JP2014140341A - Rpn2遺伝子の発現抑制用核酸分子、rpn2遺伝子の発現抑制方法、およびその用途 - Google Patents

Rpn2遺伝子の発現抑制用核酸分子、rpn2遺伝子の発現抑制方法、およびその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】薬剤耐性乳がん治療に対して、RPN2遺伝子の発現を抑制可能な新たな核酸分子を提供する。
【解決手段】RPN2遺伝子の発現抑制配列として、下記(as1)、(as2)または(as3)のいずれかのヌクレオチド配列を含む核酸分子を、RPN2遺伝子の発現抑制用核酸分子とする。(as1)特定の塩基配列からなるヌクレオチド。(as2)前記(as1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列からなり、薬剤耐性乳がんのターゲットであるRPN2遺伝子の発現抑制機能を有するヌクレオチド。(as3)前記(as1)の塩基配列と90%以上の同一性を有するヌクレオチド。
【選択図】図5

Description

本発明は、がん疾患または薬剤耐性疾患の原因となるRPN2遺伝子の発現抑制用核酸分子、RPN2遺伝子の発現抑制方法、およびその用途に関する。
近年、乳がんは、日本人女性のがん罹患率のトップであり、他の国においても、女性のがん罹患率の上位を占めるに致っている。乳がんの治療には、トラスツズマブ、ドセタキセル等の薬物治療が行われているが、あらたに、前記薬物に抵抗性を示す薬剤耐性乳がんの問題が、指摘されている。
前記薬剤耐性乳がんでは、RPN2遺伝子が、高発現していることが報告されている。そして、RPN2遺伝子の発現抑制が、前記薬物耐性乳がんの治療に有効であることも報告されており、RPN2遺伝子の発現抑制剤の開発も進められている(特許文献1)。しかし、現状報告されている、RPN2遺伝子の発現抑制剤は、実用化に致っておらず、より優れたRPN2遺伝子の発現抑制剤の提供が求められている。
国際公開第2007/144985号
Honma K, Iwao-Koizumi K, Takeshita F, Yamamoto Y, Yoshida T, Nishio K, Nagahara S, Kato K, Ochiya T. "RPN2 gene confers docetaxel resistance in breast cancer."、Nat Med.、2008 Sep 14、vol.9、939-48頁
そこで、本発明は、RPN2遺伝子の発現を効率的に抑制可能な新たな核酸分子の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のRPN2遺伝子の発現抑制用核酸分子は、下記(as1)、(as2)または(as3)のヌクレオチドを含むことを特徴とする。
(as1)配列番号1〜5のいずれか一つの塩基配列からなるヌクレオチド
(as2)前記(as1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列からなり、薬剤耐性乳がんのターゲットであるRPN2遺伝子の発現抑制機能を有するヌクレオチド
(as3)前記(as1)の塩基配列と90%以上の同一性を有するヌクレオチド
本発明の組成物は、RPN2遺伝子の発現を抑制するための組成物であって、前記本発明の発現抑制用核酸分子を含むことを特徴とする。
本発明の組成物は、薬学的組成物であって、前記本発明の発現抑制用核酸分子を含むことを特徴とする。
本発明の発現抑制方法は、RPN2遺伝子の発現を抑制する方法であって、前記本発明の発現抑制用核酸分子を使用することを特徴とする。
本発明のRPN2遺伝子の発現に起因する疾患の治療方法は、前記本発明の発現抑制用核酸分子を、患者に投与する工程を含むことを特徴とする。
本発明の核酸分子によれば、RPN2遺伝子の発現抑制が可能である。このため、本発明は、RPN2遺伝子の発現が原因となる疾患、例えば、がん疾患、薬剤耐性疾患等の治療に有効である。
図1は、本発明の核酸分子の一例を示す模式図である。 図2は、本発明の核酸分子のその他の例を示す模式図である。 図3は、本発明の核酸分子のその他の例を示す模式図である。 図4は、本発明の核酸分子のその他の例を示す模式図である。 図5は、本発明の実施例1におけるRPN2遺伝子の発現量の相対値を示すグラフである。 図6は、本発明の実施例1におけるRPN2遺伝子の発現量の相対値を示すグラフである。 図7は、本発明の実施例1におけるRPN2遺伝子の発現量の相対値を示すグラフである。 図8は、本発明の実施例1におけるRPN2遺伝子の発現量の相対値を示すグラフである。
本明細書で使用する用語は、特に言及しない限り、当該技術分野で通常用いられる意味で用いることができる。
(発現抑制用核酸分子)
本発明の発現抑制用核酸分子(以下、「本発明の核酸分子」ともいう)は、前述のように、RPN2遺伝子の発現抑制配列として、下記(as1)、(as2)または(as3)のヌクレオチドを含むことを特徴とする。
(as1)配列番号1〜5のいずれか一つの塩基配列からなるヌクレオチド
(as2)前記(as1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列からなり、RPN2遺伝子の発現抑制機能を有するヌクレオチド
(as3)前記(as1)の塩基配列と90%以上の同一性を有するヌクレオチド
以下、前記(as1)、(as2)または(as3)のヌクレオチドを、asヌクレオチドといい、それぞれas1ヌクレオチド、as2ヌクレオチド、as3ヌクレオチドという。
本発明において、RPN2遺伝子の発現抑制は、特に制限されず、例えば、遺伝子の転写自体の抑制でも、遺伝子の転写産物を分解することによる抑制でも、遺伝子の転写産物からのタンパク質の翻訳を阻害することによる抑制でもよい。また、RPN2遺伝子の発現抑制は、例えば、本来の機能を有するRPN2タンパク質の発現抑制であってもよく、タンパク質が発現された場合、前記タンパク質は、例えば、前記機能が阻害されたタンパク質でもよいし、前記機能が欠失したタンパク質でもよい。前記RPN2遺伝子は、例えば、既存のデータベースに登録されている情報を参照できる。具体例として、ヒト由来RPN2遺伝子は、例えば、NCBI アクセッション番号Y00282で登録されている。
前記発現抑制配列は、例えば、前記asヌクレオチド配列からなる配列でもよいし、前記asヌクレオチド配列を含む配列でもよい。
前記発現抑制配列の長さは、特に制限されず、例えば、18〜32塩基長であり、好ましくは19〜30塩基長であり、より好ましくは19、20、21塩基長である。また、本発明において、例えば、塩基数の数値範囲は、その範囲に属する正の整数を全て開示するものであり、例えば、「1〜4塩基」との記載は、「1、2、3、4塩基」の全ての開示を意味する(以下、同様)。
前記as1ヌクレオチドの配列を以下に示す。なお、前記配列番号1〜5の塩基配列からなるヌクレオチド、前記ヌクレオチドを含む発現抑制配列、および前記ヌクレオチドを含む核酸分子を、それぞれ、以下に示す、配列番号の前の名称で表わすこともある。
NI−0067(配列番号1)
3’−GGAUGUUCGAGUACCUAGU−5’
NI−0069(配列番号2)
3’−GGCAUCUCGAGUCUCAGUU−5’
NI−0073(配列番号3)
3’−CUAGGCCUAACCACGGUUA−5’
NI−0074(配列番号4)
3’−CGUGUAAUCAAGGUCUUCU−5’
NI−0075(配列番号5)
3’−GUUCUUGUUAAGUGUCAUA−5’
前記as2ヌクレオチドにおいて、「1もしくは数個」は、特に制限されない。「1もしくは数個」は、例えば、1〜7個であり、好ましくは、1〜5個、より好ましくは、1〜4個、さらに好ましくは、1個、2個または3個である。前記as2ヌクレオチドは、例えば、前記as1ヌクレオチドと同様の機能を有していればよく、より詳細には、RPN2遺伝子の発現抑制機能を有していればよい。
前記as3ヌクレオチドにおいて、同一性は、90%以上であり、好ましくは、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上である。前記as3ヌクレオチドは、例えば、前記as1ヌクレオチドと同様の機能を有していればよく、より詳細には、RPN2遺伝子の発現抑制機能を有していればよい。前記同一性は、例えば、BLAST、FASTA等の解析ソフトウェアを用いて、デフォルトのパラメータにより算出できる(以下、同様)。
前記発現抑制配列は、前述のように、前記asヌクレオチド配列からなる配列でもよいし、前記asヌクレオチド配列を含む配列でもよい。後者の場合、前記発現抑制配列は、例えば、さらに、オーバーハング配列を有する形態があげられる。前記発現抑制配列において、例えば、前記asヌクレオチドの5’末端および3’末端のいずれかに、前記オーバーハング配列が付加されていてもよく、好ましくは3’末端である。
前記オーバーハング配列は、特に制限されず、例えば、長さおよび配列も、特に制限されない。前記オーバーハング配列は、例えば、(N)で表わすことができる。Nは、塩基であり、例えば、天然の塩基でもよいし、人工塩基でもよい。前記天然塩基は、例えば、A、C、G、UおよびTがあげられる。前記nは、正の整数であり、オーバーハング配列の塩基長を示す。前記オーバーハング配列(N)の長さ(n)は、例えば、1、2、3塩基長であり、好ましくは1または2塩基長であり、より好ましくは2塩基長である。前記オーバーハング配列(N)の長さが2塩基長以上の場合(n≧2)、連続する塩基(N)は、例えば、同じ塩基でもよいし、異なる塩基でもよい。前記オーバーハング配列(N)の配列は、例えば、siRNAのアンチセンスのオーバーハング配列が適用できる。前記(N)は、例えば、3’側から、UU、CU、GC、UA、AA、CC、UG、CG、AU、TT等が例示できる。
前記発現抑制配列が前記オーバーハング配列を有する場合、前記発現抑制配列は、具体例として、例えば、前記as1ヌクレオチドを含む、配列番号6〜10のいずれか一つの塩基配列(nは正の整数)からなるヌクレオチドがあげられる。以下の配列において、(N)は、オーバーハング配列であり、特に制限されず、前述の通りであり、好ましくは、前記オーバーハング配列の塩基長nが2である。また、各配列の横に、オーバーハング配列の一例(3’-5’方向に記載)を示すが、本発明は、これには限定されない。また、下記配列において、(N)nを除く領域が、前記as2ヌクレオチドまたは前記as3ヌクレオチドであってもよい。
NI−0067(配列番号6)
TT 3’−(N)nGGAUGUUCGAGUACCUAGU−5’
NI−0069(配列番号7)
TT 3’−(N)nGGCAUCUCGAGUCUCAGUU−5’
NI−0073(配列番号8)
TT 3’−(N)nCUAGGCCUAACCACGGUUA−5’
NI−0074(配列番号9)
TT 3’−(N)nCGUGUAAUCAAGGUCUUCU−5’
NI−0075(配列番号10)
TT 3’−(N)nGUUCUUGUUAAGUGUCAUA−5’
本発明の核酸分子は、さらに、前記発現抑制配列とアニーリングする相補配列を有することが好ましい。前記相補配列は、例えば、前記発現抑制配列における前記as1ヌクレオチド、前記as2ヌクレオチドまたは前記as3ヌクレオチドに対して相補的なヌクレオチド(以下、相補的ヌクレオチドという)を含む。
前記相補配列は、例えば、前記発現抑制配列とアニーリング可能であればよい。前記相補配列における前記相補的ヌクレオチドと、前記発現抑制配列における前記asヌクレオチドとは、その相補性が、例えば、90%以上が好ましく、より好ましくは、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上であり、特に好ましくは100%である。なお、前記発現抑制配列と前記相補配列とは、例えば、前者のasヌクレオチドと後者の相補的ヌクレオチドとが、前述のような相補性を示すことが好ましく、前者のasヌクレオチド以外の領域および後者の相補的ヌクレオチド以外の領域は、相補的でもよいし、非相補的でもよい。前記発現抑制配列と前記相補配列とをアライメントした際、例えば、前者のasヌクレオチド以外の領域および後者の相補的ヌクレオチド以外の領域は、例えば、対応する配列が存在しなくてもよい。具体例として、前記オーバーハング配列があげられる。すなわち、前記発現抑制配列と前記相補配列とをアライメントした際、前記発現抑制配列は、3’側にオーバーハング配列が突出した形状となり、前記相補配列は、5’側にオーバーハング配列が突出した形状となってもよい。
