JP2012096385A - 液体吐出ヘッド、およびそれを用いた記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】引出電極に断線の生じ難い液体吐出ヘッドおよび、それを用いた記録装置を提供する。
【解決手段】複数の液体吐出孔8にそれぞれ繋がっている複数の液体加圧室10が開口している流路部材4と、振動板21a上に、共通電極34、圧電セラミック層21bおよび複数の個別電極35がこの順で積層されている圧電アクチュエータユニット21とが、振動板21aが液体加圧室10を覆うように積層されている液体吐出ヘッド13であって、個別電極35が、液体加圧室10と対向している個別電極本体35aと個別電極本体35aよりも厚みが厚く、個別電極本体35aより液体加圧室10と対向しない位置まで引出されている引出接続電極35bとを含む。
【選択図】図5

Description

本発明は、液滴を吐出させる液体吐出ヘッド、およびそれを用いた記録装置に関するものである。
近年、インクジェットプリンタやインクジェットプロッタなどの、インクジェット記録方式を利用した印刷装置が、一般消費者向けのプリンタだけでなく、例えば電子回路の形成や液晶ディスプレイ用のカラーフィルタの製造、有機ELディスプレイの製造といった工業用途にも広く利用されている。
このようなインクジェット方式の印刷装置には、液体を吐出させるための液体吐出ヘッドが印刷ヘッドとして搭載されている。この種の印刷ヘッドには、インクが充填されたインク流路内に加圧手段としてのヒータを備え、ヒータによりインクを加熱、沸騰させ、インク流路内に発生する気泡によってインクを加圧し、インク吐出孔より、液滴として吐出させるサーマルヘッド方式と、インクが充填されるインク流路の一部の壁を変位素子によって屈曲変位させ、機械的にインク流路内のインクを加圧し、インク吐出孔より液滴として吐出させる圧電方式が一般的に知られている。
また、このような液体吐出ヘッドには、記録媒体の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に液体吐出ヘッドを移動させつつ記録を行なうシリアル式、および記録媒体より主走査方向に長い液体吐出ヘッドを固定した状態で、副走査方向に搬送されてくる記録媒体に記録を行なうライン式がある。ライン式は、シリアル式のように液体吐出ヘッドを移動させる必要がないので、高速記録が可能であるという利点を有する。
シリアル式、ライン式のいずれの方式の液体吐出ヘッドであっても、液滴を高い密度で印刷するには、液体吐出ヘッドに形成されている、液滴を吐出する液体吐出孔の密度を高くする必要がある。
そこで液体吐出ヘッドを、マニホールドおよびマニホールドから複数の液体加圧室をそれぞれ介して繋がる液体吐出孔を有した金属の流路部材と、前記液体加圧室をそれぞれ覆うように設けられた複数の変位素子を有する圧電アクチュエータユニットとを積層して構成したものが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。この液体吐出ヘッドでは、複数の液体吐出孔にそれぞれ繋がった液体加圧室がマトリックス状に配置され、それを覆うように設けられた圧電アクチュエータユニットの変位素子を圧電体の変形により変位させることで、各液体吐出孔からインクを吐出させ、主走査方向に600dpiの解像度で印刷が可能とされている。また、変位素子は、流路部材側から、振動板、共通電極、圧電セラミック層、液体加圧室に対向した位置にある個別電極本体と個別電極本体より引き出されて外部配線と接続される引出電極からなる個別電極が積層された構造をしている。
特開2003−305852号公報
特許文献1に記載されているような液体吐出ヘッドでは、変位素子が変位を繰り返した場合、あるいは液体吐出ヘッドの製造工程において、引出電極に直接クラックが生じたり
、引出電極直下の圧電体に生じたクラックが引出電極にまで進展し、変位素子として機能しなくなることがあるという問題があった。
したがって、本発明の目的は、引出電極に断線の生じ難い液体吐出ヘッドおよび、それを用いた記録装置を提供することにある。
