JP2014129627A - 繊維製品の濡れ戻り抑制方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】発汗等によって濡れた繊維製品の濡れ戻りを抑制する方法を提供する。
【解決手段】炭素数12以上22以下の直鎖第1級アルコール(A)を含有する処理液を、木綿を含む繊維製品に付着させることにより繊維製品における水の濡れ戻りを抑制する方法であって、(A)成分を木綿1gあたり0.1mg以上150.0mg未満付着させる濡れ戻り抑制方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、木綿を含む繊維製品の濡れ戻りを抑制する方法に関する。
木綿は優れた吸水性を有し、しかも肌触りが優れていることから、衣料等の繊維製品に好適に使用されている。特に梅雨時の湿度の高い時期や、夏場の気温が高い時期においては、汗等の水分を吸収し、衣類と肌との間の環境を整える効果があるため木綿を使用した衣類が好まれている。
しかしながら、汗等の水分を多量に吸収した木綿にあっては、吸収した水分を肌上に再放出するいわゆる“濡れ戻り”が生じる。濡れ戻りにより、衣類が肌に張り付き易くなり、着用者に不快感を与えるだけでなく、肌表面が濡れによってふやけ易くなり、更に肌と衣類との摩擦が大きくなることから、肌トラブルの原因に繋がることが懸念される。
このような、汗等で濡れた場合における濡れ戻りを抑制する技術として、特殊な繊維を用いる技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、内層及び/又は中間層がリヨセル構造で構成されている糸条を有することにより、濡れ戻りを抑制することができる多層構造糸条が開示されている。
特許文献2には、芯部にセルロースのフィラメント繊維を改質して保水能を向上させた吸水性繊維を用い、鞘部に合成繊維を配した複合紡績糸を用いることで肌と繊維物の接触する面に汗を残さない性質を示す技術が開示されている。
また、濡れた繊維製品の速乾性に着目した技術が知られている。例えば、特許文献3には、主にエアゾール製品として用いる吸水速乾性付与剤組成物が開示されている。具体的には、吸水性を大きく損なうことなく速乾性を付与するためにシリコーン構造を有するポリマーを用いる技術が開示されている。
しかしながら、これら速乾性の技術は、基本的に繊維製品の乾燥速度を速めることを課題とするものであり、上記濡れ戻りの課題の解決を時間的に早める可能性があるが、乾燥の間、濡れ戻りに注目するものではない。
なお、特許文献4,5には、ジアルキル型四級アンモニウム塩と脂肪族アルコールとを含有する柔軟剤組成物が記載されているが、これらの特許文献では化繊に対する柔軟性や帯電防止性を改善することについての検討がなされているのみであって、濡れ戻りを改善する点については、なんら検討されていない。
特開平10−25638号公報 特開昭62−299534号公報 特開2005−89882号公報 特開昭56−73173号公報、 特開昭56−79768号公報
特許文献1,2に記載される濡れ戻り抑制技術によれば、特殊な繊維加工が要求されることから、該処理が施された繊維製品として販売、実施することは可能であるが、家庭での実現は困難である。
したがって、一般的な木綿繊維を含む繊維製品、特に肌着等の直接肌と接するなどして、汗等で濡れる状態になり易い繊維製品に対し、予め簡易な処理を施しておくことで、繊維製品が濡れた状態になっても、濡れ戻りを抑制することができる繊維製品処理方法の開発が望まれている。
本発明は、発汗等によって濡れた繊維製品の濡れ戻りを抑制する方法を提供する。
本発明は、特定の炭素数及び構造からなるアルキル基を有する脂肪族アルコールを、木綿を含む繊維製品に付着させることによって濡れ戻りを抑制できる、という知見に基づいてなされたものであって、以下を要旨とするものである。
本発明は、炭素数12以上22以下の直鎖第1級アルコール(A)を含有する処理液を、木綿を含む繊維製品に付着させることにより繊維製品における水の濡れ戻りを抑制する方法であって、(A)成分を木綿1gあたり0.1mg以上150.0mg未満付着させる濡れ戻り抑制方法、を要旨とするものである。
本発明は、発汗等によって濡れた繊維製品の濡れ戻りを抑制する方法を提供することができる。
本発明の濡れ戻り抑制方法は、炭素数12以上22以下の直鎖第1級アルコール(A)を含有する処理液を、木綿を含む繊維製品に付着させることにより繊維製品における水の濡れ戻りを抑制する方法であって、(A)成分を木綿1gあたり0.1mg以上、150.0mg未満付着させるものである。
木綿1gあたりに付着させる(A)成分の量は、繊維製品に濡れ戻り性能を付与する観点から0.1mg以上であり、好ましくは0.3mg以上、より好ましくは0.5mg以上であり、そして、(A)成分を多量に付着させた場合には木綿繊維が硬くなりキシミ感が強くなり風合いを損ねるため、好ましくは10mg以下、より好ましくは5mg以下、更に好ましくは3mg以下である。
<(A)成分>
(A)成分は、本発明の濡れ戻り抑制効果を発揮する成分であり、主成分として含有する。(A)成分は、炭素数12以上、22以下の直鎖第1級アルコールであり、炭素数は、濡れ戻り性能を向上させる観点から、好ましくは14以上、18以下の直鎖第1級飽和アルコールである。
具体的なアルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中では、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールが好ましい。
