上記のような土砂災害感知システム161においては、図42を参照して、光ファイバー177を、水路ブロック162a及び162bの側壁163a及び163bの各々に固定するために、シール170a及び170bを必要とするものであった。
ここで、シール170a及び170bの役割について説明する。
図43は、図42で示した水路ブロックの目地部付近を示す概略図である。
図43の(1)を参照して、設置地盤が通常状態である水路ブロック162a及び162bにおいて、溝165に設置された光ファイバー177は安定した設置状態にあり、光ファイバー177は破断していない。水路ブロック162bの設置地盤が崩壊する異常状態になると、例えば図の矢印の方向に、目地部169を基準として水路ブロック162bが下方向に移動して、ずれが生じる。
図43の(2)を参照して、設置地盤が異常状態となった水路ブロック162a及び162bにおいて、水路ブロック162a及び162b間の相対的なずれによる荷重によって、光ファイバー177が破断する。
そのとき、光ファイバー177は、水路ブロック162a及び162bの固定用溝167a及び167bの各々、即ち水路ブロック162a及び162bの各々の端部において、シール170a及び170bの各々で押圧して固定されている。よって、シール170a及び170b間における光ファイバー177の部分に対して、水路ブロック162a及び162b間の相対的なずれによる荷重が掛かり易くなり、破断し易くなる。従って、シール170a及び170bは、水路ブロック162a及び162b間の相対的なずれが生じた際に、光ファイバー177を破断し易くする。
このように、光ファイバー177を目地部169で破断させるためには、光ファイバー177を常に押圧固定するシール170a及び170bが必要であった。しかし、シール170a及び170bを設置するには、手間と時間がかかっていた。又、水路ブロック162a及び162b間の相対的なずれが生じていない状態、つまり、設置地盤が通常状態であっても、シール170a及び170bが常に光ファイバー177を押圧しているため、光ファイバー177の劣化を早める虞があった。更に、光ファイバー177は高コストであるため、これに代えて例えば電線ケーブルのような低コストのセンサーケーブルであっても使用できるものが求められていた。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、土砂災害の発生箇所が特定されると共に、センサーケーブルの効率的な設置が可能となる土砂災害感知システムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、土砂災害感知システムであって、法面から生じる雨水の排出のために設置される第1の水路ブロックと、法面から生じる雨水の排出のために第1の水路ブロックに連結して設置される第2の水路ブロックと、第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの各々に沿わせて跨ぐように連続的に取り付けられるセンサーケーブルと、第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの各々に対してセンサーケーブルの相対的な移動を阻止する第1の移動阻止手段及び第2の移動阻止手段と、センサーケーブルの破断の有無を検知する検知手段とを備え、第1の移動阻止手段は、第1の水路ブロックと第2の水路ブロックとの連結部に対応するセンサーケーブルの連結部分に発生した引張応力が引張強度に達するまで、引張応力を生じさせる引張力に基づいて第1の静止摩擦力を発生し、第2の移動阻止手段は、連結部に対応するセンサーケーブルの連結部分に発生した引張応力が引張強度に達するまで、引張応力を生じさせる引張力に基づいて第2の静止摩擦力を発生し、第1の移動阻止手段は、第1の水路ブロックの外面に形成された第1の溝と、第1の溝に係合するセンサーケーブルの少なくとも一部とを含み、第1の溝の少なくとも一部は、蛇行形状に形成されるものである。
このように構成すると、ブロックの連結部の連結状態に一定以上の変化があると、センサーケーブルの連結部分が破断する。又、第1の静止摩擦力がセンサーケーブルと第1の溝との間に生じる。更に、第1の静止摩擦力がセンサーケーブルと第1の溝の蛇行部分との間に生じ易くなる。
請求項2記載の発明は、土砂災害感知システムであって、法面から生じる雨水の排出のために設置される第1の水路ブロックと、法面から生じる雨水の排出のために第1の水路ブロックに連結して設置される第2の水路ブロックと、第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの各々に沿わせて跨ぐように連続的に取り付けられるセンサーケーブルと、第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの各々に対してセンサーケーブルの相対的な移動を阻止する第1の移動阻止手段及び第2の移動阻止手段と、センサーケーブルの破断の有無を検知する検知手段とを備え、第1の移動阻止手段は、第1の水路ブロックと第2の水路ブロックとの連結部に対応するセンサーケーブルの連結部分に発生した引張応力が引張強度に達するまで、引張応力を生じさせる引張力に基づいて第1の静止摩擦力を発生し、第2の移動阻止手段は、連結部に対応するセンサーケーブルの連結部分に発生した引張応力が引張強度に達するまで、引張応力を生じさせる引張力に基づいて第2の静止摩擦力を発生し、第1の移動阻止手段は、第1の水路ブロックの外面に形成された第1の溝と、第1の溝に係合するセンサーケーブルの少なくとも一部とを含み、第1の溝の一部は、円柱形状のリング部分に沿ってリング形状に形成され、センサーケーブルはリング部分に巻き付けるように取り付けられるものである。
このように構成すると、ブロックの連結部の連結状態に一定以上の変化があると、センサーケーブルの連結部分が破断する。又、第1の静止摩擦力がセンサーケーブルと第1の溝との間に生じる。更に、引張力がセンサーケーブルに生じると、センサーケーブルのリング部分への押圧力が増加する。
請求項3記載の発明は、土砂災害感知システムであって、法面から生じる雨水の排出のために設置される第1の水路ブロックと、法面から生じる雨水の排出のために第1の水路ブロックに連結して設置される第2の水路ブロックと、第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの各々に沿わせて跨ぐように連続的に取り付けられるセンサーケーブルと、第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの各々に対してセンサーケーブルの相対的な移動を阻止する第1の移動阻止手段及び第2の移動阻止手段と、センサーケーブルの破断の有無を検知する検知手段とを備え、第1の移動阻止手段は、第1の水路ブロックと第2の水路ブロックとの連結部に対応するセンサーケーブルの連結部分に発生した引張応力が引張強度に達するまで、引張応力を生じさせる引張力に基づいて第1の静止摩擦力を発生し、第2の移動阻止手段は、連結部に対応するセンサーケーブルの連結部分に発生した引張応力が引張強度に達するまで、引張応力を生じさせる引張力に基づいて第2の静止摩擦力を発生し、第1の移動阻止手段は、第1の水路ブロックの外面に形成された第1の溝と、第1の溝に係合するセンサーケーブルの少なくとも一部とを含み、第1の溝は、直線状の溝部分と、溝部分の途中に形成されて溝部分の幅よりも大きな幅を有する凹み部分とからなり、第1の移動阻止手段は、その一部が凹み部分から露出するように第1の水路ブロックに埋め込まれた棒状部材を更に含み、センサーケーブルの一部は、棒状部材に少なくとも一重に巻き付けて第1の溝に嵌め込まれて係合するものである。
このように構成すると、ブロックの連結部の連結状態に一定以上の変化があると、センサーケーブルの連結部分が破断する。又、第1の静止摩擦力がセンサーケーブルと第1の溝との間に生じる。更に、引張力がセンサーケーブルに生じると、センサーケーブルの棒状部材への押圧力が増加する。
請求項4記載の発明は、土砂災害感知システムであって、法面から生じる雨水の排出のために設置される第1の水路ブロックと、法面から生じる雨水の排出のために第1の水路ブロックに連結して設置される第2の水路ブロックと、第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの各々に沿わせて跨ぐように連続的に取り付けられるセンサーケーブルと、第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの各々に対してセンサーケーブルの相対的な移動を阻止する第1の移動阻止手段及び第2の移動阻止手段と、センサーケーブルの破断の有無を検知する検知手段とを備え、第1の移動阻止手段は、第1の水路ブロックと第2の水路ブロックとの連結部に対応するセンサーケーブルの連結部分に発生した引張応力が引張強度に達するまで、引張応力を生じさせる引張力に基づいて第1の静止摩擦力を発生し、第2の移動阻止手段は、連結部に対応するセンサーケーブルの連結部分に発生した引張応力が引張強度に達するまで、引張応力を生じさせる引張力に基づいて第2の静止摩擦力を発生し、第1の移動阻止手段は、第1の水路ブロックの外面に形成された第1の溝と、第1の溝に係合するセンサーケーブルの少なくとも一部とを含み、第1の溝は、直線状の溝部分と、溝部分の途中に形成されて溝部分の幅よりも大きな幅を有する矩形形状の凹み部分とからなり、第1の移動阻止手段は、凹み部分に収納可能な棒状部材を更に含み、センサーケーブルの一部は、棒状部材に少なくとも一重に巻き付けた状態で、棒状部材は凹み部分に収納されるように係合するものである。
このように構成すると、ブロックの連結部の連結状態に一定以上の変化があると、センサーケーブルの連結部分が破断する。又、第1の静止摩擦力がセンサーケーブルと第1の溝との間に生じる。更に、引張力がセンサーケーブルに生じると、センサーケーブルの棒状部材への押圧力が増加する。
