JP2014120616A - 有機光電変換素子、それを備えた積層型有機撮像素子及び積層型有機太陽電池、並びに有機光電変換素子の製造方法 - Google Patents

有機光電変換素子、それを備えた積層型有機撮像素子及び積層型有機太陽電池、並びに有機光電変換素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】暗電流の抑制及び開放電圧値の向上が可能になった有機光電変換素子、積層型有機撮像素子及び積層型有機太陽電池、並びに有機光電変換素子の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】第1透明導電材料からなる正孔取り出し電極1と、ドナー分子とアクセプター分子とを含有する有機光電変換層3と、電子取り出し電極2とが順次積層された有機光電変換素子10であって、前記電子取り出し電極2は、IGZO層2aとIGZOよりも仕事関数が大きい第2透明導電材料からなる層2bとを含み、前記IGZO層2aの少なくとも一部が前記有機光電変換層3に接触していることを特徴とする。
【選択図】図1A

Description

本発明は、有機光電変換素子、それを備えた積層型有機撮像素子及び積層型有機太陽電池、並びに有機光電変換素子の製造方法に関する。
近年、有機エレクトロニクスの発展がめざましい。有機エレクトロニクス用のデバイスとしては、有機EL素子に用いられる発光素子や、有機太陽電池や光センサーに用いられる有機光電変換素子、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)などがある。
特に、有機材料は一般的に吸光度が大きいものが多いことや特定の波長の光だけを吸収する色選択性を有するという特徴を持つことから、有機太陽電池や有機光電変換素子の研究が活発におこなわれている。
上記有機材料の特徴をいかして、異種の有機光電変換材料を光の進行方向に積層する、いわゆるタンデム構造(積層型)の有機太陽電池や有機撮像素子がデバイスの高性能化の手法として注目されている。
図7に、従来の有機光電変換素子の断面模式図を示す。
有機光電変換素子のタンデム化の際には、図7に示すように、入射した光Fのうち一部の波長域が第一の有機光電変換層13に吸収され電荷に変換される、次に第一の有機光電変換層13を透過した波長域の光が第二の有機光電変換層13´に吸収され電荷に変換される。また、各有機光電変換層13、13´は変換した電荷を捕集するための電子取り出し電極12、12´及び正孔取り出し電極11、11´で挟まれた構造となっている。
一般的にタンデム型(積層型)太陽電池として使用する場合には各素子を直列接続することが好ましいため、図1に示したような中間層14を設けずに、直接または適当な中間層を介して第一の正孔取り出し電極11と第二の電子取り出し電極12´を電気的に接続する構造をとることが多い。このようなタンデム型有機薄膜太陽電池の例として、特許文献1が挙げられる。
また、有機光電変換素子を積層し、撮像素子の高性能化を図った例が、特許文献2に記載されている。
上記のように有機光電変換素子を積層した構造においては、第一の光電変換素子を透過した光が第二の光電変換素子に入射するため、有機光電変換層だけではなく各電極も光を透過することが必要である。
有機光電変換素子における透明な電極として知られているものには、ITOがある。一方で、電極の材料物性が素子の性能に大きな影響を及ぼすことが知られている。有機太陽電池においては開放電圧が、そして撮像素子においては暗電流の大きさが、電極材料の仕事関数の大きさにより変化することが知られている。
特開2006−279011号公報 特開2003−234460号公報
有機光電変換素子における透明な電極として知られているものには、ITOがある。一方で、電極の材料物性が素子の性能に大きな影響を及ぼすことが知られている。特に、有機太陽電池においては開放電圧が、そして撮像素子においては暗電流の大きさが、電極材料の仕事関数の大きさにより変化することが知られている。
しかし、本発明者らが検討した結果、電子取り出し電極及び正孔取り出し電極ともにITOを用いた場合、撮像素子においては暗電流の低減が不十分であり、太陽電池においては十分な開放電圧が得られないことが分かった。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、暗電流の抑制及び開放電圧値の向上が可能になった有機光電変換素子、積層型有機撮像素子及び積層型有機太陽電池、並びに有機光電変換素子の製造方法を提供することを目的とする。
ここで、撮像素子における「暗電流」とは、入射光がない状態で流れてしまう電流のことであり、入射光がない状態で、電子取り出し電極から有機光電変換層に正孔が注入されてしまうと共に、正孔取り出し電極から有機光電変換層に電子が注入されてしまうために生じると考えられている。
有機光電変換素子を備えた撮像素子を実用化するためには、暗電流を十分に低減することが重要である。また、有機光電変換素子を備えた有機太陽電池においては、「開放電圧」を向上させることがエネルギー変換効率を高めるために重要である。
