JP2014232254A - 光走査装置及びこれを用いた画像形成装置 - Google Patents

光走査装置及びこれを用いた画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】走査レンズの生産性を良好とし、光学性能の安定化を図る。
【解決手段】光走査装置は、レーザー光を発する半導体レーザー21と、レーザー光を偏向し走査させるMEMSミラー24と、レーザー光Bをポリゴンミラー26に入射させるコリメータレンズ23及びシリンドリカルレンズ24と、入射側の第1面R1及び出射側の第2面R2とを有する1枚の走査レンズ25Aとを備える。第1面R1は平面であり、第2面R2は非球面である。第1面R1には回折格子Dが形成された回折パワー面である。第2面R2は、光軸AX付近の近軸における主走査断面形状が前記レーザー光の進行方向に対して凹面C1であるレンズパワー面である。そして、第1面R1の近軸における主走査方向のパワーをφ1、第2面R2の近軸における主走査方向のパワーをφ2とするとき、
−4.5<φ1/φ2<−0.5
の条件を満たす。
【選択図】図2

Description

本発明は、光線を被走査面上に結像させる走査レンズを備えた光走査装置、及びこれを用いた画像形成装置に関する。
例えばレーザープリンターや複写機等に用いられる一般的な光走査装置は、レーザー光を発する光源と、前記レーザー光を偏向し該レーザー光によって被走査面を走査させる偏向体と、偏向された前記レーザー光を感光体ドラムの周面(被走査面)上に結像させる走査レンズとを含む。前記走査レンズは、前記レーザー光による前記被走査面の走査を等速で行わせる補正機能を有する。また、当該走査レンズは、樹脂材料を用いた金型モールド成形にて製造されるのが一般的である。
前記走査レンズは、複数枚のレンズで構成される場合もあるが、装置のコンパクト化や低コスト化等の目的で、1枚のレンズで構成される場合もある。特許文献1には、走査レンズが1枚で構成される光走査装置において、当該走査レンズの入射面の主走査断面の形状を非球面とし、出射面に回折格子を形成する設計技術が開示されている。
特開2000−221434号公報
しかしながら、上記特許文献1の光走査装置においては、走査レンズの偏肉比、すなわち、走査レンズの主走査方向における中心レンズ厚さに対する端部レンズ厚さの比についての考慮がなされていない。特許文献1に例示されている走査レンズの光軸方向の厚みは、主走査方向の中心部から端部に向かうにつれ薄くなっており、偏肉比が小さい(中心部と端部とで厚みの差が大きい)。このように偏肉比が小さい走査レンズをモールド成形で製造すると、成形毎に形状が微小に変動し易くなる。このため、成形された走査レンズ間で光学性能が安定しなくなる。この問題は、モールド成形において、注型時間及び冷却時間を長くすることで解消可能である。しかしながら、当然に生産性が悪化するという問題が生じる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、走査レンズの光学性能の安定化を図ることができる光走査装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明の一の局面に係る光走査装置は、光線を発する光源と、前記光源から発せられる光線を偏向すると共に、前記光線で被走査面上を主走査方向に走査させる偏向体と、前記光源から発せられる光線を、収束光として前記偏向体に入射させる入射光学系と、前記偏向体と対向する第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、前記偏向された光線を前記被走査面上に結像させる1枚の走査レンズと、を備え、前記第1面又は前記第2面のいずれか一方の面が、回折格子が形成される回折パワー面とされ、前記回折パワー面以外の他方の面が非球面形状を備えるレンズパワー面とされ、前記レンズパワー面が前記第2面であるとき、該レンズパワー面は、近軸における主走査断面形状が前記光線の進行方向に対して凹面であり、前記レンズパワー面が前記第1面であるとき、該レンズパワー面は、近軸における主走査断面形状が前記光線の進行方向に対して凸面であり、前記第1面の近軸における主走査方向のパワーをφ1、前記第2面の近軸における主走査方向のパワーをφ2とするとき、
−4.5<φ1/φ2<−0.5
の条件を満たす。
この構成によれば、走査レンズに回折パワー面を具備させることによって、回折格子のパワーにて光線を屈折させることができるので、当該回折パワー面が形成される面の、面自体の形状を単純化することができる。さらに、上記レンズパワー面を有し、且つ、上記の「−4.5<φ1/φ2<−0.5」との条件を満たすことによって、走査レンズの主走査断面における光軸方向のレンズ厚が、レンズ端部において薄くならないようにすることができる。このことは、走査レンズの偏肉比を可及的に1に近づけることに繋がる。つまり、走査レンズの厚みを主走査方向において略均一化できるようになる。従って、走査レンズを安定的に成形できるようになり、光学性能のロッド間ばらつきを低減できるようになる。
本発明の他の局面に係る光走査装置は、光線を発する光源と、前記光源から発せられる光線を偏向すると共に、前記光線で被走査面上を主走査方向に走査させる偏向体と、前記光源から発せられる光線を、収束光として前記偏向体に入射させる入射光学系と、前記偏向体と対向する第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、前記偏向された光線を前記被走査面上に結像させる1枚の走査レンズと、を備え、前記第1面又は前記第2面のいずれか一方の面が、回折格子が形成される回折パワー面とされ、前記回折パワー面以外の他方の面が非球面形状を備えるレンズパワー面とされ、前記レンズパワー面が前記第2面であるとき、該レンズパワー面は、近軸における主走査断面形状が前記光線の進行方向に対して凸面であり、前記レンズパワー面が前記第1面であるとき、該レンズパワー面は、近軸における主走査断面形状が前記光線の進行方向に対して凹面であり、前記第1面の近軸における主走査方向のパワーをφ1、前記第2面の近軸における主走査方向のパワーをφ2とするとき、
