JP2020067186A - 冷凍サイクル装置 - Google Patents

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誠之 飯高
Masayuki Iidaka
誠之 飯高
橋本 俊一
Shunichi Hashimoto
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Abstract

【課題】圧縮室内部に連通するインジェクション孔を備え、ピストンの旋回運動によりインジェクション孔が開閉する機構を有するロータリ圧縮機を搭載する冷凍サイクル装置において、圧力比が小さい部分負荷条件で圧縮室からインジェクション孔に逆流が生じないようにインジェクション孔を設置することで生じる、定格条件での圧縮室に供給される中間圧冷媒量の不足を抑制すること。【解決手段】インジェクション孔127を所定の領域に設置し、かつ、インジェクション流路128に逆止弁118を設置することで、定格負荷条件でも部分負荷条件でも、十分な量の中間圧冷媒が圧縮室129に供給される。【選択図】図3

Description

本発明は、圧縮室内部に連通するインジェクション孔を備え、ピストンの旋回運動によりインジェクション孔が開閉する機構を有するロータリ圧縮機を搭載する冷凍サイクル装置に関するものである。
従来から、シリンダの内部に連通するインジェクション孔を備え、ピストンの旋回運動によりインジェクション孔が開閉する機構を有するロータリ圧縮機が提案され、空調用途に用いられている(特許文献1参照)。
図9に特許文献1に記載のロータリ圧縮機の圧縮機構部の横断面図を示す。ロータリ圧縮機においてシリンダ11の内部に連通するインジェクション孔12を備え、ピストン13の旋回運動によりピストン13の端面によってインジェクション孔12が開閉するように構成されている。
また、図10に特許文献1に記載の構成におけるインジェクション孔が開いているときの横断面図を示す。
図10において、インジェクション孔12がシリンダ11の内部空間と連通する間に、インジェクション孔12から中間圧のインジェクション冷媒を圧縮室14に供給することが可能となる。
また、図11に特許文献1に記載の構成におけるインジェクション孔が閉じ切るときの横断面図を示す。ここで、インジェクション孔12の位置は、圧縮室14の圧力がインジェクション圧力と等しくなるピストン位置でインジェクション孔12がピストン13の端面によって閉となる位置に構成される。
これにより、圧縮室14の圧力がインジェクション圧力よりも高くなるときにインジェクション孔12が開となっていることで生じる圧縮室14からインジェクション通路15への冷媒の逆流を防止している。
一般的に、空調用途に用いる冷凍サイクル装置において、圧縮機が吸入する冷媒の圧力と吐出する冷媒の圧力との圧力比が最も小さくなるのはいわゆる冷房部分負荷条件であり、ピストン13の回転角が最も小さい状態で圧縮室14の圧力がインジェクション圧力に到達し、ここで、インジェクション圧力は圧縮機が吸入する冷媒の圧力Psuctと吐出する圧力Pdischの中間の圧力(Psuct+Pdisch)/2であると仮定して、シリンダ11とピストン13とで囲まれてできるシリンダ11の内部容積Vsuctに対する圧縮室14の圧力がインジェクション圧力に到達するときの圧縮室14の容積Vcompを算出すると、Vcomp/Vsuct=0.89程度となる。
したがって、特許文献1に記載の構成においては、冷房部分負荷条件においても圧縮室14の冷媒がインジェクション孔12を通じてインジェクション流路15に逆流するのを防止するために、Vcomp/Vsuct>0.89の状態でピストン13の端面によってインジェクション孔12が完全に閉となる位置にインジェクション孔12を設置している。
特開2017−067026号公報
一般的に、空調用途に用いる冷凍サイクル装置において、冷房定格負荷条件や暖房負荷条件では圧力比が大きくなることから圧縮機から吐出する冷媒の温度が冷房部分負荷条件のときと比較して高くなるため、吐出冷媒の温度が過昇となることでモーター効率が低下したり圧縮機を構成する絶縁紙や冷凍機油等の有機材料の劣化が進行したりするのを防止するために、比較的低い温度で圧縮機14に流入するインジェクション冷媒によって吐出する冷媒の温度を低減する必要がある。すなわち、圧縮機が吸入する吸入冷媒量に対するインジェクション冷媒量の比率を冷房部分負荷条件のときの比率よりも高くする必要がある。
従来技術に記載の構成においては、圧縮室14の冷媒がインジェクション孔12を通じてインジェクション流路15に逆流するのを防止するために、Vcomp/Vsuct>0.89の状態でピストン13の端面によってインジェクション孔12が完全に閉となる位置にインジェクション孔12を設置している。
これにより、冷房定格負荷条件や暖房負荷条件で圧縮機が吸入する冷媒の圧力と吐出する冷媒の圧力との圧力比が冷房部分負荷条件と比較して大きくなる運転状態では、ピストン13の回転角が小さく、圧縮室14の圧力がインジェクション圧力に到達していない状態、すなわち逆流が発生しない状態でインジェクション孔12が閉となる。
したがって、冷房定格負荷条件や暖房負荷条件で圧力比が大きくなる運転状態においても、吸入冷媒量に対するインジェクション孔12から圧縮室14に供給されるインジェクション冷媒量の比率は、冷房部分負荷条件における比率とほぼ同等となるため、冷房定格負荷条件や暖房負荷条件で圧縮機から吐出する冷媒の温度を十分に低減できず、吐出冷媒の温度が過昇となることでモーター効率が低下したり圧縮機を構成する絶縁紙や冷凍機油等の有機材料の劣化が進行したりする。
