JP2014129214A - ガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法 - Google Patents

ガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法 Download PDF

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猛志 井川
Tomoyuki Igawa
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Abstract

【課題】 白色度に優れるとともに、水等の液体中で沈殿しても硬化しない微小粒子を、容易かつ効率的に製造可能な、ガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法を提供すること。
【解決手段】
ガラス質火山噴出物を原料Aとなし、焼成工程S1において、原料Aを900〜1200℃で焼成して焼成物Bとなし、分別工程S2において、焼成物Bから発泡物Cを分別し、破砕工程S3において、発泡物Cを破砕して破砕物Eとなし、所定の粒径を有する破砕物Eを本願微小粒子Fとして取り出す。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法に関する。
科学技術が大きく進歩した昨今、様々な微小粒子が、様々な分野で利用されている。かかる微小粒子のひとつとして、ガラス質火山噴出物から製造される微小粒子(すなわち、ガラス質火山噴出物に由来する微小粒子)を挙げることができる。
南九州地方に広く分布するいわゆるシラスは、ガラス質火山噴出物の一種であるが、シラスをそのまま破砕して製造される微小粒子も、広く様々な分野で利用されている。例えば、化粧品の分野においては、シラスの微小粒子を原料に用いて洗顔用せっけんが製造されている(例えば、特許文献1、非特許文献1、非特許文献2を参照)。
シラスの微小粒子を原料とした洗顔用せっけんを使うと、洗顔用せっけんの中に含まれるシラスの微小粒子が、毛穴から古い角質を取り除き、肌の肌理を整える。肌に負担をかけること無く毛穴から古い角質を取り除くためには、洗顔用せっけんの中に含まれるシラスの微小粒子の粒径は小さなものであることが好ましい。
また、特許文献1によれば、シラスの微小粒子を原料とした洗顔用せっけんを使うと、洗顔用せっけんに含まれる有用成分が、シラスの微小粒子によって皮膚の表面に搬送され、毛穴等に浸透する。
特開2011−105920号公報
"株式会社イング 長寿の里ホームページ 洗顔石けん つかってみんしゃいよか石けん"[2012年10月11日検索]インターネット<URL:http://www.chojyu.com/lp/soap_ing/index.html?xadid=ging01> "株式会社天元 きんごきんご220g"[2012年11月1日検索]インターネット<URL:http://www.yumecobo.com/shopping2012/?p=56>
白色は清潔で清楚なイメージを有することから、消費者は、白色度が高い化粧品を求める傾向がある。このため、化粧品は、高い白色度を有することが好ましいといえる。洗顔用せっけんも化粧品の一種であり、消費者は、白色度が高い洗顔用せっけんを好む傾向が高い。
洗顔用せっけんの白色度を高めるためには、基本的に、原料の白色度を高くすることが好ましい。したがって、洗顔用せっけんの原料となるシラスの微小粒子も、白色度が高いことが好ましいといえる。
しかし、本願発明者の知見によれば、シラスをそのまま破砕して微小粒子を製造しても、製造した微小粒子には色がわずかながらついている。
また、化粧品以外の分野においても、原料としてガラス質火山噴出物に由来する微小粒子を用いる場合、原料の微小粒子の色が製品の色に影響しやすい。原料の微小粒子の色が白色であれば、製品の色の制御が容易であり、着色も行いやすい。したがって、ガラス質火山噴出物に由来する微小粒子であって、且つ、白色度に優れる微小粒子を求める分野は、広く存在する。
さらに、本願発明者の知見によれば、ガラス質火山噴出物をそのまま破砕した微小粒子を水中で分散させると、微小粒子はすぐに沈殿し、硬化してしまう。このように微小粒子が水中で沈殿して硬化してしまうと、硬化した微小粒子と水とが入っている容器を揺すったりかき混ぜたりする等しても、微小粒子を水中で再び分散させることは非常に困難である。
ガラス質火山噴出物をそのまま破砕した微小粒子は、水以外の液体中で沈殿した場合にも硬化してしまう。例えば、ガラス質火山噴出物をそのまま破砕した微小粒子を液体中に分散させた化粧品においては、この微小粒子が化粧品の液体中で硬化してしまうと、元に戻すことは困難である。微小粒子が沈殿して硬化してしまった化粧品は、その商品価値が低下してしまう。このようなことを防止するためには、頻繁に化粧品の容器を振ったり、化粧品をかき混ぜる等しなければならい。このため、かかる化粧品の取扱い業者や購入者にとって、化粧品の維持にかかる手間が極めて煩雑である。
本発明は、上記問題を解決するものであり、その目的とするところは、白色度に優れるとともに、水等の液体中で沈殿しても硬化しないガラス質火山噴出物に由来する微小粒子を、容易かつ効率的に製造可能な、ガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法を提供することである。