0.5<φ1/φ2<2.0
の条件を満たす。
この構成によれば、走査レンズに回折パワー面を具備させることによって、回折格子のパワーにて光線を屈折させることができるので、当該回折パワー面が形成される面の、面自体の形状を単純化することができる。さらに、上記レンズパワー面を有し、且つ、上記の「0.5<φ1/φ2<2.0」との条件を満たすことによって、走査レンズの主走査断面における光軸方向のレンズ厚が、レンズ端部において薄くならないようにすることができる。このことは、走査レンズの偏肉比を可及的に1に近づけることに繋がる。つまり、走査レンズの厚みを主走査方向において略均一化できるようになる。従って、走査レンズを安定的に成形できるようになり、光学性能のロッド間ばらつきを低減できるようになる。
上記構成において、前記回折パワー面とされた、前記第1面又は前記第2面のいずれか一方の面の面形状が平面であることが望ましい。
この構成によれば、回折パワー面とされた面の面形状が平面であるので、走査レンズの偏肉比を可及的に1に近づけることができる。
上記構成において、前記回折パワー面とされた、前記第1面又は前記第2面のいずれか一方の面の面形状が、主走査方向にパワーを有する面形状であることが望ましい。
この構成によれば、走査レンズの偏肉比を可及的に1に近づけつつも、回折パワー面とされた面の面自体が有するパワーによって光路長を短くすることができる。従って、光走査装置の一層の小型化に寄与することができる。
上記構成において、前記偏向体が、回転軸と、該回転軸の軸回りに揺動するミラー部とを備える揺動型偏向体であることが望ましい。この場合、前記走査レンズが、アークサイン補正機能を備えることが望ましい。
これらの構成によれば、偏向体の小型化が図れると共に、当該揺動型偏向体を用いた場合における等速走査を確保することができる。
上記構成において、前記入射光学系はコリメータレンズを含み、該コリメータレンズが前記収束光を生成するパワーを有することが望ましい。
この構成によれば、前記入射光学系における前記収束光の生成を容易に行わせることができる。
本発明のさらに他の局面に係る画像形成装置は、静電潜像を担持する像担持体と、前記像担持体の周面を前記被走査面として光線を照射する、上記に記載の光走査装置と、を備える。
本発明によれば、走査レンズの生産性が良好で、しかも走査レンズの光学性能の安定化を図ることができる光走査装置及び画像形成装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。 第1実施形態に係る光走査装置の主走査断面の構成を示す光路図である。 偏向体(MEMSミラー)の概略的な正面図である。 第1実施形態に係る走査レンズの主走査断面図である。 第1実施形態の変形例に係る走査レンズの主走査断面図である。 第1実施形態に係る走査レンズの偏肉比を示すグラフである。 実施例1の走査光学系を備えた光走査装置のリニアリティを示すグラフである。 実施例1の走査光学系を備えた光走査装置の主走査方向の像面湾曲を示すグラフである。 実施例1の走査光学系を備えた光走査装置の副走査方向の像面湾曲を示すグラフである。 (A)は、第1面/第2面のパワー比φ1/φ2とコリメータレンズの集光点との関係を示すグラフ、(B)は、コリメータレンズの集光点を示す図である。 第2実施形態に係る光走査装置の主走査断面の構成を示す光路図である。 第2実施形態に係る走査レンズの偏肉比を示すグラフである。 実施例2の走査光学系を備えた光走査装置のリニアリティを示すグラフである。 実施例2の走査光学系を備えた光走査装置の主走査方向の像面湾曲を示すグラフである。 実施例2の走査光学系を備えた光走査装置の副走査方向の像面湾曲を示すグラフである。 第3実施形態に係る光走査装置の主走査断面の構成を示す光路図である。 第3実施形態に係る走査レンズの主走査断面図である。 第3実施形態の変形例に係る走査レンズの主走査断面図である。 第3実施形態に係る走査レンズの偏肉比を示すグラフである。 実施例3の走査光学系を備えた光走査装置のリニアリティを示すグラフである。 実施例3の走査光学系を備えた光走査装置の主走査方向の像面湾曲を示すグラフである。 実施例3の走査光学系を備えた光走査装置の副走査方向の像面湾曲を示すグラフである。 第3実施形態に係る走査レンズの、第1面/第2面のパワー比φ1/φ2とコリメータレンズの集光点との関係を示すグラフである。 第4実施形態に係る光走査装置の主走査断面の構成を示す光路図である。 第4実施形態に係る走査レンズの偏肉比を示すグラフである。 実施例4の走査光学系を備えた光走査装置のリニアリティを示すグラフである。 実施例4走査光学系を備えた光走査装置の主走査方向の像面湾曲を示すグラフである。 実施例4の走査光学系を備えた光走査装置の副走査方向の像面湾曲を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態に係る光走査装置について図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る光走査装置11を含む画像形成装置1の構成を概略的に示した断面図である。画像形成装置1は、光走査装置11、現像器12、帯電器13、感光体ドラム14(像担持体)、転写ローラー15、定着器16及び給紙カセット17を備えている。
感光体ドラム14は、円筒状の部材であり、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム14は、図略のモーターからの駆動力を受けて、図1における時計回りの方向に回転される。帯電器13は、感光体ドラム14の表面を略一様に帯電する。
