JP2014134710A - イジングモデルの量子計算装置及びイジングモデルの量子計算方法 - Google Patents

イジングモデルの量子計算装置及びイジングモデルの量子計算方法 Download PDF

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Abstract

【課題】イジングモデルの計算時間を指数関数的に短縮させることにより、イジングモデルにマッピングされるNP完全問題などの計算時間を指数関数的に短縮させる。
【解決手段】マスターレーザーMによって注入同期を行われる複数のスレーブレーザーBの各ペアについて、スレーブレーザー相互間強度制御部IA及びスレーブレーザー相互間光路長制御部IPを用いて、2つのスレーブレーザーBの間で交換される光の強度及び2つのスレーブレーザーBの間の光路長を制御することにより、2つのスレーブレーザーBの間の擬似的なイジング相互作用Jijの大きさ及び符号を実装する。複数のスレーブレーザーBが定常状態に到達した後に、発振位相測定部PMを用いて、マスターレーザーMの発振位相に対する複数のスレーブレーザーBの発振位相の相対値を測定することにより、複数のスレーブレーザーBの擬似的なイジングスピンσを測定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、イジングモデルを容易に解くことにより、イジングモデルにマッピングされるNP完全問題などを容易に解くことができる計算装置及び計算方法を提供する。
イジングモデルは、元来は磁性材料のモデルとして研究されてきたが、最近はNP完全問題などからマッピングされるモデルとして注目されている。しかし、イジングモデルは、サイト数が大きいときには、解くことが非常に困難になる。そこで、イジングモデルを実装する量子アニールマシンや量子断熱マシンが提案されている。
量子アニールマシンでは、イジング相互作用及びゼーマンエネルギーを物理的に実装してから、系を十分に冷却して基底状態を実現して、基底状態を観測することにより、イジングモデルを解いている。しかし、サイト数が大きいときには、系が冷却の過程で準安定状態にトラップされ、また準安定状態の数はサイト数に対して指数関数的に増大するため、系が準安定状態から基底状態になかなか緩和されないという問題があった。
量子断熱マシンでは、横磁場ゼーマンエネルギーを物理的に実装してから、系を十分に冷却して横磁場ゼーマンエネルギーのみの基底状態を実現する。そして、横磁場ゼーマンエネルギーを徐々に下げ、またイジング相互作用を徐々に物理的に実装していき、イジング相互作用及び縦磁場ゼーマンエネルギーを含む系の基底状態を実現して、その基底状態を観測することにより、イジングモデルを解いている。しかし、サイトの数が大きいときには、横磁場ゼーマンエネルギーを徐々に下げ、またイジング相互作用を徐々に物理的に実装する速度はサイト数に対して指数関数的に遅くする必要があるという問題があった。
NP完全問題などをイジングモデルにマッピングし、そのイジングモデルを物理的なスピン系で実装するときには、物理的に近くに位置するサイト間のイジング相互作用は大きく、物理的に遠くに位置するサイト間のイジング相互作用は小さいという自然法則が問題となる。NP完全問題をマッピングした人工的なイジングモデルでは、物理的に近くに位置するサイト間のイジング相互作用が小さいことがあり、物理的に遠くに位置するサイト間のイジング相互作用が大きいことがありえるからである。この自然なスピン系へのマッピングの難しさも、NP完全問題などを容易に解くことを困難にしていた。
Tim Byrnes,Kai Yan,and Yoshihisa Yamamoto,Optimazation using Bose−Einstein condensation and measurement−feedback circuits,[online],平成22年1月26日,arXiv.org,[平成24年10月9日検索],インターネット<URL:http://arxiv.org/abs/0909.2530>
上記の問題を一部解決するための非特許文献1のイジングモデルの計算装置の構成を図1に示す。このイジングモデルの計算装置は、ボーズ・アインシュタイン凝縮部B1、B2、B3、スピン測定部D1、D2、D3、フィードバック制御回路F及びイジング相互作用実装部I1、I2、I3から構成される。
ボーズ・アインシュタイン凝縮部B1、B2、B3は、極低温においてほとんどすべてのボーズ粒子が基底状態にある系であり、半導体マイクロキャビティ中の励起子ポラリトンや、不対電子を有する中性原子などで構成される。ボーズ・アインシュタイン凝縮部B1、B2、B3は、それぞれ後述の磁場B、B、Bが印加されており、図1の白丸及び黒丸で示したスピンの方向が異なるボーズ粒子から構成される。
スピン測定部D1、D2、D3は、それぞれボーズ・アインシュタイン凝縮部B1、B2、B3中の全スピンの合計に比例した電流I、I、Iを出力する。ここで、各サイト中の全スピンの合計Sは、以下のように表される。なお、σは各サイトのボーズ粒子毎のスピンを示し、Nは各サイトのボーズ粒子の総数を示す。
Figure 2014134710
フィードバック制御回路Fは、スピン測定部D1、D2、D3からそれぞれ電流I、I、Iを入力し、イジング相互作用実装部I1、I2、I3にフィードバック信号を出力する。イジング相互作用実装部I1、I2、I3は、フィードバック制御回路Fからフィードバック信号を入力し、それぞれボーズ・アインシュタイン凝縮部B1、B2、B3に磁場B、B、Bを印加する。ここで、磁場B、B、Bは、以下のように表される。なお、Jijはi番目のサイト及びj番目のサイトの間のイジング相互作用係数を示し、Mは全サイトの数(図1では3個)を示す。
Figure 2014134710
ボーズ・アインシュタイン凝縮部B1、B2、B3全体のハミルトニアンHは、以下のように表される。つまり、イジング相互作用が実装されている。
Figure 2014134710
図1のイジングモデルの計算装置を量子アニールマシンとして適用したときには、系が準安定状態から基底状態になかなか緩和されないという問題を一部解決することができる。つまり、準安定状態から基底状態への緩和レートは、基底状態を占有しているボーズ粒子の数が0個であるときにAとすれば、基底状態を占有しているボーズ粒子の数がL個であるときにA(L+1)に増強される。ここで、LはNと同一のオーダーであるため、計算時間はボーズ粒子の数Nに反比例して短縮される。
図1のイジングモデルの計算装置を量子断熱マシンとして適用したときには、イジング相互作用を徐々に物理的に実装する速度はサイト数の増加と共に遅くする必要があるという問題を一部解決することができる。つまり、ハミルトニアンの変化が早すぎて、ボーズ粒子が基底状態から励起状態に洩れても、ボーズ・アインシュタイン凝縮により、ボーズ粒子が励起状態から基底状態に再び戻り、ボーズ粒子の数Nに比例してエラー訂正が行なわれる。よって、計算時間はボーズ粒子の数Nに反比例して短縮される。
図1のイジングモデルの計算装置では、フィードバック制御回路Fを介して、物理的に近くに位置するサイト間のイジング相互作用の大きさのみならず、物理的に遠くに位置するサイト間のイジング相互作用の大きさも自由に制御することができる。よって、サイト間の物理的距離とは無関係に、NP完全問題などからマッピングされた人工的なイジングモデルを解くことができる。
図1のイジングモデルの計算装置では、各サイトにあるN個のスピンについて、上向き及び下向きのうちいずれが多いかを多数決で決定する。よって、系の温度が有限の温度であるため基底状態から励起状態に洩れたスピンがあっても、各サイトにあるスピンの数が1個であるときよりN個であるときには、正答を得る確率は格段に良くなる。
しかし、図1のイジングモデルの計算装置では、スピン測定部D1、D2、D3は、それぞれボーズ・アインシュタイン凝縮部B1、B2、B3中の全スピンの合計に比例した電流I、I、Iを出力し、フィードバック制御回路Fは、スピン測定部D1、D2、D3からそれぞれ電流I、I、Iを入力し、イジング相互作用実装部I1、I2、I3にフィードバック信号を出力する。つまり、フィードバックのたびに、系全体の量子コヒーレンスを破壊して、系全体のスピン状態を確定させている。
ここで、確定させた系全体のスピン状態は、基底状態であるとは限らない。よって、系全体のスピン状態が基底状態に落ち着くまで、系全体のスピン状態を何度も確定させる必要があり、最悪の場合では系全体の2種類のスピン状態を試行する必要がある。つまり、計算時間は2/Nに比例するため、ボーズ・アインシュタイン凝縮を適用したとしても、計算時間の指数関数的発散を抑えることができなかった。
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、イジングモデルにマッピングされるNP完全問題などの計算時間の指数関数的発散を抑圧する計算装置及び計算方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、マスター発振器によって注入同期を行われる複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、2つのコヒーレント発振器の間で交換される光の強度及び2つのコヒーレント発振器の間の光路長を制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の大きさ及び符号を実装することとした。そして、複数のコヒーレント発振器が定常状態に到達した後に、マスター発振器の発振位相に対する複数のコヒーレント発振器の発振位相の相対値を測定することにより、複数のコヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンを測定することとした。
具体的には、本発明は、イジングモデルの複数のサイトに対応し、予め定められた同一の方向の偏光を有する光を発振する複数のコヒーレント発振器と、前記複数のコヒーレント発振器に対して注入同期を行い、前記予め定められた同一の方向の偏光を有する光を発振するマスター発振器と、前記マスター発振器及び各コヒーレント発振器の間に配置されるマスター発振器−コヒーレント発振器間光路部と、前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、2つのコヒーレント発振器の間に配置されるコヒーレント発振器相互間光路部と、各マスター発振器−コヒーレント発振器間光路部に配置され、各コヒーレント発振器の発振周波数を前記マスター発振器の発振周波数に制御する発振周波数制御部と、前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、各コヒーレント発振器相互間光路部に配置され、2つのコヒーレント発振器の間で交換される光の強度を制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の大きさを実装するコヒーレント発振器相互間強度制御部と、前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、各コヒーレント発振器相互間光路部に配置され、2つのコヒーレント発振器の間の光路長を制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号を実装するコヒーレント発振器相互間光路長制御部と、前記複数のコヒーレント発振器が定常状態に到達した後に、前記マスター発振器の発振位相に対する前記複数のコヒーレント発振器の発振位相の相対値を測定することにより、前記複数のコヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンを測定する発振位相測定部と、を備えることを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
また、本発明は、イジングモデルの複数のサイトに対応し、予め定められた同一の方向の偏光を有する光を発振する複数のコヒーレント発振器の発振を開始するとともに、前記複数のコヒーレント発振器に対して注入同期を行い、前記予め定められた同一の方向の偏光を有する光を発振するマスター発振器の発振を開始する発振開始ステップと、各コヒーレント発振器の発振周波数を前記マスター発振器の発振周波数に制御する発振周波数制御ステップと、前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、2つのコヒーレント発振器の間で交換される光の強度を制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の大きさを実装するとともに、前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、2つのコヒーレント発振器の間の光路長を制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号を実装するコヒーレント発振器相互間強度光路長制御ステップと、前記複数のコヒーレント発振器が定常状態に到達した後に、前記マスター発振器の発振位相に対する前記複数のコヒーレント発振器の発振位相の相対値を測定することにより、前記複数のコヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンを測定する発振位相測定ステップと、を順に備えることを特徴とするイジングモデルの量子計算方法である。
