JP2014124750A - 濡れ性制御素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】液体の接触角を高精度に定量的に制御することが可能な濡れ性制御素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】まず平坦な表面11aを有する素子本体11を準備する。次に、予め求められた素子本体11の空間17の空隙率vと接触角θとの関係に基づいて、所望の接触角θをもつ空隙率vを決定する。その後、決定した空隙率vに基づいて、素子本体11を加工することにより、ベース部15と、ベース部15上に突設され互いの間に空間17を形成する複数のピラー16とを有する、所望の接触角θをもつ濡れ性制御素子10が得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば建築用、自動車用、産業用の窓材や鏡材などに好適に用いられる構造体に係り、更には、医療用のマイクロ流路に係り、とりわけ接触角を定量的に制御する機能を有する濡れ性制御素子及びその製造方法に関する。
従来、構造体の表面を撥水性または親水性にすることで、防曇性や防汚性の機能を持たせることが知られている。とりわけ近年、撥水性と親水性との差を利用することで、液体の移動を制御する受動弁の機能が注目され、これを利用したマイクロ流路の開発が活発に行われている(例えば特許文献1)。
従来技術では、特に撥水性を発現させるためにフッ素やシリコーンといった表面エネルギーの小さい材料を含有する薬剤により材料表面を化学処理している。例えば特許文献1では、撥水(疎水)部はフッ素系のポリマー、例えば、CPFPをパーフルオロ溶媒で薄めたポリマー(商品名:CytopCTL−809M、旭硝子)を使用して形成することが記載されている(段落[0013]および[発明の実施の形態]参照)。
一方、マイクロ流路の応用分野として最も期待される医療検査チップにおいては、薬剤の溶出により検査精度が劣化することが懸念される。このため、材料表面を非化学処理することにより撥水性および親水性を制御する手段を確立することが強く望まれている。
その一方で、材料表面に微細な凹凸を形成することで濡れ性を変化させることが知られている(特許文献2)、(特許文献3)、(非特許文献1)。
このうち特許文献2と非特許文献1では、ピッチ200〜400nm、アスペクト比0.5以上の微細な凹凸を樹脂表面に形成することで親水性になり、濡れ性が向上することが報告されている(特許文献2の請求項1と請求項2、非特許文献1の右写真)。
また、特許文献3では、ピッチ1μm〜100μmの凹凸を樹脂表面に形成することで撥水性になり、濡れ性が低下することが報告されている(段落[0039]および図10参照)。
特許第4590542号公報 特開2011−53334号公報 特開2012−66417号公報
栗原一真、「成形だけで撥水性表面が親水性に変化」、産総研TODAY2010−05、独立行政法人産業技術総合研究所、平成22年5月1日、通巻122号、p.13
しかしながら、これらの従来技術では、樹脂表面に微細な凹凸を形成し、非化学処理により濡れ性を変化させているが、濡れ性の定量的な指標である接触角を制御するようにはなっていない。このため、これらの技術は、非特許文献1に記載されている様に、窓材として用いることは十分可能であるが、医療用の検査チップや培養チップの様な高度な液体制御が要求されるマイクロ流路に用いるのにはまったく不十分である。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、液体の接触角を高精度に定量的に制御することが可能な、濡れ性制御素子及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討し、複数のピラー間に形成された空間の空隙率を制御することで液体の接触角を連続的かつ任意に定量的に制御することができ、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の一実施の形態による濡れ性制御素子の製造方法は、濡れ性制御素子の製造方法であって、平坦な表面を有する素子本体を準備する工程と、予め求められた前記素子本体の空間の空隙率と接触角との関係に基づいて、所望の接触角をもつ空隙率を決定する工程と、決定した前記空隙率に基づいて、前記素子本体を加工することにより、ベース部と、前記ベース部上に突設され、互いの間に前記空間を形成する複数のピラーとを有する濡れ性制御素子を形成する工程とを備えたことを特徴とするものである。
