JP2014115145A - レーダ信号処理装置およびプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】処理負荷を削減して、装置規模の小さい演算装置を構成し、高速に処理可能とする。
【解決手段】目標で反射された信号を受信する複数の受信アンテナ5a,5bと、受信された信号をデジタルデータに変換する受信手段6a,6bと、変換されたデジタルデータに対して、窓関数処理を含む前処理を行う前処理手段7と、前処理が行われたデジタルデータを2系統のデータ列に分割して並び替えを行った後、デジタルフーリエ変換を行う周波数変換手段8と、デジタルフーリエ変換結果であるデータ列のうち特定の範囲のデータを読み出す読出制御手段9と、読み出されたデータに対して、複素数演算を行う複素演算手段10と、複素演算結果に基づいて、目標に関する情報を検出する検出手段11とを備えた。
【選択図】図1

Description

この発明は、アレーアンテナを用い、対象物体(以下、「ターゲット」という)からの信号を複数の受信手段で受信した際に、受信信号に基づいてターゲット情報を算出するレーダ信号処理装置およびプログラムに関するものである。
従来から、ターゲットとの距離や相対速度を算出するレーダ信号処理装置として、連続的に周波数を変調した送信信号をターゲットに対して送信し、ターゲットからの反射信号を受信してターゲットとの距離や相対速度を算出するレーダ信号処理装置が知られている。
従来のレーダ装置としては、特許文献1に示すようなものがある。上記の特許文献1における車載レーダの信号処理装置では、送信アンテナから送信波を出力し、ターゲットからの反射波をn個の受信アンテナ部で受信する。その後、送信波と受信アンテナ部で受信した反射波とから生成されたビート信号を、フィルタにより不要な信号成分を除去した後A/D変換し、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)等により周波数分解して複素データを求め、ビート周波数の強度等からターゲットを検知している。
特開2003−270341号公報
上記のように構成された従来のレーダ信号処理装置では、FFTの帯域以上になった場合にエリアシングによる周波数の折り返しを防ぐため、アナログのフィルタ等により高周波数成分を除去している。しかしながら、この場合には、厳しい制約を満たす性能の高いフィルタを用意する必要があり、コストが増大するという課題がある。
一方で、FFTの点数を増やすことで、フィルタの制約を緩くし、フィルタのコストを下げることはできる。しかしながら、この場合には、処理すべきFFTの点数が増えるため、演算負荷が増大しその分の装置規模が大きくなり、コストや消費電力が大きくなるという課題がある。
データの点数を増やしてデジタルフィルタで処理した後、FFTを行う等の手段もありうるが、概ねFFTのみで処理した場合に比べて処理負荷が大きくなり、上記課題を解決することはできない。
また、計算機においてFFTの処理を行う場合、データの点数を2のべき乗点にして、Cooley−Tukey型アルゴリズムもしくはその発展系を用いて、FFTを行うのが一般的である。これに対して、レーダでは、ターゲットの距離が制限される、もしくは、一定距離以上または一定距離以下のターゲットを検出しなくて良い場合が有りうるが、このような場合は、対応するFFTの周波数ビンのデータは不要となる。しかし、上記のようなFFTの処理データ点数の制約から、不要なデータであっても、FFTでは計算を実行する必要がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、レーダ等で用いるターゲットを検出するレーダ信号処理装置において、処理負荷を削減して、装置規模の小さい演算装置を構成し、高速に処理可能なレーダ信号処理装置およびプログラムを提供することを目的としている。
