JP2014111948A - シリンダヘッドガスケット - Google Patents

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Abstract

【解決手段】 シリンダヘッドガスケット1は、シリンダヘッド2とシリンダブロック4との間に挟持されるガスケット基板3、5、6と、これらガスケット基板に設けられて燃焼室孔8を囲繞する高伝熱性の金属板7とを備えている。上記金属板7には、燃焼室孔8を囲繞するフルビード7Aが形成されており、かつ金属板の硬さはHv200以上に、また熱伝導率は100w/m・k以上に設定されている。
【効果】 上記金属板7は100w/m・k以上という優れた熱伝導率を有しているので、燃焼室内の熱を効率よく逃がすことができる。また金属板7にフルビード7Aが形成され、かつ該金属板7の硬さはHv200以上あるので、フルビード7Aのへたりを防止して良好なシール性を長期間維持することが可能となる。
【選択図】 図3

Description

本発明はシリンダヘッドガスケットに関し、より詳しくは、高伝熱性の金属板を備えたシリンダヘッドガスケットに関する。
従来、シリンダヘッドガスケットとして、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間に挟持されるガスケット基板と、このガスケット基板に設けられて燃焼室孔を囲繞する高伝熱性の金属板とを備えたものが知られている(特許文献1)。
このシリンダヘッドガスケットは、高伝熱性の金属板で燃焼室孔を囲繞させることにより該高伝熱性の金属板を燃焼室孔に露出させ、それによって燃焼室内から良好に熱を逃がすことができるようにしている。
特開2006−177345号公報
上記シリンダヘッドガスケットにおいては、金属板とシリンダヘッドとの間、および金属板とシリンダブロックとの間のシール性を確保するために、それぞれの間にシール部材を設けており、各シール部材の材料は一般に熱伝導性がよくないので、金属板とシリンダヘッドとの間、および金属板とシリンダブロックとの間の熱伝導性を良好とすることについては限界があった。
他方、高伝熱性の金属板を直接シリンダヘッドとシリンダブロックとに接触させれば、該金属板とシリンダヘッド及びシリンダブロックとの間の熱伝導性は向上するが、その反面シール性が低下するという問題がある。
本発明はそのような事情に鑑み、良好なシール性を確保すると同時に、高い熱伝導性を確保することができるシリンダヘッドガスケットを提供するものである。
すなわち本発明は、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間に挟持されるガスケット基板と、このガスケット基板に設けられて燃焼室孔を囲繞する高伝熱性の金属板とを備えたシリンダヘッドガスケットにおいて、
上記金属板に燃焼室孔を囲繞するフルビードを形成するとともに、該金属板を上記シリンダヘッドとシリンダブロックとの間で挟持させ、かつ上記金属板の硬さをHv200以上に、また熱伝導率を100w/m・k以上に設定したことを特徴とするものである。
上記高伝熱性の金属板は、燃焼室孔を囲繞するとともにシリンダヘッドとシリンダブロックとの間で挟持されており、かつ100w/m・k以上という優れた熱伝導率を有しているので、燃焼室内の熱やシリンダヘッドに比べてシリンダブロック側で高くなる熱を効率よくシリンダヘッド側に逃がすことが可能となる。
そして上記金属板には燃焼室孔を囲繞するフルビードが形成され、かつ該金属板の硬さはHv200以上あるので、上記フルビードのへたりを防止して良好なシール性を長期間維持することが可能となる。
本発明の一実施例を示す平面図。 図1の要部の拡大平面図。 図2のIII―III線に沿う断面図。
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1〜図3において、シリンダヘッドガスケット1は、シリンダヘッド2(図3)の下面2Aに当接する上方側の第1ガスケット基板3と、シリンダブロック4の上面4Aに当接する下方側の第2ガスケット基板5と、さらに両第1ガスケット基板3と第2ガスケット基板5との間に配置された中間の第3ガスケット基板6とを備えている。
上記3枚のガスケット基板3、5、6の中心部側にはそれらに共通に1枚のばね性を有する金属板7を連結してあり、この金属板7には、シリンダブロック4に設けられた複数のシリンダボア4Bのそれぞれに対応した位置に、複数の燃焼室孔8を形成してある。
上記金属板7は、それぞれの燃焼室孔8を囲繞するリング状部分を備えており、かつ図示実施例では隣接する燃焼室孔8、8の間でそのリング状部分を相互に連結することにより、1枚の金属板7に複数の燃焼室孔8を形成してある。しかしながらかかる構成に限定されるものではなく、それぞれの燃焼室孔8を独立して囲繞するように別体のリング状に形成された金属板から構成してもよい。
上記金属板7には、各燃焼室孔8を囲繞するフルビード7Aを形成してあり、該フルビード7Aを形成した金属板7は、上記シリンダヘッド2の下面2Aとシリンダブロック4の上面4Aとの間で挟持されるようになっている。
そして上記フルビード7Aがへたるのを防止するために、金属板7の硬さをHv200以上に設定してあり、またエンジンで発生した熱を良好に逃がすために、金属板7の熱伝導率を100w/m・k以上となるように設定してある。
上記金属板7の具体的材料の一例として、ばね用リン青銅C5210やベリリウム銅25合金C1720相当を用いることができる。上記ばね用リン青銅C5210は、硬さHv230、熱伝導率160w/m・kであり、ベリリウム銅25合金C1720相当のものは、硬さHv350〜400程度、熱伝導率109〜130w/m・kである。
なお、参考として、純銅の硬さはHv100以下、熱伝導率は398w/m・kであり、またステンレス材であるSUS304の硬さはHv200以下、熱伝導率は17w/m・kである。
上記フルビード7Aは、図示実施例ではそれぞれの燃焼室孔8を無端状に独立して囲繞するように形成してある。しかしながらかかる構成に限定されるものではなく、隣接する燃焼室孔8、8の間においてフルビード7Aを相互に合流させた状態で、各フルビード7Aによりそれぞれの燃焼室孔8を無端状に囲繞するように形成してもよい。
