JP2014138371A - 逐次比較型ad変換器及びその動作方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電源ノイズの影響が軽減された逐次比較型AD変換器を提供する。
【解決手段】逐次比較型AD変換器1は、アナログ入力側キャパシタアレイ2とアナログ入力側セレクタアレイ3と、基準側キャパシタアレイ4と、基準側セレクタアレイ5と、コンパレータ6とを備える。アナログ入力側セレクタアレイ3は、コンパレータから出力される比較結果信号に応答して制御される。当該逐次比較型AD変換器で行われる複数の比較動作のうちの一の比較動作において、アナログ入力側セレクタアレイ3の状態が記憶され、一の比較動作の次の比較動作において、該一の比較動作におけるアナログ入力側セレクタアレイ3の状態に応答して、基準側セレクタアレイ5が制御される。
【選択図】図2

Description

本発明は、逐次比較型AD変換器及びその動作方法に関する。
アナログ・デジタル混載技術は、LSI(large-scale integrated circuit)デバイスにとって付加価値の源泉であり、その重要性が飛躍的に増加している。アナログ・デジタル混載技術において重要な回路の一つが、AD(アナログ−デジタル)変換回路であり、以下に議論される逐次比較型AD変換器は、AD変換回路の一種である。逐次比較型AD変換器は、典型的には、アナログ入力電圧をサンプリングするキャパシタアレイと、コンパレータとを有している。該キャパシタアレイを用いてアナログ入力電圧と基準電位とを逐次に比較することでアナログ入力電圧に対応する値を有するデジタル信号が生成される。逐次比較型AD変換器については、例えば、特開昭64−13818号公報(特許文献1)及び特開2006−311144号公報(特許文献2)に知られている。
アナログ・デジタル混載技術においては、今後益々向上するLSIデバイスの微細化と低電圧化により、ノイズ対策が重要な課題となってきている。特に、逐次比較型AD変換器をデジタル回路と同一チップ上に混載する場合、I/О端子やデジタル回路の動作によって生じる電源ノイズがアナログ−デジタル変換特性に与える影響は大きく、これは重大な問題となり得る。一般に耐ノイズ性を高める周知の手法として、コンパレータ回路が動作する比較タイミングとI/О端子やデジタル回路のクロックタイミングとをずらして対策を図ることが可能である。しかし、デジタル系の回路動作が複雑になり設計規模が大きくなると、比較タイミングとデジタル回路のクロックタイミングの間に最適な位相差を設定する事は難しくなる。従って、逐次比較型AD変換器について、他の手法で電源ノイズの影響を軽減する有効な手段が望まれている。
例えば、アナログ入力をサンプリングするキャパシタアレイとは別に、基準電圧を生成するキャパシタアレイを設けることで、逐次比較型AD変換器の電源ノイズの影響を低減する技術が知られている。アナログ入力をサンプリングするキャパシタアレイと、基準電圧を生成するキャパシタアレイとの間で、各キャパシタの形状やレイアウト配置を対称的にすることにより、インピーダンスを等価にしながらノイズを低減することができる。このような構成の逐次比較型AD変換器は、例えば、特開2000−201077号公報(特許文献3)に開示されている。
特開昭64−13818号公報 特開2006−311144号公報 特開2000−201077号公報
しかしながら、発明者の検討によれば、特許文献3に開示された逐次比較型AD変換器では、電源ノイズに対する対策が十分ではない。従来の逐次比較型AD変換器には、電源ノイズに対する対策が十分ではないという問題がある。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
一実施形態では、逐次比較型AD変換器が、第1及び第2キャパシタアレイと、第1及び第2セレクタ部と、コンパレータと、第1及び第2制御部とを備えている。第1キャパシタアレイは、第1共通ノードに並列に接続された複数のキャパシタを備える。第1セレクタ部は、第1キャパシタアレイの複数のキャパシタのそれぞれを、アナログ入力電圧が入力される第1端子と、所定の基準電位を有する第2端子と、接地電位を有する第3端子のいずれかに接続する機能を有する。第2キャパシタアレイは、第2共通ノードに並列に接続された複数のキャパシタを備える。第2セレクタ部は、第2キャパシタアレイの複数のキャパシタのそれぞれを、基準電位を有する第4端子と、接地電位を有する第5端子のいずれかに接続する機能を有する。第1制御部は、第1セレクタ部をコンパレータから出力される比較結果信号に応答して制御される。第2制御部は、当該逐次比較型AD変換器で行われる複数の比較動作のうちの一の比較動作における第1セレクタ部の状態を記憶し、一の比較動作の次の比較動作において、該一の比較動作における第1セレクタ部の状態に応答して第2セレクタ部を制御する。
上記実施形態によれば、電源ノイズの影響が軽減された逐次比較型AD変換器が提供される。
アナログ入力をサンプリングするキャパシタアレイと、基準電圧を生成するキャパシタアレイとを備える逐次比較型AD変換器の構成の例を示す回路図である。 一実施形態の逐次比較型AD変換器の構成を示す回路図である。 本実施形態における逐次比較型AD変換器の動作を示すタイミングチャートである。 本実施形態の逐次比較型AD変換器の動作における、アナログ入力側キャパシタアレイと、基準側キャパシタアレイの接続の切り替えの一例を示す表である。 本実施形態の変形例における逐次比較型AD変換器の動作を示すタイミングチャートである。 本実施形態の変形例における、アナログ入力側キャパシタアレイと、基準側キャパシタアレイの接続の切り替えの一例を示す表である。
本実施形態の逐次比較型AD変換器の技術的意義の理解を容易にするために、まず、アナログ入力をサンプリングするキャパシタアレイと、基準電圧を生成するキャパシタアレイとを備える逐次比較型AD変換器について説明する。図1は、このような構成の逐次比較型AD変換器の構成の例を示す図である。なお、図1の構成の逐次比較型AD変換器は、特開2000−201077号公報に開示されている。
図1の逐次比較型AD変換器101は、アナログ入力側キャパシタアレイ102と、アナログ入力側セレクタアレイ103と、基準側キャパシタアレイ104と、基準側セレクタアレイ105と、コンパレータ106と、逐次比較制御回路107と、バイアス電源109とを備えている。
アナログ入力側キャパシタアレイ102は、共通ノード111に並列に接続されている複数のキャパシタ102−1〜102−6を備えている。キャパシタ102−1〜102−6の容量は、4ビットが表現できるように重みづけされている。詳細には、キャパシタ102−1、102−2の容量はCであり、キャパシタ102−3の容量は2Cである。また、キャパシタ102−4の容量は4Cであり、キャパシタ102−5、102−6の容量は8Cである。キャパシタ102−1〜102−5は、アナログ入力側セレクタアレイ103に接続されている一方、キャパシタ102−6は、(アナログ入力側セレクタアレイ103を介さずに)直接に接地端子117に接続されている。ここで、接地端子117は、接地電位GNDに固定されている端子である。
アナログ入力側セレクタアレイ103は、セレクタ103−1〜103−5を備えており、逐次比較制御回路107から送られるセレクタ制御信号SSWに応答して、キャパシタ102−1〜102−5とアナログ入力端子115、基準電源端子116及び接地端子117の間の接続関係を切り替える。ここで、アナログ入力端子115は、アナログ−デジタル変換を行うべきアナログ入力電圧VAINが入力される端子であり、基準電源端子116は、所定の基準電位Vに固定されている端子である
基準側キャパシタアレイ104は、共通ノード111に並列に接続されている複数のキャパシタ104−1〜104−6を備えている。キャパシタ104−1〜104−6の容量も、キャパシタ102−1〜102−6と同様に、4ビットのデータが表現できるように重みづけされている。詳細には、キャパシタ104−1、104−2の容量はCであり、キャパシタ104−3の容量は2Cである。また、キャパシタ104−4の容量は4Cであり、キャパシタ104−5、104−6の容量は8Cである。キャパシタ104−1〜104−5は、基準側セレクタアレイ105に接続されている一方、キャパシタ104−6は、(基準側セレクタアレイ105を介さずに)接地端子119に直接に接続されている。
基準側セレクタアレイ105は、セレクタ105−1〜105−5を備えている。セレクタ105−1〜105−5は、それぞれ、逐次比較制御回路107から送られるセレクタ制御信号SSWに応答して動作し、キャパシタ104−1〜104−5を接地端子119に接続する。ここで、セレクタ105−1〜105−5の状態に関わらず、キャパシタ104−1〜104−5の接続先が接地端子119に限定されることに留意されたい。
