JP2014112475A - 燃料電池用セパレータの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械特性、導電性および寸法精度に優れる燃料電池用セパレータを製造する方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂100質量部に対し3〜280質量部の炭素質材料を含み、該炭素質材料のうち50〜100質量%が繊維状炭素である熱可塑性樹脂シートA42の少なくとも1つの面に、炭素質粉末100質量部と、分散媒10〜100質量部とを含むペーストを塗布する工程と、前記熱可塑性樹脂シートA42と、熱可塑性樹脂100質量部に対し130〜3200質量部の炭素質材料を含む熱可塑性樹脂シートB41とを、最も外側の面が、前記熱可塑性樹脂シートA42のペーストを塗布した面になるように積層して圧縮成形する工程とを含む、燃料電池用セパレータ1の製造方法。
【選択図】図6

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物からなる燃料電池用セパレータの製造方法、その方法で製造された燃料電池用セパレータ、およびこれを用いた燃料電池に関する。
近年、環境問題、エネルギー問題の観点から、燃料電池が注目されている。燃料電池は、水素と酸素を利用した水の電気分解の逆反応で発電し、水以外の排出物がないクリーンな発電装置である。燃料電池は、その電解質の種類に応じて数種類に分類されるが、これらの中でも、固体高分子型燃料電池は低温で作動するため、自動車や民生用として最も有望である。このような燃料電池は、例えば、高分子固体電解質、ガス拡散電極、触媒、セパレータから構成された単セルを積層することによって、高出力の発電が達成できる。
上記構成を有する燃料電池において、単セルを仕切るためのセパレータには、通常、燃料ガス(水素等)と酸化剤ガス(酸素等)を供給し、発生した水分(水蒸気)を排出するための流路(溝)が形成されている。それゆえ、セパレータにはこれらのガスを完全に分離できる高い気体不透過性と、流路部分の内部抵抗を小さくするための高い導電性が要求される。さらには、熱伝導性、耐久性、強度等に優れていることが要求される。
特に自動車用の燃料電池は、大容量であることが求められるため、そのセパレータは上記特性に加え、薄くて大面積でありながら、自動車の走行中の振動に対しても割れや破断が無いことが要求されている。
燃料電池のセパレータには大きく分けて、金属製のものと、炭素板と、炭素質材料に樹脂を混合して成形したものとがある。このうち炭素質材料に樹脂を混合したものは、金属製のものより腐食に強く、炭素板より曲げや振動に強いセパレータが低コストで得られるという利点がある。
炭素質材料に樹脂を混合した燃料電池用セパレータにおいては、充分な導電性を確保するために炭素材料を高充填する必要があるが、炭素材料を高充填すると、セパレータが脆くなり、割れや破断を起しやすくなる傾向がある。
樹脂成形品の割れや破断を防ぐための方法としては、炭素繊維により樹脂成形品を補強して機械特性を改善することが以前から行われているが、炭素繊維を高充填すると成形性に劣り、成形品の寸法精度が悪くなる傾向があるため、炭素繊維の添加量は少量であるのが普通であり、単にセパレータに用いられる炭素材料を炭素繊維とするだけでは、機械特性と導電性の双方が良好なセパレータを得ることは難しい。このため様々な工夫がなされている。
例えば、特許文献1、特許文献2には黒鉛と炭素繊維とを含む樹脂組成物を成形して得られる燃料電池用セパレータが開示されている。
また特許文献3には、炭素繊維を同一方向に並べて配置した導電性繊維シートで、黒鉛などの他の導電性物質を含む導電性樹脂シートを、挟んで成形して得られる燃料電池用セパレータが開示されている。
特開2007−277475号公報 特開2006−260956号公報 特開2009−93967号公報
燃料電池用セパレータの機械特性および導電性には、より一層の向上が求められている。
特許文献1および2に記載されているように、黒鉛と炭素繊維とを含む樹脂組成物を成形する場合、樹脂組成物を調製するために黒鉛、炭素繊維および樹脂を混合する際に、炭素繊維が破断され、期待したほどの機械強度が得られない傾向がある。
上記特性の双方を充たすその他の方法としては、導電性が必要な流路部を、黒鉛などの導電性に優れた炭素材料を含む材料で作製し、導電性は不要であるが、外力の加わりやすい外周部を、炭素繊維を含む材料で作製した後、接合する方法などが考えられるが、製造工程が煩雑となる問題がある。
そこで本発明は、曲げ強度や曲げひずみなどの機械特性と、導電性の双方が良好な燃料電池用セパレータを、簡便な方法で提供することを目的とする。
すなわち、本発明は下記の[1]および[2]に関する。
[1]
熱可塑性樹脂100質量部に対し3〜280質量部の炭素質材料を含み、該炭素質材料のうち50〜100質量%が繊維状炭素である熱可塑性樹脂シートAの少なくとも1つの面に、炭素質粉末100質量部と、分散媒10〜100質量部とを含むペーストを塗布する工程と、
前記熱可塑性樹脂シートAと、熱可塑性樹脂100質量部に対し130〜3200質量部の炭素質材料を含む熱可塑性樹脂シートBとを、最も外側の少なくとも1つの面が、前記熱可塑性樹脂シートAのペーストを塗布した面になるように積層して圧縮成形する工程とを含む、燃料電池用セパレータの製造方法。
[2]
熱可塑性樹脂100質量部に対し3〜280質量部の炭素質材料を含み、該炭素質材料のうち50〜100質量%が繊維状炭素である層Aと、
熱可塑性樹脂100質量部に対し130〜3200質量部の炭素質材料を含む層Bとを有し、
最も外側の少なくとも1つの層が前記層Aであり、かつ、炭素質粉末が埋め込まれている燃料電池用セパレータ。
本発明の方法によれば、機械特性および導電性に優れた燃料電池用セパレータが、簡便な方法で得られる。
図1は、燃料電池用セパレータの一例を示す模式図である。 図2は、燃料電池用セパレータ流路部の一例を示す模式断面図である。 図3は、燃料電池用セパレータ流路部の別の例を示す模式断面図である。 図4は、中空流路を有する燃料電池用セパレータの流路部の模式断面図である。 図5は燃料電池用セパレータの圧縮成形に用いる金型の一例と、熱可塑性樹脂シートAおよび熱可塑性樹脂シートBの金型内への設置のしかたの一例を示す模式断面図である。 図6は、燃料電池用セパレータの1つの実施態様の模式断面図である。
以下、本発明をさらに具体的に説明する。
本発明は、熱可塑性樹脂100質量部に対し3〜280質量部の炭素質材料を含み、該炭素質材料のうち50〜100質量%が繊維状炭素である熱可塑性樹脂シートAの少なくとも1つの面に、炭素質粉末100質量部と、分散媒10〜100質量部とを含むペーストを塗布する工程と、
前記熱可塑性樹脂シートAと、熱可塑性樹脂100質量部に対し130〜3200質量部の炭素質材料を含む熱可塑性樹脂シートBとを、最も外側の少なくとも1つの面が、前記熱可塑性樹脂シートAのペーストを塗布した面になるように積層して圧縮成形する工程とを含む、燃料電池用セパレータの製造方法に関する。
[燃料電池用セパレータ]
