実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略することがある。なお、図を構成する同じ要素のハッチングを異なる図面間で適宜省略または変更する場合もある。
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
また、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が−30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である光電変換素子100について、図面を参照して説明する。
図1(A)は、本発明の一態様に係る光電変換素子100の断面構造を模式的に示す図である。光電変換素子100は、第1の電極101と、第1の電極101上の光電変換層102と、光電変換層102上の第2の電極103と、を有する。また、本発明の一態様に係る光電変換素子100は、図1(B)に示す通り、光電変換層102と第2の電極103との間に、さらに正孔注入阻止層104を有していてもよい。
光電変換素子100は、基板上に形成されてもよく、基板に形成された、または、基板上に形成された駆動用のトランジスタの上に形成されてもよい。
以下に、本発明の一態様に係る光電変換素子の製造方法と、該光電変換素子の各要素について、図2を用いて説明する。
<第1の電極101>
第1の電極101は、例えば、金、窒化チタン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、チタンなどを用いることができる。また、例えば、アルミニウムをチタンで挟むような積層を用いることができる。第1の電極101は、スパッタ法やプラズマCVD法により形成することができる。なお、第1の電極101は、基板上に形成されてもよく、基板に形成された、または、基板上に形成された駆動用のトランジスタの上に形成されてもよい。なお、図2(A)において、第1の電極101の被形成層を便宜上、層120として図示する。層120は基板でもよく、基板に形成された、または、基板上に形成された駆動用トランジスタを含む層であってもよい。
また、図1(A)に示す第1の電極101は、光電変換層102の被覆性不良などに起因する第2の電極103との短絡を防止するため、平坦性が高いことが好ましい。なお、上述した第1の電極101の平坦性を向上させると光電変換層102との密着性が向上する場合もある。さらに、第1の電極101の平坦性が高いと、光電変換層102の上面の平坦性の向上にも寄与する。
平坦性が高い導電膜としては、例えば、酸化シリコンを1乃至20wt%含む酸化インジウム錫膜などが挙げられる。シリコンを含む酸化インジウム錫膜の平坦性が高いことは、原子間力顕微鏡を用いた測定によって確かめられている。350℃で1時間熱処理した酸化インジウム錫膜と同処理を施した酸化シリコン5wt%を含む、酸化インジウム錫膜のそれぞれについて、2μm×2μmの領域を原子間力顕微鏡で測定した結果、前者の最大高低差(P−V)は23.3nmであったが、後者は7.9nmであった。
酸化インジウム錫膜は、成膜時に非晶質であっても比較的低温で結晶化するため、結晶粒成長による表面荒れが生じやすい。一方、シリコンを含む酸化インジウム錫膜は、400℃超の熱処理を行ってもX線回折分析において結晶性が認められない。つまり、シリコンを有する酸化インジウム錫膜は、比較的高温の熱処理を行っても非晶質状態を維持する。したがって、シリコンを含む酸化インジウム錫膜は表面荒れが生じにくい。
<光電変換層102>
次に、光電変換層102について説明する。光電変換層102にはセレン系材料を用いることができる。セレン系材料を用いた光電変換素子は、可視光に対する内部量子効率が高い特性を有する。当該光電変換素子では、アバランシェ現象による電荷増倍効果を用いて、入射光により生成されたキャリアの増倍を行うことにより光電変換効率を高めることができる。
光電変換層102には結晶性を有するセレンを用いることができる。セレンは、単結晶セレンと、多結晶セレン、微結晶セレン、非晶質セレン(アモルファスセレン)などがある。このうち、単結晶セレン、多結晶セレン、微結晶セレンは結晶性を有するセレンに分類される。さらに、結晶性を有するセレンと非晶質セレンとが混合されたセレン層を形成して用いてもよい。結晶性を有するセレンの層は、一例として、非晶質セレン層を成膜後、熱処理することで得ることができる。なお、光電変換層102に結晶性を有するセレンの層を用いるとき、該層に含まれるセレンの結晶の粒径を画素ピッチより小さくすることで、画素ごとの特性ばらつきを低減させることができる。また、結晶性を有するセレンの層は、非晶質セレンの層よりも可視光に対する分光感度や光吸収係数が高い特性を有する。
また、光電変換層102は、銅、インジウム、セレンの化合物(CIS)を含む層であってもよい。または、銅、インジウム、ガリウム、セレンの化合物(CIGS)を含む層であってもよい。CISおよびCIGSでは、セレンの単層と同様にアバランシェ現象が利用できる光電変換素子を形成することができる。
例えば、結晶性を有するセレンを用いた光電変換層102を形成するにあたり、まず、第1の電極101上にメタルマスク102bを用いて、部分的に非晶質セレン102aを形成する(図2(B))。次に加熱装置内にて全体を加熱し、非晶質セレン102aを結晶化し種結晶106を形成する。ここで、第1の電極101上に部分的に非晶質セレン102aを形成した状態の上面図を図5(A)に示す。当該上面図は光電変換素子1つが占める領域を表している。また、非晶質セレン102aを結晶化し種結晶106を形成した状態の上面図を図5(B)に示す。
なお、本発明の一態様において、種結晶の形成方法はこれに限定されず、例えば、非晶質セレン膜をスパッタ法により第1の電極101上に形成し、ドライエッチングまたはウエットエッチングにより、非晶質セレン膜を所定の形状にパターニングし、これを結晶化して形成してもよい。また、例えば、非晶質セレン膜をスパッタ法により第1の電極101上に形成し、次に全体を加熱し該非晶質セレン膜を熱結晶化し、結晶化したセレン膜をドライエッチングまたはウエットエッチングにより、所定の形状にパターニングして種結晶を形成してもよい。なお、本発明の一態様において、種結晶の元となる非晶質セレン膜の厚さは、例えば200nm程度とすることができる。
次に、第1の電極101上、及び該種結晶の上に非晶質セレン層102cを形成する(図2(C))。非晶質セレン層102cは後述結晶化を経て、光電変換層102となる層である。そのため、非晶質セレン層102cの厚さは予定されている光電変換層102の厚さと同程度の厚さとすることができる。例えば、本発明の一態様において、非晶質セレン層102cの厚さは、500nm程度とすることができる。
次に、全体をマッフル炉に入れ、所定の時間加熱処理を行い、非晶質セレン層102cを結晶化する(図2(D))。なお、本発明の一態様において、加熱方法はこれに限定されない。例えばホットプレート上に全体を載置して加熱し非晶質セレン層を結晶化することもできる。
非晶質セレン層102cの上述の種結晶に接する部分においては、それ以外の部分よりも結晶となりやすいため、結晶化は当該部分から生じ、しかも、種結晶の結晶性を反映した結晶となる。要するに、種結晶から次々と結晶成長するため、比較的大きい結晶粒を有する均一な光電変換層102とすることができる。