前記相補配列における前記相補的ヌクレオチドは、例えば、下記(s1)(s2)または(s3)のヌクレオチドがあげられる。
(s1)前記(as1)の塩基配列に相補的な塩基配列からなるヌクレオチド
(s2)前記(as2)の塩基配列に相補的な塩基配列からなるヌクレオチド
(s3)前記(as3)の塩基配列に相補的な塩基配列からなるヌクレオチド
以下、前記(s1)、(s2)または(s3)のヌクレオチドを、sヌクレオチドといい、それぞれs1ヌクレオチド、s2ヌクレオチド、s3ヌクレオチドという。
前記相補配列は、例えば、前記sヌクレオチドからなる配列でもよいし、前記sヌクレオチドを含む配列でもよい。
前記相補配列の長さは、特に制限されず、例えば、18〜32塩基長であり、好ましくは19〜30塩基長であり、より好ましくは19、20、21塩基長である。
前記s1ヌクレオチドの配列の具体例を以下に示す。配列番号11〜15の配列は、それぞれ、前記配列番号1〜5の塩基配列からなるas1ヌクレオチドに完全に相補的である。なお、前記配列番号11〜15の塩基配列からなるヌクレオチド、前記ヌクレオチドを含む発現抑制配列、および前記ヌクレオチドを含む核酸分子を、それぞれ、以下に示す、配列番号の前の名称で表わすこともある。
NI−0067(配列番号11)
5’−CCUACAAGCUCAUGGAUCA−3’
NI−0069(配列番号12)
5’−CCGUAGAGCUCAGAGUCAA−3’
NI−0073(配列番号13)
5’−GAUCCGGAUUGGUGCCAAU−3’
NI−0074(配列番号14)
5’−GCACAUUAGUUCCAGAAGA−3’
NI−0075(配列番号15)
5’−CAAGAACAAUUCACAGUAU−3’
前記相補配列は、前述のように、前記相補的ヌクレオチドからなる配列でもよいし、前記相補的ヌクレオチドを含む配列でもよい。後者の場合、前記相補配列は、例えば、さらに、オーバーハング配列を有する形態があげられる。前記相補配列において、前記相補的ヌクレオチドの5’末端および3’末端のいずれかに、前記オーバーハング配列が付加されていてもよく、好ましくは3’末端である。
前記オーバーハング配列は、特に制限されず、前記発現抑制配列における記載を援用できる。前記相補配列における前記オーバーハング配列(N)の配列は、例えば、siRNAのセンスのオーバーハング配列が適用できる。前記(N)は、例えば、5’側から、UU、CU、GC、UA、AA、CC、UG、CG、AU、TT等が例示できる。
前記相補配列が前記オーバーハング配列を有する場合、前記相補配列は、具体例として、例えば、前記s1ヌクレオチドを含む、配列番号16〜20のいずれか一つの塩基配列(nは正の整数)からなるヌクレオチドがあげられる。以下の配列において、(N)は、オーバーハング配列であり、特に制限されず、前述の通りであり、好ましくは、前記オーバーハング配列の塩基長nが2である。また、各配列の横に、オーバーハング配列の一例を示すが、本発明は、これには限定されない。また、下記配列において、(N)を除く領域が、前記s2ヌクレオチドまたは前記s3ヌクレオチドであってもよい。
NI−0067(配列番号16)
5’−CCUACAAGCUCAUGGAUCA(N)n−3’ TT
NI−0069(配列番号17)
5’−CCGUAGAGCUCAGAGUCAA(N)n−3’ TT
NI−0073(配列番号18)
5’−GAUCCGGAUUGGUGCCAAU(N)n−3’ TT
NI−0074(配列番号19)
5’−GCACAUUAGUUCCAGAAGA(N)n−3’ TT
NI−0075(配列番号20)
5’−CAAGAACAAUUCACAGUAU(N)n−3’ TT
以下に、前記asヌクレオチド配列と前記sヌクレオチド配列との組合せを例示する。本発明は、これらの例示には制限されない。
Figure 2014140341
本発明の核酸分子の構成単位は、特に制限されず、例えば、ヌクレオチド残基があげられる。前記ヌクレオチド残基は、例えば、リボヌクレオチド残基およびデオキシリボヌクレオチド残基があげられる。前記ヌクレオチド残基は、例えば、修飾されていない非修飾ヌクレオチド残基および修飾された修飾ヌクレオチド残基があげられる。
本発明の核酸分子は、例えば、RNA分子である。本発明の核酸分子は、例えば、リボヌクレオチド残基のみからなるRNA分子でもよいし、リボヌクレオチド残基の他に、デオキシリボヌクレオチド残基および/または非ヌクレオチド残基を含むRNA分子でもよい。
本発明の核酸分子は、例えば、前記二本鎖核酸分子でもよいし、前記一本鎖核酸分子でもよい。
(1)二本鎖核酸分子
前記核酸分子は、例えば、siRNA、またはsiRNAの前駆体等があげられる。前記二本鎖核酸分子は、例えば、そのアンチセンス鎖が、前記発現抑制配列を有し、そのセンス鎖が、前記相補配列を有することが好ましい。前記アンチセンス鎖は、例えば、前記発現抑制配列からなる一本鎖でもよいし、前記発現抑制配列を含む一本鎖でもよい。前記センス鎖は、例えば、前記相補配列からなる一本鎖でもよいし、前記相補配列を含む一本鎖でもよい。
前記二本鎖核酸において、各一本鎖の長さは、特に制限されない。前記アンチセンス鎖は、例えば、18〜32塩基長であり、好ましくは19〜30塩基長であり、より好ましくは19、20、21塩基長である。前記センス鎖は、例えば、18〜32塩基長であり、好ましくは19〜30塩基長であり、より好ましくは19、20、21塩基長である。
前記アンチセンス鎖および前記センス鎖は、それぞれ、3’末端にオーバーハングを有することが好ましい。前記オーバーハングは、例えば、例えば、1、2、3塩基長であり、好ましくは1または2塩基長であり、より好ましくは2塩基長である。オーバーハングの配列は、特に制限されず、例えば、前述の例示があげられる。
(2)一本鎖核酸分子
前記核酸分子は、例えば、1つの一本鎖から構成される一本鎖核酸分子である。前記核酸分子は、例えば、前記発現抑制配列と前記相補配列とを、アニーリング可能な方向で有していればよい。前記発現抑制配列と前記相補配列との連結順序は、特に制限されず、例えば、前記発現抑制配列の3’末端と前記相補配列の5’末端とが連結してもよく、前記相補配列の5’末端と前記抑制配列の3’末端とが連結してもよく、好ましくは前者である。前記一本鎖核酸分子は、例えば、前記発現抑制配列と前記相補配列とが、直接的に連結してもよいし、間接的に連結してもよい。直接的な連結は、例えば、ホスホジエステル結合による連結があげられる。前記間接的な連結は、例えば、リンカー領域を介した連結があげられる。前記発現抑制配列と前記相補配列との連結順序は、特に制限されず、例えば、前記発現抑制配列の3’末端と前記相補配列の5’末端とが連結してもよく、前記相補配列の5’末端と前記抑制配列の3’末端とが連結してもよく、好ましくは前者である。前記リンカー領域は、例えば、ヌクレオチド残基から構成されてもよいし、非ヌクレオチド残基から構成されてもよく、前記ヌクレオチド残基および非ヌクレオチド残基から構成されてもよい。前記ヌクレオチド残基は、例えば、リボヌクレオチド残基およびデオキシリボヌクレオチド残基があげられる。
以下に、前記一本鎖核酸分子の具体例を例示するが、本発明は、これには制限されない。
(2−1)第1形態
前記一本鎖核酸分子の第1形態として、5’側領域および3’側領域が、互いにアニーリングして二本鎖構造(ステム構造)を形成する分子があげられる。これは、shRNA(small hairpin RNAまたはshort hairpin RNA)の形態とも言える。shRNAは、ヘアピン構造をとっており、一般的に、一つのステム領域と一つのループ領域とを有する。
前記核酸分子は、例えば、領域(X)、リンカー領域(Lx)および領域(Xc)を含み、前記領域(X)と前記領域(Xc)との間に、前記リンカー領域(Lx)が連結された構造が好ましい。そして、前記領域(Xc)が、前記領域(X)と相補的である構造が好ましく、具体的には、前記領域(X)および前記領域(Xc)のうち、一方が、前記発現抑制配列を含み、他方が、前記相補配列を含むことが好ましい。前記領域(X)と前記領域(Xc)は、それぞれ、前記発現抑制配列および前記相補配列のいずれかを有するため、例えば、分子内アニーリングにより、ステム構造を形成でき、前記リンカー領域(Lx)がループ構造となる。
前記核酸分子は、例えば、5’側から3’側にかけて、前記領域(Xc)、前記リンカー領域(Lx)および前記領域(X)を、前記順序で有してもよいし、3’側から5’側にかけて、前記領域(Xc)、前記リンカー領域(Lx)および前記領域(X)を、前記順序で有してもよい。前記発現抑制配列は、例えば、前記領域(X)と前記領域(Xc)のいずれに配置してもよく、前記相補配列の上流側、すなわち、前記相補配列よりも5’側に配置することが好ましい。
本形態の核酸分子の一例を、図1の模式図に示す。図1(A)は、各領域の順序の概略を示す模式図であり、図1(B)は、前記核酸分子が、前記分子内において二重鎖を形成している状態を示す模式図である。図1(B)に示すように、前記核酸分子は、前記領域(Xc)と前記領域(X)との間で、二重鎖が形成され、前記リンカー領域(Lx)が、その長さに応じてループ構造をとる。図1は、あくまでも、前記領域の連結順序および二重鎖を形成する各領域の位置関係を示すものであり、例えば、各領域の長さ、前記リンカー領域(Lx)の形状等は、これに制限されない。
前記核酸分子において、前記領域(Xc)および前記領域(X)の塩基数は、特に制限されない。以下に各領域の長さを例示するが、本発明は、これには制限されない。
前記核酸分子において、前記領域(X)の塩基数(X)と前記領域(Xc)の塩基数(Xc)との関係は、例えば、下記(3)または(5)の条件を満たし、前者の場合、具体的には、例えば、下記(11)の条件を満たす。
X>Xc ・・・(3)
X−Xc=1〜10、好ましくは1、2または3、
より好ましくは1または2 ・・・(11)
X=Xc ・・・(5)
前記領域(X)または前記領域(Xc)が前記発現抑制配列を含む場合、前記領域は、例えば、前記発現抑制配列のみから構成される領域でもよいし、前記発現抑制配列を含む領域でもよい。前記発現抑制配列の塩基数は、例えば、前述の通りである。前記発現抑制配列を含む領域は、例えば、前記発現抑制配列の5’側および/または3’側に、さらに付加配列を有してもよい。前記付加配列の塩基数は、例えば、1〜31塩基であり、好ましくは、1〜21塩基であり、より好ましくは、1〜11塩基である。
前記領域(X)の塩基数は、特に制限されない。前記領域(X)が、前記発現抑制配列を含む場合、その下限は、例えば、19塩基である。その上限は、例えば、50塩基であり、好ましくは30塩基であり、より好ましくは25塩基である。前記領域(X)の塩基数の具体例は、例えば、19塩基〜50塩基であり、好ましくは、19塩基〜30塩基、より好ましくは19塩基〜25塩基である。
前記領域(Xc)の塩基数は、特に制限されない。その下限は、例えば、19塩基であり、好ましくは20塩基であり、より好ましくは21塩基である。その上限は、例えば、50塩基であり、より好ましくは40塩基であり、さらに好ましくは30塩基である。
前記リンカー領域(Lx)は、それ自体の領域内部において、自己アニーリングを生じない構造であることが好ましい。
前記リンカー領域(Lx)が、前述のようにヌクレオチド残基を含む場合、その長さは、特に制限されない。前記リンカー領域(Lx)は、例えば、前記領域(X)と前記領域(Xc)とが二重鎖を形成可能な長さであることが好ましい。前記リンカー領域(Lx)の塩基数は、その下限が、例えば、1塩基であり、好ましくは2塩基であり、より好ましくは3塩基であり、その上限が、例えば、100塩基であり、好ましくは80塩基であり、より好ましくは50塩基である。
前記核酸分子の全長は、特に制限されない。前記核酸分子において、前記塩基数の合計(全長の塩基数)は、下限が、例えば、38塩基であり、好ましくは42塩基であり、より好ましくは50塩基であり、さらに好ましくは51塩基であり、特に好ましくは52塩基であり、その上限は、例えば、300塩基であり、好ましくは200塩基であり、より好ましくは150塩基であり、さらに好ましくは100塩基であり、特に好ましくは80塩基である。前記核酸分子において、前記リンカー領域(Lx)を除く塩基数の合計は、下限が、例えば、38塩基であり、好ましくは42塩基であり、より好ましくは50塩基であり、さらに好ましくは51塩基であり、特に好ましくは52塩基であり、上限が、例えば、300塩基であり、好ましくは200塩基であり、より好ましくは150塩基であり、さらに好ましくは100塩基であり、特に好ましくは80塩基である。
