JP2014125383A - 高純度アンモニア及びその製造方法並びに高純度アンモニア製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】メタノールとアンモニアを併産するプロセスにおいて製造された粗製アンモニアは、分子中に酸素原子を有する炭化水素化合物を含有しているので、精密蒸留を行うことにより、前記炭化水素化合物の含有率が1体積ppm以下である高純度アンモニアを製造した。この高純度アンモニアを窒素源としてGaN系化合物を形成し、そのGaN系化合物を用いてGaN系化合物半導体素子を製造すれば、発光特性に優れたGaN系化合物半導体を効率的に生産することができる。
【選択図】図1
Description
前記炭化水素化合物としては、アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、及びエーテルから選ばれる1種以上があげられ、これらの中でもエーテル、特にジメチルエーテルが、GaN系化合物半導体素子の発光特性(特に輝度)に深刻な悪影響を与える。
また、本発明の他の態様に係る高純度アンモニアは、前記高純度アンモニアの製造方法により製造された高純度アンモニアであって、前記炭化水素化合物の含有率が1体積ppm以下であることを特徴とする。この高純度アンモニアは、窒化ガリウム系化合物の製造に窒素源として使用することができる。
また、本発明に係る高純度アンモニアの製造方法及び高純度アンモニア製造装置によれば、分子中に酸素原子を有する炭化水素化合物の含有率が1体積ppm以下である高純度アンモニアを製造することができる。
図1は、メタノールとアンモニアを併産するプロセスを説明する図であり、該プロセスは、メタノール合成プロセスとアンモニア合成プロセスを備えている。
メタノール合成プロセスにおいては、メタノール合成触媒が充填されたメタノール合成塔に前記合成ガスを導入し、合成ガス中の一酸化炭素と水素を高温・高圧条件で反応させる。すると、メタノール合成反応(CO+2H2 →CH3 OH、CO2+3H2 →CH3 OH+H2 O)が進行し、メタノールが生成する(メタノール合成工程)。メタノール合成反応としては、例えば、銅系触媒(例えば、酸化銅−酸化亜鉛/アルミナ複合酸化物)をメタノール合成触媒として用い、温度が200〜300℃、圧力が数十気圧(例えば50〜100気圧)という条件で反応させる方法があげられる。
なお、微量の残留物を除去するための第一の残留物除去処理及び第二の残留物除去処理は、両方を行うことが好ましいが、一方のみを行ってもよい。
合成された粗製アンモニアは、蒸留や吸着等の一般的な精製技術により精製され、例えばシリンダーに液化充填された状態で流通されて、例えば、各種電子デバイスに用いられる金属窒化物の形成に対して窒素源として用いられる。あるいは、農業用肥料、繊維・樹脂の原料として用いられたり、火力発電所における脱硝用途に用いられる。
すなわち、アンモニアの沸点が−33℃であるのに対し、ジメチルエーテルの沸点は−24℃であり、両者の沸点差は小さいため、一般的なアンモニア合成プロセスに使用されている蒸留工程によってアンモニア中に含有するジメチルエーテルを完全に除去することは困難である。
低沸点成分排出管45を介してアンモニアの一部が排出されることにより、低沸点成分であるジメチルエーテル等の前記炭化水素化合物が除去されるので、粗製アンモニアが精製されて高純度アンモニアとなる。高純度アンモニアは、塔底部から高純度アンモニア抜出管46を介して抜き出される。
このように精密蒸留を行って得られた精製アンモニアは、分子中に酸素原子を有する炭化水素化合物の含有率が1体積ppm以下、好ましくは0.8体積ppm以下、より好ましくは0.5体積ppm以下、更に好ましくは0.1ppm以下である高純度アンモニアである。この高純度アンモニアは、半導体素子に用いられる金属窒化物の形成に対して窒素源として好適に用いることができる。例えば、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN、Gax Al1-x N(ただしxは0以上1以下)、Gax In1-x N(ただしxは0以上1以下)等のGaN系化合物の形成に対して窒素源として好適に用いることができる。そして、得られた金属窒化物を用いて、優れた発光特性(特に輝度)を有する半導体素子を製造することが可能である。
以下に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示す製造フローにしたがって、高純度アンモニアを製造した。すなわち、アンモニア合成プロセスで得られた粗製アンモニアを精密蒸留して、高純度アンモニアを得た。粗製アンモニア中のジメチルエーテルの含有率は100体積ppmであった。精密蒸留には、市販の充填材であるステンレス製ラッシヒリングを約1.2L充填した内径16mm、高さ6mの蒸留塔を用いた。
