JP2014129480A - ハードコート膜を備える筐体、ハードコート用の塗布液、塗布液に用いるシリカゾル、及びシリカゾルの製造方法 - Google Patents

ハードコート膜を備える筐体、ハードコート用の塗布液、塗布液に用いるシリカゾル、及びシリカゾルの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014129480A
JP2014129480A JP2012288173A JP2012288173A JP2014129480A JP 2014129480 A JP2014129480 A JP 2014129480A JP 2012288173 A JP2012288173 A JP 2012288173A JP 2012288173 A JP2012288173 A JP 2012288173A JP 2014129480 A JP2014129480 A JP 2014129480A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organosilicon compound
fine particles
silica fine
functional group
hard coat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012288173A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6317879B2 (ja
Inventor
Wataru Futagami
渉 二神
Makoto Muraguchi
良 村口
Masayuki Matsuda
政幸 松田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JGC Catalysts and Chemicals Ltd
Original Assignee
JGC Catalysts and Chemicals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JGC Catalysts and Chemicals Ltd filed Critical JGC Catalysts and Chemicals Ltd
Priority to JP2012288173A priority Critical patent/JP6317879B2/ja
Publication of JP2014129480A publication Critical patent/JP2014129480A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6317879B2 publication Critical patent/JP6317879B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】高硬度と白化防止の両立が可能なハードコート膜を実現する。
【解決手段】第一種の官能基を持つ第一有機珪素化合物が表面に結合されたシリカ微粒子と、第二種の官能基を持つ第二有機珪素化合物が表面に結合されたシリカ微粒子を含んだシリカゾルを用いてハードコート膜を形成した。第一種の官能基はマトリックス成分と結合する官能基であり、第二の官能基はマトリックス成分と結合しない官能基である。さらに、第一有機珪素化合物と第二有機珪素化合物のモル比a:bを、9:1〜5:5の範囲で設定することが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、母材の表面を保護して耐傷性を高めるハードコート膜、ハードコート膜を形成するための塗布液、及びこの塗布液に用いられるシリカゾルに関する。
モバイル機器等の電子機器や家電製品等の電気機器に使用される筐体には、ABS等の樹脂、または金属からなる成形体が用いられる。成形体の外表面には、表面を保護して耐傷性を高めるためにハードコート膜が設けられている。また、電気機器のデザインは多様であり、筐体は平板状に限らず、角部を持つ形状も多く採用されている。角部を持つ筐体にハードコート膜を設ける場合には、筐体にスプレー等でハードコート膜を塗布する方法が用いられる(例えば、特許文献1を参照)。あるいは、シート状のハードコート膜を型に入れて深絞り成形し、筐体と一体化するインサート成形法が用いられる(例えば、特許文献2を参照)。特許文献2では、深絞り成形の際に、変形が大きい角部のハードコート膜に細かいクラックが発生することを防ぐために、角部には低硬度のハードコート膜のみ設け、正面部には高硬度のハードコート膜も設けた構成としている。
特開2008−060240号公報 特開2001−036258号公報
特許文献1のように、ハードコート膜を筐体に塗布する場合、角部も含めて全体を均一に塗布するのは困難である。また、筐体本体を成形し終えた後に、独立した塗布工程が必要となり、さらに塗布後に乾燥させる必要もあり、工程が煩雑で時間のかかってしまう。もちろん、インサート成形法を用いて、ハードコート膜となる高硬度シートを金型内のキャビティに載置し、裏面に樹脂を射出することにより表面にハードコート膜が形成されたハウジングケースを製造することもできるが、高硬度シートは加工性に劣り、シートを大きく変形させる深絞工程を行うと、変形が大きい角部において細かいクラックが発生して透明性を喪失することがある。これを防ぐために、引用文献2では、角部に低硬度のハードコート膜のみ設けている。しかしながら、このような構成では、角部の硬度は低くなってしまい、耐傷性が劣ることになる。
そこで、本発明は、角部での硬度を保ちつつ、角部でも透明性が喪失しないハードコート膜を実現することを目的とする。