さらに、種結晶を基板に平行な面内における光電変換素子100の中心(第1の電極101の中心を含む領域上と言うこともできる)付近に配置すると、結晶成長は等方的であるため、ひとつの光電変換素子100の面積に匹敵する大きさの結晶粒を形成することができる場合があり、ひとつの光電変換素子100の光電変換層102を単結晶のセレンとすることができる場合がある。そのような場合における、非晶質セレン層102cが種結晶106の近傍から結晶化されていく様子を、上面図として図5(C)及び図5(D)に示す。また、隣接する光電変換素子との関係を図5(E)に示す。なお、図5(A)乃至図5(E)は、光電変換素子の第1の電極101に垂直な方向から見た、光電変換素子の各製造過程を表す上面図である。セレンの結晶化は種結晶106から始まり、非晶質セレン層102cの外周に向かって等方的に結晶化が進行する。しかし、隣接する光電変換素子においても同様に結晶化が進行するため、隣接する2つの光電変換素子の光電変換層の間近傍において、セレンの結晶粒界が生じて、結晶化の進行が停止する。従って、撮像装置が有する複数の光電変換素子100の各々で、光電変換素子の面積と同程度の粒界を有する光電変換層となる場合がある。
撮像装置が有する複数の光電変換素子100の各々で、光電変換素子の面積と同程度の粒界を有する光電変換層を形成することができれば、各光電変換素子間の特性のばらつきを極めて低減することができる。セレンの結晶粒の大きさが光電変換素子の面積程度に至らない場合でも、セレンの結晶化は種結晶から生じるという点で各光電変換素子は共通している。そのため、セレンの結晶化が撮像装置の各光電変換素子で同様に生じるため、やはり各光電変換素子間のばらつきを低減することができる。また、結晶化が容易に進むため、熱によるセレンへのダメージを極力減らして結晶化することができるため、形成される結晶性セレン層の膜質もよい。
逆に、種結晶を設けない場合、熱結晶化の際に非晶質セレン層内の不特定の箇所から結晶核を発生し、それぞれの結晶核から結晶成長が生じることとなる。すると、撮像装置が有する複数の光電変換素子の間で、単位面積あたりに発生する結晶核の数にばらつきが生じ、セレンの結晶成長を均一に制御して行うことができないため、各光電変換素子間のばらつきが大きくなる。また、種結晶を設けない場合、第1の電極に垂直な方向の結晶成長も制御できないため、光電変換層の上面に予期できない大きさの凹凸を有した光電変換素子となる場合があり、やはり各光電変換素子間の特性のばらつきが大きくなる。
なお、図2(A)乃至図2(E)においては、各光電変換素子に種結晶を1つ設ける場合の例を示したが、本発明の一態様はこれに限定されず、例えば図3(A)乃至図3(E)に示す通り、複数の種結晶を設けてもよい。いずれにせよ、各光電変換素子に同様に種結晶を設けることにより、各光電変換素子の非晶質セレン膜を同様に均質に結晶化させることができるため、撮像装置の各光電変換素子間のばらつきを低減することができる。
また、非晶質セレン層102cの下に種結晶を配置する場合の例を示したが、種結晶の位置はこれに限らない。すなわち、図4(A)乃至図4(E)に示す通り、非晶質セレン層102cの上側に種結晶を配置してもよい。この場合、層120の上に第1の電極101を形成し(図4(A))、次に、非晶質セレン層102cを形成し、該層の上部にフォトリソグラフィー法等を用いて部分的に非晶質セレンを除去することにより凹部を設け(図4(B))、該凹部に種結晶となる材料102dを設ける(図4(C))。そして、全体をマッフル炉に入れ所定の時間加熱処理を行い、非晶質セレン層102cを結晶化する。この場合においては材料102dが種結晶となり、種結晶から結晶化が生じ結晶成長するため、各光電変換素子の非晶質セレン膜を同様に均質に結晶化させることができるため、撮像装置の各光電変換素子間のばらつきを低減することができる。
なお、本発明の一態様において種結晶とは、結晶化処理を行う対象となる膜に接する、結晶化処置の前に予め配置する結晶である。結晶化処理においては、該膜は種結晶と接する部分から結晶化が生じ、種結晶の結晶性に影響を受けて結晶成長する。ただし、種結晶は単結晶であることには限定されず、多結晶であってもよく、結晶化により生じる結晶も多結晶であってもよい。
<第2の電極103>
次に、第2の電極103について説明する。第2の電極103は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、シリコンを含むインジウム錫酸化物、亜鉛を含む酸化インジウム、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛、アルミニウムを含む酸化亜鉛、酸化錫、フッ素を含む酸化錫、アンチモンを含む酸化錫、またはグラフェン等を用いることができるが、インジウム錫酸化物、シリコンを含むインジウム錫酸化物が特に好ましい。第2の電極103は単層に限らず、異なる膜の積層であっても良い。なお、インジウム錫酸化物は、InとSnとOとを有する。
第2の電極103は、光を光電変換層102へ到達させるため光の透過性が高いことが好ましい。特に、8Kの撮像装置においては、画素一つが占める面積は極めて小さく、受光に用いることができる領域が極めて小さいため、光の透過性がより重要となる。第2の電極103は、光電変換層102上にスパッタ法やプラズマCVD法により形成することができる。
第2の電極103を形成した状態を図2(E)、図3(E)、及び図4(E)にそれぞれ示す。以上により、本発明の一態様に係る光電変換素子100が形成される。
<正孔注入阻止層104>
本発明の一態様に係る光電変換素子100は、図1(B)に示す通り、光電変換層102と第2の電極103との間に、さらに正孔注入阻止層104を有していてもよい。正孔注入阻止層104は、第2の電極103から光電変換層102への正孔の注入を抑制する機能を有する層である。
従来、セレン系材料を光電変換層に用いた光電変換素子は、電界印加時における暗電流が大きいため、S/N比が低いことが問題とされていた。ここで、暗電流の原因の一つとして、電極から光電変換層への電荷の注入が抑制できていなかったことが挙げられる。そこで、光電変換層への電荷の注入を抑制するために、酸化ガリウムで構成された正孔注入阻止層を光電変換層と電極との間に設ける構造としてもよい。
ここで、正孔注入阻止層104を十分に機能させるためには、正孔注入阻止層104を貫通するトンネル電流を抑制する必要があり、そのため該層は一定以上の膜厚とする必要がある。例えば、5nm以上1μm以下の膜厚とすることが好ましく、10nm以上500nm以下の膜厚とすることがさらに好ましい。
そこで、本発明の一態様においては、正孔注入阻止層104に、酸化ガリウムよりも膜厚の制御が容易な材料を用いることができる。
特に、本発明の一態様においては、正孔注入阻止層104に、酸化物材料を用いることができる。正孔注入阻止層104に用いられる酸化物材料としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、In−Zn酸化物、Sn−Zn酸化物、Al−Zn酸化物、Zn−Mg酸化物、Sn−Mg酸化物、In−Mg酸化物、In−Ga酸化物、In−Ga−Zn酸化物、In−Al−Zn酸化物、In−Sn−Zn酸化物、Sn−Ga−Zn酸化物、Al−Ga−Zn酸化物、Sn−Al−Zn酸化物、In−Hf−Zn酸化物、In−La−Zn酸化物、In−Ce−Zn酸化物、In−Pr−Zn酸化物、In−Nd−Zn酸化物、In−Sm−Zn酸化物、In−Eu−Zn酸化物、In−Gd−Zn酸化物、In−Tb−Zn酸化物、In−Dy−Zn酸化物、In−Ho−Zn酸化物、In−Er−Zn酸化物、In−Tm−Zn酸化物、In−Yb−Zn酸化物、In−Lu−Zn酸化物、In−Sn−Ga−Zn酸化物、In−Hf−Ga−Zn酸化物、In−Al−Ga−Zn酸化物、In−Sn−Al−Zn酸化物、In−Sn−Hf−Zn酸化物、In−Hf−Al−Zn酸化物が挙げられる。
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味である。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。また、本明細書においては、In−Ga−Zn酸化物で構成した膜をIGZO膜とも呼ぶ。
