[第1実施形態]
図1に示すように、固体撮像装置10はCMOS型イメージセンサであり、受光領域11と垂直走査回路13、水平走査回路14、出力回路16、制御回路17等を備える。
受光領域11は、複数の画素21が水平方向(X方向)及び垂直方向(Y方向)に沿って正方配列された領域である。受光領域11には、撮像レンズによって被写体の像が結像され、各画素21は光電変換により、入射光量に応じた電荷を蓄積する。ここでいう水平方向(左右方向)、垂直方向(上下方向)とは、撮像素子の受光面をX−Y平面とみた場合のX軸方向を水平方向または左右方向とし、Y軸を垂直方向または上下方向とするものである。
画素21は、フォトダイオード(以下、PDという)22、リセットトランジスタ(以下、Trという)23、アンプトランジスタ(以下、Taという)24、選択トランジスタ(以下、Tsという)25を備えている。Tr23,Ta24,Ts25は例えばn型のMOSトランジスタである。また、各画素21には、各画素21には、赤色(R),緑色(G),青色(B)のいずれかの色のカラーフィルタ41(図2参照)が設けられており、各画素21は対応するカラーフィルタ41の色の光を光電変換する。
なお、受光領域11に配列されている画素21は、通常画素とハイブリッド画素のいずれかである。通常画素は、水平方向及び垂直方向に対称に形成された画素であり、通常画素で蓄積された電荷に基づく撮像信号は撮影画像の形成に利用される。一方、ハイブリッド画素は、その構造等は後述するが、位相差AFを行う場合に左右方向(水平方向)の視差を得るための位相差画素として機能するとともに、被写体の画像を撮影する場合には対称な通常画素として機能する画素である。通常画素とハイブリッド画素は、立体的構造(具体的には、調光素子55A,55B(図3参照)の有無)が異なっているが、光電変換をし、その電荷を読み出すための基本的な電気的構成は同じである。このため、図1では通常画素とハイブリッド画素を区別せずに、受光領域11内の画素を全て画素21としている。
PD22は光電変換により、入射光量に応じた電荷を生成する素子であり、アノードがグラウンドに接続されており、カソードがTa24のゲート電極に接続されている。PD22のカソードとTa24のゲート電極の接続部分がフローティングディフュージョン(以下、FDという)26であり、ここにPD22で生成された電荷が蓄積される。
Tr23は、ソース電極がFD26に接続され、ドレイン電極には電源電圧VDD(図示しない)が印加される。また、Tr23のゲート電極はリセット線27に接続されている。Tr23は、リセット線26を介して垂直走査線13からゲート電極にリセットパルスが印加されることによりオン状態になる。Tr23がオン状態になると、FD26に電源電圧VDDが印加され、FD26に蓄積された電荷が破棄される。
Ta24は、ゲート電極がFD26に接続され、ドレイン電極には電源電圧VDDが印加されている。また、信号電圧が出力されるソース電極は、Ts25のドレイン電極に接続されている。Ta24は、FD26に蓄積された電荷量に応じた信号電圧をソース電極に出力する。
Ts25は、ドレイン電極がTa24のソース電極に接続され、ソース電極は信号線28に接続されている。また、Ts25のゲート電極は、行選択線29に接続されている。Ts25は、行選択線29を介して垂直走査回路13から選択パルスが入力されるとオン状態になり、Ta24から出力された信号電圧を信号線28に出力する。
垂直走査回路13は、画素21の駆動回路であり、各行のリセット線27と行選択線29が接続されている。垂直走査回路13は、選択された行のリセット線27にリセットパルスを入力し、また、行選択線29に選択パルスを入力してTr23やTs25の動作を制御することにより、前述のように各画素21を動作させる。
水平走査回路14は、各信号線28上に設けられた列選択トランジスタ(Tc)32のうち1つをオンにすることにより、信号電圧の読み出しを行う列を選択する。
信号線28は、各画素21からの信号電圧を読み出すための配線であり、画素21の列毎に設けられている。また、信号線28の末端には、相関二重サンプリング(CDS)回路31と列選択トランジスタ32が設けられている。CDS回路31は、制御回路17から入力されるクロック信号に基づいて動作し、垂直走査回路13によって選択された行選択線29上の画素21から、読み出しに伴うノイズが除去されるように電圧信号をサンプリングし、保持する。水平走査回路14によって列選択トランジスタ32がオンにされることによって、CDS回路31が保持する電圧信号は出力バスライン33を介して出力回路16に出力される。
出力回路16は、CDS31から入力される電圧信号を増幅するアンプ34と、アンプ34で増幅された電圧信号をデジタルデータに変換するA/D変換回路35を備える。アンプ34のゲインは可変であり、撮影モード等の設定に応じて適宜調節される。
制御回路17は、垂直走査回路13や水平走査回路14等の各部と接続されており、固体撮像装置10の各部を統括的に制御する。例えば、垂直走査回路13や水平走査回路14の動作は制御回路17から入力されるクロック信号等の制御信号に基づいて動作する。また、CDS31の動作やアンプ34のゲイン等も制御回路17によって制御される。
図2に示すように、固体撮像装置10のカラーフィルタ41は、6×6画素の色配列を1単位とする長い周期性を有している。より詳しくは、カラーフィルタ41は、3×3画素の色配列からなる2種類のサブユニット41a,41bをそれぞれ対角の位置に配置した配列である。第1サブユニット41aは、3×3画素の中央及び対角位置に緑色(G)フィルタが配置され、左右中央に青色(B)フィルタを、上下中央に赤色(R)フィルタが配置されたサブユニットである。第2サブユニット41bは、3×3画素の中央及び対角位置にGフィルタが配置されている点は第1サブユニット41aと同様であるが、BフィルタとRフィルタが第1サブユニット41aとは逆になっており、左右中央にはRフィルタが配置され、上下中央にはBフィルタが配置される。
例えば、2×2画素の色配列を1単位としたベイヤー配列と比較すると、カラーフィルタ41は長い周期性を有するので、固体撮像装置10では光学的ローパスフィルタを用いなくてもモアレの発生を抑えることができる。また、カラーフィルタ41を採用した固体撮像装置10では、縦方向(垂直方向)及び横方向(水平方向)に必ずRGBの画素が存在するので、偽色が抑えられ、正確な色再現が可能である。