請求項5記載の発明は、土砂災害感知システムであって、法面から生じる雨水の排出のために設置される第1の水路ブロックと、法面から生じる雨水の排出のために第1の水路ブロックに連結して設置される第2の水路ブロックと、第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの各々に沿わせて跨ぐように連続的に取り付けられるセンサーケーブルと、第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの各々に対してセンサーケーブルの相対的な移動を阻止する第1の移動阻止手段及び第2の移動阻止手段と、センサーケーブルの破断の有無を検知する検知手段とを備え、第1の移動阻止手段は、第1の水路ブロックと第2の水路ブロックとの連結部に対応するセンサーケーブルの連結部分に発生した引張応力が引張強度に達するまで、引張応力を生じさせる引張力に基づいて第1の静止摩擦力を発生し、第2の移動阻止手段は、連結部に対応するセンサーケーブルの連結部分に発生した引張応力が引張強度に達するまで、引張応力を生じさせる引張力に基づいて第2の静止摩擦力を発生し、第1の移動阻止手段は、第1の水路ブロックの外面に形成された第1の溝と、第1の溝に係合するセンサーケーブルの少なくとも一部とを含み、第1の溝は、直線状の溝部分と、溝部分の途中に形成された凹み部分と、凹み部分に設置され、互いに対向するように配置された一対の突出片とを含み、センサーケーブルの一部は溝部分に嵌め込まれ、他の一部は突出片の各々に架け渡すようにこれらに係合するものである。
このように構成すると、ブロックの連結部の連結状態に一定以上の変化があると、センサーケーブルの連結部分が破断する。又、第1の静止摩擦力がセンサーケーブルと第1の溝との間に生じる。更に、突出片の形状及び配置により、センサーケーブルに対して生じる第1の静止摩擦力の大きさが変化する。
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の発明の構成において、第1の溝は、第2の水路ブロック側の端部に位置しセンサーケーブルが拘束されない調整溝部分と、調整溝部分に接続しセンサーケーブルが拘束状態に嵌合される嵌合溝部分とを含むものである。
このように構成すると、第1の水路ブロックと第2の水路ブロックとを跨ぐセンサーケーブルの部分であって拘束されない部分の長さが長くなる。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の構成において、センサーケーブルは、調整溝部分において緩んだ状態で配置されるものである。
このように構成すると、センサーケーブルの拘束されない部分の長さが実質的に長くなる。
請求項8記載の発明は、土砂災害感知システムであって、法面から生じる雨水の排出のために設置される第1の水路ブロックと、法面から生じる雨水の排出のために第1の水路ブロックに連結して設置される第2の水路ブロックと、第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの各々に沿わせて跨ぐように連続的に取り付けられるセンサーケーブルと、第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの各々に対してセンサーケーブルの相対的な移動を阻止する第1の移動阻止手段及び第2の移動阻止手段と、センサーケーブルの破断の有無を検知する検知手段とを備え、第1の移動阻止手段は、第1の水路ブロックと第2の水路ブロックとの連結部に対応するセンサーケーブルの連結部分に発生した引張応力が引張強度に達するまで、引張応力を生じさせる引張力に基づいて第1の静止摩擦力を発生し、第2の移動阻止手段は、連結部に対応するセンサーケーブルの連結部分に発生した引張応力が引張強度に達するまで、引張応力を生じさせる引張力に基づいて第2の静止摩擦力を発生し、第1の水路ブロックは、第1の本体ブロックと、第2の水路ブロック側の端部に、その端部が整列した状態で第1の本体ブロックに脱着自在に取り付けられる第1の装着ブロックとからなり、第2の水路ブロックは、第2の本体ブロックと、第1の水路ブロック側の端部に、その端部が整列した状態で第2の本体ブロックに脱着自在に取り付けられる第2の装着ブロックとからなり、センサーケーブルは、第1の装着ブロック及び第2の装着ブロックの各々に沿わせて跨ぐように連続的に取り付けられ、第1の本体ブロックと第1の装着ブロックとは、センサーケーブルに対してその引張強度に相当する引張応力を生じさせる大きさの外力が第1の本体ブロックに加わった時、相対的に移動しないように係合し、第2の本体ブロックと第2の装着ブロックとは、外力が第2の本体ブロックに加わった時、相対的に移動しないように係合するものである。
このように構成すると、ブロックの連結部の連結状態に一定以上の変化があると、センサーケーブルの連結部分が破断する。又、外力が第1の本体ブロック又は第2の本体ブロックに加わってもセンサーケーブルが破断するまでは第1の装着ブロック又は第2の装着ブロックと一体となる。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明の構成において、第1の移動阻止手段は、第1の装着ブロックの外面に形成された第1の溝と、第1の溝に係合するセンサーケーブルの少なくとも一部とを含むものである。
このように構成すると、第1の静止摩擦力がセンサーケーブルと第1の溝との間に生じる。
請求項10記載の発明は、土砂災害感知システムであって、法面から生じる雨水の排出のために設置される第1の水路ブロックと、法面から生じる雨水の排出のために第1の水路ブロックに連結して設置される第2の水路ブロックと、第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの各々に沿わせて跨ぐように連続的に取り付けられるセンサーケーブルと、第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの各々に対してセンサーケーブルの相対的な移動を阻止する第1の移動阻止手段及び第2の移動阻止手段と、センサーケーブルの破断の有無を検知する検知手段とを備え、第1の移動阻止手段は、第1の水路ブロックと第2の水路ブロックとの連結部に対応するセンサーケーブルの連結部分に発生した引張応力が引張強度に達するまで、引張応力を生じさせる引張力に基づいて第1の静止摩擦力を発生し、第2の移動阻止手段は、連結部に対応するセンサーケーブルの連結部分に発生した引張応力が引張強度に達するまで、引張応力を生じさせる引張力に基づいて第2の静止摩擦力を発生し、第1の水路ブロックは、第1の本体ブロックと、第2の水路ブロック側の端部に、その端部が整列した状態で第1の本体ブロックに脱着自在に固定される第1の装着ブロックとからなり、第2の水路ブロックは、第2の本体ブロックと、第1の水路ブロック側の端部に、その端部が整列した状態で第2の本体ブロックに脱着自在に固定される第2の装着ブロックとからなり、センサーケーブルは、第1の装着ブロック及び第2の装着ブロックの各々に沿わせて跨ぐように連続的に取り付けられるものである。
このように構成すると、ブロックの連結部の連結状態に一定以上の変化があると、センサーケーブルの連結部分が破断する。又、外力が第1の本体ブロック又は第2の本体ブロックに加わってもセンサーケーブルが破断するまでは第1の装着ブロック又は第2の装着ブロックと一体となる。
請求項11記載の発明は、請求項10記載の発明の構成において、第1の移動阻止手段は、第1の装着ブロックの上面に形成された第1の皿状部分と、第1の皿状部分に載置されるセンサーケーブルの少なくとも一部と、センサーケーブルの一部の上方を塞ぐように充填されるモルタルとを含むものである。
このように構成すると、第1の静止摩擦力がセンサーケーブルとモルタルとの間に生じる。
請求項12記載の発明は、請求項1から請求項7及び請求項9のいずれかに記載の発明の構成において、センサーケーブルが係合した第1の溝に、センサーケーブルの上方を塞ぐようにモルタルが充填されるものである。
このように構成すると、第1の静止摩擦力がセンサーケーブルとモルタルとの間に生じる。
請求項13記載の発明は、請求項1から請求項7及び請求項9のいずれかに記載の発明の構成において、センサーケーブルが係合した第1の溝に、センサーケーブルの上方を塞ぐように目地材が嵌め込まれるものである。
このように構成すると、第1の静止摩擦力がセンサーケーブルと目地材との間に生じる。
請求項14記載の発明は、土砂災害感知システムであって、法面から生じる雨水の排出のために設置される第1の水路ブロックと、法面から生じる雨水の排出のために第1の水路ブロックに連結して設置される第2の水路ブロックと、第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの各々に沿わせて跨ぐように連続的に取り付けられるセンサーケーブルと、第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの各々に対してセンサーケーブルの相対的な移動を阻止する第1の移動阻止手段及び第2の移動阻止手段と、センサーケーブルの破断の有無を検知する検知手段とを備え、第1の移動阻止手段は、第1の水路ブロックと第2の水路ブロックとの連結部に対応するセンサーケーブルの連結部分に発生した引張応力が引張強度に達するまで、引張応力を生じさせる引張力に基づいて第1の静止摩擦力を発生し、第2の移動阻止手段は、連結部に対応するセンサーケーブルの連結部分に発生した引張応力が引張強度に達するまで、引張応力を生じさせる引張力に基づいて第2の静止摩擦力を発生し、第1の移動阻止手段は、第1の水路ブロックに第1のインサートを介して螺合自在に取り付けられた第1のボルトと、第1のボルトの胴部が貫通した状態で第1のボルトの頭部と第1の水路ブロックとの間に配置された一対の第1の平板とを含み、センサーケーブルは、第1の平板の各々に挟まれた状態で配置され、第2の移動阻止手段は、第2の水路ブロックに第2のインサートを介して螺合自在に取り付けられた第2のボルトと、第2のボルトの胴部が貫通した状態で第2のボルトの頭部と第2の水路ブロックとの間に配置された一対の第2の平板とを含み、センサーケーブルは、第2の平板の各々に挟まれた状態で配置されるものである。
このように構成すると、ブロックの連結部の連結状態に一定以上の変化があると、センサーケーブルの連結部分が破断する。又、ボルトの締め付け状態によって、センサーケーブルを挟む平板の押圧力が変化する。
請求項15記載の発明は、請求項14記載の発明の構成において、センサーケーブルは、第1のボルトと第2のボルトとに係合する係合部分と、係合部分を除いた、第1の水路ブロックに配置された第1部分と、係合部分を除いた、第2の水路ブロックに配置された第2部分とからなり、第1部分は、第1の水路ブロックに前もって埋設された第1の埋設部と、第1の水路ブロックから露出した第1の露出部とからなり、第2部分は、第2の水路ブロックに前もって埋設された第2の埋設部と、第2の水路ブロックから露出した第2の露出部とからなり、第1の露出部と係合部分の一方端とが第1の接続端子を介して脱着自在に接続され、第2の露出部と係合部分の他方端とが第2の接続端子を介して脱着自在に接続されるものである。
このように構成すると、係合部分のみの交換が容易になる。
