JP2014133689A - キラルな金属酸化物構造体及びその製造方法 - Google Patents

キラルな金属酸化物構造体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ナノシート状等といった反応場として付加価値の高い特異な形状であるキラルな金属酸化物ナノ構造体が組み合わさってなる構造体、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係るキラルな金属酸化物構造体は、厚さ1〜100nmである複数のナノシート状の金属酸化物ナノ構造体と、複数の上記金属酸化物ナノ構造体同士で形成される空間と、を内部に備え、径が1〜80μmの粒子である金属酸化物構造体であって、上記金属酸化物ナノ構造体が200〜600nmの波長範囲にて光の吸収を示すことを前提に、その吸収波長に対応する円二色性スペクトルが正又は負のコットン効果を示すことを特徴とするキラルな金属酸化物構造体である。
【選択図】図1

Description

本発明は、キラルな金属酸化物構造体及びその製造方法に関する。
近年、分子間相互作用により有機又は無機化合物を平衡又は非平衡状態で自己組織化させて得られる、特定の空間形状やナノメートルオーダーの規則的構造等を備えたナノ構造体が盛んに提案されている。これらのナノ構造体は、様々な組成の有機/無機複合ナノ材料を構築するための基盤として用いることができるばかりでなく、各種の材質からなるナノ構造体を形成するための鋳型としても用いることができることから、学際的分野や産業的分野等から関心を寄せられている。
このようなナノ構造体の例として、例えば特許文献1には、特定の化学構造を備えた界面活性剤を溶液中で自己組織化させ、その周囲でシリカ源となる化合物をゾルゲル反応させてメソポーラスシリカ粒子を形成させることが提案されている。また、特許文献2には、互いに相溶しない非水溶性及び水溶性である2種のポリマーからミクロな相分離構造を形成させ、これをもとに平均孔径1〜200nmのシリンダー構造の細孔を備えた多孔質膜を形成させることが提案されている。また、生体高分子であるDNAやタンパク質が自己組織化により独特な立体構造を備えたナノ構造体となることもよく知られている。しかし、結晶性を備えたポリマーからなる結晶性のナノ構造体の例は少ない。
また、非特許文献1では、ポリ(リシン)の側鎖のアミノ基にエチレングリコールを結合させたポリマーとシリカ源との混合液中において、ポリマーの単結晶が形成された後、その単結晶がシリカと複合してポリマーとシリカとの複合体であるナノプレートに成長することが報告されている。
一方、本発明者らは、既に、直鎖状ポリエチレンイミンの結晶化に着目し、その繊維状結晶及びその結晶体を反応場に用いることによる複雑階層シリカ構築を展開してきた。そして、本発明者らは、直鎖状ポリエチレンイミンと、炭素数が4のジカルボン酸である酒石酸とから酸塩基型錯体であるナノシート状の超分子結晶が生成することを見出した(特許文献3を参照)。ポリエチレンイミンは塩基性の二級アミノ基を持ち、また酒石酸は酸性のカルボキシル基を持つため、これら両者からなる結晶は、塩基触媒や酸触媒によって触媒される反応のための良好な反応場になると考えられる。また、この超分子結晶は、複数のナノシート状の超分子結晶同士が互いに組み合って内部に空間を形成した高次の構造体となっており、特異な形状の反応場を形成する材料として興味深い。また、このナノシート状結晶に、酸により加水分解されるアルコキシシランのような金属源を添加することにより、このナノシート状の超分子結晶を鋳型として、ナノサイズの金属酸化物シートを作製することも可能と考えられる。この金属酸化物シートは、その表面にて金属酸化物の一種であるゼオライト等と同様の触媒作用を発現することが可能と考えられ、また、上記の超分子結晶を鋳型としてなるので、上記の超分子結晶と同様に、ナノサイズである複数の金属酸化物シート同士が互いに組み合って内部に空間を形成した構造体となり、特異な形状の反応場を備える材料として興味深い。なお、キラルな金属酸化物としては、これまでに例えば、キラルミセルをテンプレートにして合成したねじれ構造のメソポーラスシリカが提案されている(特許文献4を参照)。
特開2010−208907号公報 特開2009−256592号公報 特開2011−126964号公報 特許第4607101号公報
Enrico G.,et al.,J.Am.Chem.Soc.2006,128,2276−2279
上記の超分子結晶の形成に際して用いられる酒石酸は光学活性体が存在するため、光学活性な酒石酸を用いて超分子結晶を調製すればキラルな反応場を備えたナノ構造体が得られ、このナノ構造体を鋳型としたナノシート状の金属酸化物ナノ構造体が組み合わさってなる高次の構造体もまた触媒作用を備えたキラルな反応場になると期待される。しかしながら、本発明者らのその後の検討によれば、ラセミ体である酒石酸を用いたときにはナノシート状の超分子結晶が得られたものの、光学活性体である酒石酸を用いると繊維状の超分子結晶しか得ることができず、反応場として付加価値の高いナノシート状という特異な形状である、キラルなナノシート状の金属酸化物ナノ構造体が組み合わさってなる高次の構造体を得るには改良の余地があることが判明した。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、ナノシート状等といった反応場として付加価値の高い特異な形状であるキラルな金属酸化物ナノ構造体が組み合わさってなる構造体、及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、酸塩基型錯体からなる超分子結晶を調製するにあたり、上記直鎖状ポリエチレンイミンに、グルカル酸やガラクタル酸等といった炭素数5以上の糖酸化合物をジカルボン酸として組み合わせると、意外にも、このジカルボン酸を光学活性なものとした場合であっても、酸塩基型錯体の形成によって得られる超分子結晶がナノシート状となることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1)本発明は、厚さ1〜100nmである複数のナノシート状の金属酸化物ナノ構造体と、複数の前記金属酸化物ナノ構造体同士で形成される空間と、を内部に備え、径が1〜80μmの粒子である金属酸化物構造体であって、上記金属酸化物ナノ構造体が200〜600nmの波長範囲にて光の吸収を示すことを前提に、その吸収波長に対応する円二色性スペクトルが正又は負のコットン効果を示すことを特徴とするキラルな金属酸化物構造体である。
