JP2014126302A - 空気調和システム、空気調和方法及びプログラム - Google Patents

空気調和システム、空気調和方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】快適性の向上と、消費電力の削減とを同時に実現する。
【解決手段】温度取得手段40は、室内空間の温度を、異なる高さでそれぞれ取得する。高さ決定手段41は、室内空間内の居室者の姿勢に関連する情報に基づいて、居室者の姿勢に応じた高さを決定する。算出手段42は、温度取得手段40で取得された温度に基づいて、高さ決定手段41で決定された高さにおける温度情報を算出する。制御手段43は、算出手段42で算出された温度情報に基づいて、空調機を制御する。
【選択図】図3

Description

この発明は、空気調和システム、空気調和方法及びプログラムに関する。
従来より、室温と輻射温度を検知して、空調を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この技術では、起きている人を基準としており、人の姿勢までは考慮されていなかった。このため、睡眠中の横たわった人には冷房がききすぎて不快となるうえ、消費電力が大きくなってしまうという不都合があった。
そこで、人の姿勢を検出し、検出した姿勢を空気調和機の制御に利用する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この方法では、例えば、焦電型の赤外線センサにより検出された2次元画像データに基づいて、人間の領域とその形状を判別して大まかな人間の姿勢が求められる。さらに、この方法では、検出結果の誤り率が高い姿勢については、連続する画像データに基づいて動き検出を行い、その検出結果を考慮して姿勢を検出する。これにより、人間の姿勢が正確かつ容易に検出される。
この方法では、検出された人間の姿勢に基づいて、空気調和機等の機器が制御される。例えば、検出された姿勢が立位である場合には、温度が少し下げられ、風量が強められる。また、検出された姿勢が座位である場合には、温度が少し上げられる。さらに、検出された姿勢が臥位である場合には、温度が下げられ、風量が弱められる。
一方で、快適性を向上しつつ、消費電力を低減することを目的として、複数のセンサ出力を加重平均して、空気調和機の出力を制御するものが開示されている(例えば、特許文献3、4参照)。
特許文献3に開示された空調システムは、室内空間に配置された複数のセンサ出力を加重平均し、その平均値に基づいて、空調調和機を制御する。
特許文献4に開示された制御装置は、体感温度が快適温度となるように空気調和機の出力を制御する。具体的には、この制御装置では、室内温度と、床などからの輻射温度との加重平均に基づいて快適温度が求められ、体感温度が快適温度になるように空気調和機が制御される。
特公昭58−7901号公報 特許第3026380号公報 国際公開第2008/007433号 特開平4−139341号公報
上記特許文献2に開示された方法では、立位の場合に温度を下げ、座位の場合に温度を上げ、臥位の場合に温度を下げるだけで、人の姿勢に応じて温度をどの程度調整するのかについては、具体的なものが示されていない。このため、温度を下げすぎたり、上げすぎたりする可能性がある。
上記特許文献3に開示された空調システムでは、人の位置や人数を考慮して空調を行っているが、人の姿勢まで考慮して空調を行ってはいない。
上記特許文献4に開示された制御装置では、高い外気温度の影響で床などの躯体の表面温度が、冷房中の空気温度より高温になっていると、輻射熱の影響で体感温度は高くなる。ところが、実際には、室内空間内では、上と下とで空気にかなりの温度差がある。このため、体感温度が高いものとして、冷房を強くすると、かえって足元が寒くなり、体感温度が低下しすぎることがある。また、姿勢によっては、輻射よりも、床から伝わる熱伝導の方が、体感温度に大きく影響する場合がある。
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、快適性の向上と、消費電力の削減とを同時に実現することができる空気調和システム、空気調和方法及びプログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明に係る空気調和システムは、
室内空間の空調を行う空調機を備える空気調和システムであって、
前記室内空間の温度を、異なる高さでそれぞれ取得する温度取得手段と、
前記室内空間内の居室者の姿勢に関連する情報に基づいて、前記居室者の姿勢に応じた高さを決定する高さ決定手段と、
前記温度取得手段で取得された温度に基づいて、前記高さ決定手段で決定された高さにおける温度情報を算出する算出手段と、
前記算出手段で算出された温度情報に基づいて、前記空調機を制御する制御手段と、
を備える。
この発明によれば、空調機の制御に用いられる温度情報を居室者の姿勢に応じた高さに対応するものに補正することができる。これにより、居室者の実際の体感温度に合わせた空調を行うことができる。この結果、空調の過不足を極力なくすことができるので、快適性の向上と、消費電力の削減とを同時に実現することができる。
本発明の実施の形態1に係る空気調和システムの概略的な構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る空気調和システムが適用される室内空間のレイアウトを示す図である。 本発明の実施の形態1に係る計測制御装置の概略的な構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る室内空間の高さ方向の温度分布(冷房)を示すグラフである。 本発明の実施の形態1に係る室内空間の高さ方向の温度分布(暖房)を示すグラフである。 本発明の実施の形態1に係る計測制御装置の動作を示すフローチャートである。
次に、この発明に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、各構成要素の大きさや構成要素間の関係は、実際のものとは異なる場合がある。また、図面において、同一の符号を付したものは、同一の構成要素又はこれに相当するものであるとする。このことは、明細書の全文で共通である。さらに、明細書全文に記載されている構成要素の構成及び動作は、あくまでも例示であって、これらの記載に限定されるものではない。
実施の形態1.