本発明の液体吐出ヘッドは、複数の液体吐出孔にそれぞれ繋がっている複数の液体加圧室が開口している流路部材と、振動板上に、共通電極、圧電セラミック層および複数の個別電極がこの順で積層されている圧電アクチュエータユニットとが、前記振動板が前記液体加圧室を覆うように積層されている液体吐出ヘッドであって、前記個別電極が、前記液体加圧室と対向している個別電極本体と該個別電極本体よりも厚みが厚く、前記個別電極本体より前記液体加圧室と対向しない位置まで引出されている引出接続電極とを含むことを特徴とする。
前記引出電極は、前記個別電極本体の前記引出電極が引き出されている一端から、前記個別電極本体の中央部に対して前記一端と反対の方向の他端まで繋がっていることが好ましい。
前記接続電極は、前記他端から前記液体加圧室と対向しない位置まで引き出されていることが好ましい。
平面視したとき、前記接続電極は、前記液体加圧室の中央部を中心とする環状の部位を含むことが好ましい。
また、本発明の記録装置は、液体吐出ヘッドと、記録媒体を前記液体吐出ヘッドに対して搬送する搬送部と、前記前記圧電ヘッドおよび前記搬送部を制御する制御部とを備えていることを特徴する。
本発明の液体吐出ヘッドによれば、引出電極の厚さが厚いため、引出電極に断線が生じ難い。
また、本発明の記録装置によれば、記録中に記録できない部分が生じ難く、記録精度がよくなる。
本発明の一実施形態に係る記録装置であるプリンタの概略構成図である。 図1の液体吐出ヘッドを構成する第1の流路部材および圧電アクチュエータユニットの平面図である。 図2の一点鎖線に囲まれた領域の拡大図である。 図2の一点鎖線に囲まれた領域の拡大図であり、説明のため一部の流路を省略した図である。 (a)は、図3のV−V線に沿った縦断面図であり、(b)は、(a)の平面図である。 (a)〜(c)は、本発明の他の液体吐出ヘッドの変位素子部の平面図である。
図1は、本発明の一実施形態による液体吐出ヘッドを含む記録装置であるカラーインク
ジェットプリンタの概略構成図である。このカラーインクジェットプリンタ1(以下、プリンタ1とする)は、4つの液体吐出ヘッド2を有している。これらの液体吐出ヘッド2は、印刷用紙Pの搬送方向に沿って並べられ、プリンタ1に固定されている。液体吐出ヘッド2は、図1の手前から奥へ向かう方向に細長い形状を有している。この長い方向を長手方向と呼ぶことがある。
プリンタ1には、印刷用紙Pの搬送経路に沿って、給紙ユニット114、搬送ユニット120および紙受け部116が順に設けられている。また、プリンタ1には、液体吐出ヘッド2や給紙ユニット114などのプリンタ1の各部における動作を制御するための制御部100が設けられている。
給紙ユニット114は、複数枚の印刷用紙Pを収容することができる用紙収容ケース115と、給紙ローラ145とを有している。給紙ローラ145は、用紙収容ケース115に積層して収容された印刷用紙Pのうち、最も上にある印刷用紙Pを1枚ずつ送り出すことができる。
給紙ユニット114と搬送ユニット120との間には、印刷用紙Pの搬送経路に沿って、二対の送りローラ118aおよび118b、ならびに、119aおよび119bが配置されている。給紙ユニット114から送り出された印刷用紙Pは、これらの送りローラによってガイドされて、さらに搬送ユニット120へと送り出される。
搬送ユニット120は、エンドレスの搬送ベルト111と2つのベルトローラ106および107を有している。搬送ベルト111は、ベルトローラ106および107に巻き掛けられている。搬送ベルト111は、2つのベルトローラに巻き掛けられたとき所定の張力で張られるような長さに調整されている。これによって、搬送ベルト111は、2つのベルトローラの共通接線をそれぞれ含む互いに平行な2つの平面に沿って、弛むことなく張られている。これら2つの平面のうち、液体吐出ヘッド2に近い方の平面が、印刷用紙Pを搬送する搬送面127である。
