JP2014138949A - 表面加工方法及び表面加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】加工対象部材の表面に微細な凹凸形状を効率良く形成可能な表面加工技術を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、表面加工装置10は、加工の対象である円柱状部材20の表面22に向けて電子ビームをパルス状に照射する照射部30と、円柱状部材20が回転するよう円柱状部材20を駆動する駆動部40と、照射部30と駆動部40を協調させて制御する制御部50とを有する。表面加工方法は、円柱状部材20の表面22のうち、予め設定された照射領域に電子ビームを1パルス照射することにより、当該照射領域に凹形状を形成する工程と、円柱状部材20の表面22のうち、凹形状が形成された照射領域とは異なる領域に、照射領域を変更する工程とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、部材の表面を加工する技術に関し、特に、部材の表面に凹凸形状を形成する技術に関する。
機械部品等の部材の表面に微細な凹凸形状を形成することにより、当該部材の耐摩耗性能が向上すること、及び部材の表面に生じる摩擦力を低減可能であることが知られている。例えば、産業用機械を構成する部品、特に他の部品に対して摺動する部材の表面に微細な凹凸形状を形成することが知られている。部材の表面に所定の規則的なパターンで微細な凹凸形状を形成するため、近年、レーザー加工、フォトエッチング加工、リソグラフィー加工、マイクロブラスタ加工等が用いられることがある。
特開2005−209445号公報 特開2006−77856号公報 特開2007−69306号公報
上述の加工方法においては、微細な凹凸形状を、部材の精度良く加工することが可能であるが、例えば、レーザー加工においては、加工の対象である部材(以下、加工対象部材と記す)の材質によっては、レーザー光の吸収率を向上させるための吸収剤を塗布することが必要となる。また、レーザー加工は、通常、空気中において実施されるため、加工対象部材の材質によっては、加工された表面が酸化してしまうことがある。なお、フォトエッチング加工を用いた場合、加工の手順が多数に分かれているため、他の加工方法に比べて加工に要するコストや時間が増大するという問題がある。特に、微細な凹凸形状を加工対象部材の表面に均一に加工する場合、上述の加工方法では、加工に要する時間が長くなり、またコストが高くなるという問題が生じる。
そこで、本発明の実施形態は、加工対象部材の表面に凹凸形状を効率良く形成可能な表面加工技術を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明の実施形態の表面加工方法は、加工の対象である加工対象部材の表面のうち、予め設定された照射領域に電子ビームを1パルス照射することにより、当該照射領域に凹形状を形成する工程と、当該加工対象部材の表面のうち、凹形状が形成された照射領域とは異なる領域に、照射領域を変更する工程と、を含むことを要旨とする。
また、本発明の実施形態の表面加工装置は、加工の対象である加工対象部材の表面に向けて電子ビームをパルス状に照射する照射部と、当該加工対象部材が回転するよう当該加工対象部材を駆動する駆動部と、当該加工対象部材の表面のうち予め設定された照射領域に電子ビームを1パルス照射させて当該照射領域に凹形状を形成し、当該加工対象部材の表面のうち当該凹形状が形成された照射領域とは異なる領域に照射領域が変更されるよう、当該照射部と当該駆動部を協調させて制御する制御部と、を有することを要旨とする。
本発明の実施形態によれば、照射領域に凹形状を形成する工程と、照射領域を変更する工程とを繰り返し行うことにより、加工対象部材の表面に微細な凹凸形状を効率良く形成することができる。
