JP2014110728A - 電池システムおよびそれを備える車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池を保護し、かつ電池の性能を適切に発揮させる。
【解決手段】電圧測定部51は、電池200内の複数箇所の電圧を測定する。制御装置15は、電池200を構成する複数の電池セルの電圧リップルに応じた診断誤差許容量に基づいて、電圧測定部51の異常を診断し、診断誤差許容量と電圧測定部51で検出された電圧に基づいて、PCU20の充電を制御する。
【選択図】図1

Description

この発明は、電池システムおよびそれを備える車両に関し、特に電池システムの異常診断および充電電力の制御に関する。
近年地球温暖化を抑制するための対策として、炭酸ガス排出抑制のために大容量の蓄電が可能な電池システムが注目されている。たとえば電池システムは、電気自動車やハイブリッド自動車に搭載されている。
特開2009−42071号公報(特許文献1)は、各セルの電圧を検出するための電圧センサと、電池パックの総電圧を検出するための電圧センサを有する構成が開示されている。各セルの電圧を検出するための電圧センサで測定された電圧と、電池パックの総電圧を検出するための電圧センサで測定された電圧と比較すれば、これらの電圧センサの異常診断を行なうことができる。
特開2009−42071号公報 特開2009−159718号広報
しかしながら、異常診断の精度を確保するために、電圧センサの測定誤差を考慮する必要がある。特に、モータジェネレータ、インバータ、昇圧コンバータの異常が原因で電池の電圧にリップルが発生して、電圧センサの異常診断の精度が悪化する。異常診断の精度が悪いと、電池を保護するために、電池の性能を過度に制限することにつながる。
この発明の目的は、電池の電圧にリップルが発生した場合でも、電池を保護し、かつ電池の性能を適切に発揮させることができる電池システムおよびそれを備える車両を提供することである。
本発明のある局面の電池システムは、複数の電池セルを直列接続することにより構成された電池と、電池の充電を実行する充電部と、電池内の複数箇所の電圧を測定する電圧測定部と、制御部とを備える。制御部は、電池セルの電圧リップルに応じた診断誤差許容量に基づいて、電圧測定部の異常を診断する診断部と、診断誤差許容量と電圧測定部で検出された電圧に基づいて、充電部の充電を制御する充電制御部とを含む。
好ましくは、充電制御部は、診断誤差許容量に基づいて、電池の上限電圧を設定する上限電圧設定部と、電池の上限電圧と、電圧測定部で測定された電池の電圧との差に応じて、充電部の充電電力制限値を算出する制限値算出部とを含む。
好ましくは、電圧測定部は、互いに異なるタイミングで複数箇所の電圧を測定する。制御部は、電圧リップルに基づいて、タイミングの相違に従って生じる電圧の測定値の相違を同期ずれ量として算出し、同期ずれ量に基づいて診断誤差許容量を決定する診断誤差許容量算出部を含む。
好ましくは、電圧測定部は、互いに異なるタイミングで複数箇所の電圧を測定する。制御部は、電圧リップルに基づいて、タイミングの相違に従って生じる電圧の測定値の相違を同期ずれ量として算出し、電圧測定部の精度に応じた測定誤差許容量と同期ずれ量とに基づいて、診断誤差許容量を決定する診断誤差許容量算出部を含む。
好ましくは、上限電圧設定部は、診断誤差許容量が増加したときには、上限電圧を減少させる。上限電圧設定部は、診断誤差許容量が減少しても直ちに上限電圧を増加させず、診断誤差許容量の減少が一定回数連続した後、上限電圧を増加させる。
好ましくは、制御部は、電池の充放電電流のリップルと、電池セルの内部抵抗とに基づいて、電池セルの電圧リップルを算出する電圧リップル算出部を含む。
好ましくは、充電部は、回転電機と、電池の電圧をスイッチング素子のスイッチング動作によって昇圧する昇圧回路と、回転電機を駆動するインバータとを含み、制御部は、回転電機のトルク、回転電機の回転速度、および昇圧回路のスイッチング素子のデューティ比のうちの少なくとも1つに従って、電池の充放電電流のリップルを算出する電流リップル算出部を含む。
好ましくは、電圧測定部は、電池セルの電圧を測定する第1の電圧センサと、電池の電圧を測定する第2の電圧センサとを含む。
本発明のある局面の車両は、上記いずれかに記載の電池システム電池システムを備える。
電池の電圧にリップルが発生した場合でも、電池を保護し、かつ電池の性能を適切に発揮させることができる。