まず、この発明の実施の形態1について説明する。
[空気調和システム1の構成]
図1には、本発明の実施の形態に係る空気調和システム1の概略的な構成が示されている。図2には、空気調和システム1の室内機21が設置される室内空間のレイアウトの一例が示されている。
まず、図1及び図2を参照して、空気調和システム1の概略的な構成について説明する。図1に示すように、空気調和システム1は、室内機21及び室外機22、すなわち空調機を備える。室内機21は屋内に設置され、室外機22は屋外に設置される。
より具体的には、図2に示すように、室内機21は、室内空間Aに空調空気を供給できるような場所(例えば、室内空間Aの壁の上部)に設置されている。室内機21より吹き出される冷風及び温風により室内空間Aの冷暖房が行われる。すなわち、この空調機は、室内空間Aの空調を行う。空気調和システム1には、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが搭載されている。室内機21と室外機22との間は、冷媒が流れる冷媒配管23と通信線24とを介して接続されている。
図1に戻り、室内機21には、室内熱交換器25が搭載されている。室外機22には、圧縮機26、室外熱交換器27、膨張弁28及び四方弁29が搭載されている。これらの機器を環状に冷媒配管23で接続することにより、冷凍サイクルが形成される。
室内機21には、室内送風機25aが搭載されている。室内送風機25aは、室内空間Aの空気を、吸い込んで、室内熱交換器25を経由させたうえで、あらためて室内空間Aに吹き出す。室外機22には、室外送風機27aが搭載されている。室外送風機27aは、屋外の空気(外気)を、吸い込み、室外熱交換器27を経由させたうえで、改めて屋外に吹き出す。
室内熱交換器25は、冷凍サイクルを流れる冷媒より供給される冷温熱と室内空気との間で熱交換を行う。この室内熱交換器25で熱交換された室内空気が空調空気として室内空間Aに供給される。これにより、室内空間Aの冷暖房が行われる。上述したように、室内熱交換器25には、室内送風機25aによって室内空気が供給される。
圧縮機26は、冷媒を圧縮して高温・高圧とする。圧縮機26は、インバータで駆動され、空調状況に応じて運転容量が制御される。室外熱交換器27は、冷凍サイクルを流れる冷媒を利用して、供給される冷温熱と室外空気との間で熱交換を行う。上述したように、室外熱交換器27には、室外送風機27aによって室外空気が供給されるようになっている。
膨張弁28は、室内熱交換器25と室外熱交換器27との間に接続されている。膨張弁28は、冷媒を減圧して膨張させる。膨張弁28は、開度が可変に制御可能なもの、たとえば電子式膨張弁等で構成されている。
四方弁29は、圧縮機26の吐出側に接続されている。四方弁29は、空気調和システム1の運転(冷房運転、暖房運転)に応じて冷媒配管23中の冷媒の流れる方向を切り替える。
室外機22には、空気調和システム1の制御を行う計測制御装置30が搭載されている。また、室内機21にも、空気調和システム1の制御を行う計測制御装置30が搭載されている。2つの計測制御装置30には、通信線24を介して協調動作を行い、空調機を制御する。以下では、2つの計測制御装置30を合わせて、単に、計測制御装置30として説明する。
室内機21には、吸込空気温度センサ31と、赤外線センサ33とが搭載されている。吸込空気温度センサ31は、室内空間Aの空調を行う室内機21の吸込空気温度を検出する。
赤外線センサ33は、室内空間A内の天井、床及び人間などの表面温度を検出する。図2には、赤外線センサ33のセンサ検出範囲が、破線で示されている。赤外線センサ33は、室内空間Aの温度分布である2次元画像データを検出可能である。この2次元画像データによれば、室内空間Aの高さが異なる複数の位置の温度を、それぞれ検出可能である。また、この2次元画像データから、室内空間A内の人間の表面温度も検出可能である。
吸込空気温度センサ31及び赤外線センサ33で検出された情報は、室内機21の計測制御装置30に送信され、通信線24を介して室外機22の計測制御装置30にも送信される。なお、通信線24は、有線、無線のいずれであってもよい。
計測制御装置30は、マイクロコンピュータである。マイクロコンピュータは、CPU及びメモリ等を備えている。計測制御装置30を構成するハードウエア資源とソフトウエアとの協調動作により、すなわちCPUがメモリに格納されたプログラムを実行することにより、計測制御装置30の機能が実現される。
計測制御装置30は、空気調和システム1の全体を統括制御する。より具体的には、計測制御装置30は、吸込空気温度センサ31、赤外線センサ33及び空気調和システム1に搭載される他の各種センサからの情報及び空調機の運転情報と、居室者の設定情報とに基づいて、空気調和システム1全体を制御する。例えば、計測制御装置30は、リモコン32等で設定された設定温度に従って、空気調和システム1を制御する。計測制御装置30は、吸込空気温度センサ31で検出される吸込空気温度に基づいて、空気調和システム1を制御する。
空気調和システム1に搭載される他のセンサとしては、例えば圧縮機26から吐出された冷媒の圧力を計測する圧力センサ、圧縮機26に吸入される冷媒の圧力を計測する圧力センサなどがある。また、このようなセンサとして、圧縮機26から吐出された冷媒の温度を計測する温度センサ、圧縮機26に吸入される冷媒の温度を計測する温度センサ、室外空気の温度を計測する温度センサ等もある。
例えば、計測制御装置30は、四方弁29の切り替え制御、膨張弁28の開度制御の他、圧縮機26の駆動周波数制御及び室内送風機25aの回転数制御、室外送風機27aの回転数制御等を行う。
図3には、計測制御装置30の概略的な構成が示されている。図3に示すように、計測制御装置30は、温度取得手段40と、高さ決定手段41と、算出手段42と、制御手段43と、を備える。
