JP2014124910A - 液体吐出ヘッド、およびそれを用いた記録装置、ならびに液体吐出ヘッド用流路部材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】マニホールドと加圧室との配置の影響による吐出特性のばらつきが生じにくい液体吐出ヘッド、およびそれを用いた記録装置、ならびにそれらに用いられる液体吐出ヘッド用流路部材の製造方法を提供する。
【解決手段】液体吐出ヘッドは、複数のプレート22〜31が接着剤層を介して積層されており、複数の吐出孔8、複数の加圧室10および共通流路5を有している流路部材4を含み、加圧室10と共通流路5とが重なっている領域を第1の領域D1とし、重なっていない領域を第2の領域D2とするとき、加圧室10を構成しているプレート22、23のうちでもっとも共通流路5側にあるプレート22と、共通流路5を構成しているプレート25〜30のうちでもっとも加圧室側にあるプレート25との間にある接着剤層38b、cの第1の領域D1における厚さが、第2の領域D2における厚さ以下である。
【選択図】図5

Description

本発明は、液滴を吐出させる液体吐出ヘッド、およびそれを用いた記録装置、ならびに液体吐出ヘッド用流路部材の製造方法に関するものである。
近年、インクジェットプリンタやインクジェットプロッタなどの、インクジェット記録方式を利用した印刷装置が、一般消費者向けのプリンタだけでなく、例えば電子回路の形成や液晶ディスプレイ用のカラーフィルタの製造、有機ELディスプレイの製造といった工業用途にも広く利用されている。
このようなインクジェット方式の印刷装置には、液体を吐出させるための液体吐出ヘッドが印刷ヘッドとして搭載されている。この種の印刷ヘッドには、インクが充填されたインク流路内に加圧手段としてのヒータを備え、ヒータによりインクを加熱、沸騰させ、インク流路内に発生する気泡によってインクを加圧し、インク吐出孔より、液滴として吐出させるサーマルヘッド方式と、インクが充填されるインク流路の一部の壁を変位素子によって屈曲変位させ、機械的にインク流路内のインクを加圧し、インク吐出孔より液滴として吐出させる圧電方式が一般的に知られている。
また、このような液体吐出ヘッドには、記録媒体の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に液体吐出ヘッドを移動させつつ記録を行なうシリアル式、および記録媒体より主走査方向に長い液体吐出ヘッドを固定した状態で、副走査方向に搬送されてくる記録媒体に記録を行なうライン式がある。ライン式は、シリアル式のように液体吐出ヘッドを移動させる必要がないので、高速記録が可能であるという利点を有する。
シリアル式、ライン式のいずれの方式の液体吐出ヘッドであっても、液滴を高い密度で印刷するには、液体吐出ヘッドに形成されている、液滴を吐出する吐出孔の密度を高くする必要がある。
そこでヘッド本体を、マニホールド(共通流路)およびマニホールドから複数の加圧室をそれぞれ介して繋がる吐出孔を有した流路部材と、前記加圧室をそれぞれ覆うように設けられた複数の変位素子を有するアクチュエータユニットとを積層して構成したが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。このヘッド本体の流路部材は、吐出孔、加圧室およびマニホールドとなる多数の孔が開口したプレートを、接着剤層を介して接合して作製されている。
特開2003−305852号公報
特許文献1に記載されているような液体吐出ヘッドの流路部材を、プレートを接合して作製する場合、吐出される液体の位置精度に影響の大きい吐出孔となる孔が開口したプレートを基準にして、間に熱硬化性の接着剤を塗布しながら他のプレートを順に積層し、積層した後、加熱加圧して各プレートを接合させることが考えられる
また、特許文献1に記載されている液体吐出ヘッドの流路部材は、液体が加圧される加
圧室と、そこに液体を供給するマニマニホールド(共通流路)とが、積層方向に離れて配置されていて、加圧室の中には、マニホールドと重なっている位置にあるものと、重なっていない位置にあるものが存在する流路構造を有している。そのような流路部材を上述のような積層方法で積層した場合、次のような問題がある。
直下にマニホールドのない加圧室については、加圧室の直下は、吐出孔に繋がる流路が少し存在するがほぼ中実の状態であるため、加圧の圧力が直接的に作用する。これに対して、直下にマニホールドのある加圧室については、マニホールの空間があるため、プレートはマニホールドの空間側にたわむことができ、その分加わる圧力が小さくなる。そのため、積層された流路部材における、マニホールドを構成するプレートのうちでもっとも加圧室側のプレートから、加圧室を構成するプレートのうちでもっともマニホールド側のプレートまでの剛性を比較すると、マニホールドが直下にある加圧室の方の剛性が低くなってしまう。この部分は、加圧室に圧力が加わった際にわずかに振動する部分なので、この部分の剛性に差があると、液体に加わる圧力の状態に差が生じて、液体の吐出量や吐出速度などの吐出特性に差が生じる。周囲の構造や圧力を加える駆動信号がどのようなものなのかにもよるが、剛性が低いために振動が生じるとエネルギーが逃げることになるので、マニホールドが直下にある加圧室からの吐出は、吐出速度が低くなったり、吐出量が少なくなったりする。
なお、直下にマニホールドがない加圧室は、直下にマニホールドがある加圧室と比較すると、加圧室の直下にあるプレートの総厚が厚いので、その分さらに振動し難くなるが、上述しているのは、その影響とは別に生じる、マニホールドを構成するプレートのうちでもっとも加圧室側のプレートから、加圧室を構成するプレートのうちでもっともマニホールド側のプレートまでの剛性に差である。
