以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施形態を説明する。
第1の実施形態
図1は、本実施形態に係る呼気成分測定アセンブリ1を示す斜視図であり、図2(a)は、本実施形態に係る呼気成分測定装置10を示す正面図であり、同図(b)は、その側面図であり、同図(c)は、その上面図である。また、図3(a)は、本実施形態に係るマウスピース30を示す上面図であり、同図(b)は、その正面図であり、同図(c)は、その側面図であり、同図(d)は、その背面図であり、同図(e)は、その底面図である。また、図4(a)は、図3(a)におけるA−A断面図であり、同図(b)は、図3(b)におけるB−B断面図であり、同図(c)は、図3(b)におけるC−C断面図である。
呼気成分測定アセンブリ1は、被験者の呼気に含まれる検知対象ガス成分であるアルコールガス濃度を測定する装置であり、図1および図5に示すように、金属又は樹脂などの硬質材料のケーシングを有する呼気成分測定装置10と、呼気成分測定装置10に着脱可能に取付けられ、樹脂などの硬質材料からなるマウスピース30とから構成されている。
呼気成分測定アセンブリ1の呼気成分測定装置10は、マウスピース30に吹き込まれた呼気を取得する装置であり、 呼気成分測定装置10の外部には、図2(a)および図2(b)に示すように、電源スイッチ12と、操作ボタン等の入力インターフェース13と、被験者が呼気を吹き込むためのマウスピース30を取り付けるための取り付け部14と、呼気を内部に流入させる導入孔21aが設けられた突起21と、呼気中のガス(アルコール)濃度を測定するガスセンサの検出結果に基づいて呼気に含まれる検知対象ガス成分の測定結果等を表示する例えばLCD(Liquid Crystal Display)である表示部11aとを備えている。
本実施形態において、呼気成分測定装置10は、図示しないが、後述する情報処理端末7等の外部機器と接続するための通信ケーブルが接続される通信インターフェース、および外部からの電力を供給する電源コードが接続されるための電源入力端子等を備えている。呼気成分測定装置10は、電源として、内部に乾電池等のバッテリーを内蔵可能となっており、利用者によって携帯されることが可能となっている。
図2(b)および図2(c)に示すように、取り付け部14の側面には、マウスピース30と係合する係合片19が設けられており、係合片19が呼気成分測定装置10とマウスピース30とを連結している。取り付け部14には、マウスピース30が着脱自在に取り付けられる。
マウスピース30は、被験者が呼気を吹き込むための筒状の吹き込み手段であって、図3および図4に示すように、被験者が呼気を吹き込むための吹き込み口31と、呼気が排出される排出口32と、吹き込み口31と排出口32との間に形成され、吹き込み口31から吹き込まれた呼気を通過させる呼気流路33とを有している。
呼気流路33には、マウスピース30が呼気成分測定装置10に取付けられたとき、呼気成分測定装置10の突起21が嵌められる貫通孔34と、排出口32側に設けられ、呼気流路33を通過する呼気の流れを分離して音響を発生させる仕切壁36とが形成されている。貫通孔34が突起21に嵌められることにより、呼気流路33と突起21に形成された導入孔21aが連通させる。吹き込み口31から空気が流入すると、マウスピース30は、ホイッスルと同様に音を発する。被験者が故意に呼気を吹き込まなかったり、短時間だけマウスピースに呼気を吹き込んだりしても、マウスピース30から音が鳴らず、そのような不正行為は直ちに発覚する。例えば、被験者を監視または監督する人間の目の前で、アルコール濃度の測定を行う場合には、被験者は継続的に呼気をマウスピース20に吹き込まざるを得ない。
また、マウスピース30の外側部には、呼気成分測定装置10に取付けられた際、係合片19と係合される係合孔37が形成されている。図5に示すように、マウスピース30が取り付け部14に取り付けられたときに、呼気成分測定装置10の係合片19はマウスピース30の係合孔37に嵌められ、マウスピース30は取り付け部14に安定的に支持される。
