JP2014115187A - レーザー脱離イオン化質量分析法 - Google Patents

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Abstract

【課題】LDI質量分析法において、測定対象分子の均一で高いイオン生成量を有する基材を調製し、短時間で効率良く質の高いMSスペクトルを得ることのできるLDI質量分析法を提供する。
【解決手段】レーザー脱離イオン化質量分析法において、照射レーザー光を吸収可能な有機基を骨格に有する有機シリカ多孔体に、該有機シリカ多孔体の吸収した光エネルギーが移動可能な測定対象分子を含む試料を均一に担持させた後、レーザー光を照射し、該測定対象分子をイオン化させることを特徴とするレーザー脱離イオン化質量分析法。
【選択図】図2

Description

本発明は、レーザー脱離イオン化質量分析法に関し、更に詳しくは、レーザー光を吸収し、その吸収した光エネルギーを測定対象分子に移動させることができる有機シリカ多孔体を用いることによって、均質で再現性のよいスペクトルを取得することができるレーザー脱離イオン化質量分析法に関する。
「質量分析(mass spectrometry)(以下、「MS」と略記することがある)法」とは、測定対象分子を含む試料をイオン化し、測定対象分子由来のイオンを質量電荷比(質量/電荷(m/z))によって分離し検出することによって、その測定対象分子の化学構造に関する情報を得る方法である。
MSにおいて、試料のイオン化は、分析の可否や得られるスペクトルの質を左右する重要な過程であり、試料を効率よくイオンにするためにこれまで多くのイオン化法が開発されてきた。
特に、生体高分子のイオン化には、レーザー脱離イオン化(laser desorption/ionization)(以下、「LDI」と略記することがある)法のひとつであるマトリックス支援レーザー脱離イオン化(matrix−assisted laser desorption/ionization)(以下、「MALDI」と略記することがある)法が用いられている。このイオン化法を用いた質量分析は、NMR等に比べて測定試料の量が少なくても測定が可能であることから、バイオ分野で広く用いられている。
MALDIでは、マトリックスと呼ばれる光吸収を持つ物質の中に、測定対象となる分子(例えば、タンパク質、ペプチド、糖類等がある)を分散させ、そこにパルスレーザーを照射することでマトリックスと共に測定対象となる分子をイオン化する技術である。
使用するレーザーは紫外領域の波長を有する場合が多く、可視領域や赤外領域の波長を使用する場合もあるが、マトリックスの光吸収特性に合わせたレーザーを用いるのが一般的である。現在、最も多用されるレーザーは窒素レーザーであり、波長337nmを有する。
一方、使用するマトリックスの選択が分析の成否を決めるため、これまでに多くのマトリックスが開発され、実際にMALDIに用いられてきた。一般に、マトリックス分子は結晶性の有機分子であり、分析試料中の測定対象分子と共結晶を生成した上で、上記パルスレーザーを照射しイオン化する。近年は様々な液体マトリックスも開発されてきており、測定対象分子やそれを含有する試料に応じ様々な選択肢がある。
一般に、マトリックスと試料は良く混ざり、混合結晶又は混合物となる必要があると考えられている。この試料とマトリックスの混合結晶又は混合物の善し悪しが、感度及び質のよいスペクトルが得られるか否かに影響を与える。
更に、一見同質の混合物に見えても実際には不均一で、特に固体結晶の場合には、結晶が生成した場所すべてから測定対象分子由来のイオンが得られるわけではなく、生成した結晶のごく一部分にレーザー光を照射した場合のみ測定対象分子由来のイオンが得られる。この部分は、「スイートスポット(sweet spot)」と呼ばれ、質の高いよいマススペクトルを得るには、試料が消費されるプレスキャンや、経験によって手動でスイートスポットを探し出し、レーザー光照射を行うといった時間のかかる作業が必要となり、特に測定試料全体の自動分析には適さないのが現状であった。
液体マトリックスにおいても、固体マトリックスほどのばらつきはないが、夾雑塩等の影響でスペクトルの再現性が劣る場合や、イオン源、イオントラップ等を汚染する場合もあり、根本的な解決にはならなかった。
一方、MALDIにおける試料不均一性やマトリックス由来のクラスターイオンによるバックグランドを改善するために、マトリックスを使用しないソフトLDI−MS法が開発されてきた。そこでは、測定プレートとして用いる様々な基材が提案されている。
その中で、多孔質シリコン基板を用いる方法の一つとして、DIOS−MS(desorption/ionization−mass spectrometry on porous silicon)と呼ばれているものがある(特許文献1)。
この方法では、ナノメートルレベルの微細孔を持つ多孔質シリコン基板の表面に試料溶液を塗布し、乾燥させてから、これを質量分析装置のイオン源内に設置し、以降の操作はMALDI−MSと同様に、試料表面にレーザー光を照射することによって、質量分析が行われる。
DIOS−MSにおけるイオン化の詳細な原理は明らかではないが、ナノシリコン構造体がレーザー光を高効率で吸収し、急速に加熱されることによって、測定対象分子の瞬間的な離脱が起こると共に、該多孔質シリコン基板に結合又は吸着していた成分がイオン化して測定対象分子に電荷を受け渡すことによって、測定対象分子のイオン化が達成されるのではないかと考えられている。
DIOS−MSは、試料基板そのものをイオン化媒体として用いるため、試料の均一な塗布が比較的容易であり、MALDI−MSで問題となる妨害ピークの発生を回避できるという利点がある。
