JP2014129792A - 圧縮機および冷凍装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧縮機の信頼性を確保しつつ、圧縮機構の温度の過上昇を回避する。
【解決手段】圧縮機には、ロータリ式流体機械からなる圧縮機構が設けられる。圧縮機構のフロントヘッド(31)には、吐出ポート(50)及び補助ポート(55)が形成され、吐出弁(60)及び補助弁(65)が設けられる。吐出弁(60)は、圧縮室内の冷媒の圧力に応じて吐出ポート(50)を開閉する。補助弁(65)は、形状記憶合金からなる弁体(66)の温度に応じて補助ポート(55)を開閉する。弁体(66)は、その温度が基準温度以下のときに補助ポート(55)を塞ぐ閉弁形状となり、その温度が基準温度を上回るときに補助ポート(55)を開く開弁形状となる。
【選択図】図4

Description

本発明は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮機を備えた冷凍装置とに関するものである。
従来より、圧縮機が設けられた冷媒回路を備え、冷媒回路において冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷凍装置が知られている。圧縮機の圧縮機構が冷媒を圧縮する過程では、冷媒の温度が上昇する。そして、圧縮機構において圧縮された冷媒の温度が高温(例えば、120℃以上)になると、冷媒回路に充填された冷媒や、圧縮機構を潤滑するための潤滑油が劣化するおそれがある。
そこで、特許文献1に開示された冷凍装置は、凝縮器の温度に基づいて圧縮機へ吸入される冷媒の湿り度を調節し、圧縮機構の温度の過上昇を未然に防いでいる。つまり、凝縮器の温度が高い状況では、圧縮機において圧縮された冷媒の温度も高くなる。そこで、特許文献1の冷凍装置は、このような状況では圧縮機へ吸入される冷媒の湿り度を高めることで、圧縮機構の温度上昇を抑える。
また、特許文献2には、圧縮機構の吐出ポート付近の温度が上限値を超えると吐出弁を強制的に開くことによって、圧縮機構の温度の過上昇を未然に防ぐようにした圧縮機が開示されている。この圧縮機は、リード弁からなる吐出弁を備えたロータリ式圧縮機である。この圧縮機は、形状記憶合金からなる押上板を備えている。押上板は、その温度が所定値を超えると変形して吐出弁の弁体を押し上げる。その結果、吐出弁が強制的に開状態となり、圧縮機構から冷媒が殆ど圧縮されない状態となるため、圧縮機構の温度上昇が抑えられる。
特開平05−340614号公報 特開昭59−168285号公報
ところで、特許文献2に開示された圧縮機では、クランクシャフトが一回転する毎に、圧縮機構で圧縮された冷媒が吐出ポートから断続的に吐出される。そして、押上板が吐出弁の弁体を押し上げた状態においても、吐出ポートから吐出される冷媒が吐出弁の弁体の先端にぶつかるため、クランクシャフトが一回転する毎に吐出弁の弁体の先端が上下に動く。このため、押上板が吐出弁の弁体を押し上げた状態では、クランクシャフトが一回転する毎に吐出弁の弁体が押上板に打ち付けられ、それによって弁体が損傷するおそれがある。従って、特許文献2に開示された圧縮機では、圧縮機構の温度の過上昇は未然に防ぐことができても、吐出弁の弁体が損傷することによって圧縮機の信頼性が損なわれるおそれがあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧縮機の信頼性を確保しつつ、圧縮機構の温度の過上昇を回避することにある。
第1の発明は、内部に圧縮室(36)が形成されて該圧縮室(36)へ吸入した冷媒を圧縮して吐出する圧縮機構(30)を備え、上記圧縮機構(30)には、圧縮された冷媒を上記圧縮室(36)から導出するための吐出ポート(50)が形成されると共に、上記吐出ポート(50)を開閉する吐出弁(60)が設けられている圧縮機を対象とする。そして、上記圧縮機構(30)には、上記圧縮室(36)を上記圧縮機構(30)の外部と連通させるための補助ポート(55)が形成されると共に、上記吐出ポート(50)から吐出される冷媒の温度に相関する所定の吐出側代表温度が基準温度以下のときは上記補助ポート(55)を塞ぎ、上記吐出側代表温度が上記基準温度を上回るときは上記補助ポート(55)を開く補助弁(65)が設けられるものである。
第1の発明の圧縮機構(30)には、吐出ポート(50)と補助ポート(55)とが形成される。吐出ポート(50)は、吐出弁(60)によって開閉される。圧縮機構(30)の吐出行程では、吐出弁(60)が開き、圧縮された冷媒が圧縮室(36)から吐出ポート(50)を通って圧縮機構(30)の外部へ流出する。補助ポート(55)は、補助弁(65)によって開閉される。補助弁(65)は、吐出側代表温度に応じて補助ポート(55)を開閉する。吐出側代表温度が基準温度を超えると、補助弁(65)が補助ポート(55)を開き、圧縮室(36)内の冷媒が補助ポート(55)を通って圧縮機構(30)の外部へ流出する。補助ポート(55)が開くと、圧縮室(36)内の冷媒の圧力が低下し、その結果、圧縮室(36)内の冷媒の温度が低下するため、吐出側代表温度が次第に低下してゆく。この発明において、補助弁(65)は、吐出ポート(50)とは別の補助ポート(55)を開閉する。このため、吐出弁(60)と補助弁(65)が物理的に接触することはなく、吐出弁(60)は、補助ポート(55)が設けられていない一般的な圧縮機の吐出弁と同様に動作する。従って、補助弁(65)が吐出側代表温度に応じて補助ポート(55)を開閉しても、その補助弁(65)の動作に起因して吐出弁(60)が損傷することはない。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記吐出ポート(50)の入口端(51)は、上記圧縮室(36)の壁面に開口し、上記補助ポート(55)の入口端(56)は、上記吐出ポート(50)の入口端(51)から終端までの途中に接続するものである。
第2の発明において、補助ポート(55)の入口端(56)は、圧縮室(36)の壁面には開口せず、吐出ポート(50)の途中に接続する。このため、吐出弁(60)が吐出ポート(50)を閉じている状態においても、補助弁(65)が補助ポート(55)を開いている場合には、吐出ポート(50)の入口端(51)を通過した冷媒が補助ポート(55)を通って圧縮機構(30)の外部へ流出する。
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記補助弁(65)は、上記補助ポート(55)を開閉するための弁体(66)を備え、上記弁体(66)の温度が、上記吐出側代表温度となっており、上記弁体(66)は、該弁体(66)の温度が上記基準温度以下のときは上記補助ポート(55)の出口端(57)を覆う閉弁形状となり、該弁体(66)の温度が上記基準温度を上回るときは上記補助ポート(55)の出口端(57)から離れる開弁形状となるように、該弁体(66)の温度に応じて変形するものである。
第3の発明では、補助弁(65)の弁体(66)が、その温度に応じて変形する。弁体(66)の温度が基準温度以下のときは、弁体(66)が閉弁形状となり、弁体(66)によって補助ポート(55)の出口端(57)が閉じられる。一方、弁体(66)の温度が基準温度を上回っているときは、弁体(66)が開弁形状となり、弁体(66)が補助ポート(55)の出口端(57)から離れ、その結果、補助ポート(55)が開く。
第3の発明において、補助弁(65)の弁体(66)は、圧縮室(36)に連通する補助ポート(55)を開閉するための部材であるため、圧縮室(36)内の冷媒と接触する。このため、弁体(66)の温度は、圧縮室(36)内で圧縮されて吐出ポート(50)から吐出される冷媒の温度と相関する。