次いで、呼気成分測定装置10の内部構成について説明する。呼気成分測定装置10は、図6に示すように、呼気成分測定装置10内部に吹き込まれた呼気のアルコール濃度を測定するガスセンサ15と、呼気成分測定装置10内部に吹き込まれた呼気の圧力を検知する圧力センサ16と、呼気を内部に蓄積する膨張収縮可能な容器であるエアバレル17と、エアバレル17を収縮させて、エアバレル17内部の呼気をガスセンサ15に導くソレノイド18とを備えている。また、呼気成分測定装置10内部における呼気の流路は、突起21に設けられた導入孔21aから吹き込まれた呼気をガスセンサ室15aに導く流路22と、ガスセンサ室15aとエアバレル17とを結ぶ流路23と、エアバレル17と圧力センサ16とを結ぶ流路24とを有している。ガスセンサ室15aも流路の一部であり、ガスセンサ15はガスセンサ室15aの内部に配置されている。
エアバレル17は、可撓性の材料で形成され、蛇腹形状を有する伸縮可能な気密性の容器であり、ソレノイド18は、このエアバレル17を縮小させる駆動機構である。そして、エアバレル17には、縮小した状態で呼気が吹き込まれ、呼気の気圧によりエアバレル17が膨張する。その後、ソレノイド18によりエアバレル17が縮小され、その内部に溜められた呼気がガスセンサ室15a内に押し戻される。
圧力センサ16は、呼気成分測定装置10内部に吹き込まれた呼気の圧力を検知する検知手段である。本実施形態では、ダイヤフラムの表面に半導体ひずみゲージを形成し、外部からの力(圧力)によってダイヤフラムが変形して発生するピエゾ抵抗効果による電気抵抗の変化を電気信号に変換する半導体ピエゾ抵抗拡散圧力センサが圧力センサ16として用いられている。
ガスセンサ15は、感ガス体を備え、呼気成分測定装置10のガスセンサ室15aの内部に収納され、呼気中のガスを検知する検知手段である。呼気流路に吹き込まれた呼気が感ガス体に接触する。本実施形態では、アルコールに触れると電流が流れる感ガス体を有し、流れた電流の値によって気体中のアルコール濃度を検知する電気化学式センサをガスセンサ15として用いている。この電気化学式センサとしては、例えば、アノード(anode)およびカソード(cathode)としてPt又はPt合金を用いるとともに、電解質として硫酸(H2SO4)を用い、アルコール分子が白金触媒に酸化されたときに生じる電流の変化を測定するものがある。
ガスセンサ15は、呼気に含まれるアルコール濃度を検知できればよく、例えば、金属酸化物に吸着させた酸素と、気体中のアルコールとの反応によって変化する電気抵抗によって気体中のアルコール濃度を検知する半導体センサなど、様々な方式のアルコールセンサが採用可能である。
ガスセンサ15は劣化することがある。このため、定期的に点検することが望ましい。特に上記の電気化学式センサは条件によっては劣化が加速されるが、他のタイプのセンサでも劣化は起こりうる。
本実施形態において、ガスセンサ15によるアルコール濃度の測定は、呼気成分測定装置10内に呼気が所定時間(例えば5秒間)継続的に吹き込まれたことを圧力センサ16が検知した場合に開始する。なお、気体の圧力以外の条件に基づいて、ガスセンサ15によるアルコール検知開始を判断してもよく、例えば、呼気成分測定装置10内部に、呼気成分測定装置10内の気体中の炭酸ガス濃度もしくは湿度を検知するセンサ、被験者の呼気により発生するマウスピース30での音響の発生を検知する音響センサ、または呼気成分測定装置10内の気体の温度を検知する温度センサ(サーミスタ)を設置し、このセンサに基づいて、呼気成分測定装置10内に呼気が所定時間継続的に吹き込まれたか否かを判断してもよい。
また、呼気成分測定装置10には、回路基板上にCPU等の制御処理部100が設けられている。この制御処理部100は、CPUやDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ、メモリ、およびその他の電子回路等のハードウェア、或いはその機能を持ったプログラム等のソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成された演算モジュールであり、プログラムを適宜読み込んで実行することにより種々の機能モジュールを仮想的に構築し、構築された各機能モジュールによって、上記の呼気成分の測定を制御するとともに、電源スイッチ12や操作ボタン等の入力や、表示部11aの出力等、呼気成分測定装置10の全体を制御する。
次いで、呼気成分測定装置10の機能モジュールについて説明する。図7(a)は、本実施形態に係る呼気成分測定装置10全体の構成を示すブロック図であり、同図(b)は、制御処理部100の内部モジュールを示すブロック図である。なお、説明中で用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
呼気成分測定装置10は、入力インターフェース13と、出力インターフェース11と、通信インターフェース25と、メモリ28と、制御処理部100とを備えている。