本発明者らは、「暗電流」の原因のうち、特に電子取り出し電極から有機光電変換層への正孔注入を抑制する観点から、電子取り出し電極の有機光電変換層に接触する部分、つまり電子取り出し電極と有機光電変換層との界面において正孔が注入されにくい材料を幅広く検討した。特に、有機光電変換素子を複数積層して用いる場合を考慮して、透明材料のうちから正孔注入がしにくい材料を幅広く検討した。そして、代表的な透明電極材料であるITOよりも0.4eVも仕事関数が低いIGZOに到達した。代表的な透明電極材料であるITOが金属的な電気特性を有するのに対して、IGZOは半導体的な電気特性を有することから薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)の半導体層として用いられているほどであるが、本発明者らは、このIGZOを敢えて電極材料として適用するために鋭意検討を行い、本発明を完成させた。
本発明は、従来の電子取り出し電極よりも有機光電変換層への正孔の注入がされにくく、その結果、暗電流の抑制が可能になった電子取り出し電極を備えた有機光電変換素子を有する撮像素子を提供する。より具体的には、本発明の電子取り出し電極は有機光電変換層に接触する部分に、代表的な透明導電材料であるITOの仕事関数(4.9eV)よりも仕事関数が小さいIGZO(4.5eV)の層を備えることにより、電子取り出し電極から有機光電変換層への正孔の注入が抑制される。ここで、IGZOはITOよりも高抵抗であるため、IGZO層にITO等の低抵抗の透明導電材料の層を積層して「二層構造」とすることにより、電子取り出し電極の抵抗の低下を図っている。なお、「二層構造」とは、二層が平行に積層された構造だけでなく、IGZO層を被覆するように積層する構造(IGZO層だけでなく、ITO等の低抵抗の透明導電材料の層も有機光電変換層に接触する構造)も含む。
また、本発明の有機光電変換素子はそのまま、有機太陽電池の光電変換素子として用いることができる。ここで、有機太陽電池にける「開放電圧」は、有機光電変換材料のHOMO、LUMOと電子取り出し電極と正孔取り出し電極の仕事関数の大きさが影響すると考えられている。
本発明は、従来の透明な電子取り出し電極に用いられるITOよりも仕事関数が小さい電子取り出し電極を備えた有機光電変換素子を有する有機太陽電池を提供する。このため、本発明の有機太陽電池は大きな「開放電圧」を有する。
以上のような本発明者らの検討結果及び知見に基づきなされた本発明の要旨は以下の通りである。
[1]上記課題を解決するため、本発明による有機光電変換素子は、第1透明導電材料からなる正孔取り出し電極と、ドナー分子とアクセプター分子とを含有する有機光電変換層と、電子取り出し電極とが順次積層された有機光電変換素子であって、前記電子取り出し電極は、IGZO層とIGZOよりも仕事関数が大きい第2透明導電材料からなる層とを含み、前記IGZO層の少なくとも一部が前記有機光電変換層に接触していることを特徴とする。
[2]上記[1]に記載の有機光電変換素子において、前記第1透明導電材料がITO、IZO、AZO、グラフェンの群から選択されたものであることを特徴とする。
[3]上記[1]または[2]に記載の有機光電変換素子において、前記第2透明導電材料がITO、IZO、AZO、グラフェンの群から選択されたものであることを特徴とする。
[4]上記[1]〜[3]の何れか一項に記載の有機光電変換素子において、前記IGZO層の厚さが、1〜100nmであることを特徴とする。
[5]上記課題を解決するため、本発明による積層型撮像素子は、上記[1]〜[3]の何れか一項に記載の有機光電変換素子を備えることを特徴とする。(本発明による積層型撮像素子は、上記[1]〜[3]の何れか一項に記載の有機光電変換素子を少なくとも一含めばよい。積層型撮像素子を構成する複数の有機光電変換素子の全てが上記[1]〜[3]の何れか一項に記載の有機光電変換素子から構成されていてもよい。)
[6]上記課題を解決するため、本発明による積層型太陽電池は、上記[1]〜[3]の何れか一項に記載の有機光電変換素子を備えることを特徴とする。(本発明による積層型太陽電池は、上記[1]〜[3]の何れか一項に記載の有機光電変換素子を少なくとも一含めばよい。積層型太陽電池を構成する複数の有機光電変換素子の全てが上記[1]〜[3]の何れか一項に記載の有機光電変換素子から構成されていてもよい。)
[7]上記課題を解決するため、本発明による有機光電変換素子の製造方法は、基板上に、第1透明導電材料からなる正孔取り出し電極及びドナー分子とアクセプター分子とを含有する有機光電変換層を順に成膜した後、前記有機光電変換層上にIGZOと、IGZOよりも仕事関数が大きい第2透明導電材料をこの順にスパッタ成膜する工程を有し、前記スパッタ成膜を、前記IGZOの成膜時は酸素を含まない不活性ガス雰囲気中において実施し、前記第2透明導電材料の成膜時は酸素を含有する不活性ガス雰囲気中において実施することを特徴とする。
