JP2014118730A - 回転機構と減速機構とそれを備えたドア等の移動装置 - Google Patents

回転機構と減速機構とそれを備えたドア等の移動装置 Download PDF

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Abstract

【課題】開くとき重たく感じられないドアを提供し、床下部分やドア上部壁内部に収容可能であって、ドア周辺の景観を損なわない小型化可能な減速装置を提供する。
【解決手段】ドアDの回転は枢軸Oに沿うピストンPs1の移動に変換され、ピストンPs1が押しバネU1を介してピストンPs2と接触して押圧し、速度の遅いピストンPs2が速度の速いピストンPs1を減速する。ピストンPs2はピストンPs1と異なる付勢手段U2によってピストンPs1に影響されずに移動し、ドアDの衝撃は押しバネU1の変形で吸収する。
【選択図】 図19

Description

回転機構と減速機構とそれを備えたドア等の移動装置に関する。
「バネで動くドアクローザ」はドアを開くときにバネに力を蓄え、バネの復元力でドアを閉めるものである。ドアを付勢する力が僅かでも作用するならば、ドアは僅かながらでも加速する。ドアを開いて取手から手を離した位置(ドアがバネの力で閉まり始めるドアの開度を以後、閉止開始開度と言う。)が何処であっても、ドアが閉まり始めるようにするので、何処の位置においても最大静止摩擦力以上の力が作用している。そのため閉まり始めたドアは加速し、戸当りに衝突するときには運動速度は最大になっていて、激しい衝撃音を発することになる。ドアは全閉直前でゆっくりと回転し、静かに全閉することが求められる。
「油圧シリンダを備えるドアクローザ」はドアとドア枠とを油圧シリンダを介して連結し、油圧シリンダの伸縮がドアをゆっくりと回転させ、静かに全閉させる。また突風を受けるなどしてドアが急激に回転しようとしても油圧シリンダの伸縮はドアに影響されることなく伸縮し、ドアが急激に回転しないようにして、人が怪我することを防いでいる。しかしながら、油圧シリンダは「ドアを閉めるバネ」に働く抵抗であって、ドアを閉めにはその抵抗を上回る力が働く必要があり、ドアを開くにはその抵抗を上回る力をバネに蓄える必要がある。そのため、ドアを開く時にドアが重たく感じられることになる。
また油圧シリンダは開閉装置を大型化し、居住空間の快適さを損なうものであり、更に油圧シリンダがドアに作用する大きな慣性力(以後、ドア慣性力と言う。)に影響されることなくゆっくり伸縮するためには、油圧シリンダが高圧に耐えて油漏れしないようにする必要があり、油圧シリンダが頑丈でしかも巨大になるばかりではなく高価格になった。
油圧シリンダを備えず、ドアをゆっくりと回転させ、しかも静かに全閉させようとするドアクローザも考案されるが、その多くは、摩擦抵抗によってドアを減速するもので、摩擦抵抗はドアに作用する力を減じて、ドアを止まってしまわない程度の小さな力でゆっくりと回転するようにするものである。油圧シリンダを含めて「ドアに作用する力を減じてドアを減速する手段はドアを開くときに余分な力を要し、それだけドアが重たく感じられることになる。
減速することは最終的にドアを止めてしまうことで、閉止開始開度に関係なく、ドアを止まってしまわない程度で最後まで回転させ、しかも殆んど止まった状態でドアを全閉させることは困難であった。
運動しているドアに摩擦抵抗を付加すると、運動エネルギが摩擦で減じられて、ドアは減速するが、運動摩擦力は最大静止摩擦力より小さく、ドアを回転させる力を「最大静止摩擦力を僅かに上回る小さな力」に設定しているとき、摩擦によって減速する位置でドアが止まると、止まったままになる。減速効果が大きく認められるときは、摩擦抵抗による減速手段はドアが途中で止まったままになってしまうか、殆んど減速しないかのどちらかである。確実にドアを全閉させないドアクローザはドアクローザとは言えない。
減速することは最終的にドアを止めてしまうことであっても、油圧シリンダの油の粘性抵抗は、ドアが高速に回転すると勝手に大きくなり、ドアが止まると消えてなくなるもので、ドアが止まったままになることはない。油圧シリンダの油の粘性抵抗に代わる抵抗を減速手段とする場合、ドアが止まったとき抵抗がかかり続けるのではなく、抵抗が取り除かれなければ、ドアが再び動き出すことはない。
ドアとドアクローザが連動する場合、ドアが止まればドアクローザも止まったままになるが、この状態で、抵抗を取り除く作業が始まらなければ、ドアが再び動き出すことはない。油圧シリンダの油の粘性抵抗に代わる抵抗を減速手段とするドアクローザに、「ドアが止まっても、抵抗を取り除く作業を始まるようにする手段」を「ドアを付勢する手段」とは別に備えるものはない。
特許文献1~10は、「回転体の回転制御機構とそれを用いたドア等の開閉装置」に関するもので、ドア等の開閉装置は、「2つのリンクからなる開閉部」と、「1以上のリンクからなる伸縮部(以後、ドアクローザと言う。)とを備え、「上記伸縮部の両端の連結軸」が上記2つのリンクのそれぞれに回り対偶或いは滑り対偶で接続されてなるリンク装置(以後、ここに定義したリンク装置をリンク装置と言う。)であって、「上記伸縮部の両端の連結軸」の間の距離が変化して上記開閉部が開閉する開閉装置であり、上記リンク装置の何れかの連結軸に働く駆動力Mvが伝達されて、枢軸Oの周りに回転力Moが働いて上記開閉体が開閉する開閉装置である。
特許文献1~10のドアクローザは、油圧シリンダを備えないドアクローザであって、摩擦抵抗を採用しないドアクローザである。ドアに作用する力を摩擦抵抗によって減じる代わりに、ドアに作用する力の作用線をドアの枢軸Oに近づけることによって小さくしている。
ドアが戸当りに当接する直前(以後、全閉直前と言う。またドアのラッチが戸当りに当接するときをラッチ当接時と言う。)にラッチを凹ます作業を伴うので、特許文献1~10ドアクローザは、「ドアに作用する力」が全開位置から全閉直前までのドアの回転範囲(以後、(あ)の範囲と言う。)で小さく、全閉直前から全閉位置までのドアの回転範囲(以後、(い)の範囲と言う。)で大きく働き、全閉直前に小から大に急激に切り換わる(以後、切り替わるときを切替範囲と言い、切り替える手段を切替手段と言う。)ようにしている。
(あ)の範囲では、どの位置においても「枢軸O周りに働く最大摩擦抵抗」を僅かに上回る力がドアに働き、必要最小限の力でドアが辛うじて回転するようにしている。しかしドアを回転させる力が働く以上ドアは加速の一途を辿り、ドアの回転速度は同じ位置でもドアが回転し始めてからの経過時間によって異なり、所定の位置に抵抗を設けて力の大きさを調節しても、減速が認められる位置は「止まったドアが止まったままになる位置」になる。
摩擦抵抗によって、或いは力の作用線をドアの枢軸Oに近づけることによってに関係なく、「ドアに作用する力」を小さくすることは、「ドアが辛うじて回転するようにした力」を減じることであって、運動するドアを減速出来ても、止まったドアを動き出すように出来ない。
切替範囲では力の作用線が大きく移動し、ドアが殆んど或いは全く回転しないでドアクローザが大きく動作する。切替範囲ではドアクローザがドアを回転させる必要がなく、大きく動作しても、「ドアに作用する力」が小から大に一瞬に切り替わり、ドアを減速する間もなく更に加速するようになる。
上記リンク装置に、リンクを1つ追加する、或いは何れかのリンクをバネにする、或いは何れかの回り対偶の連結軸を滑り対偶の連結軸に取替えるようにすると、ドアを止めたままでもリンク装置は動き続ける。
切替範囲前後で抵抗を小さくすると減速しない。大きくしてドアを減速すると、切替範囲前後ではドアが止まればドアクローザも止まったままになる。特許文献9のドアクローザは、切替範囲でドアが止まったままでもドアクローザが動き続けるようにするもので、切替範囲で減速してもドアが止まったままにならないようになる。逆に言うと、切替範囲でしか減速することはできない。
切替範囲以前に減速して、略停止した状態でドアを全閉することが最も望ましいが、特許文献9のドアクローザは、ラッチ当接時に「ドアに作用する力」を小から大に一瞬に切り替えて、加速を小さくすることが出来るが、切替範囲以前で減速出来ない。切替範囲の一瞬の動作に減速手段が働くようにするのは非常に困難である。
特許文献9のドアクローザをゆっくりと動くアクチュエータによって動くようにすると、切替範囲でドアクローザは長時間動作し、その間にドアを減速するように出来るが、ドアの回転を多く伴わない急激な減速が起こり、ドアに大きな衝撃を与える。また、ゆっくりと動くアクチュエータ自体が、抵抗によって減速される手段であって、抵抗が大きくなればドアクローザが長時間に亘って止まることになり、抵抗を小さくすれば大きなドアクローザも動作も一瞬に終了する。
ドアクローザがゆっくりと動くアクチュエータによって動くものであれば、特許文献9のドアクローザのように減速する範囲を切替範囲に限る必要はない。
本発明の減速装置は、ドアを動かす付勢手段とは別の付勢手段で駆動し、ドアが回転している間にドアに抵抗をかけ始めて、ラッチ当接時にはドアを止めた状態にして全閉するもので、全閉直前に抵抗を取り除くまで動き続けるもので、ドアを回転させるものではない。
特許文献9のドアクローザをゆっくりと動くアクチュエータによって動くようにすることは、ドアを動かす付勢手段をゆっくりと動くアクチュエータによって動くようにすることであって、ドアを動かす大きな力に抵抗をかけるものであって、本発明の減速装置は小さな力でも最後まで止まることなく動き続ければ十分に役割を果たすことになるので、小さな力に抵抗をかけることになる。
特許文献1~10のドアが加速の一途を辿るはずであるのに、静かに全閉するのは、切替範囲以前からドアが十分に減速されているからであって、実は空気抵抗によるところが大きく、空気抵抗が働かなければ静かに全閉しない。
全閉直前以前に空気抵抗がドア面に作用し、全閉直前以後にドアとドア枠との間隙を通過する空気が、流速に比例してドアを減速する。ドアが減速すると空気抵抗がなくなるので、ドアは再び動き始める。特に密閉された部屋のドアは、全閉直前に大きく減速するが、窓を開けたドアは(い)の範囲で更に加速するだけでなく、ドアが閉まる方向に風圧がかかれば、指を詰めて怪我をする事故を起こすほど危険になる。
ドアとドアクローザからなるリンク装置について考えると、ドア面に空気抵抗がかかって、リンク装置が緩慢になることと、ドアクローザに空気抵抗がかかってリンク装置が緩慢になることとは効果が同じである。上述のドア面が抵抗を受ける現象を、「油圧シリンダを備えるドアクローザ」はドア面ではなくドアクローザの中に再現するものである。本発明の減速装置も、上述のドア面が受ける抵抗を「リンク装置のドア以外のリンク」に作用するようにするものであって、空気抵抗のように全閉以前に働く抵抗は、全閉時になくなるようにしている。
ドア面が直接受ける空気抵抗や油圧シリンダ内の油の粘性抵抗は、必要に応じて自動的に働き、不要になると勝手になくなり、ドアを減速して止めてしまってもドアは再び動き出し、確実に全閉するようにする。空気抵抗は油の粘性抵抗と異なり抵抗が小さく、減速効果は小さいが、抵抗が小さければ、小さな力でドアクローザを動かすことが出来る。空気抵抗がドアを減速する場合は、ドアを閉止方向に付勢する力以外にドアを減速するために必要な力を、ドアを開くときにバネに蓄える必要はない。本発明は、小さい抵抗で大きくドアを減速する回転機構と減速機構を提供するもので、それだけドアが軽く感じられるようになる。
ドアクローザはドアを回転させるものであるが、ドアクローザがドアによって回転させられドアに抵抗するものでもある。特許文献1~10のドアクローザは小さなバネの力で大きなドアを回転させるもので、この回転機構は大きなドアの回転をドアクローザの小さなバネの力で対抗できる減速機構でもある。このことが特許文献1~10のドアクローザの回転機構と本発明の減速機構とが構造において一致すると言うことに関連している。
特許文献1~10のドアクローザは大きく回転してドアが小さく回転し、ドアクローザの大きな回転もドアが小さく回転する間に終了する。本発明の減速装置は小さな力で大きく動作する点において同じであっても、切替範囲以前のドアの大きな回転範囲で減速出来る点が大きく異なる。
特許文献1~10の発明は、ドアの開度とドアに作用する力の大きさとの関係に時間的変化がなく、ドアの任意の開度におけるドアの回転速度が閉止開始開度によって異なっても、その開度とドアに作用する力の大きさが一定していて、ドアの回転速度の違いによるドア慣性力の大きさの違いに対応しない。特許文献1~10の発明によって、ドアに作用する力や抵抗の大きさをいくら調節しても、ドアを静かに全閉することは出来なかった。本発明は特許文献1~10の発明で解決できない課題を解決するためになされたものである。
特許文献1~10の発明において本発明と関連する事項は、特許文献9において記載される事項で、以下に特許文献1~10の図面とそれに関連する明細書の記載を抜粋して記述するが、主に特許文献9を引用する。
特許文献9図1は、ドアが小さく回転しドアクローザが大きく回転して、ドアクローザの小さな力がドアに大きく作用する実施例である。車輪B(以後、滑り対偶の連結部において摺動するスライダを総称して車輪と言う。)が摺動面K(以後、摺動面Kを備えるリンクも含めて摺動面と言う。)を押圧する力の作用線Fbと車輪Bの移動方向が略一致している点が、本発明の減速装置の動作と一致する。
特許文献9図6は、車輪Bが摺動面K1と摺動面K2との間に挟まれる通路に沿って移動し、摺動面K1に沿って移動するときドアを減速し、摺動面K2に沿って移動するときドアを加速する実施例である。リンク装置を付勢するバネが緩まないので、車輪Bが摺動面K2から離れることはなく、ドアを加速し続ける。
特許文献9図8は、ドアDの設けられる接続軸Cを軸に回動する回転体Jが、固定部Wに設けられる摺動面Kwと当接離脱する車輪BBを装着して、ドアが減速されるまで全閉しないようにする全閉阻止手段を備える実施例である。全閉以前に回転体Jが回転して全閉阻止手段が機能しないか、全閉阻止手段が回転体Jの回転を止めたままにする事態が起こりうる。このように切替範囲で全閉阻止や減速することはリンク装置全体を止めることにつながる。
特許文献9図22は、伸縮部の片方の取付軸が固定部Wに設けられる固定支軸Swに固定支持され、他方の取付軸が第一のドアJcを介してドアに可動支持され、ドアが止まっても第一のドアJcが運動して動き続けるリンク装置の実施例である。第一のドアJcの運動が止まった段階で、ドアが止まれば動き続けないリンク装置となる。ラッチ位当接時の瞬間にブレーキが掛りリンク装置が止まってしまわずドアが全閉することは難しく、減速する以前にリンク装置の運動が終了するか、減速してリンク装置の運動が止まるかのどちらかの事態が起こりうる。
特許文献9のドアクローザは切替範囲でドアを回転させずに、略無負荷状態で動き続ける状態で、非常に小さい力で動き続ける。ドアが非常に大きな力でドアクローザを動かそうとしても動かない状態であって、特許文献9のドアを電動機のような一定速度のアクチェータで動かす場合は、ドアの慣性力が如何に大きくても、切替範囲でゆっくりと動くだけで、ドアを回転させるドアクローザ自体が減速機になる。最後に「止まっているドアのラッチを凹ませて全閉させる力」があれば、それ以上の力は必要ではない。
特許文献9のドアクローザが一定速度のアクチェータをゆっくりと伸縮するバネで動く場合、バネをゆっくりと伸縮する遅延手段は高圧容器の油圧シリンダの必要はなく、簡易な空気シリンダでもよい。
特許文献9のドアクローザはゆっくりと運転し続けさえすればドアを減速もして全閉し、付勢するバネが弱くてもよく、ドアを開く時の力が小さくて済むものである。しかし簡易な空気シリンダでもよい状態を保ってのことで、あまりにも付勢するバネが弱くすると、運転し続けなくなり、強くするとゆっくりと運転しなくなる。付勢するバネを限界まで弱くしようとすると止まったまま全閉しない事態を招く。
(い)の範囲は大きな力が必要であり、ここに第一のドアJcを付勢する押しバネUを縮める作業や、ドアを減速する抵抗が加われば、運動を続けることに力不足になりやすく切換範囲と(い)の範囲はリンク装置が止まってしまう可能性が高い範囲である。
これらのリンク装置の運動を遅延しても、ドアが止まればリンク装置全体の運動も止まるという事態を避けることが出来ない。切替範囲においてドアが止まてってもリンク装置全体は運動し続けるとしても、運動し続けるリンク装置が止まればドアが全閉しない事態は避けられない。
特許文献10図8において、摺動面Kはドアに設けられる回転軸Ikの周りに回転自在に軸支され、引きバネVに付勢されて当りGに当接した状態で静止し、摺動面Kは先端部に車輪BBを装着している。全閉直前に車輪BBはドア枠Wに設けられる摺動面Kwに沿って移動し、摺動面Kが回転して引きバネVが引き伸ばされる。引きバネVの復元力で摺動面Kが逆回転してドアが開く方向に回転しないように、摺動面Kには逆転防止装置が取付く。ドアの運動エネルギが引きバネVに蓄積されたままの状態で静止し、ドアを全閉するためには引きバネVに蓄積された力以上の力が働く必要がある。
重量ドアが想定外に大きな風圧を受けたときのドア慣性力は、引きバネVに蓄積されたままの力であって、これ以上の力はラッチを凹ませて全閉するために必要な力を遥かに上回る。「油圧シリンダを備えるドアクローザ」も想定外のドア慣性力を受け止める抵抗以上の力でドアを全閉するもので、全閉するために必要な力以上のバネの力が必要となり、これがドアを更に加速の原因になる。
特許文献1~10の発明において、減速に用いられる抵抗が最後まで取り除かれず、全閉時にも抵抗が掛ったままの状態になる。ドアを回転させる力にしてもドアを減速する力にしても、時間とともに変化するものでないところに欠陥がある。時間なしに加速や減速を考えるところに無理がある。
本発明は抵抗を取り除いてから全閉し、全閉するために必要な力以上のバネの力が必要としない。部屋を密閉するドアが全閉直前に受ける空気抵抗のように、ドアの減速機構は自動的に始動し自動的に解除される。
特開2008−248482 07-087561バネで動くドア 特開2009−030417 07-198248相対的接近する2つの移動体 特開2009−091853 08-265603開く方向の力による抵抗 特開2009−144329 07-319541回転装置と密閉装置リレー 特開2009−185461 08-023894渦線摺動面バネ付勢力の制御 特開2009−249965 08-1012492つの摺動面 特開2009−270370 08-122937リンク装置の弾性体当り 特開2010−001734 07-198248分割出願(削除する。) 特開2010−229802 09-142332ドア615 特開2011−099311 10-027402 特開2011−099314 10-226863ドア106
本発明は、「油圧シリンダを備えるドアクローザ」が持つ2つの欠点、即ちドアを開く時にドアが重たく感じられる欠点と、油圧シリンダが高圧容器で大型であって、見た目が悪いという欠点を改良するためなされたものであって、油圧シリンダに代って高圧容器で大型でない小型化可能な手段を採用する。本発明のドアクローザが「油圧シリンダを備えるドアクローザ」が持つ2つの機能、即ち高層階において窓を開けた時などにドアが急激に閉止しても衝撃少なく全閉する機能、平常時の使用においても通常の速さで静かに全閉する機能を損なわないことは勿論である。
小型化可能な手段を採用して、ドアを開く時にドアが重たく感じられないようにするためには、第1に、ドアを常に付勢しているにもかかわらず、加速せず自由に速度を如何にして調節するか、第2に、簡易な空気シリンダでも十分にバネの伸縮が遅延される弱いバネでも運転し続けるようにするとして、如何にして止まったまま全閉しない事態を招かないようにするか、第3に、出来るだけ長時間ドアに抵抗が掛り続けて緩やかに減速をして、ドアが止まっているにもかかわらず、作用している抵抗を如何にして取り除くか、の課題を解決する必要がある。
また第4に、緩やかに減速をするためには、ドアの運動エネルギを移動させて別のものに変換して、如何にして移動したエネルギでドアが開かないようにするか、第5に長時間ドアに抵抗が掛り続けるために、如何にしてバネをゆっくりと伸縮するようにするかを解決する必要がある。
これらの複数の課題を解決しなければ、「油圧シリンダを備えるドアクローザ」が持つ機能を損なわず、「油圧シリンダを備えるドアクローザ」を改良することはできない。これらの複数の課題を解決する手段は複数であり、それぞれに関連性がなくてもそれぞれの効果は、開閉装置に限らず、移動装置に貢献するものであって、その技術的思想はドア以外の産業分野に応用できることは言うまでもない。
以上の課題を解決する本発明の「回転機構と減速機構とそれを備えたドア等の移動装置」は、例えば図1に説明するように、付勢手段Vによって付勢され固定部Wの設けられる所定の軌道Xに沿って移動する移動体Jと、減速手段Rsを備えた付勢手段VVによって付勢され固定部Wの設けられる所定の軌道XXに沿って移動する移動体JJとから成り、上記移動体Jと上記移動体JJとが異なる移動速度で移動して、互いに接触しあって移動速度が速い上記移動体Jが移動速度が遅い上記移動体JJの後について移動する移動機構を備え、移動体Jと移動体JJとが互いに運動エネルギを交換しあって、上記移動体Jが減速し上記移動体JJが加速する減速機構を備える。(以後、手段1と言う。)
移動装置は移動体Jの付勢手段Vと移動体JJとの付勢手段VVが別々であることが特徴であり、軌道Xと軌道XXとが同一の場合も含む。移動体JJの移動速度がゼロで移動体JJが止まっているときも含み、移動体Jと移動体JJとは相対的に接近する。移動体JJの移動速度がゼロの場合は、移動体JがドアDに、移動体JJがドア枠Wに例えられる。
移動体Jの移動速度と移動体JJの移動速度とは互いに影響しあう。移動体Jは移動体JJを常に押圧し、摩擦抵抗などの移動体Jの移動方向と逆方向の力が移動体Jに作用しないにも拘わらず、回転体Jの速度は連続的に減少する。
付勢手段Vが移動体Jを付勢し続けて、移動体JJが止まらない限り移動体Jは止まったままにならない。
例えば図2に説明する滑り対偶の連結部において、上記移動体Jと上記移動体JJとの接点bにおいて、上記移動体Jに沿って上記移動体JJが摺動する途中において、上記移動体Jの移動方向と上記移動体JJの摺動方向とが互いに略直行するとき、
同様に、例えば図4に説明する回り対偶の連結部においても、上記移動体Jと上記移動体JJのそれぞれに接続軸Cと接続軸CCが設けられ、リンクAとリンクAAのそれぞれが接続軸Cと接続軸CCの周りに回転自在に軸支され、リンクAとリンクAAは連結軸Pで連結されてリンク装置を形成し、上記軌道Xと上記軌道XXとが略直行し、上記移動体Jと上記移動体JJとが相対的に近づいて、リンクAの軸芯線Zaと接続軸Cの移動方向とが平行に近づくとき、移動体Jの移動方向に働く大きな力と移動体JJの摺動方向に働く小さな力とが釣り合う。(以後、手段2と言う。)
手段2は、開くとき重たく感じられないドアを提供し、移動体Jが大きな力で移動体JJを押圧しても、移動体Jは小さな力で移動し続けることが出来る。同時に、移動体Jの小さな力が移動体Jに大きく作用する。移動体Jの移動速度が一方的に減少し、移動体JJの移動速度は移動体JJに影響されない。移動体Jの移動速度と移動体JJの移動速度とは手段1のように互いに影響しあわない。移動体JをドアDに例えて移動体JJを減速装置に例えれば、ドア慣性力の大きさに関係なく減速装置は所定の速度で低速回転し、ドアDの回転は減速装置の所定の速度に従う。
図1〜図6に説明するように、上記移動体Jと上記移動体JJと備えてなる減速装置は、抵抗が未だ作用しない待機範囲と、車輪Bが摺動面Kに沿って移動し抵抗が作用する減速範囲と、抵抗が取り除かれる抵抗消失範囲とを備え、「解除可能な拘束手段」によって、待機範囲から減速範囲に切り替わり、或いは減速範囲から抵抗消失範囲に切り替わる。(以後、手段3と言う。)
また減速装置が初期状態に戻る復帰範囲を備える。図2、図21に説明するように、リンク装置は、閉方向と開方向との運動においてリンク装置の構造も、運動経路も異なる。
ドアに例えると、抵抗がドアの所定の開度で働き始め、所定の開度で取り除かれ、減速範囲を全閉直前周辺に限ることが出来る。抵抗を取り除く作業のスイッチは移動体Jの移動によって入れられ、「解除可能な拘束手段」のスイッチはドアが回転している間に入れられる。抵抗を取り除く作業はスイッチを入れてから一瞬でない程度の長時間経過した後で開始し、抵抗はドアが減速されて停止sた後に取り除かれる。
減速を全閉直前に限ることはドアが僅かに回転する間に速度を急激に減少させることで、減速装置は大きなドア慣性力を支持して小さな力でも止まらず動き続けるが、減速装置の小さな力の動きの仕事でドアの運動エネルギを消費しきれず、ドアとドア枠は大きな衝撃を受ける。
図6、図8〜図1本発明は、ドアの運動エネルギを減速装置の減速手段RSの摩擦損失に変換して減速する以外に、歪エネルギや位置エネルギや熱エネルギに移転して減速する。
図6、図8〜図12に説明するように、移動体Jと移動体JJとが相対的に接近し、移動体Jと移動体JJとが弾性体或いはバネで付勢されるリンクを介して接触離脱する移動装置(以後、手段4と言う。)は、ドアが止まっても長時間後には移動体JJとが減速範囲から抵抗消失範囲に移動して、弾性体或いは当該リンクを付勢するバネの復元力が移動体Jに作用しないようになる。ドアが止まってから抵抗消失範囲までの時間経過が長過ぎても、ドアは再び動き出して全閉する。
移動体JJの移動速度がゼロなくても移動体JJを観測点にすれば、止まっている移動体JJに移動体Jが接近してくるかのように見えるので、移動体Jと移動体JJとが相対的に接近している。図11に説明するように、手段4において弾性体は「複数のリンクで構成されてなるバネで付勢されるリンク装置」でもよく、手段4の減速装置は「複数のリンクで構成されてなり付勢手段Vとそれとは別の付勢手段VVが、それぞれ異なるリンクを付勢する不限定リンク装置」であってもよい。(以後、手段5と言う。)
上記弾性体或いは上記当該リンクを付勢するバネの復元力が作用しないように、復元力無効化手段を備える。(以後、手段6と言う。)
復元力無効化手段とは、図6において、バネの復元以前に減速範囲から抵抗消失範囲に切り替わる手段、図8、12において、バネの復元が逆転防止装置で阻止されたまま、減速範囲から抵抗消失範囲に切り替わる手段、図9、10において、バネの復元力の作用線方向が移動体Jと移動方向と直行する方向に移行して、減速範囲から抵抗消失範囲に切り替わる手段、図11において、バネの復元力の作用線がバネで付勢されるリンクの回転軸Iaから遠ざかって、減速範囲から抵抗消失範囲に切り替わる手段である。
このようにして、ドアの運動エネルギをバネの歪エネルギに吸収することが出来るが、手段1の付勢手段VVが備える減速手段Rsや、手段3の待機範囲から減速範囲に切替える、或いは減速範囲から抵抗消失範囲に切替える「解除可能な拘束手段」が備えるバネ、手段4の移動体Jと移動体JJとの間に介在する弾性体或いは手段4のリンクを付勢するバネ、の伸縮を遅延させる遅延手段は、大きな力を支持する必要がなく、一瞬ではない長時間運動し続ければよく、図1に示す空気シリンダ、図6に示す穴のあいた逆止弁を備えるシリンダ、或いは示す穴のあいた逆止弁を備えるピストンのように構造は簡易よい。
これらの手段はバネ或いは浮力を付勢手段として流体の粘性抵抗を受けて移動するピストンを備える。或いは管内部Pо1と管外部Po2との間の界壁Pwsに設けられる小さな穴Phを流体或いは鋼球Bが少しずつ通過する管PPを備える。管内部Pо1の流体或いは鋼球が全て通過し終えるまで長時間要することによって、減速装置やバネの遅延装置は長時間運動し続ける。(以後、手段7と言う。)図27に説明するように鋼球Bは質量を持つ粒体である。
これらの減速手段やバネの遅延手段がドアを減速した後で全閉するときや、「解除可能な拘束手段」を解除するときに大きな力を提供する必要があるが、このような場合、減速装置或いはバネの伸縮の遅延装置は、ドアの運動エネルギを歪エネルギや位置エネルギに移転するものである。図27に説明するように、筒P1内に収容される複数の鋼球Bの位置エネルギを一瞬に失うのではなく、鋼球Bが移動と停止を交互に繰り返して徐々に落下して運動継続時間を延長するもの、また図28に説明するように、所定の軌道Xに沿って移動する移動体Jの付勢手段Vの歪エネルギを一瞬に失うのではなく、移動体Jが移動と停止を交互に繰り返して徐々に落下して運動継続時間を延長するものである。これらは手段1〜7と併用して或いは単独でドアを減速することが出来る。
図28に説明するように、付勢手段Vによって付勢され固定部Wの設けられる所定の軌道Xに沿って移動する移動体Jと、上記移動体Jに設けられる回転軸Qの周りに回転自在に軸支されるリンクAと、上記リンクAの先端部に設けられる支軸Ib装着される車輪Bと、固定部Wに設けられ上記軌道Xと略直行し、上記軌道Xに等分に配される複数個の摺動面Kとを備え、上記車輪Bが順次上記複数個の摺動面Kに沿って移動し、上記リンクAが振幅しながら上記移動体Jが移動する移動装置において、車輪Bがドアの運動エネルギを消費することなく軌道X方向に移動することを出来るだけ小さくする、或いはリンクAが振り子運動を継続して或いは車輪Bが往復運動を継続して移動体Jの移動を遅らせるものである。
図28、図29に説明するように、付勢手段Vによって付勢され固定部Wの設けられる所定の軌道Xに沿って移動する移動体Jと、上記移動体Jに設けられる回転軸Qの周りに回転自在に軸支されるリンクAと、上記リンクAの先端部に設けられる支軸Ib装着される車輪Bと、上記軌道Xに沿って等分に配される複数個の摺動面Kとを備え、上記車輪Bが順次上記複数個の摺動面Kに沿って移動し、上記リンクAが振幅しながら上記移動体Jが移動する移動装置であって、上記摺動面Kが上記軌道Xに近い位置に始端部Ksと上記軌道Xから遠い位置に末端部Keとを備え、上記摺動面Kは上記末端部Keの周りに回転自在に軸支され、上記摺動面Kが上記軌道Xと略直行する状態で静止するように付勢されることを特徴とする、或いは上記リンクAが上記軌道Xと重なる状態で静止するように付勢されることを特徴とする移動装置。
(以後、手段8と言う。)
図31に説明するように、付勢手段Vによって付勢され固定部Wの設けられる所定の軌道Xに沿って移動する移動体Jと、上記移動体Jに設けられる回転軸Qの周りに回転自在に軸支されるリンクAと、上記リンクAの先端部に設けられる支軸Ib装着される車輪Bと、上記軌道Xに沿って等分に配される複数個の円弧の摺動面Kとを備え、上記複数個の円弧の摺動面Kのそれぞれは上記軌道Xと交差する位置において、上記車輪Bが通過する通路を備えることを特徴とし、上記車輪Bが順次上記複数個の円弧の摺動面Kに沿って移動し、上記リンクAが振幅しながら上記移動体Jが移動する移動装置。(以後、手段9と言う。)
図30〜図33に説明するように、付勢手段Vによって付勢され固定部Wの設けられる所定の軌道Xに沿って移動する移動体Jと、上記移動体Jに設けられる2以上の回転軸Qのそれぞれの周りに回転自在に軸支されるリンクAと、2以上の上記リンクAのそれぞれの先端部に設けられる支軸Ib装着される車輪Bと、上記軌道Xに沿って等分に配される複数個の摺動面Kとを備え、2以上の上記車輪Bが順次上記複数個の摺動面Kに沿って移動し、2以上の上記リンクAが振幅しながら上記移動体Jが移動することを特徴とする移動装置。(以後、手段10と言う。)
ドア内部や床下部分やドア上部壁内部に収容可能であって、ドア周辺の景観を損なわない小型化可能な減速装置を提供する移動装置は、図19〜図21に説明するように、ドアの回転を直線往復運動に変える手段を備え、図22に説明するように、ドアの回転軸は鉛直であり、ドア面に垂直な駆動軸は水平であって、2軸が交わる2軸間に回転を伝達す手段を備える。或いは図23に説明するように、ドア内部から外部へ出入りする往復運動を、ドア面に平行な平面上で運動する駆動部のリンクに伝達す手段を備える。(以後、手段11と言う。)
手段1、2の「ドアを開く時にドアが重たく感じられないように小さな力で駆動してドアを減速する手段」は、小さなドア慣性力のみならず如何に大きなドア慣性力に対しても影響されず、一定速度で回転するドアを提供するように、図18に説明するように、小さな重量のみならず如何に大きな重量の荷物を積載しても一定速度で昇降する床に取り付けるドバランサに応用される。
またこれらの手段を採用して、図16、図17に示す「小さな力が大きくドアに作用するようにしたドアクローザ」をゆっくりと動作させると、減速装置として機能し、比較的小さい力で止まることなくしかも静かに全閉するドアを提供できる。
手段3〜6の「ドアの運動エネルギをバネの伸縮に変換して、バネの復元力でドアが跳ねかえらない手段と、バネが一瞬にして伸縮しないようにする手段」は構造的にドアの閉止方向の回転を止めながら後退する当りを備える手段であって、図13〜図15に説明するように、運動体Yの衝撃を吸収し運動体Y(運動体Yは手段1において移動体Jである。)を押し戻さない緩衝器に応用される。
これらの手段は回転ドアのみならず、図8〜図10、図23に説明するように、引き戸にも利用され、手段11の「ドア内部に収容可能な手段」は、図23に説明するように、少し開くだけで勝手に全開するドアに応用される。
このように、小型化可能な簡易なドアクローザが、ドアに対して全閉するまでゆっくりと動き続けるだけで驚くべき効果を発揮するように、これらの装置がドア以外の工業製品に取付き驚くべき効果を発揮し、これらの手段がドアに限らずその他の産業技術に応用できることは言うまでもない。
名称の後に付される記号が同じである場合、名称が異なっても同じものを意味する。例えば以下の運動体Jは移動体Jでもあり、回転体Jでもある。また「後退する当りJJ」は運動体Jの移動を阻止しながら移動する移動体JJでもあり、回転体JJでもあって、符号JJは運動体Jの減速手段を意味し、名称が異なっても意味を統一して用いる。
図1〜図7は「速く移動する運動体J」を係合しても、速度を変えない「遅く移動する移動体JJ」に関する。
運動体Jの進行を阻止しながら自動的に後退する当りJJの説明図 運動体Jの大きな慣性力を受け止めて小さな力で動き続ける当りJJの説明図 切替範囲での減速機構の説明図 滑り対偶連結部と回り対偶連結部での減速機構の説明図 運動体Jが止まると再び動き出すようにする当りJJの説明図 運動体Jの大きな慣性力と無関係に自力で低速回転する当りJJの説明図 運動体Jを一旦停止させる当りJJの説明図
運動体Yが押しバネUを縮めながら減速して停止した後で、押しバネUの復元力で押し戻されない減速装置に関する。
運動体Jの衝突時の衝撃を吸収する当りJJの説明図 運動体Jの衝撃を吸収して自力で復帰する当りJJの説明図 運動体Jの停止手段を排除して運動体Jを再起動させる当りJJの説明図 異なる2つのバネで付勢される不限定リンク装置の説明図 衝撃をバネで吸収し跳ね返る瞬時の状態を維持する緩衝器の説明図 バネが復元するときも減速する緩衝器の説明図 運動体Yの運動エネルギを吸収して凹んだまま静止する緩衝器の説明図 運動体Yの運動エネルギを吸収しても運動体Yを押し戻さないバネの説明図
ドアとその他の開閉装置への応用例に関する。
減速装置として機能しゆっくりと動く「滑り対偶の回転装置」の説明図 減速装置として機能しゆっくりと動く「回り対偶の回転装置」の説明図 自力で運動する減速装置を備え、ゆっくりと倒伏する蓋の説明図
ドア周辺の壁内部やドア枠内部やドア内部に収納可能なドアクローザに関する。