入力インターフェース13は、例えば、操作ボタンやタッチパネル、ジョグダイヤルなどユーザー操作を入力するデバイスである。出力インターフェース11は、ディスプレイやスピーカーなど、映像や音響を出力するデバイスである。特に、この出力インターフェース11には、ガスセンサ15の検出結果に基づいて呼気に含まれる検知対象ガス成分の測定結果や、操作ガイド等の情報を表示するLCDである表示部11aが含まれている。
通信インターフェース25は、通信ケーブルが接続される通信インターフェースであり、通信ケーブルによって接続された情報処理端末へ測定結果等を送信する。通信ケーブルの代わりに、Bluetooth(登録商標)などの無線通信が使用されてもよい。
メモリ28は、ROM、RAM等の各種データを格納するための記憶装置であり、ガスセンサ15による測定開始を決定する圧力センサ16に対するしきい値や、運転可否を決定するアルコール濃度に対するしきい値や、測定結果等の情報が記憶される。
制御処理部100は、CPU等の演算処理装置であり、この制御処理部100上で各種プログラムを実行することにより、各機能モジュールを仮想的に構築するモジュールである。本実施形態において、制御処理部100は、動作制御部102と、表示情報生成部103と、判定部104と、呼気流入判断部101と、アルコール濃度測定部105とを備えている。
動作制御部102は、呼気成分測定装置10の各装置を駆動させるモジュールであり、圧力センサ16、ガスセンサ15、および表示部11a等を駆動させる。特に、動作制御部102は、呼気が呼気成分測定装置10内部に吹き込まれ、圧力センサ16によって所定しきい値を越える圧力が継続的に検知されると、ソレノイド18を駆動させて、エアバレル17内の呼気をガスセンサ室15aに押し戻す。そして、動作制御部102は、ガスセンサ15を駆動させてアルコール濃度を検知させるように制御する。
呼気流入判断部101は、圧力センサ16の検出結果に基づいて、装置内の圧力値を算出し、呼気の流入開始と呼気の継続を判断するモジュールである。具体的に、呼気流入判断部101は、被験者から呼気が吹きかけられ、圧力センサ16において所定の圧力値が検出されると、所定時間(例えば約5秒間)をカウントしつつ、その所定時間内に圧力値を継続的に検知する。そして、呼気流入判断部101によって検知された圧力値が継続して所定のしきい値を越える場合に、動作制御部102はソレノイド18を駆動して、エアバレル17内の呼気をガスセンサ室15aに押し戻す。一定の圧力を越える呼気が継続することにより、アルコール濃度測定に必要な量の空気がエアバレル17内に得られるからである。被験者は、アルコール測定結果を得るためには、深く息を吸って長い時間呼気を出し続けなければならない。
アルコール濃度測定部105は、ガスセンサ15の検出結果に基づいて、呼気に含まれる検知対象ガス成分であるアルコール濃度を測定するモジュールであり、具体的には、動作制御部102によってエアバレル17内の空気が、ガスセンサ15に送り出された際に検出された検出結果に基づいて呼気中のアルコール濃度を算出する。
判定部104は、アルコール濃度測定部105が算出した検知対象ガス成分のアルコール濃度に基づいて、運転可否の判断を行うモジュールである。具体的に、判定部104は、算出された呼気中のアルコール濃度と、メモリ28に格納されたしきい値とを比較して、算出されたアルコール濃度がしきい値以下である場合には、運転可能であると判断する。
表示情報生成部103は、表示部11aに各種の情報を表示させるモジュールであり、例えば、電源スイッチ12が入力された信号を取得すると、息の吹きかけ開始の指示や、吹きかけ終了のメッセージなど、操作ガイドの情報を表示したり、ガスセンサ15によって検知されたアルコール濃度の数値や、判定部104による判定結果等を表示部11aに表示したりする。
次いで、上述した呼気成分測定アセンブリ1を用いた呼気成分測定システムについて、説明する。図8は、本実施形態に係る呼気成分測定システムを示す概念図であり、図9は、本実施形態に係る情報処理端末7の内部構成を示すブロック図である。
呼気成分測定システムは、呼気成分測定アセンブリ1と、呼気成分測定アセンブリ1の呼気成分測定装置10に通信ケーブルを介して電気的に接続された情報処理端末(コンピュータ)7とを備えており、呼気成分測定アセンブリ1で計測された測定結果の情報等が情報処理端末7に送信される。通信ケーブルの代わりに、Bluetooth(登録商標)などの無線通信が使用されてもよい。