本発明のハードコート膜は、端部が曲げ加工された筐体の外側の表面全面に形成されている。このハードコート膜はバインダー樹脂と、第一有機珪素化合物が結合したシリカ微粒子と、第二有機珪素化合物が結合したシリカ微粒子を含んでいる。第一有機珪素化合物はバインダー樹脂のマトリックス成分と結合する第一種の官能基を持ち、第二有機珪素化合物はマトリックス成分と結合しない第二種の官能基を持っている。第一の有機珪素化合物と第二の有機珪素化合物とシリカ微粒子の重量和と、バインダー樹脂の重量との比が、0.15:0.85〜0.8:0.2の範囲にある。このような構成によれば、膜の硬度と柔軟性が両立し、ハードコート膜としての機能を維持しつつ、曲がっても白化が起こらない。
このようなハードコート膜を形成するための塗布液が本発明のハードコート用塗布液である。本発明のハードコート用塗布液は、第一種の官能基を持つ第一有機珪素化合物が表面に結合されたシリカ微粒子と、第二種の官能基を持つ第二有機珪素化合物が表面に結合されたシリカ微粒子と、マトリックス成分と添加剤と光重合開始剤が分散された溶媒とを含んでいる。第一種の官能基はマトリックス成分と結合する官能基であり、第二の官能基はマトリックス成分と結合しない官能基である。
また、本発明のシリカゾルは、上述のハードコート用塗布液に含まれている。本発明のシリカゾルは、第一種の官能基を持つ第一有機珪素化合物が表面に結合されたシリカ微粒子と、第二種の官能基を持つ第二有機珪素化合物が表面に結合されたシリカ微粒子を含んでおり、第一種の官能基はマトリックス成分と結合する官能基であり、第二の官能基はマトリックス成分と結合しない官能基である。第一有機珪素化合物と第二有機珪素化合物が共に表面に結合されたシリカ微粒子を含んでいてもよい。
このとき、比表面積がSA[m2/g]のシリカ微粒子1グラムに対して、第一有機珪素化合物と第二有機珪素化合物のモル数の合計が「α×SA×(a+b)/((am+bn)×1.2×105)」で表された範囲にあることが適している。ここで、αは調整係数でα=1〜6、mは第一有機珪素化合物の結合基数、nは第二有機珪素化合物の結合基数である。第一有機珪素化合物と第二有機珪素化合物がa:b(但し、a:bは、9:1〜5:5の範囲)のモル数で存在している。ただし、シリカ微粒子が非球状シリカ微粒子(異形度1.2以上5.0未満)の場合には、第一の有機珪素化合物と第二有機珪素化合物のモル比が、9:1〜5:5の範囲にあることが望ましく、シリカ微粒子が球状シリカ微粒子(異形度0.9以上1.2未満)の場合には、第一の有機珪素化合物と第二の有機珪素化合物のモル比が、9:1〜7:3の範囲にあることが望ましい。
本発明のハードコート層によれば、ハードコートの機能を保ちつつ、曲がって変形する部位(角部)でも透過率が低下しない。そのため、曲面を持つ筐体に適用することができる。
本発明のハードコート膜は、角部が形成された筐体に形成されている。このハードコート膜は、バインダー樹脂と、バインダー樹脂と結合している第一種の官能基を持つ第一有機珪素化合物が表面に結合されたシリカ微粒子と、バインダー樹脂と結合していない第二種の官能基を持つ第二有機珪素化合物が表面に結合されたシリカ微粒子を含んでいる。このとき、第一種の官能基はバインダー樹脂と結合しているため、ハードコート膜の高硬度化に寄与する。一方、第二種の官能基はバインダー樹脂と結合していないので、ハードコート膜に柔軟性を与えることになる。したがって、シリカ微粒子を修飾する第一種の官能基と第二種の官能基の量を調整すれば、硬度と柔軟性が両立したハードコート膜を得ることができる。すなわち、硬度を保ちつつ、曲部でも透過率が低下(白化)しないハードコート膜が実現できる。バインダー樹脂は、マトリックス成分を含んだ分散液を硬化させることにより形成された樹脂であり、第一種の官能基はこのマトリックス成分と結合し、第二種の官能基はこのマトリックス成分と結合しない性質を持っている。
次に、このハードコート層を形成するために用いられるシリカゾルについて説明する。本発明によるシリカゾルは、第一種の官能基を持つ第一有機珪素化合物が表面に結合されたシリカ微粒子と、第二種の官能基を持つ第二有機珪素化合物が表面に結合されたシリカ微粒子を含んでいる。ここで、第一種の官能基はマトリックス成分と結合する官能基であり、第二種の官能基はマトリックス成分と結合しない官能基である。第一の有機珪素化合物と第二の有機珪素化合物が共に表面に結合されたシリカ微粒子を含んでいてもよい。また、有機珪素化合物は、第一種、または、第二種の官能基の他に、シリカ微粒子と結合する官能基(以下、ここでは結合基と称す)を有している。シリカ微粒子の表面にはOH基が存在しており、このOH基と有機珪素化合物の結合基が結合する。すなわち、第一有機珪素化合物はSi(X1)m(R1)4-mと、第二有機珪素化合物はSi(X2)n(R2)4-nと表される。ここで、X1とX2はシリカ微粒子と結合する官能基、R1はマトリックス成分と結合する官能基、R2はマトリックス成分と結合しない官能基、mは第一有機珪素化合物の結合基数、nは第二有機珪素化合物の結合基数である。もちろん、R1とR2はシリカ微粒子と結合しない。
そこで、第一有機珪素化合物と第二有機珪素化合物がモル比a:bで混在している場合の結合基数Zabは、以下の数式1で表される。
Figure 2014129480
また、シリカ微粒子は表面積1m2あたりに5×1018個のOH基を持つと言われている。したがって、比表面積SA[m2/g]のシリカ微粒子1グラムを表面修飾するためには、第一有機珪素化合物のモル数Caと第二有機珪素化合物のモル数Cbを合わせた数Cabが以下の式2を満たす必要がある。
Figure 2014129480
この総モル数Cabは理論値で、有機珪素化合物のすべてがシリカ微粒子に結合した場合である。実際にはシリカ微粒子と結合しない有機珪素化合物が存在するため、実際に添加する有機珪素化合物のモル数は、補正係数α(α≧1)を乗じた数値を基準に決めればよい。この補正係数は、このシリカゾルを用いて形成したハードコート膜の硬度や白化の発生状況を確認して実験的に定められる。実際には1〜6の範囲である。