前記処理液中の(A)成分の含有量は、濡れ戻り抑制効果、及び処理した木綿繊維の風合いの点から、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.003質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上であり、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
<(B)成分>
本発明においては、前記処理液中に溶剤を含有させることが好ましい。溶剤を用いることにより、処理液中に(A)成分を分散、乳化、溶解させることが可能となるため、保存性の向上、繊維製品への付着性の観点が容易になる。
溶剤としては、水、有機溶剤が好ましく、有機溶剤としては(A)成分を溶解又は分散させることができ、かつ(A)成分を付着させた後、乾燥除去できる揮発性の有機溶剤が好ましい。
具体的な有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン等の揮発性低級ケトン化合物、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素、アセトニトリル、プロピオニトリル等の揮発性低級ニトリル類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の揮発性低級アルコールから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
(B)成分としては、(A)成分の溶解性、揮発性、及び取り扱いやすさの観点から、水、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが好ましく、水、エタノール、プロパノールがより好ましい。
前記処理液中の(B)成分の含有量は、処理液全体で100質量%となる量であって、好ましくは95.0質量%以上、より好ましくは99.0質量%以上である。なお(C)成分の界面活性剤を併用する場合は、溶媒として水を用いることができる点で好ましい。
<(C)成分>
前記処理液は、(C)成分として界面活性剤を含んでいてもよく、特に前記溶剤として水を用いる場合は、(A)成分を可溶化、分散、乳化させる目的から、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、及び陽イオン界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
(陰イオン界面活性剤)
陰イオン界面活性剤としては、炭素数8以上18以下の高級脂肪酸塩、アルキル基の炭素数が8以上18以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキル基の炭素数が8以上18以下であるポリオキシエチレンアミドアルキルエーテルカルボン酸塩、炭素数7以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルベンゼンスルホン酸塩、炭素数7以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩、炭素数7以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸エステル塩、炭素数7以上18以下のα−オレフィンスルホン酸塩、炭素数7以上18以下のα−スルホ脂肪酸の炭素数1以上2以下のアルキル基を有する低級アルキルエステル塩、炭素数7以上18以下の一級アルカンスルホン酸塩、炭素数7以上18以下の二級アルカンスルホン酸塩、炭素数7以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルリン酸エステル塩から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中では、炭素数7以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルベンゼンスルホン酸塩、アルキル基の炭素数が7以上18以下でありエチレンオキサイド平均付加モル数が1以上6以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
アニオン界面活性剤の塩としては、アルカリ金属塩、エタノールアミン塩、及びアンモニウム塩が好ましい。
(非イオン界面活性剤)
非イオン界面活性剤としては炭素数10以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を有し、オキシエチレン基の平均付加モル数5以上100以下であって、オキシエチレン基の平均付加モル数のそのうち0〜5モルはオキシプロピレン基又はオキシブチレン基に変えてもよい(但し、オキシエチレン基の平均付加モル数は他のオキシアルキレン基の平均付加モル数の合計よりも多く、好ましくは5以上多い)ポリオキシアルキレンアルキル(アルケニル)エーテル、炭素数10以上18以下の脂肪酸基と上記と同じようにオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、炭素数8以上18以下のアルキル基を有し、糖平均縮合度が1〜5であるアルキルポリグリコシド、炭素数8以上18以下の脂肪酸基を有するショ糖脂肪酸エステル、炭素数8以上18以下のアルキル基を有し、グリセリンの平均縮合度が1〜10であるアルキルポリグリセリルエーテルから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中では、(A)成分の可溶性、分散性、乳化を向上させる観点から、炭素数10以上14以下のアルキル基を有しエチレンオキサイド平均付加モル数が10以上40以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