正孔注入阻止層104に用いられる酸化物としては、特に、In−Ga−Zn酸化物が有用である。In−Ga−Zn酸化物は、CAAC(C Axis Aligned Crystalline)構造を有する膜、または、微結晶酸化物膜、となる傾向にあり、正孔注入阻止層104にIn−Ga−Zn酸化物を用いると、結晶性を有する膜となり、結晶性を有する光電変換層102との相性がよく、好ましい。なお、In−Ga−Zn酸化物は、In、Ga、Zn及びOを少なくとも有している。なお、In−Ga−Zn酸化物のCAAC構造を発現しうる材料として、Gaに代えてAl、Sn、Y、Hf、または、Zrを用いた材料も有用である。
特に、CAAC構造を有する膜は結晶性が高く、例えば光電変換層102が結晶性を有するセレンの層である場合、両者の共通する結晶性のために、正孔注入阻止層104となるCAAC構造を有する膜が形成されやすく界面の密着性が高まるため好ましい。また、正孔注入阻止層104に用いる酸化物の膜は、代表的にはスパッタ法やプラズマCVD法により形成することができる。
また、酸化物の成膜には、対向ターゲット式スパッタリング装置を用いることもできる。当該対向ターゲット式スパッタリング装置を用いた成膜法を、本明細書においては、VDSP(vapor deposition SP)と呼ぶことにする。
<電子注入阻止層>
さらに、本発明の一態様に係る光電変換素子は、第1の電極101と光電変換層102との間に、電子注入層を有していてもよい。電子注入阻止層は、第1の電極101からら光電変換層102への電子の注入を抑制する機能を有する層であり、第1の電極101と光電変換層102との間に設けることができる(図示しない)。電子注入阻止層には、酸化ニッケルまたは硫化アンチモンなどを設ける構成とすることもできる。
(実施の形態2)
次に、本発明の一態様の撮像装置の具体的な構成例について、図面を参照して説明する。図6(A)は、本発明の一態様の撮像装置の断面図の一例であり、図1に示す光電変換素子100と、駆動用に用いられるトランジスタの一つとの具体的な接続形態の一例を示している。当該撮像装置は、トランジスタ151及びトランジスタ152が設けられる層1100、および光電変換素子100が設けられる層1200を有する。
なお、本実施の形態で説明する断面図において、各配線、各電極および各導電体を個別の要素として図示しているが、それらが電気的に接続している場合においては、同一の要素として設けられる場合もある。また、トランジスタのゲート電極、ソース電極、またはドレイン電極が導電体を介して各配線と接続される形態は一例であり、トランジスタのゲート電極、ソース電極、またはドレイン電極のそれぞれが配線としての機能を有する場合もある。
また、各要素上には保護膜、層間絶縁膜または平坦化膜としての機能を有する絶縁層182および絶縁層183等が設けられる。例えば、絶縁層182および絶縁層183等は、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を用いることができる。または、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの有機絶縁膜などを用いてもよい。絶縁層182および絶縁層183等の上面は、必要に応じてCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等で平坦化処理を行うことが好ましい。
なお、図面に示される配線等の一部が設けられない場合や、図面に示されない配線等やトランジスタ等が各層に含まれる場合もある。また、図面に示されない層が当該積層構造に含まれる場合もある。また、図面に示される層の一部が含まれない場合もある。
トランジスタ151およびトランジスタ152には、酸化物を半導体として用いたトランジスタ(OSトランジスタ)を用いることが特に好ましい。
OSトランジスタは極めて低いオフ電流特性を有するため、撮像のダイナミックレンジを拡大することができる。酸化物半導体を用いたトランジスタは極めてオフ電流が低いため、ゲート電位が極めて小さい場合においても当該ゲート電位に応じた電流を正確に出力することができる。したがって、検出することのできる照度のレンジ、すなわちダイナミックレンジを広げることができる。
また、トランジスタ151およびトランジスタ152の低いオフ電流特性によって電荷蓄積部で電荷を保持できる期間を極めて長くすることができる。そのため、回路構成や動作方法を複雑にすることなく、全画素で同時に電荷の蓄積動作を行うグローバルシャッタ方式を適用することができる。
一般的に、画素がマトリクス状に配置された撮像装置では、図23(A)に示す、行毎に撮像動作111、データ保持動作112、読み出し動作113を行う駆動方法であるローリングシャッタ方式が用いられる。ローリングシャッタ方式を用いる場合には、撮像の同時性が失われるため、被写体が移動した場合には、画像に歪が生じてしまう。
したがって、本発明の一態様は、図23(B)に示す、全行で同時に撮像動作111を行い、行毎に順次読み出し動作113を行うことができるグローバルシャッタ方式を用いることが好ましい。グローバルシャッタ方式を用いることで、撮像装置の各画素における撮像の同時性を確保することができ、被写体が移動する場合であっても歪の小さい画像を容易に得ることができる。また、グローバルシャッタ方式により露光時間(電荷の蓄積動作を行う期間)を長くすることもできることから、低照度環境における撮像にも適する。
また、OSトランジスタは、シリコンを活性領域または活性層に用いたトランジスタ(以下、Siトランジスタ)よりも電気特性変動の温度依存性が小さいため、極めて広い温度範囲で使用することができる。したがって、OSトランジスタを有する撮像装置および半導体装置は、自動車、航空機、宇宙機などへの搭載にも適している。
また、OSトランジスタは、Siトランジスタよりもドレイン耐圧が高いという特性を有する。セレン系材料を光電変換層とした光電変換素子では、アバランシェ現象が起こりやすいように比較的高い電圧(例えば、10V以上)を印加することが好ましい。したがって、OSトランジスタと、セレン系材料を光電変換層とした光電変換素子とを組み合わせることで、信頼性の高い撮像装置とすることができる。
なお、図6(A)において、各トランジスタはバックゲート153を有する形態を例示しているが、図6(B)に示すように、バックゲートを有さない形態であってもよい。また、図6(C)に示すように一部のトランジスタ、例えばトランジスタ151のみにバックゲート153を有するような形態であってもよい。当該バックゲートは、対向して設けられるトランジスタのフロントゲートと電気的に接続する場合がある。または、当該バックゲートにフロントゲートとは異なる固定電位が供給される場合がある。なお、当該バックゲート有無に関する形態は、本実施の形態で説明する他の撮像装置の形態にも適用することができる。
層1200に設けられる光電変換素子100は、様々な形態の素子を用いることができる。図6(A)では、結晶性を有する光電変換層102に用いた形態を図示している。セレン系材料を用いた光電変換素子100は、可視光に対する外部量子効率が高い特性を有する。当該光電変換素子では、アバランシェ現象により入射される光量に対する電子の増幅が大きい高感度のセンサーとすることができる。また、セレン系材料は光吸収係数が高いため、光電変換層102を薄くしやすい利点を有する。
光電変換素子100の各層に用いられる材料は、実施の形態1で示した材料を用いることができる。