(2)また本発明は、上記金属酸化物ナノ構造体がシリカ又は酸化チタンである(1)項記載のキラルな金属酸化物構造体である。
(3)また本発明は、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーと、ジカルボン酸であり5以上の炭素原子を備えたキラル糖酸化合物と、を含んでなる酸塩基型錯体のキラル超分子結晶に、加水分解性の金属化合物を作用させるゾルゲル法により、上記キラル超分子結晶の表面に金属酸化物層を形成させるゾルゲル工程と、上記ゾルゲル工程を経たキラル超分子結晶を焼成することで、有機物であるキラル超分子結晶を分解させ上記金属酸化物層からなる構造体を得る焼成工程と、を備えたキラルな金属酸化物構造体の製造方法である。
(4)また本発明は、上記金属酸化物構造体が、厚さ1〜100nmである複数のナノシート状の金属酸化物ナノ構造体と、複数の上記金属酸化物ナノ構造体同士で形成される空間と、を内部に備えた1〜80μm径の粒子であり、上記金属酸化物ナノ構造体が200〜600nmの波長範囲にて光の吸収を示すことを前提に、その吸収波長に対応する円二色性スペクトルが正又は負のコットン効果を示すことを特徴とする(3)項記載のキラルな金属酸化物構造体の製造方法である。
本発明によれば、ナノシート状等といった反応場として付加価値の高い特異な形状であるキラルな金属酸化物ナノ構造体が組み合わさってなる構造体、及びその製造方法が提供される。
図1は、実施例1における焼成前の複合体(SiO@LPEI/D−Glc)の電界放出型走査電子顕微鏡による観察画像であり、a、b、cと進むにつれて低倍率での観察画像となる。 図2は、実施例1における焼成前の複合体(SiO@LPEI/D−Glc)の拡散反射円二色性スペクトルである。 図3は、実施例1の金属酸化物構造体(SiO@D)の電界放出型走査電子顕微鏡による観察画像であり、a、b、cと進むにつれて低倍率での観察画像となる。 図4は、表面がフェニル基で修飾された実施例1の金属酸化物構造体(Ph@SiO@D)の拡散反射円二色性スペクトルである。 図5は、実施例2における焼成前の複合体(SiO@LPEI/D−Glc)の電界放出型走査電子顕微鏡による観察画像であり、a、b、cと進むにつれて低倍率での観察画像となる。 図6は、実施例2における焼成前の複合体(SiO@LPEI/D−Glc)の拡散反射円二色性スペクトルである。 図7は、実施例3における焼成前の複合体(TiO@LPEI/D−Glc)の電界放出型走査電子顕微鏡による観察画像である。 図8は、実施例3における焼成前の複合体(TiO@LPEI/D−Glc)のXRD(X線回折)測定結果である。 図9は、実施例3における焼成前の複合体(TiO@LPEI/D−Glc)の拡散反射円二色性スペクトルである。 図10は、実施例3における焼成後の金属酸化物構造体(TiO@D)のXRD(X線回折)測定結果である。 図11は、実施例3の金属酸化物構造体(TiO@D)の電界放出型走査電子顕微鏡による観察画像である。 図12は、表面がシリカで覆われた比較例1における複合体(SiO@LPEI/D−Tart)の電界放出型走査電子顕微鏡による観察画像である。 図13は、表面がシリカで覆われた参考例1における複合体(SiO@LPEI/DL−Tart)の電界放出型走査電子顕微鏡による観察画像である。
以下、本発明に係るキラルな金属酸化物構造体の一実施形態、及びキラルな金属酸化物構造体の製造方法の一実施態様について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態及び実施態様に限定されるものではなく、本発明の範囲において適宜変更を加えて実施することができる。
<キラルな金属酸化物構造体>
まずは、本発明に係るキラルな金属酸化物構造体の一実施形態について説明する。本発明に係るキラルな金属酸化物構造体は、厚さ1〜100nmである複数のナノシート状の金属酸化物ナノ構造体と、複数の上記金属酸化物ナノ構造体同士で形成される空間と、を内部に備え、径が1〜80μmの粒子である。既に述べたように、本発明者らによって、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーとラセミの酒石酸(炭素数4のジカルボン酸化合物)とからなる酸塩基型錯体の超分子結晶を鋳型として、ラセミ体であるナノシート状のシリカナノ構造体は得られていた。しかしながら、キラルなシリカナノ構造体を得るべく、キラルな酒石酸を用いて鋳型となる酸塩基型錯体の超分子結晶を調製すると、得られる超分子結晶は繊維状となってナノシート状とはならず、この超分子結晶を鋳型として用いても、ナノシート状であるキラルな金属酸化物ナノ構造体を得ることはできなかった。そこで、本発明者らは、酒石酸に変えて種々のキラルな化合物を用いて直鎖状ポリエチレンイミンと超分子結晶を生成させる検討を重ねた結果、偶然にも、直鎖状ポリエチレンイミンと組み合わせるジカルボン酸化合物として炭素数が5以上のキラル糖酸化合物を用いたところ、ナノシート状の構造を備えたキラルな超分子結晶を調製することに成功した。本発明のキラルな金属酸化物構造体は、こうして得られたキラルな超分子結晶を鋳型として得られたものであり、上記の通り、複数のナノシート状の金属酸化物ナノ構造体と、複数の当該金属酸化物ナノ構造体同士で形成される空間と、を内部に備えた1〜80μm径の多孔質な粒子である。本発明のキラルな金属酸化物構造体のキラリティーは、それを構成するナノシート状のキラルな金属酸化物ナノ構造体のキラリティーを由来とする。
この金属酸化物構造体を構成するナノシート状の金属酸化物ナノ構造体は、後述するようにその原子配列により誘起されたキラリティーを備えるため、その吸収波長帯において円二色性スペクトルを観察すると正又は負のコットン効果が観察される。しかしながら、稀に、金属酸化物における吸収波長帯は、真空紫外領域のような短波長側となるので、通常の装置を用いて円二色性スペクトルを観察するのは難しい。
