JP2014139052A - 列車運行制御検査装置、列車運行制御検査方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】連動装置及び運行管理システムで構成される列車運行制御システムの動作を検証する列車運行制御検査装置1が、複数の閉そくを連接し、少なくとも一以上の分岐路を有して成る路線ネットワークの構成を表した路線情報、当該路線ネットワーク上を走行する列車の経路を、一または複数の進路の組み合わせにより、当該列車ごとに特定する走行経路情報、列車が走行しようとする経路を予約するための進路要求を行う際に満たすべき条件が、前記進路ごとに規定された進路設定情報、及び、前記連動装置の安全動作ロジックが規定された連動装置動作情報を取得する情報取得部10を備える。
【選択図】図1
Description
一方「非保安系システム」とは、主に鉄道を交通機関として運営する上で必要なシステムのうち、「保安系システム」に該当しないものをいう。例えば列車を運行ダイヤ通りに進行または停止させる「運行管理システム」が代表的な例である。また、改札設備等もその一種である。
したがって、運行ロジックの設計者は、その運行ロジックに従って逐次行われる運行プロセスにおいて、「デッドロック」が発生し得るものか否かを予め検証する必要がある。
図1は同実施形態による列車運行制御検査装置の機能構成を示す図である。この図において、符号1は列車運行制御検査装置である。
列車運行制御検査装置1は、「連動装置」及び「運行管理システム」で構成される列車運行制御システムの動作を検証するための検査装置である。列車運行制御検査装置1は当該検査機能を実現するに当たり、情報取得部10、状態遷移モデル生成部11、状態遷移モデル保持部12、状態遷移モデル検査部13、反例解析部14、結果表示部15、及び状態遷移モデル編集部16を備えている。
図2は、列車A、列車Bが図に示す経路に従って走行しようとしている状況を示している。ここで、上記列車Aの予定に加え、ある列車Bが時刻Yに閉そくT7(図2)を出発し、時刻Yに閉そくT2に到着する予定であったとする。そして列車Aの経路は未だ連動装置に予約されていない段階で、列車Bの進路予約が先に成立したとする。そうすると、列車Aは閉そくT2から先に進もうとする進路が既に列車Bに予約されているため、当該閉そくT2から動くことはできない(信号機aは“赤”表示を維持する。連動装置は列車Aのための進路要求も受け付けない)。一方、連動装置は列車Bのために信号機b、信号機cを“青”表示する。列車Bは信号機b、信号機cの“青”表示に従って、信号機aの手前まで走行する。しかしその先の閉そくT2には列車Aが存在しているため、連動装置は衝突を避けるため列車Bをそれ以上先に進ませない(信号機aが列車Bに対しても“赤”を表示)。そうすると、列車Aも列車Bもお互いの存在と進路予約の状況により、それ以上先に進めなくなってしまう。このように、列車A、列車Bともに目的地に到達しないまま運行プロセスが進められなくなる状況に陥ることを「デッドロック」と呼ぶ。デッドロック自体は、連動装置の正常な動作に起因するものであるから、安全面においては問題視されない(列車Aと列車Bが衝突するような事態にはならない)。しかし、運行管理システム上では、列車の運行プロセスを計画通りに進められないケースとして、その運行計画が問題視されることとなる。したがって、運行管理システムの実際の運用にあたっては、デッドロックを生じさせないようにするために、進路要求の際に満たすべき条件を記述した「進路設定情報」(後述)に基づいて進路要求を行うこととしている。
本実施形態において使用する「路線情報」とは、複数の閉そくを連接し、少なくとも一以上の分岐を有して成る路線ネットワークの構成を表したものである。ここで本実施形態による路線情報は、当該路線を構成する閉そく単位で「進路要素」(後述)を抽出し、当該進路要素ごとの相互の接続関係及び進路との対応関係を定義しつつ、路線ネットワーク全体を特定することで構築されるものである。なお以下に示す路線情報は一例であり、本実施形態においてはこの態様に限定されない。
路線情報は、具体的には図4に示すような表によって構成されるものである。図4(a)に示す表は、進路要素ごとの接続関係を示す対応表である。例えば進路要素S1は、閉そくT1に属し、方向は右(→)、継続進路要素はS2、そして、進路要素S1に対応する逆方向進路要素はS11となる。また図4(b)に示す表は、各進路を構成する進路要素の種類を示している。例えば、進路1Rは、進路要素S1のみで構成される。また、進路4BRは、進路要素S7、S3、S4の三つで構成されている(図3を参照)。本実施形態による情報取得部10は、図4(a)及び図4(b)に示すような対応表を路線情報として入力する。