したがって、本発明の目的は、マニホールドと加圧室との配置の影響による吐出特性のばらつきが生じにくい液体吐出ヘッド、およびそれを用いた記録装置、ならびに、マニホールドと加圧室との配置の影響による吐出特性のばらつきが生じにくい液体吐出ヘッド用流路部材の製造方法を提供することにある。
本発明の液体吐出ヘッドは、複数の孔が開口している複数のプレートが接着剤層を介して積層されており、前記複数の孔が繋がって構成されている、複数の吐出孔、該複数の吐出孔とそれぞれ繋がっている複数の加圧室、および該複数の加圧室と繋がっている共通流路を有している流路部材と、前記複数の加圧室をそれぞれ加圧する複数の加圧部とを備えている液体吐出ヘッドであって、前記流路部材を平面視したときの、前記複数の加圧室が存在する領域のうちで、前記共通流路と重なっている領域を第1の領域とし、前記共通流路と重なっていない領域を第2の領域とするとき、前記複数の加圧室を構成している前記プレートのうちでもっとも前記共通流路側にあるプレートと、前記共通流路を構成している前記プレートのうちでもっとも前記加圧室側にあるプレートとの間にある前記接着剤層の第1の領域における厚さT1[μm]が、前記第2の領域における厚さT2[μm]以下であることを特徴とする。
また、本発明の記録装置は、前記液体吐出ヘッドと、記録媒体を前記液体吐出ヘッドに対して搬送する搬送部と、前記複数の加圧部を制御する制御部とを備えていることを特徴とする。
さらに、本発明の液体吐出ヘッド用流路部材の製造方法は、複数の孔が開口している複数のプレートが積層されており、前記複数の孔が繋がって構成されている、複数の吐出孔、該複数の吐出孔とそれぞれ繋がっている複数の加圧室、および該複数の加圧室と繋がっ
ている共通流路とを有し、平面視したときに前記複数の加圧室の少なくとも一部と前記共通流路とが重なっている液体吐出ヘッド用流路部材の製造方法であって、前記複数のプレートを積層し、接合させる工程が、前記加圧室を構成する前記プレートのうちでもっとも前記共通流路側の第1のプレートから、前記共通流路を構成するプレートのうちでもっとも前記加圧室側の第2のプレートまでを接合する第1の接合工程と、前記第2のプレートと、当該第2のプレートの前記加圧室と反対側の前記プレートとを接合する第2の接合工程とを有し、前記第2の接合工程の前に、前記第1の接合工程を行うことを特徴とする。
本発明の液体吐出ヘッドによれば、第2の領域の、加圧室を構成しているプレートのうちでもっとも共通流路側にあるプレートから、共通流路を構成しているプレートのうちでもっとも加圧室側にあるプレートまでの剛性が、第1の領域の、同じ部分の剛性以上になるため、加圧室と共通流路との重なり方の差により生じる、吐出特性の差を小さくすることができ、液体吐出ヘッド内の吐出特性のばらつきを小さくできる。
また、本発明の液体吐出ヘッド用流路部材の製造方法によれば、加圧室を構成するプレートのうちでもっとも共通流路側の第1のプレートから、共通流路を構成するプレートのうちでもっとも加圧室側の第2のプレートまでを接合する第1の接合工程を、第2のプレートと、その第2のプレートの加圧室と反対側のプレートとを接合する第2の接合工程の前に行うため、通流路となる孔があることによって加わる圧力に差が生じることがなく、第1の接合工程で接合された部位の場所よる剛性の差が小さくなり、吐出特性の場所による差を小さくできる。
本発明の一実施形態に係る記録装置であるプリンタの概略構成図である。 図1の液体吐出ヘッドを構成する流路部材および圧電アクチュエータの平面図である。 図2の一点鎖線に囲まれた領域の拡大図である。 図2の一点鎖線に囲まれた領域の拡大図であり、説明のため一部の流路を省略した図である。 (a)は、図3のV−V線に沿った縦断面図であり、(b)は、(a)の要部の拡大図であり、(c)は、図3の別の部位の縦断面図である。
図1は、本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッドを含む記録装置であるカラーインクジェットプリンタの概略構成図である。このカラーインクジェットプリンタ1(以下、プリンタ1とする)は、4つの液体吐出ヘッド2を有している。これらの液体吐出ヘッド2は、紙などの記録媒体Pの搬送方向に沿って並べられ、プリンタ1に固定されている。液体吐出ヘッド2は、図1の手前から奥へ向かう方向に細長い形状を有している。この長い方向を長手方向と呼ぶことがある。
プリンタ1には、記録媒体Pの搬送経路に沿って、給紙ユニット114、搬送ユニット120および紙受け部116が順に設けられている。また、プリンタ1には、液体吐出ヘッド2や給紙ユニット114などのプリンタ1の各部における動作を制御するための制御部100が設けられている。
給紙ユニット114は、複数枚の記録媒体Pを収容することができる用紙収容ケース115と、給紙ローラ145とを有している。給紙ローラ145は、用紙収容ケース115に積層して収容された記録媒体Pのうち、最も上にある記録媒体Pを1枚ずつ送り出すことができる。
給紙ユニット114と搬送ユニット120との間には、記録媒体Pの搬送経路に沿って、二対の送りローラ118aおよび118b、ならびに、119aおよび119bが配置されている。給紙ユニット114から送り出された記録媒体Pは、これらの送りローラによってガイドされて、さらに搬送ユニット120へと送り出される。
搬送ユニット120は、エンドレスの搬送ベルト111と2つのベルトローラ106および107を有している。搬送ベルト111は、ベルトローラ106および107に巻き掛けられている。搬送ベルト111は、2つのベルトローラに巻き掛けられたとき所定の張力で張られるような長さに調整されている。これによって、搬送ベルト111は、2つのベルトローラの共通接線をそれぞれ含む互いに平行な2つの平面に沿って、弛むことなく張られている。これら2つの平面のうち、液体吐出ヘッド2に近い方の平面が、記録媒体Pを搬送する搬送面127である。