第1の実施形態の表面加工装置の概略構成を示す模式図である。 第1の実施形態の表面加工装置を構成する駆動部の構造を示す断面図であり、加工対象部材の軸方向に直交する断面図である。 第1の実施形態の表面加工方法において、加工の対象である円柱状部材の表面に電子ビームが照射される態様を示す斜視図である。 第1の実施形態の表面加工方法において、加工の対象である円柱状部材の表面に形成される凹凸形状を示す断面図である。 電子ビームの照射電流に照射速度を乗じた値に対する、加工の対象である部材の表面の表面粗さRzを示すグラフである。 第2の実施形態の表面加工方法の加工の対象である円環状部材と、当該円環状部材に形成される凹形状とを示す正面図である。 第2の実施形態の表面加工方法の加工の対象である円環状部材に照射される電子ビームの態様を説明する図であり、円環状部材の周方向に直交する断面を示す断面図である。 第2の実施形態の表面加工方法により円環状部材に形成される凹形状の変形例を示す説明図である。 第2の実施形態の表面加工方法により円環状部材に形成される凹形状の変形例を示す説明図である。 第2の実施形態の表面加工方法により凹形状が形成された円環状部材と、鏡面加工された円環状部材との摩擦係数の差異を示すグラフである。 凹形状の断面が加工対象部材の表面に対する垂直方向に対して所定の角度を付けて傾斜した方向に延びている変形例を示す断面図である。
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態により、本発明が限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
〔第1の実施形態〕
まず、本実施形態の表面加工装置の概略構成について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、本実施形態の表面加工装置の概略構成を示す模式図である。図2は、本実施形態の表面加工装置を構成する駆動部の構造を示す断面図であり、加工対象部材の軸方向に直交する断面図である。
なお、本実施形態において、加工対象部材は、一例として、略円柱状をなしている部材(以下、円柱状部材と記す)である場合について説明する。円柱状部材は、例えば、産業用機械の油圧機構を構成するロッドとして用いられる。また、円柱状部材(加工対象部材)の材質は、金属製であり、例えば、アルミニウム合金、ステンレス鋼、鉄鋼、鉄−黒鉛系焼結材料、鉄−銅−黒鉛系焼結材料等の種々の材質を用いることができる。
図1に示すように、表面加工装置10は、円柱状部材20の表面22に向けてパルス状の電子ビームを照射する装置(以下、照射部と記す)30と、円柱状部材20が回転するよう当該円柱状部材20を駆動する装置(以下、駆動部と記す)40と、照射部30及び駆動部40とを協調させて制御する装置(以下、制御部と記す)50とを有している。照射部30は、内部に偏向コイル(図示せず)を有しており、照射する電子ビームを偏向させることが可能に構成されている。換言すれば、照射部30は、電子ビームを照射する向きを自在に変えることができるよう構成されている。
本実施形態において、加工対象部材である円柱状部材20、照射部30及び駆動部40は、チャンバー60内に収容されている。チャンバー60内が真空にされた状態で、照射部30は、円柱状部材20の表面22にパルス状の電子ビーム(図に二点鎖線Bで示す)を照射する。なお、以下の説明において、円柱状部材20の表面22のうち、電子ビームが照射される領域を、「照射領域」と記す。
図2に示すように、駆動部40は、円柱状部材20が、その軸心(図2に点Aで示す)を中心として回転駆動可能に構成されている。駆動部40には、円柱状部材20の表面22に接して、これを支持するローラー44が、円柱状部材20の周方向(図2に矢印Cで示す)に複数配列されている。ローラー44は、チャンバー60(図1参照)に固定された台41により正逆自在に回転可能に支持されている。これにより、駆動部40は、円柱状をなす円柱状部材20を、その軸心を中心として回転させることが可能となっている。円柱状部材20を回転駆動するための動力は、図示しない動力源により付与される。なお、ローラー44が回転するよう、図示しない動力源により駆動し、当該ローラー44を介して円柱状部材20を回転駆動するものとしても良い。
