JP2014113214A - タバコ臭消臭フィルター - Google Patents

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【課題】タバコ臭に大きな消臭効果がある優れたタバコ臭消臭フィルターを提供することを目的とする。
【解決手段】活性炭混抄紙に環状飽和アミンと、ポリカルボン酸を担持させたことに特徴のあるタバコ臭消臭フィルター。そして、前記環状飽和アミンは、モルホリン、ピペリジン、ピペラジンから選ばれる1種または複数の環状飽和アミンが好ましく、さらに、前記ポリカルボン酸は、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、アクリル酸−マレイン酸共重合体が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、家庭用または業務用のエアコン、空気清浄機、タバコ分煙機等のフィルターや、あるいは車などにおける車室内のいやな臭いを取り除くフィルター等として使用し、特にタバコ臭(アンモニア、アセトアルデヒド、酢酸等)を効率的に吸着浄化するフィルターに関する技術である。
消臭フィルターは、様々な用途に利用されており、その消臭方法として活性炭やゼオライト等の物理吸着材を利用した物理吸着タイプと、化学吸着タイプと、オゾンや光触媒、金属フタロシアニン錯体等により悪臭物質を分解除去する触媒タイプ、あるいはこの吸着タイプと触媒タイプを併用した併用タイプがある。このうち例えば、活性炭の優れた吸着作用を利用した技術がよく知られているが、これらは悪臭成分を吸着し、周辺の臭気濃度を短期的に低下さす働きには優れているが、悪臭成分の量が減少するわけではなく、有効期間に限りのある消臭方法であるといわれている。また、悪臭物質を分解除去する触媒タイプあるいは併用タイプの場合、様々な悪臭に対して効果的に消臭する有用な方法であるが、代表臭であるタバコ臭のように酸性ガス、塩基性ガス、アルデヒド系ガスが含まれる混合臭に関してはさらなる消臭性能の向上が求められている。
最近では、吸着性能を向上させるために、化学吸着剤を添加させて対象ガスを除去する方法が多用されている。混合臭を効果的に除去するために化学吸着剤を用いる方法として、異なる2種類の化学吸着剤をそれぞれ個別の吸着材に担持したフィルター、あるいはハニカム構造体のフィルターを構成するライナー紙とコルゲート紙、または2種類の片段シートを交互に積層したフィルターが挙げられる。しかしこの場合においても、フィルターを製造する際の作業工程が複雑であること、さらに積層する際に使用する接着剤成分によって、担持せしめた化学吸着剤が被覆されてしまう部分が発生することで性能の低下になることが問題であった。
出願人は特許文献1を出願しており、高いpH環境にした第1消臭フィルターと、低いpH環境にした第2消臭フィルターとを備え、前記第1消臭フィルターは、活性炭混抄紙に金属フタロシアニン錯体とヒドラジン誘導体を担持させたものからなる消臭フィルターで、前記第2消臭フィルターは、活性炭混抄紙に金属フタロシアニン錯体を担持させたものからなる消臭フィルターであって、塩基性臭と酸性臭を同時に効率よく吸着分解し、なかでもタバコ臭に大きな消臭性能を有するものを開示している。
特開2007−229092号公報
上記技術は、吸着体と触媒を組み合わせたもので、吸着体に吸着された悪臭を、触媒により分解し脱臭する方法で、効率的に消臭する方法として有用な方法であるが、1枚の吸着材からなり1枚の吸着材に数種類の化学吸着剤を担持させることで、あらゆる悪臭ガス特にタバコ臭に大きな消臭性能がある優れたタバコ消臭フィルターが求められていた。
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、1枚の吸着材に数種類の化学吸着剤を担持させることで、あらゆる悪臭ガス特にタバコ臭に大きな消臭性能がある優れたタバコ消臭フィルターを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1]活性炭混抄紙に環状飽和アミンと、ポリカルボン酸を担持させたことに特徴のあるタバコ臭消臭フィルター。
