以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係るトイレ装置の外観を例示する斜視図である。
図1に表したように、トイレ装置10は、洋式腰掛便器800(以下、便器800と称す)と、その上に設けられた便座装置100と、を備える。
便器800は、ボウル部810を有する。ボウル部810は、便器800の上部に設けられる。ボウル部810は、便器800の上面800aよりも凹んだ凹状である。ボウル部810は、使用者から排泄された汚物や尿などを受ける。また、ボウル部810は、内部に水を貯留し、排水管から悪臭や害虫類などが室内に侵入することを防ぐ。
便座装置100は、本体部400と、便座200と、便蓋300と、を有する。便座200と便蓋300とは、本体部400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。図1は、便座200と便蓋300とが、開いた状態を表している。便蓋300は、閉じた状態において便座200の上方を覆う。なお、便蓋300は、必ずしも設けられていなくてもよい。
便座装置100は、衛生洗浄機能と、局部乾燥機能と、便座暖房機能と、を有する。衛生洗浄機能は、便座200に座った使用者の「おしり」などを洗浄する機能である。局部乾燥機能は、便座200に座った使用者の「おしり」などに温風を吹き付けることにより、衛生洗浄によって濡れた「おしり」などを乾燥させる機能である。便座暖房機能は、便座200の着座面を適温に温める機能である。
衛生洗浄機能では、例えば、使用者のスイッチ操作などに応じて本体部400から吐水ノズル(図示せず)を便器800のボウル部810内に進出させる。そして、吐水ノズルの先端付近に設けられた吐水口から水を噴射する。これにより、使用者の「おしり」などを洗浄することができる。また、衛生洗浄機能では、冷水のみならず、ヒータによって加熱した温水を吐水口から噴射することもできる。
ここで、本願明細書においては、便座200に座った使用者からみて上方を「上方」とし、便座200に座った使用者からみて下方を「下方」とする。また、開いた状態の便蓋300に背を向けて便座200に座った使用者からみて前方を「前方」とし、便座200に座った使用者からみて後方を「後方」とする。また、後方を向いて便器800の前に立った使用者からみて右側を「右側方」とし、後方を向いて便器800の前に立った使用者からみて左側を「左側方」とする。
本体部400は、便器800の上部後方に設置される。本体部400の前面は、ボウル部810の開口端の形状に沿って凹状に湾曲した湾曲凹面402を有する。湾曲凹面402の左右には、ボウル部810の開口端に沿って前方に向けて延出した延出部404が設けられている。湾曲凹面402は、その中央付近が高く、左右の延出部404に近づくにしたがって次第に低くなる形状を有する。
湾曲凹面402の中央には、ノズルダンパー460と温風ダンパー470とが設けられている。ノズルダンパー460は、吐水ノズルを進出及び後退させる開口部を覆う閉止部材である。温風ダンパー470は、ノズルダンパー460の右側に並べて配置されている。温風ダンパー470は、局部乾燥用の温風の吹出口を覆う閉止部材である。ノズルダンパー460及び温風ダンパー470は、例えば、本体部400に回動自在に支持されている。
ノズルダンパー460は、例えば、支持軸を中心に回転することにより、開口部を覆う閉じ位置と、開口部を露出させる開き位置との間で移動する。ノズルダンパー460は、衛生洗浄機能を実行していない待機状態において、閉じ位置に保持される。そして、ノズルダンパー460は、衛生洗浄機能の実行によって吐水ノズルが進出する際に、開き位置に移動する。
温風ダンパー470は、例えば、支持軸を中心に回転することにより、吹出口を覆う閉じ位置と、吹出口を露呈させる開き位置との間で移動する。温風ダンパー470は、局部乾燥機能を実行していない待機状態において、閉じ位置に保持される。そして、温風ダンパー470は、局部乾燥機能の実行によって使用者の「おしり」などに温風を吹き付ける際に、開き位置に移動する。
図2は、本実施形態に係る便座装置の電気的構成を例示する回路図である。
図2に表したように、便座装置100は、制御部500と、ヒータ回路部510と、制御系電源部520と、ヒータ系電源部530と、記憶部540と、電源端子550と、を有する。
制御部500は、記憶部540と電気的に接続されている。記憶部540には、例えば、便座装置100を制御するための各種のプログラムやデータが記憶されている。制御部500は、記憶部540からプログラムやデータを読み出し、逐次処理を行うことにより、便座装置100の各部を統括的に制御する。記憶部540には、例えば、EEPROMやフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置が用いられる。
電源端子550は、例えば、家庭用のコンセントに着脱自在に挿し込まれるプラグである。便座装置100には、電源端子550を介して商用電源CPS(供給電源)から交流の電力が供給される。商用電源CPSの電圧の実効値は、例えば、100Vや200Vなどである。なお、便座装置100に供給される交流電力は、例えば、自家発電機から供給される交流電力などでもよい。便座装置100の電源は、交流電力を出力可能な交流電源であればよい。
ヒータ回路部510は、温水ヒータ511と、温風ヒータ512と、便座ヒータ513と、温水用スイッチング素子514と、温風用スイッチング素子515と、便座用スイッチング素子516と、温水用サーミスタ517と、温風用サーミスタ518と、便座用サーミスタ519と、を有する。