しかしながら、DIOS−MSでは、多孔質シリコンのイオン化効率は作成条件に大きく左右されること、同一の多孔質構造をもつ試料基板を再現性よく作成することが困難であること、また、測定できる分子量範囲も限られていること等の問題がある。
表面を2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHBA)やα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)で修飾したシリカゲル(非特許文献1)、4,4’−アゾ−ジアニリンで修飾したシリカゲル(非特許文献2)等をマトリックスとして利用する例もある。
しかしながら、これらの方法では、マトリックス由来の妨害ピークは発生しないものの、約1nmolの測定対象分子を検出できるに過ぎず、感度が低いという問題点があった。また、DHBA結晶を用いる通常のMALDIと異なり、固定化されたDHBAはガス相に気化することができないので、測定対象分子のイオン化効率が低下すると考えられた。
広い範囲の分子量の試料(測定対象分子)に対して、分子を壊すことなく十分な大きさの感度が得られ、ノイズがなく、レーザー照射場所に依存しない均一な感度を有したレーザー脱離イオン化質量分析法は得られていない。
従って、試料溶液を基板上に均一に塗布することができ、レーザー光を照射しても、妨害ピークやフラグメンテーションを発生せずに均一なスペクトルが得られ、高感度な測定が可能な脱離イオン化質量分析法の開発が熱望されていた。
米国特許第6288390号明細書
RapidCommun. Mass Spectrom.2001; 15: 217-223 RapidCommun. Mass Spectrom.2007; 21: 2759-2769
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、レーザー脱離イオン化質量分析法(以下、「LDI質量分析法」と略記することがある)において、測定対象分子の均一で高いイオン生成量を実現させ、短時間で効率良く、質の高いMSスペクトルを得ることのできるLDI質量分析法を提供することにある。
また、スイートスポットを探すことなく、誰でも容易に解析が可能となり、また、自動分析への応用が可能となり、高スループットのLDI質量分析法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の有機シリカ多孔体に、測定対象分子を含む試料を均一に担持させて、レーザー脱離イオン化を行うことによって、上記課題が達成されることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1]レーザー脱離イオン化質量分析法において、照射レーザー光を吸収可能な有機基を骨格に有する有機シリカ多孔体に、該有機シリカ多孔体の吸収した光エネルギーが移動可能な測定対象分子を含む試料を均一に担持させた後、レーザー光を照射し、該測定対象分子をイオン化させることを特徴とするレーザー脱離イオン化質量分析法を提供するものである。
[2]上記有機シリカ多孔体が、照射レーザー光を吸収するものであって、該有機シリカ多孔体の発光スペクトルと、上記測定対象分子の吸収スペクトルとが、少なくともある1つの波長において重なる[1]に記載のレーザー脱離イオン化質量分析法を提供するものである。
[3]上記有機シリカ多孔体が、照射レーザー光を吸収して発光するものであって、該有機シリカ多孔体の発光スペクトルと、上記測定対象分子の吸収スペクトルとが、少なくともある1つの波長において重なる[1]又は[2]に記載のレーザー脱離イオン化質量分析法を提供するものである。
[4]上記有機シリカ多孔体の発光スペクトルの短波長端の方が、上記測定対象分子の吸収スペクトルの長波長端より短波長側にあることによって、該有機シリカ多孔体の発光スペクトルと、該測定対象分子の吸収スペクトルとが、少なくともある1つの波長において重なる[2]又は[3]に記載のレーザー脱離イオン化質量分析法を提供するものである。
[5]上記有機シリカ多孔体が、光捕集アンテナ機能を有するものである[1]ないし[4]の何れかに記載のレーザー脱離イオン化質量分析法を提供するものである。
[6]上記有機シリカ多孔体が有する孔の平均直径が、1nm以上100nm以下である[1]ないし[5]の何れかに記載のレーザー脱離イオン化質量分析法を提供するものである。
[7]上記有機シリカ多孔体が有する孔の平均直径が、8nm以上80nm以下である[6]に記載のレーザー脱離イオン化分析法を提供するものである。
[8]上記測定対象分子が、分子量160以上のものである[1]ないし[7]の何れかに記載のレーザー脱離イオン化質量分析法を提供するものである。
本発明によれば、前記問題点を解消し、上記課題を解決し、均質で、再現性が良く、SN比が高いMSスペクトルを、簡便で迅速に得ることが可能である。また、自動分析への応用が可能となり、高スループットのLDI質量分析法を提供できる。
すなわち、本発明では、有機シリカ多孔体と測定対象分子との組み合わせによるエネルギー移動を利用しており、有機シリカ多孔体(エネルギー供与体)から測定対象分子(エネルギー受容体)へとエネルギーが効率よく移動できる場合にのみ、測定対象分子がイオン化されるものであり、前記したDIOS−MSのように単なる発熱のみによる脱離とは異なる。
このため、基材や夾雑によるシグナルが抑制され、測定対象分子のみを選択的にイオン化させることが可能であり、また、試料のフラグメンテーションが起こらない。
