JP2014134421A - Pc鋼材の張力表示器及びその表示方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】構造物等に補強部材として使用されたPC鋼より線Pに取付ける張力表示器Aである。そのPC鋼材に2つ割り嵌合によって取付けられるケーシング1内に、LED22a・・からなる表示部20、張力測定部(磁化器2、ホール素子4)、制御部10、電池12等を組み込む。地震等において、大きな揺れが生じて、一時的に大きな張力がPC鋼より線にかかり、その許容限度、例えば、200kNを超えると、赤色ランプ22hが点滅し、その揺れが収まってその張力が200kN以下になってもその点滅は続けられる。このため、そのPC鋼より線の変状、即ち、補強対象物の変状(許容限度を超えたこと等)を容易に視認でき、退避や適切な補強などの処置を円滑になし得る。
【選択図】図2
Description
これらの既設、新設の何れのPC鋼材においても、風雨や地震などによる地山、トンネル、炭坑等の坑周壁や構造物(以下、これらを含めて「構造物等」と言う)への外的負荷によって、経年に伴いその荷重(緊張力)が変化する。その変化を測定する器具として、PC鋼材の一部を囲むように配された磁化器と、その磁化器の磁化区間内に配されてPC鋼材表面の空間磁界強度を検出する磁気センサとからなり、その磁気センサで検出した空間磁界強度に基づいてPC鋼材に作用する張力を測定する張力測定器が発明されている(特許文献1請求項1、特許文献2請求項1等参照)。
さらに、構造物等の変状を測定し、その測定値に基づき、その変状をLED光源でもって赤、黄、青等の色表示する技術もある(特許文献4請求項1、段落0024等参照)。
上記特許文献4記載の構造物等の変状をLED光源でもって青、黄、赤等の色表示する技術は、現場作業者に報知する手段として優れているが、その構造物等の変状測定手段が摺動スイッチによるため、精度や耐久性等において問題である(特許文献4段落0043〜0062図1〜図7等参照)。
一方、特許文献1、2に記載の磁気センサによる張力測定器はコンパクト化が容易である。
つぎに、その張力測定器の測定部をケーシング内に収めるとともに、そのケーシングにPC鋼材の張力変化を表示する表示部を設けることとしたのである。
このように、ケーシング内にPC鋼材の張力変化の測定部及びその張力変化表示部を設けて張力表示器を構成し、この張力表示器をPC鋼材に取付けて、その取付けたPC鋼材の張力変化を表示すれば、そのPC鋼材が設けられた構造物等の変状も表示することとなる。このため、その構造物等内に居たり、その構造物等周りに居たりする者に、その構造物等の変状を容易に報知することができる。すなわち、現場作業者等が構造物等の変状を容易に視認できる。
このケーシングは2つ割りされて、その分割ケーシング間に前記PC鋼材を挟んで一体にされるものとすれば、この張力表示器を既設のPC鋼材に容易に取付けることができる。このとき、ケーシング内における張力測定部や表示部の配置及び両者の電気接続(配線)等は、分割ケーシングを開いてPC鋼材を挟み得るように適宜に行なうことは勿論である。
一方、許容限度を弾性域と降伏域の境界とせずに、許容限度を弾性域内に設定した場合、PC鋼材の張力がその許容限度を超えてその旨表示(色表示)が変わっても、例えば、「青」から「赤」に変わっても、その最大張力が弾性域内にあって、再度、許容限度内に張力が復帰すれば(戻れば)、許容限度内の表示に復帰するようにすることができる。例えば、「赤」から「青」に復帰するようにすることができる。勿論、この場合において、弾性域を超えれば、当然にその張力が許容限度を超えた表示、例えば「赤」を表示しつづけることが好ましい。
また、地山等の補強用として又は構造物に組み込まれた複数のPC鋼材にそれぞれ張力表示器を取付け、その各張力表示器でもって各PC鋼材の張力状態を表示するようにすれば、ある張力表示器において、許容限度又は弾性域を超えた表示がし続けられ、他の張力表示器はその表示がなされない場合があり、このことから、各PC鋼材に個別に張力表示器を取付けることは、構造物等の部分劣化を確認する上において有意義である。