したがって、シリカ微粒子1グラムに対して加えられるべき第一有機珪素化合物のモル数Caと第二有機珪素化合物のモル数Cbはそれぞれ数式3、数式4のように表される。
Figure 2014129480
Figure 2014129480
このように、本発明のハードコート膜には、シリカ微粒子1グラムに対して、第一有機珪素化合物をCa モル、第二有機珪素化合物をCb モルの割合で必要となる。第一有機珪素化合物はマトリックス成分と結合する第一種の官能基を有しているため、シリカ微粒子の表面に結合する第一有機珪素化合物が多いほどハードコート膜の硬度は高くなる。一方、第二有機珪素化合物はマトリックス成分と結合しない第二種の官能基を有しているため、シリカ微粒子の表面に結合する第二有機珪素化合物が多いほどハードコート膜は柔軟性を増し、曲げに対して強くなる。硬度の維持と白化の防止を両立するためには、第一有機珪素化合物と第二有機珪素化合物のモル比a:bが、9:1〜5:5の範囲にあることが望ましい。
シリカ微粒子の形状によって、このモル比a:bの最適範囲は異なっている。シリカ微粒子が球状微粒子の場合、第二有機珪素化合物の量が多いとハードコート膜の硬度が低くなる。したがって、第一有機珪素化合物と第二有機珪素化合物のモル比a:bは、9:1〜7:3の範囲にあることが望ましい。すなわち、第二有機珪素化合物が有機珪素化合物全体の3割を超えると、柔軟性はあるものの硬度が低くなり、硬度の維持と白化の防止の両立ができなくなる。一方、非球状のシリカ微粒子の場合、第二有機珪素化合物が有機珪素化合物全体の5割程度になっても、硬度の維持と白化防止が両立できる。そのため、第一有機珪素化合物と第二有機珪素化合物のモル比a:bが、9:1〜5:5の範囲であればよい。本発明では、球状のシリカ微粒子と非球状のシリカ微粒子を以下のように定義する。すなわち、比表面積SAから換算されるSA換算粒子径とレーザー粒子径とを用いて異形度(レーザー粒子径/SA換算粒子径)を求め、異形度が0.9以上1.2未満のシリカ微粒子を球形状とし、異形度が1.2以上5.0未満のシリカ微粒子を非球状のシリカ微粒子とする。ここで、比表面積SAはBET法で測定し、レーザー粒子径は動的光散乱法(講師相関法)で測定する(使用装置:大塚電子者FPAR−1000)。なお、本発明に適したシリカ微粒子の比表面積は20〜340m2/gである。これを表1にまとめた。
Figure 2014129480
本発明のシリカゾルは、比表面積SA[m2/g]のシリカ微粒子1グラムに対して、第一有機珪素化合物と第二有機珪素化合物の合計のモル数が、α×SA×(a+b)/((am+bn)×1.2×105)の範囲になるように構成されている。このとき、第一有機珪素化合物と第二有機珪素化合物のモル比a:bが、9:1〜5:5の範囲にあることが好ましい。ここで、αは調整係数でα=1〜6、mは第一有機珪素化合物の結合基数、nは第二有機珪素化合物の結合基数である。この式は、上述の数式1と数式2から導き出すことができる。また、上述のように、シリカ微粒子が球状のシリカ微粒子の場合には、第一有機珪素化合物と第二有機珪素化合物のモル比a:bが、9:1〜7:3の範囲にあることが望ましい。
このシリカゾルを用いて、ハードコート用の塗布液が作製できる。この塗布液は、第一種の官能基を持つ第一有機珪素化合物が表面に結合されたシリカ微粒子と、第二種の官能基を持つ第二有機珪素化合物が表面に結合されたシリカ微粒子と、マトリックス成分と添加剤と光重合開始剤が分散された溶媒とを含んでいる。ここで、第一種の官能基はマトリックス成分と結合する官能基であり、第二の官能基はマトリックス成分と結合しない官能基である。シリカ微粒子と第一有機珪素化合物と第二有機珪素化合物の混合量比に関しては上述の通りである。なお、第一有機珪素化合物と第二有機珪素化合物とシリカ微粒子の総重量とマトリックス成分の重量の比は0.15:0.85〜0.8:0.2の範囲にあればよい。マトリックス成分に対してフィラーの量が少なすぎると、硬度が得られなくなるため、下限は0.15:0.85である。マトリックス成分に対してフィラーの量が多すぎると硬度は高くなるが密着性や透過率が低下する。そのため、上限は0.8:0.2である。マトリックス成分やフィラーの種類に応じて、適宜、この範囲で最適な重量比にすればよい。
このような塗布液により冒頭のハードコート膜が作製できる。ハードコート膜は、第一有機珪素化合物が表面に結合されたシリカ微粒子と、第二有機珪素化合物が表面に結合されたシリカ微粒子と、バインダー樹脂を含んでいる。そして、第一有機珪素化合物と第二有機珪素化合物とシリカ微粒子の重量和と、バインダー樹脂の重量との比は、0.15:0.85〜0.8:0.2の範囲にある。また、第一有機珪素化合物と第二有機珪素化合物のモル比a:bは、9:1〜5:5の範囲である。このような構成のハードコート膜が片面に形成されたベースフィルムを、角部が曲面で形成された筐体の表面にインモールド法で貼り付けても、ハードコート膜は角部でも透明であり、白化しない。ここで、第一有機珪素化合物と第二有機珪素化合物のモル数の合計が、α×SA×(a+b)/((am+bn)×1.2×105)の範囲にあることが好ましい。なお、αは調整係数でα=1〜6、SAは球状シリカ微粒子の比表面積[m2/g]、mは第一有機珪素化合物の結合基数、nは第二有機珪素化合物の結合基数である。
さらに、上述したシリカゾルの製造方法は以下のように要約できる。すなわち、シリカ微粒子を作製する第一工程と、シリカ微粒子を溶媒に分散させた分散液を作製する第二工程と、この分散液に第一種の官能基を持つ第一有機珪素化合物と第二種の官能基を持つ第二有機珪素化合物を加えて、シリカ微粒子の表面を第一種の官能基と第二種の官能基の少なくとも一方の官能基で修飾する第三工程と、を含んでいる。この時、第一種の官能基はマトリックス成分と結合する官能基であり、第二種の官能基はマトリックス成分と結合しない官能基である。さらに、第三工程で、第一有機珪素化合物と第二有機珪素化合物をa:b(但し、a:bは、9:1〜5:5の範囲)のモル数になるように混合し、比表面積SAのシリカ微粒子1グラムに対して、第一有機珪素化合物と第二有機珪素化合物のモル数の合計が、「α×SA×(a+b)/((am+bn)×1.2×105)」で表される範囲にあることが望ましい。ここで、αは調整係数でα=1〜6、SAはシリカ微粒子の比表面積[m2/g]、mは第一有機珪素化合物の結合基数、nは第二有機珪素化合物の結合基数である。