ベルトローラ106には、図1に示されるように、搬送モータ174が接続されている。搬送モータ174は、ベルトローラ106を矢印Aの方向に回転させることができる。また、ベルトローラ107は、搬送ベルト111に連動して回転することができる。したがって、搬送モータ174を駆動してベルトローラ106を回転させることにより、搬送ベルト111は、矢印Aの方向に沿って移動する。
ベルトローラ107の近傍には、ニップローラ138とニップ受けローラ139とが、搬送ベルト111を挟むように配置されている。ニップローラ138は、図示しないバネによって下方に付勢されている。ニップローラ138の下方のニップ受けローラ139は、下方に付勢されたニップローラ138を、搬送ベルト111を介して受け止めている。2つのニップローラは回転可能に設置されており、搬送ベルト111に連動して回転する。
給紙ユニット114から搬送ユニット120へと送り出された記録媒体Pは、ニップローラ138と搬送ベルト111との間に挟み込まれる。これによって、記録媒体Pは、搬送ベルト111の搬送面127に押し付けられ、搬送面127上に固着する。そして、記録媒体Pは、搬送ベルト111の回転に従って、液体吐出ヘッド2が設置されている方向へと搬送される。なお、搬送ベルト111の外周面113に粘着性のシリコンゴムによる処理を施してもよい。これにより、記録媒体Pを搬送面127に確実に固着させることができる。
4つの液体吐出ヘッド2は、搬送ベルト111による搬送方向に沿って互いに近接して配置されている。各液体吐出ヘッド2は、下端のヘッド本体13とヘッド本体13に取りつけられた筺体90を有している。ヘッド本体13の下面には、液体を吐出する多数の吐出孔8が設けられている吐出孔面4aとなっている(図5(a)参照)。
1つの液体吐出ヘッド2に設けられた吐出孔8からは、同じ色の液滴(インク)が吐出されるようになっている。各液体吐出ヘッド2の吐出孔8は一方方向(記録媒体Pと平行で記録媒体P搬送方向に直交する方向であり、液体吐出ヘッド2の長手方向)に等間隔で配置されているため、一方方向に隙間なく印刷することができる。各液体吐出ヘッド2から吐出される液体の色は、それぞれ、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)である。各液体吐出ヘッド2は、ヘッド本体13の下面の吐出孔開口平面4aと搬送ベルト111の搬送面127との間にわずかな隙間をおいて配置されている。
搬送ベルト111によって搬送された記録媒体Pは、液体吐出ヘッド2と搬送ベルト1
11との間の隙間を通過する。その際に、液体吐出ヘッド2を構成するヘッド本体13から記録媒体Pの上面に向けて液滴が吐出される。これによって、記録媒体Pの上面には、制御部100によって記憶された画像データに基づくカラー画像が形成される。
搬送ユニット120と紙受け部116との間には、剥離プレート140と二対の送りローラ121aおよび121bならびに122aおよび122bとが配置されている。カラー画像が印刷された記録媒体Pは、搬送ベルト111によって剥離プレート140へと搬送される。このとき、記録媒体Pは、剥離プレート140の右端によって、搬送面127から剥離される。そして、記録媒体Pは、送りローラ121a〜122bによって、紙受け部116に送り出される。このように、印刷済みの記録媒体Pが順次紙受け部116に送られ、紙受け部116に重ねられる。
なお、記録媒体Pの搬送方向について最も上流側にある液体吐出ヘッド2とニップローラ138との間には、紙面センサ133が設置されている。紙面センサ133は、発光素子および受光素子によって構成され、搬送経路上の記録媒体Pの先端位置を検出することができる。紙面センサ133による検出結果は制御部100に送られる。制御部100は、紙面センサ133から送られた検出結果により、記録媒体Pの搬送と画像の印刷とが同期するように、液体吐出ヘッド2や搬送モータ174等を制御することができる。
次に、本発明の液体吐出ヘッド2について説明する。図2は、ヘッド本体13のうち流路部材4および圧電アクチュエータ21を示す平面図である。図3は、図2の一点鎖線で囲まれた領域の拡大平面図であり、ヘッド本体13の一部である。図4は、図3と同じ位置の拡大透視図である。図3および4では、図面を分かりやすくするために、一部の流路を省略して描いている。また、図3および図4において、図面を分かりやすくするために、圧電アクチュエータ基板21の下方にあって破線で描くべき加圧室10、しぼり12および吐出孔8などを実線で描いている。
図5(a)は図3のV−V線に沿った縦断面図であり、図5(b)は、図5(a)の要部の拡大図であり、図5(c)は、図3の別の部位の縦断面図である。図5(a)は、加圧室10においてマニホールド5と重なる領域D1の割合が重ならない領域D2の割合よりの大きい加圧室10を含む断面であり、図5(b)は、加圧室10においてマニホールド5と重なる領域D1の割合が重ならない領域D2の割合よりの小さい加圧室10を含む断面である。図5(a)、(c)と図3領域D1と領域D2の割合が異なるのは、図(a)、(c)が模式的に描かれているためであり、実際の割合は図3に示された通りである。また、図5(b)に描かれている接着剤層38a、b、cは、実際の厚みよりも厚く示されており、図(a)、(b)では、接着剤層38a、b、cは薄いため、他のプレートの層間および圧電アクチュエータ基板21とプレートとの間にある接着剤層も含めて省略してある。
液体吐出ヘッド2は、ヘッド本体2a以外にリザーバや、金属製の筐体を含んでいる。また。ヘッド本体2aは、流路部材4と、変位素子(加圧部)30が作り込まれている圧電アクチュエータ基板21とを含んでいる。