表面加工装置10において、電子ビームを照射する照射部30と、円柱状部材20を駆動する駆動部40は、制御部50により協調して制御される。制御部50は、上述した照射部30と駆動部40とを制御可能な電子制御装置であり、図示しない補助記憶装置を内部に有している。当該補助記憶装置には、円柱状部材20の形状データ、照射部30が電子ビームを照射する条件、駆動部40が円柱状部材20を駆動する条件等が、予め記憶されている。制御部には、例えば、一般的なコンピュータを用いることができる。
以上のように構成された表面加工装置10において、制御部50は、照射部30により円柱状部材20の表面22に電子ビームを1パルス照射させて、当該照射領域に凹形状を形成する。このとき、制御部50は、駆動部40により円柱状部材20を回転させることにより、表面22のうち凹形状が形成された照射領域とは異なる領域に、照射領域を変更させており、以下に詳細を説明する。
本実施形態の表面加工装置10が実行する表面加工方法について、図1〜図5を用いて説明する。図3は、本実施形態の表面加工方法において、円柱状部材(加工対象部材)の表面に電子ビームが照射される態様を示す斜視図である。図4は、本実施形態の表面加工方法において、円柱状部材(加工対象部材)の表面に形成される凹凸形状を示す断面図である。図5は、電子ビームの照射電流に照射速度を乗じた値([照射電流]×[照射速度])に対する円柱状部材(加工対象部材)の表面の表面粗さRzを示すグラフである。なお、図4は、図3に一点鎖線Aで示す円柱状部材20の軸心を含む断面を示している。本実施形態の表面加工方法は、上述した表面加工装置10のチャンバー60内において行われ、その工程は、制御部50により自動的に制御される。
図1に示すように、表面加工装置10において、制御部50は、円柱状部材20の表面22のうち予め設定された照射領域に、電子ビームを1パルス照射するよう照射部30を制御する。これにより、図4に示すように、円柱状部材20の表面22のうち電子ビームが照射された照射領域においては、当該領域の金属が瞬時に溶融して凹形状24が形成される。なお、本実施形態の表面加工方法において加工対象部材に形成される凹形状は、湾曲した底面を有する穴である。
図1及び図4に示すように、表面加工装置10においては、照射部30が電子ビームを1パルス照射するにつき、1つの凹形状24(図4参照)を形成する。このように、加工対象部材(円柱状部材20)の表面22のうち、予め設定された照射領域に電子ビームを1パルス照射することにより、当該照射領域に凹形状を形成する工程を、以下に「照射領域に凹形状を形成する工程」と記す。
駆動部40が、円柱状部材20をその軸心(図3に一点鎖線Aで示す)を中心に所定の速度で回転させる。加えて、照射部30が、電子ビームを照射する向きを、図3に二点鎖線Bで示すように、円柱状部材20の軸方向に沿って変える。このようにして、加工対象部材(円柱状部材20)の表面22のうち凹形状24が形成された領域とは異なる領域に、電子ビームの照射領域を変更する工程を、以下に「照射領域を変更する工程」と記す。
照射領域を変更した後、再び、照射部30から電子ビームを1パルス照射して、前回において凹形状24が形成された領域とは異なる領域に、新たに凹形状25を形成する。詳細には、既に凹形状24が形成された領域から、所定の間隔をあけて新たな凹形状25を形成する。
そして、再び、凹形状25が形成された領域とは異なる領域に、電子ビームの照射領域を変更する。このように、電子ビームの1パルス照射による「照射領域に凹形状を形成する工程」と、凹形状が形成された照射領域とは異なる領域に「照射領域を変更する工程」とを繰り返し行い、所定の間隔をあけて多数の凹形状を形成することにより、円柱状部材20の表面22のうち所望の範囲に凹凸形状28が形成される。
なお、本実施形態においては、上述した「照射領域に凹形状を形成する工程」及び「照射領域を変更する工程」は、内部が真空に保たれたチャンバー60(図1参照)内において行われるため、加工対象部材である円柱状部材20の表面22が、電子ビームの照射により酸化することを防止することができる。