情報処理端末7(7aおよび7b)は、CPUによる演算処理機能、および通信インターフェースによる通信処理機能を備えたコンピュータであり、パーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータや、機能を特化させた専用装置により実現することができる。情報処理端末7は、モバイルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistance)、スマートフォン携帯電話機であってもよい。そして、この情報処理端末7(7aおよび7b)には、通信機能、アプリケーションソフトの実行機能、およびGPS機能等の機能が搭載されている。また、情報処理端末7(7aおよび7b)は、被験者を撮影する撮像手段であるデジタルカメラ77を備えており、被験者の静止画を撮影する。
情報処理端末7としては、図8(a)に示すように、自動車の運転者である被験者が所有する携帯型の端末7aであってもよいし、図8(b)に示すように、旅客自動車運送事業者または貨物自動車運送事業者の営業所に設置される固定型の端末7bであってもよい。本発明に係る呼気成分測定方法を実行するため、携帯型の端末7aは、携帯型端末用のアプリーション(測定結果処置プログラム)を記憶し、これを実行し、固定型の端末7bは固定型端末用のアプリーション(測定結果処置プログラム)を記憶し、これを実行する。
携帯型の端末7aは、携帯型端末用の測定結果処置プログラムに従って、携帯電話通信網を介して、事業者の営業所に設置されたコンピュータに測定結果、被験者を示す情報、および端末7aの位置情報を送信する。一方、固定型の端末7bは、固定型端末用の測定結果処置プログラムに従って、被験者を示す情報および測定結果を保存する。
情報処理端末7は、図9に示すように、ユーザーインターフェースのモジュールとして入力インターフェース72と、出力インターフェース73とを備えている。入力インターフェース72は、操作ボタンやタッチパネル、ジョグダイヤルなどユーザー操作を入力するデバイスである。出力インターフェース73は、ディスプレイやスピーカーなど、映像や音響を出力するデバイスである。特に、この出力インターフェース73には、例えば液晶ディスプレイである表示部73aが含まれている。
また、情報処理端末7は、通信のモジュールとして通信インターフェース71を備えている。通信インターフェース71は、無線通信又は有線通信によって、携帯電話通信網またはIP網等の通信ネットワークを通じて、各種データを送受信するモジュールである。
さらに、情報処理端末7はメモリ75と、デジタルカメラ77とを備えている。メモリ75は、各種データを格納するための記憶装置であり、このメモリ75には、測定結果処置プログラムの他、被験者の氏名、電話番号、および利用している車両番号等の個人情報が関連付けて記憶されている。被験者の個人情報は、被験者を識別する識別情報と関連付けられており、測定時に例えば被験者がIDおよびパスワードを入力したり、ICカード等の識別情報が記録された記録媒体を読み取ったりすることで、被験者を認識するようにしてもよい。デジタルカメラ77は、被験者を撮影する撮像手段であり、アプリケーション実行部74の制御によって、被験者の静止画を撮像する。
また、情報処理端末7は、アプリケーション実行のモジュールとして、アプリケーション実行部74を備えている。アプリケーション実行部74は、一般のOSやブラウザソフト、メディア視聴アプリケーションなどのアプリケーションを実行するモジュールであり、CPUにより実現される。
本実施形態では、測定結果処置プログラム(コンピュータプログラム)がインストールされると、アプリケーション実行部74はそれを実行可能となる。携帯型の端末7aは、携帯型端末用の測定結果処置プログラムに従って、携帯電話通信網を介して、事業者の営業所に設置されたコンピュータに測定結果、被験者情報、および端末7aの位置情報を送信する。一方、固定型の端末7bは、固定型端末用の測定結果処置プログラムに従って、測定結果および被験者情報をメモリ75に保存する。