本発明の一実施の形態による濡れ性制御素子の製造方法において、前記濡れ性制御素子を形成する工程は、決定した前記空隙率に基づいて、複数の凹部を有する原版を作製する工程と、前記原版の前記凹部を前記素子本体に転写することにより、前記素子本体に前記複数のピラーを形成する工程とを有してもよい。
本発明の一実施の形態による濡れ性制御素子の製造方法において、前記濡れ性制御素子を形成する工程は、決定した前記空隙率に基づいて、複数のピラーを有する原版を作製する工程と、前記原版に基づいて、複数の凹部を有する金型を作製する工程と、前記金型の前記凹部を前記素子本体に転写することにより、前記素子本体に前記複数のピラーを形成する工程とを有してもよい。
本発明の一実施の形態による濡れ性制御素子の製造方法において、前記素子本体の前記空間の空隙率が5%〜80%であってもよい。
本発明の一実施の形態による濡れ性制御素子の製造方法において、前記素子本体の前記ピラーのピッチは、500nm〜10μmであってもよい。
本発明の一実施の形態による濡れ性制御素子の製造方法において、前記素子本体の前記表面は、二酸化ケイ素又は合成樹脂を含んでもよい。
本発明の一実施の形態による濡れ性制御素子は、液体に対する初期接触角を有する材料を加工して得られる濡れ性制御素子であって、ベース部と、前記ベース部上に突設され、互いの間に空間を形成する複数のピラーとを有する素子本体を備え、前記素子本体の前記空間の空隙率が5%〜80%であり、前記初期接触角と、前記複数のピラーが形成された前記素子本体の、前記液体に対する接触角との差が、1°〜30°であることを特徴とするものである。
本発明の一実施の形態による濡れ性制御素子において、前記液体は水であり、前記初期接触角と、前記複数のピラーが形成された前記素子本体の、前記水に対する接触角との差が、1°〜30°であってもよい。
本発明の一実施の形態による濡れ性制御素子において、前記液体は油であり、前記初期接触角と、前記複数のピラーが形成された前記素子本体の、前記油に対する接触角との差が、1°〜30°であってもよい。
本発明の一実施の形態による濡れ性制御素子において、前記油は、n−ヘキサデカンであってもよい。
本発明の一実施の形態による濡れ性制御素子において、前記素子本体の前記ピラーのピッチは、500nm〜10μmであってもよい。
本発明の一実施の形態による濡れ性制御素子において、前記素子本体の表面は、二酸化ケイ素又は合成樹脂を含んでもよい。
本発明によれば、単に素子本体の表面の濡れ性を変化させるだけでなく、液体との接触角を定量的に制御することができるため、素子本体の濡れ性を制御することができ、所望の濡れ性を有する濡れ性制御素子を作製することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る濡れ性制御素子を示す概略斜視図である。 図2は、空隙率と接触角との関係(相関データ)を示すグラフである。 図3(a)〜(b)は、濡れ性制御素子の製造方法を示す概略断面図である。 図4(a)〜(c)は、濡れ性制御素子の製造方法の変形例を示す概略断面図である。 図5(a)〜(d)は、濡れ性制御素子の製造方法の変形例を示す概略断面図である。 図6(a)〜(d)は、各実施例における、空隙率と水の接触角との関係を示すグラフである。 図7(a)〜(d)は、各実施例における、空隙率と油の接触角との関係を示すグラフである。 図8(a)は、空隙率と水の接触角との関係を重畳して示すグラフであり、図8(b)は、空隙率と油の接触角との関係を重畳して示すグラフである。 図9(a)〜(b)は、ピラーの変形例を示す概略平面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の各実施形態について説明する。図面は例示であり、説明のために特徴部を誇張することがあり、実物とは異なる場合がある。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下の各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。
(濡れ性制御素子)
