JP2014132578A - 燃料電池用電極触媒の触媒活性能評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極触媒が本来有している触媒活性能を十分に発揮、反映することができる触媒電極層用電解質材料を提供する
【解決手段】電極触媒、導電材、およびアニオン交換容量が0.1〜0.7mmol/g−乾燥樹脂の水不溶性のアニオン交換樹脂を含む組成物からなる、含水液体と接して使用される触媒電極層用電解質材料及び燃料電池の反応物質が溶存する電解液を用いた、回転電極法のディスク電極の表面に該触媒電極層用電解質材料で形成された触媒電極層を形成し、該電極の電位を変化させて電流を検知することにより、該触媒電極層用電解質材料に含有される電極触媒の燃料電池における燃料極反応または酸素極反応の触媒活性能を評価する。
【選択図】なし

Description

本発明は、燃料電池用電極触媒の触媒活性能評価方法の触媒電極層に用いられる触媒電極層用電解質材料に関する。
固体高分子形燃料電池は、イオン交換樹脂等の固体高分子を電解質として用いた燃料電池であり、動作温度が比較的低いという特徴を有する。係る固体高分子形燃料電池は、図1に示されるように、それぞれ外部と連通する燃料流通孔2および酸化剤ガス流通孔3を有する電池隔壁1内の空間を、固体高分子電解質膜8の両面にそれぞれ燃料室側触媒電極層4と酸化剤室側触媒電極層5とが接合した接合体で仕切って、さらに各電極層の上にそれぞれ燃料室側拡散電極(集電体)6と酸化剤室側ガス拡散電極(集電体)7が設置され、燃料流通孔2を通して外部と連通する燃料室9、および酸化剤ガス流通孔3を通して外部と連通する酸化剤室10が形成された基本構造を有している。そして、このような基本構造の固体高分子形燃料電池では、前記燃料室9に燃料流通孔2を通して、水素ガスあるいはメタノール等からなる燃料を供給すると共に、酸化剤室10に酸化剤ガス流通孔3を通して、酸化剤となる酸素や空気等の酸化剤ガスを供給し、更に両拡散電極(集電体)間に外部負荷回路を接続することにより、次のような機構により電気エネルギーを発生させている。
固体高分子電解質膜8としてカチオン交換樹脂電解質膜(以下、カチオン交換膜とも言う。)を使用した場合には、燃料室側触媒電極層4において、該電極内に含まれる電極触媒と燃料とが接触することにより生成したプロトン(水素イオン)が、固体高分子電解質膜8内を伝導して酸化剤室10に移動し、酸化剤室側触媒電極層5で酸化剤ガス中の酸素と反応して水を生成する。一方、燃料室側触媒電極層4においてプロトンと同時に生成した電子は、外部負荷回路を通じて酸化剤室側触媒電極層5へと移動するので、上記反応のエネルギーを電気エネルギーとして利用することができる。
また、固体高分子電解質膜8としてアニオン交換樹脂電解質膜(以下、アニオン交換膜とも言う。)を使用した場合には、燃料室側に水素あるいはメタノール等からなる燃料を供給し、酸化剤室側に酸素および水を供給して、酸化剤室側触媒電極層5において、該電極内に含まれる電極触媒と酸素および水とが接触することにより生成した水酸化物イオンが、固体高分子電解質膜8内を伝導して燃料室9に移動し、燃料室側触媒電極層4で燃料と反応して水を生成する。一方、燃料室側触媒電極層4において水と同時に生成した電子は、外部負荷回路を通じて酸化剤室側触媒電極層5へと移動するので、上記反応のエネルギーを電気エネルギーとして利用することができる。
前記したカチオン交換膜としては、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂電解質膜が最も一般的に用いられている。しかし、このようなカチオン交換膜形燃料電池では、次のような問題が指摘されている。
(i) 反応場が強酸性のため、貴金属触媒しか使用できず、また、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂電解質膜も高価であり、コストダウンに限界がある。
(ii) 物理的な強度が低いため薄膜化による電気抵抗の低減が困難である。
(iii) 燃料にメタノールを用いた場合に、電解質膜に対するメタノールの透過性が高く、酸化剤室側ガス拡散電極に到達したメタノールがその表面で酸素と反応するため、出力電圧が低下する。
そしてこのような問題、特に上記(i)の問題を解決するためにパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂電解質膜にかえて炭化水素系アニオン交換膜を用いることが検討されており、そのような固体高分子形燃料電池が幾つか提案されている(特許文献1〜3)。また、これらの提案によれば、炭化水素系のアニオン交換膜を用いているので、上記(ii)及び(iii)の問題についても解決可能となっている。
ところで、従来から燃料電池用の触媒活性能を評価するために、電極触媒への反応物質の供給速度を正確に制御できる回転電極法を用いた触媒活性能評価方法が多用されている。この方法は、反応物質を溶解させた電解液中で、電極を回転させることによって反応物質を電極へ供給し、電極触媒上で起こる電極反応の電流値から触媒活性能を評価する方法である。上記反応物質としては、水素やメタノールなどの燃料は勿論のこと、酸素などの酸化剤を用いて評価することもできる。