また、測定対象分子が有機シリカ多孔体に均一に担持されることから、マトリックスを用いる通常のMALDI−MSの測定法と異なりスイートスポットを探す必要がなく、誰でも容易に測定ができ、また、解析を簡便かつ迅速に行うことができる。
更に、有機シリカ多孔体の吸収した光エネルギーが、有機シリカ多孔体内に担持された測定対象分子に効率よくエネルギー移動することにより、イオン化し難い測定対象分子を、通常よりも弱い励起光でイオン化できる。
また、有機シリカは、通常の有機分子に比べ、レーザー光に対して安定であるため、有機シリカ多孔体の骨格が破壊され難く、バックグランドの低いSN比の高いデータを取得できる。
調製例1で調製され、評価例1、4で用いられた、メチルアクリドン基架橋有機シリカ多孔体(MAcd−PMO)薄膜の断面SEM写真を示す図である。 (a)調製例1で調製され、評価例1、4で用いられた、メチルアクリドン基架橋有機シリカ多孔体(MAcd−PMO)薄膜の吸収スペクトルを示す図である。 (b)調製例1で調製され、評価例1、4で用いられた、メチルアクリドン基架橋有機シリカ多孔体(MAcd−PMO)薄膜の発光スペクトルを示す図である。 調製例2で調製され、評価例3で用いられたシリカ多孔体薄膜の断面SEM写真である。 (a)調製例2で調製され、評価例3で用いられたシリカ多孔体薄膜の吸収スペクトルを示す図である。(b)調製例2で調製され、評価例3で用いられたシリカ多孔体薄膜の発光スペクトルを示す図である。 評価例1で得られた負イオンモードのマススペクトルを示す図であって、本発明における有機シリカ多孔体であるメチルアクリドン基架橋有機シリカ多孔体(MAcd−PMO)薄膜を用いて得られたマススペクトルを示す図である。 評価例5で得られたマススペクトルを示す図であって、本発明における有機シリカ多孔体を用いず、従来のマトリックス(DHBA)存在下で得られたマススペクトルを示す図である。 評価例3で得られた負イオンモードのマススペクトルを示す図である。 評価例4で得られた正イオンモードのマススペクトルを示す図である。
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の実施の具体的態様に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で任意に変形して実施することができる。
<有機シリカ多孔体>
本発明における有機シリカ多孔体は、有機シリカ化学構造を有し、照射レーザー光を吸収可能な有機基をその化学構造の骨格に有する多孔体である。
有機シリカ多孔体は、エネルギー供与体として作用し、有機シリカ多孔体の吸収した光エネルギーは測定対象分子(エネルギー受容体)に移動する。この、有機シリカ多孔体(エネルギー供与体)から測定対象分子(エネルギー受容体)へのエネルギー移動は、発光を経由しない分子間の励起エネルギー移動や電子移動が考えられるし、有機シリカ多孔体から発せられた光を測定対象分子が吸収するエネルギー移動(発光再吸収によるエネルギー移動)、すなわち、発光を経由するエネルギー移動も考えられる。
発光を経由してエネルギー移動する場合であっても、発光を経由しないでエネルギー移動する場合であっても、上記有機シリカ多孔体が、照射レーザー光を吸収するものであって、該有機シリカ多孔体の発光スペクトルと、上記測定対象分子の吸収スペクトルとが、少なくともある1つの波長において重なっていることが好ましい。このような場合、有機シリカ多孔体が吸収した光エネルギー又は有機シリカ多孔体の励起エネルギーが測定対象分子に移動し易い。
特に、発光を経由してエネルギー移動する場合、上記有機シリカ多孔体は、照射レーザー光を吸収して発光するものであり、該有機シリカ多孔体の発光スペクトルと、上記測定対象分子の吸収スペクトルとが、少なくともある1つの波長において重なっていることがより好ましい。このような場合、有機シリカ多孔体から出た光エネルギーが測定対象分子に移動し易い。
また、上記何れの場合においても、上記有機シリカ多孔体の発光スペクトルの短波長端の方が、上記測定対象分子の吸収スペクトルの長波長端より短波長側にあることによって、該有機シリカ多孔体の発光スペクトルと、該測定対象分子の吸収スペクトルとが、少なくともある1つの波長において重なっていることがより好ましい。このような場合、有機シリカ多孔体が吸収した光エネルギーが、光エネルギー又は励起エネルギーとして測定対象分子に移動し易い。
本発明において、測定対象分子を含む試料は、有機シリカ多孔体に載置されると、一部は有機シリカ多孔体が有する細孔内に入り込んで、その結果、測定対象分子は有機シリカ多孔体に(特に、有機シリカ多孔体の細孔内壁に)、大きな接触面積をもって接するようになると思われる。
このため、発光を経由してもしなくても、分子間のエネルギー移動が容易になり、上記した効果を発揮する。
本発明に使用できる有機シリカ多孔体の例としては、照射レーザー光を吸収可能な有機基を有する下記の一般式A1、A2、A3、A4、A5、A6、B、X1、X1a、X2、X3、X4、X5、X6、X6a、C、D等で表される有機ケイ素化合物(以下、「有機ケイ素化合物P」と略記する)の縮重合により得られる有機シリカ多孔体;上記有機基を有する有機ケイ素化合物Pと他の有機ケイ素化合物(照射レーザー光を吸収可能な有機基を有さなくてもよい)との共縮合により得られる有機シリカ多孔体;上記有機基を有する有機ケイ素化合物PとSi(OR11[R11はメチル基又はエチル基を示す]等で表されるケイ素化合物との共縮合により得られる有機シリカ多孔体;上記有機基を有する有機ケイ素化合物Pで表面修飾された有機シリカ多孔体;等が挙げられる。
これらのうち、レーザー光を効率良く吸収し、かつ、有機シリカ多孔体の細孔内に担持された測定対象分子に効率良く励起エネルギーを移動できる点から、架橋型有機シリカ多孔体が好ましい。
