JP2014121764A - 切削工具及び該切削工具の再研削方法 - Google Patents

切削工具及び該切削工具の再研削方法 Download PDF

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【課題】切削工具を再研削した際に、再コーティング工程が不要となる切削工具、及び該切削工具の再研削方法を提供する。
【解決手段】切削工具30の刃部1Aの逃げ面6には、あらかじめ切刃4と同形状の予備切刃Xを備える予備溝9が並列して形成されている。該逃げ面6の予備溝9内、及びすくい面5には、コーティング層10があらかじめ形成されている。該切削工具30が摩耗して再研削が必要となった際には、すくい面5を該予備すくい面部Yに連続する位置まで再研削して該予備切刃Xを新しい切刃4とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えばフライス、ホブ、ブローチ、リーマ等の刃部を有する切削工具、及び該切削工具の再研削方法に関するものである。
従来、上記のような切削工具は、すくい面と逃げ面とが交わるその交線を切刃とした刃部を有し、該切刃が切削対象となるワーク(工作物)の所定箇所を切削して該ワークを所望の形状に成形するものである。
上記切刃は、ワークの所定箇所を切削するため高い硬度を有しており、必要に応じて表面には、TiCN(炭窒化チタン)、TiAlN(窒化チタンアルミ)等を蒸着させることでコーティング層が施されている。
しかしながら、前記ワークの切削加工を繰り返し行えば、当然切刃が摩耗して切削性能が低下する。このため、前記切削工具の切削性能を再び使用に適する状態とするために、刃部を再研削することがよく行われている。
例えば特許文献1に記載のスローアウェイチップ再研磨装置においては、チップを割出しテーブル上に固定し、該チップに研磨液を投射することによって再研削が行われている。
また、特許文献2に記載の歯切用のカッターのためのカッター研磨装置、特許文献3に記載の歯車の製作に使用されるホブのためのホブ刃付盤、特許文献4に記載の歯車等の金属部品の穴加工に用いられるブローチのためのブローチ研削装置、特許文献5に記載のブローチ工具のための切削工具研削装置においても、それぞれ再研削作業が行われている。
さらに特許文献6に記載の回転工具の研磨機構においては、リーマの切刃部に近接されたすくい面側に被研削用ピースを当接させて再研削が行われている。また、特許文献7に記載の回転工具の研磨方法においても、リーマの切屑排出用溝部に樹脂製充填材料を充填して再研削が行われている。そして特許文献8に記載の歯車の歯を創成歯切りするための超硬ソリッドホブにおいては、材質が超硬合金の一体形で構成されており、切れ刃溝数が16〜30条とすることで、刃殺しが不要となり、刃付け、再研削が容易なものとされている。
特開2010−149241号公報 特公平8−18231号公報 特許第3113918号公報 特許第4870593号公報 特開平7−9308号公報 特開平5−228809号公報 特開平6−170705号公報 特開平10−146720号公報
切刃に上記したようなコーティングがなされている場合、再研削を行うと該コーティングが除去されてしまい、再研削後に再コーティング工程を実行する必要が生じる。しかしながら、再コーティング工程は、コストが高騰するという問題があり、コストが重視される場合はこの再コーティング工程が省略されることがある。そうすると、今度は切削工具の寿命が著しく低下してしまうという問題が生ずる。
また、切削加工中に切刃の摩耗が異常に大きくなって、切削工具として使用不能になったり、あるいはワークの精度が低下して不良となったりする場合があった。
また、従来構成にあっては、再研削のたびに新しい切刃を形成する必要があるため、作業時間が長くなると共に、熟練を要する場合があった。
そこで、本発明は、上記問題を解決することができる切削工具、及び該切削工具の再研削方法を提供することを目的とする。
本発明は、すくい面と逃げ面とが交わるその交線を切刃とした刃部を有し、該刃部のすくい面が再研削されることで該切刃が繰り返し使用可能となる切削工具において、前記逃げ面に、前記切刃の刃線方向に沿って凹成された予備溝が設けられ、さらに該予備溝の両側の溝縁部のうち、前記すくい面に対して遠い位置の溝縁部が、該切刃と同形状に成形されることで溝縁が予備切刃とされ、かつ該予備切刃に連成した該予備溝の内周面が予備すくい面部とされ、すくい面が該予備すくい面部と連続する位置まで再研削されることによって前記予備切刃が新しい切刃とされることを特徴とする切削工具である。
