JP2010228144A - 液体吐出ヘッド、それを用いた記録装置、および液体吐出ヘッドの使用方法 - Google Patents

液体吐出ヘッド、それを用いた記録装置、および液体吐出ヘッドの使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 駆動劣化が抑制できる液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】 複数の液体加圧室を有する平板状の流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように圧電アクチュエータを積層してなり、該圧電アクチュエータは、前記流路部材側から振動板、共通電極、圧電体層および複数の駆動電極の順に積層されているとともに、前記圧電体層の前記駆動電極と前記共通電極とで挟まれた部位が厚み方向に分極されており、前記流路部材の主面側から見た場合に前記複数の駆動電極がそれぞれ前記複数の液体加圧室に重なるように積層してなる液体吐出ヘッドであって、前記共通電極があり前記複数の駆動電極がない部分の前記圧電体層の内部に、前記共通電極と平行に非駆動部再分極用電極が設けられているとともに、前記共通電極と前記非駆動部再分極用電極とで挟まれた前記圧電体層の部分が厚み方向に分極されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【選択図】 図5

Description

本発明は、液体吐出ヘッドに関し、特に微小液滴を噴出させたり、微小液体を送出するための液体吐出装置や文字や画像の印刷に用いるインクジェット式プリンタに搭載される印刷ヘッドに好適に使用できる液体吐出ヘッド、それを用いた記録装置、および液体吐出ヘッドの使用方法に関する。
近年、インクジェットプリンタやインクジェットプロッタなどの、インクジェット記録方式を利用した記録装置が、一般消費者向けのプリンタだけでなく、例えば電子回路の形成や液晶ディスプレイ用のカラーフィルタの製造、有機ELディスプレイの製造といった工業用途にも広く利用されている。
このようなインクジェット方式の記録装置には、液体を吐出させるための液体吐出ヘッドが印刷ヘッドとして搭載されている。この種の印刷ヘッドには、インクが充填されたインク流路内に加圧手段としてのヒーターを備え、ヒーターによりインクを加熱、沸騰させ、インク流路内に発生する気泡によってインクを加圧し、インク吐出孔より、液滴として吐出させるサーマルヘッド方式と、インクが充填されるインク流路の一部の壁を変位素子によって屈曲変位させ、機械的にインク流路内のインクを加圧し、インク吐出孔より液滴として吐出させる圧電方式が一般的に知られている。
また、このような液体吐出ヘッドには、記録媒体の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)にヘッドを移動させつつ記録を行なうシリアル式、および主走査方向に関して記録媒体より長いヘッドを固定した状態で副走査方向に搬送されてくる記録媒体に記録を行なうライン式がある。ライン式は、シリアル式のようにヘッドを移動させる必要がないので、高速記録が可能であるという利点を有する。
シリアル式、ライン式いずれの方式の液体吐出ヘッドであっても、液滴を高い密度で印刷するには、液体吐出ヘッドに形成されている、液滴を吐出する液体吐出孔の密度を高くする必要がある。
そこで液体吐出ヘッドを、マニホールドとマニホールドから複数の液体加圧室をそれぞれ介して繋がる液体吐出孔を有した流路部材と、前記液体加圧室をそれぞれ覆うように、圧電体層と振動板を設け、さらに複数の駆動電極と共通電極とを設けて構成された複数の変位素子を有するアクチュエータユニットとを積層して構成する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。液体吐出ヘッドでは、各液体吐出孔に繋がった液体加圧室を、それを覆うように設けられた変位素子を変位させることで、各液体吐出孔からインクを吐出させ、主走査方向に600dpiの解像度で印刷が可能とされている。
特開2003−305852号公報
しかしながら、このような液体吐出ヘッドでは、変位素子(以下で変位素子に含まれる圧電体を駆動部ということがある)を長い間駆動させると、変位素子の間にある駆動されない圧電体(以下で非駆動部ということがある)に応力が加わり、徐々に分極されてしまうことがあった。
圧電体に内包する強誘電体ドメインウォールが移動し(ドメインスイッチング)、圧電体の伸びや縮みが発生する。そして、駆動回数が非常に多くなると圧電体自身の逆圧電効果による磁器の伸びや縮みにより発生する駆動部と非駆動部との間の応力によってドメインウォールの移動が進行し、変位素子の、変位量が低下するという駆動劣化の問題が発生するおそれがあった。
変位素子に駆動劣化が発生する、すなわち非駆動部の分極状態の初期常態からの変化が大きいと液体吐出ヘッドから吐出される液体の量や速度が変わるため、適切な画像を記録できなくなるなどの問題となる。
本発明の目的は、駆動劣化が抑制される液体吐出ヘッド、それを用いた記録装置、および記録方法を提供することである。
