JP2014127889A - 回路基板およびこれを搭載した電子装置、回路基板の生産方法 - Google Patents

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剛 新海
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裕 植松
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Abstract

【課題】
本発明は伝送速度が高速化しても信号波形劣化を抑制し、高速信号伝送における信頼性を向上することを目的とするものである。
【解決手段】
回路基板であって、外的刺激によって誘電率が変化するクロミック材料を含むことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

回路基板およびこれを搭載した電子装置、回路基板の生産方法に関する。
高速電気伝送を実現するためには伝送の過程で混入するノイズを低減することが必要である。特開2011−086975号公報(特許文献1)には、ノイズ要因の一つである特性インピーダンスの不連続に起因する反射ノイズ低減を目的として、「分岐をするマイクロストリップ線路が設けられた回路基板において、分岐後のマイクロストリップ線路の幅を大きく変えることなく、かつ、既存の製造工程に大きく手を加えることなく、分岐前と分岐後の配線の特性インピーダンスを整合させることのできる回路基板を得る。」と記載されている。
特開2011−086975号公報
James F. Buckwalter、 "Signal Integrity in Reflection-Limited Channels"、 Microwave Symposium Digest、 2008 IEEE MTT-S International、 pp1565-1568 (2008).
サーバやルータおよびRAIDシステムなどの情報機器を含む電子システムではより多くの情報を処理する目的やシリアル化を目的として、1レーンあたりの伝送速度が増加しており、より早い伝送速度を実現するための高速伝送技術が必要とされている。
伝送速度の増加に伴って、周波数が高いほど伝送損失が大きいために受信端での信号振幅は減り、また、周波数が高いほど反射やクロストークは大きくなる為にクロストークや反射に起因するノイズ波増加する。そのため、信号伝送に必要なS/Nを得られない問題がある。この問題を解決する手法の一つは回路基板・プリント基板材料に低損失な材料を採用することや、回路基板の銅箔に対して表面が滑らかになるように化学的な加工を施すことによって受端での信号振幅を大きくすることであった。
特許文献1はマイクロストリップの特性インピーダンスが変化する箇所において線路の幅を変えずに特性インピーダンス整合させるように、回路基板の表面パターン保護やソルダペーストのパターニングのために用いられているレジストの誘電率を利用して、特性インピーダンスの整合を図っている。一方で、非特許文献1は線路の両端で信号が反射するような系において受信端でのアイパターンの開口が配線長に依存することを示している。このことは配線の電気長になるようにデザインすれば、信号品質が改善することを示している。特性インピーダンスや電気長はいずれも回路基板あるいはレジストの比誘電率に依存するが、この比誘電率のばらつきは実際には10%前後ばらつく。そのため、実際には比誘電率によって制御することは難しい。
回路基板伝送で混入するノイズの主要因は伝送線路間のクロストーク、特性インピーダンス不連続点での反射、符号間干渉である。差動伝送の場合、さらにコモンモードと差動モードの間でモード変換も低減すべきノイズ要因である。なぜならば、モード変換が存在すると、通常作動配線では無視できるはずのコモンモード起因のノイズが生じるためである。
上記を鑑み、本発明は伝送速度が高速化しても信号波形劣化を抑制し、高速信号伝送における信頼性を向上することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一特徴を挙げるならば、回路基板であって、外的刺激によって誘電率が変化するクロミック材料を含むことを特徴とする。
本発明によれば、伝送速度が高速化しても信号波形劣化を抑制し、高速信号伝送における信頼性を向上することができる回路基板及びこれを搭載した電子装置を提供することができる。
第1の実施形態にかかる回路基板を表した図である。 回路基板の配線長による信号品質変化のシミュレーションに用いた伝送系モデルの構成図である。 シミュレーションで得られるアイダイヤグラムの例である。 アイダイヤグラムの開口電圧と配線長の相関を示したグラフである。 要求伝送速度ごとの比誘電率と配線長の相関グラフである。 第2の実施形態にかかるコネクタの断面を表した図である。 第2の実施形態にかかるコネクタの製造プロセスを表した図である。 第2の実施形態にかかる発明の効果を説明するための図である。 第3の実施形態にかかる回路基板の断面図を表した図である。