ベルトローラ106には、図1に示されるように、搬送モータ174が接続されている。搬送モータ174は、ベルトローラ106を矢印Aの方向に回転させることができる。また、ベルトローラ107は、搬送ベルト111に連動して回転することができる。したがって、搬送モータ174を駆動してベルトローラ106を回転させることにより、搬送ベルト111は、矢印Aの方向に沿って移動する。
ベルトローラ107の近傍には、ニップローラ138とニップ受けローラ139とが、搬送ベルト111を挟むように配置されている。ニップローラ138は、図示しないバネによって下方に付勢されている。ニップローラ138の下方のニップ受けローラ139は、下方に付勢されたニップローラ138を、搬送ベルト111を介して受け止めている。2つのニップローラは回転可能に設置されており、搬送ベルト111に連動して回転する。
給紙ユニット114から搬送ユニット120へと送り出された印刷用紙Pは、ニップローラ138と搬送ベルト111との間に挟み込まれる。これによって、印刷用紙Pは、搬送ベルト111の搬送面127に押し付けられ、搬送面127上に固着する。そして、印刷用紙Pは、搬送ベルト111の回転に従って、液体吐出ヘッド2が設置されている方向へと搬送される。なお、搬送ベルト111の外周面113に粘着性のシリコンゴムによる処理を施してもよい。これにより、印刷用紙Pを搬送面127に確実に固着させることができる。
4つの液体吐出ヘッド2は、搬送ベルト111による搬送方向に沿って互いに近接して配置されている。各液体吐出ヘッド2は、下端に液体吐出ヘッド本体13を有している。液体吐出ヘッド本体13の下面には、液体を吐出する多数の液体吐出孔8が設けられている(図4、5および6参照)。
1つの液体吐出ヘッド2に設けられた液体吐出孔8からは、同じ色の液滴(インク)が吐出されるようになっている。各液体吐出ヘッド2には図示しない外部液体タンクから液体が供給される。各液体吐出ヘッド2の液体吐出孔8は、液体吐出孔面に開口しており、一方方向(印刷用紙Pと平行で印刷用紙P搬送方向に直交する方向であり、液体吐出ヘッド2の長手方向)に等間隔で配置されているため、一方方向に隙間なく印刷することができる。各液体吐出ヘッド2から吐出される液体の色は、それぞれ、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)である。各液体吐出ヘッド2は、液体吐出ヘッド本体13の下面と搬送ベルト111の搬送面127との間にわずかな隙間をおいて配置されている。
搬送ベルト111によって搬送された印刷用紙Pは、液体吐出ヘッド2と搬送ベルト111との間の隙間を通過する。その際に、液体吐出ヘッド2を構成する液体吐出ヘッド本体13から印刷用紙Pの上面に向けて液滴が吐出される。これによって、印刷用紙Pの上面には、制御部100によって記憶された画像データに基づくカラー画像が形成される。
搬送ユニット120と紙受け部116との間には、剥離プレート140と二対の送りローラ121aおよび121bならびに122aおよび122bとが配置されている。カラー画像が印刷された印刷用紙Pは、搬送ベルト111によって剥離プレート140へと搬送される。このとき、印刷用紙Pは、剥離プレート140の右端によって、搬送面127から剥離される。そして、印刷用紙Pは、送りローラ121a〜122bによって、紙受け部116に送り出される。このように、印刷済みの印刷用紙Pが順次紙受け部116に送られ、紙受け部116に重ねられる。
なお、印刷用紙Pの搬送方向について最も上流側にある液体吐出ヘッド2とニップローラ138との間には、紙面センサ133が設置されている。紙面センサ133は、発光素子および受光素子によって構成され、搬送経路上の印刷用紙Pの先端位置を検出することができる。紙面センサ133による検出結果は制御部100に送られる。制御部100は、紙面センサ133から送られた検出結果により、印刷用紙Pの搬送と画像の印刷とが同期するように、液体吐出ヘッド2や搬送モータ174等を制御することができる。