図3に示す製造装置は、有機金属化学気相成長(MOCVD)装置であり、サファイア基板1を収容する反応室11と、この反応室11内のサファイア基板1を支持する支持部12と、支持部12に支持されたサファイア基板1を加熱するヒータ13と、有機金属の供給源である有機金属用容器14、15と、有機金属用容器14、15に水素ガスを導入する水素ガス導入管21、22と、これら有機金属用容器14、15から供給された有機金属ガスを反応室11内に導入する有機金属ガス導入管16、17と、アンモニアガスの供給源であるアンモニア用容器18と、アンモニア用容器18から供給されたアンモニアガスを反応室11内に導入するアンモニアガス導入管19と、反応室11内のガスを室外に排出する排出管20と、Si化合物用容器23と、Zn化合物用容器24と、Mg化合物用容器25と、これら容器23、24、25から供給された化合物を反応室11内に導入するSi化合物導入管26、Zn化合物導入管27、Mg化合物導入管28と、を備えている。
精密蒸留における還流量を300g/hとして粗製アンモニアの供給量(F)に対する還流量(R)の比(R/F)を3に設定した点と、得られた高純度アンモニア中のジメチルエーテルの含有率が0.1体積ppmであった点以外は、実施例1と同様にしてGaN系化合物半導体素子を製造し、実施例1と同様に素子性能の評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
精密蒸留における還流量を500g/hとして粗製アンモニアの供給量(F)に対する還流量(R)の比(R/F)を5に設定した点と、得られた高純度アンモニア中のジメチルエーテルの含有率が0.01体積ppmであった点以外は、実施例1と同様にしてGaN系化合物半導体素子を製造し、実施例1と同様に素子性能の評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
アンモニア合成プロセスで得られた粗製アンモニア中のジメチルエーテルの含有率が1000体積ppmであった点と、精密蒸留における還流量を800g/hとして粗製アンモニアの供給量(F)に対する還流量(R)の比(R/F)を8に設定した点と、得られた高純度アンモニア中のジメチルエーテルの含有率が0.01体積ppmであった点以外は、実施例1と同様にしてGaN系化合物半導体素子を製造し、実施例1と同様に素子性能の評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
アンモニア合成プロセスで得られた粗製アンモニア中のジメチルエーテルの含有率が10体積ppmであった点と、蒸留塔の塔高を3mとして充填材の量を約0.6Lとした点と、精密蒸留における還流量を50g/hとして粗製アンモニアの供給量(F)に対する還流量(R)の比(R/F)を0.5に設定した点と、得られた高純度アンモニア中のジメチルエーテルの含有率が0.8体積ppmであった点以外は、実施例1と同様にしてGaN系化合物半導体素子を製造し、実施例1と同様に素子性能の評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
アンモニア合成プロセスで得られた粗製アンモニア中のジメチルエーテルの含有率が5体積ppmであった点と、蒸留塔の塔高を2.4mとして充填材の量を約0.48Lとした点と、精密蒸留における還流量を50g/hとして粗製アンモニアの供給量(F)に対する還流量(R)の比(R/F)を0.5に設定した点と、得られた高純度アンモニア中のジメチルエーテルの含有率が0.8体積ppmであった点以外は、実施例1と同様にしてGaN系化合物半導体素子を製造し、実施例1と同様に素子性能の評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
蒸留塔の塔高を3mとして充填材の量を約0.6Lとした点と、精密蒸留における還流量を30g/hとして粗製アンモニアの供給量(F)に対する還流量(R)の比(R/F)を0.3に設定した点と、得られた高純度アンモニア中のジメチルエーテルの含有率が10体積ppmであった点以外は、実施例1と同様にしてGaN系化合物半導体素子を製造し、実施例1と同様に素子性能の評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
蒸留塔の塔高を2.4mとして充填材の量を約0.48Lとした点と、精密蒸留における還流量を50g/hとして粗製アンモニアの供給量(F)に対する還流量(R)の比(R/F)を0.5に設定した点と、得られた高純度アンモニア中のジメチルエーテルの含有率が10体積ppmであった点以外は、実施例1と同様にしてGaN系化合物半導体素子を製造し、実施例1と同様に素子性能の評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