本発明は、上記課題を解決するものであり、冷房定格負荷条件や暖房負荷条件でピストン13の回転角が小さい状態でインジェクション孔12が閉となるのを防止し、吸入冷媒量に対するインジェクション冷媒量の比率を冷房部分負荷条件のときの比率よりも高くすることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の冷凍サイクル装置は、圧縮機と凝縮器と冷媒流量調整弁と蒸発器とが冷媒配管で順に接続されて冷凍回路を構成した冷凍サイクル装置であって、冷凍回路は、凝縮器と蒸発器とを接続する冷媒配管に配置された第一分岐部と、第一分岐部と圧縮機とを接続するインジェクション配管とを備え、圧縮機は、冷媒を吸入および圧縮する内部空間を有するシリンダと、シリンダの内部空間を閉じる上側端面と下側端面と、シリンダの内部と接触しながら偏芯回転するピストンと、ピストンの偏芯回転を支えるシャフトと、シャフトを支える上軸受および下軸受と、先端がピストンと接触しておりシリンダの内部空間を吸入室と圧縮室とに分けるベーンと、吸入室に接続された吸入ポートと、圧縮室に接続された吐出ポートと、少なくとも上側端面または下側端面のいずれかにピストンの偏芯回転に伴うピストンの端面のスライドによって開閉するインジェクション孔と、インジェクション孔とインジェクション配管とを接続するインジェクション流路とを備え、インジェクション孔は、シャフトの中心軸とベーンの先端とを含む仮想平面でシリンダの内部空間を2つに分けたときにできる吐出ポートを備える側の領域に収ま
る位置に設置されており、かつ、インジェクション孔は、ピストンとシリンダの内部との接点とピストンとベーンとの接点が重なるときを上死点とするとき、上死点のときにピストンによって完全に閉となる位置に設置されており、かつ、インジェクション孔は、上死点のときの吸入室の容積をVsuctとし、ピストンの偏芯回転によって変化する圧縮室の容積をVcompとするとき、Vcomp/Vsuct=0.8となる位置にピストンがあるときに少なくとも孔の一部が開となる位置に設置されており、冷凍回路は、インジェクション孔と第一分岐部との間に圧縮室から第一分岐部へ冷媒が流れるのを阻止する逆止弁を備える冷凍サイクル装置である。
一般的に、空調機器においてロータリ圧縮機を用いて冷媒を圧縮する場合、圧縮比が最も小さくなるのは冷房部分負荷条件である。例えば冷媒としてR32を用いて、外気温29℃、室温27℃で冷房部分負荷運転を行うとき、冷媒と空気との温度差は5deg程度と仮定すると、蒸発温度22℃、凝縮温度34℃であり、圧力換算すると、低圧1.56MPa、高圧2.14MPaとなる。圧縮機吸入冷媒の過熱度を3degとすると、吸入冷媒のκ値は1.58となる。したがって、圧縮過程に注入する中間圧冷媒の圧力を1.85MPaとすると、圧縮室の圧力が中間圧1.85MPaと等しくなるときの圧縮室容積V1は吸込容積Vsuctに対して0.89のときである。冷媒の種類や熱交換器の性能の違いによって、Vsuctに対する中間圧と等しくなる圧縮室容積V1の比率は異なるが、概ね0.8〜0.92の範囲となる。
本構成においては、圧縮室の容積Vcompが、Vcomp/Vsuct=0.8となる位置にピストンがあるときに少なくとも孔の一部が開となる位置にインジェクション孔を備えているため、圧縮室の容積Vcompがピストンが上死点の位置にあるときの吸入室の容積Vsuctに対して0.89より大きいときは圧縮室圧力<中間圧となり、中間圧冷媒が圧縮室に注入される。また、本構成においては、インジェクション流路に逆止弁を備えているため、圧縮室の容積がピストンが上死点の位置にあるときの吸入室の容積Vsuctに対して0.89より小さくなってからインジェクション孔が完全に閉じるまでの圧縮室圧力>中間圧となる区間では、逆止弁によって圧縮室の冷媒がインジェクション流路へ逆流するのを防止できる。
同様に、冷房定格負荷運転を行うときは、圧縮室の圧力が中間圧と等しくなるときの圧縮室容積V2は吸込容積Vsuctに対して0.5以下となるのが一般的である。
本構成においては、圧縮室容積Vcompが、Vcomp/Vsuct=0.8となる位置にピストンがあるときに少なくとも孔の一部が開となる位置にインジェクション孔を備えているため、冷房部分負荷条件に適合させるために吸込容積Vsuctに対して圧縮室の容積VcompがVcomp/Vsuct=0.89となる位置にピストンがあるときにインジェクション孔が完全に閉じるように設計されたものと比較して、長い時間インジェクション孔が開いているため、より長い時間にわたって中間圧冷媒が圧縮室に注入される。
本発明の冷凍サイクル装置では、冷房部分負荷条件では、圧縮室圧力<中間圧のときにインジェクション冷媒を圧縮室に注入し、圧縮室圧力>中間圧のときは逆止弁によって圧縮室の冷媒がインジェクション流路へ逆流するのを防止できるので、十分なインジェクション量が得られる。また、冷房定格負荷条件では、従来のインジェクション孔位置よりも長時間インジェクション孔が開いているため、吸入冷媒量に対するインジェクション冷媒量の比率を高くすることが可能となる。
したがって、冷房部分負荷条件で圧縮室に供給されるインジェクション冷媒量が減少す
ることなく、冷房定格負荷条件での吸入冷媒量に対するインジェクション冷媒量の比率を冷房部分負荷条件での比率と比較して高くすることができるので、比較的低い温度で圧縮室に流入するインジェクション冷媒によって圧縮機から吐出する冷媒の温度を低減し、吐出冷媒の温度過昇を抑制するので、モーター効率が低下したり圧縮機を構成する絶縁紙や冷凍機油等の有機材料の劣化が進行したりするのを抑制することができる。