本発明は、その課題を解決するために以下のような構成をとる。請求項1の発明に係るガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法は、ガラス質火山噴出物を原料となし、当該原料を、900〜1200℃で焼成して焼成物となす焼成工程と、前記焼成工程で得られた前記焼成物から、発泡している発泡物を分別する分別工程と、前記分別工程で得られた前記発泡物を、破砕して微小粒子とする破砕工程と、を有することを特徴とする。
請求項2の発明に係るガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法は、請求項1に記載のガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法であって、前記原料は、ガラス質火山砕屑物であり、前記原料を110℃で乾燥した際の重量と、この110℃で乾燥した前記原料をさらに950〜1050℃に加熱した後の重量と、の差が、前記原料を110℃で乾燥した際の重量の3.0〜19.0%であることを特徴とする。
請求項3の発明に係るガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法は、請求項1に記載のガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法であって、前記原料は、ガラス質火山岩であり、前記原料を110℃で乾燥した際の重量と、この110℃で乾燥した前記原料をさらに950〜1050℃に加熱した後の重量と、の差が、前記原料を110℃で乾燥した際の重量の0.1〜10.0%であることを特徴とする。
請求項4の発明に係るガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法は、請求項1から請求項3のうちのいずれかの請求項に記載のガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法であって、前記分別工程において、嵩比重が前記原料の嵩比重の1/3以下である前記焼成物を、前記発泡物として分別することを特徴とする。
請求項5の発明に係るガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法は、請求項1から請求項4のうちのいずれかの請求項に記載のガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法であって、前記原料の粒径は、X1〜X2であり(ただし、X1≦X2)、前記分別工程において、粒径がX2の1.5倍以上である前記焼成物を、前記発泡物として分別することを特徴とする。
請求項6の発明に係るガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法は、ガラス質火山噴出物を焼成して得られる発泡物を、破砕して微小粒子とする破砕工程を有することを特徴とする。
以下の説明において、「ガラス質火山噴出物を900〜1200℃で焼成して得られる発泡物」のことを、「ガラス質火山噴出物由来の発泡物」ということとする。また、「ガラス質火山噴出物由来の発泡物を破砕して得られる微小粒子」のことを、「本願微小粒子」ということとする。
さらに、以下の説明において、「原料となるガラス質火山噴出物を110℃で乾燥した際の重量」のことを、「第1の重量」ということとし、「原料となるガラス質火山噴出物を110℃で乾燥し、さらに、950〜1050℃に加熱した後の重量」のことを「第2の重量」ということとする。
ガラス質火山噴出物として、ガラス質火山岩とガラス質火山砕屑物とを挙げることができる。
ガラス質火山岩とは、真珠岩、黒曜岩、松脂岩等の総称である。ガラス質火山岩は、火山ガラスを主成分とする岩石である。
また、ガラス質火山砕屑物とは、火山活動によって地表に放出された砕片状の固体物質であり、ガラス質に富む。
ガラス質火山砕屑物として、例えば、火山礫、火山灰、シラス、シリカサンドを挙げることができる。より具体的には、ガラス質火山砕屑物として、例えば、北海道地方の俵真布白土、東北地方の中野白土、北上土、関東地方の鹿沼土、寺内土、大沢土、中部地方の木曽土、九州地方の鹿屋土、シラスを挙げることができる。さらに、九州地方のシラスとして、例えば、加久藤シラス、吉田シラス、串良シラスを挙げることができる。なお、北上土、鹿沼土、寺内土、大沢土、木曽土及び鹿屋土は、風化した火山礫である。
ガラス質火山噴出物由来の発泡物は、ガラス質の部分が発泡することにより形成された中空部分を有している。焼成前のガラス質火山噴出物に有機物が付着等していたとしても、ガラス質火山噴出物を焼成することにより、付着等していた有機物は燃焼してしまう。また、焼成前のガラス質火山噴出物に粘土鉱物が含まれていたとしても、この粘土鉱物は発泡せずに未発泡物となってしまう。したがって、ガラス質火山噴出物由来の発泡物は、無機質の発泡物である。
ガラス質火山噴出物由来の発泡物の中空部分は、外界から独立していても良いし、外界と連通していても良い。ガラス質火山噴出物由来の発泡物の内部には、粗密の程度に差こそあるものの中空部分によって海綿状構造が形成されている。ガラス質火山噴出物をそのまま焼成して得られるガラス質火山噴出物由来の発泡物においては、海綿状構造が大きく発達しやすい。