コンパレータ106は、アナログ入力側キャパシタアレイ102に接続された共通ノード111の電位VCM1と、基準側キャパシタアレイ104に接続された共通ノード112の電位VCM2とを比較し、電位VCM1、VCM2の比較の結果を示す比較結果信号SCMPを出力する。
逐次比較制御回路107は、比較結果信号SCMPに応答して、アナログ入力側セレクタアレイ103及び基準側セレクタアレイ105の状態を制御するセレクタ制御信号SSWを生成する。後述されるように、コンパレータ106による比較は複数回行われ、比較結果信号SCMPに示されている第i回の比較における比較結果に応じて第i+1回の比較におけるアナログ入力側セレクタアレイ103及び基準側セレクタアレイ105の状態が制御される。加えて、逐次比較制御回路107は、比較結果信号SCMPに示されている各比較の結果から、アナログ入力電圧VAINに対応するデジタル出力SOUTを生成する。
バイアス電源109は、アナログ入力電圧VAINのサンプリングの際に共通ノード111、112に設定される中間電位Vを生成する。バイアス電源109の出力と共通ノード111、112の間には、それぞれ、スイッチ113、114が設けられており、アナログ入力電圧VAINのサンプリングの際には、スイッチ113、114がオンされる。これにより、共通ノード111、112が中間電位Vに設定される。
図1の逐次比較型AD変換器101のAD変換動作は、概略的には下記の通りである。まず、サンプリングモードでは、スイッチ113、114がオン状態に設定され、アナログ入力側キャパシタアレイ102に接続された共通ノード111と、基準側キャパシタアレイ104に接続された共通ノード112とが、バイアス電源109から出力される中間電位Vに設定される。更に、アナログ入力側キャパシタアレイ102のキャパシタ102−1〜102−5は、セレクタ103−1〜103−5によってアナログ入力端子115に接続され、基準側キャパシタアレイ104のキャパシタ104−1〜104−5は、セレクタ105−1〜105−5により、接地端子119に接続される。
次に、比較モードに移ると、スイッチ113、114はオフ状態に設定される。更に、比較モードでは、アナログ入力側セレクタアレイ103及び基準側セレクタアレイ105を設定する動作と、共通ノード111の電位VCM1と共通ノード112の電位VCM2とを比較する動作とが繰り返して行われる。
1回目の比較では、アナログ入力側キャパシタアレイ102のキャパシタ102−1〜102−4がセレクタ103−1〜103−4によって接地端子117に接続され、キャパシタ102−5がセレクタ103−5によって基準電源端子116に接続される。一方、基準側キャパシタアレイ104のキャパシタ104−1〜104−5は、セレクタ105−1〜105−5により、接地端子119に接続される。
コンパレータ106は、共通ノード111の電位VCM1と共通ノード112の電位VCM2とを比較して、比較の結果を示す比較結果信号SCMPを出力する。
逐次比較制御回路107は、上記コンパレータ6の出力によって変換結果のデジタル出力SOUTの最上位ビットの値を決める。更に、逐次比較制御回路107は、次の位のビットに対応する比較動作を行うためのセレクタ制御信号SSWをアナログ入力側セレクタアレイ103に供給し、セレクタ103−1〜103−6を設定する。
このように、セレクタ制御信号SSWによってセレクタ103−1〜103−6を設定する動作と、コンパレータ106から出力される比較結果信号SCMPによって当該ビットの値を決定するという動作を所定回数(図1の回路では4回)繰り返すことによって、アナログ入力電圧VAINに対応するデジタル出力SOUTが得られる。
図1に図示されている逐次比較型AD変換器101では、基準側キャパシタアレイとアナログ入力側キャパシタアレイの双方の各キャパシタの形状やレイアウト配置をシンメトリックな構成にすることにより、インピーダンスを等価にして電源ノイズに対する感度を下げることができる。
しかしながら、発明者の検討によれば、図1に図示されている逐次比較型AD変換器101は、電源ノイズに対する対策が十分ではない。より具体的には、図1の逐次比較型AD変換器101は、複数回行われる比較処理の過程において、アナログ入力側キャパシタアレイ102を構成する各キャパシタの接続状態と、基準側キャパシタアレイ104を構成する各キャパシタの接続状態とが異なる。これは、基準側キャパシタアレイ104を構成するキャパシタの全てが接地端子119に接続されるのに対して、アナログ入力側キャパシタアレイ102を構成するキャパシタは、アナログ入力電圧VAINの電圧レベルに応じて、個別に、基準電源端子116又は接地端子117に選択的に接続されるためである。特に、アナログ入力側キャパシタアレイ102では、アナログ入力電圧VAINの電圧レベルが高くなるほど、基準電源端子116に接続されるキャパシタの数が増加することに留意されたい。
アナログ入力側キャパシタアレイ102に接続される共通ノード111と基準側キャパシタアレイ104に接続される共通ノード112とは、コンパレータ106の差動入力に接続されている一方で、基準電源端子116に重畳する電源ノイズと接地端子117、119に重畳する電源ノイズとは、一般に、振幅及び位相が異なる。これは、逐次比較型AD変換器101の直線性特性を悪化させる。このように、図1の逐次比較型AD変換器101は、電源ノイズに対する対策が十分ではないという問題がある。以下に述べられる実施形態では、このような問題を軽減するための逐次比較型AD変換器の構成及び動作が提示される。
第1の実施形態:
図2は、第1の実施形態の逐次比較型AD変換器1の構成を示す回路である。本実施形態の逐次比較型AD変換器1は、アナログ入力電圧VAINを4ビットのデジタル出力SOUTに変換する構成を有している。詳細には、逐次比較型AD変換器1は、アナログ入力側キャパシタアレイ2と、アナログ入力側セレクタアレイ3と、基準側キャパシタアレイ4と、基準側セレクタアレイ5と、コンパレータ6と、逐次比較制御回路7と、基準側キャパシタアレイ制御回路8と、バイアス電源9と、共通ノード11、12と、電位固定スイッチ13、14とを備えている。
アナログ入力側キャパシタアレイ2は、共通ノード11に並列に接続されている複数のキャパシタ2−1〜2−6を備えている。キャパシタ2−1〜2−6の容量は、4ビットのデータが表現できるように重みづけされている。詳細には、キャパシタ2−1、2−2の容量はCであり、キャパシタ2−3の容量は2Cである。また、キャパシタ2−4の容量は4Cであり、キャパシタ2−5、2−6の容量は8Cである。キャパシタ2−1〜2−5は、アナログ入力側セレクタアレイ3に接続されている一方、キャパシタ2−6は、(アナログ入力側セレクタアレイ3を介さずに)直接に接地端子17に接続されている。ここで、接地端子17は、接地電位GNDに固定されている端子である。
アナログ入力側セレクタアレイ3は、逐次比較制御回路7から送られるセレクタ制御信号SSW1に応答して、キャパシタ2−1〜2−5とアナログ入力端子15、基準電源端子16及び接地端子17の間の接続関係を切り替える第1のセレクタ部として機能する。ここで、アナログ入力端子15は、アナログ−デジタル変換を行うべきアナログ入力電圧VAINが入力される端子であり、基準電源端子16は、接地電位GNDよりも高い所定の基準電位Vに固定されている端子である。
詳細には、アナログ入力側セレクタアレイ3は、セレクタ3−1〜3−5を備えている。セレクタ3−1は、キャパシタ2−1の(共通ノード11に接続されていない)端子を、アナログ入力端子15、基準電源端子16及び接地端子17のいずれかに接続する機能を有している。言い換えれば、セレクタ3−1は、キャパシタ2−1に印加される電圧を、アナログ入力電圧VAIN、基準電位V、接地電位GNDのいずれかから選択する機能を有している。同様に、セレクタ3−2〜3−5は、それぞれ、キャパシタ2−2〜2−5の(共通ノード11に接続されていない)端子を、アナログ入力端子15、基準電源端子16及び接地端子17のいずれかに接続する機能を有している。
基準側キャパシタアレイ4は、上記のアナログ入力側キャパシタアレイ2に対応する構成を有しており、共通ノード12に並列に接続されている複数のキャパシタ4−1〜4−6を備えている。ここで、基準側キャパシタアレイ4のキャパシタ4−1〜4−6は、それぞれ、アナログ入力側キャパシタアレイ2のキャパシタ2−1〜2−6に対応するキャパシタである。キャパシタ4−1〜4−6は、それぞれ、対応するキャパシタ2−1〜2−6と同一の容量を有している。詳細には、キャパシタ4−1、4−2の容量はCであり、キャパシタ4−3の容量は2Cである。また、キャパシタ4−4の容量は4Cであり、キャパシタ4−5、4−6の容量は8Cである。キャパシタ4−1〜4−5は、基準側セレクタアレイ5に接続されている一方、キャパシタ4−6は、(基準側セレクタアレイ5を介さずに)接地端子19に直接に接続されている。