本発明の実施の形態1における冷凍サイクル構成図 本発明の実施の形態1の構成におけるロータリ圧縮機111の圧縮機構部の縦断面図 本発明の実施の形態1の図2のA−A’面におけるロータリ圧縮機111の圧縮機構部の横断面図 本発明の実施の形態1の構成におけるピストン123が上死点にあるときの横断面図 本発明の実施の形態1の構成における圧縮室129が圧縮過程にあるときの横断面図 本発明の実施の形態1の構成におけるインジェクション孔127の設置領域を示す横断面図 本発明の実施の形態2の構成における圧縮室129が圧縮過程にあるときの横断面図 本発明の実施の形態2の構成におけるインジェクション孔127の設置領域を示す横断面図 特許文献1に記載の構成におけるロータリ圧縮機の圧縮機構部の横断面図 特許文献1に記載の構成におけるインジェクション孔が開いているときの横断面図 特許文献1に記載の構成におけるインジェクション孔が閉じ切るときの横断面図
第1の発明は、圧縮機と凝縮器と冷媒流量調整弁と蒸発器とが冷媒配管で順に接続されて冷凍回路を構成した冷凍サイクル装置であって、前記冷凍回路は、前記凝縮器と前記蒸発器とを接続する前記冷媒配管に配置された第一分岐部と、前記第一分岐部と前記圧縮機とを接続するインジェクション配管とを備え、前記圧縮機は、冷媒を吸入および圧縮する内部空間を有するシリンダと、前記シリンダの内部空間を閉じる上側端面と下側端面と、前記シリンダの内部と接触しながら偏芯回転するピストンと、前記ピストンの偏芯回転を支えるシャフトと、前記シャフトを支える上軸受および下軸受と、先端が前記ピストンと接触しており前記シリンダの内部空間を吸入室と圧縮室とに分けるベーンと、前記吸入室に接続された吸入ポートと、前記圧縮室に接続された吐出ポートと、少なくとも前記上側端面または前記下側端面のいずれかに前記ピストンの偏芯回転に伴う前記ピストンの端面のスライドによって開閉するインジェクション孔と、前記インジェクション孔と前記インジェクション配管とを接続するインジェクション流路とを備え、前記インジェクション孔は、前記シャフトの中心軸と前記ベーンの先端とを含む仮想平面で前記シリンダの内部空間を2つに分けたときにできる前記吐出ポートを備える側の領域に収まる位置に設置されており、かつ、前記インジェクション孔は、前記ピストンと前記シリンダの内部との接点と前記ピストンと前記ベーンとの接点が重なるときを上死点とするとき、上死点のときに前記ピストンによって完全に閉となる位置に設置されており、かつ、前記インジェクション孔は、上死点のときの前記吸入室の容積をVsuctとし、前記ピストンの偏芯回転によって変化する前記圧縮室の容積をVcompとするとき、Vcomp/Vsuct=0.8となる位置に前記ピストンがあるときに少なくとも孔の一部が開となる位置に設置されており、前記冷凍回路は、前記インジェクション孔と前記第一分岐部との間に前記圧縮
室から前記第一分岐部へ冷媒が流れるのを阻止する逆止弁を備える冷凍サイクル装置である。
一般的に、空調機器においてロータリ圧縮機を用いて冷媒を圧縮する場合、圧縮比が最も小さくなるのは冷房部分負荷条件である。例えば冷媒としてR32を用いて、外気温29℃、室温27℃で冷房部分負荷運転を行うとき、冷媒と空気との温度差は5deg程度と仮定すると、蒸発温度22℃、凝縮温度34℃であり、圧力換算すると、低圧1.56MPa、高圧2.14MPaとなる。圧縮機吸入冷媒の過熱度を3degとすると、吸入冷媒のκ値は1.58となる。したがって、圧縮過程に注入する中間圧冷媒の圧力を1.85MPaとすると、圧縮室の圧力が中間圧1.85MPaと等しくなるときの圧縮室容積V1は吸込容積Vsuctに対して0.89のときである。冷媒の種類や熱交換器の性能の違いによって、冷房部分負荷条件におけるVsuctに対する中間圧と等しくなる圧縮室容積V1の比率は異なるが、概ね0.8〜0.92の範囲となる。
本構成においては、圧縮室の容積Vcompが、Vcomp/Vsuct=0.8となる位置にピストンがあるときに少なくとも孔の一部が開となる位置にインジェクション孔を備えているため、圧縮室の容積Vcompがピストンが上死点の位置にあるときの吸入室の容積Vsuctに対して0.89より大きいときは圧縮室圧力<中間圧となり、中間圧冷媒が圧縮室に注入される。また、本構成においては、インジェクション流路に逆止弁を備えているため、圧縮室の容積がピストンが上死点の位置にあるときの吸入室の容積Vsuctに対して0.89より小さくなってからインジェクション孔が完全に閉じるまでの圧縮室圧力>中間圧となる区間では、逆止弁によって圧縮室の冷媒がインジェクション流路へ逆流するのを防止できる。
同様に、冷房定格負荷運転を行うときは、圧縮室の圧力が中間圧と等しくなるときの圧縮室容積V2は吸込容積Vsuctに対して0.5以下となるのが一般的である。
本構成においては、圧縮室の容積Vcompが、Vcomp/Vsuct=0.8となる位置にピストンがあるときに少なくとも孔の一部が開となる位置にインジェクション孔を備えているため、圧縮室の容積Vcompがピストンが上死点の位置にあるときの吸入室の容積Vsuctに対して0.89より大きいときは圧縮室圧力<中間圧となり、中間圧冷媒が圧縮室に注入される。また、本構成においては、インジェクション流路に逆止弁を備えているため、圧縮室の容積がピストンが上死点の位置にあるときの吸入室の容積Vsuctに対して0.89より小さくなってからインジェクション孔が完全に閉じるまでの圧縮室圧力>中間圧となる区間では、逆止弁によって圧縮室の冷媒がインジェクション流路へ逆流するのを防止できる。
同様に、冷房定格負荷運転を行うときは、圧縮室の圧力が中間圧と等しくなるときの圧縮室容積V2は吸込容積Vsuctに対して0.5以下となるのが一般的である。
