JP2014138992A - 微細凹凸構造を表面に有する物品およびその製造方法 - Google Patents

微細凹凸構造を表面に有する物品およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、シリカからなる微細凹凸構造を表面に有する物品、およびそれらを低コストで容易に得られる製造方法を提供する。
【解決手段】(1)表面に微細凹凸構造を有するモールド上にシリカ前駆体を塗布し塗布層とする工程、(2)前記塗布層を、酸素を含むガスを用いてドライエッチング処理することにより、該塗布層をシリカ層に変化させる工程、(3)前記モールドから前記シリカ層を離型する工程、を含むシリカからなる微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法。前記酸素を含むガスはフッ素系ガスを含まないことが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、微細凹凸構造を表面に有する物品およびその製造方法に関する。
可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を表面に有する物品は、反射防止効果、ロータス効果等を発現することが知られている。特に、略円錐形状の凸部を並べたモスアイ構造と呼ばれる微細凹凸構造は、空気の屈折率から物品の材料の屈折率へと連続的に屈折率が増大していくことで有効な反射防止の手段となるため、光の反射を抑える反射防止物品への応用が期待されている。
物品の表面に微細凹凸構造を形成する方法としては、微細凹凸構造を表面に有するモールドと光透過性基材との間に液状の活性エネルギー線硬化性組成物を充填し、これに活性エネルギー線を照射して硬化させて、光透過性基材の表面に微細凹凸構造が転写された硬化層を形成する方法、いわゆる光インプリント法が注目されている。
また、前記モールドとしては、アルミニウム基材を陽極酸化してできる酸化皮膜に形成された複数の細孔を微細凹凸構造の型として賦形する方法が、簡便に製造できることから、普及しつつある。しかしながら、活性エネルギー線硬化性組成物から得られる微細凹凸構造には、突起部分が合一しやすいなどの欠点があった。
一方、微細凹凸構造を形成する方法として、活性エネルギー線硬化性組成物を用いる以外の手段としては、シリカのような無機材料に電子線やレーザー光干渉を利用した描画法やリソグラフィ法を用いて微細凹凸構造を加工する方法がある。しかしながら、前記の製造方法は、工程が複雑であったり、作製に長い時間を要したり、装置が高価であるなどの問題があった。
そこで、シリカからなる微細凹凸構造を比較的簡便に製造する方法として、レンズ基材上に施されたポリオルガノシロキサンのケイ素鎖化合物を主成分としたハードコーティング材料を低温プラズマ処理することで反射防止機能を付与する方法が、特許文献1に開示されている。
また、特許文献2には、ポリシランとシリコーン化合物とを含む材料が塗布された基材にマスターモールドの微細パターンを転写し、該パターンを酸素プラズマ処理することにより、硬質の酸化皮膜を形成するレプリカモールドの製造方法が開示されている。
特許文献3では、陽極酸化アルミニウムをモールドとして用い、アルコキシシラン系化合物を塗布および硬化させることにより、モスアイ構造を得る方法が開示されている。
特開平2−74901号公報 特開2008−207475号公報 特開2011−228674号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2の方法では、平均間隔が可視光の波長以下である凸部を並べたモスアイ構造と呼ばれる微細凹凸構造を得ることができなかった。一方、特許文献3の方法では、得られるモスアイ構造の材質には有機構造が残存するという問題点があった。
本発明は、有機構造を含まないシリカからなる微細凹凸構造を表面に有する物品、およびそれらを低コストで容易に得られる製造方法を提供する。
本発明は、下記(1)〜(3)の工程を含む、シリカからなる微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法である。
(1)表面に微細凹凸構造を有するモールド上にシリカ前駆体を塗布し塗布層とする工程。
(2)前記塗布層を、酸素を含むガスを用いてドライエッチング処理することにより、該塗布層をシリカ層に変化させる工程。
(3)前記モールドから前記シリカ層を離型する工程。
また、酸素を含むガスがフッ素系ガスを含まないガスであることが好ましい。
本発明は、モールドおよび物品の微細凹凸構造の凸部間の平均間隔が可視光の波長以下である製造方法であることが好ましい。
モールドの微細凹凸構造がアルミニウムの陽極酸化により形成されたものであることが好ましい。
シリカ前駆体がジメチルシロキサン系化合物であることが好ましい。