[8]上記[7]に記載の有機光電変換素子の製造方法において、前記第1透明導電材料がITO、IZO、AZO、グラフェンの群から選択されたものであることを特徴とする。
[9]上記[7]または[8]に記載の有機光電変換素子の製造方法において、前記第2透明導電材料がITO、IZO、AZO、グラフェンの群から選択されたものであることを特徴とする。
本発明により、暗電流の抑制及び開放電圧値の向上が可能になった有機光電変換素子、積層型有機撮像素子及び積層型有機太陽電池、並びに有機光電変換素子の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態である有機光電変換素子を示した断面模式図である。 本発明の実施形態の変形例である有機光電変換素子を示した断面模式図である。 本実施形態である有機光電変換素子を用いた積層型撮像素子を示した断面模式図である。 本実施形態である有機光電変換素子の各層の材料のエネルギーダイヤグラムである。 本実施形態である有機光電変換素子を用いた積層型太陽電池を示した断面模式図である。 本実施例の有機光電変換素子の電流−電圧特性(暗電流特性)を示すグラフである。 本実施例の有機光電変換素子の光応答性を比較したグラフである。 従来の有機光電変換素子を示した断面模式図である。
以下、本発明の有機光電変換素子、積層型有機撮像素子及び積層型有機太陽電池、並びに有機光電変換素子の製造方法の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴を分かりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
<有機光電変換素子>
まず、本実施形態に係る有機光電変換素子について図1Aを参照しながら説明する。なお、図1Aは、本実施形態である有機光電変換素子の断面模式図である。
本実施形態に係る有機光電変換素子10は、第1透明導電材料からなる正孔取り出し電極1と、ドナー分子とアクセプター分子とを含有する有機光電変換層3と、電子取り出し電極2とが順次積層された有機光電変換素子であって、電子取り出し電極2は、IGZO層2aとIGZOよりも仕事関数が大きい第2透明導電材料からなる層2bとを含み、IGZO層2aの少なくとも一部が有機光電変換層3に接触していることを特徴とする。
(電子取り出し電極)
図1に示すように、電子取り出し電極2は、IGZO層2aと第2透明導電材料からなる層2bとを含み、IGZO層2aの少なくとも一部が有機光電変換層3に接触している構造である。
IGZOは半導体的な性質を有しており、透明電極材料として一般的に用いられているITOの仕事関数(4.9eV)よりも仕事関数が4.5eVと小さい。そのため、入射光がない状態における、IGZO層2aから有機光電変換層3への正孔の注入を抑制することができる。つまり、IGZO層2aの少なくとも一部を有機光電変換層3に接触させた構造とすることで、IGZO層2aと有機光電変換層3との界面において、入射光がない状態における電子の移動(取り出し)が抑制される。その結果、例えば有機撮像素子に電子取り出し電極2を採用した場合、有機光電変換素子に電圧を印加すると、電子取り出し電極2から有機光電変換層3への正孔の注入量が減少し、暗電流が低減される。
電子取り出し電極2は、図1Aに示すように、IGZO層2aにIGZOよりも仕事関数が大きい第2透明導電材料からなる層2bを積層する構造である。
上述したようにIGZOはITOよりも高抵抗である。そのため、本実施形態の電子取り出し電極2の構造は、IGZO層2aに、IGZOよりも低抵抗かつ仕事関数の大きい第2透明導電材料の層2bを積層する構造とする。
ここで、電子取り出し電極2をIGZOだけで構成すると、例えば有機撮像素子の場合であると、素子自体の大きさが極めて小さければ、電子取り出し電極2のうち信号を取り出す部分(コンタクト部分)と光電変換する部分との距離が近くなるので、電子取り出し電極2の抵抗の影響はある程度無視できると考えることができる。しかし、実機レベルの素子の大きさを考慮すると、コンタクト部分は、光電変換する部分からある程度の距離を引き出してこないとデバイス構造を作製できない。このような場合、電子取り出し電極2をIGZOだけで構成すると抵抗が非常に高くなってしまい、電流が流れにくくなってしまう。
そこで、本実施形態の変形例として、低抵抗の第2透明導電材料の層2bと有機光電変換層3の接触面積が、IGZO層2aと有機光電変換層3の接触面積に比べ十分に小さい場合、図1Bに示すように、有機光電変換層3から必要な電荷を取り出したい所望の領域上だけにIGZO層2aを形成してもよい。つまり、IGZO層2aと第2透明導電材料の層2bの二層を平行に積層する構造(図1A)だけでなく、IGZO層2aのみならず、低抵抗の第2透明導電材料の層2bも有機光電変換層3に接触する構造としてもよい。
