JP7470566B2 - 燃料電池用セパレータおよびその製造方法 - Google Patents

燃料電池用セパレータおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池用セパレータおよびその製造方法に関する。
燃料電池は、水素と酸素の反応を利用してエネルギーを取り出す電池である。当該反応によって生成するのは水であるため、燃料電池は地球環境に優しい電池として知られている。特に、固体高分子型燃料電池は、高出力密度を可能とし、小型で軽量であることから、自動車、通信機器、電子機器等のバッテリーとして有力視され、また一部実用化されている。燃料電池は、複数個のセルを積み重ねて構成されたセルスタックである。セルとセルとの間には、セパレータと称する壁部材が配置されている。セパレータは、隣同士になる水素と酸素の通路を仕切る隔壁板であり、水素と酸素がイオン交換膜の全面にわたって均一に接触して流れる役割を担っている。このため、セパレータには、その流路となる溝が形成されている。
セパレータは、その構成材料の観点で、金属材料系と、炭素材料系とに大別される。金属材料系のセパレータには、一般的に、ステンレススチール、アルミニウム若しくはその合金、あるいはチタニウム若しくはその合金が使用される。金属材料系のセパレータは、金属特有の強度と延性に起因して、加工性に優れ、かつ薄型化が可能である。しかし、金属材料系のセパレータは、後述の炭素材料系のセパレータに比べて比重が大きく、燃料電池の軽量化に反する。さらに、金属材料系のセパレータは、耐腐食性が低く、材料によっては不動態皮膜を形成するという欠点を有する。金属材料の腐食あるいは不動態皮膜は、セパレータの電気抵抗の上昇につながるので、好ましくない。金属材料系のセパレータの耐食性を改善するために貴金属をめっきあるいはスパッタ等によるコートする場合には高コスト化を招くが、当該高コスト化を防ぐために、セパレータの表面に形成される流路の凸部をフォトレジスト膜で形成する方法が知られている(特許文献1を参照)。
一方、炭素材料系のセパレータは、金属材料系のセパレータに比べて比重が小さく、耐食性にも優れるという利点を有する。しかし、炭素材料系のセパレータは、加工性および機械的強度に劣る。また、さらなる低電気抵抗化(すなわち、さらなる高導電性化)の要求もある。機械的強度の改善方法としては、例えば、熱可塑性樹脂に黒鉛粒子を分散させたセパレータが知られている(特許文献2を参照)。
特開2011-090937号公報 特開2006-294407号公報
熱可塑性樹脂に黒鉛粒子を分散させる方法は、ある程度、セパレータの高強度化を実現できる。しかし、炭素材料系のセパレータには、さらなる高強度化が要求される。また、高導電性化およびガスの透過を防止する性能であるガスバリア性に優れることも要求される。
本発明は、強度、導電性およびガスバリア性に優れた燃料電池用セパレータを提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係る燃料電池用セパレータは、粒状若しくは繊維状のグラファイトと粒状若しくは繊維状の樹脂とを構成材料に含むプレートと、フィルムとを備え、前記プレートの表面に、流路としての溝を備え、前記フィルムは、前記溝と前記プレートの前記溝以外の表面とを含み、前記プレートの少なくとも表側の面および裏側の面を被覆している。
(2)別の実施形態に係る燃料電池用セパレータにおいて、前記フィルムは、前記プレートを包んでいても良い。
(3)別の実施形態に係る燃料電池用セパレータにおいて、前記フィルムは、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリフェニレンスルファイドの内の少なくとも1つを主材としたフィルムであっても良い。
(4)別の実施形態に係る燃料電池用セパレータにおいて、前記フィルムの厚さは、2μmm以上100μm以下であっても良い。
(5)別の実施形態に係る燃料電池用セパレータにおいて、前記樹脂の主材および前記フィルムの主材は同一種類の熱可塑性樹脂であっても良い。
(6)別の実施形態に係る燃料電池用セパレータにおいて、前記プレートを構成する前記樹脂および前記フィルムの少なくとも一方はポリフェニレンスルファイドを主材としても良い。
(7)上記目的を達成するための一実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法は、粒状若しくは繊維状のグラファイトと粒状若しくは繊維状の樹脂とを構成材料に含むプレートと、フィルムとを備える燃料電池用セパレータの製造方法であって、金型内に、前記フィルムを形成するための第1フィルムを配置する第1フィルム配置工程と、前記グラファイトと前記樹脂とを少なくとも混合した混合物、前記プレートの表面に流路としての溝を備える溝付きプレート、または前記溝付きプレートに溝を備えていない状態のプリプレートの内のいずれか1つの被成形物を、前記第1フィルム上に配置する被成形物配置工程と、前記フィルムを形成するための第2フィルムを、前記被成形物上に配置する第2フィルム配置工程と、前記被成形物を前記第1フィルムと前記第2フィルムによって挟んだ状態にて前記金型を閉じて成形を行い、前記第1フィルムおよび前記第2フィルムを前記溝付きプレートの表面に付着させる成形工程と、を含む。