ハイブリッド画素42a,42bは、通常画素としても位相差画素としても機能する画素であり、例えば、右上の第1サブユニット41aと左上の第2サブユニット41bの各左下のG画素に形成される。ハイブリッド画素42a,42b以外の画素は、上下左右の各方向から入射する光を均等に受光する通常画素43である。
位相差AFを行うためにハイブリッド画素42a,42bを位相差画素として機能させる場合、ハイブリッド画素42a,42bの対から得られた視差がある電圧信号(あるいはこの電圧信号に基づく画素値)に基づいて合焦評価が行われる。そして、合焦評価の結果に応じてベストピントになるように撮像レンズの位置が自動調節される。また、被写体を撮像するためにハイブリッド画素42a,42bを通常画素として機能させる場合、ハイブリッド画素42a,42bの画素値は、他の通常画素43と同様にゲイン補正や補間等によらず、そのまま撮影画像の生成に用いられる。
なお、ハイブリッド画素42a,42bは受光領域11の全面に満遍なく設けられているが、複数あるカラーフィルタ41の6×6画素の単位中に必ずハイブリッド画素42a,42bが設けられているわけではなく、受光領域11の各画素21をカラーフィルタ41の6×6画素の単位でみた場合、ハイブリッド画素42a,42bが設けられていない単位もある。ハイブリッド画素42a,42bが設けられている単位の場合には、上記箇所に設けられる。ハイブリッド画素42a,42bが設けられていない単位においては、全てが通常画素43である。
図3に示すように、固体撮像装置10は、裏面照射(BSI;back side illuminated)型のCMOSイメージセンサであり、支持基板51、配線層52、p型半導体基板53、調光層54、カラーフィルタ41、マイクロレンズ57等で構成される。p型半導体基板53に対して配線層52が設けられている側が固体撮像装置10の「表面」であり、カラーフィルタ41や調光層54,マイクロレンズ57が設けられている側が「裏面」である。固体撮像装置10には、マイクロレンズ57、カラーフィルタ41、調光層54を介して裏面側からPD22に光が入射される。すなわち、「裏面」が光の入射面である。
支持基板51は、例えばシリコン基板であり、裏面照射型の固体撮像装置10を製造する過程で、p型半導体基板53の裏面を露呈させ、p型半導体基板53を薄型化するために、配線層52の表面に接合される。
配線層52は、p型半導体基板53の表面に形成され、配線層52内に設けられた配線52aによって、各画素21(通常画素43及びハイブリッド画素42a,42b)を形成するトランジスタ(Tr23,Ta24,Ts25)や、各画素21を駆動するための垂直走査回路13,水平走査回路14,出力回路16,制御回路17,CDS31等の各種回路、リセット線27,信号線28,行選択線29、出力バスライン33等の各種配線が形成される。
PD22は、p型半導体基板53と、p型半導体基板53内に形成されたn型半導体領域のPN接合によって形成される。p型半導体基板53は薄型化されており、破線で示すPD22の光電変換領域は、p型半導体基板53の裏面近傍にまで達している。PD22が光電変換により生成した電荷は、配線層52との界面近傍に蓄積される。なお、各PD22は図示しない分離層(例えばp+層)によって分離されている。
調光層54は、p型半導体基板53の裏面側(入射面側)に設けられ、調光素子55A,55Bと絶縁膜56とからなる。調光素子55A,55Bは、可視光の透過光量(透過率)を調節することができる素子であり、例えば、所定電圧が印加されている場合にはほぼ透明であり、印加する電圧を下げると徐々に不透明になり、電圧を印加しない状態にすると(あるいは調光素子55Aの電位をグラウンドにする等により電圧を印加しない状態にする)と、調光素子55A,55Bの透過率はほぼ0%(〜数%程度)になる。調光素子55A,55Bは、各々独立して制御できる状態で、ハイブリット画素42a,42b上にPD22を覆って設けられている。調光素子55A,55Bが透明な場合には、マイクロレンズ57及びカラーフィルタ41を介して入射する光は調光素子55A,55Bを透過してPD22に到達する。調光素子55A,55Bが不透明な場合には、入射光は調光素子55A,55Bによって遮られ、少なくとも減光されてPD22に入射する。
また、調光素子55A,55Bは、対になるハイブリッド画素42aとハイブリッド画素42bとで左右対称に設けられている。具体的には、ハイブリッド画素42aは、PD22の入射面の右側半分に調光素子55Aが設けられ、左側半分に調光素子55Bが設けられる。一方、ハイブリッド画素42bでは、PD22の入射面の左側半分に調光素子55Aが設けられ、右側半分に調光素子55Bが設けられる。
絶縁膜56は、調光素子55A,55Bとp型半導体基板53の間を絶縁するとともに、調光素子55A,55B上を平坦化する平坦化膜でもある。このため、通常画素43上の調光層54は絶縁膜56のみで形成されている。絶縁膜56は、例えば、BPSG等の透明で導電性のない材料で形成される。なお、絶縁膜56は、調光素子55A,55B下の絶縁膜と、調光素子55A,55B間及び調光素子55A,55B上の平坦化膜が一体化したものである。
カラーフィルタ41は調光層54上に、各色セグメントがPD22にそれぞれ対応するように設けられている。カラーフィルタ41の色配列については前述の通りであり、マイクロレンズ57によって集光される光束はカラーフィルタ41を通ることによってR,G,Bのいずれかの色になってPD22に入射する。
マイクロレンズ57は、各PD22に対応するように、カラーフィルタ41上に設けられており、形状は概ね半球である。マイクロレンズ57は、入射光を対応するPD22に集光させる。なお、受光領域11の中心においては、マイクロレンズ57の中心はPD22の中心にほぼ一致しているが、受光領域11の周辺部分にあるものほど主光線角度に応じて受光領域11の中心方向にオフセットして配置(スケーリング)されている。これにより、受光領域11の周辺部分において、PD22に斜めに入射する光束も対応するPD22に効率良く集光される。
図4に示すように、固体撮像装置10は、第1調光制御部61、第2調光制御部62、及びこれらと調光素子55A,55Bをそれぞれ接続する配線63、64を有し、調光素子55Aと調光素子55Bに印加する電圧をそれぞれ独立に制御できるようになっている。
第1調光制御部61は、配線63を介し、必要に応じて調光素子55Aに電圧を印加するための回路であり、制御部17から入力される制御信号に基づいて調光素子55Aに電圧を印加するタイミングや印加する電圧の大きさを調節する。本実施形態においては、第1調光制御部61は、位相差AFを行う場合もその後被写体の撮像を行う場合も、調光素子55Aに印加する電圧を所定電圧に保つ。このため、調光素子55Aは常に透明な状態であり、入射光をほぼ全て透過させる。