光走査装置11は、レーザーダイオード等の光源、偏向体、走査レンズ及び光学素子等を備え、帯電器13によって略一様に帯電された感光体ドラム14の周面(被走査面)に対して、画像データに応じたレーザー光を照射して、画像データの静電潜像を形成する。この光走査装置11については、後記で詳述する。
現像器12は、静電潜像が形成された感光体ドラム14の周面にトナーを供給してトナー像を形成する。現像器12は、トナーを担持する現像ローラー、及びトナーを攪拌しつつ搬送するスクリューを含む。感光体ドラム14に形成されたトナー像は、給紙カセット17から繰り出され搬送路Pを搬送される記録紙に転写される。この現像器12には、図略のトナーコンテナからトナーが補給される。
感光体ドラム14の下方には転写ローラー15が対向して配設され、両者によって転写ニップ部が形成されている。転写ローラー15は、導電性を有するゴム材料等で構成されると共に転写バイアスが与えられ、感光体ドラム14に形成されたトナー像を前記記録紙に転写させる。
定着器16は、ヒーターを内蔵する定着ローラー160と、該定着ローラー160と定着ニップ部を形成する加圧ローラー161とを備える。前記定着ニップ部を、トナー像が形成された記録紙が通過することにより、トナー像が記録紙に定着される。
次に、画像形成装置1の画像形成動作について簡単に説明する。先ず、帯電器13により感光体ドラム14の表面が略均一に帯電される。帯電された感光体ドラム14の周面が、光走査装置11により露光され、記録紙に形成する画像の静電潜像が感光体ドラム14の表面に形成される。この静電潜像が、現像器12から感光体ドラム14の周面にトナーが供給されることにより、トナー像として顕在化される。一方、給紙カセット17からは記録紙が搬送路170に繰り出される。前記トナー像は、前記転写ニップ部を記録紙が通過することにより、当該記録紙に転写される。この転写動作が行われた後、記録紙は定着器16(前記定着ニップ部)に搬送され、記録紙にトナー像が固着される。
<第1実施形態>
以下、上述の光走査装置11のいくつかの具体的実施形態について説明する。図2は、第1実施形態に係る光走査装置11Aの主走査断面の構成を示す平面図である。光走査装置11Aは、半導体レーザー21(光源)、コリメータレンズ22、シリンドリカルレンズ23、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー24(偏向体/揺動型偏向体)及び走査レンズ25Aを備える。本実施形態の光走査装置11Aは、走査レンズが1枚のレンズのみで構成されている(後述する他の実施形態でも同じ)。
半導体レーザー21は、所定の波長のレーザー光(光線)を発する光源である。コリメータレンズ22は、半導体レーザー21から発せられ拡散するレーザー光を収束光に変換する。シリンドリカルレンズ23は、コリメータレンズ22から出射されたレーザー光を主走査方向に長い線状光に変換してMEMSミラー24に結像させる。本実施形態では、コリメータレンズ22及びシリンドリカルレンズ23によって、レーザー光を収束光としてMEMSミラー24に入射させる入射光学系が構成されている。この入射光学系は、主走査平面において、MEMSミラー24から感光体ドラム14の周面14S(被走査面)に至る反射光線と交差しないよう、MEMSミラー24の斜め方向に配置されている(斜入射光学系)。なお、前記入射光学系を、光軸を含む副走査断面内に配置する所謂センター入射光学系としても良い。
MEMSミラー24は、半導体レーザー21から発せられたレーザー光を偏向(反射)すると共に、偏向したレーザー光によって感光体ドラム14の周面14Sを走査させる。図3は、MEMSミラー24の概略的な正面図である。MEMSミラー24は、正弦揺動方式のミラーであって、シリコン等の半導体基板に機械駆動部品が搭載されたMEMS基板240と、レーザー光を反射するミラー部241と、ミラー部241を挟むように配置され該ミラー部241を支持する一対のトーションバー242(回転軸)とを含む。MEMS基板240には矩形の窓部240Wが備えられ、この窓部240Wの内周縁でトーションバー242が保持されている。一対のトーションバー242の軸心が、ミラー部241の揺動軸となる。
ミラー部241には、外部から通電可能なコイルが搭載されている。また、MEMS基板240にはマグネットが搭載されている。前記コイルには交流電流が通電され、この電流と前記マグネットの磁界とで生成されるローレンツ力によって、ミラー部241がトーションバー242の軸回りに往復揺動する。この揺動は、印加される交流電圧の周波数に依存する。本実施形態では、MEMSミラー24は正弦揺動方式で駆動される。従って、ミラー部241のコイルには、所定周波数の基本正弦波の電圧が印加される。この正弦波電圧の印加によってミラー部241は揺動軸24Sの軸回りに揺動し、レーザー光を偏向し、該レーザー光によって周面14Sを走査させることができる。
走査レンズ25Aは、MEMSミラー24によって偏向されたレーザー光を集光し、感光体ドラム14の周面14Sに結像させる。上述の通り、MEMSミラー24は正弦揺動方式で駆動される偏向体であるため、前記レーザー光によって周面14Sを等速で走査させるためには、アークサイン補正機能を有するレンズを走査レンズとして用いる必要がある。従って、走査レンズ25Aは、アークサイン特性を有している。すなわち、焦点距離をf、像高をyとするとき、y=f・arcsinθとなる特性を、走査レンズ25Aは有している。
走査レンズ25Aは、透光性樹脂材料を用いた金型モールド成形にて製造されている。このため、走査レンズ25Aが偏肉比の小さいレンズである場合、すなわち、走査レンズ25Aの主走査方向における中心レンズ厚さに対する端部レンズ厚さの比が小さいレンズ設計である場合、成形毎にレンズ形状が微小に変動し易くなり、成形された複数の走査レンズ間で光学性能が安定しなくなる。とりわけ、アークサイン特性を有する走査レンズは、一般的な走査レンズであるfθレンズに比べて、像高端部に到達する光を大きく屈折させる必要があるため、走査レンズの主走査方向端部付近のレンズ面の曲率が大きくなる傾向がある。この傾向は、走査レンズを1枚のレンズで構成する走査光学系においては一層顕著となり、結果として前記偏肉比が小さくなる。このため、本実施形態では、走査レンズ25Aの偏肉比を可及的に1に近づける工夫が為されている。