また「照射領域を変更する工程」においては、照射部30が所定の時間間隔で電子ビームをパルス状に照射すると共に、図3に矢印E1及び矢印E2で示すように円柱状部材20の軸方向(図3に一点鎖線Aで示す)に沿って照射部30が電子ビームを照射する向きを往復させる。さらに駆動部40が円柱状部材20を、その軸心を中心として所定の回転速度で回転させる。このとき、制御部50は、一度、凹形状が形成された領域に、再び電子ビームが照射されないよう、照射部30と駆動部40を協調させて制御する。制御部50が、電子ビームが照射される向きと円柱状部材20の回転と同期させて制御することにより、円柱状部材20の表面22に、規則的なパターンの微細な凹凸形状を効率良く形成することができる。
なお、円柱状部材20(加工対象部材)の表面22に加工される凹凸形状の深さ、すなわち加工された表面22の表面粗さRz(十点平均粗さ)は、図5に示すように、照射部30が照射する電子ビームの強度、具体的には、電子ビームの照射電流に照射速度を乗じた値([照射電流]×[照射速度])に比例している。当該比例関係より、加工対象部材すなわち円柱状部材20の表面22に加工されることが求められる凹凸形状の深さすなわち表面22の表面粗さRzに応じて、照射部30が照射する電子ビームの照射電流及び照射速度を決定することが可能となる。
以上に説明したように、本実施形態の表面加工方法においては、加工の対象である円柱状部材20の表面22のうち、予め設定された照射領域に電子ビームを1パルス照射することにより、当該照射領域に凹形状を形成する工程と、前記円柱状部材20の表面22のうち、凹形状が形成された照射領域とは異なる領域に、照射領域を変更する工程とを含むものとした。電子ビームを1パルス照射するにつき、一つの凹形状を形成し、当該凹形状が形成された領域と異なる領域に照射領域を変更して、当該照射領域に電子ビームを1パルス照射することにより、表面22のうち未だ凹形状が形成されていない部位に凹形状を形成することができる。このように「照射領域に凹形状を形成する工程」と「照射領域を変更する工程」とを繰り返し行うことにより、加工対象部材の表面に微細な凹凸形状を効率良く形成することができる。
また、本実施形態において「照射領域に凹形状を形成する工程」は、所定の時間間隔で電子ビームを照射するものであり、「照射領域を変更する工程」は、加工対象部材である円柱状部材20を回転させることにより、照射領域を変更するものとした。これにより、電子ビームの制御を簡素なものとしつつ、加工対象部材を回転駆動するだけで、照射領域を変更することができる。
また、本実施形態において「照射領域を変更する工程」は、加工対象部材である円柱状部材20を所定の回転速度で回転させるものとした。これにより、加工対象部材の回転駆動を比較的簡素な装置により実現することができる。
また、本実施形態において「照射領域に凹形状を形成する工程」は、加工対象部材である円柱状部材20を所定の回転速度で回転させると共に、電子ビームを照射する向きを変えるものとした。これにより、加工対象部材の回転駆動を比較的簡素な装置により実現しつつ、加工対象部材の表面のうち所望の領域に微細な凹凸形状を形成することができる。また、加工対象部材の表面を、電子ビームを照射する照射部に対して、相対的に移動させることにより、開口が楕円形状をなしている凹形状を形成することができる。なお、凹形状の開口の形状については、後述する。
また、本実施形態において「照射領域を変更する工程」は、当該円柱状部材20の軸心(図3に一点鎖線Aで示す)を中心として当該円柱状部材20を回転させることにより、照射領域を変更するものとした。円柱状部材20を高速で回転させることにより、円柱状部材20の表面22に効率良く微細な凹凸形状を形成することができる。
また、本実施形態において「照射領域を変更する工程」は、円柱状部材20を、その軸心を中心として回転させると共に、当該円柱状部材20の軸方向に沿って電子ビームを照射する向きを変えることにより、照射領域を変更するものとした。円柱状部材20が、外径に対して軸方向の長さが比較的長い部材であっても、電子ビームを照射する向きを軸方向に沿って変えるだけで、円柱状部材20の表面22に効率良く微細な凹凸形状を形成することができる。
