以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態に係るアクチュエータAは、図1に示すように、ベースB上の所定の空間において相互に直交するようにX軸、Y軸、Z軸の3軸を設定し、X軸周りに回転可能な第1可動子1及びY軸周りに回転可能な第2可動子2を有する可動子Rと、可動子Rの内側に配置される固定子Sと、第1可動子1をX軸周りに回転可能に支持するとともに、第2可動子2をY軸周りに回転可能に支持するガイド支持機構Gとを備え、固定子Sに設けたコイルCに交流電流を流すことによって、第1可動子1及び第2可動子2の何れか一方または両方を固定子Sに対してそれぞれ相対回転させ、これら第1可動子1及び第2可動子2の回転動作に伴って第1可動子1に設けた出力部15を所定の球面内で自在に動作させるものである。
本実施形態のアクチュエータAは、X軸、Y軸及びZ軸の交点である原点(以下では、単に「原点」と称す)を中心とする所定の球面内において出力部15を移動自在に動作させるものであり、例えば図示しないロボットの目や関節、或いは監視カメラの目、ステージの駆動部などに適用可能なものである。ここで、図1に示すアクチュエータAをX軸方向、Y軸方向、Z軸方向から見た状態をそれぞれ図2、図3、図4に示す。また、図5、図6には、それぞれ図4のa−a線断面、b−b線断面を示している。
固定子Sは、図1乃至図12(図8は図7のa方向矢視図であり、図9は図7のb方向矢視図であり、図10は図7に示すアクチュエータの平面図であり、図11は図10のa−a線断面図であり、図12は図10のb−b線断面図である)に示すように、原点を円中心としてX軸周りに設定される所定の円弧上に複数配置した第1固定磁極31を有する第1固定子3と、原点を円中心としてY軸周りに設定される所定の円弧上に複数配置した第2固定磁極41を有する第2固定子4とを備えている。
第1固定子3は、第1固定磁極31と、第1固定磁極31に磁気的に連続する単一の第1固定ヨーク32と、第1固定ヨーク32を保持する単一の第1保持部33とを有する。
第1固定ヨーク32は、例えばX軸周りに180度以上周回する部分円弧状をなし、第1可動子1側の面(外周面)に複数の第1固定磁極31を周方向に所定ピッチで設けたものである。本実施形態では、X軸周りに略270度周回する略C字形状をなす第1固定ヨーク32を適用し、この第1固定ヨーク32の外周面にX軸周りに30度毎に第1固定磁極31を設けている。具体的には、Z軸に沿ってベースBに向かって突出する第1固定磁極31を中心(基準)として、X軸周りプラス方向に30度ピッチで計4本の第1固定磁極31を設けるとともに、X軸周りマイナス方向に30度ピッチで計4本の第1固定磁極31を設けている。
第1保持部33は、第1固定ヨーク32の内周面に隙間無く接触可能な外周面を有する非磁性体である。第1保持部33における外周面のうち、第1固定ヨーク32に接触しない領域に、第2保持部43の一部が嵌合可能な第1嵌合凹部を形成している。本実施形態では、Z軸方向に沿ってベースBから離間する方向に開口する第1嵌合凹部を形成した第1保持部33を適用している。
そして、本実施形態のアクチュエータAは、第1保持部33及び第1固定ヨーク32を相互に組み付けた状態で、第1保持部33と第1固定ヨーク32の間に、回り止め部材である共通の第1キーK1が嵌合可能な第1キー嵌合溝を形成している。第1キー嵌合溝に第1キーK1を嵌合することによって、第1保持部33に対する第1固定ヨーク32の相対回転を規制することができる(図11及び図12参照)。
第1固定磁極31は、原点を円中心とするX軸周りの所定の円弧上に複数配置されるものである。各第1固定磁極31は、第1固定ヨーク32のうち原点から遠い面(外周面)からX軸周りに等ピッチで放射状に突出する円柱状の磁性体(突極)であり、突出端部を他の部分よりも直径を大きく設定したものである。そして、各第1固定磁極31の突出端が、原点を円中心とするX軸周りの所定の円弧上に複数並ぶように配置される。各第1固定磁極31のうちギャップを介して第1可動ヨーク11に対面する突出端部(先端部)には、X軸周りに沿って一定間隔で第1ティース311を形成している(図11参照)。本実施形態では、X軸周りの第1ティース311の間隔を、第1可動ヨーク11に複数埋め込んだ永久磁石M1(後述)同士の間隔の約2倍に設定している。
そして、本実施形態では、上述したように、Z軸に沿ってベースBに近付く方向に突出する第1固定磁極31を中心に、X軸周りプラス方向、マイナス方向に30度間隔でそれぞれ第1固定磁極31を4本ずつ配置している。したがって、本実施形態の第1固定子3は、X軸周りに延伸する単一の第1固定ヨーク32の外周面に複数の第1固定磁極31をX軸周りに270度の範囲に亘って備えたものになる。
各第1固定磁極31には、それぞれコイルCを巻回している(図11参照)。また、第1固定磁極31にそれぞれコイルCを巻回した第1固定子3は、誘導子及び磁束発生部として機能する。
第2固定子4は、第1固定子3と比較して、構成する部品をX軸周りに配置するかY軸周りに配置するかという点でのみ異なっているが、その他の基本的な構成は同じである。すなわち、第2固定子4は、第2固定磁極41と、第2固定磁極41に磁気的に連続する単一の第2固定ヨーク42と、第2固定ヨーク42を保持する単一の第2保持部43とを有する。
第2固定ヨーク42は、例えばY軸周りに180度以上周回する部分円弧状をなし、第2可動子2側の面(外周面)に複数の第2固定磁極41を周方向に所定ピッチで設けたものである。本実施形態では、Y軸周りに略270度周回する略C字形状をなす第2固定ヨーク42を適用し、この第2固定ヨーク42の外周面にY軸周りに30度毎に第2固定磁極41を設けている。具体的には、Z軸に沿ってベースから離間する方向に突出する第2固定磁極41を中心(基準)として、Y軸周りプラス方向に30度ピッチで計4本の第2固定磁極41を設けるとともに、Y軸周りマイナス方向に30度ピッチで計4本の第2固定磁極41を設けている。
第2保持部43は、第2固定ヨーク42の内周面に隙間無く接触可能な外周面を有する非磁性体である。第2保持部43における外周面のうち、第2固定ヨーク42に接触しない領域に、第1保持部33の一部が嵌合可能な第2嵌合凹部を形成している。本実施形態では、Z軸方向に沿ってベースBに近付く方向に開口する第2嵌合凹部を形成した第1保持部43を適用している。
そして、本実施形態のアクチュエータAは、第2保持部43及び第2固定ヨーク42を相互に組み付けた状態で、第2保持部43と第2固定ヨーク42の間に、回り止め部材である共通の第2キーK2が嵌合可能な第2キー嵌合溝を形成している。第2キー嵌合溝に第2キーK2を嵌合することによって、第2保持部43に対する第2固定ヨーク42の相対回転を規制することができる(図11及び図12参照)。
第2固定磁極41は、原点を円中心とするY軸周りの所定の円弧上に複数配置されるものである。各第2固定磁極41は、第2固定ヨーク42のうち原点から遠い面(外周面)からY軸周りに等ピッチで放射状に突出する円柱状の磁性体(突極)であり、突出端部を他の部分よりも直径を大きく設定したものである。そして、各第2固定磁極41の突出端が、原点を円中心とするY軸周りの所定の円弧上に複数並ぶように配置される。各第2固定磁極41のうちギャップを介して第2可動ヨーク21に対面する突出端部(先端部)には、Y軸周りに沿って一定間隔で第2ティース411を形成している(図12参照)。本実施形態では、Y軸周りの第2ティース411の間隔を、第2可動ヨーク21に複数埋め込んだ永久磁石M2(後述)同士の間隔の約2倍に設定している。本実施形態では、複数の第2固定磁極41が並ぶ円弧の半径と、複数の第1固定磁極31が並ぶ円弧の半径を同じ値に設定している。
そして、本実施形態では、上述したように、Z軸に沿ってベースBから離間する方向に突出する第2固定磁極41を中心に、X軸周りプラス方向、マイナス方向に30度間隔でそれぞれ第2固定磁極41を4本ずつ配置している。したがって、本実施形態の第2固定子4は、Y軸周りに延伸する単一の第2固定ヨーク42の外周面に複数の第2固定磁極41をX軸周りに270度の範囲に亘って備えたものになる。各第2固定磁極41には、それぞれコイルCを巻回している(図12参照)。また、第2固定磁極41にそれぞれコイルCを巻回した第2固定子4は、誘導子及び磁束発生部として機能する。
本実施形態では、複数の第1固定磁極31が配置されるX軸周りの円弧と、複数の第2固定磁極41が配置されるY軸周りの円弧は、原点(X軸とY軸の交点)を中心とする略同一径の円弧となるように設定している。
第1固定子3の第1保持部33及び第2固定子4の第2保持部43は、図11及び図12等に示すように、第1嵌合凹部と第2嵌合凹部を相互に嵌め合わせることで一体的に組み付けることができる。すなわち、第1保持部33の第1嵌合部に対して第2保持部43を第2嵌合凹部から挿し込むことによって、第1嵌合凹部内に第2保持部43のうちZ軸方向に沿って第2嵌合凹部に連続する部分(Y軸方向中央部分)を嵌合状態で収容することができるとともに、第2嵌合凹部内に第1保持部33のうちZ軸方向に沿って第1嵌合凹部に連続する部分(X軸方向中央部分)を嵌合状態で収容することができる。
第1可動子1は、図1乃至図7、図13乃至図16(図13は第1可動子1の全体図であり、図14は図13のa方向(X軸と同じ方向)矢視図であり、図15は図14のb方向(Y軸と同じ方向)矢視図であり、図16は図14のc方向(Z軸と同じ方向)矢視図である)に示すように、第1固定子3の第1固定磁極31と所定のギャップを隔てて対面する円弧状の第1可動ヨーク11と、第1可動ヨークのうち第1固定磁極31と対面する面(内周面)に複数設定した第1可動磁極12とを備えたものである。