本構成においては、圧縮室容積Vcompが、Vcomp/Vsuct=0.8となる位置にピストンがあるときに少なくとも孔の一部が開となる位置にインジェクション孔を備えているため、冷房部分負荷条件に適合させるために吸込容積Vsuctに対して圧縮室の容積VcompがVcomp/Vsuct=0.89となる位置にピストンがあるときにインジェクション孔が完全に閉じるように設計されたものと比較して、長い時間インジェクション孔が開いているため、より長い時間にわたって中間圧冷媒が圧縮室に注入される。
よって、本発明の冷凍サイクル装置では、冷房部分負荷条件では、圧縮室圧力<中間圧のときにインジェクション冷媒を圧縮室に注入し、圧縮室圧力>中間圧のときは逆止弁に
よって圧縮室の冷媒がインジェクション流路へ逆流するのを防止できるので、十分なインジェクション量が得られる。また、冷房定格負荷条件では、従来のインジェクション孔位置よりも長時間インジェクション孔が開いているため、吸入冷媒量に対するインジェクション冷媒量の比率を高くすることが可能となる。
したがって、冷房部分負荷条件で圧縮室に供給されるインジェクション冷媒量が減少することなく、冷房定格負荷条件での吸入冷媒量に対するインジェクション冷媒量の比率を冷房部分負荷条件での比率と比較して高くすることができるので、比較的低い温度で圧縮室に流入するインジェクション冷媒によって圧縮機から吐出する冷媒の温度を低減し、吐出冷媒の温度過昇を抑制するので、モーター効率が低下したり圧縮機を構成する絶縁紙や冷凍機油等の有機材料の劣化が進行したりするのを抑制することができる。
第2の発明は、第1の発明の冷凍サイクル装置において、インジェクション孔はVcomp/Vsuct=0.21となる位置にピストンがあるときに、ピストンよって完全に閉となる位置に設置されている、冷凍サイクル装置である。
一般的に、空調機器においてロータリ圧縮機を用いて冷媒を圧縮する場合、圧縮比が最も大きくなるのは暖房極低温条件である。例えば冷媒としてR32を用いて、外気温−25℃、室温27℃で暖房極低温運転を行うとき、冷媒と空気との温度差は5deg程度と仮定すると、蒸発温度−30℃、凝縮温度 32℃であり、圧力換算すると、低圧0.27MPa、高圧2.03MPaとなる。圧縮機吸入冷媒の過熱度を5degとすると、吸入冷媒のκ値は1.35となる。したがって、圧縮過程に供給する中間圧冷媒の圧力を1.15MPaとすると、圧縮室の圧力が中間圧1.15MPaと等しくなるときの圧縮室容積V2は吸込容積Vsuctに対して0.34のときである。
冷媒の種類や熱交換器の性能の違いによって、暖房極低温条件においてVsuctに対する中間圧と等しくなる圧縮室容積V2の比率は異なるが、概ね0.21〜0.36の範囲となる。
すなわち空調機器においてVsuctに対する圧縮室の容積の比率が0.21より小さくなるときは、いずれの運転条件においても圧縮室圧力>中間圧となり、圧縮室の冷媒がインジェクション流路へ逆流する状態となるため、逆止弁が閉となる動作が発生する。一般的に、逆止弁が閉になると、再び圧縮室圧力<中間圧でインジェクション孔が開となり、インジェクション冷媒がインジェクション流路から圧縮室に流入する際に、逆止弁が開となる動作に僅かに時間を要するために圧縮室に供給されるインジェクション冷媒の量が微減する。ただし、逆止弁が閉から開になる動作に要する時間ロスによるインジェクション量の低下量は、圧縮室からインジェクション流路への逆流によるインジェクション量の低下量と比較して少ない。
本構成においては、圧縮室の容積Vcompが、Vcomp/Vsuct=0.21となる位置にピストンがあるときに、インジェクション孔が完全に閉となる位置にインジェクション孔を備えているため、圧縮室の容積VcompがVsuctに対して0.21より小さくなり、暖房極低温条件において圧縮室圧力>中間圧となるとき、インジェクション孔が閉じているため、圧縮室の冷媒がインジェクション流路へ逆流するのを防止するために設置された逆止弁においてインジェクション流路を閉にする動作を防止できる。
よって、本発明の冷凍サイクル装置では、暖房極低温条件において、圧縮室圧力>中間圧となるときに、インジェクション孔の一部または全部が開となっていることを防ぎ、圧縮室の冷媒がインジェクション流路へ逆流するのを防止するために逆止弁が動作するのを防止できるので、十分なインジェクション量が得られる。したがって、暖房極低温条件で
も、比較的低い温度で圧縮室に流入するインジェクション冷媒によって圧縮機から吐出する冷媒の温度を低減し、吐出冷媒の温度が過昇するのを抑制するので、モーター効率が低下したり圧縮機を構成する絶縁紙や冷凍機油等の有機材料の劣化が進行したりするのを抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態によって、本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1に本発明の実施の形態1における冷凍サイクル構成図を示す。図1の冷凍サイクル構成図は、室外空調ユニット1台に対し、室内空調ユニットが1台接続した構成となっている。なお、冷凍サイクル構成に関しては、図1に示したものに限定されない。例えば、室外空調ユニットは2台以上、室内空調ユニットも2台以上、並列に接続可能である。