上述されたアナログ入力側セレクタアレイ3の各キャパシタと基準側キャパシタアレイ4の各キャパシタの容量の相対誤差を小さくするためには、アナログ入力側セレクタアレイ3の各キャパシタと基準側キャパシタアレイ4の各キャパシタのレイアウトや配置が、互いにシンメトリックであることが望ましい。
基準側セレクタアレイ5は、上記のアナログ入力側セレクタアレイ3に対応する構成を有しており、基準側キャパシタアレイ制御回路8から送られるセレクタ制御信号SSW2に応答して、キャパシタ4−1〜4−5と、基準電源端子18及び接地端子19の間の接続関係を切り替える第2のセレクタ部として機能する。基準電源端子18は、上記の基準電位Vに固定されている端子である。基準側セレクタアレイ5は、セレクタ5−1〜5−5を備えている。ここで、基準側セレクタアレイ5のセレクタ5−1〜5−5は、それぞれ、アナログ入力側セレクタアレイ3のセレクタ3−1〜3−5に対応するセレクタである。ここで、詳細には、セレクタ5−1は、キャパシタ4−1の(共通ノード12に接続されていない)端子を、基準電源端子18及び接地端子19のいずれかに接続する機能を有している。言い換えれば、セレクタ5−1は、キャパシタ4−1に印加される電圧を、基準電位V又は接地電位GNDのいずれかから選択する機能を有している。同様に、セレクタ5−2〜5−5は、それぞれ、キャパシタ4−2〜4−5の(共通ノード11に接続されていない)端子を、基準電源端子18又は接地端子19に接続する機能を有している。ここで、図1の回路構成とは異なり、基準側キャパシタアレイ4のキャパシタ4−1〜4−5が、接地端子19のみならず、基準電源端子18にも接続可能であることに留意されたい。
コンパレータ6は、アナログ入力側キャパシタアレイ2に接続された共通ノード11の電位VCM1と、基準側キャパシタアレイ4に接続された共通ノード12の電位VCM2とを比較し、電位VCM1、VCM2の比較の結果を示す比較結果信号SCMPを出力する。
電位固定スイッチ13は、アナログ入力側キャパシタアレイ2が接続された共通ノード11と、バイアス電源9の出力の間に接続されている。電位固定スイッチ13は、アナログ入力電圧VAINをサンプリングする際にオン状態にされ、バイアス電源9の出力が共通ノード11に接続される。これにより、アナログ入力電圧VAINをサンプリングする際に共通ノード11が中間電位Vに固定される。電位固定スイッチ13は、逐次比較制御回路7から供給される電位固定信号SBIAS1によって制御される。
同様に、電位固定スイッチ14は、基準側キャパシタアレイ4が接続された共通ノード12と、バイアス電源9の出力の間に接続されている。電位固定スイッチ14がオン状態になると、バイアス電源9の出力が共通ノード12に接続され、共通ノード12が中間電位Vに固定される。電位固定スイッチ14は、基準側キャパシタアレイ制御回路8から供給される電位固定信号SBIAS2によって制御される。
逐次比較制御回路7は、比較結果信号SCMPに応答して、アナログ入力側セレクタアレイ3を制御するセレクタ制御信号SSW1を生成する制御部として機能する。後述されるように、コンパレータ6による比較は複数回行われ、比較結果信号SCMPに示されている第i回の比較における比較結果に応じて第i+1回の比較におけるアナログ入力側セレクタアレイ3の状態が制御される。加えて、逐次比較制御回路7は、電位固定スイッチ13を制御する電位固定信号SBIAS1を生成する。更に、逐次比較制御回路7は、各比較において比較結果信号SCMPに現れる比較結果を記憶するレジスタ7aを備えており、レジスタ7aに記憶された比較結果に基づいて、アナログ入力電圧VAINに対応するデジタル出力SOUTを生成する。
逐次比較制御回路7の動作タイミングは、クロック信号ADCLKと、サンプリング許可信号ADS1と、比較許可信号ADCMPとによって制御される。ここで、クロック信号ADCLK、サンプリング許可信号ADS1と、比較許可信号ADCMPは、いずれも、逐次比較型AD変換器1を搭載する集積回路に含まれる演算回路(例えば、CPU(central processing unit))から出力される制御信号である。サンプリング許可信号ADS1は、アナログ入力電圧VAINのサンプリングを許可する信号であり、比較許可信号ADCMPは、比較動作を許可する信号である。比較許可信号ADCMPによって比較動作が許可されると、逐次比較制御回路7は、コンパレータ6から出力される比較結果信号SCMPを取り込む。
基準側キャパシタアレイ制御回路8は、基準側セレクタアレイ5を制御するセレクタ制御信号SSW2を生成する制御部として機能する。後述されるように、基準側キャパシタアレイ制御回路8は、第i回の比較動作におけるアナログ入力側セレクタアレイ3の状態(即ち、セレクタ3−1〜3−5の状態)を記憶し、第i+1回の比較動作において、第i回の比較動作におけるアナログ入力側セレクタアレイ3の状態を基準側セレクタアレイ5において再現するようにセレクタ制御信号SSW2を生成する。加えて、基準側キャパシタアレイ制御回路8は、電位固定スイッチ14を制御する電位固定信号SBIAS2を生成する。基準側キャパシタアレイ制御回路8の動作タイミングは、クロック信号ADCLKと、サンプリング許可信号ADS1と、比較許可信号ADCMPとによって制御される。
より詳細には、基準側キャパシタアレイ制御回路8は、基準側逐次比較レジスタ21と、論理回路22と、基準側固定電位制御回路23とを備えている。基準側逐次比較レジスタ21は、逐次比較制御回路7から出力されたセレクタ制御信号SSW1に応答して、基準側セレクタアレイ5を制御するセレクタ制御信号SSW2を生成する機能を有している。本実施形態では、基準側逐次比較レジスタ21は、第i回の比較動作においてアナログ入力側セレクタアレイ3の設定に用いられたセレクタ制御信号SSW1の値を取り込み、取り込んだ値を、第i+1回の比較動作において基準側セレクタアレイ5の設定に用いられるセレクタ制御信号SSW2として出力する。このような動作は、第i回の比較動作におけるアナログ入力側セレクタアレイ3の各セレクタの状態を、第i+1回の比較動作において、基準側セレクタアレイ5において再現する動作を、最も簡便に実現することができる。基準側逐次比較レジスタ21は、論理回路22から供給されるタイミング信号STRGに応答してセレクタ制御信号SSW1の値を取り込む。
論理回路22は、クロック信号ADCLKと、サンプリング許可信号ADS1と、比較許可信号ADCMPとから、基準側逐次比較レジスタ21がセレクタ制御信号SSW1の値を取り込むタイミングを指定するタイミング信号STRGを生成する。
基準側固定電位制御回路23は、共通ノード12とバイアス電源9の出力の間に接続された電位固定スイッチ14を制御する電位固定信号SBIAS2を生成する。基準側固定電位制御回路23の動作タイミングは、クロック信号ADCLK、サンプリング許可信号ADS1、及び、比較許可信号ADCMPによって制御される。即ち、電位固定スイッチ14がオン状態にされるタイミングは、クロック信号ADCLK、サンプリング許可信号ADS1、及び、比較許可信号ADCMPによって制御される。
バイアス電源9は中間電位Vを生成する電源回路である。上述のように、バイアス電源9の出力は、電位固定スイッチ13を介して共通ノード11に接続されており、電位固定スイッチ14を介して共通ノード12に接続されている。
続いて、本実施形態の逐次比較型AD変換器1の動作の概要について説明する。本実施形態の逐次比較型AD変換器1の動作においては、一般的な逐次比較型AD変換器と同様に、複数回の比較動作が行われる。図2に図示されている逐次比較型AD変換器1の構成では、比較動作が4回行われる。
ここで、本実施形態の逐次比較型AD変換器1では、j回目(j=2、3、4)の比較動作の際において、基準側セレクタアレイ5のセレクタ5−1〜5−5の選択状態が、それぞれ、その直前の比較動作(j−1回目の比較動作)のアナログ入力側セレクタアレイ3のセレクタ3−1〜3−5の選択状態と等価になるように設定される。ここで、セレクタ5−iの選択状態がセレクタ3−iの選択状態と「等価」であるとは、セレクタ3−iによって選択されている電位(基準電位V又は接地電位GND)と同一の電位を、セレクタ5−iが選択している状態をいう。言い換えれば、セレクタ5−iがキャパシタ4−iを基準電源端子18に接続している選択状態は、セレクタ3−iがキャパシタ2−iを基準電源端子16に接続している選択状態と等価である。また、セレクタ5−iがキャパシタ4−iを基準電源端子18に接続している選択状態は、セレクタ3−iがキャパシタ2−iを基準電源端子16に接続している選択状態と等価である。