この発明に係るレーダ信号処理装置は、目標で反射された信号を受信する複数の受信アンテナと、複数の受信アンテナにより受信された信号をデジタルデータに変換する受信手段と、受信手段により変換されたデジタルデータに対して、窓関数処理を含む前処理を行う前処理手段と、前処理手段により前処理が行われたデジタルデータを2系統のデータ列に分割して並び替えを行った後、デジタルフーリエ変換を行う周波数変換手段と、周波数変換手段による演算結果であるデータ列のうち特定の範囲のデータを読み出す読出制御手段と、読出制御手段により読み出されたデータに対して、複素数演算を行う複素演算手段と、複素演算手段による演算結果に基づいて、目標に関する情報を検出する検出手段とを備えたものである。
この発明によれば、上記のように構成したので、レーダ等で用いるターゲットを検出するレーダ信号処理装置において、処理負荷を削減して、装置規模の小さい演算装置を構成し、高速に処理可能となる。
この発明の実施の形態1に係るレーダ信号処理装置の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1に係るレーダ信号処理装置の動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1における周波数変換手段での各チャネルのN点データの流れを示す図である。 この発明の実施の形態1における読出制御手段でのデータの読み出しと、複素演算手段での演算の流れを示す図である。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るレーダ信号処理装置1の構成を示すブロック図である。
本実施の形態1に係るレーダ信号処理装置1は、図1に示すように、信号処理手段2、送信手段3、送信アンテナ4、受信アンテナ5a,5bおよび受信手段6a,6bを備えている。
信号処理手段2は、受信手段6a,6bによりA/D変換された各チャネルのビート信号(デジタルデータ)に基づいてターゲット(目標)を検出し、ターゲット情報として外部装置に出力するものである。また、信号処理手段2は、送信手段3の動作を制御する機能も有している。この信号処理手段2の構成については後述する。
送信手段3は、信号処理手段2による制御に従って周波数が変調された送信信号を生成するものである。この送信手段3により生成された送信信号は送信アンテナ4および受信手段6a,6bに出力される。
送信アンテナ4は、送信手段3から出力された送信信号をターゲットに対して出射するものである。
受信アンテナ5a,5bは、送信アンテナ4から出射された送信信号に対して、ターゲットで反射された反射信号を受信するものである。
受信手段6a,6bは、送信手段3により生成された送信信号と各受信アンテナ5a,5bにより受信された反射信号(受信信号)とをそれぞれミキシングして各チャネル分のビート信号を得た後、各チャネルのビート信号をA/D変換するものである。この受信手段6a,6bによりA/D変換された各チャネルのビート信号は信号処理手段2に出力される。
次に、信号処理手段2の構成について説明する。
信号処理手段2は、図1に示すように、前処理手段7、周波数変換手段8、読出制御手段9、複素演算手段10および検出手段11を備えている。
前処理手段7は、受信手段6a,6bによりA/D変換された複数チャネル分のビート信号に対して、窓関数処理等の前処理を行うものである。この前処理手段7による処理結果であるデジタルデータは周波数変換手段8に出力される。
周波数変換手段8は、前処理手段7から出力されたデジタルデータを2系統のデータ列に分割して並び替えを行った後、FFT等により周波数変換を行うものである。この周波数変換手段8による演算結果であるデータ列は読出制御手段9に出力される。
読出制御手段9は、周波数変換手段8から出力されたデータ列のうち特定の範囲のデータのみを読み出すものである。この読出制御手段9により読み出されたデータは複素演算手段10に出力される。
複素演算手段10は、読出制御手段9から出力されたデータに対して、複素数の加減算等の複素演算を行うものである。この複素演算手段10による演算結果であるデータは検出手段11に出力される。
検出手段11は、複素演算手段10から出力されたデータからピーク周波数等を検出することでターゲットに関する情報(ターゲット情報)を検出するものである。この検出手段11により検出されたターゲット情報は外部装置に出力される。