さらに、ジメチルシロキサン系化合物が式(1)で表されるアクリル酸変性シリコーンであることが好ましい。



式(1)中、a、bおよびcは、それぞれ1以上の整数である。

本発明は、前記方法により得られる、シリカからなる微細凹凸構造を表面に有する物品である。
本発明の微細凹凸構造を有する物品およびその製造方法によれば、リソグラフィ法等を用いることなく、レプリカモールドとしても有用な、シリカからなる微細凹凸構造を有する物品を低コストで容易に得られる。
陽極酸化ポーラスアルミナを表面に有する金型の製造工程を示す断面図である。 硬化層のFT−IRスペクトルである。 分解残渣層のFT−IRスペクトルである。
<物品の製造方法>
本発明の微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法は、微細凹凸構造を表面に有するモールド上にシリカ前駆体を塗布して得られる塗布層を、酸素を含むガスを用いてドライエッチング処理することにより、該塗布層をシリカ層に変化させ、該モールドから該シリカ層を離型する方法である。
本発明においては、固体のシリカ前駆体を揮発性溶媒で溶液化したものをモールド上に塗布し、所望の厚さになるよう乾固したり、モールド上に液状のシリカ前駆体を含む活性エネルギー線硬化性組成物を所望の厚さになるよう塗布し、熱や活性エネルギー線で重合硬化させることが、シリカ層の厚さ制御が比較的容易である点で好ましい。後者の場合は、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等の活性エネルギー線照射装置を用いることができる。
<シリカ前駆体>
本発明の物品に形成されるシリカ層は、微細凹凸構造が形成されたモールド上に塗布されたシリカ前駆体をドライエッチング処理することで得られる分解残渣物である。
シリカ前駆体は、常温で固体であっても液体であってもよく、熱や活性エネルギー線等による反応性(重合反応、加水分解/縮合反応等)があってもなくてもよいが、モールド上にシリカの薄膜を形成するためには、液体または溶剤により溶液化できるか、加熱により高い流動性を発現する固体であることが好ましい。
前記シリカ前駆体は、Si原子を含む化合物であり、例えば、(ポリ)シロキサン類、(ポリ)シラン類、(ポリ)シルセスキオキサン類、(ポリ)シラザン類等が好ましく、それらの単独物質であっても、共重合物であっても、混合物であってもよい。
(ポリ)シロキサン類としては、例えば、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等の非反応性ストレートシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーン等の反応性ストレートシリコーンオイル、モノアミン変性、ジアミン変性、特殊アミノ変性、エポキシ変性、脂環式エポキシ変性、カルビノール変性、メルカプト変性、カルボキシル変性、ハイドロジェン変性、アミノ/ポリエーテル変性、エポキシ/ポリエーテル変性、エポキシ/アラルキル変性等の側鎖変性型反応性シリコーンオイル、ポリエーテル変性、アラルキル変性、フロロアルキル変性、長鎖アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、高級脂肪酸アミド変性、ポリエーテル/長鎖アルキル/アラルキル変性、長鎖アルキル/アラルキル変性、フェニル変性等の側鎖変性型非反応性シリコーンオイル、アミノ変性、エポキシ変性、脂環式エポキシ変性、カルビノール変性、メタクリル変性、ポリエーテル変性、メルカプト変性、カルボキシル変性、フェノール変性、シラノール変性等の両末端変性型反応性シリコーンオイル、ポリエーテル変性、ポリエーテル/メトキシ変性等の両末端変性型非反応性シリコーンオイル、エポキシ変性、カルビノール変性、ジオール変性、メタクリル変性、カルボキシル変性等の片末端変性型反応性シリコーンオイル、側鎖アミノ/両末端メトキシ変性、エポキシ変性等の側鎖両末端変性型反応性シリコーンオイル等が挙げられる。
(ポリ)シラン類としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン等のオルガノアルコキシシラン類やテトラメトキシシラン(メチルシリケート)、テトラエトキシシラン(エチルシリケート)、テトラプロポキシシラン(プロピルシリケート)、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類が挙げられる。
(ポリ)シルセスキオキサン類としては、例えば、Si原子に結合した官能基が、メチル基、フェニル基、メチル/フェニル基等のものが上げられる。
〔活性エネルギー線硬化性組成物〕
シリカ前駆体を含む活性エネルギー線硬化性組成物としては、ジメチルシロキサン系化合物を含むことが好ましい。特に、シリコーン(ジ)(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸変性シリコーンが好ましく、下記式(1)で表されるジメチルシロキサン構造とエチレンオキサイド構造を有するものが好ましい。