温水ヒータ511は、衛生洗浄の際に用いられる温水を生成するためのヒータである。温水ヒータ511は、例えば、タンクに一時的に貯留された洗浄水を加熱することにより、衛生洗浄用の温水を生成する。温水ヒータ511には、例えば、セラミックヒータやシーズヒータなどが用いられる。温水ヒータ511の容量は、例えば、1200Wである。
温風ヒータ512は、局部乾燥の際に用いられる温風を生成するためのヒータである。温風ヒータ512は、例えば、ファンと吹出口との間に配置され、ファンから吹き出された風を加熱することにより、局部乾燥用の温風を生成する。温風ヒータ512には、例えば、ニクロム線ヒータなどが用いられる。温風ヒータ512の容量は、例えば、350Wである。
便座ヒータ513は、便座200を加熱して便座暖房機能を実現するためのヒータである。便座ヒータ513には、例えば、チュービングヒータや面状ヒータなどが用いられる。便座ヒータ513の容量は、例えば、500Wである。
このように、便座装置100(トイレ装置10)には、被加熱物を加熱するための複数のヒータ511〜513が設けられる。被加熱物とは、例えば、衛生洗浄用の洗浄水、局部乾燥用の風、及び、便座200などである。便座装置100に設けられるヒータは、上記に限らない。例えば、室温調節用の温風を生成するためのヒータを設けてもよい。また、便座暖房機能を実現するためのヒータにおいて、便座200の着座面の温度を連続的に上昇させる急速加熱用のヒータと、便座200の着座面の温度を所定の温度範囲内に保つ保温加熱用のヒータと、を設けてもよい。
温水用スイッチング素子514は、温水ヒータ511に対して直列に接続される。温水用スイッチング素子514は、温水ヒータ511に対して電力を供給する供給状態(オン状態)と、電力を供給しない非供給状態(オフ状態)と、の切り替えに用いられる。換言すると、供給状態は、通電状態であり、非供給状態は、非通電状態である。
温風用スイッチング素子515は、温風ヒータ512に対して直列に接続される。温風用スイッチング素子515は、温風ヒータ512に対して電力を供給している供給状態と、電力を供給していない非供給状態と、の切り替えに用いられる。
便座用スイッチング素子516は、便座ヒータ513に対して直列に接続される。便座用スイッチング素子516は、便座ヒータ513に対して電力を供給している供給状態と、電力を供給していない非供給状態と、の切り替えに用いられる。
各スイッチング素子514〜516(複数のヒータ用スイッチング素子)は、制御部500と電気的に接続されている。各スイッチング素子514〜516の供給状態と非供給状態との間の切り替えは、制御部500によって制御される。各スイッチング素子514〜516は、制御部500から入力される制御信号に基づいて供給状態と非供給状態とを切り替える。各スイッチング素子514〜516には、例えば、機械式のリレーや半導体スイッチなどが用いられる。
各ヒータ511〜513及び各スイッチング素子514〜516は、例えば、交流100V(実効値)の商用電源CPSに応じた仕様で設計される。
温水用サーミスタ517は、温水ヒータ511によって加熱された温水の温度を検出する。温風用サーミスタ518は、温風ヒータ512によって加熱された温風の温度を検出する。便座用サーミスタ519は、便座200の温度を検出する。各サーミスタ517〜519は、各ヒータ511〜513の被加熱物の温度を検出するための温度検出部である。各サーミスタ517〜519は、制御部500と電気的に接続されている。各サーミスタ517〜519は、被加熱物の温度の検出信号を制御部500に出力する。制御部500は、入力された検出信号に基づいて、各被加熱物の温度を判定する。これにより、制御部500が、各被加熱物の温度の情報を得ることができる。なお、各被加熱部の温度の検出は、サーミスタに限ることなく、例えば、熱電対や放射温度計などの他の温度センサでもよい。
制御系電源部520は、フィルタ回路521と、整流回路522と、24V電源回路523と、5V電源回路524と、を有する。
フィルタ回路521は、電源端子550と電気的に接続されている。フィルタ回路521は、商用電源CPSから供給される交流電圧に含まれるノイズを除去し、ノイズ除去後の交流電圧を整流回路522に出力する。
整流回路522は、例えば、全波整流回路である。整流回路522は、フィルタ回路521から出力された交流電圧を全波整流し、全波整流後の電圧を24V電源回路523に出力する。なお、整流回路522は、例えば、半波整流回路などでもよい。
24V電源回路523は、整流回路522から出力された電圧の平滑と、降圧と、を行うことにより、全波整流後の電力から24Vの絶対値の直流電力を生成する。
5V電源回路524は、24V電源回路523に電気的に接続されている。5V電源回路524は、24V電源回路523から出力された直流電力を降圧し、5Vの絶対値の直流電力を生成する。5V電源回路524は、例えば、制御部500及び記憶部540と電気的に接続されている。制御部500及び記憶部540は、例えば、5V電源回路524から供給される5Vの直流電圧で駆動される。
24V電源回路523には、24Vの直流電圧で駆動される24V負荷525が電気的に接続されている。24V負荷525は、例えば、衛生洗浄用の吐水ノズルを進退させるための駆動モータや、便器800を除菌洗浄するための電解水を生成する電解水生成装置などである。
ヒータ系電源部530は、フィルタ回路531と、整流部532と、降圧部533と、を有する。
フィルタ回路531は、電源端子550と電気的に接続されている。フィルタ回路531は、例えば、制御系電源部520のフィルタ回路521と並列に接続される。フィルタ回路531は、商用電源CPSから供給される交流電圧に含まれるノイズを除去し、ノイズ除去後の交流電圧を整流部532に出力する。