第4の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記補助弁(65)は、上記補助ポート(55)の出口端(57)を覆うように設けられる板状の弁体(66)と、該弁体(66)を弾性変形させるための補助部材(69)とを備え、上記補助部材(69)の温度が、上記吐出側代表温度となっており、上記補助部材(69)は、該補助部材(69)の温度が上記基準温度を以下のときは上記弁体(66)が上記補助ポート(55)の出口端(57)を覆うように該弁体(66)を弾性変形させない通常形状になり、該補助部材(69)の温度が上記基準温度を上回るときは上記弁体(66)を上記補助ポート(55)の出口端(57)から押し上げる押し上げ形状となるように、該補助部材(69)の温度に応じて変形するものである。
第4の発明の補助弁(65)は、弁体(66)と補助部材(69)とを備える。補助部材(69)は、補助部材(69)の温度に応じて変形する。補助部材(69)の温度が基準温度以下のときは、補助部材(69)が通常形状となるため、弁体(66)は弾性変形しない。このため、補助ポート(55)の出口端(57)は、弁体(66)によって閉じられる。一方、補助部材(69)の温度が基準温度を上回っているときは、補助部材(69)が押し上げ形状となる。その結果、弁体(66)は補助部材(69)によって押し上げられて補助ポート(55)の出口端(57)から離れ、補助ポート(55)が開く。
第4の発明において、補助弁(65)の補助部材(69)は、その弁体(66)の近傍に設けられる。補助弁(65)の弁体(66)は、圧縮室(36)に連通する補助ポート(55)を開閉するための部材であるため、圧縮室(36)内の冷媒と接触する。このため、弁体(66)の温度は、圧縮室(36)内で圧縮されて吐出ポート(50)から吐出される冷媒の温度と相関する。そして、弁体(66)の希望に配置された補助部材(69)の温度も、圧縮室(36)内で圧縮されて吐出ポート(50)から吐出される冷媒の温度と相関する。
第5の発明は、上記第1〜第4のいずれか一つの発明の圧縮機(10)が接続された冷媒回路(110)を備え、該冷媒回路(110)において冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷凍装置を対象とし、上記圧縮機の上記圧縮機構(30)の上記吐出ポート(50)から吐出される冷媒の温度が所定値以下となるように、上記圧縮機構(30)へ吸入される冷媒の湿り度、または上記圧縮機構(30)において冷媒が圧縮される過程の途中に供給される中間圧冷媒の流量を調節するものである。
第5の発明において、圧縮機(10)は、冷媒回路(110)を循環する冷媒を吸入して圧縮する。圧縮機(10)の圧縮機構(30)へ吸入される冷媒の湿り度が高くなると、圧縮機(10)へ吸入される冷媒の比エンタルピが低くなり、圧縮機構(30)の吐出ポート(50)から吐出される冷媒の温度が低くなる。また、圧縮機構(30)において冷媒が圧縮される過程の途中に供給される中間圧冷媒の流量が多くなると、その過程における冷媒の比エンタルピの増加が抑えられ、圧縮機構(30)の吐出ポート(50)から吐出される冷媒の温度が低くなる。
第6の発明は、上記第5の発明において、上記冷媒回路(110)には、ジフルオロメタンが冷媒として充填されるものである。
第6の発明では、冷媒回路(110)に充填される冷媒として、ジフルオロメタン(HFC32)が用いられる。
本発明では、圧縮機構(30)に吐出ポート(50)と補助ポート(55)とが形成され、吐出ポート(50)が吐出弁(60)によって、補助ポート(55)が補助弁(65)によって、それぞれ開閉される。このため、吐出弁(60)と補助弁(65)が物理的に接触することはない。つまり、補助弁(65)が吐出側代表温度に応じて補助ポート(55)を開閉しても、その補助弁(65)の動作に起因して吐出弁(60)が損傷することはない。従って、本発明によれば、吐出弁(60)の損傷を未然に防いで圧縮機(10)の信頼性を確保しつつ、圧縮機構(30)の温度の過上昇を回避することによって冷媒や潤滑油の劣化を抑えることができる。
上記第3の発明では、圧縮室(36)内の冷媒と接触する補助弁(65)の弁体(66)の温度が吐出側代表温度となっており、補助弁(65)の弁体(66)がその温度に応じて変形することによって、補助ポート(55)が開閉される。つまり、この発明の補助弁(65)は、吐出ポート(50)から吐出される冷媒の温度と相関性の高い弁体(66)の温度に応じて、補助ポート(55)を開閉する。従って、この発明によれば、圧縮機構(30)の温度の過上昇を確実に回避することができる。
上記第4の発明では、圧縮室(36)内の冷媒と接触する補助弁(65)の弁体(66)の近傍に配置された補助部材(69)の温度が吐出側代表温度となっており、この補助部材(69)がその温度に応じて変形することによって、補助ポート(55)が開閉される。つまり、この発明の補助弁(65)は、吐出ポート(50)から吐出される冷媒の温度と相関性の高い補助部材(69)の温度に応じて、補助ポート(55)を開閉する。従って、この発明によれば、圧縮機構(30)の温度の過上昇を確実に回避することができる。
上記第5の発明では、圧縮機構(30)へ吸入される冷媒の湿り度、または圧縮機構(30)へ供給される中間圧冷媒の流量を調節することと、圧縮機(10)の補助弁(65)の機能とによって、圧縮機構(30)の吐出ポート(50)から吐出される冷媒の温度上昇が抑えられる。従って、この発明によれば、圧縮機(10)の圧縮機構(30)の温度の過上昇を確実に回避でき、圧縮機(10)の信頼性を確保することができる。
また、第5の発明の冷凍装置(100)では、圧縮機(10)の補助弁(65)が閉じたままでも、圧縮機構(30)へ吸入される冷媒の湿り度、または圧縮機構(30)へ供給される中間圧冷媒の流量を調節することによって、圧縮機構(30)の吐出ポート(50)から吐出される冷媒の温度上昇が抑えられる。このため、圧縮機(10)の補助弁(65)の機能だけによって圧縮機構(30)の吐出ポート(50)から吐出される冷媒の温度上昇を抑える場合に比べ、冷凍装置(100)が運転可能な冷凍サイクルの低圧と高圧の差の範囲を拡大することができる。
ここで、圧縮機構(30)において冷媒が圧縮される過程の途中に供給される中間圧冷媒の流量が増えると、圧縮機構(30)から吐出される冷媒の温度が低下する。このため、吐出側代表温度が基準温度を上回って補助弁(65)が開状態となった場合でも、圧縮機構(30)へ供給される中間圧冷媒の流量を調節することによって、圧縮機構(30)から吐出される冷媒の温度を引き下げることが可能である。そして、圧縮機構(30)へ供給される中間圧冷媒の流量を調節するによって圧縮機構(30)から吐出される冷媒の温度が下がると、圧縮機構(30)から吐出される冷媒の圧力がそれまでより高くなっても、圧縮機構(30)から吐出される冷媒の温度が基準温度以下に保たれる。従って、第5の発明によれば、吐出側代表温度に応じて開閉する補助弁(65)と、圧縮機構(30)へ供給される中間圧冷媒の流量の調節とを併用することによって、圧縮機構(30)から吐出される冷媒の温度を基準温度以下に保ちつつ、冷凍サイクルの高圧を必要な値にまで引き上げることが可能となる。
図1は、実施形態1の空気調和機の構成を示す冷媒回路の配管系統図である。 図2は、実施形態1の圧縮機の縦断面図である。 図3は、図2のA−A断面の要部を示す圧縮機構の断面図である。 図4は、図3のB−B断面の要部を示す圧縮機構の断面図であって、(A)は補助弁の弁体が閉弁形状である場合を示し、(B)は補助弁の弁体が開弁形状である場合を示す。 図5は、実施形態2の空気調和機の構成を示す冷媒回路の配管系統図である。 図6は、その他の実施形態の第1変形例の圧縮機構の図4に相当する断面図であって、(A)は補助弁の補助部材が通常形状である場合を示し、(B)は補助弁の補助部材が押し上げ形状である場合を示す。 図7は、その他の実施形態の第2変形例の圧縮機の縦断面図である。 図8は、その他の実施形態の第3変形例の圧縮機構の図3に相当する断面図である。