なお、電子取り出し電極2´と有機光電変換層3との界面のうち、低抵抗の第2透明導電材料の層2bと有機光電変換層3の接触面積の占める割合が大きくなると、第2透明導電材料の層2bから有機光電変換層3への暗電流量が多くなり、本発明の効果を十分に享受できないおそれがある。そのため、図2に示す構造を採用する場合は、上述したように、抵抗の第2透明導電材料の層2bと有機光電変換層3の接触面積が、IGZO層2aと有機光電変換層3の接触面積に比べ十分に小さい場合において、本発明の効果を十分に享受することができる。
第2透明導電材料の層2bの材料はIGZOよりも低抵抗で、かつ仕事関数の大きい材料を用いることができ、例えば、ITO、IZO、AZO、グラフェンなどを用いることができる。
IGZO層2aの厚さは、1〜100nmの範囲内とすることができる。
IGZO層2aが厚すぎると抵抗が大きくなる分暗電流はより低減できるが、厚み方向の抵抗が大きくなり、信号を取り出しにくくなる。そのため、IGZO層2aの厚さは100nm以下とすることが好ましい。一方、IGZO層2aが薄すぎると成膜条件が非常に過酷になり被覆状態が不均一になるおそれがある。そのためIGZO層2aの厚さは1nm以上とすることが好ましい。
(有機光電変換層)
本実施形態に係る有機光電変換層3は、ドナー分子(ドナー性有機化合物)とアクセプター分子(アクセプター性有機化合物)とが混合してなる。
ドナー性有機化合物は正孔輸送性有機化合物に代表され、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいい、一方アクセプター性有機化合物は、電子輸送性有機化合物に代表され、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物は電子供与性のある有機化合物であればいずれの有機化合物でも用いてよく、またアクセプター性有機化合物は電子受容性のある有機化合物であればいずれの有機化合物を用いてもよい。
しかし、本実施形態においては、IGZO層2aから有機光電変換層3への正孔注入を抑制する観点から、各層の仕事関数が非常に重要である。そのため、正孔の注入が抑制されるよう、有機光電変換層3の材料を選択する上では、IGZO層2aの仕事関数と有機光電変換層3の仕事関数との整合性を図ることが重要である。
有機光電変換層3の材料は特に限定せず、いずれの有機材料を用いることが可能であるが、例えば、フタロシアニン色素、クマリン色素、キナクリドン色素、ペリレン色素、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン、フラーレンおよびこれらの誘導体などが挙げられる。特に、ドナー性有機化合物としてはフタロシアニン色素、クマリン色素、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリビニレンフェニレンなどを用いることができ、アクセプター性有機化合物としてはキナクリドン色素、ペリレン色素、フラーレンなどを用いることができる。
なお、上述したような材料は、撮像素子における光電変換素子に限らず、太陽電池における光電変換素子へも適用可能である。
また本実施形態に係る有機光電変換層3は、ドナー分子とアクセプター分子との互いの接触面積を高めるため、両分子を混合し加熱処理を施して微結晶の混在状態としたバルクへテロ型の光電変換層である。そのため、層状の光電変換層と比べて素子性能が高く、有機デバイスに用いた場合、高性能・高感度のデバイスを提供することが可能となる。
(正孔取り出し電極)
本実施形態の第1透明導電材料からなる正孔取り出し電極1の材料としては特に限定しないが、ITOもしくはITOと同程度の仕事関数を有する材料または電子取り出し電極よりも仕事関数の大きい材料を用いることができる。
次に、本実施形態に係る上記有機光電変換素子を用いた積層型撮像素子ならびに積層型太陽電池について図面を参照しながら説明する。
<積層型撮像素子>
図2は、本実施形態の有機光電変換素子10を用いた積層型撮像素子100の断面模式図であり、模式的に積層型撮像素子の1画素の断面を表したものである。なお、図2では、積層型撮像素子100を構成する全ての電子取り出し電極として、上述したような本実施形態に係る電子取り出し電極2を適用しているが、何れか1つの電子取り出し電極が本実施形態に係る電子取り出し電極2構造であれば本発明の効果を享受できる。
積層型撮像素子100は、上述したような有機光電変換素子10を、中間層4を介して複数積層されてなり、各光電変換素子(画素)内には、光Fの入射により発生した光信号を外部に読み出したり、また光信号を増幅させたりするためのトランジスタTおよびその配線(以下読み出し回路ともいう)が備えられている。
このトランジスタTに用いられる半導体基板21の材料としては、単結晶Si、多結晶Si、アモルファスSiなどのシリコン系材料や、IGZOやZnOなどの酸化物半導体、ペンタセンなどの有機半導体が挙げられる。なお、図2に示したような本実施形態では、トランジスタとして、ゲート電極22がトランジスタ内のうち最下部に位置するボトムゲート型を例に挙げて説明するが、トランジスタの構造自体は特に限定しない。