また上記金属板7の上下の表面には、約10μmの厚さでSnなどの軟質金属メッキを施してあり、該メッキにより上記シリンダヘッド2の下面2Aやシリンダブロック4の上面4Aとの密着性を向上させて、シール性の向上と伝熱性の向上とを図っている。上記軟質金属メッキには、それ自身よりも高伝熱性の材料、例えば黒鉛、ナノカーボン、ダイヤモンド等を添加するのが好ましく、これによってさらに伝熱性が向上する。
上下の第1ガスケット基板3および第2ガスケット基板5の内周側には、金属板7の外周輪郭に沿って該金属板7の表面に重合する開口3A、5Aを形成してある。他方、金属板7の上下面には、上記第1ガスケット基板3の開口3Aが重合する部分と第2ガスケット基板5の開口5Aが重合する部分とに段部7Bを形成してあり、各段部7Bによって重合部分の全体の厚さ調整と位置決めとを測っている。
上記シリンダブロック4はウォータージャケット11を有するオープンデッキとして構成してあり、上記金属板7と第1ガスケット基板3および第2ガスケット基板5との重合部分は、上記ウォータージャケット11内に位置するように設定してある。図2においては、ウォータージャケット11の内周縁を符号11Aで、外周縁を符号11Bでそれぞれ示してある。
そして金属板7と第1ガスケット基板3および第2ガスケット基板5との重合部分を、ウォータージャケット11の範囲内において、図示しないリベットなどの適宜の連結手段によって相互に一体的に連結してある。
これに対し、金属板7と中間の第3ガスケット基板6とは、嵌合によって一体に連結してある。すなわち図3に示すように、金属板7の外周面に沿って、該金属板7の厚さ方向の中間位置に浅い係合溝7Cを形成してある。
他方、第3ガスケット基板6の内周側には上記金属板7の外周輪郭に沿う開口6Aを形成してある。この開口6Aは、金属板7の外周輪郭に僅かに重合する寸法を有しており、この開口6A内に上記金属板7を圧入して該開口6Aの内周縁部を上記係合溝7Cに係合させることにより、両者を一体に連結している。
上記各ガスケット基板3、5、6は例えばSUS301Hから構成してあり、上下の第1ガスケット基板3および第2ガスケット基板5には、上記ウォータージャケット11を無端状に囲繞する環状のハーフビード3B、5Bを形成してある。第1ガスケット基板3のハーフビード3Bはシリンダヘッド2に向けて膨出させて形成してあり、第2ガスケット基板5のハーフビード5Bはシリンダブロック4に向けて膨出させて形成してある。
また、上下のガスケット基板3,5のそれぞれの両面は、シール材としてのグラファイトのコーティング12によって被覆してある。グラファイトは伝熱性が良好であるため、本実施例ではコーティング12としてグラファイトを採用している。このコーティング12は、ヘタリ防止とシール性向上のために設けられており、コーティング12の厚さは0.1mmに設定してある。
他方、中間の第3ガスケット基板6にはハーフビードを形成せずに平坦に形成してあり、かつその上面は、上方の第1ガスケット基板3の下面に形成したコーティング12に密着し、また下面は、下方の第2ガスケット基板5の上面に形成したコーティング12に密着するので、該第3ガスケット基板6の両面のいずれにもコーティング12は施していはいない。
しかしながら、該中間の第3ガスケット基板6の両面にコーティング12を施してもよい。この場合には、上方の第1ガスケット基板3の下面に形成したコーティング12と、下方の第2ガスケット基板5の上面に形成したコーティング12とを省略することが可能となる。要するに、各基板3、5、6の相互に重合する表面には、少なくともいずれか一方にコーティング12が施されていればよい。
なお、図1に示すように、上記シリンダヘッドガスケット1には、図示しない締結ボルトを挿通するための複数のボルト孔15や、冷却水を流通させるための水孔16、およびブローバイガスを流通させるための複数のブローバイ孔17が穿設されている。
以上の構成によれば、シリンダボア4B内や燃焼室孔8内で発生した熱は、金属板7を介してシリンダヘッド2やシリンダブロック4側に逃げるようになり、金属板7やシリンダブロック4側に逃げた熱は、更にウォータージャケット内の冷却水によって冷却されるようになる。
またシリンダブロック4側に逃げた熱は、金属板7を介して相対的に低温となるシリンダヘッド2側にも逃げるようになる。
このとき、金属板7はその熱伝導率を100w/m・k以上に設定してあるので、上記シリンダボア4B内や燃焼室孔8内で発生した熱を良好にウォータージャケット内の冷却水やシリンダヘッド2側に逃がすことが可能となる。
また、上記金属板7にはフルビード7Aを形成してあるので、このフルビード7Aによって良好なシール性を確保することができ、さらに金属板7の硬さをHv200以上に設定してあるので、上記フルビード7Aのへたりを防止して良好なシール性を長期間維持することが可能となる。
ところで、金属板7の材質を純銅とし、かつこの金属板にフルビードを形成したシリンダヘッドガスケットを用いた実験では、熱を良好に逃がすことはできたが、フルビードが容易にへたってしまうことから、良好なシール性を長時間確保することは困難であった。
なお、上記実施例では3枚のガスケット基板3、5、6を用いているが、これに限定されるわけではなく、例えば中間のガスケット基板6を省略してもよい。また必要に応じて、ガスケット基板の枚数は適宜の枚数とすることができる。
さらに上記実施例ではガスケット基板をSUS301Hから構成してあるが、これに限定されるものではなく、例えばより熱伝導率に優れた材料のガスケット基板を用いることができる。そのような熱伝導率に優れた材料として上述したような金属材料などを用いることができることは勿論であるが、その他、例えば熱伝導性に優れたグラファイトシートなどをガスケット基板として用いることも可能である。
このようにガスケット基板を熱伝導率に優れた材料から構成すれば、ガスケット基板によって良好に熱を逃がすことが可能となる。
さらに、シール材としてゴム材を用いてもよい。
1 シリンダヘッドガスケット 2 シリンダヘッド
3、5、6 ガスケット基板 3B、5B ハーフビード
4 シリンダブロック 7 金属板
7A フルビード 8 燃焼室孔
11 ウォータージャケット 12 コーティング