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する.なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として、同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
図1はマイクロストリップ構造を有する回路基板の断面を表している。この回路基板はソルダレジスト001、光遮蔽膜002、信号線003、コア材料・プリプレグ004、グラウンド005からなる。
コア材料・プリプレグ004はガラスクロスを熱硬化性の樹脂に浸したものである。また、ソルダレジスト001は種々の樹脂を配合したものである。本発明ではソルダレジスト001あるいはコア材料・プリプレグ004の樹脂にフォトクロミック材料を含む材料を用いる。
ここで、フォトクロミック材料は光の照射により誘電率が変化する材料である。フォトクロミック材料としては、例えば、ニトロスピロベンゾピランやBaMgSiO4などがある。本実施例ではフォトクロミック材料を用いているが、フォトクロミックに限らず、同等の性質をもつものであれば他のクロミック材料であってもよい。
このフォトクロミック材料については、レーザなどにより光が照射されると、照射された箇所に対して局所的に誘電率を変化させることができ、信号の波長が誘電率に依存しているために信号線の電気長を可変にすることができる。
配線長あるいは電気長を適切にデザインすれば、ある信号パルスに対して遅延して受信端に到達する反射ノイズが、別の信号パルスに畳重しないようにすることができる。信号が劣化するような配線長は信号の基本周波数における波長の4分の1の奇数倍であるから、この条件を避けるように一般的にはデザインされている。
次に、配線長を変化させた際の信号品質の変化について、シミュレーションを行った結果を説明する。図2はシミュレーションに用いた伝送系モデルの構成図であり、図3は送信側からランダムな信号を受信側で観測した際に得られるアイダイヤグラムの例であり、図4はアイダイヤグラムの開口電圧と配線長の相関を示したグラフである。図2に示すように、本シミュレーションの伝送系モデルでは送信端と受信端に0.6pFの容量を対グラウンドに対して挿入し、この双端で信号が反射するようにしている。
そして送信側からのデータレートが10Gbpsのランダムな信号を受信側で観測した時に得られる図3に示したようなアイダイヤグラムの開口電圧によって信号品質を評価した。
この結果は図4に示したように伝送線路の長さLに対して約7mmの周期で開口電圧が増減していて、各増減において開口電圧は約10%変化している。伝送線路の設計者が開口電圧が極小になる条件を避けるためには、ミアンダのような配線引き回しを剃る必要があり、配線長を伸ばす長さは最大7.5mmになる。
これに対して、本発明の回路基板のように光照射により誘電率を増やすことが出来れば、配線長の物理的な長さは同じであっても電気長を長くすることによって配線長を延ばした場合と同じ効果を得られる。
すなわち、本発明は回路基板の誘電率を部分的に変化させることにより電気長を変化させることで、配線長を変化させるのと同等の効果を有し、実質的に配線長を長くすることなく信号品質の劣化を回避することができる。
よって、伝送速度が高速化しても信号波形劣化を抑制し、信頼性を向上する回路基板及びこれを搭載した電子装置を提供することができる。
なお、この例ではシングルのマイクロストリップ構造について取り上げたが、差動マイクロストリップ構造やそれ以上の多数配線のモードによって伝送する場合についても同様の方法で効果を達成することが可能である。
上記の場合において、信号の伝達速度vと距離Lを伝搬するのに要する時間tsignalとの関係は[数1]と書き表される。
Figure 2014127889
ここで、vは光速度cと伝送路の実行比誘電率ε、真空の誘電率ε0と[数2]の関係にある。
Figure 2014127889
一方、受信端で発生した反射ノイズが送信端まで戻ったのち再び受信端に到達する時間tnoiseは[数3]と書き表される。
Figure 2014127889
ノイズの影響が最も大きくなるのは、ノイズがtsignalからnビット後に受信端に到達する信号とおなじ時刻に受信端に到達するときであり、[数4]と書き表される。
Figure 2014127889
ここで、nは2以上の整数、Fはビットレートを表している。[数1]〜[数4]より、図4で認められるような配線長に対する開口電圧の振動の周期△Lは[数5]と求められる。
Figure 2014127889
ここで、λはビットレートの基本周波数に対応する波長である。ε=4、F=10GHzとすると、△L=7.5mmとなって図2のシミュレーション結果と一致する。
[数5]は開口電圧を極大にするためには最大で1/8・λ分の電気長を変えることを意味している。これを実現するために必要な誘電率の変化率は[数6]と書き表される。
Figure 2014127889
[数6]の関係をグラフにしたものが図5であり、光照射前の比誘電率がε=4の時に、光照射によってどのくらいまで比誘電率を増加させれば反射ノイズの影響が最小になるのかを表している。配線長が4mm以上の系においてフォトクロミック材料の比誘電率の現実的な変化幅(4≦ε≦6)の中でノイズが最小となるような条件を実現できることを表している。
