このように測定対象のスポーツごとに、その測定方法、表示内容、構造等が異なるため、例えば、学校やスポーツクラブなどのように、複数のスポーツの速度を測定したいときは、それぞれのスポーツ用の速度測定装置を購入する必要があった。
本発明は、複数の異なるスポーツに関する速度を測定するのに適した速度測定装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、(1)マイクロ波ドップラーセンサと、前記マイクロ波ドップラーセンサから出力されるドップラー信号に基づいて速度を検出し、当該速度に基づいて表示用情報を生成して表示手段に表示させる制御手段とを備えるスポーツ用の速度測定装置であって、前記制御手段は、測定対象のスポーツにおける所定の一動作単位における前記表示用情報を生成する手段である専用処理手段と、所定の時間間隔で繰り返し求めた瞬間速度を前記表示用情報として生成する手段である汎用処理手段と、ユーザからの切替指示に基づいて前記専用処理手段と前記汎用処理手段とを切り替える切替手段とを備える。
このようにすれば、ユーザは、必要に応じて、測定対象のスポーツにおける所定の一動作単位における表示用情報が表示される専用モードと、所定の時間間隔で繰り返し求められた瞬間速度が表示される汎用モードとを切り替えて利用できる。したがって、複数の異なるスポーツに関する速度を測定するのに適した速度測定装置を提供することができる。
表示用情報は、速度情報とするとよい。表示用情報は、速度そのものの情報としてもよいし速度から求めた情報(例えば、移動距離や飛距離など)としてもよい。表示用情報は数値情報としてもよいし、グラフ等の各種の態様の情報としてもよい。
切替手段は、前記専用処理手段と前記汎用処理手段とを相互に切り替え可能とし、ユーザからの切替指示は、入力手段から入力させるようにするとよい。
専用処理手段は、測定対象のスポーツにおける所定の一動作単位における前記表示用情報を生成する手段であり、測定対象の特定のスポーツに特化した処理によって表示用情報を生成するようにするとよく、生成する表示用情報も測定対象のスポーツに特化した情報とするとよい。
専用処理手段が、マイクロ波ドップラーセンサから出力されるドップラー信号に基づいて表示用情報を生成する処理としては、例えば、前記一動作単位の間、マイクロ波ドップラーセンサから出力されるドップラー信号を周波数解析して繰り返し速度を算出し、繰り返し算出した速度を記録し、その記録した速度の履歴に基づいて、当該一動作単位における表示対象となる表示用情報を生成するようにしてもよい。表示用情報として、例えば、当該一動作単位の速度の履歴中で最初に測定対象の速度範囲内の速度が現れた際の値を初速度情報として生成したり、当該一動作単位の速度の履歴中で最後に測定対象の速度範囲内の速度が現れた際の値を終速度情報として生成したりするなど、各種の態様をとりうる。例えば、表示用情報として一動作単位における速度の履歴を時系列に並べたグラフを生成するようにすると、当該一動作単位におけるグラフが表示されることとなる。
一方、汎用処理手段は、所定の時間間隔で繰り返し求めた瞬間速度を前記表示用情報として生成する手段であり、専用処理手段とは異なり、測定対象のスポーツにおける所定の一動作単位にはとらわれず、連続して瞬間速度を前記表示用情報として表示するようにする。汎用処理手段は、特定のスポーツに特化しない処理によって表示用情報を生成するようにするとよく、生成する表示用情報も特定のスポーツに特化しない情報とするとよい。所定の時間間隔は、各種のスポーツで共通して測定するのに適した時間間隔とするとよい。この所定の時間間隔は、少なくとも1秒以下とするとよく、望ましくは100ミリ秒以下とするとよい。表示用情報として、例えば、所定の時間間隔で繰り返し求めた瞬間速度の履歴を記憶しておき、表示するようにしてもよい。例えば、表示用情報として瞬間速度の履歴を時系列に並べたグラフを生成する場合、最新の所定件数の瞬間速度の履歴のグラフを表示するとよい。
(2)前記専用処理手段は、前記測定対象のスポーツにおける所定の一動作単位の開始と終了を、前記マイクロ波ドップラーセンサから出力されるドップラー信号に基づいて特定するとよい。
前記専用処理手段は、前記測定対象のスポーツにおける所定の一動作単位の開始と終了を、各種のセンサ等から得た情報に基づいて特定するようにしてもよい。しかし特にドップラー信号に基づいて特定するとよい。このようにすれば、別のセンサを設けることなく、コストのかからない、複数の異なるスポーツに関する速度を測定するのに適した速度測定装置を提供することができる。
(3)ユーザからの開始指示と終了指示とを入力するための指示入力手段を備え、前記汎用処理手段は、前記指示入力手段によってユーザからの開始指示が入力されてから前記指示入力手段によってユーザからの終了指示を入力するまで、前記所定の時間間隔で繰り返し求めた瞬間速度を前記表示用情報として生成して表示手段に表示させるとよい。
汎用処理手段は、電源の投入ないし切替手段による汎用処理手段への切替から、電源の切断ないし専用処理手段への切替まで、瞬間速度を前記表示用情報として生成して表示手段に表示させるようにしてもよいが、このようにすると特によい。このようにすれば、各種のスポーツに応じたユーザの意図に沿った範囲の速度を汎用的に測定できるからである。
(4)前記制御手段は、前記専用処理手段による処理中であるか前記汎用処理手段による処理中であるかを示す情報を前記表示手段に表示させる処理を行うとよい。
このようにすれば、専用処理手段による速度の測定中であるか、汎用処理手段による速度の測定中であるかを容易に確認することができる。したがって、複数の異なるスポーツに関する速度を測定するのに適している。