(陽イオン界面活性剤)
陽イオン界面活性剤として、エステル基、アミド基で分断されていてもよい炭素数8以上22以下の炭化水素基を1個以上3個以下と、残りが炭素数1以上3以下のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、及びベンジル基のいずれかを有する4級アンモニウム塩化合物が好ましい。
具体的には、炭素数が好ましくは10以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは16以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは18以下であるアルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキル基の炭素数が好ましくは10以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは16以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは18以下であるジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキル基の炭素数が好ましくは10以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは16以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは18以下であるアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ベンゼトニウム塩から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
エステル基、アミド基を有する陽イオン界面活性剤としては、アルカノイル基の炭素数が好ましくは14以上、より好ましくは16以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは18以下のアルカノイルオキシエチル基、及びアルカノイルアミノプロピル基のいずれかを1個以上3個以下と、残りが炭素数1以上3以下のアルキル基及びヒドロキシアルキル基のいずれかとを有するアミンの酸塩、好ましくはメチル基、エチル基、及びヒドロキシエチル基であるアミンの酸塩、又は4級アンモニウム塩化合物が好ましい。
陽イオン界面活性剤の対イオンとしては、ハロゲンイオンが好ましく、クロロイオン、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸エステルイオン、炭素数12以上18以下の脂肪酸イオン、炭素数1以上3以下のアルキル基が1個以上3個以下置換していてもよいベンゼンスルホン酸イオンがより好ましく、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸エステルイオンがより好ましく、メチル硫酸エステルイオン、エチル硫酸エステルイオンが更に好ましい。
(C)成分としては、陽イオン界面活性剤、及び非イオン界面活性剤が好ましい。陽イオン界面活性剤は、(A)成分と併用することにより(A)成分の量が少ない場合でも、高い濡れ戻り抑制効果を得ることができる点でより好ましい。
したがって、(C)成分として陽イオン界面活性剤を選択した場合には、木綿1gあたりに付着させる(A)成分の量は、繊維製品に濡れ戻り性能を付与する観点から、好ましくは0.1mg以上、より好ましくは0.2mg以上であり、そして、好ましくは1mg未満であり、より好ましくは0.7mg以下である。
陽イオン界面活性剤としては、下記一般式(1)の化合物がより好ましい。
Figure 2014129627
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数16以上22以下の脂肪酸からOH基を除いた残基(以下、「脂肪酸残基」ともいう。)、又は水素原子を示す。R3は、炭素数1以上3以下のアルキル基、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基、又はR1−O−C24−を示す。R4は、炭素数1以上3以下のアルキル基又は水素原子を示す。Yは酸素原子又は−NH−から選ばれる基を示す。mは2又は3を示す。Z-は有機又は無機の陰イオンを示す。)
一般式(1)において、R1、R2の少なくとも一方が、前記脂肪酸残基であることが好ましく、両方が前記脂肪酸残基であることがより好ましい。
一般式(1)において脂肪酸残基としては、炭素数16以上18以下の脂肪酸からOH基を除いた残基であることが好ましい。
