JP2014119441A - 超音波探傷装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被検査対象に生じた欠陥の位置及びサイズを定量的に評価して検査の確実性を向上できると共に、検査の効率化も実現できること。
【解決手段】低周波且つ大振幅の超音波を被検査対象1へ送信する超音波送信機構13と、被検査対象からの超音波エコーを受信する超音波受信機構14と、受信された超音波信号中の超音波エコーを逆問題演算して、超音波エコーの発生位置を散乱源空間分布として得る演算機構17と、散乱源空間分布における各位置の超音波エコーを任意の周波数成分でフィルタリングするフィルタリング機構18と、フィルタリング機構にて得られた各位置の超音波エコーの基本波成分及び非線形超音波成分について強度を抽出し、これらの基本波成分及び非線形超音波成分の発生効率を算出する強度抽出機構19と、を有するものである。
【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、被検査対象の欠陥を非線形超音波成分を用いて検出する超音波探傷装置及び方法に関する。
超音波探傷試験は、非破壊で構造材の表面及び内部の健全性を確認できる技術であり、様々な分野で欠かせない検査技術となっている。特に近年はプラント構造物などの安全性確保のため、これまで求められていなかった箇所への検査も要求されてきている。それに伴い、検査の確実性だけでなく効率化が求められてきている。
構造物に存在する体積欠陥を正確にサイジングしようとした場合、放射線透過試験(RT:Radiographic Testing)や超音波探傷試験(UT:Ultrasonic Testing)が有効な技術として挙げられる。放射線透過試験は、空孔などの体積をもった欠陥検出には有効だが、き裂や剥離など体積のない欠陥の検出には適さない。また、露光や現像といった検査工程があるため効率化には制限がある。
一方、超音波探傷試験は、空孔だけでなくき裂や剥離といった面欠陥に対する適用性が高く、検査結果もリアルタイムで取得可能である。近年では、一般的に使われている単眼プローブだけでなく、小型の圧電素子を複数個並べ、これらの圧電素子ごとにタイミング(遅延時間)をずらして超音波を発信することで任意の波形を形成できるフェーズドアレイ超音波探傷試験(PAUT:Phased Array Ultrasonic Testing)なども実用化されており、ますます適用の幅が広がっている。よって、検査の効率化は、超音波探傷試験をベースに行うのが最も有効と考えられる。
ここで、検査の効率化とはトータルでの検査時間短縮を意味する。検査時間短縮に寄与するものは、1測定点当たりの検査時間と1測定点当たりの検査範囲である。1測定点当たりの検査時間は、探傷装置の繰返し周波数、信号処理速度及びプローブの走査速度に依存する。探傷装置の繰返し周波数は1kHz以上をもつものが一般的であり、信号処理速度もそれに準ずる速度をもつ。プローブの走査速度は検査対象や検査手法により千差万別であり、一般的に高速化を論じることが困難である。
ここで、もう一方の効率化に寄与する1測定点当たりの検査範囲について述べる。あくまで超音波探傷試験は、欠陥などに入射した超音波が起こす反射や回折などの現象を利用している。このときには、入射する超音波と欠陥由来の信号が時間もしくは空間的に分解できることが必須である。これは、指向性を維持し時間情報を用いて欠陥を評価可能なオーダの周波数帯域を用いていることを意味する(一般的な構造材に対する超音波探傷試験は0.5MHz〜10MHz程度の帯域を使用する)。
この場合、1度に検査できる範囲がプローブサイズに依存することになる。単眼プローブなどは、一般的には2インチ径のものなどが最大である。単純にサイズを大きくしても分解能が低下するため、それ以上の大きさにすることは構造物の超音波探傷などでは実用に耐えない。フェーズドアレイ超音波探傷試験は、センサ数を増やしていけば検査範囲も増大するが、プローブ体積が増大してハンドリングが困難になるうえ、信号処理量も膨大になり、探傷器等のハードウェアにかかる負担が大きくなる。また、アレイプローブの素子1ch当たりを大きくして面積を増やすことも考えられるが、波長の半分以上に素子ピッチをあけるとビーム制御が困難になるため現実的ではない。これにより、フェーズドアレイ超音波探傷試験をもってしても、数千mmオーダの面積が一度に検査できる範囲となり、検査範囲の拡大量には自ずと限界が生じる。