本発明の液体吐出ヘッドは、複数の液体加圧室および該複数の液体加圧室にそれぞれ連通する複数の液体吐出孔を有する平板状の流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように圧電アクチュエータを積層してなり、該圧電アクチュエータは、前記流路部材側から振動板、共通電極、圧電体層および複数の駆動電極の順に積層されているとともに、前記圧電体層の前記駆動電極と前記共通電極とで挟まれた部位が厚み方向に分極されており、前記流路部材の主面側から見た場合に前記複数の駆動電極がそれぞれ前記複数の液体加圧室に重なるように積層してなる液体吐出ヘッドであって、前記流路部材の主面側から見て、前記共通電極があり前記複数の駆動電極がない部分の前記圧電体層の内部に、前記共通電極と平行に非駆動部再分極用電極が設けられているとともに、前記共通電極と前記非駆動部再分極用電極とで挟まれた前記圧電体層の部分が厚み方向に分極されていることを特徴とする。
また、前記流路部材の主面側から見た場合、前記複数の駆動電極は、電気的接続を行なう接続部を除いて、それぞれ前記複数の液体加圧室より小さいことが好ましい。
さらに、前記非駆動部再分極用電極と前記共通電極とで挟まれた圧電体層の厚さが、前記圧電体層の厚さの半分以上であることが好ましい。
また、本発明の記録装置は、前記請求項1から3のいずれかに記載の液体吐出ヘッドと、記録媒体を前記液体吐出ヘッドに対して搬送する搬送部とを備えるとともに、前記液体吐出ヘッドから前記記録媒体に液体を吐出することを特徴とする。
また、本発明の液体吐出ヘッドの使用方法は、前記液体吐出ヘッドに駆動信号を送って記録を行なう前に、前記非駆動部再分極用電極と前記共通電極との間に電圧を加えて、前記非駆動部再分極用電極と前記共通電極とで挟まれた前記圧電体層の部分を分極することを特徴とする。
また、本発明の液体吐出ヘッドの使用方法は、液体吐出ヘッドに送られる駆動信号が所定回数になる前に、前記非駆動部再分極用電極と前記共通電極との間に電圧を加えて、前記非駆動部再分極用電極と前記共通電極とで挟まれた前記圧電体層の部分を分極することを特徴とする。
本発明の液体吐出ヘッドによれば、複数の液体加圧室および該複数の液体加圧室にそれぞれ連通する複数の液体吐出孔を有する平板状の流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように圧電アクチュエータを積層してなり、該圧電アクチュエータは、前記流路部材側から振動板、共通電極、圧電体層および複数の駆動電極の順に積層されているとともに、前記圧電体層の前記駆動電極と前記共通電極とで挟まれた部位が厚み方向に分極されており、前記流路部材の主面側から見た場合に前記複数の駆動電極がそれぞれ前記複数の液体加圧室に重なるように積層してなる液体吐出ヘッドであって、前記流路部材の主面側から見て、前記共通電極があり前記複数の駆動電極がない部分の前記圧電体層の内部に、前記共通電極と平行に非駆動部再分極用電極が設けられているとともに、前記共通電極と前記非駆動部再分極用電極とで挟まれた前記圧電体層の部分が厚み方向に分極されていることより、駆動劣化が生じても、前記非駆動部再分極用電極と前記共通電極との間に電圧を加えて分極する再分極処理を行なうことにより、分極の状態が初期と略同じでき、初期の吐出特性に近い吐出特性が得られる。
また、前記流路部材の主面側から見た場合、前記複数の駆動電極は、電気的接続を行なう接続部を除いて、それぞれ前記複数の液体加圧室より小さいと、駆動劣化が生じやすいが、前記非駆動部再分極用電極が前記液体加圧室の一部に重なる位置まで形成できるため、再分極処理により、分極の状態が初期と略同じでき、初期の吐出特性に近い吐出特性が得られる。
さらに、前記非駆動部再分極用電極と前記共通電極とで挟まれた圧電体層の厚さが、前記圧電体層の厚さの半分以上である場合、再分極により、分極の状態が初期と同じになる圧電体層の厚みの比率が高くなるため、初期の吐出特性により近い吐出特性が得られる。
また、本発明の記録装置によれば、前記体吐出ヘッドと、記録媒体を前記液体吐出ヘッドに対して搬送させる搬送部とを備えるとともに、前記液体吐出ヘッドから前記記録媒体に液体を吐出することを特徴とすることにより、再分極処理を行なうことにより、初期の吐出特性に近い吐出特性が得られるので、安定した記録ができる。
また、本発明の液体吐出ヘッドの使用方法によれば、液体吐出ヘッドに駆動信号を送って記録を行なう前に、前記非駆動部再分極用電極と前記共通電極との間に電圧を加えて、前記非駆動部再分極用電極と前記共通電極とで挟まれた前記圧電体層の部分を分極することにより、記録を始める前の吐出特性が、略同じになるため、安定した記録ができる。
また、本発明の液体吐出ヘッドの使用方法によれば、液体吐出ヘッドに送られる駆動信号が所定回数になる前に、前記非駆動部再分極用電極と前記共通電極との間に電圧を加えて、前記非駆動部再分極用電極と前記共通電極とで挟まれた前記圧電体層の部分を分極することにより、駆動劣化の影響が大きくなる前に、再分極が行なわれるので、吐出特性が略同じ状態で使用でき、安定した記録ができる。
本発明の一実施の形態に係る記録装置であるプリンタの概略構成図である。 図1の液体吐出ヘッドを構成するヘッド本体を示す平面図である。 図2の一点鎖線に囲まれた領域の拡大図である。 図2の一点鎖線に囲まれた領域の拡大図であり、説明のため一部の流路を省略した図である。 (a)図3のV−V線に沿った縦断面図であり、(b)はその要部であり、(c)はその平面図である。 本発明の非駆動部再分極用電極の他の例の平面図である。 本発明の圧電体の駆動の詳細を示した模式図である。
