JP2014136775A - セルロースナノファイバーの製造方法 - Google Patents

セルロースナノファイバーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い濃度であっても高い透明性を有する分散液を提供できるセルロースナノファイバーの製造方法を提供する。
【解決手段】セルロースナノファイバーの原料となるパルプとして、保水度が90%以下のものを用い、これをN−オキシル化合物、および臭化物、ヨウ化物もしくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で、酸化剤を用いて酸化して酸化パルプとし、次いで、濃度0.3%(w/v)以上で解繊してナノファイバー化する。
【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースナノファイバーの製造方法に関する。より詳しくは、高い透明度のセルロースナノファイバー水分散液を与えるセルロースナノファイバーの製造方法に関する。
セルロース繊維を2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシラジカル(以下、TEMPOと称する。)と安価な酸化剤である次亜塩素酸ナトリウムとの共存下で処理すると、セルロースのミクロフィブリルの表面にカルボキシル基を効率よく導入することができる。このカルボキシル基を導入したセルロース繊維を水中にてミキサー等で処理すると、高粘度で透明なセルロースナノファイバー水分散液が得られることが知られている(非特許文献1、特許文献1および2)。
セルロースナノファイバーは、生分解性の水分散型素材である。セルロースナノファイバーの表面には酸化反応によりカルボキシル基が導入されているため、セルロースナノファイバーはカルボキシル基を基点として自由に改質することができる。また、上記の方法により得られたセルロースナノファイバーは、分散液の形態であるため各種水溶性ポリマーとブレンドすることができ、また、有機又は無機系顔料と複合化して改質することもできる。また、セルロースナノファイバーをシート化または繊維化することも可能である。このような特性を活かし、セルロースナノファイバーを高機能包装材料、透明有機基板部材、高機能繊維、分離膜、再生医療材料などに応用して新規高機能性商品を開発することが期待されている。
特開2008−001728号公報 特開2010−235679号公報
Saito,T.,et al.,Cellulose Commun.,14(2),62 (2007)
上記のように、TEMPOを用いてセルロース繊維(パルプ)を酸化した後、解繊すると、セルロースナノファイバーの透明な分散液が得られるが、前述のような多様な用途への展開を考えると、さらに透明性の高い分散液を製造できるセルロースナノファイバーの開発が望まれる。特に、高い濃度であっても高い透明性を有するセルロースナノファイバー分散液の開発が望まれる。また、従来のセルロースナノファイバーの製造方法では、特に濃度が高い場合には、ナノファイバー化しないパルプ繊維が残留することで透明性が低下することがあった。本発明は、高濃度であっても高い透明性を有するセルロースナノファイバー分散液を提供できるセルロースナノファイバーの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下の方法により上記課題を解決できることを見出した。
(A)保水度が90%以下であるパルプを、(a1)N−オキシル化合物および(a2)臭化物、ヨウ化物もしくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で、(a3)酸化剤を用いて酸化して、酸化パルプとする工程、ならびに
(B)前記工程Aで得た酸化パルプを濃度0.3%(w/v)以上の状態で解繊してナノファイバー化する工程、を含む、セルロースナノファイバーの製造方法。
本発明によれば、高濃度であっても高い透明性を有するセルロースナノファイバー分散液を与えるセルロースナノファイバーを製造できる。
以下、本発明を詳細に説明する。本明細書において「〜」は両端の値を含む。
1.セルロースナノファイバーの製造方法
本発明の製造方法は、(A)保水度が90%以下であるパルプを、(a1)N−オキシル化合物、および(a2)臭化物、ヨウ化物もしくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で、(a3)酸化剤を用いて酸化して酸化パルプとする工程、ならびに(B)前記工程Aで得た酸化パルプを濃度0.3%(w/v)以上の状態で解繊してナノファイバー化する工程、を含む。
1−1.工程A
工程Aでは保水度が90%以下であるパルプを、特定の条件下で酸化する。
(1)パルプ