この張力表示器の上記磁化器は、PC鋼材の一部をその長さ方向に飽和漸近磁化範囲まで直流磁化するものであり、このとき、PC鋼材は前記一部が飽和漸近磁化範囲の磁界下で使用領域の上限値(例えば、100kN)以上荷重が負荷されたものであるものとすることができる。このようにすると、測定精度を向上させることができる(特許文献2段落0009〜0010参照)。
坑道の場合、露出するPC鋼材に同様に露出させてこの張力表示器が取付けられるため、作業者はその張力表示器の表示を容易に視認することができる。このため、監視員のみならず、一般の作業者が日常的に坑道の劣化を視認できるため、安全性を向上させることができる。
また、そのPC鋼材は、PC鋼線(例えば、直径8mm以下の高強度鋼)、PC鋼棒(例えば、直径10mm以上の高強度鋼)およびPC鋼より線(PC鋼線をより合わせたもの)等であることは言うまでもない。
磁化器2は、円筒形の鋼製ヨーク6の内周両端部に、円筒の一部をなす形状(弧状)の4個の永久磁石7をそれぞれ接着剤で固定したものである。
そのヨーク6は、2つの半円筒形のヨーク片に分割されてその分割ヨーク片がそれぞれ分割ケーシングの一方の側のスペース内面に設けられており、その一つの分割面から両ヨーク片に差し込まれる複数のピン9と、一方のヨーク片の外側から他方のヨーク片にねじ込まれる複数のボルト5とによって一体化されている(図2(b)参照)。なお、ヨーク6をケーシング1に接着固定する場合には、分割ケーシングと分割ヨーク片の一方のみを一体化するだけでも良い。
スペーサ3は、非磁性のポリエチレン製で、磁化器2と同様に周方向に2分割されており、各永久磁石7の内周側に接着固定されて、永久磁石7とPC鋼より線Pとの接触を防止している。その外周面のヨーク6内周面と対向する位置に、前記ホール素子4が複数取り付けられている。
ホール素子4は、磁化器2内周側の一対の永久磁石7の中間点、すなわちPC鋼より線Pの磁化区間の長手方向中央部の近傍に、周方向に等間隔で配されている(以上の構成は、特許文献1段落0019〜同0023参照)。
このように、一つの構造物E、H等の複数のPC鋼より線Pにそれぞれこの張力表示器Aを取付けたところ、ある張力表示器Aにおいては、赤表示が表示し続けられており、他の張力表示器Aは緑(青)表示であるような場合が想定されることから、各PC鋼より線Pに個別に張力表示器Aを取付けることは、構造物等の部分劣化を確認する上において有意義である。
このとき、ケーシング1内面とPC鋼より線Pの接触面に接着材を設けて両者を固定することができる。但し、PC鋼より線Pの伸縮に影響されない程度の柔軟性を有する接着層とする。
このため、地震等によって、構造物等に負荷がかかって、200kN(許容限度)を超えた張力が検出(測定)されれば、赤色のLED22hが点滅し、その構造物等が危険状態になったことを、その周りの作業員等の人々に報知する。このとき、仮に、PC鋼より線Pの張力が200kN以下となっても、その赤色のLED22hの点滅は続くため、構造物等の危険状態は報知し続けられる。また、炭坑等においては、地盤が徐々に弛んで、補強構造物Eへの負荷偏倚が生じると、その負荷が大きくなったPC鋼より線Pの張力が増して200kNを超せば、そのPC鋼より線Pに付設された張力表示器Aが、赤色点滅するため、その補強構造物Eの危険度を、監視員のみならず、その周りの作業者も容易に知る事ができる。このため、退避や適切な補強などの処置が円滑になされる。
また、PC鋼材Pへの張力が許容範囲を越えた場合、その旨を表示し続けるようにしたが、PC鋼材にかかった最大張力を表示し続けるようにすることもできる。このとき、その張力が許容範囲を越えれば、当然に、その許容範囲を越えた旨は表示し続けられることとなる。
このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
D 炭坑の坑道
E 補強構造物
H 建築物
P PC鋼より線(PC鋼材)
1 ケーシング
2 磁化器