請求項16記載の発明は、請求項14記載の発明の構成において、センサーケーブルは、第1の水路ブロックに配置された第1部分と、第2の水路ブロックに配置された第2部分とからなり、第1部分は、第1の水路ブロックに前もって埋設された第1の埋設部と、第1の水路ブロックから露出した第1の露出部とからなり、第2部分は、第2の水路ブロックに前もって埋設された第2の埋設部と、第2の水路ブロックから露出した第2の露出部とからなり、第1の露出部は、第1のボルト及び第2のボルトに係合した後、第2の露出部に接続端子を介して脱着自在に接続されるものである。
このように構成すると、センサーケーブルの接続箇所が1か所になる。
請求項17記載の発明は、請求項14から請求項16のいずれかに記載の発明の構成において、第1の平板の各々及び第2の平板の各々は、第1のボルト及び第2のボルトの各々に対応したワッシャーを含むものである。
このように構成すると、ボルトとの係合状態が安定する。
請求項18記載の発明は、請求項14から請求項17のいずれかに記載の発明の構成において、第1の移動阻止手段は、第1のボルトの頭部と頭部側の第1の平板との間に設置されたスプリングワッシャーを更に備えるものである。
このように構成すると、ボルトの螺合状態が安定する。
請求項19記載の発明は、請求項14から請求項18のいずれかに記載の発明の構成において、センサーケーブルは、電線ケーブルを含み、センサーケーブルは、第1のボルト及び第2のボルトの各々の胴部に巻き付けた状態で設置されるものである。
このように構成すると、ボルトの同一の締め付け力に対して静止摩擦力が増加する。
請求項20記載の発明は、請求項14から請求項19のいずれかに記載の発明の構成において、センサーケーブルの内露出している部分並びに第1のボルト及び第2のボルトは、モルタルの充填によって被覆されるものである。
このように構成すると、センサーケーブル等がモルタルで保護される。
以上説明したように、請求項1記載の発明は、ブロックの連結部の連結状態に一定以上の変化があると、センサーケーブルの連結部分が破断するため、土砂災害の発生箇所が特定される。又、第1の静止摩擦力がセンサーケーブルと第1の溝との間に生じるため、センサーケーブルの効率的な設置が可能となる。更に、第1の静止摩擦力がセンサーケーブルと第1の溝の蛇行部分との間に生じ易くなるため、第1の溝の蛇行の程度により、第1の静止摩擦力の大きさが調整可能となる。
請求項2記載の発明は、ブロックの連結部の連結状態に一定以上の変化があると、センサーケーブルの連結部分が破断するため、土砂災害の発生箇所が特定される。又、第1の静止摩擦力がセンサーケーブルと第1の溝との間に生じるため、センサーケーブルの効率的な設置が可能となる。更に、引張力がセンサーケーブルに生じると、センサーケーブルのリング部分への押圧力が増加するため、引張力の増加に応じて、第1の静止摩擦力が確実に増加する。
請求項3記載の発明は、ブロックの連結部の連結状態に一定以上の変化があると、センサーケーブルの連結部分が破断するため、土砂災害の発生箇所が特定される。又、第1の静止摩擦力がセンサーケーブルと第1の溝との間に生じるため、センサーケーブルの効率的な設置が可能となる。更に、引張力がセンサーケーブルに生じると、センサーケーブルの棒状部材への押圧力が増加するため、引張力の増加に応じて、第1の静止摩擦力が確実に増加する。
請求項4記載の発明は、ブロックの連結部の連結状態に一定以上の変化があると、センサーケーブルの連結部分が破断するため、土砂災害の発生箇所が特定される。又、第1の静止摩擦力がセンサーケーブルと第1の溝との間に生じるため、センサーケーブルの効率的な設置が可能となる。更に、引張力がセンサーケーブルに生じると、センサーケーブルの棒状部材への押圧力が増加するため、引張力の増加に応じて、第1の静止摩擦力が確実に増加する。
請求項5記載の発明は、ブロックの連結部の連結状態に一定以上の変化があると、センサーケーブルの連結部分が破断するため、土砂災害の発生箇所が特定される。又、第1の静止摩擦力がセンサーケーブルと第1の溝との間に生じるため、センサーケーブルの効率的な設置が可能となる。更に、突出片の形状及び配置により、センサーケーブルに対して生じる第1の静止摩擦力の大きさが変化するため、第1の静止摩擦力の設定が容易になる。
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の発明の効果に加えて、第1の水路ブロックと第2の水路ブロックとを跨ぐセンサーケーブルの部分であって拘束されない部分の長さが長くなるため、センサーケーブルの破断に必要なブロック間同士の変位が大きくなるので、破断感度の調整が容易となる。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の効果に加えて、センサーケーブルの拘束されない部分の長さが実質的に長くなるため、センサーケーブルの破断に必要なブロック間同士の変位が更に大きくなる。
請求項8記載の発明は、ブロックの連結部の連結状態に一定以上の変化があると、センサーケーブルの連結部分が破断するため、土砂災害の発生箇所が特定される。又、外力が第1の本体ブロック又は第2の本体ブロックに加わってもセンサーケーブルが破断するまでは第1の装着ブロック又は第2の装着ブロックと一体となるため、破断動作の信頼性が向上する。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明の効果に加えて、第1の静止摩擦力がセンサーケーブルと第1の溝との間に生じるため、センサーケーブルの効率的な設置が可能となる。
請求項10記載の発明は、ブロックの連結部の連結状態に一定以上の変化があると、センサーケーブルの連結部分が破断するため、土砂災害の発生箇所が特定される。又、外力が第1の本体ブロック又は第2の本体ブロックに加わってもセンサーケーブルが破断するまでは第1の装着ブロック又は第2の装着ブロックと一体となるため、破断動作の信頼性が向上する。
請求項11記載の発明は、請求項10記載の発明の効果に加えて、第1の静止摩擦力がセンサーケーブルとモルタルとの間に生じるため、センサーケーブルの効率的な設置が可能となる。
請求項12記載の発明は、請求項1から請求項7及び請求項9のいずれかに記載の発明の効果に加えて、第1の静止摩擦力がセンサーケーブルとモルタルとの間に生じるため、センサーケーブルの連結部分がより破断し易くなる。
請求項13記載の発明は、請求項1から請求項7及び請求項9のいずれかに記載の発明の効果に加えて、第1の静止摩擦力がセンサーケーブルと目地材との間に生じるため、センサーケーブルの連結部分がより破断し易くなる。
請求項14記載の発明は、ブロックの連結部の連結状態に一定以上の変化があると、センサーケーブルの連結部分が破断するため、土砂災害の発生箇所が特定される。又、ボルトの締め付け状態によって、センサーケーブルを挟む平板の押圧力が変化するため、静止摩擦力の調整が容易になる。
請求項15記載の発明は、請求項14記載の発明の効果に加えて、係合部分のみの交換が容易になるため、係合部分の切断時の取替えが可能となり、利便性が向上する。
請求項16記載の発明は、請求項14記載の発明の効果に加えて、センサーケーブルの接続箇所が1か所になるため、作業効率が向上する。
請求項17記載の発明は、請求項14から請求項16のいずれかに記載の発明の効果に加えて、ボルトとの係合状態が安定するため、取付状態の信頼性が向上すると共に、コスト的に有利となる。
請求項18記載の発明は、請求項14から請求項17のいずれかに記載の発明の効果に加えて、ボルトの螺合状態が安定するため、静止摩擦力が低下しにくくなり、信頼性が向上する。
請求項19記載の発明は、請求項14から請求項18のいずれかに記載の発明の効果に加えて、ボルトの同一の締め付け力に対して静止摩擦力が増加するため、切断時の信頼性が向上する。
請求項20記載の発明は、請求項14から請求項19のいずれかに記載の発明の効果に加えて、センサーケーブル等がモルタルで保護されるため、設置時の信頼性が向上する。
図1は、この発明の第1の実施の形態による土砂災害感知システムの第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックを示す概略斜視図であって、図41に対応した図であり、図2は、図1で示した“X”部分の概略平面図であって、土砂災害感知システムの第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの連結状態を示す図であり、図3は、図1で示した“X”部分の概略右側面図であり、図4は、図2で示したIV−IVラインから見た概略拡大端面図であり、図5は、図2で示したV−Vラインから見た概略拡大端面図である。
尚、土砂災害感知システム1の第1の水路ブロック31及び第2の水路ブロック61を含む複数の水路ブロックは、図39で示した従来の土砂災害感知システム161の水路ブロック162と同様に設置される。ここでは、説明を繰り返さない。
これらの図を参照して、土砂災害感知システム1は、図39で示した法面155から生じる雨水の排出のために設置され、後述する第1の溝37が形成された第1の水路ブロック31と、図39で示した法面155から生じる雨水の排出のために第1の水路ブロック31に連結して設置され、後述する第2の溝67が形成された第2の水路ブロック61と、第1の水路ブロック31及び第2の水路ブロック61の各々に沿わせて跨ぐように連続的に取り付けられるセンサーケーブル14と、センサーケーブル14の破断の有無を検知する、後述する検知手段25(図示せず)とから構成される。尚、センサーケーブル14は、第1の溝37及び第2の溝67に嵌め込まれて設置されている。
第1の溝37及び第2の溝67とセンサーケーブル14とは、第1の水路ブロック31及び第2の水路ブロック61の各々に対してセンサーケーブル14の相対的な移動を阻止する第1の移動阻止手段36及び第2の移動阻止手段66として機能するように構成されている。第1の移動阻止手段36及び第2の移動阻止手段66の詳細については、後述する。
第1の水路ブロック31及び第2の水路ブロック61の各々は、正面視Uの字形状を有して延びるプレキャストコンクリートからなり、その各々が連結することで、図39で示した法面155から生じる雨水を排水するために使用される。
第1の水路ブロック31の側壁32の上面に、長手方向に延びる第1の溝37が形成される。第1の水路ブロック31の側壁32は、その一方端部において短手方向の幅が拡幅された拡幅部33が形成される。第1の溝37は、拡幅部33に対応する部分において、平面視蛇行形状に形成される。又、第1の水路ブロック31に形成された第1の溝37の第2の水路ブロック61側の一方端部は、その一方端部に接続された嵌合溝部分44の幅よりも大きな幅を有する平面視三角形形状の調整溝部分40が形成される。即ち、図5で示した第1の溝37の調整溝部分40の幅W2は、図4で示した第1の溝37の嵌合溝部分44の幅W1よりも大きくなるように形成されている。このように構成した理由については、後述する。