なお、図6(A)では、光電変換層102および透光性を有する第2の電極103を光電変換素子間で分離する構成としているが、図7(B)に示すように光電変換素子間で分離しない構成としてもよい。図7(D)に示すように、画素間において、第1の電極101を有さない領域には、絶縁体で隔壁167を設け、光電変換層102および透光性を有する第2の電極103に亀裂が入らないようにしてもよい。また、図6(A)では、透光性を有する第2の電極103と配線172との間に配線188および導電体181を介する構成を図示しているが、図7(C)、(D)に示すように透光性を有する第2の電極103と配線172が直接接する形態としてもよい。
なお、隔壁167は、無機絶縁体や絶縁有機樹脂などを用いて形成することができる。また、隔壁167は、トランジスタ等に対する遮光のため、および/または1画素あたりの受光部の面積を確定するために黒色等に着色されていてもよい。
また、光電変換素子100は、正孔注入阻止層、または、電子注入阻止層を用いてもよい。
例えば、図8は光電変換素子100に、正孔注入阻止層104及び電子注入阻止層105を用いた例である。当該光電変換素子は、電子注入阻止層105、光電変換層102、及び正孔注入阻止層104が順に積層された構成を有している。光電変換層102は結晶性を有するセレンの層とするのが好ましい。また、電子注入阻止層105には、酸化ニッケルまたは硫化アンチモンなどを設ける構成とすることもできる。
図8に示す光電変換素子100では、電子注入阻止層105がトランジスタ151およびトランジスタ152と電気的な接続を有する第1の電極101と電気的な接続を有する。また、透光性を有する第2の電極103が導電体181を介して配線172と電気的な接続を有する。
また、本発明の一態様の撮像装置は、回路が形成されたシリコン基板130に積層された構成としてもよい。例えば、図9(A)に示すようにシリコン基板130に活性領域を有するトランジスタ131およびトランジスタ132を有する層1400が画素回路と重なる構成とすることができる。なお、図9(B)はトランジスタのチャネル幅方向の断面図に相当する。
ここで、図9(A)、(B)において、Siトランジスタはフィン型の構成を例示しているが、図10(A)に示すようにプレーナー型であってもよい。または、図10(B)に示すように、シリコン薄膜の活性層135を有するトランジスタであってもよい。また、活性層135は、多結晶シリコンやSOI(Silicon on Insulator)の単結晶シリコンとすることができる。
また、シリコン基板130はバルクのシリコン基板に限らず、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、有機半導体を材料とする基板を用いることもできる。
ここで、図9(A)に示すように、酸化物半導体を有するトランジスタが形成される領域と、Siトランジスタが形成される領域との間には絶縁層180が設けられる。
トランジスタ131およびトランジスタ132の活性領域近傍に設けられる絶縁層中の水素はシリコンのダングリングボンドを終端する。したがって、当該水素はトランジスタ131およびトランジスタ132の信頼性を向上させる効果がある。一方、トランジスタ151等の活性層である酸化物半導体層の近傍に設けられる絶縁層中の水素は、酸化物半導体層中にキャリアを生成する要因の一つとなる。そのため、当該水素はトランジスタ151等の信頼性を低下させる要因となる場合がある。したがって、シリコン系半導体材料を用いたトランジスタを有する一方の層と、酸化物半導体を用いたトランジスタを有する他方の層を積層する場合、これらの間に水素の拡散を防止する機能を有する絶縁層180を設けることが好ましい。絶縁層180により、一方の層に水素を閉じ込めることでトランジスタ131およびトランジスタ132の信頼性が向上することができる。また、一方の層から他方の層への水素の拡散が抑制されることでトランジスタ151等の信頼性も向上させることができる。
絶縁層180としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等を用いることができる。
なお、図9(A)に示すような構成では、シリコン基板130に形成される回路(例えば、駆動回路)と、トランジスタ151等と、光電変換素子100とを重なるように形成することができるため、画素の集積度を高めることができる。すなわち、撮像装置の解像度を高めることができる。例えば、画素数が4K2K、8K4Kまたは16K8Kなどの撮像装置に用いることが適する。
また、図9(A)に示す撮像装置は、シリコン基板130には光電変換素子を設けない構成である。したがって、各種トランジスタや配線などの影響を受けずに光電変換素子100に対する光路を確保することができ、高開口率の画素を形成することができる。
また、本発明の一態様の撮像装置は、図11に示す構成とすることができる。
図11に示す撮像装置は、図9(A)に示す撮像装置の変形例であり、OSトランジスタおよびSiトランジスタでCMOSインバータを構成する例を図示している。
ここで、層1400に設けるSiトランジスタであるトランジスタ132はp−ch型とし、層1100に設けるトランジスタであるトランジスタ131はn−ch型とする。p−ch型トランジスタのみをシリコン基板130に設けることで、ウェル形成やn型不純物層形成など工程を省くことができる。
図11に示す撮像装置において、トランジスタ131は、層1100に形成するトランジスタ151およびトランジスタ152と同一の工程で作製することができる。したがって、撮像装置の製造工程を簡略化することができる。
図12(A)は、撮像装置にカラーフィルタ等を付加した形態の一例の断面図である。当該断面図は、3画素分の画素回路を有する領域の一部を示している。光電変換素子100が形成される層1200上には、絶縁層2500が形成される。絶縁層2500は可視光に対して透光性の高い酸化シリコン膜などを用いることができる。また、パッシベーション膜として窒化シリコン膜を積層する構成としてもよい。また、反射防止膜として、酸化ハフニウムなどの誘電体膜を積層する構成としてもよい。
絶縁層2500上には、遮光層2510が形成されてもよい。遮光層2510は、上部のカラーフィルタを通る光の混色を防止する機能を有する。遮光層2510には、アルミニウム、タングステンなどの金属層や当該金属層と反射防止膜としての機能を有する誘電体膜を積層する構成とすることができる。
絶縁層2500および遮光層2510上には平坦化膜として有機樹脂層2520を設ける構成とすることができる。また、画素別にカラーフィルタ2530(カラーフィルタ2530a、カラーフィルタ2530b、カラーフィルタ2530c)が形成される。例えば、カラーフィルタ2530a、カラーフィルタ2530bおよびカラーフィルタ2530cに、R(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、C(シアン)、M(マゼンタ)などの色を割り当てることにより、カラー画像を得ることができる。
カラーフィルタ2530上には、透光性を有する絶縁層2560などを設けることができる。
また、図12(B)に示すように、カラーフィルタ2530の代わりに光電変換層2550を用いてもよい。このような構成とすることで、様々な波長領域における画像が得られる撮像装置とすることができる。
例えば、光電変換層2550に可視光線の波長以下の光を遮るフィルタを用いれば赤外線撮像装置とすることができる。また、光電変換層2550に近赤外線の波長以下の光を遮るフィルタを用いれば遠赤外線撮像装置とすることができる。また、光電変換層2550に可視光線の波長以上の光を遮るフィルタを用いれば紫外線撮像装置とすることができる。
