以下、実施例について図面を用いて説明する。以下に示す実施例においては,取扱対象である紙葉類を紙幣とする。そして、紙幣取扱装置内に複数存在する紙幣分離機構に本発明を適用した例について説明する。なお、同一の符号を付された構成は、同一の機能を有するので、既に当該符号の説明されている場合それらの説明は省略することがある。
実施例1について、図1乃至図8を用いて、以下に説明する。図1は、紙幣取扱装置1の構成を示した図である。本紙幣取扱装置1は、入出金口ユニット101と、鑑別ユニット103と、一時保管ユニット102と、還流庫104と、搬送路106と、制御部105を有する。
入出金口ユニット101は、利用者が入出金時に紙幣の出し入れを行うためのユニットであり、利用者が投入した入金紙幣を一枚ずつ紙幣取扱装置1の内部に取り込む入金機能や、還流庫104から搬送路106を経由して一枚ずつ送られてきた出金紙幣を集積し、利用者に引き渡す出金機能を有している。
鑑別ユニット103は、入金された紙幣、もしくは出金する紙幣の真偽を確かめるためのユニットであり、鑑別ユニット103を通過した紙幣の金種情報を制御部105に伝達する。
一時保管ユニット102は、取引中の紙幣を一時的に保管するためのユニットであり、利用者が入金した紙幣を一括して保管し、利用者が取引を継続する場合は還流庫104へ、取引を中止する場合は、入出金口ユニット101へ紙幣を送り出す。
還流庫104は、入金された紙幣、もしくは出金する紙幣を金種毎に保管するための金庫である。
搬送路106は、上記各ユニット間を繋ぎ紙幣を搬送するための機構であり、搬送路106の複数の分岐点において搬送される紙幣の方向を規制する複数のゲート106gを有している。
上述の入出金口ユニット101、一次保管ユニット102、鑑別ユニット103、還流庫104、搬送路106は、それぞれ複数のゴムローラやゴムベルト等の搬送部で構成される搬送機構を有しており、それらの搬送部は各ユニット内外に備えられているモータ107によって駆動される。
制御部105は、上述の各ユニットや搬送路106に設けられたセンサで入手した情報や、鑑別ユニット103で判別した紙幣の情報(金種、紙幣サイズ、紙幣の搬送中の姿勢、紙幣間隔)を一括、もしくは分割して処理を行い、その状態に応じて駆動指令を行う機構である。
次に、上述の入出金口ユニット101、一次保管ユニット102、及び還流庫104に備えられている分離機構の構成について、図2及び図3を用い説明する。
図2は本実施例における分離機構の側面図であり、図3はその上面図である。ここでは、鉛直方向をy、水平方向をxとし、xの方向へ紙幣を搬送する。
本実施例における分離機構には、積載された複数の紙幣Pのうち、最上部紙幣P1と接触し搬送するための第一の搬送部として、付着あるいは粘着部としての樹脂系の粘着材料でなる粘着ローラ10を備えている。
更に、本実施例における分離機構には、粘着ローラ10によって搬送された紙葉類を更に下流へ搬送する搬送部としてのピンチローラ13と、ピンチローラ13によって搬送された紙幣を更に下流に搬送する補助ローラ18を有している。
ここで、粘着ローラ10は第一のタイミングベルト30によって連結された第一の駆動モータ32によって駆動される。それに対し、ピンチローラ13は第二のタイミングベルト31によって連結された第二の駆動モータ33によって駆動され、補助ローラ18と同期し回転する構成となっている。
また粘着ローラ10の回転軸10sにはワンウェイクラッチ35が取り付けられており、図中矢印Rの方向に回転自由となっている。
また、本実施例における分離機構には、押板15上の紙幣の有無を確認する残留センサ16と、ピンチローラ13によって搬送された紙幣の通過タイミングや姿勢を検知する通過センサ17とを備えている。そして、通過センサ17によって紙幣の有無を検知し、その情報を制御基板34に送り、第一の駆動モータ32の動作の制御を行う。
更に、粘着ローラ10によって搬送される際に、紙幣を粘着ローラ10から剥離するための剥離部としての剥離ガイド12が、粘着ローラ10とピンチローラ13との間に備えられている。この剥離ガイド12は、粘着ローラ10から紙幣を剥離した後、剥離した紙幣の先端をピンチローラ13に確実に導くための案内部材としての役割も有している。すなわち剥離ガイドの開始位置は繰出される紙幣の先端位置より上流側にあり、粘着により持ち上げられる先端部が接触する形状を有しており、また、前記粘着ローラ10と繰出される紙幣の粘着状態は、繰出される紙幣の先端部がピンチローラ13に確実に導かれるまでの間、持続するような形状となっている。 また、剥離ガイド12は、粘着ローラ10を支持しており、ピンチローラ13の回転軸13sを中心に回動可能となっている。そして、剥離ガイド12の回動方向と逆方向に抵抗力を発生するための押圧バネ121を有している。この構成によって粘着ローラ10と紙幣Pとが接触し圧力を付与することが可能となっている。