その場合、この金属酸化物ナノ構造体の表面に、例えばフェニルトリメチルシランのような紫外又は可視光の吸収を示す化合物を用いた化学修飾により200〜600nmといった紫外又は可視領域に吸収をもつ置換基や化合物を導入すると、その置換基や化合物の吸収波長に対応する円二色性スペクトルで正又は負のコットン効果が観察される。上述のフェニルトリメチルシランを用いて化学修飾を行うことを例に挙げると、金属酸化物ナノ構造体の表面に存在するOH基等の親水基を足掛かりとしてフェニル基が導入され、このフェニル基の吸収波長帯に相当する250〜300nmの範囲における円二色性スペクトルで正又は負のコットン効果が観察されることになる。なお、フェニルトリメチルシランを用いた化学修飾を行う際の反応条件としては、金属酸化物ナノ構造体(すなわち、金属酸化物ナノ構造体からなる金属酸化物構造体)250mgを100℃で2時間程度乾燥させた後、フェニルトリメトキシシラン(2.5mL)と乾燥トルエン(5mL)との混合液中で6時間程度加熱還流させる方法が挙げられるが、特に限定されない。こうした円二色性スペクトルを観察するための修飾手段としては、上記のような化学修飾の他に、ポルフィリンのような色素化合物を金属酸化物ナノ構造体の表面に物理吸着させる方法や、プラズモン吸収を有する貴金属のナノ粒子を金属酸化物シートの表面に吸着させる方法等を挙げることができる。これらの場合、表面に吸着された物質の吸収波長に応じた吸収が現れるので、円二色性スペクトルを観察することが可能になる。金属酸化物ナノ構造体が適切な波長範囲に吸収を持たない場合には、こうした化学修飾や物理吸着を行うことで、当該構造体が200〜600nmの波長範囲に光の吸収を持つようにして円二色性スペクトルを観察すればよい。上述の課題の解決手段項おける「200〜600nmの波長範囲にて光の吸収を示すことを前提に」との記載には、こうした化学修飾や物理吸着によって、200〜600nmの波長範囲における光吸収を金属酸化物ナノ構造体に付与するといった態様が含まれる。なお、金属酸化物ナノ構造体自体が200〜600nmの波長範囲にて光の吸収を示す場合には、上述の化学修飾や物理吸着といった処理を行わなくとも、その吸収波長に対応する円二色性スペクトルで正又は負のコットン効果を示すことになるのは言うまでもない。
また、金属酸化物ナノ構造体が含まれる金属酸化物構造体は固体の粒子であるので、円二色性スペクトル観察を行うに際しては、この金属酸化物構造体を乳鉢等ですり潰して粉末状とし、この粉末をKClやKBrの固体中に分散させた上で、拡散反射円二色性(DRCD)分光装置を用いて観察を行うことになる。興味深い点は、このように金属酸化物構造体を粉砕して粉末状とした後であっても円二色性スペクトルにおいてキラリティーが観察されることである。金属酸化物構造体を乳鉢等ですり潰した場合、この構造体に含まれるナノシート構造を備えたキラルな金属酸化物ナノ構造体も粉末になるまで粉砕されるが、この金属酸化物ナノ構造体は、そのような状態になってもなおキラリティーを示すことから、原子の配列といったレベルにおいて構造的なキラリティーを備えているといえる。
また、本発明のキラルな金属酸化物構造体に含まれる金属酸化物ナノ構造体は、数百℃に及ぶ焼成を経てもなおそのキラリティーを維持することができ、そのキラリティーは高い耐熱性を備える。その理由は、必ずしも明らかでないが、本発明の金属酸化物ナノ構造体は、上記のような原子の配列といったレベルでのキラリティーがナノ構造体を構成する結晶の全体に及んでいるため、数百℃における熱処理を経て表面付近の原子配列が破壊されたとしても、内部に存在する原子配列がキラリティーを保持するためと推察される。これに対して、従来提案されてきたような、螺旋等のキラルな構造を備えることによりキラリティーを発現するメソポーラスシリカ等では、数百℃における熱処理を経るとキラリティーの元となる構造が破壊されてしまい、キラリティーを消失するものも多い。この点でも、本発明のキラルな金属酸化物構造体は従来提案されてきたキラルなメソポーラスシリカ等と大きく異なるものである。
本発明のキラルな金属酸化物構造体は、1〜80μmの粒子径を備えた粒子であり、特に5〜50μmの粒子径を備えた粒子とすることが可能である。このとき、各々の粒子は、完全な球体には限られず、楕円形等の形状や不定形形状であってもよいし、複数の球体の一部が重なり合った形状であってもよい。なお、粒子径とは、楕円形等の形状や不定形形状の場合、当該粒子の中でもっとも長い径となる部分の長さをいう。また、複数の球体が重なり合った形状の場合には、それぞれの球体についての粒子径が上記範囲となる。
本発明のキラルな金属酸化物構造体の内部構造は、厚さ1〜100nmのシート状の金属酸化物ナノ構造体を基本骨格とし、これが複雑に組み合って内部に空間が形成された多孔質構造である。つまり、金属酸化物構造体は、金属酸化物ナノ構造体と、複数の当該金属酸化物ナノ構造体同士で形成される空間と、を内部に備え、粒子径が1〜80μmの多孔質粒子となる。より具体的には、金属酸化物構造体は、厚さ1〜100nmのナノシートが間隔(5〜1000nm)をもって重なってできた多重の積層構造となる。このため、本発明のキラルな金属酸化物構造体は、キラルな金属酸化物ナノ構造体からなる大きな表面積を備える。
キラルな金属酸化物ナノ構造体を構成する金属酸化物としては、特に限定されず、典型元素である金属の金属酸化物や遷移金属の金属酸化物を挙げることができる。このような金属酸化物の中には触媒活性を持つものも多く、そのような金属酸化物で構成されることにより、キラルな金属酸化物ナノ構造体は、キラルな反応場を備えた触媒となる。この場合、本発明のキラルな金属酸化物構造体は、全体として、大きな表面積のキラルな反応場を備えた多孔質触媒になる。このような触媒は、キラルな生成物を得ることのできる反応場としての用途が期待できる。また、遷移金属の金属酸化物の中には半導体特性を備えるものもあり、そのような金属酸化物を用いることにより、本発明のキラルな金属酸化物構造体は、円偏光のような特殊な偏光を備えた光にのみ感応するセンサー等としてセキュリティー分野等への応用も期待できる。
後に詳しく説明するが、金属酸化物は、金属アルコキシド、有機金属錯体、金属ハロゲン化物等のような加水分解性の金属化合物である金属ソースを上述の酸塩基型錯体である超分子結晶からなる鋳型の表面でゾルゲル反応させて、この超分子結晶の表面に金属酸化物の層を形成させ、その後、焼成によりこの超分子結晶の鋳型を分解することで得られる。鋳型である超分子結晶は、ジカルボン酸である糖酸化合物由来のカルボキシル基と、直鎖状ポリエチレンイミン骨格由来の二級アミノ基とを備えるので、酸触媒及び塩基触媒の両方の性質を有し、金属ソースの加水分解における良好な触媒となって上記ゾルゲル反応を促進させる。なお、ゾルゲル反応の結果生じる化合物は、正確には、金属元素(M)と酸素原子(O)とからなるポリマー[(−M−O−)]や金属元素の水酸化物等が大半となるが、本発明ではこのポリマーや金属元素の水酸化物等を含めて金属酸化物と呼ぶ。ゾルゲル反応の結果生じた上記ポリマー等の化合物は、焼成を経ることにより完全な金属酸化物となる。