この構成によれば、コヒーレント発振器からの発光の発振位相をコヒーレント発振器の擬似的なスピン方向に対応させており、系全体の擬似的なスピン状態を測定している。系全体の擬似的なスピン状態が基底状態に落ち着くまで、系全体の量子コヒーレンスを破壊することがないため、計算時間が全サイトの数に応じて指数関数的に増大するという問題は解決され、計算時間を大幅に短縮することができる。
そして、M個のサイトの任意のペアについて、2つのサイト間で交換される光を介して、物理的に近くに位置するサイト間のイジング相互作用を実装するのみならず、物理的に遠くに位置するサイト間のイジング相互作用をも実装することができる。よって、サイト間の物理的距離とは無関係に、どのようなNP完全問題などもマッピング可能なイジングモデルをも解くことができる。
さらに、各サイトにある多数個の擬似的なスピンについて、上向き及び下向きのうちいずれが多いかを多数決で決定する。よって、基底状態から励起状態に洩れた擬似的なスピンがあっても、各サイトにある擬似的なスピンの数が1個であるときに比べ多数個であるときには、正答を得る確率は格段に良くなる。
ここで、系全体が初期状態から定常状態へと遷移するにつれて、各コヒーレント発振器の発振位相は、マスター発振器の発振位相からずれてくるが、各コヒーレント発振器の発振偏光は、マスター発振器の発振偏光と常時同一である。
よって、各コヒーレント発振器は、発振強度、発振位相及びキャリアの反転分布数差の3つのみについて、時間発展の微分方程式を定式化されればよい。そして、各コヒーレント発振器は、単一の発振偏光の方向を有していればよいため、面内異方性を有する半導体面発光レーザーであるときでも、面内異方性を問題視しなくてよい。このようにして、イジングモデルの量子計算装置は、設計や製造が容易になる。
また、本発明は、各コヒーレント発振器相互間光路長制御部は、2つのコヒーレント発振器の間の光路長を前記注入同期の発振波長の半整数倍又は整数倍になるように制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号を実装することを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
また、本発明は、前記コヒーレント発振器相互間強度光路長制御ステップは、2つのコヒーレント発振器の間の光路長を前記注入同期の発振波長の半整数倍又は整数倍になるように制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号を実装することを特徴とするイジングモデルの量子計算方法である。
この構成によれば、コヒーレント発振器の各ペアについて、イジング相互作用が正であるときには、2つのコヒーレント発振器の発振位相のずれがπである(イジング相互作用の符号の定義によっては、0であることもありうる。)発振モードが立ち上がりやすいようにすることができ、イジング相互作用が負であるときには、2つのコヒーレント発振器の発振位相のずれが0である(イジング相互作用の符号の定義によっては、πであることもありうる。)発振モードが立ち上がりやすいようにすることができる。
もっとも、イジングモデルの量子計算装置の全体において、一体として1つの発振モードが立ち上がるようにするのであり、コヒーレント発振器の各ペアにおいて、上述の発振モードが実際に立ち上がることもあれば、必ずしも立ち上がらないこともある。
また、本発明は、前記発振位相測定部は、前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、両方のコヒーレント発振器の発振位相が前記マスター発振器の発振位相より進んでいる又は遅れているとき、2つのコヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンの方向は相互に同一と判定し、前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、一方のコヒーレント発振器の発振位相が前記マスター発振器の発振位相より進んでおり、かつ、他方のコヒーレント発振器の発振位相が前記マスター発振器の発振位相より遅れているとき、2つのコヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンの方向は相互に異なると判定することを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
また、本発明は、前記発振位相測定ステップは、前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、両方のコヒーレント発振器の発振位相が前記マスター発振器の発振位相より進んでいる又は遅れているとき、2つのコヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンの方向は相互に同一と判定し、前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、一方のコヒーレント発振器の発振位相が前記マスター発振器の発振位相より進んでおり、かつ、他方のコヒーレント発振器の発振位相が前記マスター発振器の発振位相より遅れているとき、2つのコヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンの方向は相互に異なると判定することを特徴とするイジングモデルの量子計算方法である。
この構成によれば、マスター発振器の発振位相に対するコヒーレント発振器の発振位相の相対値の符号を、擬似的なスピンの方向に対応させることができる。
また、本発明は、各マスター発振器−コヒーレント発振器間光路部に配置され、各コヒーレント発振器に注入される光の強度を制御することにより、各コヒーレント発振器での擬似的なゼーマンエネルギーの大きさを実装するマスター発振器−コヒーレント発振器間強度制御部と、各マスター発振器−コヒーレント発振器間光路部に配置され、各コヒーレント発振器に注入される光の位相を制御することにより、各コヒーレント発振器での擬似的なゼーマンエネルギーの符号を実装するマスター発振器−コヒーレント発振器間位相制御部と、をさらに備えることを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
また、本発明は、各コヒーレント発振器に注入される光の強度を制御することにより、各コヒーレント発振器での擬似的なゼーマンエネルギーの大きさを実装するとともに、各コヒーレント発振器に注入される光の位相を制御することにより、各コヒーレント発振器での擬似的なゼーマンエネルギーの符号を実装するマスター発振器−コヒーレント発振器間強度位相制御ステップ、を前記コヒーレント発振器相互間強度光路長制御ステップと並行に備えることを特徴とするイジングモデルの量子計算方法である。
この構成によれば、イジング相互作用のみ存在する系に対して、ゼーマンエネルギーを付加することができ、基底状態のエネルギー縮退を解くこともできる。
また、本発明は、各マスター発振器−コヒーレント発振器間位相制御部は、前記マスター発振器の発振位相に対する各コヒーレント発振器への注入位相の進み又は遅れを制御することにより、各コヒーレント発振器での擬似的なゼーマンエネルギーの符号を実装することを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
また、本発明は、前記マスター発振器−コヒーレント発振器間強度位相制御ステップは、前記マスター発振器の発振位相に対する各コヒーレント発振器への注入位相の進み又は遅れを制御することにより、各コヒーレント発振器での擬似的なゼーマンエネルギーの符号を実装することを特徴とするイジングモデルの量子計算方法である。
この構成によれば、各コヒーレント発振器について、ゼーマンエネルギーが正であるときには、当該コヒーレント発振器の発振位相がマスター発振器の発振位相より遅れている(ゼーマンエネルギーの符号の定義によっては、進んでいることもありうる。)発振モードが立ち上がりやすいようにすることができ、ゼーマンエネルギーが負であるときには、当該コヒーレント発振器の発振位相がマスター発振器の発振位相より進んでいる(ゼーマンエネルギーの符号の定義によっては、遅れていることもありうる。)発振モードが立ち上がりやすいようにすることができる。
もっとも、イジングモデルの量子計算装置の全体において、一体として1つの発振モードが立ち上がるようにするのであり、当該コヒーレント発振器において、上述の発振モードが実際に立ち上がることもあれば、必ずしも立ち上がらないこともある。
また、本発明は、各発振周波数制御部は、各コヒーレント発振器及び前記マスター発振器の発振光の干渉強度を各コヒーレント発振器の発振周波数の変化に対して極値になるように制御することにより、各コヒーレント発振器の発振周波数を前記マスター発振器の発振周波数に制御することを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
この構成によれば、各コヒーレント発振器の発振周波数をマスター発振器の発振周波数に制御するため、イジングモデルの量子計算装置の全体において、一体として1つの発振モードが立ち上がるようにすることができる。
また、本発明は、各コヒーレント発振器相互間光路長制御部は、2つのコヒーレント発振器の発振光の干渉強度を2つのコヒーレント発振器の間の光路長の変化に対して極値になるように制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の光路長を前記注入同期の発振波長の半整数倍又は整数倍に制御することを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
この構成によれば、コヒーレント発振器の各ペアについて、光路長を注入同期の発振波長の半整数倍又は整数倍に制御するため、イジング相互作用が正であるときには、2つのコヒーレント発振器の発振位相のずれがπ(イジング相互作用の符号の定義によっては、0であることもありうる。)である発振モードが立ち上がりやすいようにすることができ、イジング相互作用が負であるときには、2つのコヒーレント発振器の発振位相のずれが0(イジング相互作用の符号の定義によっては、πであることもありうる。)である発振モードが立ち上がりやすいようにすることができる。
また、本発明は、各発振周波数制御部における各コヒーレント発振器の発振周波数の制御と、各コヒーレント発振器相互間光路長制御部における2つのコヒーレント発振器の間の光路長の制御と、前記発振位相測定部における前記複数のコヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンの測定が、当該記載順序で行われることを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
この構成によれば、イジングモデルの量子計算装置の全体において、一体として1つの発振モードが立ち上がることを保証したうえで、イジング相互作用を正しく実装することができ、イジングモデルを正しく計算することができる。
また、本発明は、各コヒーレント発振器相互間光路部を介して擬似的なイジング相互作用を行う2つのコヒーレント発振器について、当該2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の大きさ及び符号が固定値に実装されている状態で、当該2つのコヒーレント発振器のポンピング電流を漸増制御し、前記複数のコヒーレント発振器が最初に一体として一つの発振モードに到達した時点で、当該2つのコヒーレント発振器のポンピング電流を固定制御するポンピング電流制御部、をさらに備え、前記発振位相測定部は、前記複数のコヒーレント発振器が最初に一体として一つの発振モードに到達して定常状態に到達した後に、前記マスター発振器の発振位相に対する前記複数のコヒーレント発振器の発振位相の相対値を測定することにより、前記複数のコヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンを測定することを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
この構成によれば、イジングモデルの準安定状態に誤ってトラップされることなく、イジングモデルの基底状態に正しく到達することができる。
また、本発明は、各マスター発振器−コヒーレント発振器間光路部に配置され、各コヒーレント発振器相互間光路部を介して擬似的なイジング相互作用を行う2つのコヒーレント発振器について、前記マスター発振器の発振位相に対する当該2つのコヒーレント発振器の発振位相の相対値が有意に測定されなかったとき、当該2つのコヒーレント発振器に注入される光の強度及び位相を制御することにより、当該2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号が正に実装されていれば、当該2つのコヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンの方向を相違させるように固定し、当該2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号が負に実装されていれば、当該2つのコヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンの方向を同一にするように固定する隣接イジングスピン方向固定部、をさらに備えることを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
