JP2014124901A - 高圧タンクの製造方法および製造装置、高圧タンク - Google Patents

高圧タンクの製造方法および製造装置、高圧タンク Download PDF

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Abstract

【課題】熱硬化処理の際のライナーの熱劣化を抑制する技術を提供する。
【解決手段】紫外線透過性を有する樹脂製のライナー10を準備する(ステップS10)。ライナー10に、紫外線硬化性と熱硬化性とを有する熱硬化性樹脂を含浸させた強化繊維5を巻き付けて強化繊維層16を形成する(ステップS20)。ライナー10の内部から強化繊維層16に向かって紫外線を照射し、ライナー10の近傍の熱硬化性樹脂を紫外線硬化させる(ステップS30)。また、ライナー10を外部から加熱して強化繊維層16の熱硬化性樹脂を加熱硬化させる(ステップS40)。
【選択図】図1

Description

本発明は、高圧タンクに関する。
従来から、高圧流体を充填する高圧タンクを、フィラメント・ワインディング法(以下、「FW法」とも呼ぶ)によって製造する技術が提案されている(下記特許文献1−3等)。FW法による高圧タンクの製造方法では、ライナーとも呼ばれるタンク容器の外表面に熱硬化性樹脂を含浸させた強化繊維を巻き付け、熱硬化性樹脂を熱硬化させることによって繊維強化樹脂層が形成される。
特開2002−188794号公報 特開2006−300194号公報 特開2010−265932号公報
ところで、従来から、高圧タンクを軽量化するためにライナーを樹脂部材等の軽量な材料で構成する技術が知られている。しかし、ライナーを樹脂部材で構成した場合には、熱硬化性樹脂の熱硬化処理のための加熱によって、ライナーの樹脂部材が劣化してしまう場合があった。
特許文献1には、樹脂製のライナーと繊維強化樹脂層であるシェルとの間に、ライナーからの水素の透過を抑制するための水素バリア層を備える水素タンクが開示されている。しかし、特許文献1では、熱硬化処理の際の加熱によってライナーが劣化することについては一切考慮されていない。
特許文献2には、高圧タンクの製造時間の短縮のために、ライナーの内部に発熱手段を配置して、ライナーを内部から加熱しつつ、接着剤を付着させた繊維をライナーに巻き付けることによって、接着剤の硬化を促進させる技術が開示されている。特許文献2においても、熱硬化処理の際のライナーの熱劣化については一切考慮されていない。むしろ、特許文献2の技術はライナーを介して接着剤に熱を伝達させており、ライナーを樹脂で構成した場合にはライナーの熱劣化が促進されてしまう可能性がある。
特許文献3には、樹脂製のライナーと繊維強化樹脂層との間に断熱層を配置することによって、熱硬化処理の際の加熱によってライナーが劣化してしまうことを抑制する技術が開示されている。しかし、特許文献3の技術では、断熱層の追加が、高圧タンクの大型化や、重量の増加、製造コストの増大などを引き起こす可能性がある。
以上のように、FW法によって高圧タンクの製造工程においては、熱硬化処理の際のライナーの熱劣化を抑制することについて、依然として改善の余地があった。そのほか、従来の高圧タンクの製造工程においては、その低コスト化、省資源化、製造工程の容易化、製造装置の小型化、簡易化、使い勝手の向上等が要求されてきた。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
[1]本発明の一形態によれば、高圧タンクの製造方法が提供される。この製造方法は、(a)紫外線を透過するライナーの外表面に紫外線硬化性を有する熱硬化性樹脂を含浸させた強化繊維を巻き付ける工程と;(b)前記ライナーの内部から前記強化繊維に向かって紫外線を照射する工程と;(c)前記ライナーの外部から前記熱硬化性樹脂を加熱する工程と;を備える。この形態の製造工程によれば、ライナー近傍の熱硬化性樹脂については紫外線によって硬化させることができるため、熱硬化性樹脂の熱硬化反応における反応熱によってライナーが劣化してしまうことを抑制できる。
[2]上記形態の製造工程において、前記工程(c)は、前記工程(b)において前記熱硬化性樹脂を紫外線硬化させた後に、前記熱硬化性樹脂の加熱硬化を開始する工程であっても良い。この製造工程であれば、予め、ライナー近傍の熱硬化性樹脂を紫外線硬化させた上で、熱硬化性樹脂の加熱硬化が開始されるため、ライナー近傍において熱硬化性樹脂の加熱硬化に伴う反応熱によってライナーが劣化してしまうことをより確実に抑制できる。