本実施形態のアクチュエータAでは、第1固定磁極31を等ピッチで配置した円弧の円中心、つまり原点を円中心とし且つ第1固定磁極31が並ぶ円弧よりも大きい径に設定した部分円弧状をなす単一の第1可動ヨーク11を適用している。この第1可動ヨーク111は、第2可動ヨーク21との干渉を回避する空間を端部同士の間に形成している。本実施形態の第1可動ヨーク11は、X軸周りに略180度周回する部分円弧状(C形状)をなすものである。
また、本実施形態のアクチュエータAは、第1可動ヨーク11のうちギャップを介して固定子Sの第1固定磁極31に対面する面(内周面)に一部を露出させた状態で複数の永久磁石M1を第1可動ヨーク11に埋め込んだ構成を採用している。本実施形態では、各永久磁石M1を、S極またはN極が第1可動ヨーク11の周方向を向く姿勢で所定ピッチ(例えば、各第1固定磁極31の突出端部に設けた第1ティース311のピッチの半分に相当するピッチ)で複数配置している。
第1可動ヨーク11の周方向に隣り合う永久磁石M1同士は磁化の方向が互いに逆向きとなっている。したがって、第1可動ヨーク11の周方向に隣り合う極同士が同極となる。また、第1可動ヨーク11のうち隣り合う永久磁石M1同士に挟まれる部分が磁極(本発明の「第1可動磁極」に相当する)として機能する。これら各永久磁石M1は、第1可動ヨーク11のうちギャップを介して第1固定子3に面する内向き面(内周面)にX軸周りに沿って一定間隔で形成した各溝に挿入された状態(埋め込まれた状態)で固定されている。なお、各永久磁石M1のピッチは、第1ティース311のピッチの半分に限定されず、適宜のピッチに設定してもよい。
第1可動ヨーク11には、数十枚(図示例では64枚)の永久磁石M1を固定配置している。本実施形態に係るアクチュエータAでは、第1可動ヨーク11のX軸周りの寸法(円弧の長さ)を、X軸周りに複数配置した第1固定磁極31のうち少なくとも3本以上の第1固定磁極31と対面可能な長さに設定している。
また、本実施形態の第1可動子1は、第1可動ヨーク11と一体にX軸周りに回転可能に取り付けられ且つ取付箇所を枢支点としてYZ平面(Y軸とZ軸を含む平面)から外れる方向に第1可動ヨーク11から独立して回転可能な第1フレーム13を備えている。第1フレーム13は、原点を中心として第1可動ヨーク11の円弧よりも大きい半径を有する部分円弧状をなし、第1可動ヨーク11の端部同士を跨ぐ位置に配置されるものである。本実施形態の第1フレーム13は、半円弧状をなし、両端部を第1可動ヨーク11の端部近傍に取り付けたものである。本実施形態では、第1フレーム13の両端部をそれぞれ軸受14(図示例では転がり軸受)を介して第1可動ヨーク11に取り付けている。各軸受14は、第1可動ヨーク11のうち原点を通ってX軸と直交する方向に対向する所定の位置に設けられ、第1フレーム13をYZ平面から外れる方向に回転可能な状態で支持している。
本実施形態のアクチュエータAは、第1可動子1のX軸周りの回転角度を検出する第1検出手段を備えている。そして、第1検出手段を構成する第1センサスケールS1を第1可動子1に設けている(図13及び図14参照)。第1センサスケールS1は、第1可動ヨーク11の外周面全域を被覆し得る位置に設けた第1センサスケール保持部16に保持されている。本実施形態では、第1センサスケール保持部16に軸受14を取付可能に構成している。第1センサスケール保持部16は、第1可動ヨーク11をX軸方向に挟み込むようにして保持可能な一対の第1センサスケール保持要素161,162を用いて構成したものである。各第1センサスケール保持要素161,162は、何れも非磁性体であり、相互に組み付けた状態で第1可動ヨーク11のうち外周面全体及びX軸方向を向く面の一部(具体的には永久磁石M1の配置領域に重ならない部分)を被覆し得るものである。なお、一対の第1センサスケール保持要素161,162によって第1可動ヨーク11をX軸方向に挟み込んで保持した状態において、第1可動ヨーク11が第1センサスケール保持要素161,162に対してX軸周りに相対回転しないように、ネジ等の適宜の固定具によって固定している。
本実施形態では、これら一対の第1センサスケール保持要素161,162を用いて構成した第1センサスケール保持部16に軸受14を取り付ける構成にしており、第1センサスケール保持部16に対する軸受14の取付代を確保すべく、一方の第1センサスケール保持要素161のX軸方向の寸法を他方の第1センサスケール保持要素162のX軸方向の寸法よりも長く設定している(図15参照)。
そして、本実施形態の第1可動子1は、第1センサスケール保持部16の外周面に、第1センサスケールS1を付帯させている。第1センサスケールS1は、第1センサスケール保持部16を介して第1可動ヨーク11とX軸周りに一体回転可能であり、回転時にベースB内に設けた第1センサヘッドS2の検出可能領域を通過するように構成したものである(図5参照)。なお、第1センサヘッドS2による第1センサスケールS1の検出方式は、光学式や磁気式など適宜の方式であればよく、特に限定されるものではない。本実施形態における第1検出手段は、ベースB内に固定している第1センサヘッドS2によって、X軸周りに回転移動する第1センサスケールS2の相対移動を検出することで、第1可動子1のX軸周りの回転角度を検出するものである。
ここで、図5等に示す第1可動子1の姿勢、つまり、第1可動ヨーク11のうちX軸周り中央部がZ軸方向と一致し、且つ第1可動ヨーク11のうちX軸周り両端部がベースBから最も遠い位置にある姿勢、換言すれば、第1可動ヨーク11が上向きに開放されたC字状となる姿勢を、第1可動子1の姿勢を標準姿勢(St)とすると、この標準姿勢(St)では、軸受14による第1可動ヨーク11及び第1フレームの連結箇所がY軸と一致乃至略一致し、第1フレーム13が軸受14を枢支点としてY軸周りに回転可能な状態にあり、これら第1フレーム13及び第1可動ヨーク11がX軸方向から見て、軸受14による連結箇所で若干の段差があるものの全体として円形状となる相対位置関係にある。
また、部分円弧状をなす第1フレーム13の周方向中央部に、標準姿勢(St)において突出方向がZ軸方向に一致する出力部15を設けている。本実施形態では、軸状の出力部15(出力軸)を採用している。本実施形態の第1可動子1では、第1可動ヨークの端部同士を跨ぐ円弧状をなす単一の第1フレーム13を適用し、この第1フレームの周方向中央部に出力部15を設けている。第1フレーム13に対する出力部15の相対位置は固定である。そして、第1固定子3に対する第1可動ヨーク11のX軸周りの回転(YZ平面内における回転)に伴ってX軸周りに回転する第1フレーム13の動きや、軸受14によって第1可動ヨーク11から独立してYZ平面から外れる方向に単独で回転する第1フレーム13の動きに応じて出力部15の位置も変化する。
第2可動子2は、図1乃至図7、図17乃至図20(図17は第2可動子2の全体図であり、図18は図17のa方向(Y軸と同じ方向)矢視図であり、図19は図18のb方向(X軸と同じ方向)矢視図であり、図20は図18のc方向(Z軸と同じ方向)矢視図である)に示すように、第2固定子4の第2固定磁極41と所定のギャップを隔てて対面する円弧状の第2可動ヨーク21と、第2可動ヨーク21のうち第2固定磁極41と対面する面(内周面)に複数設定した第2可動磁極22とを備えたものである。
本実施形態のアクチュエータAは、第2固定磁極41を等ピッチで配置した円弧の円中心、つまり原点を円中心とし且つ第2固定磁極41が並ぶ円弧よりも大きい径に設定した部分円弧状をなす単一の第2可動ヨーク21を適用している。本実施形態では、第2可動ヨーク21の半径を第1可動ヨーク11の半径と同じ値に設定している。この第2可動ヨーク21は、第1可動ヨーク11との干渉を回避する空間を端部同士の間に形成している。本実施形態の第2可動ヨーク21は、Y軸周りに略180度周回する部分円弧状(C形状)をなすものである。ここで、本実施形態では、第2可動ヨーク21のY軸周りの長さ(円弧の長さ)と、第1可動ヨーク11のX軸周りの長さ(円弧の長さ)を同一又は略同一に設定している。
また、本実施形態のアクチュエータAは、第2可動ヨーク21のうちギャップを介して固定子Sの第2固定磁極41に対面する面に一部を露出させた状態で複数の永久磁石M2を第2可動ヨーク21に埋め込んだ構成を採用している。本実施形態では、各永久磁石M2を、S極またはN極が第2可動ヨーク21の周方向を向く姿勢で所定ピッチ(例えば、各第2固定磁極41の突出端部に設けた第2ティース411のピッチの半分に相当するピッチ)で複数配置している。
第2可動ヨーク21の周方向に隣り合う永久磁石M2同士は磁化の方向が互いに逆向きとなっている。したがって、第2可動ヨーク21の周方向に隣り合う極同士が同極となる。また、第2可動ヨーク21のうち隣り合う永久磁石M2同士に挟まれる部分が磁極(本発明の「第2可動磁極」に相当する)として機能する。これら各永久磁石M2は、第2可動ヨーク21のうちギャップを介して第2固定子4に面する内向き面(内周面)にY軸周りに沿って一定間隔で形成した各溝に挿入された状態(埋め込まれた状態)で固定されている。なお、各永久磁石M2のピッチは、第2ティース411のピッチの半分に限定されず、適宜のピッチに設定してもよい。
第2可動ヨーク21には、数十枚(図示例では64枚)の永久磁石M2を固定配置している。本実施形態に係るアクチュエータAでは、第2可動ヨークのY軸周りの寸法(円弧の長さ)を、Y軸周りに複数配置した第2固定磁極41のうち少なくとも3本以上の第2固定磁極41と対面可能な長さに設定している。
このように、本実施形態に係るアクチュエータAでは、第2可動子2のうち、第2可動ヨーク21及び第2可動磁極22の具体的な形状や構成が、第1可動子1の第1可動ヨーク11及び第1可動磁極12と同じであり、上述の第1固定子3及び第2固定子4と同様に、部品の共通化とコイルCに通電する電流制御系の共通化(ドライバ設定の共通化等)を図ることができる。そして、第2可動子2は、第2フレーム23の形状及び構成が、第1可動子1の第1フレーム13と異なる。