なお、上述した実施形態において「照射領域を変更する工程」は、円柱状部材20を、その軸心(図2に点Aで示す)を中心として回転させると共に、円柱状部材20の軸方向(図3参照)に沿って電子ビームの照射する向きを変えるものとしたが、照射する向きを変える態様は、円柱状部材20の軸方向に沿うものに限定されるものではない。軸方向に対して所定の角度を付けた方向に電子ビームの照射する向きを変えるものとしても良い。
また、上述した実施形態において、加工対象部材は、略円柱状をなしている円柱状部材であるものとしたが、本発明に係る加工対象部材は、これに限定されるものではない。例えば、加工対象部材は、円筒状をなしている部材や、平板状をなしている部材であるものとしても良い。また、加工対象部材は、略円環状をなしている部材(以下、円環状部材と記す)であるものとしても良い。加工対象部材が円環状部材である場合の表面加工方向については、後述する。
〔第2の実施形態〕
本実施形態の表面加工方法について図6〜図10を用いて説明する。図6は、本実施形態の表面加工方法の加工の対象である円環状部材と、当該円環状部材に形成される凹形状とを示す正面図である。なお、図6において、円環状部材は、その周方向(図に矢印Hで示す)の半分を示しており、円環状部材の表面に形成される凹形状は、その一部のみを示している。図7は、本実施形態の表面加工方法の加工の対象である円環状部材に照射される電子ビームの態様を説明する図であり、円環状部材の周方向に直交する断面を示す断面図である。図8は、本実施形態の表面加工方法により円環状部材に形成される凹形状の変形例を示す図である。図9は、本実施形態の表面加工方法により円環状部材に形成される凹形状の変形例を示す図である。図10は、本実施形態の表面加工方法により凹形状が形成された円環状部材と、鏡面加工された円環状部材との摩擦係数の差異を示すグラフである。
本実施形態においては、加工対象部材が、略円環状をなしている円環状部材であり、且つ電子ビームを照射する向きが上述した円柱状部材と異なる点で、第1の実施形態の表面加工方法と異なっており、以下に詳細を説明する。第1の実施形態の表面加工技術と略共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図6及び図7に示すように、本実施形態の加工対象部材は、略円環状をなしている円環状部材70であり、その軸心すなわち円環形状の中心軸を、図6に点Gで示し、図7に一点鎖線Gで示している。円環状部材70は、その周方向(図6に矢印Hで示す)に直交する断面が、図7に示すように径方向(図に矢印Rで示す)に延びており且つ軸方向(図7に一点鎖線Gで示す)に厚みを有している。円環状部材70は、金属製であり、例えば、軸方向に作用する力を受けるスラスト軸受等に用いられる。円環状部材70の表面72には、表面加工装置10の照射部30(図7参照)から電子ビームが照射される。電子ビームの経路を図7に二点鎖線Jで示す。円環状部材70の表面72のうち電子ビームが1パルス照射された領域には、凹形状74が形成される。なお、本実施形態の表面加工方法においても、加工対象部材である円環状部材70に形成される凹形状74は、湾曲した底面を有する穴である。
「照射領域に凹形状を形成する工程」は、第1の実施形態と同様であり、円環状部材70の表面72のうち、予め設定された照射領域に電子ビームを1パルス照射することにより、1つの凹形状74を形成する。なお、本実施形態においては、円環状部材70の軸心(図7に一点鎖線Gで示す)が通る位置に、電子ビームを照射する照射部30が配置されている。駆動部40(図1参照)は、円環状部材70をその軸心を中心に所定の速度で回転させる。
加えて、照射部30が電子ビームを照射する向きを、図7に矢印K1及び矢印K2に示すように、円環状部材70の径方向に沿って変える。このようにして、本実施形態の表面加工方法の「照射領域を変更する工程」は、円環状部材70の表面72のうち凹形状74が形成された領域とは、異なる領域に、電子ビームの照射領域を変更する。