第2調光制御部62は、配線64を介し、必要に応じて調光素子55Bに電圧を印加するための回路であり、第1調光制御部62と同様に、制御部17から入力される制御信号に基づいて調光素子55Bに電圧を印加するタイミングや印加する電圧の大きさを調節する。本実施形態では、第2調光制御部62は、位相差AFを行う場合に、調光素子55Bに印加する電圧を零にして不透明な状態にし、調光素子55Bの透過光量を下げる。一方、位相差AFを行った後、被写体を撮像する場合、第2調光制御部62は調光素子55Bに所定電圧を印加して透明な状態にし、調光素子55Bへの入射光を透過させる。
なお、第1調光制御部61及び第2調光制御部62は、制御部17と同様に配線層52の配線52a等によって形成される。一方、第1調光制御部61及び第2調光制御部62と調光素子55A,55Bをそれぞれ接続する配線63,64は、調光層54内に、例えばポリシリコン等によって形成される。このため、第1調光制御部61及び第2調光制御部62と、配線63,64はp型半導体基板53を貫通するビアホール(スルーホールとも言う。図示しない)を介して接続される。
図5に示すように、調光素子55Aは、例えば、SPD(Suspended Particle Device。懸濁粒子デバイスとも言う)であり、一対の透明電極71a,71bと、SPD層72からなる。透明電極71a,71bは、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)からなる。透明電極71aはp型半導体基板53側に設けられた下部電極であり、透明電極71bはカラーフィルタ41及びマイクロレンズ57側に設けられた上部電極である。第1調光制御部61はこれらの透明電極71a,71b間に所定電圧を印加することにより、SPD層72の透過光量を調節する。
SPD層72は、透明な樹脂72aにマイクロカプセル72bが分散配置された層である。樹脂72aは例えば紫外線硬化樹脂からなり、マイクロカプセル72bには配向粒子72c(例えば液晶分子)が封入されている。SPD層72の上下を挟み込む透明電極71a,71bに所定電圧が印加されている場合、図5(A)に示すように、各々の配向粒子72cの配向方向がほぼ整列され、入射光は調光素子55Aを透過する。一方、図5(B)に示すように、透明電極71a,71bに電圧が印加されていない場合、各々の配向粒子71a,71bの配向方向はほぼランダムになる。このため、透明電極71a,71b間に電圧が印加されていない場合、調光素子55Aへの入射光は配向粒子72cに散乱されるので、調光素子55Aは不透明な状態になる。透明電極71a,71bに印加する電圧を零電圧と所定電圧との間で調節することによって、配向粒子72cの配向方向の整列度合いを調節し、調光素子55Aの不透明度を調節することができる。なお、図5では調光素子55Aを示したが、調光素子55Bの構造も調光素子55Aと同じである。
以下、上述のように構成される固体撮像措置10の作用を説明する。図6(A)に示すように、ハイブリッド画素42a,42bの調光素子55A,55Bにともに所定電圧を印加する場合、調光素子55A,55Bは透明である。このため、ハイブリッド画素42a,42bへの入射光71は、調光素子55A,55Bを透過してPD22に到達する。したがって、調光素子55A,55Bに所定電圧を印加する場合、ハイブリッド画素42a,42bは通常画素43として機能する。
一方、図6(B)に示すように、調光素子55Aに所定電圧を印加しつつ、調光素子55Bに印加する電圧を零にすると、調光素子55Aは透明であるが、調光素子55Bは不透明になる。このため、ハイブリッド画素42a,42bへの入射光71は不透明な調光素子55Bによって一部が遮られ、透明な調光素子55Aの部分だけを透過し、PD22に到達する。PD22に到達した光は電子に変換され、前述のように信号電圧として出力され、その信号電圧は入射光の位相差成分に応じた位相差信号となる。したがって調光素子に印加する電圧を制御することで、ハイブリッド画素は位相差画素として機能する。
ハイブリッド画素42aの場合、右側(X方向正側)に調光素子55Aが配置され、左側(X方向負側)に調光素子55Bが配置されているので、入射光71のうち右側半分72aが選択的にPD22到達する。このため、調光素子55Aを透明にし、調光素子55Bを不透明にすることにより、ハイブリッド画素42aは右側からの光束を選択的に受光する位相差画素として機能する。これに対してハイブリッド画素42bの場合、右側に調光素子55Bが配置され、左側に調光素子55Aが配置されているので、ハイブリッド画素42aとは逆に、入射光71のうち左側半分72bが選択的にPD22に到達する。このため、ハイブリッド画素42aと同様に、調光素子55Aを透明にし、調光素子55Bを不透明にする場合、ハイブリッド画素42bは左側からの光束を選択的に受光する位相差画素として機能する。
上述のように、固体撮像装置10は、ハイブリッド画素42a,42bの調光素子55A,55Bの透過光量を各々独立に調節することによって、位相差AFを行う場合にはハイブリッド画素42a,42bを位相差画素として機能させ、位相差AF後に被写体を撮像する場合にはハイブリッド画素42a,42bを通常画素43として機能させることができる。
特に、固体撮像装置10は、ハイブリッド画素42a,42b自体が通常画素としても機能するので、被写体の撮像をする場合にハイブリッド画素42a,42bの画素値をそのまま撮影画像の生成に使用することができる。このため、従来の位相差画素が設けられた固体撮像装置で撮像する場合のように、位相差画素の画素値を補間やゲインの調節等によって、撮影画像に使用可能なものに補正する必要がないので、撮影画像の感度や解像度の低下がない。また、固体撮像装置10には、位相差画素を設けたことによる駆動モードの制限等もなく、従来、位相差画素を有する固体撮像装置では使用できなかった動画の撮影や画素加算をする駆動モードも固体撮像値10では使用可能である。
なお、上述の第1実施形態では、ハイブリッド画素42a,42bを左右方向に二分するように調光素子55A,55Bを設け、位相差AFを行う場合に、ハイブリッド画素42a,42bで左右方向の視差に関する情報を得ているが、調光素子55A,55Bを設ける方向は任意である。例えば、上下方向に調光素子55A,55Bを並べて設けることにより、位相差AFを行う場合にハイブリッド画素42a,42bで上下方向の視差に関する情報を得るようにしても良い。また、斜め45度方向(あるいは135度方向)に調光素子55A,55Bを並べて設けることにより、位相差AFを行う場合にハイブリッド画素42a,42bで斜め方向の視差に関する情報を得るようにしても良い。