本願発明者が試行錯誤の末に得た知見に基づけば、本願微小粒子は、高い白色度を示す。ガラス質火山噴出物由来の発泡物の白色度と、本願微小粒子の白色度と、を比較すると、後者の白色度は、前者の白色度よりも高い。また、ガラス質火山噴出物をそのまま破砕して得られる微小粒子の白色度と、本願微小粒子の白色度と、を比較すると、後者の白色度は、前者の白色度よりも高い。
本願発明者が試行錯誤の末に得た知見に基づけば、ガラス質火山噴出物由来の発泡物を破砕する際、発泡していないものを一緒に破砕すると、この破砕により得られる微小粒子は、淡い黄色味や淡い茶色味を帯びる。
また、本願発明者が試行錯誤の末に得た知見に基づけば、ガラス質火山噴出物由来の発泡物を破砕する際、発泡が不完全なものの混入率を低く抑えることによって、この破砕により得られる本願微小粒子の白色度はより高くなる。
ガラス質火山噴出物由来の発泡物は、中空部分と、中空部分以外の固体部分とを有する。
これに対して、焼成していないガラス質火山噴出物や微粉炭は、中空部分を有さず、固体部分のみからなる塊状物である。このような塊状物を破砕しようとして外力を加えても、塊状物の大きさがある程度小さくなると、塊状物が外力によって転動してしまい、塊状物の破砕が進みにくい。
ガラス質火山噴出物由来の発泡物における固体部分の厚さは、固体部分のみからなる塊状物の厚さよりも、はるかに薄い。また、ガラス質火山噴出物由来の発泡物における固体部分の厚さは、必ずしも一様ではない。そして、ガラス質火山噴出物由来の発泡物の内部において、その固体部分の構造が華奢である。したがって、ガラス質火山噴出物由来の発泡物に外力が働くと、部分的な応力集中が起こりやすく、容易にその破砕が進行する。
すなわち、ガラス質火山噴出物由来の発泡物を破砕することは、固体部分のみからなるガラス質火山噴出物を破砕することよりも、はるかに容易であり、効率的である。
したがって、同じ大きさのエネルギーを用いる場合、ガラス質火山噴出物由来の発泡物を破砕して得られる本願微小粒子の方が、ガラス質火山噴出物をそのまま破砕して得られる微小粒子よりも、粒径が小さくなる。
また、本願発明者が試行錯誤の末に得た知見に基づけば、本願微小粒子の内部は、海綿状構造をなす。そして、ガラス質火山噴出物由来の発泡物の破砕が進むほど、本願微小粒子の内部において、粗い海綿状構造の部分が減少し、より緻密な海綿状構造が残る。
この結果、破砕工程を経て得られる本願微小粒子の嵩比重は、破砕工程において破砕される前のガラス質火山噴出物由来の発泡物の嵩比重よりも重くなる。また、破砕工程を経て得られる本願微小粒子は、破砕工程において破砕されるガラス質火山噴出物由来の発泡物の原料となるガラス質火山噴出物の嵩比重よりも軽くなる。
ガラス質火山噴出物をそのまま破砕しただけの微小粒子を、液体や流動性のある物質中に分散させても、しばらく時間が経過すると、せっかく分散させた微小粒子は、液体や流動性のある物質の底に沈殿してしまいやすい。あるいは、ガラス質火山噴出物の発泡物を、液体や流動性のある物質中に分散させても、しばらく時間が経過すると、せっかく分散させた発泡物は、液体や流動性のある物質の表面に浮かび上がりやすい。
このような場合において、本願発明者は、試行錯誤の末、本願微小粒子が奏する以下の作用効果を見出した。すなわち、本願微小粒子を、前記液体や流動性のある前記物質中に分散させると、時間が経過しても、分散させた本願微小粒子は、前記液体や流動性のある前記物質中で分散した状態を維持し続け、前記液体や流動性のある前記物質の底に沈殿したりすることがなく、また、前記液体や流動性のある前記物質の表面に浮かび上がることもない。このような前記液体や流動性のある前記物質として、例えば、液状、クリーム状あるいはペースト状をなすせっけん、シャンプー、化粧品、歯磨き、ワックス、接着剤、塗料等を挙げることができる。
なお、本願発明者は、本願微小粒子が、前記液体や流動性のある前記物質中で分散した状態を維持し続けることの理由について、本願微小粒子が有する緻密な海綿状構造が寄与しているものと考察している。通常であれば、本願微小粒子の海綿状構造の中空部分に前記液体や流動性のある前記物質が入り込むと考えられる。しかしながら、本願微小粒子は緻密な海綿状構造を有するため、一部の中空部分の中の空気は、前記液体や流動性のある前記物質と置換されずにそのまま残存し、本願微小粒子が、前記液体や流動性のある前記物質中で分散した状態を維持し続けると考えられる。
また、本願発明者の知見によれば、シラス等のガラス質火山噴出物をそのまま破砕しただけの微小粒子を、水中に分散させると、沈殿し、硬化してしまう。このように、一旦、水中で沈殿した微小粒子が硬化してしまうと、微小粒子が水中で分散している状態に戻すことは、非常に難しい。これは、ガラス質火山噴出物をそのまま破砕しただけの微小粒子が沈殿してしまうような液体一般において言えることである。
これに対して、本願微小粒子を、水中に分散させると、沈殿はするが、硬化しない。本願微小粒子が、水中で沈殿しても、水と本願微小粒子とが入っている容器を、ゆすったり、かきまぜたり、振ったりする等して、僅かに外力を加えるだけで、本願微小粒子は、直ちに水中に分散する。これは、本願微小粒子が沈殿してしまうような液体一般において言えることである。
本願発明者は、この理由を以下のように考察している。発泡物を破砕して得られる本願微小粒子の表面は、不規則ないびつな形状をなし、極めて多くの凹凸を有する。このため、水等の液体中で沈殿した本願微小粒子どうしの間に、充分な間隙が存在するとともに、本願微小粒子の内部にも中空部分が存在する。これらの間隙や中空部分に、水等の液体が入り込む。そして、沈殿した本願微小粒子どうしの間には、充分な量の水等の液体が存在するため、僅かな外力によって、本願微小粒子は容易に動くことができ、本願微小粒子どうしの相対的位置関係も容易に変化すると考えられる。