ここで、図6等に示す第2可動子2の姿勢、つまり、第2可動ヨーク21のうちY軸周り中央部がZ軸方向と一致し、且つ第2可動ヨーク21のうちY軸周り両端部がベースBに最も近い位置にある姿勢、換言すれば、第2可動ヨーク21が下向きに開放されたC字状となる姿勢を、第2可動子2の姿勢を標準姿勢(St)とする。
本実施形態の第2可動子2において、第2可動ヨーク21と一体にY軸周りに回転可能な第2フレーム23は、第1可動子1の第1フレーム13とは非接触の状態で、第1フレーム13に設けた出力部15が貫通し且つこの出力部15をY軸を含む平面内にのみ移動可能に規制する移動規制部24を有するものである。
本実施形態において第2フレーム23は、第2可動ヨーク21の外周面を被覆し得る姿勢で配置され、一端部を第2可動ヨーク21のうち一方の端部近傍に固定するとともに、他端部を第2可動ヨーク21の他方の端部近傍に固定した第2フレーム本体25と、第2可動子2の標準姿勢(St)においてX軸周りに延伸して、原点を円中心とし且つ第1フレーム13よりも大きい径に設定した部分円弧状の移動規制フレーム26とを備えたものである。移動規制フレーム26の延伸方向中心部分を第2フレーム本体25に固定している。
第2フレーム本体25は、原点を中心とし且つ第2可動ヨーク21及び第1フレーム13の円弧よりも大きい円弧に沿ってY軸周りに延伸するものであり、第2可動ヨーク21に対面する内周面のうちY軸周り両端部領域を標準姿勢(St)においてZ軸方向と平行な方向に延伸する形状に設定し、これら両端部領域をそれぞれ第2可動ヨーク21の端部近傍に固定している。本実施形態では、第2フレーム本体25として、第2可動ヨーク21をY軸方向に挟み込むようにして保持可能な一対の第2フレーム本体要素251を用いて構成したものを適用している(図17等参照)。各第2フレーム本体要素251は、何れも非磁性体であり、相互に組み付けた状態で第2可動ヨーク21を挟み込んで保持することができる。なお、一対の第2フレーム本体要素251によって第2可動ヨーク21をY軸方向に挟み込んで保持した状態において、第2可動ヨーク21が第2フレーム本体要素251に対してY軸周りに相対回転しないように、ネジ等の適宜の固定具によって固定している。
また、本実施形態では、各第2フレーム本体要素251をY軸周り中央部分で分断し、分断した部分(分断部)を移動規制フレーム26にネジ等の適宜の固定具を用いて固定することで、分断された各第2フレーム本体要素251同士を連結している。移動規制フレーム26に固定される各第2フレーム本体要素251の分断部同士の間には、出力部15が挿通可能であり且つ後述する出力部ガイド孔27に通じる空間を確保している(図17参照)。そして、第2フレーム本体25の内周面のうち両端部領域を除く領域と第2可動ヨーク21の外周面の間には、第1可動子1のうち第1可動ヨーク11を配置した円弧から外れる方向に回転可能な第1フレーム13との干渉を回避する空間が形成される。
移動規制フレーム26は、第2可動子2の標準姿勢(St)においてX軸周りに延伸し且つ第1フレーム13に設けた出力部15が挿通可能な出力部ガイド孔27を形成している。出力部ガイド孔27は、第2可動子2の標準姿勢(St)においてX軸周りに延伸する長孔である。この出力部ガイド孔27に挿通した出力部15は、出力部ガイド孔27内で移動可能になる。つまり、この出力部ガイド孔27は、出力部15の移動方向及び移動範囲を規制する移動規制部24として機能する。そして、第2フレーム本体25のうち、出力部ガイド孔27に重なり得る領域を、出力ガイド孔27に連通する空間(本実施形態では、各第2フレーム本体要素251の分断部同士の間に確保した空間)に設定しているため、第2フレーム本体25及び移動規制フレーム26よりも原点に近い位置に配置される第1フレーム13に設けた出力部15を、この出力部ガイド孔27、第2フレーム本体25に形成した空間の順に原点側から挿し通せば、出力部15の突出端側領域を第2フレーム23よりも原点から遠い位置に露出させることができるとともに、出力部ガイド孔27内における出力部15の移動を第2フレーム本体25が妨げる事態を防止することができる。
また、本実施形態のアクチュエータAは、第2可動子2のY軸周りの回転角度を検出する第2検出手段を備えている。そして、第2検出手段を構成する第2センサスケールS3を第2可動子2に設けている(図17乃至図19参照)。第2センサスケールS3は、両端部を第2フレーム本体25の両端部にそれぞれ固定した概略部分円弧状の第2センサスケール保持部28に保持されている。第2センサスケール保持部28は、原点を中心とし且つ第2フレーム本体25と同じ半径に設定した円弧に沿ってY軸周りに延伸する部分円弧状をなし、Y軸周り両端部領域を標準姿勢(St)においてZ軸方向と平行な方向に延伸する形状に設定したものである。この第2センサスケール保持部28のY軸周り両端部をそれぞれ第2フレーム本体25の端部にネジ等の適宜の固定具を介して固定している。この第2センサスケール保持部28の内周面と原点との間には、第1可動子1との干渉を回避する空間が形成される(図6参照)。第2センサスケールS3は、第2センサスケール保持部28の外周面のうち円弧状部分に適宜の手段で固定され、第2センサスケール保持部28を介して第2可動ヨーク21とY軸周りに一体回転可能であり、回転時にベースB内に設けた第2センサヘッドS4の検出可能領域を通過するように構成したものである(図5及び図6参照)。第2センサスケール保持部28及び第2センサスケールS3は、ベースB内において第1検出手段の第1センサスケールS1や第1センサヘッドS2と干渉しない所定の円弧形状に設定されている。なお、第2センサヘッドS4による第2センサスケールS2の検出方式は、光学式や磁気式など適宜の方式であればよく、特に限定されるものではない。本実施形態における第2検出手段は、ベースB内に固定している第2センサヘッドS4によって、Y軸周りに回転移動する第2センサスケールS3の相対移動を検出することで、第2可動子2のY軸周りの回転角度を検出するものである。
本実施形態のアクチュエータAでは、第1可動子1が標準姿勢(St)にあり、且つ第2可動子2が標準姿勢(St)にある初期姿勢(I)において、出力部15の突出方向がZ軸と一致している(図1乃至図6参照)。
このような初期姿勢(I)をとるアクチュエータAにおいて、第1可動子1及び第2可動子2はガイド支持機構GによってX軸周り、Y軸周りにそれぞれ単独又は同時に回転可能に支持されている。
ガイド支持機構Gは、図1、図4、図7及び図10等に示すように、Z軸周りに隣り合う第1固定子3と第2固定子4の間に形成されるスペースにおいて、第1可動子1のX軸周りの回転を所定範囲で案内する第1固定ガイド部5と、第2可動子2のY軸周りの回転を所定範囲で案内する第2固定ガイド部6とを固定配置し、第1可動ヨーク11に設けられ且つ第1固定ガイド部5に案内される第1可動ガイド部7と、第2可動ヨーク21に設けられ且つ第2固定ガイド部6に案内される第2可動ガイド部8とを備えた構成である。
第1可動ガイド部7は、図13等に示すように、第1可動ヨーク11の両端部近傍からX軸に向かって突出する非磁性体の第1軸受保持部71と、第1軸受保持部71に保持された第1軸受72とを備えたものである。この第1可動ガイド部7は、第1可動ヨーク11のX軸周りの回転に伴ってX軸周りに移動するものである。
本実施形態の第1可動ガイド部7は、第1センサスケール保持部16のうちX軸周り両端部分からY軸と平行な方向に延伸する板状の第1軸受保持部71を備え、この第1軸受保持部71の先端部又は先端部近傍に第1軸受72をX軸と平行な軸周りに回転可能に保持している。ここで、第1軸受保持部71は、第1センサスケール保持部16と一体に形成したものが好ましいが、第1センサスケール保持部16と別体であって第1センサスケール保持部16に一体的に組み付けたものであってもよい。本実施形態では、原点を円中心とし且つ第1可動ヨーク11のX軸周りの回転軌跡の円弧よりも小さい円弧上に複数(図示例では2つ)の第1軸受72を配置している。また、第1軸受保持部71のうち第1軸受72を配置する先端側領域を基端側領域よりもX軸方向の厚み寸法を小さく(薄く)設定し、この先端側領域に第1軸受72を配置した状態で、先端側領域のX軸方向の厚み寸法と第1軸受72のX軸方向の寸法の合計値が、第1軸受保持部71のうち基端側領域におけるX軸方向の厚み寸法と同一又は若干大きくなるように構成している(図15及び図16参照)。
本実施形態のアクチュエータAでは、第1可動ヨーク11のX軸周り両端部近傍をX軸方向に挟む位置に第1可動ガイド部7を対向させて設けている(図13及び図15参照)。具体的には、第1可動ヨーク11のX軸周り両端部分をX軸方向に挟む位置に一対の第1軸受保持部71を設け、これら各第1軸受保持部71にそれぞれ第1軸受72を回転可能に保持させている。本実施形態では、第1軸受72として転がり軸受(以下、「第1ベアリング72」と称す)を適用している。このように、本実施形態のアクチュエータAは、単一の第1可動子1に対して、合計4つの第1可動ガイド部7を設け、全部で8つの第1ベアリング72を設けている。
第1固定ガイド部5は、第1可動ガイド部7のX軸周りの移動を支持するものである。この第1固定ガイド部5は、Z軸周りに隣り合う第1固定子3と第2固定子4の間に形成されるスペースのうち第1軸受保持部71とX軸方向に対面する位置に配置した第1ガイド板51に、第1可動ヨーク11の回転時における第1ベアリング72の移動軌跡に沿って延伸し且つ第1ベアリング72を収容可能な第1ガイド凹部52を形成したものである(図8参照)。本実施形態のアクチュエータAでは、第1可動ヨーク11のX軸周り両端部近傍をX軸方向に挟む位置に第1可動ガイド部7を対向配置し、これら各第1可動ガイド部7に応じて第1固定ガイド部5を、ベースB上の前記スペースにおいて第1固定子3をX軸方向に挟む位置に固定配置している(図10参照)。