[実施例1]
本実施例では、シリカゾルに含まれるシリカ微粒子として、非球状シリカ微粒子を用いた場合を詳細に説明する。すなわち、本実施例のシリカゾルは、マトリックス成分と結合する特性の第一種の官能基を持つ第一有機珪素化合物が表面に結合した非球状シリカ微粒子と、マトリクス成分と結合しない特性の第二種の官能基を持つ第二有機珪素化合物が表面に結合した非球状シリカ微粒子を含んでいる。そして、第一有機珪素化合物と第二有機珪素化合物は、9:1〜5:5のモル比でシリカゾル内に存在している。
ここで、非球状シリカ微粒子とは、比表面積SAから換算されるSA換算粒子径とレーザー粒子径とを用いて異形度(レーザー粒子径/SA換算粒子径)を求め、異形度が1.2以上5.0未満の微粒子である。
以下、非球状シリカ微粒子を用いた場合を詳細に説明する。
(非球状シリカ微粒子の調製)
SiO2濃度20重量%のシリカゾル2000gにイオン交換水6000gを加えてSiO2濃度5重量%のシリカ微粒子の水分散液を作製する。この水分散液を高純度化するために、脱アルカリ処理とイオン除去処理を行う。まず、脱アルカリ処理のために、この水分散液に陽イオン交換樹脂400gを添加して、1時間撹拌する。その後、陽イオン交換樹脂は分離される。次いで、脱アニオン処理のために、陰イオン交換樹脂400gを添加して、1時間撹拌する。その後、陰イオン交換樹脂は分離される。再度脱アルカリ処理するために、陽イオン交換樹脂400gを添加し、1時間撹拌する。その後、陽イオン交換樹脂は分離される。イオン交換樹脂を添加して溶液を処理した後で、イオン交換樹脂を分離するのは必然であり、以降、本明細書では分離については記載を省略する。このようにして、SiO2濃度5重量%のシリカ微粒子の水分散液(A)を作製した。
ここでは、シリカゾルとして日揮触媒化成(株)製のSI−550を用いた。シリカ微粒子は球状で、その平均粒子径は5nmである。陽イオン交換樹脂には三菱化学(株)製のSK−1BHを、陰イオン交換樹脂には三菱化学(株)製のSANUPCを用いた。
次に、この水分散液(A)にpHが8になるように希アンモニア水を加える。これを、150℃のオートクレーブ内に16時間放置する。これにより球状のシリカ微粒子が鎖状化する。次いで、脱アルカリ処理のために、室温で陽イオン交換樹脂を添加して1時間撹拌する。さらに、脱アニオン処理のために陰イオン交換樹脂を添加して1時間撹拌する。一連の処理によりSiO2濃度が5重量%の非球状シリカ微粒子の水分散液(B)が得られる。ここで得られる非球状シリカ微粒子のSAは110m2/g、SA換算粒子径は25nm、レーザー粒子径は68nmであり、異形度は2.7となる。
次いで、SiO2濃度5重量%の水分散液(B)を限外濾過膜法によりメタノールに溶媒置換して、鎖状シリカ微粒子のアルコール分散液を作製する。このアルコール分散液をSiO2として濃度が20重量%になるように調製する。これを非球状シリカ微粒子のアルコール分散液(C)とする。
(非球状シリカ微粒子の表面改質)
次に、このSiO2濃度が20重量%のアルコール分散液(C)を2000g準備し、これに第一種の官能基を持つ第一有機珪素化合物と第二種の官能基を持つ第二有機珪素化合物を加える。本実施例では、第一有機珪素化合物として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製:KBM-503)を、第二有機珪素化合物としてメチルトリメトキシシラン (信越化学(株)製:KBM−13)を使用する。ここでは、α=2に設定し、また、a:b=7:3となるように3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(248.4g/mol)とメチルトリメトキシシラン(136g/mol)を加える。実際の添加量は、以下のように決められる。どちらの有機珪素化合物も結合基数は3なので、数式2〜4より、シリカ微粒子1グラムに対して必要な第一有機珪素化合物と第二有機珪素化合物のモル数Ca 、Cb は、Ca=2×(110×10-5/(1.2×3)×(7/10)=4.28×10-4、Cb=2×(110×10-5/(1.2×3)×(3/10)=1.83×10-4である。非球状シリカ微粒子のアルコール分散液(C)2000gには、400g(2000g×20%)のシリカ微粒子が含まれるため、実際の添加量は、第一有機珪素化合物である3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランはCa×400×248.4=42.5g、第二有機珪素化合物であるメチルトリメトキシシランはCb×400×136=10.0g必要となる。
次いで、この混合溶液を25℃で0.5時間撹拌した後、50℃に調整し、24時間熟成させる。これにより、表面改質された非球状シリカ微粒子のアルコール分散液(D)が得られる。このアルコール分散液(D)には、第一有機珪素化合物が結合された非球状シリカ微粒子と、第二有機珪素化合物が結合された非球状シリカ微粒子が共存している。このアルコール分散液(D)が本発明のシリカゾルに相当している。
(ハードコート用塗布液の調製)
アルコール分散液(D)を蒸留法でメチルイソブチルケトンに溶媒置換するとともに濃縮し、固形分濃度40重量%の表面改質非球状シリカ微粒子のメチルイソブチルケトン分散液(E)が得られる。