室外空調ユニット101において、ロータリ圧縮機111は冷媒を圧縮する圧縮機である。四方弁112は冷房運転時と暖房運転時の冷媒流れ方向を切り替える弁である。暖房運転時は四方弁112の実線に沿って冷媒が流れ、冷房運転時は四方弁112の破線に沿って冷媒が流れる。第1圧力調整弁114は冷凍サイクルの圧力を調整する圧力調整弁である。室外熱交換器115は周囲の空気と空調用冷媒とが熱交換する熱交換器であり、一般的には、フィン&チューブ型やマイクロチューブ型の熱交換器が利用される。インジェクション配管116は冷凍サイクルから冷媒の一部をロータリ圧縮機111に供給する冷媒配管である。
室内空調ユニット102において、室内熱交換器113は周囲の空気と冷凍サイクルを流れる冷媒とが熱交換する熱交換器であり、一般的には、フィン&チューブ型やマイクロチューブ型の熱交換器が利用される。第2圧力調整弁117は冷凍サイクルの圧力を調整する圧力調整弁である。逆止弁118はインジェクション配管116の冷媒の流れを調整する弁である。
図2に本発明の実施の形態1の構成におけるロータリ圧縮機111の圧縮機構部の縦断面図を示す。
図2において、シリンダ121は冷媒を吸入し圧縮する内部空間を有している。上軸受131はシリンダ121の上部に設置されておりシリンダ121の上側端面であり、上軸受131はシャフト122を支えるベアリングとして機能している。下軸受132はシリンダ121の下部に設置されておりシリンダ121の下側端面であり、下軸受132はシャフト122を支えるベアリングとして機能している。また、シリンダ121の内部と接触しながら偏芯回転するピストン123と、ピストン123の偏芯回転を支えるシャフト122とを備えている。圧縮室129はシリンダ121の内部においてピストン123が偏芯回転することで冷媒を圧縮する空間である。
吐出ポート126は冷媒をシリンダ121の外部に吐き出す孔であり、吐出バルブ133は吐出ポート126から吐出する冷媒流路に設置されており、圧縮室129の冷媒の圧力がシェル130の内部の圧力より高い圧力となったときに開く。また、ピストン端面123bはピストン123のピストン端面である。
また、インジェクション孔127はシリンダ121の内部と連通する孔であり、インジェクション流路128はインジェクション配管116からインジェクション孔127に連通する冷媒流路である。シェル130はロータリ圧縮機111の圧縮機構部を収納している。
また、逆止弁118は、インジェクション配管116を流れる冷媒の流路を開閉する機構を備えており、インジェクション配管116の冷媒圧力がインジェクション流路128の冷媒圧力より高いときは開となり逆止弁118を冷媒が流通し、インジェクション配管116の冷媒圧力がインジェクション流路128の冷媒圧力より低いときは閉となり逆止弁118を冷媒が流通しない。
図3に本発明の実施の形態1におけるロータリ圧縮機111の圧縮機構部の横断面図を示す(図2のA−A’面)。
シャフト122は偏芯部122aを備え、シャフト122が旋回運動することでシャフト122の偏芯部122aによってピストン123がシリンダ121の内壁面121aに沿って旋回運動する。また、ベーン124はピストン123の旋回運動に伴ってピストン123のピストン外周面123aに接するようにシリンダ121の溝121bで往復運動し、ピストン123と接触してシリンダ121の内部空間を吸入室と圧縮室とに分けている。また、吸入ポート125は冷媒をシリンダ121の内部に供給する孔である。
図4に本発明の実施の形態1の構成におけるピストン123が上死点にあるときの横断面図を示す。図4において、ピストン123とシリンダ121の内壁面121aとの接点と、ピストン123とベーン124との接点とが重なるときを上死点とするとき、ピストン上死点の位置のピストン端面123cは、ピストン123が上死点の位置にあるときのピストン123のピストン端面領域である。
また、シャフト中心軸122bはシャフト122が旋回運動するときの中心軸であり、シリンダ中心面121cはシャフト中心軸122bとベーン124の先端とを含む仮想平面である。
図5に本発明の実施の形態1の構成における圧縮室129が圧縮過程にあるときの横断面図を示す。
ピストン0.8の位置のピストン端面123dは、ピストン123が上死点の位置にあるときの吸込容積をVsuctとし、圧縮室129の容積をVcompとするとき、Vcomp/Vsuct=0.8となる位置にピストン123があるときのピストン123のピストン端面領域である。
図6に本発明の実施の形態1の構成におけるインジェクション孔127の設置領域を示す。
インジェクション孔127は、シリンダ121の内部空間をシリンダ中心面121cで分けたときに吐出ポート126が設置されているほうの領域に収まる位置に設置されており、かつ、インジェクション孔127は、ピストン上死点の位置のピストン端面123cによって完全に閉となる位置に設置されており、かつ、インジェクション孔127は、ピストン0.8の位置のピストン端面123dに対して少なくとも孔の一部が開となる位置に設置されている。
次に、本実施の形態1におけるロータリ圧縮機111の動作を説明する。
まず、シリンダ121の内部において、シリンダ121、ピストン123、ベーン124、上軸受131、下軸受132とで囲まれ、吸入ポート125と接する空間に、吸入ポート125から低圧の吸入冷媒が供給される。次に、シリンダ121の内部において、1
29はシリンダ121、ピストン123、ベーン124、上軸受131、下軸受132とで囲まれ、吐出ポート126と接する圧縮室であり、圧縮室129の冷媒はピストン123が旋回運動することで圧縮され、圧縮室129の冷媒の圧力がシェル130の内部の圧力より高くなると、吐出バルブ133が開き高圧に圧縮された冷媒が吐出ポート126から吐出される。