第2の水路ブロック61は、上述した第1の水路ブロック31の側壁32の拡幅部33及び第1の溝37の調整溝部分40と、第2の水路ブロック61の側壁62の拡幅部63及び第2の溝67の調整溝部分70とが対向して連結するように、上述した第1の水路ブロック31と同様に反対対称に形成される。
隣接する第1の水路ブロック31と第2の水路ブロック61との連結部91は、上述した状態となるように、モルタルによってシール状態に連結されている。
センサーケーブル14は、図4で示した実線の矢印で示した方向に、断面視逆台形形状の第1の溝37及び第2の溝67に嵌め込まれて係合している。即ち、センサーケーブル14の効率的な設置が可能となっている。尚、図4及び図5を参照して、センサーケーブルは、後述する電線ケーブル16a及び16bから形成されている。
第1の溝37及び第2の溝67には、調整溝部分40及び調整溝部分70を除いて、丸棒形状のゴム材料からなる目地材39及び目地材69が、図4の二点鎖線の矢印で示した方向に、センサーケーブル14の上方を塞ぐようにして嵌め込まれている。
第1の溝37及び第2の溝67の調整溝部分40及び調整溝部分70には、平面視略四角形形状の目地材93が、センサーケーブル14の上方を塞ぐようにして嵌め込まれている。これにより、例えば猪等の動物によるセンサーケーブル14の不測の破断被害が起こりにくくなる。
次に、土砂災害感知システム1の検知手段25について説明する。
図6は、図1で示した土砂災害感知システムにおけるセンサーケーブルの破断の有無を検知する検知手段の電気式計測系統図である。
図を参照して、土砂災害感知システム1の検知手段25は、センサーケーブル14の破断の有無を検知するものであり、電線ケーブル16a及び16bとからなるセンサーケーブル14と、電線ケーブル16a及び16bの端部に接続された破断チェック部21と、破断チェック部21から信号を受けて回転灯27を制御する回転灯制御部20とから構成される。回転灯制御部20は、電池バッテリー22と接続されている。尚、電池バッテリー22は、いわゆる電池だけでなく、太陽光発電によるものやAC電源装置等を用いても良い。
回転灯制御部20と破断チェック部21とは、一つの電気回路として構築される。この電気回路と電池バッテリー22とを併せてボックス19に収納することで、防水及び防塵を容易に施すことができ、且つ、コンパクトにすることが可能である。
又、検知手段25であるボックス19及び回転灯27は、センサーケーブル14に接続されていれば、どこに設置しても良い。
使用に際して、破断チェック部21は、定期的又は連続的にセンサーケーブル14の電線ケーブル16aから電線ケーブル16bへと通電して、センサーケーブル14の通電状態を監視している。災害が生じて、センサーケーブル14が破断された場合には、センサーケーブル14が断線状態となる。そのとき、破断チェック部21は、通電状態から断線状態になった旨を検知し、回転灯制御部20へと断線を示す信号を送信する。そして、回転灯制御部20は、断線を示す信号を破断チェック部21から受信すると、回転灯27を作動させる。一旦、回転灯27を作動させると、作動状態は維持され、作動を停止するときには、回転灯制御部20に接続された消灯スイッチ23を押下する。このようにして、検知手段25によって、センサーケーブル14の破断の有無が分かる。尚、回転灯27に代えて、ブザー又はこれらを併用しても良い。
次に、まずセンサーケーブル14の破断の原理について説明する。
図7は、図1で示した土砂災害感知システムのセンサーケーブルの破断の原理を説明する模式図である。
図7の(1)を参照して、設置地盤が崩壊する異常状態になり、第1の水路ブロック31が破線の矢印で示した方向に、第2の水路ブロック61が実線の矢印で示した方向に、それぞれ連結部91を基準として移動して、センサーケーブル14の連結部分15が直線状となった状態である。
このとき、センサーケーブル14の連結部分15は、第1の水路ブロック31の一方端部に位置するセンサーケーブル14の拘束点57と、第2の水路ブロック61の一方端部に位置するセンサーケーブル14の拘束点87との間の部分である。このセンサーケーブル14の連結部分15の長さを、L1とする。
ここで、センサーケーブル14の連結部分15には、災害時に起きる第1の水路ブロック31と第2の水路ブロック61との相対的な移動により引張応力K(N/mm2)を生じさせる引張力T(N)が発生する。又、センサーケーブル14と第1の水路ブロック31との間に、引張力T(N)に基づいた第1の静止摩擦力F1(N)が生じるように第1の溝37が構成されている。引張応力K(N/mm2)が引張強度B(N/mm2)に達するまで、引張力T(N)に基づき、引張力T(N)より大きな第1の静止摩擦力F1(N)を常に発生させるように設計されている。
同様にして、センサーケーブル14と第2の水路ブロック61との間に、引張力T(N)に基づいた第2の静止摩擦力F2(N)が生じるように第2の溝67が構成されている。引張応力K(N/mm2)が引張強度B(N/mm2)に達するまで、引張力T(N)に基づき、引張力T(N)より大きな第2の静止摩擦力F2(N)を常に発生させるように設計されている。
これにより、引張応力K(N/mm2)が増加して引張強度B(N/mm2)に達すると(第1の水路ブロック31と第2の水路ブロック61との連結部91の連結状態に一定以上の変化があったとき)、センサーケーブル14の連結部分15が破断する。破断する直前におけるセンサーケーブル14の連結部分15の長さL1に対する伸びは、伸びλ1となっているとする。
このとき、センサーケーブル14の連結部分15の伸びλ1は、センサーケーブル14の引張強度Bと、センサーケーブル14の連結部分15の長さL1と、センサーケーブル14の縦弾性係数Eとの間に、λ1=B・L1/Eの関係が成立する。なぜなら、センサーケーブル14の引張強度Bは、引張力Tと、センサーケーブル14の断面積Aとの関係から、B=T/Aである。これを、公式λ1=(T/A)・(L1/E)に代入することで導かれる。
次に、図7の(2)を参照して、第1の水路ブロック31に形成された第1の溝37は、第2の水路ブロック61側の一方端部に位置してセンサーケーブル14が拘束されない調整溝部分40と、調整溝部分40に接続してセンサーケーブル14が拘束状態に嵌合される嵌合溝部分44とから構成される。第1の溝37の調整溝部分40は、嵌合溝部分44の幅よりも大きな幅を有する平面視略三角形形状に形成されている。同様に、第2の水路ブロック61に形成された第2の溝67は、第1の水路ブロック31側の一方端部に位置してセンサーケーブル14が拘束されない調整溝部分70と、調整溝部分70に接続してセンサーケーブル14が拘束状態に嵌合される嵌合溝部分74とから構成される。第2の溝67の調整溝部分70は、嵌合溝部分74の幅よりも大きな幅を有する平面視略三角形形状に形成されている。
このとき、センサーケーブル14の拘束点57は、図7の(1)の位置と比べて、第1の水路ブロック31の他方端部側に位置する。同様に、センサーケーブル14の拘束点87は、第2の水路ブロック61の他方端部に位置する。よって、センサーケーブル14の連結部分15(第1の水路ブロック31と第2の水路ブロック61とを跨ぐセンサーケーブル14の部分であって拘束されない部分)の長さL2は、L1より長くなる。
ここで、このセンサーケーブル14の破断直前の連結部分15の伸びλ2は、上述の関係式よりλ2=B・L2/Eとなる。よって、伸びλ2は、伸びλ1よりも長くなる。従って、この調整溝部分40及び調整溝部分70が形成されたセンサーケーブル14は、図7の(1)で示したセンサーケーブル14よりも同一の引張応力Kの生じるセンサーケーブル14の連結部分15が長くなり、第1の水路ブロック31と第2の水路ブロック61との同一の変位においてセンサーケーブル14が破断し難くなっている。よって、センサーケーブル14の破断に必要なブロック間同士の変位が大きくなるので、センサーケーブル14の破断し難さ(破断感度)の調整が容易となる。
更に、図7の(3)を参照して、センサーケーブル14の一部は、緩んだ状態で、第1の溝37の調整溝部分40及び第2の溝67の調整溝部分70に配置させたものである。このとき、センサーケーブル14の連結部分15を二点鎖線で示した直線状にしたときの長さL3は、長さL2よりも長くなる。このセンサーケーブル14の連結部分15の伸びλ3は、上述の関係式よりλ3=B・L3/Eとなる。よって、伸びλ3は、伸びλ2よりも長くなる。この調整溝部分40及び調整溝部分70に、その一部を緩んだ状態で配置したセンサーケーブル14は、図7の(2)で示したセンサーケーブル14よりも同一の引張応力Kの生じるセンサーケーブル14の連結部分15(センサーケーブル14の拘束されない部分)が更に実質的に長くなり、センサーケーブル14がより破断し難くなっている。よって、センサーケーブル14の破断に必要なブロック間同士の変位が更に大きくなるので、センサーケーブル14の破断し難さの調整が更に容易となる。尚、調整溝部分40及び調整溝部分70は、図5で示した幅W2を調整することで、センサーケーブル14の一部の配置長さを調整することができる。
よって、第1の水路ブロック31と第2の水路ブロック61とが、少し移動しただけでは、センサーケーブル14が破断されなくなり、移動に対する感度の許容範囲が広がり、信頼性が向上する。
図8は、図1で示した土砂災害感知システムの第1の水路ブロックと第2の水路ブロックが移動したときの状態を示す概略平面図である。
図8の(1)を参照して、第1の水路ブロック31及び第2の水路ブロック61は、設置地盤が崩壊する前の正常状態にある。この正常状態から、設置地盤が崩壊する異常状態になり、第1の水路ブロック31が破線の矢印で示した方向に、第2の水路ブロック61が実線の矢印で示した方向に、それぞれ連結部91を基準として移動したとき、図8の(2)で示した状態となる。
図8の(2)を参照して、センサーケーブル14が破断する直前の状態である。連結部91に対応するセンサーケーブル14の連結部分15は直線状となっている。
第1の水路ブロック31におけるセンサーケーブル14には、第1の水路ブロック31と第2の水路ブロック61とから引き抜かれるような力が加わる。ここで、第1の溝37は、蛇行形状を有しているため、センサーケーブル14の一部が第1の溝37の蛇行部分と当接した状態にある。第2の水路ブロック61におけるセンサーケーブル14においても同様の状態にある。
このとき具体的には、第1の水路ブロック31と第2の水路ブロック61との連結部91に対応するセンサーケーブル14の連結部分15には、引張応力K(N/mm2)である引張力T(N)が発生するとする。そこで、センサーケーブル14の一部と第1の溝37の蛇行部分との間に、引張力T(N)に基づいた第1の静止摩擦力F1(N)が生じるように構成されている。そして、第1の移動阻止手段36は、引張応力K(N/mm2)が引張強度B(N/mm2)に達するまで、引張力T(N)に基づき、引張力T(N)より大きな第1の静止摩擦力F1(N)を常に発生させるように設計されている。