なお、上述の第1実施形態では、調光素子55Aに所定電圧を印加して透明にしたまま調光素子55Bに印加する電圧を零にして不透明にし、ハイブリッド画素42aを右側からの光束を選択的に受光する位相差画素として機能させ、ハイブリッド画素42bを左側からの光束を選択的に受光する位相差画素として機能させるが、これとは逆に、調光素子55Aに印加する電圧を零にして不透明にし、調光素子55Bに所定電圧を印加して透明性を保つようにしても良い。この場合、ハイブリッド画素42aは左側からの光束を選択的に受光する位相差画素として機能し、ハイブリッド画素42bは右側からの光束を選択的に受光する位相差画素として機能する。このように、ハイブリッド画素42a,42bをそれぞれ左側,右側からの光束を選択的に受光する位相差画素にする場合も、これらのハイブリッド画素42a,42bから得られる信号に基づいて上述と同様に位相差AFを行うことができる。
なお、上述の第1実施形態では、ハイブリッド画素42a,42bを位相差画素として機能させる場合に、調光素子55Aに所定電圧を印加して透明にし、調光素子55Bを零電圧にして不透明にしているが、調光素子55Bに印加する電圧が調光素子55Aのものよりも低ければ、調光素子55A,55Bに印加する電圧は任意である。例えば、調光素子55Aに所定電圧よりも低い電圧を印加し、調光素子55Bは零電圧にするのではなく、調光素子55Aに印加する電圧よりも低い範囲内で電圧を印加しても良い。すなわち、調光素子55Aと調光素子55Bとで透過光量が異なっていれば、これらから左右の視差に関する情報を得ることができるので、調光素子55A,55bに印加する電圧の大きさ自体は任意に設定することができる。但し、上述の第1実施形態のように、調光素子55Aに所定電圧を印加して最も透過光量が大きくなるようにし、調光素子55Bを零電圧にして最も透過光量が小さくなるようにする場合に、視差の情報が最も正確になる。このため、ハイブリッド画素42a,42bを位相差画素として機能させる場合、調光素子55Aには所定電圧を印加し、調光素子55Bは零電圧にすることが好ましい。
なお、上述の第1実施形態では、カラーフィルタ41の6×6画素の単位において、右上の第1サブユニット41aの左下G画素と、左上の第2サブユニット41bの左下G画素をハイブリッド画素42a,42bにしたが、ハイブリッド画素42a,42bにするG画素の位置は任意である。例えば、右上の第1サブユニット41aの中央のG画素と、左上の第2サブユニット41bの中央のG画素をそれぞれハイブリッド画素42a,42bにしてもよい。
[第2実施形態]
なお、上述の第1実施形態では、ハイブリッド画素42a,42bに2つの調光素子55A,55Bを設けたが、図7に示す固体撮像装置80のように、ハイブリッド画素に、独立に透過光量を制御可能な4つの調光素子を設けても良い。
固体撮像装置80では、カラーフィルタ41の6×6画素の単位のなかに、4つのハイブリッド画素82a,82b,82c,82dを有する。
ハイブリッド画素82aは右上の第1サブユニット41aの左下G画素であり、4つの調光素子85A,85B,85C,85Dが各々に透過光量を調節する。ハイブリッド画素82aの場合、調光素子85A,85B,85C,85Dはそれぞれ右上,左上,左下,右下に設けられる。
ハイブリッド画素82bは左上の第2サブユニット41bの左下G画素であり、ハイブリッド画素82aと同様に4つの調光素子85A,85B,85C,85Dを有する。但し、ハイブリッド画素82bは、調光素子85A〜85Dの配置がハイブリッド画素82aと異なっており、ハイブリッド画素82aのものと水平方向に左右対称に配置される。すなわち、ハイブリッド画素82bでは、調光素子85Aは左上に、調光素子85Bは右上に、調光素子85Cは右下に、調光素子85Dは左下にそれぞれ配置される。
また、ハイブリッド画素82cは左下の第1サブユニット41aの左下G画素であり、ハイブリッド画素82dは右下の第2サブユニット41bの左下G画素である。そして、これらもハイブリッド画素82a,82bと同様に4つの調光素子85A〜85Dを有する。但し、これらの配列が異なっている。
ハイブリッド画素82cの調光素子85A〜85Dはそれぞれ、左下,右下,右上,左上に配置される。すなわち、ハイブリッド画素82cは、調光素子85A〜85Dの配置が同列上方にあるハイブリッド画素82bと上下対称である。また、ハイブリッド画素82aのものと比較すれば、ハイブリッド画素82cの調光素子85A〜85Dの配列は、斜め方向(約135度方向)に対称である。
また、ハイブリッド画素82dの調光素子85A〜85Dは、それぞれ右下,左下,左上,右上に配置され、同列上方にあるハイブリッド画素82aのものに対して上下対称な配列になっている。また、ハイブリッド画素82bのものと比較すれば、ハイブリッド画素82dの調光素子85A〜85Dの配列は、斜め方向(約45度方向)に対称な配列である。
これらのハイブリッド画素82a〜82dは、各画素間に設けられた配線89a,89b,89c,89dを介して、第1調光制御部91,第2調光制御部92,第3調光制御部93,第4調光制御部94にそれぞれ接続される。配線89a〜89dは、第1実施形態と同様にポリシリコン等を用いて調光層54に設けられる。第1〜第4調光制御部91〜94は、配線89a〜89dを介し、必要に応じて調光素子85A〜85Dにそれぞれ独立に電圧を印加するための回路である。第1〜第4調光制御部91〜94は、第1実施形態と同様に配線層52の配線52a等により形成され、配線89a〜89dとは図示しないビアホールを通じて接続される。また、第1〜第4調光制御部91〜94は、制御部17から入力される制御信号に基づいて調光素子85A〜85Dに電圧を印加するタイミングや印加する電圧の大きさをそれぞれ調節する。
上述のように構成される固体撮像装置80は、図8(A)に示すように、調光素子85A〜85Dに全て所定電圧を印加する場合、調光素子85A〜85Dは全て透明なので各ハイブリッド画素82a〜82dは通常画素43として機能する。このため、調光素子85A〜85Dに所定電圧を印加して被写体を撮像することにより、ハイブリッド画素82a〜82dの画素値をゲイン補正等せずにそのまま用いて被写体の画像を生成することができる。