(8)別の実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法において、前記被成形物は、前記グラファイトと前記樹脂とを少なくとも混合した混合物、または前記プリプレートであって、前記金型の内側に、前記溝の転写用の凹凸を備え、前記成形工程では、前記凹凸を備えた前記金型を用いて、前記混合物または前記プリプレートの成形、前記溝の形成、および前記混合物または前記プリプレートの成形体の表側の面および裏側の面への前記第1フィルムと前記第2フィルムの付着を行っても良い。
(9)別の実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法において、前記被成形物は、前記溝付きプレートであって、前記金型の内側に、前記溝に挿入可能な凹凸を備え、前記成形工程では、前記金型を用いて、前記溝付きプレートの表側の面および裏側の面への前記第1フィルムと前記第2フィルムの付着を行っても良い。
(10)別の実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法において、前記成形工程により、前記第1フィルムと前記第2フィルムとが接着して袋状の前記フィルムとなって前記溝付きプレートを包むようにしても良い。
(11)別の実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法において、前記混合物中の前記樹脂がフレーク状の樹脂粉末であっても良い。
(12)別の実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法において、前記樹脂の主材および前記フィルムの主材は同一種類の熱可塑性樹脂でも良い。
(13)別の実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法において、前記プレートを構成する前記樹脂および前記フィルムの少なくとも一方はポリフェニレンスルファイドを主材としても良い。
本発明によれば、強度、導電性およびガスバリア性に優れた燃料電池用セパレータを提供できる。
図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池用セパレータの平面図を示す。 図2は、図1の燃料電池用セパレータのA-A線断面図およびその一部Bの拡大図を示す。 図3は、本発明の実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造工程の概略を示す。 図4は、図3の第1フィルム配置工程、被成形物配置工程および第2フィルム配置工程までの進行状況を金型等の断面視にて示す。 図5は、図4に続いて、成形工程およびそれ以降の進行状況を金型等の断面視にて示す。 図6は、変形例1に係る燃料電池用セパレータの製造方法において、被成形物としてプリプレートを用いたときの被成形物配置工程の状況を金型等の断面視にて示す。 図7は、変形例2に係る燃料電池用セパレータの製造方法において、被成形物として溝付きプレートを用いたときの被成形物配置工程の状況を金型等の断面視にて示す。
次に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
1.燃料電池用セパレータ
図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池用セパレータの平面図を示す。図2は、図1の燃料電池用セパレータのA-A線断面図およびその一部Bの拡大図を示す。
この実施形態に係る燃料電池用セパレータ(以後、単に、「セパレータ」ともいう。)1は、平面視で略矩形の板状体である。セパレータ1は、燃料電池において、電解質膜の両面を空気極と水素極によって挟んだ膜/電極接合体(Membrane Electrode Assembly: MEA)の両側から挟む板状体である。この実施形態では、セパレータ1は、水素極(「アノード電極」ともいう)側に配置されるアノード側セパレータと、空気極(「カソード電極」ともいう)側に配置されるカソード側セパレータと、を含むように広義に解釈される。
セパレータ1は、その厚さ方向に貫通する貫通孔11,12,21,22を備える。貫通孔11,21は、セパレータ1の一端側に配置されている。貫通孔12は、セパレータ1を平面視した際に、貫通孔21と対向して、セパレータ1の上記一端側と反対に位置する他端側に配置されている。貫通孔22は、セパレータ1を平面視した際に、貫通孔11と対向するように、セパレータ1の上記一端側と反対に位置する他端側に配置されている。セパレータ1の一面側(表面側)には、流路としての溝30が形成されている。溝30以外の表面31は、溝30に対して凸面となっている。また、セパレータ1の上記一面側の反対側の面(裏面側)には、流路としての溝32が形成されている。溝32以外の表面31は、溝32に対して凸面となっている。