なお、図1には記載されていないが、実際のレーダ信号処理装置1には、レーダ信号処理装置1を全体的に制御する制御手段があり、当該制御手段は信号処理手段2やその内部の手段と、システムバスや制御信号線等を介して接続されており、これらの各手段を制御する。ただし、以下においては説明を簡潔にするために、信号処理手段2等が自らデータ処理を実行するものとして説明する。
次に、上記のように構成されたレーダ信号処理装置1の全体の動作について、図2を参照しながら説明する。図2はこの発明の実施の形態1に係るレーダ信号処理装置1の図示しない制御手段によって実行される処理プログラムを示す概略のフローチャートである。
このレーダ信号処理装置の動作では、図2に示すように、まず、信号処理手段2から送信手段3に対して送信開始命令が出力されると、送信手段3は、設定された変調区間で周波数変調された送信信号(例えば三角波信号)を生成し、送信アンテナ4および受信手段6a,6bに送る。その後、送信アンテナ4からターゲットに向けて送信信号が出射される(ステップST1)。
その後、ターゲットで反射された反射信号は、個々の受信アンテナ5a,5bで、各チャネル分(ch1,ch2とする)の受信信号として受信された後、各受信手段6a,6bに送られる(ステップST2)。
次いで、受信手段6a,6bでは、各チャネルの受信信号と送信手段3から送られてきた送信信号をミキシングして各々のビート信号を生成する。その後、受信手段6a,6bにて、各ビート信号の不要な信号成分をフィルタ等で取り除いた後、デジタルデータに変換する(ステップST3)。
受信手段6a,6bで生成された各チャネルのデジタルデータは、信号処理手段2に入力され、前処理手段7により、個別に窓関数等による前処理が行われる(ステップST4)。窓関数に関する処理は、ハミング窓等一般的な方法であるため、詳細は省略する。
前処理手段7で前処理された各チャネルのデータは、周波数変換手段8に入力され、2系統のデータに分割した後データの並び替えが行われて、各々FFTを用いた処理が行われる(ステップST5)。
周波数変換手段8により算出されたデータは、読出制御手段9により選択的に読み出され後、複素演算手段10に渡されてデータの加減算と乗算が行われ、各チャネルの周波数解析結果(ビート周波数スペクトラム)に相当するデータが算出される(ステップST6)。
複素演算手段10で算出されたデータは検出手段11に渡され、ビート周波数スペクトラムからピーク周波数が検出される(ステップST7)。検出されたピーク周波数は、対応する周波数スペクトラムのデータと共にターゲット情報として出力される(ステップST8)。出力されたターゲット情報は、後段の処理にてターゲットの距離速度、方位などの算出に利用される。
上記の検出手段11におけるピーク検出の手法や、出力された情報からターゲットの距離および相対速度の算出方法については、一般的なFMCW(Frequency Modulation Continuous Wave)レーダと同様のものを用いる。これは特許文献1等にも示されているものであるため、詳細は省略する。
次に各部の動作について図3、図4を用いて説明する。なお、以下では、各チャネルのA/D変換後のデータ点数をN点とする。また、この場合、前処理手段7が出力する各チャネルのデータは、N点の実数データである。
図3は周波数変換手段8での各チャネルのN点データの流れを示した図である。また、図4は読出制御手段9でのデータの読み出しと、複素演算手段10での演算の流れを示した図である。
周波数変換手段8では、前処理手段7から送られてきたデータを受け取ると、ch1のデータの偶数番目(図3のa[0]〜a[N−1]のデータのうちの、a[0],a[2],a[4]・・・a[N−2])を実数部とし、ch2のデータの偶数番目(図3のb[0]〜b[N−1]のデータのうちの、b[0],b[2],b[4]・・・b[N−2])を虚数部とする複素数のN/2点のデータ列であるデータ列D1を作成する。また、同様に、ch1のデータの奇数番目(a[1],a[3],a[5]・・・a[N−1])を実数部とし、ch2のデータの奇数番目(b[1],b[3],b[5]・・・b[N−1])を虚数部とする複素数のN/2点のデータ列であるデータ列D2を作成する。