式(1)中、a、bおよびcは、それぞれ1以上の整数である。
活性エネルギー線硬化性組成物は、前記のアクリル酸変性シリコーンの他、該モノマーと共重合可能な重合性化合物(以下、他の重合性化合物と記す。)や必要に応じて重合開始剤など他の成分を含んでいてもよい。
(他の重合性化合物)
他の重合性化合物としては、分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、単官能モノマー、多官能モノマーが挙げられる。
単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、1,4−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ブタン、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド等の二官能性モノマー;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等の三官能モノマー;コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸の縮合反応混合物、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等の四官能以上のモノマー;二官能以上のウレタンアクリレート、二官能以上のポリエステルアクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等を有するモノマーが挙げられ、エポキシ基を有するモノマーが特に好ましい。
オリゴマーまたは反応性ポリマーとしては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する上述のモノマーの単独または共重合ポリマー等が挙げられる。
(重合開始剤)
光硬化反応を利用する場合、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電子線硬化反応を利用する場合、重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化反応を利用する場合、熱重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;前記有機過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミンを組み合わせたレドックス重合開始剤等が挙げられる。
(内部離型剤)
シリカ前駆体を含む活性エネルギー線硬化性組成物には、内部離型剤を配合してもよい。
内部離型剤としては従来公知のフッ素含有化合物、シリコーン系化合物、リン酸エステル系化合物、長鎖アルキル基を有する化合物、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス等が使用可能である。また、これらの内部離型剤をモールドに付着させておくこともできる。
これらの内部離型剤の具体例としては、以下の通りである。
大日本インキ化学工業社製:メガファックR−08、F−470、XRB−4、F−444、F−477、F−482、F−483、F−480SF、F−493、MCF−350SF
ダイキン工業社製:オプツールDAC
ソルベイソレクシス社製:フルオロリンク5105X、MD500、MD700、D10H、E10H、L10H
ユニマテック社製:ケミノックスFA−4、FA−6、FA−8、FAAC−4、FAAC−6、FAAC−8、FAMAC−4、FAMAC−6、FAMAC−8、PFHE、PFOE
信越化学工業社製:X−22−1602、X−22−4039、X−22−4015、KF−99、KF−9901、X−22−160AS、KF−1601、KF−1602、KF−1603、X−22−4952、X−22−4272、X−22−6266、X−22−170BX、X−22−170DX、X−22−176DX、X−22−176F、KF−351A、KF−352A、KF−410、KF−412、FL−100−100cs、KF−414、X−22−1877、サーフィノール465
東レ・ダウコーニング社製:SH550、SH710、BY16−846、BY16−201、SR2411
城北化学社製:JP−302、JP−308E、JP−312L、JP−502、JP−504、JP−506H、JP−508、JC−224
アクセル社製:モールドウイズINT−AM121、INT−1285N、INT−1856
日光ケミカル社製:DDP−10、TLP−4、TDP−10
花王社製:エマルゲンLS−106、LS−110、LS−114、MS−110
日本油脂社製:ノニオンK−220、K−230、LT−221、ディスパノールTOC