この固形分濃度40重量%のメチルイソブチルケトン分散液(E)100.0gと、固形分濃度44重量%のマトリックス成分溶液100.0gを混合すると、固形分濃度42重量%のハードコート用塗布液が得られる。ここで用いるマトリックス成分溶液は以下のように調製する。3官能以上の有機樹脂として6官能アクリレート樹脂であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)38.3gと、2官能有機樹脂として1、6−ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製:カヤラッドKS−HDDA)4.3gと、添加剤として1官能シリコーン樹脂である片端末メタクリルシリコンオイル(信越化学工業(株)製:X−22−174DX)0.3gと、光重合開始剤2.4.6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(ビ−エーエスジャパン(株)製:ルシリンTPO)2.5gを溶媒であるプロピレングリコールモノメチルエーテル54.6gに加える。その結果、固形分濃度44重量%のマトリックス成分溶液が100.0g得られる。
(基材にハードコート膜を形成)
上述のハードコート用塗布液を易接着PETフィルム(東洋紡製:コスモシャインA−4300、厚さ188μm、全光線透過率92.0%、ヘーズ0.7%)にバーコーター法(バー#12)で塗布する。これを80℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(120W/cm)を搭載した紫外線照射装置(日本電池製:UV照射装置CS30L21−3)を用いて600mJ/cm2 で照射して塗布液を硬化させ、厚さ5μmのハードコート膜を形成した。このようにして、フィルム基材の表面にハードコート膜が形成される。このハードコート膜をヘーズメーター(日本電色(株)製:NDH−2000)により測定したところ、全光線透過率が93.1%、ヘーズが0.8%であった。
なお、上述の「非球状シリカ微粒子の表面改質」では、非球状シリカ微粒子のアルコール分散液(C)に2種類の有機珪素化合物を同時に加えて撹拌しているが、非球状シリカ微粒子に初めに第一有機珪素化合物を加えて撹拌・熟成させ、第一有機珪素化合物を結合させてから第二有機珪素化合物を加えて撹拌・熟成させ、第二有機珪素化合物を接合させてもよい。あるいは、第一の官能基と第二の官能基を併せ持つ有機珪素化合物を加えて撹拌し、非球状シリカ微粒子の表面を第一種の官能基と第二種の官能基で修飾することもできる。
[実施例2]
本実施例では、シリカゾルに含まれるシリカ微粒子として、球状シリカ微粒子を用いた場合を詳細に説明する。本実施例のシリカゾルは、マトリックス成分と結合する特性の第一種の官能基を持つ第一有機珪素化合物が表面に結合した球状シリカ微粒子と、マトリクス成分と結合しない特性の第二種の官能基を持つ第二有機珪素化合物が表面に結合した球状シリカ微粒子を含んでいる。そして、第一有機珪素化合物と第二有機珪素化合物は、9:1〜7:3のモル比でシリカゾル内に存在している。
ここで、球状シリカ微粒子とは、比表面積SAから換算されるSA換算粒子径とレーザー粒子径とを用いて異形度(レーザー粒子径/SA換算粒子径)を求め、異形度が0.9以上1.2未満の微粒子である。
以下、球状シリカ微粒子を用いた場合を詳細に説明する。
(球状シリカ微粒子の調製)
SiO2濃度30重量%のシリカゾル2000gに純水1000gを加えてSiO2濃度20重量%のシリカ微粒子の水分散液(J)を作製する。ここでは、シリカゾルとして日揮触媒化成(株)製のカタロイドSI−30を用いた。シリカ微粒子は球状で、その平均粒子径は12nmである。ここで得られる球状シリカ微粒子のSAは227m2/g、SA換算粒子径は12nm、レーザー粒子径は12nmであり、異形度は1.0である。
次いで、SiO2濃度20重量%の水分散液(J)を2000g用意し、この水分散液(J)を限外濾過膜法により、メタノールに溶媒置換し、SiO2濃度20重量%の球状シリカ微粒子のアルコール分散液(K)を作製した。
(球状シリカ微粒子の表面改質)
次に、このSiO2濃度が20重量%のアルコール分散液(K)を2000g準備し、25℃に調節して、第一種の官能基を持つ第一有機珪素化合物と第二種の官能基を持つ第二有機珪素化合物を加える。本実施例では、第一有機珪素化合物として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製:KBM-503)を、第二有機珪素化合物としてメチルトリメトキシシラン (信越化学(株)製:KBM−13)を使用する。ここでは、α=2に設定し、また、a:b=8:2となるように3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(248.4g/mol)とメチルトリメトキシシラン(136g/mol)を加える。実際の添加量は、以下のように決められる。どちらの有機珪素化合物も結合基数は3なので、数式2〜4より、シリカ微粒子1グラムに対して必要な第一有機珪素化合物と第二有機珪素化合物のモル数Ca 、Cb は、Ca=2×(227×10-5/(1.2×3)×(8/10)=10.1×10-4、Cb=2×(227×10-5/(1.2×3)×(2/10)=2.52×10-4である。球状シリカ微粒子のアルコール分散液(K)2000gには、400g(2000g×20%)のシリカ微粒子が含まれるため、実際の添加量は、第一有機珪素化合物である3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランはCa×400×248.4=100g、第二有機珪素化合物であるメチルトリメトキシシランはCb×400×136=14g必要となる。
次いで、この混合溶液を25℃で0.5時間撹拌した後、50℃に調整し、24時間熟成させる。これにより、表面改質された球状シリカ微粒子のアルコール分散液(L)が得られる。このアルコール分散液(L)には、第一有機珪素化合物が結合された球状シリカ微粒子と、第二有機珪素化合物が結合された球状シリカ微粒子が共存している。