図1は、本発明の一実施形態である記録装置であるカラーインクジェットプリンタの概略構成図である。このカラーインクジェットプリンタ1(以下、プリンタ1とする)は、4つの液体吐出ヘッド2を有している。これらの液体吐出ヘッド2は、印刷用紙Pの搬送方向に沿って並べられ、プリンタ1に固定されている。液体吐出ヘッド2は、図1の手前から奥へ向かう方向に細長い形状を有している。
プリンタ1には、印刷用紙Pの搬送経路に沿って、給紙ユニット114、搬送ユニット120および紙受け部116が順に設けられている。また、プリンタ1には、液体吐出ヘッド2や給紙ユニット114などのプリンタ1の各部における動作を制御するための制御部100が設けられている。
給紙ユニット114は、複数枚の印刷用紙Pを収容することができる用紙収容ケース115と、給紙ローラ145とを有している。給紙ローラ145は、用紙収容ケース115に積層して収容された印刷用紙Pのうち、最も上にある印刷用紙Pを1枚ずつ送り出すことができる。
給紙ユニット114と搬送ユニット120との間には、印刷用紙Pの搬送経路に沿って、二対の送りローラ118aおよび118b、ならびに、119aおよび119bが配置されている。給紙ユニット114から送り出された印刷用紙Pは、これらの送りローラによってガイドされて、さらに搬送ユニット120へと送り出される。
搬送ユニット120は、エンドレスの搬送ベルト111と2つのベルトローラ106および107を有している。搬送ベルト111は、ベルトローラ106および107に巻き掛けられている。搬送ベルト111は、2つのベルトローラに巻き掛けられたとき所定の張力で張られるような長さに調整されている。これによって、搬送ベルト111は、2つのベルトローラの共通接線をそれぞれ含む互いに平行な2つの平面に沿って、弛むことなく張られている。これら2つの平面のうち、液体吐出ヘッド2に近い方の平面が、印刷用紙Pを搬送する搬送面127である。
ベルトローラ106には、図1に示されるように、搬送モータ174が接続されている。搬送モータ174は、ベルトローラ106を矢印Aの方向に回転させることができる。また、ベルトローラ107は、搬送ベルト111に連動して回転することができる。したがって、搬送モータ174を駆動してベルトローラ106を回転させることにより、搬送ベルト111は、矢印Aの方向に沿って移動する。
ベルトローラ107の近傍には、ニップローラ138とニップ受けローラ139とが、搬送ベルト111を挟むように配置されている。ニップローラ138は、図示しないバネによって下方に付勢されている。ニップローラ138の下方のニップ受けローラ139は、下方に付勢されたニップローラ138を、搬送ベルト111を介して受け止めている。2つのニップローラは回転可能に設置されており、搬送ベルト111に連動して回転する。
給紙ユニット114から搬送ユニット120へと送り出された印刷用紙Pは、ニップローラ138と搬送ベルト111との間に挟み込まれる。これによって、印刷用紙Pは、搬送ベルト111の搬送面127に押し付けられ、搬送面127上に固着する。そして、印刷用紙Pは、搬送ベルト111の回転に従って、液体吐出ヘッド2が設置されている方向へと搬送される。なお、搬送ベルト111の外周面113に粘着性のシリコンゴムによる処理を施してもよい。これにより、印刷用紙Pを搬送面127に確実に固着させることができる。
4つの液体吐出ヘッド2は、搬送ベルト111による搬送方向に沿って互いに近接して配置されている。各液体吐出ヘッド2は、下端にヘッド本体13を有している。ヘッド本体13の下面には、液体を吐出する多数の液体吐出孔8が設けられている(図3参照)。
1つの液体吐出ヘッド2に設けられた液体吐出孔8からは、同じ色の液滴(インク)が吐出されるようになっている。各液体吐出ヘッド2の液体吐出孔8は一方方向(印刷用紙Pと平行で印刷用紙P搬送方向に直交する方向であり、液体吐出ヘッド2の長手方向)に等間隔で配置されているため、一方方向に隙間なく印刷することができる。各液体吐出ヘッド2から吐出される液体の色は、それぞれ、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)である。各液体吐出ヘッド2は、ヘッド本体13の下面と搬送ベルト111の搬送面127との間にわずかな隙間をおいて配置されている。
搬送ベルト111によって搬送された印刷用紙Pは、液体吐出ヘッド2と搬送ベルト111との間の隙間を通過する。その際に、液体吐出ヘッド2を構成するヘッド本体13から印刷用紙Pの上面に向けて液滴が吐出される。これによって、印刷用紙Pの上面には、制御部100によって記憶された画像データに基づくカラー画像が形成される。
搬送ユニット120と紙受け部116との間には、剥離プレート140と二対の送りローラ121aおよび121bならびに122aおよび122bとが配置されている。カラー画像が印刷された印刷用紙Pは、搬送ベルト111によって剥離プレート140へと搬送される。このとき、印刷用紙Pは、剥離プレート140の右端によって、搬送面127から剥離される。そして、印刷用紙Pは、送りローラ121a〜122bによって、紙受け部116に送り出される。このように、印刷済みの印刷用紙Pが順次紙受け部116に送られ、紙受け部116に重ねられる。
