JP2014115364A - 走査光学装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】温度変化による像面シフトを抑制する。
【解決手段】回折レンズ3の主走査方向の屈折パワーφnMと回折パワーφdMの比φnM/φdMが、
A(Z)=(1.897×10)Z+6744Z+0.5255
B(Z)=(2.964×10)Z+5645Z+0.6494
C(Z)=(3.270×10)Z+3589Z+0.5250
D(Z)=(5.016×10)Z+4571Z+0.8139
g1(fi)=fi{D(Z)−B(Z)}/12−5D(Z)/6+11B(Z)/6
g2(fi)=fi{C(Z)−D(Z)}/12−5C(Z)/6+11A(Z)/6
としたとき、焦点距離fi=10〜22[mm]の範囲で、g2(fi)≦φnM/φdM≦g1(fi)を満たす。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置などに用いられる走査光学装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置に用いられる走査光学装置は、光源からの光ビームを感光体ドラムなどの被走査面上に点状に結像させ、この像を感光体ドラムの軸方向(主走査方向)に走査させる。走査光学装置は、主走査方向に光ビームを偏向させる偏向器を有し、偏向器の前段には、入射光学系が設けられ、後段には、走査光学系が設けられる。入射光学系は、偏向器の近傍において光ビームを副走査方向に結像させるとともに、主走査方向には光ビームを略平行光にしている。一方、走査光学系は、偏向器からの光ビームを被走査面上に点状に結像させる機能を有する。
ところで、走査光学装置が用いられる環境温度が変化すると、各部の寸法変化や、光学素子の性能の変化などにより結像点が被走査面から前後にずれるという問題がある。このずれは、特に、コストダウンのために入射光学系に樹脂レンズを用いると顕著になる。この問題の解決のため、特許文献1の技術では、入射光学系に屈折面と回折面を設けて、温度変化による結像点のずれ(像面シフト)を抑えている。特許文献1においては、入射光学系の主走査方向についての屈折パワーφrMと回折パワーφdMの比φrM/φdMが1.437〜2.669の範囲であり、副走査方向についての屈折パワーφrSと回折パワーφdSの比φrS/φdSが1.437〜2.669の範囲であるのがよいとされている。
特許第4819436号明細書
しかし、特許文献1の走査光学装置は、光源と入射光学系の距離を保持する部材の線膨張係数や走査光学系の温度変化についてまったく考慮されておらず、走査光学装置の筐体を樹脂で形成した場合など、線膨張係数が大きい場合に、良好な性能を得られなかった。
本発明は、以上の背景に鑑みて創案されたもので、良好な温度補償がなされた走査光学装置を提供することを目的とする。
前記した課題を解決する本発明は、光源と、光源からの光ビームを主走査方向に偏向する偏向手段と、光源と偏向手段の間に設けられ光源からの光ビームを主走査方向には僅かに収束する光ビームとし、副走査方向には偏向手段近傍で結像させる入射光学系と、偏向手段により偏向された光ビームを被走査面上に点状に結像させる走査レンズとを備えた走査光学装置である。この走査光学装置において、走査レンズは、主走査方向の像側主点から像点までの距離をs′、主走査方向の焦点距離をfmとして、
0.2≦1−s′/fm≦0.5 ・・・(1)
を満たす。そして、入射光学系は、回転対称回折面とアナモルフィック屈折面とを少なくとも1つずつ有し、主走査方向の焦点距離をfi[mm]として、
10≦fi≦22 ・・・(2)
を満たす。また、光学系全体の主走査方向の横倍率をmM、副走査方向の横倍率をmSとして、mMとmSの比mM/mSは、
mM/mS≧1.38 ・・・(3)
を満たす。さらに、光源と入射光学系の間隔を保持する保持部材の線膨張係数Z[1/K]は、
3.05×10−5≦Z≦9.50×10−5 ・・・(4)
を満たす。そして、入射光学系の主走査方向の屈折パワーφnMと回折パワーφdMの比φnM/φdMが、
A(Z)=(1.897×10)Z+6744Z+0.5255