この発明の実施の形態に従う電池システムが搭載された車両の構成を説明するブロック図である。 図1のバッテリパックの構成を示した回路図である。 図1の制御装置の構成を示したブロック図である。 同期ずれ量を説明するための図である。 電圧ΔVに対応する充電電力制限値Winを表わす図である。 制御装置15が実行する異常診断および充電電力制限値Winの算出の処理を説明するためのフローチャートである。 充電電力制限値Winの設定例を表わす図である。 電圧測定部の構成例を表わす図である。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
図1は、この発明の実施の形態に従う電池システムが搭載された車両の構成を説明するブロック図である。
図1を参照して、ハイブリッド車両は、バッテリパックBPと、システムメインリレーSMRと、充放電部19と、エンジンENGと、制御装置15と、充電器146と、インレット147とを含む。
インレット147には、外部電源149につながっている充電コネクタ148が接続さ
れる。バッテリパックBPは、電池200と、温度センサ142と、電流センサ143と、電圧測定部51とを含む。
充放電部19は、電池200の充放電を行なう。充放電部19は、PCU(Power Control Unit)20と、モータジェネレータMG1,MG2と、動力分割機構PGとを含む。
電池200は、直流電源であり、たとえばニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池を含む。電池200は、直流電圧をPCU20へ供給するとともに、PCU20からの直流電圧によって充電される。
エンジンENGと、モータジェネレータMG1,MG2とは動力分割機構PGを介して機械的に連結される。そして、ハイブリッド車両の走行状況に応じて、動力分割機構を介して上記3者の間で駆動力の配分および結合が行なわれ、その結果として駆動輪が駆動される。
なお、モータジェネレータMG1,MG2は、発電機としても電動機としても機能し得るが、モータジェネレータMG1が、主として発電機として動作し、モータジェネレータMG2が、主として電動機として動作する。
詳細には、モータジェネレータMG1は、加速時において、エンジンENGを始動する電動機として用いられる。このとき、モータジェネレータMG1は、電池200からの電力の供給を受けて電動機として駆動し、クランク軸を回転させエンジンENGを始動する。
さらに、エンジンENGの始動後において、モータジェネレータMG1は、動力分割機構PGを介して伝達されたエンジンENGの駆動力によって回転されて発電する。
モータジェネレータMG2は、電池200に蓄えられた電力およびモータジェネレータMG1の発電した電力の少なくともいずれか一方によって駆動される。モータジェネレータMG2の駆動力は、差動ギヤ等を介して駆動軸に伝達される。これにより、モータジェネレータMG2は、エンジンENGをアシストして車両を走行させたり、自己の駆動力のみによって車両を走行させたりする。
また、車両の回生制動時には、モータジェネレータMG2は、駆動輪の回転力により駆動されて発電機として動作する。このとき、モータジェネレータMG2により発電された回生電力は、PCU20を介して電池200に充電される。
第1レゾルバ12は、モータジェネレータMG1の回転速度Nm1を検出する。第1レゾルバ12は、検出された回転速度Nm1を示す信号をECU200に送信する。第2レゾルバ13は、モータジェネレータMG2の回転速度Nm2を検出する。第2レゾルバ13は、検出された回転速度Nm2を示す信号を制御装置15に送信する。
制御装置15へは、運転状況・車両状況を示す各種センサからのセンサ出力17、第1レゾルバ12からのモータジェネレータMG1の回転速度Nm1、第2レゾルバ13からのモータジェネレータMG2の回転速度Nm2が入力される。センサ出力17には、アクセルペダルに配置された位置センサによって検出されるアクセル踏込み量に応じたアクセル開度や、車輪速度センサ出力等が含まれる。制御装置15は、入力されたこれらのセンサ出力に基づき、ハイブリッド車両に関する種々の制御を統括的に行なう。
PCU20は、モータジェネレータMG1,MG2の力行動作時には、制御装置15からの制御指示に従って、電池200からの直流電圧を昇圧するとともに、その昇圧した直流電圧を交流電圧に変換して、動力出力装置30に含まれるモータジェネレータMG1,MG2を駆動制御する。