図4は、走査レンズ25Aの主走査断面図である。走査レンズ25Aは、MEMSミラー24と対向する第1面R1と、この第1面R1とは反対の面であって周面14Sと対向する第2面R2とを備える。第1面R1は、レーザー光が入射する入射面であり、第2面R2は、前記レーザー光が出射する出射面である。
図4(図2)では、第1面R1(一方の面)は平面であり、第2面R2(他方の面)は非球面である走査レンズ25Aを例示している。第1面R1には回折格子Dが形成され、これにより当該第1面R1は回折による光学的パワーを有する回折パワー面とされている。一方、第2面R2は、前記非球面の形状によって作られる光学的パワーを有するレンズパワー面とされている。
第1面R1の回折格子Dは、例えば、光軸AXを中心にして同心円状(同心円弧状)に切削された複数の溝又はフォトリソグラフィにより形成された複数の凸条からなる。或いは、回折格子Dは、副走査方向に直線状に延びる複数の溝又は凸条であっても良い。当該回折格子Dの主走査断面の形状は、鋸歯状又は階段状である。前記溝又は凸条の間隔(格子間隔)は、光軸AXからレンズの主走査方向端部に向かうに伴って小さくなっている。回折格子Dは、主走査方向において、第1面R1に入射するレーザー光を収束光とするパワーを有している。すなわち、半導体レーザー21が発するレーザー光は、回折格子Dを通過する際に当該レーザー光の波長により定まる回折特性により回折されるが、この回折によって収束光が作られるように回折格子Dが形成されている。
このように、走査レンズ25Aに回折パワー面を具備させることによって、回折格子Dのパワーにてレーザー光を実質的に屈折させることができる。このため、当該回折パワー面が形成される面の、面自体の形状を単純化することができる。すなわち、第1面R1を平面とすることができる。
第2面R2のレンズパワー面は、光軸AX付近の近軸における主走査断面形状が前記レーザー光の進行方向に対して凹面C1である。凹面C1の主走査方向の両サイドには変曲点Pが存在し、それぞれその先に凸面C2が連なっている。すなわち、レンズパワー面は、主走査断面で見て、近軸付近の凹面C1と、この凹面31を両サイドから挟む2つの凸面C2とを有している。
以上の通り、第1面R1が平面状で、第2面R2の近軸付近が凹面C1であるレンズ形状を有するので、走査レンズ25Aは、光軸AX方向のレンズ厚さがレンズ端部に向かうに従って薄くなることを抑止できる。このことは、走査レンズ25Aの前記レンズ厚さを、主走査方向において大きく変化させずに済むということに繋がる。つまり、走査レンズ25Aの偏肉比を従来よりも大きくすることができ、その結果、可及的に1に近づけることができるようになる。従って、走査レンズ25Aを安定的に成形でき、光学性能のロッド間ばらつきを低減できるようになる。
図5は、第1実施形態の変形例に係る走査レンズ250Aの主走査断面図である。走査レンズ250Aは、図4の走査レンズ25Aとは逆に、第2面R2が平面であって、この第2面R2に回折格子Dが形成されている例を示している。第1面R1は非球面である。これにより第2面R2が回折による光学的パワーを有する回折パワー面とされ、第1面R1が、前記非球面の形状によって作られる光学的パワーを有するレンズパワー面とされている。この場合、該レンズパワー面は、近軸における主走査断面形状が前記レーザー光の進行方向に対して凸面C2である。そして、凸面C2の主走査方向の両サイドには変曲点Pが存在し、それぞれその先に凹面C1が連なっている。このように、回折格子Dを有する回折パワー面は、第1面R1又は第2面R2のいずれに配置しても良い。
上述の通り、本実施形態のコリメータレンズ22は、レーザー光を収束光に変換する光学的パワーを有している。これにより、走査光学系の光路長を短くでき、光走査装置11Aのコンパクト化を図ることができる利点がある。このような光学構成を有する本実施形態において、第1面R1と第2面R2とのパワー比が、偏肉比の変動を小さくすることができる範囲に選ばれる。すなわち、第1面R1の近軸における主走査方向のパワーをφ1、第2面R2の近軸における主走査方向のパワーをφ2とするとき、
−4.5<φ1/φ2<−0.5 ・・・(1)
の条件を満たすように、第1面R1と第2面R2とのパワー比が設定される。
上記(1)式の条件を満たすことによって、走査レンズ25Aにコリメータレンズ22を介して収束光が入射される場合でも、所期の光学特性を満たしつつ、前記偏肉比を可及的に1に近づけることができる。上記所期の光学特性は、例えば、リニアリティが±1mm以内、像面湾曲が±1mm以内という条件を満たす光学特性である。また、偏肉比の変動が小さいとは、例えば、主走査方向における中心レンズ厚さを1とするとき、端部レンズ厚さが0.7以上(偏肉比>0.7)の場合である。なお、コリメータレンズ22のバックフォーカスFb(図10(B)に示すように、コリメータレンズ22の像側レンズ面から集光点までの距離)が短すぎると、上記光学特性が悪化する傾向がある。このため、コリメータレンズ22のバックフォーカスFbは、200mm以上とすることが望ましい。このように、走査レンズ25Aに回折パワー面及びレンズパワー面を具備させ、且つ、上記(1)式を満たすことによって、走査レンズ25Aの主走査断面における光軸方向のレンズ厚が、レンズ端部において薄くならないようにすることができる。
次に、上記実施形態1に係る光走査装置11Aの要件を満たす走査光学系のコンストラクションデータの一例を、実施例1として示す。実施例1の走査光学系は、図2に示す通り、半導体レーザー21側から順に、1枚のコリメータレンズ22、1枚のシリンドリカルレンズ23、MEMSミラー24及び1枚の走査レンズ25Aが配置された構成である。また、実施例1の走査光学系における各レンズの光学性能及び走査レンズ25Aの第1面R1、第2面R2の面形状は表1の通りである。