B(Z)=(2.964×10)Z+5645Z+0.6494
C(Z)=(3.270×10)Z+3589Z+0.5250
D(Z)=(5.016×10)Z+4571Z+0.8139
g1(fi)=fi{D(Z)−B(Z)}/12−5D(Z)/6+11B(Z)/6
g2(fi)=fi{C(Z)−D(Z)}/12−5C(Z)/6+11A(Z)/6
としたとき、焦点距離fiの範囲で、
g2(fi)≦φnM/φdM≦g1(fi) ・・・(5)
を満たす。
このような構成によると、線膨張係数Zが前記(4)式を満たす場合において、主走査方向の横倍率mMと副走査方向の横倍率mSの比mM/mSが、前記(3)式を満たすとともに、主走査方向についての屈折パワーφnMと回折パワーφdMの比φnM/φdMが前記(5)式を満たすことで、温度変化および光ビームの波長変化(モードホップ)による像面位置の変化である像面シフトを主走査方向について良好に抑えることができる。
また、1−s´/fmは横倍率βを示すところ、前記式(1)のように、横倍率βが0.2以上であることで、走査光学装置をコンパクト化することができる。さらに、横倍率βが0.5以下であることで、ポリゴンミラーのミラー面の取付誤差によるジッターを小さく抑えることができる。
前記した走査光学装置において、入射光学系は、回転対称回折面を光源に最も近い側のレンズ面に有し、アナモルフィック屈折面を光ビームが射出する側のレンズ面に有することが望ましい。
このような構成により、入射光学系の収差を小さくすることができる。
また、前記した走査光学装置において、前記線膨張係数Zの範囲は、
3.05×10−5≦Z≦7.40×10−5 ・・・(6)
であることがより望ましい。線膨張係数Zが小さいことで、温度変化があったときの像面シフト量を小さく抑えることができる。
前記走査光学装置において、入射光学系は、1枚の樹脂レンズからなることが望ましい。入射光学系を1枚の樹脂レンズで構成することで、走査光学装置のコストを抑えることができる。
前記した走査光学装置は、基準温度を25℃として、温度変化±30℃での主像面シフト量が1[mm]以内、副像面シフト量が4[mm]以内であることで、実使用温度範囲において十分な露光性能を発揮することができる。
本発明によれば、走査光学装置の良好な温度補償をすることができる。
一実施形態に係る走査光学装置の主走査断面図である。 走査レンズの横倍率を説明する図である。 一実施形態における入射光学系を示す斜視図である。 実施例1の像面シフトの温度依存性を示すグラフである。 線膨張係数Zが3.05×10−5の場合に、主走査方向のパワー比φnM/φdMと像面シフト量の関係を示したグラフである。 線膨張係数Zが6.50×10−5の場合に、主走査方向のパワー比φnM/φdMと像面シフト量の関係を示したグラフである。 線膨張係数Zが9.50×10−5の場合に、主走査方向のパワー比φnM/φdMと像面シフト量の関係を示したグラフである。 主走査方向の像面シフトが±1[mm]以内となるときの主走査方向のパワー比φnM/φdMの範囲を示したグラフである。
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、一実施形態に係る走査光学装置10は、樹脂製の一体の筐体8に、光源の一例としての半導体レーザ1、開口絞り2、入射光学系の一例としての回折レンズ3、偏向手段の一例としてのポリゴンミラー5、走査レンズの一例としてのfθレンズ6が設けられてなり、これらにより、半導体レーザ1から出射されたレーザ光を感光体ドラム9の被走査面9Aに点状に集光し、走査するように構成されている。開口絞り2は、筐体8の内部に設けられたリブに形成された貫通孔により筐体8と一体に設けられている。回折レンズ3は、直接、筐体8に接着されている。
筐体8は、光源である半導体レーザ1と入射光学系である回折レンズ3の間隔を保持する保持部材であり、保持部材の温度変化による膨張・収縮は、被走査面9Aでの結像状態に影響を及ぼす。本実施形態の走査光学装置10において、線膨張係数Zは、
3.05×10−5≦Z≦9.50×10−5 ・・・(4)