ピストン123が旋回運動する過程において、ピストン端面123bの移動によって、インジェクション孔127は開いたり閉じたりする。インジェクション孔127が開いているときは、インジェクション冷媒がインジェクション配管116およびインジェクション流路128を通ってインジェクション孔127から圧縮室129に供給されて圧縮室129の冷媒と合流する。一方、インジェクション孔127が閉じているときは、インジェクション孔127から圧縮室129にインジェクション冷媒が供給されない。
次に、本実施の形態1における冷凍サイクルの動作を説明する。
図1において、暖房運転時は、四方弁112における冷媒の流れが実線に沿うように四方弁112の流路を設定する。したがって、ロータリ圧縮機111で圧縮されて高圧になった冷媒はロータリ圧縮機111から吐出され、四方弁112を経て室外空調ユニット101から出た後、室内空調ユニット102に入る。室内空調ユニット102に入った冷媒は室内熱交換器113で周囲の空気に熱を放出して凝縮し、高圧の過冷却液状態となって、第2圧力調整弁117に流入する。第2圧力調整弁117で中間圧力まで減圧された冷媒は、室内空調ユニット102から出た後、室外空調ユニット101に戻る。
室外空調ユニット101に戻った冷媒の一部はインジェクション配管116に流入し、残りの冷媒は第1圧力調整弁114に流入する。第1圧力調整弁114に流れた冷媒は、第1圧力調整弁114で減圧され低圧の気液二相状態の冷媒となった後、室外熱交換器115で周囲の空気から熱を奪われて蒸発し、低圧の過熱ガス状態となって四方弁112を経てロータリ圧縮機111に吸入される。インジェクション配管116に流入した冷媒は、インジェクション流路128およびインジェクション孔接続流路128bを流れ、インジェクション孔127から圧縮室129に供給される。
一方、冷房運転時は四方弁112における冷媒の流れが破線に沿うように四方弁112の流路を設定する。したがって、ロータリ圧縮機111で圧縮されて高圧になった冷媒はロータリ圧縮機111から吐出され、四方弁112を経て室外熱交換器115で周囲の空気に熱を放出して凝縮し、高圧の過冷却液状態となって室外熱交換器115から出た後、第1圧力調整弁114で減圧されて中間圧力となる。第1圧力調整弁114から出た中間圧力の冷媒の一部はインジェクション配管116に流入し、残りの冷媒は室外空調ユニット101から出た後、室内空調ユニット102に入る。
室内空調ユニット102に入った冷媒は第2圧力調整弁117に流入する。第2圧力調整弁117に流入した冷媒は低圧の気液二相状態の冷媒となった後、室内熱交換器113に流入する。室内熱交換器113に流入した冷媒は室内熱交換器113で周囲の空気から熱を奪って蒸発し、低圧の過熱ガス状態となって室内空調ユニット102から出た後、室外空調ユニット101に戻る。室外空調ユニット101に戻った冷媒は四方弁112を経てロータリ圧縮機111に吸入される。
インジェクション配管116に流入した冷媒は、インジェクション流路128およびインジェクション孔接続流路128bを流れ、インジェクション孔127から圧縮室129に供給される。
一般的に、空調機器において圧縮機を用いて冷媒を圧縮する場合、ロータリ圧縮機111の圧縮比が最も小さくなるのは外気温度が低く、室内温度が高い状態で冷房運転を行う、いわゆる冷房部分負荷条件のときである。例えば冷媒としてR32を用いて、外気敦29℃、室温27℃で冷房部分負荷運転を行うとき、冷媒と空気との温度差は5deg程度と仮定すると、蒸発温度22℃、凝縮温度34℃であり、圧力換算すると、低圧1.56MPa、高圧2.14MPaとなる。圧縮機吸入冷媒の過熱度を3degとすると、吸入冷媒のκ値は1.58となる。したがって、圧縮過程に注入する中間圧冷媒の圧力を低圧と高圧を二等分した圧力1.85MPaとすると、圧縮室の圧力が中間圧1.85MPaと等しくなるときの圧縮室容積V1は吸込容積Vsuctに対して0.89のときである。
冷媒の種類や熱交換器の性能の違いによって、Vsuctに対する中間圧と等しくなる圧縮室容積V1の比率は異なるが、冷媒としてR32、R410A、R407C等を使用する場合、概ね0.8〜0.92の範囲となる。
本構成においては、圧縮室容積Vcompが、Vcomp/Vsuct=0.8となる位置(ピストン0.8の位置)にピストン123があるときに、インジェクション孔127の少なくとも孔の一部が開となる位置にインジェクション孔127を備えているため、圧縮室容積Vcompが吸込容積Vsuctに対して0.89より大きいときは圧縮室圧力<中間圧となり、中間圧冷媒が圧縮室129に注入される。また、本構成においては、インジェクション流路128に逆止弁118を備えているため、圧縮室容積Vcompが吸込容積Vsuctに対して0.89より小さくなってからインジェクション孔127が完全に閉じるまでの圧縮室圧力>中間圧となる区間では、逆止弁118によって圧縮室129の冷媒がインジェクション流路128へ逆流するのを防止できる。
同様に、冷房定格負荷運転を行うとき、圧縮室129の圧力が中間圧と等しくなるときの圧縮室容積V2は吸込容積Vsuctに対して0.5以下となる。
本構成においては、圧縮室容積Vcompが、Vcomp/Vsuct=0.8となる位置で、インジェクション孔127の少なくとも孔の一部が開となる位置にインジェクション孔127を備えているため、冷房部分負荷条件において圧縮室129の冷媒がインジェクション流路128へ逆流するのを防止するためにVcomp/Vsuct=0.89となる位置にピストン123があるときにインジェクション孔127が完全に閉じる構成のインジェクション機構と比較して、長い時間インジェクション孔127が開いているため、より長い時間にわたって中間圧冷媒が圧縮室129に注入される。