本願微小粒子の表面と比べると、ガラス質火山噴出物をそのまま破砕しただけの微小粒子の表面は、凹凸が少ないうえに、内部には中空部分が存在しない。このため、水等の液体中で沈殿した微小粒子どうしの間には、僅かな量の水等の液体が存在するだけであり、毛細管現象等によって、微小粒子どうしがしっかりとくっつきあい、硬化してしまうと考えられる。
焼成によりガラス質火山噴出物由来の発泡物を得る場合、その焼成温度は900〜1200℃であることが好ましい。本願発明者が試行錯誤の末に得た知見に基づけば、焼成温度が900℃未満である場合、ガラス質火山噴出物由来の発泡物において、中空部分の形成が不充分となりやすく、この発泡物を破砕するという観点から好ましくない。
また、焼成温度が1200℃を超える場合、ガラス質火山噴出物由来の発泡物が、焼成炉に融着しやすくなるとともに、焼成炉の運転コストが著しく上昇するため、好ましくない。特に、流動層式加熱炉を用いて、1200℃を超える温度で焼成する場合、ガラス質火山噴出物由来の発泡物が炉床に融着するので好ましくない。
本願発明者が試行錯誤の末に得た知見に基づけば、焼成によりガラス質火山噴出物由来の発泡物を得る場合、ガラス質火山噴出物の内部に含まれていた水分が蒸発することによって、発泡物の中に中空部分が形成されると考えられる。そして、ガラス質火山噴出物由来の発泡物の中空部分形成に寄与するのは、原料となるガラス質火山噴出物を200℃から800℃まで加熱する過程において蒸発する水分であると考えられる。この蒸発する水分は、ガラス質の融点の低下と、ガラス質の粘性の低下と、に、寄与すると考えられる。この蒸発する水分が多くなれば、発泡物における発泡率が、より大きくなり、発泡物における固体部分の厚さが、より薄くなる。
本願発明者が試行錯誤の末に得た知見に基づけば、原料となるガラス質火山噴出物において、第1の重量と第2の重量との間には、以下の関係が成立していることが好ましい。
すなわち、原料がガラス質火山砕屑物である場合、原料の第1の重量と第2の重量との差が、第1の重量の3.0〜19.0%であることが、発泡物における中空部分形成の観点から好ましい。また、原料がガラス質火山岩である場合、原料の第1の重量と第2の重量との差が、第1の重量の0.1〜10.0%であることが、発泡物における中空部分形成の観点から好ましい。さらに、原料がガラス質火山岩である場合、原料の第1の重量と第2の重量との差が、第1の重量の1.0〜10.0%であることが、発泡物における中空部分形成の観点からより好ましい。
なお、原料における第1の重量と第2の重量との差は、原料を200℃から少なくとも900℃まで加熱する過程において蒸発する水分の量に対応すると考えられる。
さらに、本願発明者が試行錯誤の末に得た知見に基づけば、原料となるガラス質火山噴出物において、200℃から少なくとも900℃まで加熱することにより蒸発する水分が多くなると、その発泡物の白色度が向上するとともに、その発泡物を破砕した本願微小粒子の白色度も向上する。
また、本願発明者が試行錯誤の末に得た知見に基づけば、ガラス質火山噴出物由来の発泡物を破砕するという観点から、ガラス質火山噴出物由来の発泡物の嵩比重は、原料であるガラス質火山噴出物の嵩比重の1/3以下であることが好ましい。ガラス質火山噴出物の焼成物のうち、その嵩比重が原料であるガラス質火山噴出物の嵩比重の1/3を超えるものは、発泡が不十分であると考えられるからである。
分別工程において、ガラス質火山噴出物の焼成物の中から、原料であるガラス質火山噴出物の嵩比重の1/3以下であるものを分別することにより、破砕工程における発泡物の破砕がより容易化され、本願微小粒子を容易かつ効率的に製造できる。また、かかる分別を行うことにより、本願微小粒子の白色度をより高くすることができる。
さらに、本願発明者が試行錯誤の末に得た知見に基づけば、ガラス質火山噴出物由来の発泡物の嵩比重は、原料であるガラス質火山噴出物の嵩比重の1/4以下であることがより好ましい。かかる分別を行うことにより、破砕工程において、発泡が不十分なものが発泡物と一緒に破砕されてしまうことを、より確実に防止できるからである。また、本願微小粒子の白色度を、さらにより高くすることができるからである。
また、本願発明者が試行錯誤の末に得た知見に基づけば、ガラス質火山噴出物由来の発泡物を破砕するという観点から、ガラス質火山噴出物由来の発泡物の粒径は、原料であるガラス質火山噴出物の粒径の1.5倍以上であることが好ましい。ガラス質火山噴出物の焼成物のうち、その粒径が原料であるガラス質火山噴出物の粒径の1.5倍に満たないものは、発泡が不十分であると考えられるからである。
原料であるガラス質火山噴出物の粒径が、X1〜X2(ただし、X1≦X2)である場合、分別工程において、ガラス質火山噴出物の焼成物の中から、粒径がX2の1.5倍以上である焼成物を分別すれば、この分別されたすべての焼成物は、原料であるガラス質火山噴出物の粒径の1.5倍以上の大きさの粒径を持つ発泡物となる。分別工程において、かかる分別を行うことにより、破砕工程における発泡物の破砕がより容易化され、本願微小粒子を容易かつ効率的に製造できる。また、かかる分別を行うことにより、本願微小粒子の白色度をより高くすることができる。