本実施形態では、板状をなす第1ガイド板51のうち相対的に第1ベアリング72に近い面に形成した第1ガイド溝53と、第1ガイド板51のうち相対的に第1ベアリング72から遠い面に形成され且つ第1ガイド溝53に連通する第1ガイド孔54とで構成した第1ガイド凹部52を適用している(図7、図8及び図11参照)。
第1ガイド溝53は、第1ベアリング72の外周面の少なくとも一部が常に接触し、転動しながらX軸周りに移動する第1ベアリング72の移動方向を規制するものである。第1ガイド溝53は、図7等に示すように、円中心(原点)から離間する方向へ開放した形状に設定し、この開放した領域を利用して、アクチュエータAの組立時または第1ベアリング72の交換時や分解時等に第1ベアリング72を第1ガイド凹部52に収容したり、第1ベアリング72を第1ガイド凹部52から抜き出す作業をスムーズに行えるように構成している。
第1ガイド孔54は、第1ベアリング72の外径よりも小さい開口幅を有する部分円弧状の長孔であり、第1ガイド溝53に沿って転動する第1ベアリング72と第1ガイド板51との接触面積を減らすことで摩擦抵抗を低減する機能を発揮するとともに、転動する第1ベアリング72が第1ガイド溝53を超えて第1ガイド板51の厚み方向に抜け外れることを防止するストッパとして機能する。
このような第1ガイド凹部52に第1ベアリング72を収容した状態では、アクチュエータAの径方向(原点を円中心とする径方向)に向き合う第1固定子3と第1可動子1の間に生じる吸引力が与圧として第1ベアリング72に作用し、第1ベアリング72の外周面を第1ガイド凹部52(具体的には第1ガイド溝53)に接触させながら第1ベアリング72の適切な転がり動作を得ることができる。そして、第1ベアリング72が第1ガイド凹部52に沿って転動しながら移動することによって、第1ベアリング72を取り付けている第1可動ヨーク11のX軸周りの回転を支えることができる。
また、第1ガイド板51は、ベースB上に固定した支持部9によって移動不能に支持されている。さらに、第1ガイド板51の外周縁の形状を、第1可動ヨーク11の回転軌跡の円弧と同心円であって(つまり原点を円中心とし)且つ第1可動ヨーク11よりも小さい径の部分円弧状に設定している。
第2可動ガイド部8は、図17等に示すように、第2可動ヨーク21の端部近傍からY軸に向かって突出する非磁性体の第2軸受保持部81と、第2軸受保持部81に保持された第2軸受82とを備えたものである。この第2可動ガイド部8は、第2可動ヨーク21のY軸周りの回転に伴ってY軸周りに移動するものである。
本実施形態の第2可動ガイド部8は、第2フレーム本体25のうちY軸周り両端部分からY軸と平行な方向に延伸する板状の第2軸受保持部81を備え、この第2軸受保持部81の先端部又は先端部近傍に第2軸受82をY軸と平行な軸周りに回転可能に保持している。ここで、第2軸受保持部82は、第2フレーム本体25と一体に形成したものが好ましいが、第2フレーム本体25と別体であって第2フレーム本体25に一体的に組み付けたものであってもよい。本実施形態では、原点を円中心とし且つ第2可動ヨーク21のY軸周りの回転軌跡の円弧よりも小さい円弧上に複数(図示例では2つ)の第2軸受82を配置している。また、第2軸受保持部81のうち第2軸受82を配置する先端側領域を基端側領域よりもY軸方向の厚み寸法を小さく(薄く)設定し、この先端側領域に第2軸受82を配置した状態で、先端側領域のY軸方向の厚み寸法と第2軸受82のY軸方向の寸法の合計値が、第2軸受保持部81のうち基端側領域におけるY軸方向の厚み寸法と同一又は若干大きくなるように構成している(図19及び図20参照)。
本実施形態のアクチュエータAでは、第2可動ヨーク21のY軸周り両端部近傍をY軸方向に挟む位置に第2可動ガイド部8を対向させて設けている(図17及び図19参照)。具体的には、各第2可動ヨーク21のY軸周り両端部分をY軸方向に挟む位置に一対の第2軸受保持部81を設け、これら各第2軸受け保持部81にそれぞれ第2軸受72を回転可能に保持させている。本実施形態では、第2軸受82として転がり軸受(以下、「第2ベアリング82」と称す)を適用している。このように、本実施形態のアクチュエータAは、単一の第2可動子2に対して、合計4つの第2可動ガイド部8を設け、全部で8つの第2ベアリング82を設けている。
第2固定ガイド部6は、第2可動ガイド部8のY軸周りの移動を支持するものである。この第2固定ガイド部6は、Z軸周りに隣り合う第1固定子3と第2固定子4の間に形成されるスペースのうち第2軸受保持部81とY軸方向に対面する位置に配置した第2ガイド板61に、第2可動ヨーク21の回転時における第2ベアリング82の移動軌跡に沿って延伸し且つ第2ベアリング82を収容可能な第2ガイド凹部62を形成したものである(図9参照)。本実施形態のアクチュエータAでは、第2可動ヨーク21のY軸周り両端部近傍をY軸方向に挟む位置に第2可動ガイド部8を対向配置し、これら各第2可動ガイド部8に応じて第2固定ガイド部6を、ベースB上の前記スペースにおいて第2固定子4をY軸方向に挟む位置に固定配置している(図10参照)。
本実施形態では、板状をなす第2ガイド板61のうち相対的に第2ベアリング82に近い面に形成した第2ガイド溝63と、第2ガイド板61のうち相対的に第2ベアリング82から遠い面に形成され且つ第2ガイド溝63に連通する第2ガイド孔64とで構成した第2ガイド凹部62を適用している(図7、図9及び図12参照)。
第2ガイド溝63は、第2ベアリング82の外周面の少なくとも一部が常に接触し、転動しながらY軸周りに移動する第2ベアリング82の移動方向を規制するものである。第2ガイド溝63は、図7等に示すように、円中心(原点)から離間する方向へ開放した形状に設定し、この開放した領域を利用して、アクチュエータAの組立時または第2ベアリング82の交換時や分解時等に第2ベアリング82を第2ガイド凹部62に収容したり、第2ベアリング82を第2ガイド凹部62から抜き出す作業をスムーズに行えるように構成している。
第2ガイド孔64は、第2ベアリング82の外径よりも小さい開口幅を有する部分円弧状の長孔であり、第2ガイド溝63に沿って転動する第2ベアリング82と第2ガイド板61との接触面積を減らすことで摩擦抵抗を低減する機能を発揮するとともに、転動する第2ベアリング82が第2ガイド溝63を超えて第2ガイド板61の厚み方向に抜け外れることを防止するストッパとして機能する。
このような第2ガイド凹部62内に第2ベアリング82を収容した状態では、アクチュエータAの径方向(原点を円中心とする径方向)に向き合う第2固定子4と第2可動子2の間に生じる吸引力が与圧として第2ベアリング82に作用し、第2ベアリング82の外周面を第2ガイド凹部62(具体的には第2ガイド溝63)にさせながら第1ベアリング72の適切な転がり動作を得ることができる。そして、第2ベアリング82が第2ガイド凹部62内において転動しながら移動することによって、第2ベアリング82を取り付けている各第2可動ヨーク21のY軸周りの回転を支えることができる。
また、第2ガイド板61は、ベースB上に固定した支持部9によって移動不能に支持されている。さらに第2ガイド板61の外周縁の形状を、第2可動ヨーク21の回転軌跡の円弧と同心円であって(つまり原点を円中心とし)且つ第2可動ヨーク21よりも小さい径の部分円弧状に設定している。より具体的に、これら第1ガイド板51及び第2ガイド板61は、Z軸方向から見て相互に直交する角度となるように、原点に近い内向き側の部分同士を接触させた状態で配置されている。
このように、ガイド支持機構Gのうち、第1可動子1をX軸周りに回転可能に支持する第1固定ガイド部5及び第1可動ガイド部7と、第2可動子2をY軸周りに回転可能に支持する第2固定ガイド部6及び第2可動ガイド部8の組み合わせや具体的な構成は同じであり、部品の共通化を図ることができる。
本実施形態のアクチュエータAは、図4及び図10に示すように、ベース上において固定子S及び可動子Rが配置されていない領域であって且つZ軸方向から見て隣り合う第1ガイド板51と第2ガイド板62の間に形成される計4箇所のスペースにそれぞれ支持部9を配置し、各支持部9によって、第1ガイド板51及び第2ガイド板62をZ軸方向から見て相互に直交する角度で移動不能に支持している。
各支持部9は、Z軸方向に沿って延伸し、第1ガイド板51に接触する第1支持面と、第2ガイド板61に接触する第2支持面を外面に設定した支持部本体91と、支持部本体91のうちベースB側の端部から原点に対して離れる方向に延伸するベース取付部92とを備えている。支持部本体91は、概略直方体状をなし、第1支持面及び第2支持面に相互に高さ違いに形成したネジ挿通孔にそれぞれ挿し込んだネジを第1ガイド板51,第2ガイド板61に形成したネジ孔に螺合することで、第1ガイド板51及び第2ガイド板61を一体的に固定支持することができる。ベース取付部92は、概略直方体状をなし、端部を支持部本体91のうちベースB側の端部に一体又は一体的に連続して設け、延伸方向を支持部本体91の延伸方向(Z軸に平行な方向)に対して直交する方向に設定したものである。
ここで、本実施形態のベースBには、少なくとも原点に向かってZ軸方向に開口する内部空間BSが形成されている。ベースBの平面図である図21に示すように、Z軸方向から見てX軸方向及びY軸方向にそれぞれ延伸する略十字状の内部空間BSには、第1センサスケールS1と共に第1検出手段を構成する第1センサヘッドS2と、第2センサスケールS3と共に第2検出手段を構成する第2センサヘッドS4とをZ軸方向に沿って高さ違いに配置している(図11及び図12参照)。本実施形態では、第1センサスケールS1の回転中心及び第2センサスケールS2の回転中心を原点に一致させ、第1センサスケールS1の円弧の半径を第2センサスケールS3の円弧の半径よりも小さく設定している。したがって、図5及び図6に示すように、ベースBの内部空間BSのうち、第1センサヘッドS2を第2センサヘッドS4よりも原点に近い位置に配置している。なお、各センサヘッドS2,S4にはセンサケーブルS21,S41が接続されている(図10、図11及び図21参照)。