(5)前記専用処理手段を複数備え、それぞれの専用処理手段は、前記測定対象のスポーツとして、ピッチング、バッティング、ゴルフ、短距離走のうち少なくともいずれか1のスポーツに特化した前記表示用情報を生成する処理を行い、前記制御手段は、前記それぞれの専用処理手段のいずれの処理手段による処理を行うかを切り替える手段と、現在処理中の前記測定対象のスポーツがいずれのスポーツであるかを示す情報を前記表示手段に表示させる手段とを備えるとよい。
このようにすれば、測定対象のスポーツに近い処理に切り替えて測定させることができ、どのスポーツに適した速度の測定処理中であるかも容易に把握することができる。
(6)前記汎用処理手段は、前記表示用情報として測定開始から現在までに測定した前記瞬間速度のうち最高の速度のものを記憶し、表示させる処理を行うとよい。
(7)前記汎用処理手段は、前記表示用情報として前記瞬間速度の時系列の変化を示すグラフを前記表示手段に表示させる処理を行うとよい。
(8)前記専用処理手段を複数備え、前記専用処理手段間で、前記表示用情報の前記表示手段への表示方向を異なる方向とするとよい。
専用処理手段は、測定対象のスポーツにおける所定の一動作単位における前記表示用情報を生成して表示手段に表示させるので、その一動作単位と表示手段をユーザが見る方向に関連性を有する場合がある。マイクロ波ドップラーセンサと表示手段との位置関係が固定される場合、特に優れた効果を奏する。
また、例えば、通常は、マイクロ波ドップラーセンサを測定対象に向けて測定するため、表示用情報を見る者は、マイクロ波の出射方向でない方向から、表示用情報を見ることとなる場合が多い。しかし、例えばゴルフクラブのスイングの測定のように、測定者自らが測定対象者または測定対象物を動かす者となり、かつ、表示用情報を見る者にもなる場合には、マイクロ波の出射方向から表示用情報を見ることとなる。したがって、このような測定対象のスポーツにおける特性に応じて、前記専用処理手段間で、前記表示用情報の前記表示手段への表示方向を異なる方向とすることで、表示用情報の表示が見やすく、複数の異なるスポーツに関する速度を測定する際に使い勝手のよい速度測定装置を実現することができる。
(9)前記専用処理手段を複数備え、前記専用処理手段には、前記表示用情報として複数の種類の情報を生成し、生成した複数の種類の情報を同時に前記表示手段に表示させるものと、前記表示用情報として複数の種類の情報を生成し、生成した複数の種類の情報のうちいずれか1つのみを前記表示手段に表示させることが可能なものとを備え、当該いずれか1つのみを表示させる場合には、前記複数の種類の情報を同時に表示させる場合に比べ、大きく当該1つの表示用情報を表示させるようにするとよい。
このようにすれば、例えば、表示用情報を見る者と表示手段との距離が遠い測定対象のスポーツでは、大きく当該1つの表示用情報が表示されて見やすく、かつ、表示用情報を見る者と表示手段との距離が近い測定対象のスポーツでは、複数の情報を同時に把握することが可能となる。
(10)前記専用処理手段は、前記一動作単位における前記表示用情報を生成して終了する処理モードと、前記一動作単位における前記表示用情報の生成が完了したら、再度次の一動作単位における前記表示用情報の生成を行う処理モードとを備えるとよい。
(11)前記専用処理手段を複数備え、前記専用処理手段には前記一動作単位における前記表示用情報を、一動作単位毎に外部メモリに書き出すものと、一動作単位毎に外部メモリに書き出さず、内部メモリに測定結果を記憶しておき、ユーザからの指示に基づいて内部メモリの測定結果を外部メモリに書き出すものとを備えるとよい。
(12)前記速度測定装置は、本体と、前記本体から無線送信された前記表示用情報を受信して表示する子機とを備え、前記子機は前記本体から無線送信された前記表示用情報のうち予め設定された本体識別情報に合致するもののみを表示させるとよい。
(13)本発明のプログラムは、(1)から(12)に記載の速度測定装置における制御手段としての機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとして実現するとよい。
本発明によれば、複数の異なるスポーツに関する速度を測定するのに適した速度測定装置を提供することができる。
以下、図面を用いて本発明の好適な実施形態を説明する。本実施形態の速度測定装置は、マイクロ波ドップラーセンサを用い、そのマイクロ波ドップラーセンサから出力されるドップラー信号に基づき、制御部で演算処理をして速度を求め、その求めた結果を表示部へ出力するものである。図1は本速度測定装置の機能構成を、図2,図3は本速度測定装置の外観構成を示す図である。本速度測定装置は、本体10(図2)と子機30(図3)とから構成される。
本体10は、マイクロ波ドップラーセンサ11と、そのマイクロ波ドップラーセンサ11から出力されるドップラー信号を増幅するアンプ12と、制御部13と、表示部14と、記憶部15と、通信部16と、操作部17とを備える。制御部13は、CPU、ROM、RAM、I/O等を備えるマイコンであって、アンプ12と表示部14と記憶部15と通信部16と操作部17と接続されており、アンプ12の出力に基づき速度を算出する速度算出処理、速度算出処理で算出した速度を表示部14に表示させる速度表示処理、速度算出処理で算出した速度を記憶部15に記憶させる記憶処理、通信部16から情報を通信する通信処理、操作部17の操作に応じた処理を行うユーザインターフェース処理等の各種の処理を行う。制御部13のマイコンはROMに記憶されたプログラムを実行することにより、各種の処理を行い、各種の機能を実現する。