より具体的には、金属酸化物としてはシリカを例示することができる。この場合の金属ソースとしては、テトラメトキシシラン、トリメトキシシラン、ジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリエトキシシラン、ジエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、トリプロポキシシラン、ジプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、ジイソプロポキシシラン等のアルコキシシラン、ジクロロシラン、テトラクロロシラン等のハロゲン化シラン、オルトケイ酸テトラエチル等を挙げることができる。これらの金属ソースは、一種を単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。また、金属酸化物として酸化チタンを例示することができる。この場合の金属ソースとしては、水溶性の乳酸チタンが好ましく例示される。
なお、本発明の金属酸化物における金属種は、上記のケイ素及びチタンに限定されない。このような金属種としては、亜鉛、マンガン、鉄、ジルコニウム、ゲルマニウム、ニッケル、コバルト、銅等が例示され、ゾルゲル反応に適用できる金属ソースであれば好ましく用いることができる。
<キラルな金属酸化物構造体の製造方法>
次に、本発明に係るキラルな金属酸化物構造体の製造方法の一実施態様について説明する。本発明に係るキラルな金属酸化物構造体の製造方法は、上述のキラルな金属酸化物構造体の製造方法であり、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーと、ジカルボン酸であり5以上の炭素原子を備えたキラル糖酸化合物と、を含んでなる酸塩基型錯体のキラル超分子結晶に、加水分解性の金属化合物を作用させるゾルゲル法により、上記キラル超分子結晶の表面に金属酸化物層を形成させるゾルゲル工程と、当該ゾルゲル工程を経たキラル超分子結晶を焼成することで、有機物であるキラル超分子結晶を分解させ上記金属酸化物層からなる構造体を得る焼成工程と、を備える。以下、これらの工程について説明する。
[ゾルゲル工程]
ゾルゲル工程では、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーと、ジカルボン酸であり5以上の炭素原子を備えたキラル糖酸化合物と、を含んでなる酸塩基型錯体のキラル超分子結晶に、加水分解性の金属化合物を作用させる。
本発明で用いられる直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマー(以下、単に「ポリマー」とも呼ぶ。)は、下記化学式で表される構造を分子内に備える。下記化学式で表される構造には二級のアミノ基が含まれ、このアミノ基の窒素原子が後述するキラルな糖酸化合物(これはジカルボン酸化合物である。)に含まれるカルボキシル基と相互作用して酸塩基型の錯体を形成させる。上記キラルな糖酸化合物は、二個のカルボキシル基を備えた二塩基酸であり、二分子のポリマーに含まれるアミノ基のそれぞれと錯体を形成することができるので、ポリマーは、キラルなジカルボン酸化合物によって架橋される。その結果、複数のポリマー分子と複数のキラルなジカルボン酸化合物とが自己組織化した構造を備えた酸塩基型錯体型の超分子結晶が形成される。この超分子結晶は、上記キラルな糖酸化合物に誘起された、構造的なキラリティーを備える。
(上記化学式中、nは1以上の整数である。)
本発明で用いられるポリマーは、分子内に上記化学式で示す直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えていれば足り、その他の部分の構造は特に問わないので、線状構造はもちろん、星状、櫛状の構造であってもよく、上記化学式からなるホモポリマーであってもよいし、他の繰り返し単位も備えた共重合体であってもよい。ポリマーが共重合体である場合、当該ポリマー中の直鎖状ポリエチレンイミン骨格部分のモル比が20%以上であれば安定な結晶を形成できるとの観点から好ましく、直鎖状ポリエチレンイミン骨格の繰り返し単位数が10以上となるブロック共重合体であることがより好ましい。ポリマーは、上記化学式からなるホモポリマーであることが最も好ましい。
また、ポリマーとしては、後述するキラルな糖酸化合物との間で結晶性の会合体を形成させる能力が高いほど好ましい。したがって、ポリマーは、ホモポリマーであっても共重合体であっても、上記化学式で示される直鎖状ポリエチレンイミン骨格部分に相当する部分の分子量が500〜1,000,000程度の範囲であることが好ましい。これら直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーは、市販品を用いてもよいし、本発明者らが特開2009−30017号公報等に開示した合成法によって得ることもできる。
本発明で用いられる糖酸化合物は、炭素数が5以上のジカルボン酸化合物であり、キラルである。糖酸化合物はD−体であってもL−体であってもよい。既に述べたように、この糖酸化合物の備える2個のカルボキシル基が上記のポリマーを架橋して超分子結晶を形成させるとともに、この糖酸化合物に由来する構造的なキラリティーが、形成される超分子結晶に誘起される。糖酸化合物が、炭素数5以上のキラルなジカルボン酸であることにより、得られる超分子結晶がナノシート状等といった特異な形状となることは、既に述べた通りである。なお、糖酸化合物の光学純度は、必ずしも100%eeである必要はなく、90%ee以上であることが好ましく、95%ee以上であることがより好ましく、98%ee以上であることがさらに好ましい。
糖酸化合物は、炭素数が5以上のジカルボン酸化合物であればよく、直鎖状であるか分岐状であるかを問わないし、一単糖の糖酸であるか二糖等の多糖の糖酸であるかを問わない。しかしながら、超分子結晶の良好な結晶性を得るとの観点からは、糖酸化合物は、分子の両端にカルボキシル基を備えた直鎖状である一単糖の糖酸であることが好ましい。また、糖酸化合物は、炭素数が6以上であることが好ましい。このような糖酸化合物として、例えば、アルトラル酸、グルカル酸、マンナル酸、グルロン酸、イダル酸、ガラクタル酸、タルロン酸等を好ましく例示することができる。