本実施形態のアクチュエータAは、ベースBのうち原点に近い面B1(以下「支持面B1」と称す)に支持部9のベース取付部92を固定している。具体的には、ベース取付部92の延伸方向をX軸方向又はY軸方向に一致させた姿勢でベースBの支持面B1にベース取付部92をネジ等の適宜の固定具を用いて固定する。この固定状態では、ベース取付部92のうち支持部本体91に連続する基端部分が、ベースの支持部9取付面のうち内部空間に臨む位置に配置され、基端部分以外の部分がベースBの支持面B1に接触する位置に配置される(図1、図7及び図10参照)。また、支持部本体91は、ベース取付部92の基端部よりも原点に近い位置に配置される。本実施形態では、上述した計4つのスペース(Z軸方向から見て隣り合う第1ガイド板51と第2ガイド板62の間に形成される計4箇所のスペース)にそれぞれ配置する支持部9のうち、Z軸方向から見て原点を経由して対向する位置に配置する支持部9同士の組のうち一方の組は、ベース取付部92の延伸方向をX軸方向に一致させた姿勢で配置し、他方の組は、ベース取付部92の延伸方向をY軸方向に一致させた姿勢で配置している(図7及び図10参照)。
そして、本実施形態に係るアクチュエータAは、ガイド支持機構Gを構成する各ガイド部5,6及び各被ガイド部7,8の全部または略全部を、Z軸方向から見て第1可動子1及び第2可動子2のうち原点から最も離れた点から原点までの距離を半径とする円内に配置している。
次に、このような構成を有する本実施形態のアクチュエータAの作動及び作用について説明する。
本実施形態に係るアクチュエータAにおいて、第1固定子3に対して第1可動子1がX軸周りに回転する動作原理と、第2固定子4に対して第2可動子がY軸回りに回転する動作原理は同じである。ここで、図22及び図23に、第1固定子3に対して第1可動子1がX軸周りに回転する動作原理を示す。なお、図22及び図23では、説明の便宜上、第1可動子1の一部を省略するとともに、断面の切り口を示す平行斜線(ハッチング)を省略している。
本実施形態のアクチュエータAは、上述したように、X軸周りに複数配置した第1固定磁極31のうち3以上(図示例では7本)の第1固定磁極31が、X軸周りに複数の第1可動磁極12を設定した第1可動ヨーク11の内周面と対面するように設定するとともに、Y軸周りに複数配置した第2固定磁極41のうち3以上(図示例では7本)の第2固定磁極41が、Y軸周りに複数の第2可動磁極22を設定した第2可動ヨーク21の内周面と対面するように設定している。そして、第1固定子3の各第1固定磁極31及び第2固定子の各第2固定磁極に巻回した各コイルCを、それぞれの軸(X軸、Y軸)周りにU,V,Wの三相に分けて、これら各コイルCに適宜の電流を励磁することで第1可動子1及び第2可動子2を各軸(X軸、Y軸)周りに回転させることができる。
図22を参照して具体的に説明すると、各第1固定磁極31に巻回したコイルCに電流を励磁していない無通電時には、ギャップを介してアクチュエータAの径方向に対面する第1固定子3の第1固定磁極31と第1可動子1の第1可動磁極12の間に磁束が流れるものの、第1可動子1をX軸周りに回転させる回転磁界は発生せず、回転トルクは発生しない。同様に、第2固定子4の各第2固定磁極41に巻回した各コイルCに電流を励磁していない無通電時では、第2固定磁極41と第2可動磁極22の間にも磁束が流れるものの、第2可動子2をY軸周りに回転させるトルクは発生しない(図示省略)。
一方、本実施形態に係るアクチュエータAにおいて、第1固定磁極31に設けたコイルCをU,V,Wの三相に分けて、図24に示すような電流パターン、すなわち、コイルCに120度ずつ位相のずれた三相交流電流を励磁する(通電)ことによって、図23に示すように、第1可動ヨーク11をX軸周りに回転させる回転磁界が発生し、回転トルクTを得ることができる。その結果、第1可動ヨーク11及び第1フレーム13を含む第1可動子1全体がYZ平面(Y軸とZ軸を含む平面)内でX軸周りに回転する。この際、第1可動ガイド部7の第1ベアリング72が第1固定ガイド部5の第1ガイド凹部52に案内されながら第1ガイド凹部52内を移動し、第1可動子1の第1フレーム13に設けた出力部15が、第2可動子2に設けた第2フレーム23の移動規制部24(出力部ガイド孔27)に沿って滑りながら移動規制部24内で動くことにより、第2可動子2を動かすことなく、第1可動子1のみをX軸周りに回転させることができる。つまり、本実施形態に係るアクチュエータAは、出力部15の移動方向を、移動規制部24(出力部ガイド孔27)によってY軸を含む平面内にのみ規制している。より具体的には、移動規制部24(出力部ガイド孔27)が、出力部15の移動方向を、Y軸を含む平面内であって且つ原点を中心とするX軸周りの円弧の弧の方向(出力部ガイド孔27の延伸方向)にのみ規制している。なお、図23は、図24に示すような電流パターンのうちU相の電気角が「0」の時点における磁束の流れを模式的に示すものである。
そして、本実施形態に係るアクチュエータAは、各コイルCに流す電流の向きや大きさを適宜調整することにより、図1乃至図3に示す標準姿勢(St)の第1可動子1を、X軸周りにプラス方向、マイナス方向へそれぞれ所定角度の範囲内で回転させることが可能である。本実施形態では、第1可動子1を、標準姿勢(St)に対してX軸周りに例えば35度回転させた角度姿勢(X+)(図25及び図26参照)と、標準姿勢(St)に対してX軸周りに例えばマイナス35度回転させた角度姿勢(X−)(図27参照)との間で回転させることができる。この第1可動子1のX軸周りの回転に伴って、第1センサスケールS1もX軸周りに回転する。この第1センサスケールS1の回転移動量(回転角度)に関する情報は、ベースB内に設けた第1センサヘッドS2によって検出・取得することができる。
同様に、本実施形態に係るアクチュエータAでは、Y軸周りに複数配置した第2固定磁極41にそれぞれ設けたコイルCをU,V,Wの三相に分けて、これらのコイルCに120度ずつ位相のずれた三相交流電流を励磁する(通電)ことによって、第2可動子2をY軸周りに回転させる回転磁界が発生し、回転トルクを得ることができる(図示省略)。その結果、第2可動子2がXZ平面(X軸とZ軸を含む平面)内でY軸周りに回転する。この際、第2可動ガイド部8の第2ベアリング82が第2固定ガイド部6の第2ガイド凹部62に案内されながら第2ガイド凹部62内を移動する。そして、第2可動子2の第2フレーム23も第2可動ヨーク21と一体にY軸周りに回転する。ここで、第2フレーム23のうち移動規制フレーム26に形成した出力部ガイド孔27には出力部15が挿通しており、この出力部ガイド孔27が第2可動子2の標準姿勢(St)においてX軸周りに延伸するものであることから、第2フレーム23がY軸周りに回転すると、出力部15にもY軸周りに回転する力が作用する。本実施形態のアクチュエータAでは、出力部15を固定支持している第1フレーム13と第1可動ヨーク11の連結箇所に軸受14を設け、軸受14によって第1フレーム13をYZ平面から外れる方向に第1可動ヨーク11とは独立して回転可能に支持しているため、第1可動磁極12を内周面に所定ピッチで形成した第1可動子1の第1可動ヨーク11を動かすことなく、第1フレーム13を軸受14を中心にY軸周りに回転(YZ平面から外れる方向に回転)させることができ、第1フレーム13のY軸周りの回転に伴って出力部15もY軸周りに移動する。
そして、本実施形態に係るアクチュエータAは、各コイルCに流す電流の向きや大きさを適宜調整することにより、図1乃至図3に示す標準姿勢(St)の第2可動子2を、Y軸周りにプラス方向、マイナス方向へそれぞれ所定角度の範囲内で回転させることが可能である。本実施形態では、第2可動子2を、標準姿勢(St)に対してY軸周りに例えば35度回転させた角度姿勢(Y+)(図28及び図29参照)と、標準姿勢(St)に対してY軸周りに例えばマイナス35度回転させた角度姿勢(Y−)(図30参照)との間で回転させることができる。この第2可動子2のY軸周りの回転に伴って、第2センサスケールS3もY軸周りに回転する。この第2センサスケールS3の回転移動量(回転角度)に関する情報は、ベースB内に設けた第2センサヘッドS4によって検出・取得することができる。
そして、本実施形態に係るアクチュエータAは、第1可動子1の第1フレーム13に設けた出力部15を、第2可動子2に設けた第2フレーム23の移動規制部24(出力部ガイド孔27)内で移動規制部24の延伸方向(長手方向)に移動可能であるため、第1可動子1及び第2可動子2を同時または時間差でそれぞれ回転させた場合に、第1可動子1の回転によるX軸周りの回転出力と、第2可動子2の回転によるY軸周りの回転出力の合成を、第1可動子1に設けた出力部15の位置として取り出すことができる。一例として、図31には、第1可動子1が標準姿勢(St)に対してX軸周りに例えば35度回転した角度姿勢(X+)にあり、第2可動子2が標準姿勢(St)に対してY軸周りに例えば35度回転した角度姿勢(Y+)にあるアクチュエータAを示し、図32には、第1可動子1が標準姿勢(St)に対してX軸周りに例えばマイナス35度回転した角度姿勢(X−)にあり、第2可動子2が標準姿勢(St)に対してY軸周りに例えばマイナス35度回転した角度姿勢(Y−)にあるアクチュエータAを示している。なお、各可動子(第1可動子1、第2可動子2)を目標角度まで回転させる制御は、各センサヘッド(第1センサヘッドS2,第2センサヘッドS4)の検出情報を用いたオープンループ制御またはフィードバック制御の何れであってもよい。