なお、印刷用紙Pの搬送方向について最も上流側にある液体吐出ヘッド2とニップローラ138との間には、紙面センサ133が設置されている。紙面センサ133は、発光素子および受光素子によって構成され、搬送経路上の印刷用紙Pの先端位置を検出することができる。紙面センサ133による検出結果は制御部100に送られる。制御部100は、紙面センサ133から送られた検出結果により、印刷用紙Pの搬送と画像の印刷とが同期するように、液体吐出ヘッド2や搬送モータ174等を制御することができる。
次に本発明の液体吐出ヘッドを構成するヘッド本体13について説明する。図2は、図1に示されたヘッド本体13を示す上面図である。図3は、図2の一点鎖線で囲まれた領域の拡大上面図であり、ヘッド本体13の一部である。図4は、図3と同じ位置の拡大透視図で、液体吐出孔8の位置が分かりやすいように、一部の流路を省略して描いている。なお、図3および図4において、図面を分かりやすくするために、圧電アクチュエータユニット21の下方にあって破線で描くべき液体加圧室10(液体加圧室群9)、しぼり12および液体吐出孔8を実線で描いている。図5は図3のV−V線に沿った縦断面図である。
ヘッド本体13は、平板状の流路部材4と、流路部材4上に、アクチュエータユニットである圧電アクチュエータユニット21とを有している。圧電アクチュエータユニット21は台形形状を有しており、その台形の1対の平行対向辺が流路部材4の長手方向に平行になるように流路部材4の上面に配置されている。また、流路部材4の長手方向に平行な2本の仮想直線のそれぞれに沿って2つずつ、つまり合計4つの圧電アクチュエータユニット21が、全体として千鳥状に流路部材4上に配列されている。流路部材4上で隣接し合う圧電アクチュエータユニット21の斜辺同士は、流路部材4の短手方向について部分的にオーバーラップしている。このオーバーラップしている部分の圧電アクチェータユニット21を駆動することにより印刷される領域では、2つの圧電アクチュエータユニット21により吐出された液滴が混在して着弾することになる、
流路部材4の内部には液体流路の一部であるマニホールド5が形成されている。マニホールド5は流路部材4の長手方向に沿って延び細長い形状を有しており、流路部材4の上面にはマニホールド5の開口5bが形成されている。開口5bは、流路部材4の長手方向に平行な2本の直線(仮想線)のそれぞれに沿って5個ずつ、合計10個形成されている。開口5bは、4つの圧電アクチュエータユニット21が配置された領域を避ける位置に形成されている。マニホールド5には開口5bを通じて図示されていない液体タンクから液体が供給されるようになっている。
流路部材4内に形成されたマニホールド5は、複数本に分岐している(分岐した部分のマニホールド5を副マニホールド5aということがある)。開口5bに繋がるマニホールド5は、圧電アクチュエータユニット21の斜辺に沿うように延在しており、流路部材4の長手方向と交差して配置されている。2つの圧電アクチュエータユニット21に挟まれた領域では、1つのマニホールド5が、隣接する圧電アクチュエータユニット21に共有されており、副マニホールド5aがマニホールド5の両側から分岐している。これらの副マニホールド5aは、流路部材4の内部の各圧電アクチュエータユニット21に対向する領域に互いに隣接してヘッド本体13の長手方向に延在している。
流路部材4は、複数の液体加圧室10がマトリクス状(すなわち、2次元的かつ規則的)に形成されている4つの液体加圧室群9を有している。液体加圧室10は、角部にアールが施された略菱形の平面形状を有する中空の領域である。液体加圧室10は流路部材4の上面に開口するように形成されている。これらの液体加圧室10は、流路部材4の上面における圧電アクチュエータユニット21に対向する領域の略全面にわたって配列されている。したがって、これらの液体加圧室10によって形成された各液体加圧室群9は圧電アクチュエータユニット21と略同一の大きさおよび形状の領域を占有している。また、各液体加圧室10の開口は、流路部材4の上面に圧電アクチュエータユニット21が接着されることで閉塞されている。
本実施形態では、図3に示されているように、マニホールド5は、流路部材4の短手方向に互いに平行に並んだ4列のE1〜E4の副マニホールド5aに分岐し、各副マニホールド5aに繋がった液体加圧室10は、等間隔に流路部材4の長手方向に並ぶ液体加圧室10の列を構成し、その列は、短手方向に互いに平行に4列配列されている。副マニホールド5aに繋がった液体加圧室10の並ぶ列は副マニホールド5aの両側に2列ずつ配列されている。
全体では、マニホールド5から繋がる液体加圧室10は、等間隔に流路部材4の長手方向に並ぶ液体加圧室10の列を構成し、その列は、短手方向に互いに平行に16列配列されている。各液体加圧室列に含まれる液体加圧室10の数は、アクチュエータである変位素子50の外形形状に対応して、その長辺側から短辺側に向かって次第に少なくなるように配置されている。液体吐出孔8もこれと同様に配置されている。これによって、全体として長手方向に600dpiの解像度で画像形成が可能となっている。すなわち、各副マニホールド5aには平均すれば150dpiに相当する間隔で個別流路32が接続されている。これは、600dpi分の液体吐出孔8を4つ列の副マニホールド5aに分けて繋ぐ設計をする際に、各副マニホールド5aに繋がる個別流路32が等しい間隔で繋がるとは限らないため、マニホールド5aの延在方向、すなわち主走査方向に平均170μm(150dpiならば25.4mm/150=169μm間隔である)以下の間隔で個別流路32が形成されているということである。