分別工程において、ガラス質火山噴出物の焼成物の中から、粒径がX1の1.5倍以上である焼成物を発泡物として分別し、この分別した発泡物を破砕工程において破砕して本願微小粒子とすることも可能である。かかる分別は、X1とX2との差が小さな場合に行うことが好ましい。なお、このような場合であっても、本願微小粒子をより容易かつより効率的に製造し、本願微小粒子の白色度をより高くする観点からは、分別工程において、ガラス質火山噴出物の焼成物の中から、粒径がX2の1.5倍以上である焼成物を発泡物として分別したほうが好ましい。
上記のようなガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法であるので、白色度に優れるとともに、水等の液体中で沈殿しても硬化しないガラス質火山噴出物に由来する微小粒子を、容易かつ効率的に製造可能である。
本願微小粒子の製造工程の説明図である。 本願発明者が実施した測定試験についての第1の説明図である。 本願発明者が実施した測定試験についての第2の説明図である。 本願発明者が実施した測定試験についての第3の説明図である。
本発明の実施の形態を図1を参照しつつ説明する。
まず、原料Aとなるガラス質火山噴出物を準備する。原料Aは、九州地方のシラスである。原料Aにおいて、第1の重量と第2の重量との差は、第1の重量の3〜8%である。また、原料Aの嵩比重はR1である。さらに、原料Aの粒径は、X1〜X2(ただし、X1≦X2)である。
次いで、原料Aを900〜1200℃でそのまま焼成して焼成物Bとする。この焼成において、原料Aに付着等していた有機物は燃焼してしまうので、焼成物Bは無機質である。また、この焼成により、原料Aに含まれていた水分が蒸発し、原料Aのガラス質が発泡し、焼成物Bの中に中空部分と固体部分とが形成される。
焼成物Bのうち、嵩比重がR1の1/3以下であるものを発泡物Cとし、嵩比重がR1の1/3を超えるものを未発泡物Dとする。発泡物Cの内部には、中空部分と固体部分とによって海綿状構造が形成されている。発泡物C中の内部には、粗い海綿状構造の部分と、緻密な海綿状構造とが混在しており、発泡物C中の内部における中空部分と固体部分との分布は不均一である。
原料Aを焼成物Bにするまでの工程が、焼成工程S1である。
次いで、焼成工程S1で得られた焼成物Bを、発泡物Cと未発泡物Dとに分別し、発泡物Cを取り出す。原料Aに含まれていた粘土鉱物は、未発泡物Dの中に入ってしまう。
焼成物Bから発泡物Cを分別して取り出す工程が、分別工程S2である。
次いで、分別工程S2で得られた発泡物Cを破砕し、破砕物Eとする。発泡物Cの破砕は、例えば、空気の流れに発泡物Cをのせて流し、発泡物Cを空気の流れと共にアルミナセラミックスに衝突させることによって行う。
発泡物Cがアルミナセラミックスに衝突すると、発泡物Cの表面や内部の固体部分に局所的な応力集中が生じ、固体部分が割れる。特に、発泡物Cの内部において、粗い海綿状構造の部分が割れやすく、結果として、破砕物E中において緻密な海綿状構造が占める割合が高くなる。
破砕物Eは、気流分級機に送られる。気流分級機において、破砕物Eは粒径に応じて分別される。所定の粒径以下の破砕物Eが、本願微小粒子Fとして取り出される。所定の粒径より大きな破砕物Eは、再度、発泡物Cと共に空気の流れにのせられ、アルミナセラミックスに衝突し、所定の粒径になるまでさらに細かく破砕され、本願微小粒子Fとして取り出される。
発泡物Cを破砕して本願微小粒子Fを取り出す工程が、破砕工程S3である。
本願微小粒子Fは、原料Aよりも嵩比重が軽く、発泡物Cよりも嵩比重が重い。このため、原料Aをそのまま破砕して得られる微小粒子や発泡物Cが分散している状態を維持できない液体や流動性のある物質に、本願微小粒子Fを分散させると、時間が経過した後も、本願微小粒子Fは分散している状態を維持できる。
そして、本願微小粒子Fを、水中に分散させると、その後、沈殿はするが、硬化しない。本願微小粒子Fが、水中で沈殿しても、水と本願微小粒子Fとが入っている容器を、揺すったり、かきまぜたり、振ったりする等して、僅かに外力を加えてやりさえすれば、本願微小粒子Fは、直ちに水中に分散する。水以外の液体の中で本願微小粒子Fが沈殿する場合であっても同様である。
また、本願微小粒子Fの白色度は、原料Aの白色度よりも高く、焼成物Bの白色度よりも高く、発泡物Cの白色度よりも高く、原料Aをそのまま破砕して得られる微小粒子の白色度よりも高い。
本実施の形態では、焼成工程S1と分別工程S2とを経た後に、発泡物Cを破砕工程S3で破砕している。この代わりに、既製品のガラス質火山噴出物由来の発泡物を、破砕工程S3において破砕し、本願微小粒子Fを得ても良い。
本実施の形態では、分別工程S2において、嵩比重がR1の1/3以下であるものを発泡物Cとし、嵩比重がR1の1/3を超えるものを未発泡物Dとした。この代わりに、嵩比重がR1の1/4以下であるものを発泡物Cとし、嵩比重がR1の1/4を超えるものを未発泡物Dとしてもよい。
本実施の形態では、分別工程S2において、嵩比重がR1の1/3以下であるものを発泡物Cとし、嵩比重がR1の1/3を超えるものを未発泡物Dとした。この代わりに、粒径がX2の1.5倍以上である焼成物Bを発泡物Cとし、粒径がX2の1.5未満である焼成物Bを未発泡物Dとしてもよい。
次に、図2〜図4を参照しつつ、本願発明者が実施した白色度と嵩比重の測定試験とその結果について述べる。