同様にして、センサーケーブル14の一部と第2の溝67の蛇行部分との間に、引張力T(N)に基づいた第2の静止摩擦力F2(N)が生じるように構成されている。そして、第2の移動阻止手段66は、引張応力K(N/mm2)が引張強度B(N/mm2)に達するまで、引張力T(N)に基づき、引張力T(N)より大きな第2の静止摩擦力F2(N)を常に発生させるように設計されている。
これにより、引張応力K(N/mm2)が、引張強度B(N/mm2)に対応する値に達すると(第1の水路ブロック31と第2の水路ブロック61との連結部91の連結状態に一定以上の変化があったとき)、図8の(3)で示したように、センサーケーブル14は第1の水路ブロック31や第2の水路ブロック61から引き抜かれることなく、その連結部分15が破断する。従って、土砂災害の発生箇所が特定できる。
尚、センサーケーブル14の材質や太さ等によって、破断に要する引張力T(N)は変化するが、第1の溝37及び第2の溝67の蛇行の程度や、蛇行回数、蛇行間隔等を変えることで、第1の静止摩擦力F1及び第2の静止摩擦力F2の大きさを上記の関係となるように調整可能である。
図9は、この発明の第2の実施の形態による土砂災害感知システムの第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの連結状態を示す概略平面図であって、図2に対応した図であり、図10は、図9で示した土砂災害感知システムの概略右側面図であって、図3に対応した図である。
尚、この第2の実施の形態による土砂災害感知システム2は、図1で示した第1の実施の形態による土砂災害感知システム1と基本的な構成は同一である。ここでは、その相違点を中心に説明する。
これらの図を参照して、土砂災害感知システム2において、連結部91とは反対側に位置する第1の溝37の端部は、第1の水路ブロック31の側壁32の外方側の外面に露出している。即ち、第1の溝37は、側壁32の拡幅部33の上面においてのみ蛇行形状を有して形成されている。
センサーケーブル14の一部は、第1の水路ブロック31の第1の溝37に嵌め込まれて、その他の部分は側壁32の外方に露出している。これにより、外方側に露出したセンサーケーブル14は、第1の水路ブロック31とは別に配置することができ、効率的な配置が可能となる。尚、第2の水路ブロック61の第2の溝67は、第1の水路ブロック31の第1の溝37と同様に形成される。
図11は、この発明の第3の実施の形態による土砂災害感知システムの第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックを示す概略斜視図であって、図1に対応した図であり、図12は、図11で示した“Y”部分の概略平面図であって、土砂災害感知システムの第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの連結状態を示し、図2に対応した図であり、図13は、図11で示した“Y”部分の概略右側面図であって、図3に対応した図であり、図14は、図12で示したXIV−XIVラインから見た概略拡大端面図である。
尚、この第3の実施の形態による土砂災害感知システム3は、図1で示した第1の実施の形態による土砂災害感知システム1と基本的な構成は同一である。ここでは、その相違点を中心に説明する。
これらの図を参照して、土砂災害感知システム3の第1の水路ブロック31の第1の溝37の一部は、側壁32の拡幅部33の上面において、円柱形状を有する円柱部41のリング部分42に沿ってリング形状に形成されている。
センサーケーブル14は、第1の溝37のリング部分42に一重で巻き付けるように取り付けて、第1の溝37に嵌め込まれている。そして、目地材43が、センサーケーブル14の対応する部分の上方を塞ぐようにして嵌め込まれている。
これにより、引張力T(N)がセンサーケーブル14に生じると、センサーケーブル14のリング部分42(円柱部41)への押圧力が増加するので、引張力T(N)の増加に応じて、第1の静止摩擦力F1(N)が確実に増加する。尚、センサーケーブル14は、リング部分42に二重以上で巻き付けても良く、その場合にはセンサーケーブル14のリング部分42(円柱部41)への押圧力が更に増加することになる。
又、第1の水路ブロック31の第1の溝37の調整溝部分40は、図2で示した第1の実施の形態による調整溝部分40と比べて、略半分の面積である。これにより、センサーケーブル14を破断し易くしており、即ち、移動に対する感度調整をしている。
尚、第2の水路ブロック61の第2の溝67は、第1の水路ブロック31の第1の溝37と同様に形成されて、上述と同様の効果を奏する。
図15は、この発明の第4の実施の形態による土砂災害感知システムの第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの連結状態を示す概略平面図であって、図2に対応した図であり、図16は、図15で示した土砂災害感知システムの概略右側面図であって、図3に対応した図である。
尚、この第4の実施の形態による土砂災害感知システム4は、図11で示した第3の実施の形態による土砂災害感知システム3と基本的な構成は同一である。ここでは、その相違点を中心に説明する。
これらの図を参照して、土砂災害感知システム4において、連結部91とは反対側に位置する第1の溝37の端部は、第1の水路ブロック31の側壁32の外方側の外面に露出している。即ち、第1の溝37の一部は、側壁32の拡幅部33の上面においてリング部分42を有して形成されている。
センサーケーブル14の一部は、第1の水路ブロック31の第1の溝37に嵌め込まれて、その他の部分は側壁32の外方に露出している。これにより、外方側に露出したセンサーケーブル14は、第1の水路ブロック31とは別に配置することができ、効率的な配置が可能となる。尚、第2の水路ブロック61の第2の溝67は、第1の水路ブロック31の第1の溝37と同様に形成される。
図17は、この発明の第5の実施の形態による土砂災害感知システムの第1の水路ブロック又は第2の水路ブロックの概略拡大端面図であって、図4に対応した図である。
尚、この第5の実施の形態による土砂災害感知システム5は、図1で示した第1の実施の形態による土砂災害感知システム1と基本的な構成は同一である。ここでは、その相違点を中心に説明する。
図を参照して、土砂災害感知システム5の第1の水路ブロック31に形成された第1の溝37に、電線ケーブル16a及び16bからなるセンサーケーブル14が嵌め込まれて係合している。そして、センサーケーブル14が係合した第1の溝37に、センサーケーブル14の上方を塞ぐように、モルタル38が充填されている。即ち、図4で示した目地材39を、本実施の形態によるモルタル38に置き換えたものである。このように構成することにより、第1の静止摩擦力F1がセンサーケーブル14とモルタル38との間に生じることになり、センサーケーブル14の連結部分15がより破断し易くなる。
図18は、この発明の第6の実施の形態による土砂災害感知システムの第1の水路ブロック又は第2の水路ブロックの概略拡大端面図であって、図4に対応した図である。
尚、この第6の実施の形態による土砂災害感知システム6は、図17で示した第5の実施の形態による土砂災害感知システム5と基本的な構成は同一である。ここでは、その相違点を中心に説明する。
図を参照して、土砂災害感知システム6の第1の水路ブロック31に、断面視逆三角形形状を有する第1の溝37が形成されている。この第1の溝37に、電線ケーブル16aからなるセンサーケーブル14が嵌め込まれて係合している。そして、センサーケーブル14が係合した第1の溝37に、センサーケーブル14の上方を塞ぐように、目地材39が嵌め込まれている。即ち、図4で示した断面視逆台形形状の第1の溝37を、断面視逆三角形形状の第1の溝37に置き換えたものである。これにより、図4で示した電線ケーブル16a及び16bからなるセンサーケーブル14に比べて断面積が小さい、本実施の形態による電線ケーブル16aからなるセンサーケーブル14を最適に設置することができる。又、第1の静止摩擦力F1がセンサーケーブル14と目地材39との間に生じることになり、目地材39が無い場合に比べて、センサーケーブル14の連結部分15がより破断し易くなる。
センサーケーブル14は、電線ケーブル16aのみから形成されるので、電線ケーブル16bを、第1の水路ブロック31とは別に配置することができ、効率的な配置が可能となる。又は、センサーケーブル14の電線ケーブル16aは、光ファイバーであっても良い。
図19は、この発明の第7の実施の形態による土砂災害感知システムの第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックを示す概略斜視図であって、図1に対応した図であり、図20は、図19で示した土砂災害感知システムの概略平面図であって、図2に対応した図であり、図21は、図20で示したXXI−XXIラインから見た概略拡大端面図である。
尚、この第7の実施の形態による土砂災害感知システム7は、図1で示した第1の実施の形態による土砂災害感知システム1と基本的な構成は同一である。ここでは、その相違点を中心に説明する。
これらの図を参照して、土砂災害感知システム7の第1の水路ブロック31の第1の溝37は、側壁32の上面における直線状の溝部分45と、側壁32の拡幅部33の上面において溝部分45の途中に形成されて溝部分45の短手方向の幅よりも大きな幅を有する円形形状の凹み部分46とから構成される。
棒状部材48が、第1の水路ブロック31に埋め込まれ、その一部が第1の溝37の凹み部分46の中心位置から露出するように形成され、第1の移動阻止手段36として機能する。
センサーケーブル14の一部は、棒状部材48に一重に巻き付けて、第1の溝37に嵌め込まれて係合する。そして、モルタル49が、対応するセンサーケーブル14の一部の上方を塞ぐようにして、凹み部分46に充填されている。目地材39は、対応するセンサーケーブル14の他の部分の上方を塞ぐようにして、溝部分45に嵌め込まれている。
これにより、引張力Tがセンサーケーブル14に生じると、センサーケーブル14の棒状部材48への押圧力が増加するので、引張力Tの増加に応じて、第1の静止摩擦力F1が確実に増加する。尚、センサーケーブル14は、棒状部材48に二重以上で巻き付けても良く、その場合にはセンサーケーブル14の棒状部材48への押圧力が更に増加することになる。
尚、第2の水路ブロック61の第2の溝67は、第1の水路ブロック31の第1の溝37と同様に形成されて、上述と同様の効果を奏する。