ドアの枢軸周りに収容されるドアクローザの説明図 ドア内部に収容され、全閉力と減速力が同時に作用するドアクローザの説明図 ドア面に沿って収容され、減速した後に全閉するドアクローザの説明図 ドアの回転をドア内部の回転に変換するドアクローザの説明図 ラッチの出入りをドア内部の回転に変換するドアクローザの説明図
遅れて動作するスイッチと、動作を遅らす遅延装置に関する。
入れて暫く時間が経過した後で自動的に切れるスイッチの説明図 作用してから暫く時間が経過した後で自動的に作用しなくなる抵抗の説明図 長時間動き続ける運動の説明図 位置エネルギを徐々に失い長時間動き続ける移動装置の説明図 歪エネルギを徐々に失い長時間動き続ける移動装置の説明図 停止と移動を繰り返し長時間動き続ける移動装置の説明図 停止と移動を繰り返す2つの揺動体を備える移動装置の説明図 振動が止まるまで移動しない揺動体を備える移動装置の説明図 移動して復元力を蓄え復元力で停止する揺動体を備える移動装置の説明図 停止と回転を繰り返し長時間動き続ける回転装置の説明図
図1〜8は運動速度が異なる2つの移動体J,JJが接触するときの動作説明図である。2つの移動体J,JJは別々の付勢手段によって固定部W(以後、固定部Wは図面において図面の紙面上を表す。)に設けられる所定の軌道上を移動し、それぞれ引きバネV、VVによって図中矢印1方向(以後、図中矢印1方向を閉方向、図中矢印1と反対方向を開方向とする。)に付勢される。引きバネV,VVはそれぞれ片方の取り付け部SWj,SWjjを固定部Wに固定支持し他方の取付部Sj,Sjjをそれぞれ移動体J,JJに可動支持する。
移動体JJは減速手段RS(以後、空気や油の粘性抵抗で減速する手段を減速手段RSと言う。)を備え、移動体Jの移動速度は回転体JJより早いとする。移動体Jは減速し移動体JJは加速する。
減速手段RSの1例を図1(a)に示す。Rs1,Rs2はそれぞれ片方の端部が閉鎖され他方の端部が開放される管であって、Rs1,Rs2のそれぞれの片方の端部には引きバネVVの取付部Sjj,SWjjが取付き、Rs2の他方の端部の外側はRs1の他方の端部の内側に沿って摺動する。この外側と内側の間からRs1,Rs2の管内の空気が辛うじて出入りするようになっている。管内の空気の出入りに伴う抵抗によって引きバネVVの伸縮が遅延する。図1以外の図面に示す移動体JJ或いは引きバネVVは、図示しない減速手段RSを備えるものとする。
図1,2において移動体J,JJは回転体J,JJである。取付部Sj,Sjjは固定部Wに設けられる円軌道上を移動する。図1(a)〜(c)において、回転体Jと回転体JJとは共通の枢軸Oの周りに回転自在に軸支される。回転体Jは当りG1と当りG2とを備え、回転体JJは当りG1と当りG2との間を遥動可能に取付いている。
図1(a)は回転体Jを矢印1と反対方向に回転させて、引きバネVを引き伸ばしたときの状態図で、回転体JJが当りG1に当接して回転体Jと同方向に回転し、引きバネVVも引き伸ばされる。図1(a)に示す状態で回転体Jから手を離すと、回転体Jと回転体JJとが矢印1方向に回転して、図1(b)に示すように遅く回転する回転体JJは当りG1から離れる。
更に暫く経つと図1(c)に示すように、回転体JJは当りG2に当接し、回転体Jと回転体JJとは接点bで互いに接触し、相対的に一体になって回転する。回転体Jは回転体JJの遅い回転に少なからず影響を受けて減速する。また回転体JJは回転体Jの速い回転に少なからず影響を受けて加速する。引きバネVはゆっくりと伸縮し、取付部Sjは減速される。また回転体Jが止まっても回転体JJは動き続け、回転体JJが動き続けるので回転体Jは止まったままになることはない。
図1に示すように上記移動体Jと上記移動体JJとが係合離脱する場合は、上記移動体JJの軌道XXは、上記移動体Jと未だ接触せず上記移動体Jを減速しない待機範囲と、上記移動体Jと接触して上記移動体Jを減速する減速範囲と、上記移動体Jから離れて上記移動体Jを減速する抵抗が取り除かれる抵抗消滅範囲とを備える。
回転体JをドアDに例えると、或いはドアDを回転させる駆動部に例えると、(以後、ドアDに例える場合も、駆動部に例える場合も、ドアDに例えると言う。)ドアの減速は閉止開始開度から一定の回転後に自動的に始まる。減速時にドアは「引きバネV1の付勢方向の力」と「付勢方向と反対の引きバネV2の力」とによって挟まれた状態で、常にブレーキがかかった状態で、止まることなく閉方向に回転する。
ドアが減速される状態は、運動摩擦抵抗がドアを付勢する力より上回り、ドアが閉まる方向に運動しているドアに開く方向の力が働くからであって、等速運動している観測点から見れば、ドアは開く方向に後退して運動している。
ドアの減速が認められる位置では、ドアを付勢する力より上回る摩擦抵抗が用意されて減速されるが、摩擦抵抗が用意された場所で止まっているドアは動き出さない。
摩擦抵抗が用意された位置が、ドアを大きく開いて閉止する途中の位置であれば、動いているドアを減速するが、その位置が閉止開始開度であるならドアは動き出さない。特許文献1〜10はドアの開度と力の大きさの関係に時間的変化がなく、抵抗が作用したままであるので、ドアは止まったままになるか、全く減速しないかの両方の場合が起こりうる。
図1のように、移動体Jと移動体JJとがそれぞれが独自の付勢手段で運動し続けて、互いに接触しあって、速い速度で移動する移動体Jが遅い速度で移動すると移動体JJの後につく場合、移動体Jに移動方向と反対方向の力が作用するのではなく、移動体Jに常に移動方向の力が作用するにも拘らず、移動体Jは減速する。移動体Jの運動エネルギがと移動体JJに移転するからであって、特許文献1〜10においては運動エネルギがの移転が考慮されない。
全閉直前に略停止するほど減速しなければ、全閉時の衝撃音は耳障りになるので、一旦停止してから全閉することが望ましく、一旦停止したドアに抵抗が作用したままでは留まったままになるので、ドアを減速した抵抗が油や空気の粘性抵抗のように時間とともに勝手に減衰や消滅するか、或いは取り除かれければ、ドアは動き出さない。
図1の移動体JJは移動体Jより遅い速度で移動すればよいのであって、移動体Jを減速して離れるまで動き続ければよい。図1の移動体JJが遅い速度で移動するための手段が、油や空気の粘性抵抗である場合は、図1の移動体JJは「油圧シリンダを備えるドアクローザ」である。ブレーキシュウの摩擦抵抗や歯車の回転抵抗などであっても、必要な時間動き続けるような付勢手段は用意できる。
図1(d)に示す押しバネUは、片方の端部を固定部Wに固定支持し他方の端部を自由端とし、回転体Jは図1(c)に示す減速状態を暫く継続したあと、図1(d)に示すように他方の端部の自由端に当接して、押しバネUを押圧する。
押しバネUを押圧する回転体JをドアDに例えると、押しバネUが縮みながらドアが全閉に近づくに従い、押しバネUの反発力は増加し、ドアを付勢する力は減少する。押しバネUにドアが当接する以前にドアは減速して、ドアに取付く慣性力は小さいので、ドアを付勢する力が押しバネUの反発力と「回転体Jが接点bを介して回転体JJを押圧する力」との和に釣り合う位置で、ドアが開く方向に跳ね返ることなく静止する。
静止する位置が全閉位置以前である場合、回転体JJが回転体Jと関係なく「図中破線で示される矢印1e方向」に回転し続けるので、回転体Jと回転体JJはともに静止せずに回転し続ける。回転体Jと図1(d)に示すように、押しバネUが縮みながらドアが全閉に近づく状態は継続する。回転体JJが当りG2から離れると、「引きバネVの付勢方向の力」から減速手段RSの抵抗が取り除かれるので、ドアを付勢する力と押しバネUの反発力とが釣り合う位置で、ドアは静止する。
この段階で静止した位置が全閉位置である場合、回転体JJが当りG2から離れているので、全閉したドアを開く瞬間に必要な力はゼロである。開くに従い引きバネVを引き延ばす力が必要となるが、ドアが止まる事なく略一定の速度でラッチを凹ませるので、ドアが止まったままでラッチを凹ませるときに比べて、ラッチを凹ませる力は遥かに小さく、ドアを開くに従い引きバネVを引き延ばす力は小さくなる。
また押しバネUの反発力はドアを開くときドアを軽くするよう方向に働くので、全閉時にラッチを凹ませる以外に押しバネUを縮める力が余分に必要であっても、ドアを開くときの力を大きくしない。
回転体JJが当りG2から離れた段階でドアが停止して全閉位置に至らない場合、当りG2から離れた回転体JJが回転し続けて当りG1を押圧するようになる。停止したままの回転体Jは再び回転し始め、押しバネUを縮めながらドアは全閉する。
引きバネVの力を、ラッチを凹ませても凹ませなくても、押しバネUの反発力に打ち勝って全閉しないように設定すると、ドアは全閉以前に一旦停止する。引きバネVVの力を「ドアの慣性力によって加速しない強い減速手段RS」に打ち勝って伸縮し続けるように設定すると、全閉時には引きバネVによる付勢力に引きバネVVの力が追加されて、押しバネUを伸縮し続けるようにする。
このように付勢手段と抵抗手段がアクチュエータを別々にしてドアクローザは、抵抗手段が動き続ける限り、全閉せずに止まったままにならない。全閉まで停止させずに全閉する形式や、全閉直前で一旦停止させて全閉する形式のように、全閉する形式にはドアに作用する抵抗が全閉直前に自然消滅する形式やしない形式、ドアを付勢する力で全閉する形式や、抵抗する機能が全閉手段に切り替わる形式など、種種の形式を自由に選択出来る。またドアは全閉直前から複数の段階を経て全閉するので、且つ複数の段階の動作に時間を要するので、ラッチが凹み始めて全閉するまでのドアの回転速度を自由に制御することが出来る。
減速は運動体に負の加速度が働くことで、負の加速度が働き続けると運動体は止まってしまう。摩擦が働き続ける運動体が止まれば、摩擦が運動摩擦抵抗から静止摩擦抵抗に切り替わり再び動き出さない。運動体がドアである場合、ドアが減速し続けても全閉する位置でも動いていなければならない。しかも全閉する位置での運動速度が閉止開始開度に関係なく一定でなければならない。減速は最終的にドアを止めてしまう行為であるのに、最終的にドアを止めないところにドアクローザの難点がある
バネ1本で動くドアは、抵抗を掛けて減速すると同時にバネの伸縮が止まり始める。ドアが動いている間はバネの伸縮は続き、ドアが止まるとバネの伸縮は止まったままになる。ドアはバネの伸縮を止める当りとなる。当りを取り除くか、バネ1本の力が当りを後退させるほど大きくならない限りドアは再び動き出さない。
図1に示すバネ2本で動くドアは当りが後退して、バネの伸縮は止まったままにならない。
図2は高速回転して大きな慣性力が取付くドアを小さな力で制動する機構の説明図である。
図2(a)〜(d)において、回転体Jと回転体JJの回転軸はそれぞれ異なり、それぞれ枢軸Oと枢軸OOの周りに回転自在に軸支される。回転体JJは扇型の回転体で、外縁部に摺動面Kを備える。回転体Jは支軸Ibbに車輪BBが装着し、車輪BBと摺動面Kとが当接するとき、車輪BBが摺動面Kに沿って摺動する。
リンクAは「回転体JJに設けられる接続軸C」の周りに回転自在に軸支され、「先端部に設けられる支軸Ib」に車輪Bが装着される。長穴Hは回転体Jに設けられ、車輪Bは長穴H内を移動する。
枢軸OOは回転体Jwに設けられ、回転体Jwは「固定部Wに設けられる固定支軸Ow」の周りに回転自在に軸支される。回転体Jwは引きバネVwによって固定支軸Owの周りに矢印1方向に付勢される。引きバネVwは引きバネVと同様に図1に示す減速手段RSを備えない。
図2(a)は回転体Jを矢印2方向に回転させて、引きバネVを引き伸ばしたときの状態図で、車輪Bは長穴Hの端部Heに当接して停留し、枢軸OOと接続軸Cと支軸Ibとが一直線状に配されるようになり、回転体JJが枢軸OOの周りを矢印2方向に、回転体Jwが固定支軸Owの周りに矢印2方向に回転し、引きバネVVとVwが引き伸ばされる。
図2(a)に示す状態で回転体Jから手を離すと、回転体Jは引きバネVによって枢軸Oの周りを矢印1方向に回転するが、回転体Jwも固定支軸Owの周りを矢印1方向に回転する。
回転体Jをドアの例えると、ドア面が空気抵抗を受けるので、引きバネVは引きバネVwに遅れて伸縮する。その結果、回転体Jwが当りGwに当接して回転を停止すまで、「枢軸OOと接続軸Cと支軸Ibとが一直線状に配される状態」が保たれる。図2の回転体Jwは全閉直前に回転体JJが枢軸OOの周りを矢印2方向に回転し始めるようにしたものである。
回転体Jwが当りGwに当接すると、回転体JJは図1の場合のように、静止した枢軸OOの周りを回転する。引きバネVVは減速手段Rsを備え、引きバネVVの伸縮が引きバネVの伸縮に遅れるので、図2(c)に示すように車輪Bが長穴Hの端部Heから離れて、車輪BBが摺動面Kに当接する。回転体Jと移動体JJとは互いに接触し合って同じ1方向に回転する。摺動面Kが枢軸OOを中心とする円であれば、回転体JJが回転しても車輪BBが停止したままで、回転体Jは回転しない。
摺動面Kの形状が枢軸OOからの距離が漸次を増加或いは減少する渦線であれば、車輪BBは移動し回転体Jも回転する。摺動面Kの形状が枢軸OOを中心とする円に近似する場合、枢軸OOが枢軸Oを中心とする円周付近にあればあるほど、「車輪BBが摺動面Kを押圧する力の作用線Fbb」は枢軸OOの近づくようになる。
図2に示す摺動面Kの形状は枢軸OOからの距離が漸次を増加或いは減少する渦線(特許文献5図1に記載する渦線)であって、枢軸OOが枢軸Oを中心とする円から離れていても、車輪BBが摺動面Kを押圧する力の作用線Fbb(力の作用線Fbbは支軸Ibbと接点bbとを通る。)が常に枢軸OOと一定の距離を保つ。
図1(a)〜(c)における当りG2と、図2(a)〜(c)における車輪BBは、ともに枢軸Oの周りを公転するが、図1(c)において「当りG2に当接する回転体JJの接点b」は当りG2の移動方向に移動し、図2(c)において「車輪BBに当接する回転体JJの接点bb」は、摺動面Kに沿って「車輪BBの移動方向と略直角方向」に移動する。
力の作用線Fbbは枢軸OO或いはその近傍を通過するほど、回転体JJが回転体Jの回転力で回転し難い。
例えば、重い荷物を積載した荷車が平地で簡単に動くように、また荷物をいくら重くしても荷車は動き出さないように、図2(a)〜(c)において、ドアの制動に要する力は小さく、これに比べるとドアを回転させるために必要な力はあまりにも大きい。回転体JJは大きな押圧力Fbbを支持すると同時に、引きバネVVの力が小さくても容易に回転出来る。(以後、車輪Bドア慣性力の大きさに関係なく最も小さな力で移動できる摺動面Kの位置を極小点と言う。)
図2(c)に示すように車輪BBが摺動面Kに沿って移動している間は、回転体Jは減速あるいは加速するが、図2(d)に示すように、摺動面Kの末端部Keを離れて、回転体Jと移動体JJとが互いに離れると、或いは回転体JJの側面を押圧して力の作用線Fbbが枢軸OOの周りの円の径方向から周方向に転じる。減速あるいは加速は自動的に解消される。
図2(d)に示す回転体Jを全閉したドアに例えると、ドアを開くとき図2(d)から図2(a)に向かう過程をたどり、先ず回転体JJが回転し減速装置が復帰して、以後回転体Jwが遅れて回転する。
図2(e)〜(h)は図2(a)〜(d)においてと同様に全閉寸前に回転体JJが動き始めるようにしたもので、長穴Hは枢軸OOから遠い側の摺動面K1と近い側の摺動面K2との間に挟まれ車輪Bを収容できる幅の溝である。
図2(g)に示すように回転体JJが回転して車輪Bが摺動面K2に沿って移動し回転体Jを回転させるとき、回転体JJは小さな力で回転して、ドアDを大きな力で回転させるが、逆に図2(h)に示すように回転体Jの回転が止まった状態で、回転体Jが回転体JJを回転させようとするとき、回転体JJに働く力が引張力から圧縮力に転じ、ドアDが大きな力で回転して回転体Jを圧縮ても、回転体JJを回転させる力は小さく、回転体JJは回転しようとしない。
全開位置付近では図2(e)に示すように車輪Bが長穴Hの枢軸Oに近い方の端部He付近に停留している。端部He付近は枢軸Oを中心とする周方向の摺動面であって、車輪Bが移動しなくても、回転体Jが枢軸Oの周りを大きく矢印1方向に回転できるようにしている。ドアが全閉直前の位置に至って、車輪Bが摺動面K1の枢軸Oに近い摺動面K1eに当接して、摺動面K1に沿って枢軸Oから遠ざかる方向に移動するようになる。
このように、車輪Bを端部Heに拘束し、回転体Jの所定の開度で端部Heから離すようにする手段を「解除可能な拘束手段」と言うことにする。
図2に示す場合は図1に示す移動体Jと移動体JJとが終始係合する場合であって、移動体JJの軌道XXは、移動体Jに抵抗が未だ作用しない待機範囲と、車輪Bが摺動面Kに沿って移動し抵抗が作用する減速範囲と、抵抗が取り除かれる抵抗消失範囲とを備える。「解除可能な拘束手段」によって、待機範囲から減速範囲に切り替わる。
図2(e)〜(h)において図2(a)〜(d)においてと同様に、摺動面K1の形状は「枢軸OOからの距離が漸次を増加或いは減少する渦線」である。図2(h)に示すように、力の作用線Fbbと枢軸OOとの間の距離Lfが小さいので、回転体JJはドアJの大きな慣性力によってでも回転し難く、また引きバネVVの小さな力で動き続けることができる。
ドアが閉まる時には、付勢手段のバネVは緩むことがないので、車輪Bは図2(f)に示すように摺動面K1に沿って移動し、図2(g)に示すように摺動面K2に沿うことはない。但し、例えば矢印2方向に「付勢手段のバネVの力を上回る風の力」が働くと、車輪Bは摺動面K1から離れ、摺動面K2に沿って移動するようになる。
図2(h)に示すように枢軸Oから遠ざかり、ドアが全閉する。全閉したドアを開くとき、車輪Bは摺動面K2に沿って移動し、図2(h)に示す位置から図2(e)に示す位置に戻される。(以後、減速装置が減速終了位置から待機範囲に戻るまで範囲を復帰範囲と言い、減速装置を待機範囲に戻す手段を復帰手段と言う。)
図2(f)に示すように車輪Bが穴H内の枢軸OOから遠い側の摺動面K1に沿って移動して回転体Jを減速するとき、摺動面K1が枢軸OOを中心とする円弧に近いほど引きバネVVの力が小さくても容易に回転出来るが、図2(h)から図2(e)に向かう過程において、車輪Bが穴H内の枢軸OOから近い側の摺動面K2に沿って移動して枢軸Oに近ずくとき、摺動面K1が枢軸OOを中心とする円弧に近いほど容易に回転出来ない。
車輪Bが摺動面K2に沿って端部Heに戻るためには摺動面K2は枢軸Oに近ずくに従い枢軸OOに近づく渦線でなければ図2(e)に示す位置に戻されない。このように、極小点を備えるリンク装置は、閉方向と開方向との運動においてリンク装置の構造も、運動経路も異なる。
図1の場合は、回転体Jと回転体JJの接点bにおいて、回転体Jが回転体JJを押圧する力Fbは図1の場合は回転体JJの回転軸Oを中心とする円の周方向に働き、押圧力Fbの大きさに合わせて抵抗の大きさを設定しなければならないが、図2の場合は回転体JJの回転軸OOを中心とする円の径方向に働き、ドア慣性力の大きさに関係なく、引きバネVVに回転体JJが動き続けることができる力があれば、ドアは減速して全閉に至る。
図1の場合は引きバネVVの力が大きくても、想定外の大きさのドア慣性力に対して十分に減速しきれない。図2のように「回転体JJがドア(回転体J)の大きな慣性力を受けても、引きバネVVの小さな力で動き続ける構造」ではない。
特許文献9に記載する「一定速度のアクチュエータで回転するドア」は、「図2(g)において引きバネVがなく、減速手段Rsを備える引きバネVVだけで回転するドア」に例えることができる。「回転体JJがドアJの大きな慣性力を受けても、引きバネVVの小さな力で動き続ける構造」であって、引きバネVVに最後に全閉する力がなければならない。
この場合、車輪Bは摺動面K2に沿って移動してドアを加速し、ドアを加速しすぎると摺動面K2から離れ、摺動面K1に沿って移動し減速するようになる。加速と減速を繰り返しながら最後に全閉する。
ドアクローザに減速装置を追加するか、ドアクローザが減速装置に切り替わるかの違いは、前者の場合、1つの減速装置が全ゆるドアに対して同様の効果を発揮するが、後者の場合、1つのドアクローザが全ゆるドアに対して同様の効果を発揮しないという違いになる。このことは1つのドアが想定外の風圧を受けた場合に、前者の場合は対処できても、後者の場合は対処できないということでもある。
また後者の場合、速度制御が切替範囲に限られ、衝突に近い急激な減速になりかねないが、前者の場合、(あ)の範囲を含めて(い)の範囲の終了時まで所望の速度制御が可能で、緩やかな減速が可能となる。
引きバネVVに全閉する力がある場合は、摺動面K1に沿って移動し減速するとき、車輪Bの移動に必要以上の力が働き、ゆっくり移動させるためには減速手段Rsを大きくしなければならない。減速手段Rsを大きくすることによって、引きバネVVに全閉する力以上にしかければならなくなる。引きバネVVの強さと減速手段Rsの大きさを調節する必要がある。
これに対して引きバネVによって全閉し、引きバネVVが減速するだけである場合は、引きバネVVを車輪Bの移動に必要な力に設定し、引きバネVを全閉に必要な力に設定するだけでよく、引きバネVVの強さと減速手段Rsの大きさを調節する必要がない。
しかしながら、上述の「図2のように回転体JJがドアの大きな慣性力を受けても、引きバネVVの小さな力で動き続ける構造」において「引きバネVVの小さな力が移動する仕事」は略一定で、減速手段Rsの摩擦損失は「回転体JJが受けるドアの運動エネルギ」の大きさに関係なく略一定ある。ドアの運動エネルギは減速手段Rsの摩擦損失と車輪Bが突如として強く摺動面K1を押圧する衝撃エネルギと釣り合っている。ドアとドア枠は衝突に似た激しい衝撃を受けることになる。ドアDは急停止して、一瞬でも止まるとドア慣性力はなくなり、その後にドアは動き出している。
車輪Bがゆっくりと摺動面K1上を移動するならば車輪Bが急停止するのではない。車輪Bが摺動面K1上で停止する部分は大きく必要とせず、車輪Bが停止して止まったまま時間が長く経過しても意味がないので、車輪Bが停止した以後の摺動面Kは必要なく、車輪Bがドアに抵抗しないようにしなければならない。
車輪Bが停止する以前の摺動面K形状は、ドアとドア枠が受ける衝撃を和らげるために、力の作用線Fbbと枢軸OOとの間の距離Lfが徐々に小さくなるように渦線状であることが好ましい。
車輪Bの停止後、車輪Bが摺動面K1から摺動面K2に移動するとドアを全閉することが出来る。このとき力の作用線Fbbと枢軸Oとの間の距離は大きく、小さな力Fbbでもドアに大きく作用することが出来るが、車輪Bが摺動面K1から離れた瞬間に小さな力Fbb自体が大きく切り替われば、より確実にドアを全閉する。
小さな力Fbbが大きく切り替わるときとそれ以後も減速手段Rsが働sく必要がないので、車輪Bが摺動面K1上を移動している間に力Fbbが小さく、摺動面K1から離れて大きくなれば、減速手段Rsを大きくする必要がない。このように、ドアを回転させる回転装置をゆっくりと回転させて全閉する場合は、回転装置が減速装置として働くが減速手段Rsを大きくする必要があり、減速装置がドアを回転させて全閉する場合は、減速手段Rsを大きくする必要がない。
図3は全閉時に自動的に消滅する抵抗を備え、抵抗手段が(あ)の範囲でドアを回転させる手段として働き、全閉直前に抵抗手段からドアDを全閉させる手段に切り替わるドアクローザの実施例の説明図である。
ドアDはドア枠Wの設けられる枢軸Oの周りに回転自在に軸支される。引きバネVとVVはそれぞれドアDと抵抗手段の付勢手段であるが、引きバネVVは(あ)の範囲でドアを回転させる付勢手段として働き、全閉直前に抵抗手段からドアDを全閉させる手段に切り替わるようにしたものである。ドアクローザが図2のように「引きバネVVの小さな力でドアDの大きな慣性力を動き続ける構造」であれば、引きバネVVの力を全閉力以上にすれば、図3(a),(d)に図示する引きバネVを備えなくてもよいことになる。
引きバネVVは図1に図示する減速手段RSを備えるものであるが、図3(a)〜(c)は減速手段RSが回転体JJに取付いて、引きバネVVの伸縮が遅延する。
回転体JJはドアDに設けられる接続軸Cの周りに回転自在に軸支され、引きバネVVの片方の取付部は回転体JJに設けられる支軸Sjjに可動支持され、他方の取付部はドア枠Wに設けられる支軸Swjjに固定支持される。
図3(a)〜(c)と図3(d)〜(f)とは構造が異なるが、それぞれについて図3(a),(d)は(あ)の範囲の、図3(b),(e)は切替範囲の、図3(c),(f)は(い)の範囲の動作説明図である。
摺動面Kはドア枠Wに設けられ、図3(a)〜(c)の車輪Bは「回転体JJに設けられる支軸Ib」に装着され、図3(d)〜(f)の車輪Bは「回転体JJに連結されるリンクAに設けられる支軸Ib」に装着され、支軸Ibは「ドアに設けられる溝Hi」に沿って移動する。
引きバネVVは回転体JJが回転する間もドアDを閉方向に付勢し続けるので、車輪Bが摺動面Kに沿って移動するに従いドアDが閉方向に回転するようにすれば、引きバネVVは回転体JJを回転させながらドアDを閉方向に回転させる。
(あ)の範囲では、回転体JJは接続軸Cの周りに矢印2方向に付勢され当りGに係合している。ドアが回転して、接続軸Cは枢軸Oの周りを矢印1方向に公転し、全閉直前に引きバネVVの軸芯線Zv(以後、両端の連結軸を通る直線を軸芯線と言う。)が接続軸Cを横切ると、回転体JJの付勢方向が逆転し、回転体JJは当りGから離れて接続軸Cの周りを矢印1方向に回転する。引きバネVVの軸芯線Zvが接続軸Cから大きく離れ、同時に枢軸Oからの距離も大きくなって、ドアを回転させる力が大きくなる。
引きバネVVの軸芯線Zvが接続軸Cを横切るとき、回転体JJを回転させる力はないが、横切るとき以前と変わらずドアを付勢し続け、回転体JJの回転が止まってもドアの回転は止まらない。引きバネVVの軸芯線Zvが接続軸Cから大きく離れないとき、回転体JJを回転させる力はないが、ドアの回転が止まらないので引きバネVVの軸芯線Zvが接続軸Cから離れて回転体JJは回転する。
回転体JJが回転し始める、始めないに関係なく、軸芯線Zvが接続軸Cを横切った後で車輪Bが摺動面Kに当接するようにしているが、引きバネVVの軸芯線Zvが接続軸Cから大きく離れ離れない状態で車輪Bが摺動面Kに当接してドアが止まると、回転体JJを回転させる力はないので、回転体JJもドアも止まったままになる。
図3の場合、回転体JJが当りGに係合して静止するときに、車輪Bが摺動面Kと当接しない範囲は待機範囲で、車輪Bが移動する摺動面Kに沿って移動する範囲は抵抗が作用する減速範囲で、車輪Bが摺動面Kから離れる範囲は抵抗が取り除かれる抵抗消失範囲である。図3のリンク装置は、回転体JJを当りGに当接した状態に拘束し、当りGから離す「解除可能な拘束手段」を備える。引きバネVVの軸芯線Zvが接続軸Cを横切るときを境にして抵抗が取り除く作業が始まり、「解除可能な拘束手段」によって、減速範囲から抵抗消失範囲に切り替わる。
ドアには付勢力とその反対方向に抵抗が同時に働く、ドアDの慣性力は車輪Bが摺動面Kを押圧する力Fbbとなり、摺動面Kがこれを受け止めることでドアは減速する。押圧力Fbbが大きいほど車輪Bが摺動面Kに沿って移動するときに受ける摩擦抵抗が大きくなり、車輪Bの移動が止まってドアが止まれば、回転体JJの回転も止まる。
ドアが止まれば慣性力がなくなり、摩擦抵抗もそれだけ小さくなるが、ドアが止まって回転体JJが回転し始めるには、引きバネVVに「止まったままのドアのラッチを凹ませる大きな力」が必要である。
ドアが止まって慣性力がなくなり、引きバネVVに回転体JJを回転させるだけの力があれば、ドアも回転を始めるようになるが、ドアにかかる抵抗がそのまま回転体JJにかかる抵抗であって、引きバネVVに大きな力がなければ、この抵抗に打ち勝って、回転体JJを回転させ、引きバネVVの軸芯線Zvを接続軸Cから大きく離すことはできない。
ラッチ当接時にドアが止まっているかどうかによって、「ラッチを凹ましてドアを全閉する力」の大きさは大きく異なる。ドアが止まってから「ドアを全閉するために必要な力」(以後、全閉力と言う。)は大きくなる。
図3のように回転体JJの回転に更に抵抗手段Rsが取付くと、一旦止まった回転体JJは、引きバネVVの軸芯線Zvが接続軸Cから少し離れたときでも、再び動き出さない。
流体の粘性抵抗のように流速がなくなればなくなるように、減速手段の摩擦抵抗は時間経過とともに消失するものであれば、ドアを回転させる力がドアを付勢し続けていれば、ドアは止まったままにならないが、ラッチ当接時に停止したドアは抵抗手段Rsがなくなってもドアを回転させる力が大きくならずに不足する。
引きバネVVがドアDの付勢手段でもあり抵抗手段でもある場合、引きバネVVの力を大きくすることによって、それに対抗する抵抗も大きくしなければならない。抵抗を大きくすれば、引きバネVVの力を更に大きくしなければならない。
このようにして、引きバネVVの力を大きくすると、ラッチ当接時以前の加速を大きくするだけでなく、ラッチ当接時に停止したドアを付勢し続けていて、車輪Bが摺動面Kを押圧する力Fbbが大きくなり、車輪Bにかかる摩擦抵抗が大きくなって、ますます移動し難くなる。
抵抗を大きくしてドアを減速する手段は、抵抗を強くし過ぎるとドアが止まってしまい、再び動き出さない。強くし過ぎないようにすると、減速効果が殆んど認められないようになる。
「油圧シリンダを備えるドアクローザ」においても、スリットを小さく絞ってスリットを通る油の量を小さくすると、抵抗は増すが消失するまで時間がかかり過ぎるので、ドアが止まってしまうことと同じである。ドア面に極端に大きな突風を受けた場合に減速するようにすると、通常時には閉まる速度が遅すぎるようになり、通常時に閉まる速度が遅すぎないように、スリットを通る油の量を大きくすると、極端に大きな突風を受けた場合に減速出来ない。
このように、引きバネVVがドアDの付勢手段でもあり抵抗手段でもある場合、ドアが途中で止まったままにならない条件を完璧に満たすことが出来ない。
特許文献9に記載するドアクローザも含めて、図3のようにドアに働く力を大きく切り替える手段(以後、切替手段と言う。)とドアを回転させる手段(以後、回転手段と言う。)とが連動し、切替手段と回転手段の何れか1つが止まれば、2つとも止まるドアクローザは、切替範囲で抵抗をかけると、ドアに働く力が大きく切り替らない状態で、止まったままになる。切替範囲が最も止まったままになりやすい範囲となる。
特許文献9に記載するドアは切替範囲でドアクローザが大きく動作し、「一定速度のアクチュエータ」で動くようにすると、切替範囲でドアクローザとドアの回転が極端に遅くなり、一瞬でも停止すると、停止と同時に慣性力は失われる。停止が一瞬であればあるほど衝突に近似する衝撃を受けることになる。
この間に、ドアが止まって減速する必要がなくなるが、切替範囲でドアが止まった状態でも、ドアクローザが動き続ける構造であっても、ドアを回転させる必要もなく動き続ける範囲は小さく、止まったドアと連動するようになり、ドアクローザが止まれば止まったままになる。
図3(a),(d)において引きバネVがドアを付勢し続ける場合、ドア枠Wに設けられる支軸SwjjをドアDに設けて、引きバネVVの他方の取付部を固定支持して、引きバネVVがドアを付勢せず、回転体JJが摺動面Kの当接して回り始めるようにして、回転体JJが回り始めると全閉するまで止まらないようにすると、ドアは減速されるだけでなく止まることもないようになる。このように引きバネVVと引きバネVとを別々に設計すると、回転体JJの回転はドアに影響されないので、回転体JJの回転による減速は、あらゆる重量のドアや、全ゆるドアの回転速度に対応できる。
引きバネVVと引きバネVとを別々に設計することは比較的に容易であって、装置を大きくすることもない。
図4(a1、2)及び図4(b1、2)はドアが静かに全閉するように、抵抗の小さく調節しても失敗するドアクローザを説明し、図4(a3)(b3)は減速しても止めてしまわない減速手段を備えたドアクローザを説明する。
リンク装置を構成するリンクの1つが付勢手段Vによって回転すると、リンク装置は運動し、図4においてドアDも矢印1方向に回転する。リンク装置を構成するリンクで隣り合う2つのリンクの片方に当りを取り付け、当該当りが他方に当接すると、リンク装置の運動が止まる。
図4において当該当りは押しバネUであって図4(a1)(b1)は押しバネUが他方のリンクと離脱しドアDが回転している状態を示す。図4(a2)において押しバネUとリンクAとが係合し、連結軸Pを共有する2つのリンクA、Jが相対的に一体となって1つのリンクとなる。リンク装置は3つのリンクからなる運動しない3角形になる。
図4(b1〜3)においても、リンクAの先端部に設けられる支軸Ibに装着されるスライダBが固定部Wに設けられる所定の軌道Hに沿って移動し、ドアDが回転する。図4(b2)において、押しバネUとスライダBとが係合し、固定部WとリンクAは相対的に一体となる。図4(a)(b)において押しバネUが縮んでいる間、リンク装置は運動する。
減速は停止をもって終了するが、ドアの場合全閉以前に減速が終了すると、止まったままになって全閉しないままになる。また全閉時に減速が終了しないと、ドアの運動エネルギが激しい衝突音に変わる。
図4(a1、2)及び図4(b1、2)においては、ドアDの運動エネルギの一部が押しバネUの歪エネルギに変換されてドアDは減速するが、減速しつづけてドアDが停止すると止まったままになるか、押しバネUの復元力でドアDが矢印1と反対方向に逆回転するかになる。
図4(a1、2)及び図4(b1、2)における押しバネUに代って、図4(a3)(b3)においては図1に説明した「抵抗手段Rsによってゆっくりと後退し続ける当りG」を取り付ける。当りGはリンク装置の隣り合う2つのリンクの片方に取付らられ、他方の接点bで係合離脱する。隣り合う2つのリンクの片方は図4(a3)において回転体Jであり、図4(b3)において固定部Wである。
引きバネVVが抵抗手段Rsによって伸縮を遅延するので、当りGは付勢手段VVによって接点bと離れる方向にゆっくりと移動する。リンク装置の運動はそれより早く、当りGと接点bとが離脱した状態から係合する。
図4(a3)(b3)は当りGと接点bとが係合してドアDが減速されて停止した後、当りGが接点bから離れて、ドアDが回転可能になった状態を示す。付勢手段VVはドアDを回転させないので、ドアDが止まっても止まってしまうことはなく、当りGは後退し続ける。
図4(a3)(b3)の減速装置は、回転体Jwがゆっくりと回転すると接点bと当りGは同方向にゆっくりと移動する。当りGと接点bとが図1の場合と同様に同一軌道上にあって、付勢手段VVの力で当りGを押し戻すには当りGが接点bを押圧する力と同じ大きさの力が必要である。
図4(a3)(b3)は、当りGと接点bとが最初に当接するときの衝撃を、当りGが当接以後に大きく後退することによって衝撃を緩やかに緩和する実施例である。図4(a3)においてリンクAの軸芯線Zaと回転体Jの軸芯線Zjとが重なるように移行し、図4(b3)においてリンクAの軸芯線Zaと回転体Jの軸芯線Zjとが一直線上に配せられるように移行する。抵抗に打ち勝ってドアを付勢する力は次第に強くなり、全閉するまで止まることはない。
図4(a2)において押しバネUを取り除いた状態で、付勢手段Vが「枢軸Oの周りのドアD」を付勢するのではなく、「回転軸Qの周りの回転体J」を破線で示す捩じりバネVUが付勢するように変更し、減速手段Rsが「連結軸Pの周りのリンクAの回転」ではなく、図示しないが「回転軸Qの周りの回転体Jの回転」を減速するように変更した場合を考えることにする。
これは付勢手段を別にする減速装置が取付いたドアクローザではなく、通常の「油圧シリンダを備えたドアクローザ」や特許文献9に記載する「一定速度のアクチュエータで回転するドアクローザ」をモデル化したものでおある。