図2(a)は本体10の天面の構成を、図2(b)は本体10の底面の構成を、図2(c)は本体10の左側面の構成を示す図である。本体10の天面には、通信部16を構成する無線通信部16aと表示部14と操作部17を構成する電源ボタン17a、スタート/ストップボタン17b、操作ボタン17cを備える。表示部14は、天面の中心部に配置し、表示部14の上側(ドップラーセンサ11配置側)に、無線通信部16aを配置し、表示部14の下側(ドップラーセンサ11配置側と反対側)に操作部17を配置している。操作ボタン部17cは、中心にセットボタン、セットボタンの上側に上ボタン、下側に下ボタン、右側に右ボタン、左側に左ボタンを配置している。本体10の底面には電池格納部21と市販のカメラ用三脚を取り付けるための三脚取付部22を有する。電池格納部21に格納された電池からマイクロ波ドップラーセンサ11、アンプ12、制御部13、表示部14、記憶部15、通信部16、操作部17は電源供給を受けて動作する。本体10の左側面には、記憶部15を構成するメモリカードリーダ15a、通信部16を構成するUSB端子16bを備える。
ドップラーセンサ11配置側を測定対象1の移動する物体に向けて速度を測定する。無線通信部16aには送信アンテナを備え、制御部13は、無線通信部16aを制御し、算出した速度等の各種の情報を子機へ送信する機能を備える。表示部14はドットマトリックス液晶表示パネルであり、制御部13の制御により、速度の検出結果(測定結果)やバッテリー残量などを表示する。電源ボタン17aは、電源をON/OFFするためのボタンである。セットボタンは、各種設定の決定に使用するボタンであり、上ボタンは、各種設定項目の選択(上移動)に使用するボタンである。下ボタンは各種設定項目の選択(下移動)に使用するボタンである。左ボタンは、メインメニューを表示させるためなどに使用するボタンである。右ボタンは、設定メニューの表示や各種設定項目へ移行するときに使用するボタンである。メモリカードリーダ15aは、microSDカードスロットを有し、制御部13は、メモリカードリーダ15aを制御し、制御部13に備えたメモリに記録した測定結果を、メモリカードリーダ15aに挿入されたmicroSDカードに保存する機能を備える。保存した結果は、制御部13が読み出して表示部14に表示させたり、パソコンでこのmicroSDカードを読み取って表示させたりすることができる。USB端子16bは、miniUSB端子であり、miniUSB端子に電源を供給する市販のACアダプターやUSB端子を備えたパソコン等からの電源供給のほか、パソコンとUSBケーブルで接続することにより、制御部13の制御によって、制御部13のメモリ内のデータやmicroSDカードスロットに挿入されたmicroSDカードに保存されたデータをパソコンへ転送する機能を備える。また、操作部17からの操作と同様の操作をUSB端子16bに接続されたパソコンからの制御指示に基づいて実行する機能と、表示部14に表示する情報をUSB端子16bに接続されたパソコンに対して送信する機能とを備える。
子機30は、制御部33と、表示部34と、通信部36と、操作部37とを備える。制御部33は、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ、I/O等を備えるマイコンであって、表示部34と通信部36と操作部37と接続されており、本体10の通信部16から送信された情報を通信部36で受信し、通信部36からその受信した情報を受け取る通信処理、通信部16から受信した情報を表示部34に表示させる表示処理、操作部37の操作に応じた処理を行うユーザインターフェース処理等を行う。制御部33のマイコンはROMに記憶されたプログラムを実行することにより、各種の処理を行い、各種の機能を実現する。
図3は、子機30の操作面からみた構成を示す図である。子機30は、携帯可能なリモコンであり、表示部34、通信部36を構成するアンテナ36a、操作部37を構成する電源ボタン37a、ID登録ボタン37b、履歴ボタン37cを備える。
電源ボタン37aは、電源をON/OFFするときに使用するボタンであり、ID登録ボタン37bは、本体10に子機30のID登録を行うときに使用するボタンであり、履歴ボタン37cは、記録された結果を確認するときに使用するボタンである。表示部34は、ドットマトリックス液晶表示パネルであり、制御部33の制御により、本体10で測定された速度などを表示する。子機30の背面には、ボタン電池格納部を備え、ボタン電池格納部に格納されたボタン電池から制御部33、表示部34、通信部36、操作部37は電源供給を受けて動作する。
子機30は、本体10から無線送信された表示用情報を受信して表示する。子機30は通信部36によって受信した本体10から無線送信された表示用情報のうち、予め設定された本体識別情報に合致するもののみを表示させる処理を行う。したがって、子機30は何台でも増設することができ、複数の本体10が競技場内に存在する場合であっても、特定の本体10の測定結果(表示用情報)のみを表示させることができる。
そして、本実施形態の速度測定装置は、図4(a)に示すように、所定のスポーツ(検出モード)としてのピッチング、バッティング、ゴルフ、短距離走の専用モードと、これらの所定のスポーツには特化せずに、所定の時間間隔で繰り返し速度を算出して、算出した速度を表示する汎用モードとを備える。
ピッチングモードは、野球やソフトボール、サッカー、テニス、バレーボール、ハンドボールなどの球速を測定するために特化したモードであり、制御部13は、ボールの初速度、ボールの終速度、初速度と終速度との測定された地点間の距離である初速終速間距離を求め、これらを表示部14に表示させるとともに、無線通信部16aを制御してこのボールの初速度を、子機30へ送信する。子機30では、図4(b)に示すように、通信部36で本体10から送信されたボールの初速度を受信し、制御部33が通信部36からボールの初速度を取得して、表示部34にこのボールの初速度を表示させる。