照射領域を変更した後、再び照射部30から電子ビームを1パルス照射して、前回において凹形状74が形成された領域とは異なる領域に、新たに凹形状を形成する。詳細には、既に凹形状74が形成された領域から、所定の間隔をあけて新たな凹形状を形成する。そして、再び、既に凹形状が形成された領域とは異なる領域に、電子ビームの照射領域を変更する。このように、電子ビームの1パルス照射による「照射領域に凹形状を形成する工程」と、凹形状が形成された照射領域とは異なる領域に「照射領域を変更する工程」とを繰り返し行い、所定の間隔をあけて多数の凹形状を形成することにより、円環状部材70の表面72のうち所望の範囲に凹凸形状が形成される。
なお、図6に示すように、本実施形態において円環状部材70の表面72に形成される凹形状74は、その開口が径方向(図に矢印Rで示す)に長軸が延びる楕円形状に形成されている。このような凹形状74は、図7に示すように、電子ビームを照射する向きを、円環状部材70の径方向に変化させることにより、実現することができる。なお、凹形状74のように、開口が楕円形状をなしている凹形状は、照射部30に対して加工対象部材を相対的に移動させることにより、実現することができる。
また、本実施形態の「照射領域を変更する工程」においては、照射部30が所定の時間間隔で電子ビームをパルス状に照射すると共に、図7に矢印K1及び矢印K2で示すように円環状部材70の径方向(図に矢印Rで示す)に沿って照射部30が電子ビームを照射する向きを往復させる。このとき、一度、凹形状が形成された領域に、再び電子ビームが照射されないよう、制御部50(図1参照)は、照射部30と駆動部40を協調させて制御する。制御部50が、電子ビームが照射される向きと円環状部材70の回転と同期させて制御することにより、円環状部材70の表面72に、規則的なパターンの微細な凹凸形状を効率良く形成することができる。
以上に説明した本実施形態の表面加工方法においては、加工対象部材は、略円環状をなしている円環状部材70であり、「照射領域を変更する工程」は、当該円環状部材70の軸心を中心として当該円環状部材70を回転させることにより、照射領域を変更するものとした。円環状部材70を高速で回転させることにより、円環状部材70の表面72に効率良く微細な凹凸形状を形成することができる。
また、本実施形態において「照射領域を変更する工程」は、円環状部材70を、その軸心を中心として回転させると共に、当該円環状部材70の径方向に沿って電子ビームを照射する向きを変えることにより、照射領域を変更するものとした。円環状部材70が、比較的外径の大きい部材であっても、電子ビームを照射する向きを径方向に沿って変えるだけで、円環状部材70の表面72に効率良く微細な凹凸形状を形成することができる。
なお、上述した実施形態において「照射領域を変更する工程」は、円環状部材70を、その軸心を中心として回転させると共に、円環状部材70の径方向(図に矢印Rで示す)に沿って電子ビームの照射する向きを変えるものとしたが、照射する向きを変える態様は、円環状部材70の径方向に沿うものに限定されるものではない。円環状部材70の径方向に対して所定の角度を付けた方向に、電子ビームを照射する向きを変えるものとしても良い。
また、本実施形態において、円環状部材70の表面72に形成される凹形状74は、径方向(図6に矢印Rで示す)に長軸が延びる楕円形状の開口を有するものとしたが、円環状部材70の表面72に形成される凹形状は、この形状に限定されるものではない。
例えば、図8に示す変形例のように、円環状部材の表面72に形成される凹形状80を、その開口82が径方向に対して所定の角度を付けた方向(図に矢印Mで示す)に長軸が延びる楕円形状となるよう構成するものとしても良い。この凹形状80は、電子ビームを照射する向きを、円環状部材70の径方向に対して所定の角度を付けた方向に変化させることにより実現することができる。
また、図9に示す変形例のように、2種類の凹形状80と凹形状86を、円環状部材の周方向(図に矢印Hで示す)の位置に応じて変えるものとしても良い。図9の変形例において、凹形状80は、その開口82が径方向に対して所定の角度を付けた方向(図に矢印Mで示す)に長軸が延びる楕円形状となるよう構成されており、一方、凹形状86は、その開口88が、径方向に対して、上述した凹形状80とは逆側に所定の角度を付けた方向(図に矢印Nで示す)に長軸が延びる楕円形状となるよう構成されている。これら凹形状80と凹形状86は、電子ビームを照射する向きを、円環状部材70の径方向に対して所定の角度を付けた方向に変化させるだけでなく、凹形状80を形成する場合と凹形状86を形成する場合で、照射部30と円環状部材70との相対的な位置関係を変えることにより実現することができる。