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。本実施形態は、冷凍装置からなる空気調和機(100)である。
−空気調和機の構成−
本実施形態の空気調和機(100)は、冷凍サイクルを行う冷媒回路(110)と、空気調和機(100)の運転を制御するコントローラ(125)とを備えている。ここでは、空気調和機(100)の構成について、図1を参照しながら説明する。
冷媒回路(110)には、圧縮機(10)と、四方切換弁(111)と、熱源側熱交換器である室外熱交換器(112)と、膨張弁(113)と、利用側熱交換器である室内熱交換器(114)とが設けられている。冷媒回路(110)には、ジフルオロメタン(HFC32)からなる単一成分の冷媒が充填されている。また、図示しないが、空気調和機(100)には、室外熱交換器(112)へ室外空気を供給する室外ファンと、室内熱交換器(114)へ室内空気を供給する室内ファンとが設けられる。
冷媒回路(110)において、圧縮機(10)は、その吐出管(16)が四方切換弁(111)の第1のポートに接続され、その吸入管(15)が四方切換弁(111)の第2のポートに接続されている。また、冷媒回路(110)では、四方切換弁(111)の第3のポートから第4のポートへ向かって順に、室外熱交換器(112)と膨張弁(113)と室内熱交換器(114)とが配置されている。
圧縮機(10)は、全密閉型のロータリ圧縮機(10)である。圧縮機(10)の詳細な構造は後述する。四方切換弁(111)は、第1のポートが第3のポートと連通し且つ第2のポートが第4のポートと連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートが第4のポートと連通し且つ第2のポートが第3のポートと連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わる。室外熱交換器(112)及び室内熱交換器(114)は、いずれもクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器である。室外熱交換器(112)は、室外空気を冷媒と熱交換させる。室内熱交換器(114)は、室内空気を冷媒と熱交換させる。膨張弁(113)は、開度可変の電子膨張弁である。
冷媒回路(110)には、高圧センサ(121)と、低圧センサ(122)と、吐出管温度センサ(123)とが設けられている。高圧センサ(121)は、圧縮機(10)の吐出管(16)と四方切換弁(111)を接続する配管に設けられ、圧縮機(10)から吐出された冷媒の圧力を計測する。高圧センサ(121)は、圧縮機(10)の吸入管(15)と四方切換弁(111)を接続する配管に設けられ、圧縮機(10)へ吸入される冷媒の圧力を計測する。吐出管温度センサ(123)は、圧縮機(10)の吐出管(16)に取り付けられ、吐出管(16)の温度を計測する。
コントローラ(125)は、空気調和機(100)の運転を制御する。特に、コントローラ(125)は、高圧センサ(121)、低圧センサ(122)、及び吐出管温度センサ(123)の計測値に基づいて、膨張弁(113)の開度を調節する。このコントローラ(125)の動作については、後ほど詳しく説明する。
−空気調和機の運転動作−
空気調和機(100)の運転動作を説明する。本実施形態の空気調和機(100)は、冷房運転と暖房運転とを選択的に行う。
先ず、冷房運転中の空気調和機(100)の運転動作を説明する。冷房運転中の冷媒回路(110)では、四方切換弁(111)が第1状態(図1に実線で示す状態)に設定され、室外熱交換器(112)が凝縮器として機能して室内熱交換器(114)が蒸発器として機能する冷凍サイクルが行われる。つまり、圧縮機(10)から吐出された冷媒は、室外熱交換器(112)において室外空気へ放熱して凝縮し、その後に膨張弁(113)を通過する際に減圧される。続いて、冷媒は、室内熱交換器(114)において室内空気から吸熱して蒸発し、その後に圧縮機(10)へ吸入される。圧縮機(10)は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する。また、室内熱交換器(114)において冷却された室内空気は、室内へ送り返される。
次に、暖房運転中の空気調和機(100)の運転動作を説明する。暖房運転中の冷媒回路(110)では、四方切換弁(111)が第2状態(図1に破線で示す状態)に設定され、室内熱交換器(114)が凝縮器として機能して室外熱交換器(112)が蒸発器として機能する冷凍サイクルが行われる。つまり、圧縮機(10)から吐出された冷媒は、室内熱交換器(114)において室内空気へ放熱して凝縮する。室内熱交換器(114)において加熱された室内空気は、室内へ送り返される。続いて、冷媒は、膨張弁(113)を通過する際に減圧され、室外熱交換器(112)において室外空気から吸熱して蒸発し、その後に圧縮機(10)へ吸入される。圧縮機(10)は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する。
−圧縮機の構成−
図2に示すように、本実施形態の圧縮機(10)は、圧縮機構(30)と電動機(20)とがケーシング(11)に収容された全密閉型圧縮機(10)である。
ケーシング(11)は、起立した状態の円筒状の密閉容器である。ケーシング(11)は、円筒状の胴部(12)と、胴部(12)の端部を閉塞する一対の鏡板(13,14)とを備えている。胴部(12)の下部には、吸入管(15)が取り付けられている。上側の鏡板(13)には、吐出管(16)が取り付けられている。
電動機(20)は、圧縮機構(30)の上方に配置されている。電動機(20)は、ステータ(21)とロータ(22)とを備えている。ステータ(21)は、ケーシング(11)の胴部(12)に固定されている。ロータ(22)は、後述する圧縮機構(30)の駆動軸(23)に取り付けられている。
圧縮機構(30)は、ケーシング(11)内の下部に配置されている。この圧縮機構(30)は、いわゆる揺動ピストン型のロータリ式流体機械である。この圧縮機構(30)は、フロントヘッド(31)と、シリンダ(32)と、リアヘッド(33)とを備えている。
シリンダ(32)は、厚肉円板状の部材である(図2を参照)。シリンダ(32)の中央部には、後述するピストン(38)と共に圧縮室(36)を形成する円形孔が形成されている。フロントヘッド(31)は、シリンダ(32)の上端面を閉塞する板状の部材である。フロントヘッド(31)の中央部には、駆動軸(23)を支持する主軸受(31a)が突設されている。リアヘッド(33)は、シリンダ(32)の下端面を閉塞する板状の部材である。リアヘッド(33)の中央部には、駆動軸(23)を支持する副軸受(33a)が突設されている。
シリンダ(32)は、ケーシング(11)の胴部(12)に固定されている。フロントヘッド(31)、シリンダ(32)、及びリアヘッド(33)は、互いにボルトによって締結されており、固定側部材(45)を構成している。
圧縮機構(30)は、駆動軸(23)を備えている。駆動軸(23)は、主軸部(24)と、偏心部(25)とを備えている。偏心部(25)は、主軸部(24)の下端寄りに配置されている。また、偏心部(25)は、主軸部(24)よりも大径の円柱状に形成され、主軸部(24)に対して偏心している。図示しないが、駆動軸(23)には、給油通路が形成されている。ケーシング(11)の底部に溜まった潤滑油は、給油通路を通って軸受(31a,33a)や圧縮機構(30)の摺動部分へ供給される。
図3にも示すように、圧縮機構(30)は、ピストン(38)と、ブレード(43)とを備えている。