圧電アクチュエータユニット21の上面における各液体加圧室10に対向する位置には後述する駆動電極35がそれぞれ形成されている。駆動電極35は液体加圧室10より一回り小さく、液体加圧室10と略相似な形状を有しており、圧電アクチュエータユニット21の上面における液体加圧室10と対向する領域内に収まるように配置されている。
流路部材4の下面の液体吐出面には多数の液体吐出孔8が形成されている。これらの液体吐出孔8は、流路部材4の下面側に配置された副マニホールド5aと対向する領域を避けた位置に配置されている。また、これらの液体吐出孔8は、流路部材4の下面側における圧電アクチュエータユニット21と対向する領域内に配置されている。これらの液体吐出孔群7は圧電アクチュエータユニット21と略同一の大きさおよび形状の領域を占有しており、対応する圧電アクチュエータユニット21の変位素子50を変位させることにより液体吐出孔8から液滴が吐出できる。液体吐出孔8の配置については後で詳述する。そして、それぞれの領域内の液体吐出孔8は、流路部材4の長手方向に平行な複数の直線に沿って等間隔に配列されている。
ヘッド本体13に含まれる流路部材4は、複数のプレートが積層された積層構造を有している。これらのプレートは、流路部材4の上面から順に、キャビティプレート22、ベースプレート23、アパーチャ(しぼり)プレート24、サプライプレート25、26、マニホールドプレート27、28、29、カバープレート30およびノズルプレート31である。これらのプレートには多数の孔が形成されている。各プレートは、これらの孔が互いに連通して個別流路32および副マニホールド5aを構成するように、位置合わせして積層されている。ヘッド本体13は、図5に示されているように、液体加圧室10は流路部材4の上面に、副マニホールド5aは内部の下面側に、液体吐出孔8は下面にと、個別流路32を構成する各部分が異なる位置に互いに近接して配設され、液体加圧室10を介して副マニホールド5aと液体吐出孔8とが繋がる構成を有している。
各プレートに形成された孔について説明する。これらの孔には、次のようなものがある。第1に、キャビティプレート22に形成された液体加圧室10である。第2に、液体加圧室10の一端から副マニホールド5aへと繋がる流路を構成する連通孔である。この連通孔は、ベースプレート23(詳細には液体加圧室10の入り口)からサプライプレート25(詳細には副マニホールド5aの出口)までの各プレートに形成されている。なお、この連通孔には、アパーチャプレート24に形成されたしぼり12と、サプライプレート25、26に形成された個別供給流路6とが含まれている。
第3に、液体加圧室10の他端から液体吐出孔8へと連通する流路を構成する連通孔であり、この連通孔は、以下の記載においてディセンダ(部分流路)と呼称される。ディセンダは、ベースプレート23(詳細には液体加圧室10の出口)からノズルプレート31(詳細には液体吐出孔8)までの各プレートに形成されている。第4に、副マニホールド5aを構成する連通孔である。この連通孔は、マニホールドプレート27〜30に形成されている。
このような連通孔が相互に繋がり、副マニホールド5aからの液体の流入口(副マニホールド5aの出口)から液体吐出孔8に至る個別流路32を構成している。副マニホールド5aに供給された液体は、以下の経路で液体吐出孔8から吐出される。まず、副マニホールド5aから上方向に向かって、個別供給流路6を通り、しぼり12の一端部に至る。次に、しぼり12の延在方向に沿って水平に進み、しぼり12の他端部に至る。そこから上方に向かって、液体加圧室10の一端部に至る。さらに、液体加圧室10の延在方向に沿って水平に進み、液体加圧室10の他端部に至る。そこから少しずつ水平方向に移動しながら、主に下方に向かい、下面に開口した液体吐出孔8へと進む。
圧電アクチュエータユニット21は、図5に示されるように、2枚の圧電セラミック層21a、21bからなる積層構造を有している。これらの圧電セラミック層21a、21bはそれぞれ20μm程度の厚さを有している。圧電アクチュエータユニット21全体の厚さは40μm程度である。圧電セラミック層21a、21bのいずれの層も複数の液体加圧室10を跨ぐように延在している(図3参照)。これらの圧電セラミック層21a、21bは、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料からなる。