バッティングモードは、野球やソフトボールのバッティングの速度を測定するために特化したモードであり、制御部13は、バットスイング速度、打球の初速度、打球の推定飛距離を求め、これらを表示部14に表示させるとともに、無線通信部16aを制御してこのバットスイング速度を、子機30へ送信する。子機30では、通信部36で本体10から送信されたバットスイング速度を受信し、制御部33が通信部36からバットスイング速度を取得して、表示部34にこのバットスイング速度を表示させる。
ゴルフモードは、ゴルフクラブスイングに関する速度を測定するために特化したモードであり、制御部13は、ゴルフクラブのヘッドスピード、ヘッドの打撃によって打ち出されたボールスピード、ボールの推定飛距離、ミート率を求め、表示部14に表示させる。ゴルフモードでは、子機への算出結果の送信は行わない。
短距離走モードは、陸上競技の100m走や走り幅跳びの助走などの速度を測定するために特化したモードであり、制御部13は、瞬時速度、最高速、最高速到達距離、最高速保持距離を求め、瞬時速度の時系列の変化をグラフとして、また最高速度、最高速度到達距離、最高速度保持距離を数値データとして、表示部14に表示させるとともに、無線通信部16aを制御してこの最高速度を、子機30へ送信する。子機30では、通信部36で本体10から送信された最高速度を受信し、制御部33が通信部36から最高速度を取得して、表示部34にこの最高速度を表示させる機能を有する。
汎用モードは、自動車や二輪車の走行、スキー・スノーボードの滑走などを含む各種のスポーツの速度を測定可能な特定の対象に特化しない汎用のモードであり、制御部13は、瞬間速度を求め、瞬間速度を時系列の変化をグラフとして、また、瞬間速度と、最高速度とを数値データとして、表示部14に表示させるとともに、無線通信部16aを制御してこの最高速度を、子機30へ送信する。子機30では、通信部36で本体10から送信された最高速度を受信し、制御部33が通信部36から最高速度を取得して、直近5回秒間の最高速度を制御部33の有するRAM上に保持し、表示部34にこの最高速度を表示させる機能を有する。
本体10の電源ボタン17aが2秒間続けて押下されると電池から制御部13及びその他の各部へ電源が供給され、子機30も同様に電源ボタン37cが2秒間続けて押下されると電池から制御部13及びその他の各部へ電源が供給される。
以下、制御部13の処理を中心に説明する。処理の主体の明示がない箇所は制御部13の処理である。
電源が供給されると、制御部13は図5に示すように、初めて電源が投入された場合には「メインメニュー画面」を表示する。一方、各測定モードのなどの画面を前回終了時に表示させていた場合には、どの画面が表示された状態で電源OFFがなされたかの情報を記憶しておき、この記憶された情報に基づいて前回の電源OFF時の画面を表示させ、その画面に対応する処理を実行する。
メインメニューは、「ピッチング」「バッティング」「ゴルフ」「短距離走」「汎用」「システム設定」の項目から構成されており、現在選択状態となっている項目は反転表示(黒地に白の文字)をする。
下ボタンの押下が検出されると、選択項目を下の項目に移動し、上ボタンの押下が検出されると選択項目を上の項目に移動する描画処理を行い、表示部5に表示させる。セットボタンの押下が検出されると、選択項目のモードの処理へ移行する。
例えば、図5に示すように、下ボタンを押下が検出された場合、選択項目を「ピッチング」から「バッティング」に移動し、この状態でセットボタンの押下が検出されるとバッティングモードの処理へ移行して、バッティングモードの画面を描画する処理を行い、表示部5にバッティングモードの画面を表示させる。
表示部5の上部には、図6に示すように、アイコン表示部を設けているおり、アイコン表示部は、すべての画面に共通して設けた表示部である。
アイコン表示部は、図6に示すように、左から右へ順に、(1)バッテリー残量表示部、(2)モード等表示部、(3)本体内部の記録状態表示部、(4)SDカード表示部を有する。(1)バッテリー残量表示部には、本体10を電池で使用しているときに、電池残量を2段階でアイコン表示する。(2)モード等表示部には、ピッチングモード、バッティングモード、ゴルフモード、短距離走モード、汎用モード、速度検出中、システム設定モードなど、現在のモード等を示すアイコンを表示する。(3)本体内部の記録状態表示部には、本体内部の制御部13のRAMの測定データ記憶領域の記録容量がいっぱいになった場合に、その旨を示すアイコンを表示する。(4)SDカード表示部には、microSDカードを装着していないときは表示を行わず、microSDカードを装着しているとき「SD」のアイコンを表示し、microSDカードの記憶容量がいっぱいになると「FULL」のアイコンを表示する。
次に子機30のアイコン表示について説明する。子機30も同様に図7に示すように表示部5内の上部に、アイコン表示部を設けており、子機30の制御部33は、アイコン表示部の描画処理を行って、子機30の表示部34にアイコン表示部を表示させる。子機30のアイコン表示部は、図7に示すように、左から右へ順に、(1)ローバッテリー表示(子機)部、(2)履歴表示部、(3)ローバッテリー表示(本体)部を有する。ローバッテリー表示(子機)部は、子機30の電池残量が少なくなるとその旨を示すアイコンを表示する。履歴表示部には、子機30で受信した速度記録結果を確認するときに「履歴1」〜「履歴9」を表示する。ローバッテリー表示(本体)には、本体の電池残量が少なくなった場合にその旨を示すアイコンを表示させる。