温度取得手段40は、室内空間Aの温度を、異なる高さでそれぞれ取得する。室内空間Aの温度は、例えば、赤外線センサ33のセンサ出力(2次元画像データ、すなわち室内空間Aの温度分布)から得られる。また、温度取得手段40は、2次元画像データに基づいて、室内空間A内で居室者に対向する物体(例えば床)の表面温度を取得する。温度取得手段40は、2次元画像データに基づいて、室内空間A内で居室者と接する物体(例えば床)の表面温度を取得する。また、温度取得手段40は、2次元画像データに基づいて、居室者の表面温度を取得する。
高さ決定手段41は、室内空間A内の居室者の姿勢に関連する情報に基づいて、居室者の姿勢に応じた高さを決定する。例えば、高さ決定手段41は、リモコン32の操作入力で指定された居室者の姿勢に関連する情報に基づいて、現在の居室者の姿勢に応じた高さを決定する。高さ決定手段41は、赤外線センサ33のセンサ出力(2次元画像データ)から得られる高温部の形状又はその形状の時間変化などに基づいて、室内空間A内の居室者の姿勢をある程度推測し、推測した姿勢に応じた高さを、居室者の姿勢に応じた高さとする。
算出手段42は、温度取得手段40で取得された温度に基づいて、高さ決定手段41で決定された居室者の姿勢に応じた高さにおける体感温度を算出する。この体感温度が、高さ決定手段41で決定された高さにおける温度情報である。算出手段42は、温度取得手段40で取得された物体(例えば、床)の表面温度と、高さ決定手段41で決定された居室者の姿勢に応じた高さとに基づいて、物体からの輻射の影響を考慮して、体感温度を算出する。また、算出手段42は、温度取得手段で取得された物体の表面温度と、高さ決定手段41で推測された居室者の姿勢に応じた高さとに基づいて、物体からの熱伝導の影響を考慮して、体感温度を算出する。
制御手段43は、算出手段42で算出された体感温度に基づいて、空調機を制御する。
[空気調和システム1の制御動作]
次に、空気調和システム1の制御動作について説明する。空気調和システム1は、居室者の運転開始指令により運転を開始する。居室者は、例えば、リモコン32等を操作して空気調和システム1に運転開始指令を与える。運転開始指令には、冷房運転、暖房運転などの運転モードの設定指令が含まれている。空気調和システム1では、運転開始指令が入力されると、運転モードも設定される。
[冷房動作]
冷凍サイクルの冷房動作について説明する。圧縮機26から吐出された冷媒は四方弁29を通過して室外熱交換器27へと流れる。室外熱交換器27に流入した冷媒は、室内の空気と熱交換して凝縮液化し、膨張弁28へと流れる。冷媒は膨張弁28で減圧された後、室内熱交換器25へと流れる。室内熱交換器25に流入した冷媒は室内の空気と熱交換して蒸発した後、四方弁29を通過して再び圧縮機26に吸入される。このように冷媒を流すことによって室内熱交換器25で室内の空気が冷却される。室内熱交換器25での冷媒と空気の熱交換量を冷却能力と呼ぶ。冷却能力は圧縮機26の周波数を変えるなどして調整される。
[暖房動作]
冷凍サイクルの暖房動作について説明する。圧縮機26から吐出された冷媒は四方弁29を通過して室内熱交換器25へと流れる。室内熱交換器25に流入した冷媒は空気と熱交換して凝縮液化し、膨張弁28へと流れる。冷媒は膨張弁28で減圧された後、室外熱交換器27へと流れる。室外熱交換器27に流入した冷媒は空気と熱交換して蒸発した後、四方弁29を通過して再び圧縮機26に吸入される。このように冷媒を流すことによって室内熱交換器25では、室内空気が暖められる。室内熱交換器25での冷媒と空気の熱交換量を加熱能力と呼ぶ。加熱能力は、圧縮機26の周波数を変えるなどして調整される。
[体感温度の演算]
図4には、冷房時の室内空間Aの室温の変動の一例がグラフ表示されている。図4において、縦軸は室内空間Aの床からの高さを示している。また、横軸は、床からの高さにおける温度を示している。図4に示すように、冷房中において、床の表面温度(床表面温度)及び天井の表面温度(天井表面温度)は、高い外気温度の影響を受けて室内空間Aにおける空気の温度(空気温度)よりも高温となっている。また、室内空間Aにおける空気温度は、床から天井に向かうにつれて、徐々に高くなっている。これによると、居室者の姿勢に応じた床からの高さの空気温度(人周囲空気温度)は、臥位、座位、立位の順に高くなる。室内機21は、壁掛け式の場合には、天井近くの高い場所に設置されるため、吸込空気温度センサ31で計測した吸込空気温度は、天井近くの空気温度を検出していることになる。このため、室内機21の吸込空気温度に相当する空気温度は、居室者の姿勢に応じた高さにおける温度よりもさらに高くなる。
図5では、暖房時の室内空間Aの室温の変動の一例がグラフ表示されている。図5においても、縦軸は室内空間Aの床からの高さを示している。また、横軸は、床からの高さにおける温度を示している。図5に示すように、床表面温度や天井表面温度は低い外気温度の影響を受けて暖房中の空気温度よりも低温となっている。一方、室内空間Aにおける空気の温度は、床から天井に向かうにつれて、徐々に高くなっている。すなわち、臥位の人周囲空気温度、座位の人周囲空気温度、立位の人周囲空気温度、吸込空気温度の順に、空気温度が高くなっている。
空気温度の上下温度差の最大値が、天井表面温度(T1とする)と床表面温度(T2とする)の温度差と同等であるみなした場合、居室者の周囲の温度(人周囲空気温度(T3とする))は、式(1)のように求められる。ここで、吸込空気温度をT4とする。
T3=T4−(T1−T2)×α …(1)
式(1)では、(T1−T2)×αの項により、空気の上下温度差が考慮されている。αには、床を基準とする居室者の高さに比例する値を設定することができる。例えば、αには、居室者の重心と床との距離に応じた値を設定することができる。また、αには、居室者の体感に最も影響する部位(例えば顔)と床との距離に応じた値を設定することができる。また、αには、居室者の姿勢に応じた高さごとに値を設定することができる。
天井表面温度T1及び床表面温度T2については、赤外線センサ33により検出するようにしてもよいし、天井や床に温度センサを設置し、その温度センサによって検出するようにしてもよい。
また、赤外線センサ33のセンサ出力を用いて壁表面の上下温度差(ΔT1とする)を検出し、以下の式(1)’を用いて、人周囲空気温度T3を求めるようにしてもよい。