このような動作によれば、基準電位V(基準電源端子16、18の電位)と接地電位GND(接地端子17、19の電位)に重畳する電源ノイズの振幅及び位相が異なる場合でも、アナログ入力側キャパシタアレイ2の共通ノード11と基準側キャパシタアレイ4の共通ノード12の重畳するノイズの振幅差及び位相差を小さくすることができる。詳細には、上記の動作によれば、j回目の比較動作の際の基準側キャパシタアレイ4の各キャパシタ4−1〜4−5の電気的接続が、j−1回目の比較動作の際のアナログ入力側キャパシタアレイ2の各キャパシタ2−1〜2−5の電気的接続と等価になる。言い換えれば、j−1回目の比較動作の際のアナログ入力側キャパシタアレイ2の各キャパシタ2−1〜2−5の電気的状態が、j回目の比較動作の際の基準側キャパシタアレイ4の各キャパシタ4−1〜4−5の電気的状態として再現される。
例えば、j−1回目の比較動作の際、アナログ入力側キャパシタアレイ2のキャパシタ2−1〜2−3が、セレクタ3−1〜3−3によって接地端子17に接続され、キャパシタ2−4、2−5が、セレクタ3−4、3−5によって基準電源端子16に接続されている場合を考える。この場合、j回目の比較動作の際に、(アナログ入力側キャパシタアレイ2のキャパシタ2−1〜2−3に対応する)キャパシタ4−1〜4−3は、セレクタ5−1〜5−3によって接地端子19に接続され、(キャパシタ2−4、2−5に対応する)キャパシタ4−4、4−5は、セレクタ5−4、5−5によって基準電源端子18に接続される。
このような動作によれば、j回目の比較動作の際において、アナログ入力側キャパシタアレイ2のキャパシタ2−1〜2−5の電気的な接続状態と、基準側キャパシタアレイ4のキャパシタ4−1〜4−5の電気的な接続状態との差異が(必ずしも同一にはならないものの)小さくなる。よって、基準電位V(基準電源端子16、18の電位)と接地電位GND(接地端子17、19の電位)に重畳する電源ノイズの振幅及び位相が異なる場合でも、アナログ入力側キャパシタアレイ2の共通ノード11と基準側キャパシタアレイ4の共通ノード12の重畳するノイズの振幅差及び位相差を小さくすることができる。
例えば、図1の構成では、比較動作時において、基準側キャパシタアレイ4のキャパシタ4−1〜4−5が、全て接地端子119に接続される一方で、アナログ入力側キャパシタアレイ2のキャパシタ2−1〜2−5の少なくとも一つが基準電源端子116に接続される。場合によっては、4つのキャパシタ(キャパシタ2−2〜2−5)が、基準電源端子116に接続される場合もある。このため、基準電位V(基準電源端子16、18の電位)と接地電位GND(接地端子17、19の電位)に重畳する電源ノイズの振幅及び位相が異なると、電源ノイズの影響が大きくなる。
一方、本実施形態では、基準側キャパシタアレイ4のキャパシタ4−1〜4−5の電気的な接続状態は、少なくとも、基準側キャパシタアレイ4のキャパシタ4−1〜4−5が全て接地端子119に接続される状態と比較すれば、アナログ入力側キャパシタアレイ2のキャパシタ2−1〜2−5の電気的な接続状態に類似することになる。よって、基準電位Vと接地電位GNDに重畳する電源ノイズの影響を軽減することができる。
以下では、本実施形態の逐次比較型AD変換器1の動作の例について具体的に説明する。
図3は、本実施形態における逐次比較型AD変換器1によるAD変換動作を示すタイミングチャートであり、図4は、AD変換動作におけるアナログ入力側セレクタアレイ3、及び、基準側セレクタアレイ5の状態の変化の例を示す表である。以下の説明においては、初期状態では、基準側キャパシタアレイ4のキャパシタ4−1〜4−5の全てが、基準側セレクタアレイ5のセレクタ5−1〜5−5により、接地端子19に接続されているものとする。
期間T1:
期間T1においては、アナログ入力電圧VAINをアナログ入力側キャパシタアレイ2にサンプリングする動作が行われる。具体的には、逐次比較制御回路7から出力される電位固定信号SBIAS1がアサートされ(本実施形態では“High”にされ)、電位固定スイッチ13がオン状態に設定される。これにより、アナログ入力側キャパシタアレイ2に接続されている共通ノード11が中間電位Vに固定される。また、アナログ入力側キャパシタアレイ2に接続されているセレクタ3−1〜3−5によってキャパシタ2−1〜2−5がアナログ入力端子15に接続され、アナログ入力電圧VAINがキャパシタ2−1〜2−5に印加される。この結果、キャパシタ2−1〜2−5には電圧(VAIN−V)が印加され、キャパシタ2−6には電圧(−V)が印加される。なお、以下の説明においては、キャパシタ2−1〜2−6に印加される電圧は、共通ノード11を基準として定義される。したがって、サンプリング動作によってアナログ入力側キャパシタアレイ2に全体として蓄積される電荷Q11は、
11=16C×(VAIN−V)−8C×V ・・・(1)
と表わされる。
加えて、基準側固定電位制御回路23から出力される電位固定信号SBIAS2がアサートされて(本実施形態では“High”にされ)、電位固定スイッチ14がオン状態に設定される。これにより、基準側キャパシタアレイ4に接続されている共通ノード12が中間電位Vに固定される。また、基準側キャパシタアレイ4のキャパシタ4−1〜4−5が接地端子19に接続されているので、結果として、キャパシタ4−1〜4−6には電圧(−V)が印加されることになる。なお、以下の説明においては、キャパシタ4−1〜4−6に印加される電圧は、共通ノード12を基準として定義される。したがって、サンプリング動作によって基準側キャパシタアレイ4に全体として蓄積される電荷Qは、
12=−24C×V ・・・(2)
と表わされる。
期間T2:
期間T2では、アナログ入力電圧VAINのサンプリングを完了させるための動作が行われる。詳細には、逐次比較制御回路7から出力される電位固定信号SBIAS1がネゲートされ(本実施形態では“Low”レベルにされ)、電位固定スイッチ13がオフ状態にされる。加えて、アナログ入力側キャパシタアレイ2に接続されているセレクタ3−1〜3−5が接地端子17に接続され、アナログ入力電圧VAINのアナログ入力側キャパシタアレイ2へのサンプリングが完了する。
このとき、基準側固定電位制御回路23から出力される電位固定信号SBIAS2がネゲートされ(本実施形態では“Low”レベルにされ)、電位固定スイッチ14がオフ状態にされる。これにより、バイアス電源9が生成する中間電位Vの基準側キャパシタアレイ4へのサンプリングが完了する。
期間T3:
期間T3では、コンパレータ6による1回目の比較動作が行われる。詳細には、逐次比較制御回路7から出力されるセレクタ制御信号SSW1によって、アナログ入力側セレクタアレイ3のセレクタ3−1〜3−5が、1回目の比較動作に対応した選択状態に設定される。詳細には、セレクタ3−1〜3−4が、アナログ入力側キャパシタアレイ2のキャパシタ2−1〜2−4が接地端子17に接続されるように設定され、セレクタ3−5が、キャパシタ2−5が基準電源端子16に接続されるように設定される。一方、基準側セレクタアレイ5のセレクタ5−1〜5−5は、そのままの状態(即ち、キャパシタ4−1〜4−5のすべてを接地端子19に接続する状態)に維持される。
図4の表の最上行には、1回目の比較動作における、アナログ入力側セレクタアレイ3のセレクタ3−1〜3−5及び基準側セレクタアレイ5のセレクタ5−1〜5−5の状態が図示されている。ここで、図4の表の「アナログ入力側」の欄において、“GND”は、各セレクタ3−iに対応するキャパシタ2−iが、接地端子17に接続されることを示しており、“V”は、各セレクタ3−iに対応するキャパシタ2−iが、基準電源端子16(基準電位Vに固定された端子)に接続されることを示している。一方、「基準側」の欄において、“GND”は、各セレクタ5−iに対応するキャパシタ3−iが、接地端子19に接続されることを示しており、“V”は、各セレクタ5−iに対応するキャパシタ3−iが、基準電源端子18(基準電位Vに固定された端子)に接続されることを示している。
セレクタ3−1〜3−5の設定の後では、キャパシタ2−1〜2−4には、電圧(−VCM1)が印加され、キャパシタ2−5には電圧(V−VCM1)が印加される。よって、アナログ入力側キャパシタアレイ2に蓄積される電荷Q13は、下記式(3)で表わされる。
13=8C×(V−VCM1)−16C×VCM1 ・・・(3)
ここで、Vは、基準電源端子16の電位であり、VCM1は、共通ノード11の電位である。
また、キャパシタ3−1〜3−5には、電圧(−VCM2)が印加されることになるから、基準側キャパシタアレイ4に蓄えられる合計の電荷量Q14は、下記式(4)で表わされる。
