiCN系サーメットでは、さらに高負荷、高摩擦条件における摩擦撹拌に耐え得ることができるような工具とするために10質量%以下のWを含有することが好ましい。
前記第一及び第二のTiCN系サーメットの金属相は、Fe、Co及びNiから選ばれた鉄族金属の少なくとも一種からなり、添加された炭窒化物成分が固溶している状態になっているか、鉄族金属の少なくとも一種であり、かつ、添加された炭窒化物成分になっている。
この場合、さらに負荷に強い工具とするために、鉄族元素の一部、たとえば0.4〜20質量%の鉄族元素をCuで置換しておくことが好ましい。
ここで、鉄族金属とCuの質量比は、99.6:0.4〜80:20、好ましくは98:2〜80:20の範囲内である。Cuの質量割合が0.4質量%より少ないと、硬度と靱性向上の効果がなくなる場合があり、また、20質量%を超えると、硬度の低下が著しくなる場合がある。
前記第一及び第二のTiCN系サーメットの各原子の質量比はICP分析により求めることができる。なお、炭素、窒素、酸素、及び製造工程中にその他元素が混入することから、上記元素で100質量%になることはない。また、炭素、窒素、酸素は燃焼法によりその質量が求められる。
上記のとおり、本発明の摩擦撹拌接合ツールは、TiCN系サーメットからなり、TiCN系サーメットはセラミックス相と金属相から構成され、材料組織・組成は下記(A)〜(D)のタイプに分類される。
(A)セラミックス相は、TiCN構造を有している。具体的には、Ti(C)、(Ti)(C)相、(Ti)(C)相、(Ti)(C)相で表記されるものを少なくとも1種類以上を含む。X、Y、Zは、それぞれチタン以外の周期律表IVa、Va、VIa族金属であり、Nb、Mo、W等が例示される。ここで例示とするのは、粉末混合時に導入されるコンタミの中に他の元素が存在する際に、構成元素として検出されるおそれがあるためである。金属相においても同様のことが起こる。
金属相は、鉄族金属が主成分であり、少なくとも一種以上を含み、かつ添加された炭化物成分が固溶している状態になっている。
TiCN構造におけるm、n、p、q、u,vは原子比であり、n、p、qの値に指定はない。すなわち、個々には必ずしもnが最も高い値を示すとは限らない。また、u、vはu+v=1としたとき個々にはそれぞれ0〜1の範囲をとる。
(B)上記(A)と同様のセラミックス相であり、金属相は、鉄族金属が主成分であり、少なくとも一種以上を含み、かつ添加された炭化物成分と、鉄族元素を0.4〜20質量%置換したCuが固溶している状態になっている。
(C)上記(A)のサーメットにセラミックス相として、TiCN構造の他にNbC相を有しているものである。
(D)上記(B)のサーメットにセラミックス相として、TiCN構造の他にNbC相を有しているものである。
ここで重要なことは、本発明のこれらサーメットのセラミックス相はWC相を含まないことである。WC相は耐酸化性に乏しいため、WC相の存在はツールの耐久性を著しく劣化させるからである。
セラミックス相と金属相の面積比は、98:2〜60:40、好ましくは95:5〜65:35、さらに好ましくは95:5〜70:30である。上記サーメットの金属相の面積比が2より少ないと、靱性の劣化が激しく、逆に、金属相の面積比が40を超えると、サーメットの耐摩耗性及び耐塑性変形性が低下することになり、ツールとしての特性を劣化させる。
これらの面積比は走査型電子顕微鏡(SEM)写真に対して市販の画像解析装置を用いることによって測定が可能である。面積比はセラミックス相が100個以上存在する領域にて画像処理ソフトにより決定することができる。
また、これらのセラミックス相は、有芯構造(コアリム構造)と呼ばれる形態を有していてもよい。有芯構造が2重構造の場合、中心部(コア部)が黒色、周辺部(リム部)が灰白色、及び/又は白色の場合もあればその逆もある。さらに有芯構造が芯部と周辺部の間に周辺部とは異なる構成からなる3重有芯構造など多重構造をなすものであってもよい。