下記で詳述するが、架橋型有機シリカ多孔体では、架橋しているものは、照射レーザー光を吸収可能な有機基を有する架橋有機基であり、「架橋」されているものは、シロキサン構造、すなわち、−(Si−O)−構造である。
<<架橋型有機シリカ多孔体>>
「有機シリカ多孔体」のうちの「架橋型有機シリカ多孔体」は、好ましくは、鋳型となる界面活性剤の存在下において、前駆体である有機ケイ素化合物を重合させることによって得られる。有機ケイ素化合物は、架橋有機基を有しているので、重合させることによって、架橋型有機シリカ多孔体が得られる。
その後、鋳型となる該界面活性剤を除けば、架橋型有機シリカ多孔体が得られる。
以下に、本発明に好適に使用することができる架橋型有機シリカ多孔体の例、すなわちその前駆体となる有機ケイ素化合物の例を挙げる。なお、この例の中には重複しているものもある。
<<<架橋型有機シリカ多孔体の例(1)>>>
架橋型有機シリカ多孔体の前駆体となる有機ケイ素化合物の例としては、特開2000−219770(特許第3899733号)に記載のものが挙げられる。
すなわち、架橋型有機シリカ多孔体は、以下の一般式A1〜A6で示される化合物から選択される何れか1種類以上の有機ケイ素化合物を、好ましくは界面活性剤の存在下で縮重合させることによって得られる多孔体である。
[一般式A1中、Mは何れもケイ素原子であり、Rは、炭素原子を少なくとも1つ有し2つのケイ素原子と結合する2価の有機基であり、Rは、それぞれ異なっていてもよい炭化水素基であり、Rは、それぞれ異なっていてもよい水素、水酸基又は炭化水素基であり、mは1以上3以下の整数であり、nは0以上2以下の整数であり、m+n=3を満たす。]
[一般式A2中、Mは何れもケイ素原子であり、Rは、炭素原子を少なくとも1つ有し3つのケイ素原子と結合する3価の有機基であり、Rは、それぞれ異なっていてもよい炭化水素基であり、Rは、それぞれ異なっていてもよい水素、水酸基又は炭化水素基であり、mは1以上3以下の整数であり、nは0以上2以下の整数であり、m+n=3を満たす。]
[一般式A3中、Mは何れもケイ素原子であり、Rは、炭素原子を少なくとも1つ有し4つのケイ素原子と結合する4価の有機基であり、Rは、それぞれ異なっていてもよい炭化水素基であり、Rは、それぞれ異なっていてもよい水素、水酸基又は炭化水素基であり、mは1以上3以下の整数であり、nは0以上2以下の整数であり、m+n=3を満たす。]
[一般式A4中、Mは何れもケイ素原子であり、Xはそれぞれ異なっていてもよいハロゲン基であり、Rは、炭素原子を少なくとも1つ有し2つのケイ素原子と結合する2価の有機基であり、Rは、それぞれ異なっていてもよい水素、水酸基又は炭化水素基であり、mは1以上3以下の整数であり、nは0以上2以下の整数であり、m+n=3を満たす。]
[一般式A5中、Mは何れもケイ素原子であり、Xはそれぞれ異なっていてもよいハロゲン基であり、Rは、炭素原子を少なくとも1つ有し3つのケイ素原子と結合する3価の有機基であり、Rは、それぞれ異なっていてもよい水素、水酸基又は炭化水素基であり、mは1以上3以下の整数であり、nは0以上2以下の整数であり、m+n=3を満たす。]
[一般式A6中、Mは何れもケイ素原子であり、Xはそれぞれ異なっていてもよいハロゲン基であり、Rは、炭素原子を少なくとも1つ有し4つのケイ素原子と結合する4価の有機基であり、Rは、それぞれ異なっていてもよい水素、水酸基又は炭化水素基であり、mは1以上3以下の整数であり、nは0以上2以下の整数であり、m+n=3を満たす。]
<<<架橋型有機シリカ多孔体の例(2)>>>
また、架橋型有機シリカ多孔体の前駆体となる有機ケイ素化合物の例として、特開2008−084836に記載のものが挙げられる。
すなわち、架橋型有機シリカ多孔体は、下記一般式Bで表される有機ケイ素化合物の重合体からなる多孔体である。
上記一般式B中、Xはm価の有機基であり、本発明のLDI質量分析法において、照射レーザー光を吸収可能な有機基であり、シロキサン構造、すなわち、−(Si−O)−構造を架橋する能力を有する架橋有機基である。Xの具体例については後述する。
また、上記一般式B中、Rは、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基)、ヒドロキシル基(−OH)、アリル基(CH=CH−CH−)、エステル基(好ましくは炭素数1〜5のエステル基)及びハロゲン原子(塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子)からなる群から選択される少なくとも一つを示し、中でも縮合反応が制御し易いという観点からアルコキシ基及び/又はヒドロキシル基が好ましい。なお、同一分子中に複数のRが存在する場合、Rは同一でも異なっていてもよい。
また、上記一般式B中、Rは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)及び水素原子からなる群から選択される少なくとも一つを示す。なお、同一分子中に複数のRが存在する場合、Rは同一でも異なっていてもよい。
更に、上記一般式B中のn及び(3−n)はそれぞれケイ素原子(Si)に結合しているR及びRの数であり、nは1〜3の整数を示すが、縮合した後の構造が安定であるという点から、n=3であることが特に好ましい。
また、上記一般式B中のmは、前記有機基(X)に結合しているケイ素原子(Si)の数であり、mは1〜4の整数を示すが、安定なシロキサンネットワークを形成し易いという点から、m=2であることが特に好ましい。