ヘッド本体13は、平板状の流路部材4と、流路部材4上に、加圧部である変位素子50を含む圧電アクチュエータ基板21とを有している。圧電アクチュエータ基板21は台形形状を有しており、その台形の1対の平行対向辺が流路部材4の長手方向に平行になるように流路部材4の上面に配置されている。また、流路部材4の長手方向に平行な2本の仮想直線のそれぞれに沿って2つずつ、つまり合計4つの圧電アクチュエータ基板21が、全体として千鳥状に流路部材4上に配列されている。流路部材4上で隣接し合う圧電アクチュエータ基板21の斜辺同士は、流路部材4の短手方向について部分的にオーバーラ
ップしている。このオーバーラップしている部分の圧電アクチェータユニット21を駆動することにより印刷される領域では、2つの圧電アクチュエータ基板21により吐出された液滴が混在して着弾することになる。
流路部材4の内部にはマニホールド5が形成されている。マニホールド5は流路部材4の長手方向に沿って延び細長い形状を有しており、流路部材4の上面にはマニホールド5の開口5bが形成されている。開口5bは、流路部材4の長手方向に平行な2本の直線(仮想線)のそれぞれに沿って5個ずつ、合計10個形成されている。開口5bは、4つの圧電アクチュエータ基板21が配置された領域を避ける位置に形成されている。マニホールド5には開口5bを通じて図示されていない液体タンクから液体が供給されるようになっている。
流路部材4内に形成されたマニホールド5は、複数本に分岐している(分岐した部分のマニホールド5を副マニホールド5aということがあり、開口5bから副マニホールド5aまでのマニホールド5を液体供給路5cということがある)。開口5bに繋がる液体供給路5cは、圧電アクチュエータ基板21の斜辺に沿うように延在しており、流路部材4の長手方向と交差して配置されている。2つの圧電アクチュエータ基板21に挟まれた領域では、1つのマニホールド5が、隣接する圧電アクチュエータ基板21に共有されており、副マニホールド5aがマニホールド5の両側から分岐している。これらの副マニホールド5aは、流路部材4の内部の各圧電アクチュエータ基板21に対向する領域に互いに隣接してヘッド本体13の長手方向に延在している。すなわち、副マニホールド5aの両端は、液体供給路5cに繋がっている。
流路部材4は、複数の加圧室10がマトリクス状(すなわち、2次元的かつ規則的)に形成されている4つの加圧室群9を有している。加圧室10は、角部にアールが施されたほぼ菱形の平面形状を有する中空の領域である。加圧室10は流路部材4の上面に開口するように形成されている。これらの加圧室10は、流路部材4の上面における圧電アクチュエータ基板21に対向する領域のほぼ全面にわたって配列されている。したがって、これらの加圧室10によって形成された各加圧室群9は圧電アクチュエータ基板21とほぼ同一の大きさおよび形状の領域を占有している。また、各加圧室10の開口は、流路部材4の上面に圧電アクチュエータ基板21が接着されることで閉塞されている。
本実施形態では、図3に示されているように、マニホールド5は、流路部材4の短手方向に互いに平行に並んだ4列のE1〜E4の副マニホールド5aに分岐し、各副マニホールド5aに繋がった加圧室10は、等間隔に流路部材4の長手方向に並ぶ加圧室10の列を構成し、その列は、短手方向に互いに平行に4列配列されている。副マニホールド5aに繋がった加圧室10の並ぶ列は副マニホールド5aの両側に2列ずつ配列されている。
全体では、マニホールド5から繋がる加圧室10は、等間隔に流路部材4の長手方向に並ぶ加圧室10の列を構成し、その列は、短手方向に互いに平行に16列配列されている。各加圧室列に含まれる加圧室10の数は、加圧部である変位素子50の外形形状に対応して、その長辺側から短辺側に向かって次第に少なくなるように配置されている。吐出孔8もこれと同様に配置されている。これによって、全体として長手方向に600dpiの解像度で画像形成が可能となっている。
つまり、流路部材4の長手方向に平行な仮想直線に対して直交するように吐出孔8を投影すると、図3に示した仮想直線のRの範囲に、各副マニホールド5a繋がっている4つの吐出孔8、つまり全部で16個の吐出孔8が600dpiの等間隔になっている。また、各副マニホールド5aには平均すれば150dpiに相当する間隔で個別流路32が接続されている。これは、600dpi分の吐出孔8を4つ列の副マニホールド5aに分け
て繋ぐ設計をする際に、各副マニホールド5aに繋がる個別流路32が等しい間隔で繋がるとは限らないため、マニホールド5aの延在方向、すなわち主走査方向に平均170μm(150dpiならば25.4mm/150=169μm間隔である)以下の間隔で個別流路32が形成されている。
圧電アクチュエータ基板21の上面における各加圧室10に対向する位置には後述する個別電極35がそれぞれ形成されている。個別電極35は加圧室10より一回り小さく、加圧室10とほぼ相似な形状を有しており、圧電アクチュエータ基板21の上面における加圧室10と対向する領域内に収まるように配置されている。
流路部材4の下面の液体吐出面には多数の吐出孔8が形成されている。これらの吐出孔8は、流路部材4の下面側に配置された副マニホールド5aと対向する領域を避けた位置に配置されている。
また、これらの吐出孔8は、流路部材4の下面側における圧電アクチュエータ基板21と対向する領域内に配置されている。これらの吐出孔8は、1つの群として圧電アクチュエータ基板21とほぼ同一の大きさおよび形状の領域を占有しており、対応する圧電アクチュエータ基板21の変位素子50を変位させることにより吐出孔8から液滴が吐出できる。吐出孔8は、流路部材4の長手方向に平行な複数の直線に沿って等間隔に配列されている。