Figure 2014232254
表1において、fは焦点距離、Fbはコリメータレンズ22のバックフォーカス、「偏向器−走査レンズ距離」は、走査レンズ25Aの第1面R1とMEMSミラー24(ミラー部241)との間の距離、「走査レンズ−像面距離」は、走査レンズ25Aの第2面R2と感光体ドラム14の周面14Sとの間の距離、dは光軸上における走査レンズ25Aのレンズ厚さ(中心厚さ)をそれぞれ表しており、これらの単位はミリメートルである。nは屈折率を示す。また、表1において、「R1」欄は、走査レンズ25Aの第1面R1(入射面)の面形状を、「R2」欄は第2面R2(出射面)の面形状を各々示している。この実施例1では、回折格子Dは第1面R1に形成され、第1面R1自体はレンズパワーを備えていない。なお、Rmは主走査曲率半径、Rsは副走査曲率半径、Kは主走査コーニック係数、An及びBn(nは整数)は面形状の高次の係数、Cnは位相多項式係数を示している。以上の設計は、MEMSミラー24の最大振り角を100°として為されたものである。
第1面R1及び第2面R2の面形状は、面頂点を原点、副走査方向をx軸、主走査方向をy軸、周面14Sに向かう向きをz軸の正の方向(光軸方向)とするローカルな直交座標系(x,y,z)を用い、以下のサグ量を示す数式により定義する。但し、Zm(主走査方向)、Zs(副走査方向)は、高さyの位置でのz軸方向の変位量(面頂点基準)、yは、z軸に対して垂直な方向の高さ(Y2=x2+y2)である。
サグ量Sag=Zm+Zs
主走査方向の面形状Zm
Figure 2014232254

副走査方向の面形状Zs(以下に示す楕円)
Figure 2014232254

但し、Ry:主走査曲率半径
:副走査曲率半径
K :主走査コーニック係数
Kx:副走査コーニック係数
2i、B2i:面形状の高次の係数
回折格子の位相関数の式は、次式で示される。
Figure 2014232254

但し、C5〜C44:位相多項式係数
λ:レーザー光の波長(実施例1では780μm)
実施例1では、回折光として1次回折光を用いた(後述の実施例2〜4も同じ)。格子の高さhは、回折次数をm、屈折率をn、波長をλとするとき、
h=m・n・λ=1・1.504・0.78=1.17(μm)
となる。
図6は、実施例1の走査レンズ25Aの主走査断面における偏肉比を示すグラフである。ここでは、主走査方向の中心における走査レンズ25Aのレンズ厚さ(中心厚さ)を1としたときの、レンズ幅方向における厚さ比率を示している。図6から明らかな通り、走査レンズ25Aの主走査方向端部のレンズ厚さの、前記中心厚さに対する比率は0.9程度である。このように、第1面R1に回折格子Dを形成することによって、主走査方向端部のレンズ厚さを十分な厚さに設定できている。走査レンズを安定的に成形し、生産性を向上させるためには、前記中心厚さに対する端部レンズ厚さの比率は、0.4以上とすることが望ましく、より成形性を安定させるためには前記比率を0.7以上とすることが望ましい。実施例1の走査レンズ25Aは、当該望ましい要件を満足する、生産性に優れたレンズであると言うことができる。
図7は、実施例1の走査光学系を備えた光走査装置のリニアリティを示すグラフ、図8、図9は、それぞれ当該光走査装置の主走査方向、副走査方向の像面湾曲を示すグラフである。図7〜図9のグラフから明らかな通り、リニアリティ及び像面湾曲は、いずれも±1mm以下の低いレベルに抑制されており、実用上問題が無い光学性能を有することが確認された。
図10(A)は、第1面R1/第2面R2のパワー比φ1/φ2とコリメータレンズ22の集光点との関係を示すグラフ、図10(B)は、コリメータレンズ22の集光点を示す図である。コリメータレンズ22は、半導体レーザーから入射された拡散レーザー光を屈折させ、収束光に変換して集光点に結像させる光学的パワーを有している。図10(B)に示すように、コリメータレンズ22の像側の面から集光点までの距離がバックフォーカスFbである。
図10(A)は、上記実施例1の光学構成において、コリメータレンズ22のバックフォーカスFbだけを変化させたときの、第1面R1と第2面R2とのパワー比φ1/φ2の変化を示すグラフである。すなわち、バックフォーカスFbを200mm、300mm、400mm及び無限大に変化させたときの、パワー比φ1/φ2の変化を示すグラフである。この変化範囲において、リニアリティ及び像面湾曲は、いずれも±1mm以下の低いレベルであることが確認されている。この結果から明らかな通り、φ1/φ2が−4.5〜−0.5の範囲内(上記(1)式の範囲内)であれば、上述の偏肉比を小さくするという要請を満足した上で、走査レンズ25Aに収束光を入射した場合において所望の光学特性を満足させることができる。因みに、上記実施例1では、コリメータレンズ22のバックフォーカスFb=235mmであり、φ1/φ2は概ね−1であって、上記(1)式の範囲内である。
<第2実施形態>
図11は、第2実施形態に係る光走査装置11Bの主走査断面の構成を示す平面図である。光走査装置11Bは、半導体レーザー21、コリメータレンズ22、シリンドリカルレンズ23、MEMSミラー24及び走査レンズ25Bを備える。第1実施形態と相違する点は、走査レンズ25Bの第1面R1が、平面ではなく非球面とされている点である。回折格子Dは、この第1面R1に形成されている。すなわち、この第2実施形態では、第1面R1は主走査方向にレンズパワーが付加された回折パワー面である。第2面R2は、第1実施形態と同様に非球面形状を備えるレンズパワー面である。第2実施形態によれば、走査レンズ25Bの偏肉比を可及的に1に近づけつつも、回折パワー面とされた第1面R1の面自体が有するパワーによって光路長を短くすることができる。従って、光走査装置の一層の小型化に寄与することができる。