以上の記述から明らかなように、本発明の冷凍サイクル装置に搭載のロータリ圧縮機111は、冷房部分負荷条件では、圧縮室圧力<中間圧のときに注入し、圧縮室圧力>中間圧のときは逆止弁118によって圧縮室129の冷媒がインジェクション流路128へ逆流するのを防止できるので、十分なインジェクション量が得られる。
また、冷房定格負荷条件では、従来のインジェクション機構よりも長時間インジェクション孔127が開いているため、より多くの中間圧冷媒を圧縮室129に供給可能となる。
したがって、冷房部分負荷条件で、圧縮室129に十分な量のインジェクション冷媒を供給できるのに加えて、冷房定格負荷条件では、吸入ポート125から吸入する冷媒量に対するインジェクション孔127から圧縮室129に供給するインジェクション冷媒量の比率を、冷房部分負荷条件における比率と比較して高くすることができるので、比較的低い温度で圧縮室129に流入するインジェクション冷媒によってロータリ圧縮機111か
ら吐出する冷媒の温度を低減し、圧力比が大きく吐出冷媒の温度が高くなりやすい冷房定格負荷条件で吐出冷媒の温度が過昇するのを抑制するので、モーター効率が低下したりロータリ圧縮機111を構成する絶縁紙や冷凍機油等の有機材料の劣化が進行したりするのを抑制することができる。
なお、インジェクション孔127の孔が完全に閉となるピストン123の位置における圧縮室容積が小さいほどインジェクション孔127が圧縮室129と連通している時間が長くなるため、冷房定格負荷条件や暖房負荷条件における圧縮室129へのインジェクション冷媒の供給量を増やせる一方で、冷房部分負荷条件においては、逆止弁118によって圧縮室129からインジェクション流路128への逆流を防止する時間が長くなり、インジェクション孔127が圧縮室129と連通している間にインジェクション孔127と逆止弁118との間の空間の圧力は中間圧より高い圧縮室圧力まで上昇し、インジェクション孔127が完全に閉じた後に再び開となることで中間圧以下の圧力状態のシリンダ内に供給され再膨張する。再膨張しない場合と比較して再膨張分の圧縮機動力が増加し、インジェクション孔127と逆止弁118との間の空間の容積が大きいほど再膨張による圧縮機動力の増加量も大きくなる。したがって、冷房部分負荷条件における再膨張による圧縮機動力の増加を抑制しつつ、冷房定格負荷条件や暖房負荷条件における圧縮室129へのインジェクション冷媒の供給量を大きくするようにインジェクション孔127の設置位置を決定するのが好ましい。
なお、インジェクション孔127から逆止弁118までの空間によって生じる再膨張の影響を小さくするために、インジェクション孔127から逆止弁118までの空間の容積はできるだけ小さくなるように逆止弁118を設置することが好ましい。
(実施の形態2)
図7に本発明の実施の形態2の構成における圧縮室129が圧縮過程にあるときの横断面図を示す。
ピストン0.21の位置のピストン端面123eは、ピストン123が上死点の位置にあるときの吸込容積をVsuctとし、圧縮室129の容積をVcompとするとき、Vcomp/Vsuct=0.21となる位置(ピストン0.21の位置)にピストン123があるときのピストン123の端面領域である。
図8に本発明の実施の形態2の構成におけるインジェクション孔の設置領域を示す。
インジェクション孔127は、シリンダ121の内側のシリンダ中心面121cで分けられる吐出ポート126が設置されているほうの領域に収まる位置に設置されており、かつ、インジェクション孔127は、ピストン上死点の位置のピストン端面123cによって完全に閉となる位置に設置されており、かつ、インジェクション孔127は、ピストン0.8の位置のピストン端面123dに対して少なくとも孔の一部が開となる位置に設置されており、かつ、インジェクション孔127は、ピストン0.21の位置のピストン端面123eによって完全に閉となる位置に設置されている。
一般的に、空調機器において圧縮機を用いて冷媒を圧縮する場合、圧縮比が最も大きくなるのは暖房極低温条件である。例えば冷媒としてR32を用いて、外気温−25℃、室温27℃で暖房極低温運転を行うとき、冷媒と空気との温度差は5deg程度と仮定すると、蒸発温度−30℃、凝縮温度32℃であり、圧力換算すると、低圧0.27MPa、高圧2.03MPaとなる。圧縮機吸入冷媒の過熱度を5degとすると、吸入冷媒のκ値は1.35となる。したがって、圧縮過程にINJする中間圧冷媒の圧力を1.15MPaとすると、圧縮室の圧力が中間圧1.15MPaと等しくなるときの圧縮室容積V2
は吸込容積Vsuctに対して0.34のときである。
冷媒の種類や熱交換器の性能の違いによって、Vsuctに対する中間圧と等しくなる圧縮室容積V2の比率は異なるが、冷媒としてR32、R410A、R407C等を使用する場合、概ね0.21〜0.36の範囲となる。
すなわち空調機器においてVsuctに対する圧縮室の容積の比率が0.21より小さくなるときは、いずれの運転条件においても圧縮室圧力>中間圧となり、圧縮室の冷媒がインジェクション流路へ逆流する状態となるため、逆止弁が閉となる動作が発生する。一般的に、逆止弁が閉になると、再び圧縮室圧力<中間圧でインジェクション孔が開となり、インジェクション冷媒がインジェクション流路から圧縮室に流入する際に、逆止弁が開となる動作に僅かに時間を要するために圧縮室に供給されるインジェクション冷媒の量が微減する。ただし、逆止弁が閉から開になる動作に要する時間ロスによるインジェクション量の低下量は、圧縮室からインジェクション流路への逆流によるインジェクション量の低下量と比較して少ない。