センサ数を増やす、センサ径を大きくするというアプローチ以外に検査範囲(探傷範囲)を広げる手法としては、上述の探傷で用いられている縦波や横波などの体積波とは異なるモードの波を用いること、または、単純に周波数を低下させて体積波の到達する範囲を拡大することが挙げられる。前者の代表例は、ガイド波や表面波を用いた探傷である。表面波を用いた探傷は、基本的に被検査対象の表面に存在する欠陥のみが対象となる。そのため、内在する欠陥やき裂深さに関する情報は得られない。ガイド波による探傷は、基本的にラム波等の板波から表面波を用いたものまで幅広いが、被検査対象が厚板の場合にはある程度の深さに存在する欠陥に対して効果がない。
後者の周波数を低下させる手法を用いれば、検査対象の表面及び内部の両方に超音波を伝播できる。しかし、周波数の低下に伴い欠陥の検出感度が低下してしまう。そこで、超音波の変位振幅を大きくすることでき裂部分に開閉挙動などを誘起し、そこで発生する非線形超音波成分(入射周波数fに対して、2f、3f、…nf、もしくはf/2、f/3…f/nの応答がある)に着目した。非線形超音波成分は、き裂などの欠陥から発生する成分であり、高精度な欠陥の検出や評価、材料劣化計測などに応用できる可能性がある。
例えば、特許文献1は接合界面の微小欠陥を検出する技術である。
特開2001−305109号公報
ところが、特許文献1に記載の技術は、欠陥の有無の検出にのみ有効であり欠陥サイズの定量評価には用いられていない。
本発明の実施形態は、上述の事情を考慮してなされたものであり、被検査対象に生じた欠陥の位置及びサイズを定量的に評価して検査の確実性を向上できると共に、検査の効率化も実現できる超音波探傷装置及び方法を提供することを目的とする。
本発明に係る実施形態の超音波探傷装置は、電圧波形を生成する信号発生機構と、低周波且つ大振幅の超音波を被検査対象へ送信する超音波送信機構と、前記被検査対象からの超音波エコーを受信する超音波受信機構と、増幅された超音波信号をデジタル化してデジタル超音波信号とするAD変換機構と、前記デジタル超音波信号中の超音波エコーを逆問題演算して、前記超音波エコーの発生位置を散乱源空間分布として得る演算機構と、前記散乱源空間分布における各位置の超音波エコーを任意の周波数成分でフィルタリングするフィルタリング機構と、前記フィルタリング機構にて得られた各位置の超音波エコーの基本波成分及び非線形超音波成分について強度を抽出し、これらの基本波成分及び非線形超音波成分の発生効率を算出する強度抽出機構と、前記デジタル超音波信号、前記散乱源空間分布、この散乱源空間分布の各位置における基本波成分及び非線形超音波成分の強度、これらの基本波成分及び非線形超音波成分の発生効率の少なくとも一部を表示する表示機構と、前記信号発生機構、前記超音波送信機構、前記超音波受信機構、前記AD変換機構、前記演算機構、前記フィルタリング機構、前記強度抽出機構、前記表示機構の少なくとも一機構を制御する制御機構と、を有して構成されたことを特徴とするものである。
また、本発明に係る実施形態の超音波探傷方法は、電圧波形を生成する信号発生ステップと、低周波且つ大振幅の超音波を被検査対象へ送信する超音波送信ステップと、前記被検査対象からの超音波エコーを受信する超音波受信ステップと、増幅された超音波信号をデジタル化してデジタル超音波信号とするAD変換ステップと、前記デジタル超音波信号中の超音波エコーを逆問題演算して、前記超音波エコーの発生位置を散乱源空間分布として得る演算ステップと、前記散乱源空間分布における各位置の超音波エコーを任意の周波数成分でフィルタリングするフィルタリングステップと、前記フィルタリングステップにて得られた各位置の超音波エコーの基本波成分及び非線形超音波成分について強度を抽出し、これらの基本波成分及び非線形超音波成分の発生効率を算出する強度抽出ステップと、前記デジタル超音波信号、前記散乱源空間分布、この散乱源空間分布における各位置の基本波成分及び非線形超音波成分の強度、これらの基本波成分及び非線形超音波成分の発生効率の少なくとも一部を表示する表示ステップと、を有することを特徴とするものである。
本発明の実施形態によれば、被検査対象に生じた欠陥の位置及びサイズを定量的に評価して検査の確実性を向上できると共に、検査の効率化も実現できる.