次に、各モードにおける処理等について説明する。まずピッチングモードについて説明する。ピッチングモードでは、野球やソフトボール、サッカー、テニス、バレーボール、ハンドボールなど、ボールの初速度(初速)、ボールの終速度(終速)、初速終速間距離(区間)を本体に表示し、子機30へ送信する。前述のように子機30は初速度のみを表示する。区間の表示は、初速度と終速度を検出した地点間の距離である。野球やソフトボールの投球の場合、図8に示すように、捕手の斜め後方、または投手の斜め後方に本体10を設置する。安定した検出を行うために、机などの台やカメラ用三脚を使用した設置を行うとよい。投手または捕手から本体10の距離は、約30m以内に設置し、捕手や投手の陰にならない場所に設置する終速度をより正確に検出させたい場合は、投手の斜め後方に設置すると、捕手(ボールの最終地点)が見通せるためよい。
具体的な処理としては、図9に示すように、制御部13は、ピッチングモードが選択された後、スタート・ストップボタン17bの押下を検出すると、ピッチングモードの測定処理を開始する。ピッチングモードの測定処理では、ボールの速度の範囲内にある時間を一単位として測定を行い、一単位の期間内で求めた測定結果を表示する。例えば、アンプ12から出力されるドップラー信号を周波数解析して繰り返し速度を算出し、繰り返し算出した速度をRAMに記録し、その記録した速度の履歴に基づいて、当該一単位における表示対象となる表示用情報(測定結果)を生成するようにする。測定結果は、図9に示すように、ボールの初速度(初速)、ボールの終速度(終速)、初速終速間距離(区間)である。初速は、最初に移動物として検出した球速を表示する。終速は、移動物として検出できなくなった直前の球速を表示する。区間は、初速度と終速度を検出した距離間を表示する。速度を検出した区間が短い場合など、瞬間の速度しか検出できないときは「0」や「---」で区間表示をする。一単位の測定を行うたびに、求めたこれらの値をシステム設定で設定された時間(初期値は3秒)、点滅表示させ、この一定時間経過後、求めたこれらの値の表示を点滅から点灯に変えて、検出結果が更新されたことを知らせる。なお、速度表示の点滅時間(初期値:3秒)は、システム設定にて、変更することができる。検出結果は、記録ナンバーとともに本体10の制御部13の不揮発性メモリに200件まで記録する。したがって、電池を取り外したり、電池が消耗しても検出結果の記録は消去されない。本体に記録された検出結果をシステム設定にてmicroSDカードに保存することができる。その後、制御部13に設定・記憶されている検出方法が「1回」であるか「連続」であるかを判定し、「1回」の場合には、測定処理を終了し、現在表示中の画面を表示した状態とする一方、連続の場合には、再度ピッチングモードの測定処理を行う(すなわち、次の一単位の計測を開始する)。これらの処理中には、スタート・ストップボタン17bの押下が検出されたかを検出し、スタート・ストップボタン17bの押下が検出された場合には、測定処理を終了し、現在表示中の画面を表示した状態とする。
次にバッティングモードについて説明する。バッティングモードでは、バッティングモードでは、野球やソフトボールおけるバットスイング速度、打球の初速度、打球の推定飛距離を本体10の表示部14に表示し、子機30へ送信して、子機30は、バットスイング速度を表示する。図10(a)に示すように、本体10を捕手の斜め後方(打者の反対側)からバットスイング位置に向けて設置する安定した検出を行うために、机などの台やカメラ用三脚を使用した設置することが望ましい。打者から本体10の距離は、約5m以内に設置し、捕手の陰にならない場所に設置する。
具体的な処理としては、図10(b)に示すように、制御部13は、バッティングモードが選択された後、スタート・ストップボタン17bの押下を検出すると、バッティングモードの測定処理を開始する。バッティングモードの測定処理では、バットの打撃動作の速度の範囲内にある時間を一単位として測定を行い、一単位の期間内で求めた測定結果を表示する。測定結果は、図10(b)に示すように、バットスイング速度(バット)、打球の初速度(打球)、打球の推定飛距離(飛距離)である。飛距離表示は、「打球の角度:45度」、「打点の高さ:1m」の条件で、打球の速度から目安とする飛距離を算出する。なお、飛距離は、センター方向への打球を基準にしており、一塁方向や三塁方向への打球は、誤差が大きくなる場合がある。バットスイング速度(バット)、打球の初速度(打球)は、例えば公知の方法で算出する。打球の初速度(打球)が検出されない場合には、打球の初速度(打球)、打球の推定飛距離(飛距離)は表示しない。したがって、図10(c)に示すように、打者の動作条件により、検出結果の表示内容は次のように異なる。すなわち、球を打ち返したときやノックしたときには、バットスイング速度(バット)、打球の初速度(打球)、打球の推定飛距離(飛距離)が測定され、表示される。球を空振りしたときや素振りしたときには、バットスイング速度(バット)が測定され、表示される。一単位の測定を行うたびに、求めたこれらの値をシステム設定で設定された時間(初期値は3秒)、点滅表示させ、この一定時間経過後、求めたこれらの値の表示を点滅から点灯に変えて、検出結果が更新されたことを知らせる。なお、速度表示の点滅時間(初期値:3秒)は、システム設定にて、変更することができる。検出結果は、記録ナンバーとともに本体10の制御部13の不揮発性メモリに200件まで記録する。したがって、電池を取り外したり、電池が消耗しても検出結果の記録は消去されない。本体に記録された検出結果をシステム設定にてmicroSDカードに保存することができる。その後、制御部13に設定・記憶されている検出方法が「1回」であるか「連続」であるかを判定し、「1回」の場合には、測定処理を終了し、現在表示中の画面を表示した状態とする一方、連続の場合には、再度バッティングモードの測定処理を行う(すなわち、次の一単位の計測を開始する)。これらの処理中には、スタート・ストップボタン17bの押下が検出されたかを検出し、スタート・ストップボタン17bの押下が検出された場合には、測定処理を終了し、現在表示中の画面を表示した状態とする。