燃料電池用セパレータの形状に特に制限はなく、多くの場合は、片面または両面にガス流路が形成された流路部と、流路部を取り囲むように形成された外周部からなる。図1は、燃料電池用セパレータの一例を示す。図1(a)は平面図を示し、図1(b)は底面図を示す。図1において、1は燃料電池用セパレータであり、2はガス流路であり、3は流路部であり、4は外周部である。流路の配置や断面形状には特に制限はなく、図1に示すものの他にも、燃料電池用セパレータとして公知のものを用いることができる。流路部の断面形状の一例としては図2のような波形形状や、図3のような表裏対称の形状、図4のような中空流路6を有する形状を挙げることができる。
また外周部には、流路にガスや冷却水を導入し、また不要になったガスや生成水を排出するための内部マニホールド5が設けられていてもよい。
[熱可塑性樹脂シート]
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂シートAおよび熱可塑性樹脂シートBに含まれる熱可塑性樹脂としては、燃料電池用セパレータに用いられる公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。例えば、以下のものを挙げることができる。
アクリル樹脂:アクリロニトリルブタジエンスチレン重合体、ポリメタクリル酸メチル樹脂など
ポリ塩化ビニル
ポリイミド
液晶ポリマー
ポリエーテルエーテルケトン
フッ素樹脂:ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、パーフルオロエチレン−プロペンコポリマー、ポリビニリデンフルオライド、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマーなど
ポリオレフィン:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリブテン−1など
ポリアセタール
ポリアミド
ポリエステル:ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど
ポリカーボネート
ポリシクロオレフィン
ポリフェニレンスルフィド
ポリエーテルスルホン
ポリフェニレンオキシド
ポリフェニレンスルホン
上記熱可塑性樹脂は、好ましくはポリオレフィン、フッ素樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリシクロオレフィン、およびポリエーテルスルホンのうち融点が100℃以上であるもの、ならびにポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンオキシドのうちガラス転移点温度が100℃以上であるものからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは結晶性のポリオレフィンであり、最も好ましくは結晶性のポリプロピレンであると、燃料電池運転時にクリープしにくく、また耐加水分解性が良好な燃料電池用セパレータが得られる。
熱可塑性樹脂の融点およびガラス転移点温度は、JIS K7121に従って、試験片を標準状態で調整し、示差走査熱量計(DSC)を用いて、融点は融解ピーク温度として、ガラス転移点温度は中間点ガラス転移温度として測定することができる。
熱可塑性樹脂シートAに用いる熱可塑性樹脂と、熱可塑性樹脂シートBに用いる熱可塑性樹脂とは、同一であってもよいし、異なっていてもよいが、燃料電池用セパレータ成形後に両シートの圧着部が剥離するのを防ぐため、それぞれのシートに用いる熱可塑性樹脂中、20質量%以上を、同じ種類の樹脂、若しくは互いに相溶性を有する樹脂とすることが好ましい。ここで相溶性があるとは、部分的に溶け合うことが可能な異種ポリマー同士を、混合混練して分散したとき、ポリマーの平均粒子径が5μm以下のサイズで分散できる組み合わせ、または相分離せずに溶け合うことができる異種ポリマーの組み合わせである。相溶性を有する樹脂の組み合わせとしては例えば、ポリプロピレン、ポリブテン−1、エチレンプロピレンゴム、水添スチレンブタジエンゴム、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロックコポリマーからなる群から選ばれる樹脂同士の組み合わせが挙げられる。
熱可塑性樹脂シートAの熱可塑性樹脂には、繊維状フィラー表面と化学結合できる、または濡れ性が良好な、変性処理された熱可塑性樹脂が10質量%以上含まれていると、繊維状炭素や、後述する繊維状フィラーとの界面強度が強固となり、好ましい。熱可塑性樹脂シートA中の、変性処理された熱可塑性樹脂の量は、熱可塑性樹脂中、好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは10〜30質量%である。変性処理によって導入される官能基としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸などの酸無水物と反応させることにより導入される酸無水物基、グリシジルアクリレートや、グリシジルメタクリレートによって導入される基、アミノ基、アミド基、ビニル基、水酸基、カルボキシル基およびチオール基からなる群より選ばれる1種以上の官能基が好ましく、酸無水物基やカルボキシル基を導入したもの、すなわち、酸変性されたものであることがより好ましい。変性処理としては、変性剤とポリマーをブレンドして押出機によりグラフト変性する方法や、溶液中で変性処理する方法などがある。市販の変性樹脂を使用することもでき、具体的には、三菱化学社製商品名モディック(登録商標)、三井化学社製商品名アドマー(登録商標)、三洋化成社製商品名ユーメックス、東ソー社製商品名メルセンM、住友化学社製商品名ボンドファースト(登録商標)などが挙げられる。
(炭素質材料)
熱可塑性樹脂シートAおよび熱可塑性樹脂シートBに含まれる炭素質材料としては、燃料電池用セパレータに用いられる公知の炭素質材料を用いることができる。具体的には、導電性カーボンブラック、炭素繊維、アモルファスカーボン、膨張黒鉛、人造黒鉛、天然黒鉛、キッシュ黒鉛、気相法炭素繊維、カーボンナノチューブ、フラーレン等を挙げることができる。導電性カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどが挙げられる。中でも、熱可塑性樹脂シートBに用いる炭素質材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、および膨張黒鉛から選ばれる1種以上が、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは60〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%を占める。特に異方性がない導電性の燃料電池用セパレータを得るためには、熱可塑性樹脂シートBの炭素質材料として、人造黒鉛を用いることが好ましい。
天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛の粒径は、好ましくは体積基準の累積粒径D10が3〜15μm、D50が5〜60μm、D90が60〜100μmであり、より好ましくはD10が5〜12μm、D50が5〜50μm、D90が60〜90μm、さらに好ましくはD10が7〜10μm、D50が10〜50μm、D90が60〜80μmである。3μm以下の粒子が多いと、炭素質材料を高充填した際に、導電性及び機械的特性が低下するので好ましくない。また、100μm以上の粒子が多いと、成形品の外観が悪く、割れやすくなるので好ましくない。炭素質材料の粒径は、所定量の蒸留水に、所定量のサンプルと界面活性剤とを加えて分散させ、レーザー回折散乱法にて粒度分布を測定することにより、求めることができる。
