JP2015182988A - NF−κBRelA遺伝子の発現抑制剤、アレルギー性皮膚炎用医薬、およびその用途 - Google Patents

NF−κBRelA遺伝子の発現抑制剤、アレルギー性皮膚炎用医薬、およびその用途 Download PDF

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貴憲 金沢
Takanori Kanazawa
貴憲 金沢
康生 瀬田
Yasuo Seta
康生 瀬田
弘晃 岡田
Hiroaki Okada
弘晃 岡田
忠明 大木
Tadaaki Oki
忠明 大木
智洋 濱崎
Tomohiro Hamazaki
智洋 濱崎
隆之 水谷
Takayuki Mizutani
隆之 水谷
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Abstract

【課題】NF−κB RelA遺伝子の発現を効率的に抑制可能な新たな発現抑制剤およびアレルギー性皮膚炎用医薬を提供する。【解決手段】RelA遺伝子の発現抑制剤として、5’側から3’側にかけて、5’側領域(Xc)、内部領域(Z)および3’側領域(Yc)を、前記順序で含み、前記内部領域(Z)が、内部5’側領域(X)および内部3’側領域(Y)が連結して構成され、前記5’側領域(Xc)が、前記内部5’側領域(X)と相補的であり、前記3’側領域(Yc)が、前記内部3’側領域(Y)と相補的であり、前記内部領域(Z)が、NF−κB遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含む一本鎖核酸分子を有することを特徴とする。前記発現抑制剤は、さらに、機能性ペプチドとして、N末端がステアリル化したCys-His-His-Arg-Arg-Arg-Arg-His-His-Cysを含むことが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、NF−κB RelA遺伝子の発現抑制剤、アレルギー性皮膚炎用医薬、およびその用途に関する。
近年、アトピー性皮膚炎をはじめとするアレルギー性皮膚炎の患者数は、年齢および性別にかかわらず、増加の一途をたどっている。このような疾患は、肉体的および精神的な活動、社会活動等を妨げる原因にもなり、QOL(クオリティオブライフ)の著しい低下を引き起こしている。このため、アレルギー性皮膚炎に対して、その原因の解明、有効な医薬の開発が進められている。
アレルギー性皮膚炎の原因としては、例えば、NF−κB RelA遺伝子の発現が関与していることが報告されており、この発現を抑制するために、siRNAの利用が試みられている(非特許文献1、2)。しかしながら、前記siRNAによっては、十分な効果が得られておらず、より優れた医薬の開発が求められている。
T. Uchida, T. Kanazawa, Y. Takashima, and H. Okada, "Development of an efficient transdermal delivery system of small interfering RNA using functional peptides, Tat and AT−1002." Chem. Pharm. Bull., 59(2), 196−201 (2011) T. Uchida, T. Kanazawa, M. Kawai, Y. Takashima, and H. Okada, "Therapeutic effects on atopic dermatitis by anti−RelA siRNA combined with functional peptides, Tat and AT1002." J. Pharmacol. Exp. Ther., 338, 443−450 (2011)
そこで、本発明は、NF−κB RelA遺伝子の発現を効率的に抑制可能な新たな発現抑制剤およびアレルギー性皮膚炎用医薬の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のNF−κB RelA遺伝子の発現抑制剤は、一本鎖RNA核酸分子を含む発現抑制剤であって、
前記一本鎖核酸分子が、
5’側から3’側にかけて、5’側領域(Xc)、内部領域(Z)および3’側領域(Yc)を、前記順序で含み、
前記内部領域(Z)が、内部5’側領域(X)および内部3’側領域(Y)が連結して構成され、
前記5’側領域(Xc)が、前記内部5’側領域(X)と相補的であり、
前記3’側領域(Yc)が、前記内部3’側領域(Y)と相補的であり、
前記内部領域(Z)が、NF−κB遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含むことを特徴とする。
本発明のアレルギー性皮膚炎用医薬は、前記本発明の発現抑制剤を含むことを特徴とする。
本発明のNF−κB RelAの発現抑制方法は、前記本発明の発現抑制剤を使用することを特徴とする。
本発明のアレルギー性皮膚炎の治療方法は、前記本発明の発現抑制剤を、患者に投与する工程を含むことを特徴とする。
本発明の発現抑制剤によれば、効果的にNF−κB RelAの発現抑制が可能であり、NF−κB RelAが原因となるアレルギー性皮膚炎の治療にも有効である。
図1は、本発明の核酸分子の一例を示す模式図である。 図2は、本発明の核酸分子のその他の例を示す模式図である。 図3は、本発明の核酸分子のその他の例を示す模式図である。 図4は、本発明の実施例2−1における、JAWSII細胞株のRelA遺伝子のmRNA発現量の相対値を示すグラフである。 図5は、本発明の実施例2−2における、JAWSII細胞株のRelA遺伝子のmRNA発現量の相対値を示すグラフである。 図6は、本発明の実施例3における、RAW264.7細胞株のRelA遺伝子のmRNA発現量の相対値を示すグラフである。 図7は、実施例4−1における、モデルマウスのアトピー性皮膚炎の評価結果であり、(A)は、前記マウスの耳介厚の結果を示すグラフであり、(B)は、前記マウスの臨床スコアを示すグラフである。 図8は、実施例4−1における、モデルマウスの写真であり、(A)は、ネガティブコントロール(NK00)の結果を示し、(B)は、実施例(NK149)の結果を示す。 図9は、実施例4−2における、モデルマウスのアトピー性皮膚炎の評価結果であり、(A)は、前記マウスの耳介厚の結果を示すグラフであり、(B)は、前記マウスの臨床スコアを示すグラフである。 図10は、実施例4−2における、モデルマウスの写真であり、(A)は、ネガティブコントロール(PK00)の結果を示し、(B)は、実施例(PK62)の結果を示す。 図11は、実施例5における、モデルマウスのアトピー性皮膚炎の評価結果であり、(A)は、前記マウスの耳介厚の結果を示すグラフであり、(B)は、前記マウスの臨床スコアを示すグラフである。 図12は、実施例5における、モデルマウスの写真であり、(A)は、ネガティブコントロール(NK00)の結果を示し、(B)は、実施例(NK149)の結果を示す。 図13は、実施例5における、モデルマウスのアトピー性皮膚炎の評価結果であり、(A)は、前記マウスの耳介厚の結果を示すグラフであり、(B)は、前記マウスの臨床スコアを示すグラフである。 図14は、実施例5における、モデルマウスの写真であり、(A)は、ネガティブコントロール(PK00)の結果を示し、(B)は、実施例(PK62)の結果を示す。 図15は、実施例6における、モデルマウスの耳組織のサイトカイン量を示すグラフであり、(A)は、TNF−αの結果を示し、(B)は、IL−6の結果を示す。
本明細書で使用する用語は、特に言及しない限り、当該技術分野で通常用いられる意味で用いることができる。
1.NF−κ RelA遺伝子の発現抑制剤
本発明の発現抑制剤は、前述のように、一本鎖RNA核酸分子を含むNF−κB RelA遺伝子の発現抑制剤であって、
前記一本鎖核酸分子が、
5’側から3’側にかけて、5’側領域(Xc)、内部領域(Z)および3’側領域(Yc)を、前記順序で含み、
前記内部領域(Z)が、内部5’側領域(X)および内部3’側領域(Y)が連結して構成され、
前記5’側領域(Xc)が、前記内部5’側領域(X)と相補的であり、
前記3’側領域(Yc)が、前記内部3’側領域(Y)と相補的であり、
前記内部領域(Z)が、NF−κB遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含むことを特徴とする。
NF−κB(核酸因子κB)は、転写因子として機能するタンパク質複合体であり、RelAは、NF−κBファミリーのクラスIIに属するタンパク質複合体である。前記RelA遺伝子は、例えば、既存のデータベースに登録されている情報を参照できる。具体例として、ヒト由来RelA遺伝子は、例えば、NCBI アクセッション番号Z22951で登録されており、マウス由来RelA遺伝子は、例えば、NCBI アクセッション番号M61909で登録されている。
本発明において、RelA遺伝子の発現抑制は、特に制限されず、例えば、遺伝子の転写自体の抑制、遺伝子の転写産物を分解することによる抑制、遺伝子の転写産物に基づくタンパク質への翻訳を阻害することによる抑制のいずれでもよい。また、RelA遺伝子の発現抑制は、例えば、本来の機能を有するRelAタンパク質の発現抑制であってもよく、また、タンパク質が発現された場合、前記タンパク質は、例えば、RelAとしての本来の機能が阻害されたタンパク質でもよいし、RelAとしての本来の機能が欠失したタンパク質でもよい。
本発明において、前記一本鎖RNA核酸分子の構成単位は、特に制限されず、例えば、ヌクレオチド残基があげられる。前記ヌクレオチド残基は、例えば、リボヌクレオチド残基およびデオキシリボヌクレオチド残基があげられる。前記ヌクレオチド残基は、例えば、修飾されていない非修飾ヌクレオチド残基および修飾された修飾ヌクレオチド残基があげられる。前記一本鎖RNA核酸分子は、例えば、前記ヌクレオチド残基として、リボヌクレオチド残基のみを含んでもよいし、リボヌクレオチド残基の他に、デオキシリボヌクレオチド残基および/または非ヌクレオチド残基を含んでもよい。
本発明において、前記一本鎖核酸分子は、5’末端と3’末端とが未連結である。
前記一本鎖核酸分子において、前記5’側領域(Xc)は、前記内部領域(Z)における前記内部5’側領域(X)と相補的であり、前記3’側領域(Yc)は、前記内部領域(Z)における前記内部3’側領域(Y)と相補的である。このため、前記一本鎖核酸分子は、5’側において、前記5’側領域(Xc)が前記内部5’側領域(X)に向かって折り返し、前記5’側領域(Xc)と前記内部5’側領域(X)とが、自己アニーリングによって、二重鎖を形成可能であり、また、3’側において、前記3’側領域(Yc)が前記内部3’側領域(Y)に向かって折り返し、前記3’領域(Yc)と前記内部5’側領域(Y)とが、自己アニーリングによって、二重鎖を形成可能である。このため、前記一本鎖核酸分子は、前記内部領域(Z)に対する内部アニーリングによって、二カ所で、二重鎖のステム構造が形成される。
前記内部領域(Z)は、前述のように、前記内部5’領域(X)と前記内部3’領域(Y)が連結されている。前記内部5’側領域(X)と前記内部3’側領域(Y)は、例えば、直接的に連結され、その間に介在配列を有していない。前記内部領域(Z)は、前記5’側領域(Xc)および前記3’側領域(Yc)との配列関係を示すために、「前記内部5’側領域(X)と前記内部3’側領域(Y)が連結して構成される」と表わすものであって、前記内部領域(Z)において、前記内部5’側領域(X)と前記内部3’側領域(Y)とが、例えば、前記核酸分子の使用において、別個の独立した領域であることを限定するものではない。すなわち、例えば、前記内部領域(Z)において、前記内部5’側領域(X)と前記内部3’領域(Y)とにわたって、前記発現抑制配列が配置されてもよい。
前記一本鎖核酸分子において、前記5’側領域(Xc)と前記内部5’側領域(X)とは、例えば、直接的に連結してもよいし、間接的に連結してもよい。前者の場合、直接的な連結は、例えば、ホスホジエステル結合による連結があげられる。後者の場合、例えば、前記5’側領域(Xc)と前記内部5’側領域(X)との間に、リンカー領域(Lx)を有し、前記リンカー領域(Lx)を介して、前記5’側領域(Xc)と前記内部5’側領域(X)とが連結している形態があげられる。
また、前記一本鎖核酸分子において、前記3’側領域(Yc)と前記内部3’側領域(Y)とは、例えば、直接的に連結してもよいし、間接的に連結してもよい。前者の場合、直接的な連結は、例えば、ホスホジエステル結合による連結があげられる。後者の場合、例えば、前記3’側領域(Yc)と前記内部3’側領域(Y)との間に、リンカー領域(Ly)を有し、前記リンカー領域(Ly)を介して、前記3’側領域(Yc)と前記内部3’側領域(Y)とが連結している形態があげられる。