一方、調光素子85Aと調光素子85Dに所定電圧を印加して透明にし、調光素子85Bと調光素子85Cを零電圧にして不透明にすると、入射光71が透過可能な領域は調光素子85A,85Dに対応する領域96R,96Lに制限される。すなわち、カラーフィルタ41の6×6画素の単位でみたときに、右側にある2つのハイブリッド画素82a,82dでは、入射光71が透過可能な領域が右側半分の領域96Rに制限されるので、これらは右側から入射する光束を選択的に受光して光電変換をする位相差画素として機能する。一方、左側にある2つのハイブリッド画素82b,82cでは、入射光71が透過可能な領域が左側半分の領域96Lに制限されるので、これらは左側から入射する光束を選択的に受光して光電変換をする位相差画素として機能する。
したがって、調光素子85Aと調光素子85Dに所定電圧を印加して透明にし、調光素子85Bと調光素子85Cを零電圧にして不透明にすることにより、固体撮像装置80は、左右の視差に基づいた位相差AFを行うことができる。なお、合焦評価は、例えば、ハイブリッド画素82aとハイブリッド画素82bの対や、ハイブリッド画素82dとハイブリッド画素82cの対から得られる信号に基づいて行われる。
図9に示すように、調光素子85Aと調光素子85Bに所定電圧を印加して透明にし、調光素子85Cと調光素子85Dを零電圧にして不透明にすると、入射光71が透過可能な領域は調光素子85A,85Bに対応する領域96U,96Dに制限される。すなわち、カラーフィルタ41の6×6画素の単位でみたときに、上側にある2つのハイブリッド画素82a,82bでは、入射光71が透過可能な領域が上側半分の領域96Uに制限されるので、これらは上側から入射する光束を選択的に受光して光電変換する位相差画素として機能する。一方、下側にある2つのハイブリッド画素82c,82dでは、入射光71が透過可能な範囲が下側半分の領域96Dに制限されるので、これらは下側から入射する光束を選択的に受光して光電変換する位相差画素として機能する。
したがって、調光素子85Aと調光素子85Bに所定電圧を印加して透明にし、調光素子85Cと調光素子85Dを零電圧にして不透明にすることにより、固体撮像装置80は上下の視差に基づいた位相差AFを行うことができる。また、例えば、地平線等、上下方向に変化があるが左右方向に変化が少ない被写体の場合、前述のように左右の視差に基づいて位相差AFを精度良く行えないが、このような被写体を撮像する場合、固体撮像装置80は透明電極85A〜85Dに印加する電圧のパターンを変化させることにより、容易に上下方向の視差に基づく位相差AFに切り換えを行うことも可能である。
また、遮光膜等によって非対称性をつくりだしている従来の固体撮像装置で、左右方向と上下方向の視差に関する情報を両方とも得られるようにする場合、左右方向の視差を検出する位相差画素と、上下方向の視差を検出する位相差画素を予め配置しておかなければならない。このため、左右方向あるいは上下方向の一方向の視差だけを得られるようにする場合の2倍の位相差画素を予め設けなければならないので、ゲイン補正や補間をしなければならない画素が倍増し、感度や解像度の劣化はさらに顕著になりやすい。この従来の固体撮像装置と比較すると、固体撮像装置80では、左右方向と上下方向の示唆に関する情報を任意に得ることができるうえに、被写体を撮像する場合にはハイブリッド画素82a〜82dは通常画素として機能するので、感度や解像度の劣化が特に少ない撮影画像を得ることができる。
なお、上下方向の視差に基づいて位相差AFを行う場合、合焦評価は、例えば、ハイブリッド画素82aとハイブリッド画素82dの対や、ハイブリッド画素82bとハイブリッド画素82cの対から得られる信号に基づいて行われる。
図10に示すように、固体撮像装置80では、調光素子85Aに所定電圧を印加して透明にし、調光素子85B〜85Dを零電圧にして不透明にすることによって、入射光71が透過可能な領域を調光素子85Aに対応する領域96UR,96UL,96DL,96DRに制限することもできる。この場合、ハイブリッド画素82a〜82dは、それぞれ右上,左上,左下,右下の方向から入射する光束を選択的に受光して光電変換をする位相差画素として機能する。このため、例えば、ハイブリッド画素82aとハイブリッド画素82cの対や、ハイブリッド画素82bとハイブリッド画素82dの対から得られる信号に基づいて位相差AFを行うことにより、斜め方向の視差に基づく位相差AFを行うことができる。
なお、図10では調光素子85Aだけを透明にしているが、図11に示すように、調光素子85A,85B,85Dに所定電圧を印加して透明にし、調光素子85Cだけを零電圧にして不透明にしても良い。この場合、各ハイブリッド画素82a〜82dが入射光71を透過可能な領域は、L字型の領域97UR,97UL,97DL,97DRに狭窄される。この場合にも、前述と同様にハイブリッド画素82aとハイブリッド画素82cの対や、ハイブリッド画素82bとハイブリッド画素82dの対から得られる信号に基づいて位相差AFを行うことにより、斜め方向の示唆に基づく位相差AFを行うことができる。また、例えば、調光素子85A所定電圧を印加して透明にし、調光素子85Cを零電圧にして不透明にするとともに、調光素子85B,85Dには中間的な電圧を印加して半透明にするような場合も同様である。
[第3実施形態]
なお、上述の第1,第2実施形態では、ハイブリッド画素の受光領域11内の配置による影響に言及しなかったが、主光線角度は受光領域11の中央部から周辺部にかけて大きくなることが一般的であり、周辺部の画素には斜めに光が入射する。このため、前述のようにマイクロレンズ57の配置はスケーリングされており、斜めに入射する光を効率良くPD22に集光させることができるようになっている。より具体的には、マイクロレンズ57は、対称な構造の通常画素43のPD22への光の入射効率に基づいてスケーリングされる。
一方、位相差画素として機能させる場合のハイブリッド画素は、入射光71が透過可能な領域が制限されるので、実質的に非対称な構造の画素になるが、このような非対称構造を有する画素は、光が斜めに入射することによる感度の低下度合いが通常画素43よりも大きい。このため、通常画素43に合わせてマイクロレンズ57をスケーリングするだけでは、位相差画素として機能させる場合のハイブリッド画素の感度は低下してしまうので、受光領域11の周辺部にあるハイブリッド画素(位相差画素)を用いて位相差AFを行うと、正確性に欠けてしまう場合がある。