(2−2)第2形態
前記一本鎖核酸分子の第2形態として、5’側領域および3’側領域が、それぞれ別個に分子内アニーリングして、2つの二本鎖構造(ステム構造)を形成する分子があげられる。
本形態の核酸分子は、例えば、5’側から3’側にかけて、5’側領域(Xc)、内部領域(Z)および3’側領域(Yc)を、前記順序で含み、前記内部領域(Z)が、内部5’側領域(X)および内部3’側領域(Y)が連結して構成され、前記5’側領域(Xc)が、前記内部5’側領域(X)と相補的であり、前記3’側領域(Yc)が、前記内部3’側領域(Y)と相補的である構造が好ましい。そして、前記内部領域(Z)、前記5’側領域(Xc)および前記3’側領域(Yc)の少なくとも一つが、前記発現抑制配列を含むことが好ましい。具体的には、前記内部領域(Z)の前記内部5’側領域(X)が前記発現抑制配列を有する場合、前記5’側領域(Xc)が前記相補配列を有することが好ましく、前記内部領域(Z)の前記内部3’側領域(Y)が前記発現抑制配列を有する場合、前記3’側領域(Yc)が前記相補配列を有することが好ましい。また、前記5’側領域(Xc)が前記発現抑制配列を有する場合、前記内部領域(Z)の前記内部5’側領域(X)が前記相補配列を有することが好ましく、前記3’側領域(Yc)が前記発現抑制配列を有する場合、前記内部領域(Z)の前記内部3’側領域(Y)が前記相補配列を有することが好ましい。
前記核酸分子において、前記5’側領域(Xc)は、前記内部5’側領域(X)と相補的であり、前記3’側領域(Yc)は、前記内部3’側領域(Y)と相補的である。このため、5’側において、前記領域(Xc)が前記領域(X)に向かって折り返し、前記領域(Xc)と前記領域(X)とが、自己アニーリングによって、二重鎖を形成可能であり、また、3’側において、前記領域(Yc)が前記領域(Y)に向かって折り返し、前記領域(Yc)と前記領域(Y)とが、自己アニーリングによって、二重鎖を形成可能である。
前記内部領域(Z)は、前述のように、前記内部5’領域(X)と前記内部3’領域(Y)が連結されている。前記領域(X)と前記領域(Y)は、例えば、直接的に連結され、その間に介在配列を有していない。前記内部領域(Z)は、前記5’側領域(Xc)および前記3’側領域(Yc)との配列関係を示すために、「前記内部5’側領域(X)と前記内部3’側領域(Y)が連結して構成される」と表わすものであって、前記内部領域(Z)において、前記内部5’側領域(X)と前記内部3’側領域(Y)とが、例えば、前記核酸分子の使用において、別個の独立した領域であることを限定するものではない。すなわち、例えば、前記内部領域(Z)が、前記発現抑制配列を有する場合、前記内部領域(Z)において、前記領域(X)と前記領域(Y)とにわたって、前記発現抑制配列が配置されてもよい。
前記核酸分子において、前記5’側領域(Xc)と前記内部5’側領域(X)とは、例えば、直接的に連結してもよいし、間接的に連結してもよい。前者の場合、直接的な連結は、例えば、ホスホジエステル結合による連結があげられる。後者の場合、例えば、前記領域(Xc)と前記領域(X)との間に、リンカー領域(Lx)を有し、前記リンカー領域(Lx)を介して、前記領域(Xc)と前記領域(X)とが連結している形態があげられる。
前記核酸分子において、前記3’側領域(Yc)と前記内部3’側領域(Y)とは、例えば、直接的に連結してもよいし、間接的に連結してもよい。前者の場合、直接的な連結は、例えば、ホスホジエステル結合による連結があげられる。後者の場合、例えば、前記領域(Yc)と前記領域(Y)との間に、リンカー領域(Ly)を有し、前記リンカー領域(Ly)を介して、前記領域(Yc)と前記領域(Y)とが連結している形態があげられる。
前記核酸分子は、例えば、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)の両方を有してもよいし、いずれか一方を有してもよい。後者の場合、例えば、前記5’側領域(Xc)と前記内部5’側領域(X)との間に前記リンカー領域(Lx)を有し、前記3’側領域(Yc)と前記内部3’側領域(Y)との間に前記リンカー領域(Ly)を有さない、つまり、前記領域(Yc)と前記領域(Y)とが直接的に連結された形態があげられる。また、後者の場合、例えば、前記3’側領域(Yc)と前記内部3’側領域(Y)との間に前記リンカー領域(Ly)を有し、前記5’側領域(Xc)と前記内部5’側領域(X)との間に前記リンカー領域(Lx)を有さない、つまり、前記領域(Xc)と前記領域(X)とが直接的に連結された形態があげられる。
前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)は、それぞれ、それ自体の領域内部において、自己アニーリングを生じない構造であることが好ましい。
本形態の核酸分子について、前記リンカー領域を有さない一例を、図2の模式図に示す。図2(A)は、前記核酸分子について、5’側から3’側に向かって、各領域の順序の概略を示す模式図であり、図2(B)は、前記核酸分子が、前記分子内において二重鎖を形成している状態を示す模式図である。図2(B)に示すように、前記核酸分子は、前記5’側領域(Xc)が折り返し、前記5’側領域(Xc)と前記内部5’側領域(X)との間で二重鎖が形成され、前記3’側領域(Yc)が折り返し、前記3’側領域(Yc)と前記内部3’側領域(Y)との間で二重鎖が形成される。図2は、あくまでも、各領域の連結順番および二重鎖を形成する各領域の位置関係を示すものであり、例えば、各領域の長さ等は、これに制限されない。
前記核酸分子について、前記リンカー領域を有する一例を、図3の模式図に示す。図3(A)は、一例として、前記核酸分子について、5’側から3’側に向かって、各領域の順序の概略を示す模式図であり、図3(B)は、前記核酸分子が、前記分子内において二重鎖を形成している状態を示す模式図である。図3(B)に示すように、前記核酸分子は、前記5’側領域(Xc)と前記内部5’側領域(X)との間、前記内部3’側領域(Y)と前記3’側領域(Yc)との間で、二重鎖が形成され、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)が、ループ構造をとる。図3は、あくまでも、各領域の連結順番および二重鎖を形成する各領域の位置関係を示すものであり、例えば、各領域の長さ等は、これに制限されない。
前記核酸分子において、前記5’側領域(Xc)、前記内部5’側領域(X)、前記内部3’側領域(Y)および前記3’側領域(Yc)の塩基数は、特に制限されず、例えば、以下の通りである。
前記5’側領域(Xc)は、前述のように、例えば、前記内部5’側領域(X)の全領域に相補的でもよい。この場合、前記領域(Xc)は、例えば、前記領域(X)と同じ塩基長であり、前記領域(X)の5’末端から3’末端の全領域に相補的な塩基配列からなることが好ましい。前記領域(Xc)は、より好ましくは、前記領域(X)と同じ塩基長であり、且つ、前記領域(Xc)の全ての塩基が、前記領域(X)の全ての塩基と相補的である、つまり、例えば、完全に相補的であることが好ましい。なお、これには制限されず、例えば、前述のように、1もしくは数塩基が非相補的でもよい。
また、前記5’側領域(Xc)は、前述のように、例えば、前記内部5’側領域(X)の部分領域に相補的でもよい。この場合、前記領域(Xc)は、例えば、前記領域(X)の部分領域と同じ塩基長であり、すなわち、前記領域(X)よりも、1塩基以上短い塩基長の塩基配列からなることが好ましい。前記領域(Xc)は、より好ましくは、前記領域(X)の前記部分領域と同じ塩基長であり、且つ、前記領域(Xc)の全ての塩基が、前記領域(X)の前記部分領域の全ての塩基と相補的である、つまり、例えば、完全に相補的であることが好ましい。前記領域(X)の前記部分領域は、例えば、前記領域(X)における、5’末端の塩基(1番目の塩基)から連続する塩基配列からなる領域(セグメント)であることが好ましい。
前記3’側領域(Yc)は、前述のように、例えば、前記内部3’側領域(Y)の全領域に相補的でもよい。この場合、前記領域(Yc)は、例えば、前記領域(Y)と同じ塩基長であり、前記領域(Y)の5’末端から3’末端の全領域に相補的な塩基配列からなることが好ましい。前記領域(Yc)は、より好ましくは、前記領域(Y)と同じ塩基長であり、且つ、前記領域(Yc)の全ての塩基が、前記領域(Y)の全ての塩基と相補的である、つまり、例えば、完全に相補的であることが好ましい。なお、これには制限されず、例えば、前述のように、1もしくは数塩基が非相補的でもよい。
また、前記3’側領域(Yc)は、前述のように、例えば、前記内部3’側領域(Y)の部分領域に相補的でもよい。この場合、前記領域(Yc)は、例えば、前記領域(Y)の部分領域と同じ塩基長であり、すなわち、前記領域(Y)よりも、1塩基以上短い塩基長の塩基配列からなることが好ましい。前記領域(Yc)は、より好ましくは、前記領域(Y)の前記部分領域と同じ塩基長であり、且つ、前記領域(Yc)の全ての塩基が、前記領域(Y)の前記部分領域の全ての塩基と相補的である、つまり、例えば、完全に相補的であることが好ましい。前記領域(Y)の前記部分領域は、例えば、前記領域(Y)における、3’末端の塩基(1番目の塩基)から連続する塩基配列からなる領域(セグメント)であることが好ましい。
前記核酸分子において、前記内部領域(Z)の塩基数(Z)と、前記内部5’側領域(X)の塩基数(X)および前記内部3’側領域(Y)の塩基数(Y)との関係、前記内部領域(Z)の塩基数(Z)と、前記5’側領域(Xc)の塩基数(Xc)および前記3’側領域(Yc)の塩基数(Yc)との関係は、例えば、下記式(1)および(2)の条件を満たす。
Z=X+Y ・・・(1)
Z≧Xc+Yc ・・・(2)
本発明の核酸分子において、前記内部5’側領域(X)の塩基数(X)と前記内部3’側領域(Y)の塩基数(Y)の長さの関係は、特に制限されず、例えば、下記式のいずれの条件を満たしてもよい。
X=Y ・・・(19)
X<Y ・・・(20)
X>Y ・・・(21)
前記核酸分子において、前記内部5’側領域(X)の塩基数(X)、前記5’側領域(Xc)の塩基数(Xc)、前記内部3’側領域(Y)の塩基数(Y)および前記3’側領域(Yc)の塩基数(Yc)の関係は、例えば、下記(a)〜(d)のいずれかの条件を満たす。
(a)下記式(3)および(4)の条件を満たす。
X>Xc ・・・(3)
Y=Yc ・・・(4)
(b)下記式(5)および(6)の条件を満たす。
X=Xc ・・・(5)
Y>Yc ・・・(6)
(c)下記式(7)および(8)の条件を満たす。
X>Xc ・・・(7)
Y>Yc ・・・(8)
(d)下記式(9)および(10)の条件を満たす。
X=Xc ・・・(9)
Y=Yc ・・・(10)
前記(a)〜(d)において、前記内部5’側領域(X)の塩基数(X)と前記5’側領域(Xc)の塩基数(Xc)の差、前記内部3’側領域(Y)の塩基数(Y)と前記3’側領域(Yc)の塩基数(Yc)の差は、例えば、下記条件を満たすことが好ましい。
(a)下記式(11)および(12)の条件を満たす。
X−Xc=1〜10、好ましくは1、2、3または4、
より好ましくは1、2または3 ・・・(11)
Y−Yc=0 ・・・(12)
(b)下記式(13)および(14)の条件を満たす。
X−Xc=0 ・・・(13)
Y−Yc=1〜10、好ましくは1、2、3または4、
より好ましくは1、2または3 ・・・(14)
(c)下記式(15)および(16)の条件を満たす。
X−Xc=1〜10、好ましくは、1、2または3、
より好ましくは1または2 ・・・(15)
Y−Yc=1〜10、好ましくは、1、2または3、
より好ましくは1または2 ・・・(16)
(d)下記式(17)および(18)の条件を満たす。
X−Xc=0 ・・・(17)
Y−Yc=0 ・・・(18)