前記一本鎖核酸分子は、例えば、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)の両方を有してもよいし、いずれか一方を有してもよい。後者の場合、例えば、前記5’側領域(Xc)と前記内部5’側領域(X)との間に前記リンカー領域(Lx)を有し、前記3’側領域(Yc)と前記内部3’側領域(Y)との間に前記リンカー領域(Ly)を有さない、つまり、前記3’側領域(Yc)と前記内部3’側領域(Y)とが直接的に連結された形態があげられる。また、後者の場合、例えば、前記3’側領域(Yc)と前記内部3’側領域(Y)との間に前記リンカー領域(Ly)を有し、前記5’側領域(Xc)と前記内部5’側領域(X)との間に前記リンカー領域(Lx)を有さない、つまり、前記5’側領域(Xc)と前記内部5’側領域(X)とが直接的に連結された形態があげられる。
前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)は、それぞれ、それ自体の領域内部において、自己アニーリングを生じない配列であることが好ましい。
前記一本鎖核酸分子について、前記リンカー領域を有さない一例を、図1の模式図に示す。図1(A)は、前記一本鎖核酸分子について、5’側から3’側に向かって、各領域の順序の概略を示す模式図であり、図1(B)は、前記一本鎖核酸分子が、前記分子内において二重鎖を形成している状態を示す模式図である。図1(B)に示すように、前記一本鎖核酸分子は、前記5’側領域(Xc)が折り返し、前記5’側領域(Xc)と前記内部5’側領域(X)との間で二重鎖が形成され、前記3’側領域(Yc)が折り返し、前記3’側領域(Yc)と前記内部3’側領域(Y)との間で二重鎖が形成される。図1は、あくまでも、各領域の連結順番および二重鎖を形成する各領域の位置関係を示すものであり、例えば、各領域の長さ等は、これに制限されない(以下、他の図についても同様)。
前記一本鎖核酸分子について、前記リンカー領域を有する一例を、図2の模式図に示す。図2(A)は、前記一本鎖核酸分子について、5’側から3’側に向かって、各領域の順序の概略を示す模式図であり、図2(B)は、前記一本鎖核酸分子が、前記分子内において二重鎖を形成している状態を示す模式図である。図2(B)に示すように、前記一本鎖核酸分子は、前記5’側領域(Xc)と前記内部5’側領域(X)との間、前記内部3’側領域(Y)と前記3’側領域(Yc)との間で、二重鎖が形成され、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)が、ループ構造をとる。
前記一本鎖核酸分子において、前記5’側領域(Xc)、前記内部5’側領域(X)、前記内部3’側領域(Y)および前記3’側領域(Yc)の塩基数は、特に制限されず、例えば、以下の通りである。
前記5’側領域(Xc)は、例えば、前記内部5’側領域(X)にアニーリング可能であればよい。
前記5’側領域(Xc)は、例えば、前記内部5’側領域(X)の全領域に対して相補的である。この場合、前記5’側領域(Xc)は、例えば、前記内部5’側領域(X)と同じ塩基長であり、且つ、前記内部5’側領域(X)の5’末端から3’末端の全領域に対して、相補的な塩基配列からなることが好ましい。前記5’側領域(Xc)は、より好ましくは、前記内部5’側領域(X)と同じ塩基長であり、且つ、前記5’側領域(Xc)の全ての塩基が、前記内部5’領域(X)の5’末端から3’末端の全領域の塩基と相補的である、つまり、完全に相補的であることが好ましい。なお、これには制限されず、前記5’側領域(Xc)は、例えば、前記内部5’側領域(X)に対して、1もしくは数塩基が非相補的でもよい。
また、前記5’側領域(Xc)は、例えば、前記内部5’側領域(X)の部分領域に対して相補的でもよい。この場合、前記5’側領域(Xc)は、例えば、前記内部5’領域(X)の部分領域と同じ塩基長であり、且つ、前記内部5’領域(X)の前記部分領域に対して、相補的な塩基配列からなることが好ましい。すなわち、前記5’側領域(Xc)は、前記内部5’側領域(X)よりも、1塩基以上短い塩基配列からなることが好ましい。また、前記5’側領域(Xc)は、より好ましくは、前記内部5’側領域(X)の前記部分領域と同じ塩基長であり、且つ、前記5’側領域(Xc)の全ての塩基が、前記内部5’側領域(X)の前記部分領域の全ての塩基と相補的である、つまり、完全に相補的であることが好ましい。前記内部5’側領域(X)の前記部分領域は、例えば、前記5’側領域(X)における、5’末端の塩基(1番目の塩基)から連続する塩基配列からなる領域(セグメント)であることが好ましい。
前記3’側領域(Yc)は、例えば、前記内部3’側領域(Y)にアニーリング可能であればよい。
前記3’側領域(Yc)は、例えば、前記内部3’側領域(Y)の全領域に対して相補的である。この場合、前記3’側領域(Yc)は、例えば、前記内部3’側領域(Y)と同じ塩基長であり、且つ、前記内部3’側領域(Y)の5’末端から3’末端の全領域に対して、相補的な塩基配列からなることが好ましい。前記3’側領域(Yc)は、より好ましくは、前記内部3’側領域(Y)と同じ塩基長であり、且つ、前記3’側領域(Yc)の全ての塩基が、前記内部3’領域(Y)の5’末端から3’末端の全領域の塩基と相補的である、つまり、完全に相補的であることが好ましい。なお、これには制限されず、前記3’側領域(Yc)は、例えば、前記内部3’側領域(Y)に対して、1もしくは数塩基が非相補的でもよい。
また、前記3’側領域(Yc)は、例えば、前記内部3’側領域(Y)の部分領域に対して相補的でもよい。この場合、前記3’側領域(Yc)は、例えば、前記内部3’領域(Y)の部分領域と同じ塩基長であり、且つ、前記内部3’領域(Y)の前記部分領域に対して、相補的な塩基配列からなることが好ましい。すなわち、前記3’側領域(Yc)は、前記内部3’側領域(Y)よりも、1塩基以上短い塩基配列からなることが好ましい。また、前記3’側領域(Yc)は、より好ましくは、前記内部3’側領域(Y)の前記部分領域と同じ塩基長であり、且つ、前記3’側領域(Yc)の全ての塩基が、前記内部3’側領域(Y)の前記部分領域の全ての塩基と相補的である、つまり、完全に相補的であることが好ましい。前記内部3’側領域(Y)の前記部分領域は、例えば、前記内部3’側領域(Y)における、3’末端の塩基(1番目の塩基)から連続する塩基配列からなる領域(セグメント)であることが好ましい。
前記一本鎖核酸分子において、前記内部領域(Z)の塩基数(Z)と、前記内部5’側領域(X)の塩基数(X)および前記内部3’側領域(Y)の塩基数(Y)との関係、前記内部領域(Z)の塩基数(Z)と、前記5’側領域(Xc)の塩基数(Xc)および前記3’側領域(Yc)の塩基数(Yc)との関係は、例えば、下記式(1)および(2)の条件を満たす。
Z=X+Y ・・・(1)
Z≧Xc+Yc ・・・(2)
前記一本鎖核酸分子において、前記内部5’側領域(X)の塩基数(X)と前記内部3’側領域(Y)の塩基数(Y)の長さの関係は、特に制限されず、例えば、下記式のいずれの条件を満たしてもよい。
X=Y ・・・(19)
X<Y ・・・(20)
X>Y ・・・(21)
前記一本鎖核酸分子において、前記内部5’側領域(X)の塩基数(X)、前記5’側領域(Xc)の塩基数(Xc)、前記内部3’側領域(Y)の塩基数(Y)および前記3’側領域(Yc)の塩基数(Yc)の関係は、例えば、下記(a)〜(d)のいずれかの条件を満たす。
(a)下記式(3)および(4)の条件を満たす。
X>Xc ・・・(3)
Y=Yc ・・・(4)
(b)下記式(5)および(6)の条件を満たす。
X=Xc ・・・(5)
Y>Yc ・・・(6)
(c)下記式(7)および(8)の条件を満たす。
X>Xc ・・・(7)
Y>Yc ・・・(8)
(d)下記式(9)および(10)の条件を満たす。
X=Xc ・・・(9)
Y=Yc ・・・(10)
前記(a)〜(d)において、前記内部5’側領域(X)の塩基数(X)と前記5’側領域(Xc)の塩基数(Xc)の差、前記内部3’側領域(Y)の塩基数(Y)と前記3’側領域(Yc)の塩基数(Yc)の差は、例えば、下記条件を満たすことが好ましい。
(a)下記式(11)および(12)の条件を満たす。
X−Xc=1〜10、好ましくは1、2、3または4、
より好ましくは1、2または3 ・・・(11)
Y−Yc=0 ・・・(12)
(b)下記式(13)および(14)の条件を満たす。
X−Xc=0 ・・・(13)
Y−Yc=1〜10、好ましくは1、2、3または4、
より好ましくは1、2または3 ・・・(14)
(c)下記式(15)および(16)の条件を満たす。
X−Xc=1〜10、好ましくは、1、2または3、
より好ましくは1または2 ・・・(15)
Y−Yc=1〜10、好ましくは、1、2または3、
より好ましくは1または2 ・・・(16)
(d)下記式(17)および(18)の条件を満たす。
X−Xc=0 ・・・(17)
Y−Yc=0 ・・・(18)
本発明において、例えば、塩基数の数値範囲は、その範囲に属する正の整数を全て開示するものであり、例えば、「1〜3塩基」との記載は、「1、2、3塩基」の全ての開示を意味する(以下、同様)。
前記(a)〜(d)の一本鎖核酸分子について、それぞれの構造の一例を、図3の模式図に示す。図3は、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)を含む核酸分子であり、図3(A)は、前記(a)の核酸分子、図3(B)は、前記(b)の核酸分子、図3(C)は、前記(c)の核酸分子、図3(D)は、前記(d)の核酸分子の例である。図3において、点線は、自己アニーリングにより二重鎖を形成している状態を示す。図3の核酸分子は、前記内部5’側領域(X)の塩基数(X)と前記内部3’側領域(Y)の塩基数(Y)を、前記式(20)の「X<Y」として表わすが、これには制限されず、前述のように、前記式(19)の「X=Y」でも、前記式(21)の「X>Y」でもよい。また、図3は、あくまでも、前記内部5’側領域(X)と前記5’側領域(Xc)との関係、前記内部3’側領域(Y)と前記3’側領域(Yc)との関係を示す模式図であり、例えば、各領域の長さ、形状等は、これには制限されず、また、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)の有無も、これには制限されない。
前記(a)〜(c)の核酸分子は、例えば、前記5’側領域(Xc)と前記内部5’側領域(X)、および、前記3’側領域(Yc)と前記内部3’側領域(Y)が、それぞれ二重鎖を形成することによって、前記内部領域(Z)において、前記5’側領域(Xc)および前記3’側領域(Yc)のいずれともアライメントできない塩基を有する構造であり、二重鎖を形成しない塩基を有する構造ともいえる。前記内部領域(Z)において、前記アライメントできない塩基(二重鎖を形成しない塩基ともいう)を、以下、「フリー塩基」という。図3において、前記フリー塩基の領域を、「F」で示す。前記領域(F)の塩基数は、特に制限されない。前記領域(F)の塩基数(F)は、例えば、前記(a)の核酸分子の場合、「X−Xc」の塩基数であり、前記(b)の核酸分子の場合、「Y−Yc」の塩基数であり、前記(c)の核酸分子の場合、「X−Xc」の塩基数と「Y−Yc」の塩基数との合計数である。
他方、前記(d)の核酸分子は、例えば、前記内部領域(Z)の全領域が、前記5’側領域(Xc)および前記3’側領域(Yc)とアライメントする構造であり、前記内部領域(Z)の全領域が二重鎖を形成する構造ともいえる。なお、前記(d)の核酸分子において、前記5’側領域(Xc)の5’末端と前記3’側領域(Yc)の3’末端は、未連結である。
前記一本鎖核酸分子について、各領域の長さを以下に例示するが、本発明は、これには制限されない。
前記5’側領域(Xc)、前記3’側領域(Yc)、および前記内部領域(Z)における前記フリー塩基(F)の塩基数の合計は、例えば、前記内部領域(Z)の塩基数となる。このため、前記5’側領域(Xc)および前記3’側領域(Yc)の長さは、例えば、前記内部領域(Z)の長さ、前記フリー塩基の数(F)およびその位置に応じて、適宜決定できる。
前記内部領域(Z)の塩基数は、例えば、19塩基以上である。前記塩基数の下限は、例えば、19塩基であり、好ましくは20塩基であり、より好ましくは21塩基である。前記塩基数の上限は、例えば、50塩基であり、好ましくは40塩基であり、より好ましくは30塩基である。前記内部領域(Z)の塩基数の具体例は、例えば、19塩基、20塩基、21塩基、22塩基、23塩基、24塩基、25塩基、26塩基、27塩基、28塩基、29塩基、または、30塩基である。
前記内部領域(Z)は、例えば、前記発現抑制配列のみから構成される領域でもよいし、前記発現抑制配列を含む領域でもよい。後者の場合、前記内部領域(Z)において、前記発現抑制配列の5’側および/または3’側に、さらに付加配列を有してもよい。前記発現抑制配列は、RelA遺伝子の発現抑制配列であり、RNA干渉における公知の配列が使用できる。前記発現抑制配列としては、例えば、下記(A1)、(A2)、(A3)の配列があげられるが、これらには制限されない。
(A1)配列番号1の塩基配列
5’-AAUGUCUUCUUUCUGCACC-3’ (配列番号1)
(A2)前記(A1)の塩基配列において、1個または数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、RelA遺伝子の発現抑制機能を有する塩基配列