11…反応室
12…支持部
13…ヒータ
14、15…有機金属用容器、
16、17…有機金属ガス導入管
18…アンモニア用容器
19…アンモニアガス導入管
20…排出管
21…水素ガス導入管
22…水素ガス導入管
23…Si化合物用容器
24…Zn化合物用容器
25…Mg化合物用容器
26…Si化合物導入管
27…Zn化合物導入管
28…Mg化合物導入管
31…バッファ層
32…n型GaN層
33…活性層
34…GaN層
35…p型AlGaN層
36…p型GaN層
37…n電極
38…p電極
41…蒸留塔
42…リボイラ
43…コンデンサ
44…粗製アンモニア導入管
45…低沸点成分排出管
46…高純度アンモニア抜出管
Claims (13)
- 分子中に酸素原子を有する炭化水素化合物の含有率が1体積ppm超過である粗製アンモニアを蒸留することにより、前記炭化水素化合物を除去して、前記炭化水素化合物の含有率が1体積ppm以下である高純度アンモニアを得ることを特徴とする高純度アンモニアの製造方法。
- 前記炭化水素化合物がアルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、及びエーテルから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の高純度アンモニアの製造方法。
- 前記エーテルがジメチルエーテルであることを特徴とする請求項2に記載の高純度アンモニアの製造方法。
- メタンを含有する原料ガスと水蒸気を反応させて一酸化炭素と水素を生成する水蒸気改質工程と、前記水蒸気改質工程で生成した一酸化炭素に水蒸気を反応させて二酸化炭素を生成するCO転化工程と、前記水蒸気改質工程で生成した一酸化炭素及び前記CO転化工程で生成した二酸化炭素の少なくとも一方にメタノール合成触媒存在下で水素を反応させてメタノールを生成するメタノール合成工程と、前記水蒸気改質工程で生成した水素に窒素を反応させてアンモニアを生成するアンモニア合成工程と、を備える、メタノールとアンモニアの併産プロセスにより製造されたアンモニアを、前記粗製アンモニアとして用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の高純度アンモニアの製造方法。
- 前記粗製アンモニア中の前記炭化水素化合物の含有率に基づいて、前記粗製アンモニアの蒸留における前記粗製アンモニアの供給量(F)に対する還流量(R)の比(R/F)を設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の高純度アンモニアの製造方法。
- 前記粗製アンモニアの供給量(F)に対する還流量(R)の比(R/F)を0.5以上8以下とすることを特徴とする請求項5に記載の高純度アンモニアの製造方法。
- 前記粗製アンモニアの供給量(F)に対する還流量(R)の比(R/F)を1以上5以下とすることを特徴とする請求項5に記載の高純度アンモニアの製造方法。
- 前記粗製アンモニア中の前記炭化水素化合物の含有率に基づいて、前記粗製アンモニアの蒸留における前記粗製アンモニアの供給量(F)に対する還流量(R)の比(R/F)及び蒸留塔の塔高を設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の高純度アンモニアの製造方法。
- 前記粗製アンモニアの供給量(F)に対する還流量(R)の比(R/F)を0.5以上8以下、前記蒸留塔の塔高を3m以上55m以下とすることを特徴とする請求項8に記載の高純度アンモニアの製造方法。
- 前記粗製アンモニアの供給量(F)に対する還流量(R)の比(R/F)を1以上5以下、前記蒸留塔の塔高を6m以上25m以下とすることを特徴とする請求項8に記載の高純度アンモニアの製造方法。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の高純度アンモニアの製造方法により製造された高純度アンモニアであって、前記炭化水素化合物の含有率が1体積ppm以下であることを特徴とする高純度アンモニア。
- 窒化ガリウム系化合物の製造に窒素源として使用されることを特徴とする請求項11に記載の高純度アンモニア。
- 分子中に酸素原子を有する炭化水素化合物の含有率が1体積ppm超過である粗製アンモニアが導入される蒸留塔を備え、前記粗製アンモニアから前記炭化水素化合物を蒸留によって除去し、前記炭化水素化合物の含有率が1体積ppm以下である高純度アンモニアを製造する高純度アンモニア製造装置であって、前記蒸留塔の塔高が前記粗製アンモニア中の前記炭化水素化合物の含有率に基づいて設定されており、3m以上55m以下であることを特徴とする高純度アンモニア製造装置。
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