本発明で用いられる加水分解性の金属化合物は、水と反応することにより加水分解され、ゾルゲル反応を生じさせるものであればよい。このような化合物としては、金属アルコキシド、金属ハライド、有機金属化合物等を挙げることができる。例えば金属化合物としてケイ素化合物を用いる場合、加水分解性の金属化合物としては、テトラメトキシシラン、トリメトキシシラン、ジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリエトキシシラン、ジエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、トリプロポキシシラン、ジプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、ジイソプロポキシシラン等のアルコキシシラン、ジクロロシラン、テトラクロロシラン等のハロゲン化シラン、オルトケイ酸テトラエチル等を挙げることができる。これらの金属化合物は、一種を単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。また、金属化合物としてチタン化合物を用いる場合、例えば、ゾルゲル反応を起こす水溶性の乳酸チタンを挙げることができる。
本工程では、まず、上述のポリマーとキラルな糖酸化合物とを水中で作用させて、これらと水分子とからなる超分子結晶を形成させる。次に、このような超分子結晶を形成させるための一態様について説明する。この態様では、ポリマー水溶液調製小工程と、糖酸水溶液調製小工程と、混合小工程と、析出小工程と、を順次行う。以下、これらの工程について説明する。
ポリマー水溶液調製小工程では、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーの水溶液が調製される。このとき、水溶液を調製するのに用いる水は、加温されることにより、80℃以上の熱水となっていることが好ましい。また、このとき用いられる直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーについては、既に述べた通りである。
ポリマーの水溶液を調製する手順の一例としては、ポリマーの粉末を蒸留水に加え、それを80℃以上まで加熱することによってポリマーを溶解させることを挙げることができる。このとき、水溶液におけるポリマーの濃度は、0.5〜8質量%の範囲であることが好ましい。
調製されたポリマーの水溶液は、加温された状態のままで、後述の混合小工程に付される。
糖酸水溶液調製小工程は、特に限定されないが、上記のポリマー水溶液調製小工程と並行して行われることが好ましい。この小工程では、ジカルボン酸であり5以上の炭素原子を備えた糖酸化合物の水溶液を調製する。ここで用いられる糖酸化合物はキラル(光学活性体)である。なお、水溶液を調製するのに用いる水は、加温されることにより、80℃以上の熱水となっていることが好ましい。また、このとき用いられる糖酸化合物については、既に述べた通りである。
糖酸化合物の水溶液を調製する手順の一例としては、糖酸化合物の粉末を蒸留水に加え、それを80℃以上まで加熱することによって糖酸化合物を溶解させることを挙げることができる。このとき、水溶液における糖酸化合物の濃度は、0.5〜15質量%の範囲であることが好ましい。
調製された糖酸化合物の水溶液は、加温された状態のままで、後述の混合小工程に付される。
混合小工程では、上記のポリマーの水溶液と糖酸化合物の水溶液とを混合させて混合水溶液を得る。このとき、混合される2つの水溶液は、いずれも80℃以上程度の温度に加温されていることが好ましい。
ポリマーの水溶液と糖酸化合物の水溶液とを混合させる際、ポリマーの直鎖状ポリエチレンイミン骨格に含まれる二級アミノ基1当量に対して、糖酸化合物に含まれるカルボキシル基が、0.5〜1.5当量となるようにすることが好ましく、0.9〜1.1当量となるようにすることがより好ましく、1当量となるようにすることがさらに好ましい
この小工程で調製された混合水溶液は、析出小工程に付される。
析出小工程では、混合小工程で得られた混合水溶液中にポリマーと糖酸化合物との酸塩基型錯体を析出させる。この酸塩基型錯体は、ポリマーと糖酸化合物とを含むキラルな超分子結晶(キラル超分子結晶)である。なお、以下の記載では、キラル超分子結晶のことを単に超分子結晶とも呼ぶ。
この小工程を行うにあたり、加温された状態である混合水溶液を徐々に冷却させる。このときの冷却方法については、特に限定されるものでないが、一例として空気雰囲気下で自然冷却して室温まで水温を下げる方法を挙げることができる。この過程で水溶液中に白い固体が析出するが、この粉末は、ナノシート状である酸塩基型錯体の結晶(超分子結晶)が凝集してできた多孔質構造を備える。この多孔質の構造体が、上記本発明の金属酸化物構造体を調製するための鋳型となる。なお、上記のように自然冷却を行うに際して、混合された水溶液を静置したまま放置してもよいし、当該水溶液に撹拌や振動を与えることによって固体の析出を促進してもよい。得られた白色の析出物は、濾別や遠心分離等の手段により単離される。単離された後の析出物を蒸留水やエタノール、アセトン等の有機溶媒で適宜洗浄し、乾燥させてもよい。
上記のようにして得られた超分子結晶は、上述の、加水分解性の金属化合物との反応に付される。この反応は、水中に分散させた超分子結晶に、加水分解性の金属化合物を加えて室温で撹拌することにより行われる。この過程で加水分解性の金属化合物は、ゾルゲル反応を生じ、超分子結晶の表面に金属酸化物の層を形成させる。なお、既に述べたように、ゾルゲル反応の結果生じる化合物は、正確には、金属元素(M)と酸素原子(O)とからなるポリマー[(−M−O−)]や金属元素の水酸化物等が大半となるが、本発明ではこのポリマーや金属元素の水酸化物等を含めて金属酸化物と呼ぶ。
超分子結晶と加水分解性の金属化合物との混合比は、特に限定されず、金属酸化物構造体を構成する金属酸化物が所望の厚さとなるように適宜調節すればよい。このような混合比の一例として、加水分解性の金属化合物としてオルトケイ酸テトラエチルを用いた場合には、200mg程度の超分子結晶が分散された10mLの水に対して、3mLのオルトケイ酸テトラエチルと10mLの水との混合物を加えることを挙げることができるが、特に限定されない。
ゾルゲル工程を経たキラル超分子結晶は、焼成工程に付される。
[焼成工程]