実施例2は回路基板と回路基板を接続するライトアングル型のコネクタについての実施例である。図6はライトアングル型のコネクタの断面図を表している。
図6に示すコネクタは、中央部に隙間010を設けてその両脇にに差動の信号線006が配線されており、この信号線006のさらに外側の両脇にグラウンド008が配されている。信号線006とグラウンド008は誘電体007によって囲まれており、この誘電体007にはフォトクロミック材料が用いられている。そして誘電体007の外側は光遮蔽物009で覆われている。
差動信号線006の一方の配線を囲む誘電体007にレーザを照射することによって、局所的に誘電率を変化させることができ、これにより配線長を変化させることなく電気長を調整することができるため、差動配線を構成する2本の配線間の遅延差であるスキューを無くすことができる。
このとき差動信号線006間の隙間010があることによって、隙間010を介して分断された2つの信号配線構造の一方にのみレーザが当たるようになるため、2つの信号配線構造において異なる誘電率となるようにすることができる。
図7は本発明のコネクタの製造プロセスを表している。まず、信号線006およびグラウンド008を平板から型で打ち抜く。打ち抜いた信号線およびグラウンドは誘電体007の枠にはめ込む。はめ込んだ後に誘電体007によって、信号線006およびグラウンド008を固定する。次にレーザによって誘電体の誘電率を調整する加工を行った後、光遮蔽膜009によってコネクタを保護する。
フォトクロミック材料へのレーザ照射による誘電率の変化によるスキュー調整の仕組みは以下のような式で表される。
まず、L、Lをそれぞれ差動のp側、n側の配線長とし、ε、εをそれぞれp側、n側の伝送速度とする。このとき、p側、n側の伝達時間はそれぞれ[数7][数8]と書き表される。
Figure 2014127889
Figure 2014127889
スキューが打ち消される条件はt=tの条件であるから、[数7][数8]より[数9]と求められる。
Figure 2014127889
図8は[数9]を表したグラフである。ε=4、4≦ε≦6だとすると、約0.8倍までの物理的なスキューを補正できることを表している。
以上のことから、本発明によれは回路基板の誘電率を部分的に変化させることにより電気長を変化させることで、配線長を変化させるのと同等の効果を有し、実質的に配線長を長くすることなく信号品質の劣化を回避することができる。
よって、伝送速度が高速化しても信号波形劣化を抑制し、信頼性を向上する回路基板及びこれを搭載した電子装置を提供することができる。
図9は本発明の実施例3における回路基板である。
図9に示すようにガラスクロス013と樹脂012および銅箔011からなる基材あるいはガラスクロスに熱硬化性接着剤を染み込ませたプリプレグにおいて、ガラスクロス013にフォトクロミック材料を用いた回路基板である。
この回路基板において、ガラスクロス013同士が重なる部分にのみレーザを照射することで局所的に誘電率を変化させることができる。これにより、ガラスクロス013と樹脂012の比誘電率の違いによって生じるコモンモードと差動モードの間の変換を抑制することができる。モード変換が存在すると、本来コモンモードのノイズに対して影響を受けないはずの差動配線であっても、コモンモードノイズの影響を受けるようになる。そこで、この実施例では回路基板でモード変換が生じる原因であるガラスクロスに由来する局所的な誘電率の違いをフォトクロミック材料の可変誘電率を利用してなくし、モード変換が生じないようにすることで、モード変換由来のノイズを低減させている。
001・・・ソルダレジスト
002・・・光遮蔽膜
003・・・信号線
004・・・コア材料・プリプレグ
005・・・グラウンド
006・・・信号線
007・・・誘電体
008・・・グラウンド
009・・・光遮蔽膜
010・・・隙間
011・・・銅箔
012・・・樹脂
013・・・ガラスクロス

Claims (6)

  1. 外的刺激によって誘電率が変化するクロミック材料を含むことを特徴とする回路基板。
  2. 請求項1に記載の回路基板であって、
    回路基板は信号配線を有し、前記信号配線の全部又は一部の周囲を前記クロミック材料で覆ったことを特徴とする回路基板。
  3. 請求項1又は2に記載の回路基板であって、
    前記クロミック材料の周囲を光遮蔽部材で覆ったことを特徴とする回路基板。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の回路基板を有することを特徴とする電子装置。
  5. 回路基板の生産方法であって、
    信号配線の全部又は一部の周囲を外的刺激によって誘電率が変化するクロミック材料で覆うステップと、
    前記クロミック材料の全部又は一部に光を照射するステップと、
    を有することを特徴とする回路基板の生産方法。
  6. 請求項5に記載の回路基板の生産方法であって、
    前記光を照射するステップの後に、前記クロミック材料の周囲を光遮断部材で覆うステップを有することを特徴とする回路基板の生産方法。
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