図2に示すように、ドレイン電極23は正孔取り出し電極1に、ソース電極25は信号出力線24にそれぞれ接続されている。電子取り出し電極2には信号出力線24よりも高い電圧が印加され、これにより有機光電変換層3内に電界が形成される。本実施形態においては、正孔取り出し電極1の電位を0Vに固定し、電子取り出し電極2に正の電圧が印加されることにより電界が形成される。
図2に示すように、積層型撮像素子100に対し光Fが入射されると、第一の有機光電変換層3で所定の光が吸収され、吸収された光の量に応じて電子−正孔対が形成される。そしてこの電子−正孔対が第一の有機光電変換層3内に印加された電界によって電子と正孔に分離され、電子は電子取り出し電極2に、正孔は正孔取り出し電極1に移動し、一定の時間蓄積され、トランジスタTを通して外部に信号として出力される。
また、第一の有機光電変換層3を透過した光は第二の有機光電変換層3´へ入射され、第一の有機光電変換層3で吸収されなかった光が吸収され、前述の光電変換メカニズムと同様にトランジスタT´を通して外部に信号として出力される。
ここで、撮像素子における「暗電流(ノイズ)」とは、上述したように、入射光がない状態で流れてしまう電流のことである。図2に示す構造においては、入射光Fがない状態で、電子取り出し電極2から有機光電変換層3に正孔が注入されてしまうと共に、正孔取り出し電極1から有機光電変換層3に電子が注入されてしまうために「暗電流」が発生すると考えられる。
有機光電変換素子を備えた積層撮像素子の感度を高めるためには、暗電流(ノイズ)を十分に低減することが重要である。
これに対して本実施形態では、積層型撮像素子100の電子取り出し電極2を構成する材料として、上述したように仕事関数がITOよりも小さいIGZOを用いる。
以下に、本実施形態に係る積層型撮像素子100において、各電極材料の仕事関数と暗電流の関係及び暗電流の低減メカニズムについて説明する。
なお以下の説明では、正孔取り出し電極1としてITOを、有機光電変換層3のドナー性有機化合物としてPoly−3hexylthiophene(P3HT)を、アクセプター性有機化合物としてフラーレン誘導体であるフェニルC61酪酸メチルエステル(PCBM)を例に挙げ説明する。
図3に、有機光電変換素子の各層の材料のエネルギーダイヤグラムを示す。
有機光電変換層3に入射した光に起因しないで、電子取り出し電極2から正孔が、そして正孔取り出し電極1から電子が有機光電変換層3に注入されると、この電荷の移動が暗電流となる。電子取り出し電極2の仕事関数とアクセプター性有機化合物のHOMOのエネルギー準位との差が小さいほど、アクセプター性有機化合物のHOMOにいる電子が電子取り出し電極2に移動しやすい(すなわち、電子取り出し電極から有機光電変換層3に正孔が注入されやすい)。また、正孔取り出し電極1の仕事関数とドナー性有機化合物のLUMOのエネルギー準位との差が小さいほど、正孔取り出し電極1からドナー性有機化合物のLUMOに電子が移動しやすい(すなわち、正孔取り出し電極から有機光電変換層3に電子が注入されやすい)。言い換えると、電子取り出し電極2を構成する材料であるIGZOの仕事関数と、有機光電変換層3のうちアクセプター性有機化合物であるPCBMのHOMOのエネルギー準位との差が大きいほど、また、正孔取り出し電極1を構成する材料であるITOの仕事関数と、有機光電変換層3のうちドナー性有機化合物であるP3HTのLUMOのエネルギー準位との差が大きいほど、有機光電変換層3に注入される電荷が減るので暗電流が抑制できる。
本実施形態の電子取り出し電極2を構成するIGZO層2aは図3に示したとおり、ITOの仕事関数(4.9eV)よりも仕事関数が4.5eVと小さい。このようなIGZO層2aを有機光電変換層3に接触する部分に備えることにより、IGZO層2aと有機光電変換層3との界面において有機光電変換層3への正孔の注入が抑制され暗電流を低減できる。
また、本実施形態の積層型撮像素子100は、複数の有機光電変換素子と読み出し回路を組み合わせ、入射光の進行方向に順次積層することにより、光の進行方向での色分離が可能となり画素の密度や光の利用効率の高い高画質、高感度な撮像デバイスが実現できる。
従って、図2において、第一の光電変換層10及び第二の光電変換層10´はその色選択性から有機膜であることが望ましく、また、電子取り出し電極としてIGZO層2aを用いることで、上述したような暗電流(ノイズ)抑制によるS/N比(S:光信号、N:暗電流)の向上が実現でき、撮影画質を向上させることができる。
<積層型太陽電池>
図4は、本実施形態の有機光電変換素子10を用いた積層型太陽電池200の断面模式図である。なお、図4では、積層型太陽電池200を構成する全ての電子取り出し電極として、上述したような本実施形態に係る電子取り出し電極2を適用しているが、何れか1つの電子取り出し電極が本実施形態に係る電子取り出し電極2構造であれば本発明の効果を享受できる。