[3]上記形態の製造方法において、前記ライナーは、透明性を有する樹脂部材によって構成されていても良い。この形態の製造方法によれば、紫外線が効率よくライナーを透過するため、ライナー近傍の熱硬化性樹脂をより効率的に紫外線硬化させることができる。
[4]上記形態の製造方法において、前記ライナーは、ポリエチレン樹脂によって構成されていても良い。この形態の製造方法によれば、ライナーの熱劣化を抑制しつつ、高圧タンクを軽量化することができる。
[5]上記形態の製造方法において、前記工程(c)は、前記ライナーを構成する部材のガラス転移温度と同程度の温度で加熱する工程であっても良い。この形態の製造方法によれば、ライナーの熱劣化を抑止しつつ、熱硬化性樹脂を確実に熱硬化させることができる。
[6]本発明の他の形態によれば、高圧タンクの製造装置が提供される。この製造装置は、熱硬化性樹脂が含浸された強化繊維が巻き付けられたライナーを保持する保持部と;前記ライナーの内部に収容され、前記ライナーの内部から前記強化繊維に向かって紫外線を照射する紫外線照射部と;前記ライナーの外部から前記強化繊維を加熱する加熱部と;を備える。この製造装置によれば、ライナー近傍の熱硬化性樹脂については紫外線によって硬化させることができるため、熱硬化性樹脂の熱硬化反応における反応熱によってライナーが劣化してしまうことを抑制できる。
[7]本発明の他の形態によれば、高圧タンクが提供される。この高圧タンクは、紫外線を透過する樹脂製のライナーと;前記ライナーに巻き付けられた強化繊維と、熱硬化性樹脂と、を有する繊維強化樹脂層であって、前記ライナーの外表面に配置され、紫外線硬化された熱硬化性樹脂を含む紫外線硬化層と、前記紫外線硬化層の上に配置され、熱硬化された熱硬化性樹脂を含む熱硬化層と、を有する繊維強化樹脂層と;を備える。この高圧タンクであれば、製造時においてライナーが熱劣化することが抑制されているため、高圧タンクの耐久性が向上される。
上述した本発明の各形態の有する複数の構成要素はすべてが必須のものではなく、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部の構成要素について、その変更、削除、新たな他の構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、上述した本発明の一形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部を上述した本発明の他の形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部と組み合わせて、本発明の独立した一形態とすることも可能である。
本発明は、製造方法や製造装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、それらの方法や装置によって製造された高圧タンクや圧力容器等の形態で実現することができる。また、熱硬化性樹脂の硬化方法、その方法を利用した熱硬化処理装置、高圧タンクの製造装置や熱硬化処理装置の制御方法、その制御方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
高圧タンクの製造工程の手順を示す説明図。 ライナーの構成を示す概略断面図。 強化繊維層の形成工程を説明するための模式図。 熱硬化性樹脂の硬化処理に用いられる硬化処理装置の構成を示す概略図。 第1と第2の硬化処理における熱硬化性樹脂の硬化反応の説明図。 完成品の高圧タンクの外観を示す概略図。
A.実施形態:
図1は、本発明の一実施形態としての高圧タンクの製造工程の手順を示すフローチャートである。この製造工程では、FW法によって樹脂製のタンク容器(以後、「ライナー」とも呼ぶ)の外表面に繊維強化樹脂層が形成された、水素などの高圧流体を貯蔵する高圧タンクが製造される。ステップS10は、高圧タンクの本体部を構成するライナーを準備する工程である。なお、この工程で準備されるライナーは後述するように、軽量な樹脂製であるとともに、紫外線透過性を有している。ステップS20は、ライナーの外表面に、熱硬化性樹脂を含浸させた強化繊維(いわゆるプリプレグ)を巻き付けることによって、ライナー全体を覆う強化繊維層を形成する工程である。