[2]前記環状飽和アミンは、モルホリン、ピペリジン、ピペラジンから選ばれる1種または複数の環状飽和アミンであることに特徴のある前項1に記載のタバコ臭消臭フィルター。
[3]前記ポリカルボン酸は、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、アクリル酸−マレイン酸共重合体から選ばれる1種または複数のポリカルボン酸であることに特徴のある前項1または2に記載のタバコ臭消臭フィルター。
[4]前記環状飽和アミンを活性炭混抄紙1g当たり0.5〜10mg担持させたことに特徴のある前項1〜3のいずれか1項に記載のタバコ臭消臭フィルター。
[5]前記ポリカルボン酸を活性炭混抄紙1g当たり0.7〜15mg担持させたことに特徴のある前項1〜4のいずれか1項に記載のタバコ臭消臭フィルター。
[1]の発明によれば、活性炭混抄紙に環状飽和アミンと、ポリカルボン酸を担持しているので、酢酸のような酸性ガス、アセトアルデヒドのようなアルデヒド系ガス及びアンモニアのような塩基性ガスを吸着することでタバコ臭に対して大きな消臭効果を発揮する。
[2]の発明によれば、前記環状飽和アミンは、モルホリン、ピペリジン、ピペラジンから選ばれる1種または複数の環状飽和アミンであるので、アセトアルデヒドのようなアルデヒド系ガス及びアンモニアのような塩基性ガス十分な消臭効果が得られる。
[3]の発明によれば、前記ポリカルボン酸は、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、アクリル酸−マレイン酸共重合体から選ばれる1種または複数のポリカルボン酸であるので、アンモニアのような塩基性ガスを吸着することでタバコ臭に対して十分な消臭効果が得られる。
[4]の発明によれば、前記環状飽和アミンを活性炭混抄紙1g当たり0.5〜10mg担持させているので、アセトアルデヒドのようなアルデヒド系ガス及びアンモニアのような塩基性ガスの単位時間当たりの分解能力を高めることができる。
[5]の発明によれば、前記ポリカルボン酸を活性炭混抄紙1g当たり0.7〜15mg担持させているので、アンモニアのような塩基性ガスの単位時間当たりの分解能力を高めることができる。
本発明の消臭フィルターについて、さらに詳しく説明する。本発明の消臭フィルターを構成する活性炭混抄紙は通常の湿式抄紙法により製造できる。例えば活性炭と天然パルプを水に添加し、水スラリーを作成する。そのスラリーを攪拌しながら所定の固形分濃度に調整し、得られた凝集体水分散液を抄紙機を使い湿式抄紙法によりシート化し、乾燥処理を行ない活性炭混抄紙を得る。この活性炭混抄紙にヒートプレス機を用いてプレス加工を施す。この活性炭混抄紙をコルゲート加工機を用いハニカム形状に加工しフィルターの形状にする。フィルターの開口率を、ヒートプレス機を用いたプレス加工による紙厚、およびコルゲート加工機によるコルゲートの山高さと、コルゲート間隔(ピッチ)から65〜80%の範囲にするのが好ましい。
この活性炭混抄紙によるハニカムフィルターは活性炭の強い吸着力によって悪臭ガスの吸着体の役割をなすものである。本発明に使用する活性炭としては、椰子殻活性炭、石油ピッチ系球状活性炭、活性炭素繊維、木質系活性炭等の活性炭系炭素多孔質体が、吸着比表面積が非常に高いことから好ましく用いられる。中でも、椰子殻活性炭が好ましい。また、この活性炭混抄紙に使用する繊維は天然パルプ、ポリオレフィン及びアクリル繊維などのフィブリル化繊維を用いればよい。
活性炭混抄紙における活性炭の担持量は、0.2〜0.7g/cm担持させるのが好ましい。0.2g/cmを下回る活性炭の担持量では、十分な吸着量とならない。また、0.7g/cmを上回って活性炭を担持させても、十分に大きな吸着量とはならず、活性炭混抄紙の強度も得られず好ましくない。
本発明の消臭フィルターに使われる環状飽和アミンは、特に限定されるものではないが、例えば、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
前記環状飽和アミンを活性炭混抄紙に担持する量としては、活性炭混抄紙1g当たり0.5〜10mg担持させることが好ましい。0.5mgを下回ると、悪臭ガスの吸着能力が劣るものとなり、10mgを上回ると、活性炭の孔を塞ぎ、物理吸着性能を低下させてしまうおそれがある。より好ましくは、1〜4mgである。