炭素質材料の粉体抵抗は、粉体密度を1.5g/cmとしたときに、加圧方向に対して直角方向の粉末電気比抵抗ができるだけ低いことが望ましく、0.1Ω・cm以下であることが好ましく、さらに0.03Ω・cm以下であることが、高い導電性が得られるので好ましい。粉体抵抗は特許第3937962号公報に記載の方法で測定できる。
炭素質材料の真密度は、好ましくは1.6〜2.25g/cmであり、より好ましくは1.7〜2.25g/cmであり、さらに好ましくは1.9〜2.25g/cmである。炭素質材料の真密度が高いほど、黒鉛化が発達しており導電性が良好である。真密度は液相置換法、または気相置換法により測定できる。例えば、マウンテック社製のピクノマチックや、セイシン企業社製のVM−100、MAT−7000を用いることで測定できる。
炭素質材料の嵩密度(タッピング密度)は、好ましくは0.3〜1.5g/cmであり、より好ましくは、0.5〜1.5g/cmであり、さらに好ましくは0.6〜1.5g/cmである。嵩密度が高いほど高充填することができ、高い導電性を発現しやすいので好ましい。
タッピング密度の測定は市販の嵩密度測定装置を用いて川北式評価法により測定できる。市販の嵩密度測定装置としては、例えばパウダテスタPT−S(ホソカワミクロン社製)、タップデンサーKYT−4000(セイシン企業社製)などが挙げられる。タップ回数は任意に決めることができるが、嵩減りが停止するまでタッピングすることが好ましい。その他USP(the United States Pharmacopeia)章<616>
方法2、またはEP(European
Pharmacopeia)章2.9.15等に準拠した方法で測定しても構わない。
炭素質材料にはホウ素が0.01〜4質量%、より好ましくは0.05〜3質量%、さらに好ましくは0.1〜2質量%含まれると、得られる燃料電池用セパレータの流路部の体積固有抵抗が小さくなるため好ましい。ホウ素を含む炭素質材料は特開2002−60639号公報、特開2005−281690号公報に記載の方法で製造することができる。また含有率の測定法についても上述の特許公報に記載されている。
(繊維状炭素)
熱可塑性樹脂シートAに含まれる炭素質材料のうち50〜100質量%が繊維状炭素である。
繊維状炭素としては、炭素繊維、気相法炭素繊維、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ等を挙げることができる。
繊維状炭素の平均繊維径(D)は、好ましくは0.01〜20μm、より好ましくは0.1〜15μm、さらに好ましくは1〜10μmであり、平均繊維長(L)は好ましくは1μm〜20mm、より好ましくは5μm〜10mm、さらに好ましくは1〜10mmである。ただし繊維状炭素のL/Dは、好ましくは5〜1000、より好ましくは100〜1000、さらに好ましくは500〜1000である。L/Dを5以上とすることで、十分な繊維補強効果を得ることが出来、また1000以下とすることで、熱可塑性樹脂シートを製造する際の原料となる、繊維状炭素を含む樹脂組成物の流動性が良好になる。
上記繊維状炭素の平均繊維径および平均繊維長は走査型電子顕微鏡(SEM)などにより任意の100〜200本の繊維径と繊維長を測定し、算術平均値として算出することができる。また、0.7〜160μmの範囲であれば、ホソカワミクロン社製のFPIA−3000を用いて測定することができる。
(エラストマー)
熱可塑性樹脂シートAおよび熱可塑性樹脂シートBは、炭素質材料、熱可塑性樹脂の他に、常温付近でゴム状弾性を有するエラストマーを含むと、燃料電池用セパレータが割れにくくなるため好ましい。エラストマーの含有量は、前記熱可塑性樹脂100質量部につき、好ましくは0.05〜40質量部、より好ましくは1〜40質量部であり、さらに好ましくは2〜10質量部であると、割れにくく、流路が変形しにくく、ガス不透過性が良好なセパレータとなる。
エラストマーは、好ましくは炭素質材料の平均粒子径以下かつ5μm以下、より好ましくは4μm以下、さらに好ましくは3μm以下の平均粒子径で前記熱可塑性樹脂中に分散していると、導電性が良好で割れにくい燃料電池用セパレータとなる。
エラストマーの平均粒子径は、ウルトラミクロトームを用いて、液体窒素により凍結させたサンプルの断面から超薄切片を作製し、オスミウム染色後、TEMにより分散相の粒子径を観察し、100個程度の粒子の数平均粒子径として求めることができる。
エラストマーの例としては、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム、水素化ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレンプロピレンジエン三元共重合ゴム、エチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、ハイスチレンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ポリエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン・プロピレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ノルボルネンゴム、ブチルゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、軟質アクリル樹脂等の中からなる群より選ばれる1種以上を挙げることができる。
上記エラストマーの中でも、好ましくは炭化水素系エラストマーであるスチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる1種以上であると、エラストマーの耐加水分解性が良好であるため好ましく、スチレン系熱可塑性エラストマーであることが特に好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、水添スチレンブタジエンラバー、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロックコポリマー、スチレン・エチレンプロピレン・スチレンブロックコポリマー、スチレン・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックコポリマー、スチレン・イソプレン・スチレンブロックコポリマー、スチレン・ブタジエン・スチレンブロックコポリマー等が挙げられ、中でも、水添スチレンブタジエンラバー、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロックコポリマー、スチレン・エチレンプロピレン・スチレンブロックコポリマーであることが好ましい。
(繊維状フィラー)
熱可塑性樹脂シートBは、繊維状炭素以外の繊維状フィラーを含んでもよい。「繊維状炭素以外の繊維状フィラー」および「繊維状炭素」を合わせて「繊維状フィラー」という。熱可塑性樹脂シートBは、繊維状フィラーを、3〜70質量%、より好ましくは5〜60質量%、さらに好ましくは10〜50質量%含むと、燃料電池用セパレータの機械特性を向上することができる。