次にゴルフモードについて図11〜図13を参照して説明する。ゴルフモードでは、ゴルフクラブスイングにおけるヘッドスピード、ボールスピード、推定飛距離、ミート率を本体10の表示部14に表示する。
具体的な処理としては、図11に示すように、ゴルフモードが選択された後、制御部13は、本体10の右ボタンの押下が検出されたかを判定し、右ボタンの押下が検出された場合には、設定メニューの処理へ移行する。右ボタンの押下が検出されない場合には、スタート・ストップボタン17bの押下が検出されたかを判定する。スタート・ストップボタン17bの押下を検出すると、ゴルフモードの測定処理を開始する。スタート・ストップボタン17bの押下が検出されない場合には、右ボタンの押下の検出判定へと戻る。
なお、図11上段に示すように、ゴルフモードでの表示部14への表示は他のモード(センサ11側が画面の上側となる)とは異なりセンサ11側が画面の下側になるよう、画面の上下を反転して表示する処理を行う。このように、ゴルフモードでは、他のモードとは画面の表示方向を異なる方向としている。ゴルフモードの測定の際には、他のモードの測定の場合とは異なり、測定者自らが測定対象者または測定対象物を動かす者となり、かつ、測定結果を見る者にもなる場合には、マイクロ波ドップラーセンサ11の出射方向側から測定結果を見ることとなるが、このようにすることで、それぞれのモードにおいて、測定結果の表示が見やすく、複数の異なるスポーツに関する速度を測定する際に使い勝手のよい速度測定装置を実現することができる。
設定メニューの処理では、設定メニューを表示し、本体10の上ボタン、下ボタンの押下を検出して、設定メニュー中の選択項目である「クラブ種選択」が選択された状態で右ボタンが押下されたかを検出する。クラブ種選択」を選択された状態で右ボタンが押下された場合には、クラブ種選択メニューを表示する。クラブ種選択メニューは、上から下へ順に1W、3W、5W、3I、4I、5I、6I、7I、8I、9I、User1、User2、User3の選択項目を表示し、上ボタン・下ボタンの押下を検出して、これらの選択項目の中から選択中のクラブを反転表示させる。セットボタンの押下が検出された場合には、選択中のクラブを選択されたクラブとして設定し(制御部13の不揮発性メモリに記憶する)、前述したゴルフモードが選択された後の処理へ戻る。なお、クラブ種の初期値は1Wとしている。
ユーザは、スタート・ストップボタン17bの押下後、図11に示すように、ボールを打ち出す方向へ、本体10のマイクロ波ドップラーセンサ11が向くように設置する。本体11は、起伏のない平坦な場所に置き、本体とボールの間に障害物がないように設置する。
ゴルフモードの測定処理では、ゴルフクラブのスイング動作の速度の範囲内にある時間を一単位として測定を行い、一単位の期間内で求めた測定結果を表示する。測定結果の表示は、設定メニューの「画面セレクト」の設定で「ヘッドスピード/ボールスピード/ミート率/推定飛距離/すべて」の項目の中から選択しておき、その選択された内容で行う。なお、初期値は、「ヘッドスピード」に設定している。図11下段に示すように、「ヘッドスピード」に設定されている場合にはヘッドスピードを表示し、「ボールスピード」が表示されている場合には、ボールスピードを表示し、「ミート率」が表示されている場合には、ミート率を表示し、「推定飛距離」に設定されている場合には図12(a)に示すように推定飛距離を表示し、「すべて」に設定されている場合には図12(b)に示すようにヘッドスピードとボールスピードとミート率と推定飛距離をすべて表示する。図11下段及び図12(a)左側に示すように「ヘッドスピード/ボールスピード/ミート率/推定飛距離」のうちいずれか1つのみを表示させる場合には、図12(a)右側に示すようにヘッドスピードとボールスピードとミート率と推定飛距離をすべて表示する場合に比べ、「ヘッドスピード/ボールスピード/ミート率/推定飛距離」のうち表示対象として設定されているものを大きく表示させるようにしている。ゴルフモードでは、他のモードの測定の場合とは異なり、測定者自らが測定対象物であるゴルフクラブをスイングする者となり、かつ、測定結果を見る者にもなるため、本体10から離れて測定結果を見ることとなるが、「ヘッドスピード/ボールスピード/ミート率/推定飛距離」のうちいずれか1つのみを表示させる場合には、大きく1つの測定結果のみが表示されるため、見やすい。一方、他のモードでは、複数の情報を同時に把握することが可能となる。なお、ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率、推定飛距離は、例えば特開2010−005289号公報に記載の方法で測定・算出するとよい。ミート率は、「ボールスピード÷ヘッドスピード」で算出する。推定飛距離は、ボールスピードを検出できた場合は、ボールスピードから算出する。素振りした場合、弾道が高い球(番手の大きなアイアンなどで打った球)など、ボールスピードを検出できなかった場合、ヘッドスピードから算出する。