m=2の場合の有機基Xの具体例を以下に示す。m=2の場合、以下、一般式Bの何れかで表される有機ケイ素化合物をA−X−Aと表記する。
ここで、Aは、一般式Bにおいて、( )で表される括弧内の基を示し、同一であっても異なっていてもよい。Aに関しては、以下同様である。
m=2の場合の有機基Xの具体例として、下記一般式X1で表される「置換基を有していてもよいフルオレン骨格を有する有機基」が挙げられる。
[一般式X1中、Yと結合している部分をそれぞれ(B)及び(B)と表記すると、すなわち、一般式X1を(B)−Y−(B)と表記すると、Yは、下記一般式X1aで表される置換基群の中から選択される何れかを示す。]
[上記一般式X1a中、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、水酸基、フェニル基、炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数1〜22のパーフルオロアルキル基を示し、Rは水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜22のパーフルオロアルキル基又は炭素数6〜8のアリール基を示す。]
また、m=2の場合の有機基Xの具体例として、下記一般式X2で表されるピレン骨格を有する有機基が挙げられる。
m=2の場合の有機基Xの具体例として、下記一般式X3で表される置換基を有していてもよいアクリジン骨格を有する有機基が挙げられる。
[一般式X3中、Rは水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜22のパーフルオロアルキル基又は炭素数6〜8のアリール基を示し、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、水酸基、フェニル基、炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数1〜22のパーフルオロアルキル基を示す。]
m=2の場合の有機基Xの具体例として、下記一般式X4で表されるアクリドン骨格を有する有機基が挙げられる。
[一般式X4中、R10は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜22のパーフルオロアルキル基又は炭素数6〜8のアリール基を示す。]
m=2の場合の有機基Xの具体例として、下記一般式X5で表されるクアテルフェニル骨格を有する有機基が挙げられる。
m=2の場合の有機基Xの具体例として、下記一般式X6で表される置換基を有していてもよいアントラセン骨格を有する有機基が挙げられる。
[一般式X6中、Yと結合している部分をそれぞれ(C)及び(C)で表記すると、すなわち、一般式X6を(C)−Y−(C)と表記すると、Yは、下記一般式X6aで表される置換基を示す。なお、Yは同一であっても異なっていてもよい。]
[一般式X6a中、Rは水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜22のパーフルオロアルキル基又は炭素数6〜8のアリール基を示す]
<<<架橋型有機シリカ多孔体の例(3)>>>
また、架橋型有機シリカ多孔体の前駆体となる有機ケイ素化合物の例として、Chem. Mater. 2008; 20: 891-908に記載されている以下の化学式Cで表されるものが挙げられる。
[化学式C中、Rは炭化水素基を示す。]
<<<架橋型有機シリカ多孔体の例(4)>>>
また、架橋型有機シリカ多孔体の前駆体となる有機ケイ素化合物の例として、CREST ナノ界面技術の基盤構築研究領域 第1回公開シンポジウム「ナノ界面が生み出す次世代機能」の予稿集P19-23の「有機ナノ空間材料の創製と光エネルギー変換系への応用」稲垣伸二(豊田中央研究所)に記載されている以下の化学式Dで表されるものが挙げられる。
[化学式D中、Rは炭化水素基、Meはメチル基又はメチレン基、Etはエチル基又はエチレン基を示す。]
<<他の有機シリカ多孔体の前駆体となる有機シリカ化合物>>
架橋型有機シリカ多孔体以外で、有機シリカ多孔体の前駆体となる有機シリカ化合物としては、以下の一般式A7、A8で示される化合物が挙げられる。
[一般式A7中、R21はそれぞれ異なっていてもよい炭化水素基であり、R22はそれぞれ異なっていてもよい、炭素原子を少なくとも1つ有しケイ素原子と結合する1価の有機基であり、mは1以上3以下の整数であり、nは1以上3以下の整数であり、m+n=4を満たす。]
[一般式A8中、Xはそれぞれ異なっていてもよいハロゲン基であり、R23はそれぞれ異なっていてもよい、炭素原子を少なくとも1つ有しケイ素原子と結合する1価の有機基であり、mは1以上3以下の整数であり、nは1以上3以下の整数であり、m+n=4を満たす。]
<<有機シリカ多孔体の物性・態様>>
本発明における有機シリカ多孔体は、光捕集アンテナ機能を有するものであることが好ましい。「光捕集アンテナ機能」とは、上記の公開公報又は文献に定義が記載されている通り、光を照射した場合に光エネルギーを吸収して励起したエネルギーを細孔の内部に集約する機能をいう。
光捕集アンテナ機能を有する有機シリカ多孔体であれば、吸収したレーザー光の光エネルギーを細孔の内部に担持された測定対象分子に効率よく移動させることができ、測定対象分子をイオン化し易くする。
また、本発明の有機シリカ多孔体は、薄膜状、粉末状、鱗片状等の形状に特に限定はない。