本発明に係る超音波探傷装置の第1実施形態を示す構成図。 図1の被検査対象から発生する形状エコーと欠陥エコーを概念的に示す斜視図。 図1の超音波送信機構がレーザ超音波送信機構の場合を示す超音波探傷装置の構成図。 図1の超音波受信機構がレーザ干渉計またはレーザ振動計の場合を示す超音波探傷装置の構成図。 図1〜図4の被検査対象での超音波の伝播形態を示し、(A)は入射超音波が高周波の場合、(B)は入射超音波が低周波の場合をそれぞれ示す説明図。 図1〜図4の被検査対象における欠陥の開閉挙動現象を説明する説明図。 (A)は、図1〜図4の被検査対象における欠陥から生ずる非線形超音波成分を説明する説明図、(B)は、図7(A)の主に高調波成分を周波数分析したときの分析結果を示すグラフ、(C)は、図7(A)の主に分調波成分を周波数分析したときの分析結果を示すグラフ。 図1〜図4の欠陥の形態を示し、(A)が斜視図、(B)が平面図。 (A)は、図1〜図4の欠陥から生じた超音波エコーの高調波成分とその周波数分析結果を示す説明図、(B)は図1〜図4の欠陥から生じた超音波エコーの分調波成分とその周波数分析結果を示す説明図。 図1〜図4の被検査対象から生じた形状エコーと欠陥エコーにおいて基本波成分及び非線形超音波成分の出力形態が異なる様子を模式的に示す斜視図。 本発明に係る超音波探傷装置の第2実施形態を示す構成図。 図11の超音波送信機構及び超音波受信機構が被検査対象と非接触状態にある場合を示す構成図。 図12の超音波受信機構が欠陥から水中に漏洩した漏洩超音波を受信する様子を模式的に示す説明図。 本発明に係る超音波探傷装置の第3実施形態を示す構成図。 図14の超音波送信機構のみが複数個ある場合を示す構成図。 図14の超音波受信機構のみが複数個あり、且つそれぞれがレーザ干渉計またはレーザ振動計の場合を示す構成図。 図14の超音波送信機構及び超音波受信機構が走査機構により操作されるよう構成された一例を示す構成図。 本発明に係る超音波探傷装置の第4実施形態を示す構成図。 図18の撮像装置が2台設置された場合を示す構成図。 図18の撮像装置にパターンレーザ照射装置が取り付けられた例を示す構成図。
以下、本発明を実施するための実施形態を図面に基づき説明する。
[A]第1実施形態(図1〜図10)
図1は、本発明に係る超音波探傷装置の第1実施形態を示す構成図であり、図2は、図1の被検査対象から発生する形状エコーと欠陥エコーを概念的に示す斜視図である。図1に示す超音波探傷装置10は、低周波且つ大振幅の超音波(入射超音波Ui)を被検査対象1へ送信して、この被検査対象1を広範囲に探傷すると共に、被検査対象1の欠陥Dから生ずる非線形超音波成分(高調波成分Uh、分調波成分Us)を受信して欠陥Dを検出するものであり、信号発生機構11、印加電圧増幅機構12、超音波送信機構13、超音波受信機構14、受信信号増幅機構15、AD変換機構16、演算機構17、フィルタリング機構18、強度抽出機構19、表示機構20及び制御機構21を有して構成される。
信号発生機構11は、電圧波形を生成する信号発生ステップを実行するものであり、その制御はデジタル、アナログどちらの形式でもよいものとし、その出力はアナログ電圧信号となる。信号発生機構11からの発生可能な波形は、基本的な正弦波、矩形波、のこぎり波もしくは三角波に加え、チャープ波、M系列波形、または複数周波数の重ね合わせから成るミキシング波があり、その他の波形も発生できる。発生する電圧の波数については、パルス波、連続波、バースト波など任意の波数で送信できる。まは、信号発生機構11の出力系統は1以上とする。
印加電圧増幅機構12は、電圧波形の振幅を任意の強度まで増幅する印加電圧増幅ステップを実行するものである。また、そのとき入力された印加電圧を時間窓で区切ることで、部分的な高強度化が可能になる。信号発生機構11と印加電圧増幅機構12は図1のように別個ではなく、ユニットに組み込まれていてもよい。
超音波送信機構13は、低周波且つ大振幅の入射超音波Uiを被検査対象1へ送信して、この被検査対象1の広範囲に超音波振動を励起する超音波送信ステップを実行するものである。ここで、低周波且つ大振幅の入射超音波Uiは、周波数が1MHz以下で、且つ変位振幅が数十nm以上の超音波である。
また、この超音波送信機構13は、セラミクス、複合材料もしくはそれら以外の材料の圧電効果により超音波を発生できる圧電素子や高分子フィルムによる圧電素子、またはこれらの圧電素子以外で超音波を発生できる機構と、超音波の発振面に取り付けられた前面板とを有する構成とする。ランジュバン振動子(後述)や磁歪効果をもつアクチュエータなども、超音波発生機構14として使用できる。
また、信号発生機構11と印加電圧増幅機構12と超音波送信機構13の組み合わせに代えて、図3に示すように超音波送信機構13として、パルスレーザを被検査対象1の表面に照射して弾性波を励起するレーザ超音波送信機構22などを用いても良い。このとき使用するレーザは、例えばNd:YAGレーザ、CO2レーザ、Er:YAGレーザ、チタンサファイアレーザ、アレキサンドライトレーザ、ルビーレーザ、色素(ダイ)レーザまたはエキシマレーザなどが挙げられ、これ以外のレーザ光源も考えられる。