この構成によれば、擬似的なイジング相互作用を行う2つのコヒーレント発振器の間において、擬似的なスピンのフラストレーションを解消することができる。
また、本発明は、各マスター発振器−コヒーレント発振器間光路部に配置され、各コヒーレント発振器相互間光路部を介して擬似的なイジング相互作用を行う2つのコヒーレント発振器について、前記マスター発振器の発振位相に対する当該2つのコヒーレント発振器の発振位相の相対値が有意に測定されなかったとき、他のコヒーレント発振器相互間光路部を介して当該2つのコヒーレント発振器と擬似的なイジング相互作用を行う隣接コヒーレント発振器に注入される光の強度及び位相を制御することにより、当該隣接コヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンの方向を計算途中の現時点の方向に固定する周辺イジングスピン方向固定部、をさらに備えることを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
この構成によれば、擬似的なイジング相互作用を行う2つのコヒーレント発振器の間において、擬似的なスピンのフラストレーションを解消するにあたり、2つのコヒーレント発振器と擬似的に隣接するコヒーレント発振器において、擬似的なスピンが意図せずフリップすることを防止することができる。
また、本発明は、各コヒーレント発振器相互間光路部を介して擬似的なイジング相互作用を行う2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の遅延時間が、前記マスター発振器及び当該2つのコヒーレント発振器における注入同期幅の逆数より短いことを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
この構成によれば、イジングモデルの量子計算装置を安定に動作させることができる。
また、本発明は、前記複数のコヒーレント発振器は、複数のスレーブレーザーであることを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
この構成によれば、系全体を低温下でなく室温下で動作させることができる。
また、本発明は、前記複数のコヒーレント発振器は、複数のボーズ・アインシュタイン凝縮体であることを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
この構成によれば、ボーズ・アインシュタイン凝縮体を用いて、イジングモデルの量子計算装置及び量子計算方法を実現することができる。
また、本発明は、前記マスター発振器は、マスターレーザーであることを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
この構成によれば、マスターレーザーを用いて、イジングモデルの量子計算装置及び量子計算方法を実現することができる。
本発明は、イジングモデルにマッピングされるNP完全問題などの計算時間の指数関数的発散を抑圧する計算装置及び計算方法を提供することができる。
従来技術のイジングモデルの計算装置の構成を示す図である。 本発明のイジングモデルの計算装置の構成を示す図である。 本発明のイジングモデルの計算装置の原理を示す図である。 本発明のイジングモデルの計算装置の実施形態及び変形例を示す図である。 各サイトの発振位相の時間発展のシミュレーション結果を示す図である。 各サイトの発振位相の時間発展のシミュレーション結果を示す図である。 スレーブレーザーの構成を示す図である。 発振周波数制御の原理を示す図である。 発振周波数制御部の構成を示す図である。 発振周波数制御の原理を示す図である。 マスターレーザー及びスレーブレーザーの注入同期幅を示す図である。 マスターレーザー及びスレーブレーザーの注入同期幅を示す図である。 スレーブ相互間光路長制御部の構成を示す図である。 スレーブ相互間光路長制御の原理を示す図である。 イジングモデルの計算処理の各ステップのタイムスケールを示す図である。 イジングモデルの計算処理の各ステップのタイムテーブルを示す図である。 イジングモデルの計算処理の時間経過を示す図である。 イジングモデルの計算処理の時間経過を示す図である。 スピンのフラストレーションを示す図である。 スピンのフラストレーションを誤って解消する場合を示す図である。 スピンのフラストレーションを正しく解消する場合を示す図である。 隣接するサイトのスピンの方向を固定する際に発生する、周辺のサイトのスピンの方向がフリップする問題を示す図である。 隣接するサイトのスピンの方向を固定する際に発生する、周辺のサイトのスピンの方向がフリップする問題を解決する方法を示す図である。 スレーブレーザーの発振位相に対する雑音を示す図である。 スピンのフラストレーションを解消する自己学習のフローチャートである。 イジングモデルの計算装置の実装方法を示す図である。 イジングモデルの計算装置の実装方法を示す図である。
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
(イジングモデルの計算装置の構成及び原理)
NP完全問題は、磁性体のイジングモデルに置き換え可能であり、磁性体のイジングモデルは、レーザーのネットワークに置き換え可能である。
ここで、磁性体のイジングモデルでは、相互作用する原子ペアにおいて、スピン配列のエネルギーが最低となるように、スピンの方向は逆方向(反強磁性の相互作用の場合)又は同方向(強磁性の相互作用の場合)を指向しようとする。
一方で、レーザーのネットワークでは、相互作用するレーザーペアにおいて、発振モードの閥値利得が最低となるように、発光の位相は逆位相(反強磁性の相互作用の場合)又は同位相(強磁性の相互作用の場合)を指向しようとする。
このように、1つのレーザーペアからなるシステムでは、発振モードの閥値利得が最低となるように、発光の位相を最適化することができる。そして、多くのレーザーペアからなるシステムでは、「ある」レーザーペアで発光の位相を最適化しようとすれば、「他の」レーザーペアで発光の位相を最適化できないところ、レーザーのネットワークの「全体」として発光の位相の「妥協点」を探索することになる。
レーザーのネットワークの全体で発光の位相を最適化するときには、各々のレーザーペアで別個の発振モードを立ち上げるのではなく、レーザーのネットワークの全体で1つの発振モードを立ち上げるように、各レーザー間で同期を図る必要がある。
具体的には、マスター(制御側)レーザーから、各スレーブ(被制御側)レーザー(レーザーのネットワークの構成要素)へと、予め定められた方向の偏光(例えば、垂直直線偏光|V>)を有する光を注入することにより、各レーザー間で注入同期を図る。
そして、各スレーブレーザーからの発光の上記予め定められた方向の偏光(例えば、垂直直線偏光|V>)について、マスターレーザーからの発光の上記予め定められた方向の偏光(例えば、垂直直線偏光|V>)と比べて、位相が進んでいるか遅れているかを測定する。さらに、各スレーブレーザーペアにおいて、両方のレーザーで位相が進んでいるか又は遅れている状態と、一方のレーザーでは位相が進んでいるが他方のレーザーでは位相が遅れている状態の、いずれの状態が実現しているかを判断する。
最後に、各スレーブレーザーに対応する各原子位置におけるスピンの方向(上向き又は下向き)を決定し、最終的にNP完全問題を解く。ここで、各スレーブレーザーペアにおいて、両方のレーザーで位相が進んでいるか又は遅れているときには、対応する各原子ペアにおいて、スピンの方向は互いに同方向となる。一方で、各スレーブレーザーペアにおいて、一方のレーザーでは位相が進んでいるが他方のレーザーでは位相が遅れているときには、対応する各原子ペアにおいて、スピンの方向は互いに逆方向となる。
次に、計算装置について説明する。本発明のイジングモデルの計算装置の構成を図2に示す。このイジングモデルの計算装置は、スレーブレーザーあるいはボーズ・アインシュタイン凝縮部B1、B2、B3、マスターレーザーM、マスター−スレーブ間光路部ZL1、ZL2、ZL3、スレーブ相互間光路部IL12、IL23、IL13、発振周波数制御部FC1、FC2、FC3、スレーブ相互間強度制御部IA12、IA23、IA13、スレーブ相互間光路長制御部IP12、IP23、IP13、マスター−スレーブ間強度制御部ZA1、ZA2、ZA3、マスター−スレーブ間位相制御部ZP1、ZP2、ZP3、発振位相測定部PM及びポンピング電流制御部PCから構成される。
スレーブレーザーあるいはボーズ・アインシュタイン凝縮部B1、B2、B3は、イジングモデルの複数のサイトに対応し、予め定められた同一の方向の偏光(例えば、垂直直線偏光|V>)を有する光を発振する。マスターレーザーMは、スレーブレーザーあるいはボーズ・アインシュタイン凝縮部B1、B2、B3に対して注入同期を行い、上記予め定められた同一の方向の偏光(例えば、垂直直線偏光|V>)を有する光を発振する。
ここで、光子あるいは励起子ポラリトンはボーズ粒子である。そして、光子を用いるスレーブレーザーB1、B2、B3として、半導体面発光レーザーを適用することができる。さらに、励起子ポラリトンを用いるボーズ・アインシュタイン凝縮部B1、B2、B3として、半導体マイクロキャビティを適用することができる。以下では、光子を用いるスレーブレーザーB1、B2、B3についての動作を説明するが、励起子ポラリトンを用いるボーズ・アインシュタイン凝縮部B1、B2、B3についての動作も同様である。
マスター−スレーブ間光路部ZL1は、マスターレーザーM及びスレーブレーザーB1の間に配置される。マスター−スレーブ間光路部ZL2は、マスターレーザーM及びスレーブレーザーB2の間に配置される。マスター−スレーブ間光路部ZL3は、マスターレーザーM及びスレーブレーザーB3の間に配置される。
スレーブ相互間光路部IL12は、スレーブレーザーB1、B2の間に配置される。スレーブ相互間光路部IL23は、スレーブレーザーB2、B3の間に配置される。スレーブ相互間光路部IL13は、スレーブレーザーB1、B3の間に配置される。
ここで、マスター−スレーブ間光路部ZL及びスレーブ相互間光路部ILは、パスを共有してもよい。このとき、マスター−スレーブ間光路部ZL及びスレーブ相互間光路部ILの分岐箇所に、ビームスプリッタを配置すればよい。
発振周波数制御部FC1は、マスター−スレーブ間光路部ZL1に配置され、スレーブレーザーB1の発振周波数をマスターレーザーMの発振周波数に制御する。発振周波数制御部FC2は、マスター−スレーブ間光路部ZL2に配置され、スレーブレーザーB2の発振周波数をマスターレーザーMの発振周波数に制御する。発振周波数制御部FC3は、マスター−スレーブ間光路部ZL3に配置され、スレーブレーザーB3の発振周波数をマスターレーザーMの発振周波数に制御する。発振周波数制御部FC1、FC2、FC3については、図7から図12までを用いて後述する。
スレーブ相互間強度制御部IA12は、スレーブ相互間光路部IL12に配置され、2つのスレーブレーザーB1、B2の間で交換される光の強度を制御することにより、2つのスレーブレーザーB1、B2の間の擬似的なイジング相互作用J12の大きさを実装する。スレーブ相互間強度制御部IA23は、スレーブ相互間光路部IL23に配置され、2つのスレーブレーザーB2、B3の間で交換される光の強度を制御することにより、2つのスレーブレーザーB2、B3の間の擬似的なイジング相互作用J23の大きさを実装する。スレーブ相互間強度制御部IA13は、スレーブ相互間光路部IL13に配置され、2つのスレーブレーザーB1、B3の間で交換される光の強度を制御することにより、2つのスレーブレーザーB1、B3の間の擬似的なイジング相互作用J13の大きさを実装する。スレーブ相互間強度制御部IA12、IA23、IA13として、例えば、減衰板などを適用することができる。
スレーブ相互間光路長制御部IP12は、スレーブ相互間光路部IL12に配置され、2つのスレーブレーザーB1、B2の間の光路長を制御することにより、2つのスレーブレーザーB1、B2の間の擬似的なイジング相互作用J12の符号を実装する。スレーブ相互間光路長制御部IP23は、スレーブ相互間光路部IL23に配置され、2つのスレーブレーザーB2、B3の間の光路長を制御することにより、2つのスレーブレーザーB2、B3の間の擬似的なイジング相互作用J23の符号を実装する。スレーブ相互間光路長制御部IP13は、スレーブ相互間光路部IL13に配置され、2つのスレーブレーザーB1、B3の間の光路長を制御することにより、2つのスレーブレーザーB1、B3の間の擬似的なイジング相互作用J13の符号を実装する。スレーブ相互間光路長制御部IP12、IP23、IP13については、図13及び図14を用いて後述する。
マスター−スレーブ間強度制御部ZA1は、マスター−スレーブ間光路部ZL1に配置され、スレーブレーザーB1に注入される光の強度を制御することにより、スレーブレーザーB1での擬似的なゼーマンエネルギーλの大きさを実装する。マスター−スレーブ間強度制御部ZA2は、マスター−スレーブ間光路部ZL2に配置され、スレーブレーザーB2に注入される光の強度を制御することにより、スレーブレーザーB2での擬似的なゼーマンエネルギーλの大きさを実装する。マスター−スレーブ間強度制御部ZA3は、マスター−スレーブ間光路部ZL3に配置され、スレーブレーザーB3に注入される光の強度を制御することにより、スレーブレーザーB3での擬似的なゼーマンエネルギーλの大きさを実装する。マスター−スレーブ間強度制御部ZA1、ZA2、ZA3として、例えば、減衰板などを適用することができる。