アプリケーション実行部74は、呼気成分測定装置10から送信された信号をトリガーとして、呼気の吹き込み開始前および吹き込み後における被験者の顔をデジタルカメラ77によって撮影する。アプリケーション実行部74は、吹き込み前と吹き込み後の利用者の顔を撮影した画像データを比較し、撮影された利用者が一致するか否かを判断する。この処理としては、例えば、画像中から顔領域を決定する顔検出処理と、目、鼻、口端などの顔の特徴点位置を求める顔特徴点検出処理を行って、吹き込み前と吹き込み後の画像データを比較し、撮影された利用者が一致するか否かを判断し、比較結果である両画像の一致度を出力する。この両画像の一致度の出力としては、利用者が異なる場合に、警告音を発生させたり、表示画面にメッセージを表示したりする他、所定のメールアドレス宛にメッセージを送信する等が挙げられる。なお、アプリケーション実行部74は、第1の撮像動作及び第2の撮像動作時には、表示部73aの画面上に被験者が顔の位置を合わせるための輪郭を表示させ、この輪郭に顔を合わせるように指示する機能も備えている。
携帯型の端末7aは、画像データを事業者の営業所に設置されたコンピュータに送信する。固定型の端末7bは、画像データをメモリ75に保存する。
上記の呼気成分測定装置10のための点検器具を説明する。図10(a)は点検器具を示す上面図であり、図10(b)はその下面図であり、図10(c)は図10(a)のC−C断面図である。
点検器具50は樹脂などの硬質材料から形成されている。点検器具50は、ほぼ円筒状の下部51と、下部51よりも細いほぼ円筒状の上部52と、下部51から側方に張り出した二つの延長部53とを有する。下部51の端面は、呼気成分測定装置10に接触する接触面54である。下部51には、接触面54で開口する凹部59が形成されている。上部52には断面円形の空間56が形成されている。凹部59は断面円形で、点検器具50の高さ方向(図10(c)の縦方向)にわたって一様な直径を有する。空間56も断面円形で、点検器具50の高さ方向にわたって一様な直径(図11の直径d)を有する。凹部59と空間56は同軸であって、相互に連通している。空間56は上部52の上端面で開口しており、この開口がアルコールを含む空気を空間56内に流入させるための入口58である。したがって、入口58は空間56において接触面54から最も遠方に配置されている。
点検器具50は、接触面54を呼気成分測定装置10に接触させた状態で使用される。図11は、点検器具50の使用状態を示す点検器具50と呼気成分測定装置10の断面図である。図11に示すように、点検器具50の凹部59に呼気成分測定装置10の突起21をピッタリ嵌めるようにして、点検器具50の接触面54を呼気成分測定装置10に接触させる。点検器具50と呼気成分測定装置10は一種の呼気成分測定アセンブリを構成する。
この状態では、点検器具50の空間56が呼気成分測定装置10の突起21の導入孔21a、ひいては呼気成分測定装置10内の流路22に連通させられる。この状態で、接触面54から最も遠方に配置された入口58に、アルコールを含む空気が導入されると、その空気は、空間56を通って、さらに呼気成分測定装置10の導入孔21aを通って、呼気成分測定装置10の内部のガスセンサ15に到達する。
点検器具50の入口58にアルコールを含む空気を導入する手法としては、アルコールを含むゲル(例えば手の消毒のためのゲル)を点検器具50の入口58の近くに配置することが想定される。例えば、図11に示すように、アルコールを含むゲル41を内包した容器42を逆さまにし、容器42の開口部を点検器具50の入口58に合わせる。ゲル41からアルコールが揮発しており、容器42から点検器具50の入口58にアルコールを含む空気が進入する。アルコールを含むゲルは廉価である。
点検器具50の形状および寸法が適切に設定されていれば、呼気成分測定装置10の内部に導入される空気におけるアルコールの濃度が適度に薄まり、ガスセンサ15を適切に検査することが可能である。発明者の調査によれば、空間56(入口58を含む)が、呼気成分測定装置10の導入孔21aが延びる直線上に配置されていることが好ましい。また、空間56(入口58を含む)が0.05mmから2mmの直径dを有することが好ましい。さらに、点検器具50の入口58から呼気成分測定装置10の導入孔21aまでの長さLが1mm〜30mmであると好ましい。
さらに、空間56(入口58を含む)の直径dが1mmから1.5mmであることが好ましい。また、入口58から呼気成分測定装置10の導入孔21aまでの長さLが5mm〜20mmであることが好ましい。
本実施形態では、導入孔21aが形成された突起21を呼吸測定装置10が有しており、突起21が嵌められ空間56と連通する凹部59が点検器具50の接触面54で開口している。入口58から凹部59までの長さを適切に設定すれば、入口58から導入孔21aまでの長さLを容易に適切に確保することができる。具体的には、入口58から凹部59までの長さが1mm〜30mmであるので、入口58から導入孔21aまでの長さLを1mm〜30mmに容易に確保することができる。入口58から凹部59までの長さが5mm〜20mmであれば、入口58から導入孔21aまでの長さLをより好ましい5mm〜20mmの範囲に容易に確保することができる。