まず本発明の一実施形態に係る濡れ性制御素子の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る濡れ性制御素子の概略斜視図である。
図1に示す濡れ性制御素子10は、平坦な板状のベース部15と、ベース部15上に突設された多数(複数)のピラー16とを有する素子本体11を備えている。素子本体11は、XY平面に対して平行に延びる表面11aを有している。
図1に示すように、各ピラー16は、それぞれ細長い略直方体形状を有しており、平面正方形状の上面16aを有している。これらのピラー16の上面16aは、同一平面上(すなわち表面11a上)に位置している。なお、ピラー16の上面16aの平面形状は、正方形状に限られるものではなく、円形状(図9(a)参照)、楕円形状、多角形状(例えば、三角形状、長方形状、台形状、六角形状)等としても良い。
図1において、多数のピラー16は、互いに同一形状を有するとともに、縦横それぞれ均等な間隔でマトリックス状(正方格子状)に配置されている。具体的には、ピラー16のピッチpは10μm以下であり、好ましくは500nm〜10μm(500nm以上10μm以下をいう。以下同様)である。なお、ピラー16のピッチpとは、互いに隣接する2つのピラー16の中心から中心までの距離であって、X方向又はY方向に沿う距離である。また、ピラー16の幅wは、970nm以下とすることが好ましく、890nm以下とすることが更に好ましい。なお、図9(b)に示すように、多数のピラー16は、千鳥状(三角格子状)に配置されていても良い。
また、各ピラー16の間には空間17が形成されている。この空間17の幅sは、ピラー16のピッチpと幅wとの差に相当する(すなわちs=p−w)。なお、図1において、各ピラー16間の空間17の幅sは全て同一としているが、これに限られるものではなく、場所によって空間17の幅sを異ならせても良い。例えば、縦方向(図1のY方向)と横方向(図1のX方向)とで、空間17の幅sを異ならせても良い。
この場合、空間17の空隙率は0%〜95%であり、とりわけ5%〜80%とすることが好ましい。ここで、空間17の空隙率(%)とは、100×{1−(各ピラー16の上面16aの面積)/(ピラー16のピッチpの二乗)}で定義される。なお、各ピラー16は、縦方向および横方向の両方とも同一のピッチpで配置されているが、これに限られるものではなく、ピラー16のピッチpを縦方向(図1のY方向)と横方向(図1のX方向)とで異ならせても良い。
また、ピラー16の高さhは、50nm〜1000nmとすることが好ましい。
図1において、各ピラー16の水平断面は、上下方向(図1のZ方向)いずれの高さにおいても同一の形状を有しているが、これに限られるものではない。例えば各ピラー16の水平断面が、上面16aからベース部15に向けて徐々に大きくなるようにしても良い。
なお、上述したピラー16のピッチp、ピラー16の幅w、および空間17の幅sは、ピラー16の上面16aにおける値をいう。
また、ピラー16は、ベース部15の全域に形成されていても良く、あるいは、例えばベース部15の中央部等、ベース部15の一部の領域(ピラー形成領域)のみに形成されていても良い。また、ベース部15に、空間17の空隙率が互いに異なる複数の領域(パターンエリア)を設けても良い。
このような濡れ性制御素子10は、液体(例えば水、油)に対する所定の初期接触角(静的接触角)をもつ材料を加工して得られるものである。
濡れ性制御素子10の材料は、液体に対する材料そのものの接触角(初期接触角)が90°未満であれば問わない。具体的には、濡れ性制御素子10は、合成石英、サファイア、無アルカリガラス等の二酸化ケイ素を含む無機材料から作製されても良い。この場合、後述するように、濡れ性制御素子10は、例えばドライエッチング法または切削加工法により作製されても良い。また、ピラー16の上面16aを二酸化珪素で被覆したものであれば、その全体が均一の材料からなっていなくてもよい。たとえば、自然酸化膜で覆われたシリコンウェハでも同様の効果を得ることができる。
あるいは、濡れ性制御素子10は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)等の熱可塑性樹脂、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、オキセタン樹脂等の光硬化性樹脂等の合成樹脂材料から作製されても良い。この場合、後述するように、濡れ性制御素子10は、例えば熱ナノインプリント法または光ナノインプリント法等のナノインプリント法により作製されても良い。