前記(a)〜(d)の核酸分子について、それぞれの構造の一例を、図4の模式図に示す。図4は、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)を含む核酸分子であり、図4(A)は、前記(a)の核酸分子、図4(B)は、前記(b)の核酸分子、図4(C)は、前記(c)の核酸分子、図4(D)は、前記(d)の核酸分子の例である。図4において、点線は、自己アニーリングにより二重鎖を形成している状態を示す。図4の核酸分子は、前記内部5’側領域(X)の塩基数(X)と前記内部3’側領域(Y)の塩基数(Y)を、前記式(20)の「X<Y」として表わすが、これには制限されず、前述のように、前記式(19)の「X=Y」でも、前記式(21)の「X>Y」でもよい。また、図4は、あくまでも、前記内部5’側領域(X)と前記5’側領域(Xc)との関係、前記内部3’側領域(Y)と前記3’側領域(Yc)との関係を示す模式図であり、例えば、各領域の長さ、形状等は、これには制限されず、また、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)の有無も、これには制限されない。
前記(a)〜(c)の核酸分子は、例えば、前記5’側領域(Xc)と前記内部5’側領域(X)、および、前記3’側領域(Yc)と前記内部3’側領域(Y)が、それぞれ二重鎖を形成することによって、前記内部領域(Z)において、前記5’側領域(Xc)および前記3’側領域(Yc)のいずれともアライメントできない塩基を有する構造であり、二重鎖を形成しない塩基を有する構造ともいえる。前記内部領域(Z)において、前記アライメントできない塩基(二重鎖を形成しない塩基ともいう)を、以下、「フリー塩基」という。図4において、前記フリー塩基の領域を、「F」で示す。前記領域(F)の塩基数は、特に制限されない。前記領域(F)の塩基数(F)は、例えば、前記(a)の核酸分子の場合、「X−Xc」の塩基数であり、前記(b)の核酸分子の場合、「Y−Yc」の塩基数であり、前記(c)の核酸分子の場合、「X−Xc」の塩基数と「Y−Yc」の塩基数との合計数である。
他方、前記(d)の核酸分子は、例えば、前記内部領域(Z)の全領域が、前記5’側領域(Xc)および前記3’側領域(Yc)とアライメントする構造であり、前記内部領域(Z)の全領域が二重鎖を形成する構造ともいえる。なお、前記(d)の核酸分子において、前記5’側領域(Xc)の5’末端と前記3’側領域(Yc)の3’末端は、未連結である。
前記核酸分子について、各領域の長さを以下に例示するが、本発明は、これには制限されない。
前記5’側領域(Xc)、前記3’側領域(Yc)、および前記内部領域(Z)における前記フリー塩基(F)の塩基数の合計は、例えば、前記内部領域(Z)の塩基数となる。このため、前記5’側領域(Xc)および前記3’側領域(Yc)の長さは、例えば、前記内部領域(Z)の長さ、前記フリー塩基の数(F)およびその位置に応じて、適宜決定できる。
前記内部領域(Z)の塩基数は、例えば、19塩基以上である。前記塩基数の下限は、例えば、19塩基であり、好ましくは20塩基であり、より好ましくは21塩基である。前記塩基数の上限は、例えば、50塩基であり、好ましくは40塩基であり、より好ましくは30塩基である。前記内部領域(Z)の塩基数の具体例は、例えば、19塩基、20塩基、21塩基、22塩基、23塩基、24塩基、25塩基、26塩基、27塩基、28塩基、29塩基、または、30塩基である。
前記内部領域(Z)が前記発現抑制配列を含む場合、前記内部領域(Z)は、例えば、前記発現抑制配列のみから構成される領域でもよいし、前記発現抑制配列を含む領域でもよい。前記発現抑制配列の塩基数は、例えば、前述の通りである。前記内部領域(Z)が前記発現抑制配列を含む場合、前記発現抑制配列の5’側および/または3’側に、さらに付加配列を有してもよい。前記付加配列の塩基数は、例えば、1〜31塩基であり、好ましくは、1〜21塩基であり、より好ましくは、1〜11塩基であり、さらに好ましくは、1〜7塩基である。
前記5’側領域(Xc)の塩基数は、例えば、1〜29塩基であり、好ましくは1〜11塩基であり、より好ましくは1〜7塩基であり、さらに好ましくは1〜4塩基であり、特に好ましくは1塩基、2塩基、3塩基である。前記内部領域(Z)または前記3’側領域(Yc)が前記発現抑制配列を含む場合、例えば、このような塩基数が好ましい。具体例として、前記内部領域(Z)の塩基数が、19〜30塩基(例えば、19塩基)の場合、前記5’側領域(Xc)の塩基数は、例えば、1〜11塩基であり、好ましくは1〜7塩基であり、より好ましくは1〜4塩基であり、さらに好ましくは1塩基、2塩基、3塩基である。
前記5’側領域(Xc)が前記発現抑制配列を含む場合、前記5’側領域(Xc)は、例えば、前記発現抑制配列のみから構成される領域でもよいし、前記発現抑制配列を含む領域でもよい。前記発現抑制配列の長さは、例えば、前述の通りである。前記5’側領域(Xc)が前記発現抑制配列を含む場合、前記発現抑制配列の5’側および/または3’側に、さらに付加配列を有してもよい。前記付加配列の塩基数は、例えば、1〜11塩基であり、好ましくは、1〜7塩基である。
前記3’側領域(Yc)の塩基数は、例えば、1〜29塩基であり、好ましくは1〜11塩基であり、より好ましくは1〜7塩基であり、さらに好ましくは1〜4塩基であり、特に好ましくは1塩基、2塩基、3塩基である。前記内部領域(Z)または前記5’側領域(Xc)が前記発現抑制配列を含む場合、例えば、このような塩基数が好ましい。具体例として、前記内部領域(Z)の塩基数が、19〜30塩基(例えば、19塩基)の場合、前記3’側領域(Yc)の塩基数は、例えば、1〜11塩基であり、好ましくは1〜7塩基であり、より好ましくは1〜4塩基であり、さらに好ましくは1塩基、2塩基、3塩基である。
前記3’側領域(Yc)が前記発現抑制配列を含む場合、前記3’側領域(Yc)は、例えば、前記発現抑制配列のみから構成される領域でもよいし、前記発現抑制配列を含む領域でもよい。前記発現抑制配列の長さは、例えば、前述の通りである。前記3’側領域(Yc)が前記発現抑制配列を含む場合、前記発現抑制配列の5’側および/または3’側に、さらに付加配列を有してもよい。前記付加配列の塩基数は、例えば、1〜11塩基であり、好ましくは、1〜7塩基である。
前述のように、前記内部領域(Z)、前記5’側領域(Xc)および前記3’側領域(Yc)の塩基数は、例えば、前記式(2)の「Z≧Xc+Yc」で表わすことができる。具体例として、「Xc+Yc」の塩基数は、例えば、前記内部領域(Z)と同じ、または、前記内部領域(Z)より小さい。後者の場合、「Z−(Xc+Yc)」は、例えば、1〜10、好ましくは1〜4、より好ましくは1、2または3である。前記「Z−(Xc+Yc)」は、例えば、前記内部領域(Z)における前記フリー塩基の領域(F)の塩基数(F)に相当する。
前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)が、前述のようにヌクレオチド残基を含む場合、その長さは、特に制限されない。前記リンカー領域(Lx)は、例えば、前記内部5’側領域(X)と前記5’側領域(Xc)とが二重鎖を形成可能な長さであることが好ましく、前記リンカー領域(Ly)は、例えば、前記内部3’側領域(Y)と前記3’側領域(Yc)とが二重鎖を形成可能な長さであることが好ましい。前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)の長さは、例えば、同じでも異なってもよく、また、その塩基配列も、同じでも異なってもよい。前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)の塩基数は、その下限が、例えば、1塩基であり、好ましくは2塩基であり、より好ましくは3塩基であり、その上限が、例えば、100塩基であり、好ましくは80塩基であり、より好ましくは50塩基である。前記各リンカー領域の塩基数は、具体例として、例えば、1〜50塩基、1〜30塩基、1〜20塩基、1〜10塩基、1〜7塩基、1〜4塩基等が例示できるが、これには制限されない。
前記核酸分子の全長は、特に制限されない。前記核酸分子において、前記塩基数の合計(全長の塩基数)は、下限が、例えば、38塩基であり、好ましくは42塩基であり、より好ましくは50塩基であり、さらに好ましくは51塩基であり、特に好ましくは52塩基であり、その上限は、例えば、300塩基であり、好ましくは200塩基であり、より好ましくは150塩基であり、さらに好ましくは100塩基であり、特に好ましくは80塩基である。前記核酸分子において、前記リンカー領域(Lx)およびリンカー領域(Ly)を除く塩基数の合計は、下限が、例えば、38塩基であり、好ましくは42塩基であり、より好ましくは50塩基であり、さらに好ましくは51塩基であり、特に好ましくは52塩基であり、上限が、例えば、300塩基であり、好ましくは200塩基であり、より好ましくは150塩基であり、さらに好ましくは100塩基であり、特に好ましくは80塩基である。
本形態の核酸分子は、例えば、5’末端と3’末端とが、結合してもよいし、未結合でもよい。前者の場合、本形態の核酸分子は、環状の一本鎖核酸分子である。後者の場合、本形態の核酸分子は、例えば、両末端の未結合を維持できることから、5’末端が非リン酸基であることが好ましい。
(2−3)第3形態
前記一本鎖核酸分子の第3形態として、前記リンカー領域が、非ヌクレオチド構造である分子があげられる。
本形態は、前記第1形態および前記第2形態の核酸分子において、前記リンカー領域(Lx)および/または前記リンカー領域(Ly)が、非ヌクレオチド構造を有する以外は、前述の説明を援用できる。
前記非ヌクレオチド構造は、特に制限されず、例えば、ポリアルキレングリコール、ピロリジン骨格、ピペリジン骨格等があげられる。前記ポリアルキレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコールがあげられる。
前記ピロリジン骨格は、例えば、ピロリジンの5員環を構成する炭素が、1個以上、置換されたピロリジン誘導体の骨格でもよく、置換される場合、例えば、C−2の炭素以外の炭素原子であることが好ましい。前記炭素は、例えば、窒素、酸素または硫黄で置換されてもよい。前記ピロリジン骨格は、例えば、ピロリジンの5員環内に、例えば、炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含んでもよい。前記ピロリジン骨格において、ピロリジンの5員環を構成する炭素および窒素は、例えば、水素が結合してもよいし、後述するような置換基が結合してもよい。前記リンカー領域(Lx)は、前記領域(X)および前記領域(Xc)と、前記リンカー領域(Ly)は、前記領域(Y)および前記領域(Yc)と、例えば、前記ピロリジン骨格のいずれの基を介して結合してもよく、好ましくは、前記5員環のいずれか1個の炭素原子と窒素であり、好ましくは、前記5員環の2位の炭素(C−2)と窒素である。前記ピロリジン骨格としては、例えば、プロリン骨格、プロリノール骨格等があげられる。前記プロリン骨格およびプロリノール骨格等は、例えば、生体内物質およびその還元体であるため、安全性にも優れる。
前記ピペリジン骨格は、例えば、ピペリジンの6員環を構成する炭素が、1個以上、置換されたピペリジン誘導体の骨格でもよく、置換される場合、例えば、C−2の炭素以外の炭素原子であることが好ましい。前記炭素は、例えば、窒素、酸素または硫黄で置換されてもよい。前記ピペリジン骨格は、例えば、ピペリジンの6員環内に、例えば、炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含んでもよい。前記ピペリジン骨格において、ピペリジンの6員環を構成する炭素および窒素は、例えば、水素基が結合してもよいし、後述するような置換基が結合してもよい。前記リンカー領域(Lx)は、前記領域(X)および前記領域(Xc)と、前記リンカー領域(Ly)は、前記領域(Y)および前記領域(Yc)と、例えば、前記ピペリジン骨格のいずれの基を介して結合してもよく、好ましくは、前記6員環のいずれか1個の炭素原子と窒素であり、より好ましくは、前記6員環の2位の炭素(C−2)と窒素である。
前記リンカー領域は、例えば、前記非ヌクレオチド構造からなる非ヌクレオチド残基のみを含んでもよいし、前記非ヌクレオチド構造からなる非ヌクレオチド残基と、ヌクレオチド残基とを含んでもよい。
前記リンカー領域は、例えば、下記式(I)で表わされる。
Figure 2014140341
前記式(I)中、例えば、
およびXは、それぞれ独立して、H、O、SまたはNHであり;
およびYは、それぞれ独立して、単結合、CH、NH、OまたはSであり;
は、環A上のC−3、C−4、C−5またはC−6に結合する水素原子または置換基であり、