14=24C×(−VCM2) ・・・(4)
ここで、VCM2は、共通ノード12の電位である。
ここで、電荷保存側により、
11=Q13 ・・・(5)
14=Q14 ・・・(6)
が成立する。式(5)、(6)式に式(1)〜(4)を代入すると、共通ノード11の電位VCM1と共通ノード12の電位VCM2を表わす下記式(7)、(8)が得られる:
CM1=2/3×(1/2×V−VAIN)+V・・・(7)
CM2=V ・・・(8)
セレクタ3−1〜3−5の切り換えの後、コンパレータ6は、共通ノード11の電位VCM1と共通ノード12の電位VCM2とを比較して、比較結果信号SCMPを比較の結果に対応する値に設定する。ここで、共通ノード11の電位VCM1、共通ノード12の電位VCM2は、上記式(7)、(8)で表わされるから、1回目の比較動作における電位VCM1、VCM2の比較は、アナログ入力電圧VAINと1/2×Vの比較と等価である。即ち、電位VCM1が電位VCM2よりも低い場合、アナログ入力電圧VAINが1/2×Vよりも高いことを意味しており、電位VCM1が電位VCM2よりも高い場合、アナログ入力電圧VAINが1/2×Vよりも低いことを意味している。比較結果信号SCMPに示されている比較結果は、逐次比較制御回路7のレジスタ7aにAD変換結果の最上位ビットの値として格納される。図4の例では、デジタル入力電圧VAINが1/2×Vよりも高い場合について動作が図示されており、比較結果信号SCMPが“1”に設定され、データ“1”が、レジスタ7aの最上位ビットの値として格納される(なお、図4は、動作の一例を示す図であり、比較結果は、図4の例に限定されないことに留意されたい)。
更に、1回目の比較動作が行われたときのセレクタ制御信号SSW1の値が、セレクタ3−1〜3−5の状態を表すデータ(即ち、キャパシタ2−1〜2−5の接続先を示すデータ)として、基準側キャパシタアレイ制御回路8の基準側逐次比較レジスタ21に格納される。
期間T3に続く期間T4〜T6は、2回目の比較動作のための準備が行われる期間である。以下では、期間T4〜T6の動作について説明する。
期間T4:
期間T4では、基準側逐次比較レジスタ21から出力されるセレクタ制御信号SSW2に応答して、基準側セレクタアレイ5のセレクタ5−1〜5−5の状態が設定される。このとき、セレクタ制御信号SSW2は、1回目の比較動作が行われたときのセレクタ3−1〜3−5の選択状態(セレクタ3−1、3−2、3−3、3−4が接地端子17を選択し、セレクタ3−5が基準電源端子16を選択している状態)を示しており、結果として、セレクタ5−1〜5−5の選択状態は、1回目の比較動作におけるセレクタ3−1〜3−5の選択状態と「等価」であるように設定される。
図4の例では、1回目の比較動作において、アナログ入力側セレクタアレイ3のセレクタ3−1〜3−4の選択状態は、キャパシタ2−1〜2−4を接地端子17に接続している状態であり、セレクタ3−5の選択状態は、キャパシタ2−5を基準電源端子16に接続している状態である。そこで、期間T4においては、セレクタ制御信号SSW2に応答して、基準側セレクタアレイ5のセレクタ5−1〜5−5の選択状態が、1回目の比較動作におけるアナログ入力側セレクタアレイ3のセレクタ3−1〜3−5の選択状態と等価になるように設定される。即ち、セレクタ5−1〜5−4は、キャパシタ4−1〜4−4を接地端子19に接続するように設定され、セレクタ5−5は、キャパシタ4−5を基準電源端子18に接続するように設定される。
期間T5:
期間T5においては、基準側キャパシタアレイ4に、バイアス電源9が生成する中間電位Vがサンプリングされる。上記のように、期間T4においては、基準側セレクタアレイ5のセレクタ5−1〜5−5の選択状態が切り換えられる、即ち、基準側キャパシタアレイ4のキャパシタ4−1〜4−5の接続先が切り換えられる。このため、基準側キャパシタアレイ4の共通ノード12の電位VCM2は、中間電位Vから変化してしまう。電位VCM2が中間電位Vからずれてしまうと、正常な比較動作ができなくなる。
そこで、期間T5においては、基準側キャパシタアレイ4に、バイアス電源9が生成する中間電位Vをサンプリングすることで、共通ノード12の電位VCM2が中間電位Vに戻される。具体的には、基準側固定電位制御回路23から出力される電位固定信号SBIAS2がアサートされ(本実施形態では“High”レベルにされ)、電位固定スイッチ14がオン状態にされる。これにより、共通ノード12がバイアス電源9が生成する中間電位Vに設定され、基準側キャパシタアレイ4に、中間電位Vがサンプリングされる。
共通ノード12が中間電位Vに設定されることにより、キャパシタ4−1〜4−4、4−6には電圧(−V)が印加され、キャパシタ4−5には電圧(V−V)が印加されることになる。よって、基準側キャパシタアレイ4には、下記の電荷Q22が蓄積されることになる。
22=8C×(V−V)−16C×V ・・・(9)
期間T6:
期間T6においては、基準側キャパシタアレイ4に中間電位Vをサンプリングする動作を終了するための動作が行われる。詳細には、基準側固定電位制御回路23から出力される電位固定信号SBIAS2がネゲートされ(本実施形態では“Low”レベルにされ)、電位固定スイッチ14がオフ状態に設定される。これにより、共通ノード12がバイアス電源9の出力から分離され、中間電位Vをサンプリングする動作が終了する。
期間T7:
期間T7においては、コンパレータ6による2回目の比較動作が行われる。詳細には、まず、逐次比較制御回路7から出力されるセレクタ制御信号SSW1によって、アナログ入力側セレクタアレイ3のセレクタ3−1〜3−5が、2回目の比較動作に対応した選択状態に設定される。詳細には、セレクタ3−1〜3−3が、アナログ入力側キャパシタアレイ2のキャパシタ2−1〜2−3が接地端子17に接続されるように設定され、セレクタ3−4が、キャパシタ2−4が基準電源端子16に接続されるように設定される。
ここで、2回目の比較動作におけるセレクタ3−5の選択状態は、1回目の比較動作における比較結果に応じて決定される。1回目の比較動作において、電位VCM1が電位VCM2よりも低いという比較結果が得られた場合、即ち、アナログ入力電圧VAINが電圧1/2×Vよりも高いという比較結果が得られた場合、2回目の比較動作において、セレクタ3−5は、キャパシタ2−5を基準電源端子16に接続する選択状態に設定される。そうでないばあい、セレクタ3−5は、キャパシタ2−5を接地端子17に接続する選択状態に設定される。図4は、1回目の比較動作においてアナログ入力電圧VAINが電圧1/2×Vよりも高いという比較結果が得られた場合について図示している。以下では、主として、1回目の比較動作においてアナログ入力電圧VAINが電圧1/2×Vよりも高いという比較結果が得られた場合について説明する。
セレクタ3−1〜3−5の設定が完了した後では、キャパシタ2−1〜2−3には、電圧(−VCM1)が印加され、キャパシタ2−4、2−5には電圧(V−VCM1)が印加される。よって、2回目の比較動作において、アナログ入力側キャパシタアレイ2に蓄積される電荷Q23は、下記式(10)で表わされる:
23=12C×(V−VCM1)−12C×VCM1 ・・・(10)
ここで、Vは、基準電源端子16の電位であり、VCM1は、共通ノード11の電位である。
一方、基準側セレクタアレイ5のセレクタ5−1〜5−5は、そのままの状態(即ち、キャパシタ4−1〜4−4が接地端子19に接続され、キャパシタ4−5が基準電源端子18に接続されるような状態)に維持される。この場合、2回目の比較動作において、アナログ入力側キャパシタアレイ2に蓄積される電荷Q24は、下記式(11)で表わされる:
24==8C×(V−VCM2)−16C×VCM2 ・・・(11)
ここで、電荷保存側より
11=Q23 ・・・(12)
22=Q24 ・・・(13)
が成立する。式(12)、(13)式に式(1)、(9)〜(11)を代入すると、共通ノード11の電位VCM1と共通ノード12の電位VCM2を表わす下記式(14)、(15)が得られる:
CM1=2/3×(3/4×V−VAIN)+V・・・(14)
CM2=V ・・・(15)
セレクタ3−1〜3−5の切り換えの後、コンパレータ6は、共通ノード11の電位VCM1と共通ノード12の電位VCM2とを比較して、比較結果信号SCMPを比較の結果に対応する値に設定する。ここで、共通ノード11の電位VCM1、共通ノード12の電位VCM2は、上記式(14)、(15)で表わされるから、2回目の比較動作における電位VCM1、VCM2の比較は、アナログ入力電圧VAINと3/4×Vの比較と等価である。比較結果信号SCMPに示されている比較結果は、逐次比較制御回路7のレジスタ7aにAD変換結果の上位から2番目のビットの値として格納される。図4の例では、デジタル入力電圧VAINが3/4×Vよりも低い場合について動作が図示されており、比較結果信号SCMPが“0”に設定され、データ“0”が、レジスタ7aの上位から2番目のビットの値として格納される。