整流部532は、例えば、全波整流回路である。整流部532は、フィルタ回路531から出力された交流電圧を全波整流し、全波整流後の電圧を降圧部533に出力する。なお、整流部532は、例えば、半波整流回路などでもよい。
降圧部533は、整流部532から出力された脈流の電圧を降圧する。降圧部533は、例えば、整流部532から入力された脈流の電圧の実効値を低下させる。そして、降圧部533は、降圧後の電力をヒータ回路部510に供給する。また、降圧部533は、信号線534を介して制御部500と電気的に接続されている。降圧部533は、制御部500から入力される制御信号に基づいて降圧を行う。降圧部533は、例えば、整流部532から入力された電圧を制御信号に応じた実効値の電圧に降圧する。
制御部500は、例えば、整流部532から出力される電圧を、各ヒータ511〜513及び各スイッチング素子514〜516の仕様に応じた電圧に降圧させる。例えば、交流200V(実効値)の商用電源CPSである場合、制御部500は、整流部532から出力される200Vの電圧の脈流を、100Vの脈流に降圧させる制御信号を降圧部533に入力する。これにより、例えば、商用電源CPSの電圧によらず、ヒータ回路部510の仕様を交流100Vの仕様に統一することができる。例えば、交流100V系の商用電源CPSの国や地域で販売される製品と、交流200V系の商用電源CPSの国や地域で販売される製品と、の間で、ヒータ回路部510の仕様を共通化することができる。
ヒータ系電源部530と電源端子550との間には、コネクタ535及びコネクタ536が設けられている。コネクタ536は、コネクタ535に着脱自在に取り付けられる。そして、コネクタ536は、コネクタ535に取り付けられた状態において、コネクタ535と電気的に接続される。フィルタ回路531は、コネクタ535及びコネクタ536を介して電源端子550と電気的に接続される。ヒータ系電源部530とヒータ回路部510との間には、コネクタ537及びコネクタ538が設けられている。コネクタ538は、コネクタ537に着脱自在に取り付けられる。そして、コネクタ538は、コネクタ537に取り付けられた状態において、コネクタ537と電気的に接続される。降圧部533は、コネクタ537及びコネクタ538を介して各ヒータ511〜513と電気的に接続される。また、コネクタ538は、コネクタ535に着脱自在に取り付けられる。コネクタ538は、コネクタ535に取り付けられた状態において、コネクタ535と電気的に接続される。この場合、ヒータ回路部510が、電源端子550と直接電気的に接続される。
ヒータ系電源部530は、例えば、ユニット化され、各コネクタ535〜538の接続により、便座装置100に対して容易に着脱できるように構成される。交流100V系の商用電源CPSの国や地域で販売される製品において、ヒータ系電源部530は、必ずしも必要ではない。そこで、100V系の商品においては、ヒータ系電源部530を省略する。これにより、ヒータ回路部510の仕様を共通化しつつ、100V系の商品における製造工程の増加やコストアップを抑えることができる。
図3は、本実施形態に係る降圧部の電気的構成を例示する回路図である。
図3に表したように、降圧部533は、例えば、降圧用スイッチング素子560と、ダイオード561と、インダクタ562と、コンデンサ563と、を有する。
降圧用スイッチング素子560は、整流部532と電気的に接続される。整流部532は、例えば、4つのダイオード532dを組み合わせて構成されるブリッジ回路である。降圧用スイッチング素子560には、例えば、IGBTやパワーMOSFETなどが用いられる。以下、この例では、降圧用スイッチング素子560をIGBTとして説明を行う。
降圧用スイッチング素子560のコレクタ端子は、整流部532の出力端と電気的に接続される。降圧用スイッチング素子560のエミッタ端子は、ダイオード561と電気的に接続される。ダイオード561は、降圧用スイッチング素子560のエミッタ端子に直列に接続される。降圧用スイッチング素子560のゲート端子は、信号線534と電気的に接続される。
インダクタ562は、ダイオード561に対して並列に接続される。インダクタ562は、いわゆるチョークコイルである。コンデンサ563は、インダクタ562に直列に接続される。
この降圧部533では、信号線534を介して降圧用スイッチング素子560のゲート端子に制御信号(電圧パルス信号)を印加し、降圧用スイッチング素子560のオン・オフを切り替える。これにより、整流部532からの入力電圧よりも低い電圧の脈流が、コンデンサ563の両端に表れる。すなわち、この例において、降圧部533は、いわゆる降圧チョッパ回路である。このように、降圧部533は、降圧用スイッチング素子560のオン・オフにより、整流部532の整流出力を降圧して各ヒータ511〜513に供給する。降圧部533の回路構成は、これに限定されない。降圧部533は、降圧用スイッチング素子560のオン・オフによって電圧を低下させることが可能な任意の回路を採用することができる。
制御部500は、例えば、50Hzまたは60Hzの交流の商用電源CPSから生成される全波整流波に対し、25kHzのパルス信号を制御信号として降圧用スイッチング素子560のゲート端子に入力し、降圧用スイッチング素子560をスイッチングさせる。そして、制御部500は、制御信号のデューティ比を制御する。これにより、降圧部533から出力される脈流の電圧を制御信号に応じた値に制御することができる。なお、制御信号の周波数は、商用電源CPSの周波数よりも高い任意の値でよい。