は、n個の原子からなるアルキレン鎖であり、ここで、アルキレン炭素原子上の水素原子は、OH、OR、NH、NHR、NR、SH、もしくはSRで置換されても置換されていなくてもよく、または、
は、前記アルキレン鎖の一つ以上の炭素原子が、酸素原子で置換されたポリエーテル鎖であり、
ただし、Yが、NH、OまたはSの場合、Yに結合するLの原子は炭素であり、ORに結合するLの原子は炭素であり、酸素原子同士は隣接せず;
は、m個の原子からなるアルキレン鎖であり、ここで、アルキレン炭素原子上の水素原子は、OH、OR、NH、NHR、NR、SHもしくはSRで置換されても置換れていなくてもよく、または、
は、前記アルキレン鎖の一つ以上の炭素原子が、酸素原子で置換されたポリエーテル鎖であり、
ただし、Yが、NH、OまたはSの場合、Yに結合するLの原子は炭素であり、ORに結合するLの原子は炭素であり、酸素原子同士は隣接せず;
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、置換基または保護基であり;
lは、1または2であり;
mは、0〜30の範囲の整数であり;
nは、0〜30の範囲の整数であり;
環Aは、前記環A上のC−2以外の1個の炭素原子が、窒素、酸素、硫黄で置換されてもよく、
前記環A内に、炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含んでもよく、
前記領域(Xc)および前記領域(X)は、それぞれ、−OR−または−OR−を介して、前記リンカー領域(Lx)に結合し、
前記領域(Yc)および前記領域(Y)は、それぞれ、−OR−または−OR−を介して、前記リンカー領域(Ly)に結合し、
ここで、RおよびRは、存在しても存在しなくてもよく、存在する場合、RおよびRは、それぞれ独立して、ヌクレオチド残基または前記構造(I)である。
前記式(I)中、XおよびXは、例えば、それぞれ独立して、H、O、SまたはNHである。前記式(I)中において、XがHであるとは、Xが、Xの結合する炭素原子とともに、CH(メチレン基)を形成することを意味する。Xについても同様である。
前記式(I)中、YおよびYは、それぞれ独立して、単結合、CH、NH、OまたはSである。
前記式(I)中、環Aにおいて、lは、1または2である。l=1の場合、環Aは、5員環であり、例えば、前記ピロリジン骨格である。前記ピロリジン骨格は、例えば、プロリン骨格、プロリノール骨格等があげられ、これらの二価の構造が例示できる。l=2の場合、環Aは、6員環であり、例えば、前記ピペリジン骨格である。環Aは、環A上のC−2以外の1個の炭素原子が、窒素、酸素または硫黄で置換されてもよい。また、環Aは、環A内に、炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含んでもよい。環Aは、例えば、L型およびD型のいずれでもよい。
前記式(I)中、Rは、環A上のC−3、C−4、C−5またはC−6に結合する水素原子または置換基である。Rが前記置換基の場合、置換基Rは、1でも複数でも、存在しなくてもよく、複数の場合、同一でも異なってもよい。
置換基Rは、例えば、ハロゲン、OH、OR、NH、NHR、NR、SH、SRまたはオキソ基(=O)等である。
およびRは、例えば、それぞれ独立して、置換基または保護基であり、同一でも異なってもよい。前記置換基は、例えば、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクリルアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールアルキル、シリル、シリルオキシアルキル等があげられる。以下、同様である。置換基Rは、これらの列挙する置換基でもよい。
前記保護基は、例えば、反応性の高い官能基を不活性に変換する官能基であり、公知の保護基等があげられる。前記保護基は、例えば、文献(J. F. W. McOmie, 「Protecting Groups in Organic Chemistry」 Prenum Press, London and New York, 1973)の記載を援用できる。前記保護基は、特に制限されず、例えば、tert−ブチルジメチルシリル基(TBDMS)、ビス(2−アセトキシエチルオキシ)メチル基(ACE)、トリイソプロピルシリルオキシメチル基(TOM)、1−(2−シアノエトキシ)エチル基(CEE)、2−シアノエトキシメチル基(CEM)およびトリルスルフォニルエトキシメチル基(TEM)、ジメトキシトリチル基(DMTr)等があげられる。RがORの場合、前記保護基は、特に制限されず、例えば、TBDMS基、ACE基、TOM基、CEE基、CEM基およびTEM基等があげられる。この他にも、シリル含有基もあげられる。以下、同様である。
前記式(I)中、Lは、n個の原子からなるアルキレン鎖である。前記アルキレン炭素原子上の水素原子は、例えば、OH、OR、NH、NHR、NR、SH、もしくはSRで置換されてもよいし、置換されていなくてもよい。または、Lは、前記アルキレン鎖の1つ以上の炭素原子が酸素原子で置換されたポリエーテル鎖でもよい。前記ポリエーテル鎖は、例えば、ポリエチレングリコールである。なお、Yが、NH、OまたはSの場合、Yに結合するLの原子は炭素であり、ORに結合するLの原子は炭素であり、酸素原子同士は隣接しない。つまり、例えば、YがOの場合、その酸素原子とLの酸素原子は隣接せず、ORの酸素原子とLの酸素原子は隣接しない。
前記式(I)中、Lは、m個の原子からなるアルキレン鎖である。前記アルキレン炭素原子上の水素原子は、例えば、OH、OR、NH、NHR、NR、SHもしくはSRで置換されてもよいし、置換されていなくてもよい。または、Lは、前記アルキレン鎖の1つ以上の炭素原子が酸素原子で置換されたポリエーテル鎖でもよい。なお、Yが、NH、OまたはSの場合、Yに結合するLの原子は炭素であり、ORに結合するLの原子は炭素であり、酸素原子同士は隣接しない。つまり、例えば、YがOの場合、その酸素原子とLの酸素原子は隣接せず、ORの酸素原子とLの酸素原子は隣接しない。
のnおよびLのmは、特に制限されず、それぞれ、下限は、例えば、0であり、上限も、特に制限されない。nおよびmは、例えば、前記リンカー領域(Lx)または(Ly)の所望の長さに応じて、適宜設定できる。nおよびmは、例えば、製造コストおよび収率等の点から、それぞれ、0〜30が好ましく、より好ましくは0〜20であり、さらに好ましくは0〜15である。nとmは、同じでもよいし(n=m)、異なってもよい。n+mは、例えば、0〜30であり、好ましくは0〜20であり、より好ましくは0〜15である。
、R、RおよびRは、例えば、それぞれ独立して、置換基または保護基である。前記置換基および前記保護基は、例えば、前述と同様である。
前記式(I)において、水素原子は、例えば、それぞれ独立して、Cl、Br、FおよびI等のハロゲンに置換されてもよい。
前記領域(Xc)および前記領域(X)は、前記リンカー領域(Lx)に、前記領域(Yc)および前記領域(Y)は、前記リンカー領域(Ly)に、例えば、それぞれ、−OR−または−OR−を介して、結合する。ここで、RおよびRは、存在しても存在しなくてもよい。RおよびRが存在する場合、RおよびRは、それぞれ独立して、ヌクレオチド残基または前記式(I)の構造である。Rおよび/またはRが前記ヌクレオチド残基の場合、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)は、例えば、ヌクレオチド残基Rおよび/またはRを除く前記式(I)の構造からなる前記非ヌクレオチド残基と、前記ヌクレオチド残基とから形成される。Rおよび/またはRが前記式(I)の構造の場合、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)は、例えば、前記式(I)の構造からなる前記非ヌクレオチド残基が、2つ以上連結された構造となる。前記式(I)の構造は、例えば、1個、2個、3個または4個含んでもよい。このように、前記構造を複数含む場合、前記(I)の構造は、例えば、直接的に連結されてもよいし、前記ヌクレオチド残基を介して結合してもよい。他方、RおよびRが存在しない場合、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)は、例えば、前記式(I)の構造からなる前記非ヌクレオチド残基のみから形成される。
前記領域(Xc)および前記領域(X)、ならびに、前記領域(Yc)および前記領域(Y)と、前記−OR−および−OR−との結合の組合せは、特に制限されず、例えば、以下のいずれかの条件があげられる。
条件(1)
前記領域(Xc)は、−OR−を介して、前記領域(X)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合し、
前記領域(Yc)は、−OR−を介して、前記領域(Y)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合する。
条件(2)
前記領域(Xc)は、−OR−を介して、前記領域(X)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合し、
前記領域(Yc)は、−OR−を介して、前記領域(Y)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合する。
条件(3)
前記領域(Xc)は、−OR−を介して、前記領域(X)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合し、
前記領域(Yc)は、−OR−を介して、前記領域(Y)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合する。
条件(4)
前記領域(Xc)は、−OR−を介して、前記領域(X)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合し、
前記領域(Yc)は、−OR−を介して、前記領域(Y)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合する。
前記式(I)の構造は、例えば、下記式(I−1)〜式(I−9)が例示でき、下記式において、nおよびmは、前記式(I)と同じである。下記式において、qは、0〜10の整数である。
Figure 2014140341
前記式(I−1)〜(I−9)において、n、mおよびqは、特に制限されず、前述の通りである。具体例として、前記式(I−1)において、n=8、前記(I−2)において、n=3、前記式(I−3)において、n=4または8、前記(I−4)において、n=7または8、前記式(I−5)において、n=3およびm=4、前記(I−6)において、n=8およびm=4、前記式(I−7)において、n=8およびm=4、前記(I−8)において、n=5およびm=4、前記式(I−9)において、q=1およびm=4があげられる。前記式(I−4)の一例(n=7)を、下記式(I−4a)に、前記式(I−8)の一例(n=5、m=4)を、下記式(I−8a)に示す。
Figure 2014140341
前記核酸分子において、前記リンカー以外の領域の構成単位は、それぞれ、前記ヌクレオチド残基が好ましい。前記各領域は、例えば、下記(1)〜(3)の残基で構成される。
(1)非修飾ヌクレオチド残基
(2)修飾ヌクレオチド残基
(3)非修飾ヌクレオチド残基および修飾ヌクレオチド残基
前記核酸分子において、前記リンカー領域の構成単位は、特に制限されず、例えば、前記ヌクレオチド残基および前記非ヌクレオチド残基があげられる。前記リンカー領域は、例えば、前記ヌクレオチド残基のみから構成されてもよいし、前記非ヌクレオチド残基のみから構成されてもよいし、前記ヌクレオチド残基と前記非ヌクレオチド残基から構成されてもよい。前記リンカー領域は、例えば、下記(1)〜(7)の残基で構成される。
(1)非修飾ヌクレオチド残基
(2)修飾ヌクレオチド残基
(3)非修飾ヌクレオチド残基および修飾ヌクレオチド残基
(4)非ヌクレオチド残基
(5)非ヌクレオチド残基および非修飾ヌクレオチド残基
(6)非ヌクレオチド残基および修飾ヌクレオチド残基
(7)非ヌクレオチド残基、非修飾ヌクレオチド残基および修飾ヌクレオチド残基