なお、1回目の比較動作において、アナログ入力電圧VAINが電圧1/2×Vよりも低いという比較結果が得られた場合については、2回目の比較動作において、スイッチ3−1〜3−3、3−5がキャパシタ2−1〜2−3、2−5を接地端子17に接続する選択状態に設定され、スイッチ3−4が、キャパシタ2−4を基準電源端子16に接続する選択状態に設定される。この場合、キャパシタ2−1〜2−3、2−5に電圧(−VCM1)が印加され、キャパシタ2−4に電圧(V−VCM1)が印加され、2回目の比較動作において、アナログ入力側キャパシタアレイ2に蓄積される電荷Q23’は、下記式(10’)で表わされる:
23’=4C×(V−VCM1)−20C×VCM1 ・・・(10’)
ここで、Vは、基準電源端子16の電位であり、VCM1は、共通ノード11の電位である。電荷保存側よりQ11=Q23’であるから、
CM1=2/3×(1/4×V−VAIN)+V ・・・(11’)
が得られる。即ち、1回目の比較動作においてアナログ入力電圧VAINが電圧1/2×Vよりも低いという比較結果が得られた場合、第2の比較動作においてはアナログ入力電圧VAINを電圧1/4×Vと比較する動作が行われることになる。
更に、2回目の比較動作が行われたときのセレクタ制御信号SSW1の値が、セレクタ3−1〜3−5の状態を表すデータ(即ち、キャパシタ2−1〜2−5の接続先を示すデータ)として、基準側キャパシタアレイ制御回路8の基準側逐次比較レジスタ21に格納される。
期間T8:
期間T8では、期間T4〜T6と同様の動作が行われ、3回目の比較動作の準備が行われる。まず、セレクタ5−1〜5−5の選択状態が、2回目の比較動作におけるセレクタ3−1〜3−5の選択状態と「等価」であるように設定される。図4の例では、2回目の比較動作において、セレクタ3−1〜3−3が、キャパシタ2−1〜2−3を接地端子17に接続する選択状態に設定され、セレクタ3−4、3−5が、キャパシタ2−4、2−5を基準電源端子16に接続する選択状態に設定されている。よって、期間T8においては、セレクタ5−1〜5−3が、キャパシタ4−1〜4−3を接地端子19に接続する選択状態に設定され、セレクタ5−4、5−5が、キャパシタ4−4、4−5を基準電源端子18に接続する選択状態に設定される。
更に、電位固定信号SBIAS2がアサートされて電位固定スイッチ14がオン状態にされ、基準側キャパシタアレイ4に中間電位Vがサンプリングされる。その後、電位固定スイッチ14がオフ状態に戻され、中間電位Vのサンプリングが終了される。
期間T9:
期間T9では、期間T7における2回目の比較動作と同様の動作によって3回目の比較動作が行われる。詳細には、まず、逐次比較制御回路7から出力されるセレクタ制御信号SSW1によって、アナログ入力側セレクタアレイ3のセレクタ3−1〜3−5が、3回目の比較動作に対応した選択状態に設定される。詳細には、セレクタ3−1、3−2が、アナログ入力側キャパシタアレイ2のキャパシタ2−1、2−2を接地端子17に接続する選択状態に設定され、セレクタ3−3が、キャパシタ2−3を基準電源端子16に接続する選択状態に設定される。
3回目の比較動作におけるセレクタ3−4の選択状態は、2回目の比較動作における比較結果に応じて決定される。2回目の比較動作において、電位VCM1が電位VCM2よりも低いと判断された場合(即ち、アナログ入力電圧VAINが電圧3/4×V又は電圧1/4×Vよりも高いと判断された場合)、セレクタ3−4は、キャパシタ2−4を基準電源端子16に接続する選択状態に設定される。そうでないばあい、セレクタ3−5は、キャパシタ2−4を接地端子17に接続する選択状態に設定される。
また、3回目の比較動作におけるセレクタ3−5の選択状態は、2回目の比較動作と同様に、1回目の比較動作における比較結果に応じて決定される。電位VCM1が電位VCM2よりも低いという比較結果が得られた場合、即ち、アナログ入力電圧VAINが電圧1/2×Vよりも高いという比較結果が得られた場合、2回目の比較動作において、セレクタ3−5は、キャパシタ2−5を基準電源端子16に接続する選択状態に設定される。そうでないばあい、セレクタ3−5は、キャパシタ2−5を接地端子17に接続する選択状態に設定される。
図4の例では、セレクタ3−4がキャパシタ2−4を接地端子17に接続する選択状態に設定され、セレクタ3−5がキャパシタ2−5を基準電源端子16に接続する選択状態に設定される。この結果、3回目の比較動作では、アナログ入力電圧VAINと電圧5/8×Vとの比較が行われることになる。
更に、コンパレータ6は、共通ノード11の電位VCM1と共通ノード12の電位VCM2とを比較して、比較結果信号SCMPを比較の結果に対応する値に設定する。比較結果信号SCMPに示されている比較結果は、逐次比較制御回路7のレジスタ7aにAD変換結果の上位から3番目のビットの値として格納される。図4の例では、デジタル入力電圧VAINが5/8×Vよりも低い場合について動作が図示されており、比較結果信号SCMPが“0”に設定され、データ“0”が、レジスタ7aの上位から3番目のビットの値として格納される。
期間T10:
期間T10では、期間T4〜T6、T8と同様の動作が行われ、4回目の比較動作の準備が行われる。まず、基準側セレクタアレイ5のセレクタ5−1〜5−5の選択状態が、3回目の比較動作におけるセレクタ3−1〜3−5の選択状態と「等価」であるように設定される。図4の例では、3回目の比較動作において、セレクタ3−1、3−2、3−4が、それぞれ、キャパシタ2−1、2−2、2−4を接地端子17に接続する選択状態に設定され、セレクタ3−3、3−5が、キャパシタ2−3、2−5を基準電源端子16に接続する選択状態に設定されている。よって、期間T10においては、セレクタ5−1、5−2、5−4が、キャパシタ4−1、4−2、4−4を接地端子19に接続する選択状態に設定され、セレクタ5−3、5−5が、キャパシタ4−3、4−5を基準電源端子18に接続する選択状態に設定される。
更に、電位固定信号SBIAS2がアサートされて電位固定スイッチ14がオン状態にされ、基準側キャパシタアレイ4に中間電位Vがサンプリングされる。その後、電位固定スイッチ14がオフ状態に戻され、中間電位Vのサンプリングが終了される。
期間T11:
期間T11では、期間T7における2回目の比較動作、及び、期間T9における3回目の比較動作と同様の動作によって、4回目の比較動作が行われる。詳細には、まず、逐次比較制御回路7から出力されるセレクタ制御信号SSW1によって、アナログ入力側セレクタアレイ3のセレクタ3−1〜3−5が、4回目の比較動作に対応した選択状態に設定される。詳細には、セレクタ3−1が、アナログ入力側キャパシタアレイ2のキャパシタ2−1、2−2を接地端子17に接続する選択状態に設定され、セレクタ3−2が、キャパシタ2−3を基準電源端子16に接続する選択状態に設定される。
4回目の比較動作におけるセレクタ3−3の選択状態は、3回目の比較動作における比較結果に応じて決定される。電位VCM1が電位VCM2よりも低いと判断された場合(例えば、図4の動作では、アナログ入力電圧VAINが電圧5/8×Vよりも高いと判断された場合)、セレクタ3−3は、キャパシタ2−3を基準電源端子16に接続する選択状態に設定される。そうでないばあい、セレクタ3−3は、キャパシタ2−3を接地端子17に接続する選択状態に設定される。また、セレクタ3−4の選択状態は、第3の比較動作と同様に、2回目の比較動作における比較結果に応じて決定され、セレクタ3−5の選択状態は、1回目の比較動作における比較結果に応じて決定される。
図4の例では、セレクタ3−3、3−4がキャパシタ2−4を接地端子17に接続する選択状態に設定され、セレクタ3−5がキャパシタ2−5を基準電源端子16に接続する選択状態に設定される。この結果、4回目の比較動作では、アナログ入力電圧VAINと電圧9/16×Vとの比較が行われることになる。
更に、コンパレータ6は、共通ノード11の電位VCM1と共通ノード12の電位VCM2とを比較して、比較結果信号SCMPを比較の結果に対応する値に設定する。比較結果信号SCMPに示されている比較結果は、逐次比較制御回路7のレジスタ7aにAD変換結果の最下位ビットの値として格納される。図4の例では、デジタル入力電圧VAINが9/16×Vよりも高い場合について動作が図示されており、比較結果信号SCMPが“1”に設定され、データ“1”が、レジスタ7aの最下位ビットの値として格納される。
期間T11における4回目の比較動作が完了した後、逐次比較制御回路7のレジスタ7aに格納されたAD変換結果が、デジタル出力SOUTとして出力され、AD変換動作が完了する。