セパレータ1がカソード側セパレータの場合、貫通孔11は、酸化ガスの供給口である。貫通孔12は、酸化ガスの排出口である。貫通孔21は、水素ガスの排出口である。貫通孔22は、水素ガスの供給口である。酸化ガスは、例えば、空気であるが、酸素でも良い。セパレータ1の表面側の溝30は、酸化ガスを流すための流路である。セパレータ1の裏面側の溝32は、冷却水を流すための流路である。図1では、白矢印にて、酸化ガスの流れを示す。
セパレータ1がアノード側セパレータの場合、貫通孔11は、水素ガスの供給口である。貫通孔12は、水素ガスの排出口である。貫通孔21は、酸化ガスの排出口である。貫通孔22は、酸化ガス供給口である。セパレータ1の表面側の溝30は、水素ガスを流すための流路である。セパレータ1の裏面側の溝32は、冷却水を流すための流路である。
セパレータ1は、プレート2と、フィルム3とを備えている。プレート2は、グラファイトと樹脂とを含む成形体であり、溶融後に固化した樹脂中にグラファイトが分散した微細構造を有する。プレート2を構成するグラファイトの成形前の形態は、好ましくは、粒状若しくは繊維状である。プレート2を構成する樹脂の成形前の形態は、好ましくは、粒状若しくは繊維状である。ここで、粒状は、フレーク状(薄片状ともいう)の形態も含む。また、繊維状は、ウィスカー状の形態も含む。成形前のグラファイトと樹脂の各形態のより好適な組み合わせは、粒状若しくは繊維状のグラファイトとフレーク状の樹脂の組み合わせである。プレート2は、セパレータ1の溝30,32に相当する溝を備えている。
プレート2を構成する樹脂は、特に制約されないが、好ましくは熱可塑性樹脂である。プレート2としてより好適な樹脂は、耐熱性に優れた樹脂であり、具体的には、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)、ポリエーテルケトン(PEK)、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)およびポリスルフォン(PSU)を例示できる。これらの中でも、PPSまたはPEEKが特に好適である。PPSとしては、東レ(株)製のM2888、E2180、大日本インキ化学工業(株)製のFZ-2140、FZ-6600を例示できる。
プレート2の成形前に用いられる樹脂の平均粒径は、好ましくは1μm以上300μm以下、より好ましくは5μm以上150μm以下、さらにより好ましくは10μm以上100μm以下である。ここで、平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定法にて測定される粒径をいう。以後の平均粒径の測定方法も同様である。
プレート2を構成するグラファイトは、人造黒鉛、膨張黒鉛、天然黒鉛などのいずれでもよい。ここで、膨張黒鉛とは、グラファイト(黒鉛)の正六角形平面を重ねた構造の特定の一面に他の物質層が入り込むこと(=インターカレーション)によって黒鉛層間を拡張させた黒鉛若しくは黒鉛層間化合物をいう。膨張黒鉛としては、例えば、富士黒鉛工業(株)製のBSP-60A(平均粒子径60μm)あるいはEXP-50SMを、人造黒鉛としては、例えば、オリエンタル産業(株)製の1707SJ(平均粒子径125μm)、AT-No.5S(平均粒子径52μm)、AT-No.10S(平均粒子径26μm)、AT-No.20S(平均粒子径10μm)、あるいは日本黒鉛工業(株)製PAG,HAGを、天然黒鉛としては、富士黒鉛工業(株)製のCNG-75N(平均粒子径43μm)あるいは日本黒鉛工業(株)製のCPB(鱗状黒鉛粉末、平均粒子径19μm)を、それぞれ用いることができる。また、黒鉛粒子の形状については、特に制約は無く、薄片状、鱗片状、球状など適宜選択することができる。さらに、グラファイトは、非晶質の炭素(アモルファスカーボン)を一部に含んでいても良い。
プレート2の成形前に用いられるグラファイトの平均粒径は、好ましくは1μm以上500μm、より好ましくは3μm以上300μm以下、さらにより好ましくは10μm以上150μm以下である。
グラファイトと樹脂とは、別々に粒径を調整してから混合してプレート2の成形用に用いても良く、あるいは先に混錬後、粉砕し、粒径を調整してプレート2の成形用に用いても良い。グラファイトと樹脂とを混錬後、粉砕し、粒径を調整する場合には、混合粉末の平均粒径は、好ましくは1μm以上500μm、より好ましくは3μm以上300μm以下、さらにより好ましくは10μm以上150μm以下である。
プレート2を構成するグラファイトと樹脂の質量比は、グラファイト:樹脂=70~95質量部:30~5質量部である。例えば、5質量部の樹脂に対して、70質量部以上95質量部以下の範囲のグラファイトを混合してセパレータ1の構成材料とすることができる。また、例えば、30質量部の樹脂に対しても、同様に、70質量部以上95質量部以下の範囲のグラファイトを混合してセパレータ1の構成材料とすることができる。セパレータ1は、樹脂よりもグラファイトを質量比にて多く含むのが好ましい。グラファイトと樹脂とのより好適な質量比は、樹脂1質量部に対して、グラファイト10質量部、若しくはグラファイト10.1質量部以上20質量部以下である。上述のように、樹脂の質量部よりもグラファイトの質量部を多くすると、従来のセパレータよりも、グラファイト同士の接触部位が多くなり、もって、セパレータ1の電気抵抗をより低く(すなわち、導電性をより高く)することができる。セパレータ1の代表的なサンプルでは、体積抵抗値は5mΩcmまたはそれ以下である。