このように素子本体11に微細なピラー16を規則的に設けることにより、ピラー16の上面16aに液体(例えば水、油)を滴下した際、この液体が素子本体11と接する界面が増加する。液体が素子本体11に対して接触する面積が増加するため、いわゆる親液性が増すと考えられる。
さらに、上述のようにピラー16間の空間17の空隙率を5%〜80%とすることにより、素子本体11の液体に対する初期接触角と、多数のピラー16が形成された素子本体11の当該液体に対する接触角との差を1°〜30°とすることができる。すなわち、素子本体11の接触角を初期接触角に対して1°〜30°程度減少させることができる。これにより、素子本体11の表面11aの親液性を高めることができる。なお、初期接触角とは、素子本体11にピラー16が形成されておらず、その表面11aが平坦な場合における(すなわち素子本体11を構成する材料自体の)液体に対する静的接触角をいう。
なお、空間17の空隙率が大きくなりすぎると、液体がベース部15の上面に浸透するようになるため、親液性は発現しにくくなると考えられる。したがって、空間17の空隙率が約80%を上回ると、むしろ接触角は逓増する傾向がある。
例えば、液体として水を用いた場合、素子本体11の初期接触角と、多数のピラー16が形成された素子本体11の接触角との差を1°〜30°程度とすることができる。これにより、撥水性の素子本体11の表面11aをより親水性にすることができる。
また、液体として油(例えばn−ヘキサデカン)を用いた場合、素子本体11の初期接触角と、多数のピラー16が形成された素子本体11の接触角との差を1°〜30°程度とすることができる。これにより、撥油性の素子本体11の表面11aをより親油性にすることができる。
なお、一般に、素子本体11の材料が異なる場合、所定の液体に対する素子本体11の初期接触角の値も異なる。しかしながら、素子本体11の材料が異なる場合であっても、空隙率が同一であれば、素子本体11の所定の液体に対する初期接触角と、多数のピラー16が形成された素子本体11の当該液体に対する接触角との差は、概ね同一になると考えられる。
また、素子本体11の材料、及び空隙率を制御することにより、様々な特性を有する濡れ性制御素子を作製することができる。例えば、初期接触角として水に対する静的接触角が90°未満である素子本体11の所定の領域にピラー16を形成することにより、水に対する静的接触角が30°以下である高親水性領域とすることができ、初期接触角と高親水性領域の水に対する静的接触角差を15°以上であるようにすることができる。
以上説明した濡れ性制御素子10は、例えば建築用、自動車用、産業用の窓材や鏡材などに好適に用いられる。また、濡れ性制御素子10は、測定する液体に対する接触角を定量的に制御することが求められる医療用のマイクロ流路にも適している。
(濡れ性制御素子の製造方法)
次に、図1に示す濡れ性制御素子10を製造する方法について、図2および図3を用いて説明する。具体的には、合成石英からなる濡れ性制御素子10の接触角θが所定の値θとなるように制御する場合を例にとって説明する。
まず、濡れ性制御素子10となる素子本体11を準備し、予め素子本体11の空間17の空隙率vと接触角θとの関係を求めておく。以下では、一例として合成石英からなる素子本体11を用いた場合について説明する。
この場合、まず平坦な表面11aを有する(未加工の)素子本体11を準備する。次いで、素子本体11の表面11aの、所定の液体(例えば水、油)に対する接触角(初期接触角θ)を求める。具体的には、素子本体11の表面11aに当該液体を供給し、公知の接触角計を用いることにより初期接触角θを計測する。
次に、平坦な表面11aを有する(未加工の)素子本体11を複数準備する。次いで、これら素子本体11をそれぞれ表面加工することにより、互いに異なる空隙率vをもつ複数の濡れ性制御素子10を作製する。例えば、濡れ性制御素子10毎にピラー16のピッチp及び/又は面積を異ならせることにより、各濡れ性制御素子10が互いに異なる空隙率vをもつようにしてもよい。あるいは、1つの濡れ性制御素子10の表面11aに、空間17の空隙率vを変えた複数のパターンエリアを設けても良い。