上記構成とすることにより、再研削の際には、それまで使用していた切刃から、その隣に形成されている予備切刃がすくい面と連続するところまで研削すればよい。したがって、予備溝を指標として再研削作業が行えるため、再研削作業が極めて簡便なものとなる。また、上記構成により、切削加工中に切刃の摩耗が異常に大きくなることを防止できるとともに、切削工具として使用不能になったり、あるいはワークの精度が低下して不良となったりする、ことも防止できる。
さらに、刃部が金属材料からなり、該刃部の切刃と予備切刃との表面に、コーティング層が連続状に形成されていることが好ましい。
かかる構成にあっては、再研削によって新しい切刃となった表面には予めコーティング層が形成されていることになるため、従来のように新しい切刃に対して別途コーティングを形成する工程を実行する必要がない。このため、コストの高騰を回避することができると共に、切削工具の工具寿命を適切に確保することができる。
さらに、予備溝が、刃部の再研削方向に複数列設されている構成が提案される。
上記構成とすることにより、複数回にわたって予備切刃を切刃として再使用することができる。
さらに、予備溝の溝底を基準にして、予備すくい面部が形成された内周面に対向する内周面が、溝底に向かうに従いすくい面に対して遠ざかる傾斜面で構成されていてもよい。
上記構成とすることにより、少なくとも予備切刃が形成される部位の切削方向に対する強度が十分に確保されることになり、予備切刃を新しい切刃として切削作業を安定して行うことが可能となる。
さらに、予備溝の溝底形状が、溝深さ方向に凸の丸底形状である構成が提案される。
かかる構成とすることにより、予備溝の溝底を起点として新しいすくい面を形成しようとする際に、該溝底がいわゆるR形状であると、該溝底におけるすくい面の位置の誤差がある程度吸収され、研削精度が好適に緩和される利点がある。また、該溝底に応力が集中して割れ等が発生することを防ぐこともできる。
また、本発明は、すくい面と逃げ面とが交わるその交線を切刃とした刃部を有する切削工具に対して、該刃部のすくい面を再研削して該切刃を繰り返し使用可能とする切削工具の再研削方法において、前記逃げ面に、前記切刃の刃線方向に沿って予備溝を凹成し、該予備溝の両側の溝縁部のうち、前記すくい面に対して遠い位置の溝縁部を、前記切刃と同形状として溝縁を予備切刃とし、かつ該予備切刃と連成する該予備溝の内周面を予備すくい面部とし、すくい面を該予備すくい面部と連続する位置まで再研削することによって該予備切刃を新しい切刃とすることを特徴とする切削工具の再研削方法である。
かかる構成とすることにより、予備溝を指標としてすくい面を再研削し、かつ予め成形した予備切刃を新しい切刃とすることができるため、熟練を要することなく再研削作業を行うことが可能となる。
本発明の切削工具は、製造時に既に予備切刃が形成されているので、再研削を行った後に該切削工具の切削精度や切削能力が低下することがない。
また、本発明の切削工具の再研削方法は、再研削により、予備溝を指標としながら未だ摩耗していない予備切刃を切刃とすることができるため、再研削作業が極めて簡便なものとなる効果がある。
第1実施形態にかかる切削工具の使用状態を示す説明図である。 第1実施形態にかかる切削工具の刃部を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は背面図、(d)は平面図、(e)は(a)のB−B線断面部分拡大図である。 第1実施形態にかかる切削工具の刃部の再研削工程を説明する図であり、(a)は再研削前の状態を示す断面図、(b)は再研削後の状態を示す断面図、(c)は再研削後の状態を示す拡大正面図である。 第2実施形態にかかる切削工具であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は刃部の部分拡大図、(d)はすくい面側から見た刃部の説明図である。 第3実施形態にかかる切削工具であって、(a)は側面図、(b)は刃部の部分拡大図、(c)はすくい面側からみた刃部の説明図である。
本発明の切削工具の実施形態を添付図面に従って説明する。
なお、本発明の切削工具は、下記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。
〔実施例1〕
本発明の切削工具を説明する。なお、切削工具として、ワークWの歯切りに用いられるブレード(刃部)を備えたフェイスミル(正面フライス)を例として説明する。なお、本実施形態において、ワークWは曲がり歯かさ歯車として説明するが、ハイポイドギヤであってもよい。