圧電アクチュエータユニット21は、Ag−Pd系などの金属材料からなる共通電極34、Au系などの金属材料からなる駆動電極35および非駆動部再分極用電極41を有している。駆動電極35は上述のように圧電アクチュエータユニット21の上面における液体加圧室10と対向する位置に配置されている。駆動電極35は、外部への電気接続のために液体加圧室10と対向する領域外に引き出されている接続部35bとそれ以外の駆動電極本体35aとからなる。積層方向から見たとき、駆動電極本体35aは、液体加圧室10概略同形状をしている。接続部35bの一部には接続電極36が形成されている。接続電極36は例えばガラスフリットを含む金からなり、厚さが15μm程度で凸状に形成されている。また、接続電極36は、図示されていないFPC(Flexible Printed Circuit)に設けられた電極と電気的に接合されている。詳細は後述するが、駆動電極35には、制御部100からFPCを通じて駆動信号(駆動電圧)が供給される。駆動信号は、印刷媒体Pの搬送速度と同期して一定の周期で供給される。
非駆動部再分極用電極41は、圧電セラミック層21bの内部に共通電極34に平行に駆動電極35の周囲に、共通電極34と対向して設けられている。図6は非駆動部再分極用電極41の形状の他の一例である。ここで、駆動電極の周囲とは、流路部材と前記圧電アクチュエータとの積層方向から見たとき、液体加圧室の面積重心点から非駆動部再分極用電極41が形成されている部位への角度が360度となっていること、つまり、平面上のどの方向にも補助電極41が形成されていることが好ましいが、接続部35bの方向を除く概略360度近く形成されていればよく、その角度は270度(3/4周)以上であればよい。また、詳細は後述するが、非駆動部52のうち駆動劣化を起こすのは、駆動電極本体35aの近傍100μm程度のところであるので、非駆動部再分極用電極41は、駆動電極本体35aの端と同じ位置、もしくは、製造のばらつきにより非駆動部再分極用電極41と駆動電極本体35aとが重ならない位置から、駆動電極本体35aの端から100μmの位置、好ましくは200μmの位置まで形成すればよい。
図5(c)では非駆動部再分極用電極41は、積層方向から見て、駆動電極35が形成されている部分を除いて、共通電極34と同形状で圧電アクチュエータ21の略全面に形成されている。このような形状にすると、非駆動部再分極用電極41の形成が簡単になるとともに、非駆動部52を再分極するために非駆動部再分極用電極41から外部への電気接続を1箇所にできるため好ましい。
図6の非駆動部再分極用電極241は、各駆動電極235の周囲にそれぞれ形成されている。このような形状にした場合、駆動時に駆動電極235に電圧を加える際に、対応する非駆動部再分極用電極241に同じ電圧を加えれば、駆動電極235との間に電位差がなくなるので、駆動電極235と非駆動部再分極用電極241とが短絡するおそれが少なくなる。
共通電極34は、圧電セラミック層21aと圧電セラミック層21bとの間の領域に面方向の略全面にわたって形成されている。すなわち、共通電極34は、圧電アクチュエータユニット21に対向する領域内の全ての液体加圧室10を覆うように延在している。共通電極34の厚さは2μm程度である。共通電極34は図示しない領域において接地され、グランド電位に保持されている。本実施形態では、圧電セラミック層21b上において、駆動電極35からなる電極群を避ける位置に駆動電極35とは異なる表面電極(不図示)が形成されている。表面電極は、圧電セラミック層21bの内部に形成されたスルーホールを介して共通電極34と電気的に接続されているとともに、多数の駆動電極35と同様に、FPC上の別の電極と接続されている。
図5に示されるように、共通電極34と駆動電極35とは、最上層の圧電セラミック層21bのみを挟むように配置されている。圧電セラミック層21bにおける駆動電極35と共通電極34とに挟まれた領域は活性部と呼称され、その部分の圧電セラミックスには分極が施されている。本実施形態の圧電アクチュエータユニット21においては、最上層の圧電セラミック層21bのみが活性部を含んでおり、圧電セラミック21aは活性部を含んでおらず、振動板として働く。この圧電アクチュエータユニット21はいわゆるユニモルフタイプの構成を有している。
なお、後述のように、駆動電極35に選択的に所定の駆動信号が供給されることにより、この駆動電極35に対応する液体加圧室10内の液体に圧力が加えられる。これによって、個別流路32を通じて、対応する液体吐出口8から液滴が吐出される。すなわち、圧電アクチュエータユニット21における各液体加圧室10に対向する部分は、各液体加圧室10および液体吐出口8に対応する個別の変位素子50(アクチュエータ)に相当する。つまり、2枚の圧電セラミック層からなる積層体中には、図5に示されているような構造を単位構造とする変位素子50が液体加圧室10毎に、液体加圧室10の直上に位置する振動板21a、共通電極34、圧電セラミック層21b、駆動電極35により作り込まれており、圧電アクチュエータユニット21には変位素子50が複数含まれている。なお、本実施形態において1回の吐出動作によって液体吐出口8から吐出される液体の量は5〜7pL(ピコリットル)程度である。
多数の駆動電極35は、個別に電位を制御することができるように、それぞれがFPC上のコンタクトおよび配線を介して、個別にアクチュエータ制御手段に電気的に接続されている。