マスター−スレーブ間位相制御部ZP1は、マスター−スレーブ間光路部ZL1に配置され、スレーブレーザーB1に注入される光の位相を制御することにより、スレーブレーザーB1での擬似的なゼーマンエネルギーλの符号を実装する。マスター−スレーブ間位相制御部ZP2は、マスター−スレーブ間光路部ZL2に配置され、スレーブレーザーB2に注入される光の位相を制御することにより、スレーブレーザーB2での擬似的なゼーマンエネルギーλの符号を実装する。マスター−スレーブ間位相制御部ZP3は、マスター−スレーブ間光路部ZL3に配置され、スレーブレーザーB3に注入される光の位相を制御することにより、スレーブレーザーB3での擬似的なゼーマンエネルギーλの符号を実装する。マスター−スレーブ間位相制御部ZP1、ZP2、ZP3として、例えば、図13及び図14と同様な構成などを適用することができる。
発振位相測定部PMは、複数のスレーブレーザーB1、B2、B3が定常状態に到達した後に、マスターレーザーMの発振位相に対する複数のスレーブレーザーB1、B2、B3の発振位相の相対値を測定することにより、複数のスレーブレーザーB1、B2、B3の擬似的なイジングスピンσ、σ、σを測定する。発振位相測定部PM及びポンピング電流制御部PCについては、それぞれ図3及び図18を用いて後述する。
次に、計算原理について説明する。イジングハミルトニアンを数式4のようにする。
Figure 2014134710
ここで、数式4では、Jijの直前に付く符号は“+”であり、Jijが正であるときには、S及びSの間に反強磁性相互作用が働き、Jijが負であるときには、S及びSの間に強磁性相互作用が働く。しかし、Jijの直前に付く符号は“−”であってもよく、この場合、Jijが正であるときには、S及びSの間に強磁性相互作用が働き、Jijが負であるときには、S及びSの間に反強磁性相互作用が働く。
そして、数式4では、λの直前に付く符号は“+”であり、λが正であるときには、Sは下向きスピン−1をとりやすくなり、λが負であるときには、Sは上向きスピン+1をとりやすくなる。しかし、λの直前に付く符号は“−”であってもよく、この場合、λが正であるときには、Sは上向きスピン+1をとりやすくなり、λが負であるときには、Sは下向きスピン−1をとりやすくなる。
上記予め定められた偏光の方向として、垂直直線偏光|V>を選択する。各スレーブレーザーB1、B2、B3において、発振強度AVi(t)、発振位相φVi(t)及びキャリアの反転分布数差NCi(t)について、レート方程式は数式5−8のようになる。
Figure 2014134710
Figure 2014134710
Figure 2014134710
Figure 2014134710
ωは、発振周波数である。Qは、マスターレーザーM及び各スレーブレーザーBの共振器Q値である。nは、マスターレーザーMからの光子の数である。Pは、反転分布を実現するために各スレーブレーザーBに毎秒注入される電子数、すなわちポンピングレートである。数式5の−(1/2)(ω/Q)AVi(t)は、発振強度AVi(t)が共振器損失に起因して時間経過につれて減少するレートを示している。
τspは、レーザー発振モード以外の他の発振モードへの自然放出に起因する電子寿命である。βは、全自然放出光のうちレーザー発振モードへの結合定数であり、半導体面発光レーザーの場合10−4〜10−5程度である。数式5の(1/2)ECVi(t)AVi(t)は、発振強度AVi(t)が誘導放出に起因して時間経過につれて増加するレートを示している。数式5のECVi(t)は、発振強度AVi(t)が自然放出に起因して時間経過につれて増加するレートを示している。
各スレーブレーザーBの注入位相は、マスターレーザーMの発振位相からずれる。各スレーブレーザーBへの注入光について、マスターレーザーMの発振位相と同一の位相を有する成分の強度は、ζに比例するとして、マスターレーザーMの発振位相からπ/2だけずれた位相を有する成分の強度は、ηに比例するとする。
数式5のζ及びηが関わる項は、ゼーマンエネルギーに関わる項である。数式5の(ω/Q)√n{ζcosφVi(t)−ηsinφVi(t)}は、マスターレーザーMからi番目のサイトへと光が注入されたときに、i番目のサイトにおける発振強度AVi(t)が時間経過につれて変化するレートを示している。
数式6のζ及びηが関わる項は、ゼーマンエネルギーに関わる項である。数式6の(1/AVi(t))(ω/Q)√n{−ζsinφVi(t)−ηcosφVi(t)}は、マスターレーザーMからi番目のサイトへと光が注入されたときに、i番目のサイトにおける発振位相φVi(t)が時間経過につれて変化するレートを示している。
なお、数式5、6のζが関わる項は、計算を開始する前(t<0)及び計算を開始した後(t>0)において、レーザーの注入同期を図るために注入され、ゼーマンエネルギーの大きさ及び符号に直接は関与しない。また、数式5、6のηが関わる項は、計算を開始した後(t>0)において、ゼーマンエネルギーを実装するために注入される。
数式5のξijが関わる項は、イジング相互作用を実装するためのスレーブレーザーBの間の相互注入光に関わる項である。数式5の−(ω/Q)(1/2)ξijVi(t)cos{φVj(t)−φVi(t)}は、j番目のサイトからi番目のサイトへと光が注入されたときに、i番目のサイトにおける発振強度AVi(t)が時間経過につれて変化するレートを示している。数式5のΣ(j≠i)は、i番目のサイトにおける、i番目以外の他の全てのサイト(j番目)からの寄与を示している。
数式6のξijが関わる項は、イジング相互作用を実装するためのスレーブレーザーBの間の相互注入光に関わる項である。数式6の−(1/AVi(t))(ω/Q)(1/2)ξijVi(t)sin{φVj(t)−φVi(t)}は、j番目のサイトからi番目のサイトへと光が注入されたときに、i番目のサイトにおける発振位相φVi(t)が時間経過につれて変化するレートを示している。数式6のΣ(j≠i)は、i番目のサイトにおける、i番目以外の他の全てのサイト(j番目)からの寄与を示している。
AV、FφV及びFは、それぞれ、i番目のサイトにおける、発振強度、発振位相及びキャリアの反転分布数差に対する雑音を示す。
定常状態において、数式5は、数式9のようになる。
Figure 2014134710
AVを無視して、数式9を変形すると、数式10のようになる。
Figure 2014134710
ここで、イジングモデルのσは、−1又は+1をとるところ、数式10のsinφViは、−1から+1までをとりうる。そこで、イジングモデル及びレーザーシステムの類似に着目して、σ=sinφViとおくと、数式10は、数式11のようになる。
Figure 2014134710
数式11をM個の全部のサイトについて加算すると、数式12のようになり、レーザーシステムの全体の閾値利得ΣECViとして表わされる。
Figure 2014134710
ここで、マスターレーザーMが各スレーブレーザーBに注入同期を行うことから、AVi(t)〜AVj(t)〜√nとおくことができる。そして、上記定義のσ=sinφViにおいて、σ=±1であることから、φVi〜φVj〜±π/2とおくことができる。このとき、数式12は、数式13のようになる。
Figure 2014134710
ここで、各スレーブレーザーBが均一な媒質を有するときには、レーザーシステム全体として、最小の閾値利得ΣECViを実現する発振位相状態{σ}が選択される。つまり、レーザーシステム全体として、1個の特定の発振モードが選択される。そして、発振モードの間の競合に起因して、1個の特定の発振モードは、他の発振モードを抑制する。
つまり、レーザーシステム全体として、数式13のΣECViは最小化される。一方で、レーザーシステム全体として、数式13の(ω/Q)Mは一定である。よって、レーザーシステム全体として、数式13のΣησ+Σξijσσは最小化される。
ξij=Jij、η=λとおくと、レーザーシステム全体として、Σησ+Σξijσσが最小化されると、Σλσ+ΣJijσσも最小化される。つまり、イジングハミルトニアンを最小化する基底状態が実現されたことになる。
計算精度を向上させるためには、レーザーシステム全体でのレーザー発振モードについて、最小の閾値利得及びその次に小さい閾値利得の差を、自然放出レートで決定される飽和利得ECV及び光子減衰率ω/Qの差であるβ(ω/Q)(1/R)より十分に大きくする必要がある。ここで、R=I/Ith−1は、規格化ポンプレートであり、I及びIthは、それぞれ注入電流及びそのレーザー発振閾値である。よって、βを小さくしRを高くすることにより、計算精度を向上させることができる。
次に、計算原理をまとめる。本発明のイジングモデルの計算装置の原理を図3に示す。マスターレーザーMの垂直直線偏光|V>の発振位相は、初期状態から定常状態まで変化しない。各スレーブレーザーBの垂直直線偏光|V>の発振位相は、初期状態においては、マスターレーザーMの垂直直線偏光|V>の発振位相と同一のφ(t)=0であり、定常状態においては、マスターレーザーMの垂直直線偏光|V>の発振位相からずれたφ(t)=±π/2である。φ=±π/2は、σ=±1に対応する(複号同順)。
スレーブレーザーBの各ペアについて、イジング相互作用Jijが正であるときには、2つのスレーブレーザーBの擬似的なスピンσが異符号であることが、エネルギー的に有利である。つまり、2つのスレーブレーザーBの発振位相φが異符号でありずれをπとするような、発振モードが立ち上がりやすいようにする。そこで、図13及び図14において後述するように、各スレーブ相互間光路長制御部IPは、2つのスレーブレーザーBの間の光路長を、注入同期の発振波長の半整数倍に制御する。
スレーブレーザーBの各ペアについて、イジング相互作用Jijが負であるときには、2つのスレーブレーザーBの擬似的なスピンσが同符号であることが、エネルギー的に有利である。つまり、2つのスレーブレーザーBの発振位相φが同符号でありずれを0とするような、発振モードが立ち上がりやすいようにする。そこで、図13及び図14において後述するように、各スレーブ相互間光路長制御部IPは、2つのスレーブレーザーBの間の光路長を、注入同期の発振波長の整数倍に制御する。
各スレーブレーザーBについて、ゼーマンエネルギーλが正であるときには、当該スレーブレーザーBの擬似的なスピンσが−1であることが、エネルギー的に有利である。つまり、当該スレーブレーザーBの発振位相φが−π/2であるような、発振モードが立ち上がりやすいようにする。そこで、各マスター−スレーブ間位相制御部ZPは、各スレーブレーザーBへの注入光のうち、ゼーマンエネルギーλの実装に寄与する成分(数式5、6のηが関わる項)について、マスターレーザーMの発振位相に対する当該スレーブレーザーBへの注入位相を、π/2だけ遅らせる制御を行う。
各スレーブレーザーBについて、ゼーマンエネルギーλが負であるときには、当該スレーブレーザーBの擬似的なスピンσが+1であることが、エネルギー的に有利である。つまり、当該スレーブレーザーBの発振位相φが+π/2であるような、発振モードが立ち上がりやすいようにする。そこで、各マスター−スレーブ間位相制御部ZPは、各スレーブレーザーBへの注入光のうち、ゼーマンエネルギーλの実装に寄与する成分(数式5、6のηが関わる項)について、マスターレーザーMの発振位相に対する当該スレーブレーザーBへの注入位相を、π/2だけ進ませる制御を行う。
もっとも、イジングモデルの計算装置の全体において、一体として1つの発振モードが立ち上がるようにするのであり、スレーブレーザーBの各ペアにおいて、上述の発振モードが実際に立ち上がることもあれば、必ずしも立ち上がらないこともある。
イジングモデルの計算手順は、以下のようになる。最初に、NP完全問題などをイジングモデルにマッピングするときに、Jij及びλを決定する。次に、イジングモデルを物理的に実装するときに、Jijに従って、ξijの大きさ及び符号を、各スレーブ相互間強度制御部IA及び各スレーブ相互間光路長制御部IPを用いて実装する。また、λに従って、ηの大きさ及び符号を、各マスター−スレーブ間強度制御部ZA及び各マスター−スレーブ間位相制御部ZPを用いて実装する。
次に、各スレーブレーザーBが定常状態に到達した後に、発振位相測定部PMを用いて、各スレーブレーザーBの発振位相φViを測定することにより、各スレーブレーザーBの擬似的なイジングスピンσを測定する。最後に、求まったイジングモデルの基底状態を、NP完全問題などの答えにマッピングしなおす。
図4に示した上述の実施形態では、スレーブレーザーBの垂直直線偏光|V>の発振位相は、初期状態においては、φ(t)=0であり、定常状態においては、φ(t)=±π/2であり、φ=±π/2が、σ=±1に対応する。各スレーブ相互間強度制御部IA、各スレーブ相互間光路長制御部IP、各マスター−スレーブ間強度制御部ZA及び各マスター−スレーブ間位相制御部ZPは、これらのφ(t)が実現されるような制御を行う。
図4に示した新たな変形例として、スレーブレーザーBの垂直直線偏光|V>の発振位相は、初期状態においては、φ(t)≠0であってもよく、定常状態においては、φ(t)≠±π/2であってもよく、φ≠±π/2が、σ=±1に対応してもよい。各スレーブ相互間強度制御部IA、各スレーブ相互間光路長制御部IP、各マスター−スレーブ間強度制御部ZA及び各マスター−スレーブ間位相制御部ZPは、これらのφ(t)が実現されるような制御を行ってもよい。要は、異なるφが識別できて、異なるσに対応していればよい。