超音波受信機構14は、被検査対象1からの超音波エコー(図2に示す後述の形状エコーUc、欠陥エコーUd)を受信超音波Urとして受信する超音波受信ステップを実行するものであり、超音波を受信できるものであれば特に制限はない。セラミクス、複合材料もしくはそれら以外の材料の圧電効果により超音波を受信できる圧電素子や高分子フィルムによる圧電素子またはこれらの圧電素子以外の超音波を受信できる機構と、超音波の発振面に取り付けられた前面板とを有し、一般に超音波探触子と呼ばれるものである。また、この超音波受信機構14は、圧電素子と金属ブロックの組合せからなるランジュバン振動子、電磁超音波探触子、磁歪センサ、または図4に示すようにレーザを被検査対象1に照射してそのドプラシフトを観察するレーザ干渉計23やレーザ振動計24などでもよい。なお、超音波送信機構13と超音波受信機構14は、同一の素子によって兼用することも可能であり、その場合には、超音波をダンピングするダンピング材を加えた構成とする。
ここで、レーザ干渉計23としては、例えばマイケルソン干渉計、ホモダイン干渉計、ヘテロダイン干渉計、フィゾー干渉計、マッハツェンダ干渉計、ファブリ=ペロー干渉計またはフォトリフラクティブ干渉計などが挙げられ、これら以外のレーザ干渉計も考えられる。また、干渉計測以外の方法としてナイフエッジ法も考えられる。
受信信号増幅機構15は、受信された超音波エコーの超音波信号を増幅する受信信号増幅ステップを実行するものであり、一般に、プリアンプと呼ばれるものである。この受信信号増幅機構15は他の機器、例えば超音波受信機構14やAD変換機構16に組み込まれていても、もしくは別個に構成されていてもよい。更に、AD変換機構16は、受信信号増幅機構15にて増幅された超音波信号をデジタル化してデジタル超音波信号とするAD変換ステップを実行するものである。
前述の信号発生機構11及び印加電圧増幅機構12で生成された電圧は超音波送信機構13に印加され、この超音波送信機構13は、被検査対象1に低周波且つ大振幅の入射超音波Uiを送信する。従来のサイジングまでを目的とした超音波探傷では、高い周波数を使用するため図5(A)に示すような狭い伝播形態をとり、探傷可能範囲は限定的であった。これに対し、本実施形態の入射超音波Uiは低周波であるため、その指向性の低さと伝播減衰率の低さから、図5(B)に示すように、被検査対象1の表面及び内部全域にわたって伝播する。そして、被検査対象1に存在する欠陥Dに入射超音波Uiが到達すると、欠陥Dから欠陥エコーUd(図2)が発生する。
また、入射超音波Uiが大振幅であるため、図6に示すように、欠陥Dの欠陥界面D1と欠陥界面D2とでクラッピング等と呼ばれる開閉挙動現象が起こり、欠陥界面D1と欠陥界面D2とが叩き合ったり擦れあったりする。この現象は、入射超音波Uiの圧縮相のみを透過させ引張相を透過させない整流効果を引き起こす。他にも、欠陥界面D1と欠陥界面D2に働くせん断成分によりこれらの欠陥界面D1、D2に滑りが生じたり、欠陥界面D1が振動して欠陥界面D2に衝突し、この欠陥界面D2を振動させるような挙動を起こす現象が知られている。
これらの整流効果や滑り現象などにより、図7に示すように、入射超音波Uiの入射周波数fiが2倍、3倍、4倍…n倍となる高調波成分Uhや、入射周波数fiが1/2倍、1/3倍、1/4倍…1/n倍となる分調波成分Usが発生する非線形現象が起きる。これらの非線形超音波成分は、周波数が入射周波数fiである基本波成分と共に、欠陥エコーUdに含まれて観察される。図7(A)では、高調波成分Uhと分調波成分Usの特徴を分けて図示しているが、これらが複合的に発生する場合もある。尚、非線形現象は、超音波送信機構13の内部や、超音波送信機構13と被検査対象1との界面、後述の水34等の音響媒質中などでも発生する。
この非線形現象は、被検査対象1の欠陥Dの有無によって、受信超音波Urの高調波成分Uh及び分調波成分Usを周波数分析(FFT等)したときの周波数成分の強度変化となって現れる(図7(B)及び(C))。この周波数成分の強度は、図7及び図8に示すように、入射超音波Uiの入射周波数fi及び入射波振幅Ai、欠陥Dの深さDa、長さDb及び開口幅Dd、並びに欠陥D周囲の応力Dpに依存して変化する。例えば、図9に示すように、ある長さDbをもつ欠陥Dでは2次高調波成分2fi、4次高調波成分4fiともに観察できるが、長さDbが半分となった別の欠陥Dでは、4次高調波成分4fiの強度が2次高調波成分2fiの強度よりも高くなる等の現象が起こる。
一方、低周波且つ大振幅の入射超音波Uiは被検査対象1内を広域に伝播するため、被検査対象1の欠陥D以外からも超音波エコーが得られる場合がある。溶接部などの組成変化によって発生する場合もあるが、図2に示すように、大半は被検査対象1の底面2や縁3、コーナ部4からの超音波エコーである。これらを総称して形状エコーUcとする。形状エコーUcは欠陥Dの検出及び評価に際しては欠陥エコーUdと分離する必要がある。
高調波成分Uhは、欠陥Dの存在しないはずの超音波受信機構14の内部、音響媒質内、超音波受信機構14と検査対象1との接触界面などでも発生するため、形状エコーUcからも検出される。しかしながら、欠陥エコーUdに現れる高調波成分Uhは、発生メカニズムが欠陥Dに依存するため、形状エコーUcの高調波成分Uhに対して周波数成分の強度が異なる。また、分調波成分Usは、欠陥Dと超音波との相互作用でのみ発生することが知られている。