ステップS30,S40は、強化繊維層の熱硬化性樹脂を硬化させる硬化処理を行い、強化繊維層を繊維強化樹脂層とする工程である。本実施形態では、ステップS30において、紫外線によって熱硬化性樹脂を硬化させる第1の硬化処理が実行され、ステップS40において、加熱によって熱硬化性樹脂を硬化させる第2の硬化処理が実行される。本実施形態の製造工程では、これら2つの硬化処理の組み合わせによって、ライナーの熱劣化が抑制されるとともに熱硬化性樹脂の硬化性が確保されるが、その詳細については後述する。ステップS50は、繊維強化樹脂層が形成されたライナーに対して、バルブなどの所定の外装部品を取り付け、高圧タンクを完成させる工程である。以下に、各工程の詳細な内容を説明する。
図2は、ステップ10(図1)で準備されるライナー10の構成を示す概略断面図である。なお、図2では、ライナー10の中心軸CXを一点鎖線で図示してある。ライナー10は、高圧ガスタンクの本体胴部を構成する略円筒状のシリンダ部11と、高圧ガスタンクの鏡部を構成する略半球状のドーム部12と、を有する中空容体である。ライナー10の2つのドーム部12の頂部は開口しており、ライナー10の内部空間13に高圧流体を流通させるための配管やバルブの接続部として機能する金属部材である口金部15が取り付けられている。
本実施形態のライナー10は樹脂製であり、紫外線を透過するように構成されている。より具体的には、本実施形態のライナー10は、ポリエチレン系樹脂などの透明性を有する樹脂部材によって構成された外壁を備えている。なお、ライナー10を構成するポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LPDE;Low Density Polyethylene)と、高密度ポリエチレン(HDPE;High Density Polyethylene)と、リニアポリエチレン(L−LDPE;Linear Low density Polyethylene)のうちのいずれであっても良い。ただし、低密度ポリエチレンであれば、高い透明性を確保することができ、後述する紫外線による硬化処理においてより高い硬化性を得ることができる。また、高密度ポリエチレンであれば、完成後の高圧タンクにおいて、高い耐熱性を確保することができる。
ところで、ライナー10は、完成品である高圧タンクの目標耐熱温度よりも高い耐熱温度を有していることが好ましい。従って、例えば、高圧タンクの目標耐熱耐温度が現行の法規で定められた110℃以上である場合には、ライナー10の耐熱温度は120℃程度以上であることが望ましい。ライナー10の透明性を確保しつつ、120℃以上の高い耐熱性を確保するためには、例えば、以下のような材料によってライナー10を構成しても良い。
(1)宇部丸善ポリエチレン株式会社製/ユリメリット(登録商標)
(2)エチレン−ビニルアルコール共重合体
(3)ポリプロピレン共重合体
(4)エチレン−ビニルアルコール共重合体とポリプロピレン共重合体との混合材料
また、ライナー10は、水素などの高圧気体を貯蔵するためには、より高い気体不透過性を有することが望ましい。そのため、ライナー10は、その外表面に、紫外線透過性を確保しつつ高い気体不透過性を有する樹脂材料(例えば、アモルファスナイロン等)の被覆層が形成されても良い。あるいは、ライナー10は、上述した外壁の構成材料に、アモルファスナイロン等の樹脂材料を混合させて、ライナー10の外壁自体の気体不透過性を向上させても良い。
図3(A),(B)は、ステップS20(図1)における強化繊維層16の形成工程を説明するための模式図である。図3(A)は、ライナー10に強化繊維5を巻き付ける巻付装置20の構成を示す概略図である。図3(B)は、強化繊維層16が形成された後のライナー10の構成を示す概略断面図であり、強化繊維層16が追加されている点以外は、図2とほぼ同じである。ステップS20(図1)では、巻付装置20によって、ライナー10に、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた強化繊維5が巻き付けられ、ライナー10の外表面を被覆する強化繊維層16が形成される。
巻付装置20は、ライナー保持部21と、繊維繰出部25と、を備える。ライナー保持部21は、ライナー10を保持するための2つの保持軸22を備える。各保持軸22は、ライナー10の2つの口金部15のそれぞれの開口部に勘合的に接続される。各保持軸22は、矢印Pで示すように、回動機構23に回動可能に保持されている。これによって、ライナー保持部21は、ライナー10の2つの口金部15の高さ位置を相対的に変位させてライナー10の取付角度を調整することができる。また、2つの保持軸22のうちの1つは回転駆動部24に接続されている。ライナー保持部21は、ライナー10への強化繊維5の巻き付けの際には、矢印Rで示すように、保持軸22を回転軸としてライナー10を所定の回転速度で回転させる。