Claims (6)

  1. シリンダヘッドとシリンダブロックとの間に挟持されるガスケット基板と、このガスケット基板に設けられて燃焼室孔を囲繞する高伝熱性の金属板とを備えたシリンダヘッドガスケットにおいて、
    上記金属板に燃焼室孔を囲繞するフルビードを形成するとともに、該金属板を上記シリンダヘッドとシリンダブロックとの間で挟持させ、かつ上記金属板の硬さをHv200以上に、また熱伝導率を100w/m・k以上に設定したことを特徴とするシリンダヘッドガスケット。
  2. 上記金属板の表裏面に、Snなどの軟質金属のメッキが施されていることを特徴とする請求項1に記載のシリンダヘッドガスケット。
  3. 上記シリンダブロックはウォータージャケットを有するオープンデッキとして構成されており、上記金属板とガスケット基板とは、上記ウォータージャケットと重合する位置で連結手段によって一体に連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリンダヘッドガスケット。
  4. 上記ガスケット基板には、上記ウォータージャケットを無端状に囲繞するハーフビードが形成されていることを特徴とする請求項3に記載のシリンダヘッドガスケット。
  5. 上記燃焼室孔は複数形成されており、上記金属板はそれぞれの燃焼室孔を囲繞するとともに、隣接する燃焼室孔間で相互に一体的に連結されており、さらに上記フルビードはそれぞれの燃焼室孔を囲繞していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のシリンダヘッドガスケット。
  6. 上記金属板は、ばね用リン青銅C5210又はベリリウム銅25合金C1720相当の材料から構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のシリンダヘッドガスケット。
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