その後、周波数変換手段8は、データ列D1に対してN/2点のFFTを行い、複素数N/2点のデータ列であるデータ列F1を作成する。同様に、データ列D2に対してN/2点のFFTを行い、複素数N/2点のデータ列であるデータ列F2を作成する。なお、データ列F1のk番目の複素数データをZa[k]、データ列F2のk番目の複素数データをZB[k]とする。
次に、読出制御手段9では、予め設定された読み出し範囲に基づいてデータ列F1とデータ列F2のデータを読み出す。例えば、読み出し範囲は、読み出すデータ番号の下限を示すKsと上限を示すKeの範囲内であり、0≦Ks≦Ke≦N/4である。このとき、KsからKeまでのデータとそれに対応するデータを順次読み出し、複素演算手段10に渡す。具体的には、データ列F1とF2のk番目のデータ(Ks≦k≦Keを満たす)と、N/2−k番目のデータを読み出す。データと受け取った複素演算手段10は、下式(1)〜(4)の処理を行い、その後下式(5)〜(12)の処理を行う。なお、式(1)等のW[k]は、下式(13)に示す値であり、N点FFTの回転子に相当する。W[k]は、W[k]の複素共役数である。また、Re()は複素数の実数部を示し、Im()は複素数の虚数部を示す。
X[k]=ZA[k]+W[k]×ZB[k] (1)
Y[k]=ZA[k]−W[k]×ZB[k] (2)
X[N/2−k]=ZA[N/2−k]+W[k]×ZB[N/2−k] (3)
Y[N/2−k]=ZA[N/2−k]−W[k]×ZB[N/2−k] (4)
Re(C1[k])=(Re(X[k])+Re(Y[N/2−k]))/2 (5)
Im(C1[k])=(Im(X[k])−Im(Y[N/2−k]))/2 (6)
Re(C2[k])=(Im(X[k])+Im(Y[N/2−k]))/2 (7)
Im(C2[k])=(−Re(X[k])+Re(Y[N/2−k]))/2 (8)
Re(C1[N/2−k])=(Re(X[N/2−k])+Re(Y[k]))/2 (9)
Im(C1[N/2−k])=(Im(X[N/2−k])−Im(Y[k]))/2 (10)
Re(C2[N/2−k])=(Im(X[N/2−k])+Im(Y[k]))/2 (11)
Im(C2[N/2−k])=(−Re(X[N/2−k])+Re(Y[k]))/ (12)
W[k]=exp(−2πk/N) (13)
なお、上記において、kが0の場合、ZA[N/2],ZB[N/2]の値はないため、式(3),(4)の演算は行わず、X[0]をX[N/2]、Y[0]をY[N/2]として、下式(5)〜(12)の演算を行う。この場合、ch1,ch2のデータの虚数部は0になる。また、k=N/4の場合には、k=N/2−kとなるため、同様に式(3),(4)の演算は行わず、下式(5)〜(8)の演算のみを行う。
ここで、式(5)〜(12)の演算結果のC1[k],C1[N/2−k]がch1の周波数kビンのスペクトラム、N/2−kビンのスペクトラム、C2[k],C2[N/2−k]がch2の周波数kビンのスペクトラム、N/2−kビンのスペクトラムに相当する。そして、複素演算手段10は、これらの演算結果を検出手段11に渡す。なお、上記の式では、C1とC2でN/2ビンまでのスペクトラムしか得られないが、N/2以降のデータに関しては、kビンのデータの複素共役な値がN−kビンのデータに相当する。
検出手段11では、受け取った各周波数ビンのスペクトラムデータからピーク検出等の処理を行いターゲットの検出等を行う。例えば、C1とC2の同一周波数ビンのスペクトラムの絶対値を加算した値を評価値として、極大値をピークとする、もしくは、閾値を超えたもののみをピークとする等である。これらに関しては一般的な手法を含めて様々な手法があるため、説明は省略する。
なお、N点の実数データ列DAと実数データ列DBがあった場合、DAを実数部、DBを虚数部としてN点FFTを行った結果として得られるN点の複素数データ列をDFとする。この場合、一般的に知られている既知の技術として、下式(14)〜(17)の処理をすることで得られるデータ列FAとFBは、データ列DAとDBを個別にN点FFTした場合の結果と同じ演算結果が得られることが知られている。
Re(FA[k])=(Re(DF[k])+Re(DF[N−k]))/2 (14)
Im(FA[k])=(Im(DF[k])−Im(DF[N−k]))/2 (15)
Re(FB[k])=(Im(DF[k])+Im(DF[N−k]))/2 (16)