図22は、この発明の第8の実施の形態による土砂災害感知システムの第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックを示す概略斜視図であって、図1に対応した図であり、図23は、図22で示した土砂災害感知システムの概略平面図であって、図2に対応した図であり、図24は、図23で示したXXIV−XXIVラインから見た概略拡大端面図である。
尚、この第8の実施の形態による土砂災害感知システム8は、図19で示した第7の実施の形態による土砂災害感知システム7と基本的な構成は同一である。ここでは、その相違点を中心に説明する。
これらの図を参照して、土砂災害感知システム8の第1の水路ブロック31の第1の溝37は、側壁32の上面における直線状の溝部分45と、側壁32の拡幅部33の上面において溝部分45の途中に形成されて溝部分45の短手方向の幅よりも大きな幅を有する矩形形状の凹み部分46とから構成される。即ち、土砂災害感知システム8の凹み部分46は、図19で示した土砂災害感知システム7の円形形状の凹み部分46を、矩形形状に変更したものである。
センサーケーブル14の一部は、凹み部分46に収納可能で第1の移動阻止手段36である棒状部材50に一重に巻き付けた状態で、棒状部材50の長手方向と凹み部分46の長手方向とを合わせ、棒状部材50を凹み部分46に収納するように係合させる。
モルタル51は、対応するセンサーケーブル14の一部の上方を塞ぐようにして、凹み部分46に充填されている。
これにより、引張力Tがセンサーケーブル14に生じると、センサーケーブル14の棒状部材50への押圧力が増加するので、引張力Tの増加に応じて、第1の静止摩擦力F1が確実に増加する。尚、センサーケーブル14は、棒状部材50に二重以上で巻き付けても良く、その場合にはセンサーケーブル14の棒状部材50への押圧力が更に増加することになる。
尚、第2の水路ブロック61の第2の溝67は、第1の水路ブロック31の第1の溝37と同様に形成されて、上述と同様の効果を奏する。
図25は、この発明の第9の実施の形態による土砂災害感知システムの第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックを示す概略斜視図であって、図1に対応した図であり、図26は、図25で示した土砂災害感知システムの概略平面図であって、図2に対応した図であり、図27は、図26で示したXXVII−XXVIIラインから見た概略拡大端面図である。
尚、この第9の実施の形態による土砂災害感知システム9は、図22で示した第8の実施の形態による土砂災害感知システム8と基本的な構成は同一である。ここでは、その相違点を中心に説明する。
これらの図を参照して、土砂災害感知システム9の第1の水路ブロック31の第1の溝37は、側壁32の上面における直線状の溝部分45と、側壁32の拡幅部33の上面において溝部分45の途中に形成されて溝部分45の短手方向の幅よりも大きな幅を有する矩形形状の凹み部分46と、凹み部分46に設置される突出部材52とから構成される。
突出部材52は、互いに対向するように配置された一対の突出片53a及び53bと、突出片53a及び53bの各々の下端に固定接続された固定板54とから構成され、第1の移動阻止手段36として機能する。
センサーケーブル14の一部は、溝部分45に嵌め込まれ、他の一部は突出部材52の突出片53a及び53bの各々に平面視Zの字形状に架け渡すようにこれらに係合する。尚、センサーケーブル14の他の一部は、突出片53a及び53bの各々に対して、例えば平面視逆Zの字形状のように他の形状や、二重以上で架け渡すようにして係合させても良い。
モルタル51が、対応するセンサーケーブル14の他の一部の上方を塞ぐようにして、凹み部分46に充填されている。
これにより、突出片53a及び53bの形状及び配置により、センサーケーブル14に対して生じる第1の静止摩擦力F1の大きさが変化するため、第1の静止摩擦力F1の設定が容易となる。
尚、第2の水路ブロック61の第2の溝67は、第1の水路ブロック31の第1の溝37と同様に形成されて、上述と同様の効果を奏する。
図28は、この発明の第10の実施の形態による土砂災害感知システムの第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックを示す概略斜視図であって、図1に対応した図であり、図29は、図28で示した土砂災害感知システムの概略平面図であって、図2に対応した図であり、図30は、図28で示した土砂災害感知システムの概略右側面図であって、図3に対応した図である。
尚、この第10の実施の形態による土砂災害感知システム10は、図1で示した第1の実施の形態による土砂災害感知システム1と基本的な構成は同一である。ここでは、その相違点を中心に説明する。
これらの図を参照して、土砂災害感知システム10の第1の溝37及び第2の溝67の各々は、第1の水路ブロック31の側壁32及び第2の水路ブロック61の側壁62の外方側の外面に形成されている。即ち、土砂災害感知システム10の第1の溝37及び第2の溝67は、図1で示した第1の実施の形態による土砂災害感知システム1における第1の溝37及び第2の溝67の形成位置を、側壁32及び側壁62の上面から、外方側の側面に変更したものである。又、図1で示した拡幅部33及び拡幅部63は形成されていない。更に、図1で示した調整溝部分40及び調整溝部分70も形成されていない。
このように構成することにより、垂直方向の移動(第1の水路ブロック31と第2の水路ブロック61との上下のずれ)に対する感度が向上すると共に、第1の水路ブロック31及び第2の水路ブロック61を図39で示した地面157に設置したときに、第1の溝37及び第2の溝67は地面157の下方に位置することになり、美観が向上する。
図31は、この発明の第11の実施の形態による土砂災害感知システムの第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックを示す概略斜視図であって、図1に対応した図であり、図32は、図31で示した土砂災害感知システムの概略平面図であって、図2に対応した図であり、図33は、図31で示した土砂災害感知システムの概略右側面図であって、図3に対応した図であり、図34は、図33で示したXXXIV−XXXIVラインから見た概略拡大断面図である。
これらの図を参照して、土砂災害感知システム11の第1の水路ブロック31は、第1の本体ブロック101と、第2の水路ブロック61側の端部90に、その端部107が整列した状態で第1の本体ブロック101に脱着自在に取り付けられ、断面視逆Uの字形状を有して延びるプレキャストコンクリートからなる第1の装着ブロック106とから構成される。
土砂災害感知システム11の第2の水路ブロック61は、第2の本体ブロック131と、第1の水路ブロック31側の端部60に、その端部137が整列した状態で第2の本体ブロック131に脱着自在に取り付けられ、断面視逆Uの字形状を有して延びるプレキャストコンクリートからなる第2の装着ブロック136とから構成される。
第1の装着ブロック106の上面に、図1で示した土砂災害感知システム1と同様にして、第1の移動阻止手段36である第1の溝37が形成される。第2の装着ブロック136とは反対側に位置する第1の溝37の端部は、第1の装着ブロック106の側面に沿って下方に形成され、その下端は露出している。第2の装着ブロック136も、第1の装着ブロック106と同様に形成される。
センサーケーブル14の一部は、図1で示した土砂災害感知システム1と同様にして、第1の装着ブロック106及び第2の装着ブロック136の各々に沿わせて跨ぐように連続的に取り付けられ、第1の移動阻止手段36として機能する。これにより、第1の静止摩擦力F1がセンサーケーブル14と第1の溝37との間に生じるため、センサーケーブル14の効率的な設置が可能となる。センサーケーブル14の他の一部は、第1の装着ブロック106及び第2の装着ブロック136の各々から外方に露出している。これにより、外方側に露出したセンサーケーブル14は、第1の水路ブロック31とは別に配置することができ、効率的な配置が可能となる。
第1の本体ブロック101と第1の装着ブロック106とは、センサーケーブル14に対してその引張強度Bに相当する引張応力Kを生じさせる大きさの外力Fが第1の本体ブロック101に加わった時、相対的に移動しないように係合する。
第2の本体ブロック131と第2の装着ブロック136とは、センサーケーブル14に対してその引張強度Bに相当する引張応力Kを生じさせる大きさの外力Fが第2の本体ブロック131に加わった時、相対的に移動しないように係合する。
このように構成することで、外力Fが第1の本体ブロック101又は第2の本体ブロック106に加わってもセンサーケーブル14が破断するまでは第1の装着ブロック106又は第2の装着ブロック136と一体となるので、破断動作の信頼性が向上する。
従って、第1の装着ブロック106及び第2の装着ブロック136は、従来からある第1の本体ブロック101及び第2の本体ブロック131に装着して用いることができるので、従来の水路ブロックをそのまま活用することができ、使用勝手が向上する。
図35は、この発明の第12の実施の形態による土砂災害感知システムの第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックを示す概略斜視図であって、図1に対応した図であり、図36は、図35で示した土砂災害感知システムの概略平面図であって、図2に対応した図であり、図37は、図35で示した土砂災害感知システムの概略右側面図であって、図3に対応した図であり、図38は、図36で示したXXXVIII−XXXVIIIラインから見た概略拡大断面図である。
尚、この第12の実施の形態による土砂災害感知システム12は、図31で示した第11の実施の形態による土砂災害感知システム11と基本的な構成は同一である。ここでは、その相違点を中心に説明する。
これらの図を参照して、土砂災害感知システム12の第1の水路ブロック31の第1の装着ブロック106は、金属製からなり、第1の本体ブロック101に脱着自在にボルト114で固定される。第2の水路ブロック61も、第1の装着ブロック106と同様に構成される。
第1の装着ブロック106の上面に、第1の移動阻止手段36である第1の皿状部分109が形成されている。
センサーケーブル14の一部は、第1の皿状部分109に載置するように係合して、第1の移動阻止手段36として機能する。
モルタル110は、対応するセンサーケーブル14の一部の上方を塞ぐようにして、第1の皿状部分109に充填されている。
これにより、第1の静止摩擦力F1がセンサーケーブル14とモルタル110との間に生じるため、センサーケーブル14の効率的な設置が可能となる。尚、第2の水路ブロック61は、第1の水路ブロック31と同様に形成される。