具体的な脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、パーム油脂肪酸、ひまわり油、大豆油、ナタネ油、サフラワー油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、硬化パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、及び硬化牛脂脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
3は、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、又はR1が前記脂肪酸残基であるR1−O−C24−、が好ましい。
4は、メチル基、エチル基、又は水素原子が好ましい。
-はハロゲンイオン、好ましくはクロロイオン、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸エステルイオン、炭素数12以上18以下の脂肪酸イオン、炭素数1以上3以下のアルキル基が1個以上3個以下置換していてもよいベンゼンスルホン酸イオンが好ましく、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸エステルイオンより好ましく、メチル硫酸エステルイオン、エチル硫酸エステルイオンが更に好ましい。
(C)成分の好ましい態様として、以下の(C1)成分又は(C2)成分が挙げられる。
〔(C1)成分〕
一般式(1)において、Yが酸素原子であり、mが2であり、R1が脂肪酸残基であり、R2が水素原子であり、R3がヒドロキシエチル基であり、R4がメチル基又はエチル基である化合物(C11)と、
一般式(1)において、Yが酸素原子であり、mが2であり、R1、R2が脂肪酸残基であり、R3がヒドロキシエチル基であり、R4がメチル基又はエチル基である化合物(C12)と、
一般式(1)において、Yが酸素原子であり、mが2であり、R1、R2が脂肪酸残基であり、R3がR1−O−C24−であり、R4がメチル基又はエチル基である化合物(C13)とを含有し、
(C1)成分中の、
(C11)成分の含有量は、好ましくは10質量%以上、45質量%以下であり、
(C12)成分の含有量は、好ましくは35質量%以上、70質量%以下であり、
(C13)成分の含有量は、好ましくは5質量%以上、30質量%以下である、
4級アンモニウム塩混合物。
〔(C2成分)〕
一般式(1)において、YがNHであり、R1が水素原子であり、R2が脂肪酸残基であり、R3がメチル基又はエチル基であり、R4が水素原子である化合物(C21)と、
一般式(1)において、YがNHであり、R1、R2が脂肪酸残基であり、R3がメチル基又はエチル基であり、R4が水素原子である化合物(C22)とのアミン酸塩の混合物。
〔(C1)成分の製造方法〕
(C1)成分は脂肪酸とトリエタノールアミンとを脱水エステル化反応させる方法(脱水エステル化法という)、又は脂肪酸低級アルキルエステル(低級アルキルはメチル基、エチル基、プロピル基)とトリエタノールアミンとをエステル交換反応させる方法(エステル交換法という)により得られるエステル化反応物を、アルキル化剤で4級化反応させることにより得ることができる。
前記脱水エステル化法に用いられる脂肪酸及びエステル交換法に用いられる脂肪酸低級アルキルエステルの脂肪酸としては、牛脂、パーム油、ヒマワリ油、大豆油、ナタネ油、サフラワー油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油から選ばれる油脂をケン化して得られる脂肪酸組成のものが好ましく、柔軟性能を向上させる観点から、牛脂、パーム油及びヒマワリ油から得られるものが好ましい。
また、これら脂肪酸は炭素−炭素不飽和結合を2つ以上有するアルケニル基を多量に含有するため、例えば特開平4−306296号公報に記載されているような晶析や、特開平6−41578号公報に記載されているようにメチルエステルを減圧蒸留する方法、あるいは特開平8−99036号公報に記載の選択水素化反応を行うことで炭素−炭素不飽和結合を2つ以上含有する脂肪酸の割合を制御する方法等により製造することができる。
なお、選択水素化反応を行った場合には不飽和結合の幾何異性体の混合物が形成するが、本発明ではシス/トランスが25/75〜100/0、好ましくは50/50〜95/5(モル比)が好ましい。
まず、脱水エステル化法について説明する。脱水エステル化法においては反応温度を140〜230℃で縮合水を除去しながら反応させることが好ましい。反応を促進させる目的から通常のエステル化触媒を用いても差し支えなく、例えば硫酸、燐酸などの無機酸、酸化錫、酸化亜鉛などの無機酸化物、テトラプロポキシチタンなどのアルコラートなどを選択することができる。反応の進行はJISK0070−1992に記載の方法で酸価(AV)を測定することで確認を行い、好適にはAVが10mgKOH/g以下、好ましくは6mgKOH/g以下となった時、縮合反応を終了する。
次にエステル交換法について説明する。エステル交換法において、反応温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは100℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下で生成する低級アルコールを除去しながら行う。反応促進のために水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリや、メチラート、エチラート等のアルコキシ触媒を用いることも可能である。