前述のように、各ヒータ511〜513及び各スイッチング素子514〜516は、100V系の仕様に設計される。このため、制御部500は、例えば、降圧部533から出力される脈流の電圧の実効値を100V以下に制御する。
各ヒータ511〜513は、例えば、降圧部533のコンデンサ563に対して並列に接続される。温水用スイッチング素子514は、温水ヒータ511と降圧部533との間に設けられる。温風用スイッチング素子515は、温風ヒータ512と降圧部533との間に設けられる。便座用スイッチング素子516は、便座ヒータ513と降圧部533との間に設けられる。これにより、各スイッチング素子514〜516のオン・オフを切り替えることで、各ヒータ511〜513への電力の供給及び供給の停止を制御することができる。
制御部500は、例えば、電源投入時(イニシャル時)または待機中において、商用電源CPSの電圧を判別する電源電圧判別動作を実行する。電源電圧判別動作において、制御部500は、所定のデューティ比の制御信号を降圧用スイッチング素子560に出力するとともに、各スイッチング素子514〜516の少なくともいずれか1つをオンにすることにより、所定の判別期間の間、各ヒータ511〜513の少なくともいずれか1つに対して通電を行う。
判別期間は、予め設定される任意の時間である。判別期間は、例えば、数十秒程度である。電源電圧判別動作において降圧用スイッチング素子560に出力される制御信号のデューティ比は、例えば、50%以下であることが好ましい。これにより、例えば、100V用の各ヒータ511〜513に200Vなどの過大な電圧が印加され、過電流が流れてしまうことなどを抑えることができる。便座ヒータ513は、比較的容量が小さく、駆動時の動作音も小さい。このため、電源電圧判別動作には、便座ヒータ513を用いることが好ましい。以下では、電源電圧判別動作に用いるヒータを便座ヒータ513として説明を行う。
制御部500は、便座ヒータ513に対して通電を行う際に、便座用サーミスタ519からの検出信号を基に、便座200の温度の情報を取得する。便座200の温度情報は、例えば、判別期間におおける温度変化の履歴を連続的に取得してもよいし、通電開始時の温度と通電終了時の温度のみを取得してもよい。すなわち、便座200の温度情報は、開始時と終了時との温度変化の傾きが少なくとも把握できればよい。
制御部500は、記憶部540にアクセスし、記憶部540に予め記憶されている昇温データ542(図2参照)を読み出す。昇温データ542は、例えば、便座ヒータ513(電源電圧判別動作に用いられるヒータ)の昇温特性を表す。昇温データ542には、例えば、便座ヒータ513に対して判別期間と同じ時間だけ通電を行ったときの、便座200の温度と便座ヒータ513の消費電力とが関連付けられている。制御部500は、例えば、便座用サーミスタ519から取得した便座200の温度の情報を基に昇温データ542を参照することにより、判別期間において便座ヒータ513で消費された電力(所定期間の消費電力)の情報を検出する。
制御部500は、例えば、記憶部540に予め記憶されている便座ヒータ513の抵抗値の情報を読み出す。そして、制御部500は、消費電力の情報と抵抗値の情報とを基に、P=V2/Rの関係式から、判別期間において便座ヒータ513に入力された電圧値を求める。便座ヒータ513に入力された電圧は、降圧部533からの出力電圧と等しい。そこで、制御部500は、便座ヒータ513に入力された電圧値の情報と、判別動作時のデューティ比と、を基に、Vin=Vout/α(αはデューティ比)の降圧回路の原理式から商用電源CPSの電圧値を求める。これにより、商用電源CPSの電圧を検出することができる。すなわち、この例においては、制御部500が、商用電源CPSの電圧を検出する電圧検出手段として機能する。
制御部500は、各ヒータ511〜513に対して通電を行う際に、電源電圧判別動作で判別した商用電源CPSの電圧の情報を基に、降圧用スイッチング素子560のゲート端子に入力する制御信号のデューティ比を決定する。これにより、降圧部533から出力される脈流の電圧の実効値を100V以下に制御することができる。
図4(a)〜図4(f)は、本実施形態に係る制御部の制御態様を例示するタイミングチャート図である。
図4(a)の縦軸は、降圧部533に入力される電流(A)である。
図4(b)の縦軸は、ヒータ回路部510に流れる電流(A)である。
図4(c)の縦軸は、便座ヒータ513に流れる電流(A)である。
図4(d)の縦軸は、温風ヒータ512に流れる電流(A)である。
図4(e)の縦軸は、温水ヒータ511に流れる電流(A)である。
図4(f)の縦軸は、電圧(V)である。
図4(f)において、実線は、降圧部533に入力される入力電圧であり、破線は、降圧部533から出力される出力電圧である。
図4(a)〜図4(f)の横軸は、時間(秒)である。
図4(a)〜図4(f)に表したように、制御部500は、各ヒータ511〜513を同時に駆動することを要求された場合、商用電源CPSの半波期間HWP毎に各スイッチング素子514〜516をオン・オフし、半波期間HWPにおける電力が所定値を超えないようにパターン制御を行う。制御部500は、例えば、1つの半波期間HWPにおいて各ヒータ511〜513によって消費される電力の和を1500W以下に抑える。この例では、1つの半波期間HWPにおいて、各スイッチング素子514〜516のうちのいずれか1つをオンにし、残りをオフにする。そして、例えば、温水用スイッチング素子514、温風用スイッチング素子515、便座用スイッチング素子516の順にオンし、これを順次繰り返すように制御を行う。