「回転軸Qの周りの回転体Jの回転」によってドアDが回転するが、このときリンクAに引張力が作用する。「回転軸Qの周りの回転体Jの回転」を減速すると、ドアDが回転体Jを回転させ、ドアDと回転体Jの立場が逆転する。このときリンクAに圧縮力が作用する。リンクAに作用する力が引張から圧縮に転じることによって、「連結軸Pの周りのリンクAの回転」を減速するようになる。
リンクAの軸芯線Zaと回転体Jの軸芯線Zjとが重なるように近づくほどリンクAと回転体Jに作用する力が次第に大きくなり、回転体JがドアDを回転させる場合は引きバネVの力が大きくドアDに作用し、ドアDが回転体Jを回転させる場合はリンクAに作用する力が大きくドアDを減速する。
ドアDを回転させる場合もドアDを減速する場合も、捩じりバネVUの力が小さくても大きな効果を生むようになる。
減速し始めると「引張から圧縮に転じたリンクAに作用する力」は次第に強くなるが、始まった当初は単に「回転軸Qの周りの回転体Jの回転」に大きく抵抗するだけの抵抗であり、ドアを減速しない。この段階でアが止まれば止まったままになる。次第に強くなるとしてもドアを全閉する力を弱めることになる。
この場合は、2つのリンクの軸芯線が一直線に配せられる以前に行われる減速であって、大きな力が発生する以前にドアが止まれば止まったままになる。「油圧シリンダを備えたドアクローザ」や特許文献9に記載するドアクローザについて、ドアを開く時の力を小さくするために抵抗を小さくするとドアが止まったままになるので、抵抗を小さく出来ない。図4(a3)(b3)の場合は、抵抗を大きくしてもドアが止まったままにならない。、回転体Jwが止まることなく動き続けさえすれば、抵抗を大きくして想定外の大きさのドア慣性力に対して減速できる。
同様に押しバネUを取り除いた状態で、図4(b2)においても付勢手段Vが「枢軸Oの周りのドアDの回転」を付勢するではなく、破線で示す捩じりバネVUが「接続軸Cの周りのリンクAの回転」を付勢するようにして、図示しないが減速手段Rsが「スライダBの軌道Hに沿う移動」ではなく、「接続軸Cの周りのリンクAの回転」を減速した場合は、スライダBが、溝Hの内側摺動面の加速側K1を押圧してドアDが回転するが、「接続軸Cの周りのリンクAの回転」を減速すると、スライダBが溝Hの内側摺動面の減速側K2を押圧してドアDを減速する。減速側K2を押圧してドアDを減速する分だけ「接続軸Cの周りのリンクAの回転」を減速する力は小さくて済むようになる。
このように減速する力は小さくて済むようになる機構はドアクローザがドア慣性力の大きさに関係なく小さな力で回り続ける機構であって、図2で説明したリンク装置の滑り対偶の連結部においてだけでなく、図4に示すように回り対偶の連結部においても認められる。
上記リンク装置の隣り合う2つのリンクが滑り対偶で連結される滑り対偶連結部において、上記2つのリンクの片方に装着されるスライダBが、上記2つのリンクの他方に装着される摺動面Kが上記スライダBを押圧する力Fbの作用線方向と略直角に、上記駆動力Mvのとは別の駆動力VVによって移動することを特徴とするが、上記リンク装置の隣り合う2つのリンクが回り対偶で連結される回り対偶連結部においては、上記2つのリンクの軸芯線が略一直線上に配されるとき、上記2つのリンクの片方は上記駆動力Mvのとは別の駆動力VVによって移動することを特徴とする。
2つのリンクの軸芯線が略重なるときも、2つのリンクの軸芯線が略一直線上に配されるときである。上記2つのリンクの当該滑り対偶連結軸或いは回り対偶連結軸と異なる連結軸がドア枠に固定支持されるとき、ドア枠はドアの大きな慣性力を受け止める或いはドアに大きな力を作用する。ドアとドアクローザの連動において、ドアがドアクローザに遅れればドアをドアクローザが加速し、ドアクローザがドアに遅れればドアがドアクローザを加速する。
当該異なる連結軸はドア慣性力の大きさに関係なく小さな力で移動する(以後、最も小さな力で移動できるときの連結軸の位置を極小点と言う。)が、小さな力で移動するときほど、ドアの運動エネルギは主に衝突時の熱損失に変換される。
回り対偶連結部においては、2つのリンクの軸芯線は徐々に略一直線上に配されるようになって、衝突時の衝撃を緩和するが、滑り対偶連結軸においては、図2に示したようにスライダBの移動方向と押圧力Fbの作用線方向とが徐々に略直角に近づくように、摺動面Kが極小点に向かって緩やかな曲線を描く必要がある。
図4に示すように、「枢軸Oを共有し枢軸Oを軸に開閉する2つのリンク」を開閉部ということにする。2つのリンクD、W、にはそれぞれ連結軸C、Qが設けられる。連結軸C、Qに連結される複数のリンクを伸縮部と言い、開閉部の2つリンクと複数のリンクを回り対偶または滑り対偶で連結して、リンク装置を構成する。
開閉部の2つリンクの片方がドアDである場合、他方はドア枠Wであって固定される。本願図面においてドア枠Wは図示されない固定部Wであって、図面の紙面が固定部Wである。
リンクの数が3の場合、3角形で変形しないが、図4(a1〜3)に示すように、4つのリンクが回り対偶で連結されるリンクや、図4(b1〜3)に示すように3つのリンクで構成され連結部の1つが滑り対偶であるリンク装置は、リンクの1つを固定しても他のリンクは定まった運動をなす。更にリンクの数を追加する、或いは回り対偶の連結部を滑り対偶にする、或いはリンクの1つを変形可能な弾性体にすると、2つのリンクを固定しても、リンク装置は運動できる。前者を限定リンク装置、後者を不限定リンク装置と言う。
バネ1本で動く特許文献9に記載するドアクローザは、切替範囲で不限定リンク装置であっても、一瞬にして限定リンク装置になる。ドアが止まってもバネが伸縮し続けるのは不限定リンク装置である間だけで、一瞬にして減速してドアが停止すると同時にバネの伸縮が止まる限定リンク装置になる。一瞬だけ不限定リンク装置になるドアクローザをゆっくり回転させても限定リンク装置になった時点で、抵抗を大きくすると止まったままになり、小さくすると減速しないで全閉するようになる。
図4(a3)(b3)の場合は、減速範囲が当該一瞬の切替範囲に限られず、切替範囲前後の広い範囲に及び、バネ1本で動く特許文献9を減速する場合と異なる。
図4(c)は枢軸Oを軸に回転するドアDを減速するのではなく、付勢手段Vによって付勢され固定部Wの設けられる所定の軌道Xに矢印1方向に沿って移動する移動体Jを、付勢手段VVによって付勢され固定部Wの設けられる所定の軌道XXに沿って矢印1方向に移動する移動体JJによって減速する減速機構に関する動作説明図で、図4(c2)は移動体Jと移動体JJとが極小点にあるときの配置図、図4(c1)、(c3)はそれぞれ移動体Jと移動体JJとが極小点にあるときの前後の状態図である。
移動体Jと移動体JJとのそれぞれに接続軸Cと接続軸CCとが設けられ、リンクAとリンクAAとのそれぞれが接続軸Cと接続軸CCとの周りに回転自在に軸支される。リンクAとリンクAAとは連結軸Pで連結される。図示しない付勢手段Vと付勢手段VVは特に限定しないが、移動体J或いは移動体JJを牽引する力や、接続軸C或いは接続軸CCの周りに働く回転力などが考えられる。
図4(c2)に示すように、リンクAとリンクAAとが重なる状態に近づくほど、リンクAに働く軸方向力FAとリンクAAに働く軸方向力FAAは大きくなり、リンクAとリンクAAとが最も近づくとき、軸方向力FAと軸方向力FAAは最大になる。図4(c2)に示す軸方向力FA,FBは、図4(c1)、(c3)に示すように、図4(c2)の前後に働く軸方向力FA,FBに比べて大きい。
軸方向力FAと軸方向力FAAは、リンクAとリンクAAとが重なる状態に近づくだけでなく、接続軸Cと接続軸CCとが接近するほど、リンクAの軸芯線Za或いはリンクAAの軸芯線Zaaが軌道Xに平行に近づくほど大きくなり、軌道XXが軌道Xに直行するほど、移動体JJは軸方向力FAAを支持して動き難くなる。
図4(c2)は移動体Jと移動体JJとが極小点にあるとき、付勢手段Vが移動体Jを矢印1方向に牽引する力であれば、移動体JJは移動体Jを最も強く減速し、接続軸CCの周りに回転力が働けば、移動体JJは移動体Jを最も強く牽引する。
図4(a)、(b)においても図4(c)においても、ドアD或いは移動体Jを最も強く減速し、最も強く回転或いは移動させるときは、リンクAが最も大きな力を支持しながら最も小さい力で回転するときであって、リンクAの軸芯線Zaが接続軸Cの移動方向に向くときである。図4(a)、(b)において接続軸Cの移動方向は、枢軸Oを中心とする接続軸Cの接線方向であり、図4(c)において接続軸Cの移動方向は、軌道Xであって、何れの場合もリンクAの軸芯線Zaと接続軸Cの移動方向とが平行に近づく。
図5は減速手段Rsに大きな速比で回転を伝えるウォームギアの回転抵抗を採用する実施例を示すもので、減速手段Rsに用いる摩擦抵抗が何であっても、回転体JJが最後まで止まらず動き続ければよいとする。
図5において油槽PBは固定部Wに固定され、両側内面にはウォームギアBwを支持する軸受Sbと、直行する側面にはウォームギアBwと咬み合う歯車Bgを回転自在に軸支する回転軸Qとが設けられる。
図中、斜線を施した部分は油槽PBに充満する潤滑油を示し、ウォームギアBwと歯車Bgは油中に沈んでいる。回転体JJは歯車Bgに固着され、リンクAは回転体JJに設けられる連結軸PとドアDに設けられる接続軸Cとを連結する。接続軸Cと連結する部分には長穴Hが施される。ゼンマイバネVVは取付軸の片方をウォームギアBwに、他方を油槽PBに支持する。ドアDの回転はリンクAと歯車Bgを介してウォームギアBwに伝わり、ゼンマイバネVVが変形する。
ゼンマイバネVVとドアDとは長穴Hを介して連動しているので、図5(a)に示すようにドアが開方向に回転するとき、接続軸Cは長穴Hの末端部Heと係合しゼンマイバネVVに復元力が蓄えられる。
図5(b)に示すようにドアが閉方向に回転するとき、ドアDは付勢手段Vによって矢印1方向に回転し、回転体JJはドアDと無関係にゼンマイバネVVの復元力で回転軸Qの周りを矢印1方向に回転する。ウォームギアの減速比が大きいほど摩擦が働き、回転体JJはゆっくりと回転する(待機範囲)。これに対してドアDは速く回転し接続軸Cは末端部Heから離れる。付勢手段VがドアDに作用し続けるので、接続軸Cは長穴Hの始端部Hsを押圧して離れることはない。接続軸Cが始端部Hsに拘束され、ドアDもゆっくりと回転する(減速範囲)。
ウォームギアの減速比が大きいほど、回転体JJを回転させるゼンマイバネVVの力が大きくなるが、回転体J JはドアDの大きな力を受け止めて減速する。しかしながら、ドアを開くときに大きな力が必要となる。
もし閉止途中でドアが止まるとしても、接続軸Cは始端部Hsから離れて、拘束が解除されてドアは回転可能になる(抵抗消失範囲)。図5のリンク装置は、接続軸Cを始端部Hsに当接した状態に拘束し、接続軸Cを始端部Hsから離す「解除可能な拘束手段」を備える。ドアが止まったままでも接続軸Cが末端部Heに当接すると、回転体JJがドアDを回転させることになる。即ち、ドアの付勢手段を途中で付勢手段Vから付勢手段VVに切り替えることが出来る。この場合ドアDを全閉させる手段は付勢手段Vではなく付勢手段VVである。
「特許文献9のドアを一定速度で回転させるアクチュエータ」が電動モータである場合、閉止途中で止まってしまうと止まったままになる。油圧シリンダを備えたドアクローザもドアの回転と略無関係に一定速度で回転するが、止まってしまうと止まったままにならずに、ゆっくりであっても動き続ける。しかし、ゆっくり過ぎた場合は止まったままと同じになる。図5の減速装置は、減速しても止めてしまわない減速手段である。
図5は図1の場合と同様に、ドアを回転させる力とドアを押し戻す力とが互いに反対方向で同一軌道上にあって、同じ大きさの力が必要であるが、ドアを全閉する力に変えることが出来る。
通常の緩衝器は運動体を減速して止めてしまうもので、本発明の減速装置は運動体を減速して止めても、運動体は運動可能である。また通常運動体を減速するバネは、運動体の移動方向と反対方向に運動体を付勢するが、本発明の減速装置は運動体を付勢するものではなく、付勢手段VVのバネは、「運動体と当接離脱する部分」が運動体の移動方向と同方向に移動するように付勢する。
運動体を減速するとき、通常の緩衝器が内蔵するバネは、運動体の当接以後に伸縮して力を蓄えるのに対して、本発明の減速装置のバネVVは当接以前に伸縮して力を蓄えていて、当接以後に復元する。通常の緩衝器は運動体が離れると同時に復帰するのに対して、本発明の減速装置は、減速作業を終えるとき、復帰するための力がバネに蓄えられていない。
本発明の減速装置は、運動体が離れた後に当該当接部を移動前の位置に戻す手段(復帰手段)が必要である。図1〜3,5,6において、ドアを開く力で減速装置は復帰する。同時に復帰するための力がバネに蓄えられる。図1において、ドアを開く度合いによってバネに蓄えられるが、図2,3,5,6においては、全閉位置から全閉寸前の位置の間でバネに一定の復元力が蓄えられ、全閉寸前の位置を過ぎると、それ以上蓄えられることはない。しかも全閉寸前の位置にくるまで静止したまま待機状態にある。静止したまま待機させる手段が必要である。
通常の緩衝器は運動体が当接すると同時に減速が始まるが、本発明の減速装置は、待機手段を解除する手段(解除可能な拘束手段)がなければ、減速作業は始まらない。待機手段はドアの回転に伴い始動し、図1において、ドアから手を離すと同時に動き始める。図2,3,5,6においては、全閉寸前の位置にくるまで始めない。
図6はドアの慣性力が大きいほどリンク装置の運動が遅延する減速装置の実施例を示し、滑り対偶の連結部において摺動面K2が回転することによって、車輪Bが摺動面Kを押圧する力の作用線Fbが摺動面K2の回転軸Ikに近づく。
図6の付勢手段VVは図1に示す減速手段RSが油の中で動作するようにしたもので、「流体が小さな間隙を通過するときの粒子同士の間に生ずる摩擦抵抗」でバネVVの伸縮を遅延している。ここで小さな間隙を通過する流体が空気であっても、水や油であっても、砂時計の砂であってもよいものとする。
は固定部Wに固定され図中斜線を施した部分は油槽PBに貯められた油を示す。管PPは油槽PBに固定され、ピストンPsの外周部が管PPの内壁に沿って摺動する。リンクApは回転体JJと回り対偶で連結され、固定部Wと滑り対偶で連結される。回転体JJの回転はリンクApを介してピストンPsの往復運動に変換される。
油はピストンPs内を通り抜けることが可能で、ピストンPsに管内部Po1と管外部Po2を仕切る逆止弁Pdが取り付けられる。回転体JJが矢印1方向に回転するとき、ピストンPsは矢印1方向に移動し、逆止弁PdはピストンPsを通り抜ける油を遮断するが、逆止弁Pdに小さな穴Phを開けることによって、管内部Po1の油が管外部Po2に少しづつ排出される。ピストンPsが矢印2方向に移動すると逆止弁Pdの遮断は解除され、管外部Po2の油が多量に管内部Po1に流入する。このようにして逆止弁Pdは効果を閉方向に限り、ドアが閉まる時にだけ回転体JJが減速される。
ドアDは枢軸Oを軸に回転し、ドアDに設けられる接続軸Cの周りにリンクAdが回転自在に軸支され、車輪BはリンクAdに設ける支軸Ibに装着される。車輪Bを包含する長穴Hの端部HeとHgはそれぞれドアが全開時と全閉時に停留する位置である。支軸Ibは固定部Wに設けた所定の通路である溝Hiに沿って往復する。車輪BはリンクAdを介してドアDと連動し、ドアDが枢軸Oを軸に閉方向(矢印1方向)に回転して、摺動面Kに沿って矢印1方向に移動する。図示しない付勢手段VがドアDを枢軸Oの周りに矢印1方向に付勢するものとする。
回転体JJは固定部Wに設けられる回転軸の周りに回転自在に軸支され、回転体Jvは回転体JJに設ける支軸Ijに揺動可能に軸支される。引きバネVVは片方の取り付け部を固定部Wに設ける支軸Swに固定支持し、他方の取付部を回転体Jvの先端部に設ける支軸Sjに可動支持する。摺動面K1〜4を備える摺動体KK(摺動面Kは摺動面Kを備える摺動体でもある。)は回転体JJに設ける支軸Ikの周りに揺動自在に軸支され、押しバネU2とU3は互いに反対方向に摺動体KKを付勢する。
図6(a)はドアが全閉する直前に減速装置が始動するときの状態図で、図6(b)は減速装置が作用するときの状態図で、図6(c)は全閉時(抵抗消失範囲)の状態図である。
図6(c)に示すように、全閉したドアを開くと、支軸Ibは溝Hiに沿って矢印2方向に移動し車輪Bが摺動面K4を押圧する。車輪Bが摺動面K4に沿って矢印1方向に移動すると回転体JJは回転軸Qの周りを矢印2方向に回転する。また支軸Ijが回転軸Qの周りを公転し、引きバネVVの軸芯線Zvvを横切る。回転体Jvは当りGvから離れて支軸Ijの周りを矢印2方向に回転し、図6(a)に示すように回転軸Qに当接して静止する(復帰範囲)。また引きバネVVの軸芯線Zvvは回転軸Qを横切り、回転体JJを回転軸Qの周りに矢印2方向に回転するように付勢する。回転体JJが当りGjに当接すると静止状態が維持される。ドアを開くことによって減速装置は移動前の位置に戻される。
図6(a)に示すように、車輪Bが摺動面K1上を移動する間は回転体JJは静止したまま待機状態にある(待機範囲)。図6(b)に示すように、車輪Bが溝Hiに沿って矢印1方向に移動しながら摺動面K1を移動するとき、「車輪Bが摺動面K2を押圧する力Fb」は、回転体JJを回転軸Qの周りに矢印1方向に回転させる。支軸Ijが回転軸Qの周りを矢印1方向に公転して、引きバネVVの軸芯線Zvvを横切ると、回転体Jvは支軸Ijの周りを矢印1方向に回転して当りGvに当接する。
引きバネVVの軸芯線Zvvが回転軸Qを横切るとき、引きバネVVが回転体JJを付勢する方向が逆転し、静止して待機する状態した拘束が解除される。「解除可能な拘束手段」によって、減速装置は始動する(減速範囲)。
引きバネVVの軸芯線Zvvと回転軸Qとの間の距離は待機時に小さく、小さな力で待機状態を解除でき、解除後は大きく、大きな力で回転体JJを回転させる。
引きバネVVの軸芯線Zvvが回転軸Qを横切ることによって、回転体JJを当りGjに拘束する状態が解除される。、
摺動面K3の外縁部の形状は「回転軸Qとの距離が次第に減少する渦線」でもあるので、摺動面K3が回転軸Qの周りを矢印1方向に回転すると、車輪Bは溝Hiに沿って1方向に移動しながら回転軸Qに近づく。付勢手段Vのバネが緩むことがない。従って車輪Bは摺動面K3から離れることはない。
ドアの慣性力が大きいほど、押しバネU2が大きく縮んで摺動体KKが大きく回転する。車輪Bが摺動面Kを押圧する力Fbの作用線は回転軸Qに近づき、回転体JJを回転させる力は弱くなる。押しバネU2はドアの慣性力を吸収するとともに回転体JJの始動を遅らせる効果がある。
図6(c)において車輪Bが端部Heに近づくに従い、押圧力Fbが小さくても押しバネU3を縮ませることができるようになる。ラッチ当接時以後に押圧力Fbが「ラッチを凹ませる力の大きさ」に達していないとき、押圧力Fbが「ラッチが凹まずに抵抗する力」と押しバネU3の反発力と釣合い、車輪Bは静止しドアも静止するが、摺動面K3が回転するに従い接点bが支軸Ikから遠ざかり、押しバネU3の反発力が押圧力Fbに抵抗しなくなるので、押しバネU3が縮んでラッチが凹み、車輪Bが再び移動することになる。ラッチが凹んで全閉するとき、ラッチが凹むために過不足なく力が作用するので、ラッチはゆっくりとしかも静かに凹むことになる。従って全閉音は非常に小さくなる。図6(c)においてドアDと当接する当りGdはドア枠Wに取付く。
図6(b)に示すように摺動面K3は点Okを中心とする円の一部であって、押圧力Fbの作用線は常に点Okを通る。点Okは回転体JJの回転に伴って回転軸Qの周りを公転するが、回転軸Qとの距離を小さく設定するので、車輪の押圧力Fbが想定以上に大きくても回転体JJを回転させることはない。また回転体JJは非常に小さな力で回転し続けることが出来る。
またピストンPsがゆっくりと動けばよいので、逆止弁Pdの穴Phを大きくすれば、管内部Po1から管外部Po2の油の流れに抵抗が小くなり、引きバネVVの力が小さくてもピストンPsが動きだす。ピストンPsの外周と管PPの内周との間に高い気密性が要求されない。抵抗手段Rsも付勢手段VVも小さく簡易なものになる。
図4の減速装置と異なり、車輪Bと摺動面K3との接点bの移動方向は車輪Bの摺動方向と略直角方向であって、回転体JJは車輪Bの押圧力Fbの影響を殆んど受けることがなくなる。
油圧シリンダを備えるドアクローザでもドアの大きさが重量によって、またドア面が受ける風圧によって機種の選定が必要であり、調整によっては閉止途中で略止まってしまうか、想定を超える風圧に対して全く減速せずに全閉するかの何れかになる。図6のドアクローザはこれらの欠点を除去するものである。
図6の減速装置は図4(b1〜3)と同様なリンク装置であるが、本発明の減速装置の抵抗は、我れ関せず我が道を行くようなもので、通常の抵抗のように運動体に作用するものではなく、運動体に抵抗しない。自分の力で自分の思う通りの速さで運動し、決して途中で止められることもなく止まることもない。運動体の行く手を塞ぎ、いくら押しのけて追い越そうとしても、びくともしない。
本発明においての運動体は、前を行く障害物(当り)を追い越して前に出ようとするものであって、行く手を塞ぐ障害物が何処かに行ってくれない限り、いつまでも仕方なく付いて行くしかない。とても強い力を持っているものが、弱弱しく動いている者の言いなりになる。このような異常な現象が運動体とその前を行く障害物との間に起きている。
図7は図1〜6においてのように、「減速装置を動かす力」をドアを開く過程において蓄えるのではなく、閉まる過程において蓄える実施例で、蓄えたのちに蓄えた力で減速する。閉まる過程において付勢手段Vに「付勢手段VVに力を蓄える力」があるものとする。
図7(a〜d)の付勢手段VVはバネに代わって浮力を用いる。図中油槽PBは固定部Wに固定され、図中斜線を施した部分は油槽PBに貯められた油を示す。図7(a)〜(d)に示すピストンPsは中空の容器で、ピストンPsが油の中で浮くことによって減速装置が動くようにしている。図7(f1)〜(f3)に示すピストンPsは底に穴が開いた中空の容器で、油が中に侵入して沈むことによって減速装置が動くようにしている。大きな浮力を得るには、水や油より比重の大きな液体が望ましく、例えば水銀などが考えられる。
管PPは油槽PBに固定され、「図中に塗りつぶしして示されるピストンPs」の外縁部が管PPの内壁に沿って摺動する。管内部Po1の油と管外部Po2の油は逆止弁Pdによって仕切られ、逆止弁Pdは図7(a)〜(d)において管PPに、図7(f1)〜(f3)においてピストンPsに取り付けられる。
図7(a)に示すようにピストンPsが矢印2方向に浮き上がった状態から、図7(b)に示すようにピストンPsを矢印1方向に沈めると逆止弁Pdの遮断は解除され、管外部Po1の油が多量に管内部Po2に流入する。また図7(f3)に示すようにピストンPsが矢印1方向に沈めた状態から、図7(f1)に示すようにピストンPsを矢印2方向に浮き上げると、逆止弁Pdの遮断は解除され、管外部Po1の油が多量に管内部Po2に流出する。
図7(b)に示すようにピストンPsが沈むと、ピストンPsに浮力が働き、図7(f1)に示すようにピストンPsを浮き上げると、ピストンPsは浮力を失い、減速装置を付勢する。図7(c)、図7(f1)に示すように逆止弁Pdが管内部Po1と管外部Po2とを遮断すると、管内部Po1と管外部Po2との間の油の出入りがなくなりピストンPsが静止するが、逆止弁Pdに小さな穴Phを開けることによって、油が少しづつ出入する。ピストンPsが移動し、減速装置が駆動する。
逆止弁Pdが開いたとき、ピストンPsを急激に移動させることが出来るが、閉じたとき、ピストンPsは徐々に移動する。ピストンPsは図7(a〜d)において浮力で矢印2方向に浮き上がり、図7(f1〜f3)において、自重で矢印1方向に沈み、運動方向が逆である。
図7(a〜d)の場合は管外部Po2の油面の高さが変化し、油が高いとろから低いところに移動してピストンPsが浮き上がる。図7(f1〜f3)の場合はピストンPsが自重によって下に沈む。図7の場合はピストンPsが静止できず、どの位置にあっても図7(a〜d)の場合は浮き上がり始め、図7(f1〜f3)の場合は沈み始める。
図7の場合は、ピストンPsは重力によって上下に移動する。図6の場合は、ピストンPsは水平に移動する。図6の場合は、図7(b)に示すように管外部Po2の油面の高さに変化もなく、ピストンPsの移動に重力が働かないので、逆止弁Pdに小さな穴Phを開けても静止できる。従って、減速以前にピストンPsに付勢力VV を作用させたまま待機位置に留めておくことが出来る。図7の場合は、ピストンPsを図7(c)に示す最下位に、或いは図7(f1)に示す最上位に留めておくことが出来ない。
図7(a)〜(b)に示すように、回転体JJは固定部Wに設けられる回転軸Qの周りに回転自在に軸支され、ピストンPsとリンクApで連結される。回転体JJが矢印1方向に回転するとき、ピストンPsは矢印1方向に移動する。
車輪Bは運動体に設けられる支軸Ibに装着され、支軸Ibは固定部Wに設けられる溝Hiに沿って図示しない付勢手段Vによって矢印1方向に移動する。図7(a)に示すように、車輪Bが回転体JJに設けられる摺動面K1を押圧しながら摺動面K1に沿って移動すると、回転体JJが回転軸Qの周りを矢印1方向に回転し、図7(b)に示すように、ピストンPsが最下位に移動する。同時にピストンPsは浮き上がり始める。
図7においては図1〜6においてのように、運動体が当接するとき、付勢手段VVに力がなく、運動体が当接すると同時に「減速装置を動かす力」を蓄え始める。図7(c)に示すように、車輪Bが摺動面K1に沿って移動し終えるとすぐに、車輪Bが摺動面K2に当接し、付勢手段VVも「減速装置を動かす力」を蓄え終えるとすぐに、作用し始める。図7においては図2,3,5,6においてのように、運動体が当接するまで始めないようにする待機手段も待機手段を解除する手段も必要がない。
図7(c)は車輪Bが摺動面K2を押圧する状態を示す。摺動面K2は回転軸Qを中心とする円の一部で、回転体JJがゆっくりと回転する間に車輪Bは移動しない。運動体がドアの場合は、全閉直前で一旦停止する。また車輪Bが摺動面K2を押圧する力の作用線Fbは回転軸Qを常に通るので、押圧力Fbは回転体Jjの回転に全く関与しない。減速装置がドアDの運動と無関係に運動することになる。ピストンPsは非常に小さい浮力で最下位から最上位まで浮上する。
図7(d)に示すように、車輪Bが摺動面K2から離れた後は、車輪Bは抵抗が消滅した状態で、図示しない付勢手段Vによって移動する。
回転体JJは当りGjに当接して静止する。これが減速装置の初期化された初めの状態である。摺動面K4は溝Hiの末端部Heから矢印2方向に離れた位置から、矢印1方向に移動して摺動面K2に当接するとき、摺動面K2がゆっくりと回転するようにするものである。
ドアが僅かに回転する間に急激に減速することは衝突することと同じである。閉止直前から全閉時に急激に減速することは全閉時の衝撃を時間的に前にもってくるだけであって、全閉時にドアの衝撃をドアの枢軸から遠い位置にある戸当りで受け止める代わりに、ドアの枢軸に近いドアクローザの取付部で受け止めることになる。作用点がドアの枢軸に近づくことによってドアの衝撃はドアクローザを取り付けるネジに強く作用し、引き抜かれることになる。従って、閉止直前から瞬間的に減速するのではなく、出来るだけ閉止直前以前から大きく回転する間に減速することが望ましい。
図8においてドアDは枢軸Oを軸に回転し、付勢手段Vによって枢軸Oの周りに矢印1方向に付勢される。車輪BはドアDに設ける支軸Ibに装着される。スライダJKは付勢手段VVによって溝Hiに沿って矢印1方向に付勢され、図示しない減速手段Rsによってゆっくりと溝Hiに沿って移動する。回転体JJはスライダJKに設けられる回転軸Qの周りに回転自在に軸支され、摺動面Kjを備える。図8(a)に示すように車輪Bが摺動面Kjを押圧する力の作用線Fbは溝Hiの長さ方向に略直行し、押圧力Fbを支持する反力の作用方向とスライダJKの移動方向が略直行するので、スライダJKは押圧力Fbが大きい場合でも、小さな力で移動できる。押圧力FbはスライダJKが溝Hiと接する側面で支持され、反力は側面に直角である。移動方向には押圧力Fbによる摩擦力が働く。
車輪Bが摺動面Kjを押圧すると回転体JJは回転軸Qの周りを矢印1方向に回転するが、押しバネUが縮んで回転体JJを回転軸Qの周りを矢印1と反対方向に付勢する。図8(a)は回転体JJがスライダJKに設けられる当りGjに抑えつけられた状態を示し、図8(b)は回転体JJが当りGjから離れて押しバネUが縮む状態を示す。
図8(b)に示すように、スライダJKが殆んど止まっていてもドアは大きく回転して、「ドアDが摺動面Kjに衝突するときの衝撃」を押しバネUが吸収する。摺動面Kjは窪みKhを端部に備え、衝突するときの衝撃が大きすぎる場合に、車輪Bが窪みKhに嵌り込んで回転体JJとドアDの回転が止まるようにしている。ドア面が閉める方向に突風を受け止めたときドアは停止する。
バネで衝撃を吸収する場合は、ドアが減速されて止まると同時に、バネの復元力で閉まるドアは開き出すことになる。図8(a)〜(c)に説明する緩衝器は、「運動体の運動エネルギを吸収して伸縮したバネ」が復元しないように逆止装置を取り付けている。
スライダJKに設けられるラックRrはのこぎり状の刃が刻まれ、回転体Jrは回転体JJに設けられる支軸Ijの周りに揺動自在に軸支され、当該のこぎり状の刃にひっ掛る爪Rjを備える。回転軸Qの周りの回転体JJの回転は矢印1方向に制限され、縮んだ押しバネUは復元しない。
図8(c)は全閉時の動作説明図で、スライダJKが溝Hiの末端部Hieに至ると、回転体JJは車輪Bの公転軌道Rb外に遠ざかり、ドアの回転にかかる抵抗は取り除かれる。
また、回転体Jrに設けられる摺動面Krが「固定部Wに設けられる支軸Irに装着される車輪Br」に乗り上げて、当該のこぎり状の刃にひっ掛る爪Rjが外れる。回転体JJは押しバネUの力で逆回転して、破線で示すように当りGjに当接する。逆止装置は図8(a)に示す初めの状態に初期化される。
「回転軸Qの周りに回転自在に軸支されるリンクA」は先端部に車輪Baを、中間部に車輪Bbを装着し、車輪BaはドアDに設けられる長穴Hに包含される。長穴Hの回転軸Qに近い方の内縁部に摺動面Kdを備え、遠い方の内縁部に摺動面Kbを備える。摺動面Kdは枢軸Oを中心とする円の略半径方向で、摺動面Kbは略円周方向である。長穴Hの先端部Heと基端部Hgはそれぞれ車輪Baが全開時と全閉時に停留する位置である。
図8(d)は全閉したドアを開いて、スライダJKを溝Hiの末端部Hieから始端部Hisに引き戻すときの動作説明図で、図8(e)は全閉寸前に、スライダJKが始端部Hisから末端部Hieに移動し始めるときの動作説明図である。
KQ3,KQ2,KQ1とZa3, Za2,Za1とKd3,Kd2,Kd1とBa3,Ba2,Ba1とBb3,Bb2,Bb1はそれぞれ全閉時、減速装置が復帰し始める時、減速装置が復帰する時の回転軸Qの位置とリンクAの軸芯線と摺動面Kdと車輪Baと車輪Bbとを示す。KQ22は減速装置が始動する時の回転軸Qの位置を示す。
図8(d)に示すように、長穴Hは枢軸Oの周りを矢印2方向に公転し。回転軸Qは溝Hiに沿って矢印2方向に移動する。回転軸Qの位置がKQ3からKQ2に至るまでは車輪Baは長穴Hの先端部Heに停留する。回転軸Qの位置がKQ2に至ると、リンクAの軸芯線Zaと摺動面Kdとの交差角度Θadが鈍角から鋭角に変わり、車輪Baは長穴Hの先端部Heから離れて、摺動面Kaに沿って基端部Hsに近づく。車輪Bbは固定部Wに設けられる係止部Gb沿って移動し、車輪Baが長穴Hの基端部Hsに停留するようになる。Za13、Za12、Za11とKd13、Kd12、Kd11とBa13、Ba12、Ba11とBb13、Bb12、Bb11は減速装置が復帰しながら全閉に至る過程の回転軸Qの位置とリンクAの軸芯線の位置と摺動面Kdの位置と車輪Baの位置と車輪Bbの位置とを示す。
このようにして全閉したドアを開く途中で減速装置は初期化される。
図8(e)は全閉直前に減速装置が始動するようにするもので、KQ22は減速装置が始動する時の回転軸Qの位置を示す。とZa221、Za222、Za223とKb221、Kb222、Kb223とBa221、Ba222、Ba223とBb221、Bb222、Bb223は減速装置が始動するまでのリンクAの軸芯線と摺動面Kdと車輪Baと車輪Bbの動作を示す。
図8(e)に示すように、長穴Hは枢軸Oの周りを矢印1方向に公転し、車輪Baが長穴Hの基端部Hsから離れて、摺動面Kbに沿って枢軸Oから離れる方向に移動する。車輪Bbは係止部Gb沿って移動し、係止部Gbから離脱する。車輪Baは長穴H内を自由に動き回ることが出来るようになり、スライダJKが溝Hiに沿って移動出来るようになる。
車輪Bが摺動面Kjに当接以前に、ドア面に強い風圧がドアが閉まる方向に作用したとき、車輪Baが摺動面Kbに当接して摺動面Kbに沿って移動し、ドアが減速される。
車輪Bが摺動面Kjに当接以後は、引きバネVが緩むことがないので、車輪Bは摺動面Kjから離れない。ドア面にドアを開く方向の強い風圧が作用したときで、引きバネVの付勢力と反対方法に引きバネVの付勢力を上回る力が作用したとき、ドアが開くことによって、車輪Bは摺動面Kjから離れるが、車輪Baが摺動面Kdに当接して、ドアがそれ以上開くことを阻止する。
図9はドアの僅かな移動の中に複数の仕事を挿入してドアを減速する実施例を示す。
図9において、ドアDはゼンマイバネVで付勢され、軌道Xに沿って矢印1方向に移動する引き戸である。回転体Jはドア枠Wに設けられる回転体Ijの周りに回転自在に軸支され、トグルバネVVによって付勢される。スライダJkはドア枠Wに設けられる溝Hに沿って移動し、回転体JとスライダJkとはリンクAで連結される。図9(a)はスライダJkが溝Hの始端部Hsに留って待機する状態を示す。図9(b)はスライダJkが溝Hの始端部Hsから離れてドアDの移動方向と反対方向に移動する状態を示す。図1において移動体Jと移動体JJとが同方向に移動するが、図9はスライダJkがドアDと反対方向に移動し、ドアDを乗り越えて行く。
スライダJkに設けられる複数個の支軸I1、I2、・・・Inのそれぞれには、複数のリンクA1、A2、・・・Anが回転自在に軸支され、それぞれのリンクは先端部に車輪B1、B2、・・・Bnを装着し、引きバネV1、V2、・・・Vnが取付く。引き戸Dの上面には、「軌道Xに直行する摺動面K1と平行する摺動面K2とを備える摺動面Kd」が取付き、引き戸Dが矢印1方向に移動すると、車輪B1、B2、・・・Bnが順次摺動面K1に当接する。車輪B1、B2、・・・Bnのそれぞれが摺動面K1に沿って移動するとき、リンクA1、A2、・・・Anのそれぞれは支軸I1、I2、・・・Inを軸に矢印1方向に順次回転し、車輪B1、B2、・・・Bnが順次摺動面K2に沿って移動するようになる。
図9(b)に示すように、車輪Bが摺動面K1を押圧する力Fbxは軌道Xと平行で、引き戸Dを矢印1と反対方向に押し戻すように作用しドアを減速するが、摺動面K2を押圧する力Fbgは、軌道X戸直行し引き戸の移動に関与しない。
回転体Jは車輪BBを装着し、引き戸Dの前方側面には「U型に曲げられ車輪BBと当接離脱する摺動体KK」が取付くが、図9(a)に示すように引き戸Dが矢印1方向に移動するとき、車輪BBは摺動体KKの前方であって、当接しない通路XBを通過して、閉止直前に摺動面KK1に当接する。車輪BBは摺動体KKの摺動面KK1に沿って移動した直後に図9(b)に示すように摺動面KK1と摺動面KK2の間に挟まれる。
引きバネV1、V2、・・・Vnのそれぞれは引き戸Dの運動エネルギを吸収するが、車輪BBが摺動面KK2に当接することによって、引き伸ばされたバネVの復元力でドアDが開かないようになる。