ピストン(38)は、やや厚肉の円筒状に形成されている。ピストン(38)には、駆動軸(23)の偏心部(25)が回転自在に嵌め込まれている。ピストン(38)の外周面(39)は、シリンダ(32)の内周面(35)と摺接する。圧縮機構(30)では、ピストン(38)の外周面(39)とシリンダ(32)の内周面(35)との間に圧縮室(36)が形成される。
ブレード(43)は、ピストン(38)の外周面(39)に突設された平板状の部材であって、ピストン(38)と一体に形成されている。ブレード(43)は、圧縮室(36)を高圧室(36a)と低圧室(36b)に仕切る。
圧縮機構(30)は、一対のブッシュ(41)を備えている。一対のブッシュ(41)は、シリンダ(32)のブッシュ溝(40)に嵌め込まれ、ブレード(43)を両側から挟み込んでいる。ピストン(38)と一体のブレード(43)は、このブッシュ(41)を介してシリンダ(32)に支持される。
シリンダ(32)には、シリンダ(32)を径方向に貫通する吸入ポート(42)が形成されている。吸入ポート(42)は、圧縮室(36)の低圧室(36b)に連通する。吸入ポート(42)の一端は、シリンダ(32)の内周面(35)に開口している。この内周面(35)における吸入ポート(42)の開口端は、ブッシュ(41)に隣接した位置(図3におけるブッシュ(41)の右隣)に設けられている。一方、吸入ポート(42)の他端には、吸入管(15)が挿入されている。
フロントヘッド(31)には、吐出ポート(50)と、補助ポート(55)とが形成されている。また、フロントヘッド(31)には、吐出ポート(50)を開閉するための吐出弁(60)と、補助ポート(55)を開閉するための補助弁(65)とが設けられている。
図4に示すように、吐出ポート(50)は、フロントヘッド(31)をその厚さ方向に貫通するクランク状の通路である。この吐出ポート(50)は、圧縮室(36)の高圧室(36a)に連通する。具体的に、吐出ポート(50)は、その入口端(51)がフロントヘッド(31)の前面(シリンダ(32)側の面)に開口し、その出口端(52)がフロントヘッド(31)の背面(シリンダ(32)とは逆側の面)に開口する。フロントヘッド(31)の前面において、吐出ポート(50)の入口端(51)は、ブッシュ(41)に対して吸入ポート(42)とは逆側の位置(図3におけるブッシュ(41)の左隣)に配置される。
補助ポート(55)は、吐出ポート(50)の近傍に形成されている。補助ポート(55)は、その入口端(56)が吐出ポート(50)の途中に接続し、その出口端(57)がフロントヘッド(31)の背面に開口する。この補助ポート(55)は、吐出ポート(50)を介して圧縮室(36)の高圧室(36a)に連通する。
吐出弁(60)は、いわゆるリード弁であって、弁体(61)と、弁押え(62)と、固定ピン(63)とを備えている。この吐出弁(60)は、フロントヘッド(31)の背面に取り付けられている。弁体(61)は、細長くて平坦な薄板状の部材である。弁体(61)の材質は、例えば、ばね鋼である。弁体(61)は、その先端部が吐出ポート(50)の出口端(52)を覆うように設けられる。弁押え(62)は、やや肉厚で剛性の高い金属性の部材である。この弁押え(62)は、弁体(61)の形状に対応した細長い板状に形成されている。また、弁押え(62)の先端部は、上向きにやや湾曲した形状となっている。弁押え(62)は、弁体(61)の上に重なるように配置されている。弁押え(62)及び弁体(61)の基端部は、固定ピン(63)によってフロントヘッド(31)に固定されている。
補助弁(65)は、弁体(66)と、弁押え(67)と、固定ピン(68)とを備えている。この補助弁(65)は、フロントヘッド(31)の背面に取り付けられている。弁体(66)は、細長くて平坦な薄板状の部材である。弁体(66)は、その先端部が補助ポート(55)の出口端(57)を覆うように設けられる。弁押え(67)は、やや肉厚で剛性の高い金属性の部材である。この弁押え(67)は、弁体(66)の形状に対応した細長い板状に形成されている。また、弁押え(67)の先端部は、上向きにやや湾曲した形状となっている。弁押え(67)は、弁体(66)の上に重なるように配置されている。弁押え(67)及び弁体(66)の基端部は、固定ピン(68)によってフロントヘッド(31)に固定されている。
補助弁(65)の弁体(66)の材質は、いわゆる形状記憶合金である。形状記憶合金の例としては、チタンとニッケルからなる合金が挙げられる。この弁体(66)は、それ自身の温度に応じて変形する。具体的に、弁体(66)は、弁体(66)の温度が所定の基準温度(例えば、120℃)以下のときに補助ポート(55)の出口端(57)を塞ぐ閉弁形状(図4(A)に示す形状)となり、弁体(66)の温度が基準温度を上回るときに補助ポート(55)の出口端(57)から離れる開弁形状(図4(A)に示す形状)となる。また、弁体(66)の剛性は、吐出弁(60)の弁体(61)の剛性よりも高い。従って、弁体(66)の温度が基準温度以下のときは、圧縮室(36)内の冷媒の圧力に拘わらず、弁体(66)の形状が閉弁形状に保たれる。
このように、本実施形態の圧縮機(10)では、弁体(66)の温度が吐出側代表温度となっている。そして、補助弁(65)の弁体(66)は、弁体(66)の温度が基準温度以下のときは閉弁形状となり、弁体(66)の温度が基準温度を上回るときは開弁形状となるように、弁体(66)の温度に応じて変形する。
また、以上の説明の通り、本実施形態の圧縮機構(30)は、シリンダ(32)と、シリンダ(32)の端部を閉塞するための閉塞部材であるフロントヘッド(31)及びリアヘッド(33)と、シリンダ(32)に収容されて偏心回転するピストン(38)と、シリンダ(32)とピストン(38)の間に形成された圧縮室(36)を低圧側と高圧側に仕切るブレード(43)とを備えたロータリ式流体機械である。
−圧縮機の運転動作−
圧縮機(10)の運転動作について、図3を参照しながら説明する。
電動機(20)に通電すると、駆動軸(23)は、図3における時計方向に回転する。駆動軸(23)が回転すると、ブレード(43)と一体に形成されたピストン(38)は、揺動しつつ偏心回転する。ピストン(38)が移動すると、圧縮室(36)の低圧室(36b)には吸入ポート(42)を通って低圧ガス冷媒が吸入されると同時に、圧縮室(36)の高圧室(36a)に存在するガス冷媒が圧縮される。
吐出弁(60)の弁体(61)の背面(61b)には、ケーシング(11)の内部空間のガス圧(ドーム内圧力)が作用する。このため、高圧室(36a)内のガス圧がドーム内圧力よりも低い間は、吐出弁(60)が閉状態となる。そして、ピストン(38)が移動して高圧室(36a)内のガス圧が次第に上昇し、高圧室(36a)内のガス圧がドーム内圧力を超えると、吐出弁(60)の弁体(61)の先端部が吐出ポート(50)の出口端(52)から離れる。その結果、吐出弁(60)は、開状態となる。
吐出弁(60)が開状態になると、高圧室(36a)内のガス冷媒は、吐出ポート(50)を通過し、吐出ポート(50)の出口端(52)と弁体(61)の隙間を通ってケーシング(11)の内部空間(即ち、圧縮機構(30)の外部)へ吐出される。圧縮機構(30)から吐出された高圧ガス冷媒は、吐出管(16)を通ってケーシング(11)の外部へ導出される。
ここで、補助弁(65)の弁体(66)の先端部は、補助ポート(55)を覆っているため、高圧室(36a)内の冷媒に曝される。また、補助弁(65)は吐出弁(60)の近傍に配置されているため、補助弁(65)の弁体(66)は吐出ポート(50)から吐出された冷媒に曝される。このため、補助弁(65)の弁体(66)の温度は、高圧室(36a)から吐出ポート(50)を通って吐出される冷媒の温度と概ね等しくなる。つまり、補助弁(65)の弁体(66)の温度は、圧縮機構(30)から吐出される冷媒の温度と高い相関性を有する吐出側代表温度となる。
上述したように、補助弁(65)の弁体(66)の温度が基準温度以下のときは、弁体(66)の形状が閉弁形状(図4(A)に示す形状)に保たれる。このため、吐出弁(60)が開状態になると、高圧室(36a)内の冷媒は、吐出ポート(50)だけを通って圧縮機構(30)の外部へ吐出される。