以上に説明されているように、本実施形態の逐次比較型AD変換器1によれば、電源ノイズによる影響を軽減することができ、直線性特性の悪化を抑制することができる。詳細には、本実施形態の逐次比較型AD変換器1では、j回目の比較動作の際の基準側セレクタアレイ5のセレクタ5−1〜5−5の選択状態が、その直前の比較動作(j−1回目の比較動作)の際のアナログ入力側セレクタアレイ3のセレクタ3−1〜3−5の選択状態と等価であるように設定される。これにより、j回目の比較動作の際、基準側キャパシタアレイ4の電気的状態を、アナログ入力側キャパシタアレイ2の電気的状態に近づけることができる。よって、本実施形態の逐次比較型AD変換器1は、基準電位Vと接地電位GNDに重畳する電源ノイズの、振幅及び又は位相が異なる場合でも、アナログ入力側キャパシタアレイ2の共通ノード11と基準側キャパシタアレイ4の共通ノード12に重畳するノイズの振幅/位相差を小さくすることができる。
第2の実施形態:
第1の実施形態の動作は、電源ノイズの軽減には有効であるが、アナログ−デジタル変換に要する時間が長くなるという問題も生じる。これは、第1の実施形態の動作では、比較動作の間の期間において、基準側セレクタアレイ5の設定、及び、基準側キャパシタアレイ4への中間電位Vのサンプリングを行うことが必要になるからである。
このような問題に対処するために、第2の実施形態では、電源ノイズの軽減を実現しながらも、AD変換動作に必要な時間を短縮するための逐次比較型AD変換器1の動作が提供される。より具体的には、第2の実施形態では、所定のN回目より後の比較動作では、基準側セレクタアレイ5のセレクタ5−1〜5−5の選択状態を、直前の比較動作の際のアナログ入力側セレクタアレイ3のセレクタ3−1〜3−5の選択状態と等価になるように設定する動作が行われない。所定のN回目より後の比較動作では、直前の比較動作における基準側セレクタアレイ5のセレクタ5−1〜5−5の選択状態が維持される。この場合、2回目からN−1回目の比較動作では、基準側セレクタアレイ5のセレクタ5−1〜5−5の選択状態が、直前の比較動作の際のアナログ入力側セレクタアレイ3のセレクタ3−1〜3−5の選択状態に等価になるように設定される。
ここで、基準側セレクタアレイ5のセレクタ5−1〜5−5の選択状態が、直前の比較動作の際のアナログ入力側セレクタアレイ3のセレクタ3−1〜3−5の選択状態に等価に設定される比較動作の数は、基準電位Vと接地電位GNDに重畳する電源ノイズの、振幅及び位相の相違の度合いに応じて任意に決定してよい。なお、第2の実施形態における逐次比較型AD変換器1の構成は、第1の実施形態と同一である。
図5は、第2の実施形態における逐次比較型AD変換器1によるAD変換動作を示すタイミングチャートであり、図6は、AD変換動作におけるアナログ入力側セレクタアレイ3、及び、基準側セレクタアレイ5の状態の変化の例を示す表である。図5、図6には、一例として、4回目の比較動作において、基準側セレクタアレイ5のセレクタ5−1〜5−5の選択状態を、3回目の比較動作の際のアナログ入力側セレクタアレイ3のセレクタ3−1〜3−5の選択状態と等価になるように設定する動作が行われない動作が図示されている。2回目、3回目の比較動作においては、基準側セレクタアレイ5のセレクタ5−1〜5−5の選択状態を、それぞれ、1回目、2回目の比較動作の際のアナログ入力側セレクタアレイ3のセレクタ3−1〜3−5の選択状態と等価になるように設定する動作が行われる。
この場合、図5に示されているように、アナログ入力電圧VAINのサンプリング、及び、1回目〜3回目の比較動作(即ち、期間T1〜T9の動作)は、第1の実施形態と同様にして行われる。この結果、3回目の比較動作が完了した時点では、基準側セレクタアレイ5のセレクタ5−1〜5−5の選択状態は、2回目の比較動作におけるアナログ入力側セレクタアレイ3のセレクタ3−1〜3−5の選択状態と等価になるように設定されていることになる。
期間T9に続く1クロックサイクルの期間T20が、動作マージンのための期間として確保されたあと、期間T21において、4回目の比較動作が行われる。4回目の比較動作においては、アナログ入力側セレクタアレイ3のセレクタ3−1〜3−5が、4回目の比較動作に対応した選択状態に設定される。一方で、基準側セレクタアレイ5のセレクタ5−1〜5−5の選択状態は、3回目の比較動作と同一の選択状態(即ち、2回目の比較動作におけるアナログ入力側セレクタアレイ3のセレクタ3−1〜3−5の選択状態と等価な選択状態)に維持される。
このような動作によれば、4回目の比較動作の前に、基準側セレクタアレイ5の設定、及び、基準側キャパシタアレイ4への中間電位Vのサンプリングを行う必要が無くなり、AD変換動作に必要な時間を短縮することができる。その一方で、2回目、3回目の比較動作では、基準側セレクタアレイ5のセレクタ5−1〜5−5の選択状態を、直前の比較動作の際のアナログ入力側セレクタアレイ3のセレクタ3−1〜3−5の選択状態と等価になるように設定する動作が行われるため、電源ノイズの提供を軽減することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、上記の実施形態では、アナログ入力電圧VAINを4ビットのデジタル出力SOUTに変換する4ビット逐次変換型AD変換器の構成が提示されているが、デジタル出力SOUTのビット数は4に限定されない。
一般に、mビット逐次変換型AD変換器においては、アナログ入力側キャパシタアレイ2に、m+2個のキャパシタが設けられる。具体的には、容量Cのキャパシタが2個、容量2、2・・・、2m−2×Cのキャパシタが1個ずつ、容量2m−1×Cのキャパシタが2個設けられる。容量2m−1×Cのキャパシタのうちの1つは、共通ノード11と接地端子17の間に接続され、他のm+1個のキャパシタは、アナログ入力側セレクタアレイ3のm+1個のセレクタにそれぞれに接続される。アナログ入力側セレクタアレイ3の各セレクタは、逐次比較制御回路7から供給されるセレクタ制御信号SSW1に応答して、アナログ入力端子15、基準電源端子16及び接地端子17のいずれかを、対応するキャパシタに接続する機能を有している。
一方、基準側キャパシタアレイ4には、アナログ入力側キャパシタアレイ2のキャパシタにそれぞれに対応するキャパシタが設けられる。具体的には、基準側キャパシタアレイ4には、容量Cのキャパシタが2個、容量2、2・・・、2m−2×Cのキャパシタが1個ずつ、容量2m−1×Cのキャパシタが2個設けられる。容量2m−1×Cのキャパシタのうちの1つは、共通ノード12と接地端子19の間に接続され、他のm+1個のキャパシタは、基準側セレクタアレイ5のm+1個のセレクタにそれぞれに接続される。基準側セレクタアレイ5の各セレクタは、基準側キャパシタアレイ制御回路8から供給されるセレクタ制御信号SSW2に応答して、基準電源端子16又は接地端子17を、対応するキャパシタに接続する機能を有している。
このような構成の逐次変換型AD変換器では、m回の比較動作により、アナログ入力電圧VAINがmビットのデジタル出力SOUTに変換される。
1 :逐次比較型AD変換器
2 :アナログ入力側キャパシタアレイ
2−1〜2−6:キャパシタ
3 :アナログ入力側セレクタアレイ
3−1〜3−5:セレクタ
4 :基準側キャパシタアレイ
4−1〜4−6:キャパシタ
5 :基準側セレクタアレイ
5−1〜3−5:セレクタ
6 :コンパレータ
7 :比較制御回路
7a :レジスタ
8 :基準側キャパシタアレイ制御回路
9 :バイアス電源
11、12:共通ノード
13、14:電位固定スイッチ
15 :アナログ入力端子
16、18:基準電源端子
17、19:接地端子
21 :基準側逐次比較レジスタ
22 :論理回路
23 :基準側固定電位制御回路
101 :逐次比較型AD変換器
102 :アナログ入力側キャパシタアレイ
102−1〜102−6:キャパシタ
103 :アナログ入力側セレクタアレイ
103−1〜103−6:キャパシタ
104 :基準側キャパシタアレイ
105 :基準側セレクタアレイ
106 :コンパレータ
107 :比較制御回路
108 :基準側キャパシタアレイ制御回路
109 :バイアス電源
111、112:共通ノード
113、114:電位固定スイッチ
115 :アナログ入力端子
116 :基準電源端子
117、119:接地端子

Claims (10)

  1. 第1共通ノードに並列に接続された複数のキャパシタを備える第1キャパシタアレイと、
    前記第1キャパシタアレイの前記複数のキャパシタのそれぞれを、アナログ入力電圧が入力される第1端子と、所定の基準電位を有する第2端子と、接地電位を有する第3端子のいずれかに接続する機能を有する第1セレクタ部と、