T3=T4−ΔT1×α …(1)’
式(1)’では、壁表面の上下温度差ΔT1に代えて、上下温度勾配ΔT2を用いてもよい。
体感温度(T6とする)は、以下の式(2)を用いて求められる。ここで、T7は、居室者の表面温度である。
T6=T3+(T2−T3)×β+(T2−T7)×γ …(2)
上記式(2)では、(T2−T3)×βの項で居室者に対する床からの輻射の影響が考慮されている。また、(T2−T7)×γの項で床から居室者に伝わる熱伝導の影響が考慮されている。
輻射の影響は、居室者の姿勢に応じた高さによって変わる。このため、βは、居室者の姿勢に応じた床からの高さに比例する係数となっている。係数βには、様々な値を設定することができる。例えば、居室者の重心と床との距離に応じた値をβとして設定することができる。また、居室者の体感に最も影響する部位(例えば顔)と床との距離に応じた値をβとして設定することができる。また、居室者の姿勢ごとに定められた高さ毎の固定値をβとして設定することができる。また、床表面温度T2に限らず、天井表面温度T1や壁表面温度を用いて天井及び壁の輻射の影響を考慮して、体感温度T6を算出するようにしてもよい。
熱伝導の影響は、居室者と床が接する面積や床の材質に依存する。このため、γについては、例えば居室者の姿勢ごとに値を設定することができる。また、居室者の重心と床との距離に応じた値を設定することができる。γの値については、床の材質によって値を変更することができる。すなわち、計測制御装置30(算出手段42)は、床の材質を考慮して、γの値を決定する。
人表面温度T7、すなわち体温は、例えば36℃などの固定値を入力することができる。また、赤外線センサ33で検出した2次元画像データに基づく人間の皮膚や衣服の表面温度を用いることができる。また、床表面温度T2としては、床の表面温度に限らず、カーペット、畳、布団、ソファー等の表面温度でもよい。すなわち、居室者と接する物体の表面温度であればよい。また、床表面温度T2と人表面温度T7の差として、床表面温度T2と人表面温度T7の温度勾配を用いてもよい。
すなわち、計測制御装置30(算出手段42)は、居室者の姿勢に応じた高さに対応する係数βと、室内空間A内で居室者に対向する物体(床)の表面温度T2と、人周囲空気温度T3とに基づいて、床からの輻射の影響を考慮して(T2−T3)×βを求め、人周囲空気温度T3をさらに補正する。
また、計測制御装置30(算出手段42)は、居室者の姿勢に応じた高さに対応する係数γと、室内空間A内で居室者と接する物体(床)の表面温度T2と、居室者の表面温度T7とに基づいて、床からの熱伝導の影響を考慮して(T2−T7)×γを求め、人周囲空気温度T3をさらに補正する。この場合、計測制御装置30(温度取得手段40)は、赤外線センサ33のセンサ出力に基づいて、取得された居室者の表面温度を取得するようにしてもよい。
[係数α、β、γの決定方法]
係数α、β、γは、高さ決定手段42で決定された高さに基づいて、算出手段42によって決定される。係数α、β、γを決定する方法には、居室者の姿勢及び居室者に用いられる設備に対して予め割り当てられた係数を用いる方法と、居室者の重心と床との距離によって決定する方法と、居室者の顔と床との距離によって決定する方法とがある。以下では、予め割り当てられた係数を用いる方法、居室者の重心と床との距離の求め方、居室者の顔と床との距離の求め方について、それぞれ説明する。
[予め割り当てられた係数を用いる方法]
まず、予め割り当てられた係数を用いる方法について説明する。
この場合、例えば、リモコン32などを用いて、居室者が姿勢又は居室者が使用する室内設備を入力する。例えば、立位、座位、臥位などの姿勢を、リモコン32を操作して居室者が選択できるようにすればよい。また、室内設備として、ソファー、椅子、敷き布団、ベッドなどを、リモコン32を操作して居室者が選択できるようにしてもよい。ソファー、椅子の場合には、居室者の姿勢は、座位とみなすことができ、敷き布団、ベッドの場合の場合には、居室者の姿勢は臥位とみなすことができる。立位、座位、臥位、ソファー、椅子、敷き布団、ベッドなどには、予めそれぞれの係数α、β、γの値が割り当てられている。高さ決定手段41は、居室者の入力操作に対応して、予め設定された体感温度や新設定温度の演算に使用する係数α、β、γの値を決定する。
なお、計測制御装置30(高さ決定手段41)は、赤外線センサ33から得られる2次元画像データから、居室者(高温部)を抽出し、高温部の形状や時間変化から、立位、座位、臥位などの姿勢を推測するようにしてもよい。
[居室者の重心位置と床との距離]
続いて、居室者の重心と床との距離の求め方について説明する。リモコン32などで居室者が姿勢又は使用する設備を入力する。姿勢又は使用する設備には、上述のように、立位、座位、臥位、ソファー、椅子、敷き布団、ベッドなどの選択肢がある。立位、座位、臥位、ソファー、椅子、敷き布団、ベッドなどの入力操作に応じて、居室者の姿勢に応じた高さ、すなわち居室者の重心と床との代表的な距離(統計的に予め求められた距離)が決定される。体感温度T6の演算に使用される係数α、β、γの値は、上述のように、各姿勢での代表的な距離に基づいて決定される。
また、計測制御装置30(高さ決定手段41)は、赤外線センサ33から得られる2次元画像データに基づいて居室者(高温部)を抽出する。計測制御装置30(高さ決定手段41)は、抽出した高温部の形状や時間変化に基づいて、居室者の姿勢を推測し、推測した姿勢に対応して予め定められている代表的な重心と床との距離を居室者の姿勢に応じた高さとして採用する。
また、計測制御装置30(高さ決定手段41)は、赤外線センサ33から得られる2次元画像データ(温度分布)に基づいて、居室者(高温部)の中心を検出し、高温部の中心から底部までの距離を、居室者の重心と床との距離を、居室者の姿勢に応じた高さとして演算により求めるようにしてもよい。
[居室者の顔と床との距離]