繊維状炭素以外の繊維状フィラーの例としては、ガラスファイバー、金属繊維、有機繊維、セラミック繊維、金属酸化物系のウィスカーの群より選ばれる1種以上が挙げられ、燃料電池用セパレータの導電性や耐腐食性の観点から、好ましくは繊維状炭素である。
繊維状フィラーの平均繊維径(D)、平均繊維長(L)およびL/Dの好ましい範囲は、上述の繊維状フィラーの好ましい範囲と同様であり、その理由も同様である。
上記繊維状フィラーの平均繊維径および平均繊維長は走査型電子顕微鏡(SEM)などにより任意の100〜200本の繊維径と繊維長を測定した平均で算出することができる。また、0.7〜160μmの範囲であれば、ホソカワミクロン社製のFPIA−3000を用いて測定することができる。
上記繊維状フィラーは、表面に導電性を付与する目的で、カーボンや金属などがコーティングされていてもよい。コーティングは蒸着法(化学気相蒸着、有機金属気相成長法、真空蒸着法、スパッタリング、イオンプレーティングなど)、無電解メッキ法、電気めっき法、塗工、化成処理などにより行うことができる。
また上記繊維状フィラーには、樹脂との密着性を向上させるため、エポキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、アミノ基、酸無水物基、グリシジル基、イソシアネート基、チオール基、ビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基の群より選ばれる一種以上の官能基を表面処理によって付与することが好ましい。例えば、シランカップリング処理、強酸処理、プラズマ処理、コロナ処理、その他化成処理などにより官能基を付与することができる。
(他の成分)
熱可塑性樹脂シートAおよび熱可塑性樹脂シートBには、上述の各成分のほか、酸化防止剤、熱安定剤、ハロゲン捕捉剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、無機充填材、滑剤、可塑剤、難燃剤、界面活性剤、親水性付与剤、撥水性付与剤、摺動性付与剤などの添加剤を含有させることができる。また熱可塑性樹脂シートAには、炭素質材料および繊維状フィラー以外のフィラーを1種以上含有させることができる。
他の成分の添加量は、熱可塑性樹脂シートA中、合計で0〜70質量%であり、好ましくは0〜10質量%である。また熱可塑性シートB中には、好ましくは0〜20質量%、より好ましくは0〜10質量%の他の成分を含有させることができる。
(熱可塑性樹脂シートAの組成)
熱可塑性樹脂シートAは、熱可塑性樹脂および炭素質材料を含み、熱可塑性樹脂100質量部に対し、炭素質材料を3〜280質量部、好ましくは10〜120質量部、より好ましくは60〜80質量部含む。熱可塑性樹脂シートBに含まれる炭素質材料のうち50〜100質量%、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%が繊維状炭素である。熱可塑性樹脂シートAがこのような組成であると、機械特性に優れた燃料電池用セパレータとすることができる。
(熱可塑性樹脂シートBの組成)
熱可塑性樹脂シートBは、熱可塑性樹脂および炭素質材料を含み、熱可塑性樹脂100質量部に対し炭素質材料を130〜3200質量部、好ましくは300〜2500質量部、より好ましくは500〜900質量部含む。熱可塑性樹脂シートBがこのような組成であると、導電性、流路部と外周部からなるセパレータにおいては、流路部の導電性が良好な燃料電池用セパレータとすることができる。
(熱可塑性樹脂シートの圧縮厚み残量)
熱可塑性樹脂シートA、熱可塑性樹脂シートBの等圧縮加重下での厚み残量d、dの比は、後述する成形条件においてd/d≧2であり、より好ましくはd/d≧5であり、さらに好ましくはd/d≧7である。これにより、熱可塑性樹脂シートAと熱可塑性樹脂シートBを重ねて圧縮成形した際に、熱可塑性樹脂シートAはひずんで外側へ押し出され、熱可塑性樹脂シートBはほとんどひずまず、金型の中心付近にとどまる。その結果、導電性が必要とされる流路部は、外からの衝撃が加わりやすい外周部は、繊維状炭素を含有し、曲げ特性の良好な熱可塑性シートAを主として形成され、炭素質材料を多量に含有し、体積固有抵抗の低い熱可塑性樹脂シートBを主として形成されるので、機械特性と、流路部の導電性が両立された燃料電池用セパレータを容易に得ることができる。加えて、成形時に流動しやすい熱可塑性樹脂シートAが存在するため、金型の隅々まで材料が充填され、寸法精度の良好な燃料電池用セパレータを得ることができる。また好ましくはd/d≦50であり、より好ましくはd/d≦10である。
本発明の製造方法により得られる燃料電池用セパレータの、特に外周部の強度を高める観点から、熱可塑性樹脂シートAの圧縮厚み残量は後述する測定条件で、0.08mm以下であることが好ましく、0.05mm以下であることがより好ましい。得られる燃料電池用セパレータの機械特性の観点から、熱可塑性樹脂シートAの圧縮厚み残量は0.005mm以上であることが好ましく、0.01mm以上であることがより好ましい。
得られる燃料電池用セパレータの流路部の導電性を高める観点からは、熱可塑性樹脂シートBの圧縮厚み残量は後述する測定条件で、0.1mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることがより好ましい。また流路部の寸法精度の観点からは、熱可塑性樹脂シートBの圧縮厚み残量は後述する測定条件で、0.7mm以下であることが好ましく、0.3mm以下であることがより好ましい。
/d≧2の要件は、熱可塑性樹脂シートAおよび熱可塑性樹脂シートBを構成する熱可塑性樹脂および炭素質材料の種類および含有量を適宜選択することによって得ることができる。例えば、以下の通りである。
炭素質材料の含有量:熱可塑性樹脂シートAの炭素質材料の含有量を熱可塑性樹脂シートBの炭素質材料の含有量より少なくすることにより、d/dの値を大きくすることができ、具体的には、熱可塑性樹脂シートAおよび熱可塑性樹脂シートBの炭素質材料の含有量をそれぞれ上述の通りとすることが好ましい。
炭素質材料の種類:熱可塑性樹脂シートAに、繊維状炭素以外の炭素質材料を併用する場合、繊維状炭素以外の炭素質材料として含有させるカーボンブラックの量は、熱可塑性樹脂シートAの全炭素質材料中、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%とすると、シートAの流動性が向上し、d/dの値を大きくすることができる。
熱可塑性樹脂の融点または軟化点:熱可塑性樹脂シートAに、融点または軟化点の低い熱可塑性樹脂を用い、熱可塑性樹脂シートBに、融点または軟化点の高い熱可塑性樹脂を用いることにより、d/dの値を大きくすることができる。熱可塑性樹脂の融点および軟化点はそれぞれ、JIS K7121およびJIS K2531に準拠して測定することができる。
熱可塑性樹脂の分子量:熱可塑性樹脂シートAに低分子量成分を多く含む熱可塑性樹脂を用い、熱可塑性樹脂シートBに高分子量成分を多く含む熱可塑性樹脂を用いることにより、d/dの値を大きくすることができる。