引き戸Dが矢印1方向に移動して、車輪B1、B2、・・・Bnが一つずつ摺動面K1に当接して、引きバネV1、V2、Vnを一つずつ引き伸ばす度に、引き戸に押圧力Fbxが作用し減速するが、図9(b)に示すように全閉するまでの途中で、引き戸が減速して止まったままになる。
図9の減速装置は、引き戸Dを全閉直前から全閉に至る範囲に限って減速し、減速して引き戸Dを停止させる手段と、停止させる手段を解除する手段を備える。後者は前者の始動以前に始動し始める。後者の動作は緩慢で、引き戸Dが減速して一旦停止するまで終了しない。
引き戸Dが一旦停止したとき、図9(a)に示すように、複数個の車輪Bが摺動面に当接せず、複数個の引きバネVがまだ引き伸ばされていない場合でも、車輪BBが摺動面KK1に沿って移動して、回転体Jは支軸Ijを軸に矢印1方向に回転し、トグルバネVVが支軸Ijを横切り、回転体Jを支軸Ijを軸に矢印1方向に回転させる。
スライダJkは溝Hに沿って矢印1方向に移動し、図9(b)に示すように、車輪Bが摺動面K2に乗り上げ止まったままになっても、図9(c)に示すように、車輪B1、B2、・・・Bnの全てを乗り上げるようにする。全閉時には車輪B1、B2、・・・Bnの全てが摺動面K2上にあって、ゼンマイバネVの力は減じられることなくドアを付勢する。
引き戸Dの移動によってではなく、スライダJkの移動によって車輪B1、B2、・・・Bnの1つが摺動面K1に沿って移動し、引き戸Dが止まった後に引き続き摺動面K2に沿って移動するようになると、引き戸Dは弱い力でも移動できるようになって動き始める。
このようにして引き戸Dは、停止と移動を交互に繰り返して、全ての車輪Bnが摺動面K2に乗り上がり、引き戸Dは全閉に至る。この動作の終了が遅れることは問題ではなく、途中で止まったままにならなければよい。
引き戸Dは矢印1方向に車輪B1、B2・・・は矢印2方向に互いに反対方向に移動するので、スライダJkが静止した場合と比べると、車輪の間隔Lbが短くなった効果があって、単位時間内に車輪B1、B2・・・が当接する個数が多くなり、複数の車輪B1、B2・・・が当接して不連続に減速する状態が改善される。
図中RsはスライダJkの移動、または回転体Jの回転を遅延させる減速手段で、ピストンPsはスライダに設けられる支軸Ipまたは連結軸Pに軸支され、管PPはドア枠Wに設けられる支軸Iwに軸支される。管内部Po1の空気は管PPに開けられた小さな穴Phを通過して、管外部Po2に出入りし、出入りする空気の粘性抵抗はピストンの移動を緩慢にする。
摺動面KK1に対面する摺動面KK2は引き戸Dが矢印1と反対方向に移動するとき、車輪BBが摺動面KK2に沿って移動することによって、回転体Jを回転軸Ijを軸に矢印1と反対方向に戻すためのものであり、閉止する引き戸Dが開方向に押し戻されることを、車輪BBが摺動面KK2に当接することにより阻止するものである。
図9(c)は全閉時の状態図で、スライダJkは溝Hの終端部Heを押圧しているが、引き戸Dを開くと、回転体JがスライダJkを終端部Heから離す方向に回転し、この回転は引きバネVVが回転軸Ijを横切って付勢方向が逆転してから、図9(a)に示すようにスライダJkが始端部Hsに戻るまで続く。車輪BBは摺動面K2に沿って移動して摺動体KKから離脱し、通路XBを通って摺動体KKから遠ざかる。
ドアを開くに従い、リンクA1、A2・・・が漸次矢印2方向に回転してドアを開く方向K1を押圧するので、ドアを開く力は軽減される。
図9(a)〜(c)の場合は、車輪BBが摺動体KKから離脱したとき、回転体Jが何らかの原因で回転して、車輪BBが軌道XBから外れる事故が起こりかねない。図9(d)(e)は、車輪BBが摺動体KKから離脱することはなく、回転体Jが勝手に回転することはないようにするものである。
図9(d)(e)は、図9(a)〜(c)においてのように、回転軸Ijを戸当りGdに近い位置ではなく、軌道Xの全長の中点付近に設けて、摺動体KKを引き戸前方ではなく後方側面に取り付ける。
図9(d)は引き戸Dが戸当りGdから遠いときの状態図で、スライダJkは始端部Hsに留まり、図9(a)に示す待機状態を保っている。
回転体Jは引きバネVVによって回転軸Ijを軸に矢印1方向に付勢され、回転体Jの回転は、車輪BBが摺動面K0に沿って移動することによって阻止される。引きバネVVを固定支持する支軸Swは引きバネVVが「回転体Jを付勢する方向」を逆転させる位置に設けられない。また摺動面K0は軌道Xと平行で、回転軸Ijとの距離を最大に保っている。
図9(e)は、引き戸Dが戸当りGdに近いときの動作説明図で、全閉直前に車輪BBが「回転軸Ijとの距離」が減少する摺動面K1に沿って移動して回転体Jが回転し、スライダJkが終端部に近づく状態を示す。摺動面K2は、軌道Xと平行で回転軸Ijとの距離を最小に保ち車輪BBが摺動面K2を移動するとき、スライダJkは終端部Hsに留まる。
図10において、ドアDはドア枠Wに設ける軌道Xに沿って矢印1方向に移動する引き戸Dである。図9における髭ゼンマイに代って、引きバネVが複数個のパンタグラフを伸縮させて引き戸Dを大きく移動させている。引きバネVの僅かな伸縮で引き戸を大きく移動させ、引き戸Dに供給される歪エネルギを小さくし、引き戸Dの加速を抑制する。
髭ゼンマイのように剛性の小さいバネを使用する場合も、引きバネVの伸縮を小さくする場合も、ドアに作用する力の大きさがドアの動き始めと終わりに差が少ない場合は、引き戸Dに供給される歪エネルギが小さくなり、ドアはゆっくりと長時間動き続けて全閉する。
図10(a)〜(c)に示すように、「複数個のパンタグラフが連鎖してなる部分」が減速手段RsのピストンPsを介して引き戸Dと連結され、伸び縮みすることによって引き戸Dを動かせている。「複数個のパンタグラフが連鎖してなる部分」は図10(c)に示すように、四辺形(例えば四辺形A0B1A1C1)の辺の1つ(辺A1B1)と、その延長線上にある隣り合う四辺形(四辺形A1B2A2C2)の辺の1つ(辺A1C2)とが合体して、一直線状のリンク(AA1)を形成している。一直線状のリンク(AA1)の中点(点A1)に、隣り合う四辺形同志が(例えば四辺形A0B1A1C1と四辺形A1B2A2C2)1つの連結軸(A1)を共有する。
「隣り合う四辺形同士が共有する連結軸」(点A0、点A1、点A2、点An)のそれぞれは、ドア枠Wに設けられる軌道XXに沿って移動し、「軌道XXに沿って移動する複数個の連結軸」の両端の片方(A0)はドア枠Wに固定され、他方(An)は図9で説明した減速手段RsのピストンPsに設けられる。減速手段Rsの管PPは引き戸Dに取付き、回転体Jは引き戸Dに設ける接続軸Cの周りに回転自在に軸支され、端部に詮Jpを取り付ける。詮Jpは押しバネUjに付勢されて、全閉直前まで管PPに設けられる穴Phの出口を押圧して塞ぐ。ドアDに設けられる接続軸Cと連結軸AnとにヒモNが結び付けられ、ピストンPsは管PPから引き抜かれないようにしている。
全閉直前までピストンPsは管PPに沿って移動しないようにして、連結軸Anの移動が引き戸Dの移動になるようにしている。
各パンタグラフの軌道XXから離れた連結軸B1、B2、Bnのそれぞれに車輪Bk1、Bk2、Bknが装着される。複数の摺動面Kb1、Kb2、Kbnは「固定部Wに設けられる複数個の支軸Ik1、Ik2、Ikn」の周りに回転自在に軸支され、押しバネU1、U2、Unによって付勢される。
車輪Bk1、Bk2、Bknが矢印1方向に移動して、複数の摺動面Kb1、Kb2、Kbnを順次回転させる。車輪Bkは摺動面Kbの回転軸から遠ざかりながら摺動面Kbに沿って移動するので、複数の摺動面Kbを付勢する押しバネUは、引き戸に大きな力が突如として作用するのではなく、徐々に作用するようにしている。「摺動面Kbが車輪Bkを押圧する力Fb」は摺動面Kbが回転するほど大きくなるが、押圧力Fbの働く方向が軌道XXに傾斜する方向から直交する方向に移行し、引き戸Dを矢印1と反対方向に押し戻す力は弱くなる。
図10(b)に示すように、全閉直前に回転体Jに装着する車輪Bjがドア枠Wに設ける摺動面Kjに沿って移動するとき、回転体Jが回転して詮Jpが穴Phの出口を塞がなくなる。管内部Po1の空気が管外部Po2に排出されて引き戸Dが止まったままでも、ピストンPsは管PPに沿って矢印1方向に移動し続ける。連結軸Anの移動が減速手段Rsを介して引き戸Dに伝わり、管内部Po1の空気抵抗によってドアを減速しながら全閉する。或いは押圧力Fbの働きによって減速してから全閉する。
図10(c)に示すようにピストンPsが管PPの底に到達して引き戸Dが再び動き出して全閉する。
引き戸Dは全閉以前に減速して一旦停止するが、車輪Bkが摺動面Kbを通り過ぎることによって押しバネUjが縮み、ピストンPsが管PPに沿って移動し、各々のパンタグラフが伸縮続けて、車輪Bkの全てが摺動面Kbから離れて軌道XXに近づき、抵抗が軽減して、引き戸Dが再び動き出すようになる。全閉直前には摺動面Kbの全てに当接しない位置に移動し、それまで引き戸Dに働いた抵抗は取り除かれる。小さな穴Phを通る空気量の調節をすれば、一旦停止以後の動作も一定にすることが出来、全閉時のドアの速度も一定にすることが出来る。
引き戸の場合「引き戸で仕切られる室内外の空気」の圧力差による風圧は、引き戸の移動方向に直角に作用し、回転ドアのように風圧によって加速しない。引き戸の各地点での速度は付勢するバネの強さと閉止開始開度とに従い、各地点に所定の抵抗を用意することで、引き戸の閉止運動を一定にすることが出来る。
例えば押しバネU1による抵抗は戸当りGdから最も遠い位置に設けられ、引き戸Dを略全開して閉めるときにだけ働く。引き戸Dをどの位置で閉め始めるとしても、加速しないように動き始めるので、動き始めた引き戸D次の押しバネU2による抵抗を受ける状態は、引き戸Dを「押しバネU2による抵抗」を受ける位置で閉め始める場合と大差はない。
このように閉止開始開度に関係なく、各地点では略停止したのち再び動き出すようになる。押しバネUnによる抵抗は、戸当りGdに最も近い位置に設けられ、引き戸Dを少し開いて閉めるときにも働く。
図10(a)(b)(c)に図示する引き戸Dは「全閉した引き戸D」を少し開くと勝手に全開し、「全開した引き戸D」を少し閉めると勝手に全閉する。引き戸の付勢手段は、図10(d)に示すように全閉したドアを少し開くときと、図10(e)に示すように全開したドアを少し閉めるときとにおいて、引きバネVがリンクJcnの回転軸Anを横切ることによって、引きバネVがリンクJcnを付勢する方向が逆転する。
回転体Jnは連結軸Anの周りを、当りGsに当接する位置と、当りGoに当接する位置の間を揺動自在に軸支される。図10(c)に示すように、勝手に全閉する過程においては回転体Jnは回転体Jbnに設けられる当りGsに当接し、引きバネVがリンクJcnを付勢して、連結軸Anを軸に矢印1方向に回転させるようにする。
摺動面Ksは、戸当りGdに近い位置に設けた支軸Isの周りに回転自在に軸支される。図10(c)に示すように引き戸Dが矢印1方向に移動するとき、回転体Jnに装着される車輪Bsが摺動面Ks1に沿って移動し、回転体Jnは回転しない。
車輪Bsが摺動面Ks1から離れると、図10(d1)に示すように摺動面Ksは引きバネVsによって支軸Isを軸に矢印1方向に回転し、当りGvsに当接して静止する。連結軸Anが矢印1と反対方向に移動するとき、車輪Bsは摺動面Ks2に沿って移動し、回転体Jnは当りGsから離れる方向に回転する。
図10(d2)に示すように、引きバネVが回転体Jnの回転軸Anを横切ると、回転体Jnは引きバネVの付勢によって矢印1方向に回転し続け、摺動面Ks2から離脱する。この間摺動面Ks2は回転しない。
回転体JnがリンクJbnに設けられる当りGoに当接して静止すると、引きバネVはリンクJcnを連結軸Anを軸に矢印2方向に回転させ、各パンタグラフは図10(c)に示す伸びた状態から、図10(a)に示す折りたたまれた状態に変形し、引き戸は全開するまで止まらない。
回転体Jnを180度近く大きく回転するには、図10(d1)に示すように、初めと終わりに車輪Bsが回転体Jnの回転軸Anの移動軌道XXに近い位置にある必要があり、回転し始めるときは図10(d1)に示すように、車輪Bsが摺動面Ks2に沿って軌道XXから遠ざかる方向に移動しその後、図10(d2)に示すように近づく方向に移動しなければならない。
軸芯線Zbsを「車輪Bsの回転軸と連結軸Anとを通る直線」とし、「車輪Bsと摺動面Ks2との接点bs2」を通る摺動面Ks2の接線Tkと軸芯線Zbkとの交差角度の大きい方を角度Θbkとすると、軸芯線Zbsに沿って働く力が圧縮のとき車輪Bsは角度Θbkが増加する方向に移動し、引張のとき減少する方向に移動する。車輪Bsがこの方向と反対方向に移動したいときは、摺動面Ks2が移動したい方向に回転しなければ車輪Bsは止まったままとなる。
図10(e1)〜(e4)は、図10(d1)(d2)と同様に、連結軸Anが軌道XXに沿って矢印1方向に移動して、回転体Jnが当りGoから離れて当りGsに当接するまでの動作を説明する。図10(e1)は回転体Jnに装着されるBoが、「固定部Wに設けられる支軸Io」に揺動可能に軸支される摺動面Ko2に当接する状態を示す。図10(e2)は車輪Boと連結軸Anを通る軸芯線Zboに沿う力Fzが圧縮であって、車輪Boが軌道XXから遠ざかる状態を示す。図10(e3)は力Fzが引張であって、車輪Boが軌道XXに近づく状態を示す。図10(e4)は引きバネVが連結軸Anを横切り、引きバネVの力によって回転体Jnが回転して摺動面Koから離脱する状態を示す。
図11は、ドアを付勢せず動き続けるドアクローザに関するもので、ドアを付勢せずドアクローザが長時間に亘って動き続ける間に、ドアが減速するようにするものである。
手段4において、移動体Jと移動体JJと間に介在するバネで付勢されるリンクはリンクAAであり、移動体Jが第2のドアDDであり、移動体JJがドア枠Wである。
図11は、「枢軸Oを軸に矢印1方向に閉回転するドアD」に設けられる接続軸Cの周りに第2のドアDDが回転自在に軸支され、第2のドアDDに設けられる接続軸CCと、固定部Wに設けられる回転軸Swとを、リンクAと回転体Jとで連結するリンク装置で、図11(a)に示すように、「ドアDにドアDDを介して連結されるリンクAA」に装着される車輪Bが、「固定部Wに設けられる摺動面K」に沿って移動するようにして、ドアDの閉回転が阻止されたとき、第2のドアDDが接続軸Cの周りを矢印1方向に回転して動き続けるようにしたリンク装置である。
引きバネVの付勢によって、回転体Jが接続軸CCの周りに矢印1方向に回転して、リンクAと回転体Jは連結軸Pを中心に、折れ曲がった状態から略直線上に移動する。引きバネVはドアDを枢軸Oを中心に矢印1方向に付勢し、「摺動面Kが車輪Bを押圧する力Fb」は矢印2方向に付勢する。全閉直前から全閉までの間に、互いに反対方向の2つの力がドアに作用する。
リンクAAの支軸Iaの周りの矢印1方向の回転は図3に図示した抵抗手段Rsによって遅延され、リンク装置の運動速度とドアの回転速度は、全閉直前以前に比べて以後は遅くなる。全閉直前以後の動作が長時間継続する間に、ドアの慣性力はなくなる。
図11(a)に示す全閉直前でドアが停止した場合、「回転体Jを回転させる引きバネVの力」はドアを回転させる必要はなく、引きバネVの力が引きバネVaを引き延ばしながらリンクAAを支軸Iaの周りに矢印1方向に回転し続けると、第2のドアDDが押しバネUを縮めながら接続軸Cを軸に矢印1方向して、「摺動面Kが車輪Bを押圧する力Fb」の作用線が支軸Iaから遠ざかり引きバネVaがドアを矢印2方向に付勢しなくなる。
長時間経過した後にリンクAAは車輪Bが摺動面Kから離れるまで回転し、全閉を阻止する手段は解除される。ドアDが戸当りGdに当接して全閉する以前にはドアを減速する手段が自動的に消滅する。
図11は減速装置とドアを回転させる装置が別々ではないが、ドアを回転させる装置を減速する装置が全閉時に自動的に解除される。しかしながら、ドアの慣性力が大きい場合を想定して引きバネVaを強く設定して、引きバネVの力で引きバネVaを引き延ばすようにした強くした場合に、摺動面Kが車輪Bを押圧する以前のドアが高速回転する欠点が生じる。また、ドアの慣性力が小さくなるほど、引きバネVaを引き延ばす時間がかかる欠点が生じる。
図11(b)に示すようにリンクAAをトグルバネVVで付勢するとして、車輪Bが摺動面Kに沿って移動してトグルバネVVが支軸Iaを横切った後、リンクAAがトグルバネVVによって支軸Iaの周りを回り続けるとしたならば、リンクAAが引きバネVとは別のバネVVで動くようになり、ドアの慣性力の大きさに関係なく一定の動作をする。
図11(a)(b)に示すように、リンクの1つを固定しても他のリンクは定まった運動をするリンク装置は不限定リンク装置と言い、リンクの1つを固定すると運動しない限定リンク装置に、リンクを追加する、或いは回り対偶の連結部を滑り対偶にする、或いはリンクの1つを変形可能な弾性体にすると、2つのリンクの共通の連結軸を固定しても、リンク装置は運動できる。図11(a)(b)において、接続軸CCと接続軸Cに連結される第2のドアDDは限定リンク装置に追加するリンクである。
ドアDが止まった段階でドアDは図面の紙面上の固定部Wとなり、リンクAと回転体Jと第2のドアDDと固定部Wとは4節回転機構を形成する。4節回転機構は引きバネVによって運動するが、第2のドアDDに限らず、リンクAと回転体Jの何れかの運動を付勢手段Uで遅延すれば、4節回転機構の運動は遅延する。
運動途中から第2のドアDDとドアDとが相対的に一体となって運動すればドアは全閉する。
ドアDが止まる回転するの区別なく、手段4において移動体JがドアDに、移動体JJがドア枠Wに例えられ、弾性体は付勢手段Uで、バネで付勢されるリンクはリンクAAである。リンクAAはドア枠Wに設けられる摺動面Kを介して第2のドアDDとドアDとの間に介在する。手段4において弾性体或いはバネで付勢されるリンクは移動体Jと移動体JJとの接近速度の制御手段であるが、第2のドアDDとドアDとが相対的に一体となって運動するとき、第2のドアDDに限らず、リンクAと回転体Jの何れかの運動を付勢手段Uで遅延すれば、4節回転機構の運動は遅延することから、弾性体或いはバネで付勢されるリンクは第2のドアDDに限らず、リンクAと回転体Jの何れかの運動を付勢するものであればよいことになる。
したがって、手段4において弾性体は複数のリンクで構成されてなるバネで付勢されるリンク装置でもあり、手段4は付勢手段Vとそれとは別の付勢手段VVが、それぞれ異なるリンクを付勢する不限定リンク装置でもある。
ドアクローザを備えるドアは、ドアDと固定部Wと、ドアDと固定部Wとを連結し複数のリンクからなる伸縮部とからなるリンク装置であって、リンク装置の何れかの連結軸周りに働く回転力がドアに伝えてドアを回転させるものであるが、「ドアを減速して、ドアが止まってもドアから減速作用を解除するまで、運動し続ける減速装置」は、多くの場合、ドアDと固定部Wとの間を連結する新たに追加されるリンク装置で、「ドアDと固定部Wと伸縮部とからなるリンク装置」と減速装置が取付く「当該新たに追加されるリンク装置」が、並列にドアDと固定部Wとの間を連結する。
図11(a)に示す「ドアクローザを備えるドア」は、ドアが止まっても運動し続けるリンク装置であって、ドアDと固定部Wとを連結する枢軸Oを固定してドアDと固定部Wが開閉しない状態でも、運動可能なリンク装置である。図11(a)の減速装置は当該運動可能なリンク装置のリンクの1つに「その運動を遅延し、しかも自ら減速機能を消失する減速装置」が取付くものであって、「ドアDと固定部Wと伸縮部とからなるリンク装置」に「当該新たに追加されるリンク装置」を直列に組み込むものである。
図11(c)は、全閉位置から少し開いて手を離すと勝手に全開し、全開位置から少し閉めて手を離すと、勝手に全閉する回転ドアの動作説明図で、D0は全閉したドアD0を示し、D10はドアD0を矢印2方向に少し開いたドアD10を示す。符号Dの添字はドアの開度Θdを示し、ドアの開度Θdが10度であるときのリンク装置を実線で、その他を破線で示す。
符号Dの添字と同様にリンクA、回転体J、引きバネV、リンクAAのそれぞれの添字は、ドアの開度Θdを示す。
リンクAAは接続軸CCを軸に当りGsに当接して、引きバネVがドアDを閉方向に付勢する位置と、当りGoに当接して開方向に付勢する位置との間を揺動する。
図11(d)は、ドアDを全開位置から少し開く間に、リンクAAを強制的に回転軸CCの周りに矢印1方向に回転させて、引きバネVの軸芯線が回転体Jの接続軸CCを横切って、回転体Jを付勢する方向が矢印1方向から矢印2方向に逆転した状態を示す。
爪Rjは固定部Wに設けられる支軸Irの周りに揺動可能に軸支され、枢軸Oを中心とする円の周方向と略平行の摺動面K1と径方向の摺動面K2を備える。
図11(e)に示すように、爪Rjは固定部Wに設けられる支軸Irの周りに矢印1方向に回転するように付勢され、当りGrに当接して静止するが、ドアDが全閉直前の位置から全閉位置に移動する間は、リンクAAに装着する車輪BBは、爪Rjの摺動面K1に沿って移動し、爪Rjは支軸Irの周りを矢印2方向に回転して車輪BBの通過を許している。リンクAAはドアDに設けられる当りGsに当接したまま回転しない。
図11(e)に実線で示すように、全閉したドアを開き始めるとき車輪BBは爪Rjの摺動面K2を押圧し、爪Rjを支軸Irを軸に矢印1方向に回転させようとするが、爪Rjは当りGrによって回転しないので、リンクAAが接続軸CCの周りを矢印2方向に回転する。車輪BBが支軸Irと接続軸CCの中間に位置して接続軸CCの移動軌道Roに近いほど、リンクAAは大きく回転し90°以上の回転が可能となる。
図12の緩衝器は、図8〜図10の緩衝器と同様に、「バネが伸縮することによって運動体の衝撃を吸収し、しかもバネが復元することによって運動体が跳ね返されないようにする緩衝器」である。図8の緩衝器はラチェット爪による逆止装置によって、図9、図10の緩衝器はバネに跳ね返す力がなくなることによって、図9の緩衝器は緩衝器自体が運動体から離れることによって、バネの復元力がドアに作用しない状態するものである。
図8に示すように、ラチェットの爪Rjが波形の歯の山を越して、次の歯の谷に引っかかるまでの間で止まった場合は、ラチェットの爪Rjは元の歯の谷に引っかかるまで戻される。図8〜図10の緩衝器は運動体が減速されて停止した位置によっては、運動体が僅かに戻されるものであって、運動体が大きく戻らないようにするだけである。
図12の緩衝器は特許文献10図8の緩衝器を改良するものであって、特許文献10図8の緩衝器は、運動体が減速されて止まった位置で止まり、止まった位置から戻されない特徴を持っている。しかしながら、特許文献10図8の緩衝器をドアに取り付けた場合、全閉にはドアを減速して伸縮したバネは伸縮したままであり、全閉に至らしめるためには更にバネを伸縮させる必要がある。
運動体の慣性力は止まったドアを回転させる力より遥かに大きいので、運動体の慣性力を減速するバネは、ドアを全閉させる力より遥かに大きな力を受け止める強力なものでなければならない。止まったドアを動かすためには、この遥かに大きい力でドアを回転させなければバネは更に伸縮しない。
図12(a1)〜(a3)は一旦停止したドアを回転させるために、この遥かに大きい力を追加してドアを回転させるもので、図12(b1)〜(b3)はバネの復元力がドアに作用しない状態して、この遥かに大きな力より小さく、「ドアだけを回転させればよい程度の小さい力」でドアを回転させるものである。
図12は、押しバネUを縮めながらドアを減速して停止した後で、押しバネUの復元力でドアを押し戻さない減速装置の実施例で、ドアは減速されて止まった位置で動かないようにしている。図12(a)において、跳ね返る瞬時に跳ね返りを止めて、跳ね返る瞬時の状態を維持したまま全閉する。図12(b)において、減速装置をドアから離して跳ね返りが起こらないようにする。
ドアDは引きバネVによって付勢され、枢軸Oを軸に矢印1方向に閉回転する。回転体Jは引きバネVjによって接続軸C周りを矢印2方向に回転するように付勢されている。回転体JJは引きバネVjjによって回転軸Qの周りを矢印1方向に回転するように付勢される。図12(a)において、接続軸Cと回転軸QはドアDに設けられ、図12(b)において、接続軸C、回転軸Qは「ドアDに設けられる接続軸Cdの周りに揺動自在に軸支される板Dd」に取付く。
図12(a1)(b1)に示すように、全閉寸前に回転体Jに装着される車輪Bがドア枠Wに設ける摺動面Kwに当接して、摺動面Kwに沿って矢印1方向に移動すると、回転体Jが接続軸Cの周りを矢印1方向に回転し、引きバネVj引き伸ばされる。
回転体Jに設けられる摺動面Kjが接続軸Cの周りを矢印1方向に回転すると、回転体JJも回転軸Qの周りを矢印1方向に回転し、「回転体JJに装着される車輪Bjj」は摺動面Kj上を接続軸Cから遠ざかる方向に移動する。この時「摺動面Kjが車輪Bjjを押圧する力Fbj」は働かないので、引きバネVjjの力が小さくても回転体JJは回転する。
ドアDの運動エネルギが、引きバネVjの歪エネルギに変換されてドアが減速し停止すると、引きバネVjの復元力で、摺動面Kjが強く車輪Bjjを押圧して、回転体JJを矢印2方向に回転させようとするが、力Fbjの作用線が回転軸Qの近傍を通るので、力Fbjが大きく作用し、これに対抗する引きバネVjjの力が弱くても、回転体が矢印2方向に逆回転せず引きバネVjも復元しない。従ってドアは停止したままで開く方向に回転しない。
「摺動面Kjが車輪Bjjを押圧する力Fbj」が回転体JJの略軸芯線方向に働くとき、回転体JJは軸芯線方向に大きな力を支持しながら、軸芯線方向と直角方向の小さな力で回転する。この特徴を利用して、ドアの運動エネルギを吸収したバネVjの力を回転体JJの軸芯線方向で支持し、軸芯線方向と直角方向の小さなバネVjjの力でバネの復元力による回転体JJの戻り方向の回転に抵抗する。
図12(a3)に示すように、回転体JJには図3で説明した抵抗手段Rsが取り付けられる。円Rqは回転軸Qを、円Rirは「抵抗手段Rsの回転支持側の取付軸Ir」を中心とする円で、円Rqは回転体JJの長さを半径とし、円Rirは抵抗手段Rsが縮み始める初めの長さを半径とする。Rの添え字は円の中心を示す。
回転体JJが矢印1方向に回転するに従い、車輪Bjjは円Rirとの距離を大きくするが、増加の割合は初めは小さく途中は大きく終わりは小さくなる。ピストンRs1がシリンダRs2内に進入して「ピストンRs1とシリンダRs2の間に封じ込められた空気」を圧縮する速度は、初めに遅く途中は速く最後に遅くなる。
抵抗手段Rsの抵抗は初めに小さく途中は大きく最後に小さくくなる。回転体JJの回転は初めに速く途中は遅く最後に速くなる。車輪Bが摺動面Kwに当接する当初は回転体Jが急速に回転し、回転体JJもすぐに回転し、回転体Jの逆回転を防止するが、ドアが停止した後は回転体JJはゆっくりと回転し、引きバネVjを更に引き伸ばしながら、車輪Bを摺動面Kwから離して摺動面Kwに対面する摺動面Kw2を押圧しドアを全閉させる。
ドアを開くとき回転体Jが矢印2方向に回転して、図12(a1)の初めの状態に戻るまで、車輪Bは摺動面Kw2から離れない。
図12(b)において、板DdはドアDに設けられる接続軸Cdの周りに揺動自在に軸支され、接続軸C、回転軸Qは板Ddに設けられる。全閉時にはドアと密着した板Ddが図12(b3)に示すようにドアDから離れて、車輪Bが摺動面Kwを押圧しなくなり、全閉直前からドアに作用していた抵抗が取り除かれるようになる。
図12(b)は装置全体を移動可能にして、装置全体をドアから切り離すように、図12(a)において、引きバネVVのドアDに固定支持する部分を移動可能にして、固定支持部分が移動して引きバネVVが緩むようにすれば、バネの復元力がなくなる。
回転体Jvは板Ddに設けられる支軸Ijの周りに回転自在に軸支され、引きバネVは片方の取付軸を回転体Jvに設けられる支軸Sjに可動支持し、他方の取付軸はドア枠Wに設けられる支軸Swに固定支持して、ドアDを枢軸Oの周りに矢印1方向に回転させる。
ドアDの回転に伴い支軸Sjは枢軸Oの周りを公転し、引きバネVの軸芯線が支軸Ijを横切るときを境にして、引きバネVが回転体Jvを付勢する方向を逆転する。
全閉直前以前では回転体Jvは、支軸Ijの周りに矢印2方向に付勢され当りGj1と当接して静止している。回転体Jvに装着される車輪Bは板Ddを押圧して、板Ddが接続軸Cdの周りを矢印1方向に回転することを阻止している。
図12(b3)に示すように、全閉直前以後は回転体Jvは当りGj1から離れて大きく回転し、当りGj2に当接して回転を止める。引きバネVの軸芯線Zvと枢軸Oとの間の距離は急激に増加し、回転体Jvに装着された車輪B2がドア枠Wに設けられる摺動面Kw3を押圧して、また車輪Bが板Ddから離れてドアDを戸当りGdに強く押圧する。
このようにドアを閉止させる回転機構は、ドアを開くとドアによって逆回転させられ、図12(b1)に示すような初期状態に戻る。減速機構は最後に全閉手段となることによって、初期状態に戻れるようになる。
回転体Jvには減速手段Rsが取り付けられ、当りGj1から離れて大きく回転する回転体を減速する。回転体Jvが充分に減速されれば、当りGjから離れるときに回転体Jが回転中でありドアが減速途中であっても、板DdがドアDから離れてドアDを減速する抵抗がなくなるときは、ドアが減速して停止した後にすることが出来る。
図13は、運動体Yが押しバネUを縮めながら減速して停止した後で、押しバネUの復元力で押し戻さず、バネが復元力も運動体Yを減速する減速装置の実施例を示すもので、運動体Yの往方向の移動によって押しバネUが縮み、図13(a)〜(d)において、押しバネUが伸びてピストンPsが往方向に移動し、バネの復元力を解除する。図13(f1)〜(f3)において、押しバネUが伸びてピストンPsが復方向に移動し、バネの復元力を解除する。どちらの場合も往方向の移動によって「バネの復元力を解除する作業」のスイッチが入り、バネの復元によって運動体Yを押し戻さず、ゆっくりとバネの復元力を解除する。
図13に示す減速装置は、ドアを開くことによって初期化されるのではなく、運動体Yが減速されて離脱した後、自力で初めの待機状態に戻るものである。
図13(a)は初期化された減速装置を示し、図13(b)は運動体Yが装置に当接した直後の状態を示す。「枢軸Oを軸に回転する回転体J」と「管PPの内部を移動するピストンPs」との間に押しバネUが介在し、運動体Yが回転体Jを押圧しながら矢印1方向に移動すると、押しバネUが縮むことになる。押しバネUに蓄えられる力は運動体Yを矢印2方向に押し戻すと同時にピストンPsを矢印1方向に押し出すように働く。
図13(c)は運動体Yが減速して停止するまでの状態図で、運動体Yは矢印1方向に移動して停止し、ピストンPsは矢印1方向に移動している。管PPの片側には「小さな穴Phが開いた底板Pws」が取付き、管PPとピストンPsと底板Pwsとによって封じ込められた空気は小さな穴Phを通って管内部Po1から管外部Po2に排出される。小さな穴Phを通る空気の粘性抵抗によって、ピストンPsの移動が運動体Yに遅れるようになり、押しバネUは図13(b)に示す運動体Yが装置に当接した直後の状態から更に縮むようになる。
押しバネは伸縮するに従いバネの剛性が大きくなり、バネの伸縮量が少なくても大きな力を支持するので、運動体Yの大きな運動エネルギを吸収して減速する手段は、引きバネより押しバネが適している。しかしながら、最終的には伸縮しない剛体となり、運動体Yの運動エネルギを全部吸収しないうちに運動体Yを停止させ、衝突と同じことが起きる。
図13の緩衝器は押しバネを固定支持する取付部が後退することによって、押しバネが伸縮する間に運動体Yがより大きく運動出来るようにしてより緩やかな減速を実現するものである。
図13(c)に示すように、ピストンPsの移動が運動体Yに遅れるので、押しバネUが縮み剛体となっても、運動体Yを減速し続ける。運動体Yが止まっても止まらなくても関係なく、ピストンPsはピストンPsが底板Pwsに当接するまで、押しバネUの力で運動体Yの移動方向に後退する。押しバネUが緩んで押しバネの復元力を減少させる間も運動体Yを減速している。
運動体Yは減速して停止した直後は、仮にピストンPsが固定されて移動しないとすれば、押しバネUによって矢印2方向に押し戻される。小さな穴Phの大きさを小さくすれば運動体Yの運動途中でピストンPsが固定された状態になり、押しバネUが縮み剛体となって、運動体Yは矢印2方向に押し戻される。大きくすれば図13(d)に示すように、ピストンPsが底板Pwsに当接して固定された状態になり、運動体Yを矢印2方向に押し戻すことになる。
運動体Yを矢印2方向に押し戻すことなく、減速されながら移動し続けるには、小さな穴Phの大きさを、運動体Yの運動途中でピストンPsが固定された状態にならないように調節しなければなない。
ピストンPsが底板Pwsに当接した後も、運動体Yが矢印1方向に移動し続けるとすれば、「押しバネUが運動体Yを矢印2方向に押し戻す力」は大きくなるが、図13(c)に示すようにピストンPsが底板Pwsに当接するまでに運動体Yが停止するようにすることが望ましく、運動体Yの減速が終了して停止する以後も、ピストンPsが矢印1方向に移動して、押しバネUが伸びる分だけ「運動体Yを押し戻す力」は弱くなる。運動体Yは停止した位置に留まる。
運動体Yが回転体Jから離れれば、押しバネUは回転体Jを矢印2方向に回転させて図13の緩衝器は復帰する。停止した運動体Yが回転体Jから離れなければ、ピストンPsが移動して押しバネUの力は減少し回転体Jを矢印2方向に回転させないので、運動体Yの重量の大きさに関係なく、運動体Yは停止したままとなる。
リンクAは回転体Jに設けられる支軸Iaの周りに回転自在に軸支され、引きバネVは片方の取付軸をリンクAに設けられる支軸Saに可動支持し、他方の取付軸を固定部Wに設けられる支軸Swに固定支持する。
図13(a)に示すように、引きバネVは運動体Yが回転体Jに当接する以前と当接して暫くの間は、回転体Jを矢印2方向に回転付勢するが、図13(b)に示すように、運動体Yが回転体J押圧して回転体Jが矢印2方向に回転すると、引きバネVの軸芯線Zvが枢軸Oに近づき「回転体Jを矢印2方向に回転付勢する力」が弱くなる。
当りGaは支軸Saを枢軸Oの位置に留めるもので、支軸Saを枢軸Oの位置に留まると、回転体Jが更に矢印1方向に回転しても支軸Saは移動せず、引きバネVの伸縮はなくなり運動体Yを減速しなくなる。
回転体Jは枢軸Oの周りを矢印1方向に回転して、引きバネVに運動体Yの運動エネルギを吸収して減速し、しかも減速した後矢印2方向に回転しないので、運動体Yを矢印2方向に押し戻さない。特許文献10図8の減速装置と異なる。
図13(a)に示すように、ピストンPsと回転体Jは紐Nで連結され、ピストンPsと回転体Jとの間の距離を図示する寸法L以上にならないようにしていて、寸法L以下を許している。当該距離がLのとき、押しバネUはピストンPsと回転体Jとを押圧していて、図13(b)〜(d)に示すように紐Nが緩んだとき、必ず図13(a),(e)に示すように紐Nが緊張する状態に復帰する。また図13(e)に示すようにピストンPsが底板Pwsに当接して紐Nが緊張したとき支軸Swの位置は、引きバネVの軸芯線Zvが枢軸Oから離れて「回転体Jを矢印2方向に回転付勢するように設定される。
回転体Jの回転角Θjを、「図13(a)に示すようにピストンPsが当りGpに当接して静止する初期状態」においてゼロとして、回転体Jが矢印1方向に回転した量を回転角Θjとすると、ピストンPsが底板Pwsに当接して紐Nが緊張したときの回転角Θjは最大であって、引きバネVの軸芯線Zvが枢軸Oから離れる距離は最小である。ピストンPsが底板Pwsに当接せず紐Nが緊張したときの回転角Θjは最大値を下回り、引きバネVの軸芯線Zvが枢軸Oからより大きく離れて、引きバネVが確実に回転体Jを回転させ、減速装置を図13(a)に示す初期状態に戻すことになる。