の範囲にある。すなわち、構造材の中では比較的線膨張係数Zが大きい場合である。もっとも、温度変化があったときの像面シフト量のばらつきを小さく抑えるために、線膨張係数Zは、可能であれば小さい方が望ましく、
3.05×10−5≦Z≦7.40×10−5 ・・・(6)
の範囲にあるとよい。
なお、保持部材は1つの部材から構成されている必要はなく、複数部品の組合せにより構成されていてもよい。例えば、金属と樹脂の組合せにより保持部材が構成されていてもよく、この場合、光源と入射光学系の間隔を保持する各部材の線膨張係数の合成が、上記の線膨張係数Zとなる。
半導体レーザ1は、やや発散性のレーザ光(光ビーム)を発する装置である。半導体レーザ1の発光素子は、図示しない制御装置により、感光体ドラム9の被走査面9Aに露光すべき画像に対応して明滅される。
開口絞り2は、半導体レーザ1からのレーザ光の副走査方向の大きさを規定する開口を有する部材である。
回折レンズ3は、半導体レーザ1とポリゴンミラー5の間に設けられ、半導体レーザ1から出射され、開口絞り2を通過した光ビームを、主走査方向(図1の紙面内で光ビームの進行方向に対して左右に振れる方向であり、ポリゴンミラー5により偏向される方向)には僅かに収束する光ビームとし、副走査方向(主走査方向に直交する方向で、図1の紙面奥行き方向)にはポリゴンミラー5のミラー面5Aの近傍で結像させるレンズである。
図3に示すように、回折レンズ3は、一方の面、例えば、光ビームの入射面3Aが回転対称回折面であり、射出面3Bがアナモルフィック屈折面として形成されている。回折レンズ3は、コスト削減の観点からは、望ましくは1枚の樹脂レンズからなる。もっとも、本発明にいう入射光学系は、1枚の樹脂レンズには限られず、ガラスからなるレンズであってもよいし、屈折面が少なくとも1つ、回折面が少なくとも1つある限り、レンズの枚数は問わない。入射光学系の球面収差などの収差を小さくするためには、回転対称回折面を光源に最も近い側のレンズ面に有し、アナモルフィック屈折面を光ビームが射出する側のレンズ面に有することが望ましい。
回折レンズ3は、主走査方向の焦点距離をfi[mm]として、fiが、
10≦fi≦22 ・・・(2)
の範囲にある。焦点距離fiが10[mm]以上であることで、横倍率が大きくなりすぎることを抑制でき、22[mm]以下であることで、装置のコンパクト化を実現でき、半導体レーザ1の光利用効率の低下を抑制できる。
また、光学系(回折レンズ3〜fθレンズ6)全体の主走査方向の横倍率をmM、副走査方向の横倍率をmSとして、mMとmSの比である倍率比mM/mSは、
mM/mS≧1.38 ・・・(3)
を満たす。後述する実施例からわかるように、主走査方向の倍率比mM/mSが1.38以上であることで、環境温度の変化による像面シフトの量を小さくすることができる。
回折レンズ3の主走査方向の屈折パワーφnMと回折パワーφdMの比φnM/φdMは、
A(Z)=(1.897×10)Z+6744Z+0.5255
B(Z)=(2.964×10)Z+5645Z+0.6494
C(Z)=(3.270×10)Z+3589Z+0.5250
D(Z)=(5.016×10)Z+4571Z+0.8139
g1(fi)=fi{D(Z)−B(Z)}/12−5D(Z)/6+11B(Z)/6
g2(fi)=fi{C(Z)−D(Z)}/12−5C(Z)/6+11A(Z)/6
としたとき、焦点距離fiの範囲で、
g2(fi)≦φnM/φdM≦g1(fi) ・・・(5)
を満たす。
この(5)式を満たすことにより、温度変化およびモードホップによる像面位置の変化である像面シフトを主走査方向について良好に抑えることができる。具体的には、基準温度を25℃として、温度変化±30℃での主像面シフト量が1[mm]以内、副像面シフト量が4[mm]以内であることで、実使用温度範囲において十分な露光性能を発揮することができる。
ポリゴンミラー5は、複数のミラー面5Aが、回転軸5Bから等距離に配置された部材であり、図1では、4つミラー面5Aを有するものを例示している。ポリゴンミラー5は、回転軸5Bを中心に一定速度で回転され、回折レンズ3を通過した光ビームを主走査方向に偏向する。