熱可塑性樹脂のメルトフローレート:熱可塑性樹脂シートAに用いる熱可塑性樹脂のメルトフローレートを大きくし、熱可塑性樹脂シートBに用いる熱可塑性樹脂のメルトフローレートを小さくすることにより、d/dの値を大きくすることができる。具体的には、ISO 1873−2.2:95に準拠して測定した熱可塑性樹脂シートAのメルトフローレートは、1〜70g/10minであることが好ましく、20〜50g/10minであることがより好ましい。また、同様にして測定した熱可塑性樹脂シートBの熱可塑性樹脂シートのメルトフローレートが、0.1〜50g/10minであることが好ましく、0.2〜40g/10minであることがより好ましい。
なおこれらの条件は、必ずしも同時に全てを充たす必要はなく、d/d≧2を充たすように、適宜選択し、組み合わせることができる。
の異なる熱可塑性樹脂シートAを複数枚積層する場合は、各熱可塑性樹脂シートAのdを各熱可塑性樹脂シートAの厚みで加重平均した値をdとする。同様に、dの異なる熱可塑性樹脂シートBを複数枚積層する場合は、各熱可塑性樹脂シートBのdを各熱可塑性樹脂シートBの厚みで加重平均した値をdとする。たとえば、たとえば、圧縮厚み残量dA1、厚みtA1の熱可塑性樹脂シートA1と圧縮厚み残量dA2、厚みtA2の熱可塑性樹脂シートA2とを1枚ずつ積層する場合は、d=(tA1A1+tA2A2)/(tA1+tA2)である。
(熱可塑性樹脂シートの圧縮厚み残量の測定)
圧縮厚み残量は、熱可塑性樹脂シートA、熱可塑性樹脂シートBをそれぞれφ50mm、厚み1mmのサイズに調整し、その試験片をφ50mm、厚さ5mmの超硬プレート2枚の間に仕込み、熱プレス機を用いて所定の成形条件で圧縮し、圧縮後の試験片の厚みをノギスまたはマイクロメーターなどで測定して比率を求める。成形条件は、熱可塑性樹脂シートAおよび熱可塑性樹脂シートBに含まれるバインダー成分の融点のうち、いずれか高い方の融点より60℃高い温度で、設定温度になるまで十分に予熱し、面圧20MPa、加圧時間60秒の条件で成形する。
(熱可塑性樹脂シートの製造方法)
熱可塑性樹脂シートAおよび熱可塑性樹脂シートBを製造するには、初めに上記各材料を混合する。混合の方法は特に制限されないが、例えば、ロールミル、押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどの混練機を用いることができ、なるべく均一に混合させる。
次いで、混合した材料をシート状に成形する。なお、材料を混合した後、シート成形を行う前に、成形機や金型への材料の供給を容易にするため、混合された材料を粉砕あるいは造粒することもできる。
シート成形は、押出機による方法、押出機と圧延ロールの組合せによる方法、粉末状の前記混合された材料をロールに供給する方法などによる行うことができる。圧延ロールの温度はシート中のバインダー成分の固化温度以下にすることが好ましい。
また熱可塑性樹脂シートBの場合は、市販の炭素繊維含有樹脂をシート成形して使用することもできる。具体的には、三菱レイヨン社製商品名パイロフィル(登録商標)ペレット、東レ社製商品名トレカ(登録商標)ペレット、ダイセルポリマー社製商品名プラストロンなどが挙げられる。
(熱可塑性樹脂シートAの機械特性)
熱可塑性樹脂シートAは、70℃における曲げひずみが好ましくは0.5%以上、より好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは1.5%以上であり、70℃における曲げ強度が好ましくは25MPa以上、より好ましくは30MPa以上、さらに好ましくは35MPa以上である。これにより、熱可塑性樹脂シートBを用いて得られる燃料電池用セパレータの機械特性が向上する。また熱可塑性樹脂シートBは、70℃における曲げひずみが好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下であり、70℃における曲げ強さが好ましくは500MPa以下、より好ましくは200MPa以下である。
曲げひずみおよび曲げ強度はテンシロン試験機を用いて測定する。50mm×10mm×所定の厚さに切り出した熱可塑性樹脂シートBを、スパン間隔24mm、曲げ速度1mm/min、温度70℃の条件で3点式曲げ試験により測定する。
(熱可塑性樹脂シートBの体積固有抵抗)
熱可塑性樹脂シートBの体積固有抵抗値は、23℃において、50mΩ・cm以下であることが好ましく、10mΩ・cm以下であることがより好ましい。これにより、熱可塑性樹脂シートAを用いて得られる燃料電池用セパレータの流路部の導電性が向上する。また熱可塑性樹脂シートBの体積固有抵抗値は、23℃において、0.1Ω・cm以上であることが好ましく、1mΩ・cm以上であることがより好ましい。
体積固有抵抗値は、JIS K7194に準拠し、四探針法により測定する。
(熱可塑性樹脂シート中のバインダー成分の融点)
熱可塑性樹脂シートA中のバインダー成分の融点Tmと、熱可塑性樹脂シートB中のバインダー成分の融点Tmとは、好ましくは0≦(Tm−Tm)≦80℃、より好ましくは2≦(Tm−Tm)≦70℃、さらに好ましくは2≦(Tm−Tm)≦60℃を充たす。これにより、短い成形サイクルで、流路部の導電性が高い燃料電池用セパレータを得ることができる。また融点Tmが融点Tmより小さく、熱可塑性樹脂シートAが表面に設置されていると燃料電池用セパレータ同士を熱溶着し、発電部の接触抵抗を低減できるので好ましい。
熱可塑性樹脂シート中のバインダー成分の融点は、市販の示差走査熱量分析装置により、適宜切り出した熱可塑性樹脂シートを試料として試料容器中に設置し、上述の熱可塑性樹脂の融点の測定と同様に測定して、得られる。ただし、2つ以上の融解ピークが観察される場合には、より低い温度で観察されるピークの融解ピーク温度を、バインダー成分の融点とする。
[炭素質粉末を含むペースト]
熱可塑性樹脂シートAに塗布する、炭素質粉末を含むペースト(以下、単にペーストとも言う)は、炭素質粉末100質量部に対し、分散媒を10〜100質量部、好ましくは20〜70質量部、より好ましくは30〜50質量部含む。ペーストがこのような組成であるとペーストを用いて得られる燃料電池用セパレータが導電性に優れ、かつペースト中に均一に炭素質粉末が分散し塗布性に優れるので好ましい。
ペーストに用いる炭素質粉末としては、導電性カーボンブラック、ミルドカーボンファイバー、アモルファスカーボン、膨張黒鉛、人造黒鉛、天然黒鉛、キッシュ黒鉛、気相法炭素繊維、カーボンナノチューブ、フラーレン等を挙げることができる。導電性カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどが挙げられる。これらのうち、導電性に優れているので人造黒鉛、天然黒鉛、気相法炭素繊維が好ましく、これらの中でも、ホウ素が0.01〜4質量%、より好ましくは0.05〜3質量%、さらに好ましくは0.1〜2質量%含まれるものであると、導電性に優れた燃料電池用セパレータが得られるため、好ましい。
ペーストに用いる分散媒としては、特に制限は無いが、水、アルコール類、アセトンおよび酢酸エステルからなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましく、アルコール類がより好ましい。アルコール類としては例えば、メタノール、エタノールおよび2−プロパノールが挙げられる。アルコール類の中でも、特に好ましくはエタノールである。
ペーストは、炭素質粉末および分散媒のほか、分散剤、消泡剤、ハロゲン捕捉剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、界面活性剤、親水性付与剤、撥水性付与剤、塗布性改良剤などの添加剤を含んでもよい。これら添加剤の含有量は、炭素質粉末100質量部に対し、合計で0〜40質量部であることが好ましく、0〜20質量部であることがより好ましい。