また、有機シリカ多孔体が有する細孔の構造、細孔径、細孔深さ等も特に限定はないが、細孔の平均直径については、測定対象分子が細孔内に導入され易いように、下限は、1nm以上が好ましく、2nm以上がより好ましく、5nm以上が特に好ましく、8nm以上が更に好ましく、20nm以上が最も好ましい。また、細孔の平均直径の上限は、1000nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましく、200nm以下が特に好ましく、100nm以下が更に好ましく、80nm以下が最も好ましい。
好ましい「細孔の平均直径」は、測定対象分子の分子量に依存し、測定対象分子の分子量が大きければ、好ましい「細孔の平均直径」は大きくなり、測定対象分子の分子量が小さければ、細孔の平均直径は小さくてもよい。
また、細孔の深さは、10nm以上1000nm以下であることが好ましく、15nm以上500nm以下であることがより好ましく、20nm以上100nm以下であることが特に好ましい。
<測定対象分子>
本発明のLDI質量分析法が適用される測定対象分子は特に限定はないが、生体由来の分子又は生体試料中の分子であることが好ましく、具体的には、糖、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、糖ペプチド、核酸、糖脂質等であることが、本発明の効果をより発揮できるので好ましい。「測定対象分子」としては、天然物から調製されるもの、天然物を化学的又は酵素学的に一部改変して調製されるものの他、化学的又は酵素学的に調製されるものも好ましい。また、生体に含まれる分子の部分構造を有するものや生体に含まれる分子を模倣して作製されたものも好ましい。
また、有機シリカ多孔体に担持する試料、すなわち、測定対象分子を含む試料としては、「測定対象分子」そのものだけでもよいし、「測定対象分子」を含むもの、例えば、生体の組織、細胞、体液や分泌物(例えば、血液、血清、尿、精液、唾液、涙液、汗、糞便等)等でもよい。すなわち、直接生体試料を用いてもよい。また、試料を有機シリカ多孔体に載せ、酵素処理等を行なって、測定対象分子を調製してもよい。
また、本発明において「測定対象分子」とは、上記試料に含有されている分子であって、その化学構造を決定したい分子だけではなく、上記試料に含有されている分子であって、その化学構造を決定したい分子を誘導体化した分子、すなわち質量分析に供される分子をも含む。
本発明のLDI質量分析法が適用される測定対象分子の分子量については特に限定はないが、他の測定方法での正確な測定が困難であり本発明の特徴を発揮し易いことから、160以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましく、1000以上であることが特に好ましい。
<誘導体化>
測定対象分子の誘導体化は、上記有機シリカ多孔体の吸収した光エネルギーを受容可能にする標識分子、好ましくは、上記有機シリカ多孔体の発光スペクトルとスペクトルの重なりを有する吸収帯を有する標識分子と共有結合させることにより行うことが好ましい。
該標識分子は、有機シリカ多孔体から供与されるエネルギーの受容体として効果を有するものであれば特に限定されないが、蛍光標識試薬として市販されている分子を利用してもよい。例えば、ピレン誘導体、fluorescein誘導体、rhodamine誘導体、シアニン色素、Alexa Fluor(登録商標)等が挙げられる。
エネルギー供与体である有機シリカ多孔体とエネルギー受容体である標識分子の組合せは、エネルギー移動の効率、有機シリカ多孔体の発光スペクトルと測定対象分子の吸収スペクトルとの重なり、相互作用の強度等の点から適宜決定される。
例えば、有機シリカ多孔体としてメチルアクリドン基架橋有機シリカ多孔体を選択した場合は、標識分子として、4−Fluoro−7−nitrobenzofurazan、4−Fluoro−7−sulfobenzofurazan、3−Chlorocarbonyl−6,7−dimethoxy−1−methyl−2(1H)−quinoxalinone等が好ましい。
標識分子は、対象分子と化学結合し易い官能基を有することを特徴とし、誘導体化は別の容器で行ってから使用してもよいし、有機シリカ多孔体上で行ってもよい。
<試料の担持方法>
(1)有機シリカ多孔体からなる基材と試料を混合して、試料を基材に均一に担持させた後、LDI質量分析に供してもよいし、
(2)有機シリカ多孔体からなる基材の分散液を基板に塗布して乾燥後、その上に試料を載置して、試料を基材に均一に担持させた後、LDI質量分析に供してもよいし、
(3)有機シリカ多孔体からなる基材を薄膜の状態で調製し、その薄膜の上に試料を載置して、試料を基材に均一に担持させた後、LDI質量分析に供してもよい。
上記(1)では、有機シリカ多孔体からなる基材の形状は特に限定はなく、針状、薄片状、球状等の何れでもよい。「基材又は基材の分散液」と「試料又は試料の溶液」を混合して試料を基材に均一に担持させる。分散液の分散媒又は溶液の溶媒は、蒸発させ乾燥後にLDI質量分析に供する。
上記(2)では、基材の分散液を基板に塗布して乾燥した後の形態は特に限定はなく、有機シリカ多孔体が、粒状、平滑状、島状等に基板上に存在している形態が挙げられる。その上に、試料又は試料の溶液を載置し、溶媒を乾燥させて試料を基材に均一に担持させる。
上記(3)では、有機シリカ多孔体を調製段階で薄膜とする。基材を薄膜の状態で調製する方法としては、例えば、以下の実施例で詳述した方法等が挙げられる。
<質量分析装置>
イオン化に用いられるレーザーとしては、例えば、窒素レーザー(337nm)、YAGレーザー3倍波(355nm)、NdYAGレーザー(256nm)、炭酸ガスレーザー(9400nm、10600nm)等が挙げられるが、窒素レーザーが好ましい。
イオンの分離検出方法は特に限定はなく、二重収束法、四重極集束法(四重極(Q)フィルター法)、タンデム型四重極(QQ)法、イオントラップ法、飛行時間(TOF)法等を用いて、イオン化した分子を質量/電荷比(m/z)に従って分離し検出する。