Im(FB[k])=(−Re(DF[k])+Re(DF[N−k]))/2(17)
上式(1)〜(12)は、これを利用したものであり、上記のN/2点FFTの結果であるデータ列F1とF2は、N点FFTを行った場合の、バタフライ演算の最終段の処理の手前の演算結果に相当する。式(1)〜(4)が、N点FFTのバタフライ演算の最終段の処理に相当し、式(5)〜(12)の演算が、上記の式(14)〜(17)を変形したものに相当する。本手法では、演算範囲を限定することで、不要な演算を削減し、演算負荷を低減し、処理時間を短縮することができる。また、W[k]は、W[k]と複素共役な値であるため、W[k]の値を事前に算出してROM上に保存しておくような場合には、同一のデータを流用できる。このような場合には、W[k]へのメモリアクセス回数を減らすことで処理時間を短縮することができる。
また、上記の処理では、N点FFTのバタフライ演算の最終段の処理の手前に相当する、N/2点FFT処理後のデータに対して、読出制御手段9と複素演算手段10で各周波数ビンのスペクトラムを個別に算出して、検出手段11に演算結果を渡すことができる。このため、N点FFTで処理する場合よりも、検出処理の開始を早くすることができ、複数の計算機や、専用回路の演算器などで、読出制御手段9、複素演算手段10、検出処理11を構成する場合には、パイプライン的に処理を行うことにより、全体の処理時間を短縮することができる。
また、上記の処理では、読み出し範囲を一組のみ設定していたが、複数の読み出し範囲を設定するようにしてもよい。この場合、必要となる周波数ビンの範囲が離散的な場合などでも効率的な処理を行うことができる。
また、上記の処理では、読み出し範囲を予め設定するようにしていたが、状況に応じて、読み出し範囲を動的に変更し設定するようにしてもよい。これは例えば、天候などの外部環境や、特に注目すべき目標の位置、外部からの影響などで生じる除外すべき周波数帯などの変化によるもの等である。このような、状況の変化に対しても、必要となる周波数ビンのみを選択して効率的に処理を行うことができる。また、特定の領域のみを選択することで、不要な情報を削除することができ、後段の検出手段11などの演算負荷を軽減することもできる。
また、上記の処理では、一組の受信アンテナ5a,5bと、一組の受信手段6a,6bが設置され、各チャネルから受信データが得られる場合について記述したが、二組以上の受信アンテナと受信手段を持つような場合であっても、同様に処理を行うことができる。このような場合でも、各組に対応する複数個の前処理手段7〜複素演算手段10を設け、検出手段11で各チャネルのスペクトラムを統合するなどすればよい。この場合でも、効率的に演算を行い、処理負荷を抑えることができる。
また、本実施の形態では、FMCWレーダを想定した例について説明したが、本発明はパルスドップラーレーダ等にも適用することができる。また、本実施の形態では、送信アンテナから能動的に送信波を出力するような構成としているが、自らは電波を出力せず、外部から取得できる信号から目標を検出するような受動的な信号処理装置の場合でも、複数組の受信アンテナを持ち、FFTと検出処理を行うような装置をもつものであれば、同様の処理で、効率的に演算を行い、処理負荷を抑えることができる。
以上のように、この実施の形態1によれば、周波数変換手段8にて各チャネルのデータを2系統のデータに分割して並び替えを行った後に各々FFTを行い、読出制御手段9にて特定の範囲のデータのみを読出して複素演算手段10に渡すように構成したので、ビート周波数から周波数のスペクトラムを算出する際に、必要な領域の演算のみ行うことができる。このため、演算負荷を削減することができ、従来よりも小さい装置規模で演算を行うことができ、装置の軽量化や製品のコストダウンなどが可能になるという効果が得られる。もしくは、従来と同等の計算機を用いた場合には、従来よりも短時間で処理結果を算出できるという効果が得られる。
また、実施の形態1では、読出制御手段9にて、探索するデータ列のk番目側に対して読み出し範囲を設定して、k番目とN/2−k番目のデータの演算を同時に行うようにしていた。これに対して、N/2−k番目側に対して読み出し範囲を設定するようにしてもよい。
実施の形態2.