点検器具50を使用して、ガスセンサ15を点検する場合には、点検する人(点検者)は、呼気成分測定装置10の入力インターフェース13を操作して、呼気成分測定装置10を点検モードに設定する。点検モードにおいて、上記のように、点検者は、点検器具50を配置し、さらにアルコールを含むゲル41を入口58の付近に配置する。点検器具50の入口58にアルコールを含む空気が進入し、空間56を通って、さらに呼気成分測定装置10の導入孔21aを通って、呼気成分測定装置10の内部のガスセンサ15に到達する。
アルコール濃度測定部105(図7(b))は、ガスセンサ15の出力を解析し、空気中のアルコール濃度を計算する。表示情報生成部103は計算されたアルコール濃度を出力インターフェース11に出力する。例えば、表示情報生成部103は、表示部11aにアルコール濃度を表示する。出力された測定結果に基づいて、点検者が呼気成分測定装置10は正常に動作するか否か判断してもよい。あるいは、アルコール濃度測定部105が計算したアルコール濃度が低すぎる場合に、判定部104が警告情報を生成し、警告情報を表示情報生成部103が出力インターフェース11に出力してもよい。
呼気成分測定装置10は、入力インターフェース13の操作によって、測定モードに設定されうる。測定モードでは、呼気成分測定装置10の制御処理部100は、被験者の呼気のアルコール濃度の測定およびそれに関連する各種の動作を実行する。各種の動作は、圧力センサ16、ソレノイド18およびエアバレル17を用いた呼気のガスセンサ15への押し戻し、通信インターフェース25を用いた情報処理端末7への情報の送信を含む。しかし、点検モードでは、これらの動作は必須ではない。また情報処理端末7のデジタルカメラ77による被験者の撮像も必須ではない。
点検モードでのガスセンサ15の点検において、非常に高いアルコール濃度の空気をガスセンサ15に供給してしまった場合には、次に呼気成分測定装置10を使用して被験者のアルコール濃度を測定するときに、ガスセンサ15が正常にアルコール濃度を測定することができないことがありうる。そこで、点検モードでのガスセンサ15の点検によって、表示情報生成部103により計算されたアルコール濃度が非常に高い場合(例えば2mg/lを越える場合)、ある時間(例えば3分間)、呼気成分測定装置10の制御処理部100は被験者のアルコール濃度を測定不能にし、その時間の経過後に被験者のアルコール濃度を測定可能にしてもよい。この場合、制御処理部100は、呼気成分測定装置10の表示部11aに、例えば3分間測定を待つことを指示するガイダンスを表示してもよい。情報処理端末7と通信可能である場合には、制御処理部100は、情報処理端末7の表示部73aにこのようなガイダンスを表示させるための信号を情報処理端末7に送信してもよい。
第2の実施形態
次に、点検器具の第2の実施形態を説明する。図12(a)は、本実施形態に係る点検器具60を示す上面図であり、同図(b)は、その正面図であり、同図(c)は、その側面図であり、同図(d)は、その背面図であり、同図(e)は、その底面図である。また、図13(a)は、図12(a)におけるA−A断面図であり、同図(b)は、図12(b)におけるB−B断面図であり、同図(c)は、図12(b)におけるC−C断面図である。
図3および図4と、図12および図13を比較すると明らかなように、点検器具60は、被験者が呼気を呼気成分測定装置10に吹き込むのに使用するマウスピース30とほぼ同じ形状を有する。マウスピース30で使用されている構成要素と同一の構成要素を示すために、図12および図13では、図3および図4で使用されたものと同じ参照符号が使用されている。マウスピース30と同様に、点検器具60は樹脂などの硬質材料から形成されている。
但し、マウスピース30と異なり、点検器具60の上部には、貫通孔である入口68が形成されている。入口68は、点検器具60の下部に形成された貫通孔34と同軸である。貫通孔34および入口68は断面円形である。入口68は、点検器具60の高さ方向にわたって一様な直径(図14の直径d)を有する。
点検器具60は、マウスピース30と同様に、呼気成分測定装置10の取り付け部14に着脱自在に取り付けられる。図1および図5において、マウスピース30は点検器具60と置き換えることができる。点検器具60と呼気成分測定装置10は一種の呼気成分測定アセンブリを構成する。