具体的には、図12に示すように、受光領域11の中央部と周辺部でハイブリッド画素42aを比較すると、中央部のハイブリッド画素42aCでは主光線角度が小さく、ほぼ正面から光が入射する。このため、調光素子55Bを不透明にすると、例えば、入射光のうち右側の光束101Rの約2/3程度、左側の光束101Lの約1/3が透明な調光素子55Aを透過する。すなわち、全体としては、入射光の約1/2程度の光がPD22に入射する。
また、受光領域11の周辺部にあるハイブリッド画素42aR,42aLでは、主光線角度が大きく、斜めに光が入射する。このため、調光素子55Bを不透明にすると、右側(X方向正側)の周辺部にあるハイブリッド画素42aRでは、右側の光束101Rの約2/3、左側の光束101Lの約2/3が調光素子55Aを透過するので、全体としては入射光の約2/3程度の光がPD22に入射する。また、左側(X方向負側)の周辺部にあるハイブリッド画素42aLでは、右側の光束101Rの約1/3、左側の光束101Lの約1/3が調光素子55Aを透過するので、全体としては入射光の約1/3程度の光がPD22に入射する。
また、図13に示すように、調光素子55A,55Bの配置が逆順になっているハイブリッド画素42bのうち、受光領域11の中央部にあるハイブリッド画素42bCは、調光素子55Bが不透明になると、入射光の約1/2程度の光がPD22に入射する。しかし、受光領域11の右側の周辺部にあるハイブリッド画素42bRでは、入射光の約1/3がPD22に入射し、受光領域11の左側の周辺部にあるハイブリッド画素42bLでは入射光の約2/3がPD22に入射する。なお、図12及び図13では、簡単のためマイクロレンズ57をスケーリングしていないが、マイクロレンズ57をスケーリングしている場合もこの傾向は同様である。
したがって、図14に示すように、受光領域11の周辺部では、通常画素43に対するハイブリッド画素42a,42bの各感度はアンバランスになる。特に位相差画素として機能させる場合、受光領域11の周辺部でハイブリッド画素42a,42bの感度が低いと、位相差AFの演算に十分な信号を得ることが難しくなり、感度が十分な中央部でしか位相差AFを行うことができない場合もある。
そこで、図15に示すように、調光素子55A,55Bの幅(X方向の長さ)を変えて、これらの各面積をハイブリッド画素42a,42bの位置に応じて調節することが好ましい。具体的には、受光領域11の右側に配置されるハイブリッド画素42aRでは、中央部のハイブリッド画素42aCの調光素子55Bの幅W0よりも調光素子55Bの幅W1を伸ばし(W1>W0)、中央部のハイブリッド画素42aCの調光素子55Aの幅W0よりも調光素子55Aの幅W2を縮める(W2<W0)。また、受光領域11の右側に配置されるハイブリッド画素42bRでは、調光素子55Aの幅をW1にし、調光素子55Aの幅をW2にする。左側の周辺部にあるハイブリッド画素42aL,42bLではこの逆である。こうすると、図16に示すようにハイブリッド画素42a,42bの感度を均一化され、周辺部のハイブリッド画素42a,42bを用いた場合でも正確な位相差AFを行うことができる。
なお、ここでは第1実施形態のハイブリッド画素42a,42bを例にしたが、第2実施形態のハイブリッド画素82a〜82dのように4つの透明電極85A〜85Dを用いる場合には、図17に示すように、調光素子85A〜85Dの面積を調節すれば良い。図17では、調光素子85Aにだけ符号を付しているが、各ハイブリッド画素82a〜82dのその他の調光素子85B〜85Dの位置は前述の通りである(図7参照)。
なお、上述の第1〜第3実施形態では、G画素をハイブリッド画素にしたが、図18に示すように、R画素やB画素にもハイブリッド画素にしても良い。もちろん、ハイブリッド画素を全てR画素に形成してもよいし、ハイブリッド画素を全てB画素に形成しても良い。また、R,G,Bのいずれか2種にだけハイブリッド画素を設けても良い。
但し、例えばR,G,Bのうち2色以上にハイブリッド画素42a,42bを形成する場合、色毎に周辺部11bにおける感度の低下量が異なるので、色毎に調光素子55A,55Bの面積の拡大率(縮小率)を変えることが好ましい。色毎に調光素子55A,55Bの面積の拡大率を変えると、通常画素43の感度に対して各色のハイブリッド画素の感度を均一化することができるので、色毎のシェーディング補正等を行う必要がなく、簡便に正確な位相差AFを行うことができる。なお、各色の調光素子55A,55Bの拡大率(縮小率)は、カラーフィルタの特性等に応じて決める。
なお、上述の第1〜第3実施形態では、受光領域11内の一部の画素をハイブリッド画素にしているが、ハイブリッド画素は通常画素としても機能するので、図19に示すように、受光領域11内の全ての画素をハイブリッド画素にしても良い。従来の位相差画素を含む固体撮像装置では、位相差画素が予め所定位置に設けられているため、位相差画素が含まれないエリアの被写体には位相差AFによって焦点を合わせることができない。しかし、上述のように受光領域11内の画素を全てハイブリッド画素にしておけば、任意の箇所の被写体に対して位相差AFで焦点を合わせることができる。
なお、図19では、右側に調光素子55Aが配置されたハイブリッド画素42aと、左側に調光素子55Aが配置されたハイブリッド画素42bを混在させているが、図20に示すように、例えば全画素を、右側に調光素子55Aが配置されたハイブリッド画素42aにしても良い。この場合、例えばあるフレームでは調光素子55Aに所定電圧を印加して透明にし、調光素子55Bを零電圧にして不透明にして、全画素で右側からの光束を選択的に受光して撮像をし、次のフレームでは調光素子55Aを零電圧にして不透明にし、調光素子55Bに所定電圧を印加して透明にして、全画素で左側からの光束を選択的に受光して撮像をする。こうすると、1フレーム目で得た画素値と2フレーム目で得た画素値を用いて位相差AFを行うことができる。また、1フレーム目で得た画像を右目用画像、2フレーム目で得た画像を左目用画像とすれば、立体視用の画像を得ることもできる。すなわち、2D撮影(全画素を通常画素として機能させた場合)と3D撮影を容易に切り換えることができ、かつ、2D撮影画像の解像度も3D撮影画像の解像度も全画素を使用した高解像度画像である。
なお、調光素子55A,55Bは所定電圧を印加した場合に透明であるが、その透明度は可視光を100%透過する透明度ではない場合がある。このため、ハイブリッド画素42a,42bにだけ調光素子55A,55Bを設けておくと、ハイブリッド画素42a,42bを通常画素として機能させるために調光素子55A,55Bを透明にしたとしても、これらが設けられていない通常画素43よりも感度が低くなってしまう場合がある。このため、全ての画素に調光素子55A,55Bを設け、通常画素として機能させる場合の全画素の感度を揃えておくようにしても良い。