フィルム3は、溝30,32とプレート2の溝30,32以外の表面31とを含み、プレート2の少なくとも表側の面および裏側の面を被覆している。すなわち、フィルム3は、溝30,32の内側の面も含めてプレート2の表側の面および裏側の面の両面を被覆している。フィルム3は、表側の面を被覆する第1フィルム4および裏側の面を被覆する第2フィルム5の2種類を分離して、あるいは融着して成る。この実施形態では、フィルム3は、第1フィルム4と第2フィルム5とに分かれ、プレート2の表側の面および裏側の面にそれぞれ付着したものである。しかし、フィルム3は、第1フィルム4と第2フィルム5とを接合した状態にてプレート2を包む袋形状であっても良い。
フィルム3は、好ましくは、樹脂またはゴムである。フィルム3は、プレート2を構成する樹脂の上記好適な選択肢の内の1または2以上を主材とし、より好ましくはPEEKおよびPPSの内の少なくとも1つを主材とする。ここで、「主材」とは、フィルム3の50質量%を超える比率を占める材料を意味する。主材は、フィルム3の質量に対して50質量%を超える限り、例えば、51質量%、60質量%、70質量%、80質量%、90質量%、95質量%または100質量%でも良い。
フィルム3の厚さは、好ましくは2μm以上50μm以下、より好ましくは4μm以上35μm以下である。フィルム3の厚さを2μm以上、さらには4μm以上とすると、セパレータ1のガスバリア性能をより高く、強度(曲げ強度)をより高く、取り扱いやすさをより高くできる。一方、フィルム3の厚さを50μm以下、さらには20μm未満とすると、体積抵抗をより低くできる。第1フィルム4と第2フィルム5とを同一の厚さとし、あるいは異なる厚さにしても良い。この実施形態では、強度はJIS K7171にて測定される曲げ強さを意味する。
プレート2を構成する樹脂の主材と、フィルム3の主材とを同一種の熱可塑性樹脂とすることもできる。その場合、プレート2の表面近くの樹脂と、プレート2を被覆するフィルム3とを一体化できるので、セパレータ1のさらなる強度向上を図ることができる。当該熱可塑性樹脂としては、好ましくはPEEKまたはPPSである。
2.燃料電池用セパレータの製造方法
図3は、本発明の実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造工程の概略を示す。
この実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法は、粒状若しくは繊維状のグラファイトと粒状若しくは繊維状の樹脂とを構成材料に含むプレート2と、フィルム3とを備える燃料電池用セパレータ1を製造する方法である。当該製造方法は、第1フィルム配置工程(S100)、被成形物配置工程(S200)、第2フィルム配置工程(S300)および成形工程(S400)を含み、好ましくは、S100、S200、S300、S400の順に進行する。
第1フィルム配置工程は、金型内に、フィルム3を形成するための第1フィルム4を配置する工程である。被成形物配置工程は、グラファイトと樹脂とを少なくとも混合した混合物(「被成形物」の一例)を、第1フィルム4上に配置する工程である。当該混合物に代えて、プレート2の表面に溝30,32を備える溝付きプレート、または溝付きプレートに溝30,32を備えていない状態のプリプレートを配置しても良い。
第2フィルム配置工程は、フィルム3を形成するための第2フィルム5を、被成形物上に配置する工程である。第2フィルム配置工程により、金型内に、第1フィルム4と第2フィルム5によって挟まれた被成形物を存在させることができる。成形工程は、被成形物を第1フィルム4と第2フィルム5によって挟んだ状態にて金型を閉じて成形を行い、第1フィルム4および第2フィルム5をプレート2の表面に付着させる工程である。被成形物を上記混合物または上記プリプレートとする場合には、成形工程によって、溝30,32の形成と、プレート2の形状への成形と、フィルム3のプレート2への付着とを同時進行させることができる。一方、被成形物を溝付きプレートとする場合には、第1フィルム4および第2フィルム5のプレート2への付着が行われる。
次に、燃料電池用セパレータの製造方法を、より詳細に説明する。
図4は、図3の第1フィルム配置工程、被成形物配置工程および第2フィルム配置工程までの進行状況を金型等の断面視にて示す。
(1)第1フィルム配置工程
まず、分割式の金型60の内の一方の金型(ここでは「第1金型」という)40を用意する(図中の(a)を参照)。第1金型40の内側(より具体的には内底面)41には、溝32の転写用の凹凸42が形成されている。続いて、第1フィルム4を、第1金型40の凹凸42を覆うように、第1金型40の内側41に敷く(図中の(b)を参照)。