このように運動体Yが回転体Jから離れたとき、押しバネUの復元後に引きバネVが確実に回転体Jを初期状態に戻す。
図13(a)〜(e)の減速装置は、運動体の往方向(図中矢印1方向)はゆっくりと動作するが、復方向(図中矢印2方向)はゆっくりと動作しない。図13(f1)〜(f3)の減速装置は、運動体の往方向(図中矢印1方向)はゆっくりと動作しないが、復方向(図中矢印2方向)はゆっくりと動作するものである。(以後、運動体が減速装置によって減速されるときの移動方向を往方向と言い、その反対方向を復方向と言う。)、また、一般的な装置のスイッチは入れると同時に起動させるか、停止させるかであるが、図13(f1)〜(f3)の減速装置は、スイッチのON,OFFの指令が入れると即座にではなく、遅れて装置に届くようにするものでもある。
図13(f)において、管PPの内部をピストンPs1とPs2が移動し、ピストンPs1とPs2の外縁部が管PPの内壁に沿って摺動するが、管PPの内側とピストンPs1とPs2の外側との間の隙間を通って、油が漏れないものとする。
界壁Pwは管内部を略中央で仕切る板で、大きな開口部Pwhを備える。界壁Pwを境にしてピストンPs1側を室Pr1とし、ピストンPs2側を室Pr2する。押しバネUはピストンPs2を矢印2方向に付勢し、押しバネUsはピストンPs2と逆支弁Pdとの間に取り付けられる。
図13(f1)に示すように、矢印1方向に移動する運動体YがピストンPs1の当接部Pyに衝突すると、ピストンPs1が矢印1方向に移動し、室Pr1内の油が大きな開口部Pwhを通って室Pr2へ排出される。逆支弁Pdは押しバネUsを縮めながら矢印1方向に後退し、油が大量に開口部Pwhを通過するようになる。運動体Yは減速することなく、ピストンPs2は急速に押しバネUを縮めながら後退する。
図13(f2)に示すように、運動体Yが停止しピストンPs1が停止すると、開口部Pwhは逆支弁Pdで塞がる。押しバネUが復元することによってピストンPs1が矢印2方向に移動し、室Pr2の油が逆支弁Pdに設けられる小さな穴Phを通って室Pr1に流入し、図13(f3)に示すように、ピストンPs1がゆっくりと移動して運動体当接時の位置に戻される。
ピストンPs1の往方向は減速されずに即座に移動するが、復方向は逆支弁Pdに設けられる小さな穴Phの効果でゆっくりと戻される。図13(a)〜(e)の減速装置のピストンPsに図13(f1)〜(f3)の減速装置のピストンPs1の当接部Pyを連結すると、図13(f1)〜(f3)の減速装置は図13(a)〜(e)の回転体Jの矢印1方向の回転に抵抗せず、矢印2方向の回転に抵抗する。図13(a)〜(e)の減速装置に図13(f1)〜(f3)の減速装置を連結した装置は、運動体の往方向も復方向も減速する。
図14は管内部Po1の空気が、小さな穴Phを通るときの粘性抵抗によってピストンPsの移動を遅延させる減速装置で、図14(a)においてピストンPsの往方向の移動が遅れ、図14(b)(c)(d)において復方向の移動が遅れる。図14(a)(c)は枢軸Oを軸に回転するドアDに当該減速装置を取り付けた実施例を示す。
ドアDは図示しない付勢手段Uによって矢印1方向に付勢される。図14(a1)(c1)は全閉直前時、図14(a2)(c2)は全閉時、図14(a3)(c3)は全閉後ドアを開くときの状態を示す。
図14(a)において回転体Jは接続軸Cの周りを回転自在に軸支され、「回転体Jの先端部に装着された車輪B」が「ドア枠Wに設けられる摺動面K」に沿って移動する。
図14(a1)に示すようにドアが閉まるとき車輪Bは摺動面K1に沿って移動し、回転体Jは接続軸Cの周りを1方向に回転し、ピストンPsは管内部Po1の空気を圧縮するが、図14(a2)に示すように縮んだ押しバネUの復元力は管内部Po1の空気を圧縮し続け、小さな穴Phを通じて排出するので、押しバネUの復元力はドアを開く方向に戻すことなく消滅し、抵抗は消滅しする。
図14(a3)において、小さな穴PhはピストンPsに設けられる。ドアが閉まるとき逆止弁Pdは破線で示すように穴Phを塞ぎ管内部Po1の空気を加圧する。ドアを開くとき、逆止弁Pdは実線で示すように、穴Phを開き管内部の空気を減圧する。ドアを開くとき、車輪Bは摺動面K2に沿って移動し、回転体Jは2方向に回転する。
図14(a)に示す減速装置は、管内部Po1の空気を加圧してドアを減速する。ドアが減速して停止した後、管内部Po1の空気は排出され、ドアが停止した位置から押し戻されない。
停止する以前の減速途中は、バネが伸縮して復元しない状態で、停止してもバネが復元する場合、バネの復元力でドアが停止した位置から押し戻されなければ、一旦停止する時間が長くなるとしても問題はない。「ドアを減速するバネの復元力を解除する作業」は、ドアが停止する以前に始まるが、バネの復元力にドアを停止した位置から押し戻す力がなければ、終わるときは、長時間の後でも問題がない。
管内部Po1の空気がドアを停止した位置から押し戻す力がある場合でも、ドアを減速したバネは、ラッチがドアの開き方向の回転を阻止してから長時間後に復元し、ドアに作用しない状態になるので問題はない。、
図14(b)(c)は緩衝器の動作説明図であって、押しバネUが縮んで運動体Yの衝撃を吸収するとき空気抵抗は働かず、押しバネUが伸びて復元するとき空気抵抗が働いて、押しバネUがゆっくりと復元する。押しバネUが伸びて復元すると、運動体Yはゆっくりと停止した位置から押し戻される。
ピストンPsに小さな穴Phが開いていて、ロッドPrが貫通している。ロッドPrはピストンPsを挟んで2つの係止部Pd,Pgを備え、係止部PdはピストンPsを押圧するとき、小さな穴Phを塞ぎ、管内部Po1の空気の出入りを封じる。
図14(b1)(c1)(d1)に示すように、運動体Yが「ロッドPrの先端部に設けた当接部PY」に当接して、ロッドPrが矢印1方向に移動すると、係止部PgがピストンPsと当接して、ピストンPsを矢印1方向に移動に移動させるが、係止部PdはピストンPsを押圧しないので、管内部Po1の空気は穴Phを通じて出入りする。
図14(b2)(c2)(d2)に示すように運動体Yが減速されて停止すると、縮んだ押しバネUは伸び始め、係止部PdがピストンPsを押圧して穴Phを塞ぐ。
ピストンPsが矢印2方向に移動して、管内部Po1の空気は減速されて押しバネUの復元力と釣り合うようになって静止する。図14(b2)は、押しバネUが釣合い状態で静止した状態を示し、図14(b3)は穴Phが係止部Pdによって不完全に塞がれた場合に、管内部Po1に空気が少しずつ流入して押しバネUがゆっくりと復元した状態を示す。図14(b2)に示す静止した状態が長く続いて、当接部PYが長時間後に元の位置に戻される。
図14(c)は図14(b)の減速機をドアに取り付けた実施例で、図14(c2)に示すようにドアの慣性力で押しバネUが縮み切らない場合は、更に押しバネUを縮めて、図14(c3)に示すように全閉するが、押しバネの復元力は、ドアを開くとき「ドアを開く力」を小さくする。
図14(c)において、穴Phが係止部Pdによって不完全に塞がれた場合でも、管内部Po1とPo2の空気が管外Po3に漏れないようにすると、押しバネUの復元力によるピストンPsの矢印2方向の復運動は小さくなる。
図14は当接部PYが凹んだまま元の位置に戻されない緩衝器の実施例を示す。(d)図14(d)において、穴Phが完全に塞がれて、管内部Po1の空気が「圧力によって体積が変化しない液体」であって、管PP内部に液体が充填され、液体は管PP外部に漏れないものとすると、ピストンPsの復運動はなくなる。図14(d2)に示すように、縮んだ押しバネUは復元せず、運動体Yは減速されて止まった位置で静止する。
ロッドPrはピストンPs2を貫通し、ピストンPs2は管PPの内壁に沿って摺動し、管PP外部で押しバネUを支持している。
押しバネUの復元力で穴Phが係止部Pdによって完全に塞がれて管内部Po1とPo2との間の液体の出入りが遮断されても、管内部Po2の液体が管内部Po3へ流入出来るとすると、ロッドPrが移動しない状態で、押しバネUが伸びてピストンPd2は矢印2方向に移動する。押しバネUが復元するが、当接部PYが凹んだまま静止する。図14(d3)に示すようにピストンPd2は矢印2方向に最大限移動して静止する。
弁Pd2は、管内部Po2から管内部Po3への流出を大きく許し、管内部Po3から管内部Po2への流入を小さく許す。図14(d1)に示すように、ロッドPrが矢印1方向に移動して管内部Po3の液量に変化がなければ、ピストンPd2が移動しないままピストンPsが移動する。
図14(d3)に示すように、押しバネUの復元力で、ロッドPrが矢印2方向に移動して、管内部Po2の液体が管内部Po3へ一気に流出してピストンPd2が矢印2方向に最大限移動して、押しバネUが復元力を一気に失った後、穴Phが係止部Pdによって不完全に塞がれている場合に、押しバネUの余った復元力でロッドPrが矢印2方向に移動する。
図14(d1)に示すように、ピストンPd2と管PPとの間に押しバネU2を挿入すると、管内部Po3の液体が管内部Po2へ徐々に流入して、ピストンPd2は矢印1方向に移動して図14(d1)に示す位置に戻る。押しバネU2は図14(d1)に示すように、押しバネUが強く働いて、ピストンPd2を矢印1方向に移動させるときは弱々しく縮むが、押しバネUが緩み復元力を失うと、ピストンPd2を矢印1方向に移動させる力が充分にあるものとする。
図14(d)に示す緩衝器は、初期状態に戻すバネは小さく、運動体Yが「ロッドPrの先端部に設けた当接部PY」に当接したまま離れない限り、初期状態に戻らない。また運動体Yを戻さない。
図15は運動体Yの運動エネルギを引きバネVの歪エネルギに吸収して運動体Yを減速し、しかも引きバネVの復元力で運動体Yが押し戻されないようにする実施例を示すもので、図15(a1)(b1)は、回転体Jが運動体Yの衝撃を受けて、固定部W或いはドアDに設けた接続軸Cを軸に矢印1方向に回転する状態を示す。引きバネVは片方の取付軸が回転体Jに設ける支軸Sjに可動支持され、回転体Jの回転に伴い引きバネVが引き伸ばされて運動体Yは減速する。
図15(a2)(b2)は運動体Yが減速されて停止した瞬間を示す。図15(a3)(b3)は運動体Yが停止した以後の状態を示し、回転体Jが停止したままの状態を保って、引きバネVが緩む状態を示す。
回転体Jvは「固定部W或いはドアDに設けられる回転軸Sw」の周りに回転自在に軸支され、「回転体Jvに設けられる支軸Sv」に引きバネVの他方の取付軸が移動可能な状態で固定支持される。引き伸ばされた引きバネVが緩み始めると同時に、支軸Svが大きく移動して引きバネが緩み、回転体Jに引きバネVの復元力が働かないようになる。
図15(a1)〜(a3)において、引きバネが引き伸ばされる間は、引きバネVの軸芯線Zvは回転体Jvを回転軸Swの周りを矢印1方向に回転させる側にあって、回転体Jvの矢印1方向の回転は、当りGvによって阻止されている。リンクAは「回転体Jに設けられる支軸Ia」の周りに揺動自在に軸支され、鋸切り状の歯Rrを備える。鋸切り状の歯Rrに「回転体Jvに取り付けられた爪Rj」が嵌めこまれる。
図15(a2)に示すように、回転体Jが1方向に回転するとき、爪Rjは鋸切り状の歯Rrに沿ってリンクAの先端から基端に向かって移動するが、図15(a3)に示すように、引きバネVの復元力によって回転体Jが2方向に回転するとき、爪Rjは鋸切り状の歯Rrの1つに嵌り込んだままで、回転体Jvを回転軸Swの周りに矢印2方向に回転させる。引きバネVの軸芯線が回転体Jvの回転軸Swを横切ると、回転体Jが止まった状態で、回転体Jvが大きく回転し、引きバネVが緩む。
押しバネUは引きバネVが引き伸ばされるときは、回転体Jvを当りGvから離さない程度に付勢しているが、引きバネVが縮むとき回転体Jvが当りGvから離れる動きに加勢する。
図15(b1)〜(b3)において、ピストンPsは管PPの内側に沿って摺動し、管内部Po1に封じ込められる空気は、管PPに設けられる小さな穴を通じて管外部に出入りする。ピストンPsは回転体Jに設けられる支軸Iaの周りに、管PPは回転体Jvに設けられる支軸Ijの周りに、回転自在に軸支される。運動体Yによって回転体Jが接続軸を軸に矢印1方向に回転すると、図15(b2)に示すように、ピストンPsと管PPは、管内部Po1の空気を圧縮しながら矢印1方向に移動し、管PPが当りGpに当接すると、管PPの矢印1方向の移動は阻止され、同時に小さな穴Phは塞がる。
以後ピストンPsは矢印1方向に移動し続けて、管内部Po1の空気を圧縮し続けて、運動体Yが停止すると、管PPが当りGpを押圧する力はなくなり、管内部Po1の空気が小さな穴Phから吹き出し、回転体Jを矢印2方向に押し戻さない。
回転体Jvと管PPとを支軸Ijで連結すると、回転体Jが矢印1方向に回転するに従い、引きバネVが引き伸ばされて運動体Yを減速するが、図15(b3)に示すように、回転体Jの回転が停止して管内部Po1の空気が管外部Po2に排出されると、引き伸ばされた引きバネVが縮むとき、回転体Jが停止したままで管PPが矢印2方向に移動して、回転体Jvが回転体Swの周りを矢印2方向に回転する。
このようにして図15は、運動体Yの衝撃を引きバネVに吸収して、引きバネVの復元力が回転体Jが戻る方向に働かないようにする。図15の緩衝器をドアDに取り付けた場合、ドアが減速されて停止した位置で静止するだけでなく、減速時に働いた抵抗が自動的に取り除かれる。
図16は特許文献9に記載されるドア(以下、特許文献9のドアと言う。)をゆっくりと動くアクチュエータによって動くようにした実施例を示すものである。特許文献9のドアは「全開時から全閉直までの(あ)の範囲」において大きく回転し、「ドアを回転させる回転装置」は小さく回転する。また、「全閉直前から全閉時に至る(い)の範囲」において小さく回転し、回転装置は大きく回転する。回転装置のアクチュエータが一定の速度で回転すると、(い)の範囲で急激にドアは減速されることになる。
(い)の範囲は、アクチュエータが一定の速度で長時間に亘って回転し続けても、ドアが殆んど回転しない状態になる。ゆっくりと動くアクチュエータは(い)の範囲において、ドアを回転させる回転装置としてより主に減速装置として機能している。
特許文献9のドアは(あ)の範囲から(い)の範囲に切り替わる切替範囲において、ドアを回転させる力の作用線を急激に移動させることによって、小さな力がドアに大きく作用するようにしている。切替範囲においてドアの回転を殆んど伴わず回転装置は大きく動作する。アクチュエータが一瞬で伸縮するバネであるとき、バネはドアを回転させる力が要らない状態で動作すので、回転装置は大きな動作であっても一瞬で終了する。ドアを回転させる力が更に大きな力に切り換わることによって、ドアは加速する。
図16において、「特許文献9のドアを付勢する引きバネV」がゆっくりと伸縮するようにする手段は、同時に引きバネVに抵抗をかけて引きバネVの力を減じる手段でもあるので、ゆっくりと動くアクチュエータを採用することによって、(い)の範囲でドアが減速してドアが止まった場合に、アクチュエータが回転し続けて、ドアを回転させる力が更に大きな力に切り換わるとしてもも、切り換わる大きな力が減じられて、ラッチを凹ましきれないようになり、この時点でドアが止まればアクチュエータの回転も止まってしまうようになる。
そもそも特許文献9のドアは回転装置と連動するので、ドアが止まれば止まってしまう欠点がある。ドアが止まればドアの慣性力はなくなり、切り換わる大きな力がラッチを凹ましきれる力に回復すれば、減速してドアが止まっても、ドアは再び動き出して全閉するが、図16において、「特許文献9のドアを付勢する引きバネV」がゆっくりと伸縮するようにしてドアを減速して止めた場合は、同時に引きバネVに抵抗をかけて引きバネVの力を減じて、ドアが止まったまま再び動き出さないようになりかねない。
特に、想定外の突風でドアが急速に回転した場合にも、ゆっくりと伸縮するようにしてドアを減速して止める場合は、引きバネVに大きな抵抗をかけて引きバネVの力を減じることになり、ドアが通常の速度で回転した場合には、ドアが止まったまま再び動き出さないようになる。
図16において、「特許文献9のドアを付勢する引きバネV」がゆっくりと伸縮するようにする手段が、同時に引きバネVに抵抗をかけて引きバネVの力を減じる手段でもあっても、抵抗がドアが急速に回転するほど大きくなり、ドアが止まれば時間経過すれば消失するものであれば、ドアが止まったままではなく再び動き出すようになる。
或いは、ドアが止まったまま再び動き出さないようになるほど引きバネVに抵抗をかけなくても、時間経過するだけでドアの慣性力が消失するものとすれば、(い)の範囲でバネが長時間に亘って回転し続けさえしすれば、特許文献9のドアは勝手に止まるようになる。
「特許文献9のドアを付勢する引きバネV」は、このような時間経過すれば消失する抵抗或いはによって、ゆっくりと伸縮するものとする。
回転装置そのものが減速装置でもある図16のドアは、強く回転して減速しないか、減速しすぎて止まったままになるか、のどちらでもないようにするために、ドアの大きさや重量、付勢手段Vの強さによって、回転機能と減速機能とを個別に調節する必要がある。
ドアがどの位置で静止していても、必ず動きだすように付勢され、ドアを減速する抵抗が所定の位置で作用し始め、作用し始めた減速装置が抵抗を自動的に消滅させるまで動き続けるならば、減速してしかも止まったままにならないように出来る。回転装置と減速装置とを別にすると、個別に調節する必要がなく、全ゆるドアの大きさや重量、全ゆる付勢手段Vの強さに1つの減速装置が対応する。
ドアの回転軸は鉛直であり、ドアを回転させるアクチュエータを必要とするが、蓋の場合は回転軸が水平であり、蓋の閉方向の運動が重力によって付勢されるので、蓋の閉方向の運動にアクチュエータは不要で、「作用し始めた抵抗が自動的に消滅するまで動き続ける減速装置」だけでゆっくりと全閉する。この減速装置は1つの減速装置が全ゆる蓋に対応し、蓋の大きさや重量、付勢手段Vの強さによって、個別に調節する必要がない。
このように1つの減速装置が全ゆるドアや全ゆる蓋に対応することは、当該1つの減速装置を取り付けたドアは、突風によってドアに想定外の大きな力が作用しても急速回転しないことを意味し、当該1つの減速装置を取り付けた蓋は、重量の異なる荷物を積載して上下しても、閉方向の速度は変化し合いことを意味している。
図16において、特許文献9のドアは、付勢手段Vで運動するドアに、付勢手段Vとは別の手段VVで運動する減速装置が追加されない。
図16は「枢軸Oを共有し相対的に回転する2つの開閉体」即ちドアDとドア枠Wと、「片方の端部がドア枠Wと回り対偶で連結され、他方の端部がドアDと滑り対偶で連結される伸縮部」とで構成されるリンク装置である。
リンクAは「固定支軸Swの周りに回転自在に軸支される回転体J」と連結軸Pで連結され、先端部に設けられる支軸Ibに車輪Bが装着される。車輪BはドアDに設けられる摺動面Kd(以後、摺動面Kを備える摺動面体KKを含めて摺動面Kと言う。)に沿って移動するようにしている。
回転体Jの付勢手段は引きバネVとチューブSSとを連結軸Pvで連結するもので、引きバネVが縮んで、回転体Jは支軸Swの周りを矢印1方向に回転し、ドアDは枢軸Oの周りを矢印1方向に回転する。(ドアDがバネに付勢され回転する方向を閉方向とする。)
図16(a)は車輪Bが摺動面Kの基端部にある動作説明図、図16(b)は車輪Bが摺動面Kの基端部から離れる動作説明図、図16(c)は全閉時の状態を示す平面図、図16(d)はチューブSSがローラRR1とRR2に挟まれる部分詳細図である。
図16を含めて、ドアの全開時から全閉時に至る過程における各時点のリンク装置の状態(各時点の各リンク、各連結点、各付勢手段の配置)を1つの図面に示してリンク装置の動作を説明する各動作説明図において、符号の添え字はドアの開度を示す。例えばD100はドアが全開して静止する状態、D90はドアが全開する状態、D10はドアが全閉寸前の状態、D0はドアが戸当たりGdに当接して全閉する状態を示し、C100はドアが全開して静止するときの接続軸Cの位置、C90はドアが全開するときの接続軸Cの位置、D10はドアが閉止直前の状態であるときの接続軸Cの位置、D0はドアが全閉するときの接続軸Cの位置を示す。
図16(a)に示すように、ドアが全開した位置からドアが全閉する直前の位置までドアが回転する範囲(以後、(あ)の範囲と言う。)において車輪Bが摺動面Kdの基端部の窪みKd1に留まり、「枢軸Oと力Fbの作用線との間の距離Lo」を小さく保ち、バネの力が大きくても「ドアに作用する力」は小さい。
ドアDが閉止するに伴い「車輪Bと摺動面Kdとの接点b」を通る摺動面Kdの接線Tk」とリンクAの軸芯線Za(以後、リンクの両端の連結軸を通る直線を軸芯線と言う。)との交差角度Θakが変化し、ドアが全閉する直前付近のドアの回転範囲(以後、(い)の範囲と言う。)において車輪Bが窪みKd1から脱出し摺動面Kの基端部Kd1から先端部Kd2に向かって移動する。(車輪Bが摺動面Kを押圧するときでリンクAに引張力が作用するとき、車輪Bは接線TkとリンクAの軸芯線Zaとによって挟まれ車輪Bを含む側の交差角度Θak」が鈍角になるほうに向かって移動する。)
全開から全閉に至るドアの全回転範囲は(あ)の範囲と、(い)の範囲に分割され、それぞれの範囲でドアに働く力の大きさが異なる。(以後、(あ)の範囲と(い)の範囲の間の範囲を切替範囲と言う。)(い)の範囲では「枢軸Oと力Fbの作用線との間の距離Lo」が大きく、「ドアに作用する力」が大きい。切替範囲では「枢軸Oと力Fbの作用線との間の距離Lo」が急激に増加し、「ドアに作用する力」が急激に増加する。(あ)の範囲と(い)の範囲との間には明確な境界があり、切替範囲においてドアの回転を伴わない場合は切替範囲は(あ)の範囲と(い)の範囲の境界線であり、ドアの回転を伴う場合は切替範囲は(あ)の範囲と(い)の範囲との間に挟まれる範囲である。
図16に示ように「ドアに作用する力」が(あ)の範囲で小さく、(い)の範囲で大きいようにしたドアクローザにおいては「ドアを開くときに必要な力」は開く当初は大きく、(あ)の範囲で小さくなる。これに対して(あ)の範囲で「ドアに作用する力」が小さくない通常のドアクローザにおいては、「ドアを開くときに必要な力」は(あ)の範囲で小さくならない。
図16のドアを回転させる付勢手段は「油圧シリンダを備えたドアクローザ」と同様の減速機能を備える。チューブSSは空気或いは油あるいはゲル状の液体を封じ込めて密封される。対面する2つのローラRR1,RR2はチューブSSを押圧して変形させ、局所的にチューブSSの内部の断面積を小さくする。ローラRR1の回転軸Ir1はドア枠Wに固定され,RR2は押しバネUr1によってチューブSSを押圧する方向に付勢される。
図16(b)(c)に示すように、局所的に変形した部分は、流体を封じ込めたチューブSSの流体充填部を室SS1と室SS2とに分割し、流体が通り抜けるスリットSS3が形成される。図16(d)に示すように、スリットSS3は局所的に変形した部分から「互いに対面するチューブSSの内側が密着しあい、流体が通過できない部分」を除いた部分で、チューブSSの内部に辛うじて流体が通過できる断面積が確保される。バネVの付勢によってチューブSSがローラRR1とRR2に同時に沿って図中矢印1方向に移動すると、室SS1に残留する液体は室SS1に内圧を掛けて、スリット3を通って室SS2に移動する。
(あ)の範囲でドアが大きく回転する間にリンクAの回転は小さく、(い)の範囲ドアが僅かに回転する間にリンクAは非常に大きく回転する。チューブSSがローラRR1とRR2に同時に沿って移動する速度は(あ)の範囲で遅く、(い)の範囲で早い。スリット3を通って室SS2に移動しきれず室SS1に残留する液体の量は(あ)の範囲で少なく、(い)の範囲で多い。室SS1にかかる内圧は(あ)の範囲で小さく、(い)の範囲で大きい。スリット3を通って室SS2に移動する流体の量は(あ)の範囲で少なく、(い)の範囲で多く、スリット3を通る流体の粘性抵抗は(あ)の範囲で小さく、(い)の範囲で大きい。
したがって減速効果は(あ)の範囲で小さく、(い)の範囲で大きい。(い)の範囲で流体は長い時間を要して室SS1から室SS2に移動するので、バネの伸縮に要する時間が延長され、車輪Bは摺動面Kに沿ってゆっくりと移動する。
スリット3を通る流体の粘性抵抗は、流体の移動速度に比例して大きくなるもので、流体の粘性抵抗はバネと反対方向に働きバネの力を減じるが、流体が室SS1から室SS2に移動し終えて粘性抵抗がなくなると、バネの力の減じられなくなる。流体の移動を止めるものではなく、減速装置は動き続ける。
ドアが閉止途中で止まり、チューブSSが移動せず留まる状態は、流体の移動が止まる状態であるが、流体の移動に粘性抵抗がなくなった状態で、バネの力の全てが流体の移動に作用し、ドアに作用する。このように、ドアが停止したり非常に低速に回転すると、「ドアに作用する力」が増加する。
図16(c)にようにドアが全閉すると同時に車輪Bが摺動面Kdの先端部Kd2に当接して移動が止まり回転体Jの回転が止まって、チューブSSの支軸Sjが止まったとしても、スリットSS3を通って室SS2に移動しきれず室SS1に残留する液体の量が室SS1に内圧をかける。ドアが全閉した後も流体の移動が継続する。
2つのローラRR1,RR2はチューブSSを押圧して、チューブSSとの間に摩擦力が生じるが、摩擦力が「チューブSSが支軸Sjを牽引する力」を減じる。内圧によって流体が移動しチューブSSが移動すると内圧がなくなる。摩擦力もチューブSSの移動を止めることなく、且つ支軸Sjを牽引する力を減じることもなくなる。バネの力の全てが支軸Sjを牽引する。
ドアDに加速側摺動面Kdと対面して減速側摺動面Kddが設けられる。車輪Bが加速側摺動面Kdに沿って移動するときドアは加速するが、車輪Bがゆっくりと移動すると図16(b)に示すように、加速側摺動面Kdから離れて減速側摺動面Kdd沿って移動し、ドアは減速する。
ドア枠Wに減速側摺動面Kwを設けた場合、車輪Bが減速側摺動面Kwに当接してドアDに設けられる加速側摺動面Kdから離れる。車輪Bの付勢手段がチューブSSを押圧する装置を備えずバネVだけである場合、車輪Bは一瞬のうちに先端部分Kd2に移るが、チューブSSを押圧する装置によってバネはゆっくりと伸縮し続けるので、車輪Bはドア枠Wに設けられる減速側摺動面KwとドアDに設けられる減速側摺動面Kddとに同時に沿って移動する。車輪Bが減速側摺動面Kwに沿って移動するときの回転方向と減速側摺動面Kddに沿って移動するときの回転方向とは互いに反対であり、車輪Bと加速側摺動面Kwとの間にまた車輪Bと減速側摺動面Kddとの間に摩擦が生じ車輪Bは減速する。
車輪Bはゆっくりと移動し先端部Kd2に至って、減速側摺動面Kwから離れて加速側摺動面Kdを押圧してドアは全閉する。図16(c)に示すように、減速側摺動面Kwに対面してドア枠Wに加速摺動面Kwwを設けた場合、加速摺動面Kwwを押圧してドアは全閉する。
図16(c)に示すように、車輪Bが摺動面Kwから離れて全閉する場合も、離れず全閉する場合も、全閉時にドアの慣性力がなくなっていれば、回転装置そのものが減速装置でもあるものであっても、減速装置としての抵抗手段は機能していない。付勢手段は抵抗によって減じられることなく全ての力でドアを全閉する。
伸縮部が「ドアを回転させる力」は、ラッチ雄部がラッチ雌部に当接する瞬間に最も大きい必要があるが、ラッチ雄部が凹み終えてラッチ雌部に収容されるまでのドアの回転範囲においては、大きい必要がなく、小さくてもドアは全閉する。
図16(c)に示すように、ラッチ雄部Ra1が凹み終える瞬間に、押しバネUが回転体Jに当接するようにすると、バネVの力は、車輪Bを移動させる力と、押しバネUを縮める力と流体の粘性抵抗に打ち勝つ力とに分散される。時間経過と共にバネVの力を減じる粘性抵抗がなくなり、バネVの力は車輪Bが押しバネUを縮めながら増加する。やがてドアが全閉して停止すると、バネVの力は専ら押しバネUを縮めるだけになる。
全閉したドアに働く力が「ドアを全閉する瞬間に働く力」以上に増加しても、押しバネUの復元力がドアを開く方向に働き、「全閉したドアを開く力」を小さくする。
このようにバネの伸縮に時間を要し、車輪Bが摺動面Kに沿ってゆっくりと移動することによって、車輪Bが加速側摺動面Kから離れる。車輪Bが加速側摺動面Kdから離れてドアに力が作用しなくなり、ドア慣性力によって車輪Bが減速側摺動面Kddを押圧するようになる。ドアは減速し、車輪Bは止まることなく移動し続ける。(あ)の範囲でバネを強くして大きく加速しても、全閉寸前にはドアは略停止し、ドア慣性力は殆んど働かない。
バネの伸縮が遅延することで、伸縮部が開閉部を動かす立場が開閉部に動かされる立場になる。このような現象は、図16のように伸縮部と開閉部とが滑り対偶で連結される場合だけでなく、図17に示すように回り対偶で連結される場合にも認められる。
図16に説明したように流体の粘性抵抗がドアを減速するのは、ドアの運動エネルギが流体を構成する粒子の間に生じる摩擦熱によって損失し、流体の移動に時間を要するようにするからであって、摩擦運動エネルギによって摩擦熱を生じさせれば減速する。図16の場合にチューブSS内部の流体をチューブSS外部から撹乱したように、図17においてもチューブSSを凹凸面で外部から揉むことによってチューブSS内部の流体を撹乱して摩擦熱を生じさせる。
円盤Bは周縁部にチューブSSを装着し、中心を回転体Jの回転軸Swwと同じくして回転体Jに固定するものであって、チューブSSの側面は「ドア枠Wに設けられる支軸Sknの周りに回転自在に軸支される摺動面Kb」が備える凹凸面によって押圧される。
図17は2つの開閉体DとWとに、2つのリンクAとJとからなる伸縮部を連結したリンク装置で、リンクAが引きバネV1によって、回転体Jが引きバネV2によって付勢され、回転体Jは回転軸Swwを軸に矢印1方向に回転し、ドアDは枢軸Oを軸に矢印1方向に回転する。ドアDとリンクAとを連結する接続軸Cは、枢軸Oを中心とする円軌道Ro上(以後、Rの添え字は円の中心を示す。)を矢印1方向に移動し、回転体JとリンクAとの連結軸Pは円軌道Rswwに沿って図中矢印1方向に移動する。
図17(a)はドアの全回転範囲における動作説明図、図17(b)は全閉直前時の動作説明図、図17(c)は全閉時の動作説明図である。
図17(a)に示すように、(あ)の範囲でドアが大きく回転する間に回転体Jの回転は小さく、(い)の範囲ドアが僅かに回転する間に回転体Jは非常に大きく回転する。チューブSS内部の流体を撹乱する速度は(あ)の範囲で遅く、(い)の範囲で早い。回転体Jの回転軸Sww周りに回転抵抗が(い)の範囲で大きく働く。
ドアが閉じるに従い、回転体Jの軸芯線ZjとリンクAの軸芯線Zaとが重なる状態に近づく。全閉寸前で重なる状態に近づくと、リンクAの軸芯線Za方向にドアを牽引する大きな引張力が働き、回転体Jは小さな力で回転してドアを小さな力で回転させる。
チューブSSと摺動面Kbの摩擦によって回転体Jの回転が遅れて、ドアDの回転がドア慣性力によって回り続けると、回転体Jの回転がドアDを回転させる状態がドアDの回転が回転体回転体Jを回転させる状態に逆転し、リンクAに働く引張力は圧縮力に変わる。リンクAは大きなドア慣性力を支持し、回転体Jは小さな力で回転し続け止まらない。
このように回転軸Sww周りに回転する回転体Jの先端部に設けられる連結軸Pに作用する力の作用線が回転体Jの軸芯線Zjに重なる状態に近づくほど、回転軸Sww周りに回転する連結軸Pは連結軸Pの交点の中心に向かう径方向に大きな力を支持し、周方向に働く力が小さくて移動し運動し続ける。
回転体Jの回転軸Swwが「ドア枠Wに設けられる固定支軸Swの周りに回転自在に軸支される回転体Jsw」に設けられるようにして、回転体Jswが押しバネUswによって固定支軸Swの周りに矢印2方向に付勢すると、リンクAがドアDを牽引する力が弱い限り、図17(b)に示すように回転体Jswは当たりGjから離れ、強くなれば図17(c)に示すように当たりGjを押圧する。
(あ)の範囲におけるときや、ドアが慣性力によって早く回転してドアを回転させる力を大きく必要としないときほど、回転体Jswは当たりGjから離れて、摺動面KbがチューブSSを押圧する力は大きくなり、回転体Jの回転が次第に阻止させるようになる。回転体Jが逆回転するとドアの回転に大きなブレーキをかけることになる。(い)の範囲におけるときや、ドアDが止まるときなど、回転させる力を大きく必要とするときほど回転体Jswは当たりGjに近づき、ブレーキをかからないようになる。
図18は、重量の異なる荷物を積載して上下しても、閉方向の速度は変化しない蓋の実施例を示す。図18においては管PP内の油を管PP内部で撹乱して摩擦熱を生じさせ、同時に粒子を下から上に掻き混ぜることによって、運動エネルギを位置エネルギに変えて、蓋の閉方向の速度を減速する。管PP内の油は、一般的に砂時計の砂のように、互いに摩擦し合う複数個の粒子である。蓋の閉方向の減速は全閉付近に限らず、全開位置から全閉位置に至る全回転範囲に亘るようにする。
図18(a)において固定部Wに設けられる枢軸O、OOと、蓋D、DDのそれぞれに設けられる接続軸C、CCは水平の回転軸であり、リンク装置を構成する各部材はそれぞれ鉛直面上で動作する。枢軸O、OOと接続軸C、CCとを頂点としてなる四辺形は平行四辺形で、リンクAdは水平を保つようにしている。リンクAdは自重によって下降する荷台であって、荷台Adは荷物YYを積載する。蓋D、DDはそれぞれ枢軸O、OOを軸に回転し、起立位置と倒伏位置との間を揺動する。
回転体JJは枢軸Oの周りに回転自在に軸支され、引きバネVVを介して蓋Dと連結される。回転体JJの先端部に設けられる連結軸PにリンクAが連結され、リンクAの先端部に設けられる支軸Ibに車輪Bが装着される。支軸Ibは固定部Wに設けられる溝Hに沿って移動し、車輪Bは蓋DDに設けられる摺動面Kに沿って移動する。
管PPは枢軸Oを中心として環状に曲げられた通路であって、ピストンPsが管PP内を起動Xpに沿って矢印1方向に移動するとき、ピストンPs前方の管内部Po1の油を押し上げ、管内部Po1の油は管PPの内壁とピストンPsの外縁部との間の隙間を通って、ピストンPsの後方Po2に移動して渦を作る。
ピストンPsは円弧上の枝Pjを介して回転体JJに取付く。回転体JJが蓋DDの倒伏回転によって枢軸Oを矢印1方向に回転するが、回転体JJの速度は蓋Dの回転速度に遅れるようになる。ピストンPssは管内部Po1の油によって押し上げられ、押しバネUpを縮めて回転体JJを更に減速するものである。
車輪Bは常に摺動面Kと接触しているが、回転体JJが減速されるほど、回転体JJが「蓋Dに設けられる当りGj」から離れて引きバネVVが引き伸ばされる。蓋Dを起立させる方向の力が引きバネVVを介して蓋Dに作用し、蓋Dは減速されることになるが、引きバネVVが引き伸ばされた状態は、ピストンPsが加速される状態である。蓋Dが減速されると減速し続けて停止する状態に近づくのではなく、止まった蓋が動き出すような状態に移行する。
図18(b)に示す車輪Bの支軸Ibの軌道Xは、回転体JJが常に当りGjから離れることなく、蓋DDと回転体JJの回転速度が常に同じであるようにしたときのもので、枢軸OOが枢軸Oから遠ざかるほど枢軸OOを中心とする円Rooから遠ざかる。この場合引きバネVVの伸縮はなく、ピストンPsの移動は蓋Dの移動に従う。ピストンPsが移動するときに受ける油の粘性抵抗は、ピストンPsが停止するとゼロになるので、油の粘性によって蓋Dが倒伏途中で止まったままになることはない。