一方、補助弁(65)の弁体(66)の温度が基準温度を上回るときは、弁体(66)の形状が開弁形状(図4(B)に示す形状)に保たれる。つまり、弁体(66)の温度が基準温度を上回るときは、駆動軸(23)の回転角度に拘わらず、弁体(66)の形状が常に開弁形状となる。弁体(66)が開弁形状となっている場合、高圧室(36a)内の冷媒は、吐出ポート(50)を通って押し出されてゆく。つまり、この場合、圧縮機構(30)は、高圧室(36a)内の冷媒を圧縮する圧縮行程を、実質的に行わない。
このように、吐出側代表温度である補助弁(65)の弁体(66)の温度が基準温度を上回るときは、弁体(66)が開弁形状となり、圧縮機構(30)における冷媒の圧縮行程が実質的に行われなくなる。このため、高圧室(36a)内の冷媒の温度上昇が抑えられ、圧縮機構(30)から吐出される冷媒の温度上昇が抑えられる。
−コントローラの制御動作−
コントローラ(125)は、圧縮機(10)へ吸入される冷媒(吸入冷媒)の湿り度が所定の目標湿り度となるように膨張弁(113)の開度を調節する第1制御動作と、圧縮機(10)の吐出管を流れる冷媒の温度が所定の上限温度TD'以下に保たれるように膨張弁(113)の開度を調節する第2制御動作とを行う。また、コントローラ(125)は、吐出管温度センサ(123)の計測値Tdが上限温度TD'以下(Td≦TD')の場合は第1制御動作を行い、吐出管温度センサ(123)の計測値Tdが上限温度TD'を上回る (TD'<Td)の場合は第2制御動作を行う。
先ず、コントローラ(125)の第1制御動作について説明する。コントローラ(125)は、吸入冷媒の湿り度が目標湿り度となるように、吐出管温度の目標値TDを設定する。つまり、コントローラ(125)は、予め記憶する冷媒の物性と圧縮機(10)の特性とを用いて、“圧力が低圧センサ(122)の計測値であり且つ湿り度が目標湿り度である冷媒を、圧縮機(10)によって高圧センサ(121)の計測値にまで圧縮した場合の圧縮後の冷媒の温度”を算出し、その算出値を吐出管温度の目標値TDに設定する。
第1制御動作において、コントローラ(125)は、吐出管温度センサ(123)の計測値Tdが吐出管温度の目標値TD±α(例えば、α=1℃)の範囲内となるように、膨張弁(113)の開度を調節する。つまり、吐出管温度センサ(123)の計測値Tdが目標範囲の下限(TD−α)を下回っている場合(Td<TD−α)、コントローラ(125)は、吸入冷媒の湿り度を低くするため、膨張弁(113)の開度を縮小する。一方、吐出管温度センサ(123)の計測値Tdが目標範囲の上限(TD+α)を上回っている場合(TD+α<Td)、コントローラ(125)は、吸入冷媒の湿り度を高くするため、膨張弁(113)の開度を拡大する。また、吐出管温度センサ(123)の計測値Tdが目標範囲内にある場合(TD−α≦Td≦TD+α)、コントローラ(125)は、膨張弁(113)の開度を保持する。
次に、コントローラ(125)の第2制御動作について説明する。コントローラ(125)では、上限温度TD'が例えば120℃に設定されている。上述したように、この第2制御動作は、吐出管温度センサ(123)の計測値Tdが上限温度TD'を上回る場合にだけ行われる。この場合、コントローラ(125)は、吐出管温度センサ(123)の計測値Tdを低下させるため、膨張弁(113)の開度を拡大する。つまり、この場合、コントローラ(125)は、吸入冷媒の湿り度が目標湿り度になっているか否かに拘わらず、膨張弁(113)の開度を拡大する。
−実施形態1の効果−
本実施形態の圧縮機(10)では、圧縮機構(30)に吐出ポート(50)と補助ポート(55)とが形成され、吐出ポート(50)が吐出弁(60)によって、補助ポート(55)が補助弁(65)によって、それぞれ開閉される。このため、吐出弁(60)と補助弁(65)が物理的に接触することはない。つまり、補助弁(65)が吐出側代表温度(本実施形態では弁体(66)の温度)に応じて補助ポート(55)を開閉しても、その補助弁(65)の動作に起因して吐出弁(60)が損傷することはない。従って、本実施形態によれば、吐出弁(60)の損傷を未然に防いで圧縮機(10)の信頼性を確保しつつ、圧縮機構(30)の温度の過上昇を回避することによって冷媒や潤滑油の劣化を抑えることができる。
また、本実施形態の圧縮機(10)において、補助弁(65)の弁体(66)は、圧縮室(36)内の冷媒、及び吐出ポート(50)から吐出された冷媒と接触する。そして、補助弁(65)の弁体(66)がその温度に応じて変形することによって、補助ポート(55)が開閉される。つまり、本実施形態の補助弁(65)は、吐出ポート(50)から吐出される冷媒の温度と相関性の高い弁体(66)の温度に応じて、補助ポート(55)を開閉する。従って、本実施形態によれば、圧縮機構(30)の温度の過上昇を確実に回避することができる。
また、本実施形態の空気調和機(100)では、圧縮機構(30)へ吸入される冷媒の湿り度が目標湿り度となるように、コントローラ(125)が膨張弁(113)の開度を調節する。このため、圧縮機(10)の補助弁(65)が閉じたままでも、圧縮機構(30)へ吸入される冷媒の湿り度を調節することによって、圧縮機構(30)の吐出ポート(50)から吐出される冷媒の温度上昇が抑えられる。
ここで、コントローラ(125)が膨張弁(113)の開度を拡大すると、圧縮機構(30)へ吸入される冷媒の湿り度が増加し、圧縮機構(30)から吐出される冷媒の温度が低下する。このため、補助弁(65)の弁体(66)の温度が基準温度を上回って補助ポート(55)が開いた場合でも、コントローラ(125)が膨張弁(113)の開度を調節することによって、圧縮機構(30)から吐出される冷媒の温度を引き下げることが可能である。そして、コントローラ(125)の制御動作によって圧縮機構(30)から吐出される冷媒の温度が下がると、圧縮機構(30)から吐出される冷媒の圧力がそれまでより高くなっても、圧縮機構(30)から吐出される冷媒の温度が基準温度以下に保たれる。従って、本実施形態によれば、弁体(66)の温度に応じて補助ポート(55)を開閉する補助弁(65)と、膨張弁(113)の開度を調節するコントローラ(125)の制御動作とを併用することによって、圧縮機構(30)から吐出される冷媒の温度を基準温度以下に保ちつつ、冷凍サイクルの高圧を必要な値にまで引き上げることが可能となる。
−実施形態1の変形例−
本実施形態では、圧縮機(10)の圧縮機構(30)の吐出ポート(50)付近に吐出温度センサを設け、この吐出温度センサの計測値に基づいてコントローラ(125)が膨張弁(113)の開度を調節するようにしてもよい。吐出温度センサは、圧縮機構(30)の吐出ポート(50)から吐出された直後の冷媒の温度を計測する。本変形例のコントローラ(125)は、その第2制御動作において、吐出管温度センサ(123)の計測値に代えて吐出温度センサの計測値を用いる。つまり、吐出温度センサの計測値が上限温度TD'を上回る場合、本変形例のコントローラ(125)は、吐出温度センサの計測値を低下させるため、膨張弁(113)の開度を拡大する。つまり、この場合、コントローラ(125)は、吸入冷媒の湿り度が目標湿り度になっているか否かに拘わらず、膨張弁(113)の開度を拡大する。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。本実施形態は、冷凍装置からなる空気調和機(100)である。
−空気調和機の構成−
本実施形態の空気調和機(100)は、冷凍サイクルを行う冷媒回路(110)と、空気調和機(100)の運転を制御するコントローラ(195)とを備えている。ここでは、空気調和機(100)の構成について、図5を参照しながら説明する。