回転電極法には、回転ディスク電極法と回転リングディスク電極法の二つがある。回転ディスク電極法は、ディスク電極を回転させることによって電解質溶液の対流―拡散を積極的に利用する方法である。例えば、ディスク電極の材料として、グラッシーカーボンのような活性の低い電極を用い、該ディスク電極上に触媒電極層を形成する。ディスク電極を溶液の中で回転させると物質移動は回転数によって規制され、良好な電流―電位曲線を得ることができる。例えば、回転数を上げて物質移動が律速となった場合には限界電流が観測され、解析によって電子移動過程の速度定数を求めることができる。
上記の回転ディスク電極法で得られた情報に加え、反応機構に関する定量的知見も得たいときに回転リングディスク電極法が採用できる。具体的には、ディスク電極とリング電極とを組合せ、ディスク電極のまわりに、同心円状にリング電極を配置し、両者の間に絶縁物を置いた電極である。ディスク電極で生成した電極反応物質は対流拡散によって移動し、リング電極に達する。リング電極における電流―電位曲線の結果から、リング電極上での電極反応を解析し、ディスク電極における生成物を推定することなどができる。不安定な中間体などの解析に有効な方法である。燃料電池用の電極触媒の性能評価においては、中間体である過酸化水素の定量や4電子反応率の測定などによく利用される。燃料電池用の電極触媒の触媒活性能を評価するために、回転リングディスク電極法が多用されている。
アニオン交換膜形燃料電池用電極触媒の活性能評価の場合、非特許文献1、2に記載されているように、触媒電極層のバインダーとしては強酸性であるナフィオン(登録商標)が用いられている。
特開平11−273695号公報 特開平11−135137号公報 特開2000−331693号公報
L.Demarconnay, C.Coutanceau, J.−M.L‘eger:Electrochimica Acta 53(2008)3232−3241 Wenmimg Wang, Dan Zheng, Chong Du:Journal of Power Sources 167(2008)243−249
ナフィオンをバインダーに用いた場合、電極触媒が貴金属の場合は問題がないが、非貴金属の場合は、触媒電極層の調製時に強酸性物質であるナフィオンに電極触媒が溶解してしまう可能性があり、正確な触媒活性能の評価が困難となるという問題がある。また、本発明者等がナフィオンのかわりに非イオン交換樹脂又はアニオン交換容量が高いアニオン交換樹脂をバインダーとして用いて検討を行ったところ、触媒電極層の調製はできるものの、触媒活性能を評価結果に十分反映できない場合があるという問題があることが判明した。
本発明は、上記のような問題を解決するものであって、電極触媒が本来有している触媒活性能を十分発揮、反映することができる触媒電極層用電解質材料を提供するものである。
上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、本発明者等は、上記の問題は、触媒電極層を形成するバインダー中の伝導イオンである水酸化物イオン(OH)の移動のしやすさの違い、及び、電解液中でイオン交換樹脂が膨潤し、その体積変化による触媒への反応物質供給量の違いによるものであって、触媒電極層用電解質材料のバインダーとして、アニオン交換容量を特定範囲としたアニオン交換樹脂を用いることによって、上記目的が達成され得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、燃料電池の反応物質が溶存する電解液を用いた、回転電極法のディスク電極の表面に、電極触媒、導電材、およびアニオン交換容量が0.1〜0.7mmol/g−乾燥樹脂の水不溶性のアニオン交換樹脂を含む組成物からなる、含水液体と接して使用される触媒電極層用電解質材料で形成された触媒電極層を形成し、該電極の電位を変化させて電流を検知し、該触媒電極層用電解質材料に含有される電極触媒の燃料電池における燃料極反応または酸素極反応の触媒活性能を評価することを特徴とする燃料電池用電極触媒の触媒活性能評価方法及び該燃料電池用電極触媒の触媒活性能評価方法に使用する、回転電極法のディスク電極表面の触媒電極層用電解質材料である。
本発明の触媒電極層用電解質材料は、アニオン交換樹脂をバインダーとして用いているため、電極触媒として貴金属触媒に限らず、非貴金属触媒を用いることが可能である。
また、本発明の触媒電極層用電解質材料は、アニオン交換樹脂をバインダーとして用いているため、伝導イオンである水酸化物イオン(OH)が、カチオン交換樹脂若しくは非イオン交換樹脂を用いた場合に比べ移動しやすく、かつ、特定範囲内のアニオン交換容量であるアニオン交換樹脂は、体積変化が少ないので、体積変化による触媒への反応物質供給量の減少を改善することができるため、触媒が本来有している触媒活性能を十分反映することができる。
従って、本発明の触媒電極層用電解質材料を触媒活性能評価用の触媒電極層に用いれば、触媒が本来有している触媒活性能を十分に反映することができる触媒活性能評価方法を提供することができる。
図1は、固体高分子形燃料電池の基本構造を示す概念図である。 図2は、回転電極法の装置の基本構造を示す概念図である。 図3は、回転リングディスク電極の構造を示す概略図である。
本発明の燃料電池用電極触媒の触媒活性能評価方法に使用する、回転電極法のディスク電極表面の触媒電極層用である触媒電極層用電解質材料は、電極触媒、導電材、およびアニオン交換容量が0.1〜0.7mmol/g−乾燥樹脂の水不溶性のアニオン交換樹脂を含む組成物からなる、含水液体と接して使用される触媒電極層用電解質材料である。