積層型太陽電池200は、第一の有機光電変換素子10と第二の有機光電変換素子10´を中間層4を介して積層して、直列構造になっている。なお電子取り出し電極2と中間層4の材料は共通であってよく、上述したIGZOを用いることで、従来のITOに比べ高い電圧を発生することができる。また、第二の有機光電変換素子10´は第一の有機光電変換素子10を透過した光を吸収し、電力に変換する。第二の有機光電変換層3´´には有機材料のほかに無機材料を用いることができる。
第二の有機光電変換層3´´に用いることができる無機材料としては、Si、GaAs、InGaAs、InGaP、InP、CIGS(Cu、In、Ga、SeまたはS)、CdS、CdSe、CdTe、SiGe、Ge、SiCがあげられる。
第一の有機光電変換素子10は、第二の有機光電変換素子10´よりも短波長側に光吸収のピークを持つ光電変換材料を用いることが望ましい。このように、吸収波長域の異なる素子を重ねることによって積層型太陽電池200の光吸波長域を調整することが可能となり、太陽光をより効率よく電力に変換することができる。
次に、本実施形態の積層型太陽電池200の発電機構について説明する。なお、本実施形態においても、上記積層型撮像素子100と同様に、電子取り出し電極2として、IGZO層2aを含有する構造、正孔取り出し電極1としてITOを、有機光電変換層3のドナー性有機化合物としてP3HTを、アクセプター性有機化合物としてPCBMを用いた場合を例に挙げ説明する。
積層型太陽電池200に対し太陽光Fが入射されると、ドナー性有機化合物であるP3HTに吸収され、電子とホールの対(励起子)が形成される。この励起子がP3HTとPCBM界面に到達すると、P3HTからPCBMに電子が移動して電荷分離状態となる。すなわち、P3HTへはホールが、PCBMへは電子が輸送される。そして、ホールがP3HTを経由して正極である正孔取り出し電極1へ、電子がPCBMを経由して負極である電子取り出し電極2に移動することにより、外部負荷に電流が流れる。これが太陽電池としての発電である。
本実施形態の積層型太陽電池200は、上記積層型撮像素子100と同様に、ITOよりも仕事関数が小さいIGZOを含む電子取り出し電極を用いることによって、有機太陽電池における開放電圧を向上させうるものである。
<有機光電変換素子の製造方法>
次に、図1Aに示した有機光電変換素子10の製造方法について説明する。
本実施形態に係る有機光電変換素子10の製造方法は、基板5上に、第1透明導電材料からなる正孔取り出し電極1及びドナー分子とアクセプター分子とを含有する有機光電変換層3を順に成膜した後、有機光電変換層3上にIGZO層2aと、IGZOよりも仕事関数が大きい第2透明導電材料をこの順にスパッタ成膜する工程を有し、前記スパッタ成膜を、IGZO層2aの成膜時は酸素を含まない不活性ガス雰囲気中において実施し、前記第2透明導電材料の成膜時は酸素を含有する不活性ガス雰囲気中において実施することを特徴とする。
まず、基板5上に第1透明導電材料からなる正孔取り出し電極1を成膜する。
第1透明導電材料としては特に限定しないが、ITOもしくはITOと同程度の仕事関数を有する材料または電子取り出し電極よりも仕事関数の大きい材料を用いることができる。正孔取り出し電極1の膜厚については用いる材料により適宜選択可能であるが、導電性の観点からは厚いほうが望ましく、一方微細加工および透過率の観点からは薄いほうが望ましい、これらのことから膜厚は例えば10〜500nmとすることができる。また、成膜方法は用いる材料によって種々の方法があるが、例えば第1透明導電材料としてITOを用いた場合は、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法等の方法で成膜することができる。
なお、基板5としては、特に限定せず有機光電変換素子10を搭載するデバイスにより適宜選択可能である。具体的には、ガラス基板、プラスチック基板、シリコン基板等を例示できる。
次に、正孔取り出し電極1上に有機光電変換層3を成膜する。
本実施形態に係る有機光電変換層3は、ドナー分子とアクセプター分子との互いの接触面積を高めるため、両分子を混合し加熱処理を施して微結晶の混在状態としたバルクへテロ型の光電変換層である。
その成膜方法としては、例えばまず、ドナー分子を有する有機化合物とアクセプター分子を有する有機化合物を所望の割合で混合して溶媒に溶解させた後に、この混合溶液をスピンコートにて正孔取り出し電極1上に塗布する。続いて、加熱処理を施すことにより上述したようなバルクへテロ型の有機光電変換層3を成膜することができる。
なお、加熱処理の方法としては、例えば、外気が遮断され窒素置換された密閉容器(グローブボックス)内で、適当な加熱手段(例えばホットプレート等)で加熱することができる。加熱温度は、100〜200℃、加熱時間は1分〜3時間とすることができる。有機光電変換層3の膜厚については用いる材料により適宜選択可能であるが、光吸収量および光電変換層の内部抵抗の観点から、10〜300nmとすることができる。