また、光電変換層2550にシンチレータを用いれば、X線撮像装置などに用いる、放射線の強弱を可視化した画像を得る撮像装置とすることができる。被写体を透過したX線等の放射線がシンチレータに入射されると、フォトルミネッセンスと呼ばれる現象により可視光線や紫外光線などの光(蛍光)に変換される。そして、当該光を光電変換素子100で検知することにより画像データを取得する。また、放射線検出器などに当該構成の撮像装置を用いてもよい。
シンチレータは、X線やガンマ線などの放射線が照射されると、そのエネルギーを吸収して可視光や紫外光を発する物質、または当該物質を含む材料からなる。例えば、Gd2O2S:Tb、Gd2O2S:Pr、Gd2O2S:Eu、BaFCl:Eu、NaI、CsI、CaF2、BaF2、CeF3、LiF、LiI、ZnOなどの材料や、それらを樹脂やセラミクスに分散させたものが知られている。
なお、セレン系材料を用いた光電変換素子100においては、X線等の放射線を電荷に直接変換することができるため、シンチレータを不要とする構成とすることもできる。
カラーフィルタ2530a、カラーフィルタ2530bおよびカラーフィルタ2530c上には、マイクロレンズアレイ2540を設けてもよい。マイクロレンズアレイ2540が有する個々のレンズを通る光が直下のカラーフィルタを通り、光電変換素子100に照射されるようになる。なお、図12(A)、(B)、(C)に示す層1200以外の領域を層1600とする。
図12(C)に示す撮像装置の具体的な構成は、図6(A)に示す撮像装置を例にすると、図13に示すようになる。
また、本発明の一態様の撮像装置は、図14および図15に示すように回折格子1500と組み合わせてもよい。回折格子1500を介した被写体の像(回折画像)を画素に取り込み、画素における撮像画像から演算処理により入力画像(被写体の像)を構成することができる。また、レンズの替わりに回折格子1500を用いることで撮像装置のコストを下げることができる。
回折格子1500は、透光性を有する材料で形成することができる。例えば、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を用いることができる。または、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの有機絶縁膜などを用いてもよい。または、上記無機絶縁膜と有機絶縁膜との積層であってもよい。
また、回折格子1500は、感光性樹脂などを用いたリソグラフィ工程で形成することができる。また、リソグラフィ工程とエッチング工程とを用いて形成することもできる。また、ナノインプリントリソグラフィやレーザスクライブなどを用いて形成することもできる。
なお、回折格子1500とマイクロレンズアレイ2540との間に間隔Xを設けてもよい。間隔Xは、1mm以下、好ましくは100μm以下とすることができる。なお、当該間隔は空間でもよいし、透光性を有する材料を封止層または接着層として設けてもよい。例えば、窒素や希ガスなどの不活性ガスを当該間隔に封じ込めることができる。または、アクリル樹脂、エポキシ樹脂またはポリイミド樹脂などを当該間隔に設けてもよい。またはシリコーンオイルなどの液体を設けてもよい。なお、マイクロレンズアレイ2540を設けない場合においても、カラーフィルタ2530と回折格子1500との間に間隔Xを設けてもよい。
また、撮像装置は、図16(A1)および図16(B1)に示すように湾曲させてもよい。図16(A1)は、撮像装置を同図中の二点鎖線X1−X2の方向に湾曲させた状態を示している。図16(A2)は、図16(A1)中の二点鎖線X1−X2で示した部位の断面図である。図16(A3)は、図16(A1)中の二点鎖線Y1−Y2で示した部位の断面図である。
図16(B1)は、撮像装置を同図中の二点鎖線X3−X4の方向に湾曲させ、かつ、同図中の二点鎖線Y3−Y4の方向に湾曲させた状態を示している。図16(B2)は、図16(B1)中の二点鎖線X3−X4で示した部位の断面図である。図16(B3)は、図16(B1)中の二点鎖線Y3−Y4で示した部位の断面図である。
撮像装置を湾曲させることで、像面湾曲や非点収差を低減することができる。よって、撮像装置と組み合わせて用いるレンズなどの光学設計を容易とすることができる。例えば、収差補正のためのレンズ枚数を低減できるため、撮像装置を用いた半導体装置などの小型化や軽量化を容易とすることができる。また、撮像された画像の品質を向上させる事ができる。
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。または、他の実施の形態において、本発明の一態様について述べる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。つまり、本実施の形態および他の実施の形態では、様々な発明の態様が記載されているため、本発明の一態様は、特定の態様に限定されない。例えば、本発明の一態様として、撮像装置に適用した場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様は、撮像装置に適用しなくてもよい。例えば、本発明の一態様は、別の機能を有する半導体装置に適用してもよい。例えば、本発明の一態様として、結晶性を有するセレンを光電変換層に用いる場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様における光電変換層は、非晶質セレンを用いてもよい。または例えば、場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様は、種結晶を用いて結晶化した光電変換層を有していなくてもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
本発明の一態様に係る撮像装置において、光電変換素子が正孔注入阻止層を有する場合には、In−Ga−Zn酸化物に代表される酸化物が用いられる。本実施の形態においては、該酸化物について説明する。なお、該酸化物は、半導体として光電変換素子に接続されるトランジスタにも用いることができるため、説明は、トランジスタに用いられる場合に有用な性質についての説明も含まれる。
<酸化物の構造>
以下では、酸化物の構造について説明する。
酸化物は、単結晶酸化物と、それ以外の非単結晶酸化物と、に分けられる。非単結晶酸化物としては、CAAC(c−axis−aligned crystalline)構造を有する酸化物、多結晶酸化物、nc(nanocrystalline)構造を有する酸化物、擬似非晶質酸化物(a−like:amorphous−like oxide)および非晶質酸化物などがある。
また別の観点では、酸化物は、非晶質酸化物と、それ以外の結晶性酸化物と、に分けられる。結晶性酸化物としては、単結晶酸化物、CAAC構造を有する酸化物、多結晶酸化物およびnc構造を有する酸化物などがある。
非晶質構造は、一般に、等方的であって不均質構造を持たない、準安定状態で原子の配置が固定化していない、結合角度が柔軟である、短距離秩序は有するが長距離秩序を有さない、などといわれている。
逆の見方をすると、安定な酸化物を完全な非晶質(completely amorphous)酸化物とは呼べない。また、等方的でない(例えば、微小な領域において周期構造を有する)酸化物を、完全な非晶質酸化物とは呼べない。一方、a−like構造は、等方的でないが、鬆(ボイドともいう。)を有する不安定な構造である。不安定であるという点では、a−like構造は、物性的に非晶質酸化物に近い。
<CAAC構造>
まずは、CAAC(c−axis−aligned crystalline)構造を有する酸化物について説明する。
CAAC構造は、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物の構造の一種である。