図18(c)に示す軌道Xiは、図18(b)に示す軌道Xiが枢軸OOから見て凸であるのに対して凹であり、蓋Dが倒伏するに従い円Rooの周方向から径方向に移行する。蓋Dの重力による枢軸OOの周りの回転モーメントは大きくなるが、これに対抗する車輪Bが摺動面Kを押圧する力Fbは、車輪Bが枢軸OOから遠ざかることで小さくてもよいようになる。押圧力Fbは常に円Rooの周方向に働くが、車輪Bが移動する方向が押圧力Fbに対して平行から直行する方向に移行するので、車輪Bは荷台Fdの大きな重量を支持しながら小さな力で移動できるようになり、蓋Dが倒伏した状態に近づくほど車輪の移動速度は押圧力Fbに影響されなくなる。また、荷物YYの重量が大きく異なる場合も全閉時の荷台Adの下降速度は常に一定である。
図18(b)においても図18(c)においても、回転体JJの開度Θjjと蓋DDの開度Θddは一対一の対応関係にあるが、図18(c)において回転体JJの回転量と蓋DDの回転量とは、図18(b)の場合のように常に一致せず、蓋DDが倒伏するに従い回転体JJが一定速度で回転するとき蓋DDの減速は大きくなる。
図18(d1)と図18(d2)はそれぞれ起立時と倒伏時に、当りGjが回転体JJに当接する状態を示す。図18(b)においては蓋Dと回転体JJとは常に相対的に一体であって、ピストンPsによる減速手段が直接蓋Dに取付いた場合と同じことになるが、図18(c)においては起立時と倒伏時以外の倒伏途中においては、図18(a)に示すように回転体JJは当りGjから離れて、引きバネVVが回転体JJを当りGjに引き寄せるように付勢している。
図18(a)において、蓋Dを止めたままの状態にすると、回転体JJだけは当りGjに当接するまで回転可能であり、車輪Bは摺動面Kから離れて蓋DDから離脱する。回転蓋DDと回転体JJとが相対的に一体になって車輪Bが蓋DDから離れた状態になる。
この状態は車輪Bの係止を全く受けずに蓋DDが回転できる状態であって、図18(a)において回転体JJとリンクAと車輪Bと引きバネVVと溝Hを取り除いて、ピストンPsを先端部に取り付ける円弧上の枝Pjを蓋DDに取り付けた状態になる。
この状態のとき荷台Adの自重がピストンPsの抵抗に打ち勝つとすれば、蓋DDは車輪Bに係合するまで回転可能である。このように蓋DDは車輪Bの係止を受けて止まることと、係止が解除されて再び動き出すことを交互に繰り返しながら倒伏することになる。
蓋DDと回転体JJとリンクAと支軸Ibの添字は、蓋DDの開度Θddを示す。
図19はドアヒンジの回転軸に抵抗を付加する減速装置の実施例で、この減速装置はドア枠外の床下部分やドア上部壁内部に収容可能であって、ドア周辺の景観を損なわない減速装置である。
シャフトObには図示しないドアDが取付き、シャフトObは枢軸Oを中心軸とし、ドア枠Wに取付く管状軸受PPを貫通する。鍔Okは軸受PPの上下の蓋部分と接触して摺動し、シャフトObの長さ方向の移動を止めている。管PP内部には油が充填され、軸受PP蓋部分と鍔Okとの接触面を通って油が外に漏れないようにしている。
シャフトObの長さ方向は、ドリルのような螺旋状の溝Hbを施したボルトネジ部Ob1と施さない円柱部Ob2に区分される。
ピストンPs1は外縁部が管PP内壁に沿って摺動する円筒形のナットであって、中心部に施される穴は「ボルトネジ部Ob1に施される雄ネジ」と摺動する雌ネジを備える。ピストンPs2はシャフトObが貫通する円筒であって、中心部の穴内側側面は円柱部Ob2の外周側面に沿って摺動し、ネジ加工されない。
ピストンPs1とPs2はともに「管PP内壁に埋め込まれたキーObk」に沿って移動するキー溝Onkを備え、シャフトObを軸に回転せずにシャフトObの長さ方向に移動する。
シャフトObが図示されない付勢手段V1によって枢軸Oを軸に矢印1方向に回転し、ピストンPs1はシャフトObの長さ方向に矢印1方向に移動する。溝Hbの捩り角Θbは小さく、シャフトObが僅かに回転してピストンPsは大きく移動する。
ネジ山BoはピストンPs1の貫通穴に施され、溝Hbに沿って移動するが、シャフトObの回転によって溝Hbがネジ山Boを押圧する。捩り角Θbが小さいほどシャフトObの回転抵抗は大きくなるが、ネジ山BoはシャフトObの大きな回転力を受け止めてドアDが突風を受けて急激に回転しようとしても、ドアがピストンPsを回転させる力は小さい。
またシャフトObの回転力は枢軸Oを中心とする円周方向に働き、キーObkの側面Obk1は枢軸Oの径方向であって、ピストンPs1の移動方向と平行であるので、キーObkはドアの大きな回転力を受け止めながら、ピストンPs1の枢軸Oに沿う移動に抵抗しない。
押しバネU2は常にピストンPs2を枢軸Oに沿って矢印1方向に付勢し、押しバネU1はピストンPs1とPs2との間に介在する。両端に係止部を備える貫抜paはピストンPs1とPs2を貫通し、ピストンPs1とPs2を連結する。
図19(a1)はシャフトObが回転せずピストンPs1が静止するときの状態図で、貫抜paの両端の係止部はそれぞれピストンPs1とPs2に係合して、ピストンPs2の矢印1方向の移動が阻止される。
図19(b1)はシャフトObが枢軸Oを軸に矢印1方向に回転し、ピストンPsが矢印1方向に移動し、ピストンPs2の移動がピストンPs1の移動に遅れるときの状態図で、図19(c)はピストンPs2が油の抵抗によって略停止状態にあって、ピストンPs1がピストンPs2に急激に接近するときの状態を示す。
図19(a1)は押しバネU1がピストンPs1とピストンPs2とに接触しない状態を示し、図19(b1)に示すように、ピストンPs1とピストンPs2とに接触して、ピストンPs2をピストンPs1から遠ざける方向に付勢するまで、ピストンPs1はピストンPs2による抵抗を受けない。
押しバネU1が縮むとき、シャフトObの回転は枢軸Oの周りの回転抵抗に加えて、「ピストンPs2が即座に移動しないことによって発生する抵抗」を受ける。即ちドアが突風を受けて急激に加速する場合と、全閉直前にドアが高速回転するとき以外に油の抵抗を受けない。
油の抵抗は、ピストンPs2の貫通穴とシャフトObの外縁部との間の間隙を通る油の量と、流速によって大きくなるが、ドアが急速に回転してピストンPs1が高速に移動するときほど押しバネU1が縮んで、ピストンPs1がピストンPs2を強く押圧し、油の抵抗は大きくなりドアは減速される。ドアが低速に回転してピストンPs1が低速に移動するとき、押しバネU2の付勢によってピストンPs2がピストンPs1を牽引し、ピストンPs1は減速されない。
ピストンPs2の貫通穴内壁面は、シャフトObのボルトネジ部Ob1に接する無抵抗部分On1と、円柱部Ob2に接する抵抗部分On2とに区分される。抵抗部分On2に沿って流れだす油の抵抗は無抵抗部分On1に沿って流れだす油の抵抗より遥かに大きいので、無抵抗部分On1が占める割合が大きいほどドアは油の抵抗を受ける。
閉止開始開度が大きいほどピストンPs1は管PPの始端部PP1に近づくが、ピストンPsも始端部に近づき無抵抗部分On1が占める割合が大きくなる。即ちドアを大きく開いた位置ではドアは抵抗を受けず、閉まるに従い大きな抵抗を受ける。全閉直前には無抵抗部分On1はなくなる。
ピストンPs2がピストンPs1に遅れて移動するほど、ピストンPs1とPs2との間の距離Lpは減少し、押しバネU1が縮んでドアが減速されるが、ドアを減速し続ければドアは停止に至る。
図19(c)はドアが停止してピストンPs1が停止した場合の状態を示す。ピストンPs1が停止しても、ピストンPs2は押しバネU2の力で動き続けて、図19(d)に示すように押しバネU1を緩めることになる。油の粘性抵抗は油の流速がゼロのときゼロであって、ピストンPs1が押しバネU2の押圧力を受けなくなると、無抵抗で再び動き出す。このようにドアは止まっても再び動き出し、全閉せずに止まったままにならない。
ドアを回転させる力Vが極端に弱いとき、停止と再始動を交互に繰り返しながら全閉に至るが、ドアを回転させる力Vが強いときは減速と加速を交互に繰り返して全閉する。どちらにしても、ドアを閉める力は油の抵抗に打ち勝ってよりピストンPs1を移動させる力であって、ドアが停止したときは油の抵抗がないのでドアを回転させる力Vが大きくなくてもドアは閉まる。
「全閉したドアを開く力」はドアを戸当りに押圧する力であって、全閉直前にドアが停止したときは油の抵抗がないので、「全閉したドアを開く力」は停止したドアのラッチを凹ませるだけの力であればよいことになる。ドアを開くときに重たく感じられないようになる。
図19(a2)、(b2)、(c2)、(d2)はそれぞれ、図19(a)に示すX1、X2,X3,X4矢視断面図である。
図1において移動体JJは移動体Jに押圧されて、その場に留まろうとして抵抗するが、図19はにおいて移動体JJ(ピストンPs2)は移動体J(ピストンPs1)に押圧されてその場から離れようとあして抵抗する。
しかしながら、移動体JJ(ピストンPs2)は押しバネU1を介して移動体J(ピストンPs1)と接触して押圧し、速度の遅い移動体JJ(ピストンPs2)が速度の速い移動体J(ピストンPs1)を減速している点は、図19は図1と同じである。
図20閉止方向に回転させる力と閉じ方向の回転に抵抗する力とが同時に働き、互いに反対方向の2つの力に挟まれた状態で回転するドアの実施例である。
図20(a1)〜(a3)に示す車輪Bは「枢軸Oを軸に矢印1方向に回転するドアD」に設けられる摺動面Kに沿って移動しながら、ドア枠Wに設けられる軌道Xに沿って矢印1方向に後退する移動体であって、「外縁部がピストンPsの内壁に沿って摺動するピストンPs」に設けられる支軸Ibに装着される。
図20(a)(b)において、引きバネVは紐Nを介して、片方の取付軸をドアDに設けられる支軸Sdに支持し、他方の取付軸はピストンPsに設けられるSpに支持される。引きバネVはドアDと車輪Bとが摺動面Kを介して離れないようにしている。
ピストンPsは引きバネVVによって付勢され、ゆっくりと軌道Xに沿って矢印1方向に移動する。図20(a)(b)のドアはドアDを付勢する引きバネVと、ドアの減速手段である車輪Bを付勢する引きバネVVとを備え、ドアDには常に枢軸Oを軸に矢印1方向のドアDを閉止方向に回転させる力と、矢印2方向のドアDの閉じ方向の回転に抵抗する力とが同時に働き、ドアDは互いに反対方向の2つの力に挟まれた状態で移動する。
ドアDが引きバネVによって、車輪Bと接触状態を維持して引きバネVVによって牽引されるが、ドアDが止まってもピストンPsは引きバネVVによって運動し続けることが出来、車輪BがドアDと離れて引きバネVが引き伸ばされる。
図20(c)に示すように、ドアDが引きバネVだけで運動する場合のように、ドアDが止まれば引きバネVの伸縮もなくなり、ドアが止まったままになる場合とは異なる。ドアDが何らかの理由で止まった場合は、ピストンPsが矢印1方向に移動し、車輪BとドアDが離れるほど引きバネVが引き伸ばされ、ドアDが車輪Bに近づける力は大きくなる。
ドアDを減速する力は、車輪Bが摺動面Kを押圧する力Fbであって、その作用線は車輪Bと摺動面Kとの接点bと車輪の回転支軸Ibとを通る直線である。図20(a1)に示す全開時、図20(a2)に示す全閉途中のとき、図20(a3)に示す全閉直前時の状態図が示すように、ドアが閉止するに従い押圧力Fbの作用線は、車輪Bの移動方向Xに平行に近い状態から直角に近づき、押圧力Fbが如何に大きくても車輪Bは小さな力で移動できる。
このようにドアの力がドアクローザに伝える連結部において、或いはドアクローザの力をドアに伝える連結部に伝える力の作用する方向に対して、連結部の移動方向が直角に近いほど、ドアを減速するために必要な力は小さくなり、全閉したドアを開く時の力は小さくなる。またドアDが止まった時に、引きバネVVは引きバネVと釣り合う位置で止まってしまうが、ドアを止める風圧や慣性力は時間が経つとなくなるものであるから、引きバネVVの力が弱くてもドアは必ず動き始め、止まったままにならない。
図20(a1)に示す全開時から図20(a3)に示す全閉直前にかけて、ドアが閉まるほどドアの回転に対してピストンPsの移動が大きくなり、ドアは減速されてゆっくり回転し、しかも引きバネVの伸縮は(あ)の範囲で小さく、(い)の範囲で大きくなる。ドアが閉止するに従い、ドアを回転させる力は強くなる。
特に図20(a3)に示す全閉直前ではドアが殆んど動かない状態で、支軸Spが大きく移動するから引きバネが大きく引き伸ばされて、ラッチを凹ませてドアを全閉させる大きな力を蓄える。
滑車BkはドアDに軸支され、紐Nは滑車に沿って移動するが、滑車Bkによってドアが閉止するに従い、引きバネVが大きく引き伸ばされる効果は更に大きくなる。紐NNは引きバネVの両端に結び付けられ、ドアを全閉するときや、全閉したドアを開く時や、風によってドアが開く時に、図20(c)に示すように一直線状に緊張して、引きバネVが一定限度を超えて引き伸ばされないようにしている。ドアが全閉するときは図20(c)に示すように、車輪Bが摺動面Kに沿って矢印1方向に移動して、ドアDを戸当りGdに徐々に、しかもゆっくりと近づけて全閉する。
このように、ドアを減速する力VVもドアを回転させる力Vも、非常に弱く済ませるようになると、ドアを減速する装置もドアを回転させる装置も、ゆっくりと動かすようにする遅延装置に作用する力は小さくてもよいようになり、図20のピストンPsの断面積は小さくて良いことになる。
ピストンPsはゆっくりと大きく動作するために細長くなり、ドア内に収容できるようになる。図20(b)は、ドア周辺の壁内部の鉛直面上でのピストンPsの直線運動を、ドアDの水平面上の回動に伝えるドアクローザの動作説明図で、図20(b1)は平面図、図20(b2)は立面図である。
図20(a)(b)において、ピストンPsは軌道Xに沿って矢印1方向に移動し、管内部P01の空気を圧縮する。圧縮された管内部P01の空気は、管端部に設けられる穴Pnを通って徐々に排出され、ピストンPsがゆっくり移動するようになる。穴Phに施される逆支弁Pdは、管内部P01からの空気の排出を小さくし、管内部P01への空気の流入を大きく許すものである。
図20(a)(b)において、ドアクローザはドアを付勢する引きバネVと減速手段Rsを付勢する引きバネVVとを備える。図20(b)において、引きバネVに連結される紐Nは、壁Wに取り付けた2つの滑車Bk1とBk2とに沿って移動し、壁内部の引きバネVの伸縮力を、水平面上での枢軸Oを軸に回動するドアDに伝える。
図20(b)において、捩じられた平板状の摺動面Kはドアの枢軸Oの周りに取り付けられ、ピストンPsに取付く車輪Bが図20(a)のドアクローザと同様に、摺動面Kと当接離脱する。
ドアが枢軸Oの周りに矢印1方向に回転するとき、車輪Bは摺動面に沿って移動して、枢軸Oに沿って矢印1方向に移動する。ドアDは引きバネVによって閉方向に付勢されるが、閉方向に付勢する力は、摺動面Kが車輪Bを押圧する力Fbとなり、力Fbを車輪Bが支持してドアDの閉方向の回転に抵抗する。ドアが止まった時は、車輪Bが矢印1方向に移動して摺動面Kから離れることが可能であって、図20(a)の場合と同様に、ドアが止まっても減速装置は動き続けてドアを回転させる力を増加させる。
図21は「空圧シリンダを備えて、止まることなくゆっくりと動作し、しかも非常に小さい力で動作するドアクローザ」の説明図で、ドアクローザを動かすバネに空気抵抗を負荷して、バネがゆっくりと伸縮したものである。
図21の空圧装置は管PPの内部P01に閉じ込められた空気を、引きバネVによって付勢されたピストンPsによって圧縮し、圧縮された空気がピストンPsと管PPの内壁との隙間を通って排出されるようにしたものであって、排出される空気の粘性抵抗によってピストンPsの移動を遅らせるものである。ピストンの外縁部に摩擦がなくピストンの摩耗は少ない。
空気に限らず油の粘性抵抗も流体の流速に従って増加し、流速がゼロになればゼロになる抵抗であって、ピストンPsが高速に移動しようとすると大きく抵抗し、ピストンPsが止まれば抵抗はなくなる。従って油圧シリンダや空圧シリンダを用いてバネの伸縮を遅らせる油圧や空圧装置は、粘性抵抗が大きれば大きく減速し、小さければ殆んど減速しない。何らかの原因で装置が途中で止まったとしても、止まって抵抗が働かないようになれば、再び動き出して止まったままになることはない。
これに対して摩擦抵抗や、バネの付勢と反対方向の力を作用させてバネの力を弱めたゆっくりと回転させる装置は、一旦止まると静止時に働く抵抗は運動時に働く抵抗より大きくなることから、減速してドアが止まれば摩擦抵抗がかかったままの状態では再び動き出さない。抵抗が取り除かれるか、バネの付勢力が大きく回復するかのどちらかでなければ、一旦止まった装置は再び動き出すことはない。
高速で回転するドアは大きな運動エネルギを保有し、全閉時に大きなエネルギが大きな衝撃に変わるが、ドアを止めれば運動エネルギがなくなりドアを減速する目的は達成される。減速して止めたドアを動き出すようにして全閉すれば衝撃音も発生しない。
高速で回転するドアを止めるには大きな抵抗が必要であるが、ドアクローザが小さな力で動くにも拘わらずドアに大きな力が作用する場合は、ドアの大きな慣性力でドアクローザを動かそうとしても、ドアクローザは小さな力で対抗できる。小さな力で動くドアクローザは、小さな空気の粘性抵抗でも十分に減速されてゆっくりと動くようになる。
図21に示すドアクローザは「ドア枠Wに設ける所定の軌道に沿って、枢軸Oから遠ざかる方向に移動する車輪B」がドアDに設けられる「加速側摺動面Kwと減速側摺動面Kdとの間に挟まれる通路H」に沿って移動してドアDをドア枠Wに引き寄せるもので、図21(a)に示すドアが大きく開いた状態から、図21(b)に示す少し開いた状態に移行するに従い、車輪Bの移動方向は「枢軸Oを中心とするドアDの円運動」の接線方向から半径方向に移行する。
図21(b)に示す全閉直前において、車輪Bが加速側摺動面Kwを押圧する力Fbwは、車輪Bが力Fbwと略直角方向1に小さな力で移動することによって、ドアDを閉じ方向に大きく作用する。図21に示すドアクローザは小さな力がドアに大きな力として作用するドアクローザであって、減速側摺動面Kdが如何に強く車輪Bを押しても、車輪BはドアDを回転させずに小さな力で矢印1方向に移動できる。
車輪Bの移動が油や空気の粘性抵抗で減速される場合は、全閉寸前に車輪Bが摺動面Kwから離れて摺動面Kwに沿って移動するようになり、たとえ車輪Bが止められたとしても、そのときドアDの回転も止まれるのでドアの慣性力もなくなる。
ドアの慣性力がなくなると、車輪Bを動かす力は、止まったドアを動かす「ドアに働く最大静止摩擦力」を僅かに上回る力であって、ドアが止まって摺動面Kwが車輪Bを押圧する力もなくなると、車輪Bを移動する力が蘇る。ドアクローザはドアを回転させる地価よりはるかに小さい、車輪Bを動かすだけの力で、ドアの大きな運動エネルギを消滅させて減速し、しかもドアが閉止途中で止まったままにならない。
この場合は、ドアを減速する装置と回転させる装置を別々に設けてそれぞれの付勢手段を別にする必要はなく、ドアを回転させるバネが1つであればよいことになる。
図21(c)は全閉してドアを開くときの運動説明図である。全閉時にドアの回転を殆んど伴わず大きく動作する装置は、ドアを開こうとしても装置が逆方向に大きく動作して復帰できない。
図21(b)に示すように、ドアが殆んど回転せずに車輪Bが全閉したドア面に沿って移動する場合は、ドアを逆回転させようとしてもドアは動かず、車輪Bはドア面に沿って後戻りしない。しかしながら車輪BがリンクAAの先端部にもけられる支軸Ibに装着され、リンクAAの中間部に設ける支軸Inがドア枠Wに設けられる溝Hに沿って移動するようにすれば、図20(c)に示すようにリンクAAが支軸Ihを軸に回転して、ドアが回転できるようになる。
全閉したドアが少しでも開けばより開きやすくなって、図21(a)に示すような状態に戻ることになる。リンクAAは連結軸PによってリンクAと連結され、リンクAはピストンPsに設けられる接続軸Cの周りに回転自在に軸支され、接続軸Cはドア枠Wに設けられる溝H1に沿って移動する。
ドアが閉止するときは図21(a)(b)に示すように、リンクAは引きバネVaによって付勢され、ピストンPsに設けられる当りGaに当接して静止していて、車輪Bは図示されない「ドア枠Wに設けられる所定の軌道X」に沿って移動する。
図22はドア内部に収容されるドアクローザの実施例を示し、図22(a1)(b1)はドア上部でドアとドア枠の相対的な開閉動作を示す平面図で、図22(a2)(b2)はドア面上で動作する駆動部と減速部の動作を示す立面図である。図22(a)は駆動部と減速部が別の付勢手段で回転するドアクローザで、図22(b)は駆動部を減速することでドアを減速するドアクローザであって、減速部は別の付勢手段を備えない。
ドアDはドア枠Wに設けられるOを軸に回転し、回転体Jはドアに設けられる接続軸Cの周りに回転自在に軸支されるが、図22(a1)(b1)は回転体Jが回転してドア枠Wが枢軸Oの周りを回転する状態を示している。
図22(a)において、回転体Jの先端部に設けられる連結軸Pとドア枠に設けられる支軸SwとはリンクAで連結され、ドアDとドア枠Wとは回り対偶で連結される。回転体Jが接続軸の周りを矢印1方向に回転すると、支軸Swは、枢軸Oを軸に矢印1方向に公転する回転体Jの回転で止まったドアを動き出すようにできるように、ドアDの回転で止まった回転体Jを動かすことが出来る。ドアDが慣性力によって加速するとき、回転体Jの回転が遅れると回転体JはドアDによって加速しドアDを減速する。全閉に近づくに従い、リンクAと回転体Jは一直線状に配される状態に近づくほど、回転体JはドアDの力を受け止めて大きな力でも回転し難くなる。
図22(a2)に示すように鉛直軸の接続軸Cの回転は、被動ねじ歯車Bgと駆動ねじ歯車Biを介して、ドア面に設けられる水平軸の回転軸Iに伝達され、回転体Iに取り付けた摺動面Kを矢印1方向に回転させる。摺動面Kを矢印1方向に回転させる引きバネVは回転体Jを接続軸Cの周りに矢印1方向に回転させる。
リンクAbはドア面Dに設けられる支軸Iaの周りに揺動自在に軸支され、先端部に設けられる支軸Ibに車輪Bを装着する。ゼンマイバネVVの力は、複数枚の平歯車BB1、BB2からなる減速機を介して、リンクAbに伝達される。
ドアを開くときときリンクAbに装着される車輪Bは摺動面K3に沿って支軸Iに近づく方向に移動し、ゼンマイバネVVに復元力を蓄える。ドアが閉まるとき、ゼンマイバネVVに復元力によって、リンクAbは支軸Iaの周りに矢印1方向にゆっくりと回転し、リンクAbに装着される車輪Bは摺動面K2に沿って支軸Iから遠ざかる方向に移動し、ドアを減速する。
図22(a2)において、全閉した後の状態を実線で示し、全開から全閉直前までの摺動面KとリンクAbと車輪Bの動作を破線で示す。
全開位置で始端部Ksにある車輪Bは、ドアDが閉止し始めると回転軸Iの近傍の摺動面K1に沿って移動する。
全閉直前では車輪Bが摺動面K2に沿って移動し、回転軸Iから遠ざかることと摺動面が回転軸Iaを中心とする円に近づくことによって、摺動面K2が車輪Bを大きく押圧してもまたリンクAbを付勢するゼンマイバネの付勢が弱くても車輪Bは止まらず移動する。ドアの回転速度はリンクAbの回転速度に従い、リンクAbの回転速度は殆んどドアに影響されない。ドアはゼンマイバネとは別に用意された付勢手段Vによって回転し、止まったままにはならない。全閉したドアを開くとき、車輪Bは摺動面K3に沿って移動し始端部Ksに停留する。
ドアDに摩擦抵抗を作用させて減速しようとすると、摩擦が強い場合はドアを止めてしまい弱い場合は殆んど減速せずに全閉し、ドアが止まれば全閉せずに止まったままになるが、ドアにではなくドアDを回転させる駆動部を減速部が減速する場合、減速部はドアが全閉するまで動き続けさえすればよいのであるから、減速部をゆっくり動くようにする手段に歯車の速比に伴う回転抵抗を用いてもよいことになる。この場合減速部がドアDの回転によって止められない構造であることと、ドアが止まってもドアの付勢手段が止まらないことが必要である。
ドアの慣性力はドアが減速すると時間と共に消滅する。減速されて止まってしまったドアでも、減速時に作用した抵抗が取り除かれればドアは再び動き出す。図22(b)に示すように空気や流体の抵抗によってドアを減速した場合、ドアが止まれば空気や流体の抵抗はなくなりドアが再び動き出す。
図22(b1)において全閉直前の状態を実線で示す。図22(b1)において破線で示すように回転体JがドアDに設けられる接続軸Cを軸に矢印1方向に回転して、ドア枠Wに設けられる摺動面Kは枢軸Oの周りを矢印1方向に公転する。摺動面Ko、車輪Bo、回転体Joは全閉時の状態を示す。
全閉直前から全閉時にかけて車輪Bは加速摺動面Kに沿って枢軸Oから遠ざかり、加速摺動面Kは車輪Bの円軌道に近づく。車輪Bが加速摺動面Kを押圧する力Fbkが小さくてもドアの回転に大きく作用する。回転体Jの回転を減速する手段が設けられない場合には、回転体Jが速く大きく回転して、車輪Bは加速摺動面Kから離れない。ドアを閉止する力が作用し続ける以上、ドアは加速の一途をたどる。ドアDが僅かであっても速く回転する。減速手段が設けられる場合には、回転体Jが遅く長時間回転して、車輪Bは加速摺動面Kから離れて、加速摺動面Kに対面する減速摺動面KKに沿って移動する。ドアDの回転を回転体Jが阻止するようになって、ドアDは長時間要して僅かな回転をする。
減速摺動面KKの移動方向に対して車輪Bの移動方向が直角に近づくほどドアDの回転は阻止され、回転体Jはドアの大きな慣性力によっても回転されないようになる。このようにドアを減速する減速部は、ドアの大きな慣性力を支持しても、通常の油圧ドアクローザのように強力にする必要がなく、図22(b2)に示すように回転体Jを細長い空気シリンダで減速すれば十分となる。細長い管PPとピストンPsはドアの厚み内に収容される。
管PPを連結軸Pの円運動の接線上に配置すると、リンクAbの回転を増幅してピストンPsの移動に変換する。ドア内に収容する限り装置が大きくなることに問題はない。
図22(b2)に示すように鉛直軸の接続軸Cの図中矢印1方向の回転は、被動かさ歯車Bgと駆動かさ歯車Biを介して、駆動かさ歯車に取付くリンクAbをドア面に設けた支軸Iの回りに矢印1方向に回転させる。ピストンPsはリンクAbの先端部に設けられる連結軸Pの回りに回転自在に軸支され、その外縁部はドア面に設けられる支軸Ipを軸に回動する管PPの内壁に沿って移動する。実線は全開時、破線は全閉時を示す。かさ歯車機構は回転体Jの水平面上の回転をリンクAbのドア面上の回転に変えるだけでなく、回転体Jの小さな回転をリンクAbの大きな回転に変えることも出来る。
リンクAbを長くすることで連結軸Pの円運動は大きくなり、全閉時に近づくに従いピストンPsが連結軸Pの周りを当該円運動の径方向から周方向に向きを変え、ピストンPsが管PP内を加速して移動する。管内部Po1の空気は圧縮されピストンの侵入に抵抗するが、ピストンPsの外縁部と管PP内壁との間の隙間を通って管外部Po2に排出され、ピストンPsの移動が途中で止まっても動き始めるときは抵抗しないようになる。また、ピストンPsの外縁部と管PP内壁とが摩擦し合わないから、ピストンPsの外縁部と管PP内壁の摩耗も少ない。
図22(a)の回り対偶の場合と同様に図22(b)の滑り対偶のリンク装置でも、駆動部の小さな力で強くドアを回転させる構造は、駆動部の小さな力で強く回転するドアに抵抗する構造であって、ドアを回転させる駆動部が抵抗によってではなく、構造的にドアによって回転しがたい状態であるならば、駆動部が回転し続けるだけでドアは減速されて閉止する。ドアを減速するための抵抗は小さく、抵抗に打ち勝ってドアを回転させる力も小さくなる。
図22(a)のようにドアと駆動部が連動せず、ドアと駆動部を付勢する手段が別々に設けられると、ドアが止まっても駆動部も止まらない。ドアと駆動部が連動する場合、ドアが止まれば駆動部も止まるが、図22(b)のように、ドアが止まれば抵抗がなくなるような空気抵抗などを採用する場合で、ドアと連動する駆動部が全閉寸前に減速部の機能も発揮するようになる場合、ドアを付勢するバネとは別に、駆動部を付勢するバネは追加する必要はない。
図23はドアの内部から外部へ、外部から内部へ出入りするラッチRaに関するもので、図23(a)はドアが全閉する直前の所定の開動で、ブレーキシューKrによる減速が始動し、一定時間が経過した後に減速作用を解除する遅延装置の動作説明図である。
図23(a1)において押しバネUpはドアに取付く筒Pbを貫通するラッチRbを矢印2方向に付勢し、ドアDに設ける回転軸Qを軸に回動する回転体Jの端部Jpを押圧する。回転体Jは回転軸Qを軸に矢印2方向に付勢される。
ラッチRは筒Paを貫通し、回転体Jの端部JaはラッチRaを押圧し、ラッチRaを矢印2方向に付勢する。ラッチRaの矢印2方向の移動はラッチRaに取付く当りGpが筒Paに当接して阻止される。回転体Jの回転軸Qを軸とする矢印2方向の回転とラッチRbの矢印2方向の移動は止められる。
ラッチRaの先端部に車輪Brが装着される。逆支弁Pdはドア枠Wに設けられる支軸Idに軸支され、引きバネVdによって付勢され当りGdを押圧して静止している。図23(a)に示すように、ドアDが矢印1方向に移動するとき、車輪Brは逆支弁Pdの角部K2の周りを公転し、ラッチRaは軌道Xaに沿って矢印1方向に移動し、ラッチRbは押しバネUpを縮めながら回転体Jを介して軌道Xbに沿って矢印1方向に移動する。
ドアDが矢印2方向に移動するとき、ラッチRbはドア枠に設ける支軸Ibに軸支されるブレーキシューKrを押圧し、ブレーキシューKrを付勢する押しバネUkを縮めながらドアは1方向に移動し減速される。回転体Jの端部Jpには抵抗手段Rsが取付き、押しバネUpの復元力によるラッチRbの矢印2方向の移動が遅延する。
図23(d)は逆支弁Pdの説明図で、図23(d1)に示すようにラッチRaが逆支弁Pdの角部Pk2に当接して矢印1方向に移動すると、図23(d2)に示すように逆支弁Pdは回転せず、ラッチRaが筒Pに沿って矢印1方向に移動する。図23(d3)(d4)に示すようにラッチRaが逆支弁Pdの摺動面K1に沿って移動すると、逆支弁Pdは回転しラッチRaは移動しない。
図23(a)に示すドアが閉まる時にときに、図23(d1)(d2)に示すように矢印1方向に移動するとした場合、ラッチRaが筒Pに沿って矢印1方向に移動して、図23(a)に示す装置は動作する。逆支弁Pdをドア枠Wに取り付けて、ドアが全閉する以前にラッチRaが凹み全閉直前に復帰するようにすれば、全閉する以前から直前にブレーキシューがドアを制動し、一定時間後にドアはブレーキシューから解放される。一定の限度を越えてドアが急速に回転するとき、ブレーキシューの解除が遅れてドアを急停止させる。
図23(a)に示すドアが全閉した状態から開くときに、図23(d3)(d4)に示すように矢印2方向に移動するとした場合、ラッチRaが筒Pに沿って矢印1方向に移動しない。全閉したドアを開く時には、図23(a)に示す装置は動作しない。
図23(b)はラッチRaの小さな動作とドアを付勢するバネの伸縮とが連動する駆動部の動作説明図で、「全閉したドアを少し開くと勝手に動き出して全開し、全開したドアを少し閉めると勝手に動き出して全閉するドア」を動かすようにする駆動部の動作説明図である。
回転体JはトグルバネVVで付勢され、ドアDに設ける回転軸Qを軸に当りG1とG2との間を揺動し、回転体Jに設けられる長穴H内をラッチRaに設けられる接続軸Cが移動し、図23(b1)においてラッチRaが強制的に筒P1内を矢印1方向に移動すると、回転体Jは回転軸Qを軸に矢印1方向に回転し、トグルバネVVによって当りG1に当接して静止する。
その結果回転軸Qから遠い位置に設けられる引きバネV1の取付軸は矢印1方向に大きく移動し、引きバネV1が大きく引き伸ばされる。それとは逆に引きバネV2は大きく緩められる。図23(b2)においては図23(b1)と同様に、ラッチRa2が強制的に筒P2内を矢印2方向に移動すると引きバネV1が大きく緩み、引きバネV2が大きく引き伸ばされる。
引きバネV1とV2はそれぞれ紐N1、N2が連結され、紐N1、N2はそれぞれ滑車B1、B2に沿って移動し、図23(c)に示すように紐N1の端部と紐N2の端部は、それぞれドア枠Wに設ける支軸Sxと「支軸Sxに対面する位置に設ける支軸Sy」とに取り付けられる。
引きバネV1が引き伸ばされると、紐N1がドア内部に引き込まれ、紐N2がドア外部に排出される。ドアDは枢軸Oを軸に矢印1方向に回転する。
図23(b)に示すように、滑車Bの取付部Bcはドアに設ける軸受Bdの周りに回転自在に軸支され、図23(c)に示すようにドアDの回転に従い、紐N1と滑車Bの溝とが平行を保つようにしている。図23(d)に説明する逆止弁を、ドアの全開位置とドアの全閉位置に取り付けると、その位置でドアの僅かな回転で引きバネVにドアを全回転させる力を蓄えることが出来る。
図24はドアDの所定の開度で回転し始めて回転し続ける回転体Jについての動作説明図で、全閉直前以前の所定の開度でドアにブレーキがかかり、全閉直前にブレーキが解除され、ドアに全閉力が作用するようにする装置の説明図である。
空気抵抗で減速すると、空気抵抗は自然消滅するので、減速し終えた段階で再び付勢して全閉装置が始動するが、摩擦抵抗で減速する場合、ドアと連動する以上、減速してドアが止まってしまった場合に、抵抗を解除するスイッチを切ることが出来ないので、ドアの回転によって、ドアを付勢するスイッチを切って抵抗が働き始めるスイッチを入れた後は、ドアを全閉するとき自動的に摩擦抵抗を取り除きドアを付勢するスイッチを入れる必要がある。
スイッチが入れて暫く時間が経過した後で自動的にスイッチを切る装置には「解除可能な拘束手段」が必要であり、伸縮したバネが一瞬で復元せずに、時間をかけて復元するようにする装置が必要となる。
図24(a)b)(c)においてドアDの所定の開度で車輪Bを停留位置に拘束して、ドアDの所定の開度で車輪Bを停留位置から拘束解除する「解除可能な拘束手段」を備える。
図24(a)に示す付勢手段VによってドアDは枢軸Oを軸に矢印1方向に回転する。図24(b)(c)において付勢手段Vの図示を省略する。
図24(a)において回転体Jは枢軸Oの周りに回転自在に軸支され、回転体Jに設けられる接続軸Cの周りにリンクAが回転自在に軸支される。リンクAの先端部に設けられる支軸Ibには車輪Bが装着され、リンクAは引きバネVVによって付勢され、車輪BがドアDに設けられる摺動面Kdに沿って移動し、枢軸Oから遠ざかるようにする。また車輪の回転支軸IbはドアDに設けられる溝Hdに沿って移動し、これと同時に車輪Bはドア枠Wに設けた摺動面Kwに沿って移動する。摺動面Kwは枢軸Oを中心とする円弧の摺動面Kw1と、枢軸Oとの距離を大きくする直線の摺動面Kw2とを備える。
図24(a1)に示すようにドアDが矢印1方向に回転して、車輪Bが摺動面Kw1に沿って移動するとき、車輪Bは摺動面Kdの枢軸Oに近い部分に留まる。図24(a2)に示すように、車輪Bが直線部の摺動面Kw2に沿って移動するとき、車輪Bは摺動面Kdに沿って移動し枢軸Oから遠ざかる。これによりリンクAは接続軸Cの周りを矢印1方向に回転し、回転体Jは枢軸Oの周りを矢印1方向に回転しながらドアDから遠ざかる。
回転体Jは摺動面Kjを備え、摺動面Kjは枢軸Oを中心とする円弧の摺動面Kj1と枢軸Oからの距離が漸次増加する窪み部Kj2と、枢軸Oからの距離が増加する渦線部Kj3とを備える。
回転体JJは片方の端部に車輪BBを、他方の端部にブレーキシューKrを装着し、中間部はドア枠Wに設けられる回転軸Qの周りに回転自在に軸支される。押しバネUはブレーキシューKrがドアDを押圧するように付勢し、車輪BBが摺動面Kj1に沿って移動するときは、ブレーキシューKrとドアDは離れる。全閉直前に回転体JがドアDから引き離されて車輪BBが窪み部Kj2を移動するとき、ブレーキシューKrがドアDを押圧する。