(A3)前記(A1)の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列
前記(A2)において、「1もしくは数個」は、特に制限されない。「1もしくは数個」は、例えば、1〜3個、好ましくは、1個、2個または3個である。前記(A2)の塩基配列は、例えば、前記(A1)の塩基配列と同様のRelA遺伝子の発現抑制機能を有していればよい。
前記(A3)において、同一性は、90%以上であり、好ましくは、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上である。前記(A3)の塩基配列は、例えば、前記(A1)の塩基配列と同様のRelA遺伝子の発現抑制機能を有していればよい。前記同一性は、例えば、BLAST、FASTA等の解析ソフトウェアを用いて、デフォルトのパラメータにより算出できる(以下、同様)。
前記5’側領域(Xc)の塩基数は、例えば、1〜29塩基であり、好ましくは1〜11塩基であり、より好ましくは1〜9塩基であり、さらに好ましくは1〜7塩基であり、特に好ましくは1〜4塩基であり、最も好ましくは1塩基、2塩基、3塩基である。
前記3’側領域(Yc)の塩基数は、例えば、1〜29塩基であり、好ましくは1〜11塩基であり、より好ましくは1〜9塩基であり、さらに好ましくは1〜7塩基であり、特に好ましくは1〜4塩基であり、最も好ましくは1塩基、2塩基、3塩基である。
前記内部領域(Z)、前記5’側領域(Xc)および前記3’側領域(Yc)の塩基数は、例えば、前記式(2)の「Z≧Xc+Yc」で表わすことができる。具体例として、「Xc+Yc」の塩基数は、例えば、前記内部領域(Z)と同じ、または、前記内部領域(Z)より小さい。後者の場合、「Z−(Xc+Yc)」は、例えば、1〜10、好ましくは1〜4、より好ましくは1、2または3である。前記「Z−(Xc+Yc)」は、例えば、前記内部領域(Z)における前記フリー塩基の領域(F)の塩基数(F)に相当する。
前記一本鎖核酸分子において、前記5’側領域(Xc)の末端と前記3’側領域(Yc)の末端は、例えば、分子内アニーリングした状態において、前記内部領域(Z)に対して、5’側または3’側に位置することが好ましい。前者の場合、前記5’側領域(Xc)の塩基数(Xc)と、前記3’側領域(Yc)の塩基数(Yc)は、Xc<Ycの関係である。そして、塩基数(Xc)は、例えば、1〜11塩基であり、好ましくは1〜9塩基であり、より好ましくは1〜7塩基であり、さらに好ましくは1〜4塩基であり、特に好ましくは1塩基、2塩基、3塩基であり、前記5’側領域(Xc)と前記内部領域(Z)の塩基数(Z)との関係(Xc/Z)が、例えば、1/50〜1/2、好ましくは1/40〜1/3、より好ましくは1/30〜1/4である。後者の場合、前記5’側領域(Xc)の塩基数(Xc)と、前記3’側領域(Yc)の塩基数(Yc)は、Xc>Ycの関係である。そして、塩基数(Yc)は、例えば、1〜11塩基であり、好ましくは1〜9塩基であり、より好ましくは1〜7塩基であり、さらに好ましくは1〜4塩基であり、特に好ましくは1塩基、2塩基、3塩基であり、前記3’側領域(Yc)と前記内部領域(Z)の塩基数(Z)との関係(Yc/Z)が、例えば、例えば、1/50〜1/2、好ましくは1/40〜1/3、より好ましくは1/30〜1/4である。
前記一本鎖核酸分子において、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)が、前述のように、ヌクレオチド残基を含む場合、その長さは、特に制限されない。前記リンカー領域(Lx)は、例えば、前記内部5’側領域(X)と前記5’側領域(Xc)とが二重鎖を形成可能な長さであることが好ましく、前記リンカー領域(Ly)は、例えば、前記内部3’側領域(Y)と前記3’側領域(Yc)とが二重鎖を形成可能な長さであることが好ましい。前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)の長さは、例えば、同じでも異なってもよく、また、その塩基配列も、同じでも異なってもよい。前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)の塩基数は、その下限が、例えば、1塩基であり、好ましくは2塩基であり、より好ましくは3塩基であり、その上限が、例えば、100塩基であり、好ましくは80塩基であり、より好ましくは50塩基である。前記各リンカー領域の塩基数は、具体例として、例えば、1〜50塩基、1〜30塩基、1〜20塩基、1〜10塩基、1〜7塩基、1〜4塩基等が例示できるが、これには制限されない。
前記一本鎖核酸分子の全長は、特に制限されない。前記一本鎖核酸分子において、前記塩基数の合計(全長の塩基数)は、下限が、例えば、38塩基であり、好ましくは42塩基であり、より好ましくは50塩基であり、さらに好ましくは51塩基であり、特に好ましくは52塩基であり、その上限は、例えば、300塩基であり、好ましくは200塩基であり、より好ましくは150塩基であり、さらに好ましくは100塩基であり、特に好ましくは80塩基である。前記一本鎖核酸分子において、前記リンカー領域(Lx)およびリンカー領域(Ly)を除く塩基数の合計は、下限が、例えば、38塩基であり、好ましくは42塩基であり、より好ましくは50塩基であり、さらに好ましくは51塩基であり、特に好ましくは52塩基であり、上限が、例えば、300塩基であり、好ましくは200塩基であり、より好ましくは150塩基であり、さらに好ましくは100塩基であり、特に好ましくは80塩基である。
前記一本鎖核酸分子において、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)は、例えば、いずれか一方または両方が、非ヌクレオチド構造を含んでもよい。
前記非ヌクレオチド構造は、特に制限されず、例えば、ポリアルキレングリコール、ピロリジン骨格、ピペリジン骨格等があげられる。前記ポリアルキレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコールがあげられる。
前記ピロリジン骨格は、例えば、ピロリジンの5員環を構成する炭素が、1個以上、置換されたピロリジン誘導体の骨格でもよく、置換される場合、例えば、C−2の炭素以外の炭素原子であることが好ましい。前記炭素は、例えば、窒素、酸素または硫黄で置換されてもよい。前記ピロリジン骨格は、例えば、ピロリジンの5員環内に、例えば、炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含んでもよい。前記ピロリジン骨格において、ピロリジンの5員環を構成する炭素および窒素は、例えば、水素が結合してもよいし、後述するような置換基が結合してもよい。
前記リンカー領域(Lx)は、前記領域(X)および前記領域(Xc)と、また、前記リンカー領域(Ly)は、前記領域(Y)および前記領域(Yc)と、例えば、それぞれ、例えば、前記ピロリジン骨格のいずれの基を介して結合してもよく、好ましくは、前記5員環のいずれか1個の炭素原子と窒素であり、好ましくは、前記5員環の2位の炭素(C−2)と窒素である。前記ピロリジン骨格は、例えば、プロリン骨格、プロリノール骨格等があげられる。前記プロリン骨格およびプロリノール骨格等は、例えば、生体内物質およびその還元体であるため、安全性にも優れる。
前記ピペリジン骨格は、例えば、ピペリジンの6員環を構成する炭素が、1個以上、置換されたピペリジン誘導体の骨格でもよく、置換される場合、例えば、C−2の炭素以外の炭素原子であることが好ましい。前記炭素は、例えば、窒素、酸素または硫黄で置換されてもよい。前記ピペリジン骨格は、例えば、ピペリジンの6員環内に、例えば、炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含んでもよい。前記ピペリジン骨格において、ピペリジンの6員環を構成する炭素および窒素は、例えば、水素基が結合してもよいし、後述するような置換基が結合してもよい。前記リンカー領域(Lx)は、前記領域(X)および前記領域(Xc)と、前記リンカー領域(Ly)は、前記領域(Y)および前記領域(Yc)と、例えば、前記ピペリジン骨格のいずれの基を介して結合してもよく、好ましくは、前記6員環のいずれか1個の炭素原子と窒素であり、より好ましくは、前記6員環の2位の炭素(C−2)と窒素である。
前記リンカー領域は、例えば、前記非ヌクレオチド構造からなる非ヌクレオチド残基のみを含んでもよいし、前記非ヌクレオチド構造からなる非ヌクレオチド残基と、ヌクレオチド残基とを含んでもよい。
前記リンカー領域は、例えば、下記式(I)で表わされる。
前記式(I)中、例えば、
およびXは、それぞれ独立して、H、O、SまたはNHであり;
およびYは、それぞれ独立して、単結合、CH、NH、OまたはSであり;
は、環A上のC−3、C−4、C−5またはC−6に結合する水素原子または置換基であり、
は、n個の原子からなるアルキレン鎖であり、ここで、アルキレン炭素原子上の水素原子は、OH、OR、NH、NHR、NR、SH、もしくはSRで置換されても置換されていなくてもよく、または、
は、前記アルキレン鎖の一つ以上の炭素原子が、酸素原子で置換されたポリエーテル鎖であり、
ただし、Yが、NH、OまたはSの場合、Yに結合するLの原子は炭素であり、ORに結合するLの原子は炭素であり、酸素原子同士は隣接せず;
は、m個の原子からなるアルキレン鎖であり、ここで、アルキレン炭素原子上の水素原子は、OH、OR、NH、NHR、NR、SHもしくはSRで置換されても置換れていなくてもよく、または、
は、前記アルキレン鎖の一つ以上の炭素原子が、酸素原子で置換されたポリエーテル鎖であり、
ただし、Yが、NH、OまたはSの場合、Yに結合するLの原子は炭素であり、ORに結合するLの原子は炭素であり、酸素原子同士は隣接せず;
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、置換基または保護基であり;
lは、1または2であり;
mは、0〜30の範囲の整数であり;
nは、0〜30の範囲の整数であり;
環Aは、前記環A上のC−2以外の1個の炭素原子が、窒素、酸素、硫黄で置換されてもよく、
前記環A内に、炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含んでもよく、
前記領域(Xc)および前記領域(X)は、それぞれ、−OR−または−OR−を介して、前記リンカー領域(Lx)に結合し、
前記領域(Yc)および前記領域(Y)は、それぞれ、−OR−または−OR−を介して、前記リンカー領域(Ly)に結合し、
ここで、RおよびRは、存在しても存在しなくてもよく、存在する場合、RおよびRは、それぞれ独立して、ヌクレオチド残基または前記構造(I)である。
前記式(I)中、XおよびXは、例えば、それぞれ独立して、H、O、SまたはNHである。前記式(I)中において、XがHであるとは、Xが、Xの結合する炭素原子とともに、CH(メチレン基)を形成することを意味する。Xについても同様である。
前記式(I)中、YおよびYは、それぞれ独立して、単結合、CH、NH、OまたはSである。
前記式(I)中、環Aにおいて、lは、1または2である。l=1の場合、環Aは、5員環であり、例えば、前記ピロリジン骨格である。前記ピロリジン骨格は、例えば、プロリン骨格、プロリノール骨格等があげられ、これらの二価の構造が例示できる。l=2の場合、環Aは、6員環であり、例えば、前記ピペリジン骨格である。環Aは、環A上のC−2以外の1個の炭素原子が、窒素、酸素または硫黄で置換されてもよい。また、環Aは、環A内に、炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含んでもよい。環Aは、例えば、L型およびD型のいずれでもよい。
前記式(I)中、Rは、環A上のC−3、C−4、C−5またはC−6に結合する水素原子または置換基である。Rが前記置換基の場合、置換基Rは、1でも複数でも、存在しなくてもよく、複数の場合、同一でも異なってもよい。
置換基Rは、例えば、ハロゲン、OH、OR、NH、NHR、NR、SH、SRまたはオキソ基(=O)等である。
およびRは、例えば、それぞれ独立して、置換基または保護基であり、同一でも異なってもよい。前記置換基は、例えば、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクリルアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールアルキル、シリル、シリルオキシアルキル等があげられる。以下、同様である。置換基Rは、これらの列挙する置換基でもよい。
前記保護基は、例えば、反応性の高い官能基を不活性に変換する官能基であり、公知の保護基等があげられる。前記保護基は、例えば、文献(J. F. W. McOmie, 「Protecting Groups in Organic Chemistry」 Prenum Press, London and New York, 1973)の記載を援用できる。前記保護基は、特に制限されず、例えば、tert−ブチルジメチルシリル基(TBDMS)、ビス(2−アセトキシエチルオキシ)メチル基(ACE)、トリイソプロピルシリルオキシメチル基(TOM)、1−(2−シアノエトキシ)エチル基(CEE)、2−シアノエトキシメチル基(CEM)およびトリルスルフォニルエトキシメチル基(TEM)、ジメトキシトリチル基(DMTr)等があげられる。RがORの場合、前記保護基は、特に制限されず、例えば、TBDMS基、ACE基、TOM基、CEE基、CEM基およびTEM基等があげられる。この他にも、シリル含有基もあげられる。以下、同様である。