もっとも、図4に示した新たな変形例を適用するより、図4に示した上述の実施形態を適用するのが、イジングモデルの計算装置の設計や製造を容易にすることができる。つまり、擬似的なスピンの異なる方向を、πだけ異なるスレーブレーザーBの発振位相に対応させるときには、擬似的なスピンの異なる方向を、πより小さい角度だけ異なるスレーブレーザーBの発振位相に対応させるときより、擬似的なスピンの方向を精度良く判定することができるとともに、2つのスレーブレーザーBの発振光の干渉強度の制御に基づく2つのスレーブレーザーBの光路長の制御を、図13及び図14で後述するように容易に適用することができる。
図4に示した上述の実施形態では、マスターレーザーM及び各スレーブレーザーBは、垂直直線偏光|V>を有する光を発振する。図4に示した新たな変形例として、マスターレーザーM及び各スレーブレーザーBは、水平直線偏光|H>、+45度直線偏光|D>、−45度直線偏光|Dbar>、左回り円偏光|L>、右回り円偏光|R>などのうち、いずれかの偏光を有する光を発振してもよい。要は、マスターレーザーM及び各スレーブレーザーBは、予め定められた同一の方向の偏光を有する光を発振すればよい。
次に、実施形態2のシミュレーション結果について説明する。各サイトの発振位相の時間発展のシミュレーション結果を図5及び図6に示す。
図5では、サイト数は6個であり、H=ΣJijσσ+Σλσにおいて、Jij及びλは、図面の上側に記載されているとおりである。〜10−9sec以降において、1、3、5番目のサイトにおいて、φVi〜+π/2及びσ=+1となり、2、4、6番目のサイトにおいて、φVi〜−π/2及びσ=−1となる。〜10−9secで定常状態に落ち着き、発振位相測定部PMは、φViの測定を開始することができる。
図6では、サイト数は2個であり、H=ΣJijσσ+Σλσにおいて、J12=+1、λ=λ=0であり、反強磁性相互作用のみが働いており、ゼーマンエネルギーは印加されていない。ζ=1/200、I/Ith=3、ω/Q=1012−1、τsp=10−9s、β=10−4であり、αは数式14のようになる。
Figure 2014134710
α=1/25(図6(a))、1/50(図6(b))であるときには、〜10−10sec以降において、1番目のサイトにおいて、φVi〜+π/2及びσ=+1となり、2番目のサイトにおいて、φVi〜−π/2及びσ=−1となる。α=1/100(図6(c))であるときには、〜10−10sec以降において、1番目のサイトにおいて、0<φVi<+π/2となるが、σ=+1であることは明確であり、2番目のサイトにおいて、0>φVi>−π/2となるが、σ=+1であることは明確である。
α=1/200(図6(d))であるときには、〜10−10sec以降においても、1番目及び2番目のサイトにおいて、φVi〜0となり、σ=±1のうちいずれかを選択することができない。このように、αが大きいほど、σ=±1に対応するφViの差分は大きくなる。具体的には、α>4ζであるときには、定常状態においてφVi〜+±π/2に落ち着くが、α〜ζであるときには、定常状態においてもφViは定まらない。
以上に説明したように、スレーブレーザーBからの発光の発振位相をスレーブレーザーBの擬似的なスピン方向に対応させており、系全体の擬似的なスピン状態を測定している。系全体の擬似的なスピン状態が基底状態に落ち着くまで、系全体の量子コヒーレンスを破壊することがないため、計算時間が全サイトの数に応じて指数関数的に増大するという問題は解決され、計算時間を大幅に短縮することができる。
サイト数がM個であるとき、スレーブ相互間光路部IL、スレーブ相互間強度制御部IA及びスレーブ相互間光路長制御部IPを、それぞれM(M−1)/2個だけ配置するのみで足りる。よって、必要な光学素子は、サイト数Mに対して、2で増加することはなくM/2でスケールする。ボーズ・アインシュタイン凝縮体の代わりにスレーブレーザーBを適用するときには、系全体を低温下でなく室温下で動作させることができる。
そして、M個のサイトの任意のペアについて、2つのサイト間で交換される光を介して、物理的に近くに位置するサイト間のイジング相互作用を実装するのみならず、物理的に遠くに位置するサイト間のイジング相互作用をも実装することができる。よって、サイト間の物理的距離とは無関係に、どのようなNP完全問題などもマッピング可能なイジングモデルをも解くことができる。
さらに、各サイトにある多数個の擬似的なスピンについて、上向き及び下向きのうちいずれが多いかを多数決で決定する。よって、基底状態から励起状態に洩れた擬似的なスピンがあっても、各サイトにある擬似的なスピンの数が1個であるときに比べ多数個であるときには、正答を得る確率は格段に良くなる。
ここで、系全体が初期状態から定常状態へと遷移するにつれて、各スレーブレーザーBの発振位相は、マスターレーザーMの発振位相からずれてくるが、各スレーブレーザーBの発振偏光は、マスターレーザーMの発振偏光と常時同一である。
よって、各スレーブレーザーBは、発振強度AVi(t)、発振位相φVi(t)及びキャリアの反転分布数差NCi(t)の3つのみについて、時間発展の微分方程式を定式化されればよい。そして、各スレーブレーザーBは、単一の発振偏光の方向を有していればよいため、面内異方性を有する半導体面発光レーザー(垂直/水平の直線偏光を有する発振光間で、周波数特性が若干異なる。)であるときでも、面内異方性を問題視しなくてよい。このようにして、イジングモデルの量子計算装置は、設計や製造が容易になる。
本発明は、イジング相互作用のみが存在する系に対しても、イジング相互作用及びゼーマンエネルギーがともに存在する系に対しても、適用可能である。また、本発明は、図19から図25までを用いて後述するように、イジング相互作用のみが存在する系において、基底状態のエネルギー縮退が起こり答えが定まらないときには、ゼーマンエネルギーを付加することにより、基底状態のエネルギー縮退を解いて答えを定めることができる。
(発振周波数制御部の構成及び原理)
各発振周波数制御部FCは、各スレーブレーザーB及びマスターレーザーMの発振光の干渉強度を各スレーブレーザーBの発振周波数の変化に対して極値に制御することにより、各スレーブレーザーBの発振周波数をマスターレーザーMの発振周波数にフィードバック制御する。その詳細を以下に説明する。
スレーブレーザーBの構成を図7に示す。発振周波数制御の原理を図8に示す。スレーブレーザーBは、マスターレーザーM側の光反射鏡BRにおいて、周波数ωの入射光をマスターレーザーMから入射され、周波数ωの反射光をマスターレーザーMへと反射する。また、スレーブレーザーBは、両側の光反射鏡BRが形成する光共振器において、増幅媒質BGを用いて、周波数ωの内部光を増幅する。また、スレーブレーザーBは、マスターレーザーM側の光反射鏡BRにおいて、周波数ωの出射光をマスターレーザーMへと出射する。この段階では、周波数ω、ωは、必ずしも同期していない。
ここで、マスターレーザーM側の光反射鏡BRにおいて、周波数ωの反射光は、反射時においてπの位相変化を受けるが、周波数ωの出射光は、透過時において位相変化を受けない。よって、周波数ω、ωが同期しているときには、周波数ω、ωが同期していないときより、周波数ωの反射光及び周波数ωの出射光は、弱め合う干渉を起こしやすい。そこで、スレーブレーザーBの発振周波数ωをスイープしながら、周波数ωの反射光及び周波数ωの出射光の合計強度の極小を探索することにより、スレーブレーザーBの発振周波数ωをマスターレーザーMの発振周波数ωに制御する。
図8の縦軸は、周波数ωの反射光及び周波数ωの出射光の合計強度を示す。図8の横軸は、周波数ωが周波数ωからどの程度ずれているかを示す。つまり、図8の横軸の“0”は、周波数ω、ωが同期していることを示す。
ここで、図8の横軸のΔω及びΔωmaxは、数式15のようになる。
Figure 2014134710
は、入射光振幅であり、Aは、スレーブレーザー発振光振幅である。Δω/Δωmaxは、−1から+1までを考慮する。周波数ωが周波数ωからΔωmax以上ずれているとき、注入同期を図ることができないためである。
図8のaからdへと移行するにつれて、スレーブレーザーBの内部損失を増加させ、スレーブレーザーBの外部損失を減少させ、周波数ωの出射光の強度を増加させる。すると、周波数ω、ωが同期していることを示す図8の横軸の“0”において、周波数ωの反射光及び周波数ωの出射光の合計強度の極小が現われる。
発振周波数制御部の構成を図9に示す。発振周波数制御の原理を図10に示す。ここでは、レーザーの発振周波数の安定化技術である、Pound−Drever−Hall法又はFM(Frequency Modulation)サイドバンド法を応用する。
発振周波数制御部FCは、光スプリッタFCS、フォトダイオードFCC及びミキサ回路FCMから構成される。局部発振器MLは、マスターレーザーMに対して、キャリア信号に対する周波数変調を行う。レーザー制御部BCは、スレーブレーザーBに対して、温度制御又は電流制御を行うことにより、発振周波数ωを制御する。
光スプリッタFCSは、マスター−スレーブ間光路部ZLに配置され、スレーブレーザーBからの反射光及び出射光を、スレーブレーザーBへの入射光から分離する。フォトダイオードFCCは、光スプリッタFCSの出力に対して、光電変換を行う。ミキサ回路FCMは、フォトダイオードFCCの出力に対して、局部発振器MLの出力を用いて、図10に示す同期検波を行う。図8に示したように、周波数ω、ωが同期しているときには、周波数ωの反射光及び周波数ωの出射光の合計強度は極小をとる。
周波数ωが周波数ωより低いときには、周波数ωが高くなるにつれて、フォトダイオードFCCの出力は小さくなる。よって、フォトダイオードFCCの出力は、局部発振器MLの出力と比べて、同一周波数及び逆位相となり、同期検波結果は負となる。
周波数ωが周波数ωより高いときには、周波数ωが高くなるにつれて、フォトダイオードFCCの出力は大きくなる。よって、フォトダイオードFCCの出力は、局部発振器MLの出力と比べて、同一周波数及び同位相となり、同期検波結果は正となる。
周波数ωが周波数ωと等しいときには、周波数ωの変化に対して、フォトダイオードFCCの出力は極小となる。よって、フォトダイオードFCCの出力は、局部発振器MLの出力と比べて、2倍の周波数となり、同期検波結果は0となる。
レーザー制御部BCは、同期検波結果が0となるように、スレーブレーザーBに対して、温度制御又は電流制御を行うことにより、発振周波数ωを制御する。なお、マスターレーザーMの周波数変調幅Δωは、上記の注入同期幅Δωmaxと比べて、充分に小さい(Δω/Δωmax〜0.03)。よって、マスターレーザーMの周波数変調を行うにあたり、注入同期精度に影響が及ぶことはない。
マスターレーザー及びスレーブレーザーの注入同期幅を図11及び図12に示す。図11では、マスターレーザーMの発振波長を〜848.95nmに固定しながら、注入同期前のスレーブレーザーBの発振波長を〜848.8nmから〜849.1nmまでスイープしたとき、注入同期中のスレーブレーザーBの発振波長がマスターレーザーMの発振波長に一致するかどうかを示す。注入同期前のスレーブレーザーBの発振波長が、〜848.85nmから〜849.05nmまでの注入同期幅にあるとき、注入同期中のスレーブレーザーBの発振波長は、マスターレーザーMの発振波長に一致する。
図12では、数式16に示すαパラメータを調整することにより、注入同期幅を有効的に拡幅することができ、注入同期を図りやすくなることを示す。
Figure 2014134710
<χ>は、利得媒質の電気感受率の実数部であり、<χ>は、利得媒質の電気感受率の虚数部であり、<NCO>は、活性層のキャリア数である。
αパラメータが0であるときの注入同期幅は、数式17のようになる。αパラメータが0より大きいときの注入同期幅は、数式18のようになる。
Figure 2014134710
Figure 2014134710
図12のΔωは、数式15のΔωmaxと同様である。注入同期幅は、α=0であるときには、−1≦Δω/Δω≦+1であり、数式15と同様であるが、α=4であるときには、−√(1+4)≦Δω/Δω≦+1であり、有効的に拡幅される。
(スレーブ相互間光路長制御部の構成及び原理)
各スレーブ相互間光路長制御部IPは、2つのスレーブレーザーBの発振光の干渉強度を2つのスレーブレーザーBの間の光路長の変化に対して極値に制御することにより、2つのスレーブレーザーBの間の光路長を注入同期の発振波長の半整数倍又は整数倍にフィードバック制御する。その詳細を以下に説明する。なお、注入同期は、完了している。
スレーブ相互間光路長制御部の構成を図13に示す。スレーブ相互間光路長制御部の原理を図14に示す。スレーブ相互間光路長制御部IPは、光スプリッタIPS、フォトダイオードIPC、ミキサ回路IPM及び位相変調部IPPから構成される。
局部発振器BLは、スレーブレーザーBiに対して、キャリア信号に対する位相変調を行う。位相変調部IPPは、スレーブ相互間光路部ILに配置され、後述の同期検波結果に基づいて、スレーブレーザーBi、Bjの間の光路長を制御する。
光スプリッタIPSは、スレーブ相互間光路部ILに配置され、スレーブレーザーBjからの出射光を、スレーブレーザーBへの入射光から分離する。ここで、スレーブレーザーBjからの出射光は、πの位相変化を受ける。フォトダイオードIPCは、光スプリッタIPSの出力に対して、光電変換を行う。ミキサ回路IPMは、フォトダイオードIPCの出力に対して、局部発振器BLの出力を用いて、図14に示す同期検波を行う。
図14(a)では、Jij>0であり、スレーブレーザーBi、Bjの間の光路長を、注入同期の発振波長の半整数倍(πrad)に制御する場合について説明する。スレーブレーザーBi、Bjの間の光路長がπradであるときには、スレーブレーザーBi、Bjの発振光の干渉強度は、光スプリッタIPSでのπの位相変化を考慮して極大をとる。