(ハードコート用塗布液の調製)
アルコール分散液(L)を蒸留法でメチルイソブチルケトンに溶媒置換するとともに濃縮し、固形分濃度40重量%の表面改質球状シリカ微粒子のメチルイソブチルケトン分散液(M)が得られる。
この固形分濃度40重量%のメチルイソブチルケトン分散液(M)100.0gと、固形分濃度44重量%のマトリックス成分溶液100.0gを混合すると、固形分濃度42重量%のハードコート用塗布液が得られる。これ以降は、実施例1と同様なので、詳細は省略する。
上述の各実施例では、第一有機珪素化合物に3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを、第二有機珪素化合物にメチルトリメトキシシランを使用したが、他にも以下の物質が例示できる。第一有機珪素化合物としては、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、等がある。第二有機珪素化合物としては、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、へキシルトリエトキシシラオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン等がある。
上述した2つの実施例に倣って、何種類かの試料(PETフィルム基材上にハードコート膜を作製した試料)を作製し、全光線透過率とヘーズを測定して透明性を評価するとともに、鉛筆硬度、耐擦傷性、密着性、外観、湾曲テストを以下の方法および評価基準で評価した。
(鉛筆硬度の測定)
JIS−K−5400に準じて鉛筆硬度試験器により測定した。
上述した2つの実施例で得られたハードコート用塗布液は高濃度でも安定な塗布液である。そのため、形成されたハードコート膜は、乾燥工程で高温に曝されても不安定化にならず、緻密な透明被膜となる。このため鉛筆硬度の高い透明被膜が得られる。即ち、鉛筆硬度は塗料の安定性の指標とすることができる。実用的に3H以上の評価が必要である。
(耐擦傷性の測定)
#0000スチールウールを用い、荷重500g/cm2で50回摺動し、膜の表面を目視観察し、以下の基準で評価し、結果を表に示す。
筋条の傷が認められない :◎
筋条に傷が僅かに認められる:○
筋条に傷が多数認められる :△
面が全体的に削られている :×
(密着性)
ハードコート膜の表面にナイフで縦横1mmの間隔で11本の平行な傷を付け100個の升目を作り、セロハンテープ(登録商標)を接着させ、ついで、セロハンテープ(登録商標)を剥離する。このときに被膜が剥離せず残存している升目の数を、以下の4段階に分類して密着性を評価した。
残存升目の数95個以上 :◎
残存升目の数90〜94個:○
残存升目の数85〜89個:△
残存升目の数84個以下 :×
(外観)
ハードコート膜の「はじき」及び「膜ムラ」を目視で観察し、以下の基準で評価した。
はじき及び膜ムラが認められない :◎
わずかにはじき及び膜ムラが認められる :○
はじき及び膜ムラが明瞭に認められる :△
はじき及び膜ムラが多数認められる :×
(湾曲テスト)
ハードコート膜が形成されたフィルム基材を3cm×24cmにカットし、8mmステンレス棒に7週巻き付け30℃で24時間静置した。その後の膜のクラック発生数と白化度合を目視で確認し、以下の基準で評価した。実用的には評価3以上でよい。
クラックが0本および白化がまったく認められない :5
クラックが1〜2本および白化はほとんど認められない :4
クラックが3〜10本および白化はほとんど認められない:3
クラックが11本〜50本および白化が明瞭に認められる:2
クラックが51本以上および白化が顕著に認められる :1
表2に、各試料の評価結果を示す。ここでは、有機珪素化合物の総量をα=2として算出している。また、全ての試料で実施例1と同じマトリックス成分溶液100.0gを用いている。
Figure 2014129480
Figure 2014129480
試料1は実施例1に、試料9は実施例2に相当している。試料2〜8では、非球状シリカ微粒子を用いており、試料1を基準として比較できる。試料10、11では、球状シリカ微粒子を用いており、試料9を基準として比較できる。試料11、12は2種類の有機珪素化合物を用いておらず、従来の試料に相当する。
試料2では、第二有機珪素化合物の比率を高めているため、鉛筆硬度が低下している。今回の湾曲テストでは試料1との差は出ていないが、試料1よりも白化の発生の虞は低いと考えられる。試料3では、第二有機珪素化合物の比率を低くしているため、鉛筆硬度が高い。試料1に比べて湾曲テストの評価は低いが、白化は発生していない。試料4では、SAの低いシリカ微粒子を用いている。粒子が大きいので、透明性が低下している。硬度や湾曲テストの結果は変化していない。試料5,6では、結合基数の小さい有機珪素化合物を用いている。第一有機珪素化合物または第二有機珪素化合物の結合基数を変えても、試料1と同等の膜性能が得られている。試料7では、膜中のシリカ微粒子量を少なくしている。そのため、透明性は向上するが硬度は低下している。試料8では、膜中のシリカ微粒子量を多くしている。そのため、硬度は向上するが透明性、密着性、湾曲性が低下している。
球状のシリカ微粒子を用いた試料9〜11では、非球状のシリカ微粒子を用いた試料に比べて、硬度と耐擦傷性が低い。試料10は第二有機珪素化合物の比率が高いので湾曲性は良く白化し難いが、硬度は低下している。試料11は第二有機珪素化合物の比率が低いので硬度は高いが湾曲性は低下している。
試料12は、第一有機珪素化合物が結合されたシリカ微粒子のみで構成されており、硬度は高いが、湾曲性が劣る。試料13は、第二有機珪素化合物が結合されたシリカ微粒子のみで構成されており、湾曲性は良いが、硬度は低い。いずれも実用に耐えない。一方、本発明に係る試料1〜11はいずれも実用に耐えるものであり、ハードコート膜の要求仕様に応じて、有機珪素化合物の量比などを最適に決めればよい。