ヘッド本体13に含まれる流路部材4は、複数のプレートが積層された積層構造を有している。これらのプレートは、流路部材4の上面から順に、キャビティプレート22、ベースプレート23、アパーチャ(しぼり)プレート24、サプライプレート25、26、マニホールドプレート27、28、29、カバープレート30およびノズルプレート31である。これらのプレートには多数の孔が形成されている。各プレートは、これらの孔が互いに連通して個別流路32および副マニホールド5aを構成するように、位置合わせして積層されている。ヘッド本体13は、図5(a)に示されているように、加圧室10は流路部材4の上面に、副マニホールド5aは内部の下面側に、吐出孔8は下面にと、個別流路32を構成する各部分が異なる位置に互いに近接して配設され、加圧室10を介して副マニホールド5aと吐出孔8とが繋がる構成を有している。
各プレートに形成された孔について説明する。これらの孔には、次のようなものがある。第1に、キャビティプレート22に形成された加圧室10である。第2に、加圧室10の一端から副マニホールド5aへと繋がる流路を構成する連通孔である。この連通孔は、ベースプレート23(詳細には加圧室10の入り口)からサプライプレート25(詳細には副マニホールド5aの出口)までの各プレートに形成されている。なお、この連通孔には、アパーチャプレート24に形成されたしぼり12と、サプライプレート25、26に形成された個別供給流路6とが含まれている。
第3に、加圧室10の他端から吐出孔8へと連通する流路を構成する連通孔であり、この連通孔は、以下の記載においてディセンダ(部分流路)と呼称される。ディセンダは、ベースプレート23(詳細には加圧室10の出口)からノズルプレート31(詳細には吐出孔8)までの各プレートに形成されている。
第4に、副マニホールド5aを構成する連通孔である。この連通孔は、マニホールドプレート27〜29に形成されている。
このような連通孔が相互に繋がり、副マニホールド5aからの液体の流入口(副マニホールド5aの出口)から吐出孔8に至る個別流路32を構成している。副マニホールド5
aに供給された液体は、以下の経路で吐出孔8から吐出される。まず、副マニホールド5aから上方向に向かって、個別供給流路6を通り、しぼり12の一端部に至る。次に、しぼり12の延在方向に沿って水平に進み、しぼり12の他端部に至る。そこから上方に向かって、加圧室10の一端部に至る。さらに、加圧室10の延在方向に沿って水平に進み、加圧室10の他端部に至る。そこから少しずつ水平方向に移動しながら、主に下方に向かい、下面に開口した吐出孔8へと進む。
圧電アクチュエータ基板21は、図5(a)に示されるように、2枚の圧電セラミック層21a、21bからなる積層構造を有している。これらの圧電セラミック層21a、21bはそれぞれ20μm程度の厚さを有している。圧電アクチュエータ基板21全体の厚さは40μm程度である。圧電セラミック層21a、21bのいずれの層も複数の加圧室10を跨ぐように延在している(図3参照)。これらの圧電セラミック層21a、21bは、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料からなる。
圧電アクチュエータ基板21は、Ag−Pd系などの金属材料からなる共通電極34およびとAu系などの金属材料からなる個別電極35を有している。個別電極35は上述のように圧電アクチュエータ基板21の上面における加圧室10と対向する位置に配置されている。個別電極35の一端は、加圧室10と対向する領域外に引き出されて接続電極36が形成されている。この接続電極36は例えばガラスフリットを含む銀−パラジウムからなり、厚さが15μm程度で凸状に形成されている。また、接続電極36は、信号伝達部92に設けられた電極と電気的に接合されている。詳細は後述するが、個別電極35には、制御部100から信号伝達部92を通じて駆動信号が供給される。駆動信号は、印刷媒体Pの搬送速度と同期して一定の周期で供給される。
共通電極34は、圧電セラミック層21aと圧電セラミック層21bとの間の領域に面方向のほぼ全面にわたって形成されている。すなわち、共通電極34は、圧電アクチュエータ基板21に対向する領域内の全ての加圧室10を覆うように延在している。共通電極34の厚さは2μm程度である。共通電極34は図示しない領域において接地され、グランド電位に保持されている。本実施形態では、圧電セラミック層21b上において、個別電極35からなる電極群を避ける位置に個別電極35とは異なる表面電極(不図示)が形成されている。表面電極は、圧電セラミック層21bの内部に形成されたスルーホールを介して共通電極34と電気的に接続されているとともに、多数の個別電極35と同様に、信号伝達部92上の別の電極と接続されている。
図5(a)に示されるように、共通電極34と個別電極35とは、最上層の圧電セラミック層21bのみを挟むように配置されている。圧電セラミック層21bにおける個別電極35と共通電極34とに挟まれた領域は活性部と呼称され、その部分の圧電セラミックスには分極が施されている。本実施形態の圧電アクチュエータ基板21においては、最上層の圧電セラミック層21bのみが活性部を含んでおり、圧電セラミック21aは活性部を含んでおらず、振動板として働く。この圧電アクチュエータ基板21はいわゆるユニモルフタイプの構成を有している。
なお、後述のように、個別電極35に選択的に所定の駆動信号が供給されることにより、この個別電極35に対応する加圧室10内の液体に圧力が加えられる。これによって、個別流路32を通じて、対応する液体吐出口8から液滴が吐出される。すなわち、圧電アクチュエータ基板21における各加圧室10に対向する部分は、各加圧室10および液体吐出口8に対応する個別の変位素子50に相当する。つまり、2枚の圧電セラミック層からなる積層体中には、図5(a)に示されているような構造を単位構造とする圧電アクチュエータである変位素子50が加圧室10毎に、加圧室10の直上に位置する振動板21a、共通電極34、圧電セラミック層21b、個別電極35により作り込まれており、圧