fθレンズ6は、本実施形態では、走査光学装置10に1つのみ設けられている。fθレンズ6は、ポリゴンミラー5で反射されることで偏向された光ビームを被走査面9A上に点状に結像させ、かつ、ポリゴンミラー5のミラー面5Aの面倒れを補正している。また、fθレンズ6は、ポリゴンミラー5により等角速度で偏向された光ビームを、被走査面9A上に等速で走査するようなfθ特性を有している。
fθレンズ6は、図2に示すように、物点OBから主走査方向の物体側主点Hまでの距離をs、主走査方向の像側主点H′から像点IMまでの距離をs′、fθレンズ6の主走査方向の焦点距離をfmとして、
1/fm=1/s′−1/s
である。このとき、fθレンズ6の主走査方向の横倍率βは、
β=s′/s=1−s′/fm
で表される。
そして、本実施形態においては、主走査方向の横倍率β(=1−s′/fm)は、
0.2≦1−s′/fm≦0.5 ・・・(1)
である。横倍率βが0.2以上であることで、走査光学装置10をコンパクト化することができ、0.5以下であることで、ポリゴンミラー5のミラー面5Aの振れによるジッターを小さく抑えることができる。
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態においては、回折レンズ3の入射側を回折面とし、出射側を屈折面としたが、これを逆にして、入射側を屈折面とし、射出側を回折面としてもよい。
また、ポリゴンミラー5のミラー面数は6つであってもよいし、偏向手段としてポリゴンミラー5の代わりに振動ミラーを用いてもよい。
本願の発明者等は、回折レンズ3(入射光学系)の主走査方向の屈折パワーφnMと回折パワーφdMの比φnM/φdM(以下、「主走査方向パワー比」という。)を調整することによる、環境温度の変化に伴う像面シフトへの影響について調べた。
具体的には、下記の実施例1〜5などのように、入射光学系として、回折面とアナモルフィック屈折面を有する1枚のレンズを採用した光学系を用い、(1)倍率比mM/mS、(2)主走査方向パワー比φnM/φdM、(3)回折レンズの主走査方向の焦点距離fiの大きさを変化させて、像面シフト量を計算した。例えば、実施例1の各条件および光学系は以下の通りである。
[実施例1]
半導体レーザの波長 792.6[nm]
温度範囲 −5〜55[℃]
半導体レーザの波長変化率 0.238[nm/℃]
回折レンズの主走査方向の焦点距離fi 22[mm]
半導体レーザ〜回折レンズの間隔を保持する部材の線膨張係数Z
3.05×10−5[1/K]
光学系全体の主走査方向の横倍率mM 6.69
光学系全体の副走査方向の横倍率mS 4.85
倍率比mM/mS 1.38
回折レンズの主走査方向の屈折パワーφn 0.021
回折レンズの主走査方向の回折パワーφd 0.026
主走査方向パワー比φn/φd 0.800
回折レンズの副走査方向の屈折パワーφn 0.03267
回折レンズの副走査方向の回折パワーφd 0.02564
副走査方向パワー比φn/φd 1.27
回折面の位相関数
Figure 2014115364
=−0.0128
Figure 2014115364
この実施例1における、主走査方向の像面シフト量の温度依存性を、図4に示した。図4では、室温(25℃)のときの像面位置を基準として、−5℃と55℃における主走査方向の焦点位置をプロットしてある。
図4に示す温度による像面シフトの値のうち、絶対値が大きい値を選択し、図5に示すように主走査方向のパワー比φnM/φdMと像面シフトの最大絶対値の関係を示すグラフを作成した。例えば、図4においては、主走査方向については、−5℃のときの像面シフト0.3[mm]が絶対値の最大値であり、副走査方向については、55℃のときの像面シフト3.4[mm]が絶対値の最大値である。図5のグラフにおいては、この0.3[mm](◆マークの実線)と3.4[mm](◇マークの実線)を、φnM/φdM=0.80の位置にプロットしている。
その他の焦点距離fi、倍率比mM/mS、主走査方向パワー比φnM/φdMについても同様にプロットすると、図5のように、倍率比mM/mSが大きい程、像面シフトの最大絶対値(像面シフト量)が小さいことが分かる。この傾向は、線膨張係数Zが異なる場合も同様であったので、線膨張係数Zが6.50×10−5[1/K]と9.50×10−5[1/K]の場合については、図6、図7において、計算した中で最も倍率比が小さいmM/mS=1.38の場合のみ示した。