本発明において、電極触媒としては、バインダーにアニオン交換樹脂を用いているため貴金属、非貴金属を問わず、公知の電極触媒が制限なく使用できる。具体的には、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、スズ、鉄、コバルト、ニッケル、モリブテン、タングステン、バナジウム、チタン、マンガン、銅、あるいはそれらの合金、さらにはそれらの酸化物、窒化物、炭化物等の微粒子が挙げられる。
更には、ABOで表されるペロブスカイト型酸化物なども好適に使用できる。具体的には、LaMnO、LaFeO、LaCrO、LaCoO、LaNiOなど、あるいは前記のAサイトの一部をSr、Ca、Ba、Ce、Agなどで部分置換したもの、さらに、Bサイトの一部をPd、Pt、Ru、Agなどで部分置換したペロブスカイト型酸化物なども電極触媒として好適に使用できる。
これらの電極触媒の粒径は、通常、0.1〜100nm、より好ましくは0.5〜10nmが好適である。
導電材としては、電子伝導性物質であれば特に限定されるものではないが、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛等を単独または混合して使用するのが一般的である。なお、本発明においては、前記の電極触媒を予め導電材に担持させてから使用する態様も好ましく採用される。
本発明の触媒電極層用電解質材料に用いるアニオン交換樹脂は、アニオン交換容量が0.1〜0.7mmol/g−乾燥樹脂の水不溶性のアニオン交換樹脂である。
アニオン交換樹脂のアニオン交換容量が0.1mmol/g−乾燥樹脂未満であると、水酸化物イオンの伝導性が不十分となり、触媒が本来有している触媒活性能が十分発揮できない場合がある。また、アニオン交換容量が0.7mmol/g−乾燥樹脂を超えると、水溶液中で該樹脂が膨潤して触媒電極層中への反応物質の供給を阻害し、触媒が本来有している触媒活性能が十分発揮されない場合がある。また、水に可溶性となってしまい、バインダーとしての働きをすることができないことも懸念される。アニオン交換樹脂のアニオン交換容量は、上記に示したような点から、好ましくは0.2〜0.6mmol/g−乾燥樹脂、さらに好ましくは0.4〜0.6mmol/g−乾燥樹脂の範囲が好適である。
また、本発明の触媒電極層用電解質材料に用いるアニオン交換樹脂が水に不溶性でない場合は、触媒電極層から触媒電極層用電解質材料が溶出してしまい、触媒活性能を正確に評価できなかったり、燃料電池の性能が低下したりするなどの問題が発生する。なお、ここで、水に不溶性であるとは、20℃の水に対する溶解度が0.1質量%未満、好適には0.05質量%以下、さらに好適には0.03質量%以下であることをいう。
本発明の触媒電極層用電解質材料に用いるアニオン交換樹脂は、アニオン交換容量が0.1〜0.7mmol/g−乾燥樹脂の水不溶性のアニオン交換樹脂であれば特に限定されず、公知化合物、または公知の方法で合成される高分子化合物が制限なく使用できる。
特に好ましくは、該高分子化合物は、弾性を有する炭化水素系高分子(以下、炭化水素系高分子エラストマーともいう)である。
ここで、炭化水素系高分子とは、分子内に存在するイオン交換基以外の大部分が炭化水素で構成された高分子化合物を意味する。但し、本発明の効果を阻害しない範囲であれば分子内のアニオン交換基以外の部分に炭素原子及び水素原子以外の原子が含まれていてもよい。例えば、分子の主鎖及び側鎖を構成する結合として炭素−炭素結合や炭素=炭素結合(二重結合)以外に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合等が、このような結合により導入される酸素、窒素、珪素、硫黄、ホウ素、リン等の原子が総計で分子を構成する全原子数の40%以下、好適には10%以下となるような量含まれていてもよい。さらにまた、分子内に存在する水素原子数の40%以下、好適には10%以下であれば主鎖及び側鎖に塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、その他原子が直接又は置換基として結合していてもよい。
上記炭化水素系高分子エラストマー中に存在するアニオン交換基としては、アニオン交換能を有する置換基であれば特に限定されず、4級アンモニウム塩基、ピリジニウム塩基、イミダゾリウム塩基、第3級アミン基、ホスホニウム基等の公知のアニオン交換基が採用できるが、強塩基性の観点から4級アンモニウム塩基又はピリジニウム塩基を採用するのが好適である。
本発明で使用するアニオン交換樹脂は、電極触媒および導電材を含む触媒電極層用電解質材料として使用する際には、上記アニオン交換樹脂を接合面近傍、および電極触媒上に均一に存在させることができ、接合性が良好で活性の高い触媒電極層を作製することができるという観点から、有機溶媒に溶解して溶液状態で使用するのが好適である。このような理由から、前記アニオン交換樹脂は、有機溶媒に対して溶解性を示すものが好適である。上記の有機溶媒は特に限定されないが、溶液状のアニオン交換樹脂として使用する時に、乾燥操作が容易であることから低沸点の有機溶媒が好適である。このような有機溶媒を例示すれば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ニトロメタン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、トルエン、メチレンクロライド、ジクロロメタン等が挙げられ、上記を単独または二種類以上を混合した混合溶媒としても使用できる。また、上記混合溶媒には、アニオン交換樹脂が不溶性とならない範囲の少量の水を含んでいてもよい。混合溶媒中の水の含有量は、3質量%以下、好ましくは1質量%以下であることが好ましい。