次に本発明の液体吐出ヘッドを構成する液体吐出ヘッド本体13について説明する。図2は、図1に示された液体吐出ヘッド本体13を示す上面図である。図3は、図2の一点鎖線で囲まれた領域の拡大上面図であり、液体吐出ヘッド本体13の一部である。図4は、図3と同じ位置の拡大透視図で、液体吐出孔8の位置が分かりやすいように、一部の流路を省略して描いている。なお、図3および図4において、図面を分かり易くするために、圧電アクチュエータユニット21の下方にあって破線で描くべき液体加圧室10(液体加圧室群9)、しぼり12および液体吐出孔8を実線で描いている。図5(a)は図3のV−V線に沿った縦断面図であり、図5(b)は図5(a)の平面図である。
液体吐出ヘッド本体13は、平板状の流路部材4と、流路部材4上に、圧電アクチュエータユニット21とを有している。圧電アクチュエータユニット21は台形形状を有しており、その台形の1対の平行対向辺が流路部材4の長手方向に平行になるように流路部材4の上面に配置されている。また、流路部材4の長手方向に平行な2本の仮想直線のそれぞれに沿って2つずつ、つまり合計4つの圧電アクチュエータユニット21が、全体として千鳥状に流路部材4上に配列されている。流路部材4上で隣接し合う圧電アクチュエー
タユニット21の斜辺同士は、流路部材4の短手方向について部分的にオーバーラップしている。このオーバーラップしている部分の圧電アクチェータユニット21を駆動することにより印刷される領域では、2つの圧電アクチュエータユニット21により吐出された液滴が混在して着弾することになる。
流路部材4の内部には液体流路の一部であるマニホールド5が形成されている。マニホールド5は流路部材4の長手方向に沿って延び細長い形状を有しており、流路部材4の上面にはマニホールド5の開口5bが形成されている。開口5bは、流路部材4の長手方向に平行な2本の直線(仮想線)のそれぞれに沿って5個ずつ、合計10個形成されている。開口5bは、4つの圧電アクチュエータユニット21が配置された領域を避ける位置に形成されている。マニホールド5には開口5bを通じて図示されていない液体タンクから液体が供給されるようになっている。
流路部材4内に形成されたマニホールド5は、複数本に分岐している(分岐した部分のマニホールド5を副マニホールド5aということがある)。開口5bに繋がるマニホールド5は、圧電アクチュエータユニット21の斜辺に沿うように延在しており、流路部材4の長手方向と交差して配置されている。2つの圧電アクチュエータユニット21に挟まれた領域では、1つのマニホールド5が、隣接する圧電アクチュエータユニット21に共有されており、副マニホールド5aがマニホールド5の両側から分岐している。これらの副マニホールド5aは、流路部材4の内部の各圧電アクチュエータユニット21に対向する領域に互いに隣接して液体吐出ヘッド本体13の長手方向に延在している。
流路部材4は、複数の液体加圧室10がマトリクス状(すなわち、2次元的かつ規則的)に形成されている4つの液体加圧室群9を有している。液体加圧室10は、角部にアールが施されたほぼ菱形の平面形状を有する中空の領域である。液体加圧室10は流路部材4の上面に開口するように形成されている。これらの液体加圧室10は、流路部材4の上面における圧電アクチュエータユニット21に対向する領域のほぼ全面にわたって配列されている。したがって、これらの液体加圧室10によって形成された各液体加圧室群9は圧電アクチュエータユニット21とほぼ同一の大きさおよび形状の領域を占有している。また、圧電アクチュエータユニット21は複数の液体加圧室10を覆うように積層されるので、各液体加圧室10の開口は、圧電アクチュエータユニット21で閉塞されている。
本実施形態では、図3に示されているように、マニホールド5は、流路部材4の短手方向に互いに平行に並んだ4列のE1〜E4の副マニホールド5aに分岐し、各副マニホールド5aに繋がった液体加圧室10は、等間隔に流路部材4の長手方向に並ぶ液体加圧室10の列を構成し、その列は、短手方向に互いに平行に4列配列されている。副マニホールド5aに繋がった液体加圧室10の並ぶ列は副マニホールド5aの両側に2列ずつ配列されている。