内部離型剤の使用量は、組成物の本質的な効果に影響しない範囲、例えば、組成物
全量中に好ましくは0.01〜10質量部である。
(他の成分)
シリカ前駆体を含む活性エネルギー線硬化性組成物は、必要に応じて、非反応性のポリマー、活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物、帯電防止剤、防汚性を向上させるためのフッ素化合物等の添加剤、微粒子、少量の溶媒を含んでいてもよい。
非反応性のポリマーとしては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン、セルロース系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、アルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物等が挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルブトキシシラン等が挙げられる。
アルキルシリケート化合物としては、メチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、n−ペンチルシリケート、アセチルシリケート等が挙げられる。
<塗布>
モールド上へのシリカ前駆体物質の塗布方法は、例えば、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、印刷法、インクジェット法などを用いることができる。
<ドライエッチング>
本発明では、シリカ前駆体をモールド上に塗布した後、シリカ前駆体を酸素(O)を含むガスを用いたてライエッチング処理することによりシリカ前駆体が分解され、その分解残渣物として、モールド上にシリカ層が形成される。本発明において酸素を含むガスは、分解ガスとしてシリカ前駆体を直接分解しないガスを含んでもよい。ドライエッチングとしては、反応性イオンエッチング、ケミカルドライエッチング、大気圧プラズマエッチング等の公知の方法や市販の装置を用いることができる。シリカ前駆体が、乾固物や重合物などの固体の場合は、前記いずれの方法を用いてもよいが、液体の場合は、大気圧プラズマエッチングが好ましい。酸素以外の分解ガスとして、四フッ化炭素(CF)等のフッ素系のガスを用いると、シリカ前駆体が分解し、シリカが残渣しない場合があるので、酸素を含むガスとしてはフッ素系ガスを含まないものを用いることが好ましい。
<離型>
モールドからのシリカ層の離型は、例えば、表面に粘着剤や接着剤等が塗布された基材をモールド面とは反対側(ドライエッチング処理した側)のシリカ層表面に接着させて剥離するなどの方法を用いることができる。基材としては、フィルム、シート、射出成形品、プレス成形品等が挙げられる。透明基材の材質としては、例えば、ポリカーボネート、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリオレフィン、ガラス等が挙げられる。
離型した後にシリカ層表面に再度ドライエッチング処理を施してもよい。
<モールド>
本発明に用いられるモールドは、微細凹凸構造を表面に有するものであり、例えば、作製が簡便である点から、下記の工程(I)および、必要に応じて工程(II)を有する製造方法によることが好ましい。
工程(I):アルミニウム基材の表面を陽極酸化し、複数の細孔からなる微細凹凸構造を有する酸化皮膜を形成し、モールド本体を得る工程。
工程(II):モールド本体の微細凹凸構造が形成された側の表面を離型剤で処理する工程。
(工程(I))
工程(I)において酸化皮膜を形成する方法としては、下記の工程(a)〜(f)を有する方法が好ましい。
工程(a):アルミニウム基材を電解液中で陽極酸化して、アルミニウム基材の表面に酸化皮膜を形成する工程。
工程(b):工程(a)の後、アルミニウム基材を、アルミニウムを溶解せず、酸化皮膜を選択的に溶解する溶液に浸漬して酸化皮膜を除去する工程。
工程(c):工程(b)の後、アルミニウム基材を電解液中で再度陽極酸化して細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
工程(d):工程(c)の後、アルミニウム基材を、酸化皮膜を溶解する溶液に浸漬して細孔の径を拡大させる工程。
工程(e):工程(d)の後、アルミニウム基材を電解液中で再度陽極酸化する工程。
工程(f):工程(d)と工程(e)を繰り返し行い、複数の細孔を有する酸化皮膜(陽極酸化ポーラスアルミナ)がアルミニウム基材の表面に形成されたモールド本体を得る工程。
工程(a):
図1に示すように、切削加工されたアルミニウム基材1を定電圧下、電解液中で陽極酸化すると、細孔2を有する酸化皮膜3が形成される。アルミニウム基材1の形状としては、ロール状、円管状、平板状、シート状等が挙げられる。アルミニウム基材1は、表面状態を平滑化にするために、機械研磨、羽布研磨、化学的研磨、電解研磨処理(エッチング処理)等で研磨されることが好ましい。また、アルミニウム基材1は、所定の形状に切削加工する際に用いた油が付着していることがあるため、陽極酸化の前にあらかじめ脱脂処理されることが好ましい。電解液としては、硫酸、シュウ酸、リン酸等が挙げられる。