さらに、すべてが(Ti)(C)相、(Ti)(C)相、(Ti)(C)相で表記される状態であってもよい。
セラミックス相のTiCN構造と炭化物相と金属相はX線回折像にて分離同定が可能である。
このTi(C)相、(Ti)(C)相、(Ti)(C)相のそれぞれの同定は、X線回折像で分離同定が可能である場合と不可能である場合がある。不可能である場合は、それぞれの原子比に制限はないことから、例えば、走査型電子顕微鏡の反射電子にて観察した場合の、明暗で相の分別を行うことができる。すなわち、黒色、灰白色、及び/又は白にて表示されるセラミックス相が観察される。また、EDSによる判別も可能である。
ツール形状としては、ショルダー部に角度が付いていることが望ましく、その角度は−0.5〜15°、好ましくは0.5〜10°、さらに好ましくは0.5〜7°である。
ここでいうショルダー部角度とは、図3に示すように、底面において、ツール中心線に対する垂線と中心部に対してなす角度θを意味する。なお、負符号は凸形状、正府号は凹形状を表わしている。基本的には、この範囲を逸脱すると、撹拌効果が弱まる。また、底面には例えば渦巻き形状の溝などによって、撹拌効果が高まることがある。側面形状はどのような形でも問題がない。すなわち、円柱状であっても、円錐状であってもよい。
さらに、ピン長/ピン底面長さ、すなわちアスペクト比は0〜5であることが望ましい。これは、改質を表面からどの距離まで行うかによって決定される。表面表層のみの改質の場合は0、すなわち、ピンがツールヘッドから突出しなくてもよいことになる。即ち底面のみに存在している。また、深くまで改質を必要とする場合は、アスペクト比の大きなピンが必要であるが、5を超えると破損の原因となる場合がある。さらにピンにはネジ形状、及び多角柱などの形状付与を施して撹拌効果を高めることがある。
<実施例1>
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
以下の材料を用いて、湿式混合・焼結し、表1に示す構成のサンプルNo.1〜11を得た。
平均粒径1.4μmのTi(C0.70.3)粉末、
平均粒径1.3μmのTi(C0.50.5)粉末、
平均粒径1.8μmのTiC粉末、
平均粒径1.4μmのTiN粉末、
平均粒径1.8μmのMoC粉末、
平均粒径0.1μmのWC粉末、
平均粒径1.4μmのNbC粉末、
平均粒径5.5μmのNi粉末、
平均粒径5μmのCo粉末、
平均粒径5μmのCu粉末、
また、以下の材料を、遊星ボールミルにて、Arと窒素混合ガス、又はArガス中にて混合・合成・焼結し、表1に示す構成のサンプルNo.12〜14を得た。
平均粒径45μmのTi粉末、
平均粒径3μmのMo粉末、
平均粒径20μmのC粉末、
平均粒径7μmのNi粉末、
また、市販のK種超硬合金をサンプルNo.15〜16とした。
焼結体はX線回折にて相同定を行った。多くの材料でTiCN構造とNi構造の2相が観察された。なお、一部焼結体にWC、及びNbCが残存しているものがあった。また、セラミックス相の体積率は得られたサーメット各試料について走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行い、低角度散乱反射電子検出器にて得られた10000倍の写真を縦横4枚ずつの連続に撮影し結合したものを任意5箇所について撮影し、市販の画像解析ソフトを用いて画像解析を行い、セラミックス相面積%を導出した。
これらの焼結体を、摩擦撹拌プロセスツールに加工した。まずは、反応性を伴う耐久性をみるために、加工形状はショルダー部直径がΦ16、ショルダー部角度3°、ピン部0mmとした。
条件はツール回転速度3000r.p.m、送り速度100mm/min.とした。被加工材料はねずみ鋳鉄である。200mm毎にツールを測定し、酸化などによる形状変化が±0.5mm以上、もしくは接触部に凝着が生じた時点で寿命とし「×」と判定した。また、形状変化が±0.3mm〜±0.5mmを「△」、形状変化が±0.3mm以下のものを「○」と判定した。