また、PCU20は、モータジェネレータMG1,MG2の回生制動時には、制御装置15からの制御指示に従って、モータジェネレータMG1,MG2の発電した交流電圧を
直流電圧に変換して電池200を充電する。
このように、ハイブリッド車両では、電池200と、PCU20と、制御装置15のうちのPCU20を制御する部分とによって、モータジェネレータMG1,MG2を駆動制御する電源装置が構成される。
PCU20は、昇圧コンバータ110と、平滑コンデンサ120と、モータジェネレータMG1,MG2にそれぞれ対応するモータ駆動装置131,132と、昇圧コンバータ/インバータ制御部140とを含む。この実施の形態では、交流モータであるモータジェネレータMG1,MG2が駆動制御されるので、モータ駆動装置131,132はインバータで構成される。以下では、モータ駆動装置131,132をインバータ131,132と称する。
昇圧コンバータ110は、スイッチング素子を含み、電池200の電圧をスイッチング素子のスイッチング動作によって昇圧する。
制御装置15は、各種センサ出力17および回転速度Nm1、Nm2に基づき、エンジンENGとの出力配分等を考慮したモータジェネレータMG1,MG2への要求トルクを決定する。さらに、制御装置15は、モータジェネレータMG1,MG2の動作状態に応じて、最適なモータ動作電圧を算出する。
制御装置15は、さらに、要求トルクおよび最適モータ動作電圧と、電圧測定部51からの直流電圧V1〜V5、VTとに基づいて、モータ動作電圧Vmの電圧指令値VmrおよびモータジェネレータMG1,MG2でのトルク指令値Tref1,Tref2を生成する。電圧指令値Vmrおよびトルク指令値Tref1,Tref2は、昇圧コンバータ/インバータ制御部140へ与えられる。
昇圧コンバータ/インバータ制御部140は、制御装置15からの電圧指令値Vmrに従って、昇圧コンバータ110の動作を制御するコンバータ制御信号Scnvを生成する。また、昇圧コンバータ/インバータ制御部140は、制御装置15からのトルク指令値Tref1,Tref2に従って、インバータ131,132の動作をそれぞれ制御するインバータ制御信号Spwm1,Spwm2を生成する。
図2は、図1のバッテリパックBPの構成を示した回路図である。
図2を参照して、バッテリパックBPは、電池200と、電圧測定部51と、温度センサ142と、電流センサ143とを含む。電池200は、直列に接続された複数の電池セル201〜205を含む。
電圧測定部51は、電池セル201〜205の電圧と、電池200の電圧(つまり、電池セル201の一端と電池セル205の一端の間の電圧)をそれぞれ別個のタイミングで測定する。
温度センサ142は、バッテリパックBPの温度TBを検出する。電流センサ143は、電池200に流れる電流IBを検出する。
図3は、図1の制御装置15の構成を示したブロック図である。
図3を参照して、制御装置15は、電流リップル算出部61と、内部抵抗算出部62と、
電圧リップル算出部63と、診断誤差許容量算出部64と、診断部65と、充電制御部69とを含む。診断誤差許容量算出部64は、同期ずれ量算出部66と、測定誤差許容量総計部68と、加算部67とを含む。
電流リップル算出部61は、モータジェネレータMG1のトルク指令値Tref1、モータジェネレータMG2のトルク指令値Tref2、モータジェネレータMG1の回転速度Nm1、モータジェネレータMG2の回転速度Nm2、および昇圧コンバータ110のスイッチング素子のデューティ比DUのうちの少なくとも1つに基づいて、電池200に流れる電流IBのリップルを算出する。たとえば、電流リップル算出部61は、トルク指令値Tref1,Tref2、回転速度NM1,NM2、デューティ比DUに対応する電流IBのリップルの振幅および周波数の値をマップとして記憶しており、このマップを参照して、与えられた現在のトルク指令値Tref1,Tref2、回転速度Nm1,Nm2、デューティ比DUに対応する電流IBのリップルの振幅IAおよび周波数IFを算出する。