図1に示すように、フェイスミルで構成される切削工具30は、その回転部に、ブレードからなる刃部1Aが複数設けられている。該刃部1Aは、フェイルミルカッターとして使用される際に外刃と内刃とに種別されるが、本発明においてはいずれの刃についても適用可能であるため、詳細な説明は省略する。
図2に示すように、刃部1Aは、金属材料からなり、切削工具30の回転部に取り付けられる支持部2と、該支持部2の上部に配され、上端に形成される稜線部をいわゆるトップランドとする刃先部3とで構成されている。なお、前記支持部2の中央には、切削工具30の回転部に固定するための固定治具が挿通される固定用挿通孔部11が貫通状に形成されている。
また、前記刃先部3には、互いに異なる方向を向いたすくい面5と逃げ面6とが形成され、該すくい面5と該逃げ面6とが交わるその交線により切刃4が構成されている。例えば、該切刃4の有効な刃線は、20mm程度とすることができる。また、該切刃4を含むすくい面5と逃げ面6の表面には、例えばTiAlNなどのコーティング層10が連続状に形成されており、高い硬度が確保されている。
なお、上記構成の刃部1Aは、前記すくい面5が繰り返し再研削されることで繰り返し使用可能となる構成である。再研削の詳細な工程は、後で詳述する。
さらに、前記逃げ面6には、前記切刃4の刃線方向に沿って凹成された予備溝9が複数設けられている。さらに詳述すると、該予備溝9は、刃部1Aにおける再研削方向に沿って多数並行に列設されており、例えば該予備溝9は、その溝巾が約3mm、逃げ面6を基準とした溝深さが0.2mmとされ、これら予備溝9が互いに0.3mm間隔で配置される。さらに、該予備溝9の溝底9bの形状は、図2eに示すように、溝深さ方向に凸の丸底形状とされる。なお、該予備溝9内にもコーティング層10が形成されている。
さらに、前記予備溝9の両側の溝縁部9a,9cのうち、前記すくい面5に対して遠い位置の溝縁部9cが、該切刃4と同形状に成形されることでその溝縁が予備切刃Xとされている。また、これと共に、該予備切刃Xに連成した該予備溝9の内周面が、すくい面5と平行な予備すくい面部Yとされている。
なお、前記予備溝9を、刃部1Aの逃げ面6に複数形成することで、切刃4の周辺において切削時の強度低下が問題となるが、予備すくい面部Yが形成されない溝縁部9a、すなわち溝底9bを基準として互いに対向する溝縁部9a,9cのうち他方の溝縁部9aの内周面を、溝底9bに向かうに従いすくい面5に対して遠ざかる傾斜面(テーパー面)としたため、切削時に受ける抵抗に対して十分な強度が確保される。ただし、予備溝9を含む刃部1Aの強度を確保するために他の構造が採用されても勿論よい。
上記のような刃部1Aは、繰り返しの使用により、切刃4が次第に摩耗して切削能力が低下するため、再研削を行う必要がある。そこで、まず、図3aに示すような摩耗した切刃4に対して、図3b,cに示すように、すくい面5を、最も切刃4に近い予備溝9の予備すくい面部Yに連続する位置まで再研削する。このとき、研削量の目安として該予備溝9を視認しつつ作業すると、研削作業が容易となって作業効率が向上する。そして、該予備切刃Xが新たなすくい面5に露出したところで、該予備切刃Xを新しい切刃4とする。新しい切刃4は、予めコーティング層10が予備切刃Xの状態で形成されているため、該予備切刃Xに対して別途コーティング処理を行わなくても新品同様の切削能力を発揮することができる。
なお、再研削の際には、すくい面5の角度が常時維持されるように研削することが望ましい。ここで、上述のように、予備溝9の溝底9bが溝深さ方向に凸の丸底形状であるため、上記のような再研削作業にあって、該予備溝9の溝底9bにおいてすくい面5の位置が、該溝底9bで好適に吸収されるため、精度が緩和される利点がある。また、このような形状とすることにより該溝底9bに応力が集中しにくくなるため、該溝底9bに割れ等が生じることを防止できる。
これ以降、切刃4が摩耗した場合は、同様な再研削工程を順次行うことで刃部1Aが再使用可能となる。
ところで、図1に示すように、複数の刃部1Aを備える切削工具30を使用する際には、予備溝9の位置に従って画一的に各刃部1Aの再研削作業を行うことができるため、異なる位置の刃部1A同士が均一な切刃状態となる利点がある。
〔実施例2〕
図4に従って、ホブで構成される切削工具31の刃部1Bを説明する。なお、実施例1と共通する事項については、同じ符号を付すと共に説明を簡略又は省略することとする。
図4a,bに示すように、前記切削工具31は、歯車の歯切りに用いられるものであり、ホブ本体から多数の刃部1Bが外側に向けて突き出されている。該刃部1Bは、切削工具31の回転方向前側にすくい面5が形成され、該すくい面5に連続するように逃げ面6が形成されている。そして、これらの交線により、切刃4が形成されている。