前記アニオン交換樹脂としては、このような有機溶媒に対する溶解度(20℃における飽和溶液中の上記アニオン交換樹脂の濃度)が1質量%以上、特に3質量%以上であるものを用いるのが特に好適である。
本発明で使用するアニオン交換樹脂は、アニオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体またはアニオン交換基を有する単量体と共役ジエン化合物とを重合し、その後、アニオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体を用いた場合には、アニオン交換基の導入処理を施す方法において、使用する単量体の種類、その組み合わせ、及び量比、架橋剤の使用の有無、或いはその使用量、アニオン交換基の導入量、並びに高分子の重合度等を調整することにより合成することができる。
上記方法で使用するアニオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、クロルメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物が挙げられるが、アニオン交換基の導入のし易さの点から、スチレン、α−メチルスチレンが好ましく使用される。また、アニオン交換基を有する単量体としては、ビニルベンジルトリメチルアミン、ビニルベンジルトリエチルアミン等のアミン系単量体、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の含窒素複素環系単量体、それらの塩類およびエステル類等が用いられる。
上記方法で使用する共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。その含有量は特に限定されないが、炭化水素系高分子エラストマー中における共役ジエン化合物単位の含有率は5〜75質量%、特に10〜50質量%が一般的である。
なお、上記アニオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体またはアニオン交換基を有する単量体や共役ジエン化合物の他に、必要に応じてこれらの単量体と共重合可能な架橋性単量体を添加してもよい。また、上記方法で使用する架橋性単量体としては、特に制限されるものではないが、例えば、ジビニルベンゼン類、ジビニルスルホン、ジビニルビフェニル、トリビニルベンゼン等の多官能性ビニル化合物、トリメチロールメタントリメタクリル酸エステル、メチレンビスアクリルアミド、ヘキサメチレンジメタクリルアミド等の多官能性メタクリル酸誘導体が用いられる。これらの架橋性単量体を用いる場合、その使用量は一般には、アニオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体またはアニオン交換基を有する単量体100質量部に対して、0.01〜5質量部、好適には0.05〜1質量部から採択される。架橋性単量体が0.01質量部以下の場合には、得られるアニオン交換基を有する炭化水素系高分子エラストマーは、水に可溶となり易く、5質量%以上では、有機溶媒に不溶になり易い。
また、上記アニオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体またはアニオン交換基を有する単量体や共役ジエン化合物や架橋性単量体の他に、必要に応じてこれらの単量体と共重合可能な他の単量体を添加してもよい。こうした他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、アクリル酸エステル等のビニル化合物が用いられる。その使用量は、アニオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体またはアニオン交換基を有する単量体100質量部に対して0〜100質量部が好ましい。
上記方法における重合方法は、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合法が採用される。こうした製造条件は、単量体組成物の組成等によって左右されるものであり、特に限定されるものではなく適宜選択すればよい。ここで、前記性状を有する炭化水素系高分子エラストマーを重合する場合、例えばスチレン等の上記例示した単量体であれば1万〜100万、好ましくは2万〜20万の平均分子量になるような重合条件で重合させるのが好ましい。アニオン交換基を有する単量体を用いた場合には、このようにして重合を行なうことにより本発明で使用する炭化水素系高分子エラストマーを得ることができる。また、アニオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体を用いた場合には、このような重合によって得られた重合体についてアミノ化、アルキル化等の公知の方法により所望のアニオン交換基を導入すればよい。
なお、上記のような方法の中でも、効果の高い前記炭化水素系高分子エラストマーを容易に得ることができることから、アニオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体またはアニオン交換基を有する単量体として、ハードセグメントとソフトセグメントを構成するような複数の種類の単量体(通常芳香族ビニル化合物の重合ブロックがハードセグメントを構成し、共役ジエン化合物の重合ブロックがソフトセグメントを構成する)を用いてブロック共重合を行い、所謂熱可塑性エラストマーとした後、アニオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体を用いた場合には、アニオン交換基の導入処理を施す方法が特に好適である。