内部抵抗算出部62は、電池セル201〜205の温度、電池セル201〜205の劣化状態、電池200に流れる電流IBの周波数に対応する電池セル201〜205の平均の内部抵抗Rを算出する。たとえば、内部抵抗算出部62は、電池セル201〜205の温度、電池セル201〜205の劣化状態、電流IBの周波数に対応する電池セル201〜205の平均の内部抵抗Rの値をマップとして記憶しており、このマップを参照して、与えられた現在の電池セル201〜205の温度、電池セル201〜205劣化状態、電流IBの周波数に対応する電池セル201〜205の平均の内部抵抗Rを算出する。
電圧リップル算出部63は、電流IBのリップルの振幅IAおよび周波数IFと、電池セル201〜205の平均の内部抵抗Rに基づいて、電池セル201〜205の平均電圧MVのリップルの振幅VAおよび周波数VFを以下の式に従って算出する。
VA=IA×R・・・(1)
VF=IF・・・(2)
測定誤差許容量総計部68は、電圧測定部51の異常診断のための測定回数に従って、電圧測定部51自体が有する測定誤差許容量Veを合計する。測定誤差許容量Veとは、電圧測定部51の測定精度に基づく値である。電圧測定部51は、誤差が測定誤差許容量Ve以下となるように設計されている。電圧測定部51の診断のために、電圧測定部51は、電池セル201〜205の電圧と、電池200の電圧とを測定するため、1回の診断で、6回の電圧測定を行なう。したがって、測定誤差許容量の総計EV1は、以下の式で求められる。
EV1=6×Ve・・・(3)
同期ずれ量算出部66は、電池セル201〜205の平均電圧MVのリップルの振幅VAおよび周波数VFに基づいて、平均電圧MVの時間変化曲線CC1を求める。
同期ずれ量算出部66は、平均電圧MVの時間変化曲線CC1を用いて、電圧測定部51による電池セル201〜205の電圧、電池200の電圧の測定タイミングの差に基づく同期ずれ量EV2を算出する。
図4は、同期ずれ量を説明するための図である。
図4に示す平均電圧MVの時間変化曲線CC1は、電圧リップル算出部63によって算出された平均電圧MVのリップルの振幅VAおよび周波数VFに基づいて求められる。
電圧測定部51は、時刻t1、t2、t3、t4、t5で電池セル201、202、203、204、205の電圧を測定し、時刻ttで電池200の電圧を測定する。電圧測定部51の異常を測定するために、電池セル201〜205の電圧の和と電池200の電圧とが比較されるが、電圧リップルによって、測定するタイミングが相違すると、測定する電圧も相違する。すなわち、電圧リップルのため、時刻t1で測定した電池セル201の電圧は、時刻ttで測定するのに比べて、dV1だけ大きい。同様に、時刻t2,t3,t4,t5で測定された電池セル202,203,204,205の電圧は、時刻ttで測定するのに比べて、dV2,dV3,dV4,dV5だけ大きい。したがって、同期ずれ量算出部66は、以下の式に示すように、これらの電圧の差dV〜dV5の和を同期ずれ量EV2として算出する。
EV2=dV1+dV2+dV3+dV4+dV5・・・(4)
加算部67は、以下の式に示すように、測定誤差許容量の総計EV1と、同期ずれ量EV2の和を診断誤差許容量EVとして算出する。
EV=EV1+EV2・・・(5)
診断部65は、診断誤差許容量EVと、電池セル201〜205の電圧V1〜V5に基づいて、以下の式に従って、電圧測定部51の異常を診断する。
VS=V1+V2+V3+V4+V5 ・・・(6)
|VT−VS|>EV ・・・(7)
診断部65は、式(7)が成立する場合には、電圧測定部51が異常である診断し、式(7)が成立しない場合には、電圧測定部51が正常であると診断する。
充電制御部69は、上限電圧設定部70と、充電電力制限値Winを算出するためのWin算出部71と、HV制御部72とを含む。
上限電圧設定部70は、設定されている上限電圧UVと、電池200が過電圧状態となるのを防止するための保護電圧PVと、診断誤差許容量EVとに基づいて、電池200の上限電圧UVを設定する。
上限電圧UVの設定に診断誤差許容量EVを用いる理由について説明する。
後述のように、充電電力制限値Winは、上限電圧UVと電圧測定部51で測定された電池200の測定電圧との差によって算出される。電池200の測定電圧に誤差や、電圧リップル発生によって測定タイミングの相違による変動がない場合には、上限電圧UVとして、保護電圧PVを用いればよい。一方、電池200の測定電圧に誤差や、電圧リップル発生によって測定タイミングの相違による変動がある場合には、測定電圧の誤差および測定タイミングの相違による変動に応じた分だけ上限電圧UVを保護電圧PVよりも減少させるのが望ましい。本実施の形態では、この減少量に電圧測定部51の異常診断に用いる診断誤差許容量EVを用いる。なぜなら、診断誤差許容量EVが大きい場合には、電圧測定部51による電池200の測定電圧の誤差が大きかったり、電圧リップルによる測定タイミングの違いによる電池200の測定電圧の変動が大きくなるからである。