CAAC構造を有する酸化物をX線回折(XRD:X−Ray Diffraction)によって解析した場合について説明する。例えば、空間群R−3mに分類されるInGaZnO4の結晶を有するCAAC構造を有する酸化物に対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、図17(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAACを有する酸化物では、結晶がc軸配向性を有し、c軸がCAACを有する酸化物の膜を形成する面(被形成面ともいう。)、または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。なお、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、空間群Fd−3mに分類される結晶構造に起因する。そのため、CAAC構造を有する酸化物は、該ピークを示さないことが好ましい。
一方、CAAC構造を有する酸化物に対し、被形成面に平行な方向からX線を入射させるin−plane法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。そして、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行っても、図17(B)に示すように明瞭なピークは現れない。一方、単結晶InGaZnO4に対し、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合、図17(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC構造を有する酸化物は、a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
次に、電子回折によって解析したCAACを有する酸化物について説明する。例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC構造を有する酸化物に対し、該酸化物の被形成面に平行にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、図17(D)に示すような回折パターン(制限視野電子回折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO4の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても、CAAC構造を有する酸化物に含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図17(E)に示す。図17(E)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、プローブ径が300nmの電子線を用いた電子回折によっても、CAAC構造を有する酸化物に含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。なお、図17(E)における第1リングは、InGaZnO4の結晶の(010)面および(100)面などに起因すると考えられる。また、図17(E)における第2リングは(110)面などに起因すると考えられる。
また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC構造を有する酸化物の明視野像と回折パターンとの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一方、高分解能TEM像であってもペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を明確に確認することができない場合がある。そのため、該酸化物を半導体として用いた場合、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
図18(A)に、試料面と略平行な方向から観察したCAAC構造を有する酸化物の断面の高分解能TEM像を示す。高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberration Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像は、例えば、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM−ARM200Fなどによって観察することができる。
図18(A)より、金属原子が層状に配列している領域であるペレットを確認することができる。ペレット一つの大きさは1nm以上のものや、3nm以上のものがあることがわかる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる。また、CAAC構造を有する酸化物を、CANC(C−Axis Aligned nanocrystals)を有する酸化物と呼ぶこともできる。ペレットは、該酸化物の膜の被形成面または上面の凹凸を反映しており、該酸化物の膜の被形成面または上面と平行となる。
また、図18(B)および図18(C)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC構造を有する酸化物の平面のCs補正高分解能TEM像を示す。図18(D)および図18(E)は、それぞれ図18(B)および図18(C)を画像処理した像である。以下では、画像処理の方法について説明する。まず、図18(B)を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理することでFFT像を取得する。次に、取得したFFT像において原点を基準に、2.8nm−1から5.0nm−1の間の範囲を残すマスク処理する。次に、マスク処理したFFT像を、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理することで画像処理した像を取得する。こうして取得した像をFFTフィルタリング像と呼ぶ。FFTフィルタリング像は、Cs補正高分解能TEM像から周期成分を抜き出した像であり、格子配列を示している。
図18(D)では、格子配列の乱れた箇所を破線で示している。破線で囲まれた領域が、一つのペレットである。そして、破線で示した箇所がペレットとペレットとの連結部である。破線は、六角形状であるため、ペレットが六角形状であることがわかる。なお、ペレットの形状は、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合が多い。
図18(E)では、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を点線で示し、格子配列の向きの変化を破線で示している。点線近傍においても、明確な結晶粒界を確認することはできない。点線近傍の格子点を中心に周囲の格子点を繋ぐと、歪んだ六角形や、五角形または/および七角形などが形成できる。即ち、格子配列を歪ませることによって結晶粒界の形成を抑制していることがわかる。これは、CAAC構造を有する酸化物が、a−b面方向において原子間の結合距離が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
以上に示すように、CAAC構造を有する酸化物は、c軸配向性を有し、かつa−b面方向において複数のペレット(ナノ結晶)が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。よって、CAAC構造を有する酸化物を、CAA crystal(c−axis−aligned a−b−plane−anchored crystal)と称することもできる。