このように、本実施形態に係るアクチュエータAは、相互に直交するX軸及びY軸の各軸周りに第1可動子1、第2可動子2をそれぞれ個々に独立して回転させることができ、第1可動子1の回転によるX軸周りの回転出力と、第2可動子2の回転によるY軸周りの回転出力の合成を、第1可動子1に設けた出力部15の位置として取り出すことができる。
特に、本実施形態に係るアクチュエータAは、X軸周りに略180度延伸する部分円弧状をなし且つYZ平面内でX軸周りに回転可能な単一の第1可動ヨーク11と、Y軸周りに略180度延伸する部分円弧状をなし且つXZ平面内でY軸周りに回転可能な単一の第2可動ヨーク21とを備えたものであるため、X軸周りに2分割した一対の第1可動ヨークと、Y軸周りに2分割した一対の第2可動ヨークとを備えたアクチュエータ(以下、「可動ヨーク分割型アクチュエータ」と称す)と比較して、励磁状態において磁束が偏り難く、磁束が分散することにより、磁束がスムーズに流れ、各可動子ヨーク11,21内の磁気飽和が緩和される。ここで、図33に、本実施形態に係るアクチュエータAの励磁状態における可動ヨーク(図示例では第2可動ヨーク21)内の磁束密度を示し、図34に、X軸周りに2分割した一対の第1可動ヨーク、及びY軸周りに2分割した一対の第2可動ヨーク以外の構成を本実施形態に係るアクチュエータAに準じたものにした可動ヨーク分割型アクチュエータの励磁状態における可動ヨーク内の磁束密度を示す。図33、34では、磁束密度の程度をグレースケールで示し、暗いほど(黒に近いほど)磁束密度が大きく、明るいほど(白に近いほど)磁束密度が小さいことを模式的に示している。図34から、可動ヨーク分割型アクチュエータであれば、可動ヨーク内において磁束の偏りが生じ易く、特に点線で囲む部分Qに磁束が局所的に偏り、磁気飽和が生じていることが把握できる。一方で、図33から、本実施形態に係るアクチュエータAであれば、可動ヨーク21内において磁束が局所的に偏ることなくスムーズに流れ、磁気飽和が生じていないことを確認することができる。
さらに、可動ヨーク分割型アクチュエータであれば、各軸周りにそれぞれ可動ヨークを2分割して配置するため、各軸周りにそれぞれ可動ヨークの「端」が4箇所存在するが、本実施形態のアクチュエータAでは、各軸周りにはそれぞれ単一の第1可動子1,第2可動子2を配置しているため、各軸周りにそれぞれ可動ヨーク11,21の「端」が2箇所存在する。その結果、本実施形態のアクチュエータAでは、可動ヨーク分割型アクチュエータと比較して端効果(エンドエフェクト)が起こり得る箇所を少なくすることができ、トルクリプルを効果的に減少させることが可能である。ここで、図35では、本実施形態に係るアクチュエータAのトルク特性を実線で示すとともに、可動ヨーク分割型アクチュエータのトルク特性を点線で示している。この図より、本実施形態のアクチュエータAであれば、可動ヨーク分割型アクチュエータよりもトルクリプルを減少させることが可能であることが分かる。
また、可動ヨーク分割型アクチュエータでは、X軸周りに回転する一対の可動ヨーク同士、及びY軸周りに回転する一対の可動ヨーク同士をそれぞれ共通の円弧上に配置し、対面する固定磁極と可動磁極のギャップが全て同一となるようにその配置関係を維持する位置決めが要求され、この条件を満たさない組立状態では、その組立誤差に起因してそれぞれペアとなるX軸周りの可動ヨーク同士の回転中心やY軸周りの可動ヨーク同士の回転中心がずれて、トルクの減少を招来するという事態も起こり得る。一方、本実施形態のアクチュエータAであれば、X軸周りに配置する第1可動ヨーク11、及びY軸周りに配置する第2可動ヨーク21はそれぞれ単一のものであるため、上述した位置決めが要求されず、高精度な組立が可能になり、組立誤差に起因するトルクの減少を防止することができる。特に、本実施形態のアクチュエータAでは、X軸周りに並んで配置される第1固定磁極31とこれら各第1固定磁極31に磁気的に連続する第1固定ヨーク32の組、及びY軸周りに並んで配置される第2固定磁極41とこれら各第2固定磁極41に磁気的に連続する第2固定ヨーク42の組がそれぞれ1組であるため、例えばX軸周りに分割した複数の固定ヨーク同士、及びY軸周りに分割した複数の固定ヨーク同士をそれぞれの固定磁極が共通の円弧上に並ぶように配置するという位置決めも要求されず、この点においても組立の精度を高めることができ、有利である。
さらにはまた、本実施形態のアクチュエータAは、X軸周りに回転する第1可動ヨーク11、及びY軸周りに回転する第2可動ヨーク21をそれぞれ一体構造にしているため、各軸周りに分割した複数の可動ヨーク同士をフレームで連結する可動ヨーク分割型アクチュエータと比較して、剛性を向上させることができる。
加えて、本実施形態のアクチュエータAは、X軸周りに延伸する第1可動ヨーク11及びY軸周りに延伸する第2可動ヨーク21のそれぞれの延伸方向の寸法(円弧の長さ)を適宜設定することにより、出力部15の駆動可能範囲(出力範囲)を簡単に調節することが可能であるため、駆動範囲の設定自由度が高く、用途などに応じて駆動範囲を広く設定することもでき、実用性に富む。
しかも、本実施形態のアクチュエータAは、X軸周りのモータを構成する第1可動ヨーク11、第1可動磁極12、第1固定ヨーク32及び第2固定磁極31の形状を含めた全体構造と、Y軸周りのモータを構成する第2可動ヨーク21、第2可動磁極22、第2固定ヨーク42及び第2固定磁極41の形状を含めた全体構造を相互に同一に設定しているため、X軸周りのモータ及びY軸周りのモータが、同一径の電磁力発生部となり、同一のトルク密度のモータとして駆動させることができ、各軸周りのモータのドライバ設定を共通化して、各軸周りの安定した位置決め及び回転出力を得ることが可能である。
また、X軸周りのモータ及びY軸周りのモータが同一形状である本実施形態のアクチュエータAであれば、部品の共通化を実現でき、量産性にも優れる。
そして、本実施形態に係るアクチュエータAは、X軸周りのモータとY軸周りのモータを相互に直交するようにねじれの位置に配置し、X軸及びY軸の各軸周りに第1可動子1、第2可動子2をそれぞれ個々に独立して回転させることができ、これらの各可動子1,2の回転移動に応じて出力部15を所定の球面(部分球面)内で駆動させることができる。
また、本実施形態に係るアクチュエータAは、第1可動ヨーク11及び第2可動ヨーク21の各軸(X軸,Y軸)周りの回転を案内しながら支持するガイド支持機構Gを、Z軸周りに隣り合う第1固定子3と第2固定子4のスペースを利用して配置することによって、Z軸方向から見て第1可動ヨーク11や第2可動ヨーク21の外側にガイド支持機構Gを配置するための専用スペースを確保する必要がなく、アクチュエータA全体の小型化を図ることができる。このようなメリットは、可動対象部の回転を支持するジンバル枠を可動対象部の外側に配置せざるを得ないジンバル機構と比較した場合に顕著に現れる。
さらに、第1可動ヨーク11のX軸周りの回転を所定範囲で案内する第1固定ガイド部5と、第2可動ヨーク21のY軸周りの回転を所定範囲で案内する第2固定ガイド部6を相互に直交する位置に個別に設け、これら第1固定ガイド部5と第2固定ガイド部6の相対位置を固定しているため、第1可動ヨーク11のX軸周りの回転に伴って第2可動ヨーク21の回転軸であるY軸が移動する(連れ回る)事態や、第2可動ヨーク21のY軸周りの回転に伴って第1可動ヨーク11の回転軸であるX軸が移動する(連れ回る)事態を防止することができ、第1可動子1や第2可動子2の回転動作中に、X軸とY軸が同一平面上において一致して回転の自由度が減ってしまうジンバルロック現象またはジンバルロックに近い現象が起こり得ず、動作の安定性及び実用性の向上を実現することができる。
特に、本実施形態に係るアクチュエータAでは、ガイド支持機構Gとして、第1可動ヨーク11の所定箇所にX軸に平行な軸周りに回転可能な第1ベアリング72を設けた第1可動ガイド部7と、第1可動ヨーク11の回転時における第1ベアリング72の移動軌跡に沿って延伸し且つ第1ベアリング72を収容可能な第1ガイド凹部52を形成した第1固定ガイド部5とを備えたものを適用しているため、第1ガイド凹部52に第1ベアリング72を収容した状態で、相互に向かい合う第1固定子3と第1可動子1の間に生じる吸引力が与圧として第1ベアリング72に作用し、第1ベアリング72を第1ガイド凹部52に接触させながらX軸と平行な軸周りに適切に回転させることができ、良好なガイド支持状態を得ることができるともに、第1可動ヨーク11がX軸周りに回転する際に、第1ベアリング72が第1ガイド凹部52の延伸方向に沿って移動することになり、第1可動ヨーク11の安定した回転動作を確保することができる。
また、本実施形態のガイド支持機構Gは、第1可動ヨーク11からX軸に向かって突出する非磁性体の第1軸受保持部71の先端部又は先端部近傍に第1ベアリング72を回転可能に保持させた構成を採用しているため、第1ベアリグ72が第1ガイド凹部52に沿って移動する領域を原点に対して第1可動ヨーク11よりも近い位置に設定することができ、アクチュエータA全体の小型化を有効に図ることができる。
さらに、本実施形態のアクチュエータAでは、第1ガイド凹部52を形成した第1ガイド板51を第1軸受保持部71とX軸方向に対面する位置に支持部9によって固定配置しているため、回転移動する第1可動子1を安定した支持状態を維持することができるとともに、第1軸受保持部71に複数の第1ベアリング72を設けているため、第1可動子1の回転時及び静止時の何れにおいても第1固定ガイド部5に作用する荷重を好適に分散することができる。