    第2共通ノードに並列に接続された複数のキャパシタを備える第2キャパシタアレイと、
    前記第2キャパシタアレイの前記複数のキャパシタのそれぞれを、前記基準電位を有する第4端子と、前記接地電位を有する第5端子のいずれかに接続する機能を有する第2セレクタ部と、
    前記第1共通ノードの電位と前記第2共通ノードの電位とを比較するコンパレータと、
    前記コンパレータから出力される比較結果信号に応答して前記第1セレクタ部を制御する第1制御部と、
    前記第2セレクタ部を制御する第2制御部
    とを具備する逐次比較型AD変換器であって、
    前記第1制御部は、当該逐次比較型AD変換器において前記コンパレータを用いて順次に行われる複数の比較動作のそれぞれにおいて前記第1セレクタ部を制御し、且つ、複数の比較動作のそれぞれにおける前記比較結果信号の値を順次格納して前記アナログ入力電圧に対応するデジタル出力を生成するように構成され、
    前記第2制御部は、前記複数の比較動作のうちの一の比較動作における前記第1セレクタ部の状態を記憶し、前記一の比較動作の次の比較動作において、前記一の比較動作において生成おける前記第1セレクタ部の状態に応答して、前記第2セレクタ部を制御する
    逐次比較型AD変換器。
  2. 請求項1に記載の逐次比較型AD変換器であって、
    前記次の比較動作において、前記第1キャパシタアレイの前記複数のキャパシタのうちの前記一の比較動作において前記第2端子に接続された第1キャパシタに対応する前記第2キャパシタアレイのキャパシタを前記第4端子に接続し、前記第1キャパシタアレイの前記複数のキャパシタのうちの前記一の比較動作において前記第3端子に接続された第2キャパシタに対応する前記第2キャパシタアレイのキャパシタを前記第5端子に接続するように、前記第2セレクタ部が制御される
    逐次比較型AD変換器。
  3. 請求項2に記載の逐次比較型AD変換器であって、
    更に、
    中間電位を生成するバイアス電源と、
    前記バイアス電源と前記第2共通ノードの間に接続されたスイッチ
    とを具備し、
    前記一の比較動作の後、前記第1キャパシタアレイの前記第1キャパシタに対応する前記第2キャパシタアレイのキャパシタを前記第4端子に接続し、前記第1キャパシタアレイの前記第2キャパシタに対応する前記第2キャパシタアレイのキャパシタを前記第5端子に接続した状態で、前記スイッチがオン状態に設定され、
    前記スイッチをオン状態に設定することで前記第2共通ノードが前記中間電位に設定された後、前記スイッチがオフ状態に設定されて前記次の比較動作が行われる
    逐次比較型AD変換器。
  4. 請求項1乃至3のいずれか記載の逐次比較型AD変換器であって、
    前記第1制御部は、前記複数の比較動作のそれぞれにおいて第1制御信号を前記第1セレクタ部に供給して前記第1セレクタ部を制御し、
    前記第2制御部は、前記複数の比較動作のうちの一の比較動作における前記第1セレクタ部の制御に用いられた前記第1制御信号の値を記憶し、前記一の比較動作の次の比較動作において、記憶した前記第1制御信号の値に応じた値の第2制御信号を前記第2セレクタ部に供給して前記第2セレクタ部を制御する
    逐次比較型AD変換器。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の逐次比較型AD変換器であって、
    前記複数の比較動作のうち第2回〜第N回の比較動作においては、それぞれ、第1回〜第N−1回の比較動作における前記第1セレクタ部の状態に応答して前記第2セレクタ部が制御され、
    前記複数の比較動作のうち第N回より後の比較動作においては、前記第2セレクタ部は、その直前の比較動作における前記第2セレクタ部の状態と同一の状態に設定される
    逐次比較型AD変換器。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載の逐次比較型AD変換器であって、
    中間電位を生成するバイアス電源と、
    前記バイアス電源と前記第1共通ノードの間に接続された第1スイッチ
    前記バイアス電源と前記第2共通ノードの間に接続された第2スイッチ
    とを具備し、
    前記複数の比較動作が行われる前に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオン状態に設定した状態で、前記第1制御部が前記第1セレクタ部を制御して前記第1キャパシタアレイの前記複数のキャパシタのすべてを前記第1端子に接続し、前記第2制御部が前記第2セレクタ部を制御して前記第2キャパシタアレイの前記複数のキャパシタの全てを前記第5端子に接続する
    逐次比較型AD変換器。
  7. 第1共通ノードに並列に接続された複数のキャパシタを備える第1キャパシタアレイと、
    前記第1キャパシタアレイの前記複数のキャパシタのそれぞれを、アナログ入力電圧が入力される第1端子と、所定の基準電位を有する第2端子と、接地電位を有する第3端子のいずれかに接続する機能を有する第1セレクタ部と、
    第2共通ノードに並列に接続され、前記複数のキャパシタのそれぞれに対応する第2キャパシタを備える第2キャパシタアレイと、
    前記第2キャパシタアレイの前記複数のキャパシタのそれぞれを、前記基準電位を有する第4端子と、前記接地電位を有する第5端子のいずれかに接続する機能を有する第2セレクタ部と、
    前記第1共通ノードの電位と前記第2共通ノードの電位とを比較するコンパレータ
    とを備える逐次比較型AD変換器の動作方法であって、
    (a)前記第1共通ノード及び前記第2共通ノードを中間電位に設定した状態で、前記第1セレクタ部を制御して前記第1キャパシタアレイの前記複数のキャパシタのすべてを前記第1端子に接続し、前記第2セレクタ部を制御して前記第2キャパシタアレイの前記複数のキャパシタの全てを前記第5端子に接続するステップと、
    (b)前記(a)ステップの後、コンパレータを用いて、順次に、複数の比較動作を行うステップと、
    (c)前記複数の比較動作のそれぞれにおいて前記コンパレータから出力される比較結果信号の値から前記アナログ入力電圧に対応するデジタル出力を生成するステップ
    とを具備し、
    前記(b)ステップは、
    前記複数の比較動作のそれぞれにおいて、前記第1セレクタ部を制御するステップと、
    前記複数の比較動作のうちの一の比較動作における前記第1セレクタ部の状態を記憶するステップと、
    前記一の比較動作の次の比較動作において、前記一の比較動作における前記第1セレクタ部の状態に応答して前記第2セレクタ部を制御するステップ
    とを含む
    逐次比較型AD変換器の動作方法。
  8. 請求項7に記載の逐次比較型AD変換器の動作方法であって、
    前記次の比較動作において、前記第1キャパシタアレイの前記複数のキャパシタのうちの前記一の比較動作において前記第2端子に接続された第1キャパシタに対応する前記第2キャパシタアレイのキャパシタを前記第4端子に接続し、前記第1キャパシタアレイの前記複数のキャパシタのうちの前記一の比較動作において前記第3端子に接続された第2キャパシタに対応する前記第2キャパシタアレイのキャパシタを前記第5端子に接続するように、前記第2セレクタ部が制御される
    逐次比較型AD変換器の動作方法。
  9. 請求項8に記載の逐次比較型AD変換器の動作方法であって、
    前記逐次比較型AD変換器が、更に、
    前記(b)ステップは、更に、
    前記一の比較動作の後、前記第1キャパシタアレイの前記第1キャパシタに対応する前記第2キャパシタアレイのキャパシタを前記第4端子に接続し、前記第1キャパシタアレイの前記第2キャパシタに対応する前記第2キャパシタアレイのキャパシタを前記第5端子に接続した状態で、前記第2共通ノードを前記中間電位に設定するステップを含み、
    前記第2共通ノードを前記中間電位に設定するステップの後、前記次の比較動作が行われる
    逐次比較型AD変換器の動作方法。
  10. 請求項7乃至9のいずれかに記載の逐次比較型AD変換器の動作方法であって、
    前記複数の比較動作のうち第2回〜第N回の比較動作においては、それぞれ、第1回〜第N−1回の比較動作における前記第1セレクタ部の状態に応答して前記第2セレクタ部が制御され、
    前記複数の比較動作のうち第N回より後の比較動作においては、前記第2セレクタ部は、その直前の比較動作における前記第2セレクタ部の状態と同一の状態に設定される
    逐次比較型AD変換器の動作方法。
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