上記実施形態2に係る光走査装置11Bの要件を満たす走査光学系のコンストラクションデータの一例を、実施例2として示す。実施例2の走査光学系は、図11に示す通り、半導体レーザー21側から順に、1枚のコリメータレンズ22、1枚のシリンドリカルレンズ23、MEMSミラー24及び1枚の走査レンズ25Bが配置された構成である。また、実施例2の走査光学系における各レンズの光学性能及び走査レンズ25Bの第1面R1、第2面R2の面形状は表2の通りである。
Figure 2014232254
表2における符号及び単位等は、先に表1について説明したものと同じである。実施例2は、コリメータレンズ22のバックフォーカスFbが320mmである点、回折格子Dが形成される第1面R1自体が主走査方向にレンズパワーを備えている点などにおいて、先の実施例1とは異なっている。なお、第1面R1及び第2面R2の面形状は、先に示した条件式(2)及び(3)のサグ量を示す数式により定義される。また、回折格子の位相関数は、上記の条件式(4)で示される。以上の設計は、MEMSミラー24の最大振り角を100°として為されたものである。
図12は、実施例2の走査レンズ25Bの主走査断面における偏肉比を示すグラフである。ここでは、主走査方向の中心における走査レンズ25Bのレンズ厚さ(中心厚さ)を1としたときの、レンズ幅方向における厚さ比率を示している。図12から明らかな通り、走査レンズ25Bの主走査方向端部のレンズ厚さの、前記中心厚さに対する比率は0.8程度である。このように、第1面R1に回折格子Dを形成することによって、主走査方向端部のレンズ厚さを十分な厚さに設定できている。
図13は、実施例2の走査光学系を備えた光走査装置のリニアリティを示すグラフ、図14、図15は、それぞれ当該光走査装置の主走査方向、副走査方向の像面湾曲を示すグラフである。図13〜図15のグラフから明らかな通り、リニアリティ及び像面湾曲は、いずれも±1mm以下の低いレベルに抑制されており、実用上問題が無い光学性能を有することが確認された。
また、走査レンズ25Bの第1面R1と第2面R2とのパワー比φ1/φ2は−0.8であり、上記(1)式の範囲内である。
<第3実施形態>
図16は、第3実施形態に係る光走査装置11Cの主走査断面の構成を示す平面図である。光走査装置11Cは、レーザー光を発する半導体レーザー21、レーザー光を収束光に変換する光学的パワーを有するコリメータレンズ22、シリンドリカルレンズ23、偏向体としてのMEMSミラー24及び走査レンズ25Cを備える。第1実施形態と相違する点は、走査レンズ25Cの第2面R2が、近軸における主走査断面形状がレーザー光の進行方向に対して凸面である点である。以下、走査レンズ25Cについて詳述する。
図17は、走査レンズ25Cの主走査断面図である。走査レンズ25Cは、MEMSミラー24と対向する第1面R1と、この第1面R1とは反対の面であって周面14Sと対向する第2面R2とを備える。第1面R1は、レーザー光が入射する入射面であり、第2面R2は、前記レーザー光が出射する出射面である。
図17では、第1面R1(一方の面)は平面状であり、第2面R2(他方の面)は非球面である走査レンズ25Aを例示している。第1面R1には回折格子Dが形成され、これにより当該第1面R1は回折による光学的パワーを有する回折パワー面とされている。一方、第2面R2は、前記非球面の形状によって作られる光学的パワーを有するレンズパワー面とされている。第1面R1の回折格子Dは、先に第1実施形態において説明したものと同じであり、主走査方向において、第1面R1に入射するレーザー光を収束光とするパワーを有している。
第2面R2のレンズパワー面は、光軸AX付近の近軸における主走査断面形状が前記レーザー光の進行方向に対して凸面C2である。この近軸の凸面C2が、走査レンズ25Cにおいて光軸方向に最もレンズ厚さが厚い領域であり、レンズ端部に向けて徐々にレンズ厚さが薄くなっている。しかし、第1面R1は平面であって回折格子Dのパワーに依存する面であることから、走査レンズ25Cのレンズ厚さを、主走査方向において大きく変化させずに済む。つまり、走査レンズ25Cの偏肉比を可及的に1に近づけることができるようになる。従って、走査レンズ25Cを安定的に成形でき、光学性能のロッド間ばらつきを低減できる。
図18は、第3実施形態の変形例に係る走査レンズ250Cの主走査断面図である。走査レンズ250Cは、図17の走査レンズ25Cとは逆に、第2面R2が平面であって、この第2面R2に回折格子Dが形成されている例を示している。第1面R1は非球面である。これにより第2面R2が回折による光学的パワーを有する回折パワー面とされ、第1面R1が、前記非球面の形状によって作られる光学的パワーを有するレンズパワー面とされている。この場合、該レンズパワー面は、近軸における主走査断面形状が前記レーザー光の進行方向に対して凹面C1である。このように、回折格子Dを有する回折パワー面は、第1面R1又は第2面R2のいずれに配置しても良い。
上述の通り、本実施形態のコリメータレンズ22は、レーザー光を収束光に変換する光学的パワーを有している。これにより、走査光学系の光路長を短くでき、光走査装置11Cのコンパクト化を図ることができる利点がある。このような光学構成を有する第3実施形態において、第1面R1と第2面R2とのパワー比が、走査レンズ25Cの偏肉比の変動を小さくすることができる範囲に選ばれる。すなわち、第1面R1の近軸における主走査方向のパワーをφ1、第2面R2の近軸における主走査方向のパワーをφ2とするとき、
0.5<φ1/φ2<2.0 ・・・(5)
の条件を満たすように、第1面R1と第2面R2とのパワー比が設定される。
上記(5)式の条件を満たすことによって、走査レンズ25Cにコリメータレンズ22を介して収束光が入射される場合でも、所期の光学特性を満たしつつ、前記偏肉比を可及的に1に近づけることができる。上記所期の光学特性は、例えば、リニアリティが±1mm以内、像面湾曲が±1mm以内という条件を満たす光学特性である。また、偏肉比の変動が小さいとは、例えば、主走査方向における中心レンズ厚さを1とするとき、端部レンズ厚さが0.7以上(偏肉比>0.7)の場合である。このように、走査レンズ25Cに回折パワー面及びレンズパワー面を具備させ、且つ、上記(5)式を満たすことによって、走査レンズ25Cの主走査断面における光軸方向のレンズ厚が、レンズ端部において薄くならないようにすることができる。