このように、制御部500は、降圧用スイッチング素子560を所定のデューティ比でオン・オフさせるとともに、所定のオン・オフ単位毎に各スイッチング素子514〜516をオン・オフさせることにより、各ヒータ511〜513へ供給する電力を制御する。この例では、半波期間HWPが、各スイッチング素子514〜516のオン・オフ単位である。オン・オフ単位は、これに限ることなく、任意の期間でよい。オン・オフ単位は、例えば、商用電源CPSの1周期(全波)としてもよい。
上記のようにパターン制御を行うことにより、各ヒータ511〜513による加熱を同時に行うことができ、かつ降圧部533の仕様を1500W以下に抑えることができる。例えば、降圧用スイッチング素子560の耐圧を1500Wを出力するために必要とされる耐圧以下に抑えることができる。この例では、1つの半波期間HWPにおいて消費される電力の最大値は、温水ヒータ511を駆動したときの1200Wである。従って、この例では、降圧用スイッチング素子560の耐圧を1200Wを出力するために必要とされる耐圧以下に抑えることができる。
また、上記のパターン制御では、1つの降圧部533を設ければよく、かつ降圧部533の仕様も1500W以下に抑えることができる。これにより、降圧部533の大型化を抑えることができる。従って、降圧部533を設け、ヒータ回路部510の仕様の共通化を図る場合においても、降圧部533の追加にともなうトイレ装置10の大型化やコストアップを抑えることができる。さらには、コンセントから供給できる出力定格の規格にも適合できる。
制御部500は、上記のパターン制御を行う際に、各ヒータ511〜513への供給電圧が所定値以下になるように、降圧用スイッチング素子560のスイッチングを制御する。制御部500は、例えば、各ヒータ511〜513への供給電圧が所定値以下で一定になるように、降圧用スイッチング素子560のスイッチングを制御する。例えば、50V(実効値)や100V(実効値)で一定になるように、制御を行う。このように、目標値(センター値)を設定することにより、パターン制御をし易くすることができる。なお、目標値は、各ヒータ511〜513の駆動条件などに応じて変更できるようにしてもよい。
制御部500は、例えば、各ヒータ511〜513が必要とする電力の値と、電源電圧判別動作で判別した商用電源CPSの電圧の値と、に応じて、降圧用スイッチング素子560のデューティ比を決定する。各ヒータ511〜513が必要とする電力値の情報は、例えば、記憶部540に予め記憶させておけばよい。制御部500は、決定したデューティ比の制御信号を生成し、降圧用スイッチング素子560のゲート端子に出力する。これにより、各ヒータ511〜513への供給電圧を所定値以下で一定に保つことができる。
図5は、本実施形態に係るヒータの温度特性を例示するグラフ図である。
図5の横軸は、時間(秒)であり、縦軸は、温度(℃)である。
図5は、各ヒータ511〜513を通電したときの温度特性の一例である。
制御部500は、各ヒータ511〜513の通電の開始から目標温度TTに到達するまでの過渡期間においては、上記のように、降圧用スイッチング素子560のデューティ比を制御する。すなわち、電源電圧判別動作で判別した商用電源CPSの電圧を基に、各ヒータ511〜513への供給電圧が所定値以下で一定になるように制御を行う。ここで、目標温度TTは、例えば、使用者などによって設定される便座200などの被加熱物の設定温度と同じでもよい。目標温度TTは、オーバーシュート分を見越して設定温度よりも僅かに低く設定してもよい。
一方、制御部500は、目標温度TTに到達した以降の定常期間においては、各サーミスタ517〜519の検出信号を基に取得された各被加熱物の温度の情報に基づいて、降圧用スイッチング素子560のデューティ比を制御する。
このように、過渡期間中に電源電圧判別動作で判別した商用電源CPSの電圧を基に、降圧用スイッチング素子560のデューティ比を制御することで、過渡期間中の応答遅れを抑え、安定した温度制御が可能となる。出力温度の変動を抑えた信頼性の高い制御を実現できる。
従来のトイレ装置では、商用電源の電圧の異なる国や地域毎に、製品の仕様を変更していた。例えば、電源電圧が100Vの地域用に仕様を設定されているトイレ装置を、電源電圧が200Vの地域で使用した場合、ヒータには商用電源の半波長の電圧を印加する度に定格電力を超える電力が供給されることとなる。そのため、電源電圧が200Vの地域で使用しても定格を超えないヒータに取り替える必要性があり、使用する国や地域に応じてそれぞれ製品の仕様を変更しなければならなかった。
これは、電源電圧が異なる地域毎にヒータ部材を個別に管理することとなり、部材の管理の手間を要する。さらに、製品のモデルチェンジを行う度に、100V用及び200V用のヒータのユニット評価が必要となり、電源電圧が異なる国への出荷時期にタイムラグが発生してしまう。
また、洗浄水を加熱するヒータに関しては、水が直接使用者に触れることから感電に対する対応として、絶縁性に優れているセラミックヒータを一般的に用いる。その際、100V地域で使用するセラミックヒータに対し、200V地域で使用するセラミックヒータは通電中に流れる電流のピーク値を抑える必要がある。そこで、ヒータ抵抗値を100V用のヒータに比べ約2倍程度大きくする必要がある。セラミックヒータの抵抗値の調整は、例えば、セラミックヒータ内部にある発熱体の導電性部材上に形成するパターンの幅を変えて行う。しかし、抵抗値を大きくするためにはパターンの幅を狭く加工したり、パターン配線長を長くする必要があり、これは印刷加工上非常に歩留まりが良くない。そのため、100V用のヒータに比べ、200V用のヒータは部材コストが高くなってしまう。
このような課題を解消するための手段として、電圧検出手段によって検出された電圧が所定値以上のときに、スイッチのオン及びオフを商用電源の半波単位で行う方法が考案されている(例えば、特開2007−31942号公報参照)。