冷媒回路(110)には、圧縮機(10)と、油分離器(130)と、四方切換弁(111)と、熱源側熱交換器である室外熱交換器(112)と、利用側熱交換器である室内熱交換器(114)と、ブリッジ回路(140)と、一方向管路(150)とが設けられている。冷媒回路(110)には、ジフルオロメタン(HFC32)からなる単一成分の冷媒が充填されている。また、図示しないが、空気調和機(100)には、室外熱交換器(112)へ室外空気を供給する室外ファンと、室内熱交換器(114)へ室内空気を供給する室内ファンとが設けられる。
冷媒回路(110)において、圧縮機(10)は、その吐出管(16)が油分離器(130)を介して四方切換弁(111)の第1のポートに接続され、その吸入管(15)が四方切換弁(111)の第2のポートに接続されている。油分離器(130)と四方切換弁(111)の間には、油分離器(130)から四方切換弁(111)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(171)が設けられている。油分離器(130)の底部は、油戻し管(131)によって圧縮機(10)の吸入管(15)に接続されている。油戻し管(131)には、キャピラリチューブ(132)が設けられている。
圧縮機(10)は、低段圧縮機構(30a)と高段圧縮機構(30b)とを備えた全密閉型の二段圧縮機である。この圧縮機(10)では、起立した状態の円筒状のケーシング(11)内に、低段圧縮機構(30a)と高段圧縮機構(30b)と電動機(20)とが収容されている。低段圧縮機構(30a)及び高段圧縮機構(30b)は、駆動軸(23)を介して電動機(20)と連結されている。低段圧縮機構(30a)及び高段圧縮機構(30b)のそれぞれは、いわゆる揺動ピストン型のロータリ式流体機械である。
特に、高段圧縮機構(30b)は、実施形態1の圧縮機構(30)と同様に構成されている。つまり、高段圧縮機構(30b)には、吐出ポート(50)と補助ポート(55)の両方が形成されると共に、吐出弁(60)と補助弁(65)の両方が設けられる。吐出弁(60)は、実施形態1のものと同様のリード弁であって、吐出ポート(50)を開閉する。補助弁(65)は、実施形態1のものと同様に構成されており、形状記憶合金製の弁体(66)によって補助ポート(55)を開閉する。
圧縮機(10)には、中間冷却回路(155)が接続されている。中間冷却回路(155)は、一端が低段圧縮機構(30a)の吐出口に接続され、他端が高段圧縮機構(30b)の吸入口に接続される。中間冷却回路(155)には、その一端から他端へ向かって順に、電磁弁(181)と、中間冷却器(156)と、逆止弁(172)とが配置されている。中間冷却器(156)は、低段圧縮機構(30a)から高段圧縮機構(30b)へ向かって流れる冷媒を、室外空気と熱交換させて冷却するための熱交換器である。逆止弁(172)は、低段圧縮機構(30a)から高段圧縮機構(30b)へ向かう冷媒の流通だけを許容する。
中間冷却回路(155)には、バイパス管(157)が接続される。バイパス管(157)は、一端が中間冷却回路(155)における電磁弁(181)の上流側に接続され、他端が逆止弁(172)の下流側に接続される。また、バイパス管(157)には、電磁弁(182)が設けられる。
冷媒回路(110)では、四方切換弁(111)の第3のポートから第4のポートへ向かって順に、室外熱交換器(112)とブリッジ回路(140)と室内熱交換器(114)とが配置されている。実施形態1と同様に、室外熱交換器(112)は冷媒を室外空気と熱交換させ、室内熱交換器(114)は冷媒を室内空気と熱交換させる。また、実施形態1と同様に、四方切換弁(111)は、第1のポートが第3のポートと連通し且つ第2のポートが第4のポートと連通する第1状態(図5に実線で示す状態)と、第1のポートが第4のポートと連通し且つ第2のポートが第3のポートと連通する第2状態(図5に破線で示す状態)とに切り換わる。
ブリッジ回路(140)は、第1〜第4の逆止弁(141〜144)をブリッジ状に接続した回路である。各逆止弁(141〜144)は、図5に矢印で示す方向への冷媒の流通だけを許容する。ブリッジ回路(140)は、第1逆止弁(141)と第4逆止弁(144)の間が室外熱交換器(112)に接続され、第2逆止弁(142)と第3逆止弁(143)の間が室内熱交換器(114)に接続される。
一方向管路(150)は、ブリッジ回路(140)に接続される。つまり、一方向管路(150)は、一端がブリッジ回路(140)における第1逆止弁(141)と第2逆止弁(142)の間に接続され、他端がブリッジ回路(140)における第3逆止弁(143)と第4逆止弁(144)の間に接続される。一方向管路(150)には、その一端から他端へ向かって順に、第1膨張弁(151)とレシーバ(153)と第2膨張弁(152)とが配置されている。第1膨張弁(151)及び第2膨張弁(152)は、いわゆる電子膨張弁である。レシーバ(153)は、第1膨張弁(151)を通過した冷媒を液冷媒とガス冷媒に分離する気液分離器を兼ねている。
冷媒回路(110)には、ガス戻し管(160)と、第1インジェクション管(161)と、第2インジェクション管(162)とが設けられている。ガス戻し管(160)は、一端がレシーバ(153)の上端付近に接続され、他端が圧縮機(10)の吸入管(15)と四方切換弁(111)を繋ぐ配管に接続されている。ガス戻し管(160)には、電磁弁(183)が設けられる。第1インジェクション管(161)は、一端が一方向管路(150)における第1膨張弁(151)の上流に接続され、他端がガス戻し管(160)における電磁弁(183)の上流側に接続されている。第1インジェクション管(161)には、いわゆる電子膨張弁からなるインジェクション用膨張弁(163)が設けられている。第2インジェクション管(162)は、一端がガス戻し管(160)における電磁弁(183)の上流側に接続され、他端が中間冷却回路(155)における逆止弁(172)の下流側に接続されている。第2インジェクション管(162)には、その一端から他端へ向かって順に、電磁弁(184)と逆止弁(173)とが配置されている。逆止弁(173)は、第2インジェクション管(162)の一端から他端へ向かう冷媒の流通だけを許容する。
冷媒回路(110)には、中間圧センサ(191)と、中間温度センサ(192)と、吐出管温度センサ(123)とが設けられている。中間圧センサ(191)は、中間冷却回路(155)における逆止弁(172)の下流側に接続され、低段圧縮機構(30a)から高段圧縮機構(30b)へ向かって流れる冷媒の圧力を計測する。中間温度センサ(192)は、中間冷却回路(155)の他端付近に取り付けられている。中間温度センサ(192)は、高段圧縮機構(30b)へ吸入される直前の冷媒の温度を計測する。実施形態1と同様に、吐出管温度センサ(123)は、圧縮機(10)の吐出管(16)に取り付けられ、吐出管(16)の温度を計測する。
コントローラ(195)は、空気調和機(100)の運転を制御する。特に、コントローラ(195)は、中間圧センサ(191)、中間温度センサ(192)、及び吐出管温度センサ(123)の計測値に基づいて、インジェクション用膨張弁(163)の開度を調節する。このコントローラ(195)の動作については、後ほど詳しく説明する。
−空気調和機の運転動作−
空気調和機(100)の運転動作を説明する。本実施形態の空気調和機(100)は、冷房運転と暖房運転とを選択的に行う。
冷房運転と暖房運転のそれぞれにおいて、本実施形態の空気調和機(100)は、基本的に実施形態1の空気調和機(100)と同様の動作を行う。つまり、冷房運転中の冷媒回路(110)では、四方切換弁(111)が第1状態(図5に実線で示す状態)に設定され、室外熱交換器(112)が凝縮器として機能して室内熱交換器(114)が蒸発器として機能する冷凍サイクルが行われる。また、暖房運転中の冷媒回路(110)では、四方切換弁(111)が第2状態(図5に破線で示す状態)に設定され、室内熱交換器(114)が凝縮器として機能して室外熱交換器(112)が蒸発器として機能する冷凍サイクルが行われる。