上述の非線形超音波成分(高調波成分Uh、分調波成分Us)を含む超音波エコー(形状エコーUc、欠陥エコーUd)は、図1に示す超音波受信機構14で受信され、この受信された超音波エコーの超音波信号が受信信号増幅機構15にて増幅され、この増幅された超音波信号がAD変換機構16によりデジタル超音波信号に変換され、演算機構17へ出力される。
演算機構17は、AD変換機構16からのデジタル信号中の超音波エコーを逆問題演算して、超音波エコー(形状エコーUc、欠陥エコーUd)の発生位置を求めて散乱源空間分布を得る演算ステップを実行するものである。逆問題演算の演算手法としては、飛行時間法や相関処理が挙げられるが、その他の信号処理方法であってもよい。この演算機構17で得られた散乱源空間分布は、フィルタリング機構18へ出力される。
フィルタリング機構18は、散乱源空間分布における各位置の超音波エコー(形状エコーUc、欠陥エコーUd)を任意の周波数成分でフィルタリングし、図7(B)、(C)及び図9に示すように、周波数分析(例えばFFT)により各周波数成分毎の強度を求めるフィルタリングステップを実行するものであり、アナログ、デジタルのどちらでもよい。
デジタルの場合には回路として存在しても良いし、他の機器、例えば制御機構21等に組み込まれたソフトウエアでもよい。フィルタの種類はハイパス、ローパス、バンドパス、バンドエリミネーションなどがある。伝達関数はバターワースフィルタ、ベッセルフィルタ、チェビシェフフィルタ、連立チェビシェフフィルタ、コムフィルタ、FFT−逆FFTフィルタなどがあり、これ以外のフィルタも考えられる。
図1に示す強度抽出機構19は、フィルタリング機構18にて得られた被検査対象1の各位置の超音波エコー(形状エコーUc、欠陥エコーUd)における基本波成分及び非線形超音波成分(高調波成分Uh、分調波成分Us)について強度を抽出し、これらの基本波成分及び非線形超音波成分の発生効率を算出する強度抽出ステップを実行するものである。ここで、発生効率とは、超音波エコー(形状エコーUc、欠陥エコーUd)に発生する基本波成分(周波数が入射周波数fi)と非線形超音波成分(高調波成分(周波数が2fi、3fi、4fi…)、分調波成分(周波数がfi/2、fi/3、fi/4…))についての入射超音波Uiの変位振幅に対する強度の割合をいう。
表示機構20は、AD変換機構16にて得られたデジタル超音波信号と、演算機構17にて得られた散乱源空間分布と、フィルタリング機構18にて得られた散乱源空間分布の各位置における基本波成分及び非線形超音波成分の強度と、強度抽出機構19で得られた基本波成分及び非線形超音波成分の発生効率との少なくとも1つを表示する表示ステップを実行するものである。更に、この表示機構20では、入射超音波Uiの入射周波数fiや計測条件なども表示できる。また、表示機構20はタッチパネルなどのように、画面から直接情報を入力する機能をもたせることもできる。
図10では、被検査対象1について得られた散乱源空間分布における超音波エコーの発生位置と、各位置における基本波成分及び非線形超音波成分の強度が表示されている。図10中の丸表示の模様が基本波成分(周波数が入射周波数fi)と非線形超音波成分(周波数が2fi、3fi、…、fi/2、fi/3、…)の区分を示し、丸表示の大きさが各基本波成分と非線形超音波成分の強度の大きさを示している。
超音波探傷装置10のオペレータは、表示機構20に表示された例えば図10に示す表示内容を観察することで、基本波成分(周波数が入射周波数fi)の強度が大きく、且つ高調波成分(周波数2fi、3fi)の強度が大きい超音波エコーの場合には、この超音波エコーが形状エコーUcであると判断でき、基本波成分(周波数が入射周波数fi)の強度が小さく、且つ高調波(周波数が2fi、3fi)及び分調波(周波数がfi/2)の強度が大きい超音波エコーの場合には、この超音波エコーが欠陥エコーUdであると判断できる。超音波探傷装置10のオペレータは、上述のように超音波エコーにおける基本波成分と非線形超音波成分の強度または発生効率の相違を確認することで、欠陥Dの有無と、その欠陥Dの位置及びサイズを評価することが可能になる。
図1に示す制御機構21は、信号発生機構11、印加電圧増幅機構12、超音波送信機構13、超音波受信機構14、受信信号増幅機構15、AD変換機構16、演算機構17、フィルタリング機構18、強度抽出機構19及び表示機構20の少なくとも一機構を制御する機能を有する。更に、この制御機構21は、超音波探傷装置10のオペレータがこの超音波探傷装置10を制御するためのユーザインタフェース及び表示部を備え、設定値の変更や測定結果の確認などを容易に実行可能に構成されている。
この制御機構21は、超音波探傷装置10の一部もしくは全体を制御するが、このうちの信号発生機構11、印加電圧増幅機構12、超音波送信機構13、超音波受信機構14、受信信号増幅機構15、AD変換機構16、演算機構17、フィルタリング機構18または強度抽出機構19は、制御機構21によらず、別個に独立して調整及び駆動可能に構成されてもよい。