工程(b):
図1に示すように、酸化皮膜3を一旦除去し、これを陽極酸化の細孔発生点4にすることで細孔の規則性を向上することができる。酸化皮膜3を除去する方法としては、アルミニウムを溶解せず、酸化皮膜3を選択的に溶解する溶液に溶解させて除去する方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、クロム酸/リン酸混合液等が挙げられる。
工程(c):
図1に示すように、酸化皮膜3を除去したアルミニウム基材1を再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔2を有する酸化皮膜3が形成される。陽極酸化条件は、例えば、工程(a)と同様な条件または工程(a)より短い時間条件とする。
工程(d):
図1に示すように、細孔2の径を拡大させる処理(以下、細孔径拡大処理と記す。)を行う。細孔径拡大処理は、酸化皮膜3を溶解する溶液に浸漬して、陽極酸化で得られた細孔2の径を拡大させる処理である。このような溶液としては、例えば、リン酸水溶液等が挙げられる。細孔径拡大処理の時間を長くするほど、細孔径は大きくなる。
工程(e):
図1に示すように、再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔2の底部から下に延びる、直径の小さい円柱状の細孔2がさらに形成される。陽極酸化は、工程(a)と同様な条件で行えばよい。陽極酸化の時間を長くするほど深い細孔2を得ることができる。
工程(f):
図1に示すように、工程(d)の細孔径拡大処理と、工程(e)の陽極酸化を繰り返すと、直径が開口部から深さ方向に連続的に減少する形状の細孔2を有する酸化皮膜3が形成され、アルミニウム基材1の表面に陽極酸化ポーラスアルミナ(アルミニウムの多孔質の酸化皮膜)を有するモールド本体5が得られる。最後は工程(d)または工程(e)のいずれで終了してもよいが、工程(d)で終了することが好ましい。
(工程(II))
工程(II)は、工程(I)で得られたモールド本体の微細凹凸構造が形成された側の表面を、必要に応じて離型剤で処理する工程である。処理に用いる離型剤としては、例えば、フルオロアルキルシラン、KBM−7803(信越化学工業社製)、「オプツール」シリーズ(ダイキン工業社製)、ノベックEGC−1720(住友3M社製)等が挙げられる。
<物品>
以上により得られた本発明の物品は、表面の微細凹凸構造がシリカからなるものである。
アルミニウム基材の表面を陽極酸化して得られたモールドを用いた場合の物品の表面の微細凹凸構造は、酸化皮膜の複数の細孔からなる微細凹凸構造が転写されたものである。
微細凹凸構造としては、略円錐形状、角錐形状等の突起(凸部)が複数並んだ、いわゆるモスアイ構造が好ましい。凸部間の平均間隔は、可視光の波長以下、すなわち400nm以下が好ましい。
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
<実施例1>
(モールド)
25mm×25mmのアルミニウム板(純度99.99質量%)を、ヘキサンに30分間浸漬した後、アセトンに30分間浸漬して脱脂洗浄した。
(工程(I))
工程(a):
該アルミニウム板を、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で30分間陽極酸化を行った。
工程(b):
酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液に4時間浸漬して、酸化皮膜を除去した。
工程(c):
該アルミニウム板を、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で30秒間陽極酸化を行った。
工程(d):
酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、32℃の5質量%リン酸水溶液に8分間浸漬して、細孔径拡大処理を行った。
工程(e):
該アルミニウム板を、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒間陽極酸化を行った。
工程(f):
前記工程(d)および工程(e)を合計で4回繰り返し、最後に工程(d)を行って、モールド本体を得た。
(工程(II))
モールド本体を水洗し、モールド本体にエアーを吹き付けて、表面に付着した水滴を除去した。次いで、加水分解性シリル基を有するフッ素化合物の0.1質量%をフッ素系溶媒で希釈した温度18℃の溶液(ダイキン工業社製、オプツール)に、モールド本体を10分間浸漬した。浸漬したモールド本体をゆっくりと溶液から引き上げ、モールド本体を24時間風燥させ、平均間隔:100nm、深さ:180nmの略円錐形状の細孔を表面に有する板状モールドを得た。