図24(a3)に示すように更に回転体Jが枢軸Oを軸に矢印1方向に回転して、車輪BBが渦線部Kj3に沿って移動するようになると、ブレーキシューKjはドアDから離れる。ドアDは制動解除されて、付勢手段Vの力でドアは全閉する。
ドアDがブレーキシューKrに制動される時間が長いほど好ましいが、一瞬であってもドアが止まればドアの慣性力は消失し、付勢手段Vにラッチを凹ませる力があればドアは全閉する。
全閉したドアDを矢印2方向に回転させると、車輪Bは摺動面Kw2に沿って移動し、同時に車輪の回転軸Ibも溝Hdに沿って移動する。リンクAが接続軸Cの周りを矢印2方向に回転して、回転体JがドアDに近づき、リンク装置は図24(a1)に示す初期状態に復帰する。
特許文献9のドアクローザはドアを回転させる力の大きさが全閉直前で小から大に切り替わるもので、小から大に切り替わる以前に減速すると、ドアが止まった場合に留まったままになり、小から大に切り替わった以後に減速すると、全閉する力を小さくして全閉しなくなる。小から大に切り替わる瞬間に減速することは困難である。
図16、図17に示す特許文献9の回転体Jを回すバネ或いは回転体Jを減速する場合を考えると、図16の滑り対偶のリンク装置も、図17の回り対偶のリンク装置も、一瞬でも回転体Jが停止するとドアクローザがドアの回転を止める構造であるので、ドアが突風を受けて高速回転した場合を想定して、ドアの回転に影響されずに回転体Jがゆっくりと回るように抵抗を調節したとき、ドアがゆっくりと回転する平常時において、著しく急停止することになる。
ドアを回転させる力の大きさが全閉直前で小から大に切り替わるとき、ドアが僅かに回転する間にドアクローザは大きく回転するので、ドアが僅かに回転する間の減速が長時間になり、長時間経過なければドアが全閉しないようになる。また一瞬でも回転体Jを減速することは、ドアを急停止させることになる。急停止の衝突をドアクローザが受け止めてドアクローザがドア枠から引き抜かれるようになり、好ましくない。
特許文献9のドアを減速する場合、ドアを回転させる力の大きさが小から大に切り替わる以前に減速することが望ましく、減速した後に小から大に切り替わって全閉することが望ましい。この場合ドアを回転させる力の大きさが即座に小から大に切り替わり、ドアが即座に全閉する。
図24の制動装置が図16、図17に示す特許文献9のドアを減速する場合は、図24(a)においてのドアDが、図16に示すドア枠に取付く回転体J或いは図17に示すドアに取付く回転体Jであって、図16、17に示す回転体Jに図24(a)に示す回転体Jを取り付けて、図16、17に示す回転体Jを図24に示す制動機構で、制動および制動解除する。
図24の制動装置はドアを付勢する手段と別の付勢手段Vで動作するので、ドアが止まった場合でも、一定時間経過後に抵抗は取り除かれ、抵抗が取り除かれると即座にドアは全閉する。また回転体Jの速度をドアの回転に影響されることなく調節することが出来る。
このように特許文献9のドアを回転させる回転体Jに油圧シリンダのように減速装置を取り付けた場合と、回転体Jを減速させる図24(a)のような減速装置を追加して、追加した減速装置に遅延装置を取り付ける場合とでは、減速の結果が異なる。
ドアクローザとドアの関係においてドアクローザがドアを動かすと同時にドアクローザもドアによって動かされるが、ドアクローザがドアに関係なく一定速度で回転すると、ドアが加速しようとしてもドアクローザがブレーキとして働く。
特許文献9のように全閉寸前から全閉時にかけての(い)の範囲で、ドアクローザがそれ以前の(あ)の範囲に比べて極端に大きな動作をする場合、一定速度のアクチュエータによって駆動すると、(い)の範囲でドアクローザが急激に低速回転しドアを減速する。
しかしながらドアが加速しても一定の速度を保つアクチュエータは、高速回転するドアクローザを制動する抵抗が必要であり、油圧シリンダなどの抵抗手段を取り付ける必要がある。油圧シリンダ内の粘性抵抗がドアが止まれば抵抗がなくなるものであっても、ドアの高速回転時に大きな抵抗であるためには、止まったドアを動かすときにも大きな抵抗となる。
一定速度のアクチュエータによって駆動する特許文献9のドアクローザは、(い)の範囲でドアクローザがドアを殆んど回転せずに大きく動作することからドアクローザを動かせるバネに遅延装置を取り付ければ、(い)の範囲で大きな動作も一瞬にして終了する欠点がなくなる。(あ)の範囲ではドアクローザの動作が小さく、油の粘性抵抗が小さくなる。
(い)の範囲ではドアクローザ大きく動作するので、比較的大きくない粘性抵抗でドアの回転によってドアクローザが高速回転しないようにできる。ドアを減速することも出来、またドアが止まったとしても小さな力で再び動き出すことになる。
しかしながら(い)の範囲で急激に大きな動作に切り替わることは、粘性抵抗をかけることによってドアが衝突時のように急停止することでもあり、これを緩和するために粘性抵抗を弱めると、ドアの回転に連動してドアクローザが高速回転することを阻止できなくなる。阻止できるように調節した当該比較的大きくない粘性抵抗は、急ブレーキになりすぎる。
特許文献9のドアクローザが粘性抵抗によってゆっくりと駆動するように、粘性抵抗を調節することは、通常のドアクローザの粘性抵抗を調節することに比べて困難になる。
図24(b)において回転体JはドアDに設けられる接続軸Cの周りに回転自在に軸支され、図24(b1)に示すようにトグルバネVVによって付勢され、ドアに設ける当りGdを押圧して静止している。ドアDの図示されない付勢手段Vによって枢軸Oを軸に矢印1方向に回転して、図24(b2)に示すようにトグルバネの軸芯線Zvvが接続軸Cを横切るまでは、回転体JとドアDは相対的に一体となって回転する。横切った後は、図24(b3)に示すように回転体Jは当りGdから離れて、接続軸Cの周りを矢印1方向に回転する。
トグルバネの片方の取付軸は回転体Jに設ける支軸Sjに可動支持し、他方の取付軸はV型の金具Plを介して固定部Wに設けられる支軸Swに固定支持される。金具Plは枢軸Oと当接しない凹部Hを備え、トグルバネVVと金具Plを支軸Spで連結する。
支軸SjとSwとを通るトグルバネVVの軸芯線Zvvは、ドアDの回転に従い支軸Swを軸に回転するが、枢軸Oを横切るときにおいても、トグルバネVVも金具も枢軸Oに接触しない。
トグルバネは図示されない抵抗手段Rsによってゆっくりと伸縮するものとする。回転体Jに設けられる支軸Ibに車輪Bが装着され、車輪Bはドアが全閉する直前に固定部Wに設けられる摺動面Kに沿って移動する。摺動面Kは入口からK1、K2、K3に分別される。
トグルバネVVの軸芯線Zvv接続軸Cを横切ったとき、回転体Jが回転する間もなく当りGdから遠ざからないときは、車輪Bは摺動面K1に当接し「摺動面Kが車輪Bを押圧する力Fb」の作用線と接続軸Cとの間の距離Lfは大きい。回転体が大きく回転して当りGdから遠ざかるとき、車輪Bは摺動面K2に当接し、当該距離Lfは小さくなる。
押圧力Fbは回転体Jを接続軸Cを軸に矢印2方向に回転させる力であって、トグルバネVVによって矢印1方向に回転させる力に抵抗する。即ち全閉直前でドアの速度が速いほど、ドアは大きく減速される。
図24(b2)に示すように摺動面Kを固定部に設ける支軸Ikの周りに回転自在に軸支し、押しバネUkで支持すると、押圧力Fbによって押しバネが縮んで摺動面Kが回転すると、押圧力Fbの作用線は更に接続軸Cから遠ざかり、ドアを減速する力は大きくなる。
このようにトグルバネVVがゆっくりと伸縮する場合は、トグルバネが弱くても時間が経過すればドアの慣性力がなくなるので、リンクAが途中で止まっても止まったままにならない。車輪Bと摺動面Kは「ドアが減速されずに全閉する事態」を阻止するだけで、時間と共にドアを減速することになる。(以後、ドアが減速されずに全閉する事態を阻止する手段を全閉阻止手段と言う。)
トグルバネに減速手段Rsを取付けない場合で、バネが一瞬に伸縮し終える場合に、バネの強さを調節するだけで、ドアを減速しようとするとき、バネが弱い場合に車輪Bが途中で止まればドアも停止したままとなるが、途中で止まらないようにトグルバネVVを強くした場合は、一瞬にして回転体Jが回転し、車輪Bが摺動面Kを通り過ぎる。ドアDに衝突に似た衝撃を一瞬与えるだけの効果しかない。
トグルバネに減速手段Rsを取付けて、トグルバネVVの伸縮を如何に長時間延長するかが減速に不可欠となる。
回転体Jが矢印1方向に更に回転すると、押圧力Fbの力の作用線は接続軸Cを横切り、ドアDの矢印1方向の回転に抵抗がなくなる。車輪Bが摺動面K3に沿って移動するとき、回転体JはドアDを矢印1方向に強く回転させることになる。即ちトグルバネVVは全閉直前にドアを減速し、減速解除した後にドアを全閉する。全閉したドアDを開くとき車輪Bは摺動面K3に沿って移動し、回転体Jが当りGdに当接して静止する状態に復帰する。このように最後にドアを全閉するリンク装置は、ドアを開くと逆回転して初期状態に戻される。
減速手段はあくまで付勢方向の力と反対方向に力を作用させるものであって、主に抵抗である。ドアクローザにおいて抵抗を大きく作用させて減速しすぎるとドアを止めてしまうことになり、抵抗をかけたままでは止まったドアは再び動くことなく全閉せずに止まったままになる。また抵抗を小さくすると或いはドアを付勢する力を大きくすると、ドアは減速せずに大きな衝撃音とともに全閉する。
減速とはそもそも速度を減じることであって、最終的にはドアを止めてしまうものである。減速したままではなく減速後或いは停止後に、「ドアに作用する力」が大きくならなければ再びドアは動かない。ドアクローザは自動車のブレーキのように減速して止めてしまえばいいのではなく、止めてしまっても最後にはもう一度動き始めてドアを全閉しなければならない。
しかも、最後にドアを回転させるだけではなくラッチを凹ませる力が必要となり、それ以前より大きな力が必要となる。「ドアに作用する力」が大きく切り換わる動作が、ドアが止まった状態でも動き始めなければならない。
図24(b)に示すドアDは回転体Jが何時動き始めるとしても一旦動き始めると、減速して止まってしまったドアDに働く抵抗は必ず最後に取り除かれるので、ドアクローザが抵抗がなくなった状態で再びドアを動かすようになるが、ドアが停止するとドアクローザも止まってしまうようなドアと駆動部が連動するドアクローザでは、「ドアに作用する力」が大きく切り換わる動作を始動させる動作はドアが停止した状態では起こり得ない。
特許文献9のドアクローザは、ドアが止まった状態でも動き続けて全閉寸前に切換手段が働き、「ドアに作用する力」がドアを全閉する大きな力に切り換わるものであるが、小さな力から大きな力に切り換わる動作はドアを更に加速する動作であって、ドアを回転させる必要がなく、無負荷状態で一瞬に終了する動作である。
この一瞬に減速装置を作用させるタイミングを合わせることは困難である。またこの前後はドアとドアクローザが連動する範囲であって、減速してドアが止まると再び動き出さない範囲である。ドアとドアクローザが連動するドアクローザはゆっくり動くようにしても、「最後に自動的に解消されない減速手段」はドアを止めたままにするか減速しないかのどちらかとなる。
特許文献9のドアクローザをゆっくりと動かす場合は、特に切換範囲の動作が大きく、ドアが止まっても動き続ける切換範囲が一瞬ではなくなるようになる。長時間経過する間に減速装置が働いて一定時間が経過してから抵抗が働かないようにすれば、ドアが切換範囲内で減速されて再び動き出すようになる場合もあるが、減速しても減速しきれないままドアが全閉する場合があり、全閉阻止手段が施されなければならなくなる。
図24(b)のようにドアクローザを回転させるバネとは別のトグルバネで動く減速装置は、全閉阻止手段も兼ね備えて、しかも減速するタイミングを切換範囲内に限らなくてもよいものである。減速装置を取り付けて特許文献9のドアクローザをゆっくりと動かすようにするよりも、ゆっくりと動く減速装置をドアクローザとは別に取り付ける方が好ましい。
図24(c)において、回転体Jは固定部Wに設けられる回転軸Qの周りに回転自在に軸支され、トグルバネVVに付勢され、図24(c1)に示す初期状態において固定部Wに設けられる当りGjに当接して待機している。ドアDが図示されない付勢手段Vによって枢軸Oを軸に矢印1方向に回転すると、ドアDの所定の開度でドアDに設けられる爪D1が回転体Jに設けられる摺動面K1に沿って移動し、回転体Jを回転軸Qの周りに矢印1方向に回転させる。
図24(c2)に示すようにトグルバネVVが回転軸Qを横切るようになると、回転体Jはトグルバネによって、矢印1方向に回転するようになる。
ドアDの所定の開度で回転体Jが回転し始めるとき、図24(a)(c)の場合は、回転体JはトグルバネVVで回転方向と逆方向に強く付勢されて待機しており、ドアDは所定の開度で回転体Jを強く回転させる力がなければ、ドアDは所定の開度で止まったままになって再び動かない。図24(b)の場合は所定の開度で回転体Jを回転させる特別な力を必要としない。
リンクAは回転体Jに設けられる接続軸Cの周りに回転自在に軸支され、押しバネUaに付勢され、図24(c4)に示すように、回転体Jに設けられる当りGaを押圧した状態で待機する。
リンクAの先端部に設けられる支軸Ibに車輪Bが装着され、図24(c1)に示すように回転体JがドアDの爪D1によって回転し始めるとき、車輪BはドアDに設けられる摺動面Kd1と接触するようにされ、摺動面Kdが車輪Bを押圧する力Fbの作用線が回転軸Qを通るときを境にして、回転体JがドアDの回転に遅れて回転し始めるときは、力Fbの作用線は「回転体Jが回転軸Qの周りを矢印2方向に回転させる側」にあって、ドアの回転より早く回転し始めたときは、矢印1方向に回転する側にある。
ドアが速く回転するときはドアを開く方向の力が作用するようになり、ドアDが遅く回転し、回転体Jが回転し始めるときは回転体Jは一瞬にして矢印1方向の回転を終了し、ドアDを減速しない。
図24(c)に示す減速装置に、回転体Jの回転を遅延する図示されない抵抗手段Rsが取付いているとして、回転体Jがゆっくり回転するものとすれば、ドアDの回転速度に応じて回転体Jは、ドアDを開く力を作用させながら、摺動面Kに抵抗するときと抵抗しないときとがある。
回転体Jが回転軸Qの周りを回転して、押圧力Fdの作用線が横切るときを境にして、横切る以前は回転体JがドアDを開く方向に回転させ、以後はドアDが回転体Jを回転させ回転体JがドアDに抵抗しない。
ドアDの回転が回転体Jの始動より早い場合は、図24(c1)に示すように状態が長時間継続しドアDを減速するが、遅い場合は図24(c2)に示すようにドアを減速しない状態に短時間で移動する。
押しバネUaが縮むことによって、ドアDを開く方向の力が作用してもドアDは開かない。ドアが突風を受けて強力に押しバネUaを縮ます場合を除いて、トグルバネVVは押しバネUaの反対方向の力に打ち勝って回転するが、ドアが高速回転して慣性力が大きいほど力不足となって、回転体Jはよりゆっくりと回転する。
車輪Bは押圧力Fdが働く方向と略直角に摺動面Kdに沿って移動するので、ドアDに大きく抵抗するが、小さな力で移動し続けることが出来る。ドアDによって押圧力Fdが如何に大きくても、ドアDに止められることも回されることもなく、回転体JはドアDによって回転速度が変化することなく所定の速度で回転する。
全閉したドアを開くとき、ドアを閉止方向に付勢する力Vと、減速装置を運転し続ける力VVとの和を開く方向に作用させる必要があるが、ドアDと回転体Jを連結する部分において、例えば図24(c)において、車輪Bがドアによる力Fbの作用方向と直角に移動する場合は、当該運転し続けるために必要な力VVは小さくて済み、ドアを開くときに必要な力は小さくなる。
図24(c3)において回転体Jが更に矢印1方向に回転して、車輪BがドアDの爪D1を押圧するようになると、ドアDを減速するためのトグルバネVVの力でドアを全閉することになる。図24のドアクローザは、ドアの減速装置が途中でドアを全閉する装置に切り換わるドアクローザであって、ドアを回転させる装置を減速する通常のドアクローザと異なる。
図24のドアクローザは、図24(c1)から(c2)の途中の過程において、押圧力Fdが回転軸Qの方向に働き、車輪Bが枢軸Oの方向に移動するような状態は、ドアDの大きな力でもドアクローザが回転し難い構造であり、ドアを開くときに小さな力で容易に開くことが出来るようになる。
通常のドアクローザでもゆっくりと回転することによって、ドアをゆっくりと閉止方向に回転させると同時にドアを減速するが、通常のドアクローザは図24のドアクローザの図24(c1)から(c2)の途中の過程においてのように、ドアDの大きな力でもドアクローザが回転し難い構造となることはなく、図24(c3)に示すように、車輪B1が摺動面Kの枢軸Oに近い部分の摺動面Kd2に押圧されるようになり、ドアDの大きな力でドアクローザが回転する構造となり、回転体Jが回されないように大きな抵抗するものである。
通常のドアクローザがドアを開くときに重たく感じられるのは、ドアがドアクローザを小さな力で回転させることが出来る構造であるからである。
図24(c3)に示すように、車輪Bが爪D1を押圧することによって、ドアDを回転させる場合、車輪B1がドアDの枢軸Oに近い部分を押圧するようになり、力の働く方向は枢軸Oを中心とするドアDの円運動、或いは回転軸Qを中心とする回転体Jの回転体の円運動の略接線方向であって、車輪Bの移動方向と略一致する。この状態ではドアを全閉するために押圧力Fdが大きくなければならない。またドアの小さい力で回転体Jが回されるようになる。
しかしながら、ドアの小さい力で回転体Jが回されるようになる方が、全閉したドアを容易に開くことが出来る。
図24(c3)に示す状態から、車輪Bが回転軸Qを中心に矢印1方向に公転して、車輪Bが爪D1の周りを公転すると、力押圧力Fdの働く方向は枢軸Oを中心とするドアDの円運動、或いは回転軸Qを中心とする回転体Jの回転体の円運動の略半径方向に移行し、車輪Bの移動方向と略直角になる。小さな押圧力Fdでドアを全閉し、ドアのおおきな力でも回転体Jが回されないようになる。
小さな押圧力Fdがドアに大きく作用してドアを全閉する場合も、大きな押圧力Fdがドアに小さく作用してドアを全閉する場合も、全閉したドアに作用する力は同じであり、全閉したドアを開く力も同じである。図24(c3)に示すような場合でも、バネを強くすれば、ドアを全閉することが出来、全閉したドアを開く力は同じである。大きな力がドアに小さく作用してドアを全閉する方が、全閉したドアを容易に開くことが出来る。
図16、図17で説明したように、(い)の範囲で小さな力でドアに大きな力で作用する特許文献9のドアクローザは、ゆっくりと回転するだけで減速効果を発揮する。図16において車輪Bが加速側摺動面Kwと減速側摺動面Kddの間の溝を通過する場合においても、図24(c1)に示すように同一摺動面がドアを減速する摺動面Kd1とドアDによって回転体Jが回転する摺動面Kd2とを備える場合においても、明確にドアを回転する力が働く状態からドアを開く力が働く状態に切り換わるが、バネが緩むことなく図16の場合に車輪Bが加速側摺動面Kwを押圧し続ける場合や、図24(c3)のように車輪Bが爪D1を押圧し続ける場合のように、ドアに作用する力の方向が切り替わらない場合は減速は認められない。即ちバネが緩むことがなくても、バネの伸縮を抑制して縮んだ状態と同じ状態にしなければ、バネで動くドアは減速できない。
図24(c3)(c4)は全閉したドアを開いて初期状態にする動作説明図で、図24(c1)に示すように爪D1が摺動面K1を押圧して回転体Jが回転軸Qの周りを矢印1方向に回転した時点で、爪D1は摺動面K1とK2との間に挟まれる領域内に含まれ、領域外に出ることはなくなる。
図24(c3)に示すように爪D1が摺動面K2に沿って移動して、回転体Jが回転軸Qの周りを矢印2方向に回転すると、図24(c4)に示すように回転体Jが当りGjに当接する初期状態に戻り、リンクAは車輪BがドアDから離れると同時に、押しバネUaの付勢によって当りGaに当接して静止する。
このように図24の装置のように、ドアやドアクローザと無関係に働き続ける遅延装置が、(い)の範囲で全閉する或いは(あ)の範囲でドアを回転させる場合は、減速して途中で止まっても動き続けるが、減速装置とドアクローザが同じバネで動く場合は、減速して途中で止まれば止まったままで動かなくなる。
図24の減速装置は減速装置がドアを直接減速する場合も、ドアクローザを減速してドアを間接的に減速する場合でも、ドアに作用した抵抗が最終的に取り除かれる。減速装置とドアクローザが同じバネで働く場合は、ドアが止まっても抵抗がかかり続ける。空気や油の粘性抵抗はドアが止まった時点で消えてなくなるものではあるが、強く働くようにすると消滅するまでの時間がかかり過ぎて、長時間抵抗がかかったまま取り除かれない状態が続く。
図24の減速装置においても、減速するドアの回転範囲を(い)の範囲に限ってドアの回転を伴わない急激な減速をすると、衝突と同じ衝撃を受けることになる。この衝撃をドアの枢軸から遠い位置にある戸当りで受け止めるのではなく、ドアの枢軸に近い位置にあるドアクローザで受け止めることは、ドアに取付く慣性力をテコの原理でより強くドアクローザの取付部に働いて、ドア枠を損傷させる結果につながる。
このような事態を避けるためには減速装置がより大きなドアの回転範囲で働く必要があり、減速装置の動作速度を遅くするよりも、動作時間を延長することが重要となる。図24の減速装置は減速力を大きく働かすものではなく、長時間運動し続ける装置でもあればよいことになる。
図25は移動体Jが移動の途中で始動する減速装置、或いは回転体Jが回転の途中での始動する減速装置についての動作説明図である。移動体Jは図25(a)において軌道Xに沿って矢印1方向に移動し、図25(b)(c)(d)において枢軸Oを軸に矢印1方向に回転する。「移動体J或いは回転体Jが移動或いは回転をする。」を「移動体Jが移動する。」と言うことにする。
図25(a1)(b1)(c1)(d1)は移動体Jが移動を始めるときの状態図、移動体Jには最大静止摩擦力を上回る引きバネVの付勢力が作用し、移動体Jの位置がどこにあっても、動き始める。図25(a2)(b2)(c2)(d2)は移動体Jを制動或いは減速し始めるときの状態図で、減速装置が始動する。図25(a3)(b3)(c3)(d3)は、移動体Jが停止した後に再び動き始めるときの状態図で、自動的に減速装置は解除される。
図25(a)(b)(c)(d)は全て減速手段Rsを備える。減速手段RsのロッドPrはピストンPsを貫通し、「ロッドPrがピストンPsを貫通する穴Ph」を塞ぐ逆止弁PdがロッドPrの末端部に取付き、ピストンPsが図中矢印1方向に移動することによって穴Phが塞がれ、管内部Po1の空気が減圧される。管内部Po1の空気が少しづつ管外部Po2に漏れ出すことによってピストンPsはゆっくりと矢印1方向に移動する。
図25(a1)(b1)において移動体Jが移動を始めるとき、押しバネUは縮んでいない。図25(a2)(b2)に示すように、移動体Jが移動して押しバネUが縮み始めると、減速装置が始動する。
図25(a2)は回転体JJを介して、図25(b2)は回転体JJを介さず、移動体JとピストンPsとが相対的に一体になり、ピストンPsがゆっくりと移動することによって抵抗を受ける状態を示す。
移動体Jの移動が押しバネUを介してロッドPrに伝わり、ピストンPsが移動して移動体Jが減速される。同時に押しバネUに復元力が備蓄される。移動体Jが高速回転すると、押しバネUが大きく縮んで押しバネUに復元力が大きく備蓄され、移動体Jが大きく減速される。移動体Jが減速されると、押しバネUが小さく縮んで押しバネUに復元力が小さく備蓄され、移動体Jが小さく減速される。
縮んだ押しバネUが緩み始めても、緩み切って復元力がなくなるまでピストンPsがゆっくり移動し続けるので、移動体Jが減速されるが、移動体Jが何らかの理由で停止すると、縮んだ押しバネUが緩んで復元力が次第になくなり、ピストンPsが次第に抵抗を受けなくなって、図25(a3)(b3)に示すように、停止した移動体Jが長時間経過した後では、必ず再び動き始める。
図25(c)(d)において移動体Jの移動が回転体JJを介してロッドPrに伝わり、ピストンPsが移動する。回転体JJの回転軸は図25(b)において回転体Jに設けられる接続軸Cであって、図25(c)(d)において固定部Wに設けられる枢軸OOである。図25(c1)(d1)において移動体Jが移動を始めるとき、押しバネUは縮んでいて押しバネUに復元力が備蓄されている。
図25(c)(d)において回転体Jは「外縁部の形状が枢軸Oを中心とする円弧である摺動面Kj」を備え、回転体JJは「摺動面Kjと対面する摺動面Kjj」を備える。回転体JJは押しバネUによって枢軸OOを軸に矢印1方向に付勢されるが、図25(c1)(d1)に示すように摺動面Kjが摺動面Kjjに沿って移動するとき回転体JJの回転は阻止され、図25(c2)(d2)に示すように摺動面Kjが摺動面Kjjから離脱するとき、回転体JJの回転阻止は解除される。
図25(c2)において当りGjを介して回転体Jと回転体JJとが相対的に一体になり、ピストンPsがゆっくりと移動することによって回転体Jが抵抗を受ける。図25(d2)において回転体JはピストンPsの抵抗を受けるのではなく摩擦面Kgによる摩擦抵抗を当りGjが受けて減速する。
図25(d)において回転体Jgは摺動面Kを備え、摺動面Kは枢軸OOを中心とする円弧部分K1と円弧の接線方向の直線部K2とを備える。回転体JJに装着された車輪Bが円弧部分K1に沿って移動するとき、回転体Jgは固定部Wに設けた当りGgに当接したまま静止する。図25(d1)において回転体Jは回転体Jgに設けられる摩擦面Kgと離れて回転し、図25(d2)において当りGjを介して回転体Jと回転体JJとが相対的に一体になるとき、回転体Jに設けられる当りGjが静止する摩擦面Kgに押圧されて抵抗を受ける。
回転体Jと回転体JJとが相対的に一体になり、ピストンPsがゆっくりと移動することによって回転体JJがゆっくりと回転し車輪Bがゆっくりと移動する。所定の時間が経過した後に車輪Bが直線部分K2に沿って移動するとき回転体Jgは支軸Ojを中心に矢印1と反対方向に回転して、回転体Jに設けた当りGjが摩擦面Kgから離れる。回転体Jは抵抗を受けずに再び回転し始める。
回転体Jを減速する手段として摩擦を採用することは、場合によって効果が一定しないので好ましくないが、図25(d)においては摩擦抵抗によって回転体Jが止まるまで減速されて、しかも回転体Jから摩擦抵抗を取り除く装置のスイッチが回転体Jが摩擦抵抗を受ける以前に起動し、回転体Jが停止した後に抵抗を取り除く作業が始まるようにすれば、回転体Jは減速手段に摩擦抵抗を採用しても減速されて、しかも全閉以前に止まったままにならないようになる。
回転体Jが移動或いは回転して図25(a)(b)においては回転体Jが押しバネUを押圧するまで、図25(c)においては回転体Jに設けた当りGjが回転体JJに当接するまで、回転体Jは抵抗を受けず減速されない。図25(d)においては回転体Jに設けた当りGjが回転体Jgに設けた摩擦面Kgに沿って摺動するまで、回転体Jは抵抗を受けず減速されない。減速は所定の位置から始められる。
図25(a3)(b3)(c3)(d3)は移動体J或いは回転体Jが減速されて停止した状態を示し、ピストンPsが移動し続けることによって回転体Jは抵抗を受けずに動き始めることが出来るようになる。
制動或いは減速装置は図25(a)(b)において移動体Jが所定の速度以上で作用し、以下で作用しない。図25(c)(d)において移動体Jの運動によって作用し始めるが、移動体Jの運動と全く無関係に所定の時間が経過した後に作用しない状態になる。
図25(c)(d)において、所定の時間が経過しても移動体J或いは回転体Jが停止せず、移動体J或いは回転体Jが減速途中で加速が始まる場合、軌道Xの終点での移動体Jの速度は一定しない。移動体Jが所定の時間が経過する以前に停止する場合は、移動体Jが止まった位置から終点までの間で速度ゼロから加速するので、終点での移動体Jの速度を一定範囲内に収めることが出来る。ドアが静かに閉まるためには全閉直前で一旦停止するkとが望ましい。
図26はバネの伸縮が一瞬で終わらないように、油や空気の粘性抵抗を含めて摩擦抵抗による減速ではなく、加速と減速を繰り返すだけで伸縮の所要時間を長くする減速機構の説明図である。
摩擦によって減速する手段は、常に一定の減速効果を得ることが難しいだけではなく、静止摩擦力に比べて運動摩擦力が小さいため、減速装置が止まった時の再始動が難しく、殆んど減速しないか、止まったままになるかのどちらかになりやすい。加速と減速或いは加速と停止を繰り返す減速装置は、止まった時の再始動が比較的容易であり、減速効果は油や空気の粘性抵抗と同様に一定の効果を得ることが出来る。
リンクAは固定部Wに設けられる固定支軸Swの周りに回転自在に軸支される。リンクAには接続軸Cと接続軸CCとが設けられ、それぞれの周りにプレートPとプレートPPとが回転自在に軸支される。プレートPの外縁部に設けられる複数個の支軸I(I1,I2,I3,I4)にはそれぞれ車輪B(B1, B2,B3,B4)が装着される。また摺動面Ka,Kbは固定部Wに設けられ、摺動面Kaと摺動面Kbとの間に設けられる溝Kcを、車輪Bが辛うじて通過する。
接続軸Cを軸の周りに糸巻きQQが取り付けられ、プレートPに固着される。糸Q1は片方の端部を糸巻きQQに設けられる取付軸Sqに取付け、糸巻きQQの周りを図中矢印q1と反対方向に巻きつけて、他方の端部をプレートPPに設けられる取付軸Sq1に取付ける。同様に、糸Q2は片方の端部を取付軸Sqに取付け、糸巻きQQの周りを図中矢印q1方向に巻きつけて、他方の端部をプレートPPに設けられる取付軸Sq2に取付ける。引きバネV1は片方の端部をプレートPPに設けられる取付軸Spに取付け、他方の端部をリンクAに設けられる取付軸Saに取付ける。引きバネV1はプレートPPを図中矢印p1方向に、プレートPを図中矢印q1方向に回転するように付勢する。
図26(c)に示すように、車輪B1が出口Kc2から出て溝Kcから離脱するとき、後続の車輪B2はまさに入口Kc1に侵入しようとする位置にあって、溝Kcの外を通過することがないようにしている。
更に、リンクAは4つの車輪Bの何れもが摺動面Kaを押圧するように、押しバネUによって付勢される。押しバネUの片方の支軸はリンクAに他方の支軸は固定部Wに軸支される。
図26(c)に示すように、プレートPPが図中矢印p1と反対方向に回転したとき糸Q1は糸巻きQQに巻きつき糸Q2は解けて、プレートPは接続軸Cを軸に図中矢印q1と反対方向に回転する。このとき、引きバネV1は引き延ばされる。引きバネV1が縮むと、プレートPPが図中矢印p1方向に回転し、プレートPは図中矢印q1方向に回転する。
糸巻きQQの半径の大きさを、接続軸CCを中心とする支軸Sq1の公転半径に比べて非常に小さくしているので、プレートPPが固定支軸Swを軸に僅かに揺動したとき、プレートPは接続軸Cを軸に数回転する。プレートPPの回転を複数の歯車に用いて減速する場合は装置を小型化できるが、速比に伴う摩擦抵抗が大きい。
摺動面Kaは「接続軸Cが固定支軸Swの周りに円運動する円軌道」の接線方向と略平行な平面、或いは図26(b)に示すように「接続軸Cと支軸Ibとを通る直線」と交差する角度Θkjが僅かに鈍角である平面であって、図26(a)〜(b)に示すように車輪B1が入口Ka1から侵入して摺動面Kaに沿って移動するとき、接続軸Cは摺動面Kaから遠ざかる方向(接続軸CCを軸に矢印1方向)に移動するようにしている。図26(b)は摺動面Kaから最も遠ざかるときの状態図である。
図26(b)に示すように車輪B1が出口Ka2から離脱しようとするときは、車輪B2が入り口Ka1に侵入しようとするときで、車輪B1は押しバネUによって出口Ka2と接触しながら摺動面Kaに近づく方向に移動する。車輪B1とB2とが同時に摺動面Kaに接触するときは接続軸Cが摺動面Kaに最も近づくときの状態図である。
摺動面Kbの形状を「固定支軸Swを中心とする円Rccの一部」にすることによって、図26(a)に示すように車輪B2が摺動面Kbに沿って摺動するときプレートPが回転しないようになる。接続軸Cが摺動面Kaに近づく方向に移動するとき、プレートPは回転せず、引きバネV1は伸縮しない。接続軸Cが摺動面Kaから遠ざかる方向に移動するとき引きバネV1は伸縮し、プレートPが回転して押しバネUに力を貯める。このようにして接続軸CはプレートPが1回転する間に、装着される車輪Bの数だけ往復運動をして、リンクAは固定支軸Swを軸に遥動する。
接続軸Cの速度は運動方向が逆転する位置でゼロになる。リンクAの往復振り子運動においても、プレートPが回転と停止を交互に繰り返す運動においても、静慣性と動慣性が交互に作用し、その結果、バネは一気に伸縮するのではなく、伸縮途中で数回停止或いは減速する。
プレートPPの回転角が僅かであってもプレートPは数回転し、プレートPが急速に回っても運動継続時間が長くなる。運動継続時間の長さは糸を糸巻きに如何に多く巻きつけるかで決まる。
図26(d)(e)は移動体の速度vと時間tの関係を表し、速度vを縦軸に時間tを横軸に表す。三角形の面積SAは移動距離Lsである。高さが高く底辺が短い三角形の斜辺S1は摩擦が小さい摩擦面を下降する移動体について、高さが低く底辺が長い三角形の斜辺S2は摩擦が大きい摩擦面を下降する移動体について、波形の曲線SS2は接続軸CCを中心に円運動する支軸Sq1について、速度vと時間tの関係を表す。
斜辺S1、斜辺S2、曲線SS2について、それぞれの速度の積分値は同じで、移動距離は同じとする。坂道が摩擦面であるときもないときも加速の一途をたどるが、位置エネルギが運動エネルギに替わるとき摩擦で失われる分だけ速度は遅くなる。移動距離即ち面積が同じならば、高さが低いほど底辺は長くなる。加速しないほど所要時間が大きく、ゆっくりと坂道を下降する。
連なる複数個の三角波形S3の速度の積分値が同じとする場合、支軸Sq1は加速と停止を繰り返すことによって、所要時間は更に大きくなることを意味している。
図26(e)において途切れて連なる複数個の三角波形S3は停止と移動を繰り返す移動体が長く停止する場合を示し、長く停止する時間だけ所要時間は更に大きくなる。
支軸Sq1は加速と減速を繰り返しながら次第に速度を大きくするが、所要時間は長くなり摩擦が大きい坂道を下降する場合と同じになる。斜辺S1を中心に振幅する曲線SS1は振幅が小さく、一瞬で終わる移動であればあるほど、速度が加速と減速を大きく繰り返すようにできない。大きく加速と減速を繰り返すほど、移動は一瞬で終わらなくなり、プレートPPの回転継続時間が長くなる。
横軸の時間軸Tを中心に振幅する曲線SS3は、時計の振り子のように往復運動する移動体の速度vと時間tの関係を表す。移動距離即ち速度の積分値がゼロで、往路と復路の折り返し地点では運動方向が逆転し速度がゼロになる。速度がゼロになる以前は加速し、以後は減速する。このように速度変化は大きくなるほど一瞬の時間内に収まることはなく、バネの伸縮に時間がかかるようになり、プレートPPの回転継続時間が長くなる。
プレートPPの回転継続時間が短い場合、全閉寸前から全閉までの僅かな回転範囲に限って減速する。或いは、ドア或いはドアクローザの運転が休止する時間を設けるなどが可能となる。プレートPPの回転継続時間が、ドアが全開位置から全閉位置まで回転するに要する時間以上であれば、プレートPPをドアに直接連動させて、ドアをゆっくりと回転させることが出来るが、ドアが止まると止まったままになる欠点があり、またドアの重量によって引きバネVの強さを変える必要があり、突風を受けるなどの想定外の力がドアに作用したときに対処できない。
プレートPPを図1,2に示した移動体JJと連動させて、ドアを別個のアクチュエータで回転させるとき、ドアの重量が異なっても、想定外の力でドアが回転しても、全ゆるドアがプレートPPの所定の運動に従うようになる。