繊維繰出部25は、ライナー保持部21に取り付けられ、回転しているライナー10に対して、強化繊維5を繰り出す。繊維繰出部25は、ライナー10との間に、強化繊維5が挿通される繊維ガイド26を有している。繊維ガイド26は、矢印Sで示すように、ライナー10の中心軸に沿って往復移動が可能に構成されている。繊維繰出部25は、繊維ガイド26の位置を調整することによって、ライナー10に対する強化繊維5の繰り出し角度や巻き付け位置を調整することができる。
巻付装置20は、ライナー保持部21におけるライナー10の取付角度と、繊維繰出部25による強化繊維5の繰り出し角度や巻き付け位置を調整し、ライナー10に対して、強化繊維5を、いわゆるフープ巻きやヘリカル巻きなどによって多層的に巻き付ける。これによって、ライナー10の外表面を被覆する強化繊維層16が形成される。なお、強化繊維層16は、ライナー10の口金部15の開口部のみが外部に露出するように形成される。
ここで、本実施形態の強化繊維5に含浸される熱硬化性樹脂としては、紫外線硬化性と熱硬化性の両方を有しているものが好ましい。このような熱硬化性樹脂であれば、後述する熱硬化処理によって効果的に硬化させることができる。また、熱硬化性樹脂としては、硬化の際にカチオン重合するものが好ましい。このような熱硬化性樹脂であれば、硬化収縮や、酸素による硬化反応の阻害が抑制できる。
なお、紫外線硬化性と熱硬化性とを有する熱硬化性樹脂としては、例えば、下記(5)の材料がある。
(5)株式会社ADEKA製/アデカオプトマー KSシリーズ
また、熱硬化性樹脂に紫外線硬化性を具備させるためには、例えば、下記(6)等の紫外線硬化剤を熱硬化性樹脂の原料に配合しても良い。
(6)三新化学工業株式会社製/サンエイドSIシリーズ
なお、熱硬化処理におけるライナー10の熱劣化を抑制するためには、上記(6)の配合剤のうち、特に、SI−80L,SI−100L,SI−110Lが好適である。
図4は、ステップS30,S40(図1)の熱硬化性樹脂の硬化処理に用いられる硬化処理装置30の構成を示す概略図である。硬化処理装置30は、処理室31と、ライナー保持部32と、紫外線照射部35と、温度制御部36と、を備える。処理室31は、気密な密閉空間である。硬化処理装置30の各構成部32,35,36は、処理室31に収容されている。
ライナー保持部32は、ライナー10の口金部15の開口部に勘合的に接続されてライナー10を保持する2つの保持軸33を備えている。なお、各保持軸33は、ライナー10が取り付けられたときには、ライナー10の内部空間13まで突出するように構成されている。ライナー保持部32は、保持軸33を回転させる回転駆動部34を備えており、硬化処理中には、矢印Rで示すように、保持軸33を回転軸としてライナー10を所定の回転速度で回転させる。
紫外線照射部35は、ライナー保持部32の2つの保持軸33に保持されており、ライナー10がライナー保持部32に取り付けられたときには、ライナー10の内部空間13に収容される。紫外線照射部35は、ライナー10の内部空間13において、ライナー10の内壁面全体に紫外線を照射可能なように、ライナー10の中心軸方向に沿って延びている。温度制御部36は、電熱などによって処理室31内の温度を制御する。温度制御部36は、第2の硬化処理の際は、処理室31内の温度を上昇させることによって、ライナー保持部32に保持されて回転しているライナー10を外部から加熱する。
硬化処理装置30は、ステップS30,S40の第1と第2の硬化処理を以下のように実行する。硬化処理装置30は、ライナー保持部32に取り付けられたライナー10の回転を開始させるとともに、紫外線照射部35による紫外線照射を開始する(ステップS30)。その後、所定の時間経過した後に、温度制御部36は、処理室31の温度を所定の温度まで上昇させて、強化繊維層16の熱硬化性樹脂の熱硬化を開始させる(ステップS40)。温度制御部36は、強化繊維層16の熱硬化性樹脂の硬化が完了し、繊維強化樹脂層16cが生成されるまで、処理室の温度を維持する。なお、第1の硬化処理において開始された紫外線照射部35による紫外線の照射は、第2の硬化処理の開始後にも継続されていても良いし、開始時に終了されていても良い。