しかし、上記方法は、ヒータの定格を超えない電力値で温度制御は行えるものの、ヒータに流れるピーク電流は100V相当時に流れる電流に比べると大きな電流値となり、ヒータの寿命劣化を縮めることに繋がる。
例えば、上記方法のように200V地域に100V用の抵抗値のヒータを使って100V用ヒータと同じ電力を確保したとする。通常、目標電力を1200Wとした時、100V地域で100V用ヒータを使用する場合であれば流れる電流ピークは17Aとなる(12Arms×√2=17A)。
しかし、200V地域で100V用ヒータを使って上記方法に従い1200Wを確保しようとすると、電流のピークは25A程度となってしまう。これは、ヒータの過渡的な異常発熱に繋がり断線に至る可能性がある。セラミックヒータに関しては、パターンの剥離やクラックにも繋がる可能性がある。また、100V地域と200V地域において制御パターンを変える必要があるため、ヒータの制御仕様も異なってしまう。
このように、上記の方法は、異なる電源電圧の国に出荷するトイレ装置において、ヒータの共通化及び、ヒータ制御仕様の共通化に向けた解決手段としては十分とはいえない。
これに対して、本実施形態に係るトイレ装置10では、例えば、整流部532から出力される200Vの電圧の脈流を、降圧部533によって100Vの脈流に降圧させることができる。従って、商用電源CPSの電圧によらず、ヒータ回路部510の仕様や制御仕様を交流100Vの仕様に統一することができる。製品の出荷時期に国や地域によってタイムラグが発生することを抑えることができる。また、100V用のヒータを用いることが可能となり、部材コストの増加や寿命の劣化などを抑えることもできる。
本実施形態に係るトイレ装置10では、各ヒータ511〜513への供給電圧が所定値以下で一定になるように、降圧用スイッチング素子560のスイッチングを制御している。上記のようにヒータ負荷の出力電力に応じて、半波単位で降圧回路のオンデューティを制御し、出力電圧を一定に維持する方法として、制御部側にてヒータ通電中の温度センサの検知情報に基づきオンデューティを制御する方法も考えられる。すなわち、入力電圧の情報を記憶させる必要もなく、温度検知の情報と出力したい電力の情報のみで制御する方法である。応答遅れの観点で考えた場合、この方法は、ヒータの出力電力が目標電力に達した後の定常状態においては問題がない。
しかし、ヒータ起動時の過渡期間に関して、上記のように温度センサの検知情報に基づきながらオンデューティを調整する方法では応答性に問題が生じる。温度センサの反応遅れや電子部品の応答性を考えると、過渡期間中にこのフィードバック方法は成立しない。このため、精度良く電力の調整が出来ず、出力温度が安定しない。
そこで、ヒータ起動時において、目標温度に到達するまでの過渡期間中に必要な電力を出力するためには、予めどの程度のオンデューティで降圧回路を制御させれば良いか、制御部側として記憶させておく必要がある。もしくは、制御部を介さずに、ハード的にフィードバック回路を搭載してもよい。例えば、降圧部の出力電圧を監視させておき、出力負荷が変動しても狙いの出力電圧になるように降圧部のオンデューティを制御するようなフィードバック回路を構成する。しかし、一般的に2次側制御部(24V系や5V系)に使用するフィードバック回路の部品スペックでは耐圧が足りないため(出力電圧はピーク141Vまで上昇する)、高耐圧の部品が必要となる。そのために、コストアップやスペースアップに繋がるという課題がある。
また、ヒータの電力制御を行う際、全波整流波形による制御の方が、直流波形による制御などよりも容易である。このため、出力電圧の波形としては、全波整流波形が好ましい。しかし、全波整流波形を基準電圧として用意する回路構成が必要となり、フィードバック回路の基準電圧回路の構成が複雑になる。
例えば、出力電圧を平滑して制御する仕様であれば、フィードバック回路に使う基準電圧回路も直流電圧を生成する構成にすればよい。例えば、1次側のスイッチング電源のトランスの整流化した補助巻き電圧を分圧するだけで済む。しかし、平滑した電圧をヒータに供給する仕様の場合、商用電源CPSの電圧波形がゼロクロスを通るタイミングに応じてヒータへ電流を通電することが出来なくなる。すなわち、出力電圧が平滑化されているため、0Vに落ち込まないことから、ヒータへの電流は、ヒータに掛かる電圧が高い状態から電流を流すことになる。これは、電流立ち上がりが急峻となりノイズや高調波の観点から望ましくない。このような事情より、ハード的にフィードバック回路を用意することは望ましくない。
そこで、出力電圧を監視させるフィードバック回路の構成ではなく、電源電圧をハード的に判別する方法が考案されている(例えば、特開2007−110839号公報参照)。しかし、この文献の回路は、所定の閾値を超えたか超えないかで入力電圧を100Vと200Vとで区別する構成であり、入力電圧をアナログ的に判別することは難しい。厳密に、電源電圧の値を知ることが出来ない。よって、この方法を適用しても、降圧部を精度良く制御することは難しい。
そこで、電源電圧を判別する専用の回路を用いず、電源電圧を判別する方法として、2次側の負荷の電力供給用のスイッチング電源のスイッチングデューティを検出し、電源電圧を判別する方法が考案されている(例えば、特開2009−205299号公報参照)。
しかしながら、この方法も、結果的にスイッチングデューティを検出するデューティ検出部を用意する必要がありコスト、スペースを必要としてしまう。また、製品工場にて、製品出荷時にマイコンのEEPROMに検査機側から出荷地域の電源電圧情報を記憶させる方法もあるが、製造工程の時間を延ばしてしまうことになる。