次に、上記実施形態3に係る光走査装置11Cの要件を満たす走査光学系のコンストラクションデータの一例を、実施例3として示す。実施例3の走査光学系は、図16に示す通り、半導体レーザー21側から順に、1枚のコリメータレンズ22、1枚のシリンドリカルレンズ23、MEMSミラー24及び1枚の走査レンズ25Cが配置された構成である。回折格子Dは、走査レンズ25C第1面R1に形成されている。実施例3の走査光学系における各レンズの光学性能及び走査レンズ25Cの第1面R1、第2面R2の面形状は表3の通りである。
Figure 2014232254
表3における符号及び単位等は、先に表1について説明したものと同じである。また、第1面R1及び第2面R2の面形状は、先に示した条件式(2)及び(3)のサグ量を示す数式により定義される。また、回折格子の位相関数は、上記の条件式(4)で示される。以上の設計は、MEMSミラー24の最大振り角を50°として為されたものである。
図19は、実施例3の走査レンズ25Cの主走査断面における偏肉比を示すグラフである。ここでは、主走査方向の中心における走査レンズ25Cのレンズ厚さ(中心厚さ)を1としたときの、レンズ幅方向における厚さ比率を示している。図19から明らかな通り、走査レンズ25Cの主走査方向端部のレンズ厚さの、前記中心厚さに対する比率は0.7程度である。このように、第1面R1に回折格子Dを形成することによって、主走査方向端部のレンズ厚さを十分な厚さに設定できている。
図20は、実施例3の走査光学系を備えた光走査装置のリニアリティを示すグラフ、図21、図22は、それぞれ当該光走査装置の主走査方向、副走査方向の像面湾曲を示すグラフである。図20〜図22のグラフから明らかな通り、リニアリティ及び像面湾曲は、いずれも±1mm以下の低いレベルに抑制されており、実用上問題が無い光学性能を有することが確認された。
図23は、第1面R1/第2面R2のパワー比φ1/φ2とコリメータレンズ22の集光点との関係を示すグラフである。図23は、上記実施例3の光学構成において、コリメータレンズ22のバックフォーカスFbだけを変化させたときの、第1面R1と第2面R2とのパワー比φ1/φ2の変化を示すグラフである。すなわち、バックフォーカスFbを200mm、300mm、400mm及び無限大に変化させたときの、パワー比φ1/φ2の変化を示すグラフである。この変化範囲において、リニアリティ及び像面湾曲は、いずれも±1mm以下の低いレベルであることが確認されている。この結果から明らかな通り、φ1/φ2が0.5〜2.0の範囲内(上記(5)式の範囲内)であれば、上述の偏肉比の変動を小さくするという要請を満足した上で、走査レンズ25Cに収束光を入射した場合において所望の光学特性を満足させることができる。因みに、上記実施例3では、コリメータレンズ22のバックフォーカスFb=320mmであり、φ1/φ2は概ね0.85であって、上記(5)式の範囲内である。
<第4実施形態>
図24は、第4実施形態に係る光走査装置11Dの主走査断面の構成を示す平面図である。光走査装置11Dは、半導体レーザー21、コリメータレンズ22、シリンドリカルレンズ23、MEMSミラー24及び走査レンズ25Dを備える。第3実施形態と相違する点は、走査レンズ25Dの第1面R1が、平面ではなく非球面とされている点である。回折格子Dは、この第1面R1に形成されている。すなわち、この第4実施形態では、第1面R1は主走査方向にレンズパワーが付加された回折パワー面である。第2面R2は、第3実施形態と同様に非球面形状を備えるレンズパワー面である。
上記実施形態4に係る光走査装置11Dの要件を満たす走査光学系のコンストラクションデータの一例を、実施例4として示す。実施例4の走査光学系は、図24に示す通り、半導体レーザー21側から順に、1枚のコリメータレンズ22、1枚のシリンドリカルレンズ23、MEMSミラー24及び1枚の走査レンズ25Dが配置された構成である。また、実施例4の走査光学系における各レンズの光学性能及び走査レンズ25Dの第1面R1、第2面R2の面形状は表4の通りである。
Figure 2014232254
表4における符号及び単位等は、先に表1について説明したものと同じである。実施例4は、回折格子Dが形成される第1面R1自体が主走査方向にレンズパワーを備えている点などにおいて、先の実施例3とは異なっている。なお、第1面R1及び第2面R2の面形状は、先に示した条件式(2)及び(3)のサグ量を示す数式により定義される。また、回折格子の位相関数は、上記の条件式(4)で示される。以上の設計は、MEMSミラー24の最大振り角を50°として為されたものである。
図25は、実施例4の走査レンズ25Dの主走査断面における偏肉比を示すグラフである。ここでは、主走査方向の中心における走査レンズ25Dのレンズ厚さ(中心厚さ)を1としたときの、レンズ幅方向における厚さ比率を示している。図25から明らかな通り、走査レンズ25Dの主走査方向端部のレンズ厚さの、前記中心厚さに対する比率は0.7程度である。このように、第1面R1に回折格子Dを形成することによって、主走査方向端部のレンズ厚さを十分な厚さに設定できている。
図26は、実施例4の走査光学系を備えた光走査装置のリニアリティを示すグラフ、図27、図28は、それぞれ当該光走査装置の主走査方向、副走査方向の像面湾曲を示すグラフである。図26〜図28のグラフから明らかな通り、リニアリティ及び像面湾曲は、主走査方向及び副走査方向の双方共、±1mm以下乃至はこれと同等の低いレベルに抑制されており、実用上問題が無い光学性能を有することが確認された。また、走査レンズ25Dの第1面R1と第2面R2とのパワー比φ1/φ2は0.85であり、上記(5)式の範囲内である。