全体では、マニホールド5から繋がる液体加圧室10は、等間隔に流路部材4の長手方向に並ぶ液体加圧室10の列を構成し、その列は、短手方向に互いに平行に16列配列されている。各液体加圧室列に含まれる液体加圧室10の数は、アクチュエータである変位素子50の外形形状に対応して、その長辺側から短辺側に向かって次第に少なくなるように配置されている。液体吐出孔8もこれと同様に配置されている。これによって、全体として長手方向に600dpiの解像度で画像形成が可能となっている。
つまり、流路部材4の長手方向に平行な仮想直線に対して直交するように液体吐出孔8を投影すると、図3に示した仮想直線のRの範囲に、各副マニホールド5a繋がっている4つの液体吐出孔8、つまり全部で16個の液体吐出孔8が600dpiの等間隔になっている。また、各副マニホールド5aには平均すれば150dpiに相当する間隔で個別
流路32が接続されている。これは、600dpi分の液体吐出孔8を4つ列の副マニホールド5aに分けて繋ぐ設計をする際に、各副マニホールド5aに繋がる個別流路32が等しい間隔で繋がるとは限らないため、マニホールド5aの延在方向、すなわち主走査方向に平均170μm(150dpiならば25.4mm/150=169μm間隔である)以下の間隔で個別流路32が形成されているということである。
圧電アクチュエータユニット21の上面における各液体加圧室10に対向する位置には後述する個別電極35がそれぞれ形成されている。すなわち、個別電極35は、圧電アクチュエータユニット21の上面に、第1の方向および第1の方向とは異なる方向に渡って形成されている。個別電極35は液体加圧室10より一回り小さく、液体加圧室10とほぼ相似な形状を有しており、圧電アクチュエータユニット21の上面における液体加圧室10と対向する領域内に収まるように配置されている。
流路部材4の下面には多数の液体吐出孔8が形成されている。これらの液体吐出孔8は、流路部材4の下面側に配置された副マニホールド5aと対向する領域を避けた位置に配置されている。また、これらの液体吐出孔8は、流路部材4の下面側における圧電アクチュエータユニット21と対向する領域内に配置されている。これらの液体吐出孔群7は圧電アクチュエータユニット21とほぼ同一の大きさおよび形状の領域を占有しており、対応する圧電アクチュエータユニット21の変位素子50を変位させることにより液体吐出孔8から液滴が吐出できる。液体吐出孔8の配置については後で詳述する。そして、それぞれの領域内の液体吐出孔8は、流路部材4の長手方向に平行な複数の直線に沿って等間隔に配列されている。
液体吐出ヘッド本体13に含まれる流路部材4は、複数のプレートが積層された積層構造を有している。これらのプレートは、流路部材4の上面から順に、キャビティプレート22、ベースプレート23、アパーチャ(しぼり)プレート24、サプライプレート25、26、マニホールドプレート27、28、29、カバープレート30およびノズルプレート31である。これらのプレートには多数の孔が形成されている。各プレートは、これらの孔が互いに連通して個別流路32および副マニホールド5aを構成するように、位置合わせして積層されている。液体吐出ヘッド本体13は、図5に示されているように、液体加圧室10は流路部材4の上面に、副マニホールド5aは内部の下面側に、液体吐出孔8は下面にと、個別流路32を構成する各部分が異なる位置に互いに近接して配設され、液体加圧室10を介して副マニホールド5aと液体吐出孔8とが繋がる構成を有している。
各プレートに形成された孔について説明する。これらの孔には、次のようなものがある。第1に、キャビティプレート22に形成された液体加圧室10である。第2に、液体加圧室10の一端から副マニホールド5aへと繋がる流路を構成する連通孔である。この連通孔は、ベースプレート23(詳細には液体加圧室10の入り口)からサプライプレート25(詳細には副マニホールド5aの出口)までの各プレートに形成されている。なお、この連通孔には、アパーチャプレート24に形成されたしぼり12と、サプライプレート25、26に形成された個別供給流路6とが含まれている。