反応の進行状況は、ガスクロマトグラフィー等を用いて脂肪酸低級アルキルエステルの量を直接定量することにより確認することが好ましい。未反応脂肪酸低級アルキルエステルが仕込みの脂肪酸低級アルキルエステルに対してガスクロマトグラフィーチャート上で10面積%以下、特に6面積%以下になったところで反応を終了させることが好ましい。
脱水エステル化法及びエステル交換化法に用いる前記脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステルとトリエタノールアミンとの反応モル比(脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステル/トリエタノールアミン)は、好ましくは1.3/1〜2.0/1、より好ましくは1.5/1〜1.9/1であることが好ましい。
このような反応モル比で脱水エステル化反応又はエステル交換反応を行って得た3級アミン化合物の混合物を経ることで、最終的に好ましい(C11)成分〜(C13)成分の4級アンモニウム塩混合物(C1)成分が得られる。
また上記の脱水エステル化法又はエステル交換法で得られるエステル化合物の鹸化価(SV)は、好ましくは110mgKOH/g以上、より好ましくは130mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは210mgKOH/g以下、より好ましくは190mgKOH/g以下である。
上記の脱水エステル化法及びエステル交換化法によって得られた、脂肪酸トリエタノールアミンエステルである3級アミン化合物、厳密にはエステル化度の異なる3級アミン化合物の混合物を、以下に示すアルキル化剤を用いて4級化することで、好ましい(C11)成分〜(C13)成分の4級アンモニウム塩混合物(C1)成分が得られる。
以下、4級化方法について説明する。
4級化に用いられるアルキル化剤としては、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等が好ましい。
アルキル化剤として、塩化メチルを用いる場合には、特に溶媒を使用する必要はないが、溶媒を使用する場合は、エタノールやイソプロパノール等の溶媒を、前記脂肪酸トリエタノールアミンエステル化合物の混合物(以下、エステル化合物という場合もある)に対して10質量%以上50質量%以下程度混合した溶液をチタン製のオートクレーブ等の加圧反応器に仕込み、密封下30℃以上120℃以下の反応温度で塩化メチルを圧入させて反応させる。このとき塩化メチルの一部が分解し、塩酸が発生する場合があるため、アルカリ剤を少量加え、効率的に反応を進行させることが好ましい。
塩化メチルとエステル化合物とのモル比は、当該エステル化合物のアミノ基1当量に対して塩化メチルを1当量以上1.5当量以下用いることが好ましい。
アルキル化剤としてジメチル硫酸、ジエチル硫酸を用いる場合には、特に溶媒を使用する必要はないが、溶媒を使用する場合、エタノールやイソプロパノール等の溶媒をエステル化合物に対して10質量%以上50質量%以下程度混合した溶液を40℃以上100℃以下に加熱混合し、ジメチル硫酸及びジエチル硫酸のいずれかを滴下して行われる。ジメチル硫酸及びジエチル硫酸とエステル化合物とのモル比は、当該エステル化合物のアミノ基1当量に対してジメチル硫酸及びジエチル硫酸を、好ましくは0.9当量以上、より好ましくは0.95当量以上であり、そして、好ましくは1.1当量以下、より好ましくは0.99当量以下用いる。
以上の方法によって、脂肪酸トリエタノールアミン化合物の混合物は4級化され、前記の好ましい(C11)成分〜(C13)成分の4級アンモニウム塩混合物(C1)成分が得られる。
〔(C2)成分の製造方法〕
(C1)成分が4級アンモニウム化合物の混合物であるのに対し、(C2)成分は、3級アミン化合物の混合物及びそれらの酸塩である。以下に(C2)成分の製造方法について説明する。
(C2)成分は脂肪酸とN−ヒドロキシエチル−N−アミノプロピル−N−メチルアミンを脱水縮合反応させる方法により容易に得られる3級アミン化合物である。
製造に用いる脂肪酸としては、牛脂、パーム油、ヒマワリ油、大豆油、ナタネ油、サフラワー油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油から選ばれる油脂をケン化して得られる脂肪酸組成のものが好ましく、柔軟性能を向上させる観点から、牛脂、パーム油及びヒマワリ油から得られるものが好ましい。
また、これら脂肪酸は炭素−炭素不飽和結合を2つ以上有するアルケニル基を多量に含有するため、例えば特開平4−306296号公報に記載されているような晶析や、特開平6−41578号公報に記載されているようにメチルエステルを減圧蒸留する方法、あるいは特開平8−99036号公報に記載の選択水素化反応を行うことで炭素−炭素不飽和結合を2つ以上含有する脂肪酸の割合を制御する方法等により製造することができる。(C2)成分の原料としては飽和脂肪酸を用いることが好ましい。例えば、牛脂由来脂肪酸を用いる場合は、水素化反応することにより完全硬化牛脂脂肪酸を用いることが好ましい。
前記、脂肪酸とN−ヒドロキシエチル−N−アミノプロピル−N−メチルアミンとの脱水縮合反応においては、反応温度を140℃以上230℃以下で縮合水を除去しながら反応させることが好ましい。反応を促進させる観点から、通常の縮合触媒を用いてもよく、例えば硫酸、燐酸等の無機酸、酸化錫、酸化亜鉛等の無機酸化物、テトラプロポキシチタン等のアルコラート等を用いることができる。