居室者の顔と床との距離の求め方について説明する。居室者が、リモコン32などに姿勢又は設備の使用状態を入力する。居室者の姿勢又は使用する設備には、上述のように、立位、座位、臥位、ソファー、椅子、敷き布団、ベッドなどの選択肢がある。立位、座位、臥位、ソファー、椅子、敷き布団、ベッドなどの入力操作に応じて、居室者の顔と床の代表的な距離が決定される。体感温度や新設定温度の演算に使用する係数α、β、γの値は、この代表的な距離によって決定される。
また、計測制御装置30(高さ決定手段41)は、赤外線センサ33のセンサ出力(2次元画像データ)から、居室者(高温部)を抽出し、高温部の形状や時間変化に基づいて居室者の姿勢を推測し、推測した姿勢に対して予め割り当てられている顔と床との代表的な距離を、居室者の姿勢に応じた高さとして決定するようにしてもよい。
また、計測制御装置30(高さ決定手段41)は、赤外線センサ33のセンサ出力(2次元画像データ)から、居室者(高温部)の上部の位置を検出し、高温部の上部の位置から底部までの距離を、居室者の顔と床との距離(居室者の姿勢に応じた高さ)として決定するようにしてもよい。
図6には、計測制御装置30の動作を示すフローチャートが示されている。図6に示すように、計測制御装置30(温度取得手段40)は、天井表面温度T1、床表面温度T2、壁表面の上下温度等、室内空間Aの温度を、異なる高さでそれぞれ取得する温度取得工程を行う(ステップS11)。
続いて、計測制御装置30(高さ決定手段41)は、室内空間A内の居室者の姿勢に応じた高さを決定する高さ決定工程を行う(ステップS12)。
計測制御装置30(算出手段42)は、温度取得手段40で取得された温度に基づいて、高さ決定手段41で決定された居室者の姿勢に応じた高さに対応する係数α、β、γを決定し、上述の式を用いて体感温度T6を算出する算出工程を行う(ステップS13)。
続いて、計測制御装置30(制御手段43)は、算出手段42で算出された体感温度T6に基づいて、空調機を制御する制御工程を行う(ステップS14)。具体的には、制御手段43は、体感温度T6が設定温度に近づくように、体感温度T6と設定温度との差に応じて圧縮機26の運転容量を制御する。体感温度T6と設定温度との温度差が大きい場合、制御手段43は、圧縮機26の容量を大きくして、空気調和システム1の加熱能力又は冷却能力が大きくなるようにして、設定温度への収束を早めるように空気調和システム1を制御する。また、制御手段43は、体感温度(T6)と設定温度との温度差が小さい場合、圧縮機26の容量を小さくし、空気調和システム1の加熱能力又は冷却能力が小さくなるようにして、室内空間Aが過剰に加熱又は冷却されることを回避するように空気調和システム1を制御する。このようにして、空気調和システム1は、室内温度が安定するように運転される。
圧縮機26は、その運転容量が例えば体感温度T6と設定温度の温度差に比例して増加するように制御される。この場合、圧縮機26の最大容量を100%とすると、温度差が1℃で運転容量40%、温度差が2℃で運転容量70%、温度差が3℃以上で運転容量100%となるように圧縮機26が制御される。計測制御装置30(制御手段43)は、体感温度が設定温度に到達すると、圧縮機26の運転を停止し、体感温度と設定温度との温度差が所定温度(例えば1℃)以上となると、再び圧縮機26を起動する。空気調和システム1の運転効率は、圧縮機26の運転容量が低いほど一般的に高くなる。
続いて、計測制御装置30は、処理を終了するか否か判定する(ステップS15)。例えば、居室者の操作入力で処理の終了が指令されていなければ(ステップS15;No)、計測制御装置30は、ステップS11に戻る。一方、処理の終了が指令されていれば(ステップS15;Yes)、計測制御装置30は、処理を終了する。
(実施形態1の効果)
以上詳細に説明したように、この実施の形態によれば、上述のようにして体感温度T6を求めることで、以下のような効果を得ることができる。
[姿勢を考慮した効果:空気の上下温度差を考慮した効果]
居室者の姿勢に応じて適切な高さで求められた体感温度で空調制御が行われる。これにより、例えば冷房中、床表面温度が吸込空気温度よりも高くても、足元の温度が高いと誤って判断して足元の空気温度が必要以上に低下するのを防止することができる。また、居室者の姿勢の高さに応じた適切な高さで求められた人の周囲の空気温度で空調制御が行われる。例えば、冷房中では、座位や臥位のように姿勢が低いほど、人の周囲空気温度が低くなるように算出される。このため、運転容量を小さくして冷やしすぎを防止し、快適性を向上することができるうえ、消費電力を削減することができる。
[姿勢を考慮した効果:人周囲空気温度と床表面温度から輻射を考慮した効果]
人周囲空気温度T3と床表面温度T2から輻射の影響を考慮して体感温度が求められる。これにより、体感温度T6の推定精度を向上することができる。この結果、快適性を向上するとともに過剰冷房や過剰暖房を防いで、消費電力を削減することができる。
[姿勢を考慮した効果:居室者と床との熱伝導を考慮した効果]
床と人との熱伝導の影響を考慮して、人の体感温度T6が演算される。このため、例えば、座位及び臥位などのように、床などの躯体との接する面積が大きい姿勢となっている場合には、床の冷たさでひんやり感じる体感を空調制御に反映することができるようになる。この結果、運転容量を小さくして冷やしすぎを防止し、快適性を向上することができるうえ、消費電力を削減することができる。
[居室者の重心と床との距離を使用する効果]
居室者の重心と床との距離に応じて体感温度が求められる。これにより、様々な居室者の姿勢に対して汎用的な制御が可能となる。この結果、快適性を向上することができるうえ、過剰冷房や過剰暖房を防いで消費電力を削減することができる。
[居室者の顔と床との距離を使用する効果]
顔と床との距離に応じて体感温度が求められる。顔は常に露出しており衣服を着用している部分よりも高感度に温冷を感じるため、居室者の体感に最も影響する部位である。顔の体感温度で空調制御を行えば、居室者の快適性を向上することができる。また、過剰冷房や過剰暖房を防いで消費電力を削減することができる。また、顔は、外部に露出しており、周囲の床及び壁よりも高温であるため、赤外線センサ33で検出するのが容易である。
[居室者の姿勢によって係数を決定する効果]