次に、本実施形態において使用する「走行経路情報」について説明する。「走行経路情報」とは、検査を行う上で想定する列車の運行パターンを定義するものである。「走行経路情報」は、例えば上記路線ネットワーク上を走行する列車の経路を、一または複数の進路の組み合わせにより、当該列車ごとに特定する。より具体的には、列車ごとに初期位置(初期進路要素)と、進む進路の順列を与えることで、その列車の経路を特定する。例えば、列車A、列車Bがそれぞれ図5(a)に示すような経路を予定していたとする。そうすると、列車Aの初期位置(初期進路要素)はS6(図3参照)であり、列車Aが進もうとする経路は、進路4BR及び7Rを与えることで特定される。また、列車Bの初期位置(初期進路要素)はS20(図3参照)であり、列車Bが進もうとする経路は、進路6L、4Lを与えることで特定される。このようにして、図5(b)に示すような表が作成される。本実施形態による情報取得部10は、図5(b)に示すような対応表を走行経路情報として入力する。なお以上に示した走行経路情報は一例であり、本実施形態においてはこの態様に限定されない。
次に、本実施形態において使用する「進路設定情報」について説明する。「進路設定情報」とは、列車が走行しようとする経路を予約するための進路要求を行う際に満たすべき条件が、進路ごとに規定されたものである。より具体的に説明すると、「進路設定情報」は、上述した運行管理システムの自動進路設定機能において、当該運行管理システムが連動装置に対して進路要求を行うに際し、当該進路要求を行ってもよい条件を整理してまとめた表により構成される。例えば、図2を用いて説明したデッドロックは、列車Aが閉そくT2に存在していた段階で、列車Bの進路要求を信号機aの手前まで行ってしまったことに起因して発生した。したがって、運行管理システムは、列車Aが閉そくT2に存在しているという条件下においては、列車Bの進路要求は、信号機bの手前(閉そくT5)までに留まらせておく必要があった。そうすれば、列車Bが信号機bの“赤”表示により停止している最中に、列車Aは、自身の進路要求を行う(当該進路要求は連動装置に受け付けられ、進路予約される)ことで、目的地である閉そくT8に到達することができた。そして列車Aが閉そくT2を脱してから、(閉そくT5で停止していた)列車Bが改めて閉そくT2までの区間を進路要求すれば、列車Bも目的地に到達することができた。進路設定表は、上記のようなデッドロックを発生させないように、運行管理システムが連動装置に進路要求を行ってもよいか否かの条件をまとめたものである。
まず、図6に示す表では、進路要求条件を定義している。これは、例えば運行管理システムが、連動装置に対し進路3Rの進路要求を送信しようとする場合、その進路要求条件として、「閉そくT1に列車が存在し、なおかつ、閉そくT3に列車が存在していない」条件を満たした場合にのみ、当該進路要求を送信することを意味している。ここで、運行管理システムが進路3Rを要求するに当たり「閉そくT1に列車が存在する」ことを条件としているのは、すなわち、これから進路3Rを走行しようとする列車が閉そくT1へ進入したことをもって、次の進路(3R)の要求を行うことを想定している。また「閉そくT3に列車が存在していない」ことを条件とするのは、一つの閉そくに二以上の列車が存在することを防ぐためである。また、閉そくT3に列車が存在した場合に発生し得るデッドロックを未然に回避するためである。
例えば運行管理システムが、連動装置に対し進路3Rの進路要求を解除しようとする場合、その進路解除条件として、「閉そくT1に列車が存在し、なおかつ、閉そくT3にも列車が存在している」条件を満たした場合にのみ、当該進路要求を解除することを意味している。ここで、運行管理システムが進路3Rの進路要求を解除するに当たり「閉そくT1及び閉そくT3に列車が存在する」ことを条件としているのは、すなわち、進路3Rを走行しようとする列車が閉そくT1から閉そくT3へ進入したことをもって、当該進路の進路要求を解除することを想定している。
図6に示す表において、アンダーバーを記した閉そくは、当該閉そくに列車が存在していることを意味し、アンダーバーを記していない閉そくは、当該閉そくに列車が存在しないことを意味している。