さらに、本実施形態のアクチュエータAでは、各第1可動ヨーク11をY軸方向に挟む位置に第1可動ガイド部7を対向配置し、これら一対の第1可動ガイド部7に応じて第1固定ガイド部5を、Z軸周りに隣り合う第1固定子3と第2固定子4との間のスペースにおいて第1固定子3をY軸方向に挟む位置に固定配置しているため、X軸周りに回転する第1可動子の荷重をバランス良く分散して受けながら第1可動子のスムーズな回転を確保することができる。
これら第1固定ガイド部5及び第1可動ガイド部7の各形状や構成、相互関係によって得られる作用効果は、第1固定ガイド部5及び第1可動ガイド部7と同じ形状や構成、相互関係を有する第2固定ガイド部6及び第2可動ガイド部8によっても得ることができる。
特に、本実施形態のアクチュエータAでは、複数の第1可動磁極12をX軸周りに設定し且つYZ平面内でX軸周りに回転可能な第1可動ヨーク11が、X軸周りの所定円弧上に並ぶ第1固定磁極31と対面する相対位置関係、及び内周面に複数の第2可動磁極22をY軸周りに設定し且つXZ平面内でY軸周りに回転可能な第2可動ヨーク21が、Y軸周りの所定円弧上に並ぶ第2固定磁極41と対面する相対位置関係を常に維持しているため、第1可動ヨーク11のX軸周りの位置検出や第2可動ヨーク21のY軸周りの位置検出をリニアスケール(リニアエンコーダとも称される)などの汎用センサを用いて行うことが可能である。
具体的に本実施形態のアクチュエータAでは、第1可動子1の回転角度を検出する第1検出手段を、第1可動子1のうち第1可動ヨーク11よりも原点から遠い位置に配置した第1センサスケールS1と、ベースB内に固定配置した第1センサヘッドS2とを用いて構成するとともに、第2可動子2の回転角度を検出する第2検出手段を、第2可動子2のうち第2可動ヨーク21よりも原点から遠い位置に配置した第2センサスケールS3と、ベースB内に固定配置した第2センサヘッドS4とを用いて構成している。このような構成により、ベースB内に設けた各センサヘッドS2,S4のセンサケーブルS21,S41を各可動子1,2の可動範囲から外れた位置で引き回すことができる。例えば、ジンバル機構であれば、相対的に内側に配置される軸の回転角度を検出するセンサをジンバル構造内に配置しなければならず、このセンサがジンバル(フレーム)の回転に伴って移動することを予め想定してセンサのケーブルがジンバルや可動対象部に干渉しないように引き回さなければならないが、本実施形態のアクチュエータAによれば、煩雑なケーブル処理が不要になり、堅牢なシステム構成が可能である。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、第1可動ヨーク及び第2可動ヨークの各軸(X軸,Y軸)周りの延伸寸法(円弧の長さ、円弧角度)は適宜変更することができる。そして、第1可動子のX軸周りの可動角度範囲や、第2可動子のY軸周りの可動角度範囲は、アクチュエータの用途や仕様などに応じて適宜変更することができる。
また、第1可動ヨークの円弧の長さと、第2可動ヨークの円弧の長さを相互に異ならせても構わない。ここで、各可動ヨークの円弧の長さ(各軸周りの延伸寸法であり、各可動ヨークの円弧角度ともいえる)を長く設定すればするほど、トルクは小さくなるものの可動範囲を大きくすることができ、短く設定すればするほど、可動範囲は小さくなるもののトルクを大きくできる。また、各可動ヨークの円弧の長さは、ギャップを介して対面する固定磁極との関係においてU,V,Wの三相を1セット分(3本の固定磁極と対面可能な円弧の長さであり、固定磁極を30度ピッチで配置した上述したアクチュエータAであれば90度分)確保可能な長さ(角度)であればよい。
また、第1可動子に設けた第1フレームと、第2可動子に設けた第2フレームは、相互に干渉しないように原点からの距離を相互に異ならせる必要があり、上述の実施形態では、第1フレームを第2フレームよりも相対的に原点に近い位置に配置する構成を示したが、第1フレームを第2フレームよりも相対的に原点から遠い位置に配置する構成にしてもよい。この場合、第1フレームに設けた出力部は、第1フレームよりも原点に近い第2フレームに形成した移動規制部に案内可能な状態にあり、この移動規制部によってY軸を含む平面内にのみ移動可能に規制される必要があるため、出力部(出力軸)の突出方向を第1フレームから原点に向かう方向にも設定することになる。
第1フレームに設ける出力部は、本発明に係るアクチュエータの用途等に応じて適宜変更することができ、軸構成のものに限定されることはない。そして、第2フレームの移動規制部は、出力部の形状や構成に応じて適宜適当な形状や構成に設定すればよい。出力部は、第2フレームの移動規制部に案内されるものであればよく、先端側領域が移動規制部を貫通して完全に移動規制部から飛び出した(露出した)状態で案内される構成、または先端側領域が移動規制部内にとどまり、移動規制部から飛び出していない(露出していない)状態で案内される構成でも構わない。
また、コイルを第1固定子や第2固定子ではなく、第1可動子や第2可動子に設けた構成であってもよい。
また、各固定子における固定ヨーク(第1固定ヨーク,第2固定ヨーク)と保持部(第1保持部,第2保持部)を一体に形成することもできる。固定ヨーク及び保持部を一体の磁性体によって構成した場合、一体成形した磁性体のうち、原点に近い領域が保持部として機能し、相対的に原点から遠い領域が固定ヨークとして機能する。また、上述した実施形態で示すように相互に別体の固定ヨーク及び保持部を用いる場合、保持部は非磁性体であることが好ましいが、磁性体であってもよい。
上述の実施形態では、各可動ヨーク(第1可動ヨーク11,第2可動ヨーク21)のうちギャップを介して固定子Sの第1固定磁極31,第2固定磁極42に対面する面に一部を露出させた状態で複数の永久磁石M1,M2を各可動ヨーク11,21に埋め込んだタイプのモータを用いたアクチュエータを例示したが、上記以外のタイプのモータを用いたアクチュエータであってもよい。一例として、図36乃至及び図38(図36は一変形例に係るアクチュエータAを図1に対応して示す図であり、図37、図38は、同変形例に係るアクチュエータAを図5、図6にそれぞれ対応してさせて示す図である)に示すように、永久磁石M1,M2を可動ヨーク11,12の表面に配置したいわゆるSPM(surface permanent magnet)タイプのモータを用いたアクチュエータを採用することができる。
この変形例に係るアクチュエータAは、第1可動ヨーク11の内周面に複数の第1可動磁極12を設定するとともに、第2可動ヨーク21の内周面に複数の第2可動磁極22を設定すべく、S極またはN極が各可動ヨーク11,21の径方向を向く姿勢で各永久磁石M1,M2を各可動ヨーク11,21の内周面に所定ピッチで配置した構成を採用している。また、各固定磁極31,41には、上述の実施形態で示したティース311,411は設けていない。なお、この変形例に示すアクチュエータAは、第1可動子1、第2可動子2、第1固定子3、第2固定子4以外の構成は、上述した実施形態のアクチュエータAと同様の構成であるため、説明は省略し、図36乃至図38では、上述の実施形態におけるアクチュエータAと対応する部分や部材には同じ符号を付している。
具体的には、第1可動ヨーク11の内周面に第1可動磁極12として機能する永久磁石M1を複数整列させて配置している。各第1可動磁極12は、部分円弧状の永久磁石M1(例えば厚さ1mmのセグメント型磁石)によって構成され、この永久磁石M1を第1可動ヨーク11の内周面にX軸周りに並べて固定配置している。各永久磁石M1は、S極またはN極が第1可動ヨーク11の径方向を向く姿勢でX軸周りに所定ピッチで複数配置され、X軸周り(第1可動ヨーク11の周方向)に隣り合う永久磁石M1は磁化の方向が互いに逆向きとなっている。
本変形例では、第1可動ヨーク11の内周面に、8枚の永久磁石M1をX軸周りに所定ピッチで整列配置している。本変形例のアクチュエータAでは、図37に示すように、第1可動ヨーク11のX軸周りの寸法(円弧の長さ)を、X軸周りに複数配置した第1固定磁極31のうち3本以上の第1固定磁極31(図示例では7本の第1固定磁極31)と対面可能な長さに設定している。
同様に、第2可動ヨーク21の内周面に第2可動磁極22として機能する永久磁石M2を所定ピッチで複数整列させて配置している。各第2可動磁極22は、部分円弧状の永久磁石M2(例えば厚さ1mmのセグメント型磁石)によって構成され、この永久磁石M2を第2可動ヨーク21の内周面にY軸周りに並べて固定配置している。各永久磁石M2は、S極またはN極が第2可動ヨーク21の径方向を向く姿勢でY軸周りに所定ピッチで複数配置され、Y軸周り(第2可動ヨーク21の周方向)に隣り合う永久磁石M2は磁化の方向が互いに逆向きとなっている。ここで、原点から第2可動磁極22までの距離は、原点から第1可動磁極12までの距離と略同一になる。
本変形例では、第2可動ヨーク21の内周面に、8枚の永久磁石M2をY軸周りに整列配置している。本変形例のアクチュエータAでは、図38に示すように、第2可動ヨーク21のY軸周りの寸法(円弧の長さ)を、Y軸周りに複数配置した第2固定磁極41のうち3本以上の第2固定磁極41(図示例では7本の第2固定磁極41)と対面可能な長さに設定している。
次に、このような構成を有するアクチュエータAの作動及び作用について説明する。
この変形例に係るアクチュエータAにおいて、第1固定子3に対して第1可動子1がX軸周りに回転する動作原理と、第2固定子4に対して第2可動子がY軸回りに回転する動作原理は同じであり、図39及び図40に、第1固定子3に対して第1可動子1がX軸周りに回転する動作原理を示す。なお、図39及び図40では、説明の便宜上、第1可動子1及び第1固定子3の一部を省略するとともに、断面の切り口を示す平行斜線(ハッチング)を省略している。
本変形例に係るアクチュエータAは、第1固定子3の各第1固定磁極31及び第2固定子の各第2固定磁極に巻回した各コイルCを、それぞれの軸(X軸、Y軸)周りにU,V,Wの三相に分けて、これら各コイルCに適宜の電流を励磁することで第1可動子1及び第2可動子2を各軸(X軸、Y軸)周りに回転させることができる。なお、この変形例では、各固定磁極31,41にそれぞれ円錐型のコイルCを巻回している。