この場合には、熱可塑性エラストマーの一般的な合成方法に準じて、共重合させる単量体の組み合わせを決定し、常法に従って重合を行なえばよい。アニオン交換基が導入可能な熱可塑性エラストマーの具体例としては、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体(SBS)、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレントリブロック共重合体(SIS)、また、SBS、SISをそれぞれ水素添加したポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体(SEBS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロック(SEPS)共重合体が挙げられ、アニオン交換基を有する熱可塑性エラストマーとしてポリスチレン−ポリビニルピリジン−ポリブタジエントリブロック共重合体、ポリスチレン−ポリビニルピリジン−ポリイソプレントリブロック共重合体等が挙げられるので、このような共重合体を与えるような単量体の組み合わせを採用すればよい。なお、アニオン交換基が導入可能な熱可塑性エラストマーにおいては、イオン交換基を導入する工程での安定性の点から、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体(SEBS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロック共重合体(SEPS)が好ましい。
また、重合を行なう際のモノマー組成は特に限定されないが、熱可塑性エラストマーにおけるハードセグメントとなるブロック共重合体中の芳香族ビニル化合物単位の含有率は電気的特性、機械的特性の点から5〜70質量%、特に10〜50質量%が好ましいので、このような含有率になるような組成にするのが好適である。
また、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物の共重合方法は特に限定されず、アニオン重合、カチオン重合、配位重合、ラジカル重合等の公知の方法が採用されるが、ブロック構造を制御し易いという理由によりリビングアニオン重合が特に好適に採用される。なお、ブロック共重合の形態としては、ジブロック共重合、トリブロック共重合、ラジアルブロック共重合、マルチブロック共重合の何れであってもよいが、末端ブロックがお互いに凝集してドメインを形成し易いという理由からトリブロック共重合が好適である。さらに、熱可塑性樹脂と同様に成形加工し易いという理由から、各ブロック共重合体の平均分子量が1万〜30万、特に2万〜15万の平均分子量になるような重合条件で重合するのが好適である。さらに、ブロック共重合体の共役ジエン部分を水素添加する場合には、水素添加率が95%以上になるよう水素を添加するのが好ましい。また、アニオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体を用いた場合におけるアニオン交換基の導入は、前記と同様に行なうことができる。
本発明の触媒電極層用電解質材料は、HClO、HSOなどを添加した酸性水溶液又はKOH、NaOHなどを添加したアルカリ性水溶液である含水液体を電解液として使用する回転電極法のディスク電極の表面に触媒電極層の形成に用いられる。
本発明の触媒電極層用電解質材料に用いるアニオン交換樹脂は、水不溶性であって、アニオン交換容量が0.1〜0.7mmol/g−乾燥樹脂のアニオン交換樹脂であるため、大きく膨潤せず、反応物質の供給がスムースに行われる。そのため、本発明の触媒電極層電解質材料は含水液体と接して使用されると、触媒が本来有している触媒活性能を十分に発揮することができる。
本発明の触媒電極層用電解質材料は、図2に示すような回転電極法のディスク電極の表面に触媒電極層を形成して用いられる。係る回転電極法の装置の基本構造を図2に、回転リングディスク電極の断面構造を図3に示す。回転リングディスク電極の断面構造は、触媒電極層12を形成したディスク電極18とリング電極19により構成される。該回転リングディスク電極を電解液13の入った電解槽14に設置し、回転させながら電気化学的な評価を行う。反応物質がガスの場合は燃料流通孔15よりバブリングさせながら供給し、また反応物質が液体の場合は電解液に直接添加することによって実施される。対極16には白金を、参照極17には銀・塩化銀電極や可逆水素電極、飽和カロメル電極などを用いることができる。
係る回転リングディスク電極のディスク電極の基板としては、電極反応に不活性で化学的に安定なグラッシーカーボン円盤や金円盤、リング電極としては、反応中間体の検出が容易となるよう、高活性な白金などが用いられる。このディスク電極の基板上には、電極触媒、導電材およびイオン交換樹脂などをバインダーとして用いた組成物からなる触媒電極層12を形成する。また、電解液には、カチオン交換膜形燃料電池用電極触媒の活性能評価にはHClO若しくはHSOを添加した水溶液などの酸性電解液を、アニオン交換膜形燃料電池用電極触媒の活性能評価にはKOH若しくはNaOH水溶液などのアルカリ性電解液を用いるのが通例である。