また、進路4Lの進路要求条件(図6)のように、連動装置が、その区間と競合する進路(4AR、4BR)についての進路予約を成立させていないか否かを、進路要求条件に含めることもできる。なおアンダーバーを記した進路は、連動装置が、その進路については未だ進路予約を成立させていない状態にあることを意味している。なお、この進路設定表は通常人の手によって作成するものであり、運行プロセスにおいて、上記のようなデッドロックを発生させないように作成することが求められる。
「連動装置動作情報」とは、上記連動装置の安全動作ロジックを規定したものである。連動装置における安全動作ロジックは、主に運行管理システムからの進路要求に対して進路予約を成立させてよいか否かを、種々の条件によって判断するものである。運行管理システムからある進路の予約を要求する進路要求があった場合、連動装置は、これと競合する進路が既に予約済みでないか否かを判定し、既に予約済みの進路があった場合には、その要求が満たされるまでは当該要求についての予約を成立させない。例えば、進路3Rの要求があった時、連動装置は、進路3Rと競合する他の進路3AL、3BL、5L、4BRの進路が全て制御中ではないことを条件として、進路3Rの制御を開始する。この条件を論理式で表してまとめたものが図7に示す連動装置動作情報である。図7において、“!3AL”は進路3ALの制御が行われていないことを表す。“3RX”は進路3Rについての進路予約の要求があることを示している。
なお、連動装置の安全動作ロジックは、上記のような進路予約についての規定以外にも種々の規定が存在する。例えば、連動装置は、上述した軌道回路を用いて所定の閉そくに列車が存在しているか否かを検知し、一閉そくに二以上の列車が進入させないという安全動作ロジックを規定している。なお連動システムの安全設計ロジックは、運行管理システムから受信する進路要求について進路予約をすべきか否かを、安全な走行を保証するために規定された制限であるから、その安全制御の結果デッドロックが発生し得るか否かは考慮されて設定されていない。デッドロックの回避は、上述した通り、運行管理システムが進路設定情報に定めた条件を満たした上で進路要求を行うことにより行われる。
状態遷移モデル生成部11は、情報取得部10が取得した路線情報(図4)に基づいて、列車の状態遷移モデルを構築する。ここで、状態遷移モデル生成部11は、列車において想定される状態として、少なくとも、当該列車が、進路要素のそれぞれに属している状態、及び、各進路要素の境界を跨いでいる状態を含む状態遷移モデルを生成することを特徴としている。具体的には、状態遷移モデル生成部11は、上記路線情報に定義された進路要素のステータス(どの閉そくに属し、どのような接続関係を有しているか)を参照し、列車の状態、すなわち図8に示すような、列車が属する進路要素の遷移図を構築する。ここで定義される各列車の状態は、例えば、後述する運行プロセスの状態遷移条件に反映される。なお、図8の状態遷移図に示す各状態に記す番号は進路要素を示している。また白抜きの状態は、その両側の進路要素の境界を跨いで両方に属している状態であることを示している。このように、現実の列車が連続的に走行する過程を抽象化した状態遷移モデルを構築することで、実運用上想定される列車の状態を全て網羅した形で検査を行うことができる。よって、列車運行制御検査装置1は、列車運行制御システムに対する検査の漏れをより低減させることができる。
状態遷移モデル生成部11は、与えられた路線ネットワークに設置される分岐ごとに、分岐の状態遷移モデルを構築する。現実の分岐は、連動装置からの指示を受け、転てつ器による機械的制御により進路の転換を行うものである。したがって、状態遷移モデル生成部11は、分岐において想定される状態として、少なくとも、定位、転換中及び反位の状態を含む状態遷移モデルを生成する。具体的には、状態遷移モデル生成部11は図9に示すような分岐の状態遷移モデルを構築し、その状態遷移を連動装置とは独立して考慮することとしている。ここで、図9に示す状態遷移モデルは、分岐が「定位」である場合において、当該分岐が連動装置から「反位転換要求」を受け付け、さらに「定位転換要求」を受け付けていない状態にあることを条件として、「定位」→「転換中」→「反位」と状態遷移することを示している。