これに対して、本実施形態に係るトイレ装置10では、上記のように電源電圧判別動作を行うことによって商用電源CPSの電圧を判別している。このように、トイレ装置10として、電源電圧を判別する診断制御を事前に行うことで、電源電圧を判別する専用の回路を使用せずに、電源電圧を判別することが可能となる。
その結果、ヒータ起動時においても、目標温度TTに到達するまでの過渡期間中に必要な電力を出力するために、どれだけのデューティ比の制御信号を降圧用スイッチング素子560に出力すれば良いのか、ヒータへの通電により得られるサーミスタの情報を頼らずに制御部500側で認識させることが出来る。その結果、起動時においても適切な出力電力を過渡期間中に出力させることが可能となる。
従って、過渡期間中に精度良い適切な電力を出力でき、目標温度到達後のオーバーシュート(起動時の温度ハンチング)の懸念や応答性の心配を抑制することができる。また、製品工場出荷時に基板上でEEPROMなどに検査機側から出荷国の電源電圧情報を書き込む工程なくすことが可能となり、製造工程時間を短くすることもできる。
図6は、本実施形態に係る他の便座装置の電気的構成を例示する回路図である。
図6に表したように、この例における便座装置110は、故障を報知するための報知手段としてのLED表示部544をさらに備える。LED表示部544は、LEDを点灯・消灯させることにより、光によって使用者などに故障の報知を行う。LED表示部544は、例えば、制御部500と電気的に接続されている。LED表示部544は、例えば、制御部500からの指示に応じて故障の報知及び報知の停止を実行する。
LED表示部544は、例えば、複数のLEDを有し、点灯させるLEDに応じて便座装置110の故障箇所を使用者などに報知できるように構成されている。LED表示部544は、例えば、降圧部533、各ヒータ511〜513、及び、各サーミスタ517〜519などの故障を報知する。この場合、便座装置110は、各部の故障を報知するための複数の報知手段を備えていると言うこともできる。なお、報知手段は、例えば、文字情報を表示して報知を行う液晶パネルなどでもよいし、音声を出力して報知を行うスピーカなどでもよい。報知手段は、使用者、清掃業者、及び、メンテナンス業者などに対して故障の報知が可能な任意の手段でよい。
図7は、本実施形態に係る便座装置の動作を例示するフローチャートである。
図7は、便座装置110における電源電圧判別動作を例示する。
図7に表したように、便座装置110の制御部500は、電源電圧判別動作を開始すると、まず50%のデューティ比の制御信号を降圧用スイッチング素子560に出力する(ステップS101)。
制御部500は、制御信号の出力とともに、便座用スイッチング素子516をオンにすることにより、判別期間の間、便座ヒータ513に対して通電を行う(ステップS102)。また、制御部500は、便座用サーミスタ519からの検出信号を基に、判別期間中における便座200の温度の情報を取得する。
制御部500は、判別期間の経過とともに、便座用スイッチング素子516をオフし、便座ヒータ513に対する通電を停止する。そして、制御部500は、便座200の温度の情報を基に昇温データ542を参照することにより、判別期間において便座ヒータ513で消費された電力の情報を取得する(ステップS103)。
制御部500は、便座ヒータ513の消費電力の情報と抵抗値の情報とを基に、判別期間において降圧部533から便座ヒータ513に出力された電圧を演算する(ステップS104)。そして、制御部500は、便座ヒータ513に出力された電圧値の情報と、判別動作時のデューティ比と、を基に、商用電源CPSの電圧値を演算する(ステップS105)。
この例において、制御部500は、上記の処理をデューティ比を変化させて複数回実施する。例えば、取得した商用電源CPSの電圧値を基に、判別期間中に便座ヒータ513で消費される電力が所定の値となるデューティ比を演算し、そのデューティ比に応じた商用電源CPSの電圧値を新たに取得する。これを複数回繰り返す。なお、商用電源CPSの電圧値を取得する回数、及び、設定するデューティ比は、任意でよい。
制御部500は、商用電源CPSの電圧値を取得した後、予め決められた全てのデューティ比における商用電源CPSの電圧値が取得されたか否かを判定する(ステップS106)。制御部500は、取得されていないと判定した場合、制御信号のデューティ比を変更する(ステップS107)。そして、上記ステップS101〜ステップS105の処理を繰り返し、変更後のデューティ比における商用電源CPSの電圧値を取得する。これにより、制御部500は、予め決められた回数の商用電源CPSの電圧値を取得する。
制御部500は、決められた回数の商用電源CPSの電圧値を取得した後、降圧部533が正常か否かを判定する故障診断を行う(ステップS108)。制御部500は、例えば、デューティ比の変更時に予測した便座ヒータ513の消費電力と、デューティ比の変更後に取得した便座ヒータ513の消費電力と、が整合している場合に、降圧部533が正常であると判定する。そして、整合していない場合に、降圧部533に故障の可能性があると判定する。ここで、整合していない場合とは、例えば、診断した結果、電源電圧が220Vであると判別し、220Vに応じたヒータ制御を実施するも、温度上昇の特性が予め記憶している温度上昇−消費電力の関係性と合わない場合である。
制御部500は、正常と判定した場合、使用者からの指示などに応じて前述のように各ヒータ511〜513の加熱制御を行う。例えば、電源電圧判別動作で判別した商用電源CPSの電圧の情報を基に、降圧用スイッチング素子560の制御信号のデューティ比を決定し、各ヒータ511〜513の通電を行う。