前記式(I)中、Lは、n個の原子からなるアルキレン鎖である。前記アルキレン炭素原子上の水素原子は、例えば、OH、OR、NH、NHR、NR、SH、もしくはSRで置換されてもよいし、置換されていなくてもよい。または、Lは、前記アルキレン鎖の1つ以上の炭素原子が酸素原子で置換されたポリエーテル鎖でもよい。前記ポリエーテル鎖は、例えば、ポリエチレングリコールである。なお、Yが、NH、OまたはSの場合、Yに結合するLの原子は炭素であり、ORに結合するLの原子は炭素であり、酸素原子同士は隣接しない。つまり、例えば、YがOの場合、その酸素原子とLの酸素原子は隣接せず、ORの酸素原子とLの酸素原子は隣接しない。
前記式(I)中、Lは、m個の原子からなるアルキレン鎖である。前記アルキレン炭素原子上の水素原子は、例えば、OH、OR、NH、NHR、NR、SHもしくはSRで置換されてもよいし、置換されていなくてもよい。または、Lは、前記アルキレン鎖の1つ以上の炭素原子が酸素原子で置換されたポリエーテル鎖でもよい。なお、Yが、NH、OまたはSの場合、Yに結合するLの原子は炭素であり、ORに結合するLの原子は炭素であり、酸素原子同士は隣接しない。つまり、例えば、YがOの場合、その酸素原子とLの酸素原子は隣接せず、ORの酸素原子とLの酸素原子は隣接しない。
のnおよびLのmは、特に制限されず、それぞれ、下限は、例えば、0であり、上限も、特に制限されない。nおよびmは、例えば、前記リンカー領域(Lx)または(Ly)の所望の長さに応じて、適宜設定できる。nおよびmは、例えば、製造コストおよび収率等の点から、それぞれ、0〜30が好ましく、より好ましくは0〜20であり、さらに好ましくは0〜15である。nとmは、同じでもよいし(n=m)、異なってもよい。n+mは、例えば、0〜30であり、好ましくは0〜20であり、より好ましくは0〜15である。
、R、RおよびRは、例えば、それぞれ独立して、置換基または保護基である。前記置換基および前記保護基は、例えば、前述と同様である。
前記式(I)において、水素原子は、例えば、それぞれ独立して、Cl、Br、FおよびI等のハロゲンに置換されてもよい。
前記領域(Xc)および前記領域(X)は、前記リンカー領域(Lx)に、前記領域(Yc)および前記領域(Y)は、前記リンカー領域(Ly)に、例えば、それぞれ、−OR−または−OR−を介して、結合する。ここで、RおよびRは、存在しても存在しなくてもよい。RおよびRが存在する場合、RおよびRは、それぞれ独立して、ヌクレオチド残基または前記式(I)の構造である。Rおよび/またはRが前記ヌクレオチド残基の場合、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)は、例えば、ヌクレオチド残基Rおよび/またはRを除く前記式(I)の構造からなる前記非ヌクレオチド残基と、前記ヌクレオチド残基とから形成される。Rおよび/またはRが前記式(I)の構造の場合、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)は、例えば、前記式(I)の構造からなる前記非ヌクレオチド残基が、2つ以上連結された構造となる。前記式(I)の構造は、例えば、1個、2個、3個または4個含んでもよい。このように、前記構造を複数含む場合、前記(I)の構造は、例えば、直接的に連結されてもよいし、前記ヌクレオチド残基を介して結合してもよい。他方、RおよびRが存在しない場合、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)は、例えば、前記式(I)の構造からなる前記非ヌクレオチド残基のみから形成される。
前記領域(Xc)および前記領域(X)、ならびに、前記領域(Yc)および前記領域(Y)と、前記−OR−および−OR−との結合の組合せは、特に制限されず、例えば、以下のいずれかの条件があげられる。
条件(1)
前記領域(Xc)は、−OR−を介して、前記領域(X)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合し、
前記領域(Yc)は、−OR−を介して、前記領域(Y)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合する。
条件(2)
前記領域(Xc)は、−OR−を介して、前記領域(X)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合し、
前記領域(Yc)は、−OR−を介して、前記領域(Y)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合する。
条件(3)
前記領域(Xc)は、−OR−を介して、前記領域(X)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合し、
前記領域(Yc)は、−OR−を介して、前記領域(Y)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合する。
条件(4)
前記領域(Xc)は、−OR−を介して、前記領域(X)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合し、
前記領域(Yc)は、−OR−を介して、前記領域(Y)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合する。
前記式(I)の構造は、例えば、下記式(I−1)〜式(I−9)が例示でき、下記式において、nおよびmは、前記式(I)と同じである。下記式において、qは、0〜10の整数である。
前記式(I−1)〜(I−9)において、n、mおよびqは、特に制限されず、前述の通りである。具体例として、前記式(I−1)において、n=8、前記(I−2)において、n=3、前記式(I−3)において、n=4または8、前記(I−4)において、n=7または8、前記式(I−5)において、n=3およびm=4、前記(I−6)において、n=8およびm=4、前記式(I−7)において、n=8およびm=4、前記(I−8)において、n=5およびm=4、前記式(I−9)において、q=1およびm=4があげられる。前記式(I−4)の一例(n=7)を、下記式(I−4a)に、前記式(I−8)の一例(n=5、m=4)を、下記式(I−8a)に示す。
前記一本鎖核酸分子において、前記リンカー以外の領域の構成単位は、それぞれ、前記ヌクレオチド残基が好ましい。前記リンカー以外の各領域は、例えば、下記(1)〜(3)の残基で構成される。
(1)非修飾ヌクレオチド残基
(2)修飾ヌクレオチド残基
(3)非修飾ヌクレオチド残基および修飾ヌクレオチド残基
前記一本鎖核酸分子において、前記リンカー領域の構成単位は、特に制限されず、例えば、前記ヌクレオチド残基および前記非ヌクレオチド残基があげられる。前記リンカー領域は、例えば、前記ヌクレオチド残基のみから構成されてもよいし、前記非ヌクレオチド残基のみから構成されてもよいし、前記ヌクレオチド残基および前記非ヌクレオチド残基から構成されてもよい。前記リンカー領域は、例えば、下記(1)〜(7)の残基で構成される。
(1)非修飾ヌクレオチド残基
(2)修飾ヌクレオチド残基
(3)非修飾ヌクレオチド残基および修飾ヌクレオチド残基
(4)非ヌクレオチド残基
(5)非ヌクレオチド残基および非修飾ヌクレオチド残基
(6)非ヌクレオチド残基および修飾ヌクレオチド残基
(7)非ヌクレオチド残基、非修飾ヌクレオチド残基および修飾ヌクレオチド残基
前記一本鎖核酸分子が、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)の両方を有する場合、例えば、両方の構成単位が同じでもよいし、異なってもよい。具体例として、例えば、両方のリンカー領域の構成単位が前記ヌクレオチド残基である形態、両方のリンカー領域の構成単位が前記非ヌクレオチド残基である形態、一方の領域の構成単位が前記ヌクレオチド残基であり、他方のリンカー領域の構成単位が非ヌクレオチド残基である形態等があげられる。
前記一本鎖核酸分子は、例えば、前記ヌクレオチド残基のみから構成される分子、前記ヌクレオチド残基の他に前記非ヌクレオチド残基を含む分子等があげられる。前記一本鎖核酸分子において、前記ヌクレオチド残基は、前述のように、例えば、前記非修飾ヌクレオチド残基のみでもよいし、前記修飾ヌクレオチド残基のみでもよいし、前記非修飾ヌクレオチド残基および前記修飾ヌクレオチド残基の両方でもよい。前記一本鎖核酸分子が、前記非修飾ヌクレオチド残基と前記修飾ヌクレオチド残基を含む場合、前記修飾ヌクレオチド残基の個数は、特に制限されず、例えば、「1もしくは数個」であり、具体的には、例えば、1〜5個、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。前記一本鎖核酸分子が、前記非ヌクレオチド残基を含む場合、前記非ヌクレオチド残基の個数は、特に制限されず、例えば、「1もしくは数個」であり、具体的には、例えば、1〜8個、1〜6個、1〜4個、1、2または3個である。
前記一本鎖核酸分子が、例えば、前記非修飾リボヌクレオチド残基の他に前記修飾リボヌクレオチド残基を含む場合、前記修飾リボヌクレオチド残基の個数は、特に制限されず、例えば、「1もしくは数個」であり、具体的には、例えば、1〜5個、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。前記非修飾リボヌクレオチド残基に対する前記修飾リボヌクレオチド残基は、例えば、リボース残基がデオキシリボース残基に置換された前記デオキシリボヌクレオチド残基でもよい。前記一本鎖核酸分子が、例えば、前記非修飾リボヌクレオチド残基の他に前記デオキシリボヌクレオチド残基を含む場合、前記デオキシリボヌクレオチド残基の個数は、特に制限されず、例えば、「1もしくは数個」であり、具体的には、例えば、1〜5個、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。
前記ヌクレオチド残基は、例えば、構成要素として、糖、塩基およびリン酸を含む。前記ヌクレオチド残基は、前述のように、例えば、リボヌクレオチド残基およびデオキシリボヌクレオチド残基があげられる。前記リボヌクレオチド残基は、例えば、糖としてリボース残基を有し、塩基として、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)およびU(ウラシル)を有し、前記デオキシリボース残基は、例えば、糖としてデオキシリボース残基を有し、塩基として、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)およびチミン(T)を有する。
前記ヌクレオチド残基は、未修飾ヌクレオチド残基および修飾ヌクレオチド残基があげられる。前記未修飾ヌクレオチド残基は、前記各構成要素が、例えば、天然に存在するものと同一または実質的に同一であり、好ましくは、人体において天然に存在するものと同一または実質的に同一である。
前記修飾ヌクレオチド残基は、例えば、前記未修飾ヌクレオチド残基を修飾したヌクレオチド残基である。前記修飾ヌクレオチド残基は、例えば、前記未修飾ヌクレオチド残基の構成要素のいずれが修飾されてもよい。本発明において、「修飾」は、例えば、前記構成要素の置換、付加および/または欠失、前記構成要素における原子および/または官能基の置換、付加および/または欠失であり、「改変」ということができる。前記修飾ヌクレオチド残基は、例えば、天然に存在するヌクレオチド残基、人工的に修飾したヌクレオチド残基等があげられる。前記天然由来の修飾ヌクレオチド残基は、例えば、リンバックら(Limbach et al.、1994、Summary:the modified nucleosides of RNA、Nucleic Acids Res.22:2183〜2196)を参照できる。また、前記修飾ヌクレオチド残基は、例えば、前記ヌクレオチドの代替物の残基でもよい。
前記ヌクレオチド残基の修飾は、例えば、リボース−リン酸骨格(以下、リボリン酸骨格)の修飾があげられる。
前記リボリン酸骨格において、例えば、リボース残基を修飾できる。前記リボース残基は、例えば、2’位炭素を修飾でき、具体的には、例えば、2’位炭素に結合する水酸基を、水素またはフルオロ等のハロゲンに置換できる。前記2’位炭素の水酸基を水素に置換することで、リボース残基をデオキシリボースに置換できる。前記リボース残基は、例えば、立体異性体に置換でき、例えば、アラビノース残基に置換してもよい。