同様に、分岐が「反位」である場合において、当該分岐が連動装置から「定位転換要求」を受け付け、さらに「反位転換要求」を受け付けていない状態にあることを条件として、「反位」→「転換中」→「定位」と状態遷移することを示している。分岐が通常開通している方向を「定位」そうでない方向を「反位」と称する。状態遷移モデル生成部11は、以上のような分岐の状態遷移モデルを、路線ネットワーク上に存在する全ての分岐について構築する。また「定位転換要求」、「反位転換要求」は、以下に説明する連動装置の状態遷移モデルに基づいて入力されるものである。このように、現実の分岐(転てつ器)が動作する過程を、連動装置の状態遷移と独立して構築することで、連動装置の指示発信と、それに伴う具体的な分岐の動作の間に生ずるタイムラグまで考慮して検査を行うことができる。
状態遷移モデル生成部11は、情報取得部10が取得した連動装置動作情報(安全動作ロジック)(図7)に基づいて、連動装置の状態遷移モデルを構築する。また、状態遷移モデル生成部11は、連動装置において想定される状態として、少なくとも、各進路についての鎖錠の有無、各閉そくにおける在線の有無、及び、各分岐における設定進路のそれぞれを検知した状態を含む状態遷移モデルを生成する。具体的に説明すると、現実に列車運行を制御する連動装置は、信号機及び転てつ器に指示を与えるための電気回路(リレー)の集合により構成される。したがって、状態遷移モデル生成部11は、連動装置を構成するリレーごとに状態遷移モデルを構築する。
状態遷移モデル生成部11はさらに、情報取得部10が取得した走行経路情報(図5)及び進路設定情報(図6)に基づいて、運行管理システムの状態遷移モデルを構築する。状態遷移モデル生成部11は、運行管理システムにおいて想定される状態として、少なくとも、各列車についての進路要求ステップの進行状態、及び、各進路における進路要求の有無それぞれを示す状態を含む状態遷移モデルを生成する。本実施形態においては、状態遷移モデル生成部11は、運行管理システムの一部の機能である「自動進路設定」についての状態遷移モデルを構築する。ここで実際の運行管理システムは、デッドロックを回避するために進路設定情報に規定された条件を満たす場合に、各列車が走行経路情報によって定められた経路を走行すべく、所定の進路についての進路要求を連動装置に向けて行う。そこで状態遷移モデル生成部11は、運行管理システムの状態遷移モデルとして、走行経路情報に対応した「進路要求ステップ」を列車ごとに持つ。そして、進路設定情報が成立したときにその進路要求ステップが進み、状態が遷移していくこととする。
なお、運行管理システムは、所定の要求解除条件(図6)を満たす場合には、自己の進路要求が「OFF」に遷移する。図11(b)の場合、進路6Lの要求解除条件を満たした場合には、運行管理システムは、その目的が達成されたものと見なし、進路6Lについての進路要求を解除する。連動装置の状態遷移モデルは、進路6Lについての進路要求が「OFF」になったことを受け、当該進路についての進路てこリレーの状態が「OFF」に遷移することとなる(図10(a))。
次に、本実施形態による列車運行制御検査装置1を用いた具体的な検証フローについて、図12を参照しながら説明する。まず情報取得部10は、種々の情報を入力する(ステップST1)。ここで取得する情報は、上述した「路線情報」、「走行経路情報」、「進路設定情報」、「連動装置動作情報」である。そして状態遷移モデル生成部11は、情報取得部10が取得した情報に基づいて、種々の状態遷移モデルを構築する(ステップST2)。ここで構築する状態遷移モデルは、例えば上述した「列車」の状態遷移モデル、「分岐」の状態遷移モデル、「連動装置」の状態遷移モデル及び「運行管理システム」の状態遷移モデルである。また、例えば「連動装置」の状態遷移モデルは、各種リレー(進路ごとの「進路てこリレー」、閉そくごとの「在線検知リレー」及び分岐ごとの「分岐検知リレー」(図10))の状態遷移モデル図の集合により構成される。また、「運行管理システム」の状態遷移モデルは、特に、列車ごとの「進路要求ステップ」及び進路ごとの「進路要求」(図11)により構成される。次に、ユーザは、必要であれば、状態遷移モデル編集部16を用いて、上記のとおり生成された状態遷移モデルを所望の状態遷移モデルに編集する(ステップST3)。次に状態遷移モデル検査部13は、ユーザから設定された「要件」を受け付ける(ステップST4)。ここで与えられる要件とは例えば、「列車運行制御システムがいかなる状態遷移の経緯を辿ろうとも、予定する運行計画に従って滞りなく(デッドロックを発生させることなく)当該運行計画を遂行できること」であり、CTL(Computational Tree Logic)など計算機が解釈可能な形式で与えられる。具体的には、状態遷移モデル検査部13は、例えば列車Aがその目的地である閉そくT8にたどり着けたか否か、列車Bがその目的地である閉そくT2にたどり着けたか否か、という条件を列車ごとに定めたものを要件として受け付ける。