なお、正孔取り出し電極1表面状態を補い各電極間のショートを防ぐ目的として、また有機光電変換層3から正孔取り出し電極1への正孔の移動を容易にすることを目的として、正孔取り出し電極1と有機光電変換層3の間に保護膜(不図示)等を適宜設けても良い。その場合は、層間保護膜としてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸混合液(PEOT/PSS)の混合膜を用いることができる。
次に、有機光電変換層3上にIGZO層2aと、IGZOよりも仕事関数が大きい第2透明導電材料からなる層2bをこの順にスパッタ成膜する。
第2透明導電材料の層2bとしては、IGZOよりも低抵抗で、かつ仕事関数の大きい材料を用いることができ、例えば、ITO、IZO、AZO、グラフェンなどを用いることができる。
具体的には、スパッタ装置にて、まずIn−Ga−Zn−Oターゲットを用いて、有機光電変換層3上にIGZO層2aをスパッタ成膜し、続いて真空状態を維持したまま連続して第2透明導電材料のターゲットを用いて第2透明導電材料の層2bをスパッタ成膜する。なお成膜方法は、被覆性や膜質向上の観点からスパッタリング法が好ましいが、蒸着法でも可能である。
また、スパッタ成膜において、IGZO層2aの成膜時は酸素を含まない不活性ガス雰囲気中において実施し、前記第2透明導電材料の成膜時は酸素を含有する不活性ガス雰囲気中において実施することが好ましい。IGZO層2aの成膜時に酸素含有量が0%である雰囲気中で成膜することにより、層中の酸素欠陥が多くなり、金属的な性質が支配的になるとともに、半導体としてもキャリア濃度が高くなり、比抵抗を下げることができる。
なお、不活性ガスは特に限定せず、ArやKr、Xeガスを用いてよい。
IGZO層2aの成膜厚さは、1〜100nmの範囲内とすることができる。
IGZO層2aが厚すぎると抵抗が大きくなる分暗電流はより低減できるが、厚み方向の抵抗が大きくなり、信号を取り出しにくくなるため、IGZO層2aの厚さは100nm以下とすることが好ましい。一方、IGZO層2aが薄すぎると成膜条件が非常に過酷になり被覆状態が不均一になるおそれがあるため厚さは1nm以上とすることが好ましい。
ここで、図1Bに示すような有機光電変換素子10を製造する場合には、有機光電変換層3上にIGZO層2aをスパッタ成膜する際に、有機光電変換層3表面のうち、必要な電荷を取り出したい所望の領域以外の領域をマスクした上でIGZO層2aを成膜し、その後マスクを除去してから第2透明導電材料を成膜すればよい。
以上説明したような製造方法により、本実施形態に係る有機光電変換素子10を製造することができる。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例)
以下に示す製造方法により、実施例1の積層型撮像素子を作製し、評価した。
まず、ガラス基板上にITOからなる正孔取り出し電極をスパッタ法により成膜した。このときの膜厚は150nmとした。
次に、層間保護膜として、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸混合液(PEOT/PSS)をスピンコートにて塗布したのち、ガラス基板を180℃のホットプレート上で1時間加熱し膜中の水分を除去し、厚さ約20nmの膜を形成した。
次に、窒素置換されたグローブボックス内で有機光電変換層をスピンコートにて形成した。有機光電変換材料としては、Poly−3hexylthiophene(P3HT)を、フラーレン誘導体であるフェニルC61酪酸メチルエステル(PCBM)の混合膜を用いた。P3HTとPCBMを重量比で7:3の割合で混合し、クロロベンゼン溶媒に溶解させた。この時の溶液の濃度は約20mg/mLであった。この混合溶液をスピンコートにて塗布したのち、ホットプレートを用いて、グローブボックス内でガラス基板を160℃×20分間加熱し、約200nmの厚みの有機光電変換層を形成した。
その後、電子取り出し電極の形成を次の手順で行なった。
まず、スパッタ装置にてIn−Ga−Zn−Oターゲットを用いて、有機光電変換層上にIGZO層を15nmの膜厚でスパッタ成膜し、続いて、真空状態を維持したまま連続してITOターゲットを用いてITO層を35nmの膜厚でスパッタ成膜した。スパッタ時はKrガス中で行い、圧力は共に0.2Paであった。また、ガラス基板は特に加熱せず室温の状態で成膜し、スパッタターゲット−ガラス基板間の距離は200mmであった。また、IGZOのスパッタ時には酸素ガス0%、ITOのスパッタ時には酸素ガス6%を添加して成膜をおこなった。
以上のようにして作製した有機光電変換素子上に、保護膜としてジフェニルナフチルジアミン(α−NPD)を真空加熱蒸着にて150nmの厚みで成膜した。
(比較例)
電子取り出し電極を、ITO層のみの単層構造とした以外は、前述の実施例と同様な手順で作製し、有機光電変換素子を得た。
具体的には、電子取り出し電極としては、ITO層を50nmの膜厚でスパッタ成膜した。スパッタ時はKrガス中で行い、圧力は共に0.2Paであった。また、スパッタ時には酸素ガス65%を添加して成膜をおこなった。