前記リボリン酸骨格は、例えば、非リボース残基および/または非リン酸を有する非リボリン酸骨格に置換してもよい。前記非リボリン酸骨格は、例えば、前記リボリン酸骨格の非荷電体があげられる。前記非リボリン酸骨格に置換された、前記ヌクレオチドの代替物は、例えば、モルホリノ、シクロブチル、ピロリジン等があげられる。前記代替物は、この他に、例えば、人工核酸モノマー残基があげられる。具体例として、例えば、PNA(ペプチド核酸)、LNA(Locked Nucleic Acid)、ENA(2’−O,4’−C−Ethylenebridged Nucleic Acid)等があげられ、好ましくはPNAである。
前記リボリン酸骨格において、例えば、リン酸基を修飾できる。前記リボリン酸骨格において、糖残基に最も隣接するリン酸基は、αリン酸基と呼ばれる。前記αリン酸基は、負に荷電し、その電荷は、糖残基に非結合の2つの酸素原子にわたって、均一に分布している。前記αリン酸基における4つの酸素原子のうち、ヌクレオチド残基間のホスホジエステル結合において、糖残基と非結合である2つの酸素原子は、以下、「非結合(non−linking)酸素」ともいう。他方、前記ヌクレオチド残基間のホスホジエステル結合において、糖残基と結合している2つの酸素原子は、以下、「結合(linking)酸素」という。前記αリン酸基は、例えば、非荷電となる修飾、または、前記非結合酸素における電荷分布が非対称型となる修飾を行うことが好ましい。
前記リン酸基は、例えば、前記非結合酸素を置換してもよい。前記酸素は、例えば、S(硫黄)、Se(セレン)、B(ホウ素)、C(炭素)、H(水素)、N(窒素)およびOR(Rは、アルキル基またはアリール基)のいずれかの原子で置換でき、好ましくは、Sで置換される。前記非結合酸素は、例えば、両方が置換されていることが好ましく、より好ましくは、両方がSで置換される。前記修飾リン酸基は、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート、ボラノホスフェートエステル、ホスホネート水素、ホスホロアミデート、アルキルまたはアリールホスホネート、およびホスホトリエステル等があげられ、中でも、前記2つの非結合酸素が両方ともSで置換されているホスホロジチオエートが好ましい。
前記リン酸基は、例えば、前記結合酸素を置換してもよい。前記酸素は、例えば、S(硫黄)、C(炭素)およびN(窒素)のいずれかの原子で置換でき、前記修飾リン酸基は、例えば、Nで置換した架橋ホスホロアミデート、Sで置換した架橋ホスホロチオエート、およびCで置換した架橋メチレンホスホネート等があげられる。前記結合酸素の置換は、例えば、本発明の核酸分子の5’末端ヌクレオチド残基および3’末端ヌクレオチド残基の少なくとも一方において行うことが好ましく、5’側の場合、Cによる置換が好ましく、3’側の場合、Nによる置換が好ましい。
前記リン酸基は、例えば、前記リン非含有のリンカーに置換してもよい。前記リンカーは、例えば、シロキサン、カーボネート、カルボキシメチル、カルバメート、アミド、チオエーテル、エチレンオキサイドリンカー、スルホネート、スルホンアミド、チオホルムアセタール、ホルムアセタール、オキシム、メチレンイミノ、メチレンメチルイミノ、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾ、およびメチレンオキシメチルイミノ等を含み、好ましくは、メチレンカルボニルアミノ基およびメチレンメチルイミノ基を含む。
本発明の核酸分子は、例えば、3’末端および5’末端の少なくとも一方のヌクレオチド残基が修飾されてもよい。前記修飾は、例えば、3’末端および5’末端のいずれか一方でもよいし、両方でもよい。前記修飾は、例えば、前述の通りであり、好ましくは、末端のリン酸基に行うことが好ましい。前記リン酸基は、例えば、全体を修飾してもよいし、前記リン酸基における1つ以上の原子を修飾してもよい。前者の場合、例えば、リン酸基全体の置換でもよいし、欠失でもよい。
前記末端のヌクレオチド残基の修飾は、例えば、他の分子の付加があげられる。前記他の分子は、例えば、前述のような標識物質、保護基等の機能性分子があげられる。前記保護基は、例えば、S(硫黄)、Si(ケイ素)、B(ホウ素)、エステル含有基等があげられる。前記標識物質等の機能性分子は、例えば、前記一本鎖核酸分子の検出等に利用できる。
前記他の分子は、例えば、前記ヌクレオチド残基のリン酸基に付加してもよいし、スペーサーを介して、前記リン酸基または前記糖残基に付加してもよい。前記スペーサーの末端原子は、例えば、前記リン酸基の前記結合酸素、または、糖残基のO、N、SもしくはCに、付加または置換できる。前記糖残基の結合部位は、例えば、3’位のCもしくは5’位のC、またはこれらに結合する原子が好ましい。前記スペーサーは、例えば、前記PNA等のヌクレオチド代替物の末端原子に、付加または置換することもできる。
前記スペーサーは、特に制限されず、例えば、−(CH−、−(CHN−、−(CHO−、−(CHS−、O(CHCHO)CHCHOH、無塩基糖、アミド、カルボキシ、アミン、オキシアミン、オキシイミン、チオエーテル、ジスルフィド、チオ尿素、スルホンアミド、およびモルホリノ等、ならびに、ビオチン試薬およびフルオレセイン試薬等を含んでもよい。前記式において、nは、正の整数であり、n=3または6が好ましい。
前記末端に付加する分子は、これらの他に、例えば、色素、インターカレート剤(例えば、アクリジン)、架橋剤(例えば、ソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サッフィリン)、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えば、EDTA)、親油性担体(例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1−ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3−ビス−O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3−プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3−(オレオイル)リトコール酸、O3−(オレオイル)コール酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジン)およびペプチド複合体(例えば、アンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、リン酸、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG−40K)、MPEG、[MPEG]、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射線標識マーカー、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収促進剤(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジン−イミダゾール複合体、テトラアザマクロ環のEu3+複合体)等があげられる。
前記一本鎖核酸分子は、前記5’末端が、例えば、リン酸基またはリン酸基アナログで修飾されてもよい。前記リン酸基は、例えば、5’一リン酸((HO)2(O)P-O-5’)、5’二リン酸((HO)2(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’)、5’三リン酸((HO)2(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’)、5’−グアノシンキャップ(7−メチル化または非メチル化、7m-G-O-5’-(HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’)、5’−アデノシンキャップ(Appp)、任意の修飾または非修飾ヌクレオチドキャップ構造(N-O-5’-(HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’)、5’一チオリン酸(ホスホロチオエート:(HO)2(S)P-O-5’)、5’一ジチオリン酸(ホスホロジチオエート:(HO)(HS)(S)P-O-5’)、5’−ホスホロチオール酸((HO)2(O)P-S-5’)、硫黄置換の一リン酸、二リン酸および三リン酸(例えば、5’−α−チオ三リン酸、5’−γ−チオ三リン酸等)、5’−ホスホルアミデート((HO)2(O)P-NH-5’、(HO)(NH2)(O)P-O-5’)、5’−アルキルホスホン酸(例えば、RP(OH)(O)-O-5’、(OH)2(O)P-5’-CH2、Rはアルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル等))、5’−アルキルエーテルホスホン酸(例えば、RP(OH)(O)-O-5’、Rはアルキルエーテル(例えば、メトキシメチル、エトキシメチル等))等があげられる。
前記ヌクレオチド残基において、前記塩基は、特に制限されない。前記塩基は、例えば、天然の塩基でもよいし、非天然の塩基でもよい。前記塩基は、例えば、天然由来でもよいし、合成品でもよい。前記塩基は、例えば、一般的な塩基、その修飾アナログ等が使用できる。
前記塩基は、例えば、アデニンおよびグアニン等のプリン塩基、シトシン、ウラシルおよびチミン等のピリミジン塩基があげられる。前記塩基は、この他に、イノシン、チミン、キサンチン、ヒポキサンチン、ヌバラリン(nubularine)、イソグアニシン(isoguanisine)、ツベルシジン(tubercidine)等があげられる。前記塩基は、例えば、2−アミノアデニン、6−メチル化プリン等のアルキル誘導体;2−プロピル化プリン等のアルキル誘導体;5−ハロウラシルおよび5−ハロシトシン;5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシン;6−アゾウラシル、6−アゾシトシンおよび6−アゾチミン;5−ウラシル(プソイドウラシル)、4−チオウラシル、5−ハロウラシル、5−(2−アミノプロピル)ウラシル、5−アミノアリルウラシル;8−ハロ化、アミノ化、チオール化、チオアルキル化、ヒドロキシル化および他の8−置換プリン;5−トリフルオロメチル化および他の5−置換ピリミジン;7−メチルグアニン;5−置換ピリミジン;6−アザピリミジン;N−2、N−6、およびO−6置換プリン(2−アミノプロピルアデニンを含む);5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシン;ジヒドロウラシル;3−デアザ−5−アザシトシン;2−アミノプリン;5−アルキルウラシル;7−アルキルグアニン;5−アルキルシトシン;7−デアザアデニン;N6,N6−ジメチルアデニン;2,6−ジアミノプリン;5−アミノ−アリル−ウラシル;N3−メチルウラシル;置換1,2,4−トリアゾール;2−ピリジノン;5−ニトロインドール;3−ニトロピロール;5−メトキシウラシル;ウラシル−5−オキシ酢酸;5−メトキシカルボニルメチルウラシル;5−メチル−2−チオウラシル;5−メトキシカルボニルメチル−2−チオウラシル;5−メチルアミノメチル−2−チオウラシル;3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)ウラシル;3−メチルシトシン;5−メチルシトシン;N4−アセチルシトシン;2−チオシトシン;N6−メチルアデニン;N6−イソペンチルアデニン;2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン;N−メチルグアニン;O−アルキル化塩基等があげられる。また、プリンおよびピリミジンは、例えば、米国特許第3,687,808号、「Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering」、858〜859頁、クロシュビッツ ジェー アイ(Kroschwitz J.I.)編、John Wiley & Sons、1990、およびイングリッシュら(Englischら)、Angewandte Chemie、International Edition、1991、30巻、p.613に開示されるものが含まれる。
前記修飾ヌクレオチド残基は、これらの他に、例えば、塩基を欠失する残基、すなわち、無塩基のリボリン酸骨格を含んでもよい。また、前記修飾ヌクレオチド残基は、例えば、米国仮出願第60/465,665号(出願日:2003年4月25日)、および国際出願第PCT/US04/07070号(出願日:2004年3月8日)に記載される残基が使用でき、本発明は、これらの文献を援用できる。
前記一本鎖核酸分子は、例えば、標識物質を含み、前記標識物質で標識化されてもよい。前記標識物質は、特に制限されず、例えば、蛍光物質、色素、同位体等があげられる。前記標識物質は、例えば、ピレン、TAMRA、フルオレセイン、Cy3色素、Cy5色素等の蛍光団があげられ、前記色素は、例えば、Alexa488等のAlexa色素等があげられる。前記同位体は、例えば、安定同位体および放射性同位体があげられ、好ましくは安定同位体である。前記安定同位体は、例えば、被ばくの危険性が少なく、専用の施設も不要であることから取り扱い性に優れ、また、コストも低減できる。また、前記安定同位体は、例えば、標識した化合物の物性変化がなく、トレーサーとしての性質にも優れる。前記安定同位体は、特に制限されず、例えば、H、13C、15N、17O、18O、33S、34Sおよび36Sがあげられる。