反応の進行状況は、JISK0070−1992に記載の方法で酸価(AV)を測定することにより確認することができ、好ましくはAVが10mgKOH/g以下、より好ましくは6mgKOH/g以下となった時に、縮合反応を終了する。
反応時の脂肪酸とN−ヒドロキシエチル−N−アミノプロピル−N−メチルアミンとの反応モル比(脂肪酸/アミン)は、好ましくは1.5/1〜2.0/1、より好ましくは1.6/1〜1.95/1である。
このような反応モル比で脱水縮合反応を行うことで好ましい(C21)成分〜(C22)成分のアミン化合物の混合物及びその酸塩(C2)成分が得られる。
前記処理液中の(C)成分の含有量は、(A)成分を分散、乳化、溶解させる観点から、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.008質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上であり、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。
(C)成分に対する(A)成分の質量比[(A)成分/(C)成分]は、少ない(A)成分の量で効果的に濡れ戻りを抑制する観点から、好ましくは0.075以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上であり、そして、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下である。
<処理液の粘度>
処理液の粘度は、分散安定性の観点から、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは2mPa・s以上であり、そして、好ましくは15mPa・s以下、より好ましくは10mPa・s以下、更に好ましくは7mPa・s以下である。
粘度の測定は、東機産業(株)製のB型粘度計を用いて行うことができる。測定条件は、ロータNo.2、測定温度30℃、測定時間1分、回転数60rpmで行う。
<処理液のpH>
処理液のpHは、貯蔵安定性の観点から、好ましくは4以上、より好ましくは5以上であり、そして、好ましくは9以下、より好ましくは8以下である。
pHは、JIS K 3362;2008の項目8.3にしたがって30℃において測定した値である。
<香料>
前記処理液は、香料を含有してもよい。香料組成物としては、「香料と調香の実際知識」(中島基貴著、産業図書(株)、1995年6月21日発行)に記載の香料成分を適宜、香調、用途に従って組み合わせることができる。なお、上記植物精油は香料成分として取り扱われる場合もあるが、その場合には香料組成物、植物精油の合計含有量を0.01質量%以上2質量%以下とする。
また、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、フェノール性化合物のエチレンオキサイド(以下EOと表記する)及びプロピレンオキサイド付加物、芳香族カルボン酸と炭素数1〜5の脂肪族アルコールとのエステル化合物から選ばれる香料成分を香料組成物中に50質量%以上90質量%以下含有するものが好ましい。
<その他任意成分>
その他本発明の濡れ戻り防止方法に用いる剤として、以下のものが挙げられる。プロキセルBDN等の抗菌抗カビ剤、溶液着色のための染料又は顔料、アルカリ剤や酸剤等のpH調整剤、BHT等の酸化防止剤を本願に影響を与えない範囲で含有することができる。
<対象の繊維製品>
本発明の方法の対象となる繊維製品としては、木綿100%の繊維製品、及び、木綿繊維と他の繊維との混繊、混紡、交織、交撚等で混用して得られる紡績糸、織物、編物、不織布を挙げることができる。
具体的な他の繊維としては、苧麻、亜麻、パルプ、バクテリアセルロース繊維等の天然セルロース繊維、絹、羊毛等の天然タンパク繊維、ビスコース法レーヨン、銅アンモニア法レーヨン、溶剤紡糸法レーヨン等の再生セルロース繊維、アセテート、トリアセテート等の半合成繊維、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
なお、繊維製品は、反応性染料、バット染料等による先染め、反染、プリント品であっても差し支えない。
他の繊維と混用する場合、濡れ戻りを効率的に抑制する観点から、木綿繊維の含有率は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。
本発明に使用される繊維製品とは、前記の木綿繊維や混用繊維を用いた織物、編物、不織布等の布帛及びそれを用いて得られたアンダーシャツ、Tシャツ、Yシャツ、ブラウス、スラックス、帽子、ハンカチ、タオル、ニット、靴下、下着、タイツ等の製品を意味する。
<濡れ戻り防止性の繊維製品>
本発明の処理方法で処理された繊維製品は、炭素数12以上22以下の直鎖第1級アルコール(A)が、繊維製品中の木綿1gに対して0.1mg以上、好ましくは0.3mg以上、より好ましくは2.0mg以上であり、そして、150.0mg未満、好ましくは10mg以下、より好ましくは5mg以下、更に好ましくは3mg以下付着させた繊維製品であり、発汗後、繊維製品と肌との間に生じる不快感を低減させることができる繊維製品である。
<繊維製品の処理方法>
本発明において、上述の処理溶液を木綿繊維に接触させる方法としては、処理溶液を木綿繊維に含浸させる工程を含む。
ここで「含浸」とは織り構造又は編み構造のような複雑な立体構造からなる木綿繊維の最外層だけでなく、その木綿繊維間の内部まで十分に前記処理剤が浸透し、木綿繊維表面へ付着させる処理のことである。