実施の形態2では複素演算手段10の処理内容を変更したものについて示す。
この発明の実施の形態2による信号処理装置の構成については、実施の形態1の図1に示した構成と同様である。また、処理の流れを示すフローチャートも、実施の形態1の図2に示したものと同じである。
実施の形態2に係るレーダ信号処理装置1では、読出制御手段9の読み出し範囲を設定するのは実施の形態1と同じであるが、それとは別に、複素演算手段10に演算の範囲を示すKminとKmaxを予め設定する。ただし、0≦Kmin≦Kmax≦N/2である。また、複素演算手段10では、式(5)〜(12)までの演算に対して、設定されたKminとKmaxの範囲内のC1,C2の演算のみ実行する。例えば、Kmin=1,Kmax=N/4−1が設定された場合には、式(5)〜(8)の演算のみ実行され、Kmin=N/4+1,Kmax=N/2−1が設定された場合には、式(9)〜(12)の演算のみ実行される。また、KminとKmaxがN/4をまたぐ場合、例えば、Kmin=1,Kmax=N/4+1の場合には、式(9)〜(12)の演算は、N/2−k = N/4+1、すなわち、k=N/4−1の場合のみ実行される。なお、k=0,k=N/4,k=N/2の場合には、実施の形態1の場合と同様に、例外的な処理が行われる。
また、上記の処理では、演算範囲を一組のみ設定していたが、複数の範囲を設定するようにしてもよい。この場合、必要となる周波数ビンの範囲が離散的な場合などでも効率的な処理を行うことができる。
また、上記の処理では、演算範囲を予め設定するようにしていたが、状況に応じて、演算範囲を動的に変更し設定するようにしてもよい。これは例えば、天候などの外部環境や、特に注目すべき目標の位置、外部からの影響などで生じる除外すべき周波数帯などの変化によるもの等である。このような、状況の変化に対しても、必要となる周波数ビンのみを選択して効率的に処理を行うことができる。また、特定の領域のみを選択することで、不要な情報を削除することができ、後段の検出手段11などの演算負荷を軽減することもできる。
以上のように、この実施の形態2によれば、複素演算手段10に演算範囲を設定することにより、不要な演算を削減できる。このため、演算負荷を削減することができ、従来よりも小さい装置規模で演算を行うことができ、装置の軽量化や製品のコストダウンなどが可能になるという効果が得られる。もしくは、従来と同等の計算機を用いた場合には、従来よりも短時間で処理結果を算出できるという効果が得られる。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
1 レーダ信号処理装置、2 信号処理手段、3 送信手段、4 送信アンテナ、5a,5b 受信アンテナ、6a,6b 受信手段、7 前処理手段、8 周波数変換手段、9 読出制御手段、10 複素演算手段、11 検出手段。

Claims (10)

  1. 目標で反射された信号を受信する複数の受信アンテナと、
    前記複数の受信アンテナにより受信された信号をデジタルデータに変換する受信手段と、
    前記受信手段により変換されたデジタルデータに対して、窓関数処理を含む前処理を行う前処理手段と、
    前記前処理手段により前処理が行われたデジタルデータを2系統のデータ列に分割して並び替えを行った後、デジタルフーリエ変換を行う周波数変換手段と、
    前記周波数変換手段による演算結果であるデータ列のうち特定の範囲のデータを読み出す読出制御手段と、
    前記読出制御手段により読み出されたデータに対して、複素数演算を行う複素演算手段と、
    前記複素演算手段による演算結果に基づいて、前記目標に関する情報を検出する検出手段と
    を備えたことを特徴とするレーダ信号処理装置。
  2. 前記周波数変換手段は、前記前処理手段により前処理が行われたデジタルデータのうち、所定の前記受信アンテナに対応するデジタルデータを実数部に設定し、他の所定の前記受信アンテナに対応するデジタルデータを虚数部に設定して、デジタルフーリエ変換を行う
    ことを特徴とする請求項1記載のレーダ信号処理装置。
  3. 前記周波数変換手段は、N点の前記実数部および前記虚数部を、偶数番目のデータからなるデータ列と奇数番目のデータからなるデータ列とに分け、各々のデータ列に対してN/2点のデジタルフーリエ変換を行う
    ことを特徴とする請求項2記載のレーダ信号処理装置。
  4. 前記読出制御手段は、前記周波数変換手段による演算結果であるN/2点のデータ列のうち、前記特定の範囲内であるk番目のデータを読み出す際に、N/2−k番目のデータをともに読み出す
    ことを特徴とする請求項3記載のレーダ信号処理装置。
  5. 前記読出制御手段は、前記特定の範囲を複数設定する
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のレーダ信号処理装置。
  6. 前記読出制御手段は、前記特定の範囲を動的に設定する
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載のレーダ信号処理装置。
  7. 前記複素演算手段は、前記読出制御手段により読み出されたデータのうち特定の範囲のデータに対して、複素数演算を行う
    ことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載のレーダ信号処理装置。
  8. 前記複素演算手段は、前記特定の範囲を複数設定する
    ことを特徴とする請求項7記載のレーダ信号処理装置。
  9. 前記複素演算手段は、前記特定の範囲を動的に設定する
    ことを特徴とする請求項7または請求項8記載のレーダ信号処理装置。
  10. コンピュータを、請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載のレーダ信号処理装置を構成する各手段として機能させるためのプログラム。
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