測定試験では、図2〜図4に示す実施例1〜4の本願微小粒子、原料1、2のガラス質火山噴出物、比較例1、2、8、9、12の発泡物、参考例2の微粉炭の発泡物、比較例3、4、10の未発泡物、比較例5、6、7、11の微小粒子、参考例1の微小粒子について、それぞれ、CIELAB表色系における明度を表すL*の値と、色相及び彩度を表すa*の値及びb*の値と、嵩比重Rとを測定し、測定したL*の値、a*の値、b*の値を用いてJIS Z 8715に定義される白色度指数Wを算出した。
図2に示す原料1のガラス質火山噴出物は、加久藤シラスであり、その平均粒径が180μmであり、その粒径分布が50〜500μmである。そして、原料1の加久藤シラスにおける第1の重量と第2の重量との差は、第1の重量の3〜8%である。
原料1の加久藤シラスを900〜1200℃で焼成して焼成物とし、この焼成物を粒径に応じて分別したものが、比較例1、2の発泡物と比較例3、4の未発泡物である。
比較例1の発泡物は、その平均粒径が120μmであり、その粒径分布が30〜300μmである。比較例2の発泡物は、その平均粒径が230μmであり、その粒径分布が90〜500μmである。比較例3の未発泡物は、その平均粒径が15μmであり、その粒径分布が4〜40μmである。比較例4の未発泡物は、その平均粒径が5μmであり、その粒径分布が1〜20μmである。
比較例3、4の未発泡物は、原料1の加久藤シラスに含まれていた粘土鉱物等が焼成されたものである。
比較例1、2の発泡物を一緒にして破砕することで、実施例1の本願微小粒子が得られる。実施例1の本願微小粒子は、その平均粒径が5μmであり、その粒径分布が1.5〜15μmである。なお、比較例1、2の発泡物を別々に粉砕してから、一緒にあわせて実施例1の本願微小粒子としても良い。
原料1の加久藤シラスをそのまま破砕し、この破砕物を粒径に応じて分別したものが、比較例5、6の微小粒子である。比較例5の微小粒子は、その平均粒径が5μmであり、その粒径分布が1.5〜15μmである。比較例6の微小粒子は、その平均粒径が23μmであり、その粒径分布が6〜60μmである。
原料1の加久藤シラスを破砕してから900〜1200℃で焼成して焼成物とし、この焼成物の中から粒径分布が1.5〜20μmのものを分別したものが、比較例7の微小粒子である。比較例7の微小粒子は、その平均粒径が5μmである。なお、比較例7の微小粒子の中には、発泡物と、粘土鉱物等が焼成されたものを含む未発泡物とが含まれている。
実施例1の本願微小粒子、原料1の加久藤シラス、比較例1、2の発泡物、比較例3、4の未発泡物、比較例5〜7の微小粒子は、次の表1に示す白色度指数Wと嵩比重Rとを有する。
Figure 2014129214
実施例1の本願微小粒子、原料1の加久藤シラス、比較例1、2の発泡物、比較例3、4の未発泡物、比較例5〜7の微小粒子を比較すると、白色度について以下のことがわかる。
白色度指数Wは、実施例1の本願微小粒子が最も高く、以下、比較例5、7、6の微小粒子、比較例2、1の発泡物、比較例3、4の未発泡物、原料1の加久藤シラスの順番で小さくなっている。すなわち、実施例1の本願微小粒子が最も優れた白色度を有している。
したがって、本願発明により製造される本願微小粒子(実施例1)の白色度は、この本願微小粒子を製造するための原料であるガラス質火山噴出物(原料1)の白色度よりも高く優れており、この本願微小粒子を製造するための原料から得られるガラス質火山噴出物由来の発泡物(比較例1、2)の白色度よりも高く優れており、この本願微小粒子を製造するための原料をそのまま破砕して得られる微小粒子(比較例5、6)の白色度よりも高く優れており、この本願微小粒子を製造するための原料を焼成して得られる未発泡物(比較例3、4)の白色度よりも高く優れており、この本願微小粒子を製造するための原料を破砕してから焼成して得た微小粒子(比較例7)の白色度よりも高く優れていることが、確認された。
また、実施例1の本願微小粒子、原料1の加久藤シラス、比較例1、2の発泡物、比較例3、4の未発泡物、比較例5〜7の微小粒子を比較すると、嵩比重Rについて以下のことがわかる。
すなわち、嵩比重Rは、比較例2の発泡物と比較例4の未発泡物が最も軽く、以下、比較例3の未発泡物、比較例1の発泡物、比較例7の微小粒子、実施例1の本願微小粒子、比較例5の微小粒子、原料1の加久藤シラス、比較例6の微小粒子の順番で重くなっている。
比較例1、2の発泡物、比較例3、4の未発泡物あるいは比較例7の微小粒子を分散させても、時間が経過すると分散させたものが浮かび上がってしまい、かつ、比較例5、6の微小粒子あるいは原料1の加久藤シラスを分散させても、時間が経過すると分散させたものが沈殿してしまう液体の中に、実施例1の本願微小粒子を分散させると、時間の経過に関係なく実施例1の本願微小粒子は分散した状態を維持し続けた。
次に、実施例1の本願微小粒子、比較例5、6の微小粒子を、個別に容器中で水中に分散させて様子を見た。実施例1の本願微小粒子、比較例5、6の微小粒子は、それぞれ、水中で沈殿した。
水中で沈殿した比較例5、6の微小粒子は、それぞれ硬化してしまった。比較例5の微小粒子が沈殿して硬化したものと、比較例6の微小粒子が沈殿して硬化したものとに、スコップを突き立てることは困難であった。
これに対して、水中で沈殿した実施例1の本願微小粒子は、硬化することはなく、水と実施例1の本願微小粒子とが入っている容器を、揺すったり、かきまぜたり、振ったりする等して、僅かに外力を加えてやりさえすれば、実施例1の本願微小粒子は再び水中に分散した。