光路長がπradより短いときには、光路長が長くなるにつれて、フォトダイオードIPCの出力は大きくなる。よって、フォトダイオードIPCの出力は、局部発振器BLの出力と比べて、同一周波数及び同位相となり、同期検波結果は正となる。
光路長がπradより長いときには、光路長が長くなるにつれて、フォトダイオードIPCの出力は小さくなる。よって、フォトダイオードIPCの出力は、局部発振器BLの出力と比べて、同一周波数及び逆位相となり、同期検波結果は負となる。
光路長がπradと等しいときには、光路長の変化に対して、フォトダイオードIPCの出力は極大となる。よって、フォトダイオードIPCの出力は、局部発振器BLの出力と比べて、2倍の周波数となり、同期検波結果は0となる。
位相変調部IPPは、光路長が長くなるにつれて、同期検波結果が正から0を経由して負へと変化するように、スレーブレーザーBi、Bjの間の光路長を制御する。
図14(b)では、Jij<0であり、スレーブレーザーBi、Bjの間の光路長を、注入同期の発振波長の整数倍(0rad)に制御する場合について説明する。スレーブレーザーBi、Bjの間の光路長が0radであるときには、スレーブレーザーBi、Bjの発振光の干渉強度は、光スプリッタIPSでのπの位相変化を考慮して極小をとる。
光路長が0radより短いときには、光路長が長くなるにつれて、フォトダイオードIPCの出力は小さくなる。よって、フォトダイオードIPCの出力は、局部発振器BLの出力と比べて、同一周波数及び逆位相となり、同期検波結果は負となる。
光路長が0radより長いときには、光路長が長くなるにつれて、フォトダイオードIPCの出力は大きくなる。よって、フォトダイオードIPCの出力は、局部発振器BLの出力と比べて、同一周波数及び同位相となり、同期検波結果は正となる。
光路長が0radと等しいときには、光路長の変化に対して、フォトダイオードIPCの出力は極小となる。よって、フォトダイオードIPCの出力は、局部発振器BLの出力と比べて、2倍の周波数となり、同期検波結果は0となる。
位相変調部IPPは、光路長が長くなるにつれて、同期検波結果が負から0を経由して正へと変化するように、スレーブレーザーBi、Bjの間の光路長を制御する。
なお、スレーブレーザーBの位相変調は、電流変調制御により行う。電流変調制御(〜10MHz)は、位相変調を起こすものの、周波数シフトを起こさない。よって、スレーブレーザーBの位相変調を行うにあたり、注入同期精度に影響が及ぶことはない。
(イジングモデルの計算処理の各ステップの順序)
以上のように、発振位相測定部PMは、イジングスピンを測定する。これにあたり、発振周波数制御部FCは、量子計算装置全体を同期させて、スレーブレーザー相互間光路長制御部IPは、イジング相互作用を実装する。
ここで、発振周波数制御部FCは、スレーブレーザーBの発振周波数を調整しており、スレーブレーザー相互間光路長制御部IPは、スレーブレーザーBの相互間の光路長を調整している。しかし、発振位相測定部PMは、スレーブレーザーBの発振周波数及びスレーブレーザーBの相互間の光路長が固定されたうえで、イジングスピンを測定する。よって、発振周波数制御ステップ及びスレーブレーザー相互間光路長制御ステップは、発振位相測定ステップと同時に行うことはできない。各ステップの順序を以下に説明する。
イジングモデルの計算処理の各ステップのタイムスケールを図15に示す。発振位相測定ステップにおいて、図5のシミュレーション結果を考慮すれば、1回あたりのスレーブレーザーBの応答時間、及び、図25で後述の1回当たりの自己学習の所要時間は、〜10−9sであり、測定終了時間は、〜10−6sである。
スレーブレーザー相互間光路長制御ステップにおいて、装置特性を考慮して、スレーブレーザーBの1回あたりの位相変調の所要時間は、〜10−5sであり、光路長が安定に保持される時間は、〜10−4sである。発振周波数制御ステップにおいて、装置特性を考慮して、マスターレーザーMの1回あたりの周波数変調の所要時間は、〜10−3sであり、周波数が安定に保持される時間は、〜10−2sである。
このように、発振位相測定ステップ、スレーブレーザー相互間光路長制御ステップ及び発振周波数制御ステップについて、タイムスケールは分離されている。つまり、発振周波数制御ステップ及びスレーブレーザー相互間光路長制御ステップを行った後に、発振位相測定ステップを行うときに、発振位相を測定する間に、発振周波数及びスレーブレーザー相互間光路長が変化することがない。よって、イジングモデルの量子計算装置の全体において、一体として1つの発振モードが立ち上がることを保証したうえで、イジング相互作用を正しく実装することができ、イジングモデルを正しく計算することができる。
イジングモデルの計算処理の各ステップのタイムテーブルを図16に示す。まず、発振周波数制御ステップ及びスレーブレーザー相互間光路長制御ステップを、〜10−2sかけて行う。次に、発振位相測定ステップを測定回数〜10回分、〜10−2sかけて行う。このように、各ステップを交互に行うことができる。
(ポンピング電流制御部の処理内容)
スレーブレーザーBの発振位相を0に初期化する場合について、イジングモデルの計算処理の時間経過を図17に示す。初期化状態では、各スレーブレーザーBの発振位相は0であり、各スレーブレーザーBに対応するイジングスピンは0であり、イジングハミルトニアンはH=0である。時間経過につれて、各スレーブレーザーBの発振位相は〜±π/2となり、各スレーブレーザーBに対応するイジングスピンは〜±1となり、イジングハミルトニアンは負となる。しかし、基底状態であるH=HGDに落ち着くのではなく、準安定状態であるH=HMSにトラップされるおそれがある。
そこで、ポンピング電流制御部PCを適用する。ポンピング電流制御部PCは、各スレーブ相互間光路部ILを介して擬似的なイジング相互作用を行う2つのスレーブレーザーBについて、当該2つのスレーブレーザーBの間の擬似的なイジング相互作用の大きさ及び符号が固定値に実装されている状態で、当該2つのスレーブレーザーBのポンピング電流を漸増制御し、全スレーブレーザーBが「最初に」一体として一つの発振モードに到達した時点で、当該2つのスレーブレーザーBのポンピング電流を固定制御する。
発振位相測定部PMは、全スレーブレーザーBが「最初に」一体として一つの発振モードに到達して定常状態に到達した後に、マスターレーザーMの発振位相に対する全スレーブレーザーBの発振位相の相対値を測定することにより、全スレーブレーザーBの擬似的なイジングスピンを測定する。「最初に」到達の発振モードが、基底状態に対応する。
スレーブレーザーBのポンピング電流を漸増制御する場合について、イジングモデルの計算処理の時間経過を図18に示す。閾値利得ΣECViが最小になる発振モードが選択されるべきところ、数式8によればECViはNCiに比例するため、キャリアの反転分布数差ΣNCiが最小になる発振モードが選択されるべきである。
ポンピング以前では、キャリアの反転分布は実現せず、いずれの発振モードも実現しない。ポンピング段階では、キャリアの反転分布が実現して、ポンピング電流漸増につれて、キャリアの反転分布数差ΣNCiが最小になる発振モードが選択され、つまり、閾値利得ΣECViが最小になる発振モードが選択され、結局、基底状態に落ち着く。
このように、ポンピング電流制御部PCを用いて、イジングモデルの準安定状態に誤ってトラップされることなく、イジングモデルの基底状態に正しく到達することができる。
(スピンのフラストレーションの解消方法)
以上では、イジング相互作用及びゼーマンエネルギーを含むイジングモデルに対して、量子計算装置を適用したが、本項では、MAX−CUT−3問題に対して、量子計算装置を適用する。ここで、MAX−CUT−3問題について説明する。V個のノード及びE個のエッジから構成されるグラフにおいて、各ノードは3個の隣接するノードを有し、各エッジはそれぞれ同一の重み又は長さを有する。V個のノードを2つに分割するにあたり、分断されるエッジの個数を最小にする。MAX−CUT−3問題は、NP完全問題であることが証明されており、数式19のようなイジングモデルにマッピングされる。
Figure 2014134710
ここでは、4個のサイトが正四面体のグラフをなすMAX−CUT−3問題を考える。隣接するサイトにおいて、Jij=+1であるところ、イジングモデルのハミルトニアンを最小化するためには、隣接するサイトにおいて、スピンの方向は逆の方向であることが望ましい。しかし、ある隣接するサイトにおいて、スピンの方向を逆の方向にすることができたとしても、他の隣接するサイトにおいて、スピンの方向を同じ向きにせざるをえないという、スピンのフラストレーションの問題が発生する。
スピンのフラストレーションの問題が発生するときには、複数の基底状態の重ね合わせ状態が実現する。ここで、発振位相測定部PMは多くの光子を統計的に計測するため、複数の基底状態のうちの1つの基底状態を測定することはできず、複数の基底状態について平均的な状態を測定することになる。よって、「0スピン」が発生する。
しかし、複数の基底状態のうちいずれの基底状態も正しい結果を導けるため、複数の基底状態のうちいずれかの基底状態を選択すればよい。そこで、特定のサイトにおいて、スピンの方向を固定することにより、他のサイトにおいて、スピンの方向の候補を絞り込めばよい。ここで、特定のサイトにおいて、スピンの方向を固定するためには、マスターレーザーMから特定のサイトに対応するスレーブレーザーBへと、特定のサイトに対応するマスター−スレーブ間強度制御部ZA及びマスター−スレーブ間位相制御部ZPを介して、位相変調が施された垂直直線偏光|V>を有する光を注入することにより、特定のサイトにおいて、ゼーマンエネルギーを印加すればよい。
スピンのフラストレーションを図19に示す。各サイトのスピンの方向を固定しない場合には、スレーブレーザーB1〜B4において、擬似的なスピンの方向は決定されない。
スピンのフラストレーションを誤って解消する場合を図20に示す。第1のサイトのスピンの方向を固定する場合である。具体的には、スレーブレーザーB1において、擬似的なスピンの方向を+1に固定するように、擬似的なゼーマンエネルギーを印加する。
すると、スレーブレーザーB1において、擬似的なスピンの方向は+1に決定され、スレーブレーザーB2〜B4において、擬似的なスピンの方向は−1に決定される。しかし、(σ、σ、σ、σ)=(+1、−1、−1、−1)は誤った結果であり、正しい結果は(σ、σ、σ、σ)=(+1、+1、−1、−1)、(+1、−1、+1、−1)、(+1、−1、−1、+1)のうちのいずれかである。誤った結果が得られたのは、発振位相測定部PMは多くの光子を統計的に計測するため、上記の3つの基底状態について平均的な状態を測定しているためである。
スピンのフラストレーションを正しく解消する場合を図21に示す。図21(a)において、第1及び第2のサイトのスピンの方向を固定したうえで、図21(b)において、第3及び第4のサイトのスピンの方向を固定する場合である。
図21(a)においては、スレーブレーザーB1、B2において、擬似的なスピンの方向をそれぞれ+1、−1に固定するように、擬似的なゼーマンエネルギーを印加する。ここで、隣接するサイトにおいて、スピンの方向を逆の方向に固定するのは、イジング相互作用がJij=+1であり正であるためである。
すると、スレーブレーザーB1において、擬似的なスピンの方向は+1に決定され、スレーブレーザーB2において、擬似的なスピンの方向は−1に決定される。しかし、スレーブレーザーB3、B4において、擬似的なスピンの方向は決定されない。「0スピン」が発生したのは、発振位相測定部PMは多くの光子を統計的に計測するため、(σ、σ、σ、σ)=(+1、−1、+1、−1)、(+1、−1、−1、+1)という2つの基底状態について平均的な状態を測定しているためである。
図21(b)においては、スレーブレーザーB3、B4において、擬似的なスピンの方向をそれぞれ+1、−1に固定するように、擬似的なゼーマンエネルギーを印加する。ここで、隣接するサイトにおいて、スピンの方向を逆の方向に固定するのは、イジング相互作用がJij=+1であり正であるためである。
すると、図21(c)に示したように、スレーブレーザーB1、B3において、擬似的なスピンの方向は+1に決定され、スレーブレーザーB2、B4において、擬似的なスピンの方向は−1に決定される。そして、(σ、σ、σ、σ)=(+1、−1、+1、−1)は正しい結果である。図21に示したように、隣接するサイトにおいて、スピンの方向を逆の向きに固定することを、連続して2回行うことにより、4個のサイトが正四面体のグラフをなすMAX−CUT−3問題を正しく解くことができる。一般的なMAX−CUT−3問題を正しく解くにあたっても、スピンのフラストレーションの問題が発生するときには、上述の処理を適用することができる。
以上をまとめると、マスター−スレーブ間強度制御部ZA及びマスター−スレーブ間位相制御部ZPは、隣接イジングスピン方向固定部に対応する。ここで、スレーブレーザー相互間光路部ZLを介して擬似的なイジング相互作用を行う2つのスレーブレーザーBについて、マスターレーザーMの発振位相に対する当該2つのスレーブレーザーBの発振位相の相対値が有意に測定されないことがある。