なお、合成石英からなる素子本体11に多数のピラー16を形成する場合、ドライエッチング法を用いても良い。あるいは、精密切削加工機を用いて、素子本体11を表面11a側から切削加工し、素子本体11に多数のピラー16を形成しても良い。
次いで、異なる空隙率vをもつ複数の濡れ性制御素子10について、それぞれ所定の液体(例えば水、油)に対する接触角θ(静的接触角)を求める。この場合、各素子本体11の表面11aにそれぞれ当該液体を供給し、公知の接触角計を用いることにより各々の接触角θを計測する。
このようにして、例えば図2に示すように、合成石英からなる素子本体11について、空隙率vと接触角θとの関係(相関データ)が求められる。
次に、実際の加工対象となる平坦な表面11aを有する素子本体11を準備する(図3(a))。
続いて、上述した空隙率vと接触角θとの関係(相関データ)に基づいて、所望の接触角をもつ空隙率を決定する(図2)。例えば、素子本体11の表面11aの接触角をθにする場合、図2に示す相関データを参照し、接触角θに対応する空隙率vを決定する。
その後、決定した空隙率vに基づいて、ピラー16のピッチpおよびピラー16の上面16aの面積を設定する。次いで、このピッチp及び面積となるよう、素子本体11に多数のピラー16を形成する(図3(b))。なお、上述したように、素子本体11に多数のピラー16を形成する場合、ドライエッチング法を用いて、素子本体11のうち空間17に対応する部分を除去しても良く、あるいは精密切削加工機を用いて、素子本体11のうち空間17に対応する部分を切削除去しても良い。
このようにして、ベース部15と、ベース部15上に突設され互いの間に空間17を形成する複数のピラー16とを含む素子本体11を備えた、濡れ性制御素子10が得られる。この濡れ性制御素子10において、素子本体11は所望の接触角θをもっている。
(濡れ性制御素子の製造方法の変形例)
上記においては素子本体11が合成石英からなっている場合を例にとって説明した。しかしながら、素子本体11は合成樹脂からなっていても良い。この場合、例えば以下のようにして濡れ性制御素子10を製造することができる。
まず、上記と略同様にして、合成樹脂からなる素子本体11の空間17の空隙率と接触角との関係(相関データ)を予め求めておく。
次に、平坦な表面11aを有する合成樹脂製の素子本体11を準備する。素子本体11を構成する合成樹脂としては、熱可塑性樹脂(熱ナノインプリント法を用いる場合)または光硬化性樹脂(光ナノインプリント法を用いる場合)が挙げられる。
続いて、予め求めた空間17の空隙率と接触角との関係(相関データ)に基づいて、所望の接触角をもつ空隙率を決定する。
次に、素子本体11に多数のピラー16を形成する(図4(a)〜(c))。
この場合、まず決定した空隙率に基づいて、多数の凹部52を有する原版50を作製する(図4(a))。この場合、原版50は、例えば合成石英等の無機材料に対してドライエッチング法により多数の凹部52を形成したものであっても良い。なお、凹部52の形状は、ピラー16の形状を反転した形状となる。すなわち、凹部52のピッチpおよび水平断面の面積は、それぞれピラー16のピッチpおよび上面16aの面積と同一に設定する。
次に、原版50の凹部52を素子本体11に転写することにより、素子本体11にベース部15と、ベース部15上に突設された多数のピラー16とを形成する(図4(b))。
この場合、熱可塑性樹脂からなる素子本体11をガラス転移温度以上に加熱した状態で、原版50を押圧することによりインプリントする。続いて、これらを冷却し、その後原版50を離型して、原版50の凹部52を素子本体11に転写するようにしても良い(熱ナノインプリント法)。
あるいは、光硬化性樹脂からなる素子本体11に原版50を押圧した状態で光(例えば紫外線)を照射して光硬化させることにより、原版50の凹部52を素子本体11に転写するようにしても良い(光ナノインプリント法)。
このようにして、ベース部15と、ベース部15上に突設された多数のピラー16とを有する素子本体11を備えた合成樹脂製の濡れ性制御素子10が得られる(図4(c))。この濡れ性制御素子10において、素子本体11は、所望の接触角をもっている。
あるいは、以下のようにして、合成樹脂からなる素子本体11に多数のピラー16を形成しても良い(図5(a)〜(d))。