Claims (15)

  1. 第一種の官能基を持つ第一有機珪素化合物が表面に結合されたシリカ微粒子と、
    第二種の官能基を持つ第二有機珪素化合物が表面に結合されたシリカ微粒子を含み、
    前記第一種の官能基はマトリックス成分と結合する官能基であり、前記第二の官能基は前記マトリックス成分と結合しない官能基であることを特徴とするシリカゾル。
  2. 前記第一有機珪素化合物と前記第二有機珪素化合物が共に表面に結合されたシリカ微粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載のシリカゾル。
  3. 前記シリカ微粒子の比表面積がSA[m2/g]であり、前記第一有機珪素化合物と前記第二有機珪素化合物がa:b(但し、a:bは、9:1〜5:5の範囲)のモル数で存在しているときに、
    前記第一有機珪素化合物と前記第二有機珪素化合物のモル数の合計が以下の式で表された範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のシリカゾル。
    α×SA×(a+b)/((am+bn)×1.2×105
    ここで、αは調整係数でα=1〜6、mは第一有機珪素化合物の結合基数、nは第二有機珪素化合物の結合基数
  4. 前記シリカ微粒子が異形度1.2以上5.0未満の非球状シリカ微粒子であり、前記第一の有機珪素化合物と前記第二有機珪素化合物のモル比が、9:1〜5:5の範囲であることを特徴とする請求項3に記載のシリカゾル。
  5. 前記シリカ微粒子が異形度0.9以上1.2未満の球状シリカ微粒子であり、前記第一の有機珪素化合物と前記第二の有機珪素化合物のモル比が、9:1〜7:3の範囲であることを特徴とする請求項3に記載のシリカゾル。
  6. シリカ微粒子を作製する第一工程と、
    前記シリカ微粒子を溶媒に分散させた分散液を作製する第二工程と、
    前記分散液に第一種の官能基を持つ第一有機珪素化合物と第二種の官能基を持つ第二有機珪素化合物を加えて、前記シリカ微粒子の表面を前記第一種の官能基と前記第二種の官能基の少なくとも一方の官能基で修飾する第三工程と、を含み、
    前記第一種の官能基がマトリックス成分と結合する官能基であり、前記第二種の官能基が前記マトリックス成分と結合しない官能基であることを特徴とするシリカゾルの製造方法。
  7. 前記第三工程で、前記第一有機珪素化合物と前記第二有機珪素化合物がa:b(但し、a:bは、9:1〜5:5の範囲)のモル数で混合され、比表面積SAのシリカ微粒子1グラムに対して、前記第一有機珪素化合物と前記第二有機珪素化合物のモル数の合計が以下の式で表される範囲にあることを特徴とする請求項6に記載のシリカゾルの製造方法。
    α×SA×(a+b)/((am+bn)×1.2×105
    ここで、αは調整係数でα=1〜6、SAはシリカ微粒子の比表面積[m2/g]、mは第一有機珪素化合物の結合基数、nは第二有機珪素化合物の結合基数
  8. 第一種の官能基を持つ第一有機珪素化合物が表面に結合されたシリカ微粒子と、
    第二種の官能基を持つ第二有機珪素化合物が表面に結合されたシリカ微粒子と、
    マトリックス成分と、添加剤と、光重合開始剤が分散された溶媒と、を含み、
    前記第一種の官能基は前記マトリックス成分と結合する官能基であり、前記第二の官能基は前記マトリックス成分と結合しない官能基であることを特徴とするハードコート用の塗布液。
  9. 前記マトリックス成分が、3官能以上の樹脂と2官能の樹脂を含むことを特徴とする請求項8に記載のハードコート用の塗布液。
  10. 前記第一有機珪素化合物と前記第二有機珪素化合物と前記シリカ微粒子の総重量と前記バインダー成分の重量との比が0.15:0.85〜0.8:0.2の間にあることを特徴とする請求項8または9に記載のハードコート用の塗布液。
  11. 前記シリカ微粒子が異形度0.9以上1.2未満の球状シリカ微粒子であり、
    前記第一有機珪素化合物と前記第二有機珪素化合物のモル比a:bが、9:1〜7:3の範囲であり、
    前記第一有機珪素化合物と前記第二有機珪素化合物のモル数の合計が以下の式で表された範囲にあることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載のハードコート用の塗布液。
    α×SA×(a+b)/((am+bn)×1.2×105
    ここで、αは調整係数でα=1〜6、SAは球状シリカ微粒子の比表面積[m2/g]、mは第一有機珪素化合物の結合基数、nは第二有機珪素化合物の結合基数
  12. 前記シリカ微粒子が異形度1.2以上5.0未満の非球状シリカ微粒子であり、前記第一の有機珪素化合物と前記第二有機珪素化合物のモル比a:bが、9:1〜5:5の範囲であり、
    前記第一有機珪素化合物と前記第二有機珪素化合物のモル数の合計が以下の式で表された範囲にあることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載のハードコート用の塗布液。
    α×SA×(a+b)/((am+bn)×1.2×105
    ここで、αは調整係数でα=1〜6、SAは非球状シリカ微粒子の比表面積[m2/g]、mは第一有機珪素化合物の結合基数、nは第二有機珪素化合物の結合基数
  13. 端部が曲げ加工された成形体と、前記成形体の一つの外表面の全面に設けられたハードコート膜と、を備える筐体であって、
    前記ハードコート膜が、バインダー樹脂と、第一有機珪素化合物が結合したシリカ微粒子と、第二有機珪素化合物が結合したシリカ微粒子とを含み、
    前記第一有機珪素化合物は前記バインダー樹脂に含まれるマトリックス成分と結合する第一種の官能基を持ち、
    前記第二有機珪素化合物は前記バインダー樹脂に含まれるマトリックス成分と結合しない第二種の官能基を持ち、
    前記第一有機珪素化合物と前記第二有機珪素化合物と前記シリカ微粒子の重量和と、前記バインダー樹脂の重量との比が、0.15:0.85〜0.8:0.2の範囲にあることを特徴とする筐体。
  14. 前記シリカ微粒子が異形度0.9以上1.2未満の球状シリカ微粒子であり、
    前記第一有機珪素化合物と前記第二有機珪素化合物のモル比a:bが、9:1〜7:3の範囲であり、
    前記第一有機珪素化合物と前記第二有機珪素化合物のモル数の合計が以下の式で表された範囲にあることを特徴とする請求項13に記載の筐体。
    α×SA×(a+b)/((am+bn)×1.2×105
    ここで、αは調整係数でα=1〜6、SAは球状シリカ微粒子の比表面積[m2/g]、mは第一有機珪素化合物の結合基数、nは第二有機珪素化合物の結合基数
  15. 前記シリカ微粒子が異形度1.2以上5.0未満の非球状シリカ微粒子であり、前記第一の有機珪素化合物と前記第二有機珪素化合物のモル比a:bが、9:1〜5:5の範囲であり、
    前記第一有機珪素化合物と前記第二有機珪素化合物のモル数の合計が以下の式で表された範囲にあることを特徴とする請求項13に記載の筐体。
    α×SA×(a+b)/((am+bn)×1.2×105
    ここで、αは調整係数でα=1〜6、SAは非球状シリカ微粒子の比表面積[m2/g]、mは第一有機珪素化合物の結合基数、nは第二有機珪素化合物の結合基数
JP2012288173A 2012-12-28 2012-12-28 ハードコート膜を備える筐体、ハードコート用の塗布液、塗布液に用いるシリカゾル、及びシリカゾルの製造方法 Active JP6317879B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012288173A JP6317879B2 (ja) 2012-12-28 2012-12-28 ハードコート膜を備える筐体、ハードコート用の塗布液、塗布液に用いるシリカゾル、及びシリカゾルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012288173A JP6317879B2 (ja) 2012-12-28 2012-12-28 ハードコート膜を備える筐体、ハードコート用の塗布液、塗布液に用いるシリカゾル、及びシリカゾルの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014129480A true JP2014129480A (ja) 2014-07-10
JP6317879B2 JP6317879B2 (ja) 2018-04-25