図5から図7に示した各計算例において、像面シフト量が主走査方向で1[mm]以内、副走査方向で4[mm]以内となる範囲を空間的に図示したのが図8である。なお、主走査方向で像面シフト量が1[mm]以内となる場合には、必ず副走査方向で像面シフト量が4[mm]以内となっていた。
図8における稜線A(Z),B(Z),C(Z),D(Z)は、線膨張係数Zが3.05×10−5,6.50×10−5,9.50×10−5の3つの場合におけるプロット点を2次式で近似した曲線である。そこで、稜線A(Z),B(Z),C(Z),D(Z)を使用し、
A(Z)=(1.897×10)Z+6744Z+0.5255
B(Z)=(2.964×10)Z+5645Z+0.6494
C(Z)=(3.270×10)Z+3589Z+0.5250
D(Z)=(5.016×10)Z+4571Z+0.8139
g1(fi)=fi{D(Z)−B(Z)}/12−5D(Z)/6−11B(Z)/6
g2(fi)=fi{C(Z)−D(Z)}/12−5C(Z)/6−11A(Z)/6
としたとき、焦点距離fiが10〜22[mm]の範囲で、
g2(fi)≦φnM/φdM≦g1(fi)
を満たす範囲を図8に示した。
この図8の範囲の主走査方向パワー比φnM/φdMであれば、線膨張係数Zが3.05×10−5≦Z≦9.50×10−5の範囲、かつ、入射光学系の焦点距離fiが10〜22[mm]の範囲で、像面シフト量を主走査方向で1[mm]以内、副走査方向で4[mm]以内に抑えることができる。すなわち、走査光学装置の良好な温度補償をすることができる。
この条件内において、良好な温度補償がなされる、上記の実施例1以外のいくつかの実施例について以下説明する。
[実施例2]
実施例2は、線膨張係数Zが6.50×10−5[1/K]で、焦点距離fiが22[mm]の場合である。計算の条件は下記の通りである。
半導体レーザの波長 792.6[nm]
温度範囲 −5〜55[℃]
半導体レーザの波長変化率 0.238[nm/℃]
回折レンズの主走査方向の焦点距離fi 22[mm]
半導体レーザ〜回折レンズの間隔を保持する部材の線膨張係数Z
6.50×10−5[1/K]
光学系全体の主走査方向の横倍率mM 6.70
光学系全体の副走査方向の横倍率mS 4.85
倍率比mM/mS 1.38
回折レンズの主走査方向の屈折パワーφn 0.024
回折レンズの主走査方向の回折パワーφd 0.022
主走査方向パワー比φn/φd 1.100
回折レンズの副走査方向の屈折パワーφn 0.03621
回折レンズの副走査方向の回折パワーφd 0.02198
副走査方向パワー比φn/φd 1.65
回折面の位相関数
Figure 2014115364
=−0.0110
Figure 2014115364
この実施例2では、像面シフト量は、主走査方向で0.3[mm]、副走査方向で3.5[mm]となった。
[実施例3]
実施例3は、線膨張係数Zが6.50×10−5[1/K]で、焦点距離fiが10[mm]の場合である。計算の条件は下記の通りである。
半導体レーザの波長 792.6[nm]
温度範囲 −5〜55[℃]
半導体レーザの波長変化率 0.238[nm/℃]
回折レンズの主走査方向の焦点距離fi 10[mm]
半導体レーザ〜回折レンズの間隔を保持する部材の線膨張係数Z
6.50×10−5[1/K]
光学系全体の主走査方向の横倍率mM 15.11
光学系全体の副走査方向の横倍率mS 10.95
倍率比mM/mS 1.38
回折レンズの主走査方向の屈折パワーφn 0.054
回折レンズの主走査方向の回折パワーφd 0.049
主走査方向パワー比φn/φd 1.100
回折レンズの副走査方向の屈折パワーφn 0.06649
回折レンズの副走査方向の回折パワーφd 0.04929
副走査方向パワー比φn/φd 1.35
回折面の位相関数
Figure 2014115364
=−0.0246
Figure 2014115364
この実施例3では、像面シフト量は、主走査方向で0.7[mm]、副走査方向で3.7[mm]となった。
[実施例4]