図3に示す原料2のガラス質火山噴出物は、吉田シラスであり、その平均粒径が55μmであり、その粒径分布が25〜120μmである。そして、原料2の吉田シラスにおける第1の重量と第2の重量との差は、第1の重量の3〜8%である。
原料2の吉田シラスを900〜1200℃で焼成して焼成物とし、この焼成物を粒径に応じて分別したものが、比較例8、9の発泡物と比較例10の未発泡物である。
比較例8の発泡物は、その平均粒径が75μmであり、その粒径分布が30〜160μである。比較例9の発泡物は、その平均粒径が90μmであり、その粒径分布が45〜200μmである。比較例10の未発泡物は、その平均粒径が5μmであり、その粒径分布が2〜30μmである。
比較例10の未発泡物は、原料2の吉田シラスに含まれていた粘土鉱物等が焼成されたものである。
比較例8の発泡物を破砕することで、実施例2の本願微小粒子が得られる。実施例2の本願微小粒子は、その平均粒径が5μmであり、その粒径分布が1.5〜15μmである。
比較例9の発泡物を破砕することで、実施例3の本願微小粒子が得られる。実施例3の本願微小粒子は、その平均粒径が5μmであり、その粒径分布が1.5〜15μmである。
原料2の吉田シラスをそのまま破砕し、この破砕物を粒径に応じて分別したものが、比較例11の微小粒子である。比較例11の微小粒子は、その平均粒径が5μmであり、その粒径分布が1.5〜15μmである。
実施例2、3の本願微小粒子、原料2の吉田シラス、比較例8、9の発泡物、比較例10の未発泡物、比較例11の微小粒子は、次の表2に示す白色度指数Wと嵩比重Rとを有する。
Figure 2014129214
実施例2、3の本願微小粒子、原料2の吉田シラス、比較例8、9の発泡物、比較例10の未発泡物、比較例11の微小粒子を比較すると、白色度について以下のことがわかる。
白色度指数Wは、実施例2の本願微小粒子が最も高く、次いで実施例3の本願微小粒子が高く、以下、比較例11の微小粒子、比較例8、9の発泡物、比較例10の未発泡物、原料2の吉田シラスの順番で小さくなっている。すなわち、実施例2の本願微小粒子が最も優れた白色度を有し、次いで、実施例3の本願微小粒子が優れた白色度を有している。
本願発明により製造される本願微小粒子(実施例2、3)の白色度は、この本願微小粒子を製造するための原料であるガラス質火山噴出物(原料2)の白色度よりも高く優れており、この本願微小粒子を製造するための原料から得られるガラス質火山噴出物由来の発泡物(比較例8、9)の白色度よりも高く優れており、この本願微小粒子を製造するための原料をそのまま破砕して得られる微小粒子(比較例11)の白色度よりも高く優れており、この本願微小粒子を製造するための原料を焼成して得られる未発泡物(比較例10)の白色度よりも高く優れていることが、確認された。
また、実施例2、3の本願微小粒子、原料2の吉田シラス、比較例8、9の発泡物、比較例10の未発泡物、比較例11の微小粒子を比較すると、嵩比重Rについて以下のことがわかる。
すなわち、嵩比重Rは、比較例8の発泡物が最も軽く、以下、比較例10の未発泡物、比較例9の発泡物、実施例2、3の本願微小粒子、原料2の吉田シラス、比較例11の微小粒子の順番で重くなっている。
比較例8、9の発泡物、比較例10の未発泡物を分散させても、時間が経過すると分散させたものが浮かび上がってしまい、かつ、比較例11の微小粒子あるいは原料2のガラス質火山噴出物を分散させても、時間が経過すると分散させたものが沈殿してしまう液体の中に、実施例2、3の本願微小粒子を分散させると、時間の経過に関係なく実施例2、3の本願微小粒子は分散した状態を維持し続けた。
次に、実施例2、3の本願微小粒子、比較例11の微小粒子を、個別に容器中で水中に分散させて様子を見た。実施例2、3の本願微小粒子、比較例11の微小粒子は、それぞれ、水中で沈殿した。
水中で沈殿した比較例11の微小粒子は、硬化してしまった。この硬化したものに、スコップを突き立てることは困難であった。
これに対して、水中で沈殿した実施例2の本願微小粒子は、硬化することはなく、水と実施例2の本願微小粒子とが入っている容器を、揺すったり、かきまぜたり、振ったりする等して、僅かに外力を加えてやりさえすれば、実施例2の本願微小粒子は再び水中に分散した。水中で沈殿した実施例3の本願微小粒子も、実施例2の本願微小粒子の場合と同様であった。
図4に示す比較例12は、真珠岩を900〜1200℃で焼成して得られる発泡物である。比較例12の発泡物は、その粒径分布が0.6〜1200μmである。
比較例12の発泡物をそのまま破砕したものが、実施例4の本願微小粒子である。実施例4の本願微小粒子は、その平均粒径が5μmであり、その粒径分布が1.5〜10μmである。
実施例4の本願微小粒子と比較例12の発泡物は、次の表3に示す白色度指数Wと嵩比重Rとを有する。
Figure 2014129214
白色度指数Wは、実施例4の本願微小粒子のほうが比較例12の発泡物よりも高い。すなわち、実施例4の本願微小粒子は、比較例12の発泡物よりも優れた白色度を有する。
したがって、本願発明により製造される本願微小粒子(実施例4)の白色度は、この本願微小粒子を製造するために用いるガラス質火山噴出物由来の発泡物(比較例12)の白色度よりも優れていることが、確認された。
また、実施例4の本願微小粒子の嵩比重Rは、比較例12の発泡物の嵩比重Rよりも重い。
比較例12の発泡物を分散させても、時間が経過すると分散させたものが浮かび上がってしまう液体の中に、実施例4の本願微小粒子を分散させると、時間の経過に関係なく実施例4の本願微小粒子は分散した状態を維持し続けた。