第3に、液体加圧室10の他端から液体吐出孔8へと連通する流路を構成する連通孔であり、この連通孔は、以下の記載においてディセンダ(部分流路)と呼称される。ディセンダは、ベースプレート23(詳細には液体加圧室10の出口)からノズルプレート31(詳細には液体吐出孔8)までの各プレートに形成されている。第4に、副マニホールド5aを構成する連通孔である。この連通孔は、マニホールドプレート27〜29に形成されている。
このような連通孔が相互に繋がり、副マニホールド5aからの液体の流入口(副マニホールド5aの出口)から液体吐出孔8に至る個別流路32を構成している。副マニホールド5aに供給された液体は、以下の経路で液体吐出孔8から吐出される。まず、副マニホールド5aから上方向に向かって、個別供給流路6を通り、しぼり12の一端部に至る。次に、しぼり12の延在方向に沿って水平に進み、しぼり12の他端部に至る。そこから上方に向かって、液体加圧室10の一端部に至る。さらに、液体加圧室10の延在方向に沿って水平に進み、液体加圧室10の他端部に至る。そこから少しずつ水平方向に移動しながら、主に下方に向かい、下面に開口した液体吐出孔8へと進む。
圧電アクチュエータユニット21は、図5に示されるように、2枚の圧電セラミック層21a、21bからなる積層構造を有している。これらの圧電セラミック層21a、21bはそれぞれ20μm程度の厚さを有している。圧電アクチュエータユニット21の圧電セラミック層21a、21bの積層体の厚さは40μm程度であり、100μm以下であることにより、変位量を大きくすることができる。圧電アクチュエータユニット21は、流路部材4の液体加圧室10の開口している平面状の面に積層されており、圧電セラミック層21a、21bのいずれの層も複数の液体加圧室10を跨ぐように延在している(図3参照)。これらの圧電セラミック層21a、21bは、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料からなる。
圧電アクチュエータユニット21は、Ag−Pd系などの金属材料からなる共通電極34、Au系などの金属材料からなる個別電極35、個別電極35の上に形成されているAu系などの金属材料からなる接続電極を有している。個別電極35は上述のように圧電アクチュエータユニット21の上面における液体加圧室10と対向する位置に配置されている個別電極本体35aと、個別電極本体35aから液体加圧室10のない位置まで引き出されている引出電極35bとを含んでいる。引出電極35bの液体加圧室10のない位置には、接続電極36が形成されている。個別電極本体35aの厚さは、0.3〜1μm、引出電極35bの厚さは、3〜10μmであり、引出電極35bの厚さは、個別電極本体35aの厚さより厚くなっている。これにより、引出電極35bは、変位素子50を繰り返し変位した場合でも断線し難くできる。また、液体吐出ヘッドの製造工程においても断線が生じ難く、液体吐出ヘッドの歩留まりを高くできる。引出電極35bが直接断線する場合や、引出電極35b直下の圧電セラミック層21bにクラックが生じ、それにより断線する場合などがあるが、いずれにしても、断線は、変位の基点となり、構造が変わり応力が集中する液体加圧室の外周を横切る部分において生じやすいので、その部分を厚くするのは効果的である。また、引出電極35bの厚さを厚くすと、引出電極35bの幅を狭くしても断線が生じ難いので好ましい。さらに引出電極35bと共通電極34に挟まれている圧電セラミックス層21bは、引出電極35bに電圧が加わると圧電変形するため、この変形により変位素子50間にクロストークが生じることがあるが、引出電極35bの幅を狭くすれば、クロストークを抑制できる。引出電極35bの幅は、外部と接続するために引出電極を広げる部分の幅の半分以下にするのが好ましく、より具体的には、幅を50μm以下、更には20μm以下にするのがよい。
接続電極36は例えばガラスフリットを含む金からなり、厚さが5〜15μm程度で凸状に形成されている。また、接続電極36は、図示されていない外部配線であるFPC(Flexible Printed Circuit)に設けられた電極と電気的に接合されている。詳細は後述するが、個別電極35には、制御部100からFPCを通じて駆動信号(駆動電圧)が供給される。駆動信号は、印刷媒体Pの搬送速度と同期して一定の周期で供給される。