まず、上記と略同様にして、予め求めた空隙率と接触角との関係(相関データ)に基づいて決定した空隙率に基づいて、多数のピラー62を有する原版60(マスター金型)を作製する(図5(a))。この場合、原版60は、例えば合成石英等の無機材料に対してドライエッチング法により多数のピラー62を形成し、表面にチタンなどの導電性薄膜を形成したものであっても良い。
なお、原版60のピラー62の形状は、濡れ性制御素子10のピラー16の形状と同一の形状とする。すなわち、ピラー62のピッチpおよび上面の面積は、それぞれピラー16のピッチpおよび上面16aの面積と同一に設定する。
次に、原版60に基づいて、多数の凹部67を有する金型65を作製する(図5(b))。この際、原版60に電気めっきを施し、この電気めっき品(電鋳品)を原版60から離型することにより金型65が得られる。なお、原版60の各ピラー62がそれぞれ金型65の凹部67に対応する。
その後、金型65の凹部67を、平坦な表面11aを有する素子本体11に転写することにより、素子本体11に多数のピラー16を形成する(図5(c))。素子本体11に多数のピラー16を形成する方法としては、上述した熱ナノインプリント法や光ナノインプリント法を挙げることができる。
このようにして、ベース部15と、ベース部15上に突設された多数のピラー16とを有する素子本体11を備えた合成樹脂製の濡れ性制御素子10が得られる(図5(d))。この濡れ性制御素子10において、素子本体11は、所望の接触角をもっている。
この場合、金属製の金型65を用いて素子本体11に多数のピラー16を形成するため、合成石英を用いる場合と比較して金型65に破損が生じにくく、濡れ性制御素子10を多数製造する場合に適している。
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1]
6.35mm厚の平坦な表面を有する合成石英製の素子本体にクロムを100nm厚スパッタし、半導体プロセス用のネガレジスト(NEB−22)を塗布し、電子線リソグラフィーによりピッチ600nmのピラーパターンを形成した。なお、素子本体の表面に、それぞれピッチが600nmであって空間の空隙率を変えた複数のパターンエリアを形成した。次にICPドライエッチングによりクロムを選択的にエッチング除去し、クロムをマスクとしてガス(CF)を用いたICPドライエッチングを施すことにより、高さ230nmのピラーを規則的に複数形成した。その後、クロムマスクを酸によって除去し、同じ空隙率のパターンをそれぞれ5mm×10mmのエリアに形成した。このようにして得られた濡れ性制御素子において、接触角計(協和界面科学株式会社製DM−701)を用いて、水の接触角を空隙率の異なるパターンエリアごとに測定した。
図6(a)に示すように、空隙率を0%から80%まで変化させると、水の接触角を35°から18°まで17°変化させることができた。図7(a)に示すように、水の代わりにn−ヘキサデカンを用いたところ、空隙率を0%から80%まで変化させると、接触角を29°から13°まで16°変化させることができた。
[実施例2]
ピラーのピッチを1000nmとした以外は、実施例1と同様にして、濡れ性制御素子を作製した。
図6(b)に示すように、空隙率を0%から80%まで変化させると、水の接触角を35°から23°まで12°変化させることができた。図7(b)に示すように、水の代わりにn−ヘキサデカンを用いたところ、空隙率を0%から80%まで変化させると、接触角を32°から22°まで10°変化させることができた。
[実施例3]
ピラーのピッチを2000nmとした以外は、実施例1、実施例2と同様にして、濡れ性制御素子を作製した。
図6(c)に示すように、空隙率を0%から80%まで変化させると、水の接触角を33°から27°まで6°変化させることができた。図7(c)に示すように、水の代わりにn−ヘキサデカンを用いたところ、空隙率を0%から80%まで変化させると、接触角を32°から27°まで5°変化させることができた。
[実施例4]
ピラーのピッチを5000nmとした以外は、実施例1、実施例2、実施例3と同様にして、濡れ性制御素子を作製した。
図6(d)に示すように、空隙率を0%から80%まで変化させると、水の接触角を35°から27°まで8°変化させることができた。図7(d)に示すように、水の代わりにn−ヘキサデカンを用いたところ、空隙率を0%から80%まで変化させると、接触角を32°から28°まで4°変化させることができた。