尚、上記の各実施の形態では、土砂災害感知システムは、特定の法面構造に対して適用されているが、その他の法面構造に対して適用しても良い。
又、上記の各実施の形態では、センサーケーブルは、電線ケーブルからなるものであったが、例えば光ファイバーのような他のセンサーケーブルであっても良い。
更に、上記の各実施の形態では、検知手段は、特定の構成からなるものであったが、センサーケーブルの破断の有無を検知するものであれば、他の構成からなるものであっても良い。
更に、上記の第1から第10の実施の形態の各々では、第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックは、特定の形状及び材質からなるものであったが、その他の形状及び材質からなるものであっても良い。
更に、上記の第11及び第12の実施の形態の各々では、第1の本体ブロック及び第2の本体ブロックは、特定の形状及び材質からなるものであったが、その他の形状及び材質からなるものであっても良い。
更に、上記の第11及び第12の実施の形態の各々では、第1の装着ブロックは、特定の形状及び材質からなるものであったが、第2の水路ブロック側の端部に、その端部が整列した状態で第1の本体ブロックに脱着自在に取り付けられるものであれば、その他の形状及び材質からなるものであっても良い。
更に、上記の第11及び第12の実施の形態の各々では、第2の装着ブロックは、特定の形状及び材質からなるものであったが、第1の水路ブロック側の端部に、その端部が整列した状態で第2の本体ブロックに脱着自在に取り付けられるものであれば、その他の形状及び材質からなるものであっても良い。
更に、上記の第1から第4及び第6から第11の実施の形態の各々では、目地材は、特定の場所に設置されたものであったが、それ以外の場所に設置されていても良い。又は、なくても良い。
更に、上記の第3、第5及び第7から第9の実施の形態の各々では、モルタルは、特定の場所に設置されたものであったが、それ以外の場所に設置されていても良い。又は、なくても良い。
更に、上記の各実施の形態では、第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの各々は、同様に構成されたものであったが、第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの各々に対してセンサーケーブルの相対的な移動を阻止する第1の移動阻止手段及び第2の移動阻止手段を備えるものであれば、同様に構成されなくても良い。
更に、上記の第1から第11の実施の形態の各々では、第1の移動阻止手段は、第1の溝及びセンサーケーブルを含んで構成されるものであったが、第1の水路ブロックと第2の水路ブロックとの連結部に対応するセンサーケーブルの連結部分に発生した引張応力が引張強度に達するまで、引張応力に基づいて第1の静止摩擦力を発生するものであれば、それ以外のものから構成されても良い。
更に、上記の第1から第11の実施の形態の各々では、第2の移動阻止手段は、第1の溝及びセンサーケーブルを含んで構成されるものであったが、第1の水路ブロックと第2の水路ブロックとの連結部に対応するセンサーケーブルの連結部分に発生した引張応力が引張強度に達するまで、引張応力に基づいて第2の静止摩擦力を発生するものであれば、それ以外のものから構成されても良い。
更に、上記の第7の実施の形態では、凹み部分は、特定の形状に形成されたものであったが、溝部分の途中に形成されて溝部分の幅よりも大きな幅を有するものであれば、それ以外の形状で形成されても良い。
更に、上記の各実施の形態では、第1の溝及び第2の溝は、第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの一方の側壁に形成されたものであったが、他方の側壁に形成されても良い。又は、両方の側壁に形成されても良い。
更に、上記の第1から第4及び第11の実施の形態の各々では、調整溝部分は、特定の形状からなるものであったが、隣接する水路ブロック側の端部に位置してセンサーケーブルが拘束されないものであれば、それ以外の形状からなるものであっても良い。又は、なくても良い。
更に、上記の各実施の形態では、センサーケーブルは、第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの各々に沿わせて跨ぐように連続的に取り付けられたものであったが、第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの各々を形成する際にあらかじめセンサーケーブルの各々を、端部を露出させた状態で埋め込んで形成しておき、第1の水路ブロックと第2の水路ブロックとを連結したときに接続用センサーケーブルを用いて、第1の水路ブロックに埋め込まれたセンサーケーブルの端部と第2の水路ブロックに埋め込まれたセンサーケーブルの端部とを接続しても良い。あるいは、接続用センサーケーブルを用いずに、各センサーケーブルの端部同士を直接接続するように構成しても良い。
図44は、この発明の第13の実施の形態による土砂災害感知システムの第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックを示す概略斜視図であって、図1に対応した図であり、図45は、図44で示した土砂災害感知システムの概略平面図であって、図2に対応した図であり、図46は、図45で示したXLVI−XLVIラインから見た概略拡大端面図であり、図47は、図45で示したXLVII−XLVIIラインから見た概略拡大断面図である。
尚、この第13の実施の形態による土砂災害感知システム183は、図1で示した第1の実施の形態による土砂災害感知システム1の基本的な構成を基にしたものである。ここでは、その相違点を中心に説明する。
これらの図を参照して、土砂災害感知システム183の第1の水路ブロック31の側壁32の上面における第1の溝37の第2の水路ブロック61側の端部には、その下面に第1のインサート223が形成され、平面視矩形形状を有する凹み部230が形成されている。土砂災害感知システム183の第2の水路ブロック61の側壁62の上面における第2の溝67の第1の水路ブロック31側の端部には、その下面に第2のインサート253が形成され、凹み部230と当接するような平面視矩形形状を有する凹み部260が形成されている。
まず、第1の水路ブロック31において、第1のボルト211は、第1の水路ブロック31に凹み部230の第1のインサート223を介して螺合自在に取り付けられる。その際、第1のボルト211の胴部213は、ワッシャー221aからなるリング形状を有する第1の平板219と、ワッシャー221bからなるリング形状を有する第1の平板220とを貫通する。即ち、第1のボルト211の胴部213が貫通した状態で、第1のボルト211の頭部212と第1の水路ブロック31との間に、この一対の第1の平板219及び第1の平板220が配置される。又、スプリングワッシャー216は、第1のボルト211の頭部212と、頭部212側の第1の平板219との間に設置される。
電線ケーブル192からなるセンサーケーブル14は、第1の平板219及び第1の平板220の各々に挟まれた状態で、第1のボルト211の胴部213に一重に巻き付けて配置される。
尚、第1のインサート223に螺合する第1のボルト211、第1の平板219、第1の平板220及びスプリングワッシャー216は、第1の移動阻止手段36として機能する。
次に、第2の水路ブロック61においては、基本的に第1の水路ブロック31と同様にして構成され、第2のボルト241は、第2の水路ブロック61に凹み部260の第2のインサート253を介して螺合自在に取り付けられる。その際、第2のボルト241の胴部243は、ワッシャー251aからなるリング形状を有する第2の平板249と、ワッシャー251bからなるリング形状を有する第2の平板250とを貫通する。即ち、第2のボルト241の胴部243が貫通した状態で、第2のボルト241の頭部242と第2の水路ブロック61との間に、この一対の第2の平板249及び第1の平板250が配置される。又、スプリングワッシャー246は、第2のボルト241の頭部242と、頭部242側の第2の平板249との間に設置される。
電線ケーブル192からなるセンサーケーブル14は、第2の平板249及び第2の平板250の各々に挟まれた状態で、第2のボルト241の胴部243に一重に巻き付けて配置される。
尚、第2のインサート253に螺合する第2のボルト241、第2の平板249、第2の平板250及びスプリングワッシャー246は、第2の移動阻止手段66として機能する。
センサーケーブル14が露出して配置されている第1の溝37、凹み部230、第2の溝67及び凹み部260並びに、第1のボルト211及び第2のボルト241は、例えば無収縮モルタル等のモルタル190の充填によって被覆される。これにより、センサーケーブル14等がモルタル190で保護されるため、設置時の信頼性が向上する。
上述のように構成することにより、第1のボルト211及び第2のボルト241の締め付け状態によって、第1の平板219及び第1の平板220、第2の平板249及び第2の平板250によるセンサーケーブル14を挟む押圧力が変化するため、静止摩擦力の調整が容易となる。
又、第1の平板219及び第1の平板220の各々は、第1のボルト211に対応したワッシャー221a及びワッシャー221bからなり、第2の平板249及び第2の平板250の各々は、第2のボルト241に対応したワッシャー251a及びワッシャー251bからなるので、第1のボルト211及び第2のボルト241との係合状態が安定する。従って、取付状態の信頼性が向上すると共に、コスト的に有利となる。
更に、第1のボルト211の頭部212と、第1の平板219との間に設置された第1の移動阻止手段36であるスプリングワッシャー216は、第1のボルト211の頭部212と第1の平板219とに対して常に押圧力を加えるため、第1のボルト211の螺合状態が安定することになる。これにより、第1のボルト211の締め付け力に基づく電線ケーブル192に生じる静止摩擦力が低下しにくくなり、信頼性が向上する。尚、第2の移動阻止手段66であるスプリングワッシャー246も同様の効果を奏する。
更に、電線ケーブル192からなるセンサーケーブル14は、第1のボルト211の胴部213及び第2のボルト241の胴部243の各々に巻き付けられた状態で設置されるので、ボルトの同一の締め付け力に対して電線ケーブル192に生じる静止摩擦力が増加する。よって、切断時の信頼性が向上する。
図48は、この発明の第14の実施の形態による土砂災害感知システムの第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックの連結状態を示す概略平面図であって、図2に対応した図であり、図49は、図48で示したXLIX−XLIXラインから見た概略拡大端面図である。