前記一本鎖核酸分子は、前述のように、RelA遺伝子の発現抑制ができる。このため、本発明のRelA遺伝子の発現抑制剤は、例えば、RPN2遺伝子の発現が原因となる疾患に対する医薬として使用できる。本発明において、「疾患に対する医薬」は、例えば、疾患の治療を意味し、前記疾患の予防、疾患の改善、予後の改善等を含み、いずれでもよい。前記疾患は、例えば、アトピー性皮膚炎等のアレルギー性皮膚炎があげらえる。
本発明の発現抑制剤の使用方法は、特に制限されず、例えば、投与対象に、前記核酸分子を投与すればよい。
前記投与対象は、例えば、細胞、組織または器官があげられる。前記投与対象は、例えば、ヒト、ヒトを除く非ヒト動物あげられる。前記非ヒト動物は、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ等の非ヒト哺乳類動物等があげられる。前記投与は、例えば、in vivoでもin vitroex vivoを含む)でもよい。
前記細胞は、特に制限されず、例えば、生体の細胞、生体から単離した細胞、その培養細胞があげられる。前記培養細胞は、例えば、初代培養細胞、継代細胞、株化培養細胞等があげられる。前記細胞の種類は、特に制限されず、樹状細胞、マクロファージ、角質細胞、表皮角化細胞の細胞等があげられる。
本発明の発現抑制剤の投与方法は、特に制限されず、例えば、投与対象に応じて適宜決定できる。前記投与対象が、前記培養細胞等の生体外の対象の場合、例えば、トランスフェクション試薬を使用する方法、エレクトロポレーション法、ナノバブル法等があげられる。前記投与対象が生体の場合、例えば、非経口投与、経口投与等があげられる。前記非経口投与は、例えば、経皮投与、局所投与、静脈内投与等があげられる。前記投与部位は、例えば、皮膚があげられる。本発明の発現抑制剤の投与条件、例えば、投与回数、投与量等は、特に制限されない。
本発明の発現抑制剤は、前述のように、RelA遺伝子の発現を抑制できることから、例えば、医薬品、ならびに、医学および生命科学等の研究ツールとして有用である。
本発明の発現抑制剤の組成は、前記一本鎖核酸分子を含んでいればよく、前記一本鎖核酸分子のみからなる組成でもよいし、前記一本鎖核酸分子を含む組成でもよい。後者の場合、前記発現抑制剤は、前記一本鎖核酸分子の他に、他の添加物を含んでもよい。本発明の発現抑制剤の組成は、例えば、後述する、本発明の医薬を援用できる。
本発明のRelA発現抑制剤は、例えば、前記一本鎖核酸分子をコードするDNAを含む発現ベクターであってもよい。前記発現ベクターは、前記DNAを含むことが特徴であり、その他の構成は、何ら制限されない。前記発現ベクターは、例えば、ベクターに、発現可能なように前記DNAが挿入されている。前記DNAを挿入するベクターは、特に制限されず、例えば、一般的なベクターが使用でき、ウイルスベクターおよび非ウイルスベクター等があげられる。前記非ウイルスベクターは、例えば、プラスミドベクターがあげられる。
前記発現ベクターによれば、例えば、in vivoまたはin vitroでの投与によって、投与された対象内で、前記一本鎖核酸分子を発現することができる。
2.アレルギー性皮膚炎用医薬
本発明のアレルギー性皮膚炎用医薬は、前述のように、前記本発明のRelA発現抑制剤を含むことを特徴とする。本発明の医薬は、前記本発明の発現抑制剤を含んでいればよく、その他の構成は、何ら制限されない。なお、本発明の医薬は、アレルギー性皮膚炎には制限されず、RelA遺伝子の発現が関与するその他の皮膚炎にも使用できる。
本発明の医薬の投与対象は、前述のように、ヒト、ヒトを除く非ヒト動物があげられる。前記非ヒト動物は、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ等の非ヒト哺乳類動物等があげられる。
本発明の医薬の投与方法は、特に制限されず、非経口投与、経口投与等があげられる。前記非経口投与は、例えば、経皮投与、局所投与、静脈内投与等があげられ、好ましくは経皮投与である。
本発明の医薬の剤型は、特に好ましくは制限されず、投与方法に応じて、適宜選択できる。前記剤型は、例えば、軟膏剤、クリーム剤等のエマルション製剤、ローション製剤、ゲル剤、貼付剤、スプレー剤、注射剤、経口固形剤、経口液剤等があげられる。
本発明の医薬の組成は、前記本発明の発現抑制を含んでいればよく、前記一本鎖核酸分子のみからなる組成でもよく、前記一本鎖核酸分子を含む組成でもよい。後者の場合、前記医薬は、前記一本鎖核酸分子の他に、他の添加物を含んでもよい。
本発明の医薬において、前記一本鎖核酸分子の配合量は、特に制限されない。また、本発明の医薬において、前記添加物の配合量は、特に制限されず、前記発現抑制用核酸分子の機能を妨げるものでなければよい。前記添加物は、特に制限されず、例えば、薬学的に許容された添加物が好ましく、その種類は、特に制限されず、例えば、投与対象、投与方法および剤型に応じて適宜選択できる。
前記添加物は、例えば、公知の添加剤が使用でき、具体例として、基剤、安定剤、湿潤剤、保存剤、一本鎖核酸分子との複合化剤、キャリア(送達媒体)等があげられる。
前記キャリアは、有効成分を目的の部位に送達するための媒体であり、本発明の医薬は、例えば、皮膚表面から、表皮または真皮内への送達を可能とする皮内送達媒体を含むことが好ましい。前記皮内送達媒体は、例えば、細胞透過性の機能性ペプチドがあげられる。
前記機能性ペプチドは、例えば、N末端がアルキル基でアルキル化されたペプチドである。前記機能性ペプチドは、例えば、アミノ酸残基として、Cys、HisおよびArgを含み、全アミノ酸残基数は、例えば、6〜18個が好ましく、より好ましくは8〜16個である。前記ペプチドは、例えば、Cys、HisおよびArgの他に、他のアミノ酸残基を含んでもよいが、Cys、HisおよびArgのみからなることが好ましい。
前記アミノ酸配列の順序は、特に制限されず、例えば、C末端およびN末端のアミノ酸残基が、Cysであることが好ましく、その他の領域は、Cys、HisおよびArgがランダムに連結してもよし、HisおよびArgが、ランダムに連結してもよい。前記アミノ酸配列において、Cysの数は、例えば、1〜2個であり、好ましくは2個であり、Hisの数は、例えば、2〜6個、好ましくは3〜5個であり、Argの数は、例えば、2〜10個、好ましくは3〜8個である。
前記機能性ペプチドにおいて、前記アルキル基は、炭素数が、例えば、12〜18であり、好ましくは14〜18であり、具体例として、C12のラウリル基、C14のミリスチル基、C16のパルミチル基、C18のステアリル基等があげられる。前記機能性ペプチドは、例えば、脂肪酸であるアルキルリン酸とアミノ酸とがアミド結合することにより、前記アルキル基でN末端がアルキル化されていることが好ましい。
前記機能性ペプチドの具体例としては、例えば、N末端がステアリル化(STR)した配列番号2のアミノ酸配列からなるペプチド(STR−CHC)があげられる。
STR−CHC(配列番号2)
STR-Cys-His-His-Arg-Arg-Arg-Arg-His-His-Cys-COOH
前記機能性ペプチドとしては、この他に、例えば、以下に示すTat、AT1002等があげられる。
Tat(配列番号3)
Gly-Arg-Lys-Lys-Arg-Arg-Gln-Arg-Arg-Arg-Cys-Gly-NH2
AT1002(配列番号4)
Phe-Cys-Ile-Gly-Arg-Leu-Cys-Gly-NH2
前記機能性ペプチドは、例えば、以下の文献を参照できる。
文献1:K. Tanaka, T. Kanazawa, T. Ogawa, Y. Takashima, T. Fukuda, and H. Okada, Disulfide crosslinked stearoyl carrier peptides containing arginine and histidine enhance siRNA uptake and gene silencing, Int. J. Pharm., 398(1-2), 219-224 (2010)
文献2: T. Uchida, T. Kanazawa, Y. Takashima, and H. Okada, Development of an efficient transdermal delivery system of small interfering RNA using functional peptides, Tat and AT-1002. Chem. Pharm. Bull., 59(2), 196-201 (2011)
文献3:K. Tanaka, T. Kanazawa, T. Ogawa, Y. Suda, Y. Takashima, T. Fukuda, and H. Okada, A novel, bio-reducible gene vector containing arginine and histidine enhances gene transfection and expression of plasmid DNA, Chem. Pham. Bull., 59(2), 202-207 (2011)
文献4:T. Uchida, T. Kanazawa, M. Kawai, Y. Takashima, and H. Okada, Therapeutic effects on atopic dermatitis by anti-RelA siRNA combined with functional peptides, Tat and AT1002, J. Pharmacol. Exp. Ther., 338, 443-450 (2011)
本発明の医薬において、前記一本鎖核酸分子(N)と前記皮内送達媒体(C)との添加割合(N:C)は、特に制限されず、例えば、モル比で1:0.01〜1:100である。
本発明の医薬は、例えば、経皮投与の場合、1日あたり皮膚表面1cmへの前記一本鎖核酸分子の塗布量が、0.01〜1nmolであることが好ましい。また、一日あたりの塗布回数は、例えば、1〜6回である。
本発明の医薬は、例えば、前記本発明の発現抑制剤と、オリーブオイル等のオイルとのキットであってもよい。後述するように、本発明の医薬は、例えば、前記本発明の発現抑制剤を塗布した後、オリーブオイル等のオイルを塗布する使用形態があげられる。前記キットの具体例としては、例えば、前記一本鎖RNA核酸分子と、前記キャリアと、前記オイルとを含む形態であり、さらに、前記一本鎖RNA核酸分子および前記キャリアと、前記オイルとが、それぞれ別個の容器に収容されている形態が好ましい。
3.RelA遺伝子の発現抑制方法
本発明の発現抑制方法は、前述のように、RelA遺伝子の発現を抑制する方法であって、本発明の発現抑制剤を使用することを特徴とする。本発明の発現抑制方法は、本発明の発現抑制剤を使用することが特徴であって、その他の工程および条件は、何ら制限されない。
本発明の発現抑制方法は、例えば、RelA遺伝子が存在する対象、特に、RelA遺伝子の発現が相対的に高い対象または相対的に高くなると予測される対象に、前記発現抑制剤を投与する工程を含む。本発明の発現抑制方法は、例えば、前述の記載を援用できる。
4.治療方法
本発明の治療方法は、前述のように、アレルギー性皮膚炎の治療方法であって、前記本発明の発現抑制剤を、患者に投与する工程を含むことを特徴とする。本発明の治療方法は、本発明の発現抑制剤を使用することが特徴であって、その他の工程および条件は、何ら制限されない。本発明の治療方法は、例えば、前述の記載を援用できる。
本発明の治療方法において、前記本発明の発現抑制剤を経皮投与する場合、例えば、前記一本鎖核酸分子を皮膚に塗布した後、オリーブオイル等のオイルを塗布することが好ましい。
5.一本鎖核酸分子の使用
本発明の使用は、RelA遺伝子の発現抑制のための、前記一本鎖核酸分子の使用である。また、本発明の使用は、アレルギー性皮膚炎の治療のための、または、アレルギー性皮膚炎用医薬の製造のための、前記一本鎖核酸分子の使用である。
以下、実施例等により、本発明を詳しく説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
[実施例1]
RelAを標的とする実施例の核酸として、一本鎖核酸分子である、リンカー領域がポリヌクレオチドのnkRNA(登録商標)およびリンカー領域がピロリジン骨格のPnkRNA(登録商標)を準備した。また、比較例の核酸分子として、二本鎖核酸分子であるsiRNAを準備した。これらの核酸分子は、全て、19塩基長の同じ発現抑制配列(配列番号1)を有している。
nkRNA
NK149(配列番号5)
PnkRNA
PK62(配列番号6)
前記PK62において、リンカー(Lx)とリンカー(Ly)の構造は、前記(I−8э)に示す下記構造とした。
siRNA
NI65(配列番号7、8)
なお、前記実施例および比較例の核酸分子に対して、ネガティブコントロールとして、前記19塩基長の発現抑制配列をスクランブル配列に置換した、以下の核酸分子を調製した。