CAAC構造は結晶性の高い構造である。酸化物の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、逆の見方をするとCAAC構造を有する酸化物は不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物ともいえる。
なお、不純物は、酸化物を半導体として用いる場合、該酸化物の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物から酸素を奪うことで酸化物の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
酸化物を半導体として用いるとき、不純物や欠陥を有する場合、光や熱などによって特性が変動する場合がある。例えば、酸化物に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャリア発生源となる場合がある。例えば、酸化物中の酸素欠損は、キャリアトラップとなる場合や、水素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
不純物および酸素欠損の少ないCAAC構造を有する酸化膜は、半導体として用いた場合、キャリア密度の低い酸化物半導体となる。具体的には、8×1011個/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010個/cm3未満であり、1×10−9個/cm3以上のキャリア密度の酸化物半導体とすることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。CAAC−OS(Oxide Semiconductor)は、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い。即ち、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
<nc構造>
次に、nc構造を有する酸化物について説明する。
nc構造を有する酸化物をXRDによって解析した場合について説明する。例えば、nc構造を有する酸化物に対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、配向性を示すピークが現れない。即ち、nc構造を有する酸化物の結晶は配向性を有さない。
また、例えば、InGaZnO4の結晶を有するnc構造を有する酸化物を薄片化し、厚さが34nmの領域に対し、被形成面に平行にプローブ径が50nmの電子線を入射させると、図19(A)に示すようなリング状の回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)が観測される。また、同じ試料にプローブ径が1nmの電子線を入射させたときの回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)を図19(B)に示す。図19(B)より、リング状の領域内に複数のスポットが観測される。したがって、nc構造を有する酸化物は、プローブ径が50nmの電子線を入射させることでは秩序性が確認されないが、プローブ径が1nmの電子線を入射させることでは秩序性が確認される。
また、厚さが10nm未満の領域に対し、プローブ径が1nmの電子線を入射させると、図19(C)に示すように、スポットが略正六角状に配置された電子回折パターンを観測される場合がある。したがって、厚さが10nm未満の範囲において、nc構造を有する酸化物が秩序性の高い領域、即ち結晶を有することがわかる。なお、結晶が様々な方向を向いているため、規則的な電子回折パターンが観測されない領域もある。
図19(D)に、被形成面と略平行な方向から観察したnc構造を有する酸化物の断面のCs補正高分解能TEM像を示す。該酸化物は、高分解能TEM像において、補助線で示す箇所などのように結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。該酸化物に含まれる結晶部は、1nm以上10nm以下の大きさであり、特に1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。なお、結晶部の大きさが10nmより大きく100nm以下である酸化物を微結晶酸化物(fine crystalline oxide)と呼ぶことがある。nc構造を有する酸化物は、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAAC構造を有する酸化物におけるペレットと起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc構造を有する酸化物の結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
このように、nc構造を有する酸化物は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc構造を有する酸化物は、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc構造を有する酸化物は、分析方法によっては、a−like構造を有する酸化物や非晶質酸化物と区別が付かない場合がある。
なお、ペレット(ナノ結晶)間で結晶方位が規則性を有さないことから、nc構造を有する酸化物を、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有する酸化物、またはNANC(Non−Aligned nanocrystals)を有する酸化物と呼ぶこともできる。
nc構造を有する酸化物は、非晶質酸化物よりも規則性の高い酸化物である。そのため、nc構造を有する酸化物は、a−like構造を有する酸化物や非晶質酸化物よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc構造を有する酸化物は、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc構造を有する酸化物は、CAAC構造を有する酸化物と比べて欠陥準位密度が高くなる。
<a−like構造を有する酸化物>
a−like構造を有する酸化物は、nc構造を有する酸化物と非晶質酸化物との間の構造を有する酸化物である。
図20に、a−like構造を有する酸化物の高分解能断面TEM像を示す。ここで、図20(A)は電子照射開始時におけるa−like構造を有する酸化物の高分解能断面TEM像である。図20(B)は4.3×108e−/nm2の電子(e−)照射後におけるa−like構造を有する酸化物の高分解能断面TEM像である。図20(A)および図20(B)より、a−like構造を有する酸化物は電子照射開始時から、縦方向に延伸する縞状の明領域が観察されることがわかる。また、明領域は、電子照射後に形状が変化することがわかる。なお、明領域は、鬆または低密度領域と推測される。
鬆を有するため、a−like構造を有する酸化物は、不安定な構造である。以下では、a−like構造を有する酸化物が、CAAC構造を有する酸化物およびnc構造を有する酸化物と比べて不安定な構造であることを示すため、電子照射による構造の変化を示す。
試料として、a−like構造を有する酸化物、nc構造を有する酸化物およびCAAC構造を有する酸化物を準備する。いずれの試料もIn−Ga−Zn酸化物である。
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料は、いずれも結晶部を有する。