上限電圧設定部70は、現在の上限電圧UVが、補正保護電圧(PV−EV)よりも大きいときには、上限電圧UVを補正保護電圧(PV−EV)に減少させる。また、上限電圧設定部70は、現在の上限電圧UVが補正保護電圧(PV−EV)よりも小さいときには、直ちに上限電圧UVを補正保護電圧(PV−EV)に増加させず、上限電圧UVの値を維持し、一定回数連続して、現在の上限電圧UVが補正保護電圧(PV−EV)よりも小さくなったときにはじめて、上限電圧UVを補正保護電圧(PV−EV)に増加させる。
Win算出部71は、上限電圧設定部70によって設定された上限電圧UVと、電圧測定部51で検出された電池セル201〜205の電圧V1〜V5の和との差の電圧ΔVを以下の式に従って、算出する。
VS=V1+V2+V3+V4+V5・・・(8)
ΔV=UV−VS・・・(9)
図5は、電圧ΔVに対応する充電電力制限値Winを表わす図である。
Win算出部71は、図5に示すような特性CC2に従って、電圧ΔVに対応する充電電力制限値Winを算出する。
図5に示すように、特性CC2によれば、所定値Sまでは、電圧ΔVに比例して充電電力制限値Winが増加し、所定値Sに達すると、充電電力制限値Winは一定値となる。
HV制御部72は、各種センサ入力と、電池200の電流IBと、許容充電電力上限値Winと基づいて、昇圧コンバータ/インバータ制御部140に制御信号Vmrおよびトルク指令値Tref1,Tref2を出力する。
図6は、制御装置15が実行する異常診断および充電電力制限値Winの算出の処理を説明するためのフローチャートである。車両のエンジンENGの動作が開始した後、このフローチャートの処理が開始される。
図6を参照して、ステップS1において、測定誤差許容量総計部68は、式(3)に従って、測定誤差許容量の総計EV1を算出する。上限電圧設定部70は、保護電圧PVから測定誤差許容量の総計EV1を減算することによって、補正保護電圧の初期値APV0を算出し、上限電圧UVをAPV0と同じ値に設定し、カウント値CTを0に設定する。
ステップS2において、電流リップル算出部61は、モータジェネレータMG1のトルク指令値Tref1、モータジェネレータMG2のトルク指令値Tref2、モータジェネレータMG1の回転速度Nm1、モータジェネレータMG2の回転速度Nm2、および昇圧コンバータ110のスイッチング素子のデューティ比DUのうちの少なくとも1つに基づいて、電池200に流れる電流IBのリップルを算出する。
ステップS3において、内部抵抗算出部62は、電池セル201〜205の温度、電池セル201〜205の劣化状態、電池200に流れる電流IBの周波数に対応する電池セル201〜205の平均の内部抵抗Rを算出する。
ステップS4において、電圧リップル算出部63は、電流IBのリップルの振幅IAおよび周波数IFと、電池セル201〜205の平均の内部抵抗Rに基づいて、電池セル201〜205の平均電圧MVのリップルの振幅VAおよび周波数VFを式(1)、(2)に従って算出する。
ステップS5において、同期ずれ量算出部66は、平均電圧MVの時間変化曲線CC1を用いて、式(4)に従って、電圧測定部51による電池セル201〜205の電圧、電池200の電圧の測定タイミングの差に基づく同期ずれ量EV2を算出する。加算部67は、測定誤差許容量の総計EV1と、同期ずれ量EV2の和を診断誤差許容量EVとして算出する。
ステップS6において、電圧測定部51は、時刻t1、t2、t3、t4、t5で電池セル201、202、203、204、205の電圧V1、V2、V3、V4、V5を測定し、時刻ttで電池200の電圧VTを測定する。電圧測定部51は、電圧V1〜V5の和VSを算出する。
電圧VTと電圧VSの差の絶対値が診断誤差許容量EVを超えるときには(ステップS7においてYES)、ステップS8において、診断部65は、電圧測定部51が異常であると判定する。電圧VTと電圧VSの差の絶対値が診断誤差許容量EV以下のときには(ステップS7においてNO)、ステップS9において、診断部65は、電圧測定部51が正常であると判定する。