(2)被成形物配置工程
次に、第1金型40の内側41に敷いた第1フィルム4上に、グラファイトと樹脂とを少なくとも混合した混合物2aを載せる(図中の(c)を参照)。混合物2aは、好ましくは、予め、ボールミル等の手法によって、粉砕と混合の処理、若しくは混合のみの処理を施したものである。混合物2aは、その厚さをより均一化させて、第1フィルム4上に配置させるのが好ましい。
(3)第2フィルム配置工程
次に、混合物2aの上から第2フィルム5を被せる(図中の(d)を参照)。この結果、第1金型40の内側41に、第1フィルム4、混合物2a、第2フィルム5の順に積層した状態になる。
図5は、図4に続いて、成形工程およびそれ以降の進行状況を金型等の断面視にて示す。
(4)成形工程
第2フィルム配置工程に続いて、分割式の金型60の内の他方の金型(ここでは「第2金型」という)50を、第1金型40の上から被せて、金型60を閉じる(図中の(e)および(f)を参照)。第2金型50の内側(より具体的には内底面)51には、溝30の転写用の凹凸52が形成されている。金型60を閉じた後、加圧および加熱を施して、混合物2aの成形を行う(図中の(g)を参照)。すなわち、凹凸42,52を備えた金型60を用いて、混合物2aの成形、溝30,32の形成、および混合物2aの成形体の表側の面および裏側の面への第1フィルム4と第2フィルム5の付着を行う。第1フィルム4および第2フィルム5は、プレート2の表側の面、裏側の面、側面(端面ともいう)の一部を覆った状態のフィルム3となる。この実施形態では、フィルム3は、プレート2を完全に包んでいないが、プレート2の表側の面、裏側の面、端面を全て覆った袋形状であっても良い。なお、成形は、例えば、低圧での加温、加温昇圧、保圧状態での冷却の順で行うことができる。成形工程における成形時の最高温度は、好ましくは300℃以上450℃以下である。例えば、第1フィルム4および第2フィルム5にPPSを用いる場合には、好ましくは320℃以上380℃以下、より好ましくは330℃以上360℃以下である。また、例えば、第1フィルム4および第2フィルム5にPEEKを用いる場合には、好ましくは350℃以上450℃以下、より好ましくは360℃以上400℃以下である。成形時の温度は、第1フィルム4の種類、第2フィルム5の種類およびプレート2に用いる樹脂の種類に応じて、プレート2用の樹脂が溶融若しくは軟化してグラファイトを固定すると共に、第1フィルム4および第2フィル5がプレート2から容易に分離しないように密着固定されるように、適宜変更可能である。
(5)取出工程
成形工程の後、成形体70を金型60から取り出す(図中の(h)を参照)。
図6は、変形例1に係る燃料電池用セパレータの製造方法において、被成形物としてプリプレートを用いたときの被成形物配置工程の状況を金型等の断面視にて示す。
変形例1では、被成形物として、溝付きプレートに溝30,32を備えていない状態のプリプレート80を用いる。プリプレート80は、被成形物配置工程に先立ち、金型60内に混合物2aを投入してプリ成形することによって得られる。プリ成形(仮成形あるいは半成形ともいう)は、プレート2を完全に成形すると場合と異なり、混合物2aを単に賦形しただけで、グラファイト同士を樹脂で完全に結着するに至っていない状態にとどめる成形を意味する。金型60の内側に、溝30,32の転写用の凹凸42,52を備える点は、図4を参照して先に説明した製造方法と同様である。変形例1の被成形物配置工程では、第1フィルム4上にプリプレート80を配置する(図中の(c1)を参照)。その後の成形工程では、プリプレート80を第1フィルム4と第2フィルム5によって挟んだ状態にて金型60を閉じて成形を行い、第1フィルム4および第2フィルム5を溝付きプレートの表面に付着させることができる。
図7は、変形例2に係る燃料電池用セパレータの製造方法において、被成形物として溝付きプレートを用いたときの被成形物配置工程の状況を金型等の断面視にて示す。
変形例2では、被成形物として、溝付きプレート90を用いる。溝付きプレート90は、被成形物配置工程に先立ち、金型60内に混合物2aを投入して成形することによって得られる。金型60は、その内側に、溝30,32に挿入可能な凹凸42,52を備える。変形例2の被成形物配置工程では、第1フィルム4上に溝付きプレート90を配置する(図中の(c2)を参照)。この際、凹凸42,52は、溝付きプレート90の表面側の溝および裏面側の溝に嵌る。その後の成形工程では、溝付きプレート90を第1フィルム4と第2フィルム5によって挟んだ状態にて金型60を閉じて成形を行い、第1フィルム4および第2フィルム5を溝付きプレート90の表面に付着させることができる。
3.その他の実施形態
上述のように、本発明の好適な各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されることなく、種々変形して実施可能である。