体感温度を求める際に、居室者の姿勢に応じた高さ毎に係数を定めることで、係数の決定方法を単純化することができる。これにより、計測制御装置30の計算処理の負荷を少なくすることができる。
[リモコンによる操作入力と自動検出、それぞれの効果]
リモコン操作で、人の姿勢などを入力するので、正確な姿勢情報が得られ誤検知のおそれが少なくなる。また、赤外線センサ33で検出された高温部の形状や時間変化に基づいて、自動的に、姿勢、重心と床との距離、顔と床との距離を求める場合には、居室者の操作が不要になるので、利便性が向上する。
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2について説明する。
この実施の形態では、吸込空気温度を補正して体感温度を求めるのではなく、設定温度を補正する。この実施の形態では、上記実施の形態1と同様な事柄については、説明を省略し、実施の形態1と異なる点についてのみ説明する。
[新設定温度の演算]
この実施の形態では、計測制御装置30(算出手段42)は、体感温度T6を求めるのではなく、天井表面温度T1と床表面温度T2と人周囲空気温度T3と居室者の表面温度T7とに基づいて、以下の式(3)を用いて設定温度T11を補正して、新設定温度T12を求める。
T12=T11+(T1−T2)×α’+(T3−T2)×β’+(T2−T7)×γ’ …(3)
この式では、天井表面温度T1と床表面温度T2の差(T1−T2)に基づいて、室内空気の上下温度差が考慮されている。また、人周囲空気温度T3と床表面温度T2の差(T3−T2)に基づいて、室内の輻射の影響が考慮されている。さらに、床表面温度T2と人表面温度T7との差(T2−T7)に基づいて、熱伝導の影響が考慮されている。すなわち、室内空気の上下温度差と、室内の輻射の影響と、熱伝導の影響とに基づいて、新設定温度T12が設定されている。
α’は居室者の姿勢に応じた高さに比例して変わる係数である。例えば、居室者の重心と床との距離に応じてα’の値を設定することができる。また、居室者の体感に最も影響する部位(例えば顔)と床との距離に応じてα’の値を設定することができる。また、居室者の姿勢ごとに固定的に1つの値をα’の値として設定することができる。天井表面温度T1と床表面温度T2は、赤外線センサ33の2次元画像データから検出するようにしてもよいし、直接、天井や床に温度センサを設置し、その温度センサで検出するようにしてもよい。
また、赤外線センサ33により壁表面の上下温度ΔT1を検出し、上記式(3)の代わりに、以下の式(3)’を用いて、新設定温度T12を求めるようにしてもよい。
T12=T11+ΔT1×α’+(T3−T2)×β’+(T2−T7)×γ’ …(3)’
壁表面の上下温度差ΔT1は、上下温度勾配ΔT2でもよい。
輻射の影響は居室者と床との距離などによって変わる。このため、β’は居室者の姿勢に応じた高さに比例する係数となる。例えば、居室者の重心と床との距離に応じてβ’の値を設定することができる。また、居室者の体感に最も影響する部位(例えば顔)と床との距離に応じてβ’の値を設定することができる。また、居室者の姿勢に応じた高さごとに定められている固定値をβ’の値として用いることができる。
熱伝導の影響は居室者と床が接する面積や床の材質に依存する。このため、例えば居室者の姿勢に応じた高さに基づいて、γ’の値を設定することができる。例えば、居室者の重心と床との距離に応じてγ’の値を設定することができる。なお、床の材質によってγ’の値を変更するようにしてもよい。α’、β’、γ’は、算出手段42によって決定される。
居室者の表面温度については、例えば標準的な人間の体温である36℃などの固定値を用いてもよいし、赤外線センサ33で検出された人間の皮膚や衣服の表面温度を用いてもよい。また、床表面温度T2の代わりに、カーペット、畳、布団、ソファー等の表面温度をT2として用いてもよい。要は、床表面温度T2は、居室者と接する物体の表面温度であればよい。また、床表面温度T2と人表面温度T7の差は、床表面温度T2と人表面温度T7の温度勾配であってもよい。
そして、計測制御装置30(制御手段43)は、吸込空気温度が、新設定温度に近づくように、吸込空気温度と新設定温度の差に応じて圧縮機の容量を制御する。計測制御装置30(制御手段43)は、吸込空気温度と新設定温度との温度差が大きい場合、圧縮機26の容量を大きくし、空気調和システム1の加熱能力又は冷却能力が大きくなるようにして、新設定温度への収束を早めるように空気調和システム1を制御する。また、計測制御装置30(制御手段43)は、吸込空気温度と新設定温度との温度差が小さい場合、圧縮機26の容量を小さくし、空気調和システム1の加熱能力又は冷却能力が小さくなるようにして、室内空間Aが過剰に加熱又は冷却されることを回避するように空気調和システム1を制御する。このようにして、空気調和システム1は、室内温度が安定するように運転される。
圧縮機26は、その運転容量が、例えば吸込空気温度と設定温度の温度差に比例して増加するように制御される。この場合、圧縮機26の最大容量を100%とすると、温度差が1℃で運転容量40%、温度差が2℃で運転容量70%、温度差が3℃以上で運転容量100%となるように圧縮機26が制御される。空気調和システム1は、吸込空気温度が新設定温度に到達すると、圧縮機26の運転を停止し、吸込空気温度と設定温度との温度差が所定温度(例えば1℃)以上になると、再び圧縮機26を起動する。空気調和システム1の運転効率は、圧縮機26の運転容量が低いほど一般的に高くなる。
(実施形態2の効果)
以上詳細に説明したように、上述のようにして新設定温度T12を求めることで、以下のような効果を得ることができる。
[姿勢を考慮した効果:空気の上下温度差を考慮した効果]
人の姿勢に応じた適切な高さに対応する新設定温度で空調制御が行われる。これにより、例えば冷房中に床表面温度が吸込空気温度よりも高い場合であっても、足元の温度が高いと誤って判断して、足元の空気温度が必要以上に低下するのを防止することができる。また、人の姿勢の高さに応じた適切な高さで求められた人の周囲の空気温度で空調制御が行われる。例えば、冷房中では、座位や臥位のように姿勢が低いほど、人の周囲空気温度は低くなるように算出される。このため、運転容量を小さくして冷やしすぎを防止し、快適性を向上することができるうえ、消費電力を削減することができる。