スクランブルsiRNA
NI00(配列番号9、10)
スクランブルnkRNA
NK00(配列番号11)
スクランブルPnkRNA(配列番号12)
[実施例2]
マウス樹状細胞株に、RelAを標的とした前記実施例1の核酸分子を導入し、RelA mRNAの発現量の低下を確認した。
(実施例2−1)
マウス樹状細胞株として、JAWSIIを使用した。前記細胞株の培地組成は、100ユニット/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、0.5ng/mLマウス顆粒球単球コロニー刺激因子(GM−CSF)および20%ウシ胎児血清を含むMEM−α培地(GIBCO社製)を使用した。前記細胞株の培養条件は、37℃、5%COとした(以下、同様)。
24ウェルプレートに、前記マウス樹状細胞株を、5×10細胞/ウェルで播種後、48時間培養し、70−80%コンフルエントとした。そして、培養後のウェルに、ウェルあたり5μgの核酸分子をトランスフェクションし、24時間培養を行った。実施例の核酸分子として、前記NK149または前記PK62を使用した。
続いて、前記ウェルに、1μg/mLとなるようにリポポリ多糖(LPS、シグマ社製)を加え、8時間培養し、培養後、前記ウェルをPBSで2回洗浄した。試薬(商品名Tripsin−EDTA、Invitrtogen社製)を用いて、前記ウェルから前記細胞株を剥離し、前記ウェルに、10%FBSを含有するDMEM培地を添加した。前記ウェル中の混合物を、1,500rpm、5分間で遠心分離し、上清を除去し、さらに、沈殿した細胞株をPBSで1回洗浄し、同条件下で遠心分離した。回収した細胞株を、室温で5分間インキュベーション後、クロロホルム200μLを混合し、室温で3分間インキュベーションした。インキュベート後の混合物を、4℃、7,500gで遠心分離し、上清を除去後、風乾し、ヌクレアーゼフリーの水10μLに溶解し、RNA溶液とした
つぎに、Prime Script(登録商標)RT reagent Kit(タカラ社製)を用いて、前記RNA溶液からcDNAを合成した。前記cDNAを鋳型とし、RT-PCRを行うことによって、前記細胞株中のRelA遺伝子および内部標準であるGAPDH遺伝子のmRNA発現量を測定した。前記RT−PCRは、試薬として、RelA測定用プライマー(日本EGT社製)またはGAPDH測定用プライマー(商品名Taq(登録商標)Man Gene Expression Assay、Applied Biosystems社製)、および、Taq Man(登録商標)Universal PCR Master Mix(商品名、Applied Biosystems社製)を用い、装置として、BIPRISM 7000(商品名、Applied Biosystems社製)を用いた。
比較例(NI65)は、前記実施例の核酸分子に代えて、比較例の核酸分子NI65を使用した以外は、同様にして、各mRNAの発現量の測定を行った。
そして、RelA遺伝子のmRNA発現量は、GAPDH遺伝子のmRNA発現量に対する比として補正し、前記コントロール(LPS)のmRNA発現量を1として、相対値を算出した。
これらの結果を、図4に示す。図4は、JAWSII細胞株におけるRelA遺伝子のmRNAの発現量の相対値を示したグラフである。図4において、横軸は、サンプルの種類を示し、縦軸は、RelA遺伝子のmRNAの発現量の相対値を示す。図1に示すように、実施例のいずれの核酸分子も、コントロール(LPS)に比べて、RelA遺伝子のmRNAの発現量が有意に低下した。
(実施例2−2)
前記細胞株として、JAWSII(継代3代目)を使用し、トランスフェクションの際、核酸分子のキャリアである機能性ペプチドSTR−CHC(13.15μg)と前記核酸分子(1μg)とを、同時に前記細胞株に添加した以外は、前記実施例2−1と同様にして、RelA遺伝子のmRNAの発現量の相対値を求めた。実施例の核酸分子として、前記NK149または前記PK62を使用した。なお、図中の「N/P:10」は、Nが、STR−CHC中のアルギニンに含まれる正電荷を持つ3級アミン(N)のモル数、Pが、核酸にある負電荷を持つリン酸基のモル数を示し、正電荷のモル数が負電荷のモル数よりも10倍多いということを意味する。
コントロール(LPS)は、前記実施例2−1と同様とした。比較例は、前記実施例の核酸分子に代えて、NI65を使用した以外は、同様にして、RelA遺伝子のmRNAの発現量の相対値を求めた。また、前記各核酸分子に対して、スクランブル配列に置換したネガティブコントロール(NK00、PK00、NI00)についても、同様にして、RelA遺伝子のmRNAの発現量の相対値を求めた。
これらの結果を、図5に示す。図5は、JAWSII細胞株におけるRelA遺伝子のmRNAの発現量の相対値を示したグラフである。図5において、横軸は、サンプルの種類を示し、縦軸はRelA遺伝子のmRNAの発現量の相対値を示す。図5に示すように、前記機能性ペプチドを用いて核酸分子を導入した場合、前記実施例の核酸分子は、コントロール(LPS)および比較例(NI65)と比較して、RelA遺伝子のmRNAの発現量が有意に低下した。
[実施例3]
マクロファージ細胞株に、RelAを標的とした前記実施例の核酸分子を導入し、RelA mRNAの発現量の低下を確認した。
(実施例3−1)
細胞株として、JAWSII細胞株に代えて、マクロファージ細胞株RAW264.7(継代3代目)を使用し、ウェルあたり播種条件を、1×10細胞/ウェルとした以外は、前記実施例2−2と同様にして、RelA遺伝子のmRNAの発現量の相対値を求めた。コントロール(LPS)は、前記マクロファージ細胞株を使用した以外は、前記実施例2−1と同様とした。
これらの結果を図6に示す。図6は、RAW264.7細胞株におけるRelA遺伝子のmRNAの発現量の相対値を示したグラフである。図6において、横軸は、サンプルの種類を示し、縦軸は、RelA遺伝子のmRNAの発現量の相対値を示す。図6に示すように、実施例のいずれの核酸分子も、コントロール(LPS)に比べて、RelA遺伝子のmRNAの発現量が有意に低下した。
[実施例4]
アトピー性皮膚炎モデルマウスに、RelAを標的とした実施例の核酸分子を経皮投与し、アトピー性皮膚炎の改善を確認した。マウスは、雄NC/Ngaマウス(日本チャールズリバー)を使用した。
(実施例4−1)
(1)感作
0.15%DNFB(2.4.-dinitrofluorobezene)のアセトン溶液と食用オリーブオイルとを、質量比3:1で混合し、感作用ハプテン液を調製した。前記マウスの背部を除毛し、背部および左耳の表裏に、それぞれ100mLおよび25μLの前記感作用ハプテン液を塗布した。塗布した日を実験開始0日目とした。そして、実験開始3日目に、0日目と同様にして、再度、背部および左耳の表裏に、前記感作用ハプテン液を同条件で塗布した。
(2)暴露
続いて、0.2%DNFBのアセトン溶液と食用オリーブオイルとを、質量比3:1で混合し、暴露用ハプテン液を調製した。実験開始7日目および10日目に、前記マウスの左耳の表裏に、25μLの前記暴露用ハプテン溶液を塗布し、左耳にアトピー性皮膚炎を誘導した。
(3)核酸分子の投与
前記実施例の核酸分子としてNK149を使用した。前記核酸分子0.375nmolと前記機能性ペプチドSTR−CHC 0.058μmolとを混合し、サンプル液を調製した。前記サンプル液50μLを、実験開始2、4、6、9、11および13日目に、前記マウスの左耳の表裏に塗布した。コントロールは、前記サンプル液に代えて、HEPES溶液を使用し、また、ネガティブコントロールは、前記実施例の核酸分子NK149に代えて、前記核酸分子NK149をスクランブル配列に置換した核酸分子NK00を使用した。
(4)アトピー性皮膚炎の評価
前記マウスに対するアトピー性皮膚炎の評価は、実験開始から3、7、10および14日目の左耳介の厚さおよび臨床スコア、ならびに、実験開始から14日目の左耳介の外観観察により行った。左耳介の厚さは、厚さ計(ミツトヨ社製)を用いて測定した。臨床スコアは、左耳介における発赤、出血、肥厚、変形および乾燥を評価項目とし、それぞれ、無症状を0点、発症を1点とし(肥厚は、0.5mm未満を0点、0.5mm以上を1点)、前記評価項目の合計点とした。
これらの結果を、図7および図8に示す。図7(A)は、マウスの耳介厚を示すグラフであり、図7(B)は、マウスの臨床スコアを示すグラフである。図7において、横軸は、測定日を示し、図7(A)において、縦軸は、左耳介の厚さを示し、図7(B)において、縦軸は、臨床スコアを示し、図中の四角(■)は、コントロール(HEPES投与群)、三角(▲)は、ネガティブコントロール(NK00投与群)、丸(●)は、実施例(NK149投与群)を示す。また、図8は、マウスの写真であり、図8(A)は、ネガティブコントロール(NK00投与群)の結果、図8(B)は、実施例(NK149投与群)の結果を示し、両図において、左側が、両耳の写真、右側が、左耳の写真である。
図7(A)に示すように、実験開始14日目において、実施例(NK149投与群)は、コントロール(HEPES群)およびネガティブコントロール(NK00投与群)と比較して、耳介肥厚が有意に低下しており、また図7(B)に示すように、実験開始10日目において、実施例(NK149投与群)は、コントロール(HEPES群)およびネガティブコントロール(NK00投与群)と比較して、臨床スコアも有意に低下していた。さらに、図8に示すように、ネガティブコントロール(NK00投与群)では、左耳の出血、変形、発赤、乾燥および肥厚が認められたのに対し、実施例(NK149投与群)では、出血、肥厚および変形といった皮膚炎症状が認められなかった。これらのことから、実施例の核酸分子NK149は、アレルギー性皮膚炎の治療に有効であることがわかった。
(実施例4−2)
前記核酸分子として、実施例の核酸分子PK62を使用し、前記核酸分子0.375nmolと前記機能性ペプチドSTR−CHC 0.0479μmolとを混合し、サンプル液を調製した以外は、前記実施例3−1と同様にして、左耳介の厚さおよび臨床スコアの測定ならびに左耳介の外観観察を行った。また、ネガティブコントロールは、前記実施例の核酸分子PK62に代えて、前記核酸分子PK62をスクランブル配列に置換した核酸分子PK00を使用した。
これらの結果を、図9および図10に示す。図9(A)は、マウスの耳介厚を示すグラフであり、図9(B)は、マウスの臨床スコアを示すグラフである。図9(A)および(B)において、横軸は、測定日を示し、縦軸は、耳介の厚さ(図9(A))および臨床スコア(図9(B))を示し、図中の四角(■)は、コントロール(HEPES投与群)、三角(▲)は、ネガティブコントロール(PK00投与群)、丸(●)は、実施例(PK62投与群)を示す。また、図10は、マウスの写真であり、図10(A)は、ネガティブコントロール(PK00投与群)の結果、図10(B)は、実施例(PK62投与群)の結果を示し、両図において、左側が、両耳の写真、右側が、左耳の写真である。
図9(A)および(B)に示すように、実験開始10および14日目において、実施例(PK62投与群)は、コントロール(HEPES群)およびネガティブコントロール(PK00投与群)と比較して、耳介肥厚および臨床スコアが有意に低下していた。さらに、図10に示すように、ネガティブコントロール(PK00投与群)では、左耳の乾燥、発赤、出血、肥厚および変形が認められたのに対し、実施例(PK62投与群)では、出血、肥厚および変形といった皮膚炎症状が認められなかった。これらのことから、実施例の核酸分子PK62は、アレルギー性皮膚炎の治療に有効であることがわかった。
[実施例5]
アトピー性皮膚炎モデルマウスに、RelAを標的とした核酸分子を経皮投与し、さらに、前記投与箇所にオリーブ油を塗布し、アレルギー症状の改善を確認した。
3、4、7、11および12日目に前記核酸分子を塗布した後、続けて、25μLのオリーブ油を塗布し、臨床スコアを以下の基準とした以外は、前記実施例4と同様に、マウスのアトピー性皮膚炎の評価を行った。評価は、0、3、7、11、12および14日目に行った。評価の基準は、以下の通りとした。左耳介の厚さは、厚さ計(ミツトヨ社製)を用いて測定した。臨床スコアは、左耳介における発赤、出血、肥厚、変形および乾燥を評価項目とし、出血および変形は、無症状を0点、発症を1点とし、発赤および乾燥は、無症状を0点、軽症〜中等症を1点、重症を2点とし、肥厚は、0.5mm未満を0点、0.5mm以上を1点、0.8mm以上を2点とし、前記評価項目の合計点とした。コントロール(untreated)は、前記核酸分子およびオリーブオイルの塗布を行わなかった。また、ネガティブコントロールは、前記実施例の各核酸分子に対して、スクランブル配列を挿入した核酸分子を使用した。