セパレータ1の溝30は、図1の白矢印で示す方向にガスを流す流路以外の流路を形成する溝でも良い。また、溝32は、如何なる形態の流路を形成する溝でも良い。例えば、溝30をセパレータ1の一端から他端に向かう直線的な流路を形成する溝とし、溝32を溝30に対して略直角方向の直線的な流路を形成する溝としても良い。また、セパレータ1は、溝30および溝32の少なくとも一方を形成していないものでも良い。
上記実施形態では、プリプレート80は、溝30,32に相当する溝を全く備えていないが、溝30,32より浅い溝を備えていても良い。その場合、金型60を閉じて成形した際に、予め形成された上記浅い溝を深くして、溝30,32に変化させることができる。
成形工程の後に、フィルム3の余分な領域をトリミングするトリミング工程を行っても良い。
次に、本発明の実施例を、比較例と比較しながら説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
1.プレートの主な原料
(1)グラファイト
燃料電池用セパレータ(以後、「セパレータ」ともいう)のプレートの構成材料となるグラファイト粉末には、オリエンタル工業(株)製の1707SJを用いた。
(2)樹脂
セパレータのプレートの構成材料となる樹脂として、ポリフェニレンフルファイ(PPS)の粉末を用いた。PPSには、東レ(株)製のトレリナM2888のフレーク状のPPS粉末を冷凍粉砕して平均粒径50μmに調整したPPS微粉末を用いた。
2.成形前の原料の前処理
上記グラファイト粉末および上記樹脂の粉末を、ジルコニアボールを用いてボールミル粉砕して、両種粉末の混合と粉砕とを行った。当該ボールミル粉砕は、混合粉末の粒度が平均粒径90±10μmとなることを粒度分布の測定(レーザ回折/散乱式粒子径分布測定法による測定)を通じて確認した時点で終了した。
3.フィルム
セパレータ用のフィルムには、PPS、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)をそれぞれ用いた。PPS製のフィルムには、東レ(株)製の厚さ4~35μmの範囲にある複数種のフィルム(品番:トレリナ4-1X00、トレリナ9-3071)を用いた。PEEK製のフィルムには、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製の原材料(品番:KT-851NL SP)を使用した厚さ6~35μmの信越ポリマー(株)製のフィルムを用いた。
4.金型
金型としては、上下分割式の大同特殊鋼(株)製プリハードン鋼NAK80を工材とした金型を用いた。閉じた状態の金型内部には、セパレータを成形可能な空間(約63cm)が形成されている。また、上下各金型の内側の底部には、セパレータの溝を形成するための凹凸が形成されている。
5.評価方法
(1)溝の賦形性
セパレータ溝凹凸部の外観に未充となる欠けやざらつきが存在する場合には、不合格(NG)と評価した。以上についての不具合無く、成形可能である場合には、合格(A)と評価した。
(2)体積抵抗率
セパレータの体積抵抗率は、JIS K7194に基づき、三菱ケミカルアナリテック(株)製の装置(Loresta-GX T-700)を用いて測定した。体積抵抗率が2.0mΩcm未満の場合には合格(A)と評価した。体積抵抗率が2.0を超えて3.0mΩcm以下の場合には合格(B)と評価した。体積抵抗率が3.0を超えて4.0mΩcm以下の場合には合格(C)と評価した。体積抵抗率が4.0を超えて5.0mΩcm以下の場合には合格(D)と評価した。体積抵抗率が5.0mΩcmを超える場合には不合格(NG)と評価した。
(3)曲げ試験
セパレータの曲げ試験は、JIS K7171に基づき、(株)オリエンテック製の装置(テンシロン万能試験機 RTC-1310A)を用いて測定した。
・曲げ強度
曲げ強度が60MPa以上の場合には合格(A)と評価した。曲げ強度が50以上60MPa未満の場合には合格(B)と評価した。曲げ強度が50MPa未満の場合には不合格(NG)と評価した。
・曲げひずみ
曲げひずみが0.80%以上の場合には合格(A)と評価した。曲げひずみが0.65以上0.80%未満の場合には合格(B)と評価した。曲げひずみが0.50以上0.65%未満の場合には合格(C)と評価した。曲げひずみが0.50%未満の場合には不合格(NG)と評価した。
(4)ガス透過係数
セパレータのガス透過係数は、Heガスを用いて、JIS K7126-1に基づき、理化精機工業(株)製の気体透過率測定装置(K-315-N-03)を用いて測定した。透過係数が1.0×10-18mol・m/m・sec・Pa未満の場合には合格(A)と評価した。透過係数が1.0×10-18以上1.0×10-16mol・m/m・sec・Pa未満の場合には合格(B)と評価した。透過係数が1.0×10-16以上1.0×10-15mol・m/m・sec・Pa未満の場合には合格(C)と評価した。透過係数が1.0×10-15以上1.0×10-14mol・m/m・sec・Pa未満の場合には合格(D)と評価した。透過係数が6.0×10-14mol・m/m・sec・Pa以上の場合には不合格(NG)と評価した。