ボールスピードはヘッドとボールの反発係数が加味されているため、ヘッドスピードからの推定飛距離と比較して、より正確な数値が算出できる。推定飛距離を算出するためのロフト角は、例えば図13に示すようにクラブ種別に設定しておき、この設定された値を用いて推定飛距離を算出するとよい。また、求めたミート率が1.40(初期値)以上である場合には、図12(b)に示すようにナイスショット表示を行う。なお。ミート率の値(=ナイスショット基準値)は、設定メニューで変更することができる。一単位の測定を行うたびに、求めたこれらの値をシステム設定で設定された時間(初期値は3秒)、点滅表示させ、この一定時間経過後、求めたこれらの値の表示を点滅から点灯に変えて、検出結果が更新されたことを知らせる。なお、点滅時間(初期値:3秒)は、システム設定にて、変更することができる。検出結果は、記録ナンバーとともに本体10の制御部13の不揮発性メモリに500件まで記録する。したがって、電池を取り外したり、電池が消耗しても検出結果の記録は消去されない。本体に記録された検出結果をシステム設定にてmicroSDカードに保存することができる。ナイスショット表示は、検出結果を点滅表示している間、表示する。これらの処理が完了すると、再度ゴルフモードの測定処理を行う(すなわち、次の一単位の計測を開始する)。測定結果が得られてから、一定の時間経過してから(測定禁止期間を挟んで)次の測定に移るようにしてもよい。これらの処理中には、スタート・ストップボタン17bの押下が検出されたかを検出し、スタート・ストップボタン17bの押下が検出された場合には、測定処理を終了し、現在表示中の画面を表示した状態とする。
次に短距離走モードについて説明する。短距離走モードでは、100m走などで人が走る速度を数値やグラフで本体10の表示部に表示し、子機30へ送信する。子機30は、最高速度を表示(小数点以下は、四捨五入)する。走るコースが直線であること、他に走者がいない条件で使用するようにする。本機では約20〜120mの直線距離を走る速度表示が可能である。
図14(a)に示すように、本体10を、スタート位置の真後ろ約3〜5m程度の位置に本体を設置し、マイクロ波ドップラーセンサ11を走者の背中辺りに向ける。安定した検出を行うために、机などの台やカメラ用三脚を使用した設置をすることが望ましい。
具体的な処理としては、図14(b)に示すように、制御部13は、短距離走モードが選択された後、スタート・ストップボタン17bの押下を検出すると、短距離走モードの測定処理を開始する。短距離走モードの測定処理では、最初に速度が検出されてから、検出した速度と時間の経過に基づいて距離を積算して求め、距離が設定メニューで設定された距離(20〜120mの範囲か10m単位で設定できる。初期値は100mとしている。)に達したら測定を終了するという動作を一単位として測定を行う。表示形式は、設定メニューで「グラフ表示」と「数値表示」のどちらを行うかを設定しておき、設定された表示形式での表示を行う。「グラフ表示」に設定されている場合には、図14(c)左側に示すように、一単位中に測定された最高速度と、1単位中に随時測定された速度を縦軸、設定メニューの「グラフ横軸項目」での設定(「時間(S)」か「距離(m)」であり、初期値は「時間」としている)に応じたものを横軸としてグラフを表示する。縦軸は、「速度(km/h)」で表示し、本体の上ボタン・下ボタンの押下が検出されると、縦軸(速度)の表示範囲をスクロール表示させる。「数値表示」に設定されている場合には、図14(c)右側に示すように、「最高速」、「A時間」と「A距離」と「B時間」と「B距離」を表示する。「最高速」には、一単位中で求めた最高速度を表示する。「A時間」には、最高速度に達するまでに要した時間を表示する。「A距離」には、最高速度に達するまでに要した距離を表示する。「B時間」には、最高速度が保持されていた時間(最高速度から、設定メニューで設定された最高速度保持条件分(初期値2km/h)の減速を検出するまでの時間)を表示する。「B距離」は、最高速度保持距離(最高速度から、設定メニューで設定された最高速度保持条件分(初期値2km/h)の減速を検出するまでの距離)を表示する。これらの検出結果は、最新の1件のみ本体10の制御部13の不揮発性メモリに記録する。したがって、電池を取り外したり、電池が消耗しても検出結果の記録は消去されない。本体に記録された検出結果をmicroSDカードに自動的に保存することができる。その後、制御部13に設定・記憶されている検出方法が「1回」であるか「連続」であるかを判定し、「1回」の場合には、測定処理を終了し、現在表示中の画面を表示した状態とする一方、連続の場合には、再度短距離走モードの測定処理を行う(すなわち、次の一単位の計測を開始する)。これらの処理中には、スタート・ストップボタン17bの押下が検出されたかを検出し、スタート・ストップボタン17bの押下が検出された場合には、測定処理を終了し、現在表示中の画面を表示した状態とする。
このように、短距離走モードにおいては、表示用情報として一単位における速度の履歴を時系列に並べたグラフも生成され、当該一単位におけるグラフが表示される。
次に汎用モードについて説明する。汎用モードでは、自動車・二輪車の走行速度(モータースポーツ)やスキー・スノーボードの滑走などの速度を数値やグラフで本体10の表示部14に表示し、子機30へ送信する。子機30は、受信した直近5秒間における最高速度を表示部34に表示する。
図15(a)に示すように、本体10を、移動する物体(自動車など)の前方または後方から、本体10のマイクロ波ドップラーセンサ11を向けて設置する。安定した検出を行うために、机などの台やカメラ用三脚を使用した設置をすることが望ましい。