前記工程を含むことにより、木綿繊維表面に(A)成分を均一に付着させることができる。本発明では繊維製品中の木綿1gに対して(A)成分を、濡れ戻り抑制の観点から、0.1mg以上、好ましくは0.3mg以上、より好ましくは2.0mg以上、そして、150mg未満を、繊維製品に対して均一に付着させることが好ましい。
前記工程は、本発明の効果を効率よく得る観点から、スプレー処理又は浸漬処理により行うことが好ましい。スプレー処理を行う場合は、上述の処理溶液を含有する水溶液を繊維製品にスプレーすることが望ましい。
スプレー処理は、トリガー式スプレーを使用することが好ましい。トリガー式スプレーとしては、特に1回のストロークで0.2〜1.0g、好ましくは0.25〜0.8gの内容物を噴出するものが好ましい。
また、繊維製品100cm2に対して前記処理溶液を、好ましくは0.03〜1g、より好ましくは0.05〜0.5g均一に付着するようにスプレーすることが好ましい。
また、浸漬処理を行う場合は、前記処理溶液に対して繊維製品を浸漬処理することが好ましい。浸漬時間は繊維製品に十分水溶液が含浸される時間が好ましく、好ましくは1〜30分、より好ましくは3〜10分程度である。
ここで浸漬とは繊維製品が処理溶液に浸る状態であり、ピペットやスポイト等を用いて処理溶液を木綿繊維に滴下して浸す方法や、処理溶液の入った洗面器等の容器に木綿繊維を完全に浸す方法等を挙げることができる。
なお、スプレー処理や滴下による浸漬処理の場合には、木綿繊維の質量と処理溶液中の(A)成分の濃度から、木綿1gに対する(A)成分の量を求めることができるが、完全に浸す方法の場合には、処理後の繊維製品をソックスレー等の抽出機を用いて(A)成分を抽出し、ガスクロマトグラフィー等の方法を用いて(A)成分を定量することができる。
本発明では簡便に、しかも均一に繊維製品に(A)成分を付着させることができる観点からスプレー処理、又は滴下による浸漬処理が好適である。
<スプレー容器に充填された濡れ戻り防止剤>
スプレー処理を行なう場合の例を以下に示す。
本発明では、濡れ戻り防止方法を達成するために、スプレー装置を具備した容器(以下、「スプレー容器」ともいう)に(A)成分を含有する溶液を充填したスプレー容器入り濡れ戻り防止剤を用いることができる。
具体的には、
(A)成分としてラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコールから選ばれる1種以上を0.005〜1質量%、
(B)成分としてエタノールを0〜10質量%、
(C)成分の界面活性剤として、陽イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤から選ばれる1種以上を、0.01〜5質量%、
及び残部の水を含有し、
更にその他成分として、香料、酸化防止剤、プロキセルBDN、及び香料成分を少量配合してなる水性組成物を、
1回のストロークで好ましくは0.2〜1.0g、より好ましくは0.25〜0.8gの内容物を噴出することができるスプレー容器に充填したスプレー容器入り濡れ戻り防止剤、である。
スプレーとしては、例えば、一般的なトリガータイプのスプレー装置と容器とを組合せたものが挙げられ、このようなスプレーであれば、噴霧により繊維製品表面を均一に処理することができる。繊維製品の消臭芳香スプレーとして市販されているスプレー装置付き容器を用いることができる。
<(c−1)成分:合成例1>
1L4つ口フラスコにパーム油を原料とした、酸価206.9mgKOH/gの脂肪酸と、N−ヒドロキシエチル−N−アミノプロピル−N−メチルアミンとを反応モル比が1.8/1(脂肪酸/アミン)で混合した溶液500gを仕込み、攪拌下窒素を導入し、生成する水を脱水管で系外に除去しながら3時間かけて180℃まで加熱した。180〜230℃の温度でさらに10時間保持し、反応物の一部を採取し、AVを測定し、AV=2.0以下であることを確認した後、室温まで冷却し、N−アルカノイルアミノプロピル−N−アルカノイルオキシエチル−N−メチルアミン(アシル基はパーム油脂肪酸組成)を主成分とする縮合物を得た。
このアミンに対して当量の塩酸で中和し、N−アルカノイルアミノプロピル−N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミンの塩酸塩(C21);15質量%と、N−アルカノイルアミノプロピル−N−アルカノイルオキシエチル−N−メチルアミンの塩酸塩(C22);85質量%との混合物を得た。
<(c−2)成分:合成例2>
1L4つ口フラスコにパーム油を原料とした、酸価206.9mgKOH/gの脂肪酸と、トリエタノールアミンを反応モル比が1.65/1(脂肪酸/トリエタノールアミン)〕で混合した溶液500gを仕込み、攪拌下窒素を導入し、生成する水を脱水管で系外に除去しながら3時間かけて180℃まで加熱した。180〜230℃の温度でさらに5時間保持し、反応物の一部を採取し、AVとSVを測定し、AV=2.5mgKOH/g、SV=163.2mgKOH/gであることを確認した後、室温まで冷却し、N,N−ジアシルオキシエチル−N−ヒドロキシエチルアミン(アシル基はパーム油脂肪酸組成)を主成分とする縮合物を得た。