電アクチュエータ基板21には加圧部である変位素子50が複数含まれている。なお、本実施形態において1回の吐出動作によって液体吐出口8から吐出される液体の量は5〜7pl(ピコリットル)程度である。
多数の個別電極35は、個別に電位を制御することができるように、それぞれが信号伝達部92および配線を介して、個別に制御部100に電気的に接続されている。
本実施形態における圧電アクチュエータ基板21においては、個別電極35を共通電極34と異なる電位にして圧電セラミック層21bに対してその分極方向に電界を印加したとき、この電界が印加された部分が、圧電効果により歪む活性部として働く。この時圧電セラミック層21bは、その厚み方向すなわち積層方向に伸長または収縮し、圧電横効果により積層方向と垂直な方向すなわち面方向には収縮または伸長しようとする。一方、残りの圧電セラミック層21aは、個別電極35と共通電極34とに挟まれた領域を持たない非活性層であるので、自発的に変形しない。つまり、圧電アクチュエータ基板21は、上側(つまり、加圧室10とは離れた側)の圧電セラミック層21bを、活性部を含む層とし、かつ下側(つまり、加圧室10に近い側)の圧電セラミック層21aを非活性層とした、いわゆるユニモルフタイプの構成となっている。
この構成において、電界と分極とが同方向となるように、制御部100により個別電極35を共通電極34に対して正または負の所定電位とすると、圧電セラミック層21bの電極に挟まれた部分(活性部)が、面方向に収縮する。一方、非活性層の圧電セラミック層21aは電界の影響を受けないため、自発的には縮むことがなく活性部の変形を規制しようとする。この結果、圧電セラミック層21bと圧電セラミック層21aとの間で分極方向への歪みに差が生じて、圧電セラミック層21bは加圧室10側へ凸となるように変形(ユニモルフ変形)する。
本実施の形態における実際の駆動手順は、予め個別電極35を共通電極34より高い電位とする第1の電圧V1V(ボルト、以下で省略することがある)にしておき、吐出要求がある毎に個別電極35を共通電極34とを一旦、第1の電圧V1よりも低い第2の電圧を加えて低電位、例えば同じ電位にし、その後所定のタイミングで再び高電位とする。これにより、個別電極35が低電位になるタイミングで、圧電セラミック層21a、bが元の形状に戻り、加圧室10の容積が初期状態(両電極の電位が異なる状態)と比較して増加する。このとき、加圧室10内に負圧が与えられ、液体がマニホールド5側から加圧室10内に吸い込まれる。その後再び個別電極35を高電位にしたタイミングで、圧電セラミック層21a、bが加圧室10側へ凸となるように変形し、加圧室10の容積減少により加圧室10内の圧力が正圧となり液体への圧力が上昇し、液滴が吐出される。つまり、液滴を吐出させるため、高電位を基準とするパルスを含む駆動信号を個別電極35に供給することになる。このパルス幅は、加圧室10内において圧力波がマニホールド5から吐出孔8まで伝播する時間長さであるAL(Acoustic Length)が理想的である。これによ
ると、加圧室10内部が負圧状態から正圧状態に反転するときに両者の圧力が合わさり、より強い圧力で液滴を吐出させることができる。
また、階調印刷においては、吐出孔8から連続して吐出される液滴の数、つまり液滴吐出回数で調整される液滴量(体積)で階調表現が行われる。このため、指定された階調表現に対応する回数の液滴吐出を、指定されたドット領域に対応する吐出孔8から連続して行なう。一般に、液体吐出を連続して行なう場合は、液滴を吐出させるために供給するパルスとパルスとの間隔をALとすることが好ましい。これにより、先に吐出された液滴を吐出させるときに発生した圧力の残余圧力波と、後に吐出させる液滴を吐出させるときに発生する圧力の圧力波との周期が一致し、これらが重畳して液滴を吐出するための圧力を増幅させることができる。なお、この場合後から吐出される液滴の速度が速くなると考え
られるが、その方が複数の液滴の着弾点が近くなり好ましい。
このような液体吐出ヘッド2で印刷を行なう際には、吐出孔8から吐出される液滴の速度や量が、ヘッド本体13の中に位置によって差が少ない方が、印刷精度が高くなるので好ましい。加圧室10の周囲の構造に着目すると、加圧室10には、マニホールド5と重なっている領域D1と重なっていない領域D2がある。また、本実施形態では、加圧室列11a、bに属する加圧室10は、ほとんどマニホールド5と重なっており、加圧室列11c、dに属する加圧室10は、ほとんどマニホールド5と重なっていない状態となっている。
加圧室10に駆動の圧力が加わるとその直下のプレートにも、圧力が加わり振動する。その際、マニホールド5と重なっている領域D1では、振動する直下のプレートはプレート23〜25であり、マニホールド5と重なっていない領域D2では、振動する直下のプレートはプレート23〜31である。したがって、領域D1のプレートの方が、振動が生じやすい。マニホールド5からの加わる振動や、液体やプレートの共振などもあるため一概には言えないが、領域D1では、振動によってエネルギーが逃げやすいので、領域D1の割合の高い加圧室10から吐出される液滴は、吐出速度が低くなったり、吐出量が少なくなりやすい。いずれにしても、直下のプレートの振動のし易さ(剛性)に差があるので、その差が吐出特性に影響して、ヘッド本体13内でばらつきが大きくなる。
また、このような流路部材4を作製する際には、通常、吐出孔8のあるノズルプレート31から順に積層されて、接合される。液体の吐出位置を決める吐出孔8の基準にして工程を進める方が精度を高め易いし、構造的下側と認識されているノズルプレート31から積層するが自然である。特に、圧電アクチュエータ基板21も含めて積層する場合、割れやすい圧電アクチュエータ基板21を最下層にして作製すると行程中で割れが生じる割合が高くなるし、圧電アクチュエータ基板21が焼成により作製したセラミック製である場合などは、形状の位置精度が劣るため基準とし難い。