具体的な処理としては、図15(b)に示すように、制御部13は、汎用モードが選択された後、スタート・ストップボタン17bの押下を検出すると、汎用モードの測定処理を開始する。汎用モードの測定処理では、随時(設定メニューで100ms〜1000ms毎の間で100ms毎設定可能であり、初期値は500ms毎)速度を検出して、図15(b)に示すように、最新の検出速度と、測定処理の開始から現在までの検出速度の中の最高速度と、グラフとを表示する。グラフの表示は、随時測定された速度を縦軸、設定メニューの「グラフ横軸項目」での設定(「時間(S)」か「距離(m)」であり、初期値は「時間」としている)に応じたものを横軸として行う。縦軸は、「速度(km/h)」で表示し、本体10の上ボタン・下ボタンの押下が検出されると、縦軸(速度)の表示範囲をスクロール表示させる。速度の表示が横軸の右端まで達した場合には、最新の検出速度を右端として過去50秒分の検出速度が表示されるように、グラフをスクロール表示させる。これらの検出結果は、随時、本体10の制御部13の不揮発性メモリに記録する。したがって、電池を取り外したり、電池が消耗しても検出結果の記録は消去されない。本体に記録された検出結果をmicroSDカードに自動的に保存することができる。これらの処理中には、スタート・ストップボタン17bの押下が検出されたかを検出し、スタート・ストップボタン17bの押下が検出された場合には、測定処理を終了し、現在表示中の画面を表示した状態とする。このように汎用モードでは、他のモードとは異なり1単位毎の測定を行わず、連続的な測定を行う。
このように汎用モードでは、表示用情報として瞬間速度の履歴を時系列に並べたグラフを生成し、最新の所定件数(過去50秒分に相当する件数)の瞬間速度の履歴のグラフを表示する。
以上説明したように、本実施形態の速度測定装置の本体10は、マイクロ波ドップラーセンサ11と、そのマイクロ波ドップラーセンサ11から出力されるドップラー信号を増幅するアンプ12と、アンプ12から出力されるドップラー信号に基づいて速度を検出し、当該速度に基づいて表示用情報を生成して表示部14に表示させる制御部13とを備えるスポーツ用の速度測定装置であり、制御部13は、測定対象のスポーツにおける所定の一動作単位(一単位)における表示用情報を生成する専用処理(ピッチングモードの処理、バッティングモードの処理、ゴルフモードの処理、短距離走モードの処理)と、これらの所定のスポーツには特化せずに、所定の時間間隔で繰り返し求めた瞬間速度を表示用情報として生成する処理である汎用処理(汎用モードの処理)と、ユーザからの切替指示に基づいて前記専用処理手段と前記汎用処理手段とを切り替える切替手段とを備える。ユーザからの操作部14からの切替指示に基づいて専用処理と汎用処理とを切り替える切替処理(メインメニューの処理)とを行う。
このようにして、ユーザは、必要に応じて、測定対象のスポーツにおける所定の一動作単位における表示用情報が表示される専用モード(ピッチングモード、バッティングモード、ゴルフモード、短距離走モード)と、所定の時間間隔で繰り返し求められた瞬間速度が表示される汎用モードとを切り替えて利用できる。したがって、複数の異なるスポーツに関する速度を測定するのに適した速度測定装置となる。
なお、各専用処理において、マイクロ波ドップラーセンサ11から出力されるドップラー信号に基づいて表示用情報(測定結果)を生成する処理としては、例えば、一単位の間、アンプ12から出力されるドップラー信号を周波数解析して繰り返し速度を算出し、繰り返し算出した速度をRAMに記録し、その記録した速度の履歴に基づいて、当該一単位における表示対象となる表示用情報を生成するようにするとよい。
汎用処理では、所定の時間間隔で繰り返し求めた瞬間速度を表示用情報(測定結果)として生成するので、専用処理とは異なり、測定対象のスポーツにおける所定の一動作単位にはとらわれず、連続して瞬間速度が表示用情報として表示される。汎用処理は、特定のスポーツに特化しない処理によって表示用情報を生成するようにしており、生成する表示用情報も特定のスポーツに特化しない情報としている。所定の時間間隔は、各種のスポーツで共通して測定するのに適した時間間隔としている。この所定の時間間隔は、前述のように、設定メニューで100ms〜1000ms毎の間で100ms毎設定可能であり、初期値は500ms毎としている。
各専用処理においては、測定対象のスポーツにおける所定の一動作単位の開始と終了を、ドップラー信号に基づいて特定するようにしたので、別のセンサを設けて所定の一動作単位の開始と終了を特定する必要がなくコストを抑えることができる。
汎用処理では、ユーザからの開始指示が入力されてから終了指示を入力するまで、所定の時間間隔で繰り返し求めた瞬間速度を表示用情報として生成して表示させるようにしたので、各種のスポーツに応じたユーザの意図に沿った範囲の速度を汎用的に測定することができる。
また、各処理モードにおいては、設定メニューに次の機能を備え、選択された場合にはその機能を実行するようにするとよい。
「ノーカウント」メニューを設け、最新の検出結果をメモリ上から消去するノーカウント機能を備える。このようにすれば、測定ミスがあった際にその結果を記録対象とさせないようにすることが容易にできる。
図16に示すように、本体の設置状況によっては、表示用情報(測定結果)の誤差を生じるので、「斜め方向補正」メニューを設け、測定対象の移動方向とマイクロ波の出射方向とのなす角を設定し、この設定された角度を用いて、表示用情報の角度誤差を補正して表示するとよい。
なお、設定メニューは、図5に示したメインメニューと同様の構成とし、例えば、図17に示すように構成とするとよい。