本実施形態における圧電アクチュエータユニット21の駆動方法を、まず駆動電極35に供給される駆動電圧(駆動信号)に関して説明する。駆動電極35を共通電極34と異なる電位にして圧電セラミック層21bに対してその分極方向に電界を印加したとき、この電界が印加された部分が、圧電効果により歪む活性部として働く。この時圧電セラミック層21bは、その厚み方向すなわち積層方向に伸長または収縮し、圧電横効果により積層方向と垂直な方向すなわち面方向には収縮または伸長しようとする。一方、残りの圧電セラミック層21aは、駆動電極35と共通電極34とに挟まれた領域を持たない非活性層であるので、自発的に変形しない。つまり、圧電アクチュエータユニット21は、上側(つまり、液体加圧室10とは離れた側)の圧電セラミック層21bを、活性部を含む層とし、かつ下側(つまり、液体加圧室10に近い側)の圧電セラミック層21aを非活性層とした、いわゆるユニモルフタイプの構成となっている
この構成において、電界と分極とが同方向となるように、アクチュエータ制御部により駆動電極35を共通電極34に対して正または負の所定電位とすると、圧電セラミック層21bの電極に挟まれた部分(活性部)が、面方向に収縮する。一方、非活性層の圧電セラミック層21aは電界の影響を受けないため、自発的には縮むことがなく活性部の変形を規制しようとする。この結果、圧電セラミック層21bと圧電セラミック層21aとの間で分極方向への歪みに差が生じて、圧電セラミック層21bは液体加圧室10側へ凸となるように変形(ユニモルフ変形)する。
本実施の形態における実際の駆動手順のひとつは引き打ちと呼ばれるもので、予め駆動電極35を共通電極34より高い電位(以下高電位と称す)にしておき、吐出要求がある毎に駆動電極35を共通電極34と一旦同じ電位(以下低電位と称す)とし、その後所定のタイミングで再び高電位とする。これにより、駆動電極35が低電位になるタイミングで、圧電セラミック層21a、bが元の形状に戻り、液体加圧室10の容積が初期状態(両電極の電位が異なる状態)と比較して増加する。このとき、液体加圧室10内に負圧が与えられ、液体がマニホールド5側から液体加圧室10内に吸い込まれる。その後再び駆動電極35を高電位にしたタイミングで、圧電セラミック層21a、bが液体加圧室10側へ凸となるように変形し、液体加圧室10の容積減少により液体加圧室10内の圧力が正圧となり液体への圧力が上昇し、液滴が吐出される。つまり、液滴を吐出させるため、高電位を基準とするパルスを含む駆動信号を駆動電極35に供給することになる。このパルス幅は、液体加圧室10内において圧力波がマニホールド5から液体吐出孔8まで伝播する時間長さであるAL(Acoustic Length)が理想的である。これによると、液体加圧室10内部が負圧状態から正圧状態に反転するときに両者の圧力が合わさり、より強い圧力で液滴を吐出させることができる。
これとは逆に押し打ちと呼ばれる駆動方法も使用できる。押し打ちは、駆動電極35を共通電極34と同じ電位(低電位)にしておき吐出要求がある毎に駆動電極35を共通電極34より高い電位(高電位)とする。これにより、液体加圧室10の体積増加により、液体吐出孔8から押し出された液柱が、液体加圧室10内部が正圧状態から負圧状態に反転するときに合わせて、液体加圧室10の体積を増加させて、液柱の根元を切断し、切り離された液滴を吐出する。
また、階調印刷においては、液体吐出孔8から連続して吐出される液滴の数、つまり液滴吐出回数で調整される液滴量(体積)で階調表現が行なわれる。このため、指定された階調表現に対応する回数の液滴吐出を、指定されたドット領域に対応する液体吐出孔8から連続して行なう。一般に、液体吐出を連続して行なう場合は、液滴を吐出させるために供給するパルスとパルスとの間隔をALとすることが好ましい。これにより、先に吐出された液滴を吐出させるときに発生した圧力の残余圧力波と、後に吐出させる液滴を吐出させるときに発生する圧力の圧力波との周期が一致し、これらが重畳して液滴を吐出するための圧力を増幅させることができる。
以上のような基本的に引き打ちの動作においては、駆動劣化が起きる原因を、図7を用いて詳細に説明する図7(a)は電圧を加えていない状態の圧電セラミック層21b、共通電極34、駆動電極35および非駆動部再分極用電極41の縦断面である。以下、共通電極34と駆動電極35とに挟まれた部分の圧電セラミック層21bを駆動部51と呼び、そうでない部分の圧電セラミック層21bを非駆動部52と呼ぶ。なお、分極は、駆動電極35から共通電極34への方向および非駆動部再分極用電極41から共通電極34への方向にされている。いずれの分極も、図7(a)とは逆の方向に行なっておいてもよく、両方をぎゃくにおこなってもよく、その場合、以下の説明では加える各部の電圧差は逆になる。
上述の説明のように、一般的な引き打ちでは、図7(b)のように共通電極34が0V、駆動電極35が正の電圧の状態で待機し(以下、吐出する前の状態を待機状態という)、図7(c)のように共通電極34が0V、駆動電極35が0Vとなる駆動電圧を与えて駆動し(以下、待機状態とは異なる駆動電圧が与えられている状態を駆動状態という)、その後、図7(b)の待機状態に戻るという一連の動作を行なうことにより、液体吐出孔8から液滴が吐出される。図7(b)の待機状態では駆動部51が平面方向に縮んでおり、非駆動部52には引っ張り応力が働いている。この応力が非常に長時間、繰り返し加わるため、非駆動部52は、次第に横方向に分極されていく。そして、横方向への分極が進むと、非駆動部52は横方向に延びてしまい、図7(c)の駆動状態では駆動部51を押すように働くため、駆動状態での変位が少なくなる。これが駆動劣化である。