次に、実施例4の本願微小粒子を、容器中で水中に分散させて様子を見た。実施例4の本願微小粒子は、水中で沈殿した。
水中で沈殿した実施例4の本願微小粒子は、硬化することはなく、容器を僅かに揺すったりかき混ぜたりする等して、僅かに外力を加えてやりさえすれば、実施例4の本願微小粒子は再び水中に分散した。
図4に示す参考例2は、微粉炭の発泡物であり、フライアッシュバルーンと言われるものである。参考例2の微粉炭の発泡物は、その平均粒径が65μmであり、その粒径分布が30〜160μmである。
なお、フライアッシュバルーンとは、火力発電所等の微粉炭燃焼ボイラーにおいて微粉炭が燃焼して生じる発泡物である。フライアッシュバルーンは、発泡により形成された中空部分を有している。微粉炭が有機物を含んでいたとしても、微粉炭の燃焼により、含まれていた有機物は燃焼してしまう。したがって、フライアッシュバルーンは、無機質の発泡物である。
フライアッシュバルーンの中空部分は、外界から独立していても良いし、外界と連通していても良い。また、フライアッシュバルーンは、多くの場合、1個の中空部分を有するが、複数個の中空部分を有する場合もある。フライアッシュバルーンが複数個の中空部分を有する場合、これらの中空部分は、外界から独立していても良いし、外界と連通していても良いし、中空部分が互いに独立していても良いし、中空部分の一部又は全部が互いに連通していても良い。
参考例2の微粉炭の発泡物をそのまま破砕したものが、参考例1の微小粒子である。参考例1の微小粒子は、その平均粒径が5μmであり、その粒径分布が1〜10μmである。
参考例2の微粉炭の発泡物と参考例1の微小粒子は、次の表4に示す白色度指数Wと嵩比重Rとを有する。
Figure 2014129214
白色度指数Wは、参考例1の微小粒子のほうが参考例2の微粉炭の発泡物よりも高い。すなわち、参考例1の微小粒子は、参考例2の微粉炭の発泡物よりも優れた白色度を有する。したがって、参考例1の微小粒子の白色度は、この微小粒子を製造するために用いるフライアッシュバルーン(参考例2)の白色度よりも優れている。
また、参考例1の微小粒子の嵩比重Rは、参考例2の微粉炭の発泡物の嵩比重Rよりも重い。
参考例2の微粉炭の発泡物を分散させても、時間が経過すると分散させたものが浮かび上がってしまう液体の中に、参考例1の微小粒子を分散させると、時間の経過に関係なく参考例1の微小粒子は分散した状態を維持し続けた。
上記のようなガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法であるので、化粧品の原料を製造・供給する産業等において有用である。
A 原料
B 焼成物
C 発泡物
D 未発泡物
E 破砕物
F 本願微小粒子
S1 焼成工程
S2 分別工程
S3 破砕工程
W 白色度指数
R 嵩比重

Claims (6)

  1. ガラス質火山噴出物を原料となし、当該原料を、900〜1200℃で焼成して焼成物となす焼成工程と、
    前記焼成工程で得られた前記焼成物から、発泡している発泡物を分別する分別工程と、
    前記分別工程で得られた前記発泡物を、破砕して破砕物とする破砕工程と、を有することを特徴とするガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法。
  2. 前記原料は、ガラス質火山砕屑物であり、
    前記原料を110℃で乾燥した際の重量と、この110℃で乾燥した前記原料をさらに950〜1050℃に加熱した後の重量と、の差が、前記原料を110℃で乾燥した際の重量の3.0〜19.0%であることを特徴とする請求項1に記載のガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法。
  3. 前記原料は、ガラス質火山岩であり、
    前記原料を110℃で乾燥した際の重量と、この110℃で乾燥した前記原料をさらに950〜1050℃に加熱した後の重量と、の差が、前記原料を110℃で乾燥した際の重量の0.1〜10.0%であることを特徴とする請求項1に記載のガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法。
  4. 前記分別工程において、嵩比重が前記原料の嵩比重の1/3以下である前記焼成物を、前記発泡物として分別することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれかの請求項に記載のガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法。
  5. 前記原料の粒径は、X1〜X2であり(ただし、X1≦X2)、
    前記分別工程において、粒径がX2の1.5倍以上である前記焼成物を、前記発泡物として分別することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれかの請求項に記載のガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法。
  6. ガラス質火山噴出物を焼成して得られる発泡物を、破砕して破砕物とする破砕工程を有することを特徴とするガラス質火山噴出物に由来する微小粒子の製造方法。
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