そこで、マスター−スレーブ間強度制御部ZA及びマスター−スレーブ間位相制御部ZPは、当該2つのスレーブレーザーBに注入される光の強度及び位相を制御する。そして、マスター−スレーブ間強度制御部ZA及びマスター−スレーブ間位相制御部ZPは、当該2つのスレーブレーザーBの間の擬似的なイジング相互作用の符号が正に実装されていれば、当該2つのスレーブレーザーBの擬似的なスピンの方向を相違させるように固定する。または、マスター−スレーブ間強度制御部ZA及びマスター−スレーブ間位相制御部ZPは、当該2つのスレーブレーザーBの間の擬似的なイジング相互作用の符号が負に実装されていれば、当該2つのスレーブレーザーBの擬似的なスピンの方向を同一にするように固定する。よって、擬似的なイジング相互作用を行う2つのスレーブレーザーBの間において、擬似的なスピンのフラストレーションを解消することができる。
ここで、相互に隣接するサイトにおいて、スピンの方向を固定したとき、当該相互に隣接するサイトに隣接するサイトにおいて、未だ固定していないスピンの方向をフリップさせることがある。よって、当該相互に隣接するサイトにおいて、スピンの方向を固定するのみによっては、擬似的なスピンのフラストレーションを解消することができない。しかし、当該相互に隣接するサイトに隣接するサイトにおいて、スピンの方向を固定することによって、擬似的なスピンのフラストレーションを解消することができる。
ここでは、6個のサイトからなるMAX−CUT−3問題を考える。隣接するサイトのスピンの方向を固定する際に発生する、周辺のサイトのスピンの方向がフリップする問題を図22に示す。隣接するサイトのスピンの方向を固定する際に発生する、周辺のサイトのスピンの方向がフリップする問題を解決する方法を図23に示す。スレーブレーザーB5、B6に対応するサイトが隣接しており、スレーブレーザーB5に対応するサイトにスレーブレーザーB1、B2に対応するサイトが接続されており、スレーブレーザーB6に対応するサイトにスレーブレーザーB3、B4に対応するサイトが接続されている。
スレーブレーザーB5、B6において、擬似的なスピンの方向がそれぞれ−1、+1に固定される前に、スレーブレーザーB1、B2、B3、B4において、擬似的なスピンの方向はそれぞれ−1、+1、+1、−1に暫定的に決定されている。
ここで、図22のように、スレーブレーザーB1、B2、B3、B4において、擬似的なスピンの方向が固定されないときには、スレーブレーザーB5、B6において、擬似的なスピンの方向がそれぞれ−1、+1に固定された後に、スレーブレーザーB1、B3において、擬似的なスピンの方向がそれぞれ+1、−1にフリップされる。
しかし、図23のように、スレーブレーザーB1、B2、B3、B4において、擬似的なスピンの方向が固定されたときには、スレーブレーザーB5、B6において、擬似的なスピンの方向がそれぞれ−1、+1に固定された後に、スレーブレーザーB1、B2、B3、B4において、擬似的なスピンの方向がフリップされない。
以上をまとめると、マスター−スレーブ間強度制御部ZA及びマスター−スレーブ間位相制御部ZPは、周辺イジングスピン方向固定部に対応する。ここで、スレーブレーザー相互間光路部ZLを介して擬似的なイジング相互作用を行う2つのスレーブレーザーBについて、マスターレーザーMの発振位相に対する当該2つのスレーブレーザーBの発振位相の相対値が有意に有意に測定されないことがある。
そこで、マスター−スレーブ間強度制御部ZA及びマスター−スレーブ間位相制御部ZPは、他のスレーブレーザー相互間光路部ZLを介して当該2つのスレーブレーザーBと擬似的なイジング相互作用を行う隣接スレーブレーザーBに注入される光の強度及び位相を制御する。そして、マスター−スレーブ間強度制御部ZA及びマスター−スレーブ間位相制御部ZPは、当該隣接スレーブレーザーBの擬似的なイジングスピンの方向を計算途中の現時点の方向に固定する。よって、擬似的なイジング相互作用を行う2つのスレーブレーザーBの間において、擬似的なスピンのフラストレーションを解消するにあたり、2つのスレーブレーザーBと擬似的に隣接するスレーブレーザーBにおいて、擬似的なスピンが意図せずフリップすることを防止することができる。
スレーブレーザーの発振位相に対する雑音を図24に示す。スピンのフラストレーションを解消する自己学習のフローチャートを図25に示す。
ここで、スレーブレーザーBにおいて、発振位相φViをスピンσに対応させるため、発振位相φViに対する雑音FφVの影響を大きく受ける一方で、発振強度AVi及びキャリアの反転分布数差NCiに対する雑音Fの影響はほとんど受けない。そこで、発振位相φViに対する雑音FφVについて議論する。
図24には、発振位相φ(t)に対する雑音Δφを示している。位相雑音FφVは、自然放出に起因する。自然放出に起因する1個の光子は、2/ECVi〜2psec毎に生成し、それぞれ等しい確率でΔφVi〜±1/AVi(t)の位相雑音を発生し、量子計算装置が局所最小に陥ることを防ぐことができる。
まず、位相雑音FφVを利用して、一定時間だけ量子計算装置を動作させる(ステップS1)。ここで、一定時間は、擬似的なスピンのフラストレーションが解消されているならば、擬似的なスピンの方向が決定可能である程度の時間である。
「0スピン」がないときには(ステップS2においてNO)、擬似的なスピンのフラストレーションは解消されており、量子計算を終了する。「0スピン」があるときには(ステップS2においてYES)、擬似的なスピンのフラストレーションは解消されておらず、量子計算を続行して、「0スピン」の擬似的なスピンの方向を固定する。
「0スピンペア」があるときには(ステップS3においてYES)、図21及び図23において説明したように、全ての「0スピンペア」及びその周辺のスピンを固定する(ステップS4)。そして、再びステップS1に戻る。
「0スピンペア」がないときには(ステップS3においてNO)、全ての「孤立0スピン」及びその周辺のスピンを固定する(ステップS5)。
全ての「孤立0スピン」及びその周辺のスピンを固定したにも関わらず(ステップS5)、λが更新されないことがある。その理由として、既に固定していた擬似的なスピンの方向について、誤答があるためではなく、発振位相φVi〜±π/2を有する光の光子数の差が小さいためであり、信号対雑音比S/Nが小さいためであると考えられる。
λの更新があるときには(ステップS6においてYES)、再びステップS1に戻る。λの更新がないときには(ステップS6においてNO)、λの大きさを大きくすることにより、発振位相φVi〜±π/2を有する光の光子数の差を大きくして、信号対雑音比S/Nを向上させ(ステップS7)、再びステップS1に戻る。
(量子計算装置の安定性)
擬似的なイジング相互作用を行う2つのスレーブレーザーBの間の擬似的なイジング相互作用の遅延時間は、量子計算装置の安定性に影響を及ぼしうる。
図6と同様な時間発展のシミュレーションを、隣接するサイトの間の擬似的なイジング相互作用の様々な遅延時間tについて行った。t<6×10−10secであるときには、〜10−9secにおいて定常状態に到達する。t>6×10−10secであるときには、定常状態に到達することなく、カオス状態に到達する。
そこで、量子計算装置を安定に動作させるためには、t<6×10−10secとする必要がある。つまり、擬似的なイジング相互作用を行う2つのスレーブレーザーBの間の光路長は、3×10m/s×6×10−10s〜10cmより短くする必要がある。そして、擬似的なイジング相互作用を行う2つのスレーブレーザーBの間の擬似的なイジング相互作用の遅延時間は、マスターレーザーM及び当該2つのスレーブレーザーBにおける注入同期幅の逆数(〜1/30GHz)より短くする必要がある。
(イジングモデルの計算装置の実装方法)
イジングモデルの計算装置の実装方法を図26及び図27に示す。図26では、各スレーブレーザーBの関係部分について説明する。図27では、全スレーブレーザーBの関係部分について説明する。ここでは、MAX−CUT−3問題を解くことを考える。
イジングモデルの計算装置は、スレーブレーザーB1、B2、・・・、BM、シリコン導波路SW及びMEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラーXCから構成される。シリコン導波路SWは、MEMSミラーXCに接続され、発振光制御部C1、C2、・・・、CM及びマスターレーザーMを搭載する。MEMSミラーXCは、シリコン導波路SWに接続され、スレーブ相互間光路部IL12、IL1M、IL2Mなど及びミラーアレイMEMを搭載する。
発振光制御部C1、C2、・・・、CMは、それぞれ、スレーブレーザーB1、B2、・・・、BMに対して適用されるものである。マスターレーザーMは、スレーブレーザーB1、B2、・・・、BMに共通して適用されるものである。
スレーブ相互間光路部IL12、IL1M、IL2Mは、それぞれ、スレーブレーザーB1、B2の間、スレーブレーザーB1、BMの間、スレーブレーザーB2、BMの間に配置される。ミラーアレイMEMは、あるスレーブレーザーBの出力端から光を入射され、他のスレーブレーザーBの入力端へと光を反射する。
なお、発振光制御部Cは、ゼーマンエネルギーの実装部分として、マスター−スレーブ間位相制御部ZP、マスター−スレーブ間強度制御部ZA、発振周波数制御部FC及びマスター−スレーブ間光路部ZLを搭載する。また、発振光制御部Cは、イジング相互作用の実装部分として、スレーブ相互間光路長制御部IP、スレーブ相互間強度制御部IA及びスレーブ相互間光路部ILを搭載する。ここでは、MAX−CUT−3問題を解くことを考えており、イジング相互作用の実装部分は、3系統だけ搭載されている。
このように、シリコン導波路SWを適用することにより、振幅変調及び位相変調を高速化することができ、MEMSミラーXCを適用することにより、異なるイジングモデルごとに異なる2体相互作用のパターンを実装することができる。
(変形例)
擬似的なスピンを持つ系として、以上の説明では、スレーブレーザーBを適用しているが、本変形例では、半導体マイクロキャビティ中の励起子ポラリトンなどを適用してもよい。系全体の励起子ポラリトンの運動エネルギーが最小になる基底状態を実現しておいて、各励起子ポラリトンが発生させる光の発振位相を測定することにより、各励起子ポラリトンの擬似的なスピンを測定する。計算精度を向上させるためには、系全体の励起子ポラリトンのエネルギーについて、基底状態及び第1励起状態のエネルギー差を、kT(Tは系全体の温度)より十分に大きくする必要がある。
ボーズ・アインシュタイン凝縮体として、励起子ポラリトン以外、例えば、光子のボーズ・アインシュタイン凝縮体を適用するときであっても、サイト間の擬似的なイジング相互作用を、サイト間の光子の交換により実装することができればよく、各サイトでの擬似的なゼーマンエネルギーを、マスターレーザーMから各サイトへの光子の注入により実装することができればよい。
本発明のイジングモデルの量子計算装置及びイジングモデルの量子計算方法は、イジングモデルにマッピングされるNP完全問題などを高速かつ容易に解くのに適する。例えば、サイト数M=140のイジングモデルを解く場合、通常の電子計算機又は量子計算機では、計算時間はM=2の場合に比べて1042倍長くなるが、本発明のイジングモデルの量子計算装置及びイジングモデルの量子計算方法では、計算時間はM=2の場合に比べて最悪でも10倍長くなるだけである。すなわち、38桁も計算時間が短縮される。
B1、B2、B3:ボーズ・アインシュタイン凝縮部
D1、D2、D3:スピン測定部
F:フィードバック制御回路
I1、I2、I3:イジング相互作用実装部
B、B1、B2、B3、B4、B5、B6、Bi、Bj、BM:スレーブレーザー
M:マスターレーザー
ZL、ZL1、ZL2、ZL3:マスター−スレーブ間光路部
IL、IL12、IL23、IL13、IL1M、IL2M:スレーブ相互間光路部
FC、FC1、FC2、FC3:発振周波数制御部
IA、IA12、IA23、IA13:スレーブ相互間強度制御部
IP、IP12、IP23、IP13:スレーブ相互間光路長制御部
ZA、ZA1、ZA2、ZA3:マスター−スレーブ間強度制御部
ZP、ZP1、ZP2、ZP3:マスター−スレーブ間位相制御部
PM:発振位相測定部
PC:ポンピング電流制御部
BR:光反射鏡
BG:増幅媒質
BC:レーザー制御部
BL:局部発振器
ML:局部発振器
FCS:光スプリッタ
FCC:フォトダイオード
FCM:ミキサ回路
IPS:光スプリッタ
IPC:フォトダイオード
IPM:ミキサ回路
IPP:位相変調部
SW:シリコン導波路
C、C1、C2、CM:発振光制御部
XC:MEMSミラー
MEM:ミラーアレイ

Claims (20)

  1. イジングモデルの複数のサイトに対応し、予め定められた同一の方向の偏光を有する光を発振する複数のコヒーレント発振器と、
    前記複数のコヒーレント発振器に対して注入同期を行い、前記予め定められた同一の方向の偏光を有する光を発振するマスター発振器と、
    前記マスター発振器及び各コヒーレント発振器の間に配置されるマスター発振器−コヒーレント発振器間光路部と、
    前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、2つのコヒーレント発振器の間に配置されるコヒーレント発振器相互間光路部と、
    各マスター発振器−コヒーレント発振器間光路部に配置され、各コヒーレント発振器の発振周波数を前記マスター発振器の発振周波数に制御する発振周波数制御部と、
    前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、各コヒーレント発振器相互間光路部に配置され、2つのコヒーレント発振器の間で交換される光の強度を制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の大きさを実装するコヒーレント発振器相互間強度制御部と、