実施例4は、線膨張係数Zが9.50×10−5[1/K]で、焦点距離fiが22[mm]の場合である。計算の条件は下記の通りである。
半導体レーザの波長 792.6[nm]
温度範囲 −5〜55[℃]
半導体レーザの波長変化率 0.238[nm/℃]
回折レンズの主走査方向の焦点距離fi 22[mm]
半導体レーザ〜回折レンズの間隔を保持する部材の線膨張係数Z
9.50×10−5[1/K]
光学系全体の主走査方向の横倍率mM 6.71
光学系全体の副走査方向の横倍率mS 4.86
倍率比mM/mS 1.38
回折レンズの主走査方向の屈折パワーφn 0.028
回折レンズの主走査方向の回折パワーφd 0.018
主走査方向パワー比φn/φd 1.500
回折レンズの副走査方向の屈折パワーφn 0.03958
回折レンズの副走査方向の回折パワーφd 0.01845
副走査方向パワー比φn/φd 2.15
回折面の位相関数
Figure 2014115364
=−0.0092
Figure 2014115364
この実施例4では、像面シフト量は、主走査方向で0.5[mm]、副走査方向で3.6[mm]となった。
[実施例5]
実施例5は、線膨張係数Zが7.40×10−5[1/K]で、焦点距離fiが22[mm]の場合である。計算の条件は下記の通りである。
半導体レーザの波長 792.6[nm]
温度範囲 −5〜55[℃]
半導体レーザの波長変化率 0.238[nm/℃]
回折レンズの主走査方向の焦点距離fi 22[mm]
半導体レーザ〜回折レンズの間隔を保持する部材の線膨張係数Z
7.40×10−5[1/K]
光学系全体の主走査方向の横倍率mM 6.70
光学系全体の副走査方向の横倍率mS 4.85
倍率比mM/mS 1.38
回折レンズの主走査方向の屈折パワーφn 0.025
回折レンズの主走査方向の回折パワーφd 0.021
主走査方向パワー比φn/φd 1.200
回折レンズの副走査方向の屈折パワーφn 0.03717
回折レンズの副走査方向の回折パワーφd 0.02098
副走査方向パワー比φn/φd 1.77
回折面の位相関数
Figure 2014115364
=−0.0105
Figure 2014115364
この実施例5では、像面シフト量は、主走査方向で0.4[mm]、副走査方向で3.5[mm]となった。
[実施例6]
実施例6は、入射光学系を回転対称回折面を有するコリメータレンズと、アナモルフィック屈折面を有するシリンダレンズの2枚で構成した場合である。線膨張係数Zは6.50×10−5[1/K]で、焦点距離fiは22[mm]とした。計算の条件は下記の通りである。
半導体レーザの波長 792.6[nm]
温度範囲 −5〜55[℃]
半導体レーザの波長変化率 0.238[nm/℃]
回折レンズの主走査方向の焦点距離fi 22[mm]
半導体レーザ〜回折レンズの間隔を保持する部材の線膨張係数Z
6.50×10−5[1/K]
光学系全体の主走査方向の横倍率mM 6.63
光学系全体の副走査方向の横倍率mS 4.81
倍率比mM/mS 1.38
回折レンズの主走査方向の屈折パワーφn 0.024
回折レンズの主走査方向の回折パワーφd 0.022
主走査方向パワー比φn/φd 1.100
回折レンズの副走査方向の屈折パワーφn 0.03791
回折レンズの副走査方向の回折パワーφd 0.02198
副走査方向パワー比φn/φd 1.72
回折面の位相関数
Figure 2014115364
=−0.0110
Figure 2014115364
この実施例6では、像面シフト量は、主走査方向で0.3[mm]、副走査方向で3.1[mm]となった。
1 半導体レーザ
3 回折レンズ
3A 入射面
3B 射出面
5 ポリゴンミラー
6 fθレンズ
8 筐体
9 感光体ドラム
9A 被走査面
10 走査光学装置
この実施例1における、主走査方向および副走査方向の像面シフト量の温度依存性を、図4に示した。図4では、室温(25℃)のときの像面位置を基準として、−5℃と55℃における主走査方向および副走査方向の焦点位置をプロットしてある。