図14は、点検器具60の使用状態を示す点検器具60と呼気成分測定装置10の断面図である。点検器具60は呼気成分測定装置10の取り付け部14に取り付けられている。点検器具60は、その下方に呼気成分測定装置10に接触する接触面64を有する。この点検器具60においては、呼気流路33が、アルコールを含む空気を呼気成分測定装置10の導入孔21aを介してガスセンサ15に供給するために使用される空間として使用される。呼気流路(空間)33は、呼気成分測定装置10の導入孔21aに連通するように形成されている。
マウスピース30と同様に、点検器具60は、貫通孔(凹部)34を有する。貫通孔34は、接触面64で開口しており、呼気流路33と連通する。貫通孔34には呼気成分測定装置10の突起21が嵌められる。
呼気流路(空間)33は、アルコールを含む空気を呼気流路33内に流入させるための上記の入口68を備える。入口68は、呼気流路33において接触面64から最も遠方に配置され、呼気成分測定装置10の導入孔21aが延びる直線上に配置されている。
点検器具60は、接触面64を呼気成分測定装置10に接触させた状態で使用される。図14に示すように、点検器具60の貫通孔34に呼気成分測定装置10の突起21を嵌めるようにして、点検器具60の接触面64を呼気成分測定装置10に接触させる。
これにより、点検器具60の呼気流路33が呼気成分測定装置10の突起21の導入孔21a、ひいては呼気成分測定装置10内の流路22に連通させられる。この状態で、接触面64から最も遠方に配置された入口68に、アルコールを含む空気が導入されると、その空気は、呼気流路33を通って、さらに呼気成分測定装置10の導入孔21aを通って、呼気成分測定装置10の内部のガスセンサ15に到達する。呼気流路(空間)33は、導入孔21aが延びる直線に対して、垂直な方向(図14の横方向)に延びているが、アルコールを含む空気は導入孔21aを通過することができる。
点検器具60の入口68にアルコールを含む空気を導入する手法としては、アルコールを含むゲルを点検器具60の入口68の近くに配置することが想定される。例えば、第1の実施形態と同様に、アルコールを含むゲル41を内包した容器42を逆さまにし、容器42の開口部を点検器具60の入口68に合わせる。ゲル41からアルコールが揮発しており、容器42から点検器具60の入口68にアルコールを含む空気が進入する。
点検器具60の形状および寸法が適切に設定されていれば、呼気成分測定装置10の内部に導入される空気におけるアルコールの濃度が適度に薄まり、ガスセンサ15を適切に検査することが可能である。発明者の調査によれば、入口68が、呼気成分測定装置10の導入孔21aが延びる直線上に配置されていることが好ましい。また、入口68が0.05mmから2mmの直径dを有することが好ましい。さらに、点検器具60の入口68から呼気成分測定装置10の導入孔21aまでの長さLが1mm〜30mmであると好ましい。
さらに、入口68の直径dが1mmから1.5mmであることが好ましい。また、入口68から呼気成分測定装置10の導入孔21aまでの長さLが5mm〜20mmであることが好ましい。
本実施形態では、導入孔21aが形成された突起21を呼吸測定装置10が有しており、突起21が嵌められ呼気流路33と連通する貫通孔34が点検器具60の接触面64で開口している。入口68から貫通孔34までの長さを適切に設定すれば、入口68から導入孔21aまでの長さLを容易に適切に確保することができる。
点検器具60を使用して、ガスセンサ15を点検する場合には、点検する人(点検者)は、呼気成分測定装置10の入力インターフェース13を操作して、呼気成分測定装置10を点検モードに設定する。点検モードにおいて、上記のように、点検者は、点検器具60を配置し、さらにアルコールを含むゲル41を入口68の付近に配置する。点検器具60の入口68にアルコールを含む空気が進入し、呼気流路33を通って、さらに呼気成分測定装置10の導入孔21aを通って、呼気成分測定装置10の内部のガスセンサ15に到達する。したがって、第1の実施の形態と同様に、呼気成分測定装置10が正常に動作するか否かを判断することができる。
この点検器具60は、マウスピース30と同様に、呼気成分測定装置10に取り付けられた状態で、被験者の呼気を呼気成分測定装置10の内部に供給し、呼気のアルコール濃度を測定するために使用することができる。
第3の実施形態