搬送部としてのピンチローラ13は、ピンチローラ13が紙幣に搬送力を付与する位置が、図2に示すように、粘着ローラ10と紙幣P1とが接触する位置よりy方向の上方側で、かつx方向の紙幣が搬送される方向側、すなわち紙幣が収納されている方向と逆側の紙幣が搬送される方向の位置に配置されている。このようなピンチローラ13の配置とすることで、繰出される紙幣の先端部を粘着によって持ち上げることを許容し、それによって紙幣間に隙間を形成して二枚目以降の紙幣への接触による影響を減らして二枚目以降の紙幣の連れ出し動作を低減する。さらには持ち上げられ繰出される紙幣の変形を維持した状態で下流側へ搬送することで搬送ジャムやスキューの発生を抑制することができる。
また、本実施例における分離機構は、積載された紙幣Pに接触し先端位置を規制するy方向に略鉛直方向の先端規制ガイド14を有している。そしてこの先端規制ガイド14は、繰出される紙葉の先端部をピンチローラ13の接触部まで搬送案内するような連続的な形状を有している。言い換えれば先端規制ガイドは、繰出される紙幣の先端部を粘着ローラ10と紙幣P1とが接触する位置よりy方向の上方側で、かつx方向の紙幣が搬送される方向側、すなわち紙幣が収納されている方向と逆側であって、紙幣が搬送される方向に搬送案内する機能を有する。なお本実施例では積載された紙幣Pに接触し先端位置を規制する先端規制ガイド14が繰出される紙幣を搬送部であるピンチローラ13へ搬送する案内部としての機能を有するものであるとしたが、案内部は別の積載された紙幣Pに接触し先端位置を規制する部材と一体である必要はなく、その形状が積載された紙幣Pに接触し先端位置を規制する部材から連続して搬送部であるピンチローラ13へ紙幣を搬送案内する他の部材であっても良い。
更に、複数の紙幣Pを積載する押板15を有している。この押板15は、図示せぬ駆動部によって駆動され、粘着ローラ10側(図中y方向)へ積載した紙幣Pを持上げることが可能である。
以上記載した構成における分離機構の動作を、図4〜図7を用い説明する。
まず押板15が図示せぬ駆動部によって上昇し、粘着ローラ10と最上部紙幣P1が接触する。そして押圧が作用すると所定の位置まで剥離ガイド12が回動し、これを図示されないセンサによって検出することで押板15を停止させる。この時、剥離ガイド12の回動に合わせ押圧バネ121が所定量変形することで、所定の圧力が粘着ローラ10と最上部紙幣P1の間で発生する(図4)。
押板15が停止した後、粘着ローラ10と、ピンチローラ13、及び補助ローラ18の回転が開始される。粘着ローラ10が回転すると、粘着ローラ10の粘着力により、最上部紙幣P1の先端は持ち上げられ剥離ガイド12に接触する。この時最上部紙幣P1と後続紙幣P2の間に摩擦力F1が発生するが、後続紙幣P2の先端は先端規制ガイド14と接触し、F1と逆方向の抵抗力を受けるために、下流へ搬送はされない(図5)。
その後、最上部紙幣P1と剥離ガイド12が接触し、最上部紙幣P1は剥離ガイド12より剥離力F2を受けるために、粘着ローラ10と最上部紙幣P1は剥離される。剥離された最上部紙幣P1は、その先端が剥離ガイド12によって案内され、ピンチローラ13に達し挟持される。そして、ピンチローラ13によって搬送された紙幣は通過センサ17を遮蔽し、遮光状態となる。遮蔽を確認した通過センサ17の信号により、第一の駆動モータ32は停止する(図6)。
剥離された最上部紙幣P1はピンチローラ13や、更に下流に搬送する補助ローラ18によって送られる。この際、紙幣後端付近が粘着ローラ10に粘着している状態であれば、ワンウェイクラッチによって、回転軸10sは繰出される紙幣の後端が粘着ローラから剥離されるまで従動回転する(図7)。
その後、最上部紙幣P1が完全に通過センサ17を通過した後、通過センサ17は受光状態となり、第一の搬送モータ32の回転が再度開始される。以上の動作を繰り返すことにより、連続して紙幣を分離し繰り出すことが可能である。
上述のように、本実施例の構成によれば、粘着部材に紙幣を粘着させて最上位の紙幣の先端部を持ち上げることが可能となり、高速で紙幣を繰出すことが可能である。また、この紙幣の持ち上げ動作を搬送をも同時に行う回転運動によって実現することで、紙幣を粘着部材に粘着させるための粘着部を駆動するソレノイド等の駆動部品が不要であり、機構の簡素化が可能となる。そして、粘着ローラによって紙幣先端を持ち上げることだけでなく、粘着ローラと紙幣間の圧力が小さい状態であっても従来のゴムローラのような機構に比べ大きな搬送力を得ることができる。これにより紙幣間の摩擦力を減少させることができるため、2枚目の紙幣の先端の座屈、および連れ出しによる重送の防止が可能となる。