ただし、本実施形態の圧縮機(10)では、冷媒が低段圧縮機構(30a)において圧縮された後に高段圧縮機構(30b)において更に圧縮される。また、本実施形態の冷媒回路(110)では、圧縮機(10)に対して中間圧の液冷媒を供給する液インジェクションが行われる。
具体的に、圧縮機(10)の吸入管(15)へ吸入された冷媒は、先ず低段圧縮機構(30a)へ吸入されて圧縮される。低段圧縮機構(30a)において圧縮された冷媒は、中間冷却回路(155)へ流入し、中間冷却器(156)において室外空気へ放熱する。一方、中間冷却回路(155)には、インジェクション用膨張弁(163)を通過した中間圧の気液二相状態の冷媒が、第2インジェクション管(162)を通じて供給される。中間冷却器(156)において冷却された冷媒は、第2インジェクション管(162)から供給された冷媒と合流し、その後に高段圧縮機構(30b)へ吸入される。高段圧縮機構(30b)は、吸入した冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒をケーシング(11)の内部空間へ吐出する。
上述したように、圧縮機(10)の高段圧縮機構(30b)は、実施形態1の圧縮機構(30)と同様に構成され、補助弁(65)によって補助ポート(55)が開閉される。つまり、補助弁(65)の弁体(66)の温度が基準温度以下のときは、弁体(66)の形状が閉弁形状(図4(A)に示す形状)に保たれる。このため、吐出弁(60)が開状態になると、高圧室(36a)内の冷媒は、吐出ポート(50)だけを通って高段圧縮機構(30b)の外部へ吐出される。一方、補助弁(65)の弁体(66)の温度が基準温度を上回るときは、弁体(66)の形状が開弁形状(図4(B)に示す形状)に保たれため、高段圧縮機構(30b)は冷媒を圧縮する圧縮行程を実質的に行わない。このため、高段圧縮機構(30b)から吐出される冷媒の温度上昇が抑えられる。
−コントローラの制御動作−
コントローラ(195)は、高段圧縮機構(30b)へ吸入される冷媒(高段吸入冷媒)の過熱度SHが予め設定された目標過熱度SHtとなるようにインジェクション用膨張弁(163)の開度を調節する第1制御動作と、圧縮機(10)の吐出管を流れる冷媒の温度が所定の上限温度TD'以下に保たれるようにインジェクション用膨張弁(163)の開度を調節する第2制御動作とを行う。また、コントローラ(195)は、吐出管温度センサ(123)の計測値Tdが上限温度TD'以下(Td≦TD')の場合は第1制御動作を行い、吐出管温度センサ(123)の計測値Tdが上限温度TD'を上回る (TD'<Td)の場合は第2制御動作を行う。
第1制御動作において、コントローラ(195)は、高段吸入冷媒の過熱度SHを、中間圧センサ(191)及び中間温度センサ(192)の計測値を用いて算出する。つまり、コントローラ(195)は、中間圧センサ(191)の計測値における冷媒の飽和温度を中間温度センサ(192)の計測値から差し引いて得られた値を、高段吸入冷媒の過熱度SHとする。
第1制御動作において、コントローラ(195)は、高段吸入冷媒の過熱度SHが目標過熱度SHtとなるように、インジェクション用膨張弁(163)の開度を調節する。つまり、高段吸入冷媒の過熱度SHが目標過熱度SHtを下回る場合(SH<SHt)、コントローラ(195)は、第2インジェクション管(162)から供給される中間圧冷媒の量を減らすために、インジェクション用膨張弁(163)の開度を縮小する。一方、高段吸入冷媒の過熱度SHが目標過熱度SHtを上回る場合(SHt<SH)、コントローラ(195)は、第2インジェクション管(162)から供給される中間圧冷媒の量を増やすために、インジェクション用膨張弁(163)の開度を拡大する。また、高段吸入冷媒の過熱度SHが目標過熱度SHtと等しい場合(SH=SHt)、コントローラ(195)は、インジェクション用膨張弁(163)の開度を保持する。
次に、コントローラ(195)の第2制御動作について説明する。コントローラ(195)では、上限温度TD'が例えば120℃に設定されている。上述したように、この第2制御動作は、吐出管温度センサ(123)の計測値Tdが上限温度TD'を上回る場合にだけ行われる。この場合、コントローラ(195)は、吐出管温度センサ(123)の計測値Tdを低下させるため、インジェクション用膨張弁(163)の開度を拡大する。つまり、この場合、コントローラ(195)は、高段吸入冷媒の過熱度が目標過熱度になっているか否かに拘わらず、インジェクション用膨張弁(163)の開度を拡大する。
−実施形態2の効果−
本実施形態によれば、実施形態1と同様の効果が得られる。つまり、吐出弁(60)の損傷を未然に防いで圧縮機(10)の信頼性を確保しつつ、高段圧縮機構(30b)の温度の過上昇を回避することによって冷媒や潤滑油の劣化を抑えることができる。また、補助弁(65)の弁体(66)がその温度に応じて補助ポート(55)を開閉することによって、高段圧縮機構(30b)の温度の過上昇を確実に回避することができる。
また、本実施形態の空気調和機(100)では、高段圧縮機構(30b)へ吸入される冷媒の過熱度が目標過熱度となるように、コントローラ(195)がインジェクション用膨張弁(163)の開度を調節する。このため、圧縮機(10)の補助弁(65)が閉じたままでも、高段圧縮機構(30b)へ吸入される冷媒の過熱度を調節することによって、高段圧縮機構(30b)の吐出ポート(50)から吐出される冷媒の温度上昇が抑えられる。
ここで、コントローラ(195)がインジェクション用膨張弁(163)の開度を拡大すると、高段圧縮機構(30b)へ吸入される冷媒の過熱度が低下し、高段圧縮機構(30b)から吐出される冷媒の温度が低下する。このため、補助弁(65)の弁体(66)の温度が基準温度を上回って補助ポート(55)が開いた場合でも、コントローラ(195)がインジェクション用膨張弁(163)の開度を調節することによって、高段圧縮機構(30b)から吐出される冷媒の温度を引き下げることが可能である。そして、コントローラ(195)の制御動作によって高段圧縮機構(30b)から吐出される冷媒の温度が下がると、高段圧縮機構(30b)から吐出される冷媒の圧力がそれまでより高くなっても、高段圧縮機構(30b)から吐出される冷媒の温度が基準温度以下に保たれる。従って、本実施形態によれば、弁体(66)の温度に応じて補助ポート(55)を開閉する補助弁(65)と、インジェクション用膨張弁(163)の開度を調節するコントローラ(195)の制御動作とを併用することによって、高段圧縮機構(30b)から吐出される冷媒の温度が基準温度以下に保ちつつ、冷凍サイクルの高圧を必要な値にまで引き上げることが可能となる。
−実施形態2の変形例−
本実施形態では、圧縮機(10)の高段圧縮機構(30b)の吐出ポート(50)付近に吐出温度センサを設け、この吐出温度センサの計測値に基づいてコントローラ(195)がインジェクション用膨張弁(163)の開度を調節するようにしてもよい。吐出温度センサは、高段圧縮機構(30b)の吐出ポート(50)から吐出された直後の冷媒の温度を計測する。本変形例のコントローラ(195)は、その第2制御動作において、吐出管温度センサ(123)の計測値に代えて吐出温度センサの計測値を用いる。つまり、吐出温度センサの計測値が上限温度TD'を上回る場合、本変形例のコントローラ(195)は、吐出温度センサの計測値を低下させるため、インジェクション用膨張弁(163)の開度を拡大する。つまり、この場合、コントローラ(195)は、高段吸入冷媒の過熱度が目標過熱度になっているか否かに拘わらず、インジェクション用膨張弁(163)の開度を拡大する。
《その他の実施形態》
−第1変形例−