[姿勢を考慮した効果:人周囲空気温度と床表面温度から輻射を考慮した効果]
人周囲空気温度T3と床表面温度T2から輻射の影響を考慮して新設定温度T12を求める。これにより、体感温度の推定精度を向上することができる。この結果、快適性を向上するとともに過剰冷房や過剰暖房を防いで、消費電力を削減することができる。
[姿勢を考慮した効果:居室者と床との熱伝導を考慮した効果]
床と人との熱伝導の影響を考慮して、新設定温度を演算した。このため、例えば、座位や臥位などのように、床などの躯体との接する面積が大きい姿勢となっている場合には、床の冷たさでひんやり感じる体感が空調制御を反映することができるようになる。この結果、運転容量を小さくして冷やしすぎを防止し、快適性を向上することができるうえ、消費電力を削減することができる。
[居室者の重心と床との距離を使用する効果]
居室者の重心と床との距離に応じて設定温度を補正することで、様々な姿勢に対して汎用的な制御となる。この結果、快適性を向上することができるうえ、過剰冷房や過剰暖房を防いで消費電力を削減することができる。
[居室者の体感に最も影響する部位と床との距離を使用する効果]
居室者の体感に最も影響する部位と床との距離に応じて設定温度を補正することで、体感を精度良く空調制御に反映することができる。この結果、居室者の快適性を向上するとともに過剰冷房や過剰暖房を防いで消費電力を削減することができる。このような部位は、例えば、腕であってもよいし、足であってもよいし、腹部などの胴体であってもよい。
[居室者の顔と床との距離を使用する効果]
顔と床との距離に応じて設定温度を補正する。顔は常に露出しており衣服を着用している部分よりも高感度に温冷を感じるため、顔における体感温度で空調制御を行えば、居室者の快適性を向上することができる。また、過剰冷房や過剰暖房を防いで消費電力を削減することができる。また、顔は、外部に露出しており、周囲の床や壁よりも高温であるため、赤外線センサ33で検出するのが容易である。
[居室者の姿勢によって係数を決定する効果]
設定温度を補正する際に、居室者の姿勢に応じた高さごとに係数を定めることで、係数の決定方法を単純化することができる。これにより、計測制御装置30の計算処理の負荷を少なくすることができる。
[リモコンによる情報入力と自動検出、それぞれの効果]
リモコン操作で、居室者の姿勢などを入力するので、正確な姿勢情報が得られ誤検知のおそれが少なくなる。また、赤外線センサ33で検出された高温部の形状や時間変化に基づいて、自動的に、姿勢、重心と床との距離、顔と床との距離を求める場合には、居室者の操作が不要になるので、利便性が向上する。
また、居室者の姿勢に応じた高さは、居室者の重心の高さと、居室者の体感に最も影響する部位の高さと、居室者の姿勢及び設備の使用状態毎に定められた高さとのいずれかとすることができる。
さらには、高さ決定手段41は、赤外線センサ33で検出される室内空間Aの温度分布に基づいて、居室者の姿勢を推測する。この場合、居室者の重心を居室者の姿勢に応じた高さとする場合に、赤外線センサ33で検出される室内空間Aの温度分布における高温部の形状の中心から底部までの距離を、その高さとして算出するようにしてもよい。また、居室者の顔の高さを居室者の姿勢に応じた高さとする場合に、赤外線センサ33で検出される室内空間Aの温度分布における高温部の形状の上部から底部までの距離を、その高さとして算出するようにしてもよい。
また、高さ決定手段41は、居室者の操作入力に基づいて、居室者の姿勢に応じた高さを決定するようにしてもよい。例えば、リモコン32の「ねむり運転ボタン」が押下された場合には、臥位であると判定し、臥位に応じた高さを、居室者の姿勢に応じた高さとすることができる。
なお、居室者の姿勢の推測方法は、以下のものには限られない。例えば、照度センサで照度が所定レベル以下となっている場合には、就寝中で臥位であると推測するようにしてもよい。また、時刻によって人の姿勢を推測するようにしてもよい。例えば、タイマを用いて夜0時〜6時では、臥位であると推測するようにしてもよい。すなわち、照度、時刻などは、すべて室内空間内の居室者の姿勢に関連する情報である。
また、赤外線センサ33でなく、他の画像センサで居室者の画像を撮像し、その撮像結果に基づいて、居室者の姿勢を推測するようにしてもよい。
なお、上記実施の形態では、床表面温度及び天井表面温度等から、居室者の姿勢に応じた高さでの温度を取得したが、室内空間Aにおける様々な高さの空気温度に基づいて、居室者の姿勢に応じた高さでの温度を取得するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、居室者の姿勢を正確に推測した。しかしながら、居室者の姿勢に応じた高さを求めればよいのであって、居室者の姿勢を厳密に求める必要はない。
なお、上記実施の形態において、実行されるプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto-Optical Disk)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行するシステムを構成することとしてもよい。
また、プログラムをインターネット等の通信ネットワーク上の所定のサーバ装置が有するディスク装置等に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、ダウンロード等するようにしてもよい。
また、上述の機能を、OS(Operating System)が分担して実現する場合又はOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納して配布してもよく、また、ダウンロード等してもよい。
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
この発明は、冷房動作や暖房動作、すなわち空調制御を行う空気調和システムに好適である。