前記核酸分子が、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)の両方を有する場合、例えば、両方の構成単位が同じでもよいし、異なってもよい。具体例として、例えば、両方のリンカー領域の構成単位が前記ヌクレオチド残基である形態、両方のリンカー領域の構成単位が前記非ヌクレオチド残基である形態、一方の領域の構成単位が前記ヌクレオチド残基であり、他方のリンカー領域の構成単位が非ヌクレオチド残基である形態等があげられる。
本発明の核酸分子は、例えば、前記ヌクレオチド残基のみから構成される分子、前記ヌクレオチド残基の他に前記非ヌクレオチド残基を含む分子等があげられる。本発明の核酸分子において、前記ヌクレオチド残基は、前述のように、例えば、前記非修飾ヌクレオチド残基のみでもよいし、前記修飾ヌクレオチド残基のみでもよいし、前記非修飾ヌクレオチド残基および前記修飾ヌクレオチド残基の両方でもよい。前記核酸分子が、前記非修飾ヌクレオチド残基と前記修飾ヌクレオチド残基を含む場合、前記修飾ヌクレオチド残基の個数は、特に制限されず、例えば、「1もしくは数個」であり、具体的には、例えば、1〜5個、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。本発明の核酸分子が、前記非ヌクレオチド残基を含む場合、前記非ヌクレオチド残基の個数は、特に制限されず、例えば、「1もしくは数個」であり、具体的には、例えば、1〜8個、1〜6個、1〜4個、1、2または3個である。
前記核酸分子が、例えば、前記非修飾リボヌクレオチド残基の他に前記修飾リボヌクレオチド残基を含む場合、前記修飾リボヌクレオチド残基の個数は、特に制限されず、例えば、「1もしくは数個」であり、具体的には、例えば、1〜5個、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。前記非修飾リボヌクレオチド残基に対する前記修飾リボヌクレオチド残基は、例えば、リボース残基がデオキシリボース残基に置換された前記デオキシリボヌクレオチド残基でもよい。前記核酸分子が、例えば、前記非修飾リボヌクレオチド残基の他に前記デオキシリボヌクレオチド残基を含む場合、前記デオキシリボヌクレオチド残基の個数は、特に制限されず、例えば、「1もしくは数個」であり、具体的には、例えば、1〜5個、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。
前記ヌクレオチド残基は、例えば、構成要素として、糖、塩基およびリン酸を含む。前記ヌクレオチド残基は、前述のように、例えば、リボヌクレオチド残基およびデオキシリボヌクレオチド残基があげられる。前記リボヌクレオチド残基は、例えば、糖としてリボース残基を有し、塩基として、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)およびU(ウラシル)を有し、前記デオキシリボース残基は、例えば、糖としてデオキシリボース残基を有し、塩基として、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)およびチミン(T)を有する。
前記ヌクレオチド残基は、未修飾ヌクレオチド残基および修飾ヌクレオチド残基があげられる。前記未修飾ヌクレオチド残基は、前記各構成要素が、例えば、天然に存在するものと同一または実質的に同一であり、好ましくは、人体において天然に存在するものと同一または実質的に同一である。
前記修飾ヌクレオチド残基は、例えば、前記未修飾ヌクレオチド残基を修飾したヌクレオチド残基である。前記修飾ヌクレオチド残基は、例えば、前記未修飾ヌクレオチド残基の構成要素のいずれが修飾されてもよい。本発明において、「修飾」は、例えば、前記構成要素の置換、付加および/または欠失、前記構成要素における原子および/または官能基の置換、付加および/または欠失であり、「改変」ということができる。前記修飾ヌクレオチド残基は、例えば、天然に存在するヌクレオチド残基、人工的に修飾したヌクレオチド残基等があげられる。前記天然由来の修飾ヌクレオチド残基は、例えば、リンバックら(Limbach et al.、1994、Summary:the modified nucleosides of RNA、Nucleic Acids Res.22:2183〜2196)を参照できる。また、前記修飾ヌクレオチド残基は、例えば、前記ヌクレオチドの代替物の残基でもよい。
前記ヌクレオチド残基の修飾は、例えば、リボース−リン酸骨格(以下、リボリン酸骨格)の修飾があげられる。
前記リボリン酸骨格において、例えば、リボース残基を修飾できる。前記リボース残基は、例えば、2’位炭素を修飾でき、具体的には、例えば、2’位炭素に結合する水酸基を、水素またはフルオロ等のハロゲンに置換できる。前記2’位炭素の水酸基を水素に置換することで、リボース残基をデオキシリボースに置換できる。前記リボース残基は、例えば、立体異性体に置換でき、例えば、アラビノース残基に置換してもよい。
前記リボリン酸骨格は、例えば、非リボース残基および/または非リン酸を有する非リボリン酸骨格に置換してもよい。前記非リボリン酸骨格は、例えば、前記リボリン酸骨格の非荷電体があげられる。前記非リボリン酸骨格に置換された、前記ヌクレオチドの代替物は、例えば、モルホリノ、シクロブチル、ピロリジン等があげられる。前記代替物は、この他に、例えば、人工核酸モノマー残基があげられる。具体例として、例えば、PNA(ペプチド核酸)、LNA(Locked Nucleic Acid)、ENA(2’−O,4’−C−Ethylenebridged Nucleic Acid)等があげられ、好ましくはPNAである。
前記リボリン酸骨格において、例えば、リン酸基を修飾できる。前記リボリン酸骨格において、糖残基に最も隣接するリン酸基は、αリン酸基と呼ばれる。前記αリン酸基は、負に荷電し、その電荷は、糖残基に非結合の2つの酸素原子にわたって、均一に分布している。前記αリン酸基における4つの酸素原子のうち、ヌクレオチド残基間のホスホジエステル結合において、糖残基と非結合である2つの酸素原子は、以下、「非結合(non−linking)酸素」ともいう。他方、前記ヌクレオチド残基間のホスホジエステル結合において、糖残基と結合している2つの酸素原子は、以下、「結合(linking)酸素」という。前記αリン酸基は、例えば、非荷電となる修飾、または、前記非結合酸素における電荷分布が非対称型となる修飾を行うことが好ましい。
前記リン酸基は、例えば、前記非結合酸素を置換してもよい。前記酸素は、例えば、S(硫黄)、Se(セレン)、B(ホウ素)、C(炭素)、H(水素)、N(窒素)およびOR(Rは、アルキル基またはアリール基)のいずれかの原子で置換でき、好ましくは、Sで置換される。前記非結合酸素は、例えば、両方が置換されていることが好ましく、より好ましくは、両方がSで置換される。前記修飾リン酸基は、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート、ボラノホスフェートエステル、ホスホネート水素、ホスホロアミデート、アルキルまたはアリールホスホネート、およびホスホトリエステル等があげられ、中でも、前記2つの非結合酸素が両方ともSで置換されているホスホロジチオエートが好ましい。
前記リン酸基は、例えば、前記結合酸素を置換してもよい。前記酸素は、例えば、S(硫黄)、C(炭素)およびN(窒素)のいずれかの原子で置換でき、前記修飾リン酸基は、例えば、Nで置換した架橋ホスホロアミデート、Sで置換した架橋ホスホロチオエート、およびCで置換した架橋メチレンホスホネート等があげられる。前記結合酸素の置換は、例えば、本発明の核酸分子の5’末端ヌクレオチド残基および3’末端ヌクレオチド残基の少なくとも一方において行うことが好ましく、5’側の場合、Cによる置換が好ましく、3’側の場合、Nによる置換が好ましい。
前記リン酸基は、例えば、前記リン非含有のリンカーに置換してもよい。前記リンカーは、例えば、シロキサン、カーボネート、カルボキシメチル、カルバメート、アミド、チオエーテル、エチレンオキサイドリンカー、スルホネート、スルホンアミド、チオホルムアセタール、ホルムアセタール、オキシム、メチレンイミノ、メチレンメチルイミノ、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾ、およびメチレンオキシメチルイミノ等を含み、好ましくは、メチレンカルボニルアミノ基およびメチレンメチルイミノ基を含む。
本発明の核酸分子は、例えば、3’末端および5’末端の少なくとも一方のヌクレオチド残基が修飾されてもよい。前記修飾は、例えば、3’末端および5’末端のいずれか一方でもよいし、両方でもよい。前記修飾は、例えば、前述の通りであり、好ましくは、末端のリン酸基に行うことが好ましい。前記リン酸基は、例えば、全体を修飾してもよいし、前記リン酸基における1つ以上の原子を修飾してもよい。前者の場合、例えば、リン酸基全体の置換でもよいし、欠失でもよい。
前記末端のヌクレオチド残基の修飾は、例えば、他の分子の付加があげられる。前記他の分子は、例えば、前述のような標識物質、保護基等の機能性分子があげられる。前記保護基は、例えば、S(硫黄)、Si(ケイ素)、B(ホウ素)、エステル含有基等があげられる。前記標識物質等の機能性分子は、例えば、本発明の核酸分子の検出等に利用できる。
前記他の分子は、例えば、前記ヌクレオチド残基のリン酸基に付加してもよいし、スペーサーを介して、前記リン酸基または前記糖残基に付加してもよい。前記スペーサーの末端原子は、例えば、前記リン酸基の前記結合酸素、または、糖残基のO、N、SもしくはCに、付加または置換できる。前記糖残基の結合部位は、例えば、3’位のCもしくは5’位のC、またはこれらに結合する原子が好ましい。前記スペーサーは、例えば、前記PNA等のヌクレオチド代替物の末端原子に、付加または置換することもできる。
前記スペーサーは、特に制限されず、例えば、−(CH−、−(CHN−、−(CHO−、−(CHS−、O(CHCHO)CHCHOH、無塩基糖、アミド、カルボキシ、アミン、オキシアミン、オキシイミン、チオエーテル、ジスルフィド、チオ尿素、スルホンアミド、およびモルホリノ等、ならびに、ビオチン試薬およびフルオレセイン試薬等を含んでもよい。前記式において、nは、正の整数であり、n=3または6が好ましい。
前記末端に付加する分子は、これらの他に、例えば、色素、インターカレート剤(例えば、アクリジン)、架橋剤(例えば、ソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サッフィリン)、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えば、EDTA)、親油性担体(例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1−ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3−ビス−O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3−プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3−(オレオイル)リトコール酸、O3−(オレオイル)コール酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジン)およびペプチド複合体(例えば、アンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、リン酸、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG−40K)、MPEG、[MPEG]、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射線標識マーカー、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収促進剤(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジン−イミダゾール複合体、テトラアザマクロ環のEu3+複合体)等があげられる。