ステップS10において、上限電圧設定部70は、補正保護電圧の初期値APV0から同期ずれ量EV2を減算して、補正保護電圧APVを算出する。その後、ステップS18に進む。
現在の上限電圧UVが補正保護電圧APVよりも大きい場合には(ステップS11でYES)、ステップS12において、上限電圧設定部70は、上限電圧UVを減少させて補正保護電圧PVと同じ値に設定する。
現在の上限電圧UVが補正保護電圧PVよりも小さい場合には(ステップS11でNO、ステップS13でYES)、ステップS14に進む。現在の上限電圧UVが補正保護電圧PVと同じ場合には(ステップS11でNO、ステップS13でNO)、ステップS19に進む。
ステップS14において、上限電圧設定部70は、カウント値CTを1だけ増加させる。
カウント値CTが一定回数TH以上のときには(ステップS15でYES)、ステップS16に進む。カウント値CTが一定回数TH未満のときには(ステップS15でNO)、ステップS19に進む。
ステップS16において、上限電圧設定部70は、上限電圧UVを増加させて補正保護電圧APVと同じ値に設定する。その後、ステップS17において、上限電圧設定部70は、カウント値CTを0に初期化した後、ステップS18に進む。
ステップS18において、Win算出部71は、上限電圧設定部70によって設定された上限電圧UVと、電圧測定部51で検出された電池セル201〜205の電圧V1〜V5の和VSとの差の電圧ΔVを算出する。Win算出部71は、電圧ΔVに対応する充電電力制限値Winを算出する。
車両のエンジンENGが停止したときには(ステップS19でYES)、処理が終了し、車両のエンジンENGが動作しているときには(ステップS19でNO)、ステップS2に戻る。
(充電電力制限値Winの設定例)
図7は、充電電力制限値Winの設定例を表わす図である。
図7に示すように、電池セル201〜205の平均電圧MVのリップルが大きいほど、診断誤差許容量EVが大きい。診断誤差許容量EVが増加すると、上限電圧UVは減少する。図7の時間変化線(1)は、診断誤差許容量EVの減少によって、上限電圧UVを増加させる場合の上限電圧UVの変化を表わす。このように変化させた場合には、再度電圧リップルが大きくなった場合に、即座に対応することができず、ドライバビリティが劣化するという問題がある。
そこで、本実施の形態では、図7の時間変化線(2)に示すように、診断誤差許容量EVの減少が一定回数連続したときにはじめて、上限電圧UVを増加させる。
以上のように、本実施の形態によれば、電池の電圧リップルが発生した場合に、従来のように電池を保護するために、上限電圧を過度に減少させるのではなく、電圧リップルに応じた量だけ上限電圧を減少させるので、安全性を確保し、かつ電池の性能を適切に発揮させることができる。
(変形例)
本発明は、上記の実施形態の限定されるものではなく、たとえば以下のような変形例も含まれる。
(1)電圧測定部
図8に示すように、電圧測定部52は、電池セル201〜205の電圧を測定するセルIC53(第1の電圧センサ)と、電池200の電圧を測定する電圧センサ54(第2の電圧センサ)とを含むものとしてもよい。セルIC53は、たとえばASIC(Application Specific Integrated Circuit)などによって構成される。
(2)電圧測定部および診断部
本実施の形態では、電圧測定部51は、電池セル201〜205の電圧V1〜V5と、電池200の電圧VTを測定し、診断部65は、電池セル201〜205の電圧V1〜V5の和と、電池200の電圧VTとを比較したが、これに限定するものではない。
電圧測定部51は、電池セル201〜203の電圧V1〜V3と、電池200の電圧VTを測定し、(V1+V2+V3)×5/3の値と、電圧VTとを比較するものとしてもよい。この場合には、測定誤差許容量の総計E1は、3×Veとなり、同期ずれ量EV2は、(dV1+dV2+dV3)×5/3となる。
(3)充電電力制限値Win算出における測定電圧
本実施の形態では、充電電力制限値Win算出において、電池200の電圧を電池セル201〜205の電圧V1〜V5の和で求めたが、電池200の電圧を直接VTを測定することによって求めてもよい。
(4)電池200の過充電保護