燃料電池用電極触媒の触媒活性能の評価においては、電極触媒への反応物質の供給速度を正確に制御できる回転リングディスク電極を用いた回転電極法が用いられている。この方法は、燃料電池の反応物質である、燃料電池の燃料として用いられる化合物や酸化剤として用いられる化合物を溶解させた電解液中で、電極を回転させることによって反応物質を電極へ供給し、電位を変化させたときの、触媒活性能に由来する電流値を求める方法である。回転リングディスク電極のディスク基板としては、特に制限はないが、電極反応に不活性で化学的に安定なグラッシーカーボン円盤が多用されている。
また、本発明において、KOH若しくはNaOHなどを添加したアルカリ性電解液を使用するが、特に制限されるものではない。通常、アルカリの濃度は、0.1mol/l〜8mol/lの範囲が好適である。
燃料電池用電極触媒の触媒活性能を評価するために用いる触媒電極層用電解質材料は、アニオン交換樹脂100質量部に対して、電極触媒と導電材の合計質量が10〜1500質量部、好ましくは50〜800質量部、特に好ましくは100〜600質量部になる量であることが望ましい。アニオン交換樹脂の質量に対し、電極触媒と導電材の質量が少なくなり過ぎると、アニオン交換樹脂が電極触媒を完全に被覆してしまい、反応物質の供給を阻害する場合がある。また、アニオン交換樹脂の質量に対し、電極触媒と導電材の質量が多くなり過ぎると、アニオン交換樹脂がバインダーとしての役割を果たすことができず、触媒電極層がもろくなる場合がある。
また、電極触媒は、導電材100質量部に対して、0.1〜1000質量部、好ましくは0.5〜500質量部、特に好ましくは1〜200質量部になる量が望ましい。
また、触媒電極層用電解質材料の調製工程において、アニオン交換樹脂、電極触媒、導電材が均一に分散されていることが好ましい。この際、分散方法は特に限定されるものではない。通常は超音波分散処理により、安定に分散された触媒電極層用電解質材料を得ることができる。
ディスク電極の基板表面への触媒電極層用電解質材料の塗布は、一般には水平に静置した基板表面に所定量の触媒電極層用電解質材料を塗布する、若しくは基板を回転させて被覆させる方法によればよい。
次に、上記で形成した触媒電極層は、触媒電極層用電解質材料に含まれている有機溶媒や水分を蒸発させるために、乾燥させることが望ましい。乾燥の条件は、特に限定を要しないが、例えば空気中室温で一昼夜以上乾燥させるか、または、50℃、30分程度乾燥させることが好ましく、80℃、30分間程度乾燥させることがさらに好ましい。溶媒を完全に蒸発させることによって、含水液体と接した際に膨潤しにくい触媒電極層を得ることができる。
ところで、触媒電極層の形成方法としては、本発明の触媒電極層用電解質材料を塗布する方法のほか、以下のような形成方法も採用できる。すなわち、電極触媒と導電材を適当な溶媒に分散し、電極基板に塗布乾燥後、その上からアニオン交換樹脂の溶液を塗布して、触媒電極層を形成する方法である。この際、電極触媒、導電材の分散に用いる溶媒は特に限定されるものではない。
以上のように、本発明の触媒電極層用電解質材料を用いて形成された触媒電極層は、電解液などの含水液体と接して使用され、その状態で電極の電位を走査し、そのときに流れる電流値を計測する方法において好適に採用される。回転ディスク電極法や回転リングディスク電極法などの回転電極法は勿論のこと、それ以外の電極触媒の電気化学的な触媒活性能の評価方法、例えば、サイクリックボルタンメトリー、パルスボルタンメトリー、クロノポテンシオメトリー、クロノアンペロメトリー、クーロメトリー、交流インピーダンス法などの方法においても好適に採用できる。また、用途としては、燃料電池のみならず、触媒電極層が含水液体と接した状態で作動する電気化学装置、例えば、各種の電池や電解槽の電極としても有用である。
以下、実施例及び比較例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれら例によって何ら限定されるものではない。尚、実施例に示す触媒電極層用電解質材料の特性は、以下の方法により測定した値を示す。
(1)アニオン交換容量
先ず、アニオン交換樹脂を1−プロパノールに5質量%となるように溶解させた溶液をシャーレ上に滴下、室温乾燥して膜状に形成し、幅2.0cm、長さ4.0cm、厚さ50μmの短冊状に切り出したものを、1mol/lのHCl水溶液に10時間以上浸漬して塩素イオン型とした後、1mol/lのNaNO水溶液で硝酸イオン型に置換させ、遊離した塩素イオンを電位差滴定装置で定量した(なお、この時の定量値をAmolとする)。次に、定量後のアニオン交換樹脂の膜状物を1mol/lNaCl水溶液に4時間以上浸漬して塩素イオン型とし、水洗後、60℃で5時間減圧乾燥させ、その質量を測定した(この時の質量をWgとする)。上記測定値に基づいて、アニオン交換容量(mmol/g−乾燥樹脂)は次式により求めた。
アニオン交換容量=A×1000/W
(2)イオン伝導度
アニオン交換樹脂を乾燥させて膜状に形成し、数日間大気雰囲気に放置することによってイオン交換基の対イオンを炭酸イオン型としたアニオン交換樹脂膜のサンプルを準備した。次に、上記膜をイオン交換水に24時間以上浸漬して完全に湿潤状態とした後、幅2.0cm、長さ4.0cmの短冊状に切り出した。線幅0.3mmの白金線5本を5mm間隔に互いに離して平行に配置した絶縁基板を用い、前記白金線に、湿潤した2.0cm幅の短冊状の上記膜を押し当てた。40℃の恒温恒湿槽中で膜を常に湿潤状態に保持しつつ、白金線間に1kHzの交流を印加したときの交流インピーダンスを測定した。