以下に、評価例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの評価例に限定されるものではない。
調製例1
<有機シリカ多孔体の合成>
(1)メチルアクリドン基架橋有機シリカ多孔体(MAcd−PMO)薄膜(評価例1と評価例4で使用)の調製
メチルアクリドン基架橋有機シラン(下記式(1)で表される化合物)15mgと、鋳型となる界面活性剤であるポリスチレン−ポリエチレンオキシドジブックポリマー(P4911−SEO(polymer source社製))15mgを、テトラヒドロフランとエタノールの1:1混合溶液(容積比)1mLに溶解させた後、イオン交換水3μL及び2M塩酸2μLを滴下し、室温で24時間撹拌した。
得られたゾルを、Si基板(P型)上にスピンコート(回転数:2000rpm、回転時間:30s)した後、すぐに密閉容器の中でトルエン蒸気に室温で一晩暴露した。アンモニア蒸気に60℃で12時間暴露した後、80℃で真空加熱することで、縮合反応を進行させた。トルエンに浸漬し、105℃で24時間加熱する処理を2回行うことで、界面活性剤を除去し、目的のMAcd−PMO薄膜を得た。
走査型電子顕微鏡写真により、得られた膜が、直径約20nmの細孔を有していることを確認した(図1)。また、吸収スペクトル及び発光スペクトルより、窒素レーザーの波長である337nmに強い吸収帯を有し、かつ460nmを中心とした発光を示すことを確認した(図2)。
調製例2
<有機基を含まないシリカ多孔体の合成>
(2)シリカ多孔体薄膜(評価例3で使用)の調製
テトラエトキシシラン30mgと、鋳型となる界面活性剤であるポリスチレン−ポリエチレンオキシドジブックポリマー(P4911−SEO(polymer source社製))10mgを、テトラヒドロフランとエタノールの1:1混合溶液(容積比)1mLに溶解させた後、イオン交換水3μL、2M塩酸2μLを滴下し、室温で24時間撹拌した。
得られたゾルを、Si基板(P型)上にスピンコート(回転数:2000rpm、回転時間:30s)した後、室温で一晩乾燥した。アンモニア蒸気に60℃で12時間暴露した後、80℃で真空加熱することで縮合反応を進行させた。そして、トルエンに浸漬し、105℃で24時間加熱する処理を2回行うことで、界面活性剤を除去し、目的のシリカ多孔体薄膜を得た。
走査型電子顕微鏡写真により、得られた膜が、直径約20nmの細孔を有していることを確認した(図3)。また、吸収スペクトル及び発光スペクトルより、200nm〜800nmに吸収帯を有しておらず、また、窒素レーザーの波長である337nmで励起しても発光を示さないことを確認した(図4)。
評価例1
<メチルアクリドン架橋有機シリカ薄膜/NBD−IRNKS>
1mMのIRNKSペプチド水溶液(「IRNKS」とは、1文字アミノ酸の配列で表わしたペプチドを示す。)50μLに0.1Mホウ酸緩衝液(pH 8.0)50μLを加え、更に50mMのNBD−F(4−Fluoro−7−nitrobenzofurazan、下記式(2)で表される化合物)/エタノール溶液100μLを加えた後に、遮光条件下、60℃で1分間反応させた。
その後、50mMのHCl水溶液460μLを加え、減圧濃縮装置を用いて、反応混合物を乾燥した。C18スピンカラム(8mg)をアセトニトリル、純水で洗浄し、乾燥させた反応物を純水に溶解してカラムに通した。純水でカラムを洗浄した後に80%アセトニトリル水溶液で溶出することによって、NBD標識されたペプチドを得ることができた。この標識ペプチドは、470nmに吸収ピークを有した。
この反応物を60%アセトニトリル水溶液20μLに溶解させた。この溶液を、調製例1で調製したメチルアクリドン架橋有機シリカ薄膜コートした基板の上部に0.3μL滴下させ、自然乾燥させた。この基板をMALDI−TOF MSのスライド装着式カートリッジプレートに装着し、MALDI−QIT−TOF MS、Axima−QIT(Shimadzu/Kratos)を用いて、基板上の異なる3点にレーザー光を照射し、測定を行った。
その結果、負イオンモードで図5に示すように、基板上の何れの点においても、IRNKSペプチドにNBDが2分子結合したイオン(m/z941)のみが検出され、更に、正イオンモードにおいても、IRNKSペプチドにNBDが2分子結合したイオン(m/z943)が検出された。
本発明によれば、何れのモードにおいても、IRNKSペプチドにNBDが2分子結合したイオンのみが検出され、本発明のレーザー脱離イオン化質量分析法は、よりフラグメンテーションが起こり難いソフトなイオン化であり、均質かつ再現性のよいスペクトルを得ることができることが示された。
評価例2
<メチルアクリドン架橋有機シリカ薄膜/NBD−IRNKS>
8nmよりも小さい平均直径を有するメチルアクリドン架橋有機シリカよりなる有機シリカ多孔体を用いて、評価例1と同一試料を同様に測定したところ、何れのモードにおいても、シグナルがほとんど検出されなかった。
分子量約1000のペプチドは、例えば、αヘリックス構造をとった場合、1nm×1.5nmの大きさになるとされる。このことから、少なくとも、糖鎖、ペプチド、糖ペプチドについては、有機シリカ多孔体が有する孔の平均直径が8nm以上あるメチルアクリドン架橋有機シリカの方が、試料を担持する能力が大きいと思われる。
従って、8nmよりも小さい平均直径を有する有機シリカ多孔体の細孔の内部には、上記試料が入り難かったからシグナルがほとんど検出されなかったと考えられる。