以上に説明した表面加工方法により製作された円環状部材70は、表面72に多数の凹形状が形成されることにより当該表面72に生じる摩擦力を低減させることができる。図10は、上述したような凹形状を、軸心(図6に点Gで示す)に対して放射状に配列した場合、軸心に対して同心円状に配列した場合、凹形状を形成することなく表面72を鏡面状態とした場合(図に「鏡面」と記す)について、所定の部材との間の摩擦係数を示している。図10に示すように、凹形状を放射状に配列した場合、及び凹形状を同心円状に配列した場合は、凹形状を形成することなく鏡面状態とした場合に比べて、摩擦係数が1/100以下に小さくなっている。このように、円環状部材70の表面72に、微細な凹凸形状を形成することにより、凹凸形状を形成しない場合に比べて当該表面に作用する摩擦力を低減することができる。
なお、上述した実施形態において「照射領域に凹形状を形成する工程」は、円環状部材70の表面72に、開口が楕円形状をなしている凹形状を形成するものとしたが、凹形状の開口の形態は、これに限定されるものではない。開口が円形状をなしている凹形状を形成するものとしても良い。
なお、上述した実施形態において、電子ビームの「照射領域を変更する工程」は、円環状部材70を回転させると共に、円環状部材70の径方向に沿って電子ビームを照射する向きを変えるものとしたが、照射する向きを変える態様は、円環状部材の径方向に沿うものに限定されるものではない。円環状部材70の表面72に所望の形状の凹形状を形成することができるよう、電子ビームを照射する向きを変化させれば良い。
〔他の実施形態〕
以上に説明した実施形態の他に、表面加工方法、加工対象部材、加工対象部材の表面に形成する凹形状には、種々の変更が可能である。
上述した実施形態(図4参照)において、凹形状24の断面は、加工対象部材の表面22に対して垂直に延びているものとしたが、本発明の表面加工方法により形成される凹形状は、これに限定されるものではない。例えば、図11に示す変形例のように、凹形状94の断面が、加工対象部材の表面92に対する垂直方向(図に矢印Vで示す)に対して、所定の角度を付けて傾斜した方向(図に矢印Pで示す)に延びているものとしても良い。なお、このような形状は、図に矢印Pで示す「傾斜した方向」に電子ビームを照射することにより実現することができる(図7参照)。このような凹形状94が形成された加工対象部材は、表面92に潤滑油が供給され、他の部材に対して摺動する部材として適しており、特に、図に矢印Qで示す方向に摺動する部材に好適である。
以上に説明した実施形態において、加工対象部材は、略円柱状をなしている円柱状部材や、略円環状をなしている円環状部材であるものしたが、本発明の加工対象部材の形態は、これに限定されるものではない。加工対象部材は、例えば、円筒状をなしている部材や、平板状をなしている部材に対しても、本発明の表面加工技術を適用することができる。
また、上述した実施形態において「照射領域を変更する工程」は、加工対象部材を回転させると共に、電子ビームを照射する向きを変えるものとしたが、本発明の照射領域を変更する態様は、これに限定されるものではない。加工対象部材を回転させることなく、電子ビームを照射する向きを変更することのみにより、照射領域を変更するものとしても良い。
また、上述した実施形態において「照射領域を変更する工程」は、加工対象部材、すなわち円柱状部材及び円環状部材は、所定の回転速度で回転させることにより、照射領域を変更するものとしたが、本発明の加工対象部材を回転させる態様は、これに限定されるものではない。電子ビームを1パルス照射するごとに、加工対象部材を所定の角度だけ回転させることにより、電子ビームの照射領域を変更するものとしても良い。