本発明の核酸分子は、前記5’末端が、例えば、リン酸基またはリン酸基アナログで修飾されてもよい。前記リン酸基は、例えば、5’一リン酸((HO)2(O)P-O-5’)、5’二リン酸((HO)2(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’)、5’三リン酸((HO)2(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’)、5’−グアノシンキャップ(7−メチル化または非メチル化、7m-G-O-5’-(HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’)、5’−アデノシンキャップ(Appp)、任意の修飾または非修飾ヌクレオチドキャップ構造(N-O-5’-(HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’)、5’一チオリン酸(ホスホロチオエート:(HO)2(S)P-O-5’)、5’一ジチオリン酸(ホスホロジチオエート:(HO)(HS)(S)P-O-5’)、5’−ホスホロチオール酸((HO)2(O)P-S-5’)、硫黄置換の一リン酸、二リン酸および三リン酸(例えば、5’−α−チオ三リン酸、5’−γ−チオ三リン酸等)、5’−ホスホルアミデート((HO)2(O)P-NH-5’、(HO)(NH2)(O)P-O-5’)、5’−アルキルホスホン酸(例えば、RP(OH)(O)-O-5’、(OH)2(O)P-5’-CH2、Rはアルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル等))、5’−アルキルエーテルホスホン酸(例えば、RP(OH)(O)-O-5’、Rはアルキルエーテル(例えば、メトキシメチル、エトキシメチル等))等があげられる。
前記ヌクレオチド残基において、前記塩基は、特に制限されない。前記塩基は、例えば、天然の塩基でもよいし、非天然の塩基でもよい。前記塩基は、例えば、天然由来でもよいし、合成品でもよい。前記塩基は、例えば、一般的な塩基、その修飾アナログ等が使用できる。
前記塩基は、例えば、アデニンおよびグアニン等のプリン塩基、シトシン、ウラシルおよびチミン等のピリミジン塩基があげられる。前記塩基は、この他に、イノシン、チミン、キサンチン、ヒポキサンチン、ヌバラリン(nubularine)、イソグアニシン(isoguanisine)、ツベルシジン(tubercidine)等があげられる。前記塩基は、例えば、2−アミノアデニン、6−メチル化プリン等のアルキル誘導体;2−プロピル化プリン等のアルキル誘導体;5−ハロウラシルおよび5−ハロシトシン;5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシン;6−アゾウラシル、6−アゾシトシンおよび6−アゾチミン;5−ウラシル(プソイドウラシル)、4−チオウラシル、5−ハロウラシル、5−(2−アミノプロピル)ウラシル、5−アミノアリルウラシル;8−ハロ化、アミノ化、チオール化、チオアルキル化、ヒドロキシル化および他の8−置換プリン;5−トリフルオロメチル化および他の5−置換ピリミジン;7−メチルグアニン;5−置換ピリミジン;6−アザピリミジン;N−2、N−6、およびO−6置換プリン(2−アミノプロピルアデニンを含む);5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシン;ジヒドロウラシル;3−デアザ−5−アザシトシン;2−アミノプリン;5−アルキルウラシル;7−アルキルグアニン;5−アルキルシトシン;7−デアザアデニン;N6,N6−ジメチルアデニン;2,6−ジアミノプリン;5−アミノ−アリル−ウラシル;N3−メチルウラシル;置換1,2,4−トリアゾール;2−ピリジノン;5−ニトロインドール;3−ニトロピロール;5−メトキシウラシル;ウラシル−5−オキシ酢酸;5−メトキシカルボニルメチルウラシル;5−メチル−2−チオウラシル;5−メトキシカルボニルメチル−2−チオウラシル;5−メチルアミノメチル−2−チオウラシル;3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)ウラシル;3−メチルシトシン;5−メチルシトシン;N4−アセチルシトシン;2−チオシトシン;N6−メチルアデニン;N6−イソペンチルアデニン;2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン;N−メチルグアニン;O−アルキル化塩基等があげられる。また、プリンおよびピリミジンは、例えば、米国特許第3,687,808号、「Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering」、858〜859頁、クロシュビッツ ジェー アイ(Kroschwitz J.I.)編、John Wiley & Sons、1990、およびイングリッシュら(Englischら)、Angewandte Chemie、International Edition、1991、30巻、p.613に開示されるものが含まれる。
前記修飾ヌクレオチド残基は、これらの他に、例えば、塩基を欠失する残基、すなわち、無塩基のリボリン酸骨格を含んでもよい。また、前記修飾ヌクレオチド残基は、例えば、米国仮出願第60/465,665号(出願日:2003年4月25日)、および国際出願第PCT/US04/07070号(出願日:2004年3月8日)に記載される残基が使用でき、本発明は、これらの文献を援用できる。
本発明の核酸分子は、例えば、標識物質を含み、前記標識物質で標識化されてもよい。前記標識物質は、特に制限されず、例えば、蛍光物質、色素、同位体等があげられる。前記標識物質は、例えば、ピレン、TAMRA、フルオレセイン、Cy3色素、Cy5色素等の蛍光団があげられ、前記色素は、例えば、Alexa488等のAlexa色素等があげられる。前記同位体は、例えば、安定同位体および放射性同位体があげられ、好ましくは安定同位体である。前記安定同位体は、例えば、被ばくの危険性が少なく、専用の施設も不要であることから取り扱い性に優れ、また、コストも低減できる。また、前記安定同位体は、例えば、標識した化合物の物性変化がなく、トレーサーとしての性質にも優れる。前記安定同位体は、特に制限されず、例えば、H、13C、15N、17O、18O、33S、34Sおよび36Sがあげられる。
本発明の核酸分子は、前述のように、RPN2遺伝子の発現抑制ができる。このため、本発明の核酸分子は、例えば、RPN2遺伝子の発現が原因となる疾患の治療剤として使用できる。本発明において、「治療」は、例えば、前記疾患の予防、疾患の改善、予後の改善の意味を含み、いずれでもよい。
前記疾患は、特に制限されず、がん疾患、薬剤耐性疾患等があげられる。前記がん疾患は、例えば、乳がん、肺がん、卵巣がん、大腸がん、食道がん、膵臓がん等があげられる。前記乳がんの場合、例えば、トラスツズマブ、ドセタキセル等の薬剤耐性乳がんに適している。
本発明の核酸分子の使用方法は、特に制限されず、例えば、RPN2遺伝子を有する投与対象に、前記核酸分子を投与すればよい。
前記投与対象は、例えば、細胞、組織または器官があげられる。前記投与対象は、例えば、ヒト、ヒトを除く非ヒト動物あげられる。前記非ヒト動物は、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ等の非ヒト哺乳類動物等があげられる。前記投与は、例えば、in vivoでもin vitroでもよい。
前記細胞は、特に制限されず、例えば、生体の細胞、生体から単離した細胞、その培養細胞があげられる。前記培養細胞は、例えば、初代培養細胞、継代細胞、株化培養細胞等があげられる。前記細胞の種類は、特に制限されず、MCF7−ADR等の腫瘍細胞、ES細胞、造血幹細胞等の幹細胞等があげられる。
本発明の核酸分子に関しては、後述する本発明の組成物、抑制方法および治療方法等の記載を参照できる。
本発明の核酸分子は、前述のように、RPN2遺伝子の発現を抑制できることから、例えば、医薬品および診断薬、ならびに、医学、生命科学等の研究ツールとして有用である。
(発現ベクター)
本発明の発現ベクターは、本発明の核酸分子をコードするDNAを含むことを特徴とする。本発明の発現ベクターは、前記DNAを含むことが特徴であり、その他の構成は、何ら制限されない。本発明の発現ベクターは、例えば、ベクターに発現可能なように前記DNAが挿入されている。前記DNAを挿入するベクターは、特に制限されず、例えば、一般的なベクターが使用でき、ウイルスベクターおよび非ウイルスベクター等があげられる。前記非ウイルスベクターは、例えば、プラスミドベクターがあげられる。
本発明のベクターによれば、例えば、in vivoまたはin vitroでの投与によって、投与された対象内で、本発明の発現抑制用核酸分子を発現することができる。
(組成物)
本発明の組成物は、本発明の発現抑制用核酸分子を含むことを特徴とする。本発明の組成物は、前記本発明の発現抑制用核酸分子を含むことが特徴であり、その他の構成は、何ら制限されない。
本発明の組成物によれば、RPN2遺伝子の発現を抑制できるため、本発明の組成物は、例えば、発現抑制用試薬ということもできる。
本発明によれば、例えば、RPN2遺伝子が存在する対象、特に、RPN2遺伝子の発現が相対的に高い対象、相対的に高くなると予測される対象に投与することで、RPN2遺伝子の発現を抑制できる。
また、本発明の発現抑制用核酸分子は、前述のように、疾患の治療に使用できることから、本発明の組成物は、薬学的組成物、疾患の治療薬、医薬品ともいえる。
本発明によれば、例えば、RPN2遺伝子の発現が原因となる疾患の患者に投与することで、RPN2遺伝子の発現を抑制し、前記疾患を治療できる。前記疾患は、例えば、前述の通りであって、がん疾患または薬剤耐性疾患があげられる。前記がん疾患は、例えば、前述の通りであって、乳がん、肺がん、卵巣がん、大腸がん、食道がん、膵臓がん等のがん疾患があげられる。本発明において、「治療」は、前述のように、例えば、前記疾患の予防、疾患の改善、予後の改善の意味を含み、いずれでもよい。
本発明の組成物の使用方法は、特に制限されず、例えば、RPN2遺伝子が存在する対象、特に、RPN2遺伝子またはRPN2タンパク質の発現が相対的に高い対象、または、相対的に高くなると予測される対象に、前記組成物を投与すればよい。投与対象は、例えば、前述の通りである。
前記投与方法は、特に制限されず、例えば、投与対象に応じて適宜決定できる。前記投与対象が、前記培養細胞の場合、例えば、トランスフェクション試薬を使用する方法、エレクトロポレーション法、ナノバブル法等があげられる。前記投与対象が生体の場合、例えば、非経口投与、経口投与等があげられる。非経口投与は、例えば、局所投与、静脈内投与等があげられる。前記投与部位は、例えば、がん、血管等があげられる。本発明の組成物の投与条件、例えば、投与回数、投与量等は、特に制限されない。
本発明の組成物において、前記発現抑制用核酸分子の配合量は、特に制限されない。本発明の組成物は、例えば、本発明の発現抑制用核酸分子のみを含んでもよいし、さらにその他の添加物を含んでもよい。前記添加物の配合量は、前記発現抑制用核酸分子の機能を妨げるものでなければ、特に制限されない。前記添加物は、特に制限されず、例えば、薬学的に許容された添加物が好ましい。前記添加物の種類は、特に制限されず、例えば、投与対象の種類に応じて適宜選択できる。
本発明の組成物において、前記添加物は、例えば、前記発現抑制用核酸分子と複合体を形成するものが好ましい。この場合、前記添加物は、例えば、複合化剤ともいえる。本発明の組成物において、前記発現抑制用核酸分子を複合体とすることによって、例えば、前記発現抑制用核酸分子を効率よくデリバリーできる。前記発現抑制用核酸分子と前記複合化剤との結合は、特に制限されず、例えば、非共有結合があげられる。前記複合体は、例えば、包接複合体があげられる。
前記複合化剤は、特に制限されず、ポリマー、シクロデキストリン、アダマンチン等があげられる。前記シクロデキストリンは、例えば、線状シクロデキストリンコポリマー、線状酸化シクロデキストリンコポリマー等があげられる。
前記添加剤は、この他に、例えば、担体、標的細胞への結合物質、縮合剤、融合剤、賦形剤、基剤、安定化剤、保存剤等があげられる。
(RPN2遺伝子の発現抑制方法)
本発明の抑制方法は、前述のように、RPN2遺伝子の発現を抑制する方法であって、本発明の発現抑制用核酸分子を使用することを特徴とする。本発明の抑制方法は、本発明の発現抑制用核酸分子を使用することが特徴であって、その他の工程および条件は、何ら制限されない。