なお、InGaZnO4の結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、以下では、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnO4の結晶部と見なした。なお、格子縞は、InGaZnO4の結晶のa−b面に対応する。
図21は、各試料の結晶部(22箇所から30箇所)の平均の大きさを調査した例である。なお、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図21より、a−like構造を有する酸化物は、TEM像の取得などに係る電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。図21より、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、電子(e−)の累積照射量が4.2×108e−/nm2においては1.9nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc構造を有する酸化物およびCAAC構造を有する酸化物は、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×108e−/nm2までの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。図21より、電子の累積照射量によらず、nc構造を有する酸化物およびCAAC構造を有する酸化物の結晶部の大きさは、それぞれ1.3nm程度および1.8nm程度であることがわかる。なお、電子線照射およびTEMの観察は、日立透過電子顕微鏡H−9000NARを用いた。電子線照射条件は、加速電圧を300kV、電流密度を6.7×105e−/(nm2・s)、照射領域の直径を230nmとした。
このように、a−like構造を有する酸化物は、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合がある。一方、nc構造を有する酸化物およびCAAC構造を有する酸化物は、電子照射による結晶部の成長がほとんど見られない。即ち、a−like構造を有する酸化物は、nc構造を有する酸化物およびCAAC構造を有する酸化物と比べて、不安定な構造であることがわかる。
また、鬆を有するため、a−like構造を有する酸化物は、nc構造を有する酸化物およびCAAC構造を有する酸化物と比べて密度の低い構造である。具体的には、a−like構造を有する酸化物の密度は、同じ組成の単結晶の密度の78.6%以上92.3%未満となる。また、nc構造を有する酸化物の密度およびCAAC構造を有する酸化物の密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満となる。単結晶の密度の78%未満となる酸化物は、成膜すること自体が困難である。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の密度は6.357g/cm3となる。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物において、a−like構造を有する酸化物の密度は5.0g/cm3以上5.9g/cm3未満となる。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物において、nc構造を有する酸化物の密度およびCAAC構造を有する酸化物の密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm3未満となる。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
以上のように、In−Ga−Zn酸化物に代表される酸化物は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。なお、酸化物は、例えば、非晶質酸化物、a−like構造、nc構造、CAAC構造のうち、二種以上の構造を有する積層膜であってもよい。
正孔注入阻止層にIn−Ga−Zn酸化物に代表される酸化物を用いると、その被形成層である光電変換層を結晶性を有するセレンの層とした場合、互いに結晶性を有するため、両層の界面は良好な性質を有する界面となり好ましい。また、正孔注入阻止層にIn−Ga−Zn酸化物に代表される酸化物を用いると、その上層に形成される第2の電極に酸化インジウム錫膜、または、シリコンが添加された酸化インジウム錫膜を用いた場合、ともにインジウムを有する酸化膜であり、組成が近いため、両者の相性がよい。すなわち、正孔注入阻止層は第2の電極との密着性が向上し、両者の界面は良好な性質となる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本発明の一態様に係る撮像装置および当該撮像装置を含む半導体装置は、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る撮像装置および当該撮像装置を含む半導体装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図22に示す。
図22(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体901、筐体902、表示部903、表示部904、マイク905、スピーカー906、操作キー907、スタイラス908、カメラ909等を有する。なお、図22(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部903と表示部904とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。カメラ909には本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
図22(B)は携帯データ端末であり、第1筐体911、表示部912、カメラ919等を有する。表示部912が有するタッチパネル機能により情報の入出力を行うことができる。カメラ909には本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
図22(C)は腕時計型の情報端末であり、筐体931、表示部932、リストバンド933、カメラ939等を有する。表示部932はタッチパネルとなっていてもよい。カメラ909には本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
図22(D)は監視カメラであり、筐体951、レンズ952、支持部953等を有する。レンズ952の焦点となる位置には本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。
図22(E)はデジタルカメラであり、筐体961、シャッターボタン962、マイク963、発光部967、レンズ965等を有する。レンズ965の焦点となる位置には本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。
図22(F)はビデオカメラであり、第1筐体971、第2筐体972、表示部973、操作キー974、レンズ975、接続部976等を有する。操作キー974およびレンズ975は第1筐体971に設けられており、表示部973は第2筐体972に設けられている。そして、第1筐体971と第2筐体972とは、接続部976により接続されており、第1筐体971と第2筐体972の間の角度は、接続部976により変更が可能である。表示部973における映像を、接続部976における第1筐体971と第2筐体972との間の角度に従って切り替える構成としても良い。レンズ975の焦点となる位置には本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。