焼成工程では、ゾルゲル工程を経たキラル超分子結晶を焼成することで、有機物であるキラル超分子結晶を熱分解させ、当該超分子結晶を鋳型とした上記金属酸化物層からなるキラルな金属酸化物構造体を得る。ここで行われる焼成により、鋳型となったキラル超分子結晶が熱分解により蒸発し、鋳型の周りに形成されたキラルな金属酸化物構造体のみが残る。なお、上記のように、ゾルゲル工程を経た金属酸化物層は金属元素(M)と酸素原子(O)とからなるポリマーや金属の水酸化物等だったが、この工程における焼成を経ることにより、これらが金属酸化物(ケイ素を用いた場合には酸化ケイ素(SiO))に変換されるとともに、アモルファス状態だった金属酸化物が結晶化してキラルな金属酸化物構造体となる。
焼成の条件としては300〜800℃程度で加熱することを挙げることができるが、特に限定されない。
焼成工程を経て得られたキラルな金属酸化物構造体は、鋳型として用いたキラル超分子結晶に誘起された、原子配列レベルといった構造に基づくキラリティーを備える。このような金属酸化物構造体が、厚さ1〜100nmである複数のナノシート状の金属酸化物ナノ構造体と、複数の上記金属酸化物ナノ構造体同士で形成される空間と、を内部に備えた1〜80μm径の多孔質な粒子であり、上記金属酸化物ナノ構造体が200〜600nmの波長範囲にて光の吸収を示すことを前提に、その吸収波長に対応する円二色性スペクトルが正又は負のコットン効果を示すことについては既に述べた通りである。
以下、実施例を示すことにより本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[直鎖状ポリエチレンイミン(LPEI)の合成]
市販のポリエチルオキサゾリン(質量平均分子量50,000、平均重合度約500、Aldrich社製)30gを5Mの塩酸水溶液(150mL)に溶解させた。その溶液をオイルバスにて90℃に加温し、その温度で10時間撹拌した。反応溶液にアセトン(500mL)を加えてポリマーを完全に沈殿させ、それを濾別し、メタノールで3回洗浄して白色のポリエチレンイミンの粉末を得た。得られた粉末をH−NMR(重水)にて分析したところ、ポリエチルオキサゾリンの側鎖のエチル基に由来した1.2ppmのピーク(CH)と2.3ppmのピーク(CH)とが完全に消失していることが確認された。したがって、得られたポリマーでは、ポリエチルオキサゾリンが完全に加水分解され、ポリエチレンイミンに変換されたことが示された。
ポリエチレンイミンの粉末を蒸留水(50mL)に溶解し、撹拌しながら、その溶液に15%アンモニア水(500mL)を滴下した。その混合液を一晩放置した後、沈殿したポリマー会合体粉末を濾過し、そのポリマー会合体粉末を冷水で3回洗浄した。洗浄後の結晶粉末をデシケータ中で室温乾燥することで、直鎖状ポリエチレンイミン(LPEI)を得た。収量は22g(結晶水含有)であった。なお、ポリマー会合体とは、ポリエチレンイミン分子同士が、その分子に含まれる2級アミノ基を介した水分子との水素結合により架橋されたものであり、高い結晶性を備える超分子錯体である。また、ポリオキサゾリンの加水分解により得られるポリエチレンイミンでは、その側鎖だけが化学反応し、その主鎖には変化がない。したがって、LPEIの重合度は加水分解前の約500と同様である。
[実施例1]LPEIとD−グルカル酸とのキラル超分子結晶を由来とした、キラルなシリカ構造体の調製(1)
LPEI粉末(含水率46質量%)158mg(2級アミノ基2mmolに相当)を蒸留水(40mL)に加え、それを約100℃になるまで加熱して、LPEIが完全に溶解したポリマー水溶液を調製した。一方、D−グルカル酸カルシウム(別名:D−サッカリン酸カルシウム)・四水和物320mg(1mmol;シグマアルドリッチ社製、以下同様である。)を1mol/Lの塩酸水溶液(2mL)と蒸留水(38mL)との混合溶液に加え、それを約100℃になるまで加熱して溶解させ、糖酸水溶液を調製した。その後、約100℃の水温を維持したまま、糖酸水溶液をポリマー水溶液中に注ぎ、混合水溶液を調製した。この混合水溶液を室温まで自然放冷した後、さらに4℃にて一晩静置した。翌日、混合水溶液中に生じたポリマーと糖酸との複合体(超分子結晶)を遠心分離にて回収した後、蒸留水(10mL)を加え、白色懸濁液を調製した。一方、オルトケイ酸テトラエチル(3mL)を蒸留水(10mL)に加え、激しく撹拌し、シリカソース分散液を調製した。このシリカソース分散液に上記白色懸濁液を滴下し、室温で約2時間撹拌した。その後、固体を遠心分離により回収し、蒸留水、次いでアセトンで洗浄した。固体を乾燥させ、シリカで表面が覆われた、LPEIとD−グルカル酸との複合体(SiO@LPEI/D−Glc)598mgを得た。
得られた複合体(SiO@LPEI/D−Glc)をガラススライドに載せ、白金蒸着後、電界放出型走査電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、SU8010)にて観察した結果を図1に示す。図1は、実施例1における焼成前の複合体(SiO@LPEI/D−Glc)の電界放出型走査電子顕微鏡による観察画像であり、a、b、cと進むにつれて低倍率での観察画像となる。図1に示すように、この複合体は、厚さ100nm程度のナノシート状の構造体が集合してなり、これらナノ構造体同士で形成される空間を備えた球状体であることがわかる。また、実施例1における焼成前の複合体(SiO@LPEI/D−Glc)を乳鉢で粉砕した後でKCl中に40質量%の濃度で分散させ、粉体CD測定ユニット(日本分光株式会社製、DRCD−466)を取り付けた円二色性スペクトル分光計(日本分光株式会社製、J−820)により拡散反射円二色性スペクトルを測定したところ、紫外線吸収波長範囲にて楕円率が正の方向に現れた(図2)。この結果は、シリカで覆われた後もLPEIとD−グルカル酸からなるナノシート(ナノ構造体)自体がキラリティーを維持していることを示唆する。
得られた複合体(SiO@LPEI/D−Glc)600mgを600℃で3時間焼成し、鋳型であるキラル超分子結晶を熱分解させた。その結果、シリカからなる実施例1の金属酸化物構造体(SiO@D)471mgを得た。焼成に伴う質量減は、21%だった。この金属酸化物構造体(SiO@D)を電界放出型走査電子顕微鏡にて観察した結果を図3に示す。図3は、実施例1の金属酸化物構造体(SiO@D)の電界放出型走査電子顕微鏡による観察画像であり、a、b、cと進むにつれて低倍率での観察画像となる。図3に示すように、実施例1の金属酸化物構造体(SiO@D)は、複数のナノシート状の金属酸化物ナノ構造体と、当該金属酸化物ナノ構造体同士の間で形成される空間とを備えた金属酸化物構造体であることがわかる。