尚、超音波探傷装置10は、AD変換機構16にて得られたデジタル超音波信号と、演算機構17にて得られた散乱源空間分布と、フィルタリング機構18にて得られた散乱源空間分布の各位置における基本波成分及び非線形超音波成分の強度と、強度抽出機構19で得られた基本波成分及び非線形超音波成分の発生効率との全てまたは一部の情報を用いて、被検査対象1の各位置に生じた超音波エコーが形状エコーUcであるか、欠陥エコーUdであるかを識別する識別ステップを実行する識別機構25(図1)を備えてもよい。この識別機構25は、個別の機器として設けられるほか、例えば強度抽出機構19に組み付けられて構成されてもよい。この識別機構25にて得られた識別情報も、表示機構20に表示される。
以上のように構成されたことから、本実施形態の超音波探傷装置10によれば、次の効果(1)を奏する。
(1)被検査対象1に低周波の超音波を入射超音波Uiとして送信することでこの超音波を広範囲に伝播して検査範囲を拡大でき、検査の効率化を実現できる。また、被検査対象1に大振幅の超音波を入射超音波Uiとして送信することで、被検査対象1の欠陥Dに開閉挙動現象や滑り現象などを誘起して非線形超音波成分(高調波成分Uh、分調波成分Us)を発生させ、これによりに被検査対象1に生じた欠陥Dの位置及びサイズを定量的に評価して検査の確実性を向上させることができる。
[B]第2実施形態(図11〜図13)
図11は、本発明に係る超音波探傷装置の第2実施形態を示す構成図である。この第2実施形態が第1実施形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
本第2実施形態の超音波探傷装置30が第1実施形態と異なる点は、超音波送信機構31及び超音波受信機構32、並びにこれらの超音波送信機構31及び超音波受信機構32に接続されるケーブル33が防水構造に構成され、音響媒体としての水34中で使用可能に構成された点である。ここで、水34は純水だけでなく、市水、工業用水、海水、油等、音響媒体として作用する液体であれば構わない。
防水機構は、ケーブル33については防水性素材による被覆を行うことによりなされ、また、超音波送信機構31及び超音波受信機構32については密閉してケーシングしつつ、ケーブル33との接続部を樹脂などで充填する、もしくは超音波送信機構31及びケーブル33、超音波受信機構32及びケーブル33のそれぞれの全体を覆うカバーを装着するなどによりなされるが、超音波送信機構31と超音波受信機構32の電圧印加部分やケーブル33が水34から分離されていれば上述した方法以外でもよい。
このとき超音波送信機構31は、水34が音響媒質となるため被検査対象1に直接設置させてもよいし、図12に示すようにギャップtをとってもよい。但し、そのギャップtは、必ず水34もしくはそれに超音波特性が類する媒質で満たされることを条件とする。
超音波受信機構32は、水34中で超音波計測ができるものであればよく、例えばハイドロフォン35やレーザ干渉計36、レーザ振動計37を用いてもよい。レーザ干渉計36やレーザ振動計37を用いる場合には、被検査対象1の表面にレーザを照射してもよいし、図13に示すように、水34中に反射体38を別途配置して、水34中に漏洩してくる漏洩超音波Ueを受信し、その振動の変化を観察してもよい。この漏洩超音波Ueの受信はハイドロフォン35でも実施できるが、この場合には反射体38は不要である。
以上のように構成されたことから、本第2実施形態の超音波探傷装置30によっても、第1実施形態の効果(1)と同様な効果を奏するほか、次の効果(2)及び(3)を奏する。
(2)超音波送信機構31及び被検査対象1が水34中に存在するため、超音波送信機構31と被検査対象1とが密着していなくても入射超音波Uiが伝播するという効果がある。
(3)欠陥Dからのみ発生した非線形超音波成分(高調波成分Uh、分調波成分Us)が水34中に漏洩するため、超音波受信機構32において、欠陥Dから局所的に発生する非線形超音波成分(高調波成分Uh、分調波成分Us)を検出できる。その際、広帯域なハイドロフォン35が使用できるほか、レーザ干渉計36などでも同様に非線形超音波成分(高調波成分Uh、分調波成分Us)を検出できる。このとき、水34中に別途設置した反射体38を用いることで、レーザ干渉計36またはレーザ振動計37は、水34に漏洩してきた漏洩超音波Ueによる光路変化を安定した感度で計測することができる。
[C]第3実施形態(図14〜図17)
図14は、本発明に係る超音波探傷装置の第3実施形態を示す構成図である。この第3実施形態が第1実施形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
本第3実施形態の超音波探傷装置40が第1実施形態と異なる点は、図14〜図16に示すように、超音波送信機構13と超音波受信機構14のうちの片方もしくは両方が複数個備えられ、または超音波送信機構13と超音波受信機構14の片方もしくは両方(本実施形態では両方)が走査機構41により走査可能に構成された点である。
超音波送信機構13が複数個設けられる場合には、信号発生機構11及び印加電圧増幅機構12は、これらの超音波送信機構13に対応して複数個設けられるか、または複数個の超音波送信機構13毎に電圧波形を生成し(信号発生機構11の場合)、その電圧波形を増幅する(印加電圧増幅機構12の場合)よう構成されている。