本発明の抑制方法は、例えば、RPN2遺伝子が存在する対象、特に、RPN2遺伝子の発現が相対的に高い対象または相対的に高くなると予測される対象に、前記発現抑制用核酸分子を投与する工程を含む。前記投与工程により、例えば、前記投与対象に前記発現抑制用核酸分子を接触させる。前記投与対象は、例えば、細胞、組織または器官があげられる。前記投与対象は、例えば、前述と同様に、ヒト、前記非ヒト動物があげられる。前記投与は、例えば、in vivoでもin vitroでもよい。
本発明の抑制方法は、例えば、前記発現抑制用核酸分子を単独で投与してもよいし、前記発現抑制用核酸分子を含む前記本発明の組成物を投与してもよい。前記投与方法は、特に制限されず、例えば、投与対象の種類に応じて適宜選択でき、前述の記載が援用できる。
(治療方法)
本発明の疾患の治療方法は、前述のように、本発明の発現抑制用核酸分子を、患者に投与する工程を含むことを特徴とする。本発明の治療方法は、本発明の発現抑制用核酸分子を使用することが特徴であって、その他の工程および条件は、何ら制限されない。本発明が対象とする疾患は、例えば、前述の通りであって、がん疾患または薬剤耐性疾患があげられる。前記がん疾患は、例えば、前述の通りであって、乳がん、肺がん、卵巣がん、大腸がん、食道がん、膵臓がん等のがん疾患があげられる。
本発明の治療方法は、例えば、前記本発明の抑制方法等を援用できる。前記投与方法は、特に制限されず、例えば、前述のように、非経口投与および経口投与のいずれでもよい。
(発現抑制用核酸分子の使用)
本発明の使用は、RPN2遺伝子の発現またはRPN2タンパク質の機能の抑制のための、本発明の発現抑制用核酸分子の使用である。また、本発明の使用は、RPN2遺伝子の発現抑制のための医薬の製造における使用である。
以下、実施例等により、本発明を詳しく説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
[実施例1]
siRNA、nkRNAおよびPnkRNAを合成し、in vitroでヒトRPN2遺伝子の発現抑制を確認した。
(1)siRNA
siRNAとして、下記配列の二本鎖RNAを合成した。各二本鎖において、上の配列をセンス鎖、下の配列をアンチセンス鎖とした。センス鎖およびアンチセンス鎖の3’末端のオーバンハング配列は、いずれもn=2であり、TT、CA、UGのいずれかとし、アンチセンス鎖の下線部は、発現抑制配列とした。下記NI−0067、NI−0069、NI−0073およびNI−0075は、実施例のsiRNAであり、下線部の発現抑制配列は、それぞれ順に配列番号1〜3および5とした。NI−0048は、スクランブルsiRNAであり、NI−0000は、ネガティブコントロールsiRNAである。
Figure 2014140341
Figure 2014140341
(2)nkRNA
nkRNAとして、下記配列の一本鎖RNAを合成した。下記配列において、下線部領域は、前記siRNAと共通する前記発現抑制配列とし、アスタリスクを付した塩基は、前記フリー塩基を示す。下記NK−0155、NK−0156、NK−0157およびNK−0158は、実施例のnkRNAであり、下線部の発現抑制配列は、それぞれ順に配列番号1、2、4および5とした。NK−0000は、ネガティブコントロールnkRNAである。
Figure 2014140341
(3)PnkRNA
PnkRNAとして、下記配列の一本鎖RNAを合成した。下記配列において、LxおよびLyは、それぞれリンカー領域LxおよびLyであり、それぞれ、L−プロリンジアミドアミダイトを用いて下記構造式とした。また、下記配列において、下線部領域は、前記siRNAと共通する前記発現抑制配列とし、アスタリスクを付した塩基は、前記フリー塩基を示す。下記PK−0088、PK−0089、PK−0090およびPK−0091は、実施例のPnkRNAであり、下線部の発現抑制配列は、それぞれ順に配列番号1、2、4および5とした。PK−0000は、ネガティブコントロールPnkRNAである。
Figure 2014140341

Figure 2014140341
(4)ヒトRPN2遺伝子の発現量の測定
前記各siRNA、nkRNAおよびPnkRNAを、20μmol/Lとなるように、注射用蒸留水(大塚製薬)に溶解し、RNA溶液を調製した。
細胞は、抗癌剤耐性乳癌細胞株(多剤耐性乳癌細胞株)MCF7−ADR(国立がんセンター落谷先生より提供)を使用した。培養条件は、37℃、5%COとした。培地は、10%FBSを含むRPMI Medium 1640(Invitrogen)を使用した。
前記細胞を含む前記培養液を、24穴プレートに、400μLずつ、6×10細胞/ウェルとなるように播種した。その後、前記ウェル中の前記細胞に、前記(1)RNA核酸分子を、トランスフェクション試薬Lipofectamine2000(商標)(Invitrogen)を用いて、添付のプロトコールに従って導入した。具体的には、前記ウェルあたり、前記RNA核酸分子と前記トランスフェクション試薬との混合液100μlを添加し、前記細胞培養液と併せて全量を500μlとした。前記RNA核酸分子の最終濃度は、0.1、1または10nmol/Lとした。
トランスフェクション後、前記ウェル中の前記細胞を同条件で24時間培養した。そして、RNeasy Mini Kit(Qiagen)を用い、添付のプロトコールに従って、RNAを回収した。次に、逆転写酵素(商品名SuperScript III、Invitrogen)を用い、前記RNAからcDNAを、添付のプロトコールに従って合成した。
得られた前記cDNAを鋳型としてPCRを行い、ヒトRPN2遺伝子の発現量および内部標準であるβ−アクチン遺伝子の発現量を測定した。RPN2遺伝子の発現量は、前記β−アクチン遺伝子の発現量により補正した。前記PCRにおいて、RPN2遺伝子および前記β−アクチンの増幅には、それぞれ以下のプライマーセットを使用した。
ヒトRPN2遺伝子増幅用プライマーセット
(配列番号35)5’-ATCTAACCTTGATCCCAGCAATGTG-3’
(配列番号36)5’-CTGCCAGAAGCAGATCTTTGGTC-3’
β−アクチン遺伝子増幅用プライマーセット
(配列番号37)5’-ATTGCCGACAGGATGCAGA-3’
(配列番号38)5’-GAGTACTTGCGCTCAGGAGGA-3’
コントロールとして、前記(1)RNA核酸分子および前記トランスフェクション試薬を添加していない細胞(−)ならびに前記RNA核酸分子を未添加とし、前記トランスフェクション試薬のみを添加した細胞(モック)についても、同条件下で培養、RNA抽出、cDNAの合成および、PCRを行い、遺伝子発現量を測定した。RPN2遺伝子の発現量は、前記細胞(−)を1として、相対的に比較した。
前記siRNAを用いた結果を図5に示す。図5は、RPN2遺伝子の発現抑制を示すグラフである。横軸は、前記siRNAの種類および濃度を示し、縦軸は、RPN2遺伝子の相対的遺伝子発現量を示す。図5に示すように、前記siRNAは、いずれもネガティブコントロールよりも強い発現抑制活性を示した。
前記siRNAを用いた結果を図6に示す。図6は、RPN2遺伝子の発現抑制を示すグラフである。横軸は、前記siRNAの種類および濃度を示し、縦軸は、RPN2遺伝子の相対的遺伝子発現量を示す。図6に示すように、いずれのsiRNAもネガティブコントロールよりも強い発現抑制活性を示した。
前記nkRNAを用いた結果を図7示す。図7は、RPN2遺伝子の発現抑制を示すグラフである。横軸は、前記nkRNAの種類及び濃度を示し、縦軸は、RPN2遺伝子の相対的遺伝子発現量を示す。図7に示すように、前記nkRNAは、いずれもネガティブコントロールよりも強い発現抑制活性を示した。
前記PnkRNAを用いた結果を図8示す。図8は、RPN2遺伝子の発現量抑制を示すグラフである。横軸は、前記PnkRNAの種類を示し、縦軸は、RPN2遺伝子の相対的遺伝子発現量を示す。図8に示すように、前記PnkRNAは、いずれもネガティブコントロールよりも強い発現抑制活性を示した。
以上のように、本発明の核酸分子によれば、RPN2遺伝子の発現抑制が可能である。このため、本発明は、RPN2遺伝子の発現が原因となる疾患、例えば、がん疾患または薬剤耐性疾患等の治療に有効である。

Claims (21)

  1. RPN2遺伝子の発現抑制配列として、下記(as1)、(as2)または(as3)のヌクレオチドを含むことを特徴とする、RPN2遺伝子の発現抑制用核酸分子。
    (as1)配列番号1〜5のいずれか一つの塩基配列からなるヌクレオチド
    (as2)前記(as1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列からなり、薬剤耐性乳がんのターゲットであるRPN2遺伝子の発現抑制機能を有するヌクレオチド
    (as3)前記(as1)の塩基配列と90%以上の同一性を有するヌクレオチド
  2. 前記発現抑制配列が、さらに、オーバーハング配列を有し、
    前記ヌクレオチドの3’末端に、前記オーバーハング配列が付加されている、請求項1記載の発現抑制用核酸分子。
  3. 前記発現抑制配列が、前記(as1)のヌクレオチドを含む、配列番号6〜10のいずれか一つの塩基配列(nは正の整数)からなるヌクレオチドである、請求項1または2記載の発現抑制用核酸分子。
  4. 前記発現抑制配列の長さが、18〜32塩基長である、請求項1から3のいずれか一項に記載の発現抑制用核酸分子。
  5. さらに、前記発現抑制配列とアニーリングする相補配列を有し、
    前記相補配列は、前記発現抑制配列における前記(as1)、(as2)または(as3)のヌクレオチドと相補的なヌクレオチドを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の発現抑制用核酸分子。
  6. 前記相補配列における前記ヌクレオチドが、下記(s1)(s2)または(s3)のヌクレオチドである、請求項5記載の発現抑制用核酸分子。
    (s1)前記(as1)の塩基配列に相補的な塩基配列からなるヌクレオチド
    (s2)前記(as2)の塩基配列に相補的な塩基配列からなるヌクレオチド
    (s3)前記(as3)の塩基配列に相補的な塩基配列からなるヌクレオチド
  7. 前記(s1)のヌクレオチドが、配列番号11〜15のいずれか一つの塩基配列からなるヌクレオチドである、請求項6記載の発現抑制用核酸分子。
  8. 前記相補配列が、さらに、オーバーハング配列を有し、
    前記ヌクレオチドの5’末端に、前記オーバーハング配列が付加されている、請求項5から7のいずれか一項に記載の発現抑制用核酸分子。
  9. 前記相補配列が、前記(s1)のヌクレオチドを含む、配列番号16〜20のいずれか一つの塩基配列(nは正の整数)からなるヌクレオチドである、請求項6から8のいずれか一項に記載の発現抑制用核酸分子。
  10. 前記オーバーハング配列が、1〜3塩基長である、請求項2から9のいずれか一項に記載の発現抑制用核酸分子。
  11. 前記発現抑制用核酸分子が、2つの一本鎖から構成される二本鎖核酸分子であり、そのアンチセンス鎖が、前記発現抑制配列を有し、そのセンス鎖が、前記相補配列を有する、請求項5から10のいずれか一項に記載の発現抑制用核酸分子。
  12. 請求項1から11のいずれか一項に記載の発現抑制用核酸分子を含むことを特徴とする、組成物。
  13. 薬学的組成物である、請求項12記載の組成物。
  14. RPN2遺伝子の発現に起因する疾患の治療用である、請求項12または13記載の組成物。
  15. 前記疾患が、がん疾患または薬剤耐性疾患である、請求項14記載の組成物。
  16. 前記がん疾患が、乳がん、肺がん、卵巣がん、大腸がん、食道がん、膵臓がんからなる群から選択された少なくとも1つのがん疾患である、請求項15記載の組成物。
  17. RPN2遺伝子の発現を抑制する方法であって、
    請求項1から11のいずれか一項に記載の発現抑制用核酸分子を使用することを特徴とする抑制方法。
  18. 前記発現抑制用核酸分子を、細胞、組織または器官に投与する工程を含む、請求項17記載の抑制方法。
  19. 前記発現抑制用核酸分子を、in vivoまたはin vitroで投与する、請求項17または18記載の抑制方法。
  20. 請求項1から11のいずれか一項に記載の発現抑制用核酸分子を、患者に投与する工程を含むことを特徴とする、RPN2遺伝子の発現に起因する疾患の治療方法。
  21. 前記疾患が、がん疾患または薬剤耐性疾患である、請求項20記載の治療方法。
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