Family

ID=51408149

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012288173A Active JP6317879B2 (ja) 2012-12-28 2012-12-28 ハードコート膜を備える筐体、ハードコート用の塗布液、塗布液に用いるシリカゾル、及びシリカゾルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6317879B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000248198A (ja) * 1999-03-03 2000-09-12 Jsr Corp 架橋性粒子、それを含有する樹脂組成物及びその硬化物
JP2009132880A (ja) * 2007-10-30 2009-06-18 Dainippon Printing Co Ltd ハードコート層用硬化性樹脂組成物、及びハードコートフィルム
JP2011137097A (ja) * 2009-12-28 2011-07-14 Jgc Catalysts & Chemicals Ltd 透明被膜形成用塗布液ならびに透明被膜付基材、および疎水性金属酸化物粒子の製造方法
JP2012206886A (ja) * 2011-03-29 2012-10-25 Admatechs Co Ltd 無機粉体混合物及びフィラー含有組成物

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000248198A (ja) * 1999-03-03 2000-09-12 Jsr Corp 架橋性粒子、それを含有する樹脂組成物及びその硬化物
JP2009132880A (ja) * 2007-10-30 2009-06-18 Dainippon Printing Co Ltd ハードコート層用硬化性樹脂組成物、及びハードコートフィルム
JP2011137097A (ja) * 2009-12-28 2011-07-14 Jgc Catalysts & Chemicals Ltd 透明被膜形成用塗布液ならびに透明被膜付基材、および疎水性金属酸化物粒子の製造方法
JP2012206886A (ja) * 2011-03-29 2012-10-25 Admatechs Co Ltd 無機粉体混合物及びフィラー含有組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP6317879B2 (ja) 2018-04-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5078620B2 (ja) 中空シリカ微粒子、それを含む透明被膜形成用組成物、および透明被膜付基材
JP5378771B2 (ja) 反射防止膜付基材および反射防止膜形成用塗布液
JP5839993B2 (ja) シリカ・アルミナゾルの製造方法、シリカ・アルミナゾル、該ゾルを含む透明被膜形成用塗料および透明被膜付基材
JP5142617B2 (ja) 金属酸化物粒子の表面処理方法、該表面処理金属酸化物粒子を含む分散液、透明被膜形成用塗布液および透明被膜付基材
JP5757673B2 (ja) 透明被膜付基材および透明被膜形成用塗料
JP5546239B2 (ja) ハードコート膜付基材およびハードコート膜形成用塗布液
JP5700903B2 (ja) ハードコート膜付基材およびハードコート膜形成用塗布液
JP6112753B2 (ja) 透明被膜形成用塗布液ならびに透明被膜付基材、および疎水性金属酸化物粒子の製造方法
JP2009066965A (ja) 透明被膜付基材および透明被膜形成用塗料
JP2009056387A (ja) ハードコート膜付基材およびハードコート膜形成用塗布液
KR20080083249A (ko) 하드 코팅막부 기재 및 하드 코팅막 형성용 도포액
JP5754884B2 (ja) リン酸(ただし、リン酸の塩を除く)処理金属酸化物微粒子およびその製造方法、該リン酸(ただし、リン酸の塩を除く)処理金属酸化物微粒子を含む透明被膜形成用塗布液ならびに透明被膜付基材
JP5530158B2 (ja) 透明被膜付基材および透明被膜形成用塗布液
JP2018123043A (ja) シリカ系粒子分散液の製造方法、シリカ系粒子分散液、透明被膜形成用塗布液及び透明被膜付基材
JP5480743B2 (ja) 透明被膜付基材および透明被膜形成用塗料
KR102284041B1 (ko) 내스크래치성이 우수한 친수성 코팅 조성물
JP5642535B2 (ja) 新規シリカ系中空微粒子、透明被膜付基材および透明被膜形成用塗料
JP5680372B2 (ja) 透明被膜付基材および透明被膜形成用塗布液
JP5877708B2 (ja) ハードコート膜付基材および該ハードコート膜形成用塗布液
JP5837155B2 (ja) マイクロリング状無機酸化物粒子の製造方法
JP6317879B2 (ja) ハードコート膜を備える筐体、ハードコート用の塗布液、塗布液に用いるシリカゾル、及びシリカゾルの製造方法
JP5501117B2 (ja) 透明被膜付基材および透明被膜形成用塗布液
JP5766251B2 (ja) 透明被膜形成用塗料の製造方法
JP5503241B2 (ja) ハードコート膜付基材およびハードコート膜形成用塗布液

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151222

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161110

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161213

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170725

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170925

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180306

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180402

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6317879

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250