また、上述した実施形態において「照射領域を変更する工程」は、加工対象部材を回転させることにより照射領域を変更するものとしたが、本発明の照射領域を変更する態様は、これに限定されるものではない。加工対象部材を回転させることなく、電子ビームを照射する向きを変えることのみによって、照射領域を変更するものとしても良い。
また、上述した実施形態において、電子ビームは、所定の時間間隔でパルス状に照射するものとしたが、本発明の電子ビームを照射する態様は、これに限定されるものではない。電子ビームをパルス状に照射して、電子ビームを1パルス照射するにつき、1つの凹形状を形成し、これを多数回繰り返すことにより微細な凹凸形状を表面に形成することができれば良い。
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態はその他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明と均等の範囲に含まれる。
10 表面加工装置
20 円柱状部材(加工対象部材)
22 円柱状部材の表面
24 凹形状
30 照射部
40 駆動部
50 制御部
60 チャンバー
70 円環状部材(加工対象部材)
72 円環状部材の表面
74 凹形状
80 凹形状
82 凹形状の開口
86 凹形状
88 凹形状の開口
92 加工対象部材の表面
94 凹形状

Claims (9)

  1. 加工の対象である加工対象部材の表面のうち、予め設定された照射領域に電子ビームを1パルス照射することにより、当該照射領域に凹形状を形成する工程と、
    当該加工対象部材の表面のうち、凹形状が形成された照射領域とは異なる領域に、照射領域を変更する工程と、
    を含むことを特徴とする表面加工方法。
  2. 前記照射領域に凹形状を形成する工程は、所定の時間間隔で電子ビームを照射するものであり、
    前記照射領域を変更する工程は、加工対象部材を回転させることにより、照射領域を変更する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の表面加工方法。
  3. 前記照射領域を変更する工程は、加工対象部材を所定の回転速度で回転させる、ことを特徴とする請求項2に記載の表面加工方法。
  4. 前記照射領域に凹形状を形成する工程は、前記加工対象部材を回転させる共に、電子ビームの照射する向きを変える、ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の表面加工方法。
  5. 前記加工対象部材は、略円柱状をなしている円柱状部材であり、
    前記照射領域を変更する工程は、当該円柱状部材の軸心を中心として当該円柱状部材を回転させることにより、照射領域を変更する、ことを特徴とする請求項4に記載の表面加工方法。
  6. 前記照射領域を変更する工程は、前記円柱状部材を回転させると共に、当該円柱状部材の軸方向に沿って電子ビームの照射する向きを変えることにより、照射領域を変更する、ことを特徴とする請求項5に記載の表面加工方法。
  7. 前記加工対象部材は、略円環状をなしている円環状部材であり、
    前記照射領域を変更する工程は、当該円環状部材の軸心を中心として当該円環状部材を回転させることにより、照射領域を変更する、ことを特徴とする請求項4に記載の表面加工方法。
  8. 前記照射領域を変更する工程は、前記円環状部材を回転させると共に、当該円環状部材の径方向に沿って電子ビームの照射する向きを変えることにより、照射領域を変更する、ことを特徴とする請求項7に記載の表面加工方法。
  9. 加工の対象である加工対象部材の表面に向けて電子ビームをパルス状に照射する照射部と、
    当該加工対象部材が回転するよう当該加工対象部材を駆動する駆動部と、
    当該加工対象部材の表面のうち予め設定された照射領域に電子ビームを1パルス照射させて当該照射領域に凹形状を形成し、当該加工対象部材の表面のうち当該凹形状が形成された照射領域とは異なる領域に照射領域が変更されるよう、当該照射部と当該駆動部を協調させて制御する制御部と、
    を有することを特徴とする表面加工装置。
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