一方、制御部500は、故障の可能性があると判定した場合、LED表示部544に指示を出力し、降圧部533の故障の可能性の報知をLED表示部544に実行させる(ステップS109)。これにより、降圧部533の故障の可能性を使用者などに報知することができる。例えば、降圧部533が故障した状態での使用を抑制することができる。
また、制御部500は、故障の可能性があると判定している間は、各スイッチング素子514〜516をオフ状態にする(ステップS110)。これにより、降圧部533が故障している状況での各ヒータ511〜513の通電を抑制することができる。例えば、各ヒータ511〜513に過電流が流れてしまうことなどを抑制することができる。
なお、ステップS109とステップS110との順番は、入れ替え可能である。すなわち、各スイッチング素子514〜516をオフ状態にした後に、報知を行ってもよい。また、ステップS109とステップS110とは、図7に表したように両方を実施してもよいし、どちらか一方のみを実施してもよい。
図8は、本実施形態に係る便座装置の他の動作を例示するフローチャートである。
図8は、便座装置110の他の電源電圧判別動作を例示する。
この例では、便座装置110の制御部500が、各ヒータ511〜513のそれぞれに基づいて商用電源CPSの電圧値を判別する動作を実施し、商用電源CPSの電圧値を複数回取得する。
図8に表したように、便座装置110の制御部500は、まず上記と同様の手順で、便座ヒータ513に対して通電を行ったときの商用電源CPSの電圧値を取得する(ステップS201〜ステップS205)。
次に、制御部500は、温水用スイッチング素子514をオンにし、判別期間の間、温水ヒータ511に対して通電を行うことにより、温水ヒータ511に対して通電を行ったときの商用電源CPSの電圧値を取得する(ステップS206〜ステップS209)。
次に、制御部500は、温風用スイッチング素子515をオンにし、判別期間の間、温風ヒータ512に対して通電を行うことにより、温風ヒータ512に対して通電を行ったときの商用電源CPSの電圧値を取得する(ステップS210〜ステップS213)。
制御部500は、取得した3回分の商用電源CPSの電圧値を基に、各ヒータ511〜513及び各サーミスタ517〜519が正常であるか否かを判定する故障診断を行う(ステップS214)。制御部500は、例えば、1つの電源電圧値が、残り2つの電源電圧値に比べて差が大きい(例えば10V以上)場合に、その電源電圧値に対応するヒータとサーミスタとの少なくとも一方に故障の可能性があると判定する。
例えば、便座ヒータ513を通電したときの電源電圧値が220Vで、温水ヒータ511を通電したときの電源電圧値が215Vで、温風ヒータ512を通電したときの電源電圧値が160Vであったとする。この場合、制御部500は、温風ヒータ512と温風用サーミスタ518との少なくとも一方に故障の可能性があると判定する。なお、3つの電源電圧値のそれぞれの差が所定値以上である場合には、降圧部533に故障の可能性があると判定してもよい。
制御部500は、正常と判定した場合、使用者からの指示などに応じて前述のように各ヒータ511〜513の加熱制御を行う。
一方、制御部500は、故障の可能性があると判定した場合、LED表示部544に指示を出力し、各ヒータ511〜513及び各サーミスタ517〜519の少なくともいずれかの故障の可能性をLED表示部544に報知させる(ステップS215)。これにより、各ヒータ511〜513及び各サーミスタ517〜519の少なくともいずれかの故障の可能性を使用者などに報知することができる。例えば、故障した状態での使用を抑制することができる。
また、制御部500は、故障の可能性があると判定している間は、各スイッチング素子514〜516のうちの、故障の可能性を判定されたヒータに対応するスイッチング素子をオフ状態にする(ステップS216)。これにより、故障している各ヒータ511〜513に対して通電してしまうことを抑制することができる。
なお、ステップS215とステップS216との順番は、入れ替え可能である。また、ステップS215とステップS216とは、図8に表したように両方を実施してもよいし、どちらか一方のみを実施してもよい。
上記実施形態では、降圧用スイッチング素子560のオン・オフ制御として、デューティ比を変化させるPWM制御を示している。降圧用スイッチング素子560のオン・オフ制御は、これに限ることなく、例えば、周波数を変化させるPFM制御でもよい。または、デューティ比と周波数との双方を変化させてもよい。すなわち、制御部500は、降圧用スイッチング素子560のデューティ比及び周波数の少なくとも一方を制御すればよい。
また、上記実施形態では、降圧用スイッチング素子560のゲート端子に対して、制御部500からパルス信号(制御信号)を入力している。これに限ることなく、例えば、降圧部533内でパルス信号を生成し、降圧用スイッチング素子560のゲート端子に入力してもよい。この場合には、例えば、オン・オフの開始やデューティ比などを指示するためのデジタル信号などを制御信号として制御部500から降圧部533に入力すればよい。
上記実施形態では、便座装置100と便器800とが一体になった一体型のトイレ装置10を例示している。トイレ装置は、例えば、便器に対して着脱自在に取り付けられる便座装置(いわゆるシート型の便座装置)でもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、トイレ装置10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。