モールドの細孔の測定は、モールドの一部の縦断面を1分間Pt蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、商品名JSM−6701F)により加速電圧3.00kVで観察し、隣り合う細孔の間隔(周期)及び細孔の深さを測定した。具体的にはそれぞれ10点ずつ測定し、その平均値を測定値とした。
(活性エネルギー線硬化性組成物(シリカ前駆体))
活性エネルギー線硬化組成物の原料とその配合量を以下に示す。
・ モノマー:トリメチロールエタンアクリル酸・無水コハク酸縮合エステル(45質量部)。
・ モノマー:ヘキサンジオールジアクリレート(45質量部)。
・ モノマー:アクリル酸変性シリコーン(10質量部)。
・ 光重合開始剤:「イルガキュア184」(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、3.0質量部)。
・ 光重合開始剤:「イルガキュア819」(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、0.2質量部)。
(硬化層)
前記モールド表面に前記活性エネルギー線硬化組成物をコーティングし、紫外線を積算光照射エネルギー量が1100mJ/cmとなるように照射して、硬化層を形成した。前記硬化層を赤外吸収スペクトル装置(サーモフィッシャー社製、ニコレーNAGNA−IR860)にATRユニットを取り付けて測定したFT−IRスペクトルを図2に示す。
前記スペクトルでは、1730cm−1付近にC=O結合(エステル構造由来)のピークが最も強く観測できる。
(ドライエッチング)
前記モールド上の硬化層を芝浦メカトロニクス社製μASH8100Wを用いて、表1に示す条件で、酸素ガスによるドライエッチング処理をした。

(離型)
モールド上に形成された硬化層の分解残渣物を、接着剤を塗布したアクリルフィルムに貼り付けて、モールドから離型した。前記分解残渣物表面(モールドに密着していた側)を前述のモールドの場合と同じ装置および条件にて、隣り合う凸部又は凹部の間隔及び凸部の高さを測定した。具体的にはそれぞれ10点ずつ測定し、その平均値を測定値とした。
測定した結果、微細凹凸構造の隣り合う凸部間の平均間隔が100nm、凸部の平均高さが170nmの、突起合一のないモスアイ構造が形成されていた。
さらに、前記残渣物の一部をサンプリングし、実施例1と同じ赤外吸収スペクトル装置で分析した結果、上述の1730cm−1付近のピークがほぼ消失し、代わって、1080cm−1付近にSi−O結合のピークが最も強く観測され、シリカに変化したシリカ層となっていた。(図3)
<参考例>
実施例1と同じモールドと活性エネルギー線硬化性組成物を用い、実施例1と同じ条件で硬化層を得た。前記モールド上の硬化層を芝浦メカトロニクス社製CDE80Nを用いて、表1に示す条件で、OとCFの混合ガスによるドライエッチングを処理した結果、硬化層が完全に分解して、何も残らなかった。
本発明は、リソグラフィ法等を用いることなく、シリカからなる微細凹凸構造を表面に有する物品を低コストで容易に得られる方法として、反射防止物品等の生産に有用である。
1 アルミニウム基材
2 細孔
3 酸化皮膜
4 細孔発生点
5 モールド

Claims (7)

  1. 下記(1)〜(3)の工程を含む、シリカからなる微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法。
    (1)表面に微細凹凸構造を有するモールド上にシリカ前駆体を塗布し塗布層とする工程。
    (2)前記塗布層を、酸素を含むガスを用いてドライエッチング処理することにより、該塗布層をシリカ層に変化させる工程。
    (3)前記モールドから前記シリカ層を離型する工程。
  2. 前記酸素を含むガスがフッ素系ガスを含まないガスである、請求項1に記載の物品の製造方法。
  3. モールドおよび物品の微細凹凸構造の凸部間の平均間隔が可視光の波長以下である、請求項1または2に記載の物品の製造方法。
  4. モールドの微細凹凸構造がアルミニウムの陽極酸化により形成されたものである、請求項1〜3に記載の物品の製造方法。
  5. シリカ前駆体がジメチルシロキサン系化合物である、請求項1〜4に記載の物品の製造方法。
  6. ジメチルシロキサン系化合物が式(1)で表されるアクリル酸変性シリコーンである、請求項5に記載の物品の製造方法。





    式(1)中、a、bおよびcは、それぞれ1以上の整数である。
  7. 請求項1〜6に記載の製造方法により得られる、シリカからなる微細凹凸構造を表面に有する物品。
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