なお、上述の第1〜第3実施形態では、1画素に1つのPD22が設けられているが、図21に示すように、2つのPD22に対してカラーフィルタ41の色セグメントやマイクロレンズ75を1つ設け、1画素に2つのPD22が含まれるようにし、各画素は2つのPD22で発生した電荷の合計値に比例する電圧信号を出力するようにしてもよい。この場合、ハイブリッド画素142aでは、一方のPD22上に調光素子55Aを設け、他方のPD22上に調光素子55Bを設ける。調光素子55Aに所定電圧を印加して透明にし、調光素子55Bを零電圧にして不透明にすれば、ハイブリッド画素142aを位相差画素として機能させることができる。第2実施形態のように4つの調光素子85A〜85Dを用いる場合には、1画素に4つのPD22が含まれるようにすればよい。このように、1画素に複数のPD22を含むようにすると、各PD22が独立しているので、各PD22間での電荷の移動がなく、ノイズが少ないのでさらに正確な位相差AFを行うことができる。
このように、1画素に複数のPD22を含むようにする場合には、図22に示すように、画素間等の素子分離領域151をp+で形成した上で、さらにPD22間の素子分離領域152をより添加物が多いp++で形成することが好ましい。こうすると、素子分離領域152のポテンシャルが通常の素子分離領域151よりも高くなるので、2つのPD22間の電荷の移動をより確実に防止することができる。また、同じく図22に示すように、PD22毎に、FD26と読み出しゲート153を設け、2つのPD22の電荷を混合せず、PD22毎に電荷の読み出しを行うようにすればさらによい。
なお、図22では、1画素に2つのPD22を設けた場合を例にしたが、第1〜第3実施形態のように、1つの通常画素43に1つのPD22を設ける場合においても、ハイブリッド画素にする画素だけ、上述のようにPD22を2つに分割しておいてもよい。
なお、上述の第1〜第3実施形態では、固体撮像装置10の画素が正方配列されているが、画素の配列は任意である。例えば、画素配列を図23及び図24のようにハニカム配列にしても良い。また、画素配列をハニカム配列にする場合のカラーフィルタの色配列は任意であるが、例えば、図23及び図24の色配列にすることができる。図23の色配列は、G画素の列と、R画素及びB画素が2個ずつ交互に並んだ列を斜め45度方向に交互に配置した例である。
また、上述の第1〜第3実施形態では、固体撮像装置10の画素が正方配列している場合に、6×6画素を単位としたカラーフィルタ41を用いたが、カラーフィルタ41の色配列は任意である。例えば、画素を正方配列にする場合には、図25に示すように、破線で囲む2×2画素を上下左右に並べたいわゆるベイヤー配列にしてもよい。
なお、上述の第1〜第3実施形態では、位相差画素として機能させる場合に対になるハイブリッド画素が同じ行(第2実施形態では同じ行かつ同じ列)に設けられているが、対になる2つのハイブリッド画素は異なる行(列)に設けられていても良い。
なお、上述の実施形態では、3つのトランジスタTr23,Ta24,Ts25で画素を構成しているが(図1参照)、画素21(通常画素43及び位相差画素42a,42b)は、入射光を各々光電変換し、撮影画像の形成や位相差AFに必要な信号を出力することができればよく、トランジスタの数等は任意である。例えば、画素21は、PD22とFDの間に転送用のトランジスタを設け、4つのトランジスタを用いて構成されていても良い。
なお、上述の第1〜第3実施形態では、p型半導体基板53の裏面に調光層54を設けているが、調光素子によって透過光量の分布を形成することができれば、調光層54の積層順は任意である。例えば、カラーフィルタ41とマイクロレンズ57の間に調光層54を設けても良い。但し、調光素子とPD22の距離が近いほど制御性が良いので、上述の第1〜第3実施形態のように調光層54はp型半導体基板53上に直接設けられていることが好ましい。
なお、上述の第1〜第3実施形態では、固体撮像装置10がCMOSイメージセンサであるが、固体撮像装置10はCCD型イメージセンサでもよい。また、上述の第1〜第3実施形態では、固体撮像装置10が裏面照射型であるが、図26に示すように、固体撮像装置10は表面照射(FSI;front side illuminated)型のイメージセンサでもよい。表面照射型イメージセンサは、p型半導体基板53上に配線層52、カラーフィルタ41、マイクロレンズ57がこの順に積層された構造を有し、配線層52を介して表面側からPD22に光が入射するタイプのイメージセンサである。表面照射型の場合、調光層54は、例えばp型半導体基板53と配線層52の間(p型半導体基板53の表面上)に設ければよい。但し、調光層54の調光素子55A,55Bによって透過光量の分布を形成することができれば、表面照射型の場合でも、調光層54をPD22の下(p型半導体基板53の裏面側)に設けても良い。
なお、上述の第1〜第3実施形態では、調光素子としてSPDを用いたが、透過光量を調節できるものであればSPD以外のものを代わりに用いても良い。例えば、図27に示すエレクトロクロミック素子170をSPDの代わりに調光素子として用いることができる。エレクトロクロミック素子170は、印加する電圧を制御することにより色が変化する素子であり、例えば、下部電極171,酸化発色層172,イオン導電層173,還元発色層174,上部電極175をこの順に積層して形成される。
下部電極171及び上部電極175は、いずれも透明電極であり、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)からなる。下部電極171及び上部電極175にはSnO2やIn2Oを用いても良い。
酸化発色層172は、もともと透明であるが、酸化されることによって発色する層であり、例えば酸化イリジウムからなる。酸化発色層172には、イリジウム、ニッケル、クロム、バナジウム、ルテニウム、ロジウム等の酸化物あるいは水酸化物を用いることができる。酸化発色層172に酸化イリジウムを用いる場合、着色時には灰色になる。
イオン導電層173は、絶縁膜であるが、酸化発色層172と還元発色層174の着色に関与するイオンの良導体(あるいは供給体)である。イオン導電層173は例えば五酸化タンタル(Ta2O5)で形成される。イオン導電層173には、ケイ素、チタン、アルミニウム、ニオブ、ジルコニウム、ハフニウム、ランタン等の酸化物やフッ化マグネシウムを用いることもできる。