ペーストには炭素質粉末および分散媒の他、ハロゲン捕捉剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、滑剤、界面活性剤、親水性付与剤、撥水性付与剤、摺動性付与剤などの添加剤を含有させることができる。これら添加剤の量は、炭素質粉末100質量部に対し、好ましくは0〜80質量部、より好ましくは0〜20質量部である。
ペーストは、炭素質粉末と、分散媒と、必要に応じて添加剤とを混合することによって製造できる。混合のしかたに特に制限はなく、撹拌棒、薬さじなどを用いて人の手で撹拌してもよいし、マグネチックスターラー、メカニカルスターラーなど公知の撹拌装置を用いてもよい。
[燃料電池用セパレータの製造方法]
(ペーストの塗布)
熱可塑性樹脂シートAに、炭素質粉末を含むペーストを塗布する方法に特に制限はなくハケ塗、ローラー塗、吹付塗、浸漬塗など公知の方法で塗布することができる。炭素質粉末を含むペーストの塗布量は、100〜300g/mとなるようにすることが好ましい。
炭素質粉末を含むペーストは、熱可塑性樹脂シートAの片面に塗布してもよいし、両面に塗布してもよい。両面に塗布する場合は、片面ずつ連続して塗布してもよいし、両面同時に塗布してもよい。
ペーストを塗布した後、分散媒は除去してもしなくてもよいが、完全に除去すると、熱可塑性樹脂シートからペーストに含まれる炭素質粉末が剥落するおそれがあるため、分散媒の少なくとも一部を残存させたまま、熱可塑性樹脂シートを圧縮成形することが好ましい。分散媒を除去する方法には特に制限はなく、自然乾燥、真空オーブンによる乾燥、熱風オーブンによる乾燥などの方法を用いることができる。乾燥温度は20℃以上、かつ分散媒の沸点より10℃低い温度および熱可塑性樹脂シートAの熱可塑性樹脂の融点より10℃低い温度のいずれか低い温度以下とする。
(シートの積層法)
燃料電池用セパレータは、熱可塑性樹脂シートAと熱可塑性樹脂シートBを、最も外側の面が、熱可塑性樹脂シートAの、上記ペーストを塗布した面となるように、少なくとも1枚ずつ重ねた状態で圧縮成形して得られる。なお、シートの積層の仕方に特に制限はなく、例えばA/Bのように1枚ずつ積層してもよいし、A/B/Aのように一方のシートを他方のシートで挟むようにしてもよいし、もっと多くのシートを積層することもできるが、最も外側の少なくとも1つの熱可塑性樹脂シートは、熱可塑性樹脂シートAであり、好ましくはA/B/Aである。熱可塑性樹脂シートAと熱可塑性樹脂シートBの少なくとも一方を2枚以上積層する場合は、熱可塑性樹脂シートAと熱可塑性樹脂シートBを交互に積層することが好ましい。
圧縮成形する際に積層するシートは本発明に記載の熱可塑性樹脂シートAと熱可塑性樹脂シートBだけに限定されるものではなく、特性が異なる別のシートCなどを、例えばC/B/Aのように任意に積層して圧縮成形することもできる。
さらには、流路部を取り囲む外周部の強度向上、寸法安定性の向上などを目的に外周部に基材(ガラス繊維、有機繊維、炭素繊維、セラミック繊維などからなる基布、または不織布、樹脂シート、金属網、樹脂網、金属板など)を設置して成形することもできる。
(シートの設置法)
本発明の製造方法により得られる燃料電池用セパレータは、外周部が、熱可塑性樹脂シートAを主として形成され、端部は熱可塑性樹脂シートAのみで構成され、流路部が、熱可塑性樹脂シートBを主として形成されることが好ましい。燃料電池用セパレータがこのような構成であると、流路部は炭素質材料が多く、導電性が良好となり、外力が加わりやすい外周部、特に端部は、炭素繊維を含み、機械特性が良好となる。
燃料電池用セパレータを製造する際の、熱可塑性樹脂シートAおよび熱可塑性樹脂シートBの、金型への好ましい設置のしかたについて、図5を参照しながら説明する。
図5は燃料電池用セパレータの圧縮成形に用いる金型の一例と、熱可塑性樹脂シートAおよび熱可塑性樹脂シートBの、金型内への好ましい設置のしかたを示す模式断面図である。金型101は、上金型102と下金型103からなり、得られる燃料電池用セパレータに対応する形状である型部104を有し、該型部は、得られる燃料電池用セパレータの流路部に対応する流路部相当部105と、外周部に対応する外周部相当部106を有する。なお、図5では流路部相当部105に台形状断面のパターンが形成されているが、所望の流路の形状に応じて、矩形状断面、鋸歯状断面、半円状断面など、他の形状のパターンでもよい。また外周部相当部106には、マニホールドに相当するパターンなどが形成されていてもよい。
熱可塑性樹脂シートA108は、その圧縮成形前の厚みが、熱可塑性樹脂シートB107の圧縮成形前の厚みと同等以下で、かつその主面が、金型の型部の内側に収まる形状で金型に設置することが好ましい。なお、熱可塑性樹脂シートA108および熱可塑性樹脂シートB107のいずれか一方、もしくは両方を2枚以上積層する場合、ここでいう「厚み」とは熱可塑性樹脂シートA108および熱可塑性樹脂シートB107それぞれの厚みの合計を言う。熱可塑性樹脂シートA108がこのような形状であると、得られる燃料電池用セパレータの流路部において、相対的に導電性の小さい熱可塑性樹脂シートAの割合が小さくなり、結果として、流路部の導電性が向上する。
さらに熱可塑性樹脂シートA108は、その圧縮成形後の体積が、得られる燃料電池用セパレータの全体積Vと、燃料電池用セパレータ全体に占める、熱可塑性樹脂シートB由来の層Bの体積との差分以上になるように、金型に設置することが好ましい。熱可塑性樹脂シート中の微細なボイドの存在などにより、圧縮成形の前後で熱可塑性樹脂シートの体積は変化する場合があり、その程度もボイドの存在の度合いなどによって異なるため、金型に仕込む熱可塑性樹脂シートA108の体積を一律に決めることは難しいが、通常、圧縮成形後に上記の条件を充たすには、熱可塑性樹脂シートAを金型に設置する際の体積Vが、セパレータの全体積V、熱可塑性樹脂シートBの圧縮成形前の体積Vとして、V≧V−Vである。熱可塑性樹脂シートAをこのような形状で金型に設置すると、得られる燃料電池用セパレータの外周部に占める、熱可塑性樹脂シートAの体積が大きくなり、好ましい。より好ましくは、熱可塑性樹脂シートAの圧縮成形後の体積が、燃料電池用セパレータの全体積と、前記熱可塑性樹脂シートBの圧縮成形後の体積との差分より大きくなるようにシートを仕込み、わざとバリが出るようにすると、得られる燃料電池用セパレータの端の厚みが薄くなったり、端の密度が低かったり、寸法が短かったりといった不良率を下げることができる。この場合、通常はV>V−Vである。
熱可塑性樹脂シートB107は、流路部相当部105を覆うことの出来る形状、かつ、得られる燃料電池用セパレータの流路部に占める、熱可塑性樹脂シートBの割合が、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上になるような形状で、金型に設置する。熱可塑性樹脂シートB107が流路部相当部105を覆うことのできる形状であれば、流路部に占める熱可塑性樹脂シートBの割合は、前述の通り、圧縮成形の前後でシートの体積は若干変わることがあるため、熱可塑性樹脂シートB107を金型に設置するときの厚みを一律に決めることは難しいが、通常は、熱可塑性樹脂シートB107を、流路部相当部105を覆う形状で金型101に設置する場合に、流路部に占める熱可塑性樹脂シートBの体積が70%以上となるためには、熱可塑性樹脂シートB107を金型に設置するときの厚みtは下記式を充たす。ただし、式中、Vは流路部の体積であり、Sは流路部の投影面積である。燃料電池用セパレータの流路が、図1(a)(b)に示すような略長方形の領域に形成されている場合、Sは流路部に形成された流路のうち、最も外周部寄りの部分に接する長方形の面積で近似でき、Vは同じ長方形で囲まれた部分の体積で近似できる。また流路が渦巻き状に形成されている場合は、Sは、流路の最も外周部寄りの部分に接する円の面積で近似できる。