本発明の消臭フィルターに使われるポリカルボン酸は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、アクリル酸−マレイン酸共重合体等が挙げられる。
前記ポリカルボン酸活性炭混抄紙に担持する量としては、活性炭混抄紙1g当たり0.7〜15mg担持させることが好ましい。0.7mgを下回ると、悪臭ガスの吸着能力が劣るものとなり、15mgを上回るものとしても、活性炭の孔を塞ぎ、物理吸着性能を低下させてしまうおそれがある。より好ましくは、1〜4mgである。
次ぎに実施例により、本発明を具体的に説明する。
(タバコ臭消臭初期性能試験)
JEM1467(1995)に準拠し測定した。タバコ臭消臭フィルター(118mm×118mm 厚さ7mm、セル密度100セル/inch)を装填した空気清浄機(シャープ社製KTBX)を、1mのアクリボックス内に設置するとともに、前記アクリボックス内でタバコ(マイルドセブン相当を5本)を燃焼させた。前記タバコの燃焼後、2〜5分後から初期濃度の測定を行った。その後、空気清浄機を30分間運転させ停止する。運転停止後にアンモニアガスの濃度、アセトアルデヒドガスの濃度、酢酸ガスの濃度を測定し、各ガスの除去率(%)は、上記初期濃度と、30分後の各ガス濃度とから次の式を用いて算出した。ここで、C1は初期ガスの濃度(ppm)、Cは30分後の残存ガス濃度(ppm)である。除去率50%以上であるものを「○」、除去率が40%以上50%未満であるものを「△」、除去率が40%未満であるものを「×」とし、「○」を合格とした。
除去率 η=(1−C/C1)×100
また、初期の除去率(以下、「総合除去率」という)を次の式を用いて算出した。ここで、ηはアンモニアガスの除去率、ηはアセトアルデヒドの除去率、ηは酢酸の除去率である。総合除去率50%以上であるものを「○」、総合除去率が40%以上50%未満であるものを「△」、総合除去率が40%未満であるものを「×」とし、「○」を合格とした。
総合除去率 η=(η + 2×η + η)/4
<実施例1>
椰子殻活性炭70重量部と天然パルプ30重量部を水100重量部に添加し、水スラリーを作成する。得られた凝集体水分散液を抄紙機を使い湿式抄紙法によりシート化し、乾燥処理を行ない活性炭混抄紙を得た。 続いて、この活性炭混抄紙にヒートプレス機を用いてプレス加工を施した。紙厚は0.17mm、坪量は130g/mであった。次に、この活性炭混抄紙をコルゲート加工機を用いハニカム形状に加工しフィルターの形状にした。 コルゲートの山高さは2.8mm、コルゲート間隔(ピッチ)は4.3mmであった。次に、3.75重量%のモルホリンと、4.0重量%のポリアクリル酸と、92.25重量%の水を加えた後、攪拌機により攪拌を行い、均一に分散液させて処理液を得た。前記処理液に前記ハニカム形状に加工しフィルターを含浸させたのち、乾燥してタバコ臭消臭フィルターを得た。この時モルホリンの活性炭混抄紙1g当たりへの担持量は1.9mg、ポリアクリル酸の活性炭混抄紙への担持量は2.0mgであった。上記のタバコ臭消臭初期性能の測定をおこない、30分経過後の、アンモニアガスの濃度、アセトアルデヒドガスの濃度、酢酸ガスの濃度をそれぞれ測定し、各ガスの除去率を求めた(表1)。
<実施例2>
次に、実施例1において、8.0重量%のモルホリンと、8.0重量%のポリアクリル酸と、84.0重量%の水を加えた後、攪拌機により攪拌を行い、均一に分散液させた処理液を用いた以外は実施例1と同様にして、タバコ臭消臭フィルターを得た。モルホリンの活性炭混抄紙1g当たりへの担持量は4.0mg、ポリアクリル酸の活性炭混抄紙への担持量は4.0mgであった。
<実施例3>
次に、実施例1において、2.0重量%のモルホリンと、2.0重量%のポリアクリル酸と、96.0重量%の水を加えた後、攪拌機により攪拌を行い、均一に分散液させた処理液を用いた以外は実施例1と同様にして、タバコ臭消臭フィルターを得た。モリホリンの活性炭混抄紙1g当たりへの担持量は1.0mg、ポリアクリル酸の活性炭混抄紙への担持量は1.0mgであった。
<実施例4>