本実施形態においては上記のとおり、状態遷移モデル生成部11が連動装置(の各種リレー)の取り得る状態と、運行管理システムの取り得る状態とを独立して定義している。このようにすれば、状態遷移モデル検査部13は、例えば、運行管理システムから進路要求が送信された後、当該進路要求を連動装置が認識するまでのわずかなタイムラグの間に、運行管理システムから別の列車の進路要求があった時に何が起こり得るか、という問題についてまで網羅的に検査できる。
図13において課せられた要件は、列車Aが進路4BR、7Rを介して閉そくT7まで走行すること、及び、列車Bが進路4Lを介して閉そくT2まで走行すること、であったとする。また図13は、運行管理システムが連動装置に対し、列車Aのための進路4BRの進路要求条件を満たし、当該進路要求を行ったものの、連動装置自身はまだそのことを認識できていない状態を示している(このような状態が継続する時間は、現実には0.3秒ほど)。なお、図13において太線で示した閉そくは、連動装置が「在線」状態と検知している閉そくであることを示している。この状態において、列車Bが閉そくT6に踏み込んでいるため、運行管理システムは連動装置に対し、進路4Lの進路要求を行う(連動装置が4AR及び4BRの進路予約を成立させていない状態、かつ、閉そくT6に列車が存在し、閉そくT4に列車が存在していない条件を満たす(図6)。ただし既に4BRについての進路要求は送信されている)。一方、連動装置は、別途、在線検知リレーによって閉そくT2に列車が存在していることを検知しているため、進路4Lについての当該進路要求に対し、進路4Lの予約を成立させないで留保する。
図13に示した状態の次の瞬間、連動装置は運行管理システムからの進路4BRの進路要求に応答し、当該進路についての進路予約を成立させる。そして列車Aは進路4BRに対応する信号機の“青”表示に基づいて走行し、閉そくT4に踏み込む(図14)。するとその瞬間、運行管理システムは、進路4Lについての進路要求解除条件を満たす(閉そくT6に列車が存在し、かつ、閉そくT4にも列車が存在する(図6))ため、列車Bのために送信していた進路4Lの進路要求を終了する。
列車Aは、図14に示した状態から予定通り進路4BRを走行し、閉そくT5に到達する。すると、列車Aのための進路4BRの進路予約は要求解除条件を満たすこととなるので、運行管理システムは進路4BRについての進路要求を解除し、当該進路予約は解除される。しかし、進路4BRの予約は解除され、進路4Lの進路予約自体は可能となったものの、運行管理システムは、進路4Lの進路要求中であった状態を経て、さらに当該進路要求を解除してしまった状態にあるため、運行管理システムは(列車Bのためには)、二度と進路4Lの進路要求を送信しない。したがって、列車Bは閉そくT6まで走行した後、その後の進路が確保されないために停止したままとなる(デッドロックが発生)。
以上、本発明によれば、列車運行制御システムの運用において稀に起こり得る状況を含めて検査を行うことができるという効果が得られる。
ここで、本実施形態による列車運行制御検査装置1は、上述した各種状態遷移モデルを所定のモデル検査言語で記述するような態様であっても構わない。この場合、例えば連動装置の状態遷移モデルは、図16に示すようなソースコードをもって記述される。
10・・・情報取得部
11・・・状態遷移モデル生成部
12・・・状態遷移モデル保持部
13・・・状態遷移モデル検査部
14・・・反例解析部
15・・・結果表示部
16・・・状態遷移モデル編集部
Claims (7)
- 連動装置及び運行管理システムで構成される列車運行制御システムの動作を検証する列車運行制御検査装置であって、
複数の閉そくを連接し、少なくとも一以上の分岐を有して成る路線ネットワークの構成を表した路線情報、
当該路線ネットワーク上を走行する列車の経路を、一または複数の進路の組み合わせにより、当該列車ごとに特定する走行経路情報、