本構成においては、圧縮室の容積Vcompが、Vcomp/Vsuct=0.21となる位置にピストンがあるときに、インジェクション孔が完全に閉となる位置にインジェクション孔を備えているため、圧縮室の容積VcompがVsuctに対して0.21より小さくなり、暖房極低温条件において圧縮室圧力>中間圧となるとき、インジェクション孔が閉じているため、圧縮室の冷媒がインジェクション流路へ逆流するのを防止するために設置された逆止弁においてインジェクション流路を閉にする動作を防止できる。
以上の記述から明らかなように、本発明の冷凍サイクル装置に搭載のロータリ圧縮機111は、暖房極低温条件において、圧縮室圧力>中間圧となるときに、インジェクション孔の一部または全部が開となっていることを防ぎ、圧縮室の冷媒がインジェクション流路へ逆流するのを防止するために逆止弁が動作するのを防止できるので、十分なインジェクション量が得られる。したがって、暖房極低温条件でも、比較的低い温度で圧縮室に流入するインジェクション冷媒によって圧縮機から吐出する冷媒の温度を低減し、吐出冷媒の温度が過昇するのを抑制するので、モーター効率が低下したり圧縮機を構成する絶縁紙や冷凍機油等の有機材料の劣化が進行したりするのを抑制することができる。
本発明は、圧縮機としてロータリ圧縮機111を用い、ピストン123の旋回運動によってインジェクション孔127を開閉する機構において圧縮過程に中間圧の冷媒を注入する機構において、ロータリ圧縮機111の吸込圧力と吐出圧力との圧力比が小さい場合には圧縮室129からインジェクション配管116へ冷媒の逆流が生じるのを防止し、圧力比が大きい場合にはインジェクション孔127が開となる時間が長くなる。したがって、冷房部分負荷条件で、圧縮室129に十分な量のインジェクション冷媒を供給できるのに加えて、冷房定格負荷条件では、吸入ポート125から吸入する冷媒量に対するインジェクション孔127から圧縮室129に供給するインジェクション冷媒量の比率を、冷房部分負荷条件における比率と比較して高くすることができるので、比較的低い温度で圧縮室129に流入するインジェクション冷媒によってロータリ圧縮機111から吐出する冷媒の温度を低減し、吐出冷媒の温度が過昇するのを抑制するので、モーター効率が低下したりロータリ圧縮機111を構成する絶縁紙や冷凍機油等の有機材料の劣化が進行したりするのを抑制することができるものとして好適に利用することができる。
101 室外空調ユニット
102 室内空調ユニット
111 ロータリ圧縮機
112 四方弁
113 室内熱交換器
114 第1圧力調整弁
115 室外熱交換器
116 インジェクション配管
117 第2圧力調整弁
118 逆止弁
121 シリンダ
121a 内壁面
121b 溝
121c シリンダ中心面
122 シャフト
122a 偏芯部
122b シャフト中心軸
123 ピストン
123a ピストン外周面
123b ピストン端面
123c ピストン上死点の位置のピストン端面
123d ピストン0.8の位置のピストン端面
123e ピストン0.21の位置のピストン端面
124 ベーン
125 吸入ポート
126 吐出ポート
127 インジェクション孔
128 インジェクション流路
129 圧縮室
130 シェル
131 上軸受
132 下軸受
133 吐出バルブ

Claims (2)

  1. 圧縮機と凝縮器と冷媒流量調整弁と蒸発器とが冷媒配管で順に接続されて冷凍回路を構成した冷凍サイクル装置であって、前記冷凍回路は、前記凝縮器と前記蒸発器とを接続する前記冷媒配管に配置された第一分岐部と、前記第一分岐部と前記圧縮機とを接続するインジェクション配管とを備え、前記圧縮機は、冷媒を吸入および圧縮する内部空間を有するシリンダと、前記シリンダの内部空間を閉じる上側端面と下側端面と、前記シリンダの内部と接触しながら偏芯回転するピストンと、前記ピストンの偏芯回転を支えるシャフトと、前記シャフトを支える上軸受および下軸受と、先端が前記ピストンと接触しており前記シリンダの内部空間を吸入室と圧縮室とに分けるベーンと、前記吸入室に接続された吸入ポートと、前記圧縮室に接続された吐出ポートと、少なくとも前記上側端面または前記下側端面のいずれかに前記ピストンの偏芯回転に伴う前記ピストンの端面のスライドによって開閉するインジェクション孔と、前記インジェクション孔と前記インジェクション配管とを接続するインジェクション流路とを備え、前記インジェクション孔は、前記シャフトの中心軸と前記ベーンの先端とを含む仮想平面で前記シリンダの内部空間を2つに分けたときにできる前記吐出ポートを備える側の領域に収まる位置に設置されており、かつ、前記インジェクション孔は、前記ピストンと前記シリンダの内部との接点と前記ピストンと前記ベーンとの接点が重なるときを上死点とするとき、上死点のときに前記ピストンによって完全に閉となる位置に設置されており、かつ、前記インジェクション孔は、上死点のときの前記吸入室の容積をVsuctとし、前記ピストンの偏芯回転によって変化する前記圧縮室の容積をVcompとするとき、Vcomp/Vsuct=0.8となる位置に前記ピストンがあるときに少なくとも孔の一部が開となる位置に設置されており、前記冷凍回路は、前記インジェクション孔と前記第一分岐部との間に前記圧縮室から前記第一分岐部へ冷媒が流れるのを阻止する逆止弁を備える冷凍サイクル装置。
  2. 前記インジェクション孔は、Vcomp/Vsuct=0.21となる位置に前記ピストンがあるときに、前記ピストンによって完全に閉となる位置に設置されている、請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
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