共通電極34は、圧電セラミック層21aと圧電セラミック層21bとの間の領域に面方向のほぼ全面にわたって形成されている。すなわち、共通電極34は、圧電アクチュエータユニット21に対向する領域内の全ての液体加圧室10を覆うように延在している。
共通電極34の厚さは2μm程度である。共通電極34は図示しない領域において接地され、グランド電位に保持されている。本実施形態では、圧電セラミック層21b上において、個別電極35からなる電極群を避ける位置に個別電極35とは異なる表面電極(不図示)が形成されている。表面電極は、圧電セラミック層21bの内部に形成されたスルーホールを介して共通電極34と電気的に接続されているとともに、多数の個別電極35と同様に、外部配線内の別の電極と接続されている。
なお、以上は、圧電アクチュエータユニット21が2層の圧電セラミック層の場合の構造であるが、3相層以上の圧電セラミック層を積層して、個別電極35と共通電極34が交互になるように配置してもよい。
図5に示されるように、共通電極34と個別電極35とは、最上層の圧電セラミック層21bのみを挟むように配置されている。圧電セラミック層21bにおける個別電極35と共通電極34とに挟まれた領域は活性部と呼称され、その部分の圧電セラミックスには厚み方向に分極が施されている。本実施形態の圧電アクチュエータユニット21においては、最上層の圧電セラミック層21bのみが活性部を含んでおり、圧電セラミック21aは活性部を含んでおらず、振動板として働く。この圧電アクチュエータユニット21はいわゆるユニモルフタイプの構成を有している。
なお、後述のように、個別電極35に選択的に所定の駆動信号が供給されることにより、この個別電極35に対応する液体加圧室10内の液体に圧力が加えられる。これによって、個別流路32を通じて、対応する液体吐出口8から液滴が吐出される。すなわち、圧電アクチュエータユニット21における各液体加圧室10に対向する部分は、各液体加圧室10および液体吐出口8に対応する個別の変位素子50に相当する。つまり、2枚の圧電セラミック層からなる積層体中には、図5に示されているような構造を単位構造とする変位素子50が液体加圧室10毎に、液体加圧室10の直上に位置する振動板21a、共通電極34、圧電セラミック層21b、個別電極35により作り込まれており、圧電アクチュエータユニット21には変位素子50が複数含まれている。なお、本実施形態において1回の吐出動作によって液体吐出口8から吐出される液体の量は5〜7pL(ピコリットル)程度である。
本実施の形態における実際の駆動手順は、あらかじめ個別電極35を共通電極34より高い電位(以下高電位と称す)にしておき、吐出要求がある毎に個別電極35を共通電極34と一旦同じ電位(以下低電位と称す)とし、その後所定のタイミングで再び高電位とする。これにより、個別電極35が低電位になるタイミングで、圧電セラミック層21a、bが元の形状に戻り、液体加圧室10の容積が初期状態(両電極の電位が異なる状態)と比較して増加する。このとき、液体加圧室10内に負圧が与えられ、液体がマニホールド5側から液体加圧室10内に吸い込まれる。その後再び個別電極35を高電位にしたタイミングで、圧電セラミック層21a、bが液体加圧室10側へ凸となるように変形し、液体加圧室10の容積減少により液体加圧室10内の圧力が正圧となり液体への圧力が上昇し、液滴が吐出される。つまり、液滴を吐出させるため、高電位を基準とするパルスを含む駆動信号を個別電極35に供給することになる。このパルス幅は、液体加圧室10内において圧力波がマニホールド5から液体吐出孔8まで伝播する時間長さであるAL(Acoustic Length)が理想的である。これによると、液体加圧室10内部が負圧状態から正
圧状態に反転するときに両者の圧力が合わさり、より強い圧力で液滴を吐出させることができる。
図6(a)〜(c)は、波液体吐出ヘッドの他の実施形態である。図6(a)では、引出電極235bは、個別電極本体235aの引出電極235bが引き出されている一端から、個別電極本体235aの中央部Cに対して前記一端と反対の方向の他端まで繋がって