列車が走行しようとする経路を予約するための進路要求を行う際に満たすべき条件が、前記進路ごとに規定された進路設定情報、及び、
前記連動装置の安全動作ロジックが規定された連動装置動作情報
を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した各種情報に基づいて、前記列車、前記分岐、前記連動装置及び前記運行管理システムそれぞれについての状態遷移モデルを生成する状態遷移モデル生成部と、
前記状態遷移モデルに基づいて、前記列車、前記分岐路、前記連動装置及び前記運行管理システムそれぞれにおいて想定される状態の組み合わせで、予め設定された要件を満たすか否かを判定する状態遷移モデル検査部と、
を備える列車運行制御検査装置。 - 前記状態遷移モデル生成部は、
前記列車において想定される状態として、少なくとも、前記列車が、前記進路を前記閉そく単位で区分した進路要素のそれぞれに属している状態、及び、各進路要素の境界を跨いでいる状態を含む状態遷移モデルを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の列車運行制御検査装置。 - 前記状態遷移モデル生成部は、
前記分岐において想定される状態として、少なくとも、定位、転換中及び反位の状態を含む状態遷移モデルを生成する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の列車運行制御検査装置。 - 前記状態遷移モデル生成部は、
前記連動装置において想定される状態として、少なくとも、各進路についての鎖錠の有無、各閉そくにおける在線の有無を含む状態遷移モデルを生成する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の列車運行制御検査装置。 - 前記状態遷移モデル生成部は、
前記運行管理システムにおいて想定される状態として、少なくとも、各列車についての進路要求ステップの進行状態、及び、各進路における進路要求の有無それぞれを示す状態を含む状態遷移モデルを生成する
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の列車運行制御検査装置。 - 連動装置及び運行管理システムで構成される列車運行制御システムの動作を検証する列車運行制御検査方法であって、
複数の閉そくを連接し、少なくとも一以上の分岐を有して成る路線ネットワークの構成を表した路線情報、
当該路線ネットワーク上を走行する列車の経路を、一または複数の進路の組み合わせにより、当該列車ごとに特定する走行経路情報、
列車が走行しようとする経路を予約するための進路要求を行う際に満たすべき条件が、前記進路ごとに規定された進路設定情報、及び、
前記連動装置の安全動作ロジックが規定された連動装置動作情報
を取得し、
当該取得した各種情報に基づいて、前記列車、前記分岐、前記連動装置及び前記運行管理システムそれぞれについての状態遷移モデルを生成し、
前記状態遷移モデルに基づいて、前記列車、前記分岐、前記連動装置及び前記運行管理システムそれぞれにおいて想定される状態の組み合わせで、予め設定された要件を満たすか否かを判定する
こと特徴とする列車運行制御検査方法。 - 連動装置及び運行管理システムで構成される列車運行制御システムの動作を検証する列車運行制御検査装置のコンピュータを、
複数の閉そくを連接し、少なくとも一以上の分岐を有して成る路線ネットワークの構成を表した路線情報、
当該路線ネットワーク上を走行する列車の経路を、一または複数の進路の組み合わせにより、当該列車ごとに特定する走行経路情報、
列車が走行しようとする経路を予約するための進路要求を行う際に満たすべき条件が、前記進路ごとに規定された進路設定情報、及び、
前記連動装置の安全動作ロジックが規定された連動装置動作情報
を取得する情報取得手段、
前記情報取得手段が取得した各種情報に基づいて、前記列車、前記分岐、前記連動装置及び前記運行管理システムそれぞれについての状態遷移モデルを生成する状態遷移モデル生成手段、
前記状態遷移モデルに基づいて、前記列車、前記分岐、前記連動装置及び前記運行管理システムそれぞれにおいて想定される状態の組み合わせで、予め設定された要件を満たすか否かを判定する状態遷移モデル検査手段として機能させる
ことを特徴とするプログラム。
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