図39を参照して具体的に説明すると、各第1固定磁極31に巻回したコイルCに電流を励磁していない無通電時には、ギャップを介してアクチュエータAの径方向に対面する第1固定子3の第1固定磁極31と第1可動子1の第1可動磁極12の間に磁束が流れるものの、第1可動子1をX軸周りに回転させる回転磁界は発生せず、回転トルクは発生しない。同様に、第2固定子4の各第2固定磁極41に巻回した各コイルCに電流を励磁していない無通電時では、第2固定磁極41と第2可動磁極22の間にも磁束が流れるものの、第2可動子2をY軸周りに回転させるトルクは発生しない(図示省略)。
一方、本変形例に係るアクチュエータAにおいて、第1固定磁極31に設けたコイルCをU,V,Wの三相に分けて、図24に示すような電流パターン、すなわち、コイルCに120度ずつ位相のずれた三相交流電流を励磁する(通電)ことによって、図40に示すように、第1可動子1をX軸周りに回転させる回転磁界が発生し、回転トルクTを得ることができる。その結果、第1可動子1がX軸周りに回転する。この際、第1可動ガイド部7の第1ベアリング72が第1固定ガイド部5の第1ガイド凹部52に案内されながら第1ガイド凹部52内を移動し、第1可動子1の第1フレーム13に設けた出力部15が、第2可動子2に設けた第2フレーム23の移動規制部24(出力部ガイド孔27)に沿って滑りながら移動規制部24内で動くことにより、第2可動子2を動かすことなく、第1可動子1のみをX軸周りに回転させることができる。
そして、本実施形態に係るアクチュエータAは、各コイルCに流す電流の向きや大きさを適宜調整することにより、図36に示す標準姿勢(St)の第1可動子1を、X軸周りにプラス方向、マイナス方向へそれぞれ所定角度の範囲内で回転させることが可能である。
同様に、本変形例に係るアクチュエータAでは、Y軸周りに複数配置した第2固定磁極41にそれぞれ設けたコイルCをU,V,Wの三相に分けて、これらのコイルCに120度ずつ位相のずれた三相交流電流を励磁する(通電)ことによって、第2可動子2をY軸周りに回転させる回転磁界が発生し、回転トルクを得ることができる(図示省略)。その結果、第2可動子2がY軸周りに回転する。この際、第2可動ガイド部8の第2ベアリング82が第2固定ガイド部6の第2ガイド凹部62に案内されながら第2ガイド凹部62内を移動する。そして、第2可動子2の第2フレーム23も第2可動ヨーク21と一体にY軸周りに回転し、第2フレーム23及び第1フレーム13のY軸周りの回転に伴って出力部15もY軸周りに移動する。
そして、本変形例に係るアクチュエータAは、各コイルCに流す電流の向きや大きさを適宜調整することにより、図36に示す標準姿勢(St)の第2可動子2を、Y軸周りにプラス方向、マイナス方向へそれぞれ所定角度の範囲内で回転させることが可能である。
そして、本変形例に係るアクチュエータAにおいても、第1可動子1の第1フレーム13に設けた出力部15を、第2可動子2に設けた第2フレーム23の移動規制部24(出力部ガイド孔27)内で移動規制部24の延伸方向(長手方向)に移動可能に設定しているため、第1可動子1及び第2可動子2を同時または時間差でそれぞれ回転させた場合に、第1可動子1の回転によるX軸周りの回転出力と、第2可動子2の回転によるY軸周りの回転出力の合成を、第1可動子1に設けた出力部15の位置として取り出すことができる。
なお、本変形例に係るアクチュエータAは、図1に示すアクチュエータAと比較して、可動子R及び固定子Sの具体的な構造が異なるものの、その他の構造は同じであるため、図1に示すアクチュエータAが奏する作用効果と同様の作用効果を得ることができる。例えば図41には、本変形例に係るアクチュエータAのトルク特性を実線で示すとともに、本変形例のアクチュエータAと同様のタイプのモータを適用した可動ヨーク分割型アクチュエータのトルク特性を点線で示している。この図より、本変形例のアクチュエータAであれば、可動ヨーク分割型アクチュエータよりもトルクリプルを減少させることが可能であることが分かる。その他の作用効果も上述の実施形態に係るアクチュエータAと同様またはほぼ同様であるため、詳細な説明は省略する。
また、本発明に係るアクチュエータは、上述した用途(ロボットの眼球や関節、監視カメラ、所定範囲で角度調整可能な角度ステージ)以外の種々の用途(例えば、ウェハ検査装置など)においても好適に使用することができる。
また、ガイド支持機構のうち、第1可動ガイド部として、例えば第1可動ヨークの両端部近傍からX軸に向かって突出する非磁性の第1ガイド板の先端部又は当該先端部近傍に、第1可動ヨークの回転時の移動軌跡と同心円であって且つ半径を第1可動ヨークの半径よりも小さく設定した部分円弧状の第1ガイド凹部を形成したものを適用し、第1固定ガイド部として、Z軸周りに隣り合う第1固定子と第2固定子との間のスペースのうち第1ガイド板とX軸方向に対面する位置に配置した第1軸受保持部に、第1ガイド凹部に収容または貫通可能であって且つX軸と平行な軸周りに回転可能な第1軸受を保持させたものを採用することもできる。つまり、上述の実施形態と比較して、第1ガイド凹部と第1軸受の配置関係を逆転させた構成であってもよい。
同様に、第2可動ガイド部として、例えば第2可動ヨークの両端部近傍からY軸に向かって突出する非磁性の第2ガイド板の先端部又は当該先端部近傍に、第2可動ヨークの回転時の移動軌跡と同心円であって且つ半径を第2可動ヨークの半径よりも小さく設定した部分円弧状の第2ガイド凹部を形成したものを適用し、第2固定ガイド部として、Z軸周りに隣り合う第1固定子と第2固定子との間のスペースのうち第2ガイド板とY軸方向に対面する位置に配置した第2軸受保持部に、第2ガイド凹部に収容または貫通可能であって且つY軸と平行な軸周りに回転可能な第1軸受を保持させたものを採用することもできる。
また、上述の実施形態では、ガイド支持機構を構成する軸受としてベアリング(転がり軸受)を例示したが、ベアリングに代えて、ローラやカムフォロア、或いはすべり軸受を適用してもよい。また、ガイド板に保持させる軸受の数は、適宜増減すればよく、1つ或いは3つ以上に設定することもできる。
また、第1ガイド凹部及び第2ガイド凹部として、溝または孔の何れか一方のみから形成したものを適用してもよい。
また、本発明のアクチュエータでは、第1可動ガイド部又は第1固定ガイド部の一方を、スライダを備えたものとし、他方を可動ヨークの回転時にスライダを支持するレールを備えたものにし、レールとスライダとの関係においてスライダが相対的にレール内を往復移動可能に構成した円弧状リニアガイド機構をガイド支持機構として採用することも可能である。
上述した実施形態では、一対の第1可動ガイド部及び一対の第1固定ガイド部によって第1可動ヨークのX軸周りの回転移動を案内するとともに、一対の第2可動ガイド部及び一対の第2固定ガイド部によって第2可動ヨークのY軸周りの回転移動を案内するガイド支持機構を例示したが、1つの第1可動ガイド部及び1つの第1固定ガイド部によって第1可動ヨークのX軸周りの回転移動を案内するとともに、1つの第2可動ガイド部及び1つの第2固定ガイド部によって第2可動ヨークのY軸周りの回転移動を案内するように構成したガイド支持機構であっても構わない。
また、本発明のアクチュエータは、ガイド支持機構をZ軸方向から見て第1可動ヨークや第2可動ヨークの外側に確保した専用スペースに配置する構成を排除するものではない。
各固定磁極及び各可動磁極の数やピッチは適宜変更することができる。
また、第1ガイド板及び第2ガイド板を支持する支持部は、第1可動子及び第2可動子の可動範囲から外れた位置に固定配置されたものであればよく、特に、支持部本体はZ軸と一致する方向に延伸するものに限られない。第1ガイド板及び第2ガイド板をベースに直接固定してもよい。
第1可動子をX軸周りに回転させる際のコイルに通電する電流制御と、第2可動子をY軸周りに回転させる際のコイルに通電する電流制御とを共通化することは困難になるものの、複数の第1固定磁極が配列されるX軸周りの円弧と、複数の第2固定磁極が配列されるY軸周りの円弧との径を相互に異ならせたり、原点から第1可動磁極までの距離と原点から第2可動磁極までの距離を相互に異ならせても構わない。
また、固定子として、外周面に複数の第1固定磁極をX軸周りに所定ピッチで設け且つこれら各第1固定磁極に磁気的に連続する複数の第1固定ヨークを、各第1固定磁極がX軸周りに延伸する共通の円弧上に並ぶように適宜の位置に配置するとともに、外周面に複数の第2固定磁極をY軸周りに所定ピッチで設け且つこれら各第2固定磁極に磁気的に連続する複数の第2固定ヨークを、各第2固定磁極がY軸周りに延伸する共通の円弧上に並ぶように配置したものを適用することもできる。
上述の実施形態では、第1固定子3の第1保持部33及び第2固定子4の第2保持部43にそれぞれ形成した嵌合凹部同士を嵌め合わせることで、第1固定子3と第2固定子4とを一体的に組み付ける構成を例示したが、嵌合凹部同士の嵌合に代えて、または加えて、ネジなどの適宜の固定具を用いて保持部同士を固定することによって第1固定子と第2固定子とを一体的に組み付ける態様や、第1保持部及び第2保持部を共通の部材(例えばベースに基端部を固定した支柱)に固定することによって第1固定子と第2固定子とを一体的に組み付ける態様を採用してもよい。
第1可動子や第2可動子の回転角度又は位置を検出する手段として、上述の実施形態で述べたリニアスケールに代えて、又は加えて他の検出装置を用いてもよい。一例として、ガイド支持機構の第1ガイド板や第2ガイド板に、各可動ヨークの各軸周りの位置を検出する位置検出部を設けた態様を挙げることができる。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。