本発明では、セルロースナノファイバーの原料となるパルプとして、保水度が90%以下であるものを用いる。保水度が90%以下であれば、その種類は特に限定されるものではなく、各種木材由来のクラフトパルプ又はサルファイトパルプなどを用いることができる。また、ケナフ、麻、イネ、バカス、竹等の植物由来のパルプを使用することもできる。このうち、漂白されたクラフトパルプ、漂白されたサルファイトパルプを使用することが好ましい。また、木材由来のパルプの場合、パルプの原料としては各種針葉樹、各種広葉樹を単独あるいは混合して使用することができる。保水度90%以下のセルロース原料を得る上では、マツ(pine)、スギ(cedar)、カエデ(maple)、カバ(birch)、ブナ(beech)、アカシア(acacia)、ユーカリ(eucalyptus)、モミ(fir)、トウヒ(spruce)を使用することが好ましい。
パルプの保水度は、以下の手順で測定する:
パルプを水と混合して0.5%(w/v)の濃度に調製後、遠心脱水機によって4100rpm、20℃、15分間で脱水することでパルプのマットを形成する。このマットの重量(A)を測定する。次いで、105℃乾燥機にて12時間乾燥させて絶乾状態にさせた後、絶乾状態のマットの重量(B)を測定する。保水度を、(A)−(B)/(B)×100の計算式により得る。
保水度が90%以下であるパルプは、例えば、以下のような方法で得ることができる。木材チップを蒸解して得た乾燥履歴がない湿潤状態のウェットパルプを、乾燥温度30〜90℃、好ましくは40〜60℃で1時間〜2日間程度処理し、パルプ水分量を8%以下に調整する。この際、乾燥温度が高すぎるとパルプが着色するため好ましくなく、一方、乾燥温度が低すぎると保水度を90%以下にすることが困難になる。
本発明は、セルロースナノファイバーの原料であるパルプとして、保水度が90%以下であるものを用いることにより、高い透明性を有するセルロースナノファイバーの分散液を製造する。通常、保水度の低いパルプは、保水度の高いパルプに比べて、セルロース繊維同士の間に多くの水素結合が形成されている。例えば、乾燥履歴がない湿潤状態のパルプ(以下、「ウェットパルプ」と言うことがある。)は、パルプ繊維の表面の水酸基が周囲の水分子と水素結合をして、高い保水度を有する。一方、乾燥履歴があるパルプ(以下、「ドライパルプ」ということがある。)は、乾燥時の水の蒸発に伴ってパルプ繊維同士が接近してパルプ繊維間に多くの水素結合が形成されているため、水分子と繊維との水素結合は少なくなり、保水度が低くなる。一般に、セルロースナノファイバーの製造においては、繊維同士の水素結合が少ない、すなわち、保水度が高いパルプを用いる方が解繊しやすいため、有利であると言われている。しかしながら、本発明者らは、意外にも、従来の知見とは異なり、繊維間の水素結合が多いパルプ、すなわち、保水性が低いパルプを使用することで、透明性の高いセルロースナノファイバーの分散液を製造することができることを見出した。この理由は明らかではないが、本発明者らは次のように推測している:
水素結合が少ないパルプ、すなわち保水度が高いパルプを解繊する場合、パルプを構成しているセルロース繊維をバラバラにすることは比較的容易であるが、バラバラになったセルロースナノファイバーの分散液中の割合が増加するに伴い、分散液の粘度が大きく上昇し、解繊効率が低下することがある。これにより、解繊できない大きな異物が残留し始め、セルロースナノファイバー分散液としては十分な透明性が発現しないことがある。
一方、水素結合が多いパルプ、すなわち保水度が低いパルプを解繊する場合、パルプを構成しているセルロース繊維は完全にはバラバラにならず、数本が凝集した状態になると考えられる。繊維が数本凝集した状態のセルロースナノファイバーの分散液は、低濃度の場合、繊維が完全にバラバラにされたセルロースナノファイバーの同じ濃度の分散液に比べて、透明性がやや劣る。しかしながら、繊維が数本凝集したセルロースナノファイバーでは、分散液中のナノファイバーの割合が増加しても粘度の大きな上昇がみられず、解繊効率が低下しにくい。このため、たとえ濃度が高い場合であっても、解繊できない大きな異物が残留しにくく、透明性の高いセルロースナノファイバー分散液を得ることができると考えられる。
(2)N−オキシル化合物(a1)
N−オキシル化合物とは、ニトロキシラジカルを発生しうる化合物である。本発明で用いるN−オキシル化合物としては、目的の酸化反応を促進する化合物であれば、いずれの化合物も使用できる。例えば、本発明で使用されるN−オキシル化合物としては、下記一般式(式1)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2014136775
(式1中、R〜Rは同一又は異なる炭素数1〜4程度のアルキル基を示す。)