図5から図7に示した各計算例において、像面シフト量が主走査方向で1[mm]以内、副走査方向で4[mm]以内となる範囲を空間的に図示したのが図8である。なお、主走査方向で像面シフト量が1[mm]以内となる場合には、必ず副走査方向で像面シフト量が4[mm]以内となっていた。
図8における稜線A(Z),B(Z),C(Z),D(Z)は、線膨張係数Zが3.05×10−5,6.50×10−5,9.50×10−5の3つの場合におけるプロット点を2次式で近似した曲線である。そこで、稜線A(Z),B(Z),C(Z),D(Z)を使用し、
A(Z)=(1.897×10)Z+6744Z+0.5255
B(Z)=(2.964×10)Z+5645Z+0.6494
C(Z)=(3.270×10)Z+3589Z+0.5250
D(Z)=(5.016×10)Z+4571Z+0.8139
g1(fi)=fi{D(Z)−B(Z)}/12−5D(Z)/611B(Z)/6
g2(fi)=fi{C(Z)−D(Z)}/12−5C(Z)/611A(Z)/6
としたとき、焦点距離fiが10〜22[mm]の範囲で、
g2(fi)≦φnM/φdM≦g1(fi)
を満たす範囲を図8に示した。

Claims (5)

  1. 光源と、前記光源からの光ビームを主走査方向に偏向する偏向手段と、前記光源と前記偏向手段の間に設けられ前記光源からの光ビームを主走査方向には僅かに収束する光ビームとし、副走査方向には偏向手段近傍で結像させる入射光学系と、前記偏向手段により偏向された光ビームを被走査面上に点状に結像させる走査レンズとを備えた走査光学装置であって、
    前記走査レンズは、主走査方向の像側主点から像点までの距離をs′、主走査方向の焦点距離をfmとして、
    0.2≦1−s′/fm≦0.5
    を満たし
    前記入射光学系は、回転対称回折面とアナモルフィック屈折面とを少なくとも1つずつ有し、主走査方向の焦点距離をfi[mm]として、
    10≦fi≦22
    を満たし、
    光学系全体の主走査方向の横倍率をmM、副走査方向の横倍率をmSとして、mMとmSの比mM/mSは、
    mM/mS≧1.38
    を満たし、
    前記光源と前記入射光学系の間隔を保持する保持部材の線膨張係数Z[1/K]は、
    3.05×10−5≦Z≦9.50×10−5
    を満たし、
    前記入射光学系の主走査方向の屈折パワーφnMと回折パワーφdMの比φnM/φdMが、
    A(Z)=(1.897×10)Z+6744Z+0.5255
    B(Z)=(2.964×10)Z+5645Z+0.6494
    C(Z)=(3.270×10)Z+3589Z+0.5250
    D(Z)=(5.016×10)Z+4571Z+0.8139
    g1(fi)=fi{D(Z)−B(Z)}/12−5D(Z)/6+11B(Z)/6
    g2(fi)=fi{C(Z)−D(Z)}/12−5C(Z)/6+11A(Z)/6
    としたとき、前記焦点距離fiの範囲で、
    g2(fi)≦φnM/φdM≦g1(fi)
    を満たすことを特徴とする走査光学装置。
  2. 前記入射光学系は、回転対称回折面を前記光源に最も近い側のレンズ面に有し、アナモルフィック屈折面を光ビームが射出する側のレンズ面に有することを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
  3. 前記線膨張係数Zの範囲は、
    3.05×10−5≦Z≦7.40×10−5
    であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の走査光学装置。
  4. 前記入射光学系は、1枚の樹脂レンズからなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の走査光学装置。
  5. 基準温度を25℃として、温度変化±30℃での主像面シフト量が1[mm]以内、副像面シフト量が4[mm]以内であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の走査光学装置。
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