また、本実施例の構成によれば、先端規制ガイド14によって後続の紙幣の先端を規制するため、最上部紙幣の繰出し時に後続の紙幣が連れ出されることは無い。この構成によって、従来の摩擦分離機構で必要であったローラの精密な加工や複雑なローラ構成、従来の真空式分離機構で必要であった紙葉類を一枚ずつ吸着するための真空チャンバや、真空状態を生成するブロアといった機構が不要となる。
更に本実施例では、粘着ローラ10によって粘着され搬送された紙幣を、剥離ガイド12によって剥離した後、剥離ガイド12が案内部となり紙幣搬送方向を規制した状態でピンチローラ13へ搬送する。このように、剥離後に紙幣先端を規制し案内することで、確実に紙幣をピンチローラ13まで搬送することが可能となっている。
図7は、第一の実施例における分離機構を、鉛直方向(図中y方向)に紙幣Pを繰り出す配置としたものである。この図の様に紙幣Pを立位状態で取扱う構成としても良い。この場合、紙幣Pには重力が作用するため、紙幣Pの先端が先端規制ガイド14の位置で揃えられ、その後の分離動作が容易となる。
実施例2について以下に説明する。なお実施例1との相違点についてのみ以下説明し、上実施例と同一部材は同じ番号を使用する。図9は本実施例における分離機構の側面図であり、図10はその上面図である。ここでは、鉛直方向をy、水平方向をxとし、xの方向へ紙幣を搬送する。
本実施例における分離機構には、積載された複数の紙幣Pのうち、最上部紙幣P1と接触し搬送するための繰出し部としてのアーム型搬送部29が備えられている。このアーム型搬送部29は、可撓性のアーム26と、その先端に備えられている付着あるいは粘着部としての樹脂系の粘着材料でなる粘着部111と、回転中や押圧付与時に積載された複数の紙幣Pと接触し、最上部紙幣P1の上面の位置を規制する押圧部材28とで構成される。なお押圧部材28は、後述するアーム26が存在、または紙幣と接触して変形する範囲において紙幣とは接触しない位相となるような形状を有し、かつ取付けられている。また押圧部材28の表面は紙幣との間の摩擦力が繰出しに影響しないような低い摩擦力であるような低摩擦の表面状態とされている。
アーム型搬送部29は、可撓性のアーム26を有しているため回転動作中の変形が可能である。そして、そのアーム26の変形を規制するためのアーム規制部材27が備えられている。アーム26には図11に示すようにアーム規制部27が存在する軸方向の位置に、アーム規制部27と接触する部位26Aが設けられており、この接触部位26Aがアーム規制部に接触して変形することでアーム26全体が変形する構造となっている。アーム26の先端部に備えられた粘着部111はアーム規制部材27が存在しない軸方向位置にあり、粘着部111とアーム規制部27が接触することはない。
更に、本実施例における分離機構には、アーム型搬送部29によって搬送された紙葉類を更に下流へ搬送する搬送部としてのピンチローラ13と、ピンチローラ13によって搬送された紙幣を更に下流に搬送する補助ローラ18を有している。
アーム型搬送部29、ピンチローラ13、そして補助ローラ18は、タイミングベルト21によって連結され、搬送モータ19によって同期駆動される。
更に、アーム型搬送部29によって搬送される際に、紙幣を粘着部111から剥離するための剥離部としての剥離ガイド12が、アーム型搬送部29とピンチローラ13との間に備えられている。この剥離ガイド12は、アーム型搬送部29の粘着部111から紙幣を剥離した後、剥離した紙幣の先端をピンチローラ13に確実に導くための案内部材としての役割も有している。すなわち剥離ガイド12の開始位置は繰出される紙幣の先端位置より上流側にあり、粘着により持ち上げられる紙幣の先端部が接触する形状を有しており、また、前記粘着部111と繰出される紙幣の粘着状態は、繰出される紙幣の先端部がピンチローラ13に確実に導かれるまでの間、粘着状態が持続するようなアーム寸法、アーム形状、粘着部寸法となっている。
また、剥離ガイド12は、アーム型搬送部29を支持しており、ピンチローラ13の回転軸13sを中心に回動可能となっている。そして、剥離ガイド12の回動方向と逆方向に抵抗力を発生するための押圧バネ121を有している。この構成によってアーム26と紙幣Pとが接触し圧力を付与することが可能となっている。
更に剥離ガイド12には接触ピン122が備えられており、ストッパ123と接触することで、過剰な回動を防止することが可能となっている。