還元発色層174は、もともと透明であるが、還元されることによって発色する層であり、例えば、酸化タングステン(WO3)からなる。酸化モリブデン(MoO3)を用いることもできる。還元発色層174に酸化タングステンを用いる場合、着色時には青色になる。
上述のように構成冴えるエレクトロクロミック素子170は、下部電極171及び上部電極175に電圧を印加すると、酸化発色層172及び還元発色層174がそれぞれ酸化,還元され、着色し、不透明になる。
また、図28(A)及び図28(B)に示すように、高分子と液晶の複合デバイス180を調光素子として用いることもできる。高分子液晶複合デバイス180は、例えば、対向する2枚の透明電極181a,181b間に高分子と液晶の複合層182を配置して形成される。透明電極181a,181bは例えばITOからなる。複合層182は、網目状の高分子ネットワーク183の間隙に、ほぼ連続的に液晶分子184が充填されて形成される。
そして、図28(A)に示すように、透明電極181a,181b間に電圧を印加されると、液晶分子184の配向方向が整列され、入射光71が透過する透明な状態になる。一方、図28(B)に示すように、透明電極181a,18b間に電圧を印加しない場合には、液晶分子184は周辺の高分子ネットワーク183に応じてほぼランダムに配向し、入射光71を散乱する。すなわち、透明電極181a,18b間に電圧を印加しない場合、高分子液晶複合デバイス180は不透明な状態になる。
なお、図28では、いわゆるPNLC(Polymer network Liquid Crystal)を示したが、高分子中に液晶分子184が不連続に分布したいわゆるPDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)も同様に調光素子として用いることができる。
さらに、図29に示すように、ポピュラーな液晶表示装置とほぼ同様の構成を有する液晶デバイス190を、SPDの代わりに調光素子として用いても良い。液晶デバイス190は、偏光板191、下部電極192、配向膜193、液晶層194、配向膜195、上部電極196、偏光板197等をこの順に積層して形成される。偏光板191と偏光板197は透過軸が互いに垂直になるように、いわゆるクロスニコル配置されている。配向膜193,195は、下部電極192及び上部電極196間に電圧が印加されていない場合に、液晶層194の液晶分子194aの配向方向をほぼ垂直方向に整える。下部電極192及び上部電極196は透明電極であり、例えばITOで形成される。
上述のように構成される液晶デバイス190は、図29(A)に示すように、一対の電極192,196間に電圧を印加して液晶分子194aを回転させ、水平方向に配向させると、偏光板197を透過した入射光は、液晶分子194aの複屈折性により、偏光板191を透過する偏光面を有するようになる。このため、電極192,196間に電圧を印加した場合、液晶デバイス190は透明な状態になる。一方、図29(B)に示すように、電極192,196間に電圧を印加しない場合、液晶分子194aは配向膜193,195によってほぼ垂直方向に配向する。このため、偏光板197を透過した入射光は、液晶分子194aの複屈折性作用を受けないので、対向する偏光板191を透過することができない。すなわち、電極192,196間に電圧を印加しない場合、液晶デバイス190は不透明な状態になる。
なお、図29では、いわゆるVA型液晶を示したが、TN型、IPS型、MVA型、OCB型等、他の形式の液晶を用いても良い。
なお、上述の第1〜第3実施形態では、原色系のカラーフィルタ41を用いているが、補色系のカラーフィルタを用いても良い。また、カラーフィルタには無色(透明)な色セグメントが含まれていてもよく、ハイブリッド画素がこの無色画素に形成されていてもよい。
なお、上述の第1実施形態では左右方向の視差を得る位相差画素として機能するハイブリッド画素42a,42bを設け、第2実施形態では上下左右,及び斜め方向の視差を得る位相差画素として機能するハイブリッド画素82a〜82dを設けたが、上下方向と左右方向の視差を得る場合には、第1実施形態のハイブリッド画素42a,42bと、ハイブリッド画素42a,42bを90度回転して上下方向の視差を得られるようにしたハイブリッド画素を任意に配置しておいてもよい。
なお、上述の第1〜第3実施形態では、全てのハイブリッド画素42a,42bの調光素子55Aに所定電圧を印加して透明にする等、複数のハイブリッド画素の同じ調光素子に一律に同じ電圧を印加するが、全てのハイブリッド画素の調光素子に印加する電圧を画素毎に制御できるようにしても良い。特に、全画素をハイブリッド画素にする場合(図19,図20参照)に、各画素の透明電極を個別に制御できるようにしてあると、2D撮影と3D撮影の切り換えが容易である。
なお、上述の第1〜第3実施形態では、調光素子が1つのハイブリッド画素に2以上設けられているが、ハイブリッド画素に設ける電極は1つでも良い。例えば、第1実施形態のハイブリッド画素42a,42bの場合、常に透明にしておく調光素子55Aをなくし、調光素子55Bだけを設けてもよい。この場合、調光素子55Bを零電圧にして不透明にすれば、調光素子が設けられていない部分(第1実施形態で調光素子55Aがある部分)だけ入射光71を透過させることができる。このため、調光素子55Bを零電圧にして不透明にすることでハイブリッド画素42a,42bをそれぞれ右光束用位相差画素、左光束用位相差画素として機能させることを予め定めている場合には、上述のように、不透明に制御する調光素子だけを設けてもよい。被写体や撮影の状況等に応じてハイブリッド画素42a,42bを右光束用位相差画素、左光束用位相差画素として機能させたり、逆にハイブリッド画素42a,42bをそれぞれ左光束用位相差画素、右光束用位相差画素として機能させたりする場合には、第1〜第3実施形態のように2以上の調光素子を設けておくことが好ましい。
なお、上述の第1〜第3実施形態では、受光領域11内に満遍なくハイブリッド画素が複数設けられているが、位相差AFを行うためにはハイブリッド画素は少なくとも2個あればよい。3以上のハイブリッド画素を設ける場合には、ハイブリッド画素の個数や配置の分布は任意である。
本発明の固体撮像装置10は、位相差AFを行うものであれば任意の撮像装置に用いることができる。特に、第3実施形態の調光素子55Aの面積を周辺部11bで拡大したものは、薄型のデジタルカメラ、携帯電話機やPDA、スマーフォトン等に搭載されるカメラユニット等、周辺部で主光線角度が大きくなりやすい薄型,小型のものに特に好適である。