以上のようにして作製した実施例及び比較例それぞれの有機光電変換素子について、大気中にて電流-電圧特性および光応答特性を測定した。
図5に、有機光電変換素子に光を照射しない場合の電流−電圧特性(暗電流特性)を示す。横軸の電圧は電子取り出し電極に印加した電圧を示している。
図5のように、電子取り出し電極としてITOのみを用いた素子(比較例)に比べ、IGZO層/ITO層を電子取り出し電極として用いた素子(実施例)は、約2桁暗電流が減少していることが分かる。
次に、有機光電変換素子の光応答性を比較した結果を図6に示す。光照射の条件としては、波長320〜800nm、パワー50μW/cmの単色光を電子取り出し電極側から入射させて測定をおこなった。
図6から分かるように、電子取り出し電極にIGZO/ITO積層膜(実施例)を用いても光応答のスペクトル形状は違いがみられなかった。つまり、実施例と比較例の間では、波長に対する応答の形状が変わらないことが分かった。このことからIGZO/ITO積層膜は、ITO電極のみの場合(比較例)と比べても遜色ない光透過特性を有していることが分かる。さらに、波長550nmの単色光を入射させて光電流値を測定し、光電流と暗電流の比(S/N比)を評価したところ、IGZO/ITO積層膜を用いた素子はITOのみの素子に比べてS/N比が約50倍向上していた。
これらのことから、本発明のIGZO/ITO積層膜を電子取り出し電極に用いた素子は、積層型撮像素子用の有機光電変換素子として有用である。
また、太陽電池として有機光電変換素子を用いる場合には、素子の開放電圧やエネルギー変換効率が重要となるためそれらの評価を行った。光照射の条件としては、波長550nm、パワー50μW/cmの単色光を電子取り出し電極側から入射させて測定をおこなった。その結果、開放電圧においては、ITOのみの素子(比較例)の0.03Vであったのに比べ、本実施例の素子は0.15Vと5倍となり、エネルギー変換効率も5倍向上していた。
これらの結果から、本発明の素子は太陽電池の用途においても有用であることが分かった。
1・・・正孔取り出し電極
2・・・電子取り出し電極
2a・・・IGZO層
2b・・・第2透明導電材料からなる層
3、3´・・・有機光電変換層(第一の有機光電変換層)
3´´・・・第二の有機光電変換層
4・・・中間層
5・・・基板
10・・・有機光電変換素子
21・・・半導体基板
22・・・ゲート電極
23・・・ドレイン電極
24・・・信号出力線
25・・・ソース電極
100・・・積層型撮像素子
200・・・積層型太陽電池
T、T´・・・トランジスタ
F・・・光、太陽光

Claims (9)

  1. 第1透明導電材料からなる正孔取り出し電極と、ドナー分子とアクセプター分子とを含有する有機光電変換層と、電子取り出し電極とが順次積層された有機光電変換素子であって、
    前記電子取り出し電極は、IGZO層とIGZOよりも仕事関数が大きい第2透明導電材料からなる層とを含み、前記IGZO層の少なくとも一部が前記有機光電変換層に接触していることを特徴とする有機光電変換素子。
  2. 前記第1透明導電材料がITO、IZO、AZO、グラフェンの群から選択されたものであることを特徴とする請求項1に記載の有機光電変換素子。
  3. 前記第2透明導電材料がITO、IZO、AZO、グラフェンの群から選択されたものであることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の有機光電変換素子。
  4. 前記IGZO層の厚さが、1〜100nmであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の有機光電変換素子。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の有機光電変換素子を備えることを特徴とする積層型有機撮像素子。
  6. 請求項1〜4の何れか一項に記載の有機光電変換素子を備えることを特徴とする積層型有機太陽電池。
  7. 基板上に、第1透明導電材料からなる正孔取り出し電極及びドナー分子とアクセプター分子とを含有する有機光電変換層を順に成膜した後、前記有機光電変換層上にIGZOと、IGZOよりも仕事関数が大きい第2透明導電材料をこの順にスパッタ成膜する工程を有し、
    前記スパッタ成膜を、前記IGZOの成膜時は酸素を含まない不活性ガス雰囲気中において実施し、前記第2透明導電材料の成膜時は酸素を含有する不活性ガス雰囲気中において実施することを特徴とする有機光電変換素子の製造方法。
  8. 前記第1透明導電材料がITO、IZO、AZO、グラフェンの群から選択されたものであることを特徴とする請求項7に記載の有機光電変換素子の製造方法。
  9. 前記第2透明導電材料がITO、IZO、AZO、グラフェンの群から選択されたものであることを特徴とする請求項7又は8のいずれかに記載の有機光電変換素子の製造方法。
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