搬送部としてのピンチローラ13は、ピンチローラ13が紙幣に搬送力を付与する位置が、図9に示すように、アーム型搬送部29の粘着部111と紙幣P1とが接触する位置よりy方向の上方側で、かつx方向の紙幣が搬送される方向側、すなわち紙幣が収納されている方向と逆側の紙幣が搬送される方向の位置に所定の寸法をもって配置されている。このようなピンチローラの位置配置とすることで、繰出される紙幣の先端部を粘着によって持ち上げることを許容し、それによって紙幣間に隙間を形成して二枚目以降の紙幣への接触による影響を減らして二枚目以降の紙幣の連れ出し動作を低減する。さらには持ち上げられ繰出される紙幣の変形を維持した状態で下流側へ搬送することで搬送ジャムやスキューの発生を抑制することができる。
また、本実施例における分離機構は、積載された紙幣Pに接触し先端位置を規制するy方向に略鉛直方向の先端規制ガイド14を有している。
そしてこの先端規制ガイド14は、繰出される紙葉の先端部をピンチローラ13の接触部まで搬送案内するような連続的な形状を有している。言い換えれば先端規制ガイドは、繰出される紙幣の先端部をアーム型搬送部29の粘着部111と紙幣P1とが接触する位置よりy方向の上方側で、かつx方向の紙幣が搬送される方向側、すなわち紙幣が収納されている方向と逆側の紙幣が搬送される方向の位置に搬送案内する機能を有する。なお本実施例では積載された紙幣Pに接触し先端位置を規制する先端規制ガイド14が繰出される紙幣を搬送部であるピンチローラ13へ搬送する案内部としての機能を有するものであるとしたが、案内部は別の積載された紙幣Pに接触し先端位置を規制する部材と一体である必要はなく、その形状が積載された紙幣Pに接触し先端位置を規制する部材から連続して搬送部であるピンチローラ13へ紙幣を搬送案内する他の部材であっても良い。
更に、複数の紙幣Pを積載する押板15を有している。この押板15は、図示せぬ駆動部によって駆動され、アーム26側(図中y方向)へ積載した紙幣Pを持上げることが可能である。
次にアーム型搬送部29の動作について、詳細に説明する。
図12は、上述のアーム型搬送部29におけるアーム26の回転中の様子を示した図である。
ここで、アーム26が最下点から角度θだけ回転した際に、アーム型搬送部29の先端はy方向へY1だけ持ち上がる。ここで、アーム26の回転中心から最上部紙幣P1と粘着部111の接触点までの距離をR1とすると、Y1=R1(1−cosθ)である。アーム型搬送部29の可撓性のアーム26先端が持ち上がるにつれて最上部紙幣P1から後続紙幣P2へ作用する垂直方向の力(図中N)が低下する。これにより、最上部紙幣P1と後続紙幣P2の間で発生する摩擦力(図中F1)が低減され、最上部紙幣P1の繰り出し時に、後続紙幣P2が連れ出されることを防止することが可能である。
次に、アーム規制部材27の効果について説明する。
図13は、アーム規制部材27の構成と、アーム型搬送部29における可撓性のアーム26がアーム規制部材27によって変形が規制された際の、可撓性のアーム26先端の軌跡を示したものである。
図13に示すように、アーム規制部材27は略円弧形状をしており、アーム型搬送部29と回転中に接触する位相(接触位相θs)と接触しない位相(突出位相θp)を有している。アーム規制部材27とアーム26の接触部26Aが接触する接触位相ではアーム26は図に示すように圧縮して変形されるため、その回転半径を小さくなる。逆に、アーム規制部材27と接触しない突出位相では、アーム26の変形が解放されるため、回転半径が大きくなる。このようにアーム規制部材27によって、任意の位相において、アーム型搬送部29における可撓性のアーム26の回転半径を変化させることができる。そしてこのアーム26の変形が解放されて回転半径が大きくなる位相がアーム26の回転位置の最下点近傍になるようなアーム規制部材27やアーム26の形状とすることで、粘着部111に紙幣が確実に粘着する圧力をアーム26の変形復元力で発生させる。また同時に、アーム26の先端部が紙幣と接触する範囲が可能な限り短くなるようなアーム規制部材27やアーム26の形状とすることで、一枚目の紙幣が二枚目以降の紙幣に並進して繰出される距離を短くでき、後続紙幣P2が連れ出されることを防止することが可能である。
このアーム26の回転半径を変化させることによる効果を、図14、図15を用い説明する。図14は比較例としてのアーム規制部材が無い場合のアーム型搬送部29先端の軌跡と紙幣の搬送状態を示したものである。図15はアーム規制部材27が有る場合のアーム26先端の軌跡と紙幣の搬送状態を示したものである。アーム26の先端に存在する粘着部111が紙幣と接触し搬送する。このとき、接触が開始してから、アーム型搬送部29が最下点に達するまで紙幣はy方向に持ち上げられずx方向の並進移動をする。この並進運動中は、紙幣先端が先端規制ガイド14に垂直方向へ押しつけられるため、最上部紙幣P1と後続紙幣P2の間で発生する摩擦力が大きくなり、最上部紙幣P1の繰り出し時に、後続紙幣P2が連れ出され易い。また紙幣の先端が座屈する恐れもある。したがって並進移動量は少ない程良い。
ここで、アーム規制部材が無い場合の並進移動量をXf1、並進移動中のアーム26の回転角をθ1、アーム規制部材が有る場合の並進移動量をXf2、並進移動中のアーム26の回転角をθ2とする。図15に示す様に、アーム規制部材27が有る場合は、アーム規制部材27が無い場合と比較し、接触開始がΔθだけ遅れるため、Xf2<Xf1(θ2<θ1)となり、紙幣の並進移動量を低減することができる。これにより、後続紙幣P2の連れ出しや、繰出される紙幣先端の座屈を防止することが可能である。
以上記載した構成における分離機構の動作を、図16〜図19を用い説明する。
まず押板15が図示せぬ駆動部によって上昇し、アーム型搬送部29と最上部紙幣P1が接触する。この時、アーム型搬送部29は、押圧部材28と最上部紙幣P1が接触する位相となっている。押圧が作用すると所定の位置まで剥離ガイド12が回動し、これを図示されないセンサによって検出することで押板15を停止させる。この時、剥離ガイド12の回動に合わせ押圧バネ121が所定量変形することで、所定の圧力がアーム型搬送部29の押圧部材28と最上部紙幣P1の間で発生する。この圧力によって、紙幣に存在する初期的な折れや曲がりといった変形を減少させ最上位の紙幣と二枚目以降の紙幣との間での初期的な変形による繰出し方向への影響を低減する(図16)。
押板15が停止した後、アーム型搬送部29と、ピンチローラ13、及び補助ローラ18の回転が開始される。アーム型搬送部29におけるアーム26の回転により、粘着部111が最上部紙幣P1に接触し、その粘着力により、最上部紙幣P1の先端がy方向に持ち上げられ、剥離ガイド12に接触する。この時最上部紙幣P1と後続紙幣P2の間に摩擦力F1が発生するがその時間は短く、またアーム26が最上部紙幣P1を持ち上げた後はアームによる圧力が作用しないため紙幣間の摩擦力F1は十分小さく、また押圧部材28が紙幣と接触する位相においても搬送方向への摩擦力の影響は小さくなるため後続紙幣P2の先端は先端規制ガイド14と接触するために搬送方向下流への搬送はされない。また、先端規制ガイド14との接触時に後続紙幣P2が座屈することは無い。更に、上述の様に、アーム規制部材27によってアーム型搬送部29と最上部紙幣P1の接触が開始するタイミングが調整されて並進動作を行う距離を短くすることで繰り出される最上部紙幣P1の先端が座屈することは無い。
なお、アーム型搬送部29と最上部紙幣P1とが接触している際は、押圧部材28は既に最上部紙幣P1とは接触していない。そのため、押圧バネ121のバネ力によって、剥離ガイド12は図中反時計回りに回動するが、ストッパ122によってその回動は停止する(図17)。
アーム26によって搬送された最上部紙幣P1の先端は剥離ガイド12と接触する。そして、最上部紙幣P1は剥離ガイド12より剥離力F2を受けるために、粘着部111と最上部紙幣P1は剥離される(図18)。剥離された最上部紙幣P1はピンチローラ13や、更に下流に搬送する補助ローラ18によって送られる(図19)。
以上の動作を繰り返すことにより、連続して紙幣を分離し繰り出することが可能である。
図20は、上述の分離動作中における、アーム型搬送部29の回転位相と、アーム型搬送部29と紙幣の間で発生する押圧力Nの関係を示したものである。分離開始時は、押圧部材28と最上部紙幣P1が接触し、所定の押圧が作用する。そして、アーム型搬送部29が回転し、アーム26の先端に設けられている粘着部111が紙幣と接触する際に、瞬間的に高い押圧N1が作用する。しかし、アーム26が最上部紙幣P1を持ち上げた後はアームによる押圧はゼロとなる。そして最上部紙幣P1を繰り出した後、押圧部材28が後続紙幣P2と接触し、再び所定の押圧が作用する。このように、アーム型搬送部29によって、その回転中に押圧を変化させることができ、特に紙幣繰り出し時に押圧を低減することで、後続の紙幣が連れ出される重送を防止することができる。
上述のように、本実施例の構成によれば、繰出される紙幣に搬送力を作用させながら搬送部と紙幣との間で発生する接触力を変化させた状態で粘着部材に紙幣を粘着させ紙幣を持ち上げることが可能となり、高速で紙幣を繰出すことが可能である。また、この紙幣の持ち上げ動作を搬送をも同時に行う回転運動によって実現することで、紙幣を粘着部材に粘着させるための粘着部材を駆動するソレノイド等の駆動部品が不要であり、機構の簡素化が可能となる。そして、繰り出しタイミングで紙幣間の摩擦力を減少させることで、2枚目の紙幣の先端の座屈、および連れ出しによる重送の防止が可能となる。
実施例3について以下に説明する。なお実施例1との相違点についてのみ以下説明し、上実施例と同一部材は同じ番号を使用する。図21は本実施例における分離機構の側面図であり、図22はその上面図である。また、ここでは、鉛直方向をy、水平方向をxとし、xの方向へ紙幣を搬送する。
本実施例における分離機構には、積載された複数の紙幣Pのうち、最上部紙幣P1と接触し搬送するための第一の搬送部としてのピックローラ11を備えている。ここでピックローラ11には、紙幣の搬送のための粘着部111を有しており、略円形形状である。そしてその中心が、回転中心(回転軸11sの中心)からδだけ偏心し、取り付けられている。
また、ピックローラ11によって搬送された紙葉類を更に下流へ搬送する第二の搬送部としてのピンチローラ13が備えられている。またピンチローラ13によって搬送された紙幣を更に下流に搬送する補助ローラ18も有している。
ここで、ピックローラ11は第一の駆動モータ32と第一のタイミングベルト30によって連結され、ピンチローラ13は第二の駆動モータ33と第二のタイミングベルト31によって連結されている。
またピックローラ11の回転軸11sにはワンウェイクラッチ35が取り付けられており、図中矢印Rの方向に回転自由となっている。
また、本実施例における分離機構には、押板15上の紙幣の有無を確認する残留センサ16とピンチローラ13によって搬送された紙幣の通過タイミングや姿勢を検知する通過センサ17とを備えており、通過センサ17によって得られた紙幣有無情報を制御基板34に送り、その信号によって第一の駆動モータ32の動作の制御を行う。
図23は第三の実施例における、第一の搬送部であるピックローラ11の詳細を示した図である。このピックローラ11は回転中の、回転中心から接触点までの高さをR2(以下、回転半径とする)、接触後の回転角をθ、ピックローラ半径をrとすると、ピックローラ11の中心が、回転中心(回転軸11sの中心)からδだけ偏心しているため、回転中にY2= R2−(r+δ)cosθ だけ、搬送中の最上部紙幣P1と後続紙幣P2の間に隙間が生じる。その隙間により、最上部紙幣P1と後続紙幣P2の間で作用する垂直方向の力(図23中N)が低下する。その結果、最上部紙幣P1と後続紙幣P2の間で発生する摩擦力(図23中F1)が低減され、後続紙幣P2の連れ出しが防止される。
また、本実施例におけるピックローラ11の回転半径R2に関して、以下詳細に説明をする。
図24は本実施例におけるピックローラ11の回転半径R2と取扱可能な紙幣Pとの寸法関係を示した図である。図24において、先端規制ガイド14からピックローラ11と紙幣Pの接触点までの距離をXl1、ピックローラ11と紙幣Pの接触点から、紙幣Pの後端までの距離をXl2とする。
この時、本実施例におけるピックローラ11の回転半径R2は、R2<Xl2/2πとなるように設定されている。この寸法関係であれば、紙幣Pを繰り出す際にピックローラ11は少なくとも1回転が必要となり、ピックローラ11は回転中に後続の紙幣と接触することは無い。
図25は発明者が調査した、回転半径R2と、紙幣Pの搬送方向と先端規制ガイド14がなす接触角φの関係を示したグラフである。
図25に示される様に、ピックローラ11の回転半径R2が小さい程、繰り出し中の紙幣Pと先端規制ガイド14の接触角φ(図24中に記載)が小さくなる。搬送される紙幣Pと先端規制ガイド14の接触角φが小さい程、紙幣Pの先端に働くx方向の抵抗力(図24中FRx)が小さくなるため、紙幣Pの座屈防止のためには、ピックローラ11の回転半径R2は実装可能な範囲で小さくすることが好ましい。
次に本実施例における分離機構の動作を図26〜29を用いて説明する。
まず押板15が図示せぬ駆動部によって、上昇し、ピックローラ11と最上部紙幣P1が接触する。この時、ピックローラ11は所定の押圧位相で停止しており、ピックローラ11の粘着部111と最上部紙幣P1は接触しない。またこの時、ピックローラ11の回転中心から、ピックローラ11と最上部紙幣P1の接触点までの距離は常に一定値を取る(図中yd)。
押圧が作用すると所定の位置まで剥離ガイド12が回動し、これを図示されないセンサによって検出することで押板15を停止させる。この時、剥離ガイド12の回動に合わせ押圧バネ121が所定量変形することで、所定の圧力がアーム型搬送部29の押圧部材28と最上部紙幣P1の間で発生する。この圧力によって、紙幣に存在する初期的な折れや曲がりといった変形を減少させ最上位の紙幣と二枚目以降の紙幣との間での初期的な変形による繰出し方向への影響を低減する(図26)。
押板15が停止した後、ピックローラ11と、ピンチローラ13、及び補助ローラ18の回転が開始される。ピックローラ11の回転により、粘着部111が最上部紙幣P1に接触し、その粘着力により、最上部紙幣P1の先端がy方向に持ち上げられ、剥離ガイド12に接触する。この時最上部紙幣P1と後続紙幣P2の間に摩擦力F1が発生するが、その時間は短く、ピックローラ11が最上部紙幣P1を持ち上げた後は、ピックローラ11による圧力が作用しないため、紙幣間の摩擦力F1は十分小さく、後続紙幣P2の先端は先端規制ガイド14と接触するために搬送方向下流への搬送はされない。また、先端規制ガイド14との接触時に後続紙幣P2が座屈することは無い。
なお、ピックローラ11が最上部紙幣P1を搬送する際、最上部紙幣P1と後続紙幣P2の間に隙間が生じるため、押圧バネ121のバネ力によって、剥離ガイド12は図中反時計回りに回動するが、ストッパ122によってその回動は停止する(図27)。
そして、ピックローラ11によって搬送された最上部紙幣P1の先端が剥離ガイド12と接触する。その際に最上部紙幣P1は剥離ガイド12より剥離力F2を受けるために、粘着部111と最上部紙幣P1は剥離される。剥離された最上部紙幣P1は、その先端が剥離ガイド12によって案内され、ピンチローラ13に達し、ピンチローラ13に挟持され搬送される。そして、搬送された紙幣は通過センサ17を遮蔽し、遮光状態となる。遮蔽を確認した通過センサ17の信号により、第一の駆動モータ32は停止する(図28)。剥離された最上部紙幣P1はピンチローラ13や、更に下流に搬送する補助ローラ18によって送られる。この際、紙幣後端付近が粘着材111に粘着している状態であれば、ワンウェイクラッチ35によって、回転軸11sは従動回転する(図29)。
その後、最上部紙幣P1が完全に通過センサ17を通過した後、通過センサ17は受光状態となり、第一の搬送モータ32の回転が再度開始される。以上の動作を繰り返すことにより、連続して紙幣を分離し繰り出すことが可能である。
図30は、上述の分離動作中における、ピックローラ11の回転位相θと、ピックローラ11と紙幣の間で発生する押圧力Nの関係を示したものである。分離開始時は、ピックローラ11と最上部紙幣P1が接触し、所定の押圧が作用する。そして、ピックローラ11が回転し、粘着部111が紙幣と接触する際に、瞬間的に高い押圧N1が作用する。しかし、ピックローラ11が最上部紙幣P1を持ち上げた後はピックローラ11からの押圧はゼロとなる。そして最上部紙幣P1を繰り出した後、再度ピックローラ11が後続紙幣P2と接触し、再び所定の押圧が作用する。このように、偏心し配置されているピックローラ11によって、その回転中に押圧を変化させることができ、特に紙幣繰り出し時に押圧を低減することで、後続の紙幣が連れ出される重送を防止することができる。
上述のように、本実施例の構成によれば、搬送部と紙幣との間で発生する押圧力を変化させ、紙幣を持ち上げることが可能である。また、この紙幣の持ち上げを搬送に必要な回転運動によって実現することで、ソレノイド等の駆動部品が不要であり、機構の簡素化が可能となる。
そして、繰り出しタイミングで紙幣間の摩擦力を減少させることで、2枚目の紙幣の先端の座屈、および連れ出しによる重送の防止が可能となる。
実施例4について以下に説明する。なお上述の実施例1〜3との相違点についてのみ以下説明し、上実施例と同一部材は同じ番号を使用する。図31は本実施例における分離機構の側面図である。ここでは、鉛直方向をy、水平方向をxとし、xの方向へ紙幣を搬送する。本実施例における分離機構には、積載された複数の紙幣Pのうち、最上部紙幣P1と接触し搬送するための第一の搬送部としてのピックローラ11を備えている。ここでピックローラ11には、紙幣の搬送のための粘着部111を有しており、円周状の一部に切欠部11aを有している。
また、ピックローラ11によって搬送された紙葉類を更に下流へ搬送する第二の搬送部としてのピンチローラ13が備えられている。またピンチローラ13によって搬送された紙幣を更に下流に搬送する補助ローラ18も有している。
本実施例におけるピックローラ11の特徴を図32、図33を用い説明する。
図31は第一の搬送部であるピックローラ11の詳細を示した図であり、図32はピックローラ11の回転位相θと、ピックローラ11の最下点のy方向座標Y3の関係を示した図である。
図31に示すように、本ピックローラ11は、回転中心Cより、距離rcで直線状の切欠部11a(図31中弦AB)を有している。このピックローラ11はローラの回転位相θによって、最下点のy方向座標Y3は図32に示す様に変化する。
ピックローラ11の回転により、粘着部111が最上部紙幣P1と接触し、その粘着力によって最上部紙幣P1の先端が持ち上げられた後、接触点Aが後続紙幣P2より離れる。そして、弦ABを構成する中心角θcの位相の間、ローラ最下点がy方向に持上る。ローラ最下点が持上ることによって、ピックローラ11の押圧力が低減されるため、最上部紙幣P1から後続紙幣P2へ作用する垂直方向の力Nが低下する。これにより、最上部紙幣P1と後続紙幣P2の間で発生する摩擦力F1が低減され、最上部紙幣P1の繰り出し時に、後続紙幣P2が連れ出されることを防止することが可能である。
実施例5について以下に説明する。なお実施例1〜4との相違点についてのみ以下説明し、上実施例と同一部材は同じ番号を使用する。図34は本実施例における分離機構の側面図である。ここでは、鉛直方向をy、水平方向をxとし、xの方向へ紙幣を搬送する。
本実施例における分離機構には、積載された複数の紙幣Pのうち、最上部紙幣P1と接触し搬送するための第一の搬送部として樹脂系の粘着材料でなる粘着ベルト23を有している。また、粘着ベルト23に動力を伝達するための偏心プーリ24を有している。
本実施例における偏心プーリ24は、略円形形状であり、その中心が回転中心(回転軸24sの中心)からδだけ偏心し、取り付けられている。
また、粘着ベルト23によって搬送された紙葉類を更に下流へ搬送する第二の搬送部としてのピンチローラ13が備えられている。またピンチローラ13によって搬送された紙幣を更に下流に搬送する補助ローラ18も有している。
更に、本実施例における分離機構には、押板15上の紙幣の有無を確認する残留センサ16とピンチローラ13によって搬送された紙幣の通過タイミングや姿勢を検知する通過センサ17とを備えている。
また、偏心プーリ24を支持し、ピンチローラ13の回転軸13sを中心に回動可能なローラブラケット22を有している。このローラブラケット22は、押圧バネ121と接触しており、ローラブラケット22の回動方向と逆方向にバネ力が作用する構成となっている。
図35は第一の搬送部である粘着ベルト23とそれを駆動する偏心プーリ24の詳細を示した図である。
この偏心プーリ24は、回転中心から接触点までの高さをR4(以下、回転半径とする)、接触後の回転角をθ、偏心プーリ24の半径をrとすると、回転中にY4= R4−(r+δcosθ) だけその最下点が持上る。このために、最上部紙幣P1と後続紙幣P2の間で作用する垂直方向の力(図35中N)が低減される。これにより、最上部紙幣P1と後続紙幣P2の間で発生する摩擦力(図35中F1)が低減され、後続紙幣P2の連れ出しが防止される。
上述の粘着ベルト23、及び偏心プーリ24を用いた場合、分離に関して実施例2と同様の効果を得ることが可能である。
実施例6について以下に説明する。なお実施例1〜5との相違点についてのみ以下説明し、上実施例と同一部材は同じ番号を使用する。図36は本実施例における分離機構の側面図である。また、以下では図36に示すように、鉛直方向をy、水平方向をxとし、xの方向へ紙幣を搬送する。
本実施例における分離機構には、積載された複数の紙幣Pのうち、最上部紙幣P1と接触し搬送するための第一の搬送部として樹脂系の粘着材料でなる粘着ベルト23を有している。また、粘着ベルト23に動力を伝達するための切欠プーリ25を有している。
また、粘着ベルト23によって搬送された紙葉類を更に下流へ搬送する第二の搬送部としてのピンチローラ13が備えられている。またピンチローラ13によって搬送された紙幣を更に下流に搬送する補助ローラ18も有している。
更に、本実施例における分離機構には、押板15上の紙幣の有無を確認する残留センサ16とピンチローラ13によって搬送された紙幣の通過タイミングや姿勢を検知する通過センサ17とを備えている。
図37は第一の搬送部である粘着ベルト23とそれを駆動する切欠プーリ25の詳細を示した図である。
切欠プーリ25は、回転中心Cより、距離rcで直線切欠部(図37中弦AB)を有している。回転位相θによって、ローラ最下点が変化し、弦ABを構成する中心角θcの位相でローラ最下点がy方向にY5だけ持上る。
ローラ最下点が持上ることによって、粘着ベルト23と後続紙幣P2の間で発生する押圧力が低減されるため、最上部紙幣P1から後続紙幣P2へ作用する垂直方向の力(図中N)が低下する。これにより、最上部紙幣P1と後続紙幣P2の間で発生する摩擦力(図中F1)が低減され、最上部紙幣P1の繰り出し時に、後続紙幣P2が連れ出されることを防止することが可能である。
上述の粘着ベルト23、及び切欠プーリ25を用いた場合、分離に関して実施例3と同様の効果を得ることが可能である。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。