≧0.7V/S
同様に、流路部に占める熱可塑性樹脂シートBの体積が80%以上となるためには、tは通常下記式を充たし、
≧0.8V/S
同様に、流路部に占める熱可塑性樹脂シートBの体積が90%以上となるためには、tは通常下記式を充たす。
≧0.9V/S
熱可塑性樹脂シートBは、得られる燃料電池用セパレータの流路部に占める、熱可塑性樹脂シートBの体積が70%以上になれば、2枚以上積層することもできる。この場合は、上記の各式中tは、金型に設置する際の、各熱可塑性樹脂シートBの厚みの合計とする。
熱可塑性樹脂シートBがこれらの条件を充たすと、得られる燃料電池用セパレータの流路部に占める熱可塑性樹脂シートBの割合が大きくなり、また流路部の全体にわたって、熱可塑性樹脂シートBを主として構成されるようになり、結果として流路部の導電性が向上する。
さらに熱可塑性樹脂シートB107は、その主面の形状を、流路部相当部105から、型部の外端109への距離の好ましくは95%、より好ましくは90%、さらに好ましくは85%より内側に入るようにして金型101に設置する。また、熱可塑性樹脂シートB107を金型101に設置する際の厚さは、得られる燃料電池用セパレータの、流路部の肉厚の最大値より小さいことが好ましい。なお、セパレータの肉厚とは、セパレータの一方の主面から、他方の主面へ貫通する最短距離を言う。熱可塑性樹脂シートBがこのような形状であると、得られる燃料電池用セパレータのうち、外力が加わりやすい外周部において、熱可塑性樹脂シートBの割合が小さくなり、結果として熱可塑性樹脂シートAの割合が大きくなるため、機械特性に優れた燃料電池用セパレータを得ることができる。
熱可塑性樹脂シートAおよび熱可塑性樹脂シートBは、その中心が、金型の型部の中心とおおよそ一致するように、金型内に設置することが好ましい。
(成形法)
圧縮成形の方法は特に制限はないが、例えば、セパレータ金型に、熱可塑性樹脂シートAと熱可塑性樹脂シートBとを積層したものをセットし、熱可塑性樹脂シートAと熱可塑性樹脂シートBの融点以上、かつ炭素質粉末を含むペーストの分散媒の沸点以上にセットされた熱プレス成形機を用いて加熱賦形してから、温度10〜120℃に維持されるように冷却水等で温度コントロールされている冷却盤14が設置された出力50〜1000tの冷却プレス機で加圧冷却することによって材料賦形し、その後金型を開いて燃料電池用セパレータ1を得るようにすると、加熱下で加圧されることにより、ペーストの炭素質粉末が、熱可塑性樹脂シートAの内部に入り込み、また別に冷却プレスを設けることで、成形サイクルを短くすることができ、好ましい。
その他、予めセパレータ材料シート12をセットした金型を、加熱エリアで予熱し、冷却プレス機で一定時間金型を加圧冷却する方法や、媒体流路を有し高温流体と低温流体を交互に入れ替えて加熱冷却できる金型、あるいはシリコーンオイルのような熱媒体と冷却水を流せる流路が2系列ある金型、または電熱ヒータと冷却水で加熱冷却ができる金型を用いて、融点以上にシートを加熱し、所定の圧力で賦形し、加圧保持したまま冷却し、所定の温度で金型を開いて燃料電池用セパレータを得ることもできる。また、熱可塑性樹脂シートを金型にセットし、誘導加熱装置によって金型表面だけを加熱して、金型を閉じ、加圧冷却をしてセパレータを得ることもできる。
金型には所要により離型剤を塗布してから熱可塑性樹脂シートを投入し、成形してもよい。
上記製造方法によって得られた燃料電池用セパレータは、熱可塑性樹脂シートAの表面に炭素質粉末を含むペーストを塗布した状態で、加熱圧縮されることにより、熱可塑性樹脂シートA由来のマトリックスに、炭素質粉末が埋め込まれた最外層を有する。すなわち、上記製造方法によって得られた燃料電池用セパレータは、図6に示す通り、熱可塑性樹脂100質量部に対し3〜280質量部の炭素質材料を含み、該炭素質材料のうち50〜100質量%が繊維状炭素である層A42と、熱可塑性樹脂100質量部に対し130〜3200質量部の炭素質材料を含む層B41とを有し、最も外側の少なくとも1つの層が前記層A41であり、かつ、炭素質粉末が埋め込まれたものである。
炭素質粉末が埋め込まれた層Aは、炭素繊維と、多量の炭素質粉末とを含むものであるにもかかわらず、混練過程で炭素繊維が破断されることがないため、得られるセパレータは機械特性と導電性の両方に優れたものとなる。
[後加工]
成形後の燃料電池用セパレータは所要によりマニホールドを切削加工で形成させるなど、形状を二次加工してもよい。
成形後の燃料電池用セパレータは表面を均一化、表面改質、スキン層除去などの目的でブラストやその他研磨装置により表面粗さをコントロールしてもよい。または、燃料電池のフラッディング現象を抑制する目的で表面を親水化処理することもできる。親水化処理法としては、プラズマ処理、コロナ処理、オゾン処理、強酸処理、フッ素ガス処理、親水性塗料の塗布、親水性フィラーのコーティングなどが挙げられる。
(溶着)
さらに、燃料電池用セパレータは所要により2枚を重ねて接合することによって、図4に示したような流路部断面の厚み方向のほぼ中央に中空流路6がある燃料電池用セパレータを得ることができる。流路部を溶着することによって、発電部の接触抵抗を大幅に小さくできる。溶着方法は特に制限はないが、熱プレスを用いて所定の圧力を加え、表面層だけが溶ける温度で熱溶着する方法が好ましい。その他、導電性接着剤を用いて接合する方法、表面を溶剤で溶解して接合する方法、レーザーを用いて接合する方法、高周波や超音波を用いて接合する方法などが挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は実施例になんら限定されるものではない。なお、製造例で製造した熱可塑性樹脂シートのバインダー成分の融点は、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製、商品名DSC7)を用いて測定した。
(製造例1:熱可塑性樹脂シートA1の製造)
ポリプロピレン(サンアロマー社製、商品名サンアロマーPM900A、融点:163℃)77質量部、酸変性ポリプロピレン(三洋化成社製、商品名ユーメックス1010)23質量部、水添スチレンブタジエンラバー(JSR社製、商品名ダイナロン1320P)5質量部、炭素繊維(東邦テナックス社製、商品名テナックス チョップドファイバー C205 6mm、平均繊維径7μm、平均繊維長6mm、L/D 850)45質量部となる比率で、2軸同方向押出機(神戸製鋼社製KTX30)により温度230℃、回転数300rpmで混練して樹脂組成物(PB1)を得た。その樹脂組成物はφ65単軸押出機(トミー機械社製)を用いて、幅95mm、厚さ1mmおよび1.5mmのシートを成形温度210℃で成形し、熱可塑性樹脂シートA1を得た。熱可塑性樹脂シートA1中のバインダー成分の融点は162℃であった。