以上説明した本実施形態に係る光走査装置11A〜11Dによれば、走査レンズ25A〜25Dの光軸方向の厚みを、主走査方向において大きく変化させずに済み、当該走査レンズ25A〜25Dを安定的に成形できる。従って、走査レンズの生産性を良好にし、走査レンズの光学性能の安定化を図ることができるとともに、結像性能にも優れた光走査装置を提供できる。
1 画像形成装置
11、11A〜11D 光走査装置
14 感光体ドラム(像担持体)
14S 周面(被走査面)
21 半導体レーザー(光源)
22 コリメータレンズ(入射光学系の一部)
23 シリンドリカルレンズ(入射光学系の一部)
24 MEMSミラー(偏向体)
25 走査レンズ
R1 第1面
R2 第2面
C1 凹面
C2 凸面

Claims (8)

  1. 光線を発する光源と、
    前記光源から発せられる光線を偏向すると共に、前記光線で被走査面上を主走査方向に走査させる偏向体と、
    前記光源から発せられる光線を、収束光として前記偏向体に入射させる入射光学系と、
    前記偏向体と対向する第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、前記偏向された光線を前記被走査面上に結像させる1枚の走査レンズと、を備え、
    前記第1面又は前記第2面のいずれか一方の面が、回折格子が形成される回折パワー面とされ、前記回折パワー面以外の他方の面が非球面形状を備えるレンズパワー面とされ、
    前記レンズパワー面が前記第2面であるとき、該レンズパワー面は、近軸における主走査断面形状が前記光線の進行方向に対して凹面であり、
    前記レンズパワー面が前記第1面であるとき、該レンズパワー面は、近軸における主走査断面形状が前記光線の進行方向に対して凸面であり、
    前記第1面の近軸における主走査方向のパワーをφ1、前記第2面の近軸における主走査方向のパワーをφ2とするとき、
    −4.5<φ1/φ2<−0.5
    の条件を満たす、光走査装置。
  2. 光線を発する光源と、
    前記光源から発せられる光線を偏向すると共に、前記光線で被走査面上を主走査方向に走査させる偏向体と、
    前記光源から発せられる光線を、収束光として前記偏向体に入射させる入射光学系と、
    前記偏向体と対向する第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、前記偏向された光線を前記被走査面上に結像させる1枚の走査レンズと、を備え、
    前記第1面又は前記第2面のいずれか一方の面が、回折格子が形成される回折パワー面とされ、前記回折パワー面以外の他方の面が非球面形状を備えるレンズパワー面とされ、
    前記レンズパワー面が前記第2面であるとき、該レンズパワー面は、近軸における主走査断面形状が前記光線の進行方向に対して凸面であり、
    前記レンズパワー面が前記第1面であるとき、該レンズパワー面は、近軸における主走査断面形状が前記光線の進行方向に対して凹面であり、
    前記第1面の近軸における主走査方向のパワーをφ1、前記第2面の近軸における主走査方向のパワーをφ2とするとき、
    0.5<φ1/φ2<2.0
    の条件を満たす、光走査装置。
  3. 請求項1又は2に記載の光走査装置において、
    前記回折パワー面とされた、前記第1面又は前記第2面のいずれか一方の面の面形状が平面である、光走査装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光走査装置において、
    前記回折パワー面とされた、前記第1面又は前記第2面のいずれか一方の面の面形状が、主走査方向にパワーを有する面形状である、光走査装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光走査装置において、
    前記偏向体が、回転軸と、該回転軸の軸回りに揺動するミラー部とを備える揺動型偏向体である、光走査装置。
  6. 請求項5に記載の光走査装置において、
    前記走査レンズが、アークサイン補正機能を備える、光走査装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光走査装置において、
    前記入射光学系はコリメータレンズを含み、該コリメータレンズが前記収束光を生成するパワーを有する、光走査装置。
  8. 静電潜像を担持する像担持体と、
    前記像担持体の周面を前記被走査面として光線を照射する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光走査装置と、
    を備える画像形成装置。
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DE102015119035A1 (de) 2014-11-15 2016-05-19 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Brennstoffzellensystem, Fahrzeug mit daran montierter Brennstoffzelle und Verfahren zum Steuern des Brennstoffzellensystems

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DE102015119035A1 (de) 2014-11-15 2016-05-19 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Brennstoffzellensystem, Fahrzeug mit daran montierter Brennstoffzelle und Verfahren zum Steuern des Brennstoffzellensystems

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