すなわち、有機シリカ多孔体の細孔内に測定対象分子が存在することによって本発明の効果が奏されることが確認された。
評価例3
<シリカ多孔体薄膜/NBD−IRNKS>
調製例1で調製したメチルアクリドン架橋有機シリカ薄膜コートした基板の代わりに、調製例2で調製した有機基を含まないシリカ多孔体薄膜コート基板を用いた以外は、評価例1と同様に、NBD標識されたペプチドのnegative ionを測定した。
その結果、図7に示すように、ノイズが見られたのみでシグナルとなるイオンは検出されなかった。Positive ionは、シリカ多孔体薄膜コート基板では、有機シリカ薄膜コート基板に比べてシグナル強度が低かった。これらのことは、多数のメチルアクリドン基が導入されたことによってイオン化効率が向上したことを示している。
評価例4
<メチルアクリドン架橋有機シリカ薄膜/Fmoc−IRNKS>
1mMのIRNKSペプチド水溶液(「IRNKS」とは、1文字アミノ酸の配列で表わしたペプチドを示す。)50μLに、0.1M炭酸緩衝液(pH11.0)50μLを加え、更に、50mMの「Fmoc−OSu(N−(9−Fluorenylmethoxycarbonyloxy)succinimide、下記式(3)で表される化合物)」のアセトン溶液100μLを加えた後に、遮光条件下、室温で1時間反応させた。
その後、50mMのHCl水溶液460μLを加え、減圧濃縮装置を用いて、反応混合物を乾燥した。C18スピンカラム(8mg)をアセトニトリル、純水で洗浄し、乾燥させた反応物を純水に溶解してカラムに通した。純水でカラムを洗浄した後に80%アセトニトリル水溶液で溶出することによって、Fmocで標識されたペプチド(分子量1061)を得ることができた。この標識ペプチドは、400nm以上に吸収極大を持たなかった。この反応物を60%アセトニトリル水溶液20μLに溶解させた。この溶液を、調製例1で調製したメチルアクリドン架橋有機シリカ薄膜コートした基板の上部に0.3μL滴下させ、自然乾燥させた。評価例1と同様に質量分析装置で測定した。
その結果、測定対象分子は正イオンモードにおいても(図8)、負イオンモードにおいても検出できなかった。すなわち、メチルアクリドン架橋有機シリカ薄膜がレーザー光を吸収して生じる発光波長を吸収しないFmoc標識ペプチドはイオン化されないことが示された。
評価例5
<DHBA/NBD−IRNKS>
メチルアクリドン架橋有機シリカ薄膜を用いず、マトリックスとして、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHBA)を用いて、評価例1と同一試料を同様の質量分析装置を用いて、MALDI−MS測定をした。
その結果、フラグメンテーションが起こり、IRNKSペプチドにNBDが2分子結合したイオンと共に、IRNKSペプチドにNBDが1分子結合したイオンも観測された(図6)。
評価例1を評価例5と比較することによって、本発明の優位性が示された。
本発明のレーザー脱離イオン化質量分析法は、測定対象分子のみを選択的にイオン化させることが可能であり、試料のフラグメンテーションが起こらず、マトリックスを用いる通常の測定法と異なりスイートスポットを探す必要がなく、イオン化し難い対象分子を通常よりも弱い励起光でイオン化できるため、MSスペクトルを使用する全ての分析分野に、特に、微量試料しか入手できない場合がある生体分析の分野等に広く利用されるものである。

Claims (8)

  1. レーザー脱離イオン化質量分析法において、照射レーザー光を吸収可能な有機基を骨格に有する有機シリカ多孔体に、該有機シリカ多孔体の吸収した光エネルギーが移動可能な測定対象分子を含む試料を均一に担持させた後、レーザー光を照射し、該測定対象分子をイオン化させることを特徴とするレーザー脱離イオン化質量分析法。
  2. 上記有機シリカ多孔体が、照射レーザー光を吸収するものであって、該有機シリカ多孔体の発光スペクトルと、上記測定対象分子の吸収スペクトルとが、少なくともある1つの波長において重なる請求項1に記載のレーザー脱離イオン化質量分析法。
  3. 上記有機シリカ多孔体が、照射レーザー光を吸収して発光するものであって、該有機シリカ多孔体の発光スペクトルと、上記測定対象分子の吸収スペクトルとが、少なくともある1つの波長において重なる請求項1又は請求項2に記載のレーザー脱離イオン化質量分析法。
  4. 上記有機シリカ多孔体の発光スペクトルの短波長端の方が、上記測定対象分子の吸収スペクトルの長波長端より短波長側にあることによって、該有機シリカ多孔体の発光スペクトルと、該測定対象分子の吸収スペクトルとが、少なくともある1つの波長において重なる請求項2又は請求項3に記載のレーザー脱離イオン化質量分析法。
  5. 上記有機シリカ多孔体が、光捕集アンテナ機能を有するものである請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載のレーザー脱離イオン化質量分析法。
  6. 上記有機シリカ多孔体が有する孔の平均直径が、1nm以上100nm以下である請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載のレーザー脱離イオン化分析法。
  7. 上記有機シリカ多孔体が有する孔の平均直径が、8nm以上80nm以下である請求項6に記載のレーザー脱離イオン化分析法。
  8. 上記測定対象分子が、分子量160以上のものである請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載のレーザー脱離イオン化質量分析法。
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