図27は長時間運動し続ける装置の実施例で、筒P1内に収容される複数の鋼球Bが止まることなく落下し続けて筒P1外に放出され、位置エネルギを一瞬に失うのではなく、鋼球Bが移動と停止を交互に繰り返して徐々に落下するものである。
図27(a)において鋼球B1〜5は質量を持つ粒体であって入口P0から投入され、鋼球B1〜4は筒P1内に収容されるが、B5は筒P1内に収容しきれず筒P2を通って受け台J1に直接積載される。受け台J1、J2はそれぞれU1、U2によって回転軸Q1、Q2の周りに矢印2方向に付勢され、矢印2方向の回転は当りG1、G2によって制限される。
受け台J1は回転軸Q1を中心とする円弧の摺動面K1を備え、摺動面K1に鋼球Bが通過する穴H1が連続する。図27(a)に破線で示すように、引きバネV1の力は受け台J1に鋼球Bが積載されないときに、受け台J1が当りG1を押圧して静止する大きさであるが、図27(b)に示すように、鋼球Bの重量によって受け台J1が回転軸Q1を軸に矢印1方向に回転するような大きさである。
図27(a)に示すように鋼球B5の重量によって受け台J1が回転軸Q1を軸に矢印1方向に回転し始めると、摺動面K1は鋼球Bに沿って移動し、出口P3を塞ぐ。鋼球B1が出口P3から脱出しようとして摺動面K1を強く押圧しても、摺動面K1は弱い力で鋼球Bに沿って移動できる。
図27(b)に示すように、鋼球B5が受け台J1からJ2にこぼれ落ちると、図27(c)に示すように受け台J1は回転軸Q1を軸に矢印2方向に回転し、当りG1に当接したときは出口P3が開く。鋼球B4が穴H1を通って受け台J1に載り、受け台J1が矢印1方向に回転し始める。このようにして受け台J1が図27(b)に示す位置と図27(c)に示す位置の間を往復する毎に、鋼球Bが一個づつ筒P1から排出され、装置の運動継続時間が延長される。
図27(a)は所定の数の鋼球Bが筒P1に充填されるまでは出口P3は塞がれる状態を示す。当りG3によって受け台J1を少し落下させた状態で静止させ、出口P3を塞ぐ。当りG3は、鋼球B5が受け台J1に載って受け台J1が回転したときに外れ、以後、外れたままとなるようにしている。
図27(d)に示すように、受け台J2に所定の数の鋼球Bが積載されたとき、「回転軸Q2の周りの矢印1方向の回転モーメント」が引きバネV2の付勢に打ち勝って、受け台J2が回転軸Q2の周りに矢印1方向に回転し始める。受け台J2が回転するに従い引きバネV2の軸芯線Zvが回転軸Q2に近き、更に回転し易いようになる。複数の鋼球の重力による大きな回転力は当りG3が外れてから長時間経過して発生し、仕事のスイッチを入れてから長時間経過して発生し大きな力で動く仕事が始まる。
ドアが回転している間に抵抗を作用させて、或いは加速したまま全閉しないように全閉直前でドアを一旦停止させる装置が働き始めて、減速した後にドアが停止していても長時間経過した後で抵抗を取り除く、或いは一旦停止を解除するようにできる。またドアが回転している間に、ドアを全閉する装置のスイッチが入り、長時間経過してドアが停止しても、ドアを全閉する仕事を始めるようにすることも出来る。
空気や油の粘性抵抗はドアが高速に回転すればするほど勝手に大きくなり、ドアが止まってしまうと消滅して、ドアが止まったとき抵抗のない状態で再び動き出すようになる。空気や油の粘性抵抗を用いてゆっくりと動くドアクローザは閉止途中で止まったままになることはなく、ドアは何時かは再び動き出し何時かは全閉する。
空気や油の粘性抵抗以外の手段、例えば摩擦抵抗は、ドアが止まったときに勝手に消滅するものではなく、ドアが止まったままでも抵抗は作用し続ける。ドアが止まったままでも、作用し続ける抵抗を取り除く仕事を始めなければ、或いは作用し続ける抵抗よりドアを付勢する力が大きくする仕事を始めなければ、ドアは再び動き出すようにならない。
図27の装置は、長時間経過したのちに一定の作業を開始するように大きな力が働くようにする装置であって、弱い力で長時間に亘って運動が継続するようにしたものである。長時間に亘って大きな力が働かないように、弱い力で大きな力を支持する装置であって、大きな力が働く方向と略直角方向に小さな力で移動することを特徴としている。
例えば、摺動面K1は鋼球B1が出口P3から脱出しようとする力を支持しても、弱い力で移動できる。引きバネV1、V2が弱けれれば、減速装置を小さな力でリセット出来る。全閉したドアを開くときに、ドアを閉止方向に回転させる力と、減速装置を運転させる力を蓄える必要があるが、図27の装置は後者が小さいだけに、全閉したドアを開くときに大きな力を必要としない。
図28はバネVによって付勢された「図示されないスライダJk」が断続的に移動する装置の実施例で、バネVの歪エネルギは一瞬ではなく徐々に失われ、スライダJkの加速は小さく、スライダJkは長時間にわたって移動し続ける。
回転軸QはスライダJkに設けられ、回転軸Qの周りにリンクAが揺動自在に軸支され、リンクAの先端部に車輪Bが装着され、車輪Bは固定部Wに設けられる摺動面K1〜K5に沿って移動し、左右に揺動しながら1方向に移動する。スライダJkは図示されない付勢手段Vによって付勢され、固定部Wに設けられる軌道Xに沿って矢印1方向に移動する。
図28(a)は特許文献3図33に記載する「バネの伸縮を遅延させる装置」の動作説明図である。図28(a)において実線で示される車輪B5は、摺動面K1とK2との間に挟まれる通路を摺動面K2に沿って移動する。リンクAの軸芯線Zaと摺動面Kとの交差角度Θakは車輪Bの移動と共に増加し、車輪Bが摺動面K2の先端部KK2に近づくとき、交差角度Θakは直角に近づく。
車輪Bが摺動面K2に当接したときの車輪Bの位置をB4に示し、回転軸Qの位置をQ4に示す。車輪Bが先端部KK2の周りを公転し始める位置をB5に示し、そのときの回転軸Qの位置をQ5に示す。軌道X上に示される回転軸Q4とQ5との間の距離u2は、車輪Bが摺動面K2に沿って軌道Xと交差する方向に移動するときの回転軸Qの移動距離である。また軌道X上に示される回転軸Q5とQ7との間の距離v2は、車輪Bが軌道X方向に大きく移動するときの回転軸Qの移動距離である。
前の摺動面と後の摺動面との間隔は、例えば摺動面K1とK2との間隔、車輪Bの直径以上の幅員が必要であるから、距離v2は移動距離u2に比べて大きい。このように車輪BがリンクAを介して回転軸Qに牽引されて蛇行しながら矢印1方向に移動するとき、車輪Bが左右に方向転換するとき、回転軸Qは軌道Xに沿って大きく移動する。
車輪Bの軌道Xに直角方向の速度はゼロになるが、軌道X方向の速度は大きく、スライダJkを付勢するバネVは一瞬にして伸縮する。また、バネVの歪エネルギはすべてが運動エネルギに変換され、スライダJKは大きく加速する。摺動面Kによって車輪Bの移動が阻止されない範囲の加速は大きく、車輪Bは摺動面K1からK5まで短時間で移動する。
図28(b1〜4)において摺動面K1〜K5はそれぞれ、固定部Wに設けられる支軸Ik1〜Ik5の周りに回転自在に軸支され、押しバネU1〜U5によって付勢され、当りG1〜G5と当接する。前の摺動面Kと後ろの摺動面Kとの間隔は、例えば摺動面K1とK2との間隔は車輪Bの直径の略半分である。
図28(b2)に示すようにスライダJkは引きバネVによって付勢され、固定部Wに設けられる軌道Xに沿って矢印1方向に移動する。車輪BはリンクAを介してスライダJkに設けられる回転軸Qに牽引される。
図28(b1)に破線で示すように、車輪Bが摺動面K1上の先端部KK1から遠い位置にあるとき、交差角度Θakは鋭角であって、交差角度Θakが直角に近づきながら車輪Bが支軸Ik1から遠ざかる。支軸Ik1の周りの回転モーメントが増加し、摺動面K1は押しバネU1を縮めながら支軸Ik1の周りを矢印1方向に回転する。破線で示される車輪B3は、摺動面K1から摺動面K2上に乗り移った状態を示している。軌道X上に示されるQ0とQ3の間の距離は、車輪B1が摺動面K1上を移動するとき回転軸Qの移動距離であって、車輪Bの直径の略半分である。同様に車輪B3が摺動面K1からK2に移動するときの回転軸Qの移動距離も、車輪Bの直径の略半分である。
図28(b2)は車輪B3が運動エネルギを得て摺動面K2上を往復して、先端部KK1に当接する状態を示す。車輪Bを軌道Xに直角方向に移動させる力は、軌道X方向に働く力に比べて大きくないので、車輪B3が小さな動慣性力で「スライダJkを付勢する引きバネV」を引き延ばしながら摺動面K2上を移動し支軸Ik2に近づく。摺動面K1は押しバネU1の復元力で、当りG1に当接して復元する。
図28(b3)は摺動面K2が押しバネU2を縮めながら支軸Ik2の周りを矢印1方向に回転する状態を示し、図28(b4)は押しバネU2の復元力で摺動面K2が支軸Ik2の周りに矢印2方向に回転することと、摺動面K3が支軸Ik3の周りに矢印1方向に回転することとによって、摺動面K3に乗り移った車輪B5が先端部KK2に沿って移動し、破線で示される車輪B6の位置に移動する状態を示す。
このように図28(b)においては図28(a)においてのように、車輪Bが左右に方向転換するとき抵抗を受けずに軌道Xと平行の方向に大きく移動するようなことはなく、車輪Bの移動に押しバネUの伸縮を伴う。また車輪Bが次の摺動面Kに乗り移った瞬間は押しバネUが縮み始めるときで、回転軸Qは停止している。回転軸Qは押しバネU1からU5まで順次縮むたびに移動し、停止と移動を交互に繰り返す。図26の速度経過と時間の関係を示すグラフにおいて、不連続な三角波形であって運動継続時間も長く、また三角波の面積の和で示される移動距離も小さい。
図29はスライダJkが長時間移動し続ける装置の実施例で、バネが一瞬にして伸縮し終わることなく、伸縮途中で複数回停止することによって徐々に伸縮するようにするものであり、ドアを付勢するバネの歪エネルギの全てを運動エネルギに変換しないようにして運動が長時間継続するようにしたものである。
スライダJkは付勢手段Vによって付勢され、固定部Wに設けられる軌道Xに沿って矢印1方向に移動し、スライダJkに支軸Q、QQが設けられ、それぞれの周りにリンクA、AAが回転自在に軸支される。リンクA、AAの先端部に支軸I、IIが設けられ、それぞれに車輪B、BBが装着される。摺動面K1、K2、K3・・・は同じ大きさで同じ形状の円弧の摺動面Kであって、軌道Xに沿って等分に配される。
押しバネU、UUはそれぞれ車輪B、BBを軌道Xに近づける方向に付勢し、図29(a)に示すように、スライダJkは付勢手段Vに付勢されて軌道Xに沿って矢印1方向に移動し、車輪B、BBは摺動面K1、K2に沿って軌道Xから遠ざかる方向に移動し、押しバネU、UUを縮めながらスライダJkを減速する。
各摺動面の円弧の中心は軌道Xを境にして車輪B、BBの運動する領域と反対側の軌道Xに近い位置であって、円弧の半径が「回転軸Q、QQと支軸I、IIとの間の距離であるリンクA、AAの長さ」から車輪B、BBの半径を差し引いた長さとし、車輪B、BBが摺動面Kの基端部Ksから末端部Keに移動する間に「スライダJkが移動する距離」を小さくする。
車輪BとBB及びリンクAとAAは寸法が同じで、図29(a)に示すように、回転軸QとQQの間の距離は、車輪BとBBの片方が基端部Ksにあって他方が末端部Keにあるようにする距離である。図29(b)に示すように、車輪Bが摺動面K1の末端部Ke1の周りを公転し始めるとき、車輪BBは摺動面K2の次の摺動面K3に沿って移動し、図29(c)に示すように車輪Bが末端部Ke1を離れるとき、車輪BBは摺動面K3に沿って移動する途中にある。
車輪BとBBとの両方が同時に末端部Keから離れることはない。このように車輪BとBBの片方が末端部Keから基端部Ksに戻る間に他方が摺動面上を移動する途中にある状態は、その後摺動面K4、K5に沿って移動するときも繰り返され、押しバネUとUUは交互に伸縮し同時に復元されることはない。
図29(a)〜(c)に示すように、車輪B、BBの片方が末端部Keの周りを公転し、末端部Keから離れて押しバネUの復元力で基端部Ksに戻る間に、他方は基端部Ksから移動するようにしているので、この間に「スライダJkが移動する距離」は摺動面Kに沿って移動する他方に制約される。
リンクAとAAとが交互に振幅することによって、押しバネUとUUは交互に伸縮し、スライダJkの移動に伴って常にどちらか一方は縮むことになり、付勢手段Vの歪エネルギ常にどちらか一方の歪エネルギに変換される。付勢手段Vの歪エネルギの全てがスライダを移動の運動エネルギに変換されるときはなく、スライダJkの加速は常に制限される。
摺動面Kに沿って、車輪B或いはBBが軌道Xから遠ざかる方向に移動するとき、スライダJkは矢印1方向に移動するが、車輪B或いはBBが軌道Xに近づく方向に移動するとき、スライダJkは矢印2方向に押し戻される。スライダJkの付勢手段Vが引きバネVであるとき、スライダJkが軌道Xに沿って矢印1方向に移動するとき、引きバネVは緩むが、スライダJkが矢印2方向に押し戻されるとき、引きバネVは引き延ばされる。
図29(b)は車輪BBが末端部Ke2の周りを公転した後、摺動面K1とK2との間の通路H2を通って、実線で示される車輪BBの位置に摺動面K3と当接した状態を示しているが、その後押しバネUの付勢と車輪BBの動慣性によって車輪BBが軌道Xに近づく方向に移動し、回転軸QQが矢印2方向に押し戻される。回転軸QQがQQ1に示す位置からQQ2に示す位置に移動し、スライダJkの移動方向も付勢手段Vの伸縮も逆転し、スライダは略一時停止する。図28(b)においても認められるように、車輪B或いはBBが次の摺動面Kに移動するとき一時停止状態が長時間継続する。
図29(d)(e)はスライダJkを軌道Xに沿って矢印2方向に押し戻して、図29(a)に示す初期状態に戻す動作説明図である。図29(d)にスライダJkが矢印1方向に移動し終えた状態を実線で示し、車輪B、BBが押しバネU、UUに付勢されて、「軌道Xを境にして摺動面Kが設けられる領域と反対側の領域」に設けられる溝Hに侵入する状態を破線で示す。図29(e)に車輪B、BBが溝Hに沿って移動する状態を実線で示し、溝Hから脱出した状態を破線で示す。溝Hの出口に設けられる逆止弁Bdは、車輪B、BBの溝Hからの脱出を許し溝Hへの侵入を阻止する。
図30は、常に車輪B或いはBBのどちらか片方が複数設けられる摺動面Kの何れかに沿って移動し、複数設けられる摺動面Kの何れかが車輪B或いはBBを押圧する力が働いて、常にスライダSkは抵抗を受けながら移動するようにした実施例で、スライダSkを付勢するバネVは、一瞬にではなく時間を要して復元する。
図30においてスライダSkはバネVによって付勢され、固定部Wに設けられる軌道Xに沿って矢印1方向に移動する。車輪BとBBはそれぞれリンクA、AAを介してスライダSkに設けられる支軸Q、QQに牽引され、順次摺動面K1からK4に沿って移動する。
車輪BとBBは直径を同じくし、リンクAとAAは長さが同じであって、摺動面K1からK4は軌道X上で等分に配され、形状が軌道Xを中心に左右対称である摺動面が交互に配される。
図30(a1)は先行輪Bが摺動面K1の末端部K1eから離れたとき、後続輪BBが摺動面K1の始端部K1sにおいて移動し始める状態を示している。回転軸QとQQとの間の距離は、図30(a1)に示す状態で設定される。図30(a2)は後続輪BBが摺動面K1の末端部K1eから離れたとき、先行輪Bが摺動面K2の始端部K2sにあって移動し始める状態を示している。図30(a3)に示す状態は、図30(a1)に示す状態と軌道Xを中心に左右対称である。このようにして車輪BとBBは両方とも同時に摺動面Kから離脱することはなく、何れか片方は摺動面K1からK4の何れかに沿って移動する。
図30(b1)(b2)はスライダJkが軌道Xに沿って矢印2方向に移動するとき、車輪BとBBとが摺動面Kr1、Kr2に沿って移動し、図30(b3)に示すように装置が初期状態に復帰するまでの動作説明図である。
図31は車輪Bが摺動面Kに沿って移動するとき停止し、車輪Bが摺動面Kに設けられる穴H2を通過するとき移動し始めるスライダJkについての実施例である。車輪Bは摺動面K上で振り子運動し、振り子運動が止まってからH2を通過し、スライダJkが動き始める。
図31(a3)スライダJkは付勢手段Vによって軌道Xに沿って矢印1方向に移動するように付勢される。リンクAとAAはスライダJkの軸芯線Xを中心に振幅するように、それぞれゼンマイバネVVによって付勢され、リンクAとAAの先端部に装着される車輪BとBBは軸芯線Xを中心に振り子運動する。摺動面K1、K2はそれぞれ、回転軸QQ、Qと「車輪BB、Bの回転軸QQ、Qに最も近い点」との間の距離を半径とし、中心がスライダJkの軸芯線X上にある円弧であって、車輪BとBBはそれぞれ摺動面K1、K2上にあって軸芯線Xを中心に振幅している。車輪BとBBのどちらかが摺動面K1、K2上にある間は、スライダJkの移動がない。
摺動面K1、K2はそれぞれ軸芯線Xを中心に車輪B、BBが辛うじて通過できる穴H2、H1を備え、図31(a3)は車輪B、BBの何れか片方が穴H1或いはH2上にあっても、他方が穴H1或いはH2上になければスライダJkは移動しない状態を示し、リンクAとAAの振幅周期が同じであれば、車輪BとBBの両方が長時間振幅し続ける状態を示す。或いは車輪BとBBの片方が振幅運動を終えて軸芯線X上で静止した場合でも、他方が振幅し続ける間はスライダJkが移動しない状態を示す。
図31(a4)は車輪BとBBの両方が振幅運動を終えて穴H2とH1を通過できる位置で静止した状態を示し、車輪BとBBが同時に穴H2とH1を通過してスライダJkが移動する状態を示す。
図31(a1)(a2)はリンクAとAAが回転角を違えて振幅するように、振幅始動時期を違えるようにした装置の動作説明図である。回転体Jは固定部Wに設けられる支軸Sの周りに回転自在に軸支され、支軸Sを中心とする円弧の摺動面Kjを備える。
図31(a1)において車輪BとBBはゼンマイバネVVで付勢されて、それぞれ摺動面K2とK1に沿って矢印1方向に移動しようとするが、摺動面Kjがこれを阻止している。図31(a2)は摺動面Kjが支軸Sの周りを矢印1方向に回転して、車輪BBが既に矢印1方向に移動していて、車輪Bが遅れて移動し始めようとする状態を示している。図31(a3)は車輪BとBBの双方が摺動面Kjから離れて振り子運動をしている状態を示す。
片方が振り子運動の中心Xにあるとき、他方が中心Xから最も遠い位置にあることが望ましく、双方の振り子運動の周期が同じであれば、穴H1或いはH2上を通過する車輪は交互に入れ替わり、図31(a4)に示すように同時に穴H1とH2上にあるときは、時間と共に双方の振幅が減じて、双方がともに停止するときとなる。このようにして回転体Jが回転して時間が経過した後でスライダJkが動き始める。
図30の場合スライダは徐々に移動し、バネVVを徐々に伸縮させる手段であって、図31の場合は減速解除や全閉の仕事を始める時期が、スイッチを入れる時期に遅れるようにするものである。例えばドアにブレーキをかけると同時に図31(a)に示すように回転体Jが回転すると、一定時間が経過した後に図31(a4)に示すようにスライダJkが動き始め、スライダJkの動作でドアにかけたブレーキを解除することが出来る。
図31(b1〜3)は、図30の場合と同様にスライダJkが停止と移動を繰り返すようにするもので、図30の場合よりも停止時間が延長される。
図31(b)において、図31(a)に示した摺動面K1、K2と同じ摺動面K1、K2、K3が軌道Xに沿って等分に配され、摺動面K1、K2と同じ摺動面KK1、KK2がK1、K2とK3の間に挿入される。摺動面KK1、KK2の中心線XXは共通で、摺動面K1、K2の中心線Xと異なる。回転軸Qは中心線Xに沿って矢印1方向に移動するが、回転軸QQは中心線XとXXとの間を揺動しながら、ジグザグの軌道Xqに沿って矢印1方向に移動する。
図31(b1)は図30(a4)に示すように車輪B、BBが穴H2、H1を通過し、回転軸Qが軌道Xに沿って回転軸QQが軌道Xqに沿って移動し、スライダJkが回転してスライダJkの軸芯線を中心線XXに一致させる状態を示す。
車輪BBは穴H1の角部の周りを公転した後で、摺動面K1の裏面に沿って中心線XXに近づく方向に移動し、図31(b1)に実線で示すように中心線XXから近い位置の摺動面KK1上に移転するが、車輪Bは「穴H2周辺に取り付けられる摺動面Kg」に沿って移動し、中心線XXから遠い位置の摺動面KK2上に移転する。
図31(b2)は車輪B、BBが振り子運動をし続ける状態を示し、車輪BとBBのどちらかが摺動面K2或いはK1上にあれば、回転軸QとQQはそれぞれ軌道XとXqの途中の位置に留まり、軌道XとXqの途中に回転軸QとQQとを停止する手段を設ける必要がない。
図31(b3)は車輪BとBBとが振り子運動を終えて共に停止して、穴HH2とHH1を通過する状態を示す。回転軸QとQQは移動可能となり、それぞれ軌道XとXqに沿って移動し、車輪BBが中心線Xより遠い位置の摺動面K2上に、車輪Bが近い位置の摺動面K3上に移動する。スライダJkは回転して図31(b1)と同様の状態に復帰する。
更に図示されない摺動面K4、K5と摺動面KK3、KK4とを同様に追加してこの一連の動作を繰り返すようにすると、更に長時間継続する運動を得ることが出来、ドアを長時間に亘って減速することが出来るようになる。
図29の装置が複数の摺動面Kが固定され、「車輪BとBBとを装着するスライダJk」が移動するのに対して、図32に示す装置は「車輪BとBBとを装着する回転体J」が固定部Wに設けられる回転軸Qを軸に回動し、複数の摺動面Kを備えるスライダJkが、固定部Wに設ける軌道Xに沿って引きバネVによって矢印1方向に移動する。
図29の装置がリンクAを付勢する押しバネUが復元するとき、「車輪BとBBとを装着するスライダJk」が移動するのに対して、図32に示す装置は「回転体Jを付勢する押しバネU」が復元するとき、スライダJkが停止するようにしている。
バネが停止と復元を繰り返して伸縮する動作は時計の脱進装置に認められ、図32に示す回転体Jは腕時計のアンクルに付属する爪に、スライダJkはガンギ車に、複数の摺動面Kはガンギ車に付属する鋸歯状の歯に類似する。
時計は時間単位の長時間の運動の継続と振り子の等時性が求められるが、ドアに組み込まれたバネの伸縮の遅延装置は秒単位の長時間の運動の継続が求められ、振り子の等時性は求められない。スライダを付勢するバネVはガンギ車のゼンマイバネと比べて剛性が大きく強力であって、回転体Jを付勢する押しバネUもテンプの振り子運動を継続させるゼンマイバネと比べて剛性が大きく強力である。従って時計に比べて回転軸周りの回転抵抗が大きく、振り子運動のように運動エネルギを得て動慣性で動き続ける動作は期待できない。
摺動面Kの形状は、「回転軸Qと車輪BBの回転軸IIとの間の距離」と車輪BBの半径との和を半径とする円弧で、円弧の中心は回転軸Qを通り軌道Xと平行な軌道XXに沿って移動する。車輪BBが摺動面K上を移動するときは、円弧の中心が回転軸Qの位置にあって、スライダJkが停止するときである。車輪BBが摺動面K3から離れるときスライダJkは移動し、車輪Bが別の摺動面K2に押圧されて、回転体Jが回転軸Qを軸に矢印1方向に回転しスライダJkを減速する。
時計においてアンクルの爪がガンギ車の歯から離れる瞬間に、離れる方向に大きな慣性力を得て、離れる方向に大きく運動するが、これに対して図32に示す装置においては、車輪Bが摺動面K2に沿って移動し、回転体Jが矢印1方向に回転して、押しバネUが縮むに従い回転体Jを矢印2の回転方向とは逆方向に戻す力が増加し、車輪Bが摺動面K2から離れる時には逆方向に戻す力が最大になる。時計においてゼンマイバネの歪エネルギをアンクルの運動エネルギに変えて加速するのに対して、図32に示す装置においては、押しバネの歪エネルギは回転体JとスライダJkを減速する。
図32(a1)に示す状態は、車輪BBが摺動面K3上の基端部Ks3の位置にあって、摺動面K3に沿って移動し始めて、スライダJkが停止するとき、スライダJkが停止したままでも車輪Bは摺動面K1の末端部Ke1から離れるようにしている状態である。このとき回転軸Qと、車輪の回転軸Iと、末端部Ke1は一直線状に配される。実線B1は車輪Bが末端部Ke1を離れる瞬間を示すもので、破線で示すB2,B3は、末端部Ke1から離れた以後に車輪Bが次の摺動面K2に当接した状態を示す。
車輪BBが末端部Ke3を離れると同時に各摺動面Kは移動し始めるが、破線B3、BB3は各摺動面Kが移動する間もなく車輪Bが次の摺動面K2に当接した状態を示し、破線B2、BB2は各摺動面Kが移動して車輪Bが次の摺動面K2に当接した状態を示す。
境界線Xeは末端部Keの軌跡であって、境界線Xeを境にして摺動面Kを含まない領域Yqと含む領域Ykに2分される。図32(a2)に示すように車輪BBは押しバネの付勢で一旦領域Yqに出るが、同時に各摺動面Kは、引きバネVの付勢によって距離L1だけ移動して車輪Bに当接する。
車輪B3が摺動面K2に押圧されて、回転体Jが矢印1方向に回転して車輪BBが領域Yqから領域Ykに侵入するが、摺動面K3の背後を回動する。摺動面K3の裏面に車輪BBが接触すると、回転体Jが停止して各摺動面Kも停止することになるので、図32(a2)に示すように車輪BBが摺動面Kの裏面に当らないように車輪BBを小さくする。このとき回転軸Qから最も遠い車輪BBの位置bbと回転軸Qとの間の距離は一定に保たれる。
摺動面K2が距離L1だけ移動するまでに、車輪Bが摺動面K2に当接したかどうかに関係なく、摺動面K2が距離L1だけ移動したとき、車輪BBが境界線Xeを横切ることになる。図32(a3)に示すように更に距離L2だけ移動すると、小さくした車輪BBは領域Yk内に含まれる。車輪B5は末端部Ke2に到達し、末端部Ke2を中心に公転し始める。
図32(a4)に示すように各摺動面Kが更に距離L3だけ移動すると、実線で示す車輪B6は境界線Xeに接し、領域Yqに車輪の全てが含まれるようになる。更に距離L4だけ移動すると、破線で示す車輪B7とBB7は図32(a)に示すB1、BB1の位置に戻り、L1、L2、L3、L4の和は各摺動面Kの間隔Lになる。
図32(a1)において摺動面K2が摺動面K1の位置まで移動すると、車輪BBは図32(a4)に示すように摺動面K3の後方の摺動面K4に沿って移動し始め、スライダJkが再び停止することになる。
押しバネUと引きバネVの強さ関係の違いによっては、摺動面Kが車輪Bと接触して移動する距離は異なる。図32(a1)に示す車輪B3のように、摺動面K3が全く移動しない状態で車輪Bが当接するとき、押しバネUが吸収する歪エネルギが最大で、スライダJkを大きく減速する。
図32(b)は「車輪BaとBBaを装着し、回転軸Qaを軸に回転する回転体Ja」を図32(a)に示す回転体Jに追加するもので、車輪BaとBBaは車輪BとBBに大きさが同じであり、回転体Jaと回転体Jとは形と大きさが同じである。
図32(b1)に示すように車輪Bが末端部Ke1から離れるとき、車輪Baが末端部Ke1の周りを公転するように、回転軸Qaの位置を設定すると、図32(b2)に示すように各摺動面Kが僅かに移動する間に、車輪Baが末端部Ke1から離れて、車輪BBaが基端部Ks3に当接して各摺動面を停止させることになる。車輪Bは摺動面K2が僅かに移動した位置で当接し、押しバネUは大きく緩んだ状態から縮み始めることになる。また各摺動面Kが僅かに移動する間に、車輪BBとBBaによって2度スライダJkが一時停止することになる。
図32(b3)に示すように車輪Bが末端部Ke2の周りを公転し始めて押しバネUが縮み終えるとき、車輪Baが摺動面K2の途中にあって押しバネUaは縮み続ける。このように各摺動面Kが大きく移動して回転体JとJaが回転し、引きバネVの歪エネルギが押しバネUaの歪エネルギに大きく吸収される。更に各摺動面Kが移動すると図32(b1)の初期状態に戻るが、図32(b4)は、図32(a)の装置に回転体Jを追加して図32(b1)の装置にしたように、図32(b1)の装置に更に破線で示す回転体Jbを追加する装置を示し、各摺動面Kの移動距離に対してスライダJkが一旦停止する回数が増加する。
図33は図32で説明した円弧の摺動面Kを8個備えて、図32で説明した3個の回転体Ja、Jb、Jを備える減速装置で、8個の摺動面Kは「固定部Wに設けられる枢軸Oの周りに回転自在に軸支される回転体D」に取り付けられ、枢軸Oを中心に放射線状に等分に配され、回転体Dは図示されないバネVに付勢され、枢軸Oの周りに矢印1方向に回転する。
3個の回転体J、Ja、Jbはそれぞれ「枢軸Oから等距離にあって、枢軸Oの周りに等分に配される回転軸Q、Qa、Qb」の周りに回転自在に軸支され、それぞれ減速車輪Bと停止車輪BBとを備える。
停止車輪BBは「末端部Keの軌跡であって円の境界線Xe」を横切って領域YqとYkとを往復し、図33(a)に示すように停止車輪BBが円弧の摺動面Kに沿って移動するとき複数の摺動面Kは停止し、領域Yqにあるとき複数の摺動面Kは枢軸Oの周りを公転する。「停止車輪BBの領域YkからYqに排出される方向の回転」は当りG、GA、Gbによって制限され、複数の摺動面Kが停止するとき、減速車輪Bを領域Ykに含まれるようにする。
枢軸Oの周りの円を8個の摺動面Kが8等分し3個の回転軸Qが3等分することから、3個の回転体Jの回転角はそれぞれ異なり、図33(a)に示すように、回転体Jの停止車輪BBが摺動面K3に沿って移動するとき8個の摺動面Kは停止し、回転体Ja、Jbもそれぞれ減速車輪Ba、Bbが円弧の摺動面K7、K5に押圧された状態で停止する。
図33(b)に示すように停止車輪BBが末端部Ke3から離れて当りGに当接するとき、8個の摺動面Kは公転し始め、減速車輪Baは摺動面K7上にあって、減速車輪Bbは末端部Ke4の周りを公転している。更に8個の摺動面Kが回転すると、図33(c)に示すように回転体Jbの停止車輪BBbが摺動面K6に沿って移動し、8個の摺動面Kが停止する。
このようにして3個の停止車輪BB、BBa、BBbが順に8個の摺動面Kを停止させることになり、8個の摺動面Kは何れか1つ停止車輪BBによって停止され、次に停止されるまでその他の停止車輪BBa、BBbによって2回停止させられることになる。回転体Dの回転に対して回転体Dが停止する回数が多くなり、回転体Dはゆっくり回転し、付勢手段Vもゆっくりと伸縮する。
A リンク
B 車輪
C 接続軸
D ドア
b 接点
G 当たり
H 長穴
I 回転軸
J 回転体
K 滑走面
L 長さ
O 枢軸
P 連結軸
Q 回転軸
R 円弧
S バネ支持部
U 押しバネ
V 引きバネ
W 固定部
X 軌道

Claims (11)

  1. 付勢手段Vによって付勢され固定部Wの設けられる所定の軌道Xに沿って移動する移動体Jと、減速手段Rsを備えた付勢手段VVによって付勢され固定部Wの設けられる所定の軌道XXに沿って移動する移動体JJとから成り、上記移動体Jと上記移動体JJとは移動速度が異なり、互いに接触しあって移動し、移動速度が速い上記移動体Jが移動速度が遅い上記移動体JJの後について移動し、移動体Jと移動体JJとが互いに運動エネルギを交換しあって、上記移動体Jが減速し上記移動体JJが加速する減速機構を備える移動装置。
  2. 上記移動体Jと上記移動体JJとの接点bにおいて、上記移動体Jに沿って上記移動体JJが摺動する途中において、上記移動体Jの移動方向と上記移動体JJの摺動方向とが互いに略直行することを特徴とする移動装置、
    或いは、上記移動体Jと上記移動体JJのそれぞれに接続軸Cと接続軸CCが設けられ、リンクAとリンクAAのそれぞれが接続軸Cと接続軸CCの周りに回転自在に軸支され、リンクAとリンクAAは連結軸Pで連結されてなるリンク装置の運動途中において、上記軌道Xと上記軌道XXとが略直行し、上記移動体Jと上記移動体JJとが相対的に近づいて、リンクAの軸芯線Zaと接続軸Cの移動方向とが平行に近づくことを特徴とする移動装置であって、
    上記移動体Jが大きな力で上記移動体JJを押圧しても、上記移動体JJは小さな力で移動し続けることが出来ることを特徴とする、或いは上記移動体JJの小さな力が上記移動体Jに大きく作用することを特徴とする請求項1に記載する移動装置。
  3. 上記移動体Jと上記移動体JJと備えてなる減速装置は、抵抗が未だ作用しない待機範囲と、車輪Bが摺動面Kに沿って移動し抵抗が作用する減速範囲と、抵抗が取り除かれる抵抗消失範囲とを備え、「解除可能な拘束手段」によって、待機範囲から減速範囲に切り替わり、或いは減速範囲から抵抗消失範囲に切り替わることを特徴とする請求項1或いは2に記載する移動装置。
  4. 移動体Jと移動体JJとが相対的に接近し、移動体Jと移動体JJとが弾性体或いはバネで付勢されるリンクを介して接触離脱する請求項1〜3の何れか1項に記載する移動装置。
  5. 上記弾性体が複数のリンクで構成されてなりバネで付勢されるリンク装置である減速装置、或いは複数のリンクで構成されてなり付勢手段Vと付勢手段VVがそれぞれ異なるリンクを付勢する不限定リンク装置である請求項4に記載する移動装置。
  6. 上記弾性体或いは上記バネが復元力無効化手段を備える請求項4或いは5に記載する移動装置。
  7. バネ或いは浮力を付勢手段として流体の粘性抵抗を受けて移動するピストンPs1を備える、或いは管内部Pо1と管外部Po2との間の界壁Pwsに設けられる小さな穴Phを流体或いは鋼球Bが少しずつ通過する管PPを備える請求項1〜6の何れか1項に記載する移動装置。
  8. 付勢手段Vによって付勢され固定部Wの設けられる所定の軌道Xに沿って移動する移動体Jと、上記移動体Jに設けられる回転軸Qの周りに回転自在に軸支されるリンクAと、上記リンクAの先端部に設けられる支軸Ib装着される車輪Bと、上記軌道Xに沿って等分に配される複数個の摺動面Kとを備え、上記車輪Bが順次上記複数個の摺動面Kに沿って移動し、上記リンクAが振幅しながら上記移動体Jが移動する移動装置であって、上記摺動面Kが上記軌道Xに近い位置に始端部Ksと上記軌道Xから遠い位置に末端部Keとを備え、上記摺動面Kは上記末端部Keの周りに回転自在に軸支され、上記摺動面Kが上記軌道Xと略直行する状態で静止するように付勢されることを特徴とする、或いは上記リンクAが上記軌道Xと重なる状態で静止するように付勢されることを特徴とする移動装置。
  9. 付勢手段Vによって付勢され固定部Wの設けられる所定の軌道Xに沿って移動する移動体Jと、上記移動体Jに設けられる回転軸Qの周りに回転自在に軸支されるリンクAと、上記リンクAの先端部に設けられる支軸Ib装着される車輪Bと、上記軌道Xに沿って等分に配される複数個の円弧の摺動面Kとを備え、上記複数個の円弧の摺動面Kのそれぞれは上記軌道Xと交差する位置において、上記車輪Bが通過する通路を備えることを特徴とし、上記車輪Bが順次上記複数個の円弧の摺動面Kに沿って移動し、上記リンクAが振幅しながら上記移動体Jが移動する移動装置。
  10. 付勢手段Vによって付勢され固定部Wの設けられる所定の軌道Xに沿って移動する移動体Jと、上記移動体Jに設けられる2以上の回転軸Qのそれぞれの周りに回転自在に軸支されるリンクAと、2以上の上記リンクAのそれぞれの先端部に設けられる支軸Ib装着される車輪Bと、上記軌道Xに沿って等分に配される複数個の摺動面Kとを備え、2以上の上記車輪Bが順次上記複数個の摺動面Kに沿って移動し、2以上の上記リンクAが振幅しながら上記移動体Jが移動することを特徴とする移動装置。
  11. 2軸が交わる2軸間に回転を伝達す手段を備える移動装置、或いはドア内部から外部へ出入りする往復運動を、或いは枢軸Oの周りのドアの回転を、ドア面に平行な平面上で運動する駆動部のリンクに伝達す手段を備え、ドア内部や床下部分やドア上部壁内部に収容する移動装置。
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