図5(A),(B)はそれぞれ、第1と第2の熱硬化処理における熱硬化性樹脂の硬化反応の説明図である。図5(A),(B)にはそれぞれ、強化繊維層16が形成されたライナー10の一部概略断面が模式的に図示されている。具体的には、図5(A),(B)にはそれぞれ、ライナー10の外壁10Wと、強化繊維層16を構成する、繊維本体5fと、繊維本体5fに含浸・付着されている熱硬化性樹脂5rと、を図示してある。なお、図5(A),(B)では、硬化前の熱硬化性樹脂5rを斜線ハッチングで図示し、硬化後の熱硬化性樹脂5rをクロスハッチングで図示してある。
第1の硬化処理では、ライナー10の内部空間13から強化繊維層16に向かって紫外線が照射される。これによって、ライナー10の外壁10Wの近傍の熱硬化性樹脂5rの紫外線硬化を開始させる(図5(A))。第2の硬化処理では、処理室31の昇温に伴って強化繊維層16の外表面側からライナー10の内部に向かって熱が移動することによって、強化繊維層16の外側からの熱硬化が開始される(図5(B))。
ここで、一般に、熱硬化性樹脂の硬化反応は発熱反応である。そのため、FW法による高圧タンクの製造工程において熱硬化反応のみによって熱硬化性樹脂を硬化させると、強化繊維層中の温度が処理室の制御温度以上になってしまい、樹脂製のライナーのガラス転移温度を超えて、ライナーを熱劣化させてしまう可能性がある。ライナーの熱劣化を抑制するために、処理室の制御温度を低くすると、熱硬化性樹脂を十分に硬化させることができなくなってしまう可能性がある。
これに対して、本実施形態の製造工程では、ライナー10の外壁10Wの近傍に存在する熱硬化性樹脂5rについては第1の硬化処理によって紫外線硬化させる。そのため、第2の硬化処理が開始された後に、ライナー10の外壁10Wの近傍において、熱硬化性樹脂5rの反応熱によって処理室31の制御温度以上の昇温が生じてしまうことが抑制される。従って、硬化処理において、ライナー10が熱劣化してしまうことが抑制される。また、本実施形態の製造工程では、熱硬化性樹脂5rを内側と外部とから硬化させるため、強化繊維層16の下層側を確実に硬化させることができるとともに、処理時間の短縮化を図ることができる。
ところで、紫外線の照射量Iが1500mJ/cm2より小さい場合には、紫外線を十分に熱硬化性樹脂5rまで到達させることができず、熱硬化性樹脂5rを十分に硬化させることができない可能性がある。一方、紫外線の照射量Iが100000mJ/cm2より大きい場合にはライナー10を構成する樹脂材料を分解・劣化させてしまう可能性がある。従って、熱硬化性樹脂5rの硬化性を確保しつつ、ライナー10の構成部材の保護を確保するためには、第1の硬化処理における紫外線の照射量Iは、1500≦I≦100000mJ/cm2であることが好ましく、2000≦I≦10000mJ/cm2であることがより好ましい。
また、第2の硬化処理における処理室31の制御温度(ライナー10の加熱温度)は、ライナー10を構成する樹脂部材のガラス転移温度と同程度の温度であっても良い。前記したとおり、本実施形態の製造方法によれば、ライナー10の近傍において熱硬化性樹脂の反応熱による過昇温が発生することが抑制されている。従って、第2の硬化処理において、熱硬化性樹脂5rの硬化性を確保できるように、ライナー10のガラス転移温度と同程度の温度まで昇温させた場合であっても、ライナー10の熱劣化が抑制される。なお、「ガラス転移温度と同程度の温度」とは、ガラス転移温度に対して±10%程度の温度を意味する。
図6は、ステップS50(図1)において外装品が取り付けられて完成された高圧タンク100の構成を示す概略図である。ステップS50では、外表面に繊維強化樹脂層16cが生成されたライナー10に対して、バルブ17が口金部15に取り付けられるとともに、ドーム部12全体を被覆する樹脂製のキャップ18が取り付けられる。なお、ステップS50では、ライナー10の繊維強化樹脂層16cの外表面に、高圧タンク100の強度を向上させるためのガラス繊維強化プラスチック(GFRP;Glass fiber reinforced plastics)の被覆層が形成されても良い。
以上のように、本実施形態のFW法による高圧ガスタンクの製造工程では、熱硬化性樹脂の硬化処理として、ライナー10の内部からの紫外線の照射による紫外線硬化と、ライナー10の外部からの加熱による加熱硬化処理とを組み合わせて実行する。従って、ライナー10の外壁近傍において、熱硬化性樹脂の硬化反応の反応熱によって過昇温が生じ、樹脂製のライナー10が熱劣化してしまうことを抑制できる。また、熱硬化性樹脂の硬化処理を効率化することができる。
B.変形例:
B1.変形例1:
上記実施形態では、ライナー10の2つのドーム部12にそれぞれ口金部15が設けられていたが、口金部15は1つでも良い。この場合には、省略された口金部15に換えて、巻付装置20や硬化処理装置30の保持軸22,33の取付部が形成されても良い。なお、ライナー10の構成は、上記実施形態の形状に限定されるものではなく、他の形状を有していても良い。
B2.変形例2:
上記実施形態では、ステップS30における第1の硬化処理において熱硬化性樹脂を予め紫外線硬化させた上で、ステップS40における第2の硬化処理において熱硬化性樹脂の加熱硬化を開始していた。しかし、第1の硬化処理における紫外線照射と第2の硬化処理の加熱処理とは同時に開始されても良いし、第1の硬化処理における紫外線照射は第2の硬化処理の加熱処理より後に開始されても良い。熱硬化性樹脂の硬化処理では、ライナー10の外壁10Wの近傍領域において過昇温が発生する前に当該領域において熱硬化性樹脂の紫外線硬化されていれば良い。
B3.変形例3:
上記実施形態では、ライナー10の外壁が透明性を有するように構成されていた。しかし、ライナー10は外壁が透明性を有する構成を有していなくても良い。ライナー10は、内部からの紫外線が外部の熱硬化性樹脂に到達するように構成されていれば良い。
B4.変形例4:
上記実施形態では、強化繊維層16の全体の熱硬化性樹脂が熱硬化性と紫外線硬化性とを有していた。しかし、強化繊維層16の全体の熱硬化性樹脂が熱硬化性と紫外線硬化性の両方を有していなくても良い。強化繊維層16の熱硬化性樹脂のうち、少なくとも、ライナー10に近接して配置される熱硬化性樹脂が紫外線硬化性を有していれば良い。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
5…強化繊維
5f…繊維本体
5r…熱硬化性樹脂
10…ライナー
10W…外壁
11…シリンダ部
12…ドーム部
13…内部空間
15…口金部
16…強化繊維層
16c…繊維強化樹脂層
17…バルブ
18…キャップ
20…巻付装置
21…ライナー保持部
22…保持軸
23…回動機構
24…回転駆動部
25…繊維繰出部
26…繊維ガイド
30…硬化処理装置
31…処理室
32…ライナー保持部
33…保持軸
34…回転駆動部
35…紫外線照射部
36…温度制御部
100…高圧タンク

Claims (7)

  1. 高圧タンクの製造方法であって、
    (a)紫外線を透過するライナーの外表面に紫外線硬化性を有する熱硬化性樹脂を含浸させた強化繊維を巻き付ける工程と、
    (b)前記ライナーの内部から前記強化繊維に向かって紫外線を照射する工程と、
    (c)前記ライナーの外部から前記熱硬化性樹脂を加熱する工程と、
    を備える、製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法であって、
    前記工程(c)は、前記工程(b)において前記熱硬化性樹脂を紫外線硬化させた後に、前記熱硬化性樹脂の加熱硬化を開始する工程である、製造方法。
  3. 請求項1または2記載の製造方法であって、
    前記ライナーは、透明性を有する樹脂部材によって構成されている、製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法であって、
    前記ライナーは、ポリエチレン樹脂によって構成されている、製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法であって、
    前記工程(c)は、前記ライナーを構成する部材のガラス転移温度と同程度の温度で加熱する工程である、製造方法。
  6. 高圧タンクの製造装置であって、
    熱硬化性樹脂が含浸された強化繊維が巻き付けられたライナーを保持する保持部と、
    前記ライナーの内部に収容され、前記ライナーの内部から前記強化繊維に向かって紫外線を照射する紫外線照射部と、
    前記ライナーの外部から前記強化繊維を加熱する加熱部と、
    を備える、製造装置。
  7. 高圧タンクであって、
    紫外線を透過する樹脂製のライナーと、
    前記ライナーに巻き付けられた強化繊維と、熱硬化性樹脂と、を有する繊維強化樹脂層であって、
    前記ライナーの外表面に配置され、紫外線硬化された熱硬化性樹脂を含む紫外線硬化層と、
    前記紫外線硬化層の上に配置され、熱硬化された熱硬化性樹脂を含む熱硬化層と、を有する、繊維強化樹脂層と、
    を備える、高圧タンク。
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