図8(a)は、実施例1〜4について、水に関する空隙率と接触角との関係(相関データ)(図6(a)〜(d))を重ね合わせたものである。また、図8(b)は、実施例1〜4について、n−ヘキサデカンに関する空隙率と接触角との関係(相関データ)(図7(a)〜(d))を重ね合わせたものである。図8(a)および(b)から明らかなように、液体の種類および空間の空隙率が同一であれば、ピラーのピッチが異なっても空隙率と接触角との関係(相関データ)は概ね同一になると考えられる。
10 濡れ性制御素子
11 素子本体
15 ベース部
16 ピラー
17 空間
50 原版
52 凹部
60 原版
62 ピラー
65 金型
67 凹部

Claims (12)

  1. 濡れ性制御素子の製造方法であって、
    平坦な表面を有する素子本体を準備する工程と、
    予め求められた前記素子本体の空間の空隙率と接触角との関係に基づいて、所望の接触角をもつ空隙率を決定する工程と、
    決定した前記空隙率に基づいて、前記素子本体を加工することにより、ベース部と、前記ベース部上に突設され、互いの間に前記空間を形成する複数のピラーとを有する濡れ性制御素子を形成する工程とを備えたことを特徴とする濡れ性制御素子の製造方法。
  2. 前記濡れ性制御素子を形成する工程は、
    決定した前記空隙率に基づいて、複数の凹部を有する原版を作製する工程と、
    前記原版の前記凹部を前記素子本体に転写することにより、前記素子本体に前記複数のピラーを形成する工程とを有することを特徴とする請求項1記載の濡れ性制御素子の製造方法。
  3. 前記濡れ性制御素子を形成する工程は、
    決定した前記空隙率に基づいて、複数のピラーを有する原版を作製する工程と、
    前記原版に基づいて、複数の凹部を有する金型を作製する工程と、
    前記金型の前記凹部を前記素子本体に転写することにより、前記素子本体に前記複数のピラーを形成する工程とを有することを特徴とする請求項1記載の濡れ性制御素子の製造方法。
  4. 前記素子本体の前記空間の空隙率が5%〜80%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の濡れ性制御素子の製造方法。
  5. 前記素子本体の前記ピラーのピッチは、500nm〜10μmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の濡れ性制御素子の製造方法。
  6. 前記素子本体の前記表面は、二酸化ケイ素又は合成樹脂を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の濡れ性制御素子の製造方法。
  7. 液体に対する初期接触角を有する材料を加工して得られる濡れ性制御素子であって、
    ベース部と、前記ベース部上に突設され、互いの間に空間を形成する複数のピラーとを有する素子本体を備え、
    前記素子本体の前記空間の空隙率が5%〜80%であり、
    前記初期接触角と、前記複数のピラーが形成された前記素子本体の、前記液体に対する接触角との差が、1°〜30°であることを特徴とする濡れ性制御素子。
  8. 前記液体は水であり、前記初期接触角と、前記複数のピラーが形成された前記素子本体の、前記水に対する接触角との差が、1°〜30°であることを特徴とする請求項7記載の濡れ性制御素子。
  9. 前記液体は油であり、前記初期接触角と、前記複数のピラーが形成された前記素子本体の、前記油に対する接触角との差が、1°〜30°であることを特徴とする請求項7記載の濡れ性制御素子。
  10. 前記油は、n−ヘキサデカンであることを特徴とする請求項9記載の濡れ性制御素子。
  11. 前記素子本体の前記ピラーのピッチは、500nm〜10μmであることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項記載の濡れ性制御素子。
  12. 前記素子本体の表面は、二酸化ケイ素又は合成樹脂を含むことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一項記載の濡れ性制御素子。
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