いる。このような構成を有することにより、個別電極本体235a上においても断線することを抑制できる。すなわち、個別電極本体235aにクラックが生じて、個別電極本体235aの内部で導通が取れない状態になっても、引出電極235bにより導通が取れるため、変位素子として機能させることができる。
図6(b)では、引出電極335bは、個別電極本体335aの中央部Cに対して、個別電極本体335aの引出電極335bが引き出されている一端と反対の方向の他端から、液体加圧室310と対向しない位置まで引出されていることにより、引出電極の335bの形成位置、あるいは個別電極本体335aの形成位置がずれても、液体加圧室310と重なる個別電極の面積の変動が少なくなるので、変位素子の変位ばらつきを少なくできる。
図6(c)では、平面視したとき、引出電極435bは、液体加圧室410の中央部を中心とする環状の部位を含むことにより、個別電極本体435aの一部が、他の個別電極本体435aの部分から切り離されても、厚みの厚い引出電極435bにより切り離された部分との導通が保つことができる。これにより、多少の変位低下が生じるおそれはあるが、変位させることが可能になる。また、引出電極は435bにより個別電極435の厚みが厚くなる部分が、引出電極は435bは環状なので、厚みの厚くなっている部分は、たわみ変形の湾曲に対してほぼ直交するような構造になり、変位低下を少なくできる。変位低下を少なくするためには環状部の内側および外側の形状が液体加圧室410と略相似であることが好ましい。
1・・・プリンタ
2・・・液体吐出ヘッド
4・・・流路部材
5・・・マニホールド
5a・・・副マニホールド
5b・・・マニホールドの開口
6・・・個別供給流路
8・・・液体吐出孔
9・・・液体加圧室群
10、210、310、410・・・液体加圧室
11a、b、c、d・・・液体加圧室列
12・・・しぼり
13・・・液体吐出ヘッド本体
15a、b、c、d・・・液体吐出孔列
21・・・圧電アクチュエータユニット
21a・・・圧電セラミック層(振動板)
21b、221b、321b、421b・・・圧電セラミック層
22〜31・・・プレート
32・・・個別流路
34・・・共通電極
35・・・個別電極
35a・・・個別電極本体
35b・・・引出電極
36、236、336、436・・・接続電極
50・・・変位素子

Claims (5)

  1. 複数の液体吐出孔にそれぞれ繋がっている複数の液体加圧室が開口している流路部材と、振動板上に、共通電極、圧電セラミック層および複数の個別電極がこの順で積層されている圧電アクチュエータユニットとが、前記振動板が前記液体加圧室を覆うように積層されている液体吐出ヘッドであって、前記個別電極が、前記液体加圧室と対向している個別電極本体と該個別電極本体よりも厚みが厚く、前記個別電極本体より前記液体加圧室と対向しない位置まで引出されている引出接続電極とを含むことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記引出電極は、前記個別電極本体の前記引出電極が引き出されている一端から、前記個別電極本体の中央部に対して前記一端と反対の方向の他端まで繋がっていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記引出電極は、前記他端から前記液体加圧室と対向しない位置まで引き出されていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 平面視したとき、前記引出電極は、前記液体加圧室の中央部を中心とする環状の部位を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の液体吐出ヘッドと、記録媒体を前記液体吐出ヘッドに対して搬送する搬送部と、前記前記圧電ヘッドおよび前記搬送部を制御する制御部とを備えていることを特徴とする記録装置。
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