これらの結果を、図11−図14に示す。図11および図12は、実施例の核酸分子としてNK149を使用した結果であり、図13および図14は、実施例の核酸分子としてPK62を使用した結果である。図11(A)および図13(A)は、マウスの耳介厚を示すグラフであり、図11(B)および図13(B)は、マウスの臨床スコアを示すグラフである。図11および図13において、横軸は、測定日を示し、図11(A)および図13(A)において、縦軸は、左耳介の厚さを示し、図11(B)および図13(B)において、縦軸は、臨床スコアを示し、図中の四角(■)は、コントロール(Untreated)、三角(▲)は、ネガティブコントロール(NK00投与群またはPK00投与群)、丸(●)は、実施例(NK149投与群またはPK62投与群)を示す。また、図12および図14は、マウスの写真であり、図12(A)および図14(A)は、ネガティブコントロール(NK00投与群またはPK00投与群)の結果、図12(B)および図14(B)は、実施例(NK149投与群またはPK62投与群)の結果を示し、両図において、左側が、両耳の写真、右側が、左耳の写真である。
図11(A)に示すように、実験開始12および14日目において、実施例(NK149投与群)は、コントロール(Untreated)およびネガティブコントロール(NK00投与群)と比較して、耳介肥厚が有意に低下しており、また図11(B)に示すように、実験開始11、12および14日目において、実施例(NK149投与群)は、コントロール(Untreated)およびネガティブコントロール(NK00投与群)と比較して、臨床スコアが有意に低下していた。さらに、図12に示すように、ネガティブコントロール(NK00投与群)では、左耳の乾燥、発赤、出血、肥厚および変形が認められたのに対し、実施例(NK149投与群)では、出血、肥厚および変形といった皮膚炎症状が認められなかった。これらのことから、実施例の核酸分子NK149は、アレルギー性皮膚炎の治療に有効であることがわかった。
図13(A)に示すように、実験開始12および14日目において、実施例(PK62投与群)は、コントロール(Untreated)およびネガティブコントロール(PK00投与群)と比較して、耳介肥厚が有意に低下しており、また図13(B)に示すように、実験開始11、12および14日目において、実施例(PK62投与群)は、コントロール(Untreated)およびネガティブコントロール(PK00投与群)と比較して、臨床スコアが有意に低下していた。さらに、図14に示すように、ネガティブコントロール(PK00投与群)では、左耳の乾燥、発赤、出血、肥厚および変形が認められたのに対し、実施例(PK62投与群)では、出血、肥厚および変形といった皮膚炎症状が認められなかった。これらのことから、実施例の核酸分子PK62は、アレルギー性皮膚炎の治療に有効であることがわかった。
[実施例6]
アトピー性皮膚炎モデルマウスに、RelAを標的とした核酸分子を経皮投与し、さらに、前記投与箇所にオリーブ油を塗布した後、前記マウスの耳組織におけるサイトカイン量を分析した。
前記実施例の核酸分子として、NK149およびPK62を使用した以外は、前記実施例5と同様にして、前記マウスに対して、感作、暴露、核酸分子とオリーブオイルの塗布を行った。そして、実験開始14日目の前記マウスの左耳を摘出し、重量1g辺り20mLのライシス(Lysis)緩衝液(1mmol/L EDTA、0.05% Triton X−100、0.1% Tween80、2mol/L NaClおよび0.1mol/L Tris−HCl緩衝液)を加えて、ホモジェナイズした後、4℃、13,000rpmの条件下、遠心分離を行い、上清を回収した。前記上清中のTNF−αおよびIL−6の濃度を、ELISA assay kit(R&Dシステムズ 社製)を用いて定量し、摘出した耳組織1gあたりのサイトカイン総量を算出した。
これの結果を図15に示す。図15は、アトピー性皮膚炎モデルマウスの左耳組織中の炎症性サイトカインの量を示したグラフである。図15において、横軸は、サンプル名を示し、縦軸は、組織当たりのサイトカイン量を示す。図15(A)および(B)に示すように、実施例(NK149投与群およびPK62投与群)は、それぞれ、コントロールール(Untreated)およびネガティブコントロール(NK00投与群またはPK00投与群)より、組織中のTNF―α量およびIL−6量が減少していた。このように、実施例の核酸分子NK149およびPK62は、組織での炎症性サイトカインの産生を抑制することから、組織炎症を抑制することで、アトピー性皮膚炎の改善に寄与していることがわかった。
以上のように、本発明の発現抑制剤によれば、効果的にNF−κB RelAの発現抑制が可能であり、NF−κB RelAが原因となるアレルギー性皮膚炎の治療にも有効である。

Claims (24)

  1. 一本鎖RNA核酸分子を含むNF−κB RelA遺伝子の発現抑制剤であって、
    前記一本鎖核酸分子が、
    5’側から3’側にかけて、5’側領域(Xc)、内部領域(Z)および3’側領域(Yc)を、前記順序で含み、
    前記内部領域(Z)が、内部5’側領域(X)および内部3’側領域(Y)が連結して構成され、
    前記5’側領域(Xc)が、前記内部5’側領域(X)と相補的であり、
    前記3’側領域(Yc)が、前記内部3’側領域(Y)と相補的であり、
    前記内部領域(Z)が、NF−κB遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含むことを特徴とするRelA発現抑制剤。
  2. さらに、機能性ペプチドを含み、
    前記機能性ペプチドが、N末端が炭素数12〜18のアルキル基でアルキル化されたペプチドであり、そのアミノ酸配列が、Cys、HisおよびArgを含み、アミノ酸残基数が6〜18個である、請求項1記載のRelA発現抑制剤。
  3. 前記機能性ペプチドのアミノ酸配列において、C末端およびN末端のアミノ酸残基が、Cysである、請求項2記載のRelA発現抑制剤。
  4. 前記機能性ペプチドのアミノ酸配列において、Hisの数が、2〜6個であり、Argの数が、2〜10である、請求項2または3記載のRelA発現抑制剤。
  5. 前記アルキル基が、ステアリル基である、請求項2から4のいずれか一項に記載のRelA発現抑制剤。
  6. 前記機能性ペプチドが、N末端がステアリル化した配列番号2のペプチドである、請求項2から5のいずれか一項に記載の発現抑制剤。
    Cys-His-His-Arg-Arg-Arg-Arg-His-His-Cys(配列番号2)
  7. 前記5’側領域(Xc)と前記内部5’側領域(X)との間に、リンカー領域(Lx)を有し、
    前記リンカー領域(Lx)を介して、前記5’側領域(Xc)と前記内部5’側領域(X)とが連結し、
    前記3’側領域(Yc)と前記内部3’側領域(Y)との間に、リンカー領域(Ly)を有し、
    前記リンカー領域(Ly)を介して、前記3’側領域(Yc)と前記内部3’側領域(Y)とが連結している、請求項1から6のいずれか一項に記載のRelA発現抑制剤。
  8. 前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)が、ヌクレオチド残基から構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のRelA発現抑制剤。
  9. 前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)が、非ヌクレオチド残基から構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のRelA発現抑制剤。
  10. 前記非ヌクレオチド残基が、ピロリジン骨格およびピペリジン骨格の少なくとも一方を含む、請求項9記載のRelA発現抑制剤。
  11. 前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)が、下記式(I)で表される、請求項9または10記載のRelA発現抑制剤。
    前記式中、
    およびXは、それぞれ独立して、H、O、SまたはNHであり;
    およびYは、それぞれ独立して、単結合、CH、NH、OまたはSであり;
    は、環A上のC−3、C−4、C−5またはC−6に結合する水素原子または置換基であり;
    は、n個の原子からなるアルキレン鎖であり、ここで、アルキレン炭素原子上の水素原子は、OH、OR、NH、NHR、NR、SH、もしくはSRで置換されても置換されていなくてもよく、または、
    は、前記アルキレン鎖の一つ以上の炭素原子が、酸素原子で置換されたポリエーテル鎖であり、
    ただし、Yが、NH、OまたはSの場合、Yに結合するLの原子は炭素であり、ORに結合するLの原子は炭素であり、酸素原子同士は隣接せず;
    は、m個の原子からなるアルキレン鎖であり、ここで、アルキレン炭素原子上の水素原子は、OH、OR、NH、NHR、NR、SHもしくはSRで置換されても置換されていなくてもよく、または、
    は、前記アルキレン鎖の一つ以上の炭素原子が、酸素原子で置換されたポリエーテル鎖であり、
    ただし、Yが、NH、OまたはSの場合、Yに結合するLの原子は炭素であり、ORに結合するLの原子は炭素であり、酸素原子同士は隣接せず;
    、R、RおよびRは、それぞれ独立して、置換基または保護基であり;
    lは、1または2であり;
    mは、0〜30の範囲の整数であり;
    nは、0〜30の範囲の整数であり;
    環Aは、前記環A上のC−2以外の1個の炭素原子が、窒素、酸素または硫黄で置換されてもよく、
    前記環A内に、炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含んでもよく、
    前記領域(Xc)および前記領域(X)は、それぞれ、−OR−または−OR−を介して、前記リンカー領域(Lx)に結合し、
    ここで、RおよびRは、存在しても存在しなくてもよく、存在する場合、RおよびRは、それぞれ独立して、ヌクレオチド残基または前記構造(I)である。
  12. 前記内部領域(Z)の塩基数(Z)、前記内部5’側領域(X)の塩基数(X)、前記内部3’側領域(Y)の塩基数(Y)、前記5’側領域(Xc)の塩基数(Xc)および前記3’側領域(Yc)の塩基数(Yc)が、下記式(1)および(2)の条件を満たす、請求項1から11のいずれか一項に記載のRelA発現抑制剤。
    Z=X+Y ・・・(1)
    Z≧Xc+Yc ・・・(2)
  13. 前記内部5’側領域(X)の塩基数(X)と前記5’側領域(Xc)の塩基数(Xc)の差、前記内部3’側領域(Y)の塩基数(Y)と前記3’側領域(Yc)の塩基数(Yc)の差が、下記条件を満たす、請求項12記載のRelA発現抑制剤。
    (a)下記式(11)および(12)の条件を満たす。
    X−Xc=1、2または3 ・・・(11)
    Y−Yc=0 ・・・(12)
    (b)下記式(13)および(14)の条件を満たす。
    X−Xc=0 ・・・(13)
    Y−Yc=1、2または3 ・・・(14)
    (c)下記式(15)および(16)の条件を満たす。
    X−Xc=1、2または3 ・・・(15)
    Y−Yc=1、2または3 ・・・(16)
    (d)下記式(17)および(18)の条件を満たす。
    X−Xc=0 ・・・(17)
    Y−Yc=0 ・・・(18)
  14. 前記内部領域(Z)が、発現抑制配列として、配列番号1の塩基配列を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のRelA発現抑制剤。
    5’-AAUGUCUUCUUUCUGCACC-3’ (配列番号1)
  15. 前記内部領域(Z)の塩基(Z)が、19塩基〜30塩基である、請求項1から14のいずれか一項に記載のRelA発現抑制剤。
  16. 前記5’側領域(Xc)の塩基数(Xc)が、前記3’側領域(Yc)の塩基数(Yc)よりも小さく、
    前記塩基数(Xc)が、1〜9塩基である、請求項1から15のいずれか一項に記載のRelA発現抑制剤。
  17. 前記3’側領域(Yc)の塩基数(Yc)が、前記5’側領域(Xc)の塩基数(Xc)よりも小さく、
    前記塩基数(Yc)が、1〜9塩基である、請求項1から15のいずれか一項に記載のRelA発現抑制剤。
  18. 請求項1から17のいずれか一項に記載のRelA発現抑制剤を含むことを特徴とする、アレルギー性皮膚炎用医薬。
  19. NF−κB RelA遺伝子の発現を抑制する方法であって、
    請求項1から17のいずれか一項に記載のRelA発現抑制剤を使用することを特徴とする発現抑制方法。
  20. 前記RelA発現抑制剤を、経皮投与する工程を含む、請求項19記載の発現抑制方法。
  21. 前記RelA発現抑制剤を皮膚に塗布した後、同じ部位に、オリーブオイルを塗布する、請求項20記載の発現抑制方法。
  22. アレルギー性皮膚炎の治療方法であって、
    請求項1から17のいずれか一項に記載の発現抑制剤を、患者に投与する工程を含むことを特徴とする治療方法。
  23. 前記発現抑制剤を、経皮投与する、請求項22記載の治療方法。
  24. 前記RelA発現抑制剤を皮膚に塗布した後、同じ部位に、オリーブオイルを塗布する、請求項23記載の発現抑制方法。
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