また、超音波受信機構14が複数個設けられる場合には、受信信号増幅機構15及びAD変換機構16は、これらの超音波受信機構14に対応して複数個設けられるか、または複数個の超音波受信機構14毎に超音波信号を増幅し(受信信号増幅機構15の場合)、デジタル化する(AD変換機構16の場合)よう構成される。それぞれ単一の信号発生機構11、印加電圧増幅機構12、受信信号増幅機構15及びAD変換機構16が超音波送信機構13、超音波受信機構14の複数個に対応する手法としては、複数のチャンネルを持つ手法、切換器により信号等を順番に切り換えていく手法、またはこれらの両者を用いる手法がある。
更に、演算機構17は、複数個の超音波受信機構14のそれぞれから得られたデジタル信号中の超音波エコー(形状エコーUc、欠陥エコーUd)を、または走査機構41による走査によって超音波受信機構14の各測定位置で得られたデジタル信号中の超音波エコー(形状エコーUc、欠陥エコーUd)を、それぞれ逆問題演算することで超音波の発生位置を特定して散乱源空間分布を得る。
この場合の逆問題演算は、飛行時間法や相関処理、開口合成処理等が用いられる。尚、複数個の超音波送信機構13、超音波受信機構14と、走査機構41により走査される超音波送信機構13、超音波受信機構14とは、被検査対象1の表面に密着される場合に限らず、水34(第2実施形態)中での構成、またはレーザ干渉計23やレーザ振動計24を用いる場合のように、被検査対象1の表面から離れて配置されてもよい(図16)。
以上のように構成されたことから、本第3実施形態によれば、第1実施形態の効果(1)と同様な効果を奏するほか、次の効果(4)を奏する。
(4)超音波送信機構13、超音波受信機構14が複数個備えられたことで、被検査対象1の複数点で超音波信号が得られる。または、超音波送信機構13、超音波受信機構14が走査されることでも被検査対象1の複数点で超音波信号が得られる。これらの複数点で得られた超音波信号を用いて演算機構17が逆問題演算を行うことで、欠陥Dの存在に関して特徴ある信号が発生した位置を確実に特定できるので、欠陥Dの位置等の特定を確実化できる。
[D]第4実施形態(図18〜図20)
図18は、本発明に係る超音波探傷装置の第4実施形態を示す構成図である。この第4実施形態において、第1実施形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
本第4実施形態の超音波探傷装置50が第1実施形態と異なる点は、被検査対象1における超音波による探傷範囲をこの超音波探傷と同時に撮像する撮像機構51を備え、表示機構20が、欠陥Dの位置などの欠陥情報を、撮像機構51にて得られた画像に重畳して表示するよう構成された点である。
ここで、撮像機構51は、光学的な情報を記録可能であれば、一般的な光学カメラや内視鏡等の小型カメラなどでもよい。波長も赤外線、紫外線、X線等のように可視光に限らない。また、撮像機構51は、独立して設置されてもよいが、超音波送信機構13もしくは超音波受信機構4にアーム等で一体に連結されてもよい。
更に、撮像機構51は、図19に示すように、複数台、例えば2台並設されてステレオ視が可能な構成とし、3次元画像が得られるようにしてもよい。また、撮像機構51は、図20に示すように、被検査対象1の表面にレーザパターンを照射するパターンレーザ照射装置52と組み合わされて、レーザパターンが照射された被検査対象1の表面を撮像することで、被検査対象1の表面の形状(例えば湾曲面)を認識し易くしてもよい。
以上のように構成されたことから、本第4実施形態においても、第1実施形態の効果(1)と同様な効果を奏するほか、次の効果(5)を奏する。
(5)表示機構20には、超音波探傷結果が、撮像機構51により得られた被検査対象1の表面の画像に重畳して表示されるので、探傷結果をより明確に表示できる。また、例えば2台の撮像機構51によるステレオ視やパターンレーザ照射装置52との組み合わせにより、被検査対象1の表面形状が現実に即して明確に表示される。これらの結果、欠陥Dの位置などの特定を高精度に実現できる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができ、また、それらの置き換えや変更は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 被検査対象
10 超音波探傷装置
11 信号発生機構
12 印加電圧増幅機構
13 超音波送信機構
14 超音波受信機構
15 受信信号増幅機構
16 AD変換機構
17 演算機構
18 フィルタリング機構
19 強度抽出機構
20 表示機構
21 制御機構
25 識別機構
30 超音波探傷装置
31 超音波送信機構
32 超音波受信機構
33 ケーブル
34 水
35 ハイドロフォン
36 レーザ干渉計
37 レーザ振動計
38 反射体
40 超音波探傷装置
41 走査機構
50 超音波探傷装置
51 撮像機構
D 欠陥
Uc 形状エコー
Ud 欠陥エコー
Uh 高調波成分
Us 分調波成分

Claims (11)

  1. 電圧波形を生成する信号発生機構と、
    低周波且つ大振幅の超音波を被検査対象へ送信する超音波送信機構と、
    前記被検査対象からの超音波エコーを受信する超音波受信機構と、
    増幅された超音波信号をデジタル化してデジタル超音波信号とするAD変換機構と、