本実施の形態では、電池200の過充電を防止するために、診断誤差許容量EVに基づいて、充電電力制限値Winを算出して、充電電力を制限したが、これに限定するものではなく、他の手段で、診断誤差許容量EVに基づいて、電池の過充電を防止することにしてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
12 第1レゾルバ、13 第3レゾルバ、15 制御装置、19 充放電部、30 動力出力装置、51,52 電圧測定部、53 セルIC、54 電圧センサ、61 電圧リップル算出部、62 内部抵抗算出部、63 電圧リップル算出部、64 診断誤差許容量算出部、66 同期ずれ量算出部、67 加算部、68 測定誤差許容量総計部、69 充電制御部、70 上限電圧設定部、71 Win算出部、72 HV制御部、110 昇圧コンバータ、120 平滑コンデンサ、131,132 インバータ、140 昇圧コンバータ/インバータ制御部、142 温度センサ、143 電流センサ、146 充電器、147 インレット、148 充電コネクタ、149 外部電源、HV制御部、200 電池、201〜205 電池セル、BP バッテリパック、ENG エンジン、MG1,MG2 モータジェネレータ、PG 動力分割機構、SMR システムメインリレー。

Claims (9)

  1. 複数の電池セルを直列接続することにより構成された電池と、
    前記電池の充電を実行する充電部と、
    前記電池内の複数箇所の電圧を測定する電圧測定部と、
    制御部とを備え、
    前記制御部は、
    前記電池セルの電圧リップルに応じた診断誤差許容量に基づいて、前記電圧測定部の異常を診断する診断部と、
    前記診断誤差許容量と前記電圧測定部で検出された電圧に基づいて、前記充電部の充電を制御する充電制御部とを含む、電池システム。
  2. 前記充電制御部は、
    前記診断誤差許容量に基づいて、前記電池の上限電圧を設定する上限電圧設定部と、
    前記電池の上限電圧と、前記電圧測定部で測定された前記電池の電圧との差に応じて、前記充電部の充電電力制限値を算出する制限値算出部とを含む、請求項1記載の電池システム。
  3. 前記電圧測定部は、互いに異なるタイミングで前記複数箇所の電圧を測定し、
    前記制御部は、
    前記電圧リップルに基づいて、前記タイミングの相違に従って生じる電圧の測定値の相違を同期ずれ量として算出し、前記同期ずれ量に基づいて前記診断誤差許容量を決定する診断誤差許容量算出部を含む、請求項2記載の電池システム。
  4. 前記電圧測定部は、互いに異なるタイミングで前記複数箇所の電圧を測定し、
    前記制御部は、
    前記電圧リップルに基づいて、前記タイミングの相違に従って生じる電圧の測定値の相違を同期ずれ量として算出し、前記電圧測定部の精度に応じた測定誤差許容量と前記同期ずれ量とに基づいて、前記診断誤差許容量を決定する診断誤差許容量算出部を含む、請求項2記載の電池システム。
  5. 前記上限電圧設定部は、前記診断誤差許容量が増加したときには、前記上限電圧を減少させ、
    前記上限電圧設定部は、前記診断誤差許容量が減少しても直ちに前記上限電圧を増加させず、前記診断誤差許容量の減少が一定回数連続した後、前記上限電圧を増加させる、請求項2記載の電池システム。
  6. 前記制御部は、
    前記電池の充放電電流のリップルと、前記電池セルの内部抵抗とに基づいて、前記電池セルの電圧リップルを算出する電圧リップル算出部を含む、請求項1記載の電池システム。
  7. 前記充電部は、
    回転電機と、
    前記電池の電圧をスイッチング素子のスイッチング動作によって昇圧する昇圧回路と、
    前記回転電機を駆動するインバータとを含み、
    前記制御部は、
    前記回転電機のトルク、前記回転電機の回転速度、および前記昇圧回路のスイッチング素子のデューティ比のうちの少なくとも1つに従って、前記電池の充放電電流のリップルを算出する電流リップル算出部を含む、請求項5記載の電池システム。
  8. 前記電圧測定部は、
    前記電池セルの電圧を測定する第1の電圧センサと、
    前記電池の電圧を測定する第2の電圧センサとを含む、請求項1記載の電池システム。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の電池システムを備える車両。
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