白金線間距離を0.5〜2.0cmの間で5mmずつ変化させたときのそれぞれの交流インピーダンスを測定した。白金線間距離に対してインピーダンスをプロットしたときの勾配(端子間勾配)からアニオン交換樹脂膜の比抵抗を算出することで、白金線と膜との間に生じる接触抵抗の影響を除外した。白金線間距離とインピーダンス測定値との間には良い直線関係が得られた。端子間勾配と膜厚から下記式によりアニオン交換樹脂膜のイオン伝導度を算出した。なお、本測定においてアニオン交換樹脂膜の膜厚は、純水で湿潤させたアニオン交換樹脂膜をガラス板の間に挟んで膜厚計で測定した。
σ=1/{S×L×W×1000)}
σ:イオン伝導度[mS/cm]
S:端子間勾配[Ω/cm]
L:膜厚[cm]
W:アニオン交換樹脂膜の幅[cm]
(3)膨潤率
アニオン交換樹脂を乾燥させて膜状に形成したものを、2.0cm×1.0cmのサイズで6枚切り出し、それぞれのサンプルの膜厚を5点測定した平均値から乾燥膜の体積(Vdrycm)を求めた。なお、膜厚は、純水で湿潤させたアニオン交換樹脂膜をガラス板の間に挟んで膜厚計で測定した。この膜を常温のイオン交換水に2時間浸漬した後、再び膜のサイズを測定して湿潤膜の体積(Vwetcm)を求め、下記式より常温での膨潤率を求めた。なお、湿潤膜のサイズを測定する際は、膜の乾燥を防ぐためにイオン交換水を充分に含ませたろ紙上で行った。
膨潤率=(Vwet−Vdry)/Vdry×100
(4)水への溶解度
先ず、室温に放置して、乾燥させたアニオン交換樹脂を用いて、5質量%になるように20℃の水に浸漬した。上記液を遠心分離後、上澄み液中の固形分濃度を測定し、アニオン交換樹脂の水への溶解度(質量%)を求めた。
実施例1〜3
表1に示した熱可塑性エラストマーであるSEBS{ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体、質量平均分子量54,000}、またはSEPS{ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロック共重合体、質量平均分子量74,000}20gを1000mlのクロロホルムに溶解し、クロルメチルエチルエーテル100g、無水塩化スズ100gを氷冷下で添加した後、100℃で3時間反応させた。次に、メタノールを40リットル用いて反応物を沈殿させた後に分離し、真空乾燥によりクロルメチル化された熱可塑性エラストマー23gを得た。得られたクロルメチル化体を30質量%トリメチルアミン水溶液10質量部、水5質量部、アセトン5質量部よりなる室温のアミノ化浴において4級化した。アミノ化浴への浸漬時間を調整することによって、アニオン交換容量が0.1mmol/g〜0.7mmol/g−乾燥樹脂のアニオン交換樹脂を得た。得られたアニオン交換樹脂のアニオン交換容量、イオン伝導度、膨潤率、水への溶解度を測定し、その結果を表1に示した。
上記の4級化後のアニオン交換樹脂、電極触媒及び導電材を用いて、触媒電極層用電解質材料を調製し、リニアスイープボルタンメトリー法による酸素還元反応に対する触媒活性能の評価を行った。ここで、リニアスイープボルタンメトリーとは、電極電位を時間に対して直線的に変化させ、そのときの電流応答を測定する方法である。走査速度を遅くすることで、酸素還元反応の開始電位、拡散限界電流などを観測することができる。なお、電気化学評価装置は、BAS社のElectrochemical Analyzer Model 700C、回転電極装置は、日厚計測社のROTATING RING DISC ELECTRODE RRDE−1を用いた。
まず、白金のリング電極付きのグラッシーカーボン製の回転リングディスク電極(円盤電極の直径6mm、面積0.283cm)からなる回転リングディスク電極を用いて、以下の方法によって前処理を行なった。円盤電極を粒度が1μmのラッピングフィルムシートで研磨後、0.5μm、最後に0.3μmのラッピングフィルムで研磨を行った。次に、メタノール中で超音波洗浄による脱脂処理を行い、最後に超純水中で超音波洗浄を行うことによって電極の前処理を行った。
触媒電極層の形成は以下のように実施した。まず、電極触媒及び導電材として白金含有量45質量%の白金担持カーボン(TEC10E50E、田中貴金属社製)20mgを、アニオン交換樹脂の濃度が1質量%の1−プロパノール溶液2ml中に入れ、超音波バスを用いて30分間分散処理することによって触媒電極層用電解質材料を調製した。該触媒電極層用電解質材料5μlをグラッシーカーボン円盤電極上に塗布し、その後、100rpmで回転させ、30分間、室温にて乾燥を行った。次に、80℃で30分間乾燥させることで触媒電極層を形成した。なお、触媒電極層の面積は0.283cm、厚みは1.5μmである。
上記で作製した触媒電極層を形成した回転リングディスク電極を用い、酸素還元反応に対する触媒活性能の評価を行った。測定に使用した電解液は、70℃の0.1mol/lKOH水溶液に燃料電池の反応物質として酸化剤である純酸素をバブリングして飽和濃度としたものを用いた。参照電極には銀・塩化銀電極を用いた。リングディスク電極を400rpmで回転させながらリニアスイープボルタンメトリーの測定を行った。スイープ条件は、電位は0.2V〜―0.8V(銀・塩化銀電極に対して)、スイープ速度は0.005V/sで行った。表2に、酸化還元電流曲線のピーク値である−0.1V(銀・塩化銀電極に対して)の電位のときの電流値を示した。