表1に用いた焼結体の成分組成、WC、NbCの有無、良否を示す。「×」と判定されたサンプルNo.5は、WC相を有しており、WC相が鉄の摩擦撹拌プロセスにおいてツール寿命に悪影響を及ぼすことが確認された。
Figure 2014140854
<実施例2>
次に、サンプルNo.4、6〜8、11について、ショルダー部直径がΦ16、ショルダー部角度5°、ピン部直径Φ3mm、ピン部長さ7mmの摩擦撹拌プロセスツールを作製し、負荷への耐久性を評価した。
条件はスポット加工とし、ツール回転速度2000r.p.mとした。被加工材料はねずみ鋳鉄である。8mmまで圧入させて損失のなかったものを「良」とした。表2に、用いた焼結体の成分組成、WC、NbCの有無、良否を示す。
Figure 2014140854
これらの結果から、W、Nb、Cuを添加することで、負荷に強い摩擦撹拌プロセスツールが得られることが確認された。
<実施例3>
次に、サンプルNo.4、6〜8、11について、ショルダー部直径がΦ16、ショルダー部角度7°、ピン部直径Φ3mm、ピン部長さ7mm、10mmの摩擦撹拌プロセスツールを作製し、負荷への耐久性を評価した。
条件はツール回転速度3000r.p.m、移動速度100mm/min.で移動距離200mmとした。被加工材料はねずみ鋳鉄である。ピン長さの1mm増しまで圧入させて損失のなかったものを「良」とした。表3に用いた焼結体の成分組成、良否を示す。
Figure 2014140854
7mmにおいては、W、Nb、Cuの添加で、「良」であり、10mmにおいては、Nb、Cuの添加で「良」であり、Nb、Cuの添加でさらに負荷に強い摩擦撹拌プロセスツールが得られることが確認された。
1 ツールヘッド
2 ショルダー部
3 ピン部
4 ツールヘッドホルダー

Claims (9)

  1. 炭素の原子割合/(炭素の原子割合+窒素の原子割合)が0.5〜1の範囲にあるTiCN系サーメットで構成されていることを特徴とする摩擦撹拌プロセスツール。
  2. 前記TiCN系サーメットが、TiCN構造を有するセラミックス相と鉄族元素を主成分とする金属相からなり、少なくともMoを2〜45質量%、Niを4〜40質量%の範囲で含有し、セラミックス相の体積比が58〜98体積%であることを特徴とする請求項1に記載の摩擦撹拌プロセスツール。
  3. 前記TiCN系サーメットにおいて、更に、20質量%以下の、W及び/又はNbを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の摩擦撹拌プロセスツール。
  4. 前記TiCN系サーメットが、TiCN構造を有するセラミックス相、NbC構造を有するセラミックス相と鉄族元素を主成分とする金属相からなり、少なくともMoを2〜45質量%、Nbを20〜35質量%、Niを4〜40質量%の範囲で含有し、セラミックス相の体積比が58〜98体積%であることを特徴とする請求項1に記載の摩擦撹拌プロセスツール。
  5. 前記TiCN系サーメットにおいて、更に、10質量%以下の、Wを含有することを特徴とする請求項1又は4に記載の摩擦撹拌プロセスツール。
  6. 0.4〜20質量%の鉄族元素をCuで置換していることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の摩擦撹拌プロセスツール。
  7. ショルダー部角度が−0.5〜15°であり、ツールヘッドから突出するピン長/ピン直径が0〜5の範囲であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の摩擦撹拌プロセスツール。
  8. 前記請求項1から7のいずれか一項に記載の摩擦撹拌プロセスツールを用いることを特徴とする鉄系材料の表面改質方法。
  9. 前記請求項1から7のいずれか一項に記載の摩擦撹拌プロセスツールを用いることを特徴とする鉄系材料を一方とする接合方法。
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