式1で表される物質のうち、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−オキシラジカル(以下、TEMPOと称する)が好ましい。また、下記式2〜5のいずれかで表されるN−オキシル化合物、すなわち、4−ヒドロキシTEMPOの水酸基をアルコールでエーテル化、またはカルボン酸若しくはスルホン酸でエステル化し、適度な疎水性を付与した4−ヒドロキシTEMPO誘導体、もしくは4−アミノTEMPOのアミノ基をアセチル化し、適度な疎水性を付与した4−アセトアミドTEMPOは安価であり、かつ均一な酸化セルロースを得ることができるため、とりわけ好ましい。
Figure 2014136775
(式2〜4中、Rは炭素数4以下の直鎖又は分岐状炭素鎖である。)
さらに、下記式6で表されるN−オキシル化合物、すなわち、アザアダマンタン型ニトロキシラジカルは、短時間で効率よくパルプを酸化でき、また、セルロース鎖の切断も起こりにくいため、好ましい。
Figure 2014136775
(式6中、R及びRは、同一又は異なる水素又はC〜Cの直鎖若しくは分岐鎖アルキル基を示す。)
N−オキシル化合物の使用量は、パルプを後の解繊によってナノファイバー化できる程度に酸化できる触媒量であれば特に制限されない。例えば、絶乾1gのパルプに対して、0.01〜10mmolが好ましく、0.01〜1mmolがより好ましく、0.05〜0.5mmolがさらに好ましい。
(3)臭化物またはヨウ化物(a2)
臭化物とは臭素を含む化合物であり、その例には、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属が含まれる。また、ヨウ化物とはヨウ素を含む化合物であり、その例には、ヨウ化アルカリ金属が含まれる。臭化物またはヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択できる。臭化物およびヨウ化物の合計量は、例えば、絶乾1gのパルプに対して、0.1〜100mmolが好ましく、0.1〜10mmolがより好ましく、0.5〜5mmolがさらに好ましい。
(4)酸化剤(a3)
パルプの酸化の際に用いる酸化剤としては、公知のものが使用でき、例えばハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物などを使用できる。中でも、コストの観点から、安価で環境負荷の少ない次亜塩素酸ナトリウムが特に好適である。酸化剤の適切な使用量は、用いるパルプの種類によっても異なるが、例えば、絶乾1gのパルプに対して、0.5〜500mmolが好ましく、0.5〜50mmolがより好ましく、2.5〜25mmolがさらに好ましく、5〜20mmolが最も好ましい。
(5)酸化反応条件
本発明の工程Aでは、比較的温和な条件であっても反応を効率よく進行させられる。よって、反応温度は15〜30℃程度の室温であってもよい。反応の進行に伴ってセルロース中にカルボキシル基が生成するため、反応液のpHの低下が認められる。酸化反応を効率よく進行させるためには、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加して、反応液のpHを9〜12、好ましくは10〜11程度に維持することが好ましい。反応媒体は、取扱い性の容易さや、副反応が生じにくいこと等から、水が好ましい。
酸化反応における反応時間は、酸化の進行の程度に従って適宜設定することができ、特に限定されないが、例えば、0.5〜6時間、好ましくは2〜6時間、さらに好ましくは4〜6時間程度である。また、酸化反応は、2段階に分けて実施してもよい。例えば、1段目の反応終了後に濾別して得られた酸化セルロースを、再度、同一または異なる反応条件で酸化させることにより、1段目の反応で副生する食塩による反応阻害を受けることなく、パルプのセルロース鎖に効率よくカルボキシル基を導入でき、パルプの酸化を促進することができる。
工程Aでは、酸化されたパルプ(「酸化パルプ」とも呼ぶ。)のカルボキシル基量が、酸化パルプの絶乾質量に対して、1.0mmol/g以上となるように条件を設定することが好ましい。より好ましくはカルボキシル基量が1.0mmol/g〜3.0mmol/g、さらに好ましくは1.4mmol/g〜3.0mmol/g、特に好ましくは1.5mmol/g〜2.5mmol/gである。カルボキシル基量は、酸化反応時間の調整、酸化反応温度の調整、酸化反応時のpHの調整、N−オキシル化合物や臭化物、ヨウ化物、酸化剤の添加量の調整などを行なうことにより調整できる。
酸化パルプのカルボキシル基量は、以下の手順で測定することができる:
酸化パルプの0.5質量%スラリーを60ml調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式:
カルボキシル基量〔mmol/g酸化パルプ〕= a〔ml〕× 0.05/酸化パルプ質量〔g〕
を用いて算出する。
次の工程Bでの解繊を効率よく行なうために、工程Aで得た酸化パルプを洗浄することが好ましい。
1−2.工程B