尚、この第14の実施の形態による土砂災害感知システム184は、図44で示した第13の実施の形態による土砂災害感知システム183と基本的な構成は同一である。ここでは、その相違点を中心に説明する。
これらの図を参照して、土砂災害感知システム184のセンサーケーブル14は、第1のボルト211の胴部213及び第2のボルト241の胴部243の各々に巻き付けずに直線状態にあり、第1の平板219及び第1の平板220の各々並びに、第2の平板249及び第2の平板250の各々に挟まれた状態で配置されている。この第14の実施の形態による土砂災害感知システム184におけるセンサーケーブル14では、電線ケーブルからなるものだけでなく、例えば光ファイバーからなるような曲げにくいセンサーケーブルであっても配置することができる。
図50は、この発明の第15の実施の形態による土砂災害感知システムの第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックを示す概略斜視図であって、図1に対応した図であり、図51は、図50で示した土砂災害感知システムの概略平面図であって、図2に対応した図であり、図52は、図51で示したLII−LIIラインから見た概略拡大断面図であり、図53は、図51で示した“Z”部分の概略拡大図であって、接続端子を介したセンサーケーブルの接続を示す図である。
尚、この第15の実施の形態による土砂災害感知システム185は、図44で示した第13の実施の形態による土砂災害感知システム183と基本的な構成は同一である。ここでは、その相違点を中心に説明する。
これらの図を参照して、土砂災害感知システム185のセンサーケーブル14は、第1のボルト211と第2のボルト241とに係合する係合部分195と、係合部分195を除いた、第1の水路ブロック31に配置された第1部分198と、係合部分195を除いた、第2の水路ブロック61に配置された第2部分204とから構成される。センサーケーブル14の係合部分195は、図44で示した第13の実施の形態による土砂災害感知システム183と同様に、第1のボルト211の胴部213及び第2のボルト241の胴部243の各々に一重に巻き付け、第1の平板219及び第1の平板220の各々及び第2の平板249及び第2の平板250の各々に挟まれた状態で配置されている。
センサーケーブル14の第1部分198は、第1の水路ブロック31に前もって埋設された第1の埋設部199と、第1の水路ブロック31から露出して凹み部230に配置された第1の露出部201とからなる。
センサーケーブル14の第2部分204は、第2の水路ブロック61に前もって埋設された第2の埋設部205と、第2の水路ブロック61から露出して凹み部260に配置された第2の露出部207とからなる。
図53を参照して、センサーケーブル14の第1部分198の第1の露出部201の外方側の端部202と、センサーケーブル14の係合部分195の一方端196とが、第1の接続端子209を介して脱着自在に接続されている。
同様にして、センサーケーブル14の第2部分204の第2の露出部207の外方側の端部と、センサーケーブル14の係合部分195の他方端197とが、第2の接続端子210を介して脱着自在に接続されている。
このように構成することによって、センサーケーブル14の係合部分195のみの交換が容易になる。従って、センサーケーブル14の係合部分195の切断時の取替えが可能となり、利便性が向上する。
又、センサーケーブル14の第1部分198の第1の埋設部199は、第1の水路ブロック31に前もって埋設され、センサーケーブル14の第2部分204の第2の埋設部205は、第2の水路ブロック61に前もって埋設されている。このように構成することにより、図44で示した土砂災害感知システム183のようにセンサーケーブル14を配置した第1の溝37及び第2の溝67にモルタル190を充填する必要がないため、取付状態の信頼性が向上する。又、紫外線の影響を受けにくいので、センサーケーブル14の劣化を防ぐことになる。更に、猪等の獣類等によるセンサーケーブル14の切断を防ぐことになる。
ここで、図52を参照して、第1のボルト211及び第2のボルト241の各々が同一の締め付け力であり、第1のボルト211と第2のボルト241との間の電線ケーブルからなるセンサーケーブル14の係合部分195が緊張状態にあるとき、第1のボルト211と第2のボルト241との中心間距離WBによって切断感度を調整できる。センサーケーブル14の延び代の観点から、中心間距離WBが10mmであるときのセンサーケーブルは切断され易く、中心間距離WBが20mmであるときのセンサーケーブルは一般的な切断され易さで、中心間距離WBが30mmであるときのセンサーケーブルは切断されにくい。
図54は、この発明の第16の実施の形態による土砂災害感知システムの第1の水路ブロック及び第2の水路ブロックを示す概略斜視図であって、図1に対応した図であり、図55は、図54で示した土砂災害感知システムの概略平面図であって、図2に対応した図であり、図56は、図55で示したLVI−LVIラインから見た概略拡大断面図である。
尚、この第16の実施の形態による土砂災害感知システム186は、図50で示した第15の実施の形態による土砂災害感知システム185と基本的な構成は同一である。ここでは、その相違点を中心に説明する。
これらの図を参照して、土砂災害感知システム186のセンサーケーブル14は、第15の実施の形態による土砂災害感知システム185におけるセンサーケーブル14の係合部分195をなくして、センサーケーブル14の第1部分198の第1の露出部201を長く伸ばして、係合部分195の役割を持たせたものに対応する。
土砂災害感知システム186のセンサーケーブル14は、第1の水路ブロック31に配置された第1部分198と、第2の水路ブロック61に配置された第2部分204とから構成される。
センサーケーブル14の第1部分198は、第1の水路ブロック31に前もって埋設された第1の埋設部199と、第1の水路ブロック31から露出して凹み部230に配置された第1の露出部201とからなる。
センサーケーブル14の第2部分204は、第2の水路ブロック61に前もって埋設された第2の埋設部205と、第2の水路ブロック61から露出して凹み部260に配置された第2の露出部207とからなる。
センサーケーブル14の第1部分198の第1の露出部201は、図44で示した第13の実施の形態による土砂災害感知システム183と同様に、第1の平板219及び第1の平板220の各々及び第2の平板249及び第2の平板250の各々に挟まれた状態で、第1のボルト211の胴部213及び第2のボルト241の胴部243の各々に一重に巻き付けて配置された後、第2部分204の第2の露出部207に接続端子208を介して脱着自在に接続される。
このように構成することによって、センサーケーブル14の接続箇所が1か所になるため、接続箇所が2か所であった第15の実施の形態による土砂災害感知システム185に比べて、設置する際の作業効率が向上する。
ここで、センサーケーブル14の第1部分198の第1の露出部201が、第1のボルト211の胴部213及び第2のボルト241の胴部243の各々に一重に巻き付けた状態において、第1のボルト211から第1の埋設部199の端部までの間で更に充分長く撓ませて構成することで、センサーケーブル14の切断時にその部分を利用して復旧し易くなる。
尚、上記の第13から第16の実施の形態の各々では、センサーケーブルは、電線ケーブルからなるものであったが、例えば光ファイバーのような他のセンサーケーブルであっても良い。
又、上記の第13から第16の実施の形態の各々では、水路ブロックは、凹み部が形成されたものであったが、ボルトが螺合自在に取り付けられるインサートが水路ブロックに形成されたものであれば、凹み部はなくても良い。
更に、上記の第13から第16の実施の形態の各々では、第1の平板の各々及び第2の平板の各々は、第1のボルト及び第2のボルトの各々に対応したワッシャーであったが、それ以外のものであっても良い。又、平板のセンサーケーブルに少なくとも対向する面は凹凸形状が形成されてあっても良い。このように構成することにより、静止摩擦力が増加するので、信頼性が向上する。
更に、上記の第13から第16の実施の形態の各々では、第1の移動阻止手段は、特定の位置にスプリングワッシャーを備えたものであったが、その他の位置にスプリングワッシャーを備えるものであっても良い。又は、スプリングワッシャーはなくても良い。更に、スプリングワッシャーではなく、ボルトの緩みを止めるために、その他の緩み止め手段を備えても良い。
更に、上記の第13、第15及び第16の実施の形態の各々では、センサーケーブルは、ボルトの胴部に一重に巻き付けられたものであったが、二重以上に巻き付けられても良い。
更に、上記の第15及び第16の実施の形態の各々では、センサーケーブルは、ボルトの胴部に一重に巻き付けられたものであったが、一対の平板の各々に挟まれた状態で配置されるものであれば、胴部に巻き付けなくても良い。
更に、上記の第13から第16の実施の形態の各々では、センサーケーブルの内露出している部分並びに第1のボルト及び第2のボルトは、モルタルの充填によって被覆されたものであったが、例えば目地材のようにそれ以外のもので被覆されても良い。又は、何も被覆されていなくても良い。更に、例えばシート状部材のようなものをセンサーケーブルやボルトに被せた後でモルタルの充填によって被覆されても良い。このようにシート状部材を介して構成することにより、センサーケーブルの切断時等においてセンサーケーブルやボルトからモルタルを剥離し易くなるため、再利用し易くなる。
更に、上記の第13から第16の実施の形態の各々では、移動阻止手段は、水路ブロックの側壁の上面に取り付けられたものであったが、例えば水路ブロックの側壁の外方側の側面や、水路ブロックの内方側の底面のように、水路ブロックにおいてそれ以外の場所に取り付けられたものであっても良い。尚、移動阻止手段が水路ブロックの側壁の外方側の側面に取り付けられた場合には、垂直方向の移動に対する感度が向上すると共に、水路ブロックの地中への設置時に移動阻止手段を含むセンサーケーブルが地面の下方に位置することになるので美観が向上する。又、移動阻止手段が水路ブロックの内方側の底面に取り付けられた場合には、センサーケーブルの切断時においてセンサーケーブルの修理が容易となり、修理作業の効率が向上する。更に、移動阻止手段が水路ブロックの内方側の底面の中央部付近に取り付けられた場合には、水路ブロックの側壁の上面や側面に取り付けられた場合に比べて外力による水路ブロック同士の相対的な変動を受けにくいので、センサーケーブルの切断感度が平均化される。