実施例1の金属酸化物構造体(SiO@D)250mgを100℃で2時間乾燥させた後、これに乾燥トルエン(5mL)及びフェニルトリメトキシシラン(2.5mL)を加えて6時間加熱還流させ、金属酸化物構造体の表面をフェニル基で修飾した。固体を濾別した後、メタノールで洗浄し乾燥させた結果、フェニル基で修飾された実施例1の金属酸化物構造体(Ph@SiO@D)264mgを得た。この金属酸化物構造体(Ph@SiO@D)を乳鉢で粉砕した後でKCl中に40質量%の濃度で分散させ、拡散反射円二色性スペクトルを測定したところ、紫外線吸収波長範囲(250〜300nm)にて楕円率が正の方向に現れた(図4;正のコットン効果)。この結果は、鋳型であるキラルな超分子結晶が焼成により分解された後も、実施例1の金属酸化物構造体がキラルな超分子結晶に由来するキラリティーを保持していることを支持するものである。
[実施例2]LPEIとD−グルカル酸とのキラル超分子結晶を由来とした、キラルなシリカ構造体の調製(2)
LPEI粉末(含水率46質量%)158mg(2級アミノ基2mmolに相当)を蒸留水(40mL)に加え、それを約100℃になるまで加熱して、LPEIが完全に溶解したポリマー水溶液を調製した。一方、D−グルカル酸カルシウム・四水和物320mg(1mmol)を1mol/Lの塩酸水溶液(2mL)と蒸留水(38mL)との混合溶液に加え、それを約100℃になるまで加熱して溶解させ、糖酸水溶液を調製した。その後、約100℃の水温を維持したまま、糖酸水溶液をポリマー水溶液中に注ぎ、混合水溶液を調製した。この混合水溶液を室温まで自然放冷した後、室温にて1mol/Lの塩酸水溶液を滴下し、混合水溶液のpHを3.0に調整した。その後、4℃にて一晩静置し、翌日、混合水溶液中に生じたポリマーと糖酸との複合体を遠心分離にて回収した後、蒸留水(10mL)を加え、白色懸濁液を調製した。一方、オルトケイ酸テトラエチル(3mL)を蒸留水(10mL)に加え、激しく撹拌し、シリカソース分散液を調製した。このシリカソース分散液に上記白色懸濁液を滴下し、室温で約2時間撹拌した。その後、固体を遠心分離により回収し、蒸留水、次いでアセトンで洗浄した。固体を乾燥させ、シリカで表面が覆われた、LPEIとD−グルカル酸との複合体(SiO@LPEI/D−Glc)137mgを得た。
得られた複合体(SiO@LPEI/D−Glc)をガラススライドに載せ、白金蒸着後、電界放出型走査電子顕微鏡にて観察した結果を図5に示す。図5は、実施例2における焼成前の複合体(SiO@LPEI/D−Glc)の電界放出型走査電子顕微鏡による観察画像であり、a、b、cと進むにつれて低倍率での観察画像となる。図5に示すように、この複合体は、厚さ100nm程度のナノシート状の構造体が集合してなり、これらの構造体同士で形成される空間を備えたねじれ球状体であることがわかる。また、実施例2における焼成前の複合体(SiO@LPEI/D−Glc)を乳鉢で粉砕した後でKCl中に40質量%の濃度で分散させ、拡散反射二色性スペクトルを測定したところ、紫外線吸収波長範囲にて楕円率が正の方向に現れた(図6)。この結果は、シリカで覆われた後もLPEIとD−グルカル酸からなるナノシート(ナノ構造体)自体がキラリティーを維持していることを示唆する。
得られた複合体(SiO@LPEI/D−Glc)600mgを600℃で3時間焼成し、鋳型であるキラル超分子結晶を熱分解させた。その結果、シリカからなる実施例2の金属酸化物構造体(SiO@D)471mgを得た。焼成に伴う質量減は、21%だった。電界放出型走査電子顕微鏡による観察の結果、この金属酸化物構造体もまた、複数のナノシート状の金属酸化物ナノ構造体と、当該金属ナノ構造体同士の間で形成される空間とを備えた金属酸化物構造体であった。
[実施例3]LPEIとD−グルカル酸とのキラル超分子結晶を由来とした、キラルな酸化チタン構造体の調製
LPEI粉末(含水率46質量%)158mg(2級アミノ基2mmolに相当)を蒸留水(40mL)に加え、それを約100℃になるまで加熱して、LPEIが完全に溶解したポリマー水溶液を調製した。一方、D−グルカル酸カルシウム・四水和物320mg(1mmol)を1mol/Lの塩酸水溶液(2mL)と蒸留水(38mL)との混合溶液に加え、それを約100℃になるまで加熱して溶解させ、糖酸水溶液を調製した。その後、約100℃の水温を維持したまま、糖酸水溶液をポリマー水溶液中に注ぎ、混合水溶液を調製した。この混合水溶液を室温まで自然放冷した後、さらに4℃にて一晩静置した。翌日、混合水溶液中に生じたポリマーと糖酸との複合体(超分子結晶)を遠心分離にて回収した後、蒸留水で3回洗浄し、最終的に蒸留水(15mL)を加えて白色懸濁液とした。一方、乳酸チタン溶液(製品名:オルガノチックスTC310、マツモトファインケミカル株式会社製、チタン含有量:7.2〜9.2%、6mL)に蒸留水(8mL)及び1mol/Lのアンモニア水溶液(6mL)を順に滴下した後、30分間撹拌してチタンソース溶液を調製した。このチタンソース溶液に上記の白色懸濁液を滴下し、室温で約2時間撹拌した。その後、固体を遠心分離により回収し、蒸留水、次いでアセトンで洗浄した。その後固体を乾燥することにより、酸化チタンで表面が覆われた、LPEIとD−グルカル酸との複合体(TiO@LPEI/D−Glc)454mgを得た。
得られた複合体(TiO@LPEI/D−Glc)をガラススライドに載せ、白金蒸着後、電界放出型走査電子顕微鏡にて観察した結果を図7に示す。図7は、実施例3における焼成前の複合体(TiO@LPEI/D−Glc)の電界放出型走査電子顕微鏡による観察画像である。図7に示すように、この複合体は、厚さ100nm以下のナノシート状の構造体が乱雑に積層した構造であり、これらナノ構造体同士で形成される空間を備えた球状体であることがわかる。さらに、この複合体(TiO@LPEI/D−Glc)のX線回折(XRD)測定結果を図8に示す。図8は、実施例3における焼成前の複合体(TiO@LPEI/D−Glc)のXRD測定結果である。図8に示すように、XRD測定において2θ=25°をピークにブロードな散乱パターンが現れたことから、この複合体では、結晶子サイズが小さいアナターゼ型酸化チタンが形成されていることがわかる。また、実施例3における焼成前の複合体(TiO@LPEI/D−Glc)を乳鉢で粉砕した後でKCl中に40質量%の濃度で分散させ、拡散反射円二色性スペクトルを測定したところ、300〜380nmにおける酸化チタンの吸収領域に正のコットン効果を示す円二色性スペクトルが得られた(図9)。この領域でLPEI/D−グルカル酸錯体は吸収を示さないため、生じた円二色性(CD)信号は酸化チタンに起因するものである。このことから、LPEIとD−グルカル酸とから形成されたキラルな超分子錯体が、乳酸チタンのゾルゲル反応の触媒的テンプレートとなって酸化チタンを析出させると同時に、その酸化チタンに自身のキラリティーを転写したことが示された。