上記各実施形態の圧縮機(10)では、補助弁(65)が下記のように構成されていてもよい。
図6に示すように、本変形例の補助弁(65)は、弁体(66)と固定ピン(68)と補助部材(69)とを備えている。本変形例の補助弁(65)では、弁押え(67)が省略されている。本変形例の弁体(66)の材質は、吐出弁(60)の弁体(61)と同様のばね鋼である。ただし、本変形例の弁体(66)の剛性は、吐出弁(60)の弁体(61)の剛性よりも高い。
補助部材(69)は、形状記憶合金からなる逆V字状の部材である。補助部材(69)は、弁体(66)とフロントヘッド(31)の間に配置されている。また、逆V字状の補助部材(69)は、その一端がフロントヘッド(31)に固定されている。補助部材(69)は、それ自身の温度に応じて変形する。
補助部材(69)の温度が基準温度以下の場合、補助部材(69)の形状は、その頂部が弁体(66)から離れた通常形状(図6(A)に示す形状)となる。補助部材(69)が通常形状である場合は、補助ポート(55)の出口端(57)が弁体(66)によって覆われる。
一方、補助部材(69)の温度が基準温度を上回る場合、補助部材(69)の形状は、逆V字の角度が通常状態よりも小さくなる押し上げ形状(図6(B)に示す形状)となる。補助部材(69)が押し上げ形状になると、補助部材(69)の頂部が弁体(66)に当接し、弁体(66)が補助部材(69)によって押し上げられる。その結果、弁体(66)は、補助ポート(55)の出口端(57)から離れるように弾性変形する。
本変形例の圧縮機(10)において、補助弁(65)の弁体(66)の近傍に配置された補助部材(69)は、吐出ポート(50)から吐出された冷媒と接触する。そして、この補助部材(69)がその温度に応じて変形することによって、補助ポート(55)が開閉される。つまり、本変形例の補助弁(65)は、吐出ポート(50)から吐出される冷媒の温度と相関性の高い補助部材(69)の温度に応じて、補助ポート(55)を開閉する。従って、本変形例によれば、上記の各実施形態と同様に、圧縮機構(30,30b)の温度の過上昇を確実に回避することができる。
−第2変形例−
図7に示すように、上記各実施形態の圧縮機(10)では、フロントヘッド(31)の側面に補助弁(65)が取り付けられていてもよい。本変形例の補助ポート(55)は、フロントヘッド(31)の径方向へ延びる通路であって、その出口端(57)がフロントヘッド(31)の側面に開口する。なお、補助ポート(55)の入口端(56)が吐出ポート(50)の途中に接続する点は、上記各実施形態と同じである。そして、本変形例の補助弁(65)は、フロントヘッド(31)の側面に開口する補助ポート(55)の出口端(57)を開閉する。
−第3変形例−
図8に示すように、上記各実施形態の圧縮機(10)では、シリンダ(32)に補助弁(65)が取り付けられていてもよい。本変形例の補助ポート(55)は、シリンダ(32)の径方向へ延びる通路である。補助ポート(55)の入口端(56)は、シリンダ(32)の内周面(35)に開口する。一方、補助ポート(55)の出口端(57)は、シリンダ(32)の側面に開口する。そして、本変形例の補助弁(65)は、シリンダ(32)の側面に開口する補助ポート(55)の出口端(57)を開閉する。
−第4変形例−
上記各実施形態の圧縮機(10)の圧縮機構(30,30b)は、ブレード(43)がピストン(38)と別体に形成されたローリングピストン型のロータリ式流体機械であってもよい。本変形例の圧縮機構(30,30b)では、平板状のブレード(43)がシリンダ(32)の径方向に延びるブレード溝に進退自在に嵌め込まれ、ブッシュ(41)が省略されている。ブレード(43)は、ばねによってピストン(38)の外周面(39)に押圧されており、その先端部がピストン(38)の外周面(39)と摺接する。
以上説明したように、本発明は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮機を備えた冷凍装置とについて有用である。
10 圧縮機
30 圧縮機構
36 圧縮室
50 吐出ポート
51 入口端
55 補助ポート
56 入口端
57 出口端
60 吐出弁
65 補助弁
66 弁体
69 補助部材
100 空気調和機(冷凍装置)
110 冷媒回路

Claims (6)

  1. 内部に圧縮室(36)が形成されて該圧縮室(36)へ吸入した冷媒を圧縮して吐出する圧縮機構(30)を備え、
    上記圧縮機構(30)には、圧縮された冷媒を上記圧縮室(36)から導出するための吐出ポート(50)が形成されると共に、上記吐出ポート(50)を開閉する吐出弁(60)が設けられている圧縮機であって、
    上記圧縮機構(30)には、
    上記圧縮室(36)を上記圧縮機構(30)の外部と連通させるための補助ポート(55)が形成されると共に、
    上記吐出ポート(50)から吐出される冷媒の温度に相関する所定の吐出側代表温度が基準温度以下のときは上記補助ポート(55)を塞ぎ、上記吐出側代表温度が上記基準温度を上回るときは上記補助ポート(55)を開く補助弁(65)が設けられている
    ことを特徴とする圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記吐出ポート(50)の入口端(51)は、上記圧縮室(36)の壁面に開口し、
    上記補助ポート(55)の入口端(56)は、上記吐出ポート(50)の入口端(51)から終端までの途中に接続している
    ことを特徴とする圧縮機。
  3. 請求項1又は2において、
    上記補助弁(65)は、上記補助ポート(55)を開閉するための弁体(66)を備え、
    上記弁体(66)の温度が、上記吐出側代表温度となっており、
    上記弁体(66)は、該弁体(66)の温度が上記基準温度以下のときは上記補助ポート(55)の出口端(57)を覆う閉弁形状となり、該弁体(66)の温度が上記基準温度を上回るときは上記補助ポート(55)の出口端(57)から離れる開弁形状となるように、該弁体(66)の温度に応じて変形する
    ことを特徴とする圧縮機。
  4. 請求項1又は2において、
    上記補助弁(65)は、上記補助ポート(55)の出口端(57)を覆うように設けられる板状の弁体(66)と、該弁体(66)を弾性変形させるための補助部材(69)とを備え、
    上記補助部材(69)の温度が、上記吐出側代表温度となっており、
    上記補助部材(69)は、該補助部材(69)の温度が上記基準温度を以下のときは上記弁体(66)が上記補助ポート(55)の出口端(57)を覆うように該弁体(66)を弾性変形させない通常形状になり、該補助部材(69)の温度が上記基準温度を上回るときは上記弁体(66)を上記補助ポート(55)の出口端(57)から押し上げる押し上げ形状となるように、該補助部材(69)の温度に応じて変形する
    ことを特徴とする圧縮機。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一つの圧縮機(10)が接続された冷媒回路(110)を備え、該冷媒回路(110)において冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷凍装置であって、
    上記圧縮機の上記圧縮機構(30)の上記吐出ポート(50)から吐出される冷媒の温度が所定値以下となるように、上記圧縮機構(30)へ吸入される冷媒の湿り度、または上記圧縮機構(30)において冷媒が圧縮される過程の途中に供給される中間圧冷媒の流量を調節する
    ことを特徴とする冷凍装置。
  6. 請求項5において、
    上記冷媒回路(110)には、ジフルオロメタンが冷媒として充填されている
    ことを特徴とする冷凍装置。
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