1 空気調和システム、21 室内機、22 室外機、23 冷媒配管、24 通信線、25 室内熱交換器、25a 室内送風機、26 圧縮機、27 室外熱交換器、27a 室外送風機、28 膨張弁、29 四方弁、30 計測制御装置、31 吸込空気温度センサ、32 リモコン、33 赤外線センサ、40 温度取得手段、41 高さ決定手段、42 算出手段、43 制御手段

Claims (15)

  1. 室内空間の空調を行う空調機を備える空気調和システムであって、
    前記室内空間の温度を、異なる高さでそれぞれ取得する温度取得手段と、
    前記室内空間内の居室者の姿勢に関連する情報に基づいて、前記居室者の姿勢に応じた高さを決定する高さ決定手段と、
    前記温度取得手段で取得された温度に基づいて、前記高さ決定手段で決定された高さにおける温度情報を算出する算出手段と、
    前記算出手段で算出された温度情報に基づいて、前記空調機を制御する制御手段と、
    を備える空気調和システム。
  2. 前記温度取得手段は、
    前記居室者に対向する物体の表面温度を取得し、
    前記算出手段は、
    前記温度取得手段で取得された前記物体の表面温度と、前記高さ決定手段で決定された高さとに基づいて、前記物体からの輻射の影響を考慮して、前記居室者の姿勢に応じた高さにおける温度情報を算出する、
    請求項1に記載の空気調和システム。
  3. 前記温度取得手段は、
    前記居室者と接する物体の表面温度を取得し、
    前記算出手段は、
    前記温度取得手段で取得された前記物体の表面温度と、前記高さ決定手段で決定された高さとに基づいて、前記物体からの熱伝導の影響を考慮して、前記居室者の姿勢に応じた高さにおける温度情報を算出する、
    請求項1又は2に記載の空気調和システム。
  4. 前記温度取得手段は、
    前記室内空間に設けられた赤外線センサのセンサ出力に基づいて、前記居室者の表面温度を取得し、
    前記算出手段は、
    前記温度取得手段で取得された前記居室者の表面温度と、前記物体の表面温度との差に基づいて、前記物体からの熱伝導の影響を考慮して、前記居室者の姿勢に応じた高さにおける温度情報を算出する、
    請求項3に記載の空気調和システム。
  5. 前記算出手段は、前記物体の材質を考慮して、前記物体からの熱伝導の影響を考慮して、前記居室者の姿勢に応じた高さにおける温度情報を算出する、
    請求項3又は4に記載の空気調和システム。
  6. 前記高さ決定手段は、
    前記居室者の重心の高さを、前記居室者の姿勢に応じた高さとして決定する、
    請求項1乃至5のいずれか一項に記載の空気調和システム。
  7. 前記高さ決定手段は、
    前記赤外線センサで検出される前記室内空間の温度分布における高温部の形状の中心から底部までの距離を、前記居室者の重心の高さとして決定する、
    請求項6に記載の空気調和システム。
  8. 前記高さ決定手段は、
    前記居室者の体感に最も影響する部位の高さを、前記居室者の姿勢に応じた高さとして決定する、
    請求項1乃至5のいずれか一項に記載の空気調和システム。
  9. 前記高さ決定手段は、
    前記部位を顔とする場合に、
    前記赤外線センサで検出される前記室内空間の温度分布における高温部の形状の上部から底部までの距離を、前記居室者の姿勢に応じた高さとして決定する、
    請求項8に記載の空気調和システム。
  10. 前記高さ決定手段は、
    前記居室者の操作入力で指定された前記居室者の姿勢に関連する情報に基づいて、現在の前記居室者の姿勢に応じた高さを決定する、
    請求項1乃至5のいずれか一項に記載の空気調和システム。
  11. 前記居室者の操作入力で指定された前記居室者の姿勢に関連する情報には、
    前記居室者の姿勢と、前記居室者が使用する設備を示す情報とのいずれかが含まれる、
    請求項10に記載の空気調和システム。
  12. 前記空調機を構成する室内機の吸込空気温度を検出する吸込空気温度検出手段をさらに備え、
    前記算出手段は、
    前記吸込空気温度検出手段で検出された吸込空気温度を、前記居室者の姿勢に応じた高さにおける温度情報で補正することにより体感温度を算出し、
    前記制御手段は、
    算出された体感温度が、設定温度に近づくように、前記空調機を制御する、
    請求項1乃至11のいずれか一項に記載の空気調和システム。
  13. 前記算出手段は、
    前記室内機に設定された設定温度を、前記居室者の姿勢に応じた高さにおける温度情報で補正し、
    前記制御手段は、
    補正された設定温度に基づいて、前記空調機を制御する、
    請求項1乃至11のいずれか一項に記載の空気調和システム。
  14. 室内空間の空調を行う空調機を備える空気調和方法であって、
    コンピュータが、前記室内空間の温度を、異なる高さでそれぞれ取得する温度取得工程と、
    コンピュータが、前記室内空間内の居室者の姿勢に関連する情報に基づいて、前記居室者の姿勢に応じた高さを決定する高さ決定工程と、
    コンピュータが、前記温度取得工程で取得された温度に基づいて、前記高さ決定工程で決定された高さにおける温度情報を算出する算出工程と、
    コンピュータが、前記算出工程で算出された温度情報に基づいて、前記空調機を制御する制御工程と、
    を含む空気調和方法。
  15. 室内空間の空調を行う空調機を制御するコンピュータを、
    前記室内空間の温度を、異なる高さでそれぞれ取得する温度取得手段、
    前記室内空間内の居室者の姿勢に関連する情報に基づいて、前記居室者の姿勢に応じた高さを決定する高さ決定手段、
    前記温度取得手段で取得された温度に基づいて、前記高さ決定手段で決定された高さにおける温度情報を算出する算出手段、
    前記算出手段で算出された温度情報に基づいて、前記空調機を制御する制御手段、
    して機能させるプログラム。
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