なお、酸素還元反応の開始電位(電流値が10μAのときの電位を開始電位とした)は、全ての実施例、比較例とも0.1Vであった。また、リング電極で検出したディスク電極がー0.1V(銀・塩化銀電極に対して)の時の電流値より、4電子反応率を計測したところ、全ての実施例、比較例ともほぼ100%であった。
比較例1〜4
実施例1のアニオン交換樹脂の製造において、4級化する際のアミノ化浴の浸漬時間を調整し、アニオン交換容量が0mmol/gのアニオン交換樹脂および0.7mmol/gを超えるアニオン交換樹脂を作製して、実施例1と同様に触媒電極層用電解質材料を調製し、触媒電極層を形成し、酸素還元反応の対する触媒活性能の評価を行った。表1に、得られたアニオン交換樹脂のアニオン交換容量、イオン伝導度、膨潤率、水への溶解度を、表2に−0.1V(銀・塩化銀電極に対して)の電位のときの電流値を示した。
比較例5
実施例1に用いたアニオン交換樹脂の代わりにカチオン交換樹脂であるナフィオン(品番274704)を用いて、実施例1と同様に触媒電極層用電解質材料を調製し、触媒電極層を形成し、酸素還元反応に対する触媒活性能の評価を行った。表1に、ナフィオンのカチオン交換容量、イオン伝導度、膨潤率、水への溶解度を、表2に−0.1V(銀・塩化銀電極に対して)の電位のときの電流値を示した。なお、ナフィオンの伝導イオンはHまたはKである。
Figure 2014132578
Figure 2014132578
以上のように、アニオン交換容量が0.1〜0.7mmol/g−乾燥樹脂の範囲にある、水不溶性のアニオン交換樹脂を用いた本発明の触媒電極層用電解質材料を用いた触媒電極層は、酸素還元反応に対して電流値が高く、活性が高かった。これは、触媒電極層を形成するバインダー中の伝導イオンが水酸化物イオン(OH)であること、及び、電解液中でイオン交換樹脂の膨潤が少なく、反応物質の拡散を阻害していないため、触媒が本来有している触媒活性能を十分に反映できたためである。
一方、アニオン交換容量が0.1mmol/g−乾燥樹脂より低いか、または、0.7mmol/g−乾燥樹脂よりも高いアニオン交換樹脂を使用した場合には、酸素還元の電流値が相対的に低いことが判明した。アニオン交換容量が高過ぎる場合は、イオン伝導率は良好であるが、膨潤率が高いために触媒電極層中への反応物質(酸素)の拡散を阻害しているために電流値が低くなったものと考えられる。また、アニオン交換容量がゼロの場合は、膨潤率は低いものの、イオン伝導率も低いために、電解液から電極表面へのイオンの流れが悪くなり、電流が流れにくいものと考えられる。
なお、比較例5に示す、カチオン交換樹脂であるナフィオンを用いた場合は、電解液がアルカリ性であるため電解液と触媒電極層間におけるイオン伝導がスムースに行かないために、電流値が低かったのではないかと考えられる。
実施例4、比較例6
実施例2、比較例2と同様にして作製した触媒電極層を形成した回転リングディスク電極を用い、メタノールの酸化反応に対する触媒活性能の評価を行った。測定に使用した電解液は、燃料電池の反応物質として燃料であるメタノールを1mol/lとなるように添加した1mol/lKOH水溶液である。また、電解液の温度は25℃、リングディスク電極の回転数は3000rpmにおいてリニアスイープボルタンメトリーの測定を行った。スイープ条件は、電位は0.2V〜―0.8V(銀・塩化銀電極に対して)、スイープ速度は0.005V/sで行った。表3に酸化電流曲線のピーク値である−0.2V(銀・塩化銀電極に対して)の電位における電流値を示した。
Figure 2014132578
以上の結果からわかるように、本発明の触媒電極層用電解質材料は、燃料(メタノール)の酸化電流値が高いことがわかった。これは、触媒電極層を形成するバインダー中の伝導イオンが水酸化物イオン(OH)であること、及び、電解液中でイオン交換樹脂の膨潤が少なく、反応物質の拡散を阻害していないため、触媒が本来有している触媒活性能を十分に反映できたためである。
1;電池隔壁
2;燃料ガス流通孔
3;酸化剤ガス流通孔
4;燃料室側触媒電極層
5;酸化剤室側触媒電極層
6;燃料室側ガス拡散電極(集電体)
7;酸化剤室側ガス拡散電極(集電体)
8;固体高分子電解質膜
9;燃料室
10;酸化剤室
11;回転電極
12;触媒電極層
13;電解液
14;電解層
15;燃料流通孔
16;対極
17;参照極
18;回転ディスク電極
19;回転リング電極

Claims (2)

  1. 燃料電池の反応物質が溶存する電解液を用いた、回転電極法のディスク電極の表面に、電極触媒、導電材、およびアニオン交換容量が0.1〜0.7mmol/g−乾燥樹脂の水不溶性のアニオン交換樹脂を含む組成物からなる、含水液体と接して使用される触媒電極層用電解質材料で形成された触媒電極層を形成し、該電極の電位を変化させて電流を検知し、該触媒電極層用電解質材料に含有される電極触媒の燃料電池における燃料極反応または酸素極反応の触媒活性能を評価することを特徴とする燃料電池用電極触媒の触媒活性能評価方法。
  2. 燃料電池用電極触媒の触媒活性能評価方法に使用する、回転電極法のディスク電極表面の触媒電極層用である、電極触媒、導電材、およびアニオン交換容量が0.1〜0.7mmol/g−乾燥樹脂の水不溶性のアニオン交換樹脂を含む組成物からなる、含水液体と接して使用される触媒電極層用電解質材料。
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