工程Bでは、前記工程Aで得た酸化パルプを濃度0.3%(w/v)以上の状態で解繊してナノファイバー化する。本発明では、解繊時の酸化パルプの濃度が、0.3%(w/v)と高い場合であっても、透明性の高い分散液とすることができる。
「ナノファイバー化する」とは、パルプのセルロース繊維を、幅2〜15nm、長さ1〜7μm程度のセルロースのシングルミクロフィブリルであるセルロースナノファイバーへと加工することを意味する。
酸化パルプの解繊時には、酸化パルプを媒体に分散又は懸濁したものを用い、ここに、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などの装置を用いて強力なせん断力を印加することが好ましい。特に、セルロースナノファイバーを効率よく得るには、前記分散液に50MPa以上の圧力を印加し、かつ強力なせん断力を印加できる湿式の高圧または超高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。前記圧力は、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。この処理により、酸化パルプが解繊してセルロースナノファイバーが形成され、かつセルロースナノファイバーが媒体中に分散する。媒体としては、取扱い容易性から、水を用いることが好ましい。
解繊時の酸化パルプの濃度は、0.3%(w/v)以上である。好ましくは1〜8%(w/v)、より好ましくは1〜3%(w/v)である。
1−3.低粘度化処理
セルロースナノファイバー分散液としたときの粘度を低下させて取扱い性を高める目的で、工程Bの前に、工程Aで得た酸化パルプを低粘度化処理してもよい。低粘度化処理とは、酸化パルプのセルロース鎖を適度に切断(セルロース鎖を短繊維化)することである。このように処理された原料を用いると分散液としたときの粘度が低くなる。低粘度化処理としては、例えば、酸化パルプに紫外線を照射する処理、酸化パルプを過酸化水素およびオゾンで酸化分解する処理、酸化パルプを酸で加水分解する処理、ならびにこれらの組み合わせなどが挙げられる。
2.本発明の製造方法により得られるセルロースナノファイバー
本発明により製造されるセルロースナノファイバーは、幅2〜15nm、長さ1〜7μm程度のセルロースのシングルミクロフィブリルである。本発明の方法により得られるセルロースナノファイバーは、高い濃度であっても優れた透明度を有する分散液を提供する。分散液における分散媒は、好ましくは水である。本発明において、透明度は波長660nmの光の透過率で評価され、具体的には、分光光度計を用いて、濃度0.1%(v/w)の分散液を入れた石英セル(光路10mm)を用いて波長660nmの光の透過率を測定することで求められる。
本発明により得られるセルロースナノファイバーは、濃度0.1%(w/v)の水分散液としたときに、波長660nmの光の透過率が、好ましくは92%以上である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
(パルプの調製)
3.2L容の回転型オートクレーブにマツ:ラジアータパイン=1:1で混合したチップを絶乾量で200g入れ、水を加えて液比を3.2L/kgとした。蒸解液(活性アルカリ22%(対チップ質量)、硫化度28%、液比3.2L/kgとなるように水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを混合して調製した。)を添加して170℃でHファクターが1600になるまで蒸解した。
蒸解後の未晒しパルプを酸素脱リグニンした後、ECF漂白としてD0−E/P−D1のシーケンスで漂白処理した。酸素脱リグニンはQuantum high intensity mini mixerを用いて行い、反応後、パルプを十分に洗浄した。漂白はすべてプラスチックバッグにパルプスラリー(パルプ濃度10%)を入れてウォーターバス内で行った。漂白後、パルプ濃度1.5%まで清水で希釈し、搾水を用いて数回洗浄した。続く漂白段では前段の搾水を用いてパルプ濃度を15%とした後、パルプ濃度が10%となるように漂白薬品を所定量添加して漂白した。ただしD0段に限り、前段の酸素脱リグニンの排水は持ち込んでいない。酸素脱リグニン:パルプ濃度10%、水酸化ナトリウム添加量4.0%、酸素初期圧6.0kg/cm、反応温度98℃、反応時間60分。D0:パルプ濃度10%、二酸化塩素添加量10kg/ADTP、反応温度55℃、反応時間40分。E/P:パルプ濃度10%、水酸化ナトリウム添加量7.0kg/ADTP、過酸化水素添加量2.7g/ADTP、反応温度65℃、反応時間90分。D1:パルプ濃度10%、二酸化塩素添加量1.5kg/ADTP、反応温度65℃、反応時間180分。以上の漂白処理により、漂白済み針葉樹ウェットパルプを得た(保水度137.9%)。
次いで、上記の針葉樹ウェットパルプを、ヤマト科学社製送風乾燥機を用いて50℃で12時間乾燥させ、ドライパルプを作製した(保水度86.7%)。なお、保水度は、以下の手順で求めた:
パルプを、水と混合して0.5%(w/v)の濃度に調製後、遠心脱水機によって4100rpm、20℃、15分間で脱水することでパルプのマットを形成し、このマットの重量(A)を測定した。次いで、105℃乾燥機にて12時間乾燥させて絶乾状態にさせた後、絶乾状態のマットの重量(B)を測定した。パルプの保水度を(A)−(B)/(B)×100の計算式から得た。
(パルプの酸化)
上記の針葉樹ドライパルプ5g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)78mg(0.5mmol)と臭化ナトリウム754mg(7.4mmol)を溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで攪拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素5%)16ml添加した後、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3N水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。2時間の反応の後、ガラスフィルターで濾過し、十分に水洗することで酸化パルプを得た。
(解繊)
上記で得られた酸化パルプの濃度1%(w/v)のスラリーを、超高圧ホモジナイザー(140MPa)で10回処理して、透明なゲル状分散液を得た。
(カルボキシル基量の測定)
カルボキシル基量は、酸化パルプの0.5質量%スラリーを60ml調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式:
カルボキシル基量〔mmol/g酸化パルプ〕= a〔ml〕× 0.05/酸化パルプ質量〔g〕
を用いて算出した。
(透明度の測定)
解繊処理によって得られたゲル状分散液に水を加えて、濃度0.1%(w/v)のセルロースナノファイバー分散液を作製し、UV−VIS分光光度計UV−265FS(島津製作所社)を用いて波長660nmの光の透過率を測定した。
[実施例2]
実施例1のチップを、スギ:ラジアータパイン=2:3の割合で混合したチップに変更した以外は、実施例1と同様の処理を行った(パルプの保水度87.5%)。
[比較例1]
実施例1においてドライパルプの調製を行わず、ウェットパルプ(保水度137.9%)を用いて酸化及び解繊を行った以外は、実施例1と同様の処理を行った。
[比較例2]
実施例2においてドライパルプの調製を行わず、ウェットパルプ(保水度142.7%)を用いて酸化及び解繊を行った以外は、実施例2と同様の処理を行った。
[比較例3]
実施例1のドライパルプの代わりに、市販の漂白済み広葉樹パルプ(日本製紙株式会社製、LBKP、乾燥履歴あり(ドライパルプ)、保水度91.1%)を使用した以外は、実施例1と同様の処理を行った。
[比較例4]
実施例1のドライパルプの代わりに、市販の漂白済み針葉樹パルプ(日本製紙株式会社製、NBKP、乾燥履歴あり(ドライパルプ)、保水度94.9%)を使用した以外は、実施例1と同様の処理を行った。
実施例と比較例の結果を表1に示す。
Figure 2014136775

Claims (5)

  1. (A)保水度が90%以下であるパルプを、(a1)N−オキシル化合物および(a2)臭化物、ヨウ化物もしくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で、(a3)酸化剤を用いて酸化して、酸化パルプとする工程、ならびに
    (B)前記工程Aで得た酸化パルプを濃度0.3%(w/v)以上の状態で解繊してナノファイバー化する工程、
    を含む、セルロースナノファイバーの製造方法。
  2. 前記工程(A)の前に、乾燥履歴がなく湿潤状態にあるパルプを温度30〜90℃で1時間〜2日間乾燥させることにより、保水度が90%以下であるパルプを調製する工程をさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 得られたセルロースナノファイバーの濃度0.1%(w/v)における水分散液の、波長660nmの光の透過率が92%以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記工程(A)で得た酸化パルプのカルボキシル基量が、酸化パルプの絶乾質量に対して1.0mmol/g以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記工程(B)において50MPa以上の圧力下で解繊を行なう、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
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