得られた複合体(TiO@LPEI/D−Glc)300mgを600℃で3時間焼成し、鋳型であるキラル超分子結晶を熱分解させた。その結果、酸化チタンからなる実施例3の金属酸化物構造体(TiO@D)142mgを得た。XRD測定の結果から、得られた金属酸化物構造体(TiO@D)では、アナターゼ結晶が、十分に成長した酸化チタンに変化していることがわかった(図10)。さらに、この金属酸化物構造体(TiO@D)を電界放出型走査電子顕微鏡にて観察した結果を図11に示す。図11は、実施例3の金属酸化物構造体(TiO@D)の電界放出型走査電子顕微鏡による観察画像である。図11に示すように、焼成後もナノシート構造が維持され、実施例3の金属酸化物構造体(TiO@D)は、複数のナノシート状の金属酸化物ナノ構造体と、当該金属酸化物ナノ構造体同士の間で形成される空間とを備えた金属酸化物構造体であることがわかる。
[比較例1]LPEIとD−酒石酸とのキラル超分子結晶を由来としたシリカ複合体の調製
LPEI(含水率46質量%)粉末197.5mg(2級アミノ基2.5mmolに相当)を蒸留水(3mL)中に加え、それを95℃になるまで加熱して、LPEIが完全に溶解したポリマー水溶液を調製した。一方、D−酒石酸(東京化成株式会社製;炭素数4)187.7mg(1.25mmol)を蒸留水(2mL)に溶解させ、その溶液を95℃になるまで加熱してD−酒石酸水溶液を調製した。その後、約95℃の水温を維持したまま、D−酒石酸水溶液をポリマー水溶液中に注ぎ、混合水溶液を調製した。この混合水溶液を室温まで自然放冷する過程で生じる沈殿物を遠心分離にて回収、洗浄し、大気中で乾燥させて、LPEIとD−酒石酸とからなる複合体を得た。収量は290mgだった。
その後、実施例1と同様の手順にてシリカソースを用いて処理することにより、比較例1における複合体の表面をシリカで被覆した。このシリカで被覆された複合体(SiO@LPEI/D−Tart)を白金蒸着後、電界放出型走査電子顕微鏡にて観察した結果を図12に示す。図12は、表面がシリカで覆われた比較例1における複合体(SiO@LPEI/D−Tart)の電界放出型走査電子顕微鏡による観察画像である。図12に示すように、表面がシリカで覆われた、LPEIとD−酒石酸との複合体(SiO@LPEI/D−Tart)は、繊維状の構造体が複合してなるものであり、ジカルボン酸であり5以上の炭素原子を備えたキラル糖酸化合物を用いたときに観察されたようなナノシート状の構造体が複合したものとはならなかった。
[参考例1]LPEIとDL−酒石酸とのラセミ超分子結晶を由来としたシリカ複合体の調製
LPEI(含水率46質量%)粉末197.5mg(2級アミノ基2.5mmolに相当)を蒸留水(3mL)中に加え、それを95℃になるまで加熱して、LPEIが完全に溶解したポリマー水溶液を調製した。一方、DL−酒石酸(東京化成工業株式会社製;D−酒石酸とL−酒石酸との等モル混合品)187.7mg(1.25mmol)を蒸留水(2mL)に溶解させ、その溶液を95℃になるまで加熱して酒石酸溶液を調製した。その後、約95℃の水温を維持したまま、酒石酸水溶液をポリマー水溶液中に注ぎ、混合水溶液を調製した。この混合水溶液を室温まで自然放冷する過程で生じた沈殿物を遠心分離にて回収、洗浄し、大気中で乾燥させて、LPEIとDL−酒石酸とからなる複合体を得た。収量は290mgだった。
その後、実施例1と同様の手順にてシリカソースを用いて処理することにより、参考例1における複合体の表面をシリカで被覆した。このシリカで被覆された複合体(SiO@LPEI/DL−Tart)を白金蒸着後、電界放出型走査電子顕微鏡にて観察した結果を図13に示す。図13は、表面がシリカで覆われた参考例1における複合体(SiO@LPEI/DL−Tart)の電界放出型走査電子顕微鏡による観察画像である。図13に示すように、表面がシリカで覆われた、ラセミであるLPEIとDL−酒石酸との複合体(SiO@LPEI/DL−Tart)は、キラルであるLPEIとD−酒石酸との複合体(SiO@LPEI/D−Tart)と異なり、ジカルボン酸であり5以上の炭素原子を備えたキラル糖酸化合物を用いたときに観察されたようなナノシート状の構造体が複合したものとなった。しかしながら、この複合体はキラルではない。

Claims (4)

  1. 厚さ1〜100nmである複数のナノシート状の金属酸化物ナノ構造体と、複数の前記金属酸化物ナノ構造体同士で形成される空間と、を内部に備え、径が1〜80μmの粒子である金属酸化物構造体であって、
    前記金属酸化物ナノ構造体が200〜600nmの波長範囲にて光の吸収を示すことを前提に、その吸収波長に対応する円二色性スペクトルが正又は負のコットン効果を示すことを特徴とするキラルな金属酸化物構造体。
  2. 前記金属酸化物ナノ構造体がシリカ又は酸化チタンである請求項1記載のキラルな金属酸化物構造体。
  3. 直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーと、ジカルボン酸であり5以上の炭素原子を備えたキラル糖酸化合物と、を含んでなる酸塩基型錯体のキラル超分子結晶に、加水分解性の金属化合物を作用させるゾルゲル法により、前記キラル超分子結晶の表面に金属酸化物層を形成させるゾルゲル工程と、
    前記ゾルゲル工程を経たキラル超分子結晶を焼成することで、有機物であるキラル超分子結晶を分解させ前記金属酸化物層からなる構造体を得る焼成工程と、を備えたキラルな金属酸化物構造体の製造方法。
  4. 前記金属酸化物構造体が、厚さ1〜100nmである複数のナノシート状の金属酸化物ナノ構造体と、複数の前記金属酸化物ナノ構造体同士で形成される空間と、を内部に備えた1〜80μm径の粒子であり、前記金属酸化物ナノ構造体が200〜600nmの波長範囲にて光の吸収を示すことを前提に、その吸収波長に対応する円二色性スペクトルが正又は負のコットン効果を示すことを特徴とする請求項3記載のキラルな金属酸化物構造体の製造方法。
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