得られたエステル化合物の全アミノ基窒素含有量(JIS K7245-2000の全アミノ基窒素含有量の測定方法に準拠するものとする。)を求め、計算から得られるアミノ基の当量数に対して0.98当量倍のジメチル硫酸で4級化反応を行う。具体的にはエステル化反応終了物300gを攪拌機、窒素導入管、滴下ロート、温度計、及び冷却管を具備する1L5つ口フラスコに仕込み、窒素を導入しながら攪拌下50℃まで加熱昇温する。滴下ロートより全アミノ基窒素含有量から求めたアミノ基の当量数に対して0.98当量倍のジメチル硫酸を1時間かけて滴下し、50℃でさらに2時間攪拌した。反応終了後、エタノールで90%に希釈し、N,N−ジオレオイルオキシエチル−N−ヒドロキシエチル−N−メチルアンモニウムメチルサルフェートを主成分とし、エタノールを10%含有する第4級アンモニウム塩混合物を得た。
この混合物の各成分の含有量は、(C11)が24質量%、(C12)が49質量%、(C13)が27質量%であった。
<(c−3)成分:>
花王(株)製、「ジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモニウムクロリド」
<(c−4)成分:合成例3>
合成例2においてパーム油を原料とした脂肪酸に変えて、酸価197.3mgKOH/gのオレイン酸を主原料とした脂肪酸を用い、反応モル比を1.8/1(脂肪酸/トリエタノールアミン)としたこと以外は合成例2と同様の方法により、エタノールを10%含有する第4級アンモニウム塩混合物を得た。
この混合物の各成分の含有量は、(C11)が19質量%、(C12)が48質量%、(C13)が33質量%であった。
<(c−5)成分>
オキシエチレン基の平均付加モル数が19モルであるポリオキシエチレンラウリルエーテル
<実施例1〜18、比較例1〜15>
表1〜4に記載の配合にしたがって各成分を混合し、70℃に加熱して撹拌した。その後、室温まで放熱することにより処理液を調製した。なお、実施例1〜6、比較例11〜15においては、加熱せずに撹拌することにより、処理液を調製した。
<繊維処理方法>
市販の木綿肌着(グンゼ(株)、YG/半袖U首)を市販粉末洗剤「アタック高活性バイオEX」(花王(株)製、登録商標、2012年製造)にて5回繰り返し洗濯し、更に洗剤なしで3回洗濯を行い、布についている油剤及び洗剤を除去した後、実施例及び比較例で調製した処理液を表に記載の付着量になるよう、均一にスポイトにて滴下することにより塗布し、室内で乾燥後に20℃、65%RHの恒温、恒湿室にて24時間放置した。
<濡れ戻り測定方法>
調製した処理布を11cm角に切り取り、自重の80%分の水をスプレーで均一に噴きかけ、10分間密閉状態で馴化させた後、キムタオル(日本製紙クレシア(株)製)の上に載せ、20g/cm2の荷重を10秒間かけた。その後、キムタオルの重量を測定し、重量増加分を濡れ戻り水として計測した。未処理布の濡れ戻り水を100とした場合の各処理布の濡れ戻り量を算出した。
<感触評価>
調製した処理布を11cm角に切り取り、自重の80%分の水をスプレーで均一に噴きかけ、10分間密閉状態で馴化させた後、訓練した研究員が処理した布を手で触り、下記の評価基準で判定した。評価2以上、好ましくは3以上であれば良好と判断する。
評価基準
4:湿り気がなく、手触りが非常にサラサラ
3:湿り気が少なく、手触りがサラサラ
2:やや湿り気があり、手触りがややサラサラ
1:湿り気が強く、手触りがベタベタ
Figure 2014129627
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実施例及び比較例の結果より、本発明によれば、発汗等によって生じる繊維製品の濡れ戻りを効果的に抑制することができる。したがって、肌に接触する部分が多い衣料、例えば肌着に対して本発明の処理を施すことにより、発汗後、繊維製品と肌との間に生じる不快感を低減させることができる。

Claims (10)

  1. 炭素数12以上22以下の直鎖第1級アルコール(A)を含有する処理液を、木綿を含む繊維製品に付着させることにより繊維製品における水の濡れ戻りを抑制する方法であって、(A)成分を木綿1gあたり0.1mg以上150.0mg未満付着させる濡れ戻り抑制方法。
  2. (A)成分が炭素数14以上18以下の直鎖第1級飽和アルコールである、請求項1に記載の濡れ戻り抑制方法。
  3. (A)成分がミリスチルアルコールである、請求項2に記載の濡れ戻り抑制方法。
  4. 前記処理液が、溶剤(B)として有機溶剤及び水の少なくとも1種を含有する、請求項1〜3いずれかに記載の濡れ戻り抑制方法。
  5. 前記(B)成分の有機溶剤が、エタノール及びプロパノールの少なくとも1種である、請求項4に記載の濡れ戻り抑制方法。
  6. 前記処理液が界面活性剤(C)を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の濡れ戻り抑制方法。
  7. (C)成分が陽イオン界面活性剤である、請求項6に記載の濡れ戻り抑制方法。
  8. (C)成分に対する(A)成分の質量比[(A)成分/(C)成分]が0.075以上10以下である、請求項6又は7に記載の濡れ戻り抑制方法。
  9. 前記処理液中の(A)成分の含有量が、0.001質量%以上5質量%以下である、請求項1〜8のいずれかに記載の濡れ戻り抑制方法。
  10. 炭素数12以上22以下の直鎖第1級アルコール(A)が、繊維製品中の木綿1gに対して0.1mg以上150.0mg未満付着した繊維製品。
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