積層および接合に関しては、すべての積層を終えてから接合する方法、各プレートを積層した後接合することを順次繰り返す方法が考えられる。また、何枚か積層した後、途中で接合することも考えられる。一括で接合させる場合、圧力を加えるとマニホールド5上のプレートは、マニホールド5側にたわむことができるので、その分圧力が逃げることになる。順次接合を行っていく場合も、ノズルプレート31側から積層・接合を行っていけば、同様にマニホールド5上では圧力が逃げることになる。
このためマニホールド5上のプレートの接合は、他の部位と比較して剛性が低くなってしまう。上述の説明では領域D1とD2の差についてプレートの厚みの差についてだけ述べたが、これに加えて上述のような製造方法では、領域D1は、領域D2に対して、プレート23(加圧室10を構成してプレートのうちでもっともマニホールド側のプレート)からプレート25(マニホールド5を構成してプレートのうちでもっとも加圧室側のプレート)までの剛性が低い状態となる。つまり、領域D1の直下のプレートは、この点でも振動しやすくなるので、差がより大きな状態となる。
そこで、本発明の製造方法では、加圧室10を構成するプレートのうちでもっともマニホールド5側の第1のプレート23から、マニホールド5を構成するプレートのうちでもっとも加圧室10側の第2のプレート25までを接合する第1の接合工程を、第2のプレート25と、第2のプレート25の加圧室10と反対側のプレートとを接合する第2の接合工程の前に行なう。このようすれば、マニホールド5となる孔があることによって加わる圧力に差が生じることがなく、第1の接合工程で接合された第1プレート23〜第2のプレート25において、場所よる剛性の差が小さくでき、吐出特性のばらつきを小さくす
ることができる。
吐出特性のばらつきをさらに小さくするには、第1の接合工程において、接合する複数のプレートを加圧する際に、マニホールド5と重なる領域に周囲よりも高い圧力を加えるようにすればよい。そうすることで領域D1の直下のプレートの剛性を高くできる。そうすると、領域D1と領域D2とのプレートの厚みの差による剛性の差の一部が、領域D1における第1のプレート23〜第2のプレート25までの剛性が、領域D3における第1のプレート23〜第2のプレート25までの剛性より高いことより相殺されるので、吐出特性のばらつきを小さくできる。
マニホールド5と重なる領域に周囲よりも高い圧力を加えるには、例えば次のような方法がある。加圧する加圧治具に、マニホールド5と略同形状の凸部を設けておけば、その凸の分だけ圧力が高くなる。圧力の差は凸部の高さにより調整できる。また、平らな加圧治具で加圧する前または後に、マニホールド5と略同形状の加圧治具で加圧してもよい。さらに、マニホールド5と略同形状の部位と、他の部位がスライドできるような加圧治具を用いて、マニホールド5と略同形状の部位と、他の部位とに、それぞれ別に圧力を加えるようにしてもよい。いずれの場合においても、加圧する際には周囲に圧力が伝搬するので、マニホールド5と略同形状とは、マニホールド5と配置が一致している程度にしておけば効果がある。幅などについてはマニホールド5と同じような寸法にしなくても構わないが、幅なども含めてほぼ同じ寸法にするのがより好ましい。
接着剤層38(38a、b、c)を介してプレートを接着積層する場合、熱硬化性の接着剤を用いて、積層を終えた後、加熱加圧して接合させるのが好ましい。このような場合、あるいはノズルプレート31の側から順次積層・接合した場合、第1のプレート23〜第2のプレート25までの剛性の差は、接着剤層38b、cの厚みの差となって現れる。すなわち、マニホールド5があることにより第2のプレート25がたわむことで、領域D1の接着剤層38b、cの厚さT1[μm]が、領域D2の接着剤層38b、cの厚さT2[μm]よりも厚くなる。これは、領域D1の接着剤層38b、cが、密度が低い状態で硬化したり、粘度の低い接着剤の場合、周囲の圧力の高い部分から流動してきて厚くなるためだと考えられる。具体的には、上述のように一括して接合(圧電アクチュエータ基板21まで含めて一括接合)した場合、領域D2の接着剤層38b、cの厚さT2は1.0μmであるのに対し、領域D1の接着剤層38b、cの厚さT1は1.6μmとなり、加圧室10がほぼ領域D2で占められている加圧室列10c、dからの吐出速度の平均は9.0m/sであるのに対し、加圧室10がほぼ領域D1で占められている加圧室列10a、bからの吐出速度の平均は8.0m/sとなる。
これに対し、本発明の方法で積層した場合、接着剤層38b、cの厚さは、ほぼ場所に依らなくなるので、その分吐出特性の差は小さくなる。具体的は、例えば、第1のプレート23〜第2のプレート25を積層した後、加熱加圧して接合し、その後、その積層体も含めて、ノズルプレート31から順次積層した後、加熱加圧(圧電アクチュエータ基板21まで含めて一括接合)するなどの方法で作製すればよい。そのように作製した場合、領域D2およびD1の接着剤層38b、cの厚さT1およびT2は1.0μmとなり、加圧室10がほぼ領域D2で占められている加圧室列10c、dからの吐出速度は9.0m/sであるのに対し、加圧室10がほぼ領域D1で占められている加圧室列10a、bからの吐出速度はの平均は8.7m/sとなり、ばらつきを低減できる。つまり、全体を一括接合した場合に生じていた領域D1とD2の吐出速度の差1.0m/sのうち、0.7m/sが第1のプレート23〜第2のプレート25の剛性の差、0.7m/sがプレート23〜25とプレート23〜31との厚みの差による剛性の差ということになり、接着剤層38b、cの厚さを位置に依らずほぼ一定にすることで、前者の差をほぼなくすことができる。このような構造は、加圧室10からマニホールド5までの厚さが薄く、積層時にた