(製造例2:熱可塑性樹脂シートA2の製造)
シート厚を1.5mmに変えた他は、製造例1と同様にして、熱可塑性樹脂シートA2を製造した。
(製造例3:熱可塑性樹脂シートB1の製造)
人造黒鉛として、特開2005−281690号公報記載のホウ素含有黒鉛粉(粉体抵抗0.007Ω・cm、ホウ素含有量0.9質量%)を用いた。
黒鉛粉746質量部、ポリプロピレン(サンアロマー社製、商品名サンアロマーPX201N、融点:163℃)100質量部、およびスチレン・エチレンブチレン・スチレンブロックコポリマー(シェル・ケミカル(Shell Chemical)社製、商品名KRATON G 1652)2質量部を、加圧式ニーダー(モリヤマ社製、ミックスラボ)により温度230℃、30rpmで15分間混練し黒鉛樹脂組成物(PA1)を得た。
その黒鉛樹脂組成物を、φ65単軸押出機(トミー機械社製)を用いて、幅95mm、厚さ3mmのシートを成形温度210℃で成形した。さらに、その210℃に加熱されたシートを150℃の圧延ロールへ送り、幅100mm、厚さ1mmまたは0.5mmに圧延して熱可塑性樹脂シートB1を得た。シートB1中のバインダー成分の融点を測定したところ167℃であった。
(比較製造例1:熱可塑性樹脂シートA3の製造)
シート厚を1.8mmとした他は、製造例1と同様にして熱可塑性樹脂シートA3を得た。
(比較製造例2:熱可塑性樹脂シートB2の製造)
シート厚を1.2mmとした他は、製造例3と同様にして熱可塑性樹脂シートB2を得た。
(比較製造例3:熱可塑性樹脂シートB3の製造)
黒鉛粉の使用量を408質量部とした他は、比較製造例2と同様にして熱可塑性樹脂シートB2を得た。
(比較製造例4:熱可塑性樹脂シートB4の製造)
黒鉛粉の使用量を323質量部とした他は、比較製造例2と同様にして熱可塑性樹脂シートB2を得た。
(製造例4:炭素質粉末を含むペースト1の製造)
人造黒鉛として、特開2005−281690号公報記載のホウ素含有黒鉛粉(体抵抗0.007Ω・cm、ホウ素含有量0.9質量%)を用いた。
黒鉛粉100質量部にエタノール40質量部を加え、薬さじを用いて均一に分散するまで撹拌を行い、炭素質粉末を含むペースト1を得た。
(実施例1)
熱可塑性樹脂シートA1およびB1をそれぞれφ50mm、厚み1mmのサイズに調整し、それをφ50mm、厚さ5mmの超鋼プレート2枚の間に仕込み、熱プレス機を用いて、温度227℃、面圧20MPa、加圧保持時間60秒の条件で圧縮し、圧力を開放して23℃まで冷却して、厚み残量をマイクロメーターで測定した。測定結果から求めた厚み残量の比d/dは7.8であった。
次に、60×60×1mmに切り出した熱可塑性樹脂シートA1の片面に、製造例3で製造した、ペースト1を、ハケを用いて塗布し、60℃の熱風オーブン中で1時間乾燥した。
次に、熱可塑性樹脂シートB1をサイズ80×80×1mmに切出し、成形品サイズ100×100×1mmとなる金型のキャビティ中央にA1/B1/A1の順序でセットした。このとき、熱可塑性樹脂シートA1の、ペーストを塗布した面が、外側になるようにした。そのまま50t圧縮成形機で、温度230℃、面圧20MPaで1分間加圧し、その後30℃の冷却プレスで、面圧20MPaで2分間加圧冷却することによって平板を得た。
燃料電池用セパレータの流路部に相当する試験片の中央部の体積固有抵抗を、JIS K7194に準拠し、四探針法により測定した。
また、外周部に相当する部分の曲げ試験として、平板の端から20mmの範囲内で、10×50×1mmのサイズに切出した試験片について、テンシロン試験機(オリエンテック社製、商品名TENSILON UTM−5T)を用いて3点式曲げ強度測定を行った。測定条件はスパン間隔は32mm、曲げ速度は1mm/min、温度23℃および70℃とした。
また、得られた平板の中央部の密度を、JIS K7112に準拠し、水中置換法により測定した。
結果を表1に示す。
(実施例2)
熱可塑性樹脂シートA1に変えて熱可塑性樹脂シートA2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、平板を製造し、評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
熱可塑性樹脂シートA1を用いず、熱可塑性樹脂シートB2をサイズ95×95mmに切出して、金型に仕込んだ他は、実施例1と同様にして平板の製造および評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
熱可塑性樹脂シートB1に変えて熱可塑性樹脂シートB2を用いた以外は、比較例1と同様にして、平板を製造し、評価した。結果を表1に示す。
(比較例3)
熱可塑性樹脂シートB1に変えて熱可塑性樹脂シートB3を用いた以外は、比較例1と同様にして、平板を製造し、評価した。結果を表1に示す。
(比較例4)
熱可塑性樹脂シートA3を用い、実施例1と同様に切り出して炭素質粉末を含むペースト1を塗布後、乾燥した。
熱可塑性樹脂シートB1を用いず、ペーストを塗布した熱可塑性樹脂シートA3のみを金型に仕込んだ他は、実施例1と同様に成形を行い、平板を製造した。
得られた平板は、実施例1のものに比べ、体積固有抵抗が大幅に増加した。
Figure 2014112475
炭素質材料と樹脂とを混合して成形した燃料電池用セパレータの特性は、その密度に大きく依存する。すなわち、同様の材料を用いて成形した場合、密度の大きい方の燃料電池用セパレータの方が良品であり、種々の特性に優れる。そこで、表1の実施例および比較例を、それぞれ同等の密度のもの同士で比較すると、本発明の製造方法で製造された燃料電池用セパレータは、従来の燃料電池用セパレータと比べて体積固有抵抗が小さく、導電性に非常に優れるだけでなく、曲げ弾性率が大きく、外力が加わっても変形しにくいことがわかる。
1 燃料電池用セパレータ
2 溝
3 流路部
4 外周部
5 内部マニホールド
6 中空流路
41 層B
42 層A
101 金型
102 上金型
103 下金型
104 型部
105 流路部相当部
106 外周部相当部
107 熱可塑性樹脂シートB
108 熱可塑性樹脂シートA
109 型部の外端

Claims (2)

  1. 熱可塑性樹脂100質量部に対し3〜280質量部の炭素質材料を含み、該炭素質材料のうち50〜100質量%が繊維状炭素である熱可塑性樹脂シートAの少なくとも1つの面に、炭素質粉末100質量部と、分散媒10〜100質量部とを含むペーストを塗布する工程と、
    前記熱可塑性樹脂シートAと、熱可塑性樹脂100質量部に対し130〜3200質量部の炭素質材料を含む熱可塑性樹脂シートBとを、最も外側の少なくとも1つの面が、前記熱可塑性樹脂シートAのペーストを塗布した面になるように積層して圧縮成形する工程とを含む、燃料電池用セパレータの製造方法。
  2. 熱可塑性樹脂100質量部に対し3〜280質量部の炭素質材料を含み、該炭素質材料のうち50〜100質量%が繊維状炭素である層Aと、
    熱可塑性樹脂100質量部に対し130〜3200質量部の炭素質材料を含む層Bとを有し、
    最も外側の少なくとも1つの層が前記層Aであり、かつ、炭素質粉末が埋め込まれている燃料電池用セパレータ。
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