次に、実施例1において、3.75重量%のモルホリンと、30.0重量%のポリアクリル酸と、66.25重量%の水を加えた後、攪拌機により攪拌を行い、均一に分散液させた処理液を用いた以外は実施例1と同様にして、タバコ臭消臭フィルターを得た。モルホリンの活性炭混抄紙1g当たりへの担持量は1.9mg、ポリアクリル酸の活性炭混抄紙への担持量は15.0mgであった。
<実施例5>
次に、実施例1において、3.75重量%のピペリジンと、4.0重量%のポリアクリル酸と、92.25重量%の水を加えた後、攪拌機により攪拌を行い、均一に分散液させた処理液を用いた以外は実施例1と同様にして、タバコ臭消臭フィルターを得た。ピペリジンの活性炭混抄紙1g当たりへの担持量は3.0mg、ポリアクリル酸の活性炭混抄紙への担持量は2.0mgであった。
<実施例6>
次に、実施例1において、3.75重量%のピペラジンと、4.0重量%のポリアクリル酸と、92.25重量%の水を加えた後、攪拌機により攪拌を行い、均一に分散液させた処理液を用いた以外は実施例1と同様にして、タバコ臭消臭フィルターを得た。ピペラジンの活性炭混抄紙1g当たりへの担持量は2.5mg、ポリアクリル酸の活性炭混抄紙への担持量は2.0mgであった。
<実施例7>
次に、実施例1において、3.75重量%のモルホリンと、4.0重量%のポリマレイン酸と、92.25重量%の水を加えた後、攪拌機により攪拌を行い、均一に分散液させた処理液を用いた以外は実施例1と同様にして、タバコ臭消臭フィルターを得た。モルホリンの活性炭混抄紙1g当たりへの担持量は1.9mg、ポリマレイン酸の活性炭混抄紙への担持量は1.8mgであった。
<実施例8>
次に、実施例1において、3.75重量%のモルホリンと、4.0重量%のアクリル酸−マレイン酸共重合体と、92.25重量%の水を加えた後、攪拌機により攪拌を行い、均一に分散液させた処理液を用いた以外は実施例1と同様にして、タバコ臭消臭フィルターを得た。モルホリンの活性炭混抄紙1g当たりへの担持量は1.9mg、アクリル酸−マレイン酸共重合体の活性炭混抄紙への担持量は2.6mgであった。
<比較例1>
次に、実施例1において、モルホリンと、ポリアクリル酸の両方とも坦持させないでフィルターとした以外は実施例1と同様にして、消臭フィルターを得た。
<比較例2>
次に、実施例1において、モルホリンを坦持させないでフィルターとした以外は実施例1と同様にして、消臭フィルターを得た。
<比較例3>
実施例1において、ポリアクリル酸を坦持させないでフィルターとした以外は実施例1と同様にして、消臭フィルターを得た。
<比較例4>
実施例1において、活性炭混抄紙へ活性炭を坦持しなかった以外は実施例1と同様にして、消臭フィルターを得た。
表2から明らかなように、本発明のタバコ臭消臭フィルターは、タバコ臭(アンモニア、アセトアルデヒド、酢酸等)等の悪臭に優れた消臭効果を発揮する優れたフィルターである。
本発明の技術は、家庭用または業務用のエアコン、空気清浄機、タバコ分煙機等のフィルターや、あるいは車などにおける車室内のいやな臭いを取り除くフィルター等として使用し、特にタバコ臭(アンモニア、アセトアルデヒド、酢酸等)を効率的に吸着浄化するフィルターとして広く利用される。

Claims (5)

  1. 活性炭混抄紙に環状飽和アミンと、ポリカルボン酸を担持させたことに特徴のあるタバコ臭消臭フィルター。
  2. 前記環状飽和アミンは、モルホリン、ピペリジン、ピペラジンから選ばれる1種または複数の環状飽和アミンであることに特徴のある請求項1に記載のタバコ臭消臭フィルター。
  3. 前記ポリカルボン酸は、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、アクリル酸−マレイン酸共重合体から選ばれる1種または複数のポリカルボン酸であることに特徴のある請求項1または2に記載のタバコ臭消臭フィルター。
  4. 前記環状飽和アミンを活性炭混抄紙1g当たり0.5〜10mg担持させたことに特徴のある請求項1〜3のいずれか1項に記載のタバコ臭消臭フィルター。
  5. 前記ポリカルボン酸を活性炭混抄紙1g当たり0.7〜15mg担持させたことに特徴のある請求項1〜4のいずれか1項に記載のタバコ臭消臭フィルター。
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