(5)総合評価
各特性値評価において、A:4点、B:3点、C:2点およびD:1点として、各実施例・各比較例の総得点を集計した。点数に応じた評価は、以下の通りである。
AAA評価:総得点 18点
AA評価:総得点 17点
A評価:総得点 16点又は15点
NG評価:NG評価の項目数が1個以上有る場合
6.燃料電池用セパレータの製造
<実施例>
(1)実施例1
分割式の金型を構成する下金型の内側の凹部に、厚さ6μmのPEEKフィルムを敷き、当該フィルム上に、ボールミル粉砕後の粉末状態の混合物(グラファイト+PPS)を供した。上記混合物は、グラファイト粉末120gと、PPS粉12gとの混合粉末(PPS100質量部に対してグラファイト1000質量部に相当)とした。次に、当該混合物の厚さがほぼ均一になるようにして、その上から厚さ6μmのPEEKフィルムを載せた。次に、分割式の金型を構成する上金型と、上記下金型とを閉じて成形を行った。成形は、面圧480kgf/cmにて、金型の温度が360℃迄上昇するように、3分間保持した。成形終了後に、金型を開き、成形体を取り出し、セパレータの製造を終了した。セパレータは、上記評価方法にて評価した。
(2)実施例2
厚さ6μmのPEEKフィルムに代えて、厚さ4μmのPPSフィルムを用い、成形時の温度を360℃から330℃に変更した以外、実施例1と同様の条件でセパレータを製造し、評価した。
(3)実施例3
厚さ6μmのPEEKフィルムに代えて、厚さ9μmのPPSフィルムを用い、成形時の温度を360℃から330℃に変更した以外、実施例1と同様の条件でセパレータを製造し、評価した。
(4)実施例4
厚さ6μmのPEEKフィルムに代えて、厚さ15μmのPEEKフィルムを用い、
実施例1と同様の条件でセパレータを製造し、評価した。
(5)実施例5
厚さ6μmのPEEKフィルムに代えて、厚さ35μmのPEEKフィルムを用い、
実施例1と同様の条件でセパレータを製造し、評価した。
(6)実施例6
成形の保持時間を1分間とする以外は、実施例1と同様の条件でセパレータを製造し、評価した。
(7)実施例7
成形の保持時間を1分間とする以外は、実施例2と同様の条件でセパレータを製造し、評価した。
(8)実施例8
成形の保持時間を1分間とする以外は、実施例3と同様の条件でセパレータを製造し、評価した。
<比較例>
(1)比較例1
分割式の金型を構成する下金型の内側の凹部に、ボールミル粉砕後の粉末状態の混合物(グラファイト+PPS)を供した。上記混合物は、グラファイト粉末99gと、PPS粉末30gとの混合粉末(PPS100質量部に対してグラファイト330質量部に相当)とした。次に、分割式の金型を構成する上金型と、上記下金型とを閉じて成形を行った。成形は、面圧360kgf/cmにて、型温が320℃迄上昇するように、3分間保持した。成形終了後に、金型を開き、成形体を取り出し、セパレータの製造を終了した。セパレータは、上記評価方法にて評価した。
(2)比較例2
混合物(グラファイト+PPS)を、グラファイト粉末120gと、PPS粉末12gとの混合粉末(PPS100質量部に対してグラファイト1000質量部に相当)とした以外を、実施例1と同様の条件でセパレータを製造し、評価した。
7.結果
表1および表2に、各実施例および各比較例の製造条件および評価結果を示す。
Figure 0007470566000001
Figure 0007470566000002
比較例1については、プレート賦形性および体積抵抗率がNG評価、曲げ強さおよびHeガス透過係数がB評価、曲げひずみがC評価となり、総合評価としてはNGとなった。比較例2については、プレート賦形性、Heガス透過係数および曲げ強さがNG評価、曲げひずみがC評価となったが、体積抵抗率はA評価であり、総合評価としてはNGとなった。
これに対して、実施例1については、プレート賦形性および体積抵抗率がA評価、曲げ強さおよび曲げひずみがB評価、Heガス透過係数がC評価となり、総合評価としてはA(総得点:16点)となった。実施例2については、プレート賦形性および体積抵抗率がA評価、曲げ強さおよび曲げひずみがB評価、Heガス透過係数がD評価となり、総合評価としてはA(総得点:15点)となった。実施例5については、プレート賦形性、曲げ強さおよび曲げひずみがA評価、Heガス透過係数がB評価、体積抵抗率がD評価となり、総合評価としてはA(総得点:16点)となった。実施例3については、プレート賦形性、体積抵抗率および曲げひずみがA評価、曲げ強さがB評価、Heガス透過係数がC評価となり、総合評価としてはAA(総得点:17点)となった。実施例7については、プレート賦形性および体積抵抗率がA評価、曲げ強さ、曲げひずみおよびHeガス透過係数がB評価となり、総合評価としてはAA(総得点:17点)となった。更に、実施例4については、プレート賦形性、体積抵抗率および曲げひずみがA評価、曲げ強さおよびHeガス透過係数がB評価となり、総合評価としてはAAA(総得点:18点)となった。実施例6および実施例8については、プレート賦形性、体積抵抗率およびHeガス透過係数がA評価、曲げ強さおよび曲げひずみがB評価となり、総合評価としてはAAA(総得点:18点)となった。