このような駆動劣化が生じた際に非駆動部再分極用電極41と共通電極34との間に電圧を加えて非駆動部52を再分極することで、非駆動部再分極用電極41と共通電極34との間の分極の状態が初期と略同じ状態となるため。液体の吐出特性も初期と略同じ状態となる。
流路部材4の主面側から見た場合、駆動電極35を、接続部35bを除いて、それぞれ液体加圧室10より小さくすると、変位素子50の変位量が大きくできるため好ましい。しかし、非駆動部52が液体加圧室10に対向する位置のあるため、この部分が流路部材4と圧電アクチュエータ21が接続されている部分に対向している非駆動部52より引っ張り応力の影響を受けやすく、駆動劣化を起こしやすい。そのため、流路部材41の主面側から見た場合、複数の駆動電極35は、電気的接続を行なう接続部35bを除いて、それぞれ複数の液体加圧室10より小さいこ場合には、非駆動部再分極用電極41を用いて再分極を行なうが好適である。
また、非駆動部再分極用電極41と共通電極34とで挟まれた圧電セラミック層21bの厚さが、圧電セラミック層21bの厚さ厚さの半分以上である場合、再分極により、分極の状態が初期と同じになる圧電セラミック層21bの厚みの比率が高くなるため、初期の吐出特性により近い吐出特性が得られる。
再分極を行なう時期は、特に限定されないが、駆動劣化の影響が顕著になるまえに行なえばよく、予防的にそれよりもさらに早い時期に行なうようにしてもよい。具体的には、記録を行なう前に再分極行なう方法があり、記録を始めるシークエンスの一部で分極を行なってもよい。また、液体吐出ヘッド内に駆動が行なわれた回数を記録するカウンタを設け、駆動回数が所定の回数、例えば、駆動劣化の影響が出ないと分かっている回数に達した場合に、再分極を行なうよう表示を出すことで再分極をさせるようにしたり、あるいは、自動的に再分極を行なうようにしてもよい。
1・・・プリンタ
2・・・液体吐出ヘッド
4・・・流路部材
5・・・マニホールド
5a・・・副マニホールド
5b・・・開口
6・・・個別供給流路
8・・・液体吐出孔
9・・・液体加圧室群
10・・・液体加圧室
11a、b、c、d・・・液体加圧室列
12・・・しぼり
15a、b、c、d・・・液体吐出孔列
21・・・圧電アクチュエータユニット
21a・・・圧電セラミック層(振動板)
21b・・・圧電セラミック層
22〜31・・・プレート
32・・・個別流路
34・・・共通電極
35・・・駆動電極
36・・・接続電極
41・・・前記非駆動部再分極用電極
50・・・変位素子
51・・・駆動部
52・・・非駆動部

Claims (6)

  1. 複数の液体加圧室および該複数の液体加圧室にそれぞれ連通する複数の液体吐出孔を有する平板状の流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように圧電アクチュエータを積層してなり、該圧電アクチュエータは、前記流路部材側から振動板、共通電極、圧電体層および複数の駆動電極の順に積層されているとともに、前記圧電体層の前記駆動電極と前記共通電極とで挟まれた部位が厚み方向に分極されており、前記流路部材の主面側から見た場合に前記複数の駆動電極がそれぞれ前記複数の液体加圧室に重なるように積層してなる液体吐出ヘッドであって、前記流路部材の主面側から見て、前記共通電極があり前記複数の駆動電極がない部分の前記圧電体層の内部に、前記共通電極と平行に非駆動部再分極用電極が設けられているとともに、前記共通電極と前記非駆動部再分極用電極とで挟まれた前記圧電体層の部分が厚み方向に分極されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記流路部材の主面側から見た場合、前記複数の駆動電極は、電気的接続を行なう接続部を除いて、それぞれ前記複数の液体加圧室より小さいことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記非駆動部再分極用電極と前記共通電極とで挟まれた圧電体層の厚さが、前記圧電体層の厚さの半分以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の液体吐出ヘッドと、記録媒体を前記液体吐出ヘッドに対して搬送する搬送部とを備えるとともに、前記液体吐出ヘッドから前記記録媒体に液体を吐出することを特徴とする記録装置。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載の液体吐出ヘッドに駆動信号を送って記録を行なう前に、前記非駆動部再分極用電極と前記共通電極との間に電圧を加えて、前記非駆動部再分極用電極と前記共通電極とで挟まれた前記圧電体層の部分を分極することを特徴とする液体吐出ヘッドの使用方法。
  6. 請求項1から3のいずれかに記載の液体吐出ヘッドに送られる駆動信号が所定回数になる前に、前記非駆動部再分極用電極と前記共通電極との間に電圧を加えて、前記非駆動部再分極用電極と前記共通電極とで挟まれた前記圧電体層の部分を分極することを特徴とする液体吐出ヘッドの使用方法。
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