3 スペーサ
4 ホール素子
6 ヨーク
7 永久磁石
10 制御部
12 電池
20 表示部
22、22a〜22h 発光ダイオード(LED)
Claims (14)
- 地山やトンネル、炭坑等の坑周壁及び構造物の補強用PC鋼材(P)又は構造物に組み込まれたPC鋼材(P)の張力測定部と、その張力測定部からの信号によって前記PC鋼材(P)にかかっている張力を表示する表示部(20)とからなり、その張力測定部及び表示部は前記PC鋼材(P)に取付けられるケーシング(1)内に組み込まれていることを特徴とするPC鋼材の張力表示器。
- 上記ケーシング(1)は、2つ割りされて、その分割ケーシング間に前記PC鋼材(P)を挟んで一体にされるものであることを特徴とする請求項1に記載のPC鋼材の張力表示器。
- 上記表示部(20)は、上記PC鋼材(P)にかかった最大張力を表示し続けることを特徴とする請求項1又は2に記載のPC鋼材の張力表示器。
- 上記表示部(20)は、上記PC鋼材(P)への張力が許容範囲内の場合と同許容範囲を超えた場合との異なった旨を表示することを特徴とする請求項1又は2に記載のPC鋼材の張力表示器。
- 上記表示部(20)は、上記PC鋼材(P)にかかった張力が上記許容範囲を越えた際、その許容範囲を越えた旨を表示し続けることを特徴とする請求項4に記載のPC鋼材の張力表示器。
- 上記PC鋼材(P)の許容範囲をそのPC鋼材の弾性域内に設定した場合は、上記表示部(20)は、許容範囲を超えた張力がかかってもその張力がPC鋼材(P)の弾性域内である限り、その張力が許容範囲内に復帰すれば、許容範囲内の場合の旨表示に復帰し、弾性域を超えて降伏域に至れば、許容範囲を超えた張力がかかった旨を表示し続けることを特徴とする請求項4に記載のPC鋼材の張力表示器。
- 上記表示部(20)は、上記PC鋼材(P)への張力の大きさを、長さ、数又は数字で示すことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記載のPC鋼材の張力表示器。
- 上記表示部(20)は、上記PC鋼材(P)への張力の変化を異なる色で表示し、上記PC鋼材(P)への張力が許容範囲内の場合の表示と、同許容範囲を超えた場合の表示とを異なる色としたことを特徴とする請求項1乃至7の何れか一つに記載のPC鋼材の張力表示器。
- 上記張力測定部は、上記ケーシング(1)内に組み込まれて上記PC鋼材(P)の一部を囲むように配された磁化器(2)と、その磁化器(2)の磁化区間内に配されてPC鋼材表面の空間磁界強度を検出する磁気センサ(4)とからなり、その磁気センサ(4)で検出した空間磁界強度に基づいてPC鋼材(P)に作用する張力を測定するものであることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一つに記載のPC鋼材の張力表示器。
- 上記磁化器(2)は、上記PC鋼材(P)の一部をその長さ方向に飽和漸近磁化範囲まで直流磁化するものであることを特徴とする請求項9に記載のPC鋼材の張力表示器。
- 上記PC鋼材(P)が、炭坑の坑道補強用であることを特徴とする請求項1乃至10の何れか一つに記載のPC鋼材の張力表示器。
- 請求項3に記載の張力表示器(A)をPC鋼材(P)に取付け、そのPC鋼材(P)にかかった最大張力を表示し続けることを特徴とするPC鋼材の張力表示方法。
- 請求項5又は6に記載の張力表示器(A)をPC鋼材(P)に取付け、そのPC鋼材(P)に許容範囲又は弾性域を超える張力が加わった場合、その超えた張力が加わった旨を前記張力表示器(A)によって表示し続けることを特徴とするPC鋼材の張力表示方法。
- 地山やトンネル、炭坑等の坑周壁及び構造物の補強用として又は構造物に組み込まれた複数のPC鋼材(P)にそれぞれ上記張力表示器(A)を取付け、その各張力表示器(A)でもって各PC鋼材(P)の張力状態を表示することを特徴とする請求項12に記載のPC鋼材の張力表示方法。
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