以上の結果から、比較例1と、実施例1~3との比較から、どのフィルム、また厚みのものにおいても、表層にフィルムを使用する効果が確認できた。また、実施例1、実施例4および実施例5の結果から、表層のフィルム厚みとしては、適正な厚みとしては、実施例4のPEEK15μmが最適であることが確認できた。さらに、実施例1と実施例6との比較の結果、実施例2と実施例7との比較の結果、実施例3と実施例8との比較の結果から、成形時間を1分に短縮することで、表層にそれぞれ樹脂フィルムの形跡が残る(表層が有る)ことによる効果が確認できた。
本発明に係る燃料電池用セパレータは、燃料電池に利用できる。
1・・・セパレータ(燃料電池用セパレータ)、2・・・プレート、2a・・・混合物(被成形物の一例)、3・・・フィルム、4・・・第1フィルム、5・・・第2フィルム、30,32・・・溝、31・・・表面、40・・・第1金型(金型の一構成部品)、41,51・・・内側、42,52・・・凹凸、50・・・第2金型(金型の一構成部品)、60・・・金型、80・・・プリプレート(被成形物の一例)、90・・・溝付きプレート(被成形物の一例)。

Claims (9)

  1. 粒状若しくは繊維状のグラファイトと粒状若しくは繊維状の樹脂とを構成材料に含むプレートと、樹脂のみから構成されるフィルムと、を備え、前記プレートの表面に、流路としての溝を備え、前記フィルムは、前記溝と前記プレートの前記溝以外の表面とを含み、前記プレートの少なくとも表側の面および裏側の面を被覆しており、
    前記フィルムの厚さが2μm以上50μm以下であることを特徴とする燃料電池用セパレータ。
  2. 前記フィルムは、前記プレートを包んでいることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用セパレータ。
  3. 前記フィルムは、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリフェニレンスルファイドの内の少なくとも1つから構成されるフィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池用セパレータ。
  4. 前記プレートを構成する前記樹脂の主材および前記フィルムを構成する樹脂は同一種類の熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータ。
  5. 前記プレートを構成する前記樹脂の主材および前記フィルムを構成する樹脂の少なくとも一方はポリフェニレンスルファイドであることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータ。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータの製造方法であって、
    金型内に、前記フィルムを形成するための第1フィルムを配置する第1フィルム配置工程と、
    前記グラファイトと前記樹脂とを少なくとも混合した混合物、前記プレートの表面に流路としての溝を備える溝付きプレート、または前記溝付きプレートに溝を備えていない状態のプリプレートの内のいずれか1つの被成形物を、前記第1フィルム上に配置する被成形物配置工程と、
    前記フィルムを形成するための第2フィルムを、前記被成形物上に配置する第2フィルム配置工程と、
    前記被成形物を前記第1フィルムと前記第2フィルムによって挟んだ状態にて前記金型を閉じて成形を行い、前記第1フィルムおよび前記第2フィルムを前記溝付きプレートの表面に付着させる成形工程と、
    を含む燃料電池用セパレータの製造方法。
  7. 前記被成形物は、前記グラファイトと前記樹脂とを少なくとも混合した混合物、または前記プリプレートであって、前記金型の内側に、前記溝の転写用の凹凸を備え、
    前記成形工程では、前記凹凸を備えた前記金型を用いて、前記混合物または前記プリプレートの成形、前記溝の形成、および前記混合物または前記プリプレートの成形体の表側の面および裏側の面への前記第1フィルムと前記第2フィルムの付着を行うことを特徴とする請求項に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  8. 前記被成形物は、前記溝付きプレートであって、前記金型の内側に、前記溝に挿入可能な凹凸を備え、
    前記成形工程では、前記金型を用いて、前記溝付きプレートの表側の面および裏側の面への前記第1フィルムと前記第2フィルムの付着を行うことを特徴とする請求項に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  9. 前記混合物中の前記樹脂がフレーク状の樹脂粉末であることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
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