図15(a)は、第3の実施形態に係る点検アタッチメント80の斜め下方から見た斜視図であり、図15(b)は、点検アタッチメント80の斜め上方から見た斜視図である。図16に示すように、点検アタッチメント80は、呼気成分測定装置10の取り付け部14に着脱自在に取り付けられる。
この点検アタッチメント80は、呼気成分測定装置10のガスセンサ15を点検するために呼気成分測定装置10に取り付けられる。点検アタッチメント80と呼気成分測定装置10は一種の呼気成分測定アセンブリを構成する。
点検アタッチメント80は、樹脂などの硬質材料から形成されている。図15(a)に示すように、点検アタッチメント80は、長尺の支持片81と、支持片81にネジ82で固定された点検器具83とを備える。支持片81には、図15(a)および図15(b)に示すように、呼気成分測定装置10に支持片81が取り付けられると、係合片19と係合される係合孔86が形成されている。
図17(a)は点検器具83を示す上面図であり、図17(b)はその下面図であり、図17(c)は図14(a)のC−C断面図である。この点検器具83は、第1の実施形態の点検器具50とほぼ同じ形状を有する(図10参照)。点検器具50で使用されている構成要素と同一の構成要素を示すために、図17では、図10で使用されたものと同じ参照符号が使用されている。但し、点検器具50と異なり、点検器具83の延長部53の各々には、貫通孔87が形成されている。
図18は、点検アタッチメント80の使用状態を示す点検アタッチメント80と呼気成分測定装置10の断面図である。点検アタッチメント80の支持片81は、呼気成分測定装置10の取り付け部14に取り付けられる。支持片81は、点検器具83が配置される空洞部を有している。この空洞部の内部には、ネジ82がネジ止めされるボスが形成されており、ネジ82は点検器具83の貫通孔87を貫通し、ボスに固定されている。このようにして、点検器具83は、支持片81にネジ82で固定されている。
支持片81には、ストローホルダー84が形成されている。ストローホルダー84の内部空間にはストロー90を差し込むことが可能である。ネジ82で支持片81に取り付けられた点検器具83の上部52は、ストローホルダー84の内部空間に突き出している。したがって、ストローホルダー84の内部空間は、点検器具83の空間56に連通させられている。
支持片81が取り付け部14に取り付けられると、点検器具83の凹部59に呼気成分測定装置10の突起21がピッタリ嵌められて、点検器具83の接触面54が呼気成分測定装置10に接触させられる。この状態では、点検器具83の空間56が呼気成分測定装置10の突起21の導入孔21a、ひいては呼気成分測定装置10内の流路22に連通させられる。さらには、ストローホルダー84の内部空間も、呼気成分測定装置10の突起21の導入孔21a、ひいては呼気成分測定装置10内の流路22に連通させられる。
点検アタッチメント80を使用して、ガスセンサ15を点検する場合には、点検する人(点検者)は、呼気成分測定装置10の入力インターフェース13を操作して、呼気成分測定装置10を点検モードに設定する。点検モードにおいて、上記のように、点検者は、点検アタッチメント80を配置し、さらにアルコールを含むゲル41を点検器具83の入口58の付近に配置する。具体的には、点検者は、点検アタッチメント80を呼気成分測定装置10の取り付け部14に取り付け、ストロー90でアルコールを含むゲル41を吸い上げて、ストローホルダー84にストロー90を差し込み、呼気でストロー90内のアルコールを含むゲル41を吹く。これにより点検器具83の内部をアルコールを含む空気が流通し、導入孔21aから呼気成分測定装置10の内部の流路に流入する。すなわち、点検器具83の入口58にアルコールを含む空気が進入し、空間56を通って、さらに呼気成分測定装置10の導入孔21aを通って、呼気成分測定装置10の内部のガスセンサ15に到達する。
このようにして、第1の実施の形態と同様に、呼気成分測定装置10が正常に動作するか否かを判断することができる。点検器具83は、第1の実施形態の点検器具50とほぼ同じ形状を有する。したがって、第1の実施形態の点検器具50に関連して上述したように、点検器具83の形状および寸法(特に空間56の直径dおよび入口58から導入孔21aまでの長さL)が適切に設定されていれば、呼気成分測定装置10の内部に導入される空気におけるアルコールの濃度が適度に薄まり、ガスセンサ15を適切に検査することが可能である。点検アタッチメント80の支持片81は、点検器具83を適切な位置に配置するのを容易にする役割を果たす。