    前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、各コヒーレント発振器相互間光路部に配置され、2つのコヒーレント発振器の間の光路長を制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号を実装するコヒーレント発振器相互間光路長制御部と、
    前記複数のコヒーレント発振器が定常状態に到達した後に、前記マスター発振器の発振位相に対する前記複数のコヒーレント発振器の発振位相の相対値を測定することにより、前記複数のコヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンを測定する発振位相測定部と、
    を備えることを特徴とするイジングモデルの量子計算装置。
  2. 各コヒーレント発振器相互間光路長制御部は、2つのコヒーレント発振器の間の光路長を前記注入同期の発振波長の半整数倍又は整数倍になるように制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号を実装する
    ことを特徴とする請求項1に記載のイジングモデルの量子計算装置。
  3. 前記発振位相測定部は、
    前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、両方のコヒーレント発振器の発振位相が前記マスター発振器の発振位相より進んでいる又は遅れているとき、2つのコヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンの方向は相互に同一と判定し、
    前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、一方のコヒーレント発振器の発振位相が前記マスター発振器の発振位相より進んでおり、かつ、他方のコヒーレント発振器の発振位相が前記マスター発振器の発振位相より遅れているとき、2つのコヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンの方向は相互に異なると判定する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のイジングモデルの量子計算装置。
  4. 各マスター発振器−コヒーレント発振器間光路部に配置され、各コヒーレント発振器に注入される光の強度を制御することにより、各コヒーレント発振器での擬似的なゼーマンエネルギーの大きさを実装するマスター発振器−コヒーレント発振器間強度制御部と、
    各マスター発振器−コヒーレント発振器間光路部に配置され、各コヒーレント発振器に注入される光の位相を制御することにより、各コヒーレント発振器での擬似的なゼーマンエネルギーの符号を実装するマスター発振器−コヒーレント発振器間位相制御部と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のイジングモデルの量子計算装置。
  5. 各マスター発振器−コヒーレント発振器間位相制御部は、前記マスター発振器の発振位相に対する各コヒーレント発振器への注入位相の進み又は遅れを制御することにより、各コヒーレント発振器での擬似的なゼーマンエネルギーの符号を実装する
    ことを特徴とする請求項4に記載のイジングモデルの量子計算装置。
  6. 各発振周波数制御部は、各コヒーレント発振器及び前記マスター発振器の発振光の干渉強度を各コヒーレント発振器の発振周波数の変化に対して極値になるように制御することにより、各コヒーレント発振器の発振周波数を前記マスター発振器の発振周波数に制御する
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のイジングモデルの量子計算装置。
  7. 各コヒーレント発振器相互間光路長制御部は、2つのコヒーレント発振器の発振光の干渉強度を2つのコヒーレント発振器の間の光路長の変化に対して極値になるように制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の光路長を前記注入同期の発振波長の半整数倍又は整数倍に制御する
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のイジングモデルの量子計算装置。
  8. 各発振周波数制御部における各コヒーレント発振器の発振周波数の制御と、各コヒーレント発振器相互間光路長制御部における2つのコヒーレント発振器の間の光路長の制御と、前記発振位相測定部における前記複数のコヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンの測定が、当該記載順序で行われる
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のイジングモデルの量子計算装置。
  9. 各コヒーレント発振器相互間光路部を介して擬似的なイジング相互作用を行う2つのコヒーレント発振器について、当該2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の大きさ及び符号が固定値に実装されている状態で、当該2つのコヒーレント発振器のポンピング電流を漸増制御し、前記複数のコヒーレント発振器が最初に一体として一つの発振モードに到達した時点で、当該2つのコヒーレント発振器のポンピング電流を固定制御するポンピング電流制御部、をさらに備え、
    前記発振位相測定部は、前記複数のコヒーレント発振器が最初に一体として一つの発振モードに到達して定常状態に到達した後に、前記マスター発振器の発振位相に対する前記複数のコヒーレント発振器の発振位相の相対値を測定することにより、前記複数のコヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンを測定する
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のイジングモデルの量子計算装置。
  10. 各マスター発振器−コヒーレント発振器間光路部に配置され、
    各コヒーレント発振器相互間光路部を介して擬似的なイジング相互作用を行う2つのコヒーレント発振器について、前記マスター発振器の発振位相に対する当該2つのコヒーレント発振器の発振位相の相対値が有意に測定されなかったとき、
    当該2つのコヒーレント発振器に注入される光の強度及び位相を制御することにより、当該2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号が正に実装されていれば、当該2つのコヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンの方向を相違させるように固定し、当該2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号が負に実装されていれば、当該2つのコヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンの方向を同一にするように固定する隣接イジングスピン方向固定部、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のイジングモデルの量子計算装置。
  11. 各マスター発振器−コヒーレント発振器間光路部に配置され、
    各コヒーレント発振器相互間光路部を介して擬似的なイジング相互作用を行う2つのコヒーレント発振器について、前記マスター発振器の発振位相に対する当該2つのコヒーレント発振器の発振位相の相対値が有意に測定されなかったとき、
    他のコヒーレント発振器相互間光路部を介して当該2つのコヒーレント発振器と擬似的なイジング相互作用を行う隣接コヒーレント発振器に注入される光の強度及び位相を制御することにより、当該隣接コヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンの方向を計算途中の現時点の方向に固定する周辺イジングスピン方向固定部、
    をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載のイジングモデルの量子計算装置。
  12. 各コヒーレント発振器相互間光路部を介して擬似的なイジング相互作用を行う2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の遅延時間が、前記マスター発振器及び当該2つのコヒーレント発振器における注入同期幅の逆数より短いことを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のイジングモデルの量子計算装置。
  13. 前記複数のコヒーレント発振器は、複数のスレーブレーザーであることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のイジングモデルの量子計算装置。
  14. 前記複数のコヒーレント発振器は、複数のボーズ・アインシュタイン凝縮体であることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のイジングモデルの量子計算装置。
  15. 前記マスター発振器は、マスターレーザーであることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載のイジングモデルの量子計算装置。
  16. イジングモデルの複数のサイトに対応し、予め定められた同一の方向の偏光を有する光を発振する複数のコヒーレント発振器の発振を開始するとともに、
    前記複数のコヒーレント発振器に対して注入同期を行い、前記予め定められた同一の方向の偏光を有する光を発振するマスター発振器の発振を開始する発振開始ステップと、
    各コヒーレント発振器の発振周波数を前記マスター発振器の発振周波数に制御する発振周波数制御ステップと、
    前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、2つのコヒーレント発振器の間で交換される光の強度を制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の大きさを実装するとともに、
    前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、2つのコヒーレント発振器の間の光路長を制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号を実装するコヒーレント発振器相互間強度光路長制御ステップと、
    前記複数のコヒーレント発振器が定常状態に到達した後に、前記マスター発振器の発振位相に対する前記複数のコヒーレント発振器の発振位相の相対値を測定することにより、前記複数のコヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンを測定する発振位相測定ステップと、
    を順に備えることを特徴とするイジングモデルの量子計算方法。
  17. 前記コヒーレント発振器相互間強度光路長制御ステップは、2つのコヒーレント発振器の間の光路長を前記注入同期の発振波長の半整数倍又は整数倍になるように制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号を実装する
    ことを特徴とする請求項16に記載のイジングモデルの量子計算方法。
  18. 前記発振位相測定ステップは、
    前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、両方のコヒーレント発振器の発振位相が前記マスター発振器の発振位相より進んでいる又は遅れているとき、2つのコヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンの方向は相互に同一と判定し、
    前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、一方のコヒーレント発振器の発振位相が前記マスター発振器の発振位相より進んでおり、かつ、他方のコヒーレント発振器の発振位相が前記マスター発振器の発振位相より遅れているとき、2つのコヒーレント発振器の擬似的なイジングスピンの方向は相互に異なると判定する
    ことを特徴とする請求項16又は17に記載のイジングモデルの量子計算方法。
  19. 各コヒーレント発振器に注入される光の強度を制御することにより、各コヒーレント発振器での擬似的なゼーマンエネルギーの大きさを実装するとともに、
    各コヒーレント発振器に注入される光の位相を制御することにより、各コヒーレント発振器での擬似的なゼーマンエネルギーの符号を実装するマスター発振器−コヒーレント発振器間強度位相制御ステップ、
    を前記コヒーレント発振器相互間強度光路長制御ステップと並行に備えることを特徴とする請求項16から18のいずれかに記載のイジングモデルの量子計算方法。
  20. 前記マスター発振器−コヒーレント発振器間強度位相制御ステップは、前記マスター発振器の発振位相に対する各コヒーレント発振器への注入位相の進み又は遅れを制御することにより、各コヒーレント発振器での擬似的なゼーマンエネルギーの符号を実装する
    ことを特徴とする請求項19に記載のイジングモデルの量子計算方法。
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