わみ易く、吐出する際もその部分が振動し易い場合に特に有用である。具体的は、第1のプレート23〜第2のプレート25の厚さが、700μm以下、さらに500μm以下、特に300μm以下の場合に、特に有用である。
全体を一括に接合する製造方法などでは、領域D1における第1のプレート23〜第2のプレート25まで間の接着剤層38b、cの厚さT1を、領域D2における第1のプレート23〜第2のプレート25まで間の接着剤層38b、cの厚さT2以下にすることはできず、上述の本発明によれば、T1をT2以下にすることができる。ここでT1がT2以下であるとは、断面におけるT1およびT2をそれぞれ3カ所ずつ測定し、T1の厚さの平均が、T2の厚さの平均の±30%以下であることをいい、より好ましくは、T2の厚さの平均の±15%以下である。
また、マニホールド5と重なる領域に強い圧力を加えた場合、T1はT2より薄くできる。ここでT1がT2より薄いとは、断面におけるT1およびT2をそれぞれ3カ所ずつ測定し、T1の厚さの平均が、T2の厚さの平均の±30%より小さいことをいい、より好ましくは、T2の厚さの平均の±45%より小さくされる。例えば、マニホールド5と略同形状の凸部を有する加圧治具を用いることでT1の厚さ0.65μmをT2の厚さを1.0μmとすれば、領域D1における第1のプレート23〜第2のプレート25まで剛性を、領域D2における第1のプレート23〜第2のプレート25まで剛性より高くできるので、プレート23〜25とプレート23〜31との厚みの差による剛性の差の一部を相殺できるので、より吐出特性のばらつきを小さくできる。なお、接着剤層38b、cの厚さを領域D1とD2とで異ならせるために、接着剤の塗布量を場所によって変えてもよい。
1・・・プリンタ
2・・・液体吐出ヘッド
4・・・流路部材
4a・・・吐出孔面
5・・・マニホールド
5a・・・副マニホールド
5b・・・マニホールドの開口(液体導入孔)
5c・・・液体供給路
6・・・個別供給流路
8・・・吐出孔
9・・・加圧室群
10・・・加圧室
11a、b、c、d・・・加圧室列
12・・・しぼり
13・・・ヘッド本体
15a、b、c、d・・・吐出孔列
21・・・圧電アクチュエータ基板
21a・・・圧電セラミック層(振動板)
21b・・・圧電セラミック層
22〜31・・・プレート
23・・・第1のプレート(加圧室を構成するプレートのうちでもっともマニホールド側のプレート)
25・・・第2のプレート(マニホールドを構成するプレートのうちでもっとも加圧室側のプレート)
32・・・個別流路
34・・・共通電極
35・・・個別電極
36・・・接続電極
38a、b、c・・・接着剤層
50・・・変位素子(加圧部)
D・・・加圧室の存在する領域
D1・・・加圧室とマニホールドが重なっている領域
D2・・・加圧室とマニホールドが重なっていない領域

Claims (6)

  1. 複数の孔が開口している複数のプレートが接着剤層を介して積層されており、前記複数の孔が繋がって構成されている、複数の吐出孔、該複数の吐出孔とそれぞれ繋がっている複数の加圧室、および該複数の加圧室と繋がっている共通流路を有している流路部材と、前記複数の加圧室をそれぞれ加圧する複数の加圧部とを備えている液体吐出ヘッドであって、
    前記流路部材を平面視したときの、前記複数の加圧室が存在する領域のうちで、前記共通流路と重なっている領域を第1の領域とし、前記共通流路と重なっていない領域を第2の領域とするとき、
    前記複数の加圧室を構成している前記プレートのうちでもっとも前記共通流路側にあるプレートと、前記共通流路を構成している前記プレートのうちでもっとも前記加圧室側にあるプレートとの間にある前記接着剤層の第1の領域における厚さT1[μm]が、前記第2の領域における厚さT2[μm]以下であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 厚さT1が、厚さT2より薄いことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 請求項1または2に記載の液体吐出ヘッドと、記録媒体を前記液体吐出ヘッドに対して搬送する搬送部と、前記複数の加圧部を制御する制御部とを備えていることを特徴とする記録装置。
  4. 複数の孔が開口している複数のプレートが積層されており、前記複数の孔が繋がって構成されている、複数の吐出孔、該複数の吐出孔とそれぞれ繋がっている複数の加圧室、および該複数の加圧室と繋がっている共通流路とを有し、平面視したときに前記複数の加圧室の少なくとも一部と前記共通流路とが重なっている液体吐出ヘッド用流路部材の製造方法であって、
    前記複数のプレートを積層し、接合させる工程が、
    前記加圧室を構成する前記プレートのうちでもっとも前記共通流路側の第1のプレートから、前記共通流路を構成するプレートのうちでもっとも前記加圧室側の第2のプレートまでを接合する第1の接合工程と、
    前記第2のプレートと、当該第2のプレートの前記加圧室と反対側の前記プレートとを接合する第2の接合工程とを有し、
    前記第2の接合工程の前に、前記第1の接合工程を行うことを特徴とする液体吐出ヘッド用流路部材の製造方法。
  5. 前記第1の接合工程において、接合する複数の前記プレートを加圧する際に、前記共通流路と重なる領域に周囲よりも高い圧力を加えることを特徴とする請求項4に記載の液体吐出ヘッド用流路部材の製造方法。
  6. 前記第1の接合工程において、接合する複数の前記プレートを加圧する際に、前記共通流路と略同形状の凸部を有する加圧治具を用いて、前記プレートの前記共通流路と重なる領域を加圧することを特徴とする請求項5に記載の液体吐出ヘッド用流路部材の製造方法。
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