    前記デジタル超音波信号中の超音波エコーを逆問題演算して、前記超音波エコーの発生位置を散乱源空間分布として得る演算機構と、
    前記散乱源空間分布における各位置の超音波エコーを任意の周波数成分でフィルタリングするフィルタリング機構と、
    前記フィルタリング機構にて得られた各位置の超音波エコーの基本波成分及び非線形超音波成分について強度を抽出し、これらの基本波成分及び非線形超音波成分の発生効率を算出する強度抽出機構と、
    前記デジタル超音波信号、前記散乱源空間分布、この散乱源空間分布の各位置における基本波成分及び非線形超音波成分の強度、これらの基本波成分及び非線形超音波成分の発生効率の少なくとも一部を表示する表示機構と、
    前記信号発生機構、前記超音波送信機構、前記超音波受信機構、前記AD変換機構、前記演算機構、前記フィルタリング機構、前記強度抽出機構、前記表示機構の少なくとも一機構を制御する制御機構と、を有して構成されたことを特徴とする超音波探傷装置。
  2. 前記低周波且つ大振幅の超音波は、周波数が1MHz以下で且つ変位振幅が数十nm以上の超音波であることを特徴とする請求項1に記載の超音波探傷装置。
  3. 前記デジタル超音波信号、散乱源空間分布、この散乱源空間分布の各位置における基本波成分及び非線形超音波成分の強度、これらの基本波成分及び非線形超音波成分の発生効率における一部もしくは全ての情報を用いて、被検査対象の形状に起因する形状エコーと、前記被検査対象の欠陥に起因する欠陥エコーとを識別する識別機構を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の超音波探傷装置。
  4. 前記超音波送信機構及び超音波受信機構並びにこれらの機構に接続されるケーブルが防水構造に構成され、水中にて使用可能に構成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波探傷装置。
  5. 前記超音波送信機構と超音波受信機構のうち片方もしくは両方を複数個備え、演算機構は、複数個の前記超音波受信機構のそれぞれから得られたデジタル超音波信号中の超音波エコーを逆問題演算することで、前記超音波エコーの発生位置を特定するよう構成されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波探傷装置。
  6. 前記超音波送信機構と超音波受信機構のうち片方もしくは両方が走査機構により走査され、演算機構は、前記超音波受信機構の各測定位置で得られたデジタル超音波信号中の超音波エコーを逆問題演算することで、前記超音波エコーの発生位置を特定するよう構成されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波探傷装置。
  7. 前記超音波受信機構は、ハイドロフォン、レーザ干渉計またはレーザ振動計にて構成され、被検査対象の欠陥から水中に漏洩した漏洩超音波を受信するよう構成されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の超音波探傷装置。
  8. 前記被検査対象における超音波による探傷範囲を撮像する撮像機構を備え、表示機構は、欠陥位置などの欠陥情報を、前記撮像機構にて得られた画像に重畳して表示するよう構成されたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の超音波探傷装置。
  9. 電圧波形を生成する信号発生ステップと、
    低周波且つ大振幅の超音波を被検査対象へ送信する超音波送信ステップと、
    前記被検査対象からの超音波エコーを受信する超音波受信ステップと、
    増幅された超音波信号をデジタル化してデジタル超音波信号とするAD変換ステップと、
    前記デジタル超音波信号中の超音波エコーを逆問題演算して、前記超音波エコーの発生位置を散乱源空間分布として得る演算ステップと、
    前記散乱源空間分布における各位置の超音波エコーを任意の周波数成分でフィルタリングするフィルタリングステップと、
    前記フィルタリングステップにて得られた各位置の超音波エコーの基本波成分及び非線形超音波成分について強度を抽出し、これらの基本波成分及び非線形超音波成分の発生効率を算出する強度抽出ステップと、
    前記デジタル超音波信号、前記散乱源空間分布、この散乱源空間分布における各位置の基本波成分及び非線形超音波成分の強度、これらの基本波成分及び非線形超音波成分の発生効率の少なくとも一部を表示する表示ステップと、を有することを特徴とする超音波探傷方法。
  10. 前記低周波且つ大振幅の超音波は、周波数が1MHz以下で且つ変位振幅が数十nm以上の超音波であることを特徴とする請求項9に記載の超音波探傷方法。
  11. 前記デジタル超音波信号、散乱源空間分布、この散乱源空間分布における各位置の基本波成分及び非線形超音波成分の強度、これらの基本波成分及び非線形超音波成分の発生効率における一部もしくは全ての情報を用いて、被検査対象の形状に起因する形状エコーと、前記被検査対象の欠陥に起因する欠陥エコーとを識別する識別ステップを備えたことを特徴とする請求項9または10に記載の超音波探傷方法。
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