また、図4c,dに示すように前記刃部1Bの逃げ面6には、前記切刃4の刃線方向に沿って予備溝9が多数形成されている。該予備溝9には、実施例1と同様に、予備切刃Xと、予備すくい面部Yとが形成されている。
そして、切刃4が摩耗して再研削が必要となった際には、すくい面5を予備すくい面部Yに連続する位置まで再研削することによって予備切刃Xを新しい切刃4とする。
〔実施例3〕
図5に従って、ブローチで構成される切削工具32の刃部1Cを説明する。なお、実施例1,2と共通する事項については、同じ符号を付すと共に説明を簡略又は省略することとする。
図5aに示すように、前記切削工具32は、穴開けに用いられるものであり、ブローチ本体から異なる寸法形状の刃部1Cが突出状に形成されている。該刃部1Cは、切削工具32の軸線方向に沿った進行方向側にすくい面5が形成され、該すくい面5に連続するように逃げ面6が形成されている。そして、これらの交線により、切刃4が形成されている。
また、図5b,cに示すように、前記刃部1Cの逃げ面6には、前記切刃4の刃線方向に沿って予備溝9が多数形成されている。該予備溝9には、実施例1,2と同様に、予備切刃Xと、予備すくい面部Yとが形成されている。
そして、切刃4が摩耗して再研削が必要となった際には、すくい面5を予備すくい面部Yに連続する位置まで再研削することによって予備切刃Xを新しい切刃4とする。
本発明は上記実施例に記載された構成のみ限定されるものではなく、すくい面5を再研削することによって切刃4の切削性能を向上させることができる切削工具であれば、バイト、タップ、リーマ、ピニオンカッター、フォームドカッター、又はインサートチップ等にも適用可能である。
また、切削工具30〜32は、鋼やハイス(高速度鋼)、超硬合金、セラミックス等適宜用途に適した材料が適用される。
また、前記逃げ面6に形成された予備溝9に着色するなどして、再研削作業時の視認性を向上させたり、切刃4(予備切刃Xを含む)におけるコーティング層10の有無の確認を容易にしたり、予備溝9の残数の目安となるようにしてもよい。
1A〜1C 刃部
4 切刃
5 すくい面
6 逃げ面
9 予備溝
9b 溝底
10 コーティング層
30〜32 切削工具
X 予備切刃
Y 予備すくい面部

Claims (6)

  1. すくい面と逃げ面とが交わるその交線を切刃とした刃部を有し、該刃部のすくい面が再研削されることで該切刃が繰り返し使用可能となる切削工具において、
    前記逃げ面に、前記切刃の刃線方向に沿って凹成された予備溝が設けられ、さらに該予備溝の両側の溝縁部のうち、前記すくい面に対して遠い位置の溝縁部が、該切刃と同形状に成形されることで溝縁が予備切刃とされ、かつ該予備切刃に連成した該予備溝の内周面が予備すくい面部とされ、
    すくい面が該予備すくい面部と連続する位置まで再研削されることによって前記予備切刃が新しい切刃とされる
    ことを特徴とする切削工具。
  2. 刃部が金属材料からなり、該刃部の切刃と予備切刃との表面に、コーティング層が連続状に形成されている請求項1に記載の切削工具。
  3. 予備溝が、刃部の再研削方向に複数列設されている請求項1又は請求項2に記載の切削工具。
  4. 予備溝の溝底を基準にして、予備すくい面部が形成された内周面に対向する内周面が、溝底に向かうに従いすくい面に対して遠ざかる傾斜面で構成されている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の切削工具。
  5. 予備溝の溝底形状が、溝深さ方向に凸の丸底形状である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の切削工具。
  6. すくい面と逃げ面とが交わるその交線を切刃とした刃部を有する切削工具に対して、該刃部のすくい面を再研削して該切刃を繰り返し使用可能とする切削工具の再研削方法において、
    前記逃げ面に、前記切刃の刃線方向に沿って予備溝を凹成し、該予備溝の両側の溝縁部のうち、前記すくい面に対して遠い位置の溝縁部を、前記切刃と同形状として溝縁を予備切刃とし、かつ該予備切刃と連成する該予備溝の内周面を予備すくい面部とし、すくい面を該予備すくい面部と連